男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成21年5月18日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 内閣府庁舎3階特別会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    岩井 宜子 専修大学大学院教授・副院長
    大熊 由紀子 国際医療福祉大学大学院教授
    大隅 典子 東北大学大学院教授
    岡本 直美 日本労働組合総連合会副会長
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    勝間 和代 経済評論家・公認会計士
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学准教授
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
    佐藤 博樹 東京大学教授
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    林 陽子 弁護士
    松井 忠三 株式会社良品計画代表取締役会長(兼)執行役員
    山田 昌弘 中央大学教授

(議事次第)

  1. 運営規則について
  2. 現行男女共同参画基本計画の概要等について
  3. 本専門調査会における議論の進め方について
  4. 自由討議

(配布資料)

資料1
男女共同参画基本計画の改定について(男女共同参画会議資料) [PDF形式:129KB] 別ウインドウで開きます
資料2
本問題・計画専門調査会委員名簿 [PDF形式:112KB] 別ウインドウで開きます
資料3
男女共同参画社会基本法(抄)
資料4
男女共同参画会議令
資料5
基本問題・計画専門調査会運営規則(案) [PDF形式:55KB] 別ウインドウで開きます
資料6
男女共同参画基本計画(リーフレット) [PDF形式:350KB] 別ウインドウで開きます
資料7
男女共同参画の取組と現状 [PDF形式:1800KB] 別ウインドウで開きます
資料8
男女共同参画基本計画改定の進め方について(案) [PDF形式:218KB] 別ウインドウで開きます
資料9
答申の構成について(案) [PDF形式:139KB] 別ウインドウで開きます
資料10
第42回基本問題専門調査会 議事要旨
板東局長
それでは、まだお見えでない先生もおいでになりますけれども、時間がまいりましたので、ただいまから第1回の調査会を開催します。
 第1回と申しますのは、今まで基本問題専門調査会というものがございましたが、基本問題に「・」が付いて計画専門調査会という形で、今回名前も中身も改めさせていただきましたので、そういう新しい会としては第1回の会を開かせていただくということでございます。
 大変お忙しいところ、先生方にはお集まりいただきまして、また委員をお引き受けいただきましてありがとうございます。 私は、この専門調査会を担当しております内閣府男女共同参画局の局長をしております板東と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 最初に一言ごあいさつさせていただきまして、それから会議の方に入らせていただきたいと思います。
 御承知のように、男女共同参画社会基本法ができましてこの6月で施行10年になるという年でございますし、また女子差別撤廃条約についてはこの年末で採択から30年と、またこちらも節目を迎える年でございます。そういう意味で、男女共同参画の推進にとりまして非常に重要な年であると思っておりますけれども、10年あるいは30年を振り返ってみますと着実に変化はしてきているというわけでございます。
 ただ、ほかの国に比べましても、その変化の度合いが残念ながら小さく、スピードは遅いというのが正直なところでございまして、我が国の男女共同参画推進の状況ということでいきますと、まだ道半ばであると思っているところでございます。
 今日、またはこれからずっとその先も御議論いただきます基本計画についてでございますけれども、今ちょうど第2次の基本計画が半ばを過ぎたところでございますが、来年の末を目途に次の計画づくりに着手しなければいけない時期になっているわけでございます。
 これからの時代を考えていきますと、今ちょうど経済について大変厳しい状況があるわけでございますけれども、これからの我が国の社会経済全体における活力と持続可能性の問題を考えていきますと、この男女共同参画の推進というのは極めて重要な枠組み、背骨になるものではないかと思っているわけでございます。
