女性首長大集合! -地域・子育て・男女共同参画-

こんにちは。ラストバッターです。沖縄市長の東門でございます。これまで、各市長さんや町長さん方からなぜ市長、町長になったのかというところからいろいろお話をしていただき、そして、今取り組んでいる課題をしっかりとお伝えしていただきました。私も実はそのような課題をもってこの場に臨みたかったのですが、沖縄から私一人の参加ということでございますので、会場の皆さんも気にしておられることだと思いますが、基地の問題、基地を抱えている自治体がどういうものかということをお話しさせていただきたいと思います。

ご承知のとおり、国土のわずか0.6%に過ぎない沖縄県に、米軍基地の75%が集中し、また、34の米軍基地施設に約46,500人の軍人・軍属が在住しています。そして、私たちの沖縄市も極東最大と言われる嘉手納空軍基地など、地域面積の約36%を基地に取られています。市民は、基地からの騒音被害や軍人・軍属による事件・事故などの危険と隣り合わせの生活を余儀なくされている現状です。

沖縄では、60年余にわたって米軍基地から派生する事件・事故が後を絶たず、特に女性の人権を蹂躙する凶悪な犯罪が繰り返し起こっていることに、日米両国政府の責任は極めて大きいと考えます。

既に15年も経ちましたが、1995年に起きた海兵隊兵士による12歳の少女への集団強姦事件は、今なお沖縄県民の記憶に深く刻まれております。少女を凌辱し、人間の尊厳を踏みにじったことは、沖縄県民の耐え難い痛みとなって、85,000人もの県民が集結する歴史的な抗議集会となりました。

しかしながら、私が市長に就任して8か月後の2007年には、沖縄市で女子中学生が米兵に乱暴されるという痛ましい事件がまたしても起きました。少女は一旦は米兵を告訴しましたが、レイプ事件を裁判で闘っていくには余りにも幼く、セカンド・レイプにもなりかねないという現実に、結局、告訴を取り下げる他ありませんでした。

私は、市民の生命と財産を守るべき立場にある市長として、米軍をはじめ日米両国政府に抗議をするとともに、被害者への迅速な対応と事件の未然防止を強く求めましたが、軍隊の論理を優先することを変えることはできませんでした。

日本という国は、一人の少女の人権さえも守ることができないという現実に、もはや怒りを超えて悲しみすら覚えずにはいられませんでした。そして、少女暴行事件への県民の怒りが渦巻く中、1か月後には、またしても、米兵によるフィリピン女性への暴力事件が起こるということがありました。

度重なる米兵による事件に抗議する県民大会が開かれ、再発防止策や米軍優先の日米地位協定の抜本改正などが訴えられましたが、具体的な方策はいまだ示されておりません。もし政府がこのような状況下にある沖縄の声にフタをし続けるのなら、この国の民主主義は極めて危機的な状況にあると言わざるを得ません。 普天間飛行場の移設や地位協定の抜本的な見直し、そして、米軍再編の見直しを願う沖縄県民の声には、「軍隊と女性の人権」という極めて根源的な問題があることを、会場の皆さんには是非ご理解いただければと思います。

今、普天間飛行場がどこに移設されるのかが、大きな政治的な問題になっています。本土に持っていって欲しい、県外に持っていって欲しいと沖縄側が訴えても他の知事さん方はみんなノーコメントあるいはノーです。なぜ沖縄県だけにこんなに米軍基地が集中しなければいけないのか。国の安全保障を言うなら全国民で基地の負担も負うべきではないでしょうか。基地を抱える市の長として、とても残念ではなりません。そういう意味では、やはり政府にはちゃんとした姿勢を示していただきたい。そしてまた、「女性と軍隊」について女性の人権と軍隊という観点から、国民の皆さんに是非訴えたいと思います。

今日の日にふさわしいメッセージになったかどうかはわかりませんが、沖縄からの私のメッセージにしたいと思います。

ありがとうございました。