男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年2月8日(月) 15:00~16:45
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    石川 哲也 神戸大学大学院教授
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    勝間 和代 経済評論家・公認会計士
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    清原 桂子 兵庫県理事
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学准教授
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    林 陽子 弁護士
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    山田 昌弘 中央大学教授

(議事次第)

  1. 自由討議

(配布資料)

資料1
第3次男女共同参画基本計画の考え方(案) [PDF形式:342KB] 別ウインドウで開きます
資料2
基本問題・計画専門調査会(第53回)自由討議における主なご意見 [PDF形式:95KB] 別ウインドウで開きます
資料3
今後のスケジュール(案) [PDF形式:95KB] 別ウインドウで開きます
羽入会長
お忙しいところ、ありがとうございます。それでは、ただいまから54回の基本問題・計画専門調査会の会合を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 今日のスケジュールは、明日から始まります起草ワーキング・グループの作業に先立ってどのような形でこの計画案を練っていくかということを重点的に議論させていただきたいと思っています。
 基本的な方向性をここである程度固めていければ、今後のスケジュールも順調に進むかと考えております。
 お手元の資料3に今後のスケジュールを示しておりますが、御確認いただきますと、大体3月中旬から下旬にかけて中間整理案についての議論取りまとめということになっております。このような形で、起草ワーキング・グループの先生方には大変なスケジュールになりますけれども、お願いしたいと思っております。
 今日は議論の時間が2時間近くあるかと思いますけれども、そこでできるだけの議論を尽くしていきたいと思っておりますが、前回少し皆様に御意見をいただきましたものを踏まえて、事務局で資料1を議論のための案として作成していただきました。これをまず御説明いただき、そして議論に移っていきたいと思っております。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
藤澤推進課長
それでは、御説明させていただきます。
 今、会長からも御紹介がありましたように、前回あるいは前々回に皆様に御議論いただきましたり、あるいは昨年までワーキングで取りまとめていただきました論点も踏まえて、事務局で考え方について一つの案ということでたたき台としておつくりしたものでございます。
 まず、全体の構成について簡単に御説明させていただきます。
 2枚お付けしておりますが、1枚目は総論的な部分と言えるかと思います。2枚目が各論といいますか、実際に具体的な目標ですとか施策の基本的方向、あるいは具体的施策を取りまとめる分野をどうするかという点について整理したペーパー、それから推進体制について書いてあるペーパーでございます。
 1枚目に戻っていただきまして、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと3つ書いてございます。
 1番目が「目指すべき社会」です。これはまた後で簡単に御説明させていただきますが、これまでと同様の考え方を示しております。
 それから、Ⅱは「社会情勢の変化についての現状認識」ということでございまして、Ⅱに書きましたような社会情勢の変化を踏まえて、Ⅰに書いたような「目指すべき社会」に向けてどのような方針で3次計画に臨むべきかということをⅢで示しております。
 Ⅲの中が1、2、3とまた3つに分かれております。この1、2、3というものが、今日も資料でお付けしていると思うんですけれども、横長のカラーの参考2という資料です。これは今までも「第3次基本計画の重点事項の考え方について」ということで、実際にワーキング・グループを発足するときにも使って皆様に御説明させていただいたものですが、こちらのペーパーで言いますと重点事項案としてお示ししたような内容が今回の資料1のⅢに当たるものだと考えていただければいいかと思います。
 Ⅲの1というのが「基本的考え方」、3次計画を支える基本的な考え方といいますか、柱というような意味合いのものです。
 それから、Ⅲの2が「新たな視点」と書いてございますが、その1に書きました柱となる取組に当たって、これまで全くこうした視点がなかったというわけではございませんが、課題がより顕在化して、より明確になった点があると思いますので、それを「新たな視点」ということで5つほど挙げております。
 それから、3の「喫緊の課題」というところは、1に掲げております柱となる取組に当たって迅速に、例えば2、3年程度の間に対応が必要な課題として、皆様の御議論も踏まえてこんなものが考えられるのではないかということで挙げたものでございます。あくまでもたたき台でございますので、説明が終わりましたら構成をどうするかも含めて御自由に御議論いただきたいと思います。
 まず、最初のⅠの「目指すべき社会」でございます。2つ書いておりますが、社会のあらゆる分野で男女共同参画を進めていく。そして、女性も男性もすべての人がそれぞれ持っている個性、能力を発揮して互いに支え、補える社会をつくるという点がまず第1です。多様性に富んだ活力ある社会を目指す。それから、2番目にありますように、男女ともに人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会。こちらを「目指すべき社会」として挙げております。
 これに対して今の社会情勢に変化についてですが、4つの四角でくくってみました。
 まず一番左上から、少子・高齢化の関係でございます。「少子・高齢化の進展と人口減少社会の到来」ということで、労働力人口も当然減少しておりますし、15歳以上64歳までの生産年齢人口も当然減少しています。一方で、老年人口は増えている状況にあるというのがまず第1点です。
 それから、家族形態の変化と言えるかと思いますが、高齢化の進展や、あるいは未婚、離婚の増加によって世帯規模が縮小していくことによって、単身世帯あるいはひとり親世帯の増加という現象が見られます。
 更には、地域社会の変化と言ってもいいかと思いますが、帰属意識の多様化あるいは先ほど申し上げた家族形態の多様化、変化によりまして、地域社会における人間関係の希薄化というのも見られるかと思います。地域ワーキングの方でも、そのつながりの希薄化などが起きているという御指摘をいただいております。そういう意味で、地域活力が低下していると言えるかと思います。
 それから、その下にまいりまして「経済の低迷と閉塞感の高まり」です。これは申すまでもないかもしれませんが、日本経済は低迷が続いております。成長度合いではアジア各国あるいは欧米諸国にも遅れをとっていて、経済が閉塞感に見舞われている。そして、将来への不安に全体が萎縮した感じになっているというのが現状でございます。
 それから、右上にまいりまして「非正規労働者の増加と貧困・格差の拡大」です。女性、それから若年層を中心として非正規労働者が急速に増えております。今は、女性の中で非正規労働者が占める割合というのは半分を超えております。男性についても2割に届く水準になっております。それから、同じ非正規の問題としましては、特に最近は未婚層や男性においても非正規労働者比率の上昇が見られますので、自ら生計を担うという立場であるにもかかわらず、その人自身が低収入で不安定な非正規雇用だという層が増えています。
 また、男性の非正規労働者は有配偶者の割合が低いので、非正規雇用の場合は経済的に安定しないために結婚して家族を形成することへの障害が、より大きくなっていると考えられます。そういう意味で、「収入の安定した男性正社員」ですとか、「誰もが結婚できる」といったこれまでのような前提が崩壊しているということが言えるかと思います。
 それから、「貧困の「世代間連鎖」」です。家庭が経済的に困窮していたり、あるいはDV、児童虐待等で安定しない状況にあると、例えば子どもの教育、学習の機会というものも奪われて、結局生活困難というものが世代間で連鎖するという状況が生じやすくなっております。
 以上が、3つ目の社会情勢の変化です。
 最後に右下にまいりまして、「グローバル化と国際的な人の移動の増加」です。来日する外国人が最近増加しておりまして、外国人の多様化、定住化、居住地域の広域化が生じております。
 それから、企業の国際展開ということで、国際展開に伴って人の移動も増加しますし、国際社会の動向というものが直接あるいは間接に日本に影響を及ぼすことになりますので、国内における取組に当たってはやはり国際的な基準、規範と日本の制度・慣行と調和を図りながらやっていくことが必要になっています。これが、最近の社会情勢の変化についてでございます。
 こうした状況を踏まえまして、次のⅢの3次計画の基本的考え方の更に1番の「基本的考え方」です。これは、柱と言っていいかと思います。3つ書いてございます。
