男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年1月19日(火) 9:30~11:30
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
    石川 哲也 神戸大学大学院教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    岩井 宜子 専修大学大学院教授・副院長
    岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    勝間 和代 経済評論家・公認会計士
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    清原 桂子 兵庫県理事
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授

(議事次第)

  1. 各ワーキング・グループからの報告
  2. 今後の進め方
  3. 自由討議

(配布資料)

資料1
地域ワーキング・グループにおける論点 [PDF形式:123KB] 別ウインドウで開きます
資料2
女性活躍推進法ワーキング・グループにおける論点 [PDF形式:288KB] 別ウインドウで開きます
資料3
男性ワーキング・グループにおける論点 [PDF形式:161KB] 別ウインドウで開きます
資料4
健康ワーキング・グループにおける論点 [PDF形式:137KB] 別ウインドウで開きます
資料5
国際ワーキング・グループにおける論点 [PDF形式:109KB] 別ウインドウで開きます
資料6
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)ワーキング・グループにおける論点 [PDF形式:347KB] 別ウインドウで開きます
資料7
監視・影響調査ワーキング・グループにおける論点 [PDF形式:255KB] 別ウインドウで開きます
資料8
今後の進め方(案) [PDF形式:60KB] 別ウインドウで開きます
資料9
答申に向けた論点(案) [PDF形式:272KB] 別ウインドウで開きます
羽入会長
皆様、おはようございます。お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、52回基本問題・計画専門調査会を始めさせていただきます。
 本日議論いたしますことは、それぞれ委員の皆様がワーキング・グループで議論いただいたことを、各ワーキング・グループの主査の皆様に論点等を御報告いただくことにいたします。その後で、まとめて質疑応答をするというふうにしていきたいと思います。
 本日御報告いただきますのは、女性に対する暴力に関するワーキング・グループ以外の7つのワーキング・グループです。それぞれワーキング・グループから7分程度を目途に御報告いただきたいと思います。そういたしまして、今回はワーキング・グループの御報告を伺い、そのワーキング・グループの御報告に対する問題の指摘、そして第3次計画をまとめていくに際しての論点の整理などを行いたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日福島内閣府特命担当大臣においでいただきましたので、大臣からまずごあいさつをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
福島大臣
皆さん、おはようございます。
 基本問題・計画専門調査会委員の皆様におかれましては、昨年より第3次男女共同参画基本計画の策定に向けた議論に御尽力をいただきまして、本当にありがとうございます。
 今回の専門委員会から、一般の方々にも公開されることになります。開かれた議論が行われることで、男女共同参画への関心が高まることを本当に期待しております。
 私にとって、男女平等というのは、自分自身の子どものときからの思いでありまして、この社会の中で女の子も男の子も、女性も男性も本当に生き生きと過ごせるような、性によって何かが障害になったり、できないことがあったり、悔しい思いをしたりということを本当になくす社会、いい社会を全力でつくっていきたいと思っております。
 お正月明けに、フランスに行ってきました。出生率が2.0を超えていて、ワーク・ライフ・バランスや、保育所や、男女平等や、多様化した家族や、そういう中で女性がやはり生き生きと生きられることが問題解決のカギだということを確信しました。
 それともう一つ印象的だったのは、フランスで、ダルコス雇用・少子化・男女共同参画担当大臣という男性の閣僚にお会いをしましたが、民間企業における管理職あるいは取締役会への女性の参画について、フランスは相当進んでいると思うんですが、もちろん進んでいないところもありまして、クォータ制を導入するという法案を出そうかという意見があり、出すことになる可能性は高いとおっしゃっていて、ノルウェーに次いでフランスもそうかというふうに思いました。かなり日本に比べれば進んでいると思われる国で、どうやって本当に実効性のある男女平等を実現するか、意欲的に取り組んでいることに、実は非常に触発を受けました。
 それで、第3次基本計画については国民の皆さんの期待がとても大きいんですね。5年前につくられたときと違って状況は変わった。やはりいい計画をつくってほしいと、ものすごく女性団体も、女性たちも、国民の皆さんも本当に思っていらっしゃいます。
 ですから、皆さんに本当にお願いがあります。
 本当に実効性のある、男女平等を大きく促進するような、ここまで踏み込んだかというか、ここまで頑張ろうよというような第3次男女共同基本計画を是非意欲的につくっていただきたいと考えています。男女不平等を昔話にしたい。そのために、第3次は非常にいいものをつくってくださるよう、本当に期待をしております。
 とりわけ、貧困の問題や雇用の問題、これも深刻です。私は、日本の社会で女性が当たり前に働き、働き続け、子どもを産み育てる賃金を得ることが、一部を除いて困難であるということに、非常に怒りを感じております。当たり前に働いて、当たり前に子どもを、もし望めば産み育て、当たり前に賃金がもらえる。そんな社会のためには、雇用の問題にも大きく踏み込んで変えていかなければならないと考えています。
 この第3次基本計画が、多くの女の人に、私のことだ、あるいは男性に、僕のことだ、女の子に、私のことだと思ってもらいたいし、困難を抱えるマイノリティの人たちには、やはり大きくそれを支援していく。そんなものになるように、心から期待をしております。ひとえに皆様方の学識、経験、情熱というものにかかっておりますので、どうか本当によろしくお願いいたします。
 私は最近、政治はあらゆる可能性にかけていく技術と情熱だと思うようになりました。情熱と技術はやはり必要で、皆さん方の精力的な御議論と情熱と技術に本当に期待をしております。どうかよろしくお願いいたします。
羽入会長
福島大臣、ありがとうございました。情熱的なお話で、何とか力を駆使してまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。
 大臣には、時間の許す限り議論をお聞きいただけると伺っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、先ほど申し上げましたように、各ワーキング・グループからの報告をお願いいたします。
 まず、最初に地域のワーキング・グループです。清原主査からお願いいたします。
清原委員
兵庫県理事の清原です。地域ワーキング・グループにおける論点について御報告いたします。
 ここで言う「地域」ですが、自治会や婦人会などの地縁の地域団体、テーマでつながるNPO、それから「まちの保健室」など地域の子育て相談や健康相談などに取り組んでいる看護協会等さまざまな職域団体、それから登下校の見守り活動などに取り組む個別の企業の活動も広がってきておりますので、こうしたさまざまな主体が取り組む地域活動を総称してここでは考えたいと思います。
 まず「現状」で「家族形態の変化」というところですが、少子・高齢化の進展、高齢女性を含む単身世帯、あるいはひとり親世帯の増加などがさらにこの間に進んできています。
 また、「地域によるちがい」、例えば保育所の待機児童問題は都市部では大変大きな問題なのですが、兵庫県でも郡部におきましては子どもの人数を確保できないことによる保育所の定員減が毎年何百人規模で起こっています。こうした待機児童と定員減、子ども集団を確保するための幼保の統合といったことが同時に起こっているということであり、地域による差というのが大変大きくて、一律の取組というわけにはいかないということです。
 また、[3]の地域社会で言いますと、地域社会の人間関係の希薄化が一層すすんでいます。そういう意味でも地縁型、テーマ型、あるいは今、申し上げました職域団体や企業などの取組が重層的に展開される必要がある。行政は、これまであっちがあればこっちはなくていいと発想しがちでしたが、そうではなくて多様な活動の重層的な展開、言うなれば地域活動のバックアップ、1つが切れても、弱まってもほかがあるという活動を展開する必要があります。
 一昨日、阪神・淡路大震災から15周年の追悼式典が行われましたが、そうした人間関係のバックアップがつくれるような地域活動が重要であるというのが、震災の大きな教訓でもあります。
 [4]ですが、全国には男女共同参画センターが340あり、これは大変大きな資源です。この340の男女共同参画センターを更に一層活用していく必要があります。あわせて、男女共同参画センターと子育て支援の拠点施設や福祉施設、あるいはボランティアセンター等々、各種施設、機関との連携強化も喫緊の課題です。
 次のページをお願いします。活発な農村地域の手づくり加工品グループなどには必ず元気な女性がおりますし、自主防災組織も過疎化や高齢化、あるいは昼間人口の減という中で、もはや女性がいないと立ち行かなくなっています。そういう意味で、これまで男女共同参画というと性別役割分業意識の問題、女性の登用、セクハラの防止という、この3つのことでしょうという受けとめられ方がまだまだ地方では強いですが、そこをもう一つ乗り越えて、地域の課題解決と男女共同参画が重なっているということを見えるようにしていくことが重要だということです。
 次の(1)で、特に(1)の[2]の「男女共同参画推進の手法」というところです。意識を変えて具体的取組をしてくださいということも大事ですが、しかし、そこから更にもう一歩進めて、具体の取組をする中でこそ意識も変わって人間関係もつくられて、結果も目に見えてきて手ごたえも得られる、そこから新たな広がりにもつながる。そうした課題解決型の実践活動のステージ、第2ステージに移行することが必要であるということです。
 (2)でそのための支援として、情報を収集し、共有し、わかりやすく加工して提供していく。先進事例やノウハウ(know how)、やノウフー(know who)、全国的データ、こういったことを、ITも活用してリアルタイムで共有することによって、ほかの団体やグループも、うちもこれだったらこんなことができるなということを同時進行的に参考にできるようにする。10年前の取組ではなくて、今の取組を共有できるようにすることが必要だろうということです。
 [4]、次のページですが、地域活動を担う団体やグループ、あるいは人材といったものに対して評価していく仕組み、そのことをもう少し進めていく必要があります。評価があることで、活動に取り組む人たちの生きがいやインセンティブにもつながるような仕組み、そうしたことが必要だろうということです。
 [5]の「ネットワーク形成支援」のところで言いますと、男女共同参画推進連携会議、既に国レベルで非常にたくさんの団体に参加していただいていますが、そうした国レベルで連携会議に参加している団体は、それぞれ都道府県、市町村レベルの団体を持っています。それぞれの団体の国、都道府県、市町村というタテのつながり、それらがヨコで、国レベルでつながるのと同じように府県ごと、市町村ごとでつながる。そうしたタテとヨコのつながりを広げていく必要があるのではないか。この間、府県レベルでも既に約10の連携会議ができてきていますので、そのことは大変大きな前進であると考えております。更に広げていきたい。
