第22回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成14年10月17日(木)9:30~11:46
  • 場所:内閣府3階特別会議室

(出席者)

古橋
会長
庄司
委員
伊藤(陽)
委員
伊藤(る)
委員
鹿嶋
委員
桜井
委員
深尾
委員
松下
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 平成14年度監視の進め方について
  3. 平成14年度監視「情報の収集・整備・提供」
    • 有識者からのヒアリング(法政大学教授 伊藤陽一氏)
  4. その他
  5. 閉 会

(配布資料)

資料1
伊藤陽一教授説明資料 [PDF形式:108KB] 別ウインドウで開きます
資料2
第20回苦情処理・監視専門調査会議事録

(概要)

はじめに、平成14年度監視の進め方について意見交換が行われた。次に、平成14年度重点監視施策に関し、有識者ヒアリングとして、伊藤陽一委員からジェンダー統計学の観 点から重視すべき評価基準等これまでの調査研究の成果などについて説明が行われ、意見交換が行われた。本審議での主な議論は以下のとおりである。

(1)平成14年度監視の進め方について

古橋会長
指定統計・承認統計・届出統計などについての資料を事務局から出して欲しい。
伊藤(陽)委員
無償労働の数量的把握などの社会生活基本調査は統計局で行われているが、いろいろ改訂などもある。メーカーサイドの考え方について主要な政府統計機関から話を伺いた い。
庄司委員
どういうプロセスで調査票ができているのかなど、各省庁ごとに外部有識者を入れて議論する場があるのか、全体像を知りたい。
伊藤(る)委員
メーカーとユーザーのインターフェースに関して、「利用のしやすさ」の観点から、かなり工夫できる部分があると思う。メーカーとユーザーの関係についても注目する必要があ る。
古橋会長
佐藤委員は、前から基礎的な統計資料をもらえれば、研究者側で分析が可能と言っていた。個人情報が特定されないようにしてどこまで公表できるか。このあたりは今回の大き な検討項目の1つだと思う。
坂東局長
統計に対するユーザー側の需要はすごく大きい。一方、民間の統計も含めて非常に多くの統計があり、企業や個人に協力を得ていくのが難しくなっている。対象者の負担を大きく せず、必要な統計をどう確保するかというのが非常に大きな課題になっている。こうした負担と需要のトレードオフの関係も考慮する必要がある。
古橋会長
統計法や統計報告調整法などの法律により、総務省統計基準部では、重複の排除をしている。ただ、今の統計審議会は技術的なことに関心があるので、ユーザー側から意見を 言える人が統計審議会に入っていく必要がある。
また、各省庁が他省庁の統計について、どういう要望があるかということ。役所間で利用する統計などで、他省庁に対して、こういう点を直してもらいたいというようなものがある か、その点についても検討する必要がある。

(2) 伊藤(陽)委員からのヒアリング

庄司委員
調査をされる側のいろいろ主張や権利として、ジェンダーに関心を持って行われる調査に対するリアクションなどについては、どういう議論が行われているか。
伊藤(陽)委員
先進国押しなべて調査協力度が大きく落ちてきていることは確か。プライバシー意識やシングル化などが要因となっていると思う。
北欧諸国は、政府がそれなりに社会保障その他の支えをしっかりやってくれていることへの信頼だと思うが、レジスターベースができていて、国勢調査も5年に一度やらずに、い つでも数字が出てくるという形になっている。そういう方向は調査環境の悪化から来ているのかと思う。
桜井委員
アメリカで調査の協力度が高いということは、調査者と被調査者との関係が対等であるというような考え方が大分浸透しているのではないかと思う。調査票を設計するときに、被 調査者と思われる方たちの意見を十分入れていく。そこで調査者と被調査者の対等性のようなものを担保するような何か仕組みが作られているのではないか。
伊藤(陽)委員
日本と比較するとアメリカのあらゆる統計に関して、他分野から意見を聴くというチャンネルは非常に多様である。アメリカの方が広く意見を吸い上げる形は強いと受けとめてい る。
松下委員
統計結果を基に、自分たちの問題が解決された事例はアメリカの方が多いのか。また、日本では、統計を基にして、問題が解決に向かっているという統計の見方の教育が十分で はないのか。その辺りはどうか。
伊藤(陽)委員
日本では、小学校では社会科系統で教育されるが、中学から統計は確率、数理など数学の分野に転化する。私は、自分たちの生活と結びつく統計がどこにあるのか。統計を 作っている生産者がどういった苦労をしているかといった上で、統計が作られているのだということを教育の中でもしっかり示してほしいと思う。
最初の質問については、国会などの議論を見ていると、アメリカの場合は絶えず数字に基づいて議論をしている。統計に基づいて議論をしようという風土があるのではないかという 感触を受けている。
古橋会長
日本では統計の重要性について国民にPRをするところが、余りないのではないか。統計に対して国民がもっと親しむということについて、啓発する必要がある。
また、各省が持っている業務統計の中では非常に古く、必要性が薄れているのに惰性で継続しているものがある。スクラップ・アンド・ビルドをやらなければいけないと思うが、そ の調整をするところの力が弱い。
伊藤(陽)委員
総務省統計局が全体をうまく持っていくということが可能なのか。国際的に見ると、カナダの場合は、統計局がジェンダー統計をしっかりやっている。また、機会・均等部局との連 携もできている。
また、各国には女性の統計局長や中堅職員がたくさんおり、学会や国際会議に出て議論をリードしている。特にジェンダー統計は、女性のイニシアチブによるところが国連統計 部、その他機関を見ても目立つ。それに対して日本は、統計の分野は学問分野でも統計の教員というのは非常に少ないということを含めて、総務省統計局の幹部における女性の 割合というのは重要な指標だと思う。
坂東局長
統計局の中堅職員には女性が多い。数学のI種職員が女性は少ないが、II種などで、数学、統計の専門家をしっかり育てなければいけない。
庄司委員
調査設計への参加システムについて、非常に進んでいる国などに学ぶことができるのかどうか。また、データへのアクセスの観点から、利用者が独自の解析・加工ができるよう にデータが出されているのかどうか、日本ではうまくいっていないので、そういうことが進んでいる国がもしあるとしたらどこなのか、情報があったら教えて欲しい。
伊藤(陽)委員
イギリスの例では、政府統計家が統計関係の市民運動のリーダーや研究者、統計に関心を持っているグループとジェンダー統計の利用者会議といったものを頻繁に開いて意見 を交換しているというのはある。
庄司委員
最近は調査結果がウエブサイトで見られるが、もっと自分でいろいろな加工などができればと思う。
伊藤(陽)委員
調査した原データを提供する方法と、一般の方たちのためには、適切な指標として加工して出すという方法と、どちらでいくべきかという議論はずっと続いている。研究者は押しな べて詳細な統計で、独自の分析をやりたいという需要を相当持っている。
また、個人の秘匿性の問題を除去して、情報がいくらか薄くなった個票を使うというのと、余り薄くしてない詳しいデータについては、誓約書を書いて、センサス局内部で使うなど、 個票にさかのぼって使っても良いという方法が先進国では進展している。