男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年3月25日(火) 15:00~18:00
  • 場所: 中央合同庁舎4号館108会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    岩井 宜子 専修大学大学院教授・副院長
    大熊 由紀子 国際医療福祉大学大学院教授
    岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学准教授
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    林 陽子 弁護士

(議事次第)

  1. 起草ワーキンググループからの報告
  2. 自由討議

(配布資料)

資料1
第1分野 「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」 [PDF形式:201KB] 別ウインドウで開きます
資料2
第2分野 「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」 [PDF形式:140KB] 別ウインドウで開きます
資料3
第3分野 「男性、子どもにとっての男女共同参画」 [PDF形式129KB] 別ウインドウで開きます
資料4
第4分野 「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」 [PDF形式:203KB] 別ウインドウで開きます
資料5
第5分野 「男女の仕事と生活の調和」 [PDF形式:184KB]別ウインドウで開きます
資料6
第6分野 「活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の推進」 [PDF形式:160KB] 別ウインドウで開きます
資料7
第7分野 「高齢者、障がい者、外国人など様々な困難を抱える人々が安心して暮らせる環境の整備」 [PDF形式:127KB]別ウインドウで開きます
資料8
第8分野 「女性に対するあらゆる暴力の根絶」 [PDF形式:225KB] 別ウインドウで開きます
資料9
第9分野 「生涯を通じた女性の健康支援」 [PDF形式:142KB] 別ウインドウで開きます
資料10
第10分野 「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」 [PDF形式:191KB] 別ウインドウで開きます
資料11
第11分野 「科学技術・学術分野における男女共同参画」 [PDF形式:167KB]別ウインドウで開きます
資料12
第12分野 「メディアにおける男女共同参画の推進」 [PDF形式:103KB] 別ウインドウで開きます
資料13
第13分野 「地域における男女共同参画の推進」 [PDF形式:172KB] 別ウインドウで開きます
資料14
第14分野 「国際社会の「平等・開発・平和」への貢献」 [PDF形式:120KB] 別ウインドウで開きます
資料15
推進体制 [PDF形式:117KB] 別ウインドウで開きます
資料16
第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的考え方骨子案 [PDF形式:143KB]別ウインドウで開きます
資料17
第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての公聴会の開催について [PDF形式:447KB] 別ウインドウで開きます
羽入会長
それでは、ただいまから第58回基本問題・計画専門調査会を始めさせていただきます。年度末のお忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 今日の全体の流れといたしましては、まず、前回報告をされていない分野の報告、そして、既に御報告をいただいている分野の御報告、それから、前々回の調査会で議論いただきました総論部分について、大きく3つに分けて議論をしていきたいと思います。次回が3月31日で、これでほぼ最終的な報告をまとめていきたいと思っておりますので、お気づきの点はどうぞおっしゃってください。
 まず、前回、未報告分野の3、5、6、7、8の分野について御報告いただき、議論をするという形にいたします。
 ワーキンググループで非常にタイトな時間の中で議論をしていき、作成していただいておりますけれども、まず、3分野について鹿嶋先生から簡単に御報告をいただきます。よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長代理
3分野について報告します。今日は伊藤委員と一緒に分担する予定だったんですが、欠席なので、私が説明します。
 「男性、子どもにとっての男女共同参画」ですが、ここでまず変わったことは、最初は「男性・子どもにとって」だったんですが、「・(なかぐろ)」ですと「男・子ども」だというような批判もあったようで、「男性と子ども」を「・(なかぐろ)」をやめて「、」にしました。これはささいなことですが、重要なことかもしれないということもあって、この議論は大変おもしろかったです。
 男性のこれまでの効果がまずⅠに。1が効果で、2がその進まなかった理由です。効果につきましては、男女共同参画社会の意義とか責任については、今までもずっとやってきたわけです。ただ、それが十分に浸透しなかったということで、基本法執行後10年たった後の積み残しとして大きな課題であるということの認識、これは十分持っているわけです。
 なぜ進まなかったのかというのは、2番目の(1)に書きましたように、男女共同参画自体が女性の問題、あるいは男女間の非常にささいな問題だというふうなことで、それが日本の将来にとって大きな意味・意義があるんだというところまでの認識が及ばなかったという辺りにあるのではないかということ。と同時に、女性に比較しますと、男性の方に固定的な性別役割分担意識が非常に強いということがございます。その辺りは(2)に入っています。
 今後の目標ですけれども、Ⅱですが、男女共同参画社会の形成が矮小化した問題にとどまらずに、これからの日本にとって大変重要なものであるということを男性に認識してもらうことが大事だと思います。と同時に、まだまだ男性自身も家計の担い手という位置づけが強いわけです。それが例えば男性の未婚化の1つの原因になっているのかもしれません。それから、男性の自殺等との関連の有無などにも着目して、固定的性別役割分担意識からの脱却を図ることが男性にとっても幸せなことであろうということです。また、同時に、長時間労働等の是正によって、地域、家庭へのコミットをもう少し強めていくこともこれからは必要だと思っています。
 Ⅲ以降は、具体的な取組です。
 「男性にとっての男女共同参画」が2ページにかけて書いてあります。具体的な取組としては、固定的性別役割分担意識からの脱却に向けた意識啓発とか、男性にとっての男女共同参画の意義についての理解促進といったようなことが書いてありますが、私は個人的な認識ですが、今までこういうことを言うことすら男女共同参画・冬の時代には口幅ったい雰囲気すらあったんですが、これからはこれをオープンに率直に語って、男性の意識改革を図っていくことが大事なんだろうと思っています。特に企業社会などでは、固定的性別役割分担とか、男女共同参画と言っても「何、それ?」と言ったようなことで相手にもされないような雰囲気もなきにしもあらずでしたが、そうではないんだということを浸透させる。そのための意識啓発ですから、具体的にどういうふうにやるかというのは、これからいろいろ考えていく必要があると思いますが、それをまず①に書いておきました。
 それから、その②は、今言ったことの延長線です。
 [3]は、男性も様々な悩みがありますから、そういう相談体制の確立とともに、自殺者ですね。1998年以降、年間3万人強の自殺者を出しているわけですが、この自殺という問題についての対策も充実する必要があります。
 それから、暴力。男性の女性に対する暴力ですね。それについての予防・啓発等も、男性に教育していく必要があるという趣旨のことを書きこみました。
 男性自身の役割期待からのプレッシャー、そこから解き放たれる必要があること、さらには心身の健康の関連等、男性についての総合的な調査も今後必要であると思っています。
 「男性の家庭・地域への参画」が2の(1)が基本的な方向と書いてありますが、これはワーク・ライフ・バランスなどの絡みもございます。そういう中で、仕事と地域と家庭の調和・バランスを図っていくことが大事なのだと思っています。
 そこの(2)に書いてあることも、男性についての働き方ですが、そこに書いてあるのもひょっとしたら従来の延長線上であるということの印象があるかもしれませんが。ただ、認識していただきたいのは、男性を大きな柱立てとして特出したこと自体が、今回の第3次基本計画の特徴だと私は認識していますので、是非、そういうふうに積極的なことで出したんだということを御理解いただければというふうに思っています。
 「男・子ども」の子どもですけれども、なぜここで出してきているかというと、男女共同参画の問題は、子どものころからの教育が大事だと思っておりますので、その意味で、(2)の具体的な取組に書きましたが、子どものころから、男女共同参画の視点に立って、ライフコースを見通した総合的なキャリア教育を行うとか、その下の思春期の女性の健康を守る食に関する知識の普及とか、さらには、3ページへ行って、健康教育の推進、HIV薬物等の予防・啓発を行うといったようなことで、子どもに男女共同参画の意義を理解してもらうことと同時に、心身の健康というところについても強調したいと思っています。
 さらに、子どもを取り巻く環境は、必ずしも安全・安心できるようなものではありませんので、その具体的な取組としては、4の(2)の中に、子どもが健全に育つためのメディア・リテラシーの問題、暴力を伴わない人間関係の構築、児童ポルノ根絶といったようなことを書きました。また現在は生活困難の問題に直面しておりますので、子どもの貧困の連鎖を断ち切るための環境の整備についても、今後の大きな課題として書き込んであります。
 このように、「男性、子どもにとっての男女共同参画」は、今回の第3次基本計画の一つの大きな目玉商品であるという認識ですので、どうぞよろしくお願いします。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、続いて第5分野で、岡本委員にお願いいたします。
岡本委員
3回ほど前の専門調査会では御報告をさせていただいているかと思いますが、その後の変更点についてのみ簡単に御報告をさせていただきたいと思います。
 ほかの分野との関係で、文章上の表現として統一をしているというところは幾つかございます。
 まず、Ⅰの十分に進まなかった理由のところで、前回のところでは、長時間労働者の比率が少し減少しているというような書き方をしておりましたけれども、実際には、現在の経済状況の上に立っての減少ということもありますし、全体が変わってきたことによる減少というふうな見られ方は多分できないという意見があり、そこの文章については削除をしております。
 それから、2ページ目の「具体的な取組」のところです。ここで、前回1つなかったところですけれども、まず、[7]です。これは分科会の議論の中でも出ていましたが、生活の調和を推進しているところについては、積極的な評価をするべきではないかという議論がございましたので、そこについては、雇用の分野やポジティブ・アクションのところで書いてあるような表彰や公共調達、税制等において仕事と生活の調和に積極的に取り組んでいる企業を評価するインセンティブ付与の取組を進めるということを新たに書き加えてございます。
 それから、その前の[6]ですが、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表を促進するというところは、これは、その前の段階では、[5]と一緒に出していたんですが、特出しをしました。実際には2011年からは、101人以上の事業主も義務化されますけれども、なかなか公表というところでは、どこをきちんと見ればいいのかわからないところも、企業としても多いですから、そこのところをきちんとしていただくということで、この[6]を入れております。そのために、これまで[6]まであったものを[8]まで増やしています。
 それから、「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」のところで言えば、ここは大きくは変わっていないのですけれども、幼稚園のところについても、一時預りということなども進んでいるということがございましたので、そこについては書き加えをさせていただいております。
 大きな変更点、前回からの変更点は以上です。
 すみません。その前に、最初に戻っていただいて、これも大きいところですね。1ページ目の2の(3)ですが、ここで、これまでは、仕事と生活の調和が、企業には社会・経済の活性化に役立つという形で書いていたものを、企業の生産性向上という言い方に改めて入れて、企業にとって仕事と生活の調和に取り組むことは生産性向上につながっていくんだということを強調する意味で、ここに1文字入れさせていただいています。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございました。
 それでは、続けて6分野、鹿嶋会長代理にお願いいたします。
鹿嶋会長代理
農業分野についてお話をいたします。
 農業分野はかなりのボリュームだったのですが、全体の調整が必要でしたので、大分すっきりさせていただきました。農業分野は、Ⅰですけれども、これまでの施策ですが、農山漁村での女性の起業とか認定農業者数が増えてはいるのですが、まだまだ全体的に見れば、依然として低い水準にとどまっているのが現状です。「2020年30%」についての目標達成には相当な努力が必要だと思います。
 なぜ進まなかったのかということですが、それは2の(1)に書きましたが、農山漁村ですと、世代・地域によって依然として古い因習等が残っている。それによって社会の行動様式が強く規定され、固定的性別役割分担意識が残存していると考えています。さらには、地域自治会等の地縁的組織の変革がまだ十分に進展してないのではないかと。それが結局は、農山漁村における政策・方針決定過程への女性の参画を促進する上での障害になっているのではないかということです。
 (3)ですが、家族経営協定、それから、認定農業者の夫婦共同申請とか、農業者年金への女性の加入、女性の固定資産の形成といったような問題、これがまだまだ現場に十分浸透していないし、周知徹底が効果的にはなされていないと思っています。
 ですから、今後の目標としては、以上のようなことをどのようにして農山漁村に浸透させていくかが一番のポイントになってくると思います。
 Ⅲですが、そのための具体的な取組がそこから書いてありますので、2ページへ行ってください。まず具体的な取組として、農山漁村の意識改革ですね。それから、政策・方針決定過程への女性の参画を拡大する取組としてどうすればいいかということですが、その具体的な取組例は、例えば農山漁村に残っている固定的性別役割分担意識に基づく慣行・習慣の解消や、農山漁村の男女が、特に女性が「個」としての主体性を確保するための啓発活動、これも積極的に行っていく必要があるということ。農業委員の女性リーダーへの研修なども実施する。そして、そういうところでのリーダーになろうという気を農山漁村の女性たちに起こしてもらうことも必要だろうと思っています。[3]は、農業委員とか農協役員などへの女性の登用について、「2020年30%」に向けた具体的な目標の設定を働きかけることも大事だと思っています。数値目標の設定は、今回の第3次基本計画の一つの特徴でもありますので、そういう働きかけも大事だと思っています。さらには、農山漁村の男女共同参画の実態の把握・調査研究ですね。それも男女別データの把握に努める。この男女別データも、第3次基本計画で強調している点です。
 2番目に、「女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備」ですが、まず、その1つの取組としては、農業者における家族経営協定の締結数をもう少し伸ばす必要があるということです。家族経営協定についてはかなりメリットがあると思うんですが、全体の数から見れば、まだまだ締結数も少ないと思います。これをいかに進めるかが大事だと思っています。そして、できれば農業者のみならず林業者・漁業者にも家族経営協定の普及推進を図っていく方向に持っていきたいと思っておりますが、林業・漁業はなかなか難しいところもあります。例えば漁業などは、男性が1人で海に出てというように男女別の作業をしていますので、そういう中での家族経営協定は難しさもあるのかもしれません。それから、データの未整理のようなところもあるんだと思うんですが、できれば、その進展を図りたいと思っています。また、女性農業士や女性認定農業者、女性指導漁業士などを増やす取組も展開する。消費者ニーズへの対応など女性の農業への取組の支援も行いたい。それから、農作業事故における男女別データの蓄積、そして、実態把握、防止対策の強化なども行っていきたいということです。