 そういう意味で、これからの御議論が是非新しい時代の在り方、またはそのベースになる基盤づくりということで、新しい方向性について積極的に出していただくということを踏まえながら、計画の策定ということの具体論も含めて御議論いただける、そういった場であるようにと思っているところでございます。
 そういうことで、これから長丁場になりますけれども、いろいろお願いを申し上げ、そして新しい方向性をおつくりいただく非常に重要な役割を担っていただく場であると思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。
 それでは、早速議題の方に入らせていただきます。まず、会長の方にバトンタッチさせていただく前に、簡単にこの会議の趣旨につきまして御説明させていただきます。本年1月に委員の改選がございまして、今回、新たにお加わりいただいた委員も含めまして、多くの方々にこの専門調査会の委員に御就任いただいたということでございます。
 資料1をごらんいただければと思いますけれども、現在の計画につきましては平成17年12月に策定をされているわけでございますが、平成22年度の末までに計画全体の見直しをしなくてはいけないという時期になっているわけでございます。
 本年の3月26日でございますけれども、男女共同参画会議におきまして内閣総理大臣から政府が基本計画を策定する際の基本的方向について検討をしていただくようにということで諮問がなされたわけでございます。資料1の次に「写」と書いたものがございます。これが、この諮問の内容でございます。
 そして、基本問題専門調査会の名称を「基本問題・計画専門調査会」ということで変更させていただきまして、この調査会を中心に計画の方向性や全体的な方針について議論をするということが決定をされたわけでございます。
 今後の進め方につきましては、後で改めて事務局から詳しく御説明させていただきたいと思いますけれども、今回は特にさまざまな分野からそれを代表するような皆様に御参加をいただいておりまして、皆様のさまざまなお知恵、御経験を十分に活かして、これからの議論を進めさせていただきたいと思っているところでございます。
 私たち事務局も、全力でこの計画づくりに向けて事務局として務めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今回は、調査会長につきましてはお茶の水女子大学学長にこの4月に御就任になりました羽入先生に御就任いただいていますので、今後の議事の進行につきましては羽入会長の方にお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
羽入会長
ありがとうございます。羽入と申します。この度、男女共同参画会議の議長でいらっしゃいます内閣官房長官から御指名を受けまして、この専門調査会の会長を務めさせていただくことになりました。
 今、局長から御紹介いただきましたが、私は4月から学長になったばかりであり、またこの調査会には初めて参加させていただきますので不慣れな点が多々ございます。皆様の御協力をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今、局長の方からもお話がありましたけれども、この調査会が基本問題・計画専門調査会と名前を変更したということになりますと、計画という言葉が入ったということを私どもは意識すべきなのではないかと思います。
 前回の議事録を拝見いたしましたけれども、今後の方針を考えるに当たって長期的なビジョンを持たなければいけないということと同時に、速やかに事をなさなければいけないという2つのことがあったかと思います。
 それに加えまして今、私は御紹介いただきましたように教育機関に属しておりまして、大学あるいは教育機関の中で男女共同参画というものがどういうふうに関われるのかということも考えていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回、初めてでございますので、大変恐縮でございますけれども、お一人ずつごあいさつを簡単にいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
伊藤委員
京都大学の伊藤公雄と申します。
 今、会長の方からお話がありましたように、私も大学におりまして、女性研究者支援の動きをこの3年間ほどやっています。女性の教職員の意識は大きく変わって、すごく意欲的な雰囲気になってきているんですが、残念ながら男性の方がやはりまだ対応できていない。その辺も含めながら議論ができたらと思います。よろしくお願いいたします。
岩井委員
専修大学法科大学院の岩井と申します。初めて参加させていただきます。
 今まで、女性に対する暴力に関する専門調査会の会長をやっておりましたのでこの会議室はなじみがあるのですけれども、この委員会には初めてですので、どうぞよろしくお願いいたします。
大熊委員
大熊由紀子と申します。
