(参考資料) 仕事と子育て両立支援策に関する意見募集結果
Ⅰ はじめに
少子高齢化の進展等、我が国の社会経済情勢が急速に変化していく状況にかんがみ、女性も男性も、家庭生活における活動とその他の活動を両立させ、安心して子育てができる社会を築くことが、二十一世紀の日本の新生を可能ならしめる緊急の政策課題となっている。
仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会は、このような考えの下、男女共同参画会議における緊急の取り組みとして、「仕事と子育ての両立支援策」に関して、今後重点的に取り組むべき点や配慮すべき点の検討を行い、この問題に対して、会議として「緊急性、有効性、具体性、象徴性」を備えた処方箋を作ることを目的として設置されたものである。
本専門調査会は、2月5日に第1回会合を開催し、以来、4回の調査会及び委員による長時間の意見交換会を開催し、関係省庁、保育関係者、企業関係者からのヒアリングを行うとともに、国民からの幅広い意見募集を行うなど、精力的に検討を進めてきたところである。
この検討状況報告は、専門調査会の検討状況を中間的に男女共同参画会議に報告するため、これまでの広範な議論について主要な論点別に整理を行ったものである。
今後、今回の検討状況報告に対する男女共同参画会議議員の御意見等も参考にしながらさらに検討を進め、早急に最終報告をとりまとめることとしたい。
- 第1回 平成13年2月5日(月)
- 政府における仕事と子育ての両立支援策について
内閣府、厚生労働省からのヒアリング - 自由討議
- 政府における仕事と子育ての両立支援策について
- 意見交換会 平成13年2月24日(土)
- 自由討議
- 第2回 平成13年2月27日(火)
- 仕事と子育ての両立支援に関するヒアリング
保育関係者からのヒアリング - 自由討議
- 仕事と子育ての両立支援に関するヒアリング
- 第3回 平成13年3月16日(金)
- 仕事と子育ての両立支援に関するヒアリング
企業関係者からのヒアリング - 検討状況報告に関する議論
- 仕事と子育ての両立支援に関するヒアリング
- 第4回 平成13年3月26日(月)
- 検討状況報告(案)について
- 企業・働き方に関する議論
- (1) 企業の姿勢の改善
- (2) 勤務時間、勤務体系の多様化
- (3) 育児休業制度の充実
- (4) 労働者の意識改善
- 保育に関する議論
- (1) 保育の受け入れの増
- (2) 保育の利用を柔軟に
- (3) 保育の質の向上
- (4) 公設民営型保育所の普及
- (5) 保育ママ(ベビーシッター)への支援
- (6) 学童保育、放課後対策
- (7) その他
- 地域社会に関する議論
- (1) 親への支援、教育
- (2) 地域における街づくり
- その他
- (1) 専門調査会の進め方
- (2) 提言の方向性について
- (3) 両立支援に関する基本的な考え方
- 企業・働き方に関する議論
- (1) 企業の姿勢の改善
- 男女共同参画審議会でつくってきたものが、なかなか労働界や会社の仕事の在り方に届いていない。
- ファミリーフレンドリー企業への税制優遇措置の検討。
- 両立支援に積極的な企業が業績がいいことをデータとして示せないか。
- 制度は整っていてもリストラとの関係等実際の取得環境は厳しい。
- 両立する社員は21世紀を支える人材を育てる親だとの発想に立つべき。
- (2) 勤務時間、勤務体系の多様化
- 日本的雇用慣行(勤続年功賃金、雇用保障)のシステム自体が、女性が働くことと完全に矛盾しており、慣行を保護する制度の改革が必要。
- 人事制度を複線にしていくべき。手をつけた企業に対して優遇措置を。
- コース別人事の多様化
- 派遣労働者やパートタイマー、あるいは一度退職した人が正規労働者になりやすいような、多様で弾力的な働き方の実現。
- 派遣、パート労働者への対応
- 短時間勤務の制度化(育児休暇の未取得分振り替え等)
- (3) 育児休業制度の充実
- 男性に1年間に12日間の育児休業を義務付け。
- パパクォータ制、段階的育児就業、育児休暇の貯蓄・引出し制。
(日本の男性サラリーマンは現実には取得しないとの意見もある。) - 派遣労働者やパートタイマーにも育児休業法を適用する
- 両親が同時に育児休業を取れるようにする
- 男性の出産休暇制度の導入
- 病児休暇制度の導入
- (4) 労働者の意識改善
- 男性社員が実際に育児を経験し、積み重ねにより職場の雰囲気を変える。