 3ページですが、「女性が住みやすく活動しやすい環境づくり」として、女性が生産と生活の両面において過重な負担を負うことがないように、多様な取組を促進するということをまずポイントとして上げたいと思っています。具体的な取組例としては、生産と育児・介護の両立を支援するために、両立に配慮した家族経営協定の啓発普及を図るとか、子育てネットワークの活動や育児・介護にあたる女性農業者の支援を強化したりすることが大事だと思っています。その意味では、家族経営協定と同時に家族生活協定でといいますか、私の個人的な意見ですけれども、生活と仕事との両立ですから、そういう側面も家族経営協定の中で少し強めていった方がいいのではないかと思っています。また、地域内の「助け合い組織」の設置とか配食サービス、高齢女性への支援にも十分配慮した地域の防災組織の活動等を支援することも行っていきたいと思います。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございました。
 それでは、続けて第8分野、岩井委員お願いいたします。
岩井委員
第8分野は「女性に対するあらゆる暴力の根絶」です。
 少し長過ぎた部分を短くしたり、重点事項を強調するという、そういうふうな改訂を加えております。
 これまでの施策の効果と、暴力根絶が十分に進まなかった理由といたしまして、法制度・行政側の取組や体制整備等は一定程度進展しているけれども、やはり社会全般の認識は必ずしも向上していないということ。そして、性犯罪・性暴力については、誰にも相談できなかったケースや被害も多く、メディアにおける有害情報の氾濫など情報化の進展による新たな課題も発生しているというふうにまとめております。
 それから、進まなかった理由といたしまして、社会全般の認識を向上させるような啓発活動の効果が十分に上がっていないことと、法制度は行政側の取組も被害の救済に関して十分なものとはなっていないということ。それから、インターネットや携帯電話等の急速な普及によって新たな被害が次々に発生してきたということ。被害者の支援のための相互連携の在り方が、被害者のニーズに即したものとなっていないとともに、重大事件等の被害に対する十分な検証・分析がなされなかったということ。それから、被害者が経済的・社会的に自立することが困難であるという、そういうケースが多くなってきている。そういう点を上げております。
 今後の目標といたしまして、女性に対する暴力は、重大な人権侵害であり、その回復を図ることは国の責務であるとともに、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であるという、これは重大な人権侵害であるということをここで強調しております。後では、ここの項目は取り上げておりません。そして、インターネットや携帯電話の普及によって女性に対する暴力が多様化していっている状況なので、細かく対応する姿勢が不可欠になってきているということを上げております。
 それから、「施策の基本的方向と具体的な取組」ですけれども、1に暴力の根絶のための基盤づくりの項目におきましては、基盤づくりを進めるに当たって、一部メディアに氾濫する性・暴力表現というものが男女が平等でお互いの尊厳を重んじる対等な関係づくりを進める社会形成を大きく阻害するものであるということ。相談しやすい体制づくりというものを上げております。具体的な取組としまして、官民の連携でありますとか、電話相談・窓口などの相談サービスの向上。公共の場における女性をあからさまに性的な対象とする広告等を規制するための対策。広告規制と言うと、かなり批判が出てくるかと思いますので、表現の自由に配慮しつつ検討するんだというふうにしております。それから、官民双方向の支援・連携体制もさらに強化する。重大事件等の暴力被害に対する十分な検証を行って、重大な被害につながりやすい要因を分析して的確に対応する。そして、統計の取り方が、どうしても女性に対する暴力の実態を必ずしもはっきりあらわすような形でデータの取り方がなされていないということで、できれば、そういうはっきりとあらわせるようなデータの在り方を検討するということを上げております。
 2の「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進」といたしまして、相談体制の整備ということで、具体的な取組に被害者支援等に係るワンストップサービスの構築を推進するんだということ。被害者の実質的救済のために、市町村レベルでは自立支援プログラムなどを主体とした取組を推進するということ。配偶者暴力防止法については、ある程度保護命令の実施が推進されてきているわけですけれども、それらが効果的に行われているのかどうかという、その取り巻く状況をしっかり分析した上で、配偶者暴力防止法の見直しを含めて検討をするんだというふうに上げております。加害者に対する適正な処罰を徹底して、それを加害者に対する更生プログラムにつなげていく方策を検討するんだと。デートDVなどの交際相手からの暴力なども被害が甚大化していると言われておりますので、そういう相談体制を強化・拡充し周知徹底を行うとともに、予防啓発を一層強力に推進するということを上げています。
 ストーカー行為については、第2次においては1つの項目として上げておりましたが、ここに取り込んで、交際相手からのストーカー行為などもそういう相談体制の中できちんと取り組んでいくんだということを言っております。
 3の「性犯罪への対策の推進」ですけれども、具体的な取組の中に医師・民間支援員等による総合的な支援、警察その他関係機関及び民間団体との連絡調整等に係るきめ細かな支援。とにかく24時間対応の性暴力被害者専門のワンストップ支援センターの設置を促進するんだということを、被害の顕在化と被害者の救済を実質的に図っていく対策を推進するんだということを強く取り上げております。そして、性犯罪に対して一層厳正に対処するために捜査改正などを強化するということ。今までなかなか取り上げられなかった強姦罪の見直しの要点なども、法定刑の引上げ、構成要件の見直し等を上げて、性犯罪に関する罰則の在り方を検討するということを上げております。
 それから、4番に子どもに対する性暴力の根絶に向けた対策。これを特に取り上げまして、児童ポルノや児童買春の根絶に向けて、関係法令の見直し等について検討するということ。そして、ここで子どもに対する性的虐待の兆候などを把握して、被害児童の保護、加害者の摘発と適正な処罰に向けた必要な施策を実施するんだという取組の項目を特に上げております。そして、子どもの保護のために、出会い系サイトのみならず非出会い系サイトなどを介した児童買春防止のための有効な規制の在り方を検討するという項目を上げております。
 5の「売買春への対策の推進」は、相手方への規制を含めた売春防止法の見直しなどを含めて検討を行うということを上げておりまして。
 6の「人身取引対策の推進」については、平成21年の「人身取引対策行動計画2009」に基づく施策のさらなる推進ということを上げております。
 7の「セクシャル・ハラスメント防止対策の推進」におきましては、セクハラ相談などもかなり増加している状況でありまして。さらに、セクシャル・ハラスメントは人権侵害であるとの認識に立って、事業主の意識改革を促進するんだという項目を特に上げております。教育・医療・社会福祉施設やスポーツ分野等におけるセクシャル・ハラスメントの実態を把握するとともに、未然防止のための体制を促進という項目も上げております。
 8に特に「メディアにおける性・暴力表現への対応」という項目を上げまして、インターネットなどで、パソコンゲーム等バーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題になっていることを、それに対する対応を何とか試みるということで、具体的取組の中に、メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進をするとともに、バーチャルな分野における性・暴力表現の規制なども含めた対策の在り方を検討するという項目を入れております。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございました。
 私先走りまして、1つ飛ばしました。7分野、鹿嶋先生お願いします。
鹿嶋会長代理
第7分野。資料7をごらんください。「高齢者、障がい者、外国人など様々な困難を抱える人々が安心して暮らせる環境の整備」となっております。
 第2次基本計画は、高齢者は一つの柱立てになっていたわけですが、今度は、障がい者、外国人、ほかの人たちと一緒にしています。私は個人的には、今までのいわゆるマジョリティは、男性、正社員、現役世代だったと思うんですが、男性の中に労働力は女性が入り込み、正社員は今や風前の灯火で、非正規雇用が多くなっています。高齢社会は現役世代に入ってくるということです。そうなってきますと、そのマジョリティはマイノリティと言われる人たちの増加というように置き換えられると思います。以上のようなことを勘案しますと、高齢者、障がい者、外国人など様々な困難を抱える人たちを一緒にした理由は、それなりに説明がつくと思っています。
 まず、様々な困難を抱える人たちが安心して暮らせる環境整備が十分に進まなかった理由ですが、1には、高齢者の参画支援とか、介護体制の構築、障がい者の自立支援等が進められてはきたのですけれども、一方で、高齢単身女性の相対的貧困率が非常に高いわけです。基盤が脆弱であったこと、それから、家庭や地域で支えるという、そういう支え合いの力が弱まっているということで、依然として大きな問題を含んでいるということを指摘しました。
 また、グローバル化などが進む中で、相対的貧困率が上昇するなど貧困に陥る層が増加している。特に女性の非正規雇用の問題が非常に顕著になっています。また、暴力を背景とした女性の貧困リスク、そういうものも顕在化しています。そのように生活上の困難の理由が非常に複合化しているわけです。そして、それが場合によっては固定化し、いわゆる貧困、生活困難が次世代に連鎖していくという、その複合化と固定化と連鎖が今の生活困難を抱える人たちの特色であろうと思っております。
 十分に進まなかった理由ですけれども、女性の相対的貧困率が高い背景には、一言で言うと、固定的性別役割分担の問題があると思っています。そして、現役世代の男女間の様々な格差が高齢期まで引きずられ、それが高齢女性の貧困という形で現れる。そういうことも指摘できるのであろうと思います。となってきますと、それらに対応したセーフティネットの構築が今後十分に行われなければならないのですが、残念ながら、それらが十分には行われなかった。また、きめ細かな対応も勿論必要ですが、そちらも十分ではなかったと言えるのではないか。
 「今後の目標」としては、男性に比べると女性が貧困に陥りやすい背景を具体的に解きほぐして、それについての適切な対応をしていく必要があると思います。特に女性の場合、非正規労働に就きやすい就業構造があります。女性が暴力を受けやすいという問題もある。さらには障がいを抱えていること。また今後、労働力不足の中で、外国人はさらに増えると思うんですが、日本で働く外国人に対する対応、それもどういう対応が必要であるのかということも十分見据えていく必要がある。さらには、同和問題、アイヌであること。そして女性であることから来る複合的な困難ですね。いわゆる複合差別という問題ですが、そういう複合的な問題を抱えている人たちへの対応。同性愛などの問題もあります。性的な指向や性同一性障害などを有する人々は、人権の配慮がもう少し必要であろうとも思っております。そのような人たちに対してどのような施策をとっていくのかということを2ページに書き込みました。
 まず、高齢者の自立した生活支援ですけれども、ここは、第1段落目の最後の方に書きましたが、私は、若い時期からの働き方ですね、ここで男女格差・差別を取り除くということは一番大事だと思っています。そして、家族の持ち方とか、その世代横断的な視点が必要だと思います。高齢者だけ取り出してピンポイントで問題解決に当たることも勿論必要ですが、世代横断的にこの問題は考えていかなければ根本的な解決はないと思っております。同時に、男女共同参画の視点に立って様々な配慮が必要だと思います。それには性差に配慮した医療とか、介護の予防の取組とかといったようなものの構築を進める必要があるわけで、その具体的な取組は(2)に書いておきました。全部は読みませんけれども、例えば高齢男女の就業促進、能力開発、社会参画促進のための支援を行うと書きこみました。この能力開発も、高齢期になって急に能力開発を始めても無理です。これも世代横断的な対応の中で、本来は行われるべきだろうと思っています。そのような転換が、早急に必要だろうと私は思っております。それから、高齢期の経済的自立につながるような、ライフスタイルに中立的な税制措置や社会保障制度の構築というもの。現役世代のときから絡む問題ですけれども、就労における男女の機会均等と、公正な待遇の確保、これも非常に大事だと思っています。
 2番目は「障がい者の自立した生活支援」です。障がいのある女性は、障がいを抱えていることに加えて女性であるという差別も受けやすい。生活困難に陥りやすいということで、いわゆる複合的な生活困難という問題に直面せざるを得ない人たちです。
 3ページに行きます。その「具体的な取組」としては、障がいのある男女それぞれのニーズに配慮して、障がいのある人々に対するサービスの整備、それから、社会生活を送る上での直面する物理的な障壁、そういうものを取り除いていく必要があるということです。バリアフリー化など障がい者の自立を容易にするような社会基盤の整備も一層進めなくてはなりません。
 外国人については、移民、難民も含めて、今相当数が日本に来ております。この外国人の問題は、外国人女性に限って言いますと、言語の違いとか、文化・価値観の違いといったようなことに加えまして、女性であることの生活困難もございます。具体的な取組としては、日本で働いて生活する外国人への教育、住宅、就労支援、多言語での情報提供、相談体制の確立といったようなこと。それから、外国人の親を持つ子どもですね。その就学上の困難ですね。そういう問題を克服する実態を踏まえた支援を行う必要があります。外国人女性への暴力の問題についても、母国語通訳者など、多言語を駆使して、被害の状況を的確に把握できるような、そのような環境の整備を進める必要があると思います。
 生活困難、いわゆる貧困を抱えるような人たちに対しては、今後どういうような対応が必要なのか。それについては3ページの一番下の(1)に「施策の基本的方向」を書きました。上の段については、女性が非正規労働に就きやすい就業構造とか、女性に対する暴力の影響が生活困難に陥りやすい背景があります。これも根っこは固定的性別役割分担意識だと思っています。と同時に、仕事と生活の調和がある程度確立されれば、女性にとっても働き続けることが困難ではなくなると思いますので、それについても同時並行して、今後対策・対応を進めていく必要があると思います。
 また、生活困難は必ずしも女性だけの問題ではありません。特にシングルの高齢男性などは地域で孤立するという問題も抱えております。しかも、生活者としての自活能力・自立能力が乏しいので、その意味でシングルの高齢男性の問題も生活困難の延長線上にあります。この問題についても、今後目配りが必要であろうと思います。
 その下に書いてあるのは、今まで申し上げたように、生活困難は複合化し、固定化し、そして次世代へ連鎖していくということですので、どこかでこの連鎖を早急に断ち切る必要があります。その下の段落は、複合的な生活困難の問題ですけれども、障がいを抱えていること、外国人であること、同和問題、アイヌであるこということで、女性問題ということと同時に、さらに別の複合的な問題を抱えております。それから、性的指向についての困難を抱えている場合もあります。そういう人たちへの人権的な配慮も必要になってきます。男女それぞれが置かれた状況を踏まえて、貧困とか人間関係などの生活上の困難を抱える人々の自立に向けた力を高めるその取組、雇用・就業の安定、こういったものが必要であろうと思います。
 具体的な取組としては、そこに書きましたとおりです。1つは、子どものころからのライフプランニングが必要だと思います。教育領域・職業領域の連携に基づく若年期の自立支援を進めるということです。これは当然のことですね。若年期の自立支援が貧弱では、それが老後まで持ち越される可能性があるというのは何度も申し上げたとおりです。
 2番目は、雇用・就業状況の中で、新たなセーフティネットの構築が必要だと思います。
 3番としては、安心して生活できる環境づくりに向けて、ひとり親家庭に対して、世帯や子ども状況に応じた就業・子育て・生活支援等を行う必要があるということです。