 まず一番左から申し上げますと今、申し上げましたように、社会情勢の変化として少子化ですとか家族形態の変化、あるいは地域社会の変化というものがありますので、そういうものを踏まえますと当然女性にもなんですけれども、男性にも、それから働いている人であっても、家庭にいらっしゃる方、子育てをしていらっしゃる方、それからいろいろな地域の方々、それぞれ皆さんがあらゆる場面で活躍できるように男女共同参画というものが身近な自分の問題だと認識してもらえることが重要であるかと思います。一人ひとりにとっての共同参画と言っていいかと思います。これが一つの大きな柱です。身近な男女共同参画を進める。
 次に2番目、真ん中でございますが、これは社会情勢の変化で言いますと経済社会の低迷ということを受けてでございますが、昨年末に閣議決定されました新成長戦略におきましても、雇用とか人材というものは成長を支える基盤とされております。持続的な経済成長のためには長期的視点に立った戦略が必要ということでありますが、特に女性だけではありませんが、若者や女性、高齢者など、潜在的な能力を有する人々への労働市場への参加を促進するということが重要だと新成長戦略でもうたわれているところでございます。是非、女性が経済社会に参画することを促進して、経済社会を活性化して元気な社会をつくる。これが2番目の柱としてこちらには書いてございます。
 それから、3番目の柱は「すべての人が安心・安全に暮らせる社会とするため、男女共同参画の視点を重視した雇用・セーフティネットを構築する」ということでございます。これは最近の社会情勢の変化の中で言いますと経済の低迷ですとか、あるいは非正規労働者の増加とか、貧困格差の拡大といったことを背景として考えられる柱でございます。
 その四角の3つの下に「上記の取組に当たっては」ということで3つほど留意事項を書いてございます。
 まず最初が「男女共同参画」と「ワーク・ライフ・バランス」、それから最近子ども・子育てビジョンができましたけれども、そういうビジョンに基づきました「子ども・子育て支援策」、それぞれの施策との間で密接な連携を図るというのがまず第1点です。
 それから2番目でございますが、グローバル化というのがますます進んでいる中で、「国際的な規範・基準の取り入れなど国際的な協調を図る」という点でございます。これは国際ワーキングでも御指摘をいただいているかと思いますが、昨年の夏のCEDAWの最終見解のほかいろいろ国際的な規範・基準もございますので、そちらとの関係で協調を図るということを2番目に言ってございます。
 それから、最後に3番目が「実効性あるものとするため、できる限り具体的な数値目標を設定し、フォローアップを行う」ということで、こちらは前回の調査会でも委員の先生からお話があったかと思います。具体的に数値目標というものを設定する。それによって実効性を図るし、更にそれをフォローアップしてまたチェックしていくというサイクルというのでしょうか、それが非常に重要だということも踏まえて書いてございます。
 それから、2番目に「新たな視点」でございます。こちらは柱の取組に当たって重要と考えられる視点ということでございまして、最初の「女性の活躍による経済の活性化」というのは今、申し上げました3つの柱のうち真ん中の柱と一番直接は大きく関係するものだと思います。経済の低迷化の中で女性の活躍を図って経済を活性化するというのが一つの新たな視点です。
 それから[2]、[3]というのは男性、それから子どもにとっての男女共同参画ということで、柱で言いますと一番左のあらゆる場面でいろいろな人が自分の男女共同参画だ、自分にとっての男女共同参画を進めるんだ、身近なものなんだということを感じられるようにということで、女性にとってはもちろんですけれども、そのほか男性、それから子どもなど、対象者に着目するというのが一つの新たな視点として考えられるのではないかと思います。
 このうち[2]の男性については、これまでも男性ワーキング・グループをつくっていただきまして、そこでも幾つかいろいろ御指摘をいただきましたが、やはり男性にとっての男女共同参画の意義に着目して固定的役割分担意識からの解放によって男性に家庭や地域に参画してもらう。それを促進するとともに、男性にとってのプレッシャーというものを軽減することによって、男性も新しいスタンダードを確立すべきだということも男性ワーキング・グループで御指摘いただいたところでございます。
 それから、[3]は「子どもにとっての男女共同参画」ということで、例えば女児あるいは女子に着目して、女子がライフコースを見通したキャリア選択ができるようにするとか、あるいは女児という観点で言うと暴力を根絶するというようなことですとか、あるいは適切な性教育の推進など、子どもにとっての男女共同参画という視点から幾つか考えられることがあると思いますので、こちらも新たな視点としてひとつ挙げたらいかがかと思いまして書いてございます。
 それから、[4]は「生活困難を抱える人々への対応」ということで、これも人に着目した視点なんですが、一番右のすべての人が安心・安全に暮らせる社会とするための雇用・セーフティネットを構築するという柱から出てくる新たな視点でございます。
 それから、最後の「地域における身近な男女共同参画の推進」です。これは、柱で言いますと一番左側の身近な男女共同参画ということで、地域でも家庭でも職場でもいろいろな場面で活躍できるように、みんなのといいますか、身近な男女共同参画を進めるという観点のものでございます。
 それから、3番の「喫緊の課題」です。先ほど申し上げましたように、あるいは前回の調査会でも時間軸のお話が委員の方からあったかと思いますが、これは特に2年あるいは3年程度の間に迅速に解決すべき課題ということで書いているものです。
 最初は「雇用・セーフティネット構築におる男女共同参画の推進」ということで、これは柱で言いますと一番右の柱に関わるものだと思っておりますが、例えば出産を機に7割の女性が退職しているというような現状もある中で、女性が働き続けていけるようにということで、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組のほかにまだ残っている男女間の賃金格差の問題ですとか、あるいは先ほどどこかで申し上げましたように、女性雇用者の半数以上は今、非正規雇用者ですから、非正規労働者対策の推進ですとか、それから長時間労働の抑制、更にはM字カーブはまだ解消されておらず、国際的に見ますとまだまだ底というのが深くなっている状況でございますので、M字カーブの解消といった課題もございます。
 それから、「新たな視点」にも書いてございますが、生活困難を抱える方々への対応というのも喫緊の課題の一つだと思います。それをまとめたものが[1]です。
 それから、[2]が「実効性あるポジティブ・アクションの推進」ということで、こちらも柱で言いますと多分真ん中の柱に直接関わるものであるかと思います。これは、CEDAWの最終見解でも2年以内のフォローアップをするということを言われている課題でもありますので、女性活躍推進法を図るために実効性あるポジティブ・アクションを行うこと、これは喫緊の課題の一つだと思っております。
 それから、[3]は暴力の根絶の問題で、柱で言いますと一番右の柱に関わるものだと思います。
 それから、[4]は「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」です。こちらは監視・影響ワーキング・グループでもいろいろとたくさんまとめていただいておりますが、男女の社会における活動や個人の生き方が多様化する中で、男女の社会における活動の選択に対して中立的に機能するような制度構築が大きな課題でございます。今後の政策の方向性としましては、片働きを前提とした世帯単位の制度とか慣行から個人単位の制度・慣行に変えていくこと。そして、男女ともにライフスタイルを柔軟に選択できる社会にしていくことが必要でございます。そちらを[4]として挙げております。
 それから、「喫緊の課題」の最後の[5]は「推進体制の強化」です。2枚目の方にも推進体制は出てきますが、各省とも十分に連携しながらナショナル・マシーナリーの強化を図っていくとか、地方や民間の取組を支援することですとか、あるいは施策の実施状況について監視機能を強化するといったことがやはり「喫緊の課題」の一つだと思っておりますので、そちらを挙げております。1枚目は以上でございます。
 2枚目が「重点分野」でございます。今日の資料に現行の計画の分野も入ってございますので、そちらと比較しながら見ていただけるといいかと思います。その第2次計画と第3次計画の違っている部分を下線で示しておりますので、変わっている部分を中心に御説明させていただきます。
 [5]で「生活と仕事と子育ての調和」というところがあります。これは現行計画で言いますと、同じ第5分野で「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」となってございます。これをワーク・ライフ・バランス、生活と仕事の調和ということと、それから先ほど柱のところでもちょっと申し上げましたように、「男女共同参画」と「ワーク・ライフ・バランス」と「子ども・子育て支援策」というのは密接に連携をするということを考えるとすれば、生活と仕事と、それから子育ての調和というような分野として考えてはいかがかと思いまして下線を引いて修正というか、こちらでは変えております。
 それから、[6]は「高齢者」の次に「障がい者」とございます。現行計画でも、6分野は「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」ということで「等」となっているのですが、具体的には障がい者のことを記載しておりますので、そこを明確に示しているものです。
