「共同参画」2008年 4・5月号

「共同参画」2008年 4・5月号

取組事例ファイル/その2 自治体編

石川県

石川県におけるワーク・ライフ・バランスの取組について

本県では、働く女性が多く、早くから保育サービスの充実に取り組み、保育所の普及率も全国第1位であるなど、「少子化対策先進県」との評価も得てきたところでありますが、依然として少子化が進行しています。

このため、今後の少子化対策を県民挙げて強力に推進していくための拠り所として、平成19年3月に制定した「いしかわ子ども総合条例」に基づき、総合的で幅広い施策を推進しているところです。

これまで子育て支援については、行政や保育所が中心となって担ってきましたが、今日、ワーク・ライフ・バランスや企業の社会貢献の議論が盛んになってきており、特に企業による子育て支援が今後のキーポイントになるものと考えています。

こうした考えのもと、企業が子育て支援に取り組む契機となるよう、全国初の取組として、民間企業の協力を得て多子世帯を支援する「プレミアム・パスポート事業」をスタートさせ、多くの自治体から注目もされたところです。

さらに本県では中小企業が多いことから、ワーク・ライフ・バランスの拠り所となる一般事業主行動計画について、いしかわ子ども総合条例で、全国に先駆け、従業員100人以上300人以下の企業に策定を義務づけるとともに、これらの中小企業に対し、説明会の開催やアドバイザーとして社会保険労務士を派遣するなどの支援を行い、まずは、量の確保に重点を置いた取組を進めてきました。また、行動計画を公表することは、企業間のワーク・ライフ・バランスの取組の競い合いにつながると同時に、個々の企業においても、「有言実行」の意識が醸成されることが期待され、ワーク・ライフ・バランスの推進に非常に有効な一手であることから、本県では、平成17年度から、行動計画の概要を公表する企業を「ワーク・ライフ・バランス企業」として県のホームページでPRすると同時に、特に積極的な取組や成果がある企業を知事表彰し、さらには、いしかわ子ども総合条例で、全国で初めて、行動計画の概要の公表についても努力義務としているところです。

こうした取組により、本県の行動計画の策定率は全国一位となっているほか、こうした取組が高く評価され、平成19年11月に、財団法人社会経済生産性本部の「ワーク・ライフ・バランス大賞」の優秀賞を全国の自治体としては唯一、受賞したところです。

さらに今後は、次のステップとして、行動計画の内容の質の向上を図るため、モデル企業に対するコンサルティングを行い、具体的な成功事例を広く紹介したり、専門的なコンサルタントの養成や派遣を実施することとしています。また、計画を公表することの更なるメリットを企業に提供するため、ワーク・ライフ・バランス企業を紹介した学生向け情報誌の作成・配布なども行うこととしています。

今後も、企業同士がよい意味で子育て支援を競い合い、企業にとっても経営上のプラス効果をもたらし、社会的にも評価されるような環境の整備に努めてまいりたいと考えています。

石川県概要/石川県は日本海側のほぼ中央に位置し、南北に約200kmと細長く、三方を海に囲まれ、能登空港の開港で発展が期待される能登地域、広範な原生林を有する白山山系や小松空港のある加賀地域、加賀百万石の歴史と伝統文化の香りが今も漂う県都金沢から構成されています。温泉などの豊富な観光余暇資源、歴史と伝統に育まれた質の高い文化の集積、高等教育機関の高い集積、勤勉・誠実な県民性に裏打ちされた質の高い人材など、数々の優れた資源的特性を有しています。