 朝日新聞で17年ほど社説を書いておりました。1984年に着任したときは、朝日新聞100年の歴史で女性初めての論説委員でした。私は科学技術、医療、福祉、年金プラス女性問題を担当することになりました。あのころ、女性問題は福祉同様、マイナーな問題として扱われておりました。、朝日新聞を卒業しましてから、伊藤先生がおられた大阪大学でソーシャルサービス論を受け持ち、今は青山にあります国際医療福祉大学の大学院におります。
 社会保障のことを少しは知っているからということでお入りなさいと言われて、お役に立てれば幸いと思っております。よろしくお願いいたします。
大隅委員
東北大学医学系研究科の大隅と申します。
 東北大学と言いますと、辻村先生の薫陶の下に男女共同参画の大学での推進ということに取り組んでまいりましたわけですけれども、私の専門は脳科学の方で、どちらかといいますとその科学や技術、そういったところでの共同参画というようなことに関して、特に女性研究者の育成に関しての活動を行ってまいりました。それから、仙台市の男女共同参画委員なども務めておりまして、そういったローカルな視点から見るというようなところからもあると思います。
 それから、ちょうどタイミングよくといいますか、第4期の科学技術基本計画の策定に関わるような専門委員の方もさせていただくことになりましたので、そういったところをつなげることができたら大変ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 
岡本委員
連合の副会長をしております岡本です。
 私は放送局に籍を置いておりますが、労働組合も、またマスメディアも女性の参画という面では大変遅れているところだと思っています。これからの議論を私なりに後ろ盾にさせていただきながら、自分の周辺でも女性参画がより一層進むようにしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
帯野委員
大阪から来ておりますインターアクト・ジャパンの帯野と申します。
 皆さんが共同参画についての関わり合いで自己紹介をしておられますのが、私は関わっているとまでは言えないんですが、強いて申せば大阪、関西の経済界の方でなかなか女性が育たない、後輩がいない中で、現在女性の常任監事としてできるだけ女性の視点で物を言うということに努めております。
 あとは、公職として務めている大阪府の人事委員会で9万人弱の地方公務員の中で女性の登用をこの8年間心掛けてまいりました。
 ただ、この委員会ではインターアクト・ジャパン、翻訳と通訳の会社をしておりますが、その代表として入れていただいておりますので、かねてから申し上げていますように、今後も産業界の視点から、それから地方の視点から意見を述べさせていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋委員
実践女子大学の鹿嶋と申します。
 第2次基本計画にも関わったんですけれども、いよいよ第3次がきて、いろいろな意味で今回は難しさもあるんだろうと思っています。2020年までに30%とか、いろいろな目標を掲げていますので、その意味でどういうふうにこれらを計画の中に盛り込んで実効性が担保できるかというところで、難しさはあるけれども、ある意味では逆に楽しみもあるだろう。楽しみというか、面白さですね。面白さというのは、私は大好きです。
 というのは、大熊委員同様、私は2005年まで日本経済新聞におりまして、新聞記者は難しそうな問題には皆、面白いという言葉で取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。
勝間委員
勝間和代と申します。よろしくお願いします。
 普段はフリーで経済評論をしておりまして、新聞、雑誌等に男女共同参画問題についても随分書かせていただいております。
 あとは、『ムギ畑』と言いまして、インターネット内で働く女性を応援するサイトが今年で12年目になりました。そういったような知見も踏まえまして、皆さんと一緒に現実的な会、とりあえず逃げ道をなくすというのが私のモットーでして、どうしてもやりましたと言いつつもなかなか逃げ道があると結局漏れてしまいますので、回って回ってしつこくしつこくしつこくやっていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
加藤委員
加藤さゆりと申します。全国地域婦人団体連絡協議会の事務局長をいたしております。
 私どもの組織は1952年に設立いたしましたが、設立と同時に目的のトップに掲げましたのが、男女平等の推進でございます。もう57年たとうかというところでございますけれども、更に一層男女共同参画社会実現に向けて、粘り強く頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
河野委員