 4番は、制度の狭間に置かれた人々への対応や個人のニーズに応じた一貫した体制ですね。途切れ途切れではなくて、一貫した支援が特に生活困難を抱える人々への支援は大事だろうと思っております。
 5番目は、女性であることで、さらに複合的な困難を抱える場合や性的指向に関して困難を抱えている場合については、可能なものについては実態の把握に努め、人権教育・啓発、人権侵害の被害者の救済等々を進める必要があるということです。
 以上、第7分野はこのようにまとめさせていただきました。
羽入会長
ありがとうございます。
 以上、御報告いただきましたが、3、5、6、7、8の順でひとまず皆様から御意見をいただくということにしたいと思います。
 3分野についていかがでしょうか。
 それでは、後で気がつかれたら、また戻ることにします。
 次に5分野。
 よろしいでしょうか。
 それでは、6分野。
 では、五條委員どうぞ。
五條委員
第6分野の点ですが、すみません、何点かあります。
 2ページの(2)の[3]で、女性の登用についてですが、ここのところが今回の計画の中で、是非地縁的組織からの変革を促すというところを非常に重点として上げていく必要があるということで、農村現場の男女共同参画が進まない岩盤のようなものをどう打ち崩していくかということで、ここが非常に重点になるので、ここの部分の書き方をもう少しイメージがわくようにしていく必要があると考えます。[3]の2行目から「また、農業委員の選出の母体になっている地縁的組織への男女共同参画の働きかけを行う。」という文章ですけれども、少し書き加えるような形で、例えば、地縁的組織のところを、「地縁的組織における意思決定が男女共同参画の視点から推進されるよう働きかけを行う。」というような形で、イメージを少しここを浮き彫りにしていく必要があるのではないかと思います。それから、細かなところですが、農業委員だけではなくて、例えば農協理事なども、地区割で地区担当理事を決めていくようなことがかなり多いので、これを意識する意味から「等」を入れて、「農業委員等」という表現ではどうかなと思います。
 それが1点目です。
 それから、2点目ですけれども、同じく2ページ目の2の(2)の一番最初のところですが、家族経営協定が共同参画推進の農村における一つの大事なツールになるんですが、ここで「締結数の拡大及び継続を促進する。」というところをもう少しふくらませる必要があると思います。「締結数の推進」とやると、現場の行政機関が数を増やすことが意義があるということで、どうしても実質を伴わない家族経営協定が増える可能性を常に拭いきれないことがあります。そこで、この「継続」という言葉の後に「継続的な有効活用」という言葉を入れて、その活用を促したり、グレードアップを図るという意味を入れてはどうかということで、継続的な有効活用の促進を図るというような形にしてはどうかと思います。
 それから、次の次の[3]の女性の固定資産の形成の問題ですが、これについては、恐らくこれを入れるべきかどうかという議論もいろいろあるかと思いますが、是非、継続的にここをちゃんと位置づける必要があると思います。それは、特に根本的なことを言えば、農村問題だけではなくて、一般的な専業主婦だとか、あるいは、商工業者の女性の方にも共通して言える課題ですけれども、あえて農山漁村のところでそこがクローズアップされる形でその課題を取り上げる形になっています。固定資産形成が、これは経済的地位だけではなくて、社会参画にもつながるベースになるということで、是非入れていくべきなんですが、そういうような背景がまだ十分現場で意識されていないという問題も一方で大きな課題としてあります。そこで、少し意識啓発のところからしっかり進めるというニュアンスをもうちょっと強化して入れるべきではないかということで、具体的に言うと、少し加えるとするならば、「権利名義を有する女性を増やすため、その必要性に関する意識啓発や実態調査並びに関連制度の活用を推進する。」といったような形で、意識啓発のところから進めることのイメージをもう少しクローズアップさせていく必要があるというふうに考えます。
 次は3ページ目へ行きます。3の「女性が住みやすく活動しやすい環境づくり」のところで、(2)の[1]です。先ほど、鹿嶋先生からもありましたが、「家族生活協定」という言葉を出していただきました。農山漁村では、家族経営協定における生活協定という言葉も使っておりますので、是非、そういう言葉をここでは、前段の2番との違いを出す上で、3番は、そういう言葉も使って、それから、両立を支援するためだけということになると、女性がうまく両立できるようにするという状況が助長される可能性がありますので、ここは是非、男女間の分担も含めた形でのという言葉を入れる必要があるのではないかということで、具体的に言うと、「生産と育児や介護との両立を支援するため、その両立や男女間の分担に配慮した生活協定を含む家族経営協定」ということで、「男女間の分担」という言葉と「生活協定」という言葉をあえて使ってここを整理してみてはどうかということです。両立と男女間の分担に配慮した生活協定を含む家族経営協定ということです。
 本日に至るまでの中では、内閣府の事務局の方々とも情報交換をさせていただきながら、起草委員の先生方の議論の状況とか、以前に私の方からお送りさせていただいたつたない案などを整理しておく内容で、いろいろと議論はさせていただいたんですが、最後の若干詰めで、重点的なところをそういうような形でさらに文言について修正を加えることができればと思います。
 それから、もう一点だけ。これは感じ方かもしれないんですが、最初の根本的なところにかかるところなんですが、1ページ目のⅡの2段落目に「このため、」と書いてあるんですね。1段落目は、農山漁村における「6次産業化」を推進するということが書いてあって、この段落の組み立て方でいくと、農山漁村あるいは農林漁業における「6次産業化」を進めるために女性の力が必要で、そのために以下のことをやるということが、ニュアンスとして非常に強くなってしまうのではないか。「6次産業化」というのは、現在の政権下で割と強調されていて、それが農政課題の1つにクローズアップはされていますけれども、あくまでもそのために共同参画をやるということだけではなくて、そうしたことも踏まえてと、こうした状況も踏まえてと、あくまでもトーンを下げるべきではないかなと思います。
 というのは、すべてがすべて農産物加工やサービスなども伴った農業経営ができるとは限らなくて、農村女性の中には、そういうことをやりたくても悶々としている中で、一生懸命に単一の作物の産地の振興に力を注いでいる人もいて、そういう方々も全部含めた農山漁村の振興ということになりますので、むしろ、そういう方の方が数としては現実には多いわけなので、「6次産業化」にあまり矮小化して共同参画を進める意義を強調するのはどうなのかなということで、ここの始まりの段落の接続詞を少し変えていく必要がある。「こうした状況も踏まえつつ」といったようなことにしてはどうかと、こんなところが特に留意すべき点ではないかと思います。
羽入会長
ありがとうございます。
 以上、5点だったと思いますけれども、鹿嶋先生何かございますか。
鹿嶋会長代理
特にありません。
羽入会長
ありがとうございます。
 今、五條委員がおっしゃったことを反映させていくことができるかと思います。
 それでは、ほかに第6分野についてはいかがですか。
 よろしいですか。
 では、7分野はどうでしょうか。
 桜井委員どうぞ。
桜井委員
7分野の様々な困難を抱える人々がというところですが、関連のデータというか図表は後ほど加えていくのでしょうか。そのときに、例えば「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」という報告書にある阿部彩さんの相対的貧困率の表を掲げていただけるといいと思います。高齢単身女性と母子家庭が、50%を超えているというのが、はっきり出ていましたね。ああいった表を掲げていくことによって、この第7分野の見出しが、「高齢者、障がい者、外国人など」となっていますが、貧困など困難な状況にある女性たちの課題を取り上げているということがはっきりすると思います。それから、Ⅰの1の2段落目で、「特に女性が非正規労働に就きやすい就業構造や、女性に対する暴力などを背景に、女性が貧困に陥るリスクが顕在化している。」とか、Ⅰの2の「女性の相対的貧困率の背景には雇用・就業に関する男女の格差が影響している・・・」という記述をみると、この分野の見出しは、高齢者、障がい者、外国人などの前に、3ページの4にある「貧困等様々な困難を抱える人々への対応」がきてもいいのではないかと思います。
 Ⅰの1の2段落目と2については、まさに女性であるがゆえの、日本で暮らしている女性であるがゆえに陥る困難の問題を取り上げており、高齢者や障がい者、外国人は、さらにそのうえにもう一つの要素、差別とか、人権問題といった要素が加わっているということだろうと思うんですね。ですから、そのもう一つの要素が加わらなくても、日本で、普通にといっては語弊があるかもしれませんが、普通に暮らす女性たちが困難な状況に陥る社会構造を日本社会がもっているというのが、今を映すとても大事な視点だろうと思いますので、まず、高齢者とかそういうことの前に、もっと全体の問題として、貧困など困難な状況を抱える女性について課題としていくという記述がいいのではないかと思うのです。そのうえで、高齢者や障がい者、外国人という方々の問題を取り上げるという方が、基本的考え方で記述している現在の課題をはっきりさせるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
鹿嶋会長代理
いまひとつ趣旨がよくわからないですね。
羽入会長
Ⅰの一番最初のところに、まず何を書くべきかという御提案でしょうか。
桜井委員
Ⅰの1については、2段落目が先にくるべきではないかと。なぜならば、高齢者とか障がい者とか外国人ということ以前に、日本で暮らしている女性ならば誰でもが貧困など困難な状況に陥ってしまう可能性があります。高齢者じゃなくても、障がい者じゃなくても、外国人でなくても、セーフティネットが十分でなく、女性は非正規に就きやすく、男女の賃金格差が大きいという社会構造があるということをしっかり記述していく必要があるのではないかと思います。Ⅲの「施策の基本的方向と具体的な取組」のところも最初にこの問題を出しておくべきだろうと思います。そうすると、それは3ページの4が先に来るのではないかということです。
羽入会長
まず、Ⅰ番のところの進まなかった理由というのは、全体的な状況を把握しているという点でよろしいだろうと。
桜井委員
はい。最初に高齢者から記述するのではなくて、Ⅰの1は2段落目の「家族の変容、雇用・就業をめぐる変化、グローバル化」という全体をカバーする記述を先にもってきて、その後に高齢者が出てくる。それから、Ⅰの2の(1)(2)(3)は、高齢者とか障がい者とか外国人に限った問題ではなくて、女性であるがゆえに困難に陥りやすい状況が社会構造としてあるということを言っていると思うので、このままでいいと思います。すみません、わかりにくくて。
 それから第7分野のタイトル、見出しですが、「高齢者、障がい者、外国人など様々な困難を抱える人々が」と書いてあると、「など」というのは、Ⅱ今後の目標で書かれているアイヌですとか、同和の問題ですとか、そういうふうに取られるかもしれません。しかし、ここで重要なのは、日本社会で暮らすあらゆる女性問題としての貧困などに陥りやすい社会構造です。そのわかりやすい例が相対的な貧困率が50%を超える母子家庭だと思いますので、見出しも、高齢者、障がい者、外国人などの前に母子家庭があってもいいのではないかなと思いますが。
 ですから、2ページのⅢの一番最初に出てくるのは、3ページの4の「貧困等様々な困難を抱える人々への対応」で、それから、女性であることに加えて、もう一つ、差別とか人権問題といった問題を抱える障がい者とか、高齢者とか、そういう人たちの問題が出てくるという整理がいいのではないかと思うわけです。見出しは高齢者、障がい者、外国人などの前に、女性で今貧困に陥りやすいということがわかるような何か端的に言えば母子家庭とか、あるいは貧困という言葉を出すか、生活困難という言葉を出すかわかりませんけれども、そういった問題をここで扱っているんだということがわかるようにしていただきたいということです。すみません、長くなってしまいました。
鹿嶋会長代理
やっとわかりました。
 1ページのⅠとⅡですけれども、Ⅰは、これまでの成果を、効果を書いているので、桜井さんが言ったように、この入れ替えは、検討はしてみます。
 Ⅱ番は、十分に進まなかった背景をいろいろ書いているんですね。ですから、ここは、今桜井さんが言っていたような女性全般が貧困にいかに陥りやすいかということもここで当然書いているわけです。ですから、それはそれでいいと思うんですが。
 桜井さんの趣旨は、2ページのⅢ以降で、高齢者と障がい者と外国人と、さらには、様々な人たちということの前に、女性であることの生活困難というのをまえがき的に書けということなんですね。
桜井委員
そうですね。
 それか、4の「貧困等様々な困難を抱える人々への対応」がまさに全体の問題なわけですよ。ですから、これが先に来た方が。
鹿嶋会長代理
これが先に来るべきではないかということですね。
桜井委員
ええ。それから、この分野のタイトルもそれがわかるようなものを考えて。
鹿嶋会長代理
タイトルは、「高齢者、障がい者、外国人など様々な困難を抱える」ではなくて。
桜井委員
そういう例を出してもいいんですけれども、その前に、女性全般が抱える問題だということなので、そのことを言っている分野なんだというのがわかる方がいいと思いました。
鹿嶋会長代理
ただ、必ずしも女性だけの問題で入れ込んでないのですよね。だから、タイトルで「女性の生活困難」というのは多少無理がある。高齢者も、例えば高齢男性の問題もあるしね。それから、外国人も必ずしも女性外国人だけの問題ではない。
桜井委員
そうしましたら、「貧困等生活困難を抱える男女」ということで、先に出した報告書のタイトルも専門調査会でもそういうふうにしたと思うんですけれども。
鹿嶋会長代理
「高齢者、障がい者、外国人」というのは消して。
桜井委員
勿論あってもいいんですけれども、ちょっと長くなりますかね。
鹿嶋会長代理
それは検討させてください。
桜井委員
はい。「貧困等生活困難を抱える男女」というふうに出していただきたい。
鹿嶋会長代理
はい、わかりました。
羽入会長
第7分野のタイトル自体を変えるということですか。
鹿嶋会長代理
そうですね。タイトルの検討も必要ですね。
羽入会長
それでは、タイトルの検討を主に考えるということになるかと思いますが。それによって中も検討するということになるだろうと思います。
 坂本委員どうぞ。
坂本委員
同じ7分野のところなんですけれども。これの説明を聞いていて気がついたんですけれども、これは地域に落とすと、福祉現場の人たちがかかわることの多い人たちだと思うんですけれども。地域福祉計画なんかにもかかわっていて、その分野の人の男女共同参画意識はとても低いんですね。ですので、2ページ目の上から2行目「このため、男女共同参画の視点に立ち、様々な困難を抱える人々が安心して暮らせる環境整備を進める。」それはそうなんですけれども、その以前に、こういう課題を持っている人たちにかかわる人、支援する立場の人たちの男女共同参画意識を高めるというようなことも、1つ段階的には入れておいた方がいいのではないかと。その分野の人たちは、お父さんなんだからとか、お母さんなんだからとか言って、いろいろな場面でかえってつらくさせてしまうようなケースがすごく多いので、意識をまず持っていただくこともとても重要なプロセスにここはなるんじゃないかなと思います。
羽入会長
ありがとうございます。
 ほかには。
 林委員どうぞ。
林委員
第7分野は、複合差別に関係する問題が含まれていて、従前の第2次までの基本計画になかった新しい視点が入る部分だと思いますので、とても重要なところだと思います。
 1つは、日本語の表記を少し工夫した方がいいのではないかと思われます。3ページの一番下のパラグラフですけれども、「さらに、」で始まる文章は、「障がいを抱えていること、日本で働き生活する外国人であること、同和問題、アイヌであること等」となっています。例えば、「障がい者問題」、「外国人問題」とあって、「同和問題」と来るならわかるんですけど、ここだけ同和問題というのが、平仄が合ってないんじゃないかと思います。「アイヌであること」というよりは、「アイヌ民族」を使うべきではないかと思います。
 それから、その続きの4ページの文章なんですけれども、今申し上げた「さらに、」の部分の視点について、これでよいのではないかと思います。障がい者の権利条約でも「合理的配慮」という言葉を使っています。その下の部分が、もう一つ私自身は腑に落ちないところがあるんですね。つまり、先ほどもタイトルについても再検討というお話がありましたけれども、自由権規約委員会など、国連の条約体から言われていることは、例えば同性のカップルが、日本では公営住宅に入居ができないとか、あるいは、現在のDV防止法だと必ずしも性的マイノリティの間での暴力というのが対象になっていないということで、その法律の中に差別があるのではないかということを指摘されていると思うんです。すなわち、「差別的な法律がある」と言われていることに対して、「生活上の困難がある」というふうに問題を持っていくのは、問いかけられていることに対して答えになっていないのではないかという印象を持つんですね。