 それから、第3次計画案の[11]は「多様な視点による科学技術・学術の振興」ということです。科学技術に関しましては、現行計画は[12]の「新たな取組を必要とする分野」の一つとして取り扱っておりました。その後、平成20年4月にできました女性の参加加速プログラムでも女性研究者については取組を重点化する分野の一つとして取り扱ってきたこともありまして、今回は科学技術・学術で一つの独立した分野として掲げてはいかがかと思いまして[11]に位置付けております。
 それから、[12]は「地域における男女共同参画の推進(地域おこし・まちづくり・観光、防災、環境)」です。この[12]は、今の計画で言いますと、番号はたまたま同じて[12]に当たります。現行計画では新たな取組を必要とする分野ということで、先ほど11分野に移しました科学技術以外の防災、地域おこし、まちづくり、観光、環境、こちらを地域における男女共同参画の推進という地域に着目した新しい視点でも地域というふうに先ほどお示ししましたが、そちらの視点からひとつ分野を立てたものです。
 それから、[13]が3次計画での「新たな視点による男女共同参画の推進」ということで、新たな視点として男性に着目するとか子どもに着目する、あるいは生活困難を抱える人々への対応というものが考えられるのではないかと申し上げましたが、そちらをまとめて、更には最近の社会情勢の変化として外国人が増えているという状況もありますので、男性、子ども、生活困難者を抱える人、それから外国人という形で、「新たな視点による男女共同参画」という一つの分野を立てております。
 それから、最後に「国際社会の「平等・開発・平和」への貢献」ということで、こちらは今の計画ですと「国際」ではなくて「地球社会」と書いてあります。今の計画で言いますと[11]番目になります。今の[11]番目の分野は具体的には1枚目のところでも所々触れましたような国際的な規範とか基準を取り入れるということと、それから国際貢献という趣旨のことが主に入っているのですが、それをまとめて「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」というふうに今の計画は見出しを打ち立てておりましたが、中身からすると「国際社会」というふうに変えた方がわかりやすいのではないかという趣旨で「地球」から「国際」に変更しております。
 それから、最後にVの「推進体制」は、先ほど1枚目の「喫緊の課題」の一つとして簡単に御説明したことで省略させていただきたいと思います。
 すみません。長くなりましたが、以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 これから2時間弱の時間がございますので、この間にこれらについて議論をしたいと思いますが、資料1に関しましては今、御説明がございましたけれども、上の方は我々が議論をしていく際にどのような問題意識を持っているかということが背景として記されていると理解しています。
 「社会情勢の変化についての現状認識」ということでは、例えば少子・高齢化、人口減少というものがあり、経済の低迷、閉塞感というものがあり、それから非正規労働者の増加、貧困格差の拡大という社会状況がある。それに加えて、グローバル化によるさまざまな問題がこれらの分野にも拡大しているということで4点挙げている、こういうような現状認識に立って、第3次の基本計画ではどのような対策を講じるのかということが下の段に書かれていると理解できるかと思います。
 その際に、では基本計画をどういうスタンスで書くかということで3本の柱と先ほどおっしゃってくださいましたけれども、その3つ、つまり今回はあらゆる人が対象になり得るようにということがひとつあったかと思います。それから、女性の活躍を促進するということが2番目の柱になっている。それからもう一つは検証できる、あるいはセーフティネットをつくってそれを実現可能なものにする。この3つが、3本の柱として掲げられていると理解できるかと思います。
 「新たな視点」と「喫緊の課題」については、「新たな視点」というのはやはり第3次としてどのような点を特に重視するか。新しく考えているかということがここに記されていると言えるかと思います。特に先ほど申し上げましたように、あらゆる人にとってということですので、女性、子ども、生活困難な人々ということをあえてそこに出しているということが言えるわけです。
 それから、「喫緊の課題」として特に重視しているのは何かということがそこに5点記されていますけれども、これは2枚目の「重点分野」の中で、特に具体的にまず取り組むべき、あるいは解決すべき具体的な事柄をここに記したと理解することができます。「重点分野」は、第2次は12ございましたけれども、それを14にしてありますが、それぞれにワーキング・グループで議論したものを第2次と照らし合わせながら原案としてつくっていただいたものということができます。
 そこで、議論の進め方ですけれども、まずは資料1の表のページの「現状認識」というものを、もし大きな齟齬があったりすると話が先に進みませんので、ここをまず確認し、それからその次に2枚目の「重点分野」、今回は「重点分野」としましたけれども、この14の分野についてどのように考えるか。4番目に「推進体制」ということがございますが、これはやはり同時に実現可能にするためにどのような体制を整備していくことが必要かということで掲げられているということができると思います。
 そのようなことで、まずは資料1の1ページ目について御意見を伺わせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、林委員からどうぞ。
林委員
このⅠからⅢまで、1枚目すべてを今お話してよろしいですか。
羽入会長
はい。
林委員
何点かございます。
 初めはⅡの「経済の低迷と閉塞感の高まり」の部分です。私は経済の専門家ではありませんが、今の問題はデフレが継続していることというよりは、経済成長が低迷しているということではないのでしょうか。つまり、デフレ、インフレというのは物価の問題ですので、経済成長下でのデフレあるいはその下でのインフレと両立し得る概念ですので、デフレの継続、「消費の低迷」という言葉が正しいのかどうか、経済に詳しい方の御意見を伺いたいと思います。
 それから、右上のマルポツ(・)ですけれども、不安定雇用者が増加しているだけではなくて、やはり失業が増えているということが大きな問題で、雇用がないということがそもそもの問題ですので、そこを入れる必要があるのではないかと思います。
 それから、その下のマルポツ(・)ですが、2番目の「企業の国際展開」という意味ですけれども、企業が地球規模の競争をしているということが問題なのです。、日本企業が海外に進出していって空洞化しているということも問題なのかもしれませんけれども、日本にいても中国にいてもインドにいても、単純労働をしている限りは同じ賃金しか得られない。だから、日本人が付加価値を付けて国際競争に勝っていくためには教育が大事である、女性の社会参画が大事である、ということを強調するためには、「国際展開」というだけでは少し弱いのではないかと思います。
 それから、その下のマルポツ(・)です。先ほどの「重点分野」の方で御説明がありましたが、マルポツ(・)の3番目の国際的な視点の部分です。国際的な規範・基準を国内に取り入れるということとともに、国際社会にODAその他を通じて貢献をしていく。途上国の貧困の問題であるとか、防災の問題であるとか、そういうことに日本人が積極的に男性も女性も取り組んでいくということが現状認識としてあっていいのではないかと思いました。
 それから、Ⅲのところです。一番下のマルポツ(・)で、「実効性あるものとするため、できる限り具体的な数値目標を設定し」とありますが、数値目標とともにスケジュール、時間的なフレームも入れていただきたいと思います。女性差別撤廃委員からの最終見解は、数値目標とともにタイムフレーム、スケジュールが必要だということを言っています。
 それから、最後の「新たな視点」のところですが、今回新しく「子どもにとっての男女共同参画」、それから「生活困難を抱える人々への対応」ということが[3]、[4]に入っています。これは後で「重点分野」のところで議論した方がいいのかもしれませんが、他方で「重点分野」の方では[13]のところに子どもと生活困難者というものが一緒に入っています。私は今まで暴力部会には出ていたんですけれども、もちろん子どもに対する暴力の影響ですとか暴力の世代間連鎖というのは大事な問題なのですが、今回新しい視点としては「差別の複合的な側面」すなわち、社会的により弱い立場にある人への支援の強化ということを入れるべきだと思います。
 そうすると、この「新たな視点」で子どもと生活困難者だけを出すことがいいのかどうか。つまり、これだけだと日本人の問題というふうにとらえがちですので、難民の女性の問題、移住労働者の問題、あるいは今回いろいろ要望書が出ている性的マイノリティの問題と、いろいろな差別を受けている人が日本の社会の中にいるという認識がもう少し冒頭にくるべきではないかと思いました。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。今の林委員の御発言に関連してでも、あるいは新たにでも結構ですので、どうぞ御意見をいただきたいと思います。
 では、山田委員どうぞ。
山田委員
