男性にとっての男女共同参画シンポジウムin とっとり 報告・開催概要

  • 9 「男性の地域や家庭への参画』と「夫婦の会話」
萩原:
浜田さんが「別の顔を持っていた」と仰っていたが、今は複数の顔を持つことが当たり前になってきている。地域に参加することや、家庭に居場所を持つなど色々な顔を持つことで、仕事も充実させることができる。
今まで男性は、複数の顔を持ちにくかったと思うが、男性が、もっと家庭や地域に参画していくには何がヒントになるか、具体的な事例などを、お二人にお聞きしたい。
安藤:
イクメンもブーム化してしまった。子育ての技術や「イクメン=育休を取る男性」ではなくて、社会に関心を持ち、もっと大きな視野を持ってほしい。例えば被災地にボランティアに行くとか、人間的な成長を目指すことが、育児や地域に参画する前提として必要だと思う。単なる「義務」やってもつまらないので自分なりのミッションを持つことが大事だと思う。
浜田:
個人的に悩んでいることだが、来年子どもが小学校に入る。8割くらいが専業主婦という、今までとは全然違う環境になる。保育園に子どもを預ける母親は自分も働いていて地域活動などにも熱心な方が多いが、小学校に進むと、また違うタイプの人と交わることになるので、その変化に対応するのが大変だと言われている。でも、そういう人と対立するのではなく、価値観の違いを認識したうえで、コミュニケーションを取って理解を深めていくことが、来年の自分の課題だと思っている。
安藤:
それこそ、多様性だと思う。実際、自分も働く母親と専業主婦の間の意識の差を感じることがあり、これを埋めることが大きな課題だと思う。本当は、それぞれの持っている良さを補完し合って良い学校をつくることが、ミッションと考えている。PTA役員をやったときに「PTAA」というキャッチフレーズを考えた。最後のAはArea(地域)。良い地域を作るには色々な人の力が必要だと言って、色々とイベントを仕掛けていったら、翌年は男性の参加も増えた。やらされ意識では前例踏襲にしかならないが、「この代で何か新しいことをやろう」というのを打ち出していった。
浜田:
萩原先生が専業主婦の方の助けで子育てをされたように、ネットワークができれば、本当に心強いと思う。
安藤:
小学校には総合学習という授業の時間もある。高学年の子どもたちが赤ちゃんのいる家庭にお邪魔して触れ合うとか、そういうことをPTAで提案するとか、企画力で色々なことができると思う。
浜田:
頑張ってみようと思う。
萩原:
私の話が出たが、幼稚園では専業主婦のママたちが、私が大学院に行っているのを知っていて色々と助けてくれた。それで私はとにかく、子どもを見て下さったことに対して、自分が大学で学んできたことを一生懸命伝えるようにした。小学校に入ったときはお蕎麦屋さんに世話になり、食事もさせて頂いた。私はその代り、土日には宴会の手伝いなどを頑張った(笑)。そんな風に地域の方のつながりで育てて頂いた結果、娘の結婚式には「生みの親」のほかに「育ての親」も出席してくれた。安藤さんの「PTAA」という考え方は重要だと思う。
安藤:
このところ、人と関わらない生き方がスマートだと思われていた面もあるが、育児でも介護でも、一人ではできないことがはっきりしてきている。だからこそ、期間限定の地域活動やPTAを楽しむことが後で生きてくる。子どもに対しても、色々な生き方をしている男性をたくさん見ること、「ナナメの関係で子どもを育てると」いう意識的な仕掛けが大事だと思う。
萩原:
今回は「家庭内」と言っているが、どうやって地域とつながりながら自分の家庭を円満にしていくかだと思う。
安藤:
地域を構成するのは一つ一つの家庭である。家庭をまずはしっかりさせたうえで地域に出ていく。最近は、「イクメン」から、地域に参画する「イキメン」と言っている。地域とつながりができると、将来介護を担う「ケアメン」になったときにそれが生きてくるし、孫ができれば「イクジイ」へと成長していくことができる。
萩原:
最後は家庭の話になるが、会場に聞いてみたい。
「やはり、夫婦の会話は大事だ」と思う方は、「○」を挙げてほしい。
→元気よく、ほとんどの方が「○」を挙げる。
男性にとっての男女共同参画シンポジウムin とっとり
安藤:
夫婦の会話が16分増えることと、夫の給料が10万円増えることが等価値だという、女性に対するアンケートの結果を見たことがある。結婚して時間が経つと、夫婦の会話に満足を見出すようになる。自分の場合、妻に家出された頃は1週間で15分、業務連絡みたいな会話ばかりだった。今は、出張がないときは5時に仕事を終えて子どもを迎えに行き、妻が仕事から帰ってくるとすぐに冷やしたグラスでビールを出して、まずは「今日も良く働いたね」と乾杯して、40分くらいは愚痴などを聞いたりしている。
浜田:
うちは交代でどちらかが残業するので、朝しか会話ができない。同じ職業ということもあり、二人で政治談議などをしていると、子どもも自分が話したいので、「パパとの会話禁止!」と言ってくる(笑)。そこで、「選挙どっちが勝つかな~」などと、子どもも政治談議に巻き込んでいる。子どもとは送り迎えの時にも話ができる。出社以降は、夫婦の会話はメールだが、時々リクエストを書いた長い手紙が来たりする。これは重い。
安藤:
手紙については、保育園のママ会で愚痴を言ったりするのか?
浜田:
もちろん会話のネタにする(笑)。でも、重い内容はメールで伝えるのはよくない。
安藤:
そうですよね。ちゃんと相対で伝えないと。
萩原:
なんとなく夫婦漫才のようになってきたが(笑)、そろそろ時間が近づいてきた。今日は「男と女の家庭内バランス Before After」ということだが、「After」について、これからどう変化したのかは、何か別の企画の時に改めて聞いてみたい。
安藤:
これからは高齢化が進み、「After」が長くなる。80まで生きるとしたら、20年くらいの老後がある。介護もあるし、夫婦円満な価値観・ライフスタイルを持っていた方がいいと思う。それを作る機会としては育児期がいいと思う。
浜田:
今日は安藤さんのお話も聞き、自分の反省点も顧みて、これからまた頑張りたいと思う。ありがとうございました。
萩原:
お二人にも、会場の皆さんにも、これから更にいい意味での「家庭内バランス」を保って頂ければと思う。では、本日はこれで終了としたい。