 だから、私は、むしろ、この3行は全く書かないか、あるいは書くとしたらば、もう少しその指摘されている事柄に対して応答するような内容にしないと意味がないのではないかと思います。
羽入会長
ありがとうございます。
桜井委員
第7分野では、生活困難な状況にある人たちのことと、それから、今、林委員がおっしゃった複合差別の状況になる人たちのことと両方を言っているわけですよね。なので、そこを整理する必要があると思うんです。
鹿嶋会長代理
林さんの言った同和問題、アイヌというのは、ここはどう表現すればいいですか。そこから問題を解くとすれば。同和はなかなか難しい。アイヌはわかりますけど、「問題」を取って、単に「同和」でいいかとなると、読む人はわかりませんよね。やはり同和問題、「問題」を入れてはじめてわかるわけですね。どうすればいいですかね。「問題」がもしだめだとすれば。
羽入会長
林委員が先ほどおっしゃったのは、「問題」で揃えたらということですか。
林委員
いや、そういう趣旨ではないです。
鹿嶋会長代理
同和に関しては「問題」と入れた方がわかると思うのですが。
辻村委員
先ほどから御意見を伺っておりまして、ここはやはり扱いは難しいなと思いました。桜井委員がおっしゃっているのは、生活困難者がいて、かつ、そこに高齢者や外国人などの問題があるというとらえ方ですけれども、私などは、複合差別と言ったときに、性別、女性であるという要素掛ける高齢者の場合は年齢、障がい者の場合は障がいの有無、外国人の場合には国籍、そして、最初に言われた生活困難者の場合には経済状況であるとか階層であるとか。ですから、それすべてを性別とクロスさせる形での複合差別と考えておりましたから、そうすると、「高齢者、障がい者、外国人、経済困難者」というように並列になるのではないかと思っていました。
 ところが、桜井委員のお考えだと、生活困難者というか経済状況のことが先にあって、それプラス高齢、障がい者という複合を考えていらっしゃるということですね。
桜井委員
いやいや、前者が基礎にある。基本的に今日本で暮らしている女性たちが今の社会状況の中でそういう状況に陥っているということが明らかになってきたということです。
辻村委員
なるほど。
 そこはなかなか難しくて、第2次計画のときには高齢者しか書いてなかったのですね。そこにいわゆるマイノリティをどんな形でどこに入れるかという議論になって、そして、ここに外国人の問題とか移民の問題とかも入ってきたという経緯がありますから、もともと経済困難者だけではなかったのですね。
桜井委員
勿論そうです。
羽入会長
どちらをどういうふうに因果関係として考えるかということの問題だと思うんですけれども、この書き方は、今、辻村委員がおっしゃったように、こういう要素があると。それが生活困難というものを抱え、さらに、それが男女共同参画という視点から考えると、特に取り立てて言わなければいけないというふうなことです。ベースとしては、今、辻村委員がおっしゃったことは確かだと思いますし、桜井委員がおっしゃっていたことの意味との両方がクロスした要素として問題が生じているということがここで示されればいいのではないかと思いますけれども。
桜井委員
そうですね。貧困問題は女性に特にそういう状況に陥りやすいというのは、この「新たな経済社会の潮流の中で、生活困難を抱える男女についての報告書」でもちゃんと書かれていますね。社会構造の問題だって。そういうことは、現在の重点分野の構成では、この第7分野でしか表現できないのではないかと思ったんです。できれば、この問題だけで、1分野立てていただきたいと思っているくらいです。
 1ページ目のⅠの段落2つ目、それから、1ページのⅠの2の(1)(2)(3)は、まさにそこのところを言っているわけですから。ですから、生活困難な状況にある男女、特に女性にそういう問題が起こりやすいというところを出していく分野があってもいいでしょうと。しっかり出していかないと、せっかく基本的考え方でしっかり記述しているのに、重点分野にそのことを扱うごころがなく、埋没して見えなくなってしまう。ほかの分野では出てこないというのがわかりましたので、もう1つ分野を立てるということでないここだとすれば、そのところをちゃんと出していただきたいというふうに思ったということです。
羽入会長
ありがとうございます。
 先ほど鹿嶋会長代理がおっしゃっていましたように、循環しているということから、どういうストーリーにするかということの問題になる、どこから始めるかということの問題だと思いますので、少し御意向を反映させて考えさせていただきたいと思います。
鹿嶋会長代理
林委員の件も、ちょっと検討させてください。なかなかこの表現は難しいと思います。
林委員
はい。
 あと1つだけ補足させていただくと、「日本で働き、生活する外国人」と言うと、定住していて、合法的な在留資格がある人というイメージを持つのですけれども、CEDAWから指摘されていることは必ずしもその範囲にとどまらなくて、むしろ、離婚することによって日本人の夫との間の婚姻関係を解消することによって在留資格を失ってしまうとか、そのためにシェルターに駆け込めないとか、あるいは、難民を申請する女性の中に、その女性特有の理由での迫害というのがあるのではないかということです。今、難民法は世界的に変わっていますので、難民及び移民女性というふうに指摘をされている部分について、ここの今述べられた範囲はカバーされていないのではないかと。
辻村委員
一応入れてあるんですよ。(移民、難民を含む)と。
林委員
入っていますね。含むになったわけですね。わかりました。
 ただ、そこについて何をするかということは書かれているのですか。
辻村委員
書いてあります。
林委員
わかりました。
鹿嶋会長代理
外国人は括弧で(移民、難民を含む)というふうに入れています。それから、4ページは、「男女それぞれの置かれた状況を踏まえ」としていますので、「それぞれが置かれた状況」というのはそれぞれあるわけですよね、今、林委員がおっしゃったようなことまでも。そこをなるべくなら生かしておきたいんですね。そういうことを踏まえた取組だということですから、そこは特段に今具体例としては出しませんが、そういう問題も含まれているということですからね。
加藤委員
第7分野ですけれども、1ページ目のところには、家族や地域の支え合いは弱まっているという言葉が出てまいります。私ちょっと1つ懸念しますのが、2ページ目Ⅲの1の(1)と(2)に出てまいりますが、家庭や地域における支え合いの下での生活自立に向けた取組を進めるというふうに最後なっているんですけれども、こういう表現の仕方で、家庭や地域で高齢期は自立した生活を送りなさいと、こういう読みとられ方をしないでしょうかという心配が1つです。ここは、もし言うのであれば、住み慣れた家庭や地域で自立して生活が続けられるような支援体制とか制度設計が必要だとかという言い方だったらわかるんですけれども、家庭や地域における支え合いの下で生活自立に向けた取組を進めるというのが、どういうふうに受け取られるかなという心配が1つございました。
 それから、もう一つ、これは意見ですけれども、2ページ目のⅢの1の(2)に、もし加えていただけたらと思いますのは、③のところがいいかなと思うんですが、「単身高齢者の生活支援、高齢者の状況に配慮したICTの普及や住まいの確保、高齢者虐待問題への対応」というふうになっておりますが、高齢期に受ける問題は虐待だけではなくて、高齢者の消費者被害というのも深刻な問題としてございます。これは数年前に、監視・影響調査の取りまとめの中でも、消費者被害のところで、特に高齢女性の消費者被害については明記されているお話でございますので、虐待と並んで消費者被害を加えていただけるとよろしいかなと思いました。
 それと、「社会のバリアフリー化」という言葉が2か所、2ページと3ページに出てきているのですが、「社会のバリアフリー化」というのはどういう意味を指しているのかがよくわからなかったので、御教示いただけると有り難いと思います。この「バリアフリー」という言葉自身は、これはユニバーサルデザインとかそういう言葉ではなくて、バリアフリーというのがこの場合は適切なのかどうなのかということも含めて教えていただけると幸いでございます。
 以上です。
羽入会長
加藤委員、ありがとうございました。
 鹿嶋会長代理、何かありますでしょうか。
鹿嶋会長代理
全部にパーフェクトに答えられるわけではないんですが。まず、1つは、「家庭や地域における支え合い」というのは、確かにいろいろな取り方をされるかもしれませんね。今なるほどと思って拝聴しておりました。ここは検討します。
 それから、高齢者の虐待問題のところに「高齢者の消費者問題・虐待問題」というふうな形で入れれば、これは問題ないと思っています。
 「バリアフリー化」は、ごく常識的に考えるバリアフリーとしか考えずにこういう文言をぱっと入れたんですが、加藤さんがここで何か気になるような点があるんでしたら、是非教えてください。
岡島局長
これは、現行の基本計画の中で、「バリアフリー化推進要綱」という平成16年につくられたものがあって、その中でソフトとハード両方にわたる社会のバリアフリー化を進めるというのがあるものですから、それをそのまま踏襲して使っているところでございます。むしろ、もっといい表現に変えるということであれば、御提示いただければと思います。
鹿嶋会長代理
何か知恵があれば、是非。
羽入会長
あるいは、今、局長がおっしゃったように、ソフト、ハード両面でというのが入るだけでも違ってくると思います。ありがとうございます。
 第7分野については、そのほかございますか。
 大変重要な御指摘をいただきましたので、それを含めて少し検討をさせていただきます。
 それでは、第8分野。
 よろしいでしょうか。
 それでは、先に進ませていただきます。9、12、14と行きます。
 9は岩井委員ですが、よろしくお願いします。
岩井委員
第9分野「生涯を通じた女性の健康支援」でございます。第2次においてもずっとこういうタイトルでありますので、特に女性の健康支援。ここでは男性についても健康支援をしなければならないという項目がかなり入っておりますけれども、特に女性にはもっと配慮が必要であるというところでこのタイトルを維持しております。
 これまでの施策の効果と、健康支援が十分に進まなかった理由ですけれども、不妊治療とかHIV/エイズ、薬物乱用の有害性に関する啓発教材の中高生への配布等の施策は進展しているわけですけれども、不妊治療のカウンセリング体制の普及とか、妊娠中の喫煙・飲酒率の低下等は十分に進んでいない。HIV感染者、エイズ患者数が増加傾向であるということです。
 そして、十分に進まなかった理由としましては、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の考え方が認識されていない。女性の健康について、思春期、妊娠・出産期、そういう各段階を通じた健康の確保が重要であるという認識が普及していない。性差医療の取組がまだ十分進んでいない。特に女性の医師等のワーク・ライフ・バランスが、就業を継続する環境整備が十分に進んでいないので、医師不足にもつながっているんだというふうなところを上げております。
 今後の目標としまして、ここでは、女性だけでなく、男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりをもって生きていくということ。特に、女性は、妊娠や出産をする可能性もあり、ライフサイクルを通じて健康上の問題に直面するということを、男女とも留意する必要があるというふうに目標として掲げております。
 それから、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)の視点から、男女の生涯を通じた健康を支援するための総合的な対策を推進することを目標として上げております。
 基本的方向と具体的な取組についてですが、基本的方向としましては、生涯を通じた男女の健康の保持増進を第一に掲げまして、男女がその健康状態に応じて適切に自己管理を行うことができるように、いろいろ協力、人生の各ステージに対応した適切な健康の保持増進ができるよう対策を推進する。ここでの具体的な取組といたしましては、長い人生を寝たきりにならずに健康に過ごすための成人期・高齢期の女性の健康づくり支援を行う。若い女性のやせすぎや中高年の肥満防止、食育の推進ですね。それは科学的根拠に基づいた健康情報の収集・分析・提供という項目を上げております。
 2は「妊娠・出産等に関する健康支援」ですけれども、妊娠・出産期の女性の健康支援は非常に重要だというところで、周産期医療体制の確保、不妊に悩む男女への対策を推進する。そして、性と生殖に関しての正確な知識を持てるよう、学校教育全体を通じて適切な性教育を実施するということを上げております。
 具体的な取組といたしまして、各段階に応じた一貫した健康支援とか、不妊治療に対する経済的な支援、周産期医療の救急医療体制、小児医療体制の充実。学校教育全体を通じた適切な性教育の推進。人工妊娠中絶などに関する法制度の検討を行うということ。
 3番目には、「健康をおびやかす問題についての対策の推進」で、HIV/エイズ、子宮頚がん及び性感染症対策を推進するということ。具体的な取組としまして、特にエイズや性感染症に加えて子宮頚がんなども上げて、予防に関する積極的な啓発活動を行うということです。
 3-2としましては、「薬物乱用、喫煙・飲酒対策の推進」ということを掲げておりまして、具体的な取組としまして、薬物の供給遮断、薬物乱用防止に関する教育・啓発、喫煙に関する正確な情報提供を上げています。
 4番目には、「性差医療の推進」ということで、疾患の罹患状況が男女で非常に異なるというところから、性差医療に関する調査・研究を進めるとともに、そういう重要性に関する知識の普及・啓発をやるということを基本的方向として上げまして。具体的な取組としまして、性差医療の調査・研究、健康や医療サービス提供に関する男女別データの収集を行う。男性についても、メンタル面で孤立しやすい男性の相談・自殺予防なども含め、男女の心身の健康維持の支援を進める。性差に応じたがん検診や生活習慣病の予防施策等を進めるということを上げております。
 それから、5番目に「医療分野における女性の参画の拡大」という項目を上げて、施策の基本的方向といたしまして、医師国家試験合格者は、女性が3割以上を占めているわけですが、女性医師が働き続けて、能力を発揮しやすい条件が整っていないことが問題なので、そういう整備をし、就業継続・再就業支援などを進めるということを基本的方向として上げています。具体的な取組といたしまして、医師、看護師、仕事と生活の調和の確保、保育所の充実、離職後の復帰支援、助産師の技能の活用などの促進を上げております。
 6番目、最後に、「生涯にわたるスポーツ活動の推進」。これは女性だけではなくて、男女ともスポーツ活動を推進する必要があるということで、男女が自らスポーツを行い、心身ともに健康で活力ある生活を促進する。スポーツ団体における女性の参画拡大に向けた取組を促進するということを基本的方向に上げまして。具体的な取組におきまして、男女問わずスポーツに親しむことができる環境を整備する。女性のスポーツ指導者などが割合が少ないというようなところを改善し、男女の身体的性差を理解したスポーツ指導者の育成を促すという項目をここで取り入れております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。
 続けて、第12分野を鹿嶋先生お願いします。
鹿嶋会長代理
第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」ですが、メディアの男女共同参画の悩ましいところがあります。「2020年30%」に基づくような視点はもちろん問題はありませんが、国の行政プランの中で、表現の自由と言う問題にどの程度まで踏み込めるのかということ。第2次基本計画をつくったときも、そういう悩ましさを抱えていましたし、今回もやはりその思いは頭からぬぐえなかったというのが正直な思いであります。表現の自由については、その限界については、最高裁の判断も既に出ているのですけれども、その辺りまで突っ込んでいくということは非常に難しいということ。それを念頭に置きながら話を聞いていただければと思います。
 十分に進まなかった理由はⅠ番に書いてありますが、メディア・リテラシーの問題も勿論あるのですが、やはり表現の自由への配慮から、メディアの表現について十分な議論が行われてきたとは言えないということは率直に書きました。ただ、一方でニューメディアという言葉自体も古くなりましたが、インターネット等による新たな情報サービスがあり、そこでは公序良俗に反するのではないかと思うようなあからさまな、いわゆる女性や子どもへの人権を侵害するような情報も流通しています。そういう中で、表現の自由に配慮しつつどういう規制がかけられるのかというのが、第12分野の一番大きな課題であったわけです。
