「共同参画」2009年 1月号

「共同参画」2009年 1月号

スペシャル・インタビュー

「女性が働き、 子どもを育てるという道を」 OBUCHI YUKO

今回は、新年号に当たり、 小渕優子男女共同参画 担当大臣にお話を伺い ました。

いろいろな現場に足を運び、できる限り多くの方の「生の声」を聞いていきたい

─ 大臣に就任して3か月、特に 生活が変わった点はありますか。

小渕大臣 一言でいえば中身が濃くなったということでしょうか。でも、日々の生活はできるだけ変えないようにしています。子どもの保育園の送り迎えもできるだけやっていますが、半分は夫に協力してもらっています。

─ 大臣は、戦後最年少の閣僚となりましたが、ご感想は。

小渕大臣 皆さんがよくそうおっしゃるので、ああそうなんだという感じですね。私が大臣になっている意味というものを考えると、若さと同時に一児の母親であるということ、子育て現役の世代であることだと思うので、同世代の思いを受け止めて精一杯務めていきたいと思います。

子育てと仕事の両立もあまりできていないのですが、そこから学ぶもことも多いですね。お母さん方の中には、仕事と育児をされている方はたくさんいらっしゃいますし、私自身がぶつかる壁というのは、そうした皆さんがぶつかる壁と一緒だと思うので、逆にいろいろな苦労を自分が経験することによって、何かを発信していければいいし、変えるところは変えていく、保育サービスも増やすという風に前向きにとらえています。

─ 男女共同参画を担当することへの思いはいかがですか。

小渕大臣 実は、男女共同参画社会基本法ができたのが、私の父(小渕恵三元内閣総理大臣)が総理の時で、たいへん思い入れがあったところ、今回、自分自身が担当大臣に就任して、とても感慨深いですね。

それから、私の世代というのは、ちょうど第二次ベビーブームで、子どもたちがすごく多く、特に男性・女性という壁を、私自身はそんなに感じませんでした。受験もそうですし、就職活動もそうですが、何に向けても男の子も女の子も一生懸命、同じステージで頑張るんだという世代だと思います。ですから、男性も女性も同じようにチャンスが与えられるということが言わば当然のこととして受け止められ、実現できるようにいろいろな施策を進めていきたいと思います。

自分自身のことを思い出すと、将来の進路について、父からアドバイスもあまりなかったかわりに、私がやりたいと言ったことに対して、それを止められたりということもなかったですね。私はどちらかというと外に出るタイプで、男の子と一緒に遊んだりする方だったんですけれども、女の子らしくしなさいとか、それは女の子では大変だから止めなさいと言われたことは一切ないですね。

父は、女性だから守るということではなくて、女性も男性もそれぞれの能力を生かして活躍できる場があればいいし、他方、体のつくりとかが違うわけだからと女性に優しいところもあって、バランスのいい感覚を持っていました。そこは今も大事なところだと思っています。

─ 男女共同参画社会基本法ができて、今年は10年になります。これからどう取り組みますか。

小渕大臣 基本法ができて、この10年で、男女共同参画という課題に対する理解は、いろいろな取組が進められた結果、ある程度進んだと思いますし、女性の背中を押すことになったんだと思います。これからの10年を展望すると、より地域に根差して、地域の様々な実践活動の中に男女共同参画の視点を活かして、具体的な地域の課題解決に取り組むことが重要になってくると思います。

私の地元などをみても、男女共同参画という言葉は使わなくても、これはという活動がいっぱいあるんですね。例えば、女性ならではの視点で地産地消の野菜でお店を開いたり、経営者になったり、実際に地域で頑張っている女性はたくさんいます。そうした良いところをどんどん伸ばしていく、押し付けみたいに受け取られないように、それぞれの地域ならではの特徴を生かした男女共同参画を、国が引っ張ってあげられることになればいいなと思います。

─ 男女共同参画を進める上で、男性の役割をどう思いますか。

小渕大臣 とかくこれまで男女共同参画は、女性の課題ととらえられがちでしたが、これからは男性が変わる必要があると思います。子育てでも父親の役割が大事です。

実は、私もこの間、公務で出張のため、夫に子どもを丸一日任せたのですが、動物園に行ったりして楽しんでいたみたいです。父親と子どもが2人で仲良くしているところを見るととても幸せです。父親が育児参加するためには、男性の働き方を変え、すべての人の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現することが必要です。

─ 話題は変わりますが、DVシェルターを視察されたそうですが。

小渕大臣 幼い子どもにも悪い影響が及んでいることを知って、正直なところ衝撃を受けました。被害者の心のケアは勿論のこと、シェルターから出た後、どういう形で自立していくのかが、これからの課題だと思いました。

女性に対する暴力は絶対に許さないということで、UNIFEM(国連婦人開発基金)が実施した、女性に対する暴力の撤廃に向けた署名にも協力し、昨年、総理以下全大臣の署名を取りまとめ、ちょうど来日したイネス・アルベルディUNIFEM事務局長に手交しました。

─ 最後に今年の抱負を聞かせてください。

小渕大臣 先日、ある女子大の女性研究者の方や女子学生と懇談する機会がありました。研究者として、それぞれが取り組んでいる研究が楽しいし誇りに思っているという話を伺い感激しました。その時、この先研究を続けていくときに、結婚や出産をどうするのか不安や課題も聞きました。私達の二つ上の世代は女性が学ぶ道を切り開いてくれました。一つ上の世代は女性が働く道をつくりました。私達の世代は女性が働き、そして子どもを育てるという道を築いていきたいと改めて強く思いました。

今年もいろいろな現場に足を運んで、できる限り多くの方の生の声を聞き、これを施策に生かしていく、そういう前向きな年にしたいですね。今までが、ホップ、ステップ、そして今年はジャンプでいきたいと思います。

─ 本日はお忙しい中、ありがとうございました。

内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画) 小渕 優子
内閣府特命担当大臣
(少子化対策、男女共同参画)
小渕 優子

おぶち・ゆうこ/成城大学経済学部卒。(株)東京放送(TBS)社員、小渕恵三元総理秘書を経て、2000年衆議院議員に初当選、以降当選3回。自由民主党広報局長、文部科学大臣政務官などを歴任。2008年9月より内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)。