三菱重工業株式会社
- 設立 昭和25年1月(1950年)
- 本社所在地 東京都港区港南二丁目16番5号
- 事業内容 エネルギー・環境、機械・設備システム、交通・輸送、防衛・宇宙
- 従業員数 連結83,932人 単独19,426(うち女性1,947人)2016/03/31現在
【ご協力】
人事労政部 ワーク・ライフ支援グループ
灰塚様 井出野様
不妊治療に特化した「チャイルド・プラン休業」制度について
――不妊治療に特化した休暇制度という取組を導入されていますが、どのような内容でしょうか。取得日数や、男女ともに取得できるかなどについて、教えていただけますか。
不妊治療に関する支援制度としては、2013年度に『チャイルド・プラン休業』という制度を設けました。これは、不妊治療を受ける予定または受けている者が、所定の手続きにより申し出た場合、子1人(多胎妊娠を含む)の妊娠につき妊娠するまでの1年以内の期間、休業することができるものです。休業期間は複数年にわたり分割が可能で、通算して1年(12か月)以内としています。取得単位は1日で、男女とも取得可能です。取得者の年齢上限や子どもの人数による制限などはありません。休業中は、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、賃金は控除(不支給)となりますが、勤務成績上は欠勤扱いとはなりません。
導入の経緯について
――チャイルド・プラン休業を導入された経緯を教えてください。
平成23年の労働条件の見直しに関する労使交渉において、既に他社において導入されていた不妊治療のための休業取扱い導入について組合より要求されたことがきっかけです。女性活躍のための両立支援の一環として、要求から約1か月後に妥結し、同年の11月に制度を導入しました。また、同じタイミングで、育児・介護等を目的として社員が申し出た場合に、年次有給休暇を1年度につき2日(16時間)を限度に、1時間単位に分割して取得できる制度を導入しています。
社員への周知について
――チャイルド・プラン休業を導入された際、社員へはどのように周知されましたか。
新しい制度を導入する際には全社員へ通知を行っています。また、組合の機関紙でも紹介されました。現在では、新入社員向けの福利厚生研修等でチャイルド・プラン休業についても説明しています。
制度の利用状況
――チャイルド・プラン休業のこれまでの利用実績を教えてください。
導入初年度の2013年は5名が取得し、その後、2014年度に1名、2015年度に3名が取得しています。男性社員の取得実績もあります。
積立休暇の充当制度について
――チャイルド・プラン休業以外にも、不妊治療に関する支援制度はありますか。
当年度に繰り越されなかった前々年度の年次有給休暇の残存日数は、積立休暇として年6日を限度に最大60日まで積み立てるものとしており、医師の証明があれば不妊治療のための休業にも充当することができます。半日単位に分割することも可能であり、男女とも取得可能です。勤怠や賃金の取扱いは有給休暇と同じです。
――年次有給休暇と積立休暇の両方を取得できる場合の優先順位はどうなりますか。
年次有給休暇に優先して積立休暇から取得することができます。
不妊治療支援制度の導入のメリットについて
――企業にとって、不妊治療支援制度を導入する際のメリットについてはどうお考えですか。
「チャイルド・プラン休業」では、将来復職して引き続き勤務することが前提となっています。実際に、チャイルド・プラン休業取得後、復職しているケースがほとんどです。確かに、休業が長期間にわたるケースもありますが、もしこの制度がなければ、不妊治療が負担になり、仕事との両立が困難になって離職せざるを得ないような社員が出てしまうこともあるのではと考えております。このような離職を防ぐという意味でも、企業にとってメリットがあると思います。
今後の課題について
――制度運用上の注意点、今後求められる取組について教えてください。
不妊治療は女性の月経周期に合わせて行われることとなり、チャイルド・プラン休業を利用するに当たり、女性社員が男性所属長に申請を行うことや、職場へ休業の説明をすることなどに抵抗を感じることもある点を危惧しています。社内への周知・啓発を繰り返し行い、少子化対策は喫緊の課題であることを社員全員が十分理解し、制度利用者が不妊治療のために休業をすることに“うしろめたさ”を感じることがないような職場風土の醸成に努めていきたいと考えています。
――本日はどうもありがとうございました。
【支援制度の概要】
制度名称 | 制度概要 |
---|---|
チャイルド・ プラン休業 |
・不妊治療を受ける予定または受けている者が、所定の手続きにより申し出た場合、子1人の妊娠につき妊娠するまでの1年以内の期間、休業することができる。 ・休業期間は複数年にわたり分割が可能で、通算して1年(12か月)以内とする。 ・取得単位は1日で、男女とも取得可能。 ・勤務成績上は欠勤として問わないこととし、賃金は控除(不支給)。 |
積立休暇 |
・当年度に繰り越されなかった前々年度の年次有給休暇の残存日数は積立休暇として年6日を限度に最大60日まで積み立てるものとし、就業規則に定める事由(傷病や育児・介護、不妊治療等)により休業する場合、その休業に充当することができる。 ・半日単位に分割して取得可能、男女とも取得可能。 ・勤務成績・賃金取扱は年次有給休暇と同じ。 |