- 学生時代から社会人にかけて人生設計やサービスの選択等のライフプラン教育をし、手段の情報をも提供することが重要。
- 両立した結果企業に残った女性が人材として活躍できることが必要。
- 両立は自立した個人の生き方の問題。キャリアプランやライフプランを指導、相談できる人が必要。
- (1) 企業の姿勢の改善
- 保育に関する議論
- (1) 保育の受け入れの増
- 公立保育園の拡充が必要。
- 新規設置の際、既存の保育所との競合のため市町村の認可が下りない。ノンアクションレターの導入により、公正明大な行政プロセスを確保すべき。
- 官庁等の公的施設が施設内保育所を作る。
- 企業内保育所の設置。
(需要については疑問との意見もある。) - 都心等のオフィスビルを週末の保育所として一部開放する。
- 空きのある保育園への送迎サービス提供。
- 潜在的な待機児童も考えて対策を考えるべき。(実態調査の実施)
- 専業主婦でも子供を預けられるようにする。
- (2) 保育の利用を柔軟に
- 公立保育園を強化しつつ、新設の公立保育園では、夜間保育など、多面的なサービスを民間と協力してやっていく。
- 公立保育園の良さを知り、認め、拡大しながら、その施設を使って民間が夜間や休日を引き継ぐなど、両者のいいところが強調されればいい。
- 働き方による順序づけで公立保育園への入園が決まるシステムは問題。
- 公立保育所は、基本的に民営化すべき。民間でできることを政府がやるのが最大の問題。
- 基本的に自治体はサービスをよくしようとするインセンティブが働く構造になっていない。
- 病児保育で保育所の活用ができないのは、児童福祉法にそのように規定されているため。
- 病気の子どもを小児科医や病院で、1~2日臨時に預かってもらえる制度。
- 保育時間の延長、育児休業取得との関係改善、入所期間のフレキシブル化、緊急時の対策、失業中の利用、能力開発のための利用など。
- 駅を中継地(保育所分室等)として、駅からシャトルで往復可能なサテライト保育所を設置。サテライト保育所にレストランを備える。
- (3) 保育の質の向上
- 保育園110 番など、相談を受け解決する機関の設置。
- 子育てを担当する保育士の資質向上に必要な研修制度など。
- 政府は監視員として、民間保育所の監査など、警察に近い機能を持つべき。
- (4) 公設民営型保育所の普及
- 施設とサービスは基本的に分けるべき。公立保育園の運営を民間に委託すれば、利用サービス者の排除により質が担保できる。
- 公立保育所の営業終了後、民間が引き継いで経営することができないか。
- 大都市・周辺部では施設は公が用意し、運営費を補助する形で民間が経営する形式の普及が望ましいのではないか。
- 情報公開及びサービス水準のチェックを十分に行わせることにより、運営の質を確保することが必要。
- 企業に補助金を出すよりも、公立以外を選ばざるを得なかった個人に経費が還元される仕組みをつくるべき。
- (5) 保育ママ(ベビーシッター)への支援
- 危険負担を公的にサポートするしくみが必要。
- (6) 学童保育、放課後対策
- すべての学校に学童自習室を設置。
(大都市周辺でのみ行うべきとの意見もある。) - 学童保育が保育園より短いことは不満。すぐ7時に改善できるのでは。
- 経営は市町村が民間に委託することも検討。
(公的な責任を持たせるような仕組みが必要との意見もある。) - 教員OBの再雇用、学生と生徒がボランティア(奉仕)として参加、等。
- すべての学校に学童自習室を設置。
- (7) その他
- 保育料の税制控除が必要
- 公立保育所に関して、公務員の給与が高コストにつながるというが、主として女性が雇用される場の賃金についてのみ厳しい議論があるということに、ジェンダーギャップを感じる。
- (1) 保育の受け入れの増
- 地域社会に関する議論
- (1) 親への支援、教育
- 親の教育が必要。(親が子どものことを知らない。)
- 奉仕体験により学生・生徒が子供に触れる機会をつくることも重要。
- 過剰な情報が母親を追い詰める原因となるケースがある。(3歳児神話等)
- 両親学級が平日の昼間で参加できない場合がある。(働く親に配慮すべき)
- 働く母親が参加しやすい学校運営をすべき。
- (2) 地域における街づくり
- 職住近接を街づくりの基本戦略とし、地域に保育所をビルトインする。
- ポストベッドタウン→キッズタウンと呼称してはどうか。
- 21世紀の子育て風景として4世代同居社会のイメージを描いてはどうか。
