「共同参画」2008年 8月号

「共同参画」2008年 8月号

行政施策トピックス/国の施策紹介 TOPICS

地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(基本問題専門調査会中間報告) 内閣府男女共同参画局推進課

身近な生活圏である地域での取組が、男女共同参画社会を実現する鍵である。このような問題意識のもとで、基本問題専門調査会では、昨年7月以来、地域における男女共同参画推進の今後のあり方について調査検討を続け、中間報告をとりまとめて6月13日の男女共同参画会議に報告しました(最終的な報告書は、今秋にまとめられます。)。その中間報告のポイントをご紹介します。

基本法から9年、男女共同参画の推進状況と地域の課題

1999年(平成11年)に男女共同参画社会基本法が施行され、9年が経過しました。その間、男女共同参画を推進する取組は着実に進められ、さまざまな分野で女性が活躍する場面が増えています。しかし、固定的な性別役割分担意識は、それに反対する人の割合は増加しつつあるものの、依然として根強く、男女共同参画に関わる取組の参加者に広がりがみられないといった閉塞状態もみられます。

他方、少子高齢化の進展、社会的・経済的な格差の広がり、地域の人々のつながりの希薄化等を背景に、人口減少や活力の低下という問題を抱える地域が増え、また、地域住民は、就業・再就業、ワーク・ライフ・バランス、子育て、配偶者からの暴力、高齢者の社会参画等のさまざまな課題を抱えています。これらの課題は、男女共同参画とも密接に関わっています。

男女共同参画の取組の第2ステージへ

従来の男女共同参画の取組は、男女共同参画そのものの普及啓発が中心でした。そのような取組の重要性は変わりませんが、男女共同参画のメリットを実際に地域に活かすとともに、さらに多くの幅広い立場の地域住民に男女共同参画のメリットを実感し、その重要性を理解してもらうためには、間口を広げて、地域住民が抱える様々な課題解決に男女共同参画の考え方を活かしつつ取り組んでいく必要があります。

地域の課題を解決するための取組に男女共同参画の視点を取り入れることは、新たな見方や発想を生み、多様な人々の参画につながり、よりよい形での課題解決や地域の活性化に役立つと考えられます。そして、男女共同参画の視点でこれらの課題を解決していくことが、そのまま男女共同参画社会の実現につながります。

このように、知識習得や意識啓発を中心とした取組から発展して、課題解決型の実践的な活動中心の取組に移行していくことを、この中間報告では、地域における男女共同参画の取組の第2ステージと位置付けました。

異なる分野の多様な団体等との連携・協働を

地域の課題解決のためには、それぞれの課題の解決に有効なノウハウやネットワークを持つ団体等との連携・協働が不可欠です。

従来の男女共同参画の取組は、主に、地方公共団体や男女共同参画センター等が、女性団体をはじめ男女共同参画に関わる団体等と連携・協働して進めてきました。今後は、男女共同参画に関わる団体等に加え、課題に応じて、男女共同参画を主目的としていない団体等、たとえばNPO、自治体等の地域団体、企業、教育機関、医療機関等との連携・協働が不可欠となります。このような連携・協働は、課題解決に有効であるばかりでなく、互いにノウハウを学び合い、新たな視点を獲得することにつながります。その結果、それまで男女共同参画に関心が薄かった団体等に男女共同参画の視点を持ってもらい、従来とは違う側面から地域に男女共同参画を浸透させていくことにもなります。

成り立ちや立場が異なる団体等の協働は、考え方や手法を統一しようとして失敗することも多いため、互いの違いを尊重しつつそれぞれの得意な部分を活かせるような、「緩やかなつながり」を築くこともポイントです。

さらに重要となる男女共同参画センター等の役割と人材育成

地方公共団体の厳しい財政状況のもと、男女共同参画センター等のあり方や運営・事業について、主に効率化の観点から見直されるケースが増えています。指定管理者制度の導入も増えてきました。男女共同参画センター等の見直しに当たっては、経費削減のみに重きを置くのではなく、職員の専門的能力の維持向上や、効果的な事業が実施できる体制になっているかどうかを十分考慮する必要があります。

地域の男女共同参画推進の拠点である男女共同参画センター等は、従来の役割に加えて、今後は多様な団体等との連携・協働による課題解決型の実践的な取組の企画・実施や、そのためのネットワークの構築等の役割も重要になります。地域住民に対する、それぞれの課題解決に役立つ情報の提供も求められます。男女共同参画センター等の間の広域的な連携により、相互に補完し、互いの強みを取り入れてレベルアップしていくことも、様々な課題に対応するために一層必要となります。

上記のように、地域の課題解決のために必要なネットワークを構築し、実践的な活動を展開していくためには、男女共同参画センター等と地域の両方において、取組を支えリードしていく人材の育成・確保・発掘が不可欠です。そうした人材を実践的活動の経験を通じて育成していくことも重要な課題です。

地域における男女共同参画推進の今後のあり方