 それから[6]ですが、先だって政府主催の全国知事会で、福島大臣からデータをマップに落として示されましたが、これはその後、知事さんたちの間でも話題になって、大変大きな反響があったそうです。その意味で、ぜひ市長会、町村会でも大臣の方からマップを有効に使って直接お話をいただけると、さらに大きな広がりがあるのではないかと考えます。
 次に、大きい2番で体制の問題です。
 (1)は、国、県、市町村のリアルタイムでの情報共有のネットワーク、フェイス・トゥー・フェイス(顔と顔)の関係づくり、先進事例や各種データのわかりやすい提供、企業や大学等との連携の強化等について記載させていただいております。
 (2)のところです。[1]は先ほど申し上げましたように全国340の男女共同参画センターは大変大きな資源で、ぜひとも活用し、また支えていかなければならないのですが、自治体の財政難の中で、予算の減、人材確保の困難、指定管理者導入のところでは民のよさが活かされてきている面ももちろんたくさんありますが、しかし、一方ではプロパー職員と自治体派遣職員との関係、外部資金の使い勝手の悪さなど、課題なども明らかになってきています。地域人材の発掘、エンパワーメント、ネットワーク化の支援などによってセンターをサポートする応援団を地域で広げていく。そのことによって、逆にセンターによる地域のサポートも強化されていく。そうした仕組みを広げていくことも必要だろうということです。
 [2]の「国立女性教育会館」で言いますと、男女共同参画センター、またはさまざまな地域で活動する団体やグループのセンターオブセンターで、いいプログラムもたくさんされているんですが、先ほど申し上げましたように今は自治体、各センター、ともに大変厳しい財政状況の中で、旅費もとても厳しい。ですから、国立女性教育会館で展開するだけではなくて、少なくとも最低ブロックごとの出前研修プログラムはぜひお願いしたいといったことも議論されています。地域ワーキング・グループからの報告です。
羽入会長
ありがとうございました。
 では、続きまして、女性活躍推進法ワーキング・グループの主査、鹿嶋先生にお願いいたします。
鹿嶋主査
資料の2に基づいて説明いたします。
 まず現状ですけれども、第2次基本計画に盛り込んだ2020年までに30%のいわゆる指導的地位の女性をつくるということなのですが、第2次基本計画のときはあと15年あったわけですけれども、いよいよ今度はあと10年ということで、かなりこの問題が現実味を帯びてきています。2020年に30%をどう実現するかというのが、私どもの一つの議論の過程でありました。
 幾つか取組も進んでおりまして、特にそこに書いておりますように、医師、研究者、公務員等の分野に焦点を当てた「女性の参画加速プログラム」、これなどもスタートしております。それから、国家公務員のI種の事務系の採用区分、この採用は既に3割を超しております。審議会の委員も、御承知のように既に3割を超しているわけです。
 ただ、全体に見ますと、特に民間の企業で3.6%、これは課長以上ですね。それから公務員が2%ということで、女性の管理職比率がまだまだ少ないという現状があります。そういう問題をどう動かしていくかということです。
 それから、参画会議では鳩山総理が大変GEMの問題に関心をお持ちになっておられまして、1ページの一番下に「国会議員(衆議院11.3%)」と書いてありますけれども、この11.3%というのは昨年の衆院選で民主党に大量に女性が当選したことも反映していると思うんですが、これについても鳩山総理は参画会議でGEMは1ポイントアップぐらいしか寄与しないのではないかというようなことをおっしゃっていたのが大変印象に残っております。
 次のページを見てください。そういう問題をどういうふうにして動かしていくのかということが一つの課題としてありますが、2ページの2の方ですけれども、非正規雇用の分野にやはり女性が大変多いという問題があります。2ページの下のゴシックではないところにポツで書きましたけれども、正規雇用者の割合が平成20年が、男性8割に対して女性は46.5%と、かなりの低水準になっております。賃金格差も男性100として69ということですから、この格差も依然埋まっていません。これは、女性に管理職が少ないことがかなり効いているんだろうと思っております。
 更には、高齢女性については就業中断が長いということが影響しておりまして、非正規雇用の割合が大変高いという状況もございます。
 そういう中で、第3次の基本計画に向けて、女性活躍ワーキング・グループとしてはどういう論点があるのかというのをまとめたのが3ページ以降です。
 1つは、ポジティブ・アクションですね。2015年までに積極的な改善措置をとって、2015年までの中間目標をひとつ決めてはどうか。それは、3ページの(1)の[1]の最初の丸のところに書いてあります。2020年に30%の目標を達していない分野については、2015年までの中間目標として、例えば2015年に20%とか、10ポイントアップといったような目標を立てて、その取組を推進するということです。
 政治の分野はなかなか難しいんですけれども、女性議員の立候補者の女性割合を決めていったらどうかといったようなことは4ページの「政治分野」に書いておきました。
 それから、「公的分野」では国家公務員、それから独立行政法人ですね、これなども、中間目標を設定する。
 更には「教育分野」、「雇用分野」についても目標を設定するという提案をしております。
 次に、大きな柱としては[2]のところですけれども、公契約におけるポジティブ・アクションの導入を検討することを提案しております。現在の公契約制度は、会計法で公正性と経済性が基本になっております。会計法地方自治法では、原則としては一般競争契約、すなわち最も有利な条件を提供するものとの契約が前提になっておりますが、その競争参加資格ですね。公契約の参加資格の設定とか、それから総合評価点の加点制度の中に、男女共同参画の推進という条件を入れていくのも一つのアイデアであろうということです。
 地方におきましては、地方公共団体は首長さんが契約締結権者ですので、既に幾つかの自治体は独自の取組をしておりますが、国としてこの問題も検討していけばいいのではないか。それが男女共同参画推進の企業に対するインセンティブになってくるのではないかと思っております。
 それからダイバーシティ、CSRといったような既に男女共同参画に先進的に取り組んでいる企業等々もございますが、そういうようなモデル的な事例を全国に発信していくということも必要だろうと思います。それから、先駆的な取組を行った企業、団体、個人への表彰制度の充実も必要であろうと思っております。公契約時におけるポジティブ・アクションの導入、それに向けた検討も是非第3次基本計画ではしていただきたいと思っております。
 更に4ページ、5ページと続きまして、特に5ページの方ですが、M字カーブは依然解消しておりませんので、これについての女性の就業継続支援が必要であると同時に、企業において転勤しないと昇進できないといった男性型の昇進モデルを見直す。すなわち、労務管理の発想の転換を図る必要もあるということですが、もう一つ強調しておきたいのはその下の丸ですね。スーパーウーマンだけではなくて、だれもが目指すことのできるような身近に感じられるロールモデルの育成が必要だということです。
 私もそういう趣旨の民間運動を展開するなどしてこの問題に関わっておりまして、一部のエリートの女性だけではなくて、ごく普通に働いて、ごく普通に生活している女性たちでも昇進のチャンスがあるような制度といいますか、企業体質をつくっていく必要があるだろうと考えています。ワーク・ライフ・バランスの推進も、女性の仕事の質の向上が加わることによって、要するに自分の仕事を手放したくないと思うような女性たちが増えることによって、仕事を続ける女性も更に増えてくるのではないか。そういう女性が働く上での動機付けという意味からも、スーパーウーマンだけではなくて、だれでも普通の働き方をして、そして普通の女性であってもずっと仕事が続けられ、かつまた昇進もできるんだというロールモデルの育成とか、社内の人事体系の構築といったものが必要だろうと思っております。
 6ページと7ページにつきましては、現状の働く女性たちが抱えている多様な悩み等々も書かれております。先ほど福島大臣も、雇用の問題は大変大事な問題なんだということを強調しておられましたが、その辺りのことも、私どもで議論したことが、6ページに書いております。それについては一々説明はいたしませんが、女性の多様な生き方とか、多様な能力の発揮の支援の仕方としてジョブカードの効果的な活用とか、それから女性の起業に関するロールモデルの提供といったようなことも指摘しています。
 また、子どもとか若者を対象とした企業の研究者のロールモデルですね。特に理系の分野に女性たちの関心がもう少しいくようにするような設備といいますか、そういうシステムといいますか、そういうものをつくる必要もあるという議論もいたしました。
 以上、駆け足で説明いたしました。
羽入会長
ありがとうございました。
 それでは、次に男性ワーキング・グループについて伊藤主査からよろしくお願いいたします。
伊藤委員
男性についてのワーキング・グループです。男性についての課題は第2次でも重点事項の1つとして提示はされているわけです。
 ただ、必ずしもこのことが十分に周知されたかと言えば不十分だったと思いますし、先ほどの福島大臣のお話ではありませんけれども、実効性という点でも不明確な結果になったのではないかと思っております。
 問題はかなりはっきりしているわけで、男性をいかにして男女共同参画に巻き込んでいくかという課題だと思います。しかし、いかにしてというところがすごく難しいと思っています。
 ただ、男女共同参画を進めるためにも男性のインボルブメントといいますか、男性の巻き込みというのは極めて重要な課題であるし、男性にこの問題に対して理解を深めるということが大変重要な課題になっているのは間違いないと思っております。
 しかし、残念ながら、男女共同参画については女性の課題という印象が強い。性差別の撤廃というのがこの問題における最重要課題というのは間違いないわけですが、男性にとってこの課題が直接、間接的に自分の問題として関わっている課題であるということを認識させることが何よりも大切なのではないかと思っております。
 特に現状認識のところでも書かせていただきましたが、少子高齢社会に向かう日本の社会において、マクロレベルでの男女共同参画の必要性ということを男性自身がきちんと認識するということが、一つの入り口になるのではないかと思っております。
 また、女性の社会参画の拡大が、ある種男性が力を失うことであるかのようなトレードオフ型の関係でとらえられがちな部分があるわけですけれども、女性の社会参画と男性の家庭地域参画の回復ということがトレードオフの関係ではなくて男女両性にとって、ひいては日本社会全体にとってプラスの効果になるということを強調するような形が必要なのではないかと思っております。
 中でも、ここにも書かせていただきましたが、最重要課題はやはり男性が抱いている固定的な性別役割分業意識をどうやって解きほぐすかということが重要なのだろうと思っております。
 他方で、男性が抱えている課題を可視化するということも、男性の性別役割分業意識を解きほぐす部分で重要なのではないか。
 ただ、残念ながら、まだ啓発が十分だとは言えません。先ほど地域社会と同様、男性の抱えている課題の解消というようなことも含めながら対応していくことが必要ではないかと思っています。
 1つの出口として、例えば男性に対しての相談事業などということも考えていったらいかがだろうかというような議論も出ています。