- (1) 親への支援、教育
- その他
- (1) 専門調査会の進め方
- 各委員で意見がかなりあるようなので、一度、時間をかけた議論ができる場を設けてはどうか。
- 日本の問題を考えるときに世界の子どもたち及び女性たちの問題にもつながる視点を入れることができれば、若い世代にとっても説得的ではないか。
- 政府関係者が自己批判をし、どこが悪いのかという情報提供を望む。
- 政府のいろいろな提言がなぜうまくいっていないのかを整理するべき。
- 短期、中期、長期/制度、意識のように、いくつかに分けて考えるべき。
- 利害関係者のコンセンサスではだめ。この場は自分の組織の利害とは無関係に話せるので、思い切った提言をしていきたい。
- (2) 提言の方向性について
- 具体的で、緊急にできて、そして有効で象徴性のあるものを1つでも2つでも提言できればよい。
- みんなの価値観を少しずつ変えられるような施策ができればよい。
- 短期決戦で提言をしていく以上は、目に見える、しかもわかりやすい、実現してよかったと思ってもらえる、そういうものに焦点を当てていければいいのではないか。
- 目に見えるような形の極めて具体的な、これでこれだけ助かるということがわかるということが必要ではないか。
- 企業や人事制度についてのコメントを外部へ発信するときには、もっと専門的な用語を並べる等しておかないと、企業は動いてくれない。
- 今、両立に直面している人たちに具体的な変化を体験させることができれば、非常に具体的に満足度が上がる。
- 要請するポイントを絞り、男女共同参画会議で大臣に意見ができるようにまとめていきたい。
- 敵はだれかということが重要。だれが少子化対策や男女共同参画を妨げているのかということを明確にする。
- 意識を高めるだけでなく、実際に行動が起こらないと変化は感じられない。
- (3) 両立支援に関する基本的な考え方
- 女性の人生にとっても、社会にとっても、女性と男性が仕事と子育てを両立していくことは、最重要課題の一つ。
- 経済学と男女共同参画や少子化対策は水と油の関係という考え方は明らかに間違っている。仕事と子育てを両立させていくことは、経済的にも、社会的にも多方面に大きな効果がある。
- 児童虐待の理由の1つに、自分の夢をあきらめたための子どもに対する過剰期待がある。両立支援の徹底で虐待の潜在的な危険性をかなり緩和できるのでは。
- 一度きりの人生において、生き方を自由に選択でき、どのような選択でも、社会に、子供を産み育てることを支える機能が備わっていることが必要。
- 日本は優秀な人材に子育てをさせようという気があるのかどうか。
- フルタイムで仕事をしていると両立ができないという現状を克服しなければならない。
- 個人が多様な働き方を効率的に行えるより良い社会をつくっていくことで、少子化も自然と抑制されるのではないか。
- 政府がやるべき仕事は、民間が仕事をしやすいような規制の緩和や改革。目に見える規制の緩和を行い、民間で自己責任で自分の選択が自由に実現できる社会をつくるために、シンボリックで効果的な施策ができればと考える。
- 女性が子育てをしながら仕事ができるようなインフラ整備が必要。
- モデル事業等が実現できるように、総理のリーダーシップで予算上の特別枠を配慮してもらえないか。
- 施策や計画に英語名を使う必要はない。誰でもわかる言葉にして、子育てと仕事の両立は必ず大丈夫になるという決意を持つことが重要。
- 政府はこのところ急ピッチで問題意識も非常に鋭く持っている感じがする。そのペースで内閣府が押していけば相当いいことが進むのではないか。
- 自治体の達成度情報、例えば待機児童の解消数や延長保育の実施にかかった期間などを公表し、評価が悪いことは恥ずかしいとの認識を持たせるべき。
- 社会の意識の変革をどうするか。男性の子育て、母親の知識や未熟さ、家庭のしつけや教育など、意識の問題は政府の仕事。
- 待機児童半減(ゼロ)政策を行い、達成できないところを公表する。
- 企業を変えていかなければならない。
- 根本対策として男女共同参画の教育を進めていくことが大事。
- 既に実行されている両立支援策の宣伝、浸透を図るべき。
- 職場が変わらなければ両立はできない。
- 共働きも専業主婦も安心できる育児学、家庭教育学を立ち上げるべき。
- (1) 専門調査会の進め方
呼びかけ
- 職場が変われば両立できる
- 待機児童ゼロ作戦
- 多様で良質な保育サービスを
- 必要な地域すべてに学童保育を
- 地域こぞって子育てを