男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年2月8日(月) 15:00~16:45
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(開催要領)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    石川 哲也 神戸大学大学院教授
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    勝間 和代 経済評論家・公認会計士
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    清原 桂子 兵庫県理事
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学准教授
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    林 陽子 弁護士
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    山田 昌弘 中央大学教授

(議事次第)

  1. 自由討議

(配布資料)

資料1
第3次男女共同参画基本計画の考え方(案) [PDF形式:342KB] 別ウインドウで開きます
資料2
基本問題・計画専門調査会(第53回)自由討議における主なご意見 [PDF形式:95KB] 別ウインドウで開きます
資料3
今後のスケジュール(案) [PDF形式:95KB] 別ウインドウで開きます

(議事の概要)

第3次男女共同参画基本計画の考え方(案)について、事務局より説明があり、その後、自由討議を行った。

○自由討議

【Ⅱ社会情勢の変化についての現状認識】

  • 「デフレの継続」というより、経済の低迷の継続ではないのか。また、「不安定雇用者の増加」だけではなく、「失業者の増加」も言うべきではないか。「企業の国際展開」と挙げるだけではなく、国際競争に勝つためには、教育や女性の社会参画が重要であることも強調すべき。
  • Ⅱには、男女共同参画が進まなかった結果によるものも入っていると思うので、Ⅱ、Ⅲの関連について書き方を工夫すべき。
  • 「経済の低迷」のところに、地域経済の低迷、疲弊を入れてほしい。プロフェッショナルな女性がみんな東京に出てしまい一極集中になっている。
  • 「中国等のキャッチアップによる国際的なプレゼンスの低下」とあるが、女性の起業や参画が進んでいる第3次産業への転換が遅れているために、女性が活躍できない現状がある。「産業構造の転換の遅れによる国際的なプレゼンスの低下」とするべきではないか。
  • 理念や社会情勢についての認識自体には異存はないが、"女性の参画が不十分だったので、経済が低迷してきた"というような書き方にした方が強力なメッセージになるのではないかと考える。
  • 女性の参画との因果関係を示せるか、また示すことが適当かどうかは考えていく必要がある。
  • 参考2「第3次基本計画の重点事項の考え方について」の現状部分に書いてあることについても総論部分に記載すべき。

【Ⅲ基本的考え方:全般】

  • 「Ⅱ現状認識」ではリアルなことが記述されているが、「Ⅲ基本的な考え方」は従来から言われてきているようなことに落ち着いており、共感が薄れてしまうのではないか。Ⅲの記述はもう少し精鋭化できないか

【Ⅲ基本的考え方:1基本的考え方】

  • 右端の柱について、地域の視点が必要であり、「すべての人が」というところを「すべての地域のすべての人が」としてほしい。
  • 右端の柱について、「安心・安全」よりも安全があってこそ安心できるので、「安全・安心」にすべき。「雇用・セーフティネット」は雇用のセーフティネットだけでなく、虐待の問題や、周産期医療などで命を落とすことがないように、生活保護はもちろん、いろいろな意味でのセーフティネットを想定すべき。
  • 右端の柱について、「男女共同参画の視点を重視した」というだけでなく性差に応じたという考え方についても入れて欲しい。
  • 「国際的な規範・基準の取り入れなど国際的な協調を図る」に、ODA、防災など国際社会への貢献についても入れてもいいのではないか。
  • 柱の下欄の「・実効性あるものとするため、できる限り具体的な数値目標を設定し、…」の部分には、数値目標とともに、CEDAWの最終見解でも言われているように時間的なフレーム、タイムスケジュールについても入れてほしい。

【Ⅲ基本的考え方:2新たな視点】

  • [3]、[4]で子どもと生活困難を抱える人々だけを特出しするのがいいのかどうか。外国人や難民の女性、性的マイノリティなど複合的な差別を受けている人についても触れるべきではないか。

【Ⅲ基本的考え方:3喫緊の課題】

  • 人々の暮らしが重要であるという指摘をふまえると、ここに暮らし自体が危ぶまれている状況があることについても入れてもよいのではないか。
  • 「[2]の実効性あるポジティブアクションの推進」は企業もだいぶ進みつつあるが、そもそも土俵にのってくる女性がまだ少ない。幅広い選択が女性にも可能となるよう、理系の女性が増えていくようにすべきであり、そのためにも女性の長期ビジョンにおける教育の重要性について書くべきではないか。
  • 教育の問題は全体に関わることではあるが、どこかに記述すべき。
  • 「[3]女性に対する暴力の根絶」は、女性だけでよいのか。児童虐待、高齢者虐待、男性に対する暴力もあるのではないか。