 「現状認識」の部分で、特に大きな課題として考えられるのは、御存じのように国際比較をしてみても、男性の家事、育児、介護等々に関わる時間は極めて低いということが言われております。中でも30代から40代の男性が長時間労働に従事している方が多いし、割合も高いということです。これは、男性の場合は子育て世代が長時間労働に携わっているという構図です。このことは、少子化の問題も含めて大きな課題になる部分ではないかと思っています。
 また、孤立や経済困窮等々の問題が、先ほどから言われております。女性の高齢者の単身世帯の課題も大変重要なのですけれども、男性もまた、高齢の単身世帯が多くの課題を抱えている。無年金のまま、低所得で暮らしておられる方もかなりいるということも現状として押さえておきたいと思います。
 次の2ページ目に、論点を整理させていただいています。先ほど申し上げましたように、やることはかなりはっきりしているわけです。1つは「男性の家庭・地域への参画」を進めるということであり、また先ほど言ったように男性にとっての男女共同参画ということをきちんと認識していただくということをいかに進めるかというのが、論点における2つ目のポイントだろうと思います。
 特に、男性が育児・介護に参画するための環境整備ということで言いますと、これは既に目標値を定めながら、男性の育児休業の10%という目標値を定めながら動いているわけですけれども、これが遅々として進まない。このままではとても達成できないような状況にあると思います。これは一つの象徴的な数値目標だと思いますし、これをどうするかということは大変重要な課題ではないかと思っています。
 また、既に動き始めていますが、父子家庭の方への援助の問題であるとか、育児・介護に関わる男性の意識の醸成等々を進めるということも大切です。
 また、仕事中心の生活の中で男性が失っている地域社会への関わりということ、特に団塊の世代については2007年ではなくて2012年問題というふうに言われていますが、65歳で年金をフルでもらえるようになった男性たちの地域社会への再登場というようなものを視野に入れながら、ネットワークや居場所づくり等々の仕組みもつくっていく必要があるのではないか。
 また、男性にとっての男女共同参画の課題というのは、ある面、男性のワーク・ライフ・バランスの課題でもあるわけです。特に1970年代以降だと思いますが、日本の男性の生活はワーク・ライフ・アンバランス状況が続いてきたわけです。男性のワーク・ライフ・バランスを取り戻すということと男女共同参画というのは、ある面両輪ではないかと思いますけれども、その辺の制度づくりをどうするか。これも、企業や労働組合の働きかけも含めながら考えていきたいと思っております。
 また、2番目の「男性にとっての男女共同参画」ということですけれども、男性にとっての男女共同参画の意義をどうやって伝えるか。これは、先ほどから申し上げているようにわかってはいるんですけれども、なかなか伝わらない部分で、この辺の工夫をどうつくっていくかということがすごく大きな課題になると思います。
 また、これも先ほど冒頭申し上げたように、男性の心身の健康、これは次の健康のところでもちょっと触れていただいているようですけれども、多くの場合、男性の方が平均寿命は短いわけです。18世紀ぐらいだと男女の寿命はヨーロッパでも同じぐらいなのですが、近代になると大体男性の平均寿命が短くなっていくということがあるわけです。
 男性の身体面での健康の問題、性差医療の視点も含めてですけれども考えていく必要がある。同時に御存じのようにうつの問題を含めて精神的な男性の抱えている問題というのも大変大きいわけです。そういう意味では、男性というジェンダーに視点を絞った形での対応というのは健康分野でも必要ではないかと思います。
 また、自殺者の問題があります。これは内閣府が担当している自殺対策の問題とも関わるわけですけれども、やはりジェンダーの観点で見れば圧倒的に男性が多いわけです。自殺の問題も含めて男性に関わるメンタル面での対応。これは議論の中ではちょっと申し上げたんですけれども、既存のいろいろな相談組織を活用してすすめていきたい。新しく組織をつくる必要はないと思うんです。既存の相談組織に男性をちょっとピックアップする形みたいなものも含めながら対応されていったらいいのではないか。
 また、相談は、暴力の加害者問題ということも関わるわけです。加害者の中には実は相談を求めている方もおられるわけですけれども、なかなか窓口がない。あるいは、DVの男性被害者も実は対応窓口がないということもあります。そういうことも視野に入れながら男性相談というようなことも一つの課題として、これは男性を巻き込んでいく一つの入り口ではないかと思いますし、考えているところです。以上です。
羽入会長
ありがとうございました。
 続きまして、健康ワーキング・グループの石川委員からお願いいたします。
石川委員
健康ワーキング・グループでは性差医療とか、あるいは周産期医療、こういったものについて有識者のヒアリングを行いながら論点をまとめてまいりました。現状認識として、4つ挙げております。
 1点は「ライフコースを念頭に置いた健康支援」ですが、ここについては男性と異なる健康上の問題点に直面することに留意した女性の支援の必要性というものを感じております。健康問題については、男女それぞれ生物学的な性差というのは当然あるわけですけれども、そういった問題に対していかに手当てをしながら男女共同参画を目指していくかというようなことを考えていく必要があるのではないかということを、ヒアリングを通じて感じました。
 それからもう一点は、児童・生徒の発達段階に応じた適切な性教育の必要性があるという点です。性教育の現状は、価値観が多様化しておりまして非常に学校での教育が難しい面があるわけですけれども、そういった面についていかに適切な性教育を提供していくかというのは非常に重要なことだろうと考えております。
 それからもう一点出てきましたのは、生活の困窮者に対する保険サービスなどの問題点、そういったものも現状認識としてとらえております。
 性差医療に関しましては、ヒアリングを通じましてわかりましたことは、まだ発端だというところです。したがって、これからどうした体制をつくっていくかというのはまだ十分に検討されていないところですけれども、そういったところについても現状認識をしながら、何か提案ができたらと思っております。
 それから妊娠・出産等に関する支援ですが、こういったところは現状としては低体重児の出生の問題とか、あるいは高齢者出産が増加しているというような問題点が提起されております。したがって、こういった医療機関における緊急医療体制とか、あるいは医師不足の問題とか、そういったものが深刻化しているという現状を認識しております。
 次のページになりますが、健康を脅かす問題点についての対策については従来と同様の観点になりますけれども、HIVとか、あるいは薬物事犯、こういった問題がまだ解決できていないというような点も残っております。
 したがって、第3次に向けた論点としまして、1点目は「生涯を通じた健康支援」の目標としてすべての人たちが情報を享受する、あるいは知識を身に付けるというようなことを通じて健康問題に対応できるようにしていきたいと考えております。また、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点から男女、とりわけ女性の生涯を通じた健康を支援するための総合対策、こういったものを提案できたらと思っております。
 その中で1つ目の「ライフコースを念頭に置いた健康支援」については、男女各年代が健康状態を通じて適切な健康支援を受けられる体制を整備していく。あるいは、ライフサイクルを通じて健康問題に直面した女性、あるいは男性に対する支援が適切にできるように制度を改定していく。あるいは自己管理できるような健康教育の相談体制、こういったものをつくっていきたいと考えております。
 次に性差医療に関してですが、性差医療については男女の特性に応じた適切な診断や治療方法、予防的措置の確立、こういったことを目指していきたいと思います。ヒアリングを通じてわかったことは、医療のいろいろな評価というのは男女ひっくるめての評価が多くて、それぞれ男性と女性と分けてみた場合にはかなりいろいろな生理的なメカニズムの数値も違ってきているというようなことで、今後そういったものに対するいろいろ進展も含めた治療の方法が必要になってくるのではないかということを認識いたしました。したがって、こういった男性とか女性とか、そういったものの特徴を含めた調査、あるいは研究の進展がこれから必要なんじゃないかと考えています。
 それから、問題になっておりましたのは女性医療、いわゆる女性外来とか、あるいは女性に対する窓口というのが各医療の中で必要なんじゃないかと思っております。
 それから、次の「安全・安心な出産等の環境整備の充実」でございますが、こういったものについてもさまざまな実践の取組、あるいはNPOの活用、こういったものを中心にした周産期医療というものが必要なのではないかということを考えていまして、こういったものについても医療体制の充実、あるいは女性を始めとする医療の専門機関において女性が働きやすい環境をつくっていくというようなことも必要なのではないかと考えております。
 更には健康を脅かす問題についてですが、これも先ほど申し上げましたように、依然として薬物とかエイズといった問題が解決していないというようなことから、こういった健康問題についての対策、あるいは教育、啓発などを進めていく必要があると考えています。以上です。
羽入会長
ありがとうございました。
 では、続きまして国際ワーキング・グループの辻村主査、お願いいたします。
辻村委員
国際ワーキング・グループは4回開催いたしまして、そのうち2回をヒアリングに充てております。
 「現状認識」といたしましては、資料5にございますように、日本の男女共同参画推進というものはすべからく国連や国家機関、あるいは条約と連動して行われなければならないということで、国際的視野からこれを見直してみるとどういうことになるかという議論でございます。
 御承知のように、女子差別撤廃委員会が昨年2009年の8月に最終見解を出しました。そこでは、たくさんの課題を指摘しております。とりわけ第18パラグラフと第28パラグラフがフォローアップ項目として指摘されまして、すなわち2年以内に対応を緊急な形で委員会に報告しなければならなくなっております。2年以内と申しますともうすぐですので、この第3次計画でもその対応を書いていかなければいけない。
 この2つの論点というのは、こちらにも出てまいりますが、民法改正の問題と暫定的特別措置、先ほど女性の活躍ワーキング・グループではポジティブ・アクションという言葉で使っていたものでございます。この2点については、緊急の対策が必要であるという認識でございます。
 細かく見てまいりますと、従来、第2次計画ではこの問題は第11番目の重点項目に置かれておりまして、開発とか平和に関する問題ということで、何やら各論の一つという形で周縁化されていたのではないかということですけれども、実際には全体に関わる問題でございまして、この第1の「国際的協調」のところも、条約等を積極的に遵守し、国内施策に実行していかなければいけないということがスタート点にあります。これについても、当初これまでの文章を見ますと、すべて国際条約の取り入れ、浸透という形で書かれておりまして、非常に弱いイメージがある。そうではなくて、もっと積極的に守っていく。これは、国際法上、批准しております条約については履行義務がございますので、積極的に遵守していく。そして、国内施策に積極的に取り入れていくというポジティブな視点が必要であろうということで一致しております。
 従来は、国際協調と国際貢献という2本立てで考えておりました。もちろん国際貢献も重要でございますが、それ以外に第3の柱として「対外発信機能の強化」というのを加えております。これは、新しい論点かと思います。
 「現状認識」におきましても、やはり日本は国際舞台で日本の状況や政策をアピールすることが非常に下手なのではないかということから、委員に対するアピールでありますとか、アジアの中での積極的な地位でありますとか、そういった項目を新たにつくってはどうかという認識に至っております。
