「共同参画」2008年 8月号

「共同参画」2008年 8月号

巻頭言

男女共同参画というと、やはり多くの方が「女性の問題」と思われるのではないかと思う。しかし、この課題は、「男性の問題」でもある。

1970年代以後急速に拡大した「男性は長時間労働、女性は家事・育児(さらにパートも)」という仕組みは、経済成長を支える一方で、家庭や地域から男性の居場所を奪ってしまった。現在の家族の危機や地域の人間関係の希薄化の原因のひとつは、こうした男性たちの「家庭ばなれ、地域ばなれ」にもあるはずだ。

また、家庭生活を放棄して仕事に命をかける男性たちの生活は、過労死や自殺死亡率の上昇という負の側面も生み出してしまった。

男女で社会を支え、家庭・地域を担う男女共同参画は、何よりもワーク・ライフ・バランスが前提になる。生産性を高め男女で効率よく働き、ともに家庭・地域に責任をもつこの仕組みがうまく形成できれば、(保育所や高齢者施設等の社会的サポートの充実とともに)、子育てや高齢者介護の面でも多くのプラス面を生み出すはずだ。

それだけではない。これまで「人間らしい」とはとてもいえないような「仕事中心」の生活から、男性もまた、家族と時間を共有し、地域社会に貢献することができるようになるのだ。

京都大学大学院教授 伊藤 公雄
京都大学大学院教授
伊藤 公雄

主な予定

10月4日 男女共同参画宣言都市奨励事業(秋田県横手市)
10月11日・12日 男女共同参画フォーラム(京都府)
10月17日・18日 日本女性会議2008とやま(主催:日本女性会議2008とやま実行委員会、富山市)
10月19日 男女共同参画フォーラム(横浜市)
10月24日 全国男女共同参画宣言都市サミット(山形市)