「共同参画」2008年 9月号

「共同参画」2008年 9月号

取組事例ファイル/その2 企業編

東日本旅客鉄道株式会社 東京都

女性社員活躍推進の取組みの背景

当社は、1987年日本国有鉄道の分割民営化によって誕生しました。JR発足後女性社員の採用を拡大してきたものの、労働基準法による女性の深夜業制限のためその活躍範囲は限定されていました。1999年の労働基準法改正による深夜業制限撤廃を契機に、鉄道事業における女性社員の本格的な採用を開始、その職域を乗務員などへ拡大することが可能になりました。その後2004年4月、「多様な人材の活用を通じてこそ企業競争力を強化でき、また、女性社員の活用や仕事と育児の両立支援は企業の社会的責任である」との考えのもと、女性がその能力を最大限に発揮できる環境の整備を目指して、総合的なポジティブ・アクション「Fプログラム」をスタートさせました。

ポジティブ・アクション「Fプログラム」の概要

「Fプログラム」では、5つの柱に沿って取組みを進めています。ここでは主な取組みを紹介いたします。「1.女性社員の採用および活躍の場の拡大」では、採用者に占める女性の割合を20%以上にするという数値目標を設定し、それを上回る数の採用を行っています。あわせて、従来女性社員の配置が少なかった車掌・運転士・メンテナンス・設備といった業務への運用を積極的に拡大しています。「2.仕事と育児の両立を支援する制度の充実」では、復職時に保育園に入所しやすいよう育児休職期間を「子が2歳に達するまで」に延長しました。また育児休職による昇進・昇格への影響を無くすため、本人の努力があれば復職後の昇進・昇格への影響が出ないよう人事制度の見直しを行いました。「4.職場の雰囲気・風土の改善」や「5.女性社員自身の意識改革に向けた取組み」では、年に2回「男女共同参画フォーラム」を開催し、女性社員自らが将来のキャリアイメージを描くための支援や、職場における男女共同参画意識の浸透を図っています。その他、社員の生の声を施策に反映させる「社員参加型『Fプログラム』の推進」を目的として、公募により集まったメンバーが様々な課題についてディスカッションし提言を行う「男女共同参画ワーキンググループ」を立ち上げるなど、会社全体でさらなる「Fプログラム」の推進に向けた取組みを進めています。

「Fプログラム」 取組みの5本柱

子育て支援施設の取組みについて

また、JR東日本グループでは、女性の社会進出やライフスタイルの多様化を支援するため、駅型保育園の開園を積極的に進めてきました。2008年3月に発表したグループ経営ビジョンでは、2010年度までに駅型保育園などの子育て支援施設を倍増させるという計画を掲げています(2008年4月現在21箇所)。これまで、信頼のおける保育事業者をパートナーに迎え、質の高いサービスの提供に努めてきましたが、今後も引き続き、地域社会や駅利用者に必要な機能のひとつとして駅型保育園の開発推進を強化するとともに、さまざまな子育て支援施設へと取り組みの枠を広げて、JR東日本の沿線価値の向上をめざしていきます。

(人事部男女共同参画グループ)

  • 仕事と育児の両立支援制度の解説の他、先輩社員・会社幹部からのメッセージを掲載し全社員に配布
    仕事と育児の両立支援制度の解説の他、先輩社員・会社幹部からのメッセージを掲載し全社員に配布
  • 男性社員も含め約230名の社員が参加した「男女共同参画フォーラム」の様子
    男性社員も含め約230名の社員が参加した「男女共同参画フォーラム」の様子
  • 駅型保育園「茶々すずや保育園」(南与野駅)の様子
    駅型保育園「茶々すずや保育園」(南与野駅)の様子

会社概要/東日本旅客鉄道株式会社 1987年4月1日設立。主な事業内容は、旅客鉄道事業、旅行業、広告業、小売事業、飲食事業、ショッピングセンター事業、オフィス事業、保育事業など。社員数は61,900人で、うち3,330人が女性社員(2008年4月1日現在)。2004年4月、他の鉄道会社に先駆けて総合的なポジティブ・アクション「Fプログラム」をスタートさせた。