 それを踏まえまして、個別に論点を見てまいります。1ページ目から2ページ目にかけてでございますが、とりわけこれまで申し上げましたような条約を推進していく上で、担い手の問題、推進体制が不明だったのではないかということで、この推進体制を今後明確にすべきであろうということです。
 それから、女子差別撤廃条約の選択議定書に日本がまだ批准をしておりません。100か国近い国が批准をしている中で、これが遅れている。その理由は、以前に外務省のヒアリングでもございましたけれども、個人通報制度がネックになっていて、これは司法権の独立その他の問題があるといって検討中だということです。
 これについて、自由権規約委員会の委員長をされております東京大学の岩沢雄司教授に来ていただきましてヒアリングをいたしまして、この選択議定書の批准の手続きなどについて議論をいたしました。これは、すべての条約、ほかに自由権規約その他、人種差別撤廃条約等にもこの問題があるのですけれども、女子差別撤廃条約の選択議定書だけを切り離して批准するということは不可能ではないのではないかという意見をいただいておりますので、こういった問題も積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 また、先ほど申しましたフォローアップ項目の民法改正と暫定的特別措置の問題については、回答期限のこともありますけれども、やはり第3次計画にも積極的に書き込んでいく必要があるのではないかと考えました。以下、書いてありますことは、それを細かくしたものでございます。
 第2の論点の国際的貢献の方に移らせていただきます。これにつきましては、男女共同参画視点に立ったODAプログラムなどが効果的に実施されているのかということが問題になっております。ここで、JICAの田中由美子氏にヒアリングをいたしましていろいろ御意見を伺いました。これは、実際には限られた予算の中で、限られた人員とか組織の中で国際貢献を行っているわけですから、これが十分であるかどうかという設題をつくること自体が非常に難しくて、はい、一生懸命やっております、これもやっておりますというふうな答えになるのですけれども、本当にそれで十分なのかどうかということをどのように判断するのかということが私どもの間で議論になりました。
 結局は、3ページ目の2行目に書いてあることですが、こういったODAプログラムの実施に関して、評価基準がないことが問題ではないか。あるいは、監視体制が不足していることが問題ではないかということで、監視委員会でも5年前にはやっていただいているのですけれども、最近はこれについての報告書がないようですので、こういう評価基準や監視体制をもっと明確にし、その基準の中に男女共同参画視点、あるいはジェンダー平等視点というものがしっかり入っているかどうかということの検証が必要ではないかということを私どもの間では話し合いました。
 それから、「対外発信機能の強化」のところではこれまでなかった議論ですけれども、条約締結国として対外に我々の取組をもっとアピールしていく必要があるのではないか。そういう意味では国際団体や、あるいは外国政府との交流などをもっと活用して積極的にしていかなければいけないということでございます。
 各ワーキング・グループ共通の論点についてもいろいろ話し合いまして、これまで全く出ていなかった問題で、先ほど福島大臣が言及されましたけれども、移民女性であるとかマイノリティ女性の話です。これは、女子差別撤廃委員会の最終見解の52パラグラフでも明確に暫定的特別措置などを使ってその地位の向上に努力すべきだと言われていますが、この問題はほかのワーキング・グループからも落ちているのではないか。どこがこのマイノリティ女性とか移民女性のことを扱うのか。これは、監視・影響調査のところで恐らくは貧しい状況の女性というところで出てくるのではないかと思いますが、移民女性のように国際的パースペクティブで見なければいけないような問題について、是非どこからも落ちることのないようにということを要望しています。
 それから、「国際的視野に立ったジェンダー研究・教育の普及」ということを書かせていただきました。これまではどうしてもドメスティックな国内の視野だけで考えてきておりますが、絶えず国際的視野に立った検討でありますとか教育が必要なのではないかという結論に達しております。以上でございます。
羽入会長
ありがとうございました。
 それでは、続きまして仕事と生活の調和に関するワーキング・グループです。勝間委員、お願いします。
勝間委員
勝間です。仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスに関するワーキング・グループからの報告を申し上げます。
 全体で言いますと、大体周知が半分ぐらい終わって実行段階なのですが、実行そのものが数値目標に比べて前進はしているものの、もう少し大きな成果が必要だということ。それに対して、ではなぜこのワーク・ライフ・バランスが重要かということについて、やはり男女共同参画という観点から、これは反対側から見たものだ。結局、ワーク・ライフ・バランスがない限り男女共同参画は難しいという点について、もう少し強調したいということで話をまとめております。
 「現状認識」については先ほど申し上げたとおりですので、資料6の1ページ目については割愛させていただきますが、いずれにせよ、ここで申し上げたいのは確かに数字としては改善をしているんですけれども、例えば長時間労働の問題ですとか、あるいは3歳児未満の保育園の問題等につきましては正直、数値目標に関してはまだ遠い段階にある。ですので、もっとてこ入れが必要ということが論点になっております。
 1ページめくっていただきまして、2ページ目になりますと、ずっと2ページ目、3ページ目にさまざまな施策について書かれております。実際にこう書いてきた施策については順調に進んでおりまして動いてはいるんですが、ただ、残念ながら、例えば「安心子ども基金」1つを取りましても、その活用状況について十分かと言いますと、まだそこまでは言えない。あるいは、「認定子ども園」につきましても、まだ今後の改善余地があるということ。
 更に、最初の方の報告でもありましたが、男女共同参画センター、その他さまざまな施設において、セミナーですとか対策について普及促進などの行動が行われておりますが、それについてワーク・ライフ・バランスという言葉の理解は広がっているんですが、一番問題なのは、それがまだ福利厚生としてとらえられており、必ずしも戦略というとらえ方をされていないというのが現状の私どもの問題認識です。
 そのような現状や問題認識を踏まえまして、具体的に論点に盛り込んでいただきたいことを3ページ目からずっと書いております。基本的には、まず申し上げたとおり、ワーク・ライフ・バランスの認知の段階はもう終わりましたので、今後これを実現するためにどうしたらいいかということ。特に、このこと自身が国力の復興であったり、男女共同参画に対して不可欠であるということをもう少し認知をした上で戦略として向かいたいというのが全体の課題です。
 もう1ページ目めくっていただいて、4ページ目に「今後の課題」というところでずっと書かせていただいておりますが、ここの中で出てきている大きな課題としまして、父親にどうやって関わっていただくかということ。そのためには、長時間労働の抑制が必要だということ。特に企業の取組においてやっているところはやっている、やっていないところは全然やっていないということになっておりますので、この見える化を推進するということ。
 また、待機児童ゼロの推進ですね。更に、非正規労働者がどうしても女性は半数以上ということなので、経済的支援をどのように、職業訓練やジョブカードを含めて応援するかということを検討していきたいと思っております。
 最後になりますが、本当に具体的にどういう論点を入れてほしいということについては、(2)で新たな共同参画における論点ということで8点掲げさせていただきました。
 1点目が、まず位置づけということなんですけれども、やはり男女共同参画を推進する際にはワーク・ライフ・バランスの実現がないと難しいということをもう一度強調していただいて、具体的な成果、例えばM字カーブの解消であるとか、GEMの上昇といったことについて、もう少し強調して訴えていきたいということになります。
 その中でも、新たな論点としまして、生活困難に陥ることの防止であるとか、男性の家事・育児時間の増加や地域社会の参加といったような、ほかのワーキング・グループでおっしゃっていただいた論点も踏まえて、なぜこれが必要かということを再整理していただきたいということです。
 2点目としましては、やはり戦略としての男女共同参画、あるいはワーク・ライフ・バランスということを強調したいと思います。
 次のページをめくっていただいて、とにかくワーク・ライフ・バランスが男女共同参画を実現し、そのことによって少子化の対策であるとか生産性の向上、あるいは仕事の進め方、優秀な人材の確保といったような、ある意味、企業の生き残りや国力の向上のためには男女共同参画、すなわち仕事と家庭の調和が不可欠であるということを是非強調していただきたいと思います。
 3点目として、これは特に今、難しい状況にありますが、経済成長と雇用機会の確保ということを是非書いていただきたい。これはどういうことかと言いますと、現在のように経済成長が厳しい不況の状況下においては、どうしても弱者から雇用機会が奪われる可能性が高い。その場合には、どうしても女性その他にやはりしわ寄せがいっているということを考えております。
 4点目としまして、これはしつこいようですが、書いて書いて書きたいところで、待機児童の解消に向けた多様な保育サービスの充実ということです。認可保育園のみではなくて、さまざまな工夫において、この後、数値目標を最後にお見せしますが、3歳児未満の待機児童、あるいは放課後子どもクラブといったようなところで、女性が安心して働き続けられる保育サービスの充実を願いたい。
 5点目は、この意識改革というのはずっと言っていることなんですけれども、やはり個人が意識改革をしない限りなかなか笛吹けど踊らずということになってしまうということに対して懸念を持っております。
 6点目は実は大きな新しい論点でありまして、どうしてもこれまでのワーク・ライフ・バランスというのは大企業、正社員を中心に検討してきた、あるいはその制度が整ってきた点がかなり大きいので、憲章で申し上げている「あらゆる人のためのもの」ということで、中小企業や非正規社員に対するワーク・ライフ・バランスをどのように行うかということ。例えば、正規社員のワーク・ライフ・バランスを整えるために、非正規社員を雇ってそちらにしわ寄せを行うみたいなことはあってはならないことですので、どうやってさまざまな人たちがしっかりとワーク・ライフ・バランスを整えるかということについて論点として掲げたいと思います。
 7点目は、同じくやはりこれまでどうしても上意下達のような形で行われていたワーク・ライフ・バランスの推進において、住民、自治体、地域、社労士さんといったようなさまざまな参加者を募りたいということです。
 8点は、最後にやはり大きな論点になると思いますが、制度的な枠組み、いわゆるアファーマティブ・アクションのような形である程度制度的な支援、先ほど議員の候補者のパーセンテージを決めるという話もありましたし、管理職においてスウェーデンのようにボードメンバーで例えば30%といったような他国の事例もありますが、何らかの制度的な枠組みを持って実際の数値目標の上昇につなげるのかどうかということについても、是非御検討いただきたいと思います。
