男性にとっての男女共同参画シンポジウムin とっとり 報告・開催概要

  • 6 男性は悩みを相談しない?
萩原:
「男性は悩みを相談しない」ということが言われていますが、会場の皆さんはどう思われますか?
→ 「○(賛成)」の方が若干多い。
萩原:
では、データをご覧いただきたい。
男性にとっての男女共同参画シンポジウムin とっとり
安藤:
困りごとなどを自分で抱え込んでしまう傾向は、男性・父親に多い。子どものころから「男は泣くな」「歯を食いしばって頑張れ」という教育を受けている。そのような傾向があるシングルファザーなどは心配だ。
浜田:
年に一度夫が参加する「お父さん飲み会」というのがあるが、出席率が極めて高い。一番の話題は「恐妻家トーク」らしいが、「うちの妻は・・・」と朝の3時頃まで盛り上がり、ガス抜きをして、すっきりした顔で帰ってくる。そういう場がやはり必要だと思う。もちろん、逆パターンとして「ママ会」というのもある(笑)
安藤:
どこかでガスを抜いてあげないと。ママ会というのはどういう話をするのか?
浜田:
もちろん、夫の話で盛り上がる(笑)。
萩原:
女性の方が話が好き。また地域の中に話し相手を作りやすい。男性も、地域の中に話し相手を作れるようにしていく必要があるのではないか。
安藤:
FJに入会してパパ友ができてよかった、という話が一番多い。「どこのミルクがいい」とか、そういう話ができる相手を見つけられたと言っている。
浜田:
子育てをしてよかったと思う点は、近所に友達ができたこと。働いていると会社と家の往復で終わるところが、保育園に行けば近所の人が多いので、散歩して出会った時に一緒にお昼を食べたり、そうして仲良くなって子どもを預かっていただいたり、そういう関係が新鮮だった。自分以上に夫はそれを楽しんでいた。日本の男性はずっと働いて、定年になると人脈がなくなると言われる。友達が地域にいて、休みの日も家族で出かけて、ということが当たり前にできることが重要。
安藤:
東日本大震災の時は、地域に友達がいることのありがたみを実感した。夫婦とも家に帰れなくなったとき、学校が倒壊したのではないかと心配した。その時、パパ友のメーリングリストを通じ、近所の自営業のお父さんが、子どもの安全を確認してくれた。そういうネットワークを持っておくことが、日常の子育てだけでなく、有事の際にも助けになる。
萩原:
相談する、しないについて、具体的なケースを見てみたい。
男性にとっての男女共同参画シンポジウムin とっとり
安藤:
「親父の背中」というものの落とし穴ではないか。昔は稼いでいたから背中もいきいきしていたが、今はそうとも限らない。「黙して語らず」というタイプの男性もいるとは思うが、それを自分の家庭でやりすぎると家族から疎まれてつらいことになると思う。
浜田:
仕事柄、生活上の悩みを企画にすることが多い。女性の編集部員からは「ワーキングマザー」など、生活に即した色々な企画案が出るが、男性からは「選挙」や「経済」など、一般的なものしか出てこない。「結婚できない」など本当は悩みがあるはずなのに、それが出せない。また、どんな仕事でもいえることだが、社会や人のことが分からないと、ちゃんとした商品やサービスは作れないと思う。男性がもっと自分のことを客観視・俯瞰視できれば、もっと社会や経済がうまく回っていくのではないか。もっとも最近は、20代ではすぐに泣く男性がいたり、極端な違いが出ているが。
萩原:
東日本大震災の被災地でも、悩みを話せないために仮設住宅から出られず、支援者が話を聞いて回る事例などが報告されている。日頃から、パパ友でもなんでも、苦しいことを話せること、「弱音を吐かない」という縛りから自由になることが大切だと思う。
安藤:
男性は家族にも弱みをみせないなどあると思うが、夫婦なんだから妻にはもっと弱音を吐いていいのでは。そのためには日頃のコミュニケーションが大事。
浜田:
家族で話すことは、そういう愚痴のような話ではないか。夫が家に帰ってきてむっつり黙って不機嫌そうにしていたら戸惑ってしまうが、「会社でこういうことがあって」と話してもらえると、周りも不機嫌な理由が分かる。分からないと子どもも周りも暗くなるが、フランクに話してもらえれば自分も周りも楽になる。
安藤:
東京都の子育て支援の関係の話で、10代の若者にアンケートを取ったことがある。困ったことを誰に相談するかを聞くと、一位が「友達」、二位が「母親」、三位が「誰もいない」、四位が「学校の先生」となる。「父親」は五位で、2%程度しかいない。要するに、普段よく話す人に困ったことも相談するわけで、家庭でも父親が話をしていれば、子どもはちゃんと聞いていて、逆の立場になったときに「お父さんなら聞いてくれる」と考えるのではないだろうか。
萩原:
会場の男性にお聞きしたい。地域に悩みを相談できる人がいる、という方はどのくらいいるだろうか。
→男性は「×(いない)」が多い。挙げてない人もいる。
→女性は「○(いる)」が多い。
萩原:
男性も、地域に相談できる人がいることが大事かと思う。