細かいところは幾つかあるんですけれども、大きいところとして2番目の「社会情勢の変化についての現状認識」と、「男女共同参画基本計画の基本的考え方」のつながりをどういうふうに考えているのかということをお聞きしたいというか、考えなくてはいけないと思っています。2番目の社会情勢の変化というものが男女共同参画を進める際の前提としてあるというのはもちろんですけれども、この中に実は男女共同参画が進まなかったがゆえの結果の部分も含まれていると思うんです。だから、そこの書き方を工夫していただけたらありがたいと思っています。
 とにかく男女共同参画に関係なくこういう問題が起こったんだから、男女共同参画で解決するというのも一つのスタンスですけれども、むしろ男女共同参画が不十分と言うと問題になるかもしれませんが、男女共同参画が進んでいなかった分、こういう問題に関して対応が遅れたり、こういう問題が深刻化してしまった。少子に関しても、女性の雇用労働力化が進まないから少子化が進んでしまったという面もありますので、そこのⅡとⅢの関連の書き方を工夫していただきたいということが1つです。
 細かい部分は次の「重点分野」のところで言いますので、一応以上です。
羽入会長
それでは、辻村委員どうぞ。
辻村委員
今、山田委員から大きな問題を出していただきましたが、私も全く同じような感じを持っておりました。
 例えば、第3次基本計画の場合に基本法10周年であることの総括、それから第2次基本計画の進捗状況についての総括というものが、この「社会情勢の変化についての現状認識」とともにどこかにこないと今、言われたようにⅢとか、あるいは2枚目につながっていかないのではないかと感じました。
 また、後ほど2枚目に関連した議論があると思いますけれども、私の感じては1枚目の総論のところで2枚目の項目を何らかの形で頭出しをしておかないと、どういう理由で「重点分野」を定めたのかがわからないと思うんです。例えば、メディアとか「重点分野」だと言っているのですけれども、どうしてメディアが「重点分野」になったのかということがこの1枚目から見えてこないといけないと思います。あるいは、第1分野である政策方針決定過程についても、これが第1分野だと言うからにはそれが論証されていなければいけませんから、これについてどのような形であれ、例えば第2次計画でこのように言ったけれども、この部分はうまくいかなかった部分があるとか、そういうことも書いていかなければいけないと思いました。
 例えば、科学技術などはこの1枚目をざっと見たところでは出てこないのです。これは恐らくあらゆる場面で活躍というところに入ってくると思いますが、そういう個別の問題ではなくて恐らくトータルな問題に関わるということをどこか1枚目で頭出ししなければいけない。それには、やはり10周年の総括だとか、第2次基本計画で重点的にとらえたのにうまくいかなかったということも書かないといけないのかなと思いました。
 今の山田委員の御見解の補足のような形です。以上です。
羽入会長
ありがとうございました。では、帯野委員どうぞ。
帯野委員
今のお2人の御意見と同じ流れになると思うのですけれども、女性の問題と、Ⅱの「社会情勢の変化についての現状認識」をもう少しわかりやすくするために、2つ目の四角の「経済の低迷と閉塞感の高まり」、この中にやはりこの5年間で一番顕著な変化の一つとして、地域経済のさらなる疲弊、地域経済の疲弊というものを入れていただけたらと思います。
 というのは、できる女性というか、プロフェッショナルな女性がますます雇用の機会を求めて東京に一極集中する結果、ますます地方経済が疲弊していくというところもあるからです。
 それから、その上の「中国等のキャッチアップによる国際的なプレゼンスの低下」ですが、日本の国際的なプレゼンスの低下というのは経済の問題で言えば女性の雇用の機会、起業の機会の多い第3次産業への産業構造の転換が遅れていくためというふうにとらえた方が、「中国等のキャッチアップ等による国際的なプレゼンスの低下」というのはちょっと問題もあるのかなと思いますので、もしあえて入れるならば、産業界の御意見もありますけれども、「産業構造の転換の遅れによる」と入れた方がよいのではないかと思います。
 それから、あらゆる人のという意味で、是非基本的な考え方の中に地域の視点を取り入れた、地域の視点に立ったということを入れていただけたらと思うのですが、あえて言うならば「すべての人が」というところに「すべての地域のすべての人が」と書いた方が、より広くナショナルワイドな関心を高められるのではないかという意味で、その一文を加えていただけたらと思います。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。それでは、清原委員どうぞ。
清原委員
基本的考え方の一番右の欄ですが、「安心・安全」とあるのですが、私たちは普通、地方の現場で使うときには「安全」が先なんです。やはり「安全」があって「安心」ということになるので、順番は「安全」が先の方がいいと思います。
 それから、これを紙で見させていただいたときは「雇用」、それから「セーフティネット」と思ったのですが、先ほどのご説明だと「雇用のセーフティネット」という感じなのかなと。男女共同参画の視点を重視した雇用のセーフティネットはもちろん大事なのですが、それと合わせてDVにしても児童虐待にしても高齢者虐待にしても重度化、複合化してきておりますので、そういう虐待対策に対するセーフティネットとか、あるいは妊婦検診、産科、周産期医療といったところで命を落とすことがないようなセーフティネットといったようなことですね。
 医師不足で現場は大変ですので、生活保護などももちろんそうですが、いろいろな意味でのセーフティネットということで、今、現場にどんどんしわ寄せがきておりますので、雇用に限らず「セーフティネット」と幅広くとらえていく必要があるのではと思いましたことが1点です。
 それから、「喫緊の課題」の[3]のところで「女性に対する暴力の根絶」とあるのですが、ご承知のように女性に対する暴力というのは子どもに対する暴力とあわせて出てくることも多いですし、女性に対する暴力がそのまま子どもに対する児童虐待であること、母親が毎日、毎日暴力を受けているのを見ること自体、子どもへの虐待です。
 それから、高齢者虐待なども被虐待者の多数が女性であること、加害者である男性が生活的な自立ができていないがゆえに、介護を抱えたとき女性以上に追い詰められて加害者になりやすいといったことがありますので、高齢者虐待なども加害者の男性にとっても、被害者の女性にとっても、そこにはやはり男女共同参画の問題がとてもあります。生活的な自立の問題がありますし、また、私どもも県の方でモニター調査をやったところなんですが、男性が暴力の被害者になっている数字もかなりあって、この辺は女性に対する暴力というだけでいいのかどうか。
 その意味では、高齢者虐待などにつながっている構造的な男女共同参画の問題とか、そういったところも含めて書き込んだ方がいいのかなと思いました。
羽入会長
ありがとうございます。それでは、石川委員どうぞ。
石川委員
先ほどの清原委員の意見に賛成でして、Ⅲのところでいきますと「安心・安全に暮らせる社会にするために」というところで、私の関わりました健康分野の周産期医療とか、そういったものの安全を入れていただきたいということと、それと同時に男女共同参画だけではなくて性差に応じたさまざまな取組、こういった言葉も少し入れていただいた方がいいのかなと思っております。
 それから、同じなんですけれども、この3つを並べて見てみますと、言葉なのですが、その3つ目で、先ほど申し上げたところは何々をするためこういうことをしますとなっていまして、真ん中はこういうことをやってこういう社会をつくりますと書いてあります。これは平仄だけなんですが、少ししそろえた方が読む方は読みやすいのではないかと思っています。
 それからもう一つ、言葉というか、文字でいきますと、一番上の「目指すべき社会」です。ここの2番目の「男女の人権が尊重され」というのも、これはだれかが尊重してくれるんでしょうけれども、もっと積極的に「男女が人権を尊重し」とか、そういった前向きな書き方をした方がいいのではないかと思っています。
 それから、下の方で「新たな視点」ですが、先ほどの御説明の中で[3]の「子どもにとっての男女共同参画」のところで適切な性教育に関わる分野の話があったわけです。性教育というのをどこで書き込んでいくかというのはこれからの話題になってくると思いますけれども、生涯を通じてこういった考え方と教育を受けることが大切だというふうに私は思っていまして、是非そういった機会を学校とともにいろいろなところに入れていきたいと思っています。以上です。
羽入会長
ありがとうございました。では、河野委員どうぞ。
河野委員
どこのというところではないのですが、関係するところとしては基本的な考え方の真ん中の「女性の経済社会参画促進」の部分と、「新たな視点」の3番目の「子どもにとっての男女共同参画」、それから「喫緊の課題」の[2]の「実効性あるポジティブ・アクションの推進」、この3つに関与したところになると思いますが、特に女性の長期ビジョンにおける教育の分野をもう少しはっきり出していただきたいと全体を見て思いました。
 その理由としては、企業や社会で活躍する理系の女性がやはりまだ少なくて、最近も話題になっていると思うのですが、品質管理ですとか技術革新とかメンテナンスの分野でなかなか動きが出てきづらい状況で、私の狭い分野かもしれないんですけれども、実はこの[2]の「実効性あるポジティブ・アクションの推進」というのは企業で大分進みつつあるのですが、逆に女性の方で活躍する土俵に乗ってくる人が少ないので、これは喫緊で推していくと同時に長期の中での教育ということもすごく重要かと考えています。