 最後になりますが、こちらの方のワーク・ライフ・バランスの数値目標の現状というのをざっと掲げさせていただきましたが、特に注目していただきたいのは例えばIIの[5]、「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」の今の10.8%を半減するという目標について、まだほとんど変わっていないということであるとか、あるいはIIIの[11]、第1子出産直後のM字カーブの問題についても、今は数字がないのですが、改善されているという傾向が余り見られない。その裏側には、やはり[12]番の保育サービスについての充実がまだ満たされていないということであるとか、あるいは[13]番の男性の育児休暇の取得状況というのがまだまだ芳しくないということ。
 このような形で、全体的なワーク・ライフ・バランス、それは正社員、大企業の人だけではなくて、もっと戦略として中小企業も非正規社員も、あるいは地域もさまざまな人たちが主体的に関わらなければいけないということを論点として掲げ、その上で可能な限り、制度的な枠組みの検討をお願いしたいというのが私どもワーキング・グループの論点案になっております。以上になります。
羽入会長
ありがとうございました。
 それでは、監視・影響調査ワーキング・グループの鹿嶋主査からお願いします。
鹿嶋主査
監視・影響調査ワーキング・グループはちょっと長いのですが、資料の7で、(その1)と(その2)と2つに分かれております。
 柱は大きく3つありまして、1つは(その1)の方ですけれども、いわゆる基本法の中の理念の1つである制度・慣行が、私たち男女いずれの性にとっても中立的かどうかという視点に立って、より多様な生き方を可能にする社会のシステムの実現について、制度、法制度、税制等々が中立的かどうかという視点での監視です。
 2つ目は2ページの「監視・影響調査機能の強化について」であります。このことについては、平成20年3月の男女共同参画会議、それから4月の男女共同参画推進本部の決定で、監視・影響調査機能を強化するということになっていますが、どういう形で強化を推進していくかということです。
 第3点は(その2)の方ですが、生活困難を抱える人々への対応をどういうふうに考えていくかという大きく3つの柱に立っております。
 第1点の資料7の(その1)の方から説明いたします。「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現について」ですけれども、現状につきましては1ページに書いてありますが、これもこの5年間にかなり動いてきているものがあります。特に政権交代後、家族の法制の整備等々についてもかなり動きが出ることが予測されます。
 そのことについて、3ページ以降、論点という中で説明をしております。この基本的なことを簡単に申し上げますと、私どもは世帯単位の制度・慣行から個人単位の制度・慣行に変更して、男女共にライフスタイルを柔軟に選択できる社会にするのだということ。
 3ページの下から2つ目のポツですけれども、「片働きを前提とした世帯単位の制度・慣行から、個人単位の制度・慣行に移行」ということがそれに当たります。
 それから、もう一つはその次のページですけれども、これまで重ねて指摘してきたことも踏まえ、男女共同参画の視点に立って制度・慣行の見直しを強く望むと、かなり強い口調で文章を書いています。例えば税制についてですが、既に鳩山政権は控除から手当へというスローガンの下に扶養控除、これはゼロ歳から15歳の子どもを対象とするものと、特定扶養親族控除の上乗せ部分の廃止ですね。
 具体的には16歳から18歳のいわゆる特定扶養親族の控除の上乗せ部分、これは25万円ですけれども、これが平成23年分から廃止になるということです。それから1ページに書いてある平成21年12月に出ました平成22年度税制改正大綱の中で、配偶者控除について今後見直しがあるということですので私が第2次基本計画でも主張してきたことですが、女性の就業等の活動に対して及ぼす影響をできる限り中立的なものとするように検討する必要があります。特に配偶者控除については国民に与える影響に配慮しつつ、縮小・廃止も含めてその在り方について検討を進める必要があるとしました。
 更には「社会保障制度」もそうですが、5ページの「家族に関する法制の整備」、夫婦や家族の在り方についての多様化や、女性差別撤廃委員会の最終見解も踏まえて、選択的夫婦別氏制度も含む民法の改正が必要だと書きました。
 その上の方は、今後創設が予定されている所得比例年金とか最低保障年金の問題ですけれども、これについても中立的な制度になるよう、検討を進めていく必要があると書いています。
 それがニュートラルな制度・慣行化ということの文言ですけれども、次に「監視・影響調査機能の強化について」ですが、これは大きく2つに分けて分類しました。
 まず1つは、女子差別撤廃委員会の最終見解に対する政府の政策の進捗状況に関するものです。これにつきましては5ページの下の方に書きましたように、女性差別撤廃条約に基づく第6回報告に対するCEDAWの勧告に対応するための工程表が必要です。その上で、進捗状況を監視する必要があるということが第1点です。
 第2点は、施策のあらゆる段階における影響調査の実施ということで、5ページの後半から6ページに書いてあります。それは、施策の企画、立案、実施、実施後の各段階において、施策が男女に与える影響について調査し、その施策への反映を求めていくことが必要だということで、そのための手法の開発を進める。そして、政策評価法による政策評価との連携とか、更には諸外国で実施されているジェンダー予算ですね、これは勉強会などを開いたわけですけれども、私どもの認識、その知識もまだまだ十分ではありませんが、これなどももう少し調査研究を進めて今後の役に立てていくようにするということも検討しました。
 それからもう一つ、その下ですが、男女間の意識による偏りとか格差とか差別の現状ですね。その原因、要因、現状が生み出す影響等を客観的に把握するためのジェンダー統計も、充実というよりも更に徹底することが大事だと思うんですが、男女別統計についても更に徹底していきたいと思っております。
 更には評価の方法で、いわゆるアウトプット評価からアウトカム評価ですね、効果がどのぐらい出ているのか。そして、それも男女別に把握していくことが必要だということも強調しています。
 それが監視・影響調査機能の強化についての概要ですが、監視・影響調査機能の強化については更に別の視点からもあるのかなと個人的には思っているんですけれども、一応この2つだけをレポートしておきます。
 それからもう一つは、その2の方ですね。8ページ以降です。8ページ以降は、生活困難を抱える人々への対応です。冒頭、福島大臣も生活困難と、それからいわゆる女性の雇用の問題が大変大きな問題だとおっしゃっていましたけれども、監視・影響調査専門調査会でも生活困難を抱える人々の対応について、すでに報告書を出し、先の男女共同参画会議で決定をしていただいたものでありますが、論点としては8ページに書いてあるところです。
 そこをざっと読んでみますと、相対的貧困率によって経済的困難な状況を見ますと、ほとんどの年齢層で女性の方が男性よりも高い状況にある。その差は高齢期で拡大するということで、生活困難というのは女性の問題だと、極端に言えば私はそういうふうに認識していますし、その生活困難が年と共にどんどん引きずられていくんだということですね。現役時代からの生活困難を、女性は高年齢まで引きずってしまう現状があるわけです。
 高齢単身世帯、勤労世帯の単身世帯で相対的貧困率が高くて、女性が厳しい状態である。更には、母子世帯で相対的貧困率が高いといったような問題。
 それから、大変大事なことは、生活困難の複合化と固定化と次世代への連鎖ですね。これをどういうように断ち切るか。そして、こういう生活困難の問題の解決を図るためにも、男女共同参画の視点が大事なんだということを強調しております。
 その次以降はちょっと今の話とダブるようなことになるんですけれども、10ページの「男女共同参画基本計画(第3次)に向けた考え方」の方に飛んで、ではどうするんだということで順不同で説明いたします。
 まず生活困難、下から2番目のポツですけれども、切れ目のないサービスを提供する。そして、複数の支援を組み合わせたものが大事だということを強調しております。
 そして、生活困難を抱える人が持てる力を引き出して、適性や能力に応じて自立を図ることができるように、当事者のエンパワーメントを引き出すような取組が大事だということです。
 それから繰り返しになりますが、生活困難を防止するためにも男女共同参画の推進が必要であるということです。
 改めて整理して申し上げますと、生活困難を抱える人々についての対応は、生活困難を防止するためにも男女共同参画が必要というのが第1点。
 第2点は、生活困難を抱える人のエンパワーメントが必要だということ。
 第3点は、非正規雇用の増加に対したセーフティネットが必要だということ。
 第4点は、生活困難の複合化、固定化、連鎖、それへの対応が必要になってくるということです。
 第3次に向けての生活困難については以上のようなことが議論されましたので、御報告申し上げます。
羽入会長
ありがとうございます。
 本日、ワーキング・グループを1つ残しましたけれども、次回に御報告いただくことにいたします。
 しばらくの時間、今の御報告に対して補足や質問がございましたら、どうぞおっしゃってください。
岡本委員
質問が幾つかあるのですが、まず1つは非常に単純な質問ですが、国際ワーキング・グループの各ワーキング・グループ共通点の部分で「男性メディアへの働きかけ」という言葉があります。これは、男性ジャーナリストへの働きかけという意味なのか。または、男性が主に購読するような雑誌とか新聞そのものに対するそういったメディアへの働きかけなのか、ひとつお伺いしたいということです。
 それから、国際ワーキング・グループの「対外発信機能の強化」というところで、これは大変重要なことだと思っておりますし、昨年のCEDAWでもNGOの方たちが相当な活動をされて、それが海外メディアでも取り上げられたり、日本人女性はこんなに積極的だったのかと言われたりしているようなところがあるんですが、もう一方で、いわゆる大使館などの公使とか参事官といった方たちの人数が非常に少ない。これは、国家公務員の指定職以上の方たちが少ないということと合わさっていることなんですけれども、こういった方たちの数をもっと増やしていくということも合わせてしていかないと、なかなか日本の女性たちというものが見えていかないのかなと感じております。管理職の数をどういうふうに増やしていくのかということとも合わさっているかと思いますが、1点そのことを感じました。
 それから、最初の女性活躍推進法ワーキング・グループのところで、企業における公契約の話がポジティブ・アクションのところで入れるべきではないかということがありました。これは大賛成ですけれども、これに合わせてワーク・ライフ・バランスとか、まさに労働法の遵守とか、そういった部分も合わせて入れた上で公契約ということを考えていく必要があるんじゃないかと思います。もちろん、ワーキング・グループが別でしたので、ワーク・ライフ・バランスのところでその議論があれば、それはそれでまとめていけばいいと思いますけれども、そのことを感じました。
 それから、すみません。私もメンバーだったんですけれども、すべて参加できたわけではないので申し上げさせていただきたいのですが、同じ女性活躍推進法ワーキング・グループの5ページ目で、「企業において転勤を経験しないと昇進できないといった男性型の昇進モデルを見直す」ということが書かれています。
 それから次に、「スーパーウーマンだけでなく」と書いてありまして、本当にこのことをきちんとしていかないと、なかなか男女の賃金格差も含めて解消していかないと思っています。特にここの部分で言うと、CEDAWからもこれまでは指摘をされてきましたが、いわゆる間接差別というふうに言われている部分の雇用管理区分について、そのことをどういうふうにこれから考えていくのかということも合わせて検討を深めていければいいなと思っています。大企業は、最近総合職とか一般職とか、そういうコース別人事管理制度を見直ししているところも増えてきておりますので、そこについてもきちんとこれからの議論になってくるかもしれませんが、論点として見ていただければうれしいです。