こんにちは。キャリアネットワークの河野真理子と申します。よろしくお願いします。
 私は、企業向けの人事、人材育成に関する仕事をさせていただいております。
 個人的なことですが、私はメーカーに20年以上おりまして、そのときに子会社として今の会社をつくりました。個人を視点にし、当然ですが、女性、男性関係なく関わってきまして、現在会社をつくって20年、創業25年になります。
 1つ言えることは、非常に私は変わったと思っています。ゆっくりではありますが、25年前から比べると着実に変わっている。
 ただ、変わり方の中でまだまだいびつなところもありまして、現在、私の活動の中で感じているのは、女性全体のキャリアはもちろんですが、アッパーの部分の管理職、リーダーがどうなっていくのかということ。また、特に私の今の研究課題としては、技術系の方々が研究者のみではなくてMOTとして経営者として、経営陣の一人としてでもいいですね、活躍していくこと。今、これらが私の視点になっております。女性がますますこれから活躍していただくことで、きっとイノベーションが組織にも起きてくるんだろうということを楽しみにしながら、企業の視点と、就労面での視点からお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いします。
五條委員
東京農業大学の五條と申します。
 見てのとおりの駆け出しの者でございます。ただ、若い世代だとか、女性の方々が、どうすれば農林水産業を一層魅力ある職場として実感できる状況をつくることができるだろうか。このことを課題にして、現場で議論を重ねてまいりました。全国各地の農山漁村の現場の方々から、数多くの貴重な教訓を賜ってまいりました。そこで、この調査会においても、現場の方々と議論をして実感をした思いを訴え申し上げることができればと考えている次第であります。
 現行の第2次計画づくりのときから参画させていただきました。現行の案ができた後に、ちょうど1年間、中国に教育研究活動で出かけることになって専門調査会を2年間外れたのですが、戻ってきてから次期計画づくりが始まるにあたりまた入れていただいたということで、緊張して引き締めて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
坂本委員
NPO法人新座子育てネットワークの代表理事をしております坂本純子です。どうぞよろしくお願いします。
 基本法ができて10年というお話でしたが、今年、私どものNPOも実は10年目を迎えます。子育てをする母親たちが地域で活動をして法人格をつくって、職場としてこの活動を進めていくということができた10年というのは、基本法ができたことがいろいろな意味で追い風になっていたのかなと感じます。
 この短い10年間を考えましても、子育てをする男性と女性、父親と母親というのは非常に変わりました。10年前は保育園にお迎えに来たり、送りに来たりするお父さんは本当にわずかでしたけれども、昨今は本当にたくさんのお父さんが送り迎えをされているように思います。
 少子化や、都市化や、いろいろな子育てを取り巻く問題の中で、女性だけではなくてやはり男性も徐々に変わってきている。これを本物の動きにしていくことが、次の時代にいろいろなことを変えていく原動力になるのではないかと思っておりますので、計画策定に関わらせていただくのは今回初めてですけれども、いろいろ発言させていただきたいと思います。勉強の足りないところもあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
桜井委員
横浜市男女共同参画推進協会の桜井と申します。合わせて、全国女性会館協議会の常任理事ということもやっております。
 基本問題調査会で、地域における男女共同参画の推進というものを昨年まとめるのに関わらせていただきました。そのときに、男女共同参画の第2ステージというキーワードが出てきまして、それを今回の計画にどういうふうに反映させていくのかと思っております。やはり現場からの声を出していきたいと思っておりますのと、ですから余計にこの計画が具体的に影響力を持つ方法ということも合わせて考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
佐藤委員
東京大学社会科学研究所の佐藤博樹です。
 これまで男女共同参画会議では、少子化と男女共同参画の専門調査会と、仕事と生活の調和専門調査会に参加してきました。
 専門は人事管理で、女性の活躍の場の拡大や、仕事と生活の調和などを研究しています。両者がなかなか進んでいないということはある面で正しいのですが、相当変わってきていると考えており、もうあとひと押しでさらにすすむと考えています。
 そのことを実現できるような計画にできればと思います。また、皆さんと一緒に議論していければと思います。どうもありがとうございます。
