「共同参画」2008年 11月号

「共同参画」2008年 11月号

取組事例ファイル/その2 団体編

国際ソロプチミストアメリカ日本5リジョン

暴力に立ち向かう ~人権と女性の地位向上をめざして~

国際ソロプチミストは職業をもつ女性の奉仕団体です。平成7年の北京での世界女性会議以降、いち早く女性と女児に対する暴力に反対して活動を始めました。日本でも「家庭内暴力」や「人身取引」の問題に挑戦してきました。

家庭内暴力に対する取組

平成8年、国際ソロプチミストアメリカは、全米家庭内暴力防止連合(NCADV)と協力して作成した「家庭内暴力総合情報ガイド」を日本の全クラブに対して配布し、「DV終結にむけてのソロプチミスト職場キャンペーン」を行うよう要請してきました。当時、日本ではDVは表面化しておらず、個人的な問題であるという考え方が大勢を占めていましたが、調査をするうちに放置できない社会問題であることがわかり、全国500余クラブをあげて「DV終結にむけてのキャンペーン」を開始しました。

1 ホットラインカードの配布

平成9年、各クラブで、県、市町村の担当部署を探し、被害者が相談できる電話番号の掲載許可をもらい、ホットラインカードの作成・配布に取りかかりました。以後、毎年、クラブはカードの配布に工夫を凝らし、ティッシュやゴミ袋と一緒に配布したり、病院や公的機関に置かせてもらったりしています。

2 シェルターの設置および支援

神奈川のあるクラブは、平成10年、DV被害者のシェルターを作りました。現在、このシェルターは公的資金の補助を受けていますが、クラブの全会員が賛助会員となり、毎月開催される例会にお米や消耗品を持ち寄って、DV被害者の生活を支援しています。全国の相当数のクラブが他団体のDVシェルターを支援しています。

3 DV被害者の生活支援基金

神奈川県のクラブの「りんどう基金」や「やまぼうし基金」、千葉県のクラブの「ラメール基金」等のように、ソロプチミストが単独で、あるいは公的機関と連携して、DV被害者救済のために設置した基金が全国にあります。これは被害者が加害者から逃れるための交通費や生活の一時資金として貸し出すもので、被害者の裁判費用等に使われる場合もあります。

人身取引に対する取組

「人身売買」は、平成11年の国際大会においてソロプチミストの重要課題となりました。日本では平成13年の「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」のサイドイベントに参加して以来、女性と女児の商業的性的搾取に反対して法制提唱や理解促進のための活動を行っています。

1 理解促進

平成19年より「ソロプチミスト人身売買防止プロジェクト」がスタートし、現在、チラシの配布に挑戦しています。クラブによっては他団体と連携して国際シンポジウムを開催しているところもあります。福岡県のクラブは被害者のための多言語パンフレットを配布したり、被害者のシェルター運営の支援をしたりしています。また、女児による売春が急速に増えていることを受けて、大分県のクラブは女児たちに「買春は違法」のチラシを配布し、栃木県のクラブは高校に講師を派遣して性教育を行っています。

2 法制提唱

平成17年、日本の5リジョンは「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正案にむけた要望書に賛同して署名活動を行いました。今年も、児童ポルノに関する署名活動を行っています。

ホットラインカードの配布。
ホットラインカードの配布。

国際ソロプチミストアメリカ日本5リジョン/国際ソロプチミストは人権と女性の地位向上を目的とする奉仕団体です。1921年創立。現在124カ国、約9万人の会員を擁し、国際連合の経済社会理事会(ECOSOC)の総合協議資格をもっています。日本の5リジョン(中央、北、西、南、東)はアメリカ連盟に属し、538クラブ13,680名の会員が人権/女性の地位、教育、環境、保健の分野で活動しています。