 最後に、ワーク・ライフ・バランスのところです。これも、実は私は入っておりまして論点整理を見させていただいているので大変申し訳ないんですけれども、いわゆる中小企業の生活と仕事の調和がなかなか進まないという問題点の中に、大企業と中小企業の取引慣行の問題があると思うんです。休日前発注とか、休日後納入とか、終業後発注とか、翌朝納入とか、そういったものが非常に多くあるわけです。そして、断れば仕事をほかに取られてしまうという状況の中で、そこが改善されない限り、中小企業のワーク・ライフ・バランスというものは進んでいかないだろうと思います。中小企業庁がそういったことについてもいろいろ指導はしているんですけれども、十分ではないので、そういったことも含めて指摘をしていくべきではないかと思います。
 やはり同じような部分で今、サービス産業が出店であるとか営業時間の規制緩和によって365日、ある意味で24時間営業というところが増えています。今朝もある番組を見ていたら、朝食産業というものがこれから拡大していくだろう。おうちで食べて行けばいいのに、お店で朝食べてから出勤をする。そうすると、そこで働いている人たちは、これまではお昼からの営業でよかったものが朝から営業していくということになって、ますます長時間労働になっていく。
 デパートやスーパーなどでも、営業時間を延ばしても売上げにはほとんど貢献しないというデータが実際には出ているんですけれども、それをやめると消費者の方が違うところにいってしまうだろうということで、なかなか1店舗とか1デパートだけの問題でやめていくことができない。このため長時間労働というものが改善されていない。
 運輸業界は特にひどい長時間労働で、特に宅配業界などはまさにそういったサービスの拡大によって長時間労働になっている。これは連合の中でも一番大きな問題になっているんですけれども、その長時間労働ゆえに女性の採用というものはほとんどないわけです。
 この問題は消費者がどこまでサービスを求めていくのかということにも関わっていくので、消費者イコール実は労働者でもあるわけですが、そこの意識改革というのか、そういったものをどういうふうに図っていくのか。大変難しい課題だと思うのですが、そういったことについても何らかの提言というのか、そういったものができないだろうかと思っております。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。今、お話に出ました国際と女性活躍推進法、ワーク・ライフ・バランスのところで、御質問に対するお答えあるいはコメントをお願いしたいと思います。
辻村主査
手短にお答えさせていただきます。
 「男性メディアへの働きかけ」というのは、まとめ方としては舌足らずでございました。議論の中では、メディアの役割が重要であるということは毎回出てまいりまして、論説委員とかメディアの幹部の男性比率が高くて、そこになかなかわかってもらえていないのではないかということで、言い換えれば、男性中心のメディアに対して働きかけが必要だという議論が出ておりました。
 それから、メディアではどうしてもこれまで女性問題あるいは男女共同参画という社会面で取り上げるという傾向が非常に強いんだけれども、政治経済面で取り上げていただく必要がある。そのためには、やはり政治経済面を担当している方々は男性が圧倒的に多いんだと思いますけれども、そこにどのように発信していくかというふうな議論でございました。ですから、このまとめ方は少しそれがわかるように書き直させていただきます。
 それから、2番目の国際機関における女性比率の問題は外務省ヒアリングでも出ておりましたが、こんにちの時点で女性大使が4人で全大使の中の2%しかいないんです。これは公務員ですから、任命権者が少し配慮すれば改善する可能性はありますので、その方向で計画の中にも書き込んでいければと思います。
 ただ、国際機関の専門職は日本女性は56.4%になっておりますし、ODAの評価有識者会議のメンバーでも9名中4名を女性にしてあるという回答になっていますので、この数字だけではなかなかわからないところもあるかもしれませんけれども、一応そういう国際機関や大使、行使辺りの男女共同参画を自ら率先して行うということも書き込んでいけばよろしいかと思っております。以上です。
鹿嶋主査
まず、最初の質問の公契約の男女共同参画の取組企業ですけれども、これは具体的に実施するとすれば、男女共同参画という形でひとくくりというよりは、むしろ地方公共団体で実施しているのはかなり細分化しているんですね。法を上回る育児休業の実施とかというふうになっていまして、一番多いのは育児休業の実施で、これが一番コンセンサスが得られやすい感じもいたします。
 もう一つは、その書類を書く段階で女性の処遇の低さを認識するという効果もあるわけです。要するに、この問題で加点してもらうための申請をしたとする。その場合、自分の企業の女性処遇の現状を分析することにもなるわけで、ひいてはその作業が企業の女性処遇の認識を高めることにもなる。というように、具体的に実際に運用するとしたらいろいろな形があると思っております。
 それから、企業の転勤の昇進モデルです。これは、今おっしゃいましたように、厚生労働省の間接差別に関する通達の3つの定義の中の1つに入っていますので、これについては間接差別だということになるんですけれども、運用の面では企業の転勤は昇進の要件になっている現実はあるわけですが、これについてもどういうふうにするか、今後議論が必要だと思います。
 雇用管理区分については、明快な議論をしておりません。雇用管理区分は問題だということで、男女共同参画の視点から議論するとすれば、一般職、総合職という雇用管理区分以外にも雇用管理区分はあるわけで、営業職と現場職、それから大卒、高卒といった学歴の問題等々、ひとくちに雇用管理区分といってもたくさんあるわけです。
 それが当たり前のようなこととして運用されてきているものがあるわけですが、ただ、一般職、総合職という問題に関しては、そこに男女差別というものが隠蔽されているのではないかという拭い難い不審感があるわけです。男女別ではないというのは形だけで、実際は女性を排除したものであれば、法的には許されません。では雇用管理区分をどう運用するかとなってくると、CEDAWもその点を言ってきているんですが、なかなか難しい。
 やはり総合職、一般職に男女差別が隠蔽されていないようにということを厚生労働省から通達とか出してもらって、行政指導の中で解決せざるを得ないのではないかというのが個人的な意見でありまして、雇用管理区分を全面的に撤廃するとなると、これはまた大ごとになってくると思います。
羽入会長
ありがとうございます。
 今の岡本委員の御質問に対して、勝間委員からコメントはありますでしょうか。
勝間委員
先ほどの中小企業の雇用慣行につきましてはおっしゃるとおりでして、もし必要があれば、そのことに限らず、なぜそういったようなことが進まないのかということの原因追求をちゃんとしまして、それについても対策を立てるということを多分加えるのがいいのではないかと思います。
羽入会長
では、桜井委員、岩井委員と、どうぞ。
桜井委員
今、説明を聞いていて、第2次の計画とやはり大きく違うのは、あちらこちらで貧困の問題が出てきているということで、例えばワーク・ライフ・バランスのところでも正規の社員だけでなくという言い方であったり、そういったところに貧困の問題が垣間見えているなと思ったんです。
 そういう視点で見ますと、例えば地域ワーキング・グループにおける論点のところの最初の1ページ目の2の「地域の現状」というところです。地域ワーキングには私も参加していたんですが、私が一番大事と思うことは、一口に地域社会というが、その地域社会を構成する人たちが、貧困問題も含めて、より明確に私たちに見えてきた。だから、だれを対象にして男女共同参画を推進するかといったときに、普通にと言ったら語弊を招くかもしれませんが、普通に生活している人たちだけではなくて、相対的貧困率が50%を占めている層とか、在住外国人女性とかそういう方たちが地域にたくさん存在するということが見えてきた。地域社会とはそういう方たちの集合としてあるわけです。もちろん、地域だけではなくて企業でも正規の社員だけではない人たちがふえて、その問題が大変大きく見えてきたわけですが、今回は、そこのところをしっかり見据えた計画でなければいけないのではないかと思います。
 そうしますと「地域の現状」の[1]ですけれども、これは家族形態だけが変化しているわけではなくて、地域の構造というか、地域社会をどう見るかということですが、地域社会自体が変化している。家族の形態の変化はその要素の1つなのですね。家族形態の変化だけでなく、貧困という問題も出てきたし、在住外国人の問題もとても大きく出てきた。第3次基本計画においては、私たちが男女共同参画を推進する対象というか、そこをもう一度とらえ直さないといけないのではないかということを強く感じました。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、岩井委員どうぞ。
岩井委員
私は女性に対する暴力に関するワーキング・グループの主査をしているんですけれども、それについてはまた後で次の機会に報告させていただきます。
 地域のワーキング・グループに参加させていただきたいと思ったのは、やはり暴力被害の問題を解決するためには、地域的な活動が欠かせないというところで参加を申し出たんですが、あいにく全然会議自体に参加することができませんでしたので、少しそこの中に入れていただきたいということについてお話ししたいと思います。
 暴力のところだけで扱えないというんですか、性被害に関する問題は地域の風土そのものに関連しているというところも多いわけですね。それから、それぞれの被害者、DVや性被害者、被害を受けた人たちを救済するシステムというものは、各地域においてきちんと整備されていなければなかなか救済を受けることができないわけです。また、行政がかなり縦割りになっていて、そういう相談を受け付けて救済するというふうなシステムがきちんとうまく構成されていないという部分もあるわけですね。
 ですから、ここでもかなり男女共同参画センターを整備する、推進するという論点が挙げられているわけですけれども、その中に一緒に性被害防止センターというふうな機能を充実させていただくということを希望しております。
 非常に問題として感じるのは、性被害を受けた人が訴えないという状況がまだまだ残っているということです。意識としまして、やはり被害を受けたこと自体が恥ずかしいことなんだとして公表できないという意識、風土が残っているところがあって、そこのところで訴えない人たちが非常に潜在化しているわけです。
 ですから、警察において性被害者を救済するためのシステムというものもかなり整備されてきていると思うんですけれども、その前段階で性被害者を救済・支援するというシステムを地域において充実させていくことが必要なわけです。そういうことを男女共同参画センターの中に入れていただくこともできるのではないかということを少しお願いしたいと思っております。
 それと、研修の充実ということも挙げられておりますが、人材研修の中にそういう性被害者などに対応できる人材ですね。専門性が非常に要求されますので、そのための研修を充実させていただきたいということです。
 それから、育児の社会的支援ということも言われているわけですが、保育施設のみでなくて、日本の場合、児童虐待に対応する里親が非常に少ないという状況がある。それは、やはり里親をやるということも非常に専門性が要求されるので、そういう里親を育成する研修も地域において充実させていく必要があるのではないかと思っております。
 こういう段階で申し上げて申し訳ないんですけれども、そういう視点も少し入れていただければと思っております。
羽入会長
ありがとうございます。ほかにございますか。
 それでは、帯野委員、加藤委員の順でお願いします。
帯野委員
質問と意見というか、お願いなんですが、まず質問の方です。
