「共同参画」2008年 10月号

「共同参画」2008年 10月号

特集

女性研究者の活躍促進・支援 科学技術分野の研究活動の活性化と国際競争力強化を目指して 内閣府男女共同参画局推進課

平成17年12月に策定した「第2次男女共同参画基本計画」では、「新たな取組を必要とする分野」の一つとして科学技術を取り上げ、科学技術政策と連携しつつ女性研究者の活躍促進に係る取組を行ってきました。さらに本年4月に策定しました「女性の参画加速プログラム」においても、女性研究者は、重点的に取り組む分野として取り上げており、一層の施策の充実を図ることとしています。

1 現状と課題

女性研究者の活躍は、今後、我が国が科学技術の分野において国際競争力を維持・強化する上でも、また、多様な視点・発想を取り入れた研究活動を活性化させる上でも重要です。

しかし、我が国の研究者に占める女性の割合は、12.4%(平成19年)と他の先進国と比べて2分の1から3分の1の水準にすぎず、女性の活躍が今後一層期待されます。

また、大学教員の所属分野は、女性は、特に、理工系でその割合が低いなど分野に偏りが見られるほか、職位が上がるにしたがって割合が低くなっています(表1、表2)。また、女性研究者の所属は、大学や公的機関が多くなっています(表3)。

女性研究者が少ない理由については、出産・育児、介護等の家庭の事情を挙げる研究者が最も多く(表4)、育児等との両立が難しいことがわかります。育児等の間に研究業績が十分に上げられないことが、キャリア形成の支障となり、研究現場を離れざるを得ないことが多いという問題があります。また、いったん研究現場を離れると、次の研究ポストを得ることが難しく、研究現場に復帰しにくい状況となっています。

表1、表2、表3

表4

2 国の取組

国においては、男女共同参画基本計画(第2次)、第3期科学技術基本計画において女性研究者の活躍促進について盛り込み、男女共同参画政策、科学技術政策の重点として位置づけており、採用者における女性の割合を自然科学系全体として25%(理学系20%、工学系15%、農学系30%、保健系30%)という目標を掲げるなど採用、登用から両立支援等まで幅広く取組を行うこととしています。

さらに、女性研究者が研究と育児等との両立が特に困難な事情にかんがみ、本年4月には、「女性の参画加速プログラム」において、重点的に取り組む分野の一つとして研究者を位置づけ、取組を強力に推進し、その成果を他の分野にも波及していくこととしています。

《国の主な施策》

1.出産・育児からの復帰支援

研究者が出産育児による研究中断後に、円滑に研究現場に復帰できるよう日本学術振興会の行う特別研究員制度に支援枠を設定しています(平成18年度~)。

また、科学技術振興機構の行う戦略的創造研究推進事業に参加する研究員の出産・育児等に際して、男女共同参画促進費を研究チームに支給(平成20年度~)しています。

2.女性研究者を支援する大学・研究機関への支援

科学技術振興調整費により、女性研究者が研究と出産・育児等を両立し、研究活動を継続するための支援を行う仕組みを構築するモデルとなる優れた取組を支援(平成18年度~)しています。

さらに、人材の多様性確保のため、女性研究者の採用割合等が低い分野における女性研究者の養成を加速的に促進するための取組の支援(平成21年度~)を現在概算要求中です。

3.若年女性の理工系への進路選択への支援

科学技術分野で活躍する女性研究者・技術者、大学生等と女子中高生との経験交流等の理系進路選択を支援するための取組(平成18年度~)や各大学、研究機関と連携した情報提供、意識啓発のためのチャレンジキャンペーン(平成17年度~)を実施しています。