「共同参画」2009年 3月号

「共同参画」2009年 3月号

取組事例ファイル/その2 企業編

株式会社イノス

ワーク・ライフ・バランスへの取組背景

当社は育児休業法の施行に伴い、育児に関する休業および短時間勤務制度を導入し、その後も1997年に介護にかかる両立支援制度を充実させてきました。当社が積極的に両立支援に取り組んできた背景には「人材の確保と育成、定着」が急務であったことがあげられます。地方に本社を置く企業では、優秀な新卒採用者の確保が困難です。学生の多くが大都市を拠点とする企業への就職を希望する中、魅力ある職場作りを進め地元を中心とする優秀な人材を獲得することは企業の存続にとって重要です。また、同業界は企業横断的な転職が激しいことも特徴としてあげられ、育成し戦力化した人材の定着は顧客との信頼関係継続、事業発展に不可欠なのです。

このような考えから、当社は会社と社員が互いに信頼し合い代替の効かない関係を築くとともに、年齢・経験・性別等に関係なく能力と意欲のある人材を活用していくため、1.イコール・パートナー、2.能力主義、3.個人の成長なくして会社の成長なし、の3つを企業理念として掲げ制度の構築・拡充を進めてきました。特に、2003年からの2年間は、さまざまな世代・背景を持つ社員と経営者からなる専門委員会を設置し、 “社員一人ひとりが十分に能力を発揮できる組織づくり”について徹底した議論を行ってきました。その結果、今後は両立支援だけでなく、全社員を対象とするワーク・ライフ・バランスに取組むべきとして、2005年以降これらに積極的に取組んでいます。

当社のワーク・ライフ・バランス

具体的には、業種の特性として技術の進歩が著しく、中小企業、地方の企業であることから休業を長くするよりも「働きながらワーク・ライフ・コンフリクトを払拭することが重要」と考え、勤務時間の短縮等にかかる柔軟な働き方の制度を充実させてきました。当社の短時間・短日勤務制度は育児・介護に限らず、健康障害や自己研鑽を対象としており、働き方についても1日の就労時間を短くするだけでなく、1週間の勤務日数を減らす方法や両者の併用も認めています。また、在宅勤務(常時在宅勤務および部分的在宅の両者から選択可能)制度も導入しています。

しかし、これらの制度を利用できる職場環境がなければ制度が活きてきません。その実現に向けた取組の1つとして、当社ではワーク・ライフ・バランスに会社が取組む理由や制度内容、制度利用中の処遇情報を社員がわかりやすいようケース別にしてイントラネット上に掲載しているほか、管理職についても、そのマネジメントにばらつきが生じないよう、制度利用者に対するマネジメント・マニュアルを徹底しています。また、制度利用者が職場内で一定の役割を果たしながら存在感を持たせ活躍でき、さらにはキャリア形成に支障が生じないよう、日ごろから「プロフェッショナルの育成」を心がけ業務を配分しています。

今後も多様な価値観や働き方を受容できる企業風土・職場環境を醸成していくとともに、社員一人ひとりの能力を十分に発揮できる企業を目指し取組んでいきたいと考えています。

会議の様子。
会議の様子。

会社概要/株式会社イノス 1985年6月設立。本社熊本市。主な事業内容はソフトウェアの開発、ソフトウェアパッケージの開発・販売、コンサルテーションなど。社員数は103名、うち女性社員は35名。2005年プライバシーマーク取得●2002年熊本県男女雇用機会均等推進企業表彰 熊本労働局長賞、2003年熊本県男女共同参画推進事業者表彰