「共同参画」2009年 5月号

「共同参画」2009年 5月号

行政施策トピックス 3

「男女間における暴力に関する調査」について 内閣府男女共同参画局推進課

内閣府では、男女間における暴力に関する実態を把握するのため、3年毎に調査を実施しています。今回の調査では、平成20年10月から11月にかけ、全国20歳以上の男女5,000人を対象に無作為抽出によるアンケート調査を実施しました。3,129人(女性1,675人、男性1,454人)から回答がありました。

今回の調査と前回平成17年度の調査を比較してみると、配偶者からの暴力を受けたことが何度もあったと回答した人が、前回の調査で女性10.6%、男性2.6%になっていたのに対し、今回の調査でも女性10.8%、男性2.9%と同程度になっているなど、調査を行った男女間の暴力のいずれについても被害状況に大きな変化は見られず、依然として被害が深刻な実態にあることが確認されました。

また、今回の調査では、配偶者からの暴力により命の危険を感じたことがあるか、怪我や精神的に不調をきたしたことがあるか、交際相手からの暴力により命の危険を感じたことがあるか、怪我や精神的に不調をきたしたことがあるか、生活上の変化があったか、政府による広報の周知などについて、新たな項目として調査を実施しました。

調査結果の概要は次のとおりです。調査の全文は、男女共同参画局ホームページ(http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h2103top.html)でご覧になれます。

1 配偶者からの被害経験

・ 女性の11%、男性の3%が「何度もあった」と回答

・ 被害を受けた人のうち命の危険を感じた人は、女性13%、男性5%

● 配偶者(事実婚や別居中の夫婦も含む)から、

“身体に対する暴行を受けた”人は女性24.9%、男性13.6% 

“精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫を受けた”人は女性16.6%、男性8.8% 

“いやがっているのに性的な行為を強要された”人は女性15.8%、男性4.3%

● “身体的暴行”“心理的攻撃”“性的強要”のいずれかを1つでも受けたことが「何度もあった」という人は、女性10.8%、男性2.9%となっている(図1)。

● これまでに配偶者から何らかの被害を受けたことのある人に、その行為によって、命の危険を感じたことがあるかを聞いたところ、「感じた」という人は女性13.3%、男性4.7%となっている(図2)。また、その行為によって、怪我をしたり、精神的に不調をきたしたことがあるという人は、女性34.8%、男性14.1%となっている。

図表1 配偶者からの被害経験
図表2 配偶者からの暴力により命の危険を感じた経験

2 交際相手からの被害経験

・ 女性の14%、男性の4%に被害経験。特に20代・30代の女性に被害が多い・ 何らかの被害を受けたことによる生活上の変化を女性は受けることが多い

●10歳代から20歳代のときの交際相手(後に配偶者となった相手以外。以下、「交際相手」という。)から、“身体的暴行”“心理的攻撃”“性的強要”のいずれかをされたことが「あった」という人は女性13.6%、男性4.3%となっている(図3)。

図表3 交際相手からの被害経験

●交際相手から何らかの被害を受けたことによる生活上の変化について、女性は「仕事(アルバイト含む)をやめた・変えた」(13.3%)、「転居(引越し)をした」(10.9%)と多くなっている(図4)。

図表4 交際相手から被害を受けたことによる生活上の変化

●これまでに交際相手から何らかの被害を受けたことのある人に、その行為によって、命の危険を感じたことがあるかを聞いたところ、「感じた」という人は女性21.9%となっている。また、その行為によって、怪我をしたり、精神的に不調をきたしたことがあるという人は、女性48.4%となっている。

3 異性から無理やりに性交された経験(女性のみ)

・ 被害経験は7%。若年・低年齢時の被害が多い

●これまでに異性から無理やりに性交された経験を聞いたところ、「1回あった」という人が3.1%、「2回以上あった」人が4.2%で、被害経験のある人は7.3%。

●被害にあった時期を聞いたところ「20歳代」が38.2%と最も多く、次いで「30歳代」(15.4%)となっている。また、「小学校入学前」、「小学生のとき」、「中学生のとき」など低年齢で被害を受けたという人も2割ほどいる。

4 男女間の暴力を防止するために必要なこと

・身近な相談窓口を増やすが多い

●男女間の暴力を防止するために必要だと考えることを聞いたところ、「被害者が早期に相談できるよう、身近な相談窓口を増やす」が約7割(女性71.3%、男性65.0%)で最も多くあげられ、以下「家庭で保護者が子どもに対し、暴力を防止するための教育を行う」(女性65.7%、男性68.6%)、「学校または大学で児童・生徒・学生に対し、暴力を防止するための教育を行う」(女性58.6%、男性59.2%)、「加害者への罰則を強化する」(女性57.1%、男性56.6%)の順となっている。