辻村委員
東北大学の辻村みよ子でございます。よろしくお願いいたします。
 専門は憲法学及びジェンダー法学ということでございまして、法律の観点からさまざまな男女共同参画の問題を扱ってまいりました。2003年から文部科学省の21世紀COEのプログラムの男女共同参画社会の法と政策というプロジェクトの拠点リーダーをしておりまして、現在はグローバルCOEでやはり同じようなテーマを扱っております。男女共同参画局の関係では、ポジティブ・アクション研究会あるいは海外調査におきまして、いずれも政策方針決定過程へのポジティブ・アクション等の問題の検討をしてきました。そこでは、「2020年までに30%」という目標がありますけれども、どうしたらいいのだろうと思っているところです。
 恐らく今度、第3次計画ではいろいろな御意見がある中で、適切な着地点を見つけていかなければいけないと思いますので、皆様と一緒に検討したいと思います。よろしくお願いいたします。
林委員
林陽子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、昨年の1月から国連の女子差別撤廃委員会の委員を務めております。今年の7月には日本政府報告書審査が6年ぶりにございますので、そこで出される最終的なコメントなども今後の基本計画の中に活かしながら、国際的に通用する基本計画づくりのお手伝いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
松井委員
松井忠三と言います。
 私は今、株式会社良品計画の会長をしておりまして、商品で申し上げますと無印良品という商品を製造して販売している会社でございます。流通業でありますものですから、私どもは大体パートナー以上の方々の男女比で申し上げますと、男性が3で女性が7ということでございます。
 最初に入ったのは西友という会社でありまして、こちらも大変女性の多い会社ということでありました。
 ちょうど昨年2月に会長になりまして、今度は少し世の中に出て役に立てと言われて経済同友会に入ることになったんですが、そうしたらそこからの御紹介だということだったものですから、私はどちらかといいますと実際に企業を運営してきた立場からいろいろ発言をさせていただければと思っています。企業ですから、いずれにしましても結果を出さないことにはしようがないということでありまして、ずっとそんなことでやってまいりましたものですから、そんな見地で少しお話をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
山田委員
中央大学教授の山田昌弘でございます。
 前回の基本問題専門調査会の方に2年と、あとは女性に対する暴力に関する専門調査会に4年間お世話になって、今回はこちらにお世話になることになります。
 専門はいろいろあるんですが、家族社会学というのが専門でありまして、実はいろいろトレンドにはなっているんだけれども、なかなか目に見えないものを表に出していくということを基本方針としておりまして、特に男女共同参画に関しては多分エリートというか、能力がある女性の方はだんだんいいと思うんですけれども、そうではなくて見捨てられている女性がたくさんいるのではないかというところから調査を進めております。
 実は、私は総務省統計局の客員教授をしていまして、ちょうど先ほどまでデータ分析をやっていたところなのですが、いわゆる女性世帯主、女性が男性を養っているというのが増えてきているんです。逆に、母子世帯は収入がどんどん減っていって、実質収入で2004年のデータで1984年を割り込んでいるといったように、もちろん進んでいる面もあるんですけれども、大変になっている女性も一方で増えてきているというところを主張していきたいと思っております。失礼します。
羽入会長
先生方、委員の皆様の具体的なそれぞれのお立場からのお話を伺っておりますと、これが実現すればかなり社会的に評価の得られるものができるのではないかと勝手に考えております。どうぞ皆様の御協力をいただきますようによろしくお願いいたします。
 引き続きまして、事務局の皆様からごあいさついただけますでしょうか。
武川審議官
官房審議官の武川と申します。よろしくお願いいたします。
久保田総務課長
総務課長をしております久保田でございます。よろしくお願いいたします。
酒巻調査課長
調査課長をしております酒巻と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
塚崎推進課長
推進課長をしております塚崎と申します。この専門調査会を担当させていただいています。どうぞよろしくお願いいたします。
大西企画官
推進課企画官の大西です。よろしくお願いいたします。
金児推進官
男女共同参画推進官の金児と申します。主に国際関係を担当させていただいています。よろしくお願いいたします。