 女性活躍推進法ワーキングの方の数値資料で、参画状況の中に民間企業3.6%とあるのが、私の実感からは少し高いなという感じがしておりまして、その次のページに企業30人以上と100人以上が出ておりますが、できたらデータの総数を教えていただきたい。
 それから、公務員が2%となっておりますが、この資料の2ページを見ると行政レベル、国家公務員になっておりますので、これは地方公務員、国家公務員ではなくて、2%というのは国家公務員ということでよろしいのでしょうか。
 それで、これはまだ資料の段階ですのでよいのではないかと思うのですが、もしこのデータを最終的に出す場合はできましたらもう少しわかりやすく、例えば管理職でありますと本省課室長相当職以上となっておりまして、なかなか一般的には理解が難しいかと思うので、もう少し具体的に書いていただけたらと思います。
 ついでに言うと、課長級というのもやはりわかりにくいので、できれば職、課長相当職にある数を示していただきたい。多分人事院ぐらいに聞くと分かると思うのですが、一般にはなかなか級と職というのは非常にわかりにくいし、また、本委員会には関わりのないことですが、実質、わたりなどの問題もありますので、やはりその職、係長の仕事をしている人がどれぐらいいるかという数字を取れれば取っていただけたらと思います。
 それから、意見の方です。男性のワーキング・グループなんですが、本当にこれは重要かつ非常に難しい問題で、この男性の意識の啓発ですね、これさえできればこの委員会の問題もほとんど解決するのではないかと思うのですが、是非ここで具体的に男性のサクセスモデルみたいなものが訴えていけたら、例えば環境整備でも育児休暇などですと整備がないところは問題外なんですが、あってもやはり1.56%と、ほとんど活用されていない、利用されていないというところが問題です。しかし、これも上からがんがん取れ、取れと言ってもなかなか進まない。
 それで、実はうちの大学でこの4月から参画室を立ち上げるに当たって今、準備をしているんですが、室長には是非男性を就けてほしいということで、学内で唯一、育児休暇を取った男性に就いてもらいました。彼に言わせますと、育児休暇を取って非常に自分のキャリアの形成に役に立ったと言います。どうしてかというと、一日じゅう泣き叫んでいる赤ん坊を相手にしていることによって、自分が職に復帰したときに、どんなモンスタープロフェッサーが来て1時間叫んでも2時間でも自分はじっと聞ける。これが組織運営にも役に立つし、自分の研究も大きな成果が上がったというようなことを申しております。
 それと、地方ですので女性のサクセスモデルが少ない。仕事をしながらも女性としてすばらしいというモデルを示していく必要があると申しますと、女性だけでなく男性にもロールモデルが少なくて、30代、40代でがんがん働いたら50代、定年前になってぼろぼろになる、そういうモデルしかないということなので、やはり男性のサクセスモデルというものを示していくことがひとつ啓発に役に立つのかなと思いますので、是非それを御検討いただけたらと思います。
羽入会長
続いて、加藤委員どうぞ。
加藤委員
地域のワーキングのところの1ページ目、「[3]地域社会の変化」のポツの3つ目のところに書かせていただいていますが、「地縁でつながる地域団体やテーマでつながるNPOなど様々なつながりを重層的にとらえ、「地域」を捉え直す必要がある」というふうに書いてございます。冒頭、大臣からは、第3次の計画については実効性のあるものにというようなごあいさつがございました。まさに第3次のところで踏まえておかなければいけない大事な点かと私も思いますけれども、各ワーキングで今、申し上げましたような地域を重層的にとらえるということを是非共有していただければ幸いと思っております。
 それから、岡本さんも御発言になりました公契約のことについてです。これは以前、政務三役と懇談をする機会のところでも申し上げましたけれども、公契約の要件につきましては価格だけではなくて男女共同参画を含む環境、福祉、その他、複数の要件でもってつくり直していただきたいという話を申し上げましたので、今は男女共同参画の会議でございますからそれに関連するお話になっていますけれども、男女局だけではなくて公契約につきましては是非政府全体でほかの要件も加味した上で、どういう公契約の在り方が望ましいのかということの議論を進めていっていただきたいというふうに強く考えているところでございます。
 また、地域でさまざまな活動をしている人たちは、男女もありますけれども、子どものこともやり、環境のこともやり、福祉のこともやり、さまざまな活動を1人の人がいろいろな場面で活動しているわけですから、そういうところともつながるわけですので、是非、公契約の議論につきましては政府全体でしていっていただきたいと考えているところでございます。
 それから健康ワーキングのところでございますけれども、このワーキングの中に学校現場と強く関わる話が多数出てきているかと思います。例えば性教育、男性に対する食育、健康教育、それから性感染症、薬物乱用の有害情報を高校生、中学生に啓発資材を届ける等々、その他のところでも学校現場のところと連携しなければ進まない政策というのがたくさんあるだろうと思うのですが、ここも大臣がおっしゃったように実効性を上げるためには、政府の中で内閣府並びに文科省との連携、それからコミュニケーションを取り合う。それから、学校の現場が今どうなっているかということの情報を共有する。それから、学校現場の先生方とも意思疎通をきちんと図りながら実効ある政策というものをつくっていかないと、なかなか活字にしただけでは社会は変わっていかないんだろうと思いますので、3次のところでは是非それを踏まえた上でいろいろ考えていく必要があるだろうと考えております。
 各ワーキングと今の話とも共通するんですが、書いていくときに、常にどこでだれがどのようにどういうお金を使ってこの政策を実現していくのかということを頭に置きながら政策づくりをしていかないと、これもやはり実効性が上がらない要因の1つになり、絵に描いたもちということでずっと続いていってしまうのかなというふうに懸念をし続けてまいりましたので、そこも是非、皆様方と共用をさせていただけたら幸いかと思っております。
 それから1点、これは御礼でございますけれども、監視・影響調査の機能強化につきましては5ページに中心的に明記をされているようでございますが、とてもいいことを書いていただいていると思います。政策を提言するだけではなくて、その提言した政策がどう実効性が上がっているのかということをまさに監視をし、是正を勧告していくというような役割を監視・影響調査のところでは是非強化していっていただきたいというふうに兼ねてから考えていたところでございますので、今回の記載事項については大変歓迎いたしております。ありがとうございます。
羽入会長
ありがとうございます。
 今のお2人方、帯野委員、加藤委員の御発言で御質問がありましたけれども、データ総数のことは今お答えいただくことは可能ですか。
大西企画官
それでは、データについてです。
 1点目の民間企業の管理職の割合、3.6についての母数という点でございますが、今、手元のデータですと調査対象企業数のみ一定の方法で抽出いたしました7,000企業を対象としての女性課長職の割合ということですが、人数的なものが今、手元に……。
帯野委員
それは、内閣府の方で独自に調査をされたということですか。
大西企画官
資料の出所といたしましては、厚生労働省の女性雇用管理基本調査という調査から抽出しております。
 続きまして、公務員の管理職の割合についてですが、国家公務員の管理職の割合でございまして、対象といたしましては俸給の7級以上の管理職、指定職の方の人数でございます。総数といたしましては、管理職、指定職合わせまして全体が9,230名のうち、女性が180名という割合で、2%となっております。以上でございます。
羽入会長
ありがとうございました。今後、議論をしていくときに、恐らくいろいろな形で数字の明確化が必要かと思います。
 今、手を挙げていらっしゃったのが勝間委員、伊藤委員、坂本委員、石川委員ですので、この方々に御発言いただいて、その後で全体としてどう取りまとめていくかという議論もしてまいりたいと思います、今お手をお挙げくださった方々の御発言を伺って、それから事務局から今後のことを少し御発案いただき、そしてまた少し議論の時間を持ちたいと思います。
 では、勝間委員からどうぞ。
勝間委員
いろいろな論点で、多分共通論点というものが幾つか出てきていると思うんです。先ほどのマイノリティの問題しかりですが、特に強調させていただきたいのは何度も出ていますが、男性をどういうふうに巻き込むかということで、男女共同参画がこれまで全くと言っては失礼ですけれども、少しずつしか進まなかったのは、人口の半分を占める男性の協力が得られなかったからということが非常に大きいのではないかと考えております。その点を共通課題として、是非強調願えるとありがたいと思います。以上です。
伊藤委員
鹿嶋委員から出てきたこととも絡むんですが、ジェンダー統計の徹底ということについては、医療の問題、健康の問題も含めてですけれども、性差に関わる問題もありますし、意識のレベルでのジェンダーの問題というのがやはりきちんととらえられないと対策も打てないということですので、それは全体の課題として徹底していただきたい。
 もう一つは、女性の活躍の促進ワーキングのところで3ページの4の教育の分野です。これは文科省に質問をさせていただきましたが、世界経済フォーラムのジェンダーギャップのインディケーターのデータで、教育の分野が大変低くなっているわけですね。
 ただ、日本を低くしているのは1点だけなんですね。大学型高等教育への女性の進学割合が大変低いということが日本の教育分野でのジェンダーギャップの大きな部分になっているわけで、そこのところはちょっと指摘しておいていただいた方がいいのではないか。これはある面、社会的な損失というふうに私は考えています。女性研究者をこれから増やしていこうというときに基礎的な部分を拡大することにもつながると思いますので、それはデータ的にも示していただきたいと思います。
 もう一つは、言わずもがなでもう既に出ていることなんですが、やはり移住女性の問題です。日本の場合は、ある面、壁をつくって国際的な人口移動に関しては今まで余り目立った形で課題がこなかったわけですけれども、欧米あるいはアジアを含めて大変大きな勢いで人口の移動が起こっている。恐らくこれからの5年間というときに、この人口の移動の問題に対してジェンダーの視点からどうやって対応するのかがすごく大きな課題になっていくと思いますので、これもどこかで共通認識として持っていただきたいと思います。以上です。
羽入会長
ありがとうございました。
 それでは、石川委員どうぞ。
石川委員
健康問題についての若干補足にもなるかと思いますが、1点はメンタルヘルスの問題をここの中で掲げていく必要があったのかなという反省を私は今、議論を伺いながら思いました。共通項目でもいいんですけれども、さまざまなところに関わってきますので、こういった問題を出しておくべきではなかったかなと思っております。
 それから、加藤委員から御指摘のありました教育問題というのは非常に大事なところでして、これも男女共同参画全体に関わることなんでしょうけれども、学校の中でのこういった教育というのは非常に重要です。
 ただし、ワーキング・グループの議論の中でも出ましたように、羽入会長からも御指摘がありましたように、もう少し数値目標を決めて実現性のある施策を出すべきではないかという話がございましたが、なかなか教育問題を数値化するというのは難しいものですから、この点については今後も考えながら進めてまいりたいと思っております。