【Ⅲ基本的考え方とIV重点分野との関連性】

  • 基本法10周年の総括、2次計画の総括及び課題についての記述がないとIVの重点分野につながっていかないのではないか。また、どういう理由でそれぞれの重点分野を設定したのかがわかるようにするべき。
  • 分野の間の関連性をどうつけていくのかを考えていくべき。IVの[6]と[7]はなかなか切り離せない問題であり、また、[2]社会制度・慣行、[3]雇用、[4]農山漁村と[5]ワーク・ライフ・バランスは結局[2]に集約される問題であるように思う。分野を越えて重複している問題について考える必要がある。
  • IVの重点分野は、できる限りⅢと関連付けて整理してはどうか。
  • Ⅲ2「新たな視点」や3「喫緊の課題」は、IVの14の分野それぞれに入り混じっているため、新たな視点や喫緊の課題ごとに分野を分けるのは困難。
  • Ⅲ2の新たな視点で設定している項目は、状況としては新たな問題ではない。今回特出しするのは、"いまさら"という感じがするので、Ⅲの2[2]~[4]は、まとめて「個人(生活者)の視点」に変えた方がいいのではないか。
  • Ⅲ2の「新たな視点」と、IVの[13]の「新たな視点による男女共同参画の推進」は、同じ表現を使っているためわかりにくい。
  • 男性も変わる必要があること、生活困難は喫緊の課題であることなどから、ダブり感はあっても、Ⅲ2の新たな視点や3の喫緊の課題は、資料案が適当ではないか。
  • 内容を整理して、いろいろな人が理解しやすい内容にすべき。
  • Ⅲ2、3は、いわゆる重点事項であり、IVはこの重点事項に関連する分野がいろいろと設定されている。Ⅲ2とIVの[13]で同じ表現を使っていても強調する意味合いでいいのではないか。

【IV分野:全般】

  • IVの重点分野は、大まかにいえば次のように区分できると思う。[1]~[5]は政策、制度や意識に関わるもの、[6]~[8]は、一定の対象に着目したもの、[9]、[10]は男女共同参画社会を実現するための方向性や手段を示したもの、[11]~[13]は[6]~[8]と同様、一定の対象に着目した新たな切り口、[14]で国際的視点を設定している。
  • 基本計画の分野の枠組みは、北京行動綱領が基になっており、外国人にも分かりやすい枠組みというのは重要。とりわけ、女性に対する暴力対策というのは重要で、[7]「女性に対するあらゆる暴力の根絶」は単独で残して欲しい。
  • 分野間で、男性や高齢者など対象とする主体が入り組んでいるから、対象とする主体に着目したものを一つの分野にまとめて設定してはどうか。
  • 分野の設定内容が、目的と手段が混在している感じがする。例えば[5]「生活と仕事と子育ての調和」は目的であり、その手段として[1]や[3]があると思う。また、各分野に出てくる男性に関連する問題について、[13]との書き分けの工夫が必要。

【IV分野:地域関連】

  • 重点分野について、「[12]地域における男女共同参画の推進」の( )の中が、「地域おこし・まちづくり・観光」となっているが、日々の暮らしそのものに男女共同参画を入れていくべきではないか。防犯や生活の援助、自立についてなど、「暮らし」という項目が1番最初に入っていた方がよいのではないか。
  • 経済の活性化という点では、「地域おこし・まちづくり、観光」も重要であり、それを暮らしという項目と一緒に括れるのかどうか。
  • 地域と言うと経済も大切だが、やはり暮らし、生活が重要。暮らしや生活という項目がひとつ立ってもよいのではないか。

【IV分野:男性関連】

  • 「男性」だけで、1つの分野を設定してもいいのではないか。20代、30代の男性の変化をみていると、このタイミングに特出ししなければ、時宜を逸してしまう。
  • 今まで男性に対する取組は弱かったため、「男性にとっての男女共同参画の推進」で1つの分野を設定してはどうか。また、[6]の高齢者・障害者と[13]の子ども、生活困難、外国人を、多様な視点による男女共同参画の推進ということで1つの分野として設定してはどうか。
  • 男性は全ての分野に関わる事項であるため、分野として「男性」を新たに設定するのはなじまないのではないか。
  • 子どもや高齢者、障害者、生活困難などは、誰もが経験したり、そういう状況になる可能性があるか?男女の区別は通常は固定されたものなので、男性は1つの別の分野として設定してはいかがか。
  • [2]の課題は、未だに"女性の問題"として社会一般に認識されている点。男女両方に関わる問題として、男女共同参画は男性の問題でもある点を明確に示すべき。

【IV分野:2分野 意識改革】

  • [2]は社会制度や雇用慣行だけにして、[2]の「意識の改革」を[9]の「メディア」と一緒にしてはどうか。

【IV分野:5分野 生活と仕事と子育ての調和】

  • 子育てや介護は、ワーク・ライフ・バランスの大きな課題であるにも関わらず、[5]に「子育て」だけ新たに入れるべきではない。
  • 独身者や子どもを持たない選択をする女性についても考慮すべき。

(以上)