船木政策企画調査官
政策企画調査官をさせていただいております船木でございます。よろしくお願いいたします。
羽入会長
ありがとうございました。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 議事次第の第3番目でございますけれども、「運営規則について」です。事務局で案をつくりましたので、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
塚崎推進課長
まず、資料の3をごらんいただきたいと思います。資料の3は「男女共同参画社会基本法」の中の抜粋でございますが、第三章、基本法の条文の参画会議の部分を抜粋しています。ごらんいただきますと、男女共同参画会議の設置、それから所掌事務等につきまして規定をされているところでございます。
 それから、資料4でございます。次の資料でございますけれども、「男女共同参画会議令」におきまして、この専門調査会の委員となっていただいています専門委員について、それから専門調査会について規定を置いているところでございます。これらに基づきまして、去る3月の参画会議におきまして本専門調査会の設置が議決されたわけでございます。
 続きまして、資料5でございます。「基本問題・計画専門調査会運営規則(案)」とございます。参画会議の下で、元のほかの専門調査会の運営規則と同様な内容になっております。本調査会の運営につきまして、定めているものでございます。
 第2条ですけれども、調査会は会長が招集すること。
 第3条は、調査会に欠席する場合は代理出席や他の専門委員への議決権行使の委任はできないこと。ただし、意見があれば書面より提出することができること。
 第4条は、調査会を開くには会長が出席し、かつ委員の過半数の出席が必要なこと。ただし、会長が必要があると認めるときは、調査会の委員の過半数が出席しない場合であっても調査会を開くことができること。また、議事は過半数で決すること。
 第5条でございますが、議事要旨についての規定でございます。議事要旨は、発言者の氏名が記載されていないものでございます。こちらは、会長に御確認いただいて公表するものとしています。
 第6条でございますが、議事録についての規定でございます。議事録につきましては、発言者の氏名を記載させていただいています。こちらは、御出席者に御確認いただいた上、調査会にお諮りして公表することとなります。
 第7条ですけれども、会長に事故がある場合の代理の規定。
 第8条は、この規則に定めるもののほか、必要な事項は会長が定めることができるという規定でございます。以上でございます。
羽入会長
ありがとうございました。そうしますと、資料5に基づいてただいま運営規則が御説明されましたが、これについて皆様の御承認が得られればと思いますが、いかがでございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

羽入会長
ありがとうございます。それでは、この運営規則は原案どおり決定させていただきます。
 また、今、御説明いただきましたけれども、この運営規則の第7条というところに会長代理というものがございます。「会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員が、その職務を代理する」ということがございまして、大変勝手ながらこの代理を鹿嶋敬委員にお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、そのようにさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それで、突然ながら、鹿嶋先生に簡単にごあいさつをいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
鹿嶋委員
どうぞよろしくお願いいたします。
羽入会長
ありがとうございました。それでは、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして議事次第の4番で、「現行男女共同参画基本計画の概要等について」、それから第5の「本専門調査会における議論の進め方について」、事務局の方から御説明をまずお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
塚崎推進課長
資料は前後するのですけれども、初めに基本計画改定の進め方について御説明させていただきたいと思います。資料8の「男女共同参画基本計画改定の進め方について」という資料と、その資料の別紙になっております「今後のスケジュールについて(案)」とございます2枚を併せてごらんいただきたいと思います。資料8は検討体制、別紙の方ではスケジュールをまとめてございます。