 2の方は、十分に推進が進まなかった理由ですけれども、ここの(1)(2)は、表現の自由への配慮から、メディアが「男女共同参画」についての理解を深め、積極的にその推進において役割を担うことを働きかけるような取組が不十分だったということ。さらには、男女共同参画の視点から見たメディア分野における課題の分析も不十分であったというようなことを書いております。
 これからの目標ですけれども、今後、公共性の高いメディアにおける性・暴力の表現等々については、情報の隔離といったものを適切に行う取組が必要であろうと。特にインターネットの普及による児童ポルノの問題ですね。これについては、それが容易に受信できるような現状になっているわけですけれども、それも検討をする必要がある。一方で、メディア・リテラシーの問題も欠かせないものであります。情報の受け手の側が情報を選別できるという教育を受けることが必要になってきますので、非常に目に余るような表現をいかに規制するかと同時に、そのメディア・リテラシーも向上させること、それを今後の目標にしたいと思っています。
 2ページですけれども、女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組としては、[1]としては、女子差別撤廃条約等の国際規範や女子差別撤廃委員会が是正を勧告している日本のメディア表現の問題点について、その内容を国民各層に周知徹底するということ。
 2番目は、これは非常に大事になってくると思うんですが、女性や子どもの人権を侵害するような表現の問題点をメディア側も受け手も共通の課題として認識するために、まず有識者調査や市民団体を交えた調査を実施して、メディアの自主規制、及び市民団体などによるモニタリング等の活動の一助とするということ。3番目は、男女共同参画推進連携会議などの場を通じて、メディア各社の取組や課題を共有し、不適切な表現の防止に役立てる。それから、メディアを通じた様々な情報を主体的に取捨選択するメディア・リテラシーの向上を図るという問題ですが、個人的には、メディアの問題は、NPO等の活動に頼らざるを得ないのが現状なのだと思っております。インターネット等による問題は、さらに突っ込んだ規制の在り方も検討していいというふうには考えておりますけれども、大変悩ましい問題であることは、今回の議論を通じても感じているところであります。
 2番目は、国の広報・出版物についてですが、具体的な取組としては、メディアと連携した広報・啓発戦略を強化するということ。行政の実務担当者が男女共同参画の視点を正しく理解するための研修・教育を実施するということも書き込んであります。
 また、メディア分野には女性の管理職・専門職の比率が非常に少ないわけですね。女性の参画が遅れている点を踏まえて、メディアの方針決定過程への男女共同参画への取組を促すということ。これも非常に大事だと思っております。
 といったようなことでメディアはまとめましたが、皆さんから御意見があれば、是非お伺いしたいと思っております。
羽入会長
ありがとうございます。
 続けて、14分野へ行きます。辻村委員お願いします。
辻村委員
14分野、資料14をごらんいただきたいと思います。
 タイトルは「国際社会の「平等・開発・平和」への貢献」となっておりまして、これは第2次計画と全く同じでございます。ここでは、貢献という形で日本から国際社会へというベクトルで語られているようなタイトルになっておりますが、内容は、国際規範の国内実施という点と、そして、国際貢献という大きく内向きと外向きの2つあろうかと思います。
 Ⅰですが、これまでの効果と十分に進まなかった理由ということですけれども、これまでの一定の取組については、第6回報告についてのCEDAWの最終見解でも評価されている。しかしながら、不十分な点が非常に多いということで、国際規範の国内実施において多くの課題が残っているという認識に立っております。また、国際貢献については、予算が減る中で、GADイニシアティブを活用しつつODAにおけるジェンダー主流化に取り組んでいるということは明記しておりますけれども、やはり不十分だという点が非常に強いものですから、その理由について2で掲げております。これは国際規範を履行する義務があるという認識が不足していたのではないか。この書き方は、これで外務省さんのほうでもご意見があるかもしれませんが、一応十分ではなかったということですね。それから、国際規範を推進する体制が弱かったし、推進主体が明確になっていなかった。実際に、あとは固定的役割分担意識などが、国際的協調の観点にも影響していたということを書いております。また、ODAの立案・実施についても、女性の参画が不足していた。また、体制が弱かったというふうなことを書いております。
 こういう現状認識に立って、今後の目標としては、まずは、女子差別撤廃委員会の最終見解に指摘されているような課題を克服すべく取り組むということだと思いますけれども、フォローアップ項目が2つございますので、この民法改正と暫定的特別措置ですけれども、これを含めて勧告された事項を適切に実施するよう努めるということです。また、国際的な場における女性の積極的な登用を進めるということ。それから、後の4行は新たに加わった点ですけれども、ODAの実施に当たっては、ジェンダー主流化の視点を入れる。これは前から言っていたのですけれども、さらに、戦時が中心になると思いますが、戦時・平時を問わず女性に対する人権侵害も起きてはならない問題であるという書き方をしております。女性が平和構築についても積極的な参画をしなければいけないという書き方に一応なっております。様々意味するところはたくさんございます。救済の問題もあろうかと思いますし、参画の問題だけではありませんけれども、一応目標としては、このようにまとめております。
 今後の取組といたしましては、これも繰り返しでございますが、女子差別撤廃条約だけではなくて、その他の条約も含めて、国際規範・基準を周知徹底するということと、積極的に実行するように努めるという書き方にしております。実は、これは第2次計画よりもかなり強い表現になっているというふうに考えております。すなわち、これまでずっと日本の計画等では「国際規範の取り入れ」という言葉が使われていて、何か少し取り入れればいいというふうなニュアンスがあったものですから、そうではなくて、これは条約履行義務があるという認識に基づいて実行するという言葉にしております。
 具体的な取組についても、1では周知徹底ですが、[2]では、「積極的遵守」という言葉を使っております。こういう観点から国内施策における実行や評価を監視するという、そういう意味で監視体制を強化するというふうになっております。また、未実施のもの、未基準のものがたくさんございます。例えば女子差別撤廃条約の選択議定書の問題も書き込んでございます。その他ILO条約、諸条約で、まだ未締結のものについて締結に向けて積極的な対応を図る。そして、未批准のものについて、早期批准に向けての検討を図るという書き方にいたしております。
 2番目が、国際条約を履行するというベクトルではなくて、日本から外に対して国際貢献として発信していくという、発信は3番目ですけれども、国際貢献をし、さらに発信するという構造になっております。この2の国際貢献については、ODAの実施に当たって男女共同参画視点を入れます。あるいは女性のエンパワーメントであるとか、そういったことを書いております。すなわち、被害者の側面で女性をとらえるだけではなくて、その紛争の解決というふうな場面においても、女性の視点を政策決定の場に反映させていく、意思決定に参画するんだという能動的な書きぶりになっているかと思います。
 具体的な取組については、ここに書きましたとおりでございますけれども、ODAについての男女共同参画視点の反映、あるいは監視体制の確立、途上国の整備強化・支援です。あとはジェンダー主流化。それと、[5]では、これは林委員が具体的に提言してくださいましたところでございますけれども、国連安保理決議の1325とか、1820とか、これは日本が提案国になっているにもかかわらず、具体的な行動計画をあまり持っていないという現状がありますので、これについて積極的に実施していく、一層促進する、という書き方をしております。これらの問題は、いずれも戦時下における、紛争地域における性的暴力であるとか、あるいは戦時下の女性の保護というような観点になっております。それに関連して、[6]も、これについては削除してはどうかという意見もありましたけれども、一応トラフィッキングのことは第8分野の暴力にも出てきますけれども、さらに、国際的な視点からトラフィッキング対策を位置づけていくということで、ODAの活用、あるいは人身取引被害者のエンパワーメントということも書いております。また、ネットワーキングのことも⑦で書いております。
 3番目が「対外発信機能の強化」でありまして、これは第2次計画にはなかった項目でございます。日本のプレゼンスを高めるために、積極的に男女共同参画に対する取組を発信していく、あるいは効果的に発信するという方向でございます。具体的な取組としては、政府代表などに女性、あるいは女性でないにしても、男女共同参画に深い識見を有する者が多く参画するということを書いていますし、また、日本の特徴を生かした対外発信、防災や環境分野におけるものですね。あるいは男女共同参画視点に立った国際交流・協力を推進するということ、あるいは、NGOとの連携・協力を進める。そういったことを書き込んでございます。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 推進体制についても、資料15で鹿嶋会長代理から御報告ください。
鹿嶋会長代理
以上14分野を今後どういうふうに推進していくかということで、推進体制の強化も打ち出しました。推進体制の強化は非常に大事だと思っております。
 まずⅡを見ていただきたいのですが、国内本部機構の強化です。国内本部機構とは、まず内閣府特命担当大臣(男女共同参画)がおります。そして、男女共同参画会議、男女共同参画推進本部(閣僚)、男女共同参画推進連携会議を強化をする。
 施策の基本的な方向としては、国内本部機構はこれまでもナショナル・マシーナリーとして、内閣総理大臣の下で施策推進の機能を果たしてきました。今後も、男女共同参画社会の形成のための取組を総合的かつ効率的に推進するために、あらゆる施策について、内閣総理大臣及び内閣特命大臣の下で総合的な企画立案機能、横断的な調整機能、そして監視・影響調査機能を最大限に発揮する必要があると書き込みました。
 具体的な取組は、そこを読んでいただければと思うんですが、男女共同参画会議については、国内本部機構の重要な機関として、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針や政策及び重要事項などの調査審議を行う。施策の実施状況については監視し、そして、施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査すること。そして内閣総理大臣及び関係各大臣に対して意見を述べること、さらに、その機能を最大限に発揮すると書いてあります。むろん今も参画会議は機能しているわけですが、それをさらに強化していくということです。
 2ページを開けてください。
 2番目として、「基本計画の実施や女子差別撤廃委員会最終見解等の実施状況についての監視・影響調査機能の強化」であります。第3次基本計画がどのように実施されていくのか。それから、女子差別撤廃委員会の最終見解もあるわけです。それらについて、監視・影響調査機能を強化していくということです。具体的には、男女共同参画基本計画における施策の進捗状況については、男女共同参画会議において、定期的に監視するとともに、必要に応じて取組の強化を働きかけるということ。2番目は、女子差別撤廃条約に基づく第6回報告に対する女子差別撤廃委員会からの最終見解における指摘事項への対応に関しては、男女共同参画会議においてその進捗状況を監視するということなんですが、具体的には、その下部機構である監視・影響調査専門調査会が中心になりまして、両者の監視を行っていくということです。
 3番目は、地方公共団体や民間団体における取組の支援として、過去に随分書き込みましたが、地方公共団体、国立女性教育会館、女性センター、男女共同参画センター、NPO、NGO、支援団体、大学、企業、経済団体、労働組合等、あらゆるところに目配りして書き込んであります。
 「施策の基本的方向」は、まずは、地方公共団体との連携の強化を打ち出しました。都道府県に対しては、関連施策の一層の推進と市町村への働きかけ等のために、情報提供、研修機会を提供して、広報・啓発等について一層連携強化を図ると書きました。市町村に対しては、推進体制の整備充実、関連施策の一層の推進のために、情報提供、研修機会の提供、広報・啓発等について連携強化を図ると書いてあります。
 3ページへ行きます。
 [2]の上の最初の「・」ですが、先進事例等の収集・分析・提供、全国的な男女共同参画の進捗状況等のデータ・意見の収集・提供、施策評価の手法等の研究などを行って、都道府県・政令指定都市などを通じて、地域における男女共同参画の推進を支援すると書きました。
 [2]ですが、これは、女性センター、男女共同参画センター等への活動拠点の施設の充実です。女性センターや男女共同参画センター等は、男女共同参画に関する情報提供とか、女性グループ・団体の自主的活動の場の提供、それから、相談、調査研究等多様な機能を有しています。NPO、NGOや、住民等の活動を支援する男女共同参画の推進の重要な拠点だということです。ぞれぞれの地域において、こうした機能を十分果たせるようなセンター等の役割を明確にして、理解の進化を促すということを書き込みました。
 [3]と[4]は、国立女性教育会館及び女性と仕事の未来館における取組の推進です。国立女性教育会館については、我が国の女性教育のナショナルセンターとしての重要性を強調しました。女性と仕事の未来館については、働く女性や働くことを希望する女性を総合的に支援する拠点施設であることも強調しました。この2施設の重要性を[3]と[4]で強調しています。
 [5]は、NPO、NGO、地縁団体との連携の強化を書いています。様々な分野で独自の視点に立って、自主的な活動を展開しているNPO、NGO、支援団体が、男女共同参画社会の実現、「新しい公共」の実現に向けて果たす役割は極めて大きいわけです。ですから、情報の共有化を一層促進する。そして、ネットワーク化も推進するということを書き込みました。
 [6]ですが、大学、企業、経済団体、労働組合等との連携の強化です。男女共同参画の視点での分野横断的な全国的なネットワークを構築するために、今申し上げたような団体に対して、地域での男女共同参画の実現に向けての様々な活動に当たって、連携・協力を依頼するということです。
 いずれにしても、この推進体制が強力に機能しない限り、第3次男女共同参画の重点分野の実効性は担保できませんので、今申し上げたようなところで機能を強化していくということを書き込んであります。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、9、12、14、「推進体制」の順に御意見を伺います。
 第9分野。
河野委員
9分野です。「生涯を通じた女性の健康支援」は非常に重要で、私の視点は、働いている女性が多いところではあるんですけれども、特に健康維持をしながら活躍維持というのはすごく重要だとまず思っております。その上でこちらを拝見したときなんですが、支援体制はたくさん出ているんですが、その支援を受けやすくするというところがもう一つ必要なような気がしまして。具体的には、不妊関係について相談を受けるとか、通院するとか、非常に難しいんですね。
 そこで、これはどう入れたらいいのか迷うんですけど。例えば「さらにワーク・ライフ・バランスを推進することにより」ですとか、もう少し休みやすくするとか、フレキシブルに働きやすくすることで、働いている人たちも通院しやすくなる。特に不妊医療は、月日がかかりますので、そのようなこともちょっと加味したワーク・ライフ・バランスのところで少し文章を加筆できないかなと思ったんですが、いかがでしょうか。ワーク・ライフ・バランスがここに一言入ってしまうことが、ほかとの整合性がちょっと難しいのか。または、具体策の中でワーク・ライフ・バランスを推進することにより支援を受けやすくするというようなことを入れていただけたらいかがでしょうということです。
岩井委員
2の(2)のところでしょうか。
河野委員
そうですね。そこで言うと、2の(2)辺りのところになりますが。総じて支援体制はあるんですけど、その支援を受けやすくするというところが、受け手側の情報が少し少なかったような気がしたものですから。
羽入会長
