「共同参画」2009年 2月号

「共同参画」2009年 2月号

コラム

鍋料理の普及で男女共同参画社会実現 鍋ほか推進プロジェクト 嘉納 毅人(菊正宗酒造株式会社社長)

男女共同参画社会を実現する工夫が各方面で行われているが、人の意識を変えるのは、なかなか難しく抵抗もある。この意識を変えるためには、人が生きていく上で欠かすことのできない「食」を活用するのが効果的ではないだろうか。

とりわけ食の中でも手間いらずで、子どもが野菜をたくさん食べることができて健康にも良く、その上一家団らんによる家庭の安定も得られる料理と言えば、やはり鍋料理に尽きる。しかも鍋料理は、料理の技術や調理知識にまだまだ疎い父親でも、食材を適当に切って、できあいの鍋つゆを使えば美味しくできる。

鍋料理で子どもは親をきっと見直すことだろう。昔から、鍋の煮え方、食べ方を指導する鍋奉行には父親が多かった。親の権威が失墜したと言われている今日、家庭教育上も鍋奉行の復活が望まれているのではないだろうか。一家団らんの時こそ親の存在が大切である。

もはや「男子厨房に入らず」は、とっくに死語になっていると言えるが、鍋料理ができれば周囲の羨望の的になるだろう。ましてや孫が訪れた時に鍋料理を振る舞ったとなれば、その話を聞いた鍋がつくれないお年寄りは、若いときから料理をあまりしてこなかったことを反省するはめになるというものだ。「男子厨房に入らず」は、今や「男子厨房に入らずんば、旨い物も食えず、家庭の安定も得ず」に変更すべき時代になっている。

寒さ厳しいこの季節、家族団らんの機会を自然に増やすことのできる温かな鍋料理が普及し、男性が家事に参画していくことは、男女共同参画社会を実現するための大きな力になるのではないだろうか。

「鍋ほか推進プロジェクト」は、「暖房ほどほどお鍋でほかほか」をコンセプトに鍋料理の多様な効用(国産食材の消費拡大、家族団らん、健康増進、CO 2排出削減、郷土料理での村おこしなど)を活かし、さまざまな企業、団体や行政機関と連携し、鍋料理の普及活動を行うプロジェクトです。