- 日時: 平成15年2月24日(月) 13:30~16:00
- 場所: 内閣府3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
- 委員
- 伊藤 公雄 大阪大学教授
- 同
- 北村 節子 読売新聞社調査研究本部主任研究員
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 高橋 和之 東京大学教授
- 同
- 寺尾 美子 東京大学教授
- 同
- 樋口 恵子 東京家政大学教授
- 同
- 古橋 源六郎 (財)ソルトサイエンス研究財団理事長
- 同
- 山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
(議事次第)
- 開会
- 「女性のチャレンジ支援について」(最終報告素案)
- 閉会
(配布資料)
(概要)
外務省国際機関人事センターから「国際分野における女性のチャレンジ支援策」について、事務局から「女性のチャレンジ支援」(最終報告素案)について説明が行われた後、自由討議が行われた。
1.国際分野における女性のチャレンジ支援策について
- 岩男会長
- どのような経験を積んでおくことが将来国際機関で働こうとするときに採用されやすいのか、活躍するチャンスが多いのか。
- 伊藤所長
- ロールモデルであった緒方貞子さんの影響か、人道援助、開発援助の分野で働くことを希望する若い人が多いのは事実。その意味では、国際法や国際関係論など一般的なところから始まって、国連のそれぞれのサブスタンスについてそれぞれの機関が必要としている分野があるわけである。あとは、皆さん官房系はどこに行っても使える。
- 伊藤委員
- P2、P3のところには割と女性が多い。これは、いろいろな理由で離れていく女性が多いということなのか、あるいは大きな流れとして国連職員が減少する中で女性の職員は増えつつあると考えるべきなのか。
- 伊藤所長
- 後者である。女性の職員が増えつつある。
- 樋口委員
- 私は国連の職員、特に女性職員というと忘れられないエピソードが2年少し前にある。森総理(当時)がニューヨークを訪問した際、日本人の女性国連職員に集まってもらったら、独身者は別として、既婚者は2人ではなく3人以上の子どもを持っている。日本の職場ではちょっと考えられない。女性職員の仕事と家庭の両立に関して国連職員全体の状況はどうか。
- 伊藤所長
- 職場で完全に男女平等という以外に育児休暇等もきっちりしている、子育てのためにもいろいろな制度があるなど、待遇としては大変よいという話は国連職員から聞いている。それから、子どもについても教育手当というものがある。
- 北村委員
- 国連の費用のかなりの部分が人権費に充てられていて、拠出金が有効に使われていないのではないかという国連批判もある。その辺のすりあわせについて関係者は何か腐心されているのか。
- 伊藤所長
- 国連事務局の分担金の大部分は確かに人件費に充てられている。今、人件費に対する批判があるのでポストをどんどん減らしているのが現状で、その中で日本人女性は増えている話を先ほどした。
- 伊藤委員
- NGO関連とかさまざまな国際活動における日本人女性の動きは、数字等でなかなか把握し難いかもしれないが、どのような感じで捉えているのか。
- 伊藤所長
- NGO活動をしている人の中には国連を目指す人もおり、NGO活動から国連に入ることは時々ある。我々の印象では、国連にかかわるNGOでは女性が結構活躍しており、そうした女性の方々に何とか国連に入ってもらいたいと声掛けをしているのが現状。
- 松田委員
- 日本の場合には、優秀な女性が日本で受け入れられないことが国際機関での進出につながっている、いわば逆比例関係にあると思う。先ほど日本人男性の職員の中途退職者が多いと伺ったが、恐らく日本企業や機関に転職していくのだと思う。女性の場合、同様なケースはそれほどないのか。
- 伊藤所長
- そういったケースはほとんどない。
- 松田委員
- 日本に置かれている国連関係機関は余りなくて国連大学くらいだが、その有利さはないのか。
- 伊藤所長
- 国連大学は男女比のジェンダーバランスが悪い方の中の1つで、国連大学が日本にあるメリットは余りない。
- 古橋委員
- 国際機関における能力評価はどのようになっているのか。
- 伊藤所長
- 国連における能力評価は、上司とその能力評価を受ける人が最後まで合意しないとその数字を出せない。
- 住田委員
- 望ましいジェンダーバランスという言葉が出たが、どの程度だと思われるか。
- 伊藤所長
- 望ましいジェンダーバランスという概念は国連ではないが、あえて言えば職員数の半分ということではないだろうか。
2.「女性のチャレンジ支援について」(最終報告素案)について
- 松田委員
- 最終報告案なので、終わりに何かもう一つパンチの効いたものがあっていいのではないか。
- 高橋委員
- 「身近に感じられるチャレンジ支援の必要性」について、もう少し具体的なイメージが湧くような仕方でできないか。
- 古橋委員
- 男女共同参画がわからない人たちが大勢いる中で、男女共同参画を推進するためにはいい事例を示すことがやはり一番説得しやすい。しかし、いい事例はばらばらになっていて、誰もなかなか集めてきてそれを言えないシステムになっているから、それらを集めて公表することが一番有効である。あそこでもしているから我々もこうやろうということで、チャレンジをする意欲が湧くときの基盤整備となる。そういうことが日本の現状から見て一番必要なのではないか。
- 山口委員
- 「横」へのチャレンジはネットワークだと思うしそれはいいが、どうも「上」へのチャレンジと書くと抵抗がある。職域拡大とか職位向上とか、そういうことではないかと思う。
- 北村委員
- わかりやすいと言えばわかりやすい。ただし、その価値観をどう読むかは人によって異なる気はするが、大方の人がイメージするものは何となくコンセンサスがあるような気がする。
- 樋口委員
- 身近なチャレンジ支援について、この時期に内閣府でチャレンジ大賞をつくるよう提案する。
- 住田委員
- ポジティブ・アクションの関係で、柱の大きなものにすることについて賛成する。ただし、そのためのいろいろな問題点があると思う。理解を得るためには、世界の中での低い日本女性の活躍状況について、やはりもう少し書き込んでほしい。
- 古橋委員
- 国家公務員に係るドイツの例として、立法措置に基づいて女性のゴール・アンド・タイムテーブル方式をとることが義務づけられている。同様に、全体としてそういうゴール・アンド・タイムテーブル方式を採用できないか。
- 岩男会長
- 「国際分野におけるチャレンジ支援」の国際公務員のところも、やはり女性が既に相当活躍していて、それにより日本のイメージが随分改善されている事実もあるので、非常に活躍していることを書いた方がいいのではないか。
- 住田委員
- 「男女共同参画社会の実現」について、ここに是非「家庭生活の充実」とか、そういう趣旨を一言入れておいてほしい。
- 岩男会長
- 少し修正をするところもあったが、全体構成としては基本的には一応このような形でということで、本文とアピールは別にする、それから参考資料として個別分野における現状分析及びデータ等資料を添付する形にする。それから、先ほどの柱については御確認をいただく。それから、その他いろいろ御意見があったことを織り込んでいただく。
(以上)