 結局、「新たな視点」の3番目の「子どもにとっての男女共同参画」に入るのかなと考えたのですが、ここの中はきっと広い意味があると思うんですけれども、もっともっと受験のこととか受験の科目ということにも関わると思うのですが、幅広い選択を女性にもさせていただき、そして企業、特に日本のメーカーがこれから活躍するためにもその中で活躍してくれるような人もつくっていくことがすごく重要かと感じました。
 それで、多分それが次のページの各論になってくるんだろうと思いますので、改めて教育というところを入れていただきたいと思います。以上です。
羽入会長
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 今まで御指摘いただきましたことで、表現の問題は事務局でも整理していただいて、現状の認識としてどういう表現が誤解を招かないか、現実にふさわしいかということも考えていく必要があるだろうと思います。 それから、大きな点ではこれは第3次ということです。そうすると、第2次までは何をしてきて、どうできて、それに基づいて第3次計画があるということを認識しなければいけない、それをきちんと精査して書いておくということはやはり重要なことではないかと思います。
 それから今、伺いました中で最後に河野委員もおっしゃっていましたし、ほかにも意見が出ていたかと思いますが、教育の問題というのはどこにも関わることではありますけれども、どこかに中心的に書いておく必要があるのかもしれないということを少し私は個人的には考えております。
 では、どうぞ。
鹿嶋会長代理
山田委員がおっしゃっていた社会情勢の変化についてですが、これは男女共同参画社会基本法の前文に書いてあるわけですよね。これはおっしゃるように大事な課題ですし、1999年当時、社会情勢の変化等に応じてこの男女共同参画社会基本法というのができてくるわけですね。
 その意味では非常に重い言葉なんですが、当時の基本法で前文に書き込まれたその意図するところを読み込むと、要するにそういう経済情勢の変化の中で男性片働き社会ですね、それが終焉を迎えて、いわゆる共働き、更に表現を変えれば個人単位ですね。そういうふうになってくるというふうな意味合いが私は言外に込められていると、この前文をいつも解釈しているんです。
 その意味では、それが例えば「喫緊の課題」の「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」というのは、いわゆる男性片働き型から個人単位へと移行するようなことでこの中にちゃんと入っていますけれども、そういうものが言外に読み取れるような文言が経済社会の現状認識の中に入っていればいいのかなと私は感じていて、山田さんのおっしゃったことをなるほどと思って聞いていたんですけれども、それがこの4つの文言の中にきちんとうまく盛り込まれているのかどうかということです。
 それから、更に新しい問題としては特に非正規雇用と国際的な問題というのは当然出てきたと思うんですけれども、そういうふうにここを解釈しているんですが、どうでしょうか。
山田委員
精神、理念に関してはもちろんそれでよろしいと思うんですけれども、例えばここまで書ければいいなというのは、例えば女性の経済社会に対する参画が足りなかったので経済が低迷したとか、もちろん進めてはきたんだけれども、それが不十分だったからこうなっていますよといったような書き方ができれば、もう少し強い形で社会に示せるのかなという気がしたのです。認識自体について、どうこうと言っているわけではなくて。
羽入会長
ありがとうございました。恐らく、この表の概括になる部分はその後にどういう細かな視点を盛り込むかということとも関連すると思いますけれども、表現の点でこうだったからこうなったということを最初から因果関係で表明することができるのか、適当なのかということは、また考えていかなければいけないことだと思います。
 それでは、どうぞ。
林委員
質問なのですが、この現行計画ですと第1部の冒頭に基本的考え方というのがA4の1ページ足らずで載っていますけれども、今お話をしている「現状認識」という部分を文章に起こしてこの「基本的考え方」に入れるということなんでしょうか。それとも、これは私たちのそのブレインストーミングで、このことがそのままフルの文章になってこの「基本的考え方」に入るのではないのでしょうか。ちょっとそこの位置づけがわからなかったので教えてください。
岡島局長
今、ごらんになっているのは基本計画ですか。
林委員
はい。
岡島局長
基本計画は答申をいただいた上で検討させていただきますので、今、御議論いただいていますのは、その前にいただきます答申、もう一つの方についてでございまして、こちらの方には1ページ目に書いてあることをきちんと文章にしていただければ大変ありがたいと思います。
 それを踏まえて、どういう形で基本計画の中に入れていくのか。基本計画はどちらかと言うと施策そのものになりますので、そちらの方にどの程度入れるのか、入れないのか。そこはまた別途、答申を頂いた後で検討させていただきたいと思います。
林委員
わかりました。
羽入会長
それでは、2ページ目の議論に移らせていただきたいと思います。もちろん、その後でまた戻ってくださっても結構ですし、関連のあるところもあると思いますので関連づけて議論してくださっても結構です。
 この「重点分野」として挙げましたことについて、いかがでしょうか。
清原委員
[12]番の「地域における男女共同参画」のところですが、「地域おこし・まちづくり・観光」から入っているんですが、なかなか実感としましては「地域おこし・まちづくり・観光」の前の日々の暮らしそのもののところでの男女共同参画というところで、一人ひとりがそれこそ啓発の対象になるというより担い手になっていくことが、第2ステージである第3次計画の非常に重要なテーマだろうと考えます。
 日々の暮らしのところで地域の子ども会活動や地域防犯活動などに男女がともにどう担い手になっていくかとか、あるいは高齢者、特に女性が多いんですが、おひとり暮らしで、地方ではどんどんバスなども撤退していっています。そういう中で、移動さえままならないようになっているときに、ではどういう移動の足を確保していくのか。あるいは、電球を替えたりすることができないんだけれども、そういった日常の暮らしのちょっとしたことをどうするのか。あるいは、男性たちがなかなかお買い物に行けない状況に対してどうするのか。
 そうした生活援助、あるいは生活的自立の部分、あるいは消費者問題も私は担当しているんですが、消費者問題などでもやはり寂しさから話し相手を欲してだまされるというのは女性も多いんですが、高齢男性に大変多いです。
 そういった意味でカッコの中なんですが、暮らしということが先にあった方がいいのかなと思いました。地域おこし・まちづくりというと、頑張ってそういうことをやろうというよという感じがありますが、何よりも日々の日常の暮らしそのものがこれだけ地域の人間関係が希薄化して、家族の人数が非常に少なくなっていって、ひとり暮らし世帯が増えていく中で壊れてきているという状況がありますので。そうした視点を含めてここは書き込んでいくことができたらと思いました。
羽入会長
ありがとうございます。地域の生活基盤ということをいわば基本的な視点としてということですね。
 では、帯野委員どうぞ。
帯野委員
今の御意見に特に反対というわけではないのですが、やはり女性の自立であるとか、経済と女性ですね、女性の活躍による経済の活性化という点では「地域おこし・まちづくり・観光」も重要だと思うんです。やはりここは暮らしというところと経済というところとどちらを優先させるのかという問題ではなくて、一つにくくるのは無理があるのかなと思います。
 ただ、この項目立てから言うと、一つにくくらないといけないのであれば、別にどちらが先でも構わないのですが、この3つと後の2つの間にスラッシュを入れるとか、一つのくくりにするのは多少無理があるんじゃないかと感じました。
羽入会長
どうぞ。
坂本委員
今の議論に関連してですけれども、地域で暮らしていると男女共同参画は経済にも当然影を大きく落としていると思うんですが、日々の生活にものすごく影響を与えてきているなという実感があります。
 そういう意味では、さっきからの御議論の中であるように、「重点分野」の中に暮らしとか生活という項目が1個立ってもいいのではないなという気がします。ほかの部分とも関連してくるんですけれども、経済活動から離れてしまった高齢の方などはやはり入ってこない部分もあろうかと思います。
 それから、1ページ目から思っているところなんですけれども、「社会情勢の変化についての現状認識」辺りは割とリアルなことが言われているのですが、3番目の「基本的考え方」になると割と従来からの流れの文言の使われ方が多いなと思っています。もう少しトーンを精鋭化してもいいのではないか。
 例えば、「基本的考え方」の1つ目の「多様な生き方を尊重し、すべての人が職場、地域、家庭などあらゆる場面で活躍できるよう、身近な男女共同参画を進める」と書かれているんですけれども、ここの部分は3つ目にあるセーフティネットにも実はつながっていて、能力を全部発揮してサバイブしていかなくちゃ生きていけないような状況を抱えている人がいっぱいいると思うんです。「尊重」とかという言葉ではもう語っていられないような感覚を持っていますので、このⅢからⅠVに移っていくところで、せっかくⅡのところで結構リアルなことが表現されているのに、ちょっとトーンが落ちてしまって共感性が薄れているような印象を持ちました。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 今、お3方の御意見と少し関連させられるかと思うんですけれども、分野にするのか、あるいは「喫緊の課題」のところにそういった暮らしと経済と少し切り分けた視点、より経済状況がよくなってというようなことと同時に暮らし自体が危ぶまれている状況があるというようなことを入れるのも一つの方法かもしれないと今、個人的には思いました。