休暇制度導入という、そこをもう少しわかりやすく書くとか。
河野委員
確かにそれで済んでしまうのかもしれないんですが、できたら「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を入れた方がわかりやすくないかなとは思ったんですが。
羽入会長
治療を受けやすい状況をつくるということが、ここに理解しやすく入っている必要があるということですかね。
河野委員
はい、そうです。
羽入会長
「ワーク・ライフ・バランス」というよりも、支援を受けやすい状況ができるということが重要ではないかと。
河野委員
私としては、ニア・イコールなのですが。
羽入会長
岩井委員はいかがですか。
岩井委員
[3]のところに、不妊治療を受けやすくするため。
河野委員
そのための導入の検討等を進めるとか。
 実は、制度はつくることができるんですが、その制度をとること自体の運用面が本当に難しいんですね。
羽入会長
運用が可能になるよう努めるというような書き方をするとかですか。
河野委員
そうですね。
羽入会長
ありがとうございます。
 今、河野委員がおっしゃったのは、確かに制度をつくるということだと空論になる可能性があるので、実際にそれが実行しやすくするということでございますよね。
河野委員
はい。
羽入会長
ありがとうございます。
 ほかには。今、9分野です。
 よろしいでしょうか。
 次、12に行かせていただいてよろしいですか。12分野はいかがでしょう。メディアですが。先ほど鹿嶋会長代理から、難しいということもおっしゃってくださっていますけれども、お気づきの点があれば。
岩井委員
進まなかった理由のところで、表現の自由への配慮から積極的にその推進において役割を担うことを働きかけるような取組が不十分であったというふうに反省しているわけですけれども、この基本的方向のところでは、女性や子どもの人権を侵害するような違法・有害な情報への対策を促進するとなっていますよね。そうしたら、対策がきちんととられていなかったという、そこのとられていなかったという反省がされているのではないかなと思うんですけれども。ですから、違法・有害な情報の防止の実効的な対策の検討というふうなものも少し入れる必要があるのではないかなと思うんですけれども。
鹿嶋会長代理
それはどの辺に入れますか。
岩井委員
Ⅲの1です。1「女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等」の「施策の基本的方向」2ページの上の方です。
鹿嶋会長代理
2ページの(2)ですか。
岩井委員
いえ、(1)です。
鹿嶋会長代理
(1)。ここのどの辺にどう入れるんですか。
岩井委員
2行目に、女性や子どもの人権を侵害するような違法・有害な情報への対策、情報を防止するための実効的な対策を検討するというふうなことを。対策を促進するというと、何か対策がきちんととられていて、それを促進するということになるので、まず実効的な対策の検討をあげる必要があるのではと思います。
鹿嶋会長代理
なるほど。そうすると、先生はどういうことを書いたらいいですか。
羽入会長
対策を強化し、促進する。
岩井委員
対策をより改革してというふうな形にしていただければ。
鹿嶋会長代理
わかりました。
 今、その指摘で気がついたんですが、1ページのⅠの2の(1)の「表現の自由への配慮から」と書いてありますが、これはおかしいですね。表現の自由を何か悪者視しているみたいで。「表現の自由への配慮から」はちょっとおかしいので、これを取った方がいいですね。
岩井委員
でも、配慮し過ぎたという感想なんじゃないですか。
鹿嶋会長代理
メディアが「男女共同参画」についての理解を深めるために働きかけることであって。「表現の自由」がいたぶられているような気がします。
羽入会長
ほかに12分野についてございますか。
 よろしいでしょうか。
 それで、第14分野に行きます。
岡島局長
すみません。今のⅠの2の(1)の「表現の自由への配慮から」はいいと思うんですが、大変恐縮でございますが、(2)の辺りにはちょっと付けさせていただけると有り難いかなと思うんです。
羽入会長
どういうふうに付けますか。
岡島局長
表現の自由への配慮から、男女共同参画の視点から見たメディア分野で。
鹿嶋会長代理
こっちにはね。
岡島局長
はい。
辻村委員
今の点ですが、表現の自由への配慮からすべきことは、表現を規制する場合には、この自由、人権は憲法上の権利ですからこれに配慮しなければいけないんですが、(2)のような課題の分析のときには、別に規制ではないので、「表現の自由への配慮から」というのはあんまりそぐわないような気がするんです。
鹿嶋会長代理
(1)は入れておいておかしくないですか。
辻村委員
いや、(1)は取った方がいいと思いました。
鹿嶋会長代理
(1)は取った方がいいですね。
辻村委員
ええ。というか、「表現の自由への配慮」というのは、規制のときに使った方がいいので。要するに、8のところも出てきましたけれども、表現を規制しようというときには、表現の自由について配慮しなければいけないですよね。ですから、そういうところにのみといいますか、有効にこれを書いた方がいいと思います。課題の検討とかそういうところだと、何を言っているのかがわからないと思いました。
鹿嶋会長代理
でも、どこかへ入れたいのでしょう。
岡島局長
どこかに入れたいんです。
辻村委員
気持ちはわかりますけどね。
岡島局長
現状認識でしたら。不十分なのは確かなので。
鹿嶋会長代理
これが大きな問題になっていることは確かなんだけど、「表現の自由」が悪者視されるといけないと思って。なかなか難しいところなんですよね。
岡島局長
(1)のところは結構です。
鹿嶋会長代理
これもどこかに入るかどうか検討をしましょう。
羽入会長
それは本当に慎重に考える必要があると思うんですね。検討させてください。
 14分野は、御質問・御意見。
 それでは、進みます。「推進体制」はいかがですか。
 これが一番重要、実行するための体制ですので、非常に整理されて書いてありますが。
 それでは、もし全体が済んだ後でお気づきになりましたら、また、御指摘ください。少し先に進みます。
 残してありますものは、既に御報告をいただいておりますので、全部で6分野ございますけれども、要点だけを御紹介いただく形にしたいと思います。6分野といいますのは残っている分野、1、2、4、10、11、13ですが、順に簡単で結構でございますので、御説明ください。
 1分野は辻村委員にお願いします。
辻村委員
資料1をごらんいただきます。第1分野「政策・方針決定過程への女性の参画拡大」でございます。
 これについて、以前に報告いたしましたけれども、そのときにはポジティブ・アクションについてあまり書いていなくて、ポジティブ・アクションを入れることでエッジを効かそうという方針を定める前でございましたので、それからは多少詳しくなっております。すなわち、1ページ目は同じなんですけれども、2ページ目の2のところですね。2ページ目の上半分にポジティブ・アクションにはいろいろな手法があって、多様なポジティブ・アクションについては、それぞれの特性に応じて実効性のある手法を検討すべきであるという、ここは非常に詳しくなっております。
 それから、3のところですけれども、「2020年30%」という目標を達成するために、「2015年20%」、「2015年までに10ポイントアップ」といった目標を、個々の分野ごとに現状を踏まえつつ設定し、取組を強化するという形になっております。
 2ページ目の下の方は、ちょっと気がつきましたので、事務方の方で修正をお願いしたいんですが。具体的には、(1)(2)(3)(4)(5)になっていて、これまではそこの中は全部こういう体言止めではなくて「何々する」というふうになっていましたので、「発信する」と。2ページ目の下の方です。「具体的には、」のところ。そこをちょっと書き直していただくということですね。
 それから、3ページ目については、インセンティブの付与であるとか、女性候補者増加のためのクオータ制の導入と、これも思い切って書きましょうということで、今回初めてそういう言葉を使っていますから、その言葉を使ったこと自体が恐らく衝撃的なことであろうとは思います。ただ、この計画で書けることは、法律を改正して何%のクオータ制を入れようという話ではないので、一応「検討を働きかける」という形で、そこでトーンダウンをせざるを得ないのですね。あとは、目標についても、直接何%ということも書きたいのですけれども、具体的な中間目標を設定して、自分で自ら各省庁においてその工程表をつくってくださいというようなことにとどまっております。したがいまして、これは今後の検討課題ということで、若干の問題提起をさせていただくとすれば、この第1分野の書き方自体が、中間目標あるいは数値目標を明確にするという方針からすると少し弱くなっているかもしれないということで、例えば2015年までに女性候補者を30%にするなどとか、例えば官庁において2015年までに10ポイントアップするなどとか、例えばという形で、この本文の中に、こちらの促したい気持ちを込めさせていただけるかどうかということですね。これは実は、昨日のワーキンググループで審議をする時間がありませんでした。あるいは、昨年の秋にワーキンググループに分かれて議論をするときに、それぞれのワーキンググループで数値目標のようなことまで考えて来てくださいということをたしか言ったと思うんですけれども、取りまとめの段階でそれをしてなかったと思いますので、これからあまり時間も残っておりませんけれども、もしできるのであれば、各ワーキンググループからどういう数値目標を出していただけるかということを取りまとめて、それを図表にできるかどうかはわかりませんけれども、あるいは例示できるものなら例示するほうがいいと思います。例えば第9分野のところで図表が出ていたのですけれども、第9分野だけ図表が出ていて、数値目標が入っていましたね。これも何かすごく奇異な形で、ほかの分野、ポジティブ・アクションだとか、数値目標を出すのにふさわしいのは恐らく第1分野ですし、ほかの雇用のところでも表を出すなら出す、教育のところでも、もし表を出すならば出した方がいいのですけれども、恐らくはそういう数値目標とあまり関係ないと一般に思われがちな第9分野に図表が付いておりますね。ですから、その他のところもこういう図表を付けるのであれば付けるし、ちょっとこれは検討する必要があろうかと考えております。
 さしあたりは以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、続けて第2分野を鹿嶋会長代理にお願いします。
鹿嶋会長代理
第2分野はそんなに変わってないと思います。制度・慣行の見直し、意識改革ですが。Ⅰは、進まなかった理由としても、これも以前出したものとそう変わっておりません。2の方は、進まなかった理由ですけれども、男女共同参画社会の形成は不可欠だということを十分に出せなかったというような、つまり認識が醸成されてないというようなことで、反省理由としております。
 今後の目標としては、大きなポイントは、世帯単位から個人単位への移行です。「今後の目標」の下から4行目、下の段落ですね。その辺りに第2分野のポイントが書いてあります。
 2ページですけれども、具体的な施策の方向としては、これまでの男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直しをまず第1番に掲げてあります。これも今申し上げましたように、ちょっと読んでみますと。
 人生を通じた多様なライフスタイルを尊重し、ライフスタイルの選択により影響を受けないよう社会制度・慣行を見直す。その際、核家族化、共働き世帯の増加、未婚・離婚の増加、単身世帯の増加などの家族形態の変化やライフスタイルの多様化に対応した世帯単位から個人単位の制度・慣行への移行が大事だというふうに書いています。さらに、男女が仕事と家庭に関する責任を担える社会の構築、国際規範・基準の国内への取り入れといったものも必要であるということを書きまして、その中で、「具体的な取組の中」には、民法改正の問題として、例えば選択的夫婦別氏制度を含む民法改正が必要であると書きました。
 同時に、このような問題を国民に広く周知する必要もあります。世帯単位から個人単位に変えることについての認識・理解を促す必要もありますので、そのための方策がその下に書いてあります。
 3ページの方ですけれども、「人権尊重の理念と法律・制度の理解促進及び救済・相談の充実」ということで、例えば、教育・啓発を通じて人権に関する正しい理解の普及を進める。それから、法令や条約の分かりやすい広報も行う。人権が侵害された場合の被害者の救済体制・相談体制、これは今もあるわけですが、その拡充を図るということ。さらには、外国人が多くなっておりますので、通訳を配置した外国人のための人権相談所の充実等国際化への対応を進めるという辺りがポイントです。
 男女共同参画にかかわる調査研究、情報収集とかのポイントですけれども、具体的な取組例として2つ紹介しておきます。1つは(2)の[2]です。調査や統計における男女別情報(ジェンダー統計等)の充実を図るということ。これは各府省に徹底したいと思います。[3]は「ジェンダー予算」ですね。「ジェンダー予算」の実現に向けた調査研究を行う。これは前に報告しましたように、既に研究会はスタートいたしましたが、これについてしっかりとした調査研究を行う。この2つを紹介しておきます。
 私の方は以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、第4分野を岡本委員にお願いします。
岡本委員
第4分野です。ここは文章の統一感のところを直したということがまず1つございます。
 それから、2ページ目のⅢの(2)の[2]ですけれども、男女間の賃金格差解消のための対応というところですが、ここについては、昨日様々議論がございまして。基本的に賃金格差をどういうところでとっていくのかということもございますし、それから、企業労使での議論や交渉で賃金格差を解消していくことが基本にあるというようなことなどもございまして。前回の議論では、数値目標を今の32%ぐらいの差がある、これは平均の部分で見たところですけれども、それをなくしていく数値目標と工程表をつくっていけないだろうかという議論が行われたんですが、数値目標まで書き込むのは難しいということになりました。まずは、賃金格差の原因がどういうところにあるのか。大体これは既に明らかにされていることが多いんですが、その上で、各企業・労使の中で工程表をきちんとつくって、格差を解消していくことをきちんとやっていこうということで、記述を少し変えてございます。
 それから、[4]の間接差別の禁止についてです。これはもう既に現行省令にあります。それから、前回の均等法改正の議論の中でも、3つの事例に限らず拡大をしていくべきだとの付帯決議がありました。また、3事例以外にも間接差別と考えられるものがあれば指導をしていくということも議論経緯としてありましたので、きちんと事例を広く収集しながら、拡大に向けた検討を行っていくということを書き込んでいます。
 それから、[5]のコース別管理のところについても、書きぶりをこのような形で変えさせていただいています。
 それから、次の3ページの非正規雇用が非常に大きな課題として取り上げられている部分ですが、この具体的な取組のところで、[1]は、パートタイム労働法に基づいて、パートタイム労働者と「通常の労働者」の均衡のとれた待遇を推進するということで前回書いてありましたが、さらに、もう少し強く推進させるために、[2]のところを加えて、「同一価値労働同一賃金の実現に向けて具体的な取組方法を検討する」というところを書き込んでいます。現在、厚労省で、賃金格差においての検討会が行われておりますので、そうした取組状況などを見ながら、これはパート労働者や非正規だけに限りませんけれども、同一価値労働同一賃金についてきちんと対応をしていきたいということで、この部分を加えています。
 それから、M字カーブの解消の部分ですが、前回は途中の文章に入れていたんですけれども、ここまで記述してある課題、問題点を解消していくことによって、現在大きく問題とされているM字カーブの解消になっていくということから、M字カーブの解消に向けた取組の推進という部分を最後に持ってきて、女性の継続就業を促進し、M字カーブを解消するため、上記1~5の取組に加えて、固定的性別役割分担意識の解消、長時間労働の抑制や子育て支援策の充実等、いわゆる第5分野の部分もありますけれども、そういったことを行うことによって取組を積極的に推進しますということで、最後に持ってきているところが大きな変更点です。
 戻りますが、ポジティブ・アクションの推進のところも、本来であれば、中間的な数値を書き込むことを議論してきたんですけれども、ここについて企業が行うポジティブ・アクションになると、どこまで基本計画で書き込んでいくことができるかということで、ここの部分については中間目標的な部分を書き込んではいませんので、御議論いただければというふうに思います。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、10分野と11分野に辻村委員に続けてお願いします。
