「共同参画」2008年 6月号

「共同参画」2008年 6月号

取組事例ファイル/その1 自治体編

山梨県南アルプス市  【気づいたら、はじめてみるじゃん。男女共同参画!】

合併を機にもう一度はじめた取組

山梨県南アルプス市は、平成15年4月、4町2村が合併し誕生して以来、男女共同参画社会実現のために積極的な取組を進めてきました。平成17年3月には、施策を総合的かつ計画的に推進するため、「南アルプスハーモニープラン」を策定しました。策定は、公募の市民を含むプラン策定委員会が携わり、施策の方向に対し、市民と行政の双方から取組を示すとともに、具体的な数値目標を掲げています。

さらに、平成18年12月には南アルプスハーモニープラン推進会議が素案を策定し、これを市長に提言して「南アルプス市男女共同参画推進条例」を制定しました。素案は論点整理とパブリックコメントの意見をもとに策定されています。平成19年2月には、男女が共に輝き、次世代を担う子どもたちが住みたいと願う南アルプス市を目指して、「男女共同参画都市」を宣言しました。

南アルプスハーモニープラン推進会議と女性団体連絡協議会

市と一体となって、地域や家庭、学校、職場など、身近なところからプランを計画的に推進するために推進会議が設置されています。推進委員は、団体の推薦や公募、これに行政職員が加わり委嘱、任命されています。前述の条例素案の策定はもちろんのこと、あらゆる分野での推進活動など市民と行政とが協働して男女共同参画の裾野を広げています。推進会議は、「男だから、女だから」といった性別によって決められてきた役割や慣習を改めるためスローガン「気づいたら、はじめてみるじゃん。男女共同参画!」をつかって推進活動を行っています。

一方、推進会議と同様に、女性のエンパワーメントと政策方針決定過程への女性の参画を目指して取組を進めているのが、女性団体連絡協議会です。女性模擬議会の開催や推進会議とともに実行委員会を組織して毎年フォーラムを開催するなど男女共同参画の歩みを一歩前へ前へと進めています。

女性のエンパワーメントを進めるために

審議会等の委員への女性委員登用に関する指針を設けるなど、行政は制度的な仕組みを改める取組を進めていますが、109人の市内自治会長は全員男性で、地域社会での男女共同参画の促進が難しいと感じています。

本市の男女共同参画推進条例第5条市民の責務では、男女共同参画社会の実現のためには市民の行動が必要であり、それを努力義務として求めています。漠然とした「市民」ではなく、「男性市民」「女性市民」として区別して表し、それぞれにどんなことを求めていくか条文に示しています。「男性である市民」には、男だから、女だからという理由で、社会のあらゆる分野において男女の役割を固定化させている今までの慣行を改めるよう「改善」を、「女性である市民」には自立した個人として対等な関係で男性と社会を形成していけるよう「自立」を求めています。

女性の参画が新たな協働の仕組みを生み、地域を変えていく力となっていくためには女性自らが気づき行動していくことが必要です。加えて、男女共同参画の視点に立った社会慣行の見直しと地域社会や行政の制度的な仕組みづくりが車の両輪となって機能していくよう進めていきたいと思っています。

気づいたら、はじめてみるじゃん。男女共同参画!

南アルプス市概要/甲府盆地の西部に位置し、釜無川右岸に広がる御勅使川扇状地とその上部の南アルプス山系からなる地域であり、果樹栽培がさかんである。平成17年の国勢調査によれば人口は72,055人で県内市町村中3位である。県内でも人口増加率が高い地域で、5年前と比較して2.8%の増加を示している。