 ほかにはいかがでしょう。どうぞ、山田委員。
山田委員
分野の間の関連性というのをどうつけていくかというのがひとつお願いしたいところでございます。
 つまり、この複数の分野にまたがる問題というのが、私がざっと見ただけでも幾つかありまして、例えば先ほど清原委員がおっしゃったように、「高齢者・障がい者が安心して暮らせる条件の整備」と「女性に対するあらゆる暴力の根絶」というのは、高齢虐待女性が同居の不安定な息子に虐待されるというケースが増えている。これは[3]の雇用にも関係しているわけですけれども、そういう問題から生じているというところがあります。つまり、[6]と[7]はなかなか切り離せない問題として存在しているので、重複してまたがる分野に関する課題をどういうふうに書くかを工夫していただきたいということはあります。
 あとは、私は実は[2]番と[3]番と[5]番、[4]番はほとんど同じようなことを言いたいのかなというような気がしております。つまり、生活と仕事の調和を阻んでいるのは何かとか、「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」を阻んでいるのは何かとか、そういうことを見てみると、結局[2]番に集約されてしまうような気がします。
 私はこの場面で何度も言いましたけれども、やはり新卒一括採用で再チャレンジがしにくい雇用慣行と、正社員と非正規社員、フリーランス、自営業間のさまざまな待遇格差というものが[3]番、[5]番、もしかしたら[4]番も含めて関係してくると思っております。
 つまり、分野はこういうものがある。結局、対策としてはそういうものを個々別々に書くような形になるのか。それとも、統一的に[2]番と[3]番と[5]番のためにはこれとか、[6]番と[7]番を合わせたこれにはこれというふうに書くのか。そういうところを考えていただけたらと思っております。
 あとは、ありがたい点としては[3]番で「雇用等」という形で自営業、フリーランスの方も対象にしていただいたことは非常に感謝いたします。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。どうぞ。
勝間委員
今の山田委員の発言に賛成でして、「重点分野」の14項目は可能であれば、その前のページで「新たな視点」と「喫緊の課題」ということで5項目にわざわざ切り分けていますね。それに可能な限り近づけて分類ができないでしょうか。そうすると、頭にすっと入りやすいと思いますが。
羽入会長
確かに勝間委員のおっしゃるとおり、山田委員のおっしゃっていたことも、読む方としてはその方が読みやすいかと思っています。
 今、こういったことも含めて議論していただき、問題点を指摘していただきたいと思いますが、[1]から[14]まで並んでいますのを非常に独断的に少し関連づけるとすると、私はこういうふうに理解いたしました。それを材料にしていただければと思います。
 [1]から[5]までというのが一つの区切りで、そこには政策に関すること、制度に関すること、あるいは国民全体の意識に関することがテーマになっている。
 それから[6]、[7]、[8]というのは、あらゆる人々を対象にするということを言っていましたが、その対象の1グループというんでしょうか、高齢者、障がい者、暴力を受ける女性、それから生涯を通じた女性ということがある。
 それから[9]、[10]というのは、いわばこの男女共同参画社会を実現するための方法、手段というふうに言ってもいいかと思います。
 そして、[11]から[13]まで新たな切り分けになったんですけれども、これは新しく我々が注目している、いわば第2グループの対象と言いますか、対象その2と言ったらいいでしょうか。そのようなものがある。
 そして、[14]番目は今回、特に注目している国際というものがある。
 この順序がこのままでいいかどうかはわかりませんけれども、例えばこのようにして今、勝間委員がおっしゃったように「新たな視点」に対応させることとか、それから山田委員がおっしゃったように少しこの順番を変えることによって見やすくなるのではないかというふうな気はしております。ここを工夫すると、もっとよいかという気がしております。ありがとうございます。
鹿嶋会長代理
足を引っ張るような意見ばかり言って恐縮です。要するにこの「重点分野」のそれぞれに「新たな視点」と「喫緊の課題」が双方に混じっているんです。この14項目の中にそれぞれがあるんです。例えば、[14]番にも「喫緊の課題」と5年を見据えたものがある。
 だから、「重点分野」については14項目を「喫緊の課題」と「新たな視点」と分けるのは非常に難しいと私は個人的には思っております。それぞれの分野に新たな「喫緊の課題」というものがあって、またもうちょっと長期的に見たものもあって、というよに入り混じっているし、これは単なる行政プランですから、ここは山田委員が言ったように関連づけるのは必要かと思っていますけれども、これを更に喫緊のものと分けてしまうと混乱してしまうんじゃないですか。どうでしょう。
羽入会長
ただ、やはりある程度こちらが意識して、こういうグループ分けで書いているというようなことがあった方が、読む方としてはわかりやすいかなというような気がいたします。2人の間で言い争うつもりは全然ないんですけれども、そんなに方向が違っているとは思いませんので。
 では、林委員どうぞ。
林委員
私は、この現行の枠組みでよろしいのではないかという印象を持っております。
 1つは、この基本問題調査会の最初の会議で私が申し上げた記憶があるのですが、北京行動綱領が源になっているという歴史的な経過もございますので、やはり外国の人が見たときにわかりやすいということが私は1つ必要だと思います。
 特に私は女性に対する暴力は残してほしいと思います。これは、ドメスティックバイオレンス法をつくるときも、諸外国の法令によっては高齢者虐待などと一緒にしている法制もあったわけですけれども、ジェンダーの間での暴力であるとか、親密な性的な関係にある男女間での暴力というのは、それ固有の潜在化する理由があるということで日本でも法律をつくった経緯があります。
 女性に対する暴力は非常に広い概念でセクシュアル・ハラスメントであるとか、ポルノグラフィーの問題であるとか、あるいは途上国の女性が日本の農村部の男性と見合い結婚をするということも、女子差別撤廃委員会などでは例示しています。もちろん日本を名指しにしているわけではなくて、そういうことの中に潜む女性差別の問題も見直していこうと言われていまして、非常に広い概念ですので、これはこれで独立の項目を持っておいていただきたいと思います。
羽入会長
ありがとうございます。どうぞ。
辻村委員
今回の[13]に「新たな視点による」というものが入っています。これは、第2次計画でも第12分野で「新たな」というのを入れて、5年たって「新たな」を3つに分けたという御説明だったのですけれども、どうでしょうか。
 男性とか、子どもとか、外国人とかというのは昔から差別はあったので、今更やっと気が付いたかというふうなことを書くのも何かと思いまして、ここは例えば生活者の視点によるとか、個人の視点とか、もう少し表現を変えて、ここだけ「新たな」というのを使うのは、これはこちらが気が付いたという話で、状況からすると別に新しい問題でも何でもないという気がいたします。
 それで「新たな視点」というのは、この前のページで一応今回は個人のレベルに着目しましたよということを書いてあるので、資料1の「新たな視点」のところの[2]、[3]、[4]を一緒にして、まさに個人の視点かなということですね。それで、ここはまた「新たな」というのを書かないで、これは対象のところですから、先ほど会長が御説明になったところでは[6]、[7]、[8]でしたか。少なくとも高齢者であるとか、そういったところと一緒に対象、個人の問題として入れた方が整合性があるのかなという感じがいたしました。
羽入会長
ありがとうございます。実は、私もここはとても気になっていまして、「新たな視点」というのが前のページにあるのに、この「新たな」はどういう「新たな」なのかしらと思っていたのはきっと皆さんも御一緒かと思います。ありがとうございます。
鹿嶋会長代理
この「新たな視点」について事務局とすり合わせをやったとき、私は必要だと思ったんです。
 なぜかと言うと、多少くどくてもいい。資料1の「新たな視点」、「喫緊の課題」というのは重点事項なんですね。これは、今回2つに分けたわけです。その重点事項の中の5つが「新たな視点」として入っているわけですが、次のページの「重点分野」を見ていただくと、さっき山田委員が指摘していましたようにいろいろなものがまたがって埋没したりするわけですね。高齢者の問題と女性の暴力、高齢者の中に高齢者虐待などが入ってくるはずです。
 ただ、そういう中で1つの特徴を出す手法として、「重点分野」の中にこの新たなものとしてダブり感は完璧にあります。ダブっているんですが、特出ししてみた方がいいのではないか。要するに、総理も主張していた、男性は変わらないじゃないかというふうなことで男性をどんと出すとか、生活困難は今、喫緊の課題ですね。そういう意味でも出していく。これは外国人もそうだということで、私はいいのではないかと思っているんですが、どうぞ反論があったら。
羽入会長
どうぞ。
辻村委員