辻村委員
10分野は、資料10でございます。これは第2次計画にもございました教育・学習面の充実ということになります。ちなみに、第11の方は、新しい取組の方に入っておりましたものが独立して11分野に来たもので、第3次計画で初めてこのように独立の分野になったという関係にございます。10と11の関係は、10の方は、学校教育や社会教育・生涯教育とか、そういった教育あるいは学習という視点から見ておりまして。11の方は、これに対して科学技術・学術分野ということで、研究の視点から見ているというところで、当然重なっている部分がございますけれども、一応棲み分けた書きぶりになっております。
 教育・学習の10分野の方は、既に御報告したとおりでございますが、理工系女子学生の進学が少ないとか、学校教育機関における政策・方針決定過程への女性の参画が少ないとか、そういった現状分析に基づいて、今後、例えば3ページでございますが、学校教育分野において女性の参画を拡大するという方向性を出してきております。その他のところは以前と同じでございます。
 例えば3ページの3の(2)の「具体的な取組」の[3]は、昨日の議論を経て加わったものでございまして。例えば国大協が「2010年までに女性教員の割合を20%に引き上げる」という目標をつくっておりますけれども、これを踏まえて国立大学法人が積極的な取組をすることを促すという形になっております。ちなみに、この20%という数値は、CEDAWの最終見解では、44パラグラフにあるんですが、達成目標を20%から引き上げなさいと。こんな低い目標ではだめだと。それで、こうした機関における男女比率が同等になるように促進することを勧告するというふうに書いてありますから、20%を目標にしようということを第3次計画で書くことはやはりできないと思うんですけれども、「早期に実現しつつ」とか、そういうふうな趣旨ですね。ですけれども、計画で実現しようということはなかなか書けないので、「取組を促す」ということで押さえているということでございます。
 第11の方も、先ほど申しましたように、こちらは女性研究者という視点で見ておりまして。これは総合科学技術会議が第3期の科学技術基本計画で、採用目標を明確に自然科学系全体で25%ということを明示しておりまして。国及び公的機関がこの女性研究者問題に取り組むということは、加速プログラムも書いたらいいかもしれないですね。加速プログラムの公務員と女性研究者と医師が入っておりましたから、そういう加速プログラムに明示して取り組んできたということも成果として書いた方がいいかもしれませんが、そういう位置づけにございます。しかしながら、実態はなかなか進まないということで、これもまた、2ページの(2)の[1]でございますが、各機関が数値目標を設定して、達成度の評価や公開等を行うように働きかけるということで、その他学術会議や、総合学術会議等と連携して、これを明確な目標をつくっていきましょうということですね。評価基準を入れるということもどこかに書いたかもしれませんけれども、いずれにしても、モデルとなるような取組を行う機関に対して支援を行ったり、あるいは、環境の整備・両立支援とか、そういったことを掲げております。
 3ページの3は、理工系分野の選択促進ということで、これは以前に御報告したところと同じでございますので。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 続いて、13分野を鹿嶋会長代理お願いします。
鹿嶋会長代理
地域についてです。地域については、前回もお話ししましたように、男女共同参画の理念がまずは地域に浸透していくことが大事です。そのために、Ⅱの「今後の目標」にも地域での男女共同参画の推進が男女共同参画にとって重要であるという文言を入れてあります。地域においては、高齢化・過疎化の進行、人間関係の希薄化や単身世帯の増加等の様々な変化が生じているわけですが、そういう中では男女が共に担い手として地域社会の形成をしないと、これからは立ち行かなくなるという認識です。
 変わった点を申し上げますと、Ⅰの方ですけれども、男女共同参画の推進が十分に進まなかった理由ですが、マイナーチェンジでしかないんですけれども、第2段落目、防災分野については、男女共同参画の視点が地方公共団体レベルで盛り込まれつつあることは評価できるという言葉を入れたんですが、「盛り込まれつつあるが」というように単純にしました。
 3ページですが、「まちづくり・観光」の中の具体的な取組は、最初にお示ししたときは4つだったんですけれども、これが5つとして⑤ですね。「ボランティア活動、NPO等への参加促進のため、情報提供、相談活動などを通じた環境整備を進める。また、男女共同参画の推進に重要な役割を果たすNPOに対し、税制優遇措置の充実などの支援を検討する」という文言を入れてあります。そのほかは、前回と変わっていません。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、今御報告いただきましたことをまとめてお気づきの点がありましたらどうぞおっしゃってください。その後で、最後の資料16について鹿嶋会長代理から総論ですけれども、御報告をいただいて、それも含めて議論をしたいと思いますが、今の6つの分野について、いかがでしょうか。お気づきの点がありましたらどうぞ。
加藤委員
今御報告いただきました13分野の地域のところについて幾つか述べさせていただきたいと思います。
 1ページでございますけれども、Ⅰの2の(3)でございます。「PTA、自治会等地域の方針決定過程において」ということで、PTA、自治会とございますけれども、ここに消防団と入れていただけるとよろしいかなと思いました。
 それから、2ページ目にまいりまして。Ⅲの1の(2)の[4]「男女共同参画の視点を踏まえ、行政(男女共同参画センター等)」となっておりますけれども、ここの行政のところは、男女共同参画センター等だけでよろしいのでしょうか。と申しますのは、本府の方の男女共同参画行政を担っているところがあって、男女共同参画センターという、こういう並びではないかなと思います。この書きぶりだと、男女共同参画センターしか私には読めなかったので。
鹿嶋会長代理
男女共同参画センターを含む。それもおかしいですか。
羽入会長
いや、おかしい。
鹿嶋会長代理
ちょっと先に進めてください。
加藤委員
同じ[4]でございますけれども、「行政、大学、NPO、企業等地域活動を行っている団体とのネットワークの構築、連携を促進する」と書いてございますけれども、ここに地縁団体と追加をいただきたいと思います。
 それから、2の「地域生活」でございますが、(1)「施策の基本的方向」の最後2行目ぐらい。「男女共同参画の視点を踏まえた地域ネットワークの構築を図り、地域コミュニティの再生を図る」と書いてございますけれども、この話と。それから、3ページ目の「まちづくり・観光」(2)の[2]「文化の伝承など地域の文化活動が特定の性・年齢層等で担われている場合には、多様な者の参加促進を図る」こういうふうに計画に書かれると、地方の場合行政の方たちは誤解をなさる方がいて、例えば地域の中には女性グループとか、女性団体とか、いろいろな地域の女性たちのネットワーク組織があるわけですけれども、そうすると、自治会組織の方の男女共同参画は進んでいないから、そういう女性たちのネットワーク組織は改組をしてしまって、自治会の方に入りなさいよという、こういう指導をなさるところがございます。今回の3次の計画のところでも申し上げましたような、2ページと3ページ目のところの書きぶりだと、さらにそういう指導を行うような行政職員が増えていくのではないかなというふうに私は大いに懸念をいたしますので、ここは御再考をいただきたいというふうに考えております。
 それから、2ページの2の(2)「具体的な取組」[1]、ここもPTA、自治会とございますが、商工会の前に、消防団を入れていただきたいと思います。商工会など地域におけるというふうに。
 次の[2]「防犯活動、高齢者の見守り活動などの地域活動が特定の性、年齢層で担われている場合には、多様な経験を有する高齢女性や若年層の参加を促進する」と、こう書いてございますけれども、私が知る範囲では、防犯活動は、特定の性に偏っている場合も多いかもしれませんけれども、この見守り活動などというのは、高齢女性を中心にした層の人たち、民生委員も含めて、高齢女性の活躍、中高年の女性によってこの見守り活動なんていうのは私は担われているというふうに理解をしておりましたので、別な現状認識の方がおられてこういう文言にされたのでしたらば、それはちょっと背景を私は教えていただきたいなというふうに思います。むしろ、こういう活動で期待されるのは、ワーク・ライフ・バランス等を進め、後半に書いてありますように、若年層の若い方たちの参加を促進するのは、これはオーケーですけれども、この前半の書きぶりについては、御再考をいただきたいというふうに考えております。
 もう一つだけよろしいですか。
羽入会長
どうぞ。
加藤委員
「推進体制」のところの資料15でございますけれども、3ページ目の[3]に「国立女性教育会館における取組の推進」が書いてございます。ここは、今は「我が国唯一の女性教育のナショナルセンターとして、拠点施設」と、こう書いてございますけれども、ここの書き方は、次のように御再考いただけたら有り難いなと思います。「我が国唯一の男女共同参画・女性政策のナショナルセンターです」と。次からですが、「男女共同参画・女性政策が横断的・効率的に推進されるように、全国の国・自治体・民間の男女共同参画・女性施策関係機関の連携の中核機関として国立女性教育会館の機能・体制の拡充強化を促進する」と。今[3]に書かれていることは、今までどおりの話をさらに継承していくということに私は受けとめました。しかし、この「推進体制」の冒頭の「今後の目標」のところでは「推進力の強化が不可欠である」というふうに出てまいりますので、国立女性教育会館の役割についても、今申し上げましたような書きぶりで御修正をいただけると幸いでございます。とりあえず以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。
 13分野についての御指摘は、それを含めて検討させていただく。
辻村委員
ちょっと今の質問なんですが、資料15の3ページの国立女性教育会館のところですが、「我が国唯一の女性教育」の後に「・(なかぐろ)」で「女性政策」を入れるんですか。
鹿嶋会長代理
いや、「女性教育」ですよ。
辻村委員
それはまずいですよ。唯一の男女共同参画政策なんていうことは書けないじゃないですか。だって、参画局だってナショナル・マシーナリーですし。これはNWECだけを唯一の男女共同参画政策の拠点なんていうのは、ちょっと事実に反します。「唯一の」と付いているから、今の「・(なかぐろ)」を入れるとまずいんじゃないですか。
加藤委員
ただ、「女性教育のナショナルセンター」と言うと、どうしても狭くなってしまうなというふうに思います。
辻村委員
でも、それを広げるときに、男女共同参画センターのナショナルセンターと言ってしまうと、もっとほかにもあるわけです。
加藤委員
「男女共同参画・女性政策のナショナルセンター」です。
辻村委員
いや、それはその前に「唯一の」があるから、まずいです。
鹿嶋会長代理
その議論の前に、NWECはもともとは女性教育のナショナルセンターであって、男女共同参画のナショナル・マシーナリーではないですよ、位置づけが。
辻村委員
ないですね。
加藤委員
規程も含めてそうなってはいるんですけれども、実際に行われている仕事は、やっぱり男女共同参画の仕事だというふうに私は思っています。
鹿嶋会長代理
勿論そうなんですが、その基本的な文言は変えられないと思うんですね。
辻村委員
それは書けないでしょう。
羽入会長
加藤委員の御意向は、女性教育会館が男女共同参画の役割を果たすということを明記してほしいということだと思いますが、この体制の中で出てくるものとしてNWECがあるわけですけれども、そもそも我々がこのことを書いているのは、男女共同参画の促進ということが大前提でございますので、ここにあえて書かなくてもよいと思いますし、教育会館の機能として明記されているものを、ここで拡大しなくてもよいのではないかというふうに思いますので、ここはこのままでよろしいかと思います。
加藤委員
はい。記録に残していただければ結構でございます。
羽入会長
ありがとうございます。
加藤委員
ただ、1行目に「拠点施設」という言葉がございますが、施設という言葉を使うと、仕分けのときに、例えば稼働率はどうだとかという施設というとらえ方でいいのでしょうかということも、ここでなくても結構でございますけれども、皆さんで一度問題意識を持つ必要があるかなというふうに私は思っております。
 以上です。
鹿嶋会長代理
今の話は、例えば「拠点施設」の「施設」は取って、「拠点」ならいいですか。
加藤委員
そうですね。
辻村委員
では、そこを取ればいいんじゃないですか。「センターとして、人材の育成・研修・交流を行い」にすればいい。
加藤委員
はい、そうですね。
鹿嶋会長代理
女性教育であれば、唯一のナショナルセンターであることは確かですよ。ただ、男女共同参画となると、また趣旨がちょっと違ってくるんですよね。
羽入会長
ここはそういうふうにさせていただいて。
 あと、ほかの点で。13分野でしたか、幾つか御指摘いただきましたけれども、例えば2ページの下の[2]のところですけれども、代替案はおありでしょうか。
鹿嶋会長代理
2ページの一番下の[2]ですね。この辺りは加藤委員のおっしゃったとおりだと思うんですよね。それから、3ページの3の「まちづくり・観光」の(2)の[2]もそうですが、やはりちょっと文章がおかしいですね。「特定の性、年齢層等で担われている場合」とかね。それから、この[2]もそうですが、その辺りはさっと飛ばしてしまったんですよ。これはちょっと文章がおかしいですね。担っている特定の性に対して排除するような文章になってしまっているから、ここは直さなくてはだめですね。加藤委員は、ここはどういうふうに直せばいいですか。例えば2ページの[2]であれば。
加藤委員
そもそも私とこれをお書きいただいた方々との現状認識がちょっと違うので。
鹿嶋会長代理
私はこの表現はおかしいと思います。
加藤委員
むしろ、後半の方の「多様な経験を有する高齢女性や」というのを取っていただいた方がいいかなと思います。既にこの方たちには十分担っていただいているのに、さらに、この層に対して促進をせよというのは、ちょっと過酷な話かなというふうにも思ったりいたしますし。
鹿嶋会長代理
単純に「多様な年代層の参加を促進する」でいいですか。
加藤委員
そうですね。防犯・高齢者の見守りということに限定するのであれば。
鹿嶋会長代理
「多様な年代層の参加を促進する」というふうな形でいいですか。
加藤委員
はい。
桜井委員
年代層だけでなくて、性別のことも触れておきたいです。「男女共に」とか。地域にいる高齢者や専業主婦の人たちがこれまで担ってきたということがありますので、そこをもっと多様な担い手というのでしょうか。男性も女性もということで。
羽入会長
男女共に多様な年代層に。
鹿嶋会長代理
こういう文章が出てくるのは、多分この辺りは何か議論の組み立てがあるんだと思うんですよね。地域ワーキンググループは私は参加してないのでわからないのですが、今改めて読んでみると、ちょっとおかしいですよね。
 3ページはどうですか。
 ここも、「特定の性、年齢層等で担われる場合には、多様な者の参加促進を図る」。この文章は「特定の性、年齢層」を排除してしまうんですね。これもちょっとおかしいね。
加藤委員
これは、どこかを変えるという話ではないですよね。
鹿嶋会長代理
そうすると、「文化の伝承など地域の文化活動」も、「男女共多様な年齢層の参加を促す」とやりますか。それが一番無難ですよ。どうですか。
羽入会長
加藤委員いかがですか。
加藤委員
難しいですね。
鹿嶋会長代理
これも、預りでいいですか。
羽入会長
はい。
 ほかには。
鹿嶋会長代理
加藤委員、もう一つありましたね。行政のところで。
加藤委員
行政(男女共同参画センター等)となってしまうと、センターしか私には見えてこないんですよね。本当は本省の男女共同参画何々課というのがあると思いますので、そこが先に来て、次にセンター等というんだったらわかりますが、行政(男女共同参画センター)となってしまうと、本省の方が見えてこないんですよね。
岡島局長
括弧の中に「本省・」というのを加えればよろしいでしょうか。
桜井委員
いや、私は、そこのところは、地方公共団体と先ず書いて、それから男女共同参画センターみたいな書き方にした方がいいと思います。
岡島局長
男女共同参画センターも、地方公共団体の一部の場合も多いと思うんですが。
桜井委員