 本調査会、基本問題・計画専門調査会では、初めに基本的方向性や枠組みについて御議論いただきたいと考えているところでございます。
 スケジュールの方で申し上げますと、これから6月の終わりくらいまでにかけて、現在3回の調査会の開催を予定していますけれども、その間、この基本的方向性や枠組みについての大枠の議論をしていただく予定でございます。今後、どのような基本的方向性を打ち出していくべきか。新たに生じてきた課題に対してどのように対応していくか。これまで不十分だったポイントや、更に推進すべきポイントなど、大きな枠組みを御議論いただきたいと考えているところでございます。
 その後、スケジュールの方でごらんいただきますと、大体今年いっぱいかけまして、各省から施策の成果あるいは現在の状況などについてヒアリングをしていただき、現行の計画のフォローアップをしていただく予定でございます。
 また、これから6月の終わりくらいまでにかけて今、申し上げました基本的方向や枠組みを御議論いただく過程で出てきた重点事項につきまして、更に深く御議論をしていただくために、幾つかのワーキンググループを設けて、そこで調査審議を行っていただき、議論の結果を取りまとめて本調査会に報告してもらうということで考えているところでございます。
 ワーキンググループの編成などについてはこれからの議論によるところでございますけれども、本調査会の委員の先生方にも分担して加わっていただきまして、本体の専門調査会と連携も図っていく体制をとりたいと考えているところでございます。
 このように、フォローアップと重点事項の議論を7月ごろから今年の終わりぐらいまで並行して進めていただきまして、その上で時期としては来年の初めごろからですけれども、フォローアップの結果、それからワーキンググループでの調査審議の結果を踏まえて、中間整理案を作成していく予定でございます。
 作成していただきました中間整理案につきましては、来年の5月ごろに公表してパブリックコメントにかけたり、地方公共団体の御意見を聞いたり、広く意見を聞く予定でございます。そして、そのパブコメなどの意見を踏まえ、更に報告書について御議論をいただき、最終的な報告書を取りまとめて決定していただく。そして、今年の3月の参画会議での諮問に対する答申を来年の夏ごろいただくというスケジュールを予定しているところでございます。
 なお、女性に対する暴力の分野につきましては、女性に対する暴力に関する専門調査会がございますので、そこで主に検討するということで考えております。女性に対する暴力専門調査会の岩井会長にも、こちらの方の専門調査会に参加していただいていますけれども、検討結果はこちらの調査会にも随時報告していくという形をとりたいと考えています。今後の進行によりましては、御相談しながら具体的なスケジュールを立ててまいりたいと思いますが、以上が大まかなスケジュールでございます。
 次に、資料の9でございますが、「答申の構成について」という資料でございます。これは、これからまさに御議論いただくということで、あくまで粗々のイメージを持っていただこうということで御用意をさせていただいたものでございます。例も、あくまでも例ということで挙げさせていただいています。
 まず「総論」と書いてございます黄色い枠の部分の基本的方向性、枠組みをこれから6月の終わりごろくらいまでにかけまして、初めに御議論いただきたいと考えています。
 第1に、「基本理念」としまして、なぜ男女共同参画を推進していくべきなのかということです。これにつきましては、基本法などにも趣旨が盛り込まれていますとおり、人権の尊重あるいは多様性に富んだ活力ある社会経済の構築を例として挙げることができるかと思います。
 次に、現在の第2次計画を策定した後の社会情勢の変化、あるいは新たな課題でございますが、例として少子高齢化など、幾つか挙げさせていただいております。
 そして、それらを踏まえて、男女共同参画社会の実現に向けて今、何が必要とされるかということ。あくまでも例としてでございますけれども、3点挙げさせていただいています。例えば、今は男女共同参画センターあるいはイベントに男性や若い年代層などの参加が少ないという課題がございます。こうした男女共同参画に興味が薄い層への戦略的なアプローチも必要とされるかと思いますし、また、多様な主体がそれぞれの強みを活かして連携・協働して具体的な課題を解決するという男女共同参画の推進、第2ステージと呼んでいますけれども、そうした連携・協働、それから特に生活困難層の支援などでも重要とされます多様なライフコースを想定した長期的な視点に基づく取組みなどを例として挙げています。
 そして、その具体化として重点的に取り組むべき事項、例えば女性の活躍の促進、ワーク・ライフ・バランスなどを例として挙げております。先ほど御説明いたしましたとおり、この基本的な大枠の議論の中で出てきました重点事項について、更に議論を深めていただくため、ワーキンググループをつくって