この点ですが、先ほど林委員もおっしゃったと思いますが、今、世界は男と女という切り分けではなくて、個という視点に立てばその個人が複合的な性差だけではなくて、年齢であるとか、階級であるとか、複合的な差別を受けているという流れだと思うんです。ですから、1ページ目の「新たな視点」のところに、男、子ども、生活困難者ということが出てきたのは、そういう意味では主体に注目したということで一つにまとめることができるのではないかと思っています。
 ですから、そういう面で言えば高齢者とか障がい者もやはり主体の問題ですので、高齢者、障がい者は今まで気が付いていたけれども、男、子どもはこれまで気が付いていなかったから「新たな」というのも、ちょっと……。
 それは特徴を出したいという気持ちは大変よくわかるのですけれども、高齢者であったり、男性であったり、子どもであったりというのは階層だとか人種だとか、いろいろなものが入り組んでいますから、そこをうまく主体としてまとめた方がいいかもしれないという感じがします。男の視点に注目するということは、まさに1ページ目の方に強調項目として書くことでもいいかもしれないと思っていまして、これはまたこれから御議論をさせていただきますが、ほかの方々の御意見をよく伺っておく必要があると思います。
鹿嶋会長代理
そうですね。私自身も含めて、とにかく変わらないから男性問題を出したいという思い入れはあるんですね。
辻村委員
それはよくわかるのですけれども、初めてぱっと見たときに、やはりここだけ違和感がある方もいらっしゃるのではないかなという感じは持ちました。
羽入会長
この点について少し御意見を御自由におっしゃっていただきたいと思います。やはり私は、この計画はいろいろな人が見て理解しやすいものになってほしいと思っております。そういう点で、鹿嶋先生がおっしゃることもとてもよくわかりますし、ここがいわば強調点ということもわかるんですけれども、整理がされていないんじゃないかという印象だけは持たれたくないと思いますが、いいアイデアはありませんでしょうか。
 では、また思い付きましたらいつでも御発言ください。その他の点で結構ですので、どうぞ。明日から起草のワーキングが始まりますので、なるべく早い段階で御意見を言っていただける方がありがたいと思います。
 どうぞ、坂本委員。
坂本委員
私は、先ほど来からの議論の「新たな視点による男女共同参画の推進」に「男性、子ども、生活困難、外国人」とまとまっているということで、むしろ男性だけで1本立てたいというぐらいの思いがあります。
 というのは、本当に20代、30代の男性の変化を見ていると、今こそしっかり男女共同参画の中で自分たちのテーマだということで打ち出してほしいというところがありますので、「新たな視点」という表現がどうかということはあれですけれども、男性で特出しをするタイミングとして今、出さないと逸してしまうような気もちょっとしていますので、出し方の精査はあろうかと思いますけれども、鹿嶋委員のおっしゃったようなことで、是非何らか出していただきたいと思います。
 ここが変わることによって、特にワーク・ライフ・バランスの部分とか、いろいろなものが変わっていく大きな第一歩になろうかと思います。以上です。
辻村委員
今の点で言えば、[2]のところに意識が入っていて、[9]のところにメディアが入っているのですけれども、[2]のところをむしろ社会制度とか雇用慣行とかだけにして、意識の問題をメディアのところとかに付けて、それで男性を1本、その近いところに出すというのも一つの案かもしれないという感じは持ちました。
羽入会長
ありがとうございます。意識の改革というのは、確かに[2]のところでは少し違うかなと思っております。それで、メディアというのが重要なのですが……。
 では、林委員どうぞ。
林委員
私も今の坂本委員、辻村委員の御意見に触発されて、男性に対する取組が今まで弱かったのではないかというのは事実でございますので、男性の方は「新たな視点による男女共同参画の推進(男性)」、あるいは男性に対すると言ったら失礼かもしれないけれども、男女共同参画の推進にして、子ども、生活困難、外国者、それから高齢者、障がい者はむしろ多様な視点の方だと思うんです。
 「新たな」ではなくて多様性、ダイバーシティの問題だと思いますので、男性とは切り離してむしろ[6]の高齢者・障がい者と子ども、生活困難、外国者、その他、その複合的な差別を受けている人たちについての問題を別項目に立てればいいのではないかと思いました。
羽入会長
どうぞ。
清原委員
私も、男性にとっての男女共同参画の推進というのを1本立てた方がいいと思います。男性を「対象化」して、男性に「対する」というのではなくて、むしろ男性にとって男性自身が担い手になっていく。そうした取組は、ある意味で若い世代は子育てなどの領域では肩ひじ張らずにすすめてきているところも一面ではありますので、男性にとっての男女共同参画の推進というのが今回の大きな特色になって特化されていいのではないかと思いました。
鹿嶋会長代理
すみません、今度はマッチポンプということで、私の言ったことを消す側に回るのですが、重点事項の方に男性を入れるのは何ら違和感はないんです。
 ただ、「重点分野」の[13]の「新たな視点」のところに男性だけを特出ししてしまうと、実は男性はいろいろな分野に関わってきている問題なので、これは重点事項ならばなじむのですが、分野で男性の特出しというのはなかなかなじまないようなところがある。
 ですから、むしろそれは子どもとか生活困難とか、特色として今回ここにポイントを置きましたよというようなことを皆さんに強調するために、むしろ幾つか複数に並べた方がやりやすいんじゃないかなとも思うのです。
 すみません。本当にマッチポンプみたいになってしまって。
羽入会長
私、個人的には今、鹿嶋先生がおっしゃったように、男性というのを特出しした場合に、すべてのことを書かなければいけなくなる可能性があるかなと思っておりました。
 例えば、もう一つの考え方としてですけれども、順番は余り関係ないのかもしれませんが、例えば[13]を[5]と[6]の間に持ってくるとか、そういうこともあり得るかもしれないと思いました。
 どうぞ、皆様御意見を。
山田委員
目的と手段がごっちゃになっている印象があるんです。仕事と先ほど言ったのは、「生活と仕事と子育ての調和」というのは純粋な目的であって、そのために均等待遇とか、女性の参画の拡大とか、いろいろあると思うので、そこをもし書き分けるんだったら難しいかなということが1つです。
 それから、男性についてということがありましたので1点だけ、細かな確認ですけれども、今日は伊藤委員がいないので、例えば「女性に対するあらゆる暴力の根絶」というところに児童ポルノが入るんだったら、それは多分いわゆる男性、児童に対する虐待も入ってくるんだろうし、「生涯を通じた女性の健康支援」というところには男性部会でも幾つか検討しましたけれども、性差医療的なものも含めて書くのか。それとも、新たに出てきた男性に関する問題をまとめて[13]の方に書いてしまうのか。出し方を工夫していただきたい。
 [13]のところに入れられないんでしたら、女性とは言いながら、その後ろには男性も透けて見える女性の問題であるということであればと思っています。
羽入会長
ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。
 資料1全体に関してで結構でございますけれども、特に起草ワーキングの委員の方々から、この点はどうなんだというようなことがおありでしたら御質問いただいてもと思います。
 では、石川委員どうぞ。
石川委員
先ほどの[13]ですが、「新たな視点による男女共同参画の推進」という表題にすると、切り口、視点を明確にして、ここから切っていくとこういう問題とこういう問題とこういう問題が出てきましたよというふうに読むのか。こういう問題とこういう問題が出てきたので、もう少しこういう視点で男女共同参画をやっていかないといけないよという書き方をするのか。
 そのどちらかによってここの表題の書き方、いわゆる「新たな視点による男女共同参画の推進」とするのか、「男女共同参画における新たな必要とされる視点」とか、そういった書き方にするのか、分かれてくるだろうと思うんです。したがって、この項目を立てるときの切り口とか、構成とか、そういったものを考えたら、おのずから何か決まってくるんじゃないかという気がしているんですけれども。
羽入会長
今のお答えになっているかどうかわかりませんけれども、特に第3次の計画を考える際に注目すべきものとして、切り口というよりも、特にこれまで重点的に扱われていなかった分野を新たに取り上げた、特出したということではないかと私は理解しております。
石川委員
わかりました。それならば、そういった視点での書き方というのがあるんだろうと思っています。
河野委員
今の議論の個人的な考えなんですが、今回は全員だれしもが対象ということで、だれしもが加害者にも被害者にもなる状況というのを一人ひとりが認識するというのはすごく重要だと思います。
 例えば、障がい者というのはいつ障害になるかわからないし、高齢者は必ず通るところだし、子どもは通ってきたところだということでいくと、男性と女性だけは特別なことがない限りお互いに違う分野ですね。
 ですので、これは私の個人的な意見ですけれども、[13]を例えば先ほどどなたかがおっしゃいました「多様な視点による」というふうにして、この中に男性を取ったものと、プラス例えば高齢者、障がい者のようなものを入れてまとめておくというのが1つと、私はどうしても自分の企業だとか職場という観点から見ると、どちらに出すかはちょっとわからないんですけれども、男性は別に出したいなという意識ではあります。以上です。
羽入会長
ありがとうございました。今の御意見ですけれども、出したいというのは、特に新たな項目立てという意味ですか。