地方公共団体ということをしっかり書いておいてほしいです。そうでないと、地方公共団体は安心してしまうというか。地方公共団体は男女共同参画センターにこのことを任せておけばもういいのではないかというようなことが地域ではありがちなんですね。ですから、地方公共団体がまず最初に来て、それから、男女共同参画センターという方がいいかと思ったんですけれども。
羽入会長
括弧の中を書いた意図は、恐らく具体的に自分の問題として考えてほしいということがあったわけですけれども、行政というふうに書いて、括弧なしというのはどうですか。
桜井委員
いや、そうすると、男女共同参画センターが見えてこない。
羽入会長
もともとはということだったんですよね。
辻村委員
行政をやめて「地方公共団体・男女共同参画センター」ということでしょう。
桜井委員
あるいは、「地方公共団体、男女共同参画センター」とかと。地方公共団体の所管課もしっかりやらなければいけません、男女共同参画センターもしっかりやらなければいけません、ということがわかる書き方がいいと思います。
鹿嶋会長代理
「行政・男女共同参画センター」。
羽入会長
ありがとうございます。
桜井委員
それと関連してなんですが、男女共同参画センターの表記の仕方が、ここの第13分野と「推進体制」のところで違って出てきます。「推進体制」の方は、「女性センター・男女共同参画センター」という形で出てきます。第3次基本計画ではどの表記がいいかというのを御検討いただきたい。
羽入会長
それは整合性をとるようにさせていただきます。
 それで、加藤委員がおっしゃったことは。2ページ目の「地域コミュニティの再生を図る」は、どういう代案がおありですか。
加藤委員
代案をすぐ思いつかないんですが。ただ、こういう書きぶりだと、さっき申し上げたような心配があるなというふうに思ったものですから。
羽入会長
何かキーワードは。
 それでは、考えさせていただくとともに、もし思いつかれたら御連絡をいただきたいと思います。
加藤委員
はい。
岡島局長
第7分野のときに、桜井委員から御指摘を受けたんですけれども、資料の付け方につきまして、事務局でちょっと検討をさせていただければ大変有り難いと思います。といいますのは、実は現行の計画に数値目標がございまして、それを見ながら原則として各分野の特にⅠですね、施策の効果のところを評価するという考え方でデータを付けるということで、そもそも事務局として最初始めたんですが、数値目標がそもそもない分野などもあるものですから、いろいろなデータをくっつけているうちに、それぞれ分野ごとにばらばらなものが出てきてしまいました。そういう意味では私どもの整合性がとれてないということで申しわけないと思います。
 どういう形で付けていくのか、現行計画の数値目標については付けなければいけないと思うんですが、それ以外に、分野ごとに随分ばらばらにもなりますので、付けるか付けないか。どういう形で付けるか。例えば各分野ごとに付けるのか、まとめて付けるのか、そういったことも含めまして、ちょっと事務局で検討をさせていただければと思います。
鹿嶋会長代理
私もまとめます。
岡島局長
はい、よろしくお願いします。
羽入会長
ありがとうございます。
桜井委員
今の数値目標のところですが、そうしますと、第4分野のところで、女性と男性の賃金格差のところで、数値目標は難しいということでしょうか。むしろ、こういうところこそが数値目標が出ると、いいと思いますが。男性と女性の賃金格差が3割以上開いているというところについて、先ほどちょっと難しいとおっしゃっていましたけれども、その辺はいかがですか。
鹿嶋会長代理
昨日、担当府省の皆さんと、激しい議論をしたんです。ちょっと難しいところもあってね。簡単に付けられそうなものと、両者あるので、この辺りは私の方に全部預りにしてください。
 後で言おうと思ったんですが、今日は様々な課題も出ましたので、ここで一気に解決をつけられない問題もあります。それらは、主査預りという形にしてもらえれば有り難いんですが。
羽入会長
ありがとうございます。
 実は、もう一つ議論すべきことが残っておりまして、資料16の骨子案ですけれども、鹿嶋先生から御説明をいただいてよろしいでしょうか。
鹿嶋会長代理
骨子案は、皆さんに以前お示ししたものから多少変わっているんですが、要するに、肉付けしたということなんですね。「目指すべき社会」は、基本的に変わっていません。
 次の男女共同参画計画策定後の、いわゆるこの5年間の社会情勢の認識も基本的に変わっていません。
 そして、3番目は10年間の反省についてですが、少し文言を入れているということで。課題は、2ページの4以降だと思うんですね。第3次男女共同参画基本計画の策定に当たっての留意点として、以下に述べているようなことで。「基本法施行後10年間の反省を踏まえて、実効性あるアクション・プランとする」と。「このため、できる限り具体的な数値目標」、これは今出たような数値目標の要請が皆さんからありましたが、そういう数値目標とか、工程表を設定した上で、「その達成状況について定期的にフォローアップを行う」ということ。ここも、工程表を全部つくるかどうかというのは、多少疑問があるので、この文言を入れるかどうかについても、現実的な対応が必要になってきますので、これもちょっと考えさせてください。
 2番目は、固定的性別役割分担意識を前提とした社会制度や社会構造の変革を目指すとともに、「ワーク・ライフ・バランス」、「子ども・子育て支援策」「人権施策」など、政府が一体となって省庁横断的に取り組むんだということ。
 3番目は、女子差別撤廃委員会の最終見解における指摘事項について、計画の策定に当たって点検する。国際的な規範・基準の積極的な遵守や国内施策における実施など、国際的な協調を図る。その際には、国際的な概念や考え方(ジェンダー等)を重視するということです。
 4番目は、計画の策定過程の透明化を進め、策定過程でNGOを含めた国民の意見を反映するなど、計画策定のプロセスを重視するということです。これは公聴会とかパブリックコメントということであります。
 5番目以降は、「改めて強調すべき視点」ということで、これも前回に報告したこととタイトルは変わっていません。それについてかなり書き込んであるということです。タイトルだけ申し上げますと「女性の活躍による社会の活性化」、2番目は「男性にとっての男女共同参画」、それから、「子どもにとっての男女共同参画」、「様々な困難を抱える人々への対応」、そして、4ページですが、今議論になりました「地域における身近な男女共同参画の推進」。第3次は「身近な」というのがキーワードの1つということでもありますから、私たちにとって身近なものなのだという認識が必要だということです。
 6番目は「喫緊の課題」であります。「喫緊の課題」も、前にお示ししたのと基本的に変わっておりません。これはポジティブ・アクションの推進ですね。これについては、クオータ制まで含んだものについて検討をすると。特にクオータ制については政治分野ですが、これについては、そういう問題も含めたポジティブ・アクションの検討です。
 それから、2番目は「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」ということで、個人の生き方が多様化する中で、どのような制度構築が必要かと。男女にとって中立的に働くような制度ですね。その構築が必要ということで、そういう中で、ジェンダー予算の検討とか、ジェンダー統計の活用、それから、男性片働きを前提とした世帯単位の制度・慣行から個人単位の制度・慣行への変更といった視点。そして、大きな課題として、固定的性別役割分担を前提とした制度・慣行の見直しを行うということです。
 「雇用・セーフティネットの構築」は、生活困難者が出てきておりますので、ここでどうするかということなんですが、この中に女性への暴力も含めてあります。これは前回申し上げたとおりです。一番最初に出したときは、「喫緊の課題」の中に暴力が含まれていたんですが、違和感があるということで、3番の「雇用・セーフティネットの構築」の方に女性への暴力を入れてあります。
 それから、「推進体制の強化」ということで。
 以上が、第3次基本計画を示すに当たっての基本的な考え方です。
羽入会長
ありがとうございます。
 これは、今まで私たちのために項目を並べてあったものがございましたけれども、それを肉付けしてくださったということです。
桜井委員
前々回も意見として申し上げたかと思いますが、私は「喫緊の課題」のところに暴力を1項目立てて入れておく必要があるともうしました。今回の記述では弱いと思います。3ページのⅤの「改めて強調すべき視点」を前々回は「新たに強調すべき視点」ということだったかと思うんですが、それが「改めて」に変わりましたよね。そうしましたら、暴力の問題は、この「改めて強調すべき視点」のところで1項目立てていただくことはできませんでしょうか。
鹿嶋会長代理
意見としてお聞きしておきます。
桜井委員
はい、是非お願いしたいと思います。
鹿嶋会長代理
「改めて」の方がいいですか。
桜井委員
はい。「喫緊の課題」のところですと、ほかの書きぶりとちょっと違うだろうということは鹿嶋さんのおっしゃるとおりだろうと思います。しかし、このままですと、「雇用・セーフティネットの構築」の中に入ってしまって見えてこない。まだまだこの問題については大きく取り上げていかなければいけない状況だと思いますので、是非見える形で、明示化していただくというところで。そうすると、「改めて強調すべき視点」に入れていただくのがいいかなと思いました。
羽入会長
ありがとうございます。
 項目を新たに立てるということですね。「改めて」のところに立てると。
桜井委員
はい。
鹿嶋会長代理
それは問題ないかなと思います。
羽入会長
では、その方向で考えさせていただきます。
桜井委員
ありがとうございます。
羽入会長
ほかにいかがですか。
加藤委員
資料16の骨子案を御説明いただいた2ページ目でございますが、Ⅳの基本計画の策定に当たっての留意点の1の2行目のところに「数値目標や工程表を設定した上で」と、工程表というのが出てきておりますけれども、基本計画づくりが終わって、次は工程表づくりということなんだろうと思うんですけれども、これは男女局に教えていただきたいと思いますが、これは男女局の御発案でこの工程表というのが入ったのでしょうか。それから、この工程表づくりを次に、計画づくりにおいても工程表づくりをするとなると、男女局の限られた人数の中で、さらにこういう仕事が増やしていくということで、一方で、今回の計画も盛りだくさんになっていくわけですけれども、そちらの重要な政策を進めていくことが手薄にならないかという、そういう心配でございますので、優先課題をつくって、本当にこの工程表づくりが優先課題の上位にあるものだというんだったらば、どんどんすればいいと思いますけれども、私自身はこの工程表づくりに男女局にあまりエネルギーを使ってほしくないなというふうに考えているものですから。
辻村委員
この工程表というのが、通常の発想では「数値目標」というのとペアになっておりまして。女子差別撤廃委員会の勧告の中の28パラでも、数値目標とスケジュールを設定した暫定的特別措置をとりなさいという形になっているので、これが単年度方式というか、ただ目標をつくるというだけじゃなくて、その目標をいつまでに達成するのかということを明示してほしいという趣旨に取れば、その工程表をつくるためにまた苦労するのかというような話ではなくて、数値目標をつくるときに「数値目標や工程表」をつくるという意味になります。数値目標とスケジュールを一緒に、何年までにこの目標を達成するかということを一緒に設定しなさいという趣旨なので、今言われたのとちょっと違うかなという感じがしました。
推進課長
数値目標と工程表について辻村委員から御説明をいただきましたが、何回か専門調査会でも、2月18日の参画会議に出された資料の一環としての「福島大臣ペーパー」をお出ししています。緑のファイルの15番を見ていただくと、一番最初のところに、実効性のあるものにするということで、数値目標・工程表の設定により3次計画をアクションプランとする、という点踏まえまして入れています。
 そういう意味では、ここのⅣは、計画策定に当たっての留意点として書いているので、工程表とか数値目標を3次計画をつくった後につくるということではなくて、3次計画の中に盛り込む。計画をつくるときにこういうものをできるだけ設定するようにしてくださいという意味でここは書いております。
鹿嶋会長代理
加藤委員が言ったのは、仕事がちょっと重くなるんじゃないかということだと思うんです。要するに、これまでの起草ワーキンググループでの議論をずっと聞いていても、なかなか難しいわけです。数値目標の設定自体も難しい。それをどう克服するかの手法が難しい。そしてまた、工程表をつくること自体が必ずしもクリアになるかというと、そうでもないとなってくると、数値目標や工程表ができるものはどんどんやっていった方がいいと思うんです。実は賃金格差の問題をワーキンググループで、担当府省も交えてずっと議論をしていたんですけれども、これも単純に、例えば今の100対69を100対80にできるかというと、いついつまでになんていうことは、とても書けそうにない。となってきますと、ある程度現実的な対応をしていかないと。男女共同参画局も、これだけの人数でしかないんですからね。私は加藤さんがおっしゃったことはよくわかります。ですから、それはもう一度表現も多少変えないと、エネルギーをどこに割くか、ある意味ではプライオリティーをつけていいと思うんですよね。そういう問題も含めた議論は必要でしょう。確かにCEDAWはそう勧告しているかもしれませんけれども、じゃ、どこまでできるかという問題とは、また違うと思うんですよね。辻村さんがおっしゃったこともよくわかりますけどね。どうですかね。工程表なんて本当にできるのかね。
辻村委員
いや、そんなに厳密なものを要求してない場合もあるかもしれないですね。何年ぐらいまでに何%のように、目標の中に入れてしまえばそれでいいと思います。
羽入会長
趣旨は、できるだけ具体的にということと、さっき鹿嶋会長代理もおっしゃっていましたけれども、実行可能なもので、それが実現できるという、遠いはるかかなたの話ではなくて、一つ一つ積み重ねていける、そういう計画であるというのが我々の出発点だったと思いますので、勿論過重な負担を事務局にかけるとか、そういうことは望むことではないですが、第3次は新しいステップにしましょうということで意図してきたのは、具体的に目標を設定して、具体化する。設定しなくても具体化できるということが重要なのであって、それを第一義に考えて、この表現がもし何か誤解を招くようでしたら、また、検討し直してということで、こちらで検討をさせていただきたいと思います。
鹿嶋会長代理
私は、これは全く消せと言っているわけじゃなくて、ちょっと負担が重いのかなという認識があるんですよね。昨日、その議論をしていて、その経緯から言うとね。だから、できるものはどんどんやっていく必要があるし、ポジティブ・アクションはこれがなければ確かにできないことはそのとおりなんでね。だから、ここも検討課題になってくるかもしれませんね。数値目標と工程表の作成というのはね。
羽入会長
ほかにはよろしいでしょうか。時間が過ぎてしまって大変恐縮です。不手際で申しわけありません。
 それでは、ワーキンググループの委員の皆様、本当に多くの時間を使っていただきまして、誠にありがとうございました。
 鹿嶋会長代理から、もう一つ御発言があります。
鹿嶋会長代理
いろいろ御意見をありがとうございました。幾つか課題が出ましたので、今日預らせていただいて、前向きに検討をしていきたいと思っております。
 あと、関係省庁との確認もございますので、中間取りまとめの案に向けて、今から詰めの作業を行っていきます。また、その都度御報告して、皆さんから御意見をいただきたいと思っております。いずれにしても、関係省庁の次は公聴会があったりと、いろいろな作業を今から行いますので、また、御意見をいただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
羽入会長
誠にありがとうございました。
 それでは、事務局からお願いします。
推進課長
すみません。時間があまりありませんけれども、資料17をごらんいただけますでしょうか。今、鹿嶋先生から御紹介のありました公聴会の件の御報告です。
 これまでも、公聴会を4月中ごろから5月にかけてやりたいと申し上げてまいりましたが、具体的な日程と、それから、場所、出席いただける委員の方々が決まりましたので、今日御報告させていただきます。それがこちらの資料です。全国で6か所で、東京では午前と午後やりますので7回、4月20日~5月11日までやらせていただきたいと思っています。既に23日に内閣府のホームページでもこの情報は掲載しておりまして、各地の参加者の応募を受け付けております。
 次回は、31日(水)の午後4時から、場所は永田町の合同庁舎の第1会議室で開催予定でございます。次回は、この基本的考え方についての中間整理案を取りまとめていただくことができれば幸いでございます。
羽入会長
ありがとうございます。時間が超過しまして、申しわけございませんでした。
 それでは、58回の調査会をこれで終了いたします。御協力をありがとうございました。

(以上)