 それから、2回目の委員会でしたか、私はシステムとしてどうするかというようなことと、それから行政がどういうふうにしていくかというような問題と同時に、一人ひとりの住民がどういうふうに行動してほしいかということも男女共同参画の中に入れてはどうかという話をしたんですが、ワーキング・グループのヒアリングの中で安達先生が、産婦人科医の立場から患者が非常に横暴だというような話がかなり長い時間ありました。そういった意味でも、患者というか、こういったものを享受する人たちがどういうふうに活動してほしいかとか、あるいはどういうふうな知識を持って進んでほしいかとか、そういったようなことも何か提案できればいいかなと考えております。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、坂本委員どうぞ。
坂本委員
各部会のお話を伺っていて、私も複数のワーキングに参加させていただきましたけれども、3次においては男女共同参画の市町村のセンター、都道府県のセンター、それからヌエックですね。今、形成されている全国の関係機関のネットワークと、具体的なマンパワーが膨大に求められることになるんじゃないかと思いました。
 そういう意味では、地域の中で直接個人に向き合うことができる市町村のセンターの、都道府県もヌエックもそうかもしれませんけれども、形骸化、弱体化というのはかなり目に余るものがあって、ここのてこ入れというのは大きく柱をささないと、経済状況もきつい、財源も少ない、いろいろな意味で皆、自分の足下のことで手一杯という状況の中で、数値目標を達成していくにはかなりきついんじゃないかなという気がしています。取り組まなくてはいけないテーマも、貧困を始め、かなり厳しい手ごわいテーマが出てきています。
 そう考えると、やはりそこら辺の組織はできているんだけれども、やらなければいけないこともわかっている。どんどん状況は悪化する。その中で、なかなか動けないということが起こってくるんじゃないかということをとても心配していて、今、監視・影響調査のところで男女共同参画等との連携強化というのが入ってはいるんですけれども、ここを今の段階でかなり柱として強化するようなことも入れておく必要があるのではないかなと思いました。てこ入れとか、カンフル剤とか、エネルギーの注入みたいな視点での大きな柱が必要かなということを感じましたので申し上げました。
羽入会長
ありがとうございました。
 では、帯野委員どうぞ。
帯野委員
さっき言い忘れましたので、公務員の女性管理者の部分と、それから先ほど辻村委員から御発言がありました女性大使が4名しかいないという点で、是非これは民間登用と絡ませて訴えていくのも一つの方法ではないかと思います。公務員組織の中に、女性、民間を登用するということで、多分男性の民間登用というのは聞いたことがあるんですが、私の知る限り、管理職で女性の民間登用というのは余り聞いたことがないのですが、あるのでしょうか。その部分を訴えていただけたらと思います。
羽入会長
ありがとうございました。
 皆様からいただきました議論は、ワーキング・グループの補足以上に今後の論点ということを御発言いただいたと思います。
 今回、第3次を作成するに当たって、ひとつ大きな具体的な目標として、私たちは「あらゆる人のため」ということがあるかと思います。その「あらゆる人」というのは、別の言い方をすると非常にあいまいになりまして、具体的に何なのかということを考えていかなければいけないだろうということがございます。
 では、そのためにどういうふうにするかということを考えますと、皆様のお話を伺っていて思ったのですが、まず重要なのは現状を可視化する。ジェンダー的な統計にしても、できるだけそれを収集するということが必要で、それに基づいて、評価の方法を考える。それを更に監視していく制度が必要だと思います。監視し、制度化することの過程で、もう一度評価をし、更に監視の制度がどの程度役に立っているのかということを確認していく。このような作業は、恐らく5年ぐらいかければできるのではないかという気がいたします。
 皆様の熱い御発言から考えますに、第3次というのはとにかく具体化することが大事なことだという認識で恐らく共通しているように思われます。非常に抽象的な言い方でございますけれども、第3次は数値の目標をできるだけつくり、それを確認し、それを制度に反映させ、更にそれを検証するということが求められているのではないかと考えております。
 今後の進め方について事務局から一度御説明をいただき、皆様の御意見を伺った上で、もし時間がございましたら第3次の柱となる部分について更に御意見いただきたいと思います。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
藤澤推進課長
資料8をごらんいただけますでしょうか。
 これまでも専門調査会の方で何度かスケジュール、今後の進め方について御相談したり、御報告してまいりましたが、これまでの確認も含めた上で提案をペーパーにさせていただいておりますので簡単に御説明させていただきます。
 1番目に「本調査会の進め方」ということで、これはこれまで確認的なことでございますが、スケジュール的にはこの夏ごろまでに答申をいただきたいと思っておりますので、この専門調査会では3月中を目途に答申に向けた中間整理の取りまとめを行っていただきたいと思っています。これは、これまでもお願いしてきたスケジュールと同じでございます。
 また、※印で書いておりますように、暴力につきましては別途、女性に対する暴力に関する専門調査会でこれまでどおり並行的に専門的な議論を展開していただくということでございます。
 2番目に書きましたのが新たな御提案でございまして、「起草ワーキング・グループの設置」と書いております。これから3月に向けて、皆様方にいろいろ精力的に御議論いただくんですけれども、スケジュール的なこともございますし、基本問題・計画専門調査会と並行した形で起草ワーキング・グループを別途、設けてはいかがかと思います。起草ワーキング・グループで起草作業を行う。そのメンバーは、この専門調査会の委員の中から会長に決定いただくという形ではいかがでしょうか。これも、女性に対する暴力に関しましては別途、女性に対する暴力だけの起草ワーキング・グループを設けてはいかがかと思います。
 そうしますと、3番の「スケジュール」にございますように、後ろから見ていただきますと、6月の答申に向けて4月ごろには男女共同参画会議に答申していただく。4月、5月にパブリック・コメント、公聴会ということを見据えますと、この1月から3月にこの専門調査会を月に2、3回程度開催していただいていろいろ議論していただきます。
 あわせて、起草についてもし御了解いただければ、起草ワーキング・グループでこの専門調査会の議論を踏まえながら並行して、特に2、3月で作業を集中的に行っていただくことになると思います。起草作業を起草ワーキングでも並行して行うというスケジュール案でございます。
 なお、参考までに今月は1月28日に既に開催予定としております。以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。今、御説明がございましたように、4月ごろに答申の中間整理を公表するということで非常に時間が迫っておりますが、大変恐縮ですけれども、委員の先生方の中から数名、起草ワーキング・グループに加わっていただき、起草の作業をしていただければと思っております。本日、皆様の御了承がいただけましたら、事務局、会長代理とも御相談させていただきながらメンバーを確定していきたいと思いますが、そのような進め方でよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、時間がそんなにはないかもしれませんが、具体的にこの作業を進めていくに際しても、今までの議論に加えて論点として挙げておくべきことを自由に御議論いただきたいと思います。
 事務局では資料9、「答申に向けた論点(案)」というものを出していただいております。今までの中でも随分御議論いただいておりますが、恐らく第2次との違いなども既に出てはいると思いますけれども、15分か20分ぐらい議論いただいてもよろしいかと思います。いかがでございましょうか。まだこういう点もということがございましたら御発言ください。関連性はなくても結構ですので、御自由にどうぞ。
 では、坂本委員どうぞ。
坂本委員
ワーキング・グループの幾つかの部会でも出たんですけれども、男女共同参画に関する関心が20代、30代という比較的若い人たちと年配の方たちとで随分感じが違ってきていると思うんです。世代を少し分けたターゲット設定ということで、若い10代、20代、30代辺りの人たちというのは比較的自分たちの生活課題の中でこのことをとらえていて、変化を求めているということを感じますので、そこら辺がうまく見えるような形で何か構成していったらいいのではないかということがありましたので、御報告しておきます。
羽入会長
ありがとうございました。
 では、辻村委員どうぞ。
辻村委員
ほとんど同じ意見でございます。先ほど桜井委員から、対象をとらえ直す必要があるという御意見がございまして、今回は男性の視点が入ってきています。それだけではなくて、困難を抱える人々、移民、女性、外国人女性ですね、そういった非常にきめ細かな設定ができつつあるのではないかと思いますから、この線で対象別に、よくコンクリートから人へということを言われていますけれども、まさに第3次計画でも人に着目した分け方ができれば幸いです。
 さきほど、実はこれに関連して健康ワーキング・グループの御報告のときに質問しそびれてしまったのですけれども、例えば不妊女性を考えたときに、不妊の相談という記載はあったのですが、生殖補助医療などについては触れていなかったと思いました。例えば、代理母のことなどですね。
 これをそのまま書くと、もちろん世論が二分化されておりますし、大変な問題であることはわかるのですけれども、だからと言って何も書かないというのではなくて、例えば日本学術会議が試行的な実施ということを答申しているのですけれども、やはり不妊女性からするとそれが認められるのか、認められないのか。早く法律をつくってください、制度をつくってくださいということはあると思うんですね。
 ですから、非常に書きにくいことではありますけれども、結論を書くのではなくて、これについて早期に制度的、あるいは法的な整備をすべきであるというようなことは書けると思うんです。そういったことが、やはりそういう状況にある人、子どもを持つ権利であるとか、リプロダクティブ・ライツの中に積極面もとらえる傾向が最近ありますから、そういったことも書いていくことはいかがかと思っております。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。その他、どうぞ御自由に。
 それでは、もう一度、次回ワーキング・グループの1つの御報告をいただき、そして更に論点について議論をしていただきますので、次の機会にまた御発言いただければと思います。
 それでは、議論は以上のようなことにして、その他について事務局からよろしくお願いいたします。
大西企画官
それでは1点、要望書の取扱いについての御説明でございます。
 専門調査会で本日、机上にオレンジ色のファイルを置いてございます。こちらは専門調査会宛て、または内閣府宛ての要望書をつづってありまして閲覧いただけるようにしております。要望書が提出される度につづっていくようにさせていただきたいと思います。
 なお、個々の委員からの意見や要望にかかる資料についての提示はこれまでどおりでございまして、事前に事務局から会長に確認して会議資料とするというような扱いにさせていただきたいと思います。
 それから次回についてでございますが、1月28日木曜日10時から、今回と同じ会場で開催いたしまして、次回は女性に対する暴力に関するワーキングからの報告と、本日に引き続いた議論を予定しております。以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。
 今日、御発言いただきましたさまざまな議論は、論点を整理して事務局からまた改めてお送りさせていただきます。
 次回はまた近いうちにございますけれども、本日は長時間御議論いただきまして誠にありがとうございました。これで、52回の基本問題・計画専門調査会の会議を終わらせていただきます。
 誠にありがとうございました。

(以上)