河野委員
男性はこの中に一緒にするのではなくて、1つ別にする。「重点分野」にするか、こちらのページにするかはまだ結論が出ないんですけれども、男性を1つ別くくりにするということに賛成で、それ以外は多様な視点のような形で視点を入れて括弧でたくさんくくった方がいいかなというのが個人的な考えです。
羽入会長
今の御意見に対してはいかがでしょうか。どうぞ。
清原委員
男女共同参画基本計画というのが、よりたくさんの人に身近なものとしてユースフルである。どこか関係ないところでだれかがつくっているものというのではなくて、多くの人々にとって、私たちにとっての男女共同参画基本計画なんだということをぜひ実行していきたいと思いますが、やはりそれを実行していくのは例えば地方自治体であったり、地域団体であったり、あるいは企業だったりということであろうと思います。
 そういう意味で例として言いますと、[2]の「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」、こういった文言というのはこれまで何十年もやってきているわけです。しかしながら、私は自治体の職員ですが、そういう中でやってきていても、やはり女性「が」問題だというふうに言われていた時代が長かったわけです。それがやっと女性「の」問題というところまでは何とかきているんですが、あくまでも女性の問題であって、ワーク・ライフ・バランスも女性が家庭と仕事をどう両立するかという問題で、女性の働きやすい職場づくりに頑張っていきたいと思いますと言われる方もまだ大変多いです。その方が多数派です。
 女性が問題とか、女性の問題とかではなくて、女性と男性の問題なんだということで第3次基本計画を打ち出していかないといけないし、それがやはり地域での実践、一人ひとりが意識改革や社会制度・慣行の見直しの対象ではなくて、一人ひとりが担い手になっていくんだということが今回の計画の大きな特色になっていこうかと思います。
 一人ひとりが客体ではなくて担い手になる。地域の実践につないでいくといったところを打ち出していくことが必要で、いろいろなところで普及啓発していくときに、先ほど来お話が出ていますが、この「重点分野」の切り方としていろいろなレベルが混じっているものですから、これを例えば私などが現場の市町村に行って話をしたときに、なかなかこれはわかりにくいなという感じがあります。
 そういう意味で、男女共同参画というのは女性が問題だとか、女性の問題だとかということではなくて、男性の問題なんですよということを大きく打ち出していくことは、これを広げていって国民一人ひとりのものにしていくときに非常にわかりやすいのかなと思います。わかりやすい計画、ユースフルな計画、役に立つ計画ということをしていくときに、もう少し明確に出された方がいいのかなという感じがしております。
羽入会長
ありがとうございます。
 今、個人として発言をしているんですけれども、例えばそのときに男性もということで新たな項目を1つ立てるよりも、例えば[13]で先ほどどなたかの御意見もございましたけれども、新しい視点、どういう表現を使うかは別として、「男女共同参画の推進(男性)」とする。そうすると、新しくここに付け加えましたということが明示されるという意味では有益かなと思います。
 それから今、清原委員がおっしゃったことと関連させて申し上げますと、「重点分野」はこれまで12ありました。第2次の計画のときに12ございまして、それを少しずつアレンジしているんですね。全く新しく構造を改革してしまうよりも、第2次のフォローをきちんとして、それに加えて我々は第3次をつくっているんだということをわかりやすく示すということもあり、そういう意味ではこの[1]から[14]までがそれを踏まえているという点では、この構造はやはりある程度尊重するのが重要かとは思っております。
 ほかに御意見、要望等をおっしゃっておいていただければと思います。
辻村委員
ここで感想をお伝えした方がいいかと思うんですが、例えば子育てを第5のところで加えたということは、趣旨としては子育てを今回重視しましたということでもちろんわかるんです。
 ですけれども、ワーク・ライフ・バランスということでやってきて、生活と仕事ということでやってきました。その生活の方に、結局は介護だとか家事だとか子育てがあったという認識で今までずっとやっていたと思うんです。その子育てだけをここに出して三項対立にしてしまいますと、ではこれまで言っていたワーク・ライフ・バランスに子育ては入っていなかったんですかとか、ここで言う生活というのは何が入るんですかとか、介護というのは入らないんですかとか、いろいろな反論が出てくる可能性がある。
 もちろん高齢者の方は介護される側ですから、介護をする側の方からしたら家庭介護などは5番の方に入ると思うんです。そうすると、子育てだけを特出することによって構造を崩してしまって、逆にさっき危惧されるとおっしゃいましたように、よく考えられているんだろうか、よく整理されているんだろうかということに対して危惧を与えてしまうと逆効果になってしまいます。そこはいかがなものでしょうか。
羽入会長
これについては、委員の皆様の御意見を是非伺いたいと私は思っております。
坂本委員
私もここで子育てが出てきたのはおっしゃるとおり、あれっと思ったんです。
 ただ、子育てはとても重要で、少子化などともつながってきているので強調するべきことであるのかなと思うんですけれども、今おっしゃった御指摘は同じように実は同じように感じておりました。新しい言葉に対して、どういう本文が続いていくのかということも含めて検討しないといけないのかなと思いました。
羽入会長
ほかの方の御意見はいかがでしょう。
河野委員
では、簡単に。私も今のお2人と全く一緒で、若干違和感を感じ、書くならば「生活(子育て何々)」みたいな形でないと今までのものとの整合性は取れないかなと。
 あとは、シングルの方とか子どもを持たない選択をした方から反論があるだろうなということを考えると、もう少し考えた方がいいなと思いました。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。こちらでは、仕事と生活の調和というワーキング・グループもありましたし、そこで議論されてきたことはやはり子育てだけではなくて高齢者の介護の問題もあったと思いますので、私も個人的には違和感がございますが、これによってその調和についてのこの会での考え方が狭くとらえられないようにしなければいけないだろうと思っております。
 ここは、また少し皆様と議論をしながら決めていく。起草ワーキングで検討していただきつつ、この表現をどうするか考えていくことになろうかと思います。
 鹿嶋先生、それでよろしいでしょうか。
鹿嶋会長代理
おっしゃるとおりで、ワーク・ライフ・バランスの考え方が少しずれてしまうかもしれません。ライフの中に子育て、介護、コアな部分と更には地域へのつながり、生活、趣味とかいろいろ入っていますので、おっしゃる通りかもしれません。
羽入会長
では、これ以外に御意見はいかがでしょうか。
 これらに関して、御意見はほぼ出尽くしたと見てよろしいのでしょうか。予定の時間は少し早うございますけれども、それでは今日の議論を踏まえまして起草ワーキング・グループで起草作業をしていただくことになりますが、既に次回の調査会ではそのワーキング・グループからの中間報告をいただきまして、それについて更に議論を深めていこうと考えております。
 今の場でおっしゃってくださって一向に構いませんけれども、もし後でまた思いつかれて、どうしてもということがございましたら事務局の方に10日までに。
辻村委員
すみません。横長の、昨年の8月の段階で現状ということをとらえた用紙がございます。ここでは、意思決定過程において女性割合が低いでありますとか、あるいは最後の方に女子差別撤廃条約の選択議定書が未批准であるとか、そういう現状が書かれております。
 このときには、例えば固定的役割分担意識が非常に根強いとか、そういったことが現状としてあって重点事項を考えてワーキング・グループに分けていったと思いますが、ここに書かれている現状の中で資料1に反映されていないものがかなりあるのですね。先ほどの女子差別撤廃条約もそうですし、固定的役割分担などもそうですけれども、やはりここに書いてあることは少なくとも総論のところに出てきた方がいいと思います。どこかに入れようと思えば入ると思いますので、そのような発想でよろしいですね。
羽入会長
そうですね。そのようにお願いいたします。その現状認識から私たちは出発してきたと思いますし、それから重点事項を分けてワーキング・グループをつくって、そして更に今回幾つかの項目、分野に分けましたけれども、おっしゃるとおり出発点にもう一度振り返って、まず最初の現状認識として書くべきことを少し起草ワーキングで議論していただければと思います。ありがとうございます。
 それでは、今回の議論はこれまでにいたしまして、また思いつきましたら10日までに事務局の方に御意見をお寄せくださいますようにお願いいたします。
 それでは、最後に事務局からお願いいたします。
大西企画官
次回は、2月24日水曜日15時から今回と同じ会場、永田町合同庁舎共用第1会議室での開催となります。次回は、起草ワーキンググループからの中間報告を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
羽入会長
起草ワーキングの先生方には大変お手数をおかけいたしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これで54回の基本問題・計画専門調査会の会合を終了いたします。どうもありがとうございました。

(以上)