「共同参画」2009年 11月号

「共同参画」2009年 11月号

連載 その2

女性のライフプランニングに資する大学の取組(1)
~東京女子大学~
文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課

大学におけるライフプランニング支援

近年、大学においては、従来の就職支援から、大学入学時あるいはそれ以前からの継続したキャリア意識形成支援への転換がなされています。つまり、「点」(就職)から「線」(キャリア形成)への支援に変化しています。

大学の就職支援の窓口も「キャリア・センター」と名前を変え、学生一人ひとりが長期的な視点で自らの働き方・生き方を考え、将来の見通しを持つことができるよう支援するところも増えてきています。

東京女子大学の取組

東京女子大学は1918年に創立し、90年にわたる女子教育の歴史があります。創立以来、「自己を確立した女性を育てる」ということが教育方針の根幹にあります。

本学では、女性の生涯を見通したキャリア構築支援を実施しており、2007年度には文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(※)に「東京女子大学キャリア・ツリー-リベラル・アーツ教育に基づくキャリア構築支援-」が選定されました。

「東京女子大学キャリア・ツリー」は、本学の教育理念である“女性の自己確立とキャリア探求の基礎となるリベラル・アーツ教育を土壌とし、その上に枝葉を広げる樹木のように学生が力強く自己を確立すること”を目指し、社会参画するための正課教育と正課外教育とを連携させた総合的キャリア構築支援として展開しています。卒業論文を必修とし、キャリア教育の集大成と位置づけています。

キャリア・センターが実施する正課外のプログラムの一つである『全学キャリア講座』は、卒業生を講師として全学生を対象に実施しています。2009年度はNHKアナウンサーの伊東敏恵氏を迎え、『将来を展望・決断する力を養う~テレビの現場から~』というテーマで話していただきました。参加学生には大変好評で、「自分を信じて目標に向かって頑張りたいという気持ちになった。仕事だけでなく、結婚、出産も含めた自分の人生を構築する事が大切だと実感した。」という感想がそれを表しています。

変動の著しい現代社会では、その時代・状況に対応する主体性と柔軟性が必要とされ、それ故、変動する社会のニーズに対応し得る自己を育てることが必要となります。

本学では、生涯にわたるキャリア構築を支えるものとして、リベラル・アーツ教育に基づくキャリア構築支援を展開しています。

「女子大」という特性

東京女子大学では、女子大という特性を意識し、かつそれを生かしつつ支援を行っています。

具体的には、女性が社会でいかに生きていくかを課題として認識し、在学中の4年間で学生がキャリアを意識し、卒業後の目標を考え、それに対応できるような支援です。必ずしも社会での活動に限らず、キャリアの意味を広くとらえ、社会、家庭の中での自分の位置づけを考えるよう伝えているとのことです。

東京女子大学ウェブサイト

http://office.twcu.ac.jp/aboutus/gp/tree/index.html

(※)現代的教育ニーズ取組支援プログラムとは

文部科学省では社会的要請の強い政策課題に関するテーマを設定し、これに対して各大学等が計画している取組の中から、国公私を通じて優れた取組を選び、サポートしています。また、選ばれた取組を社会に広く情報提供し、高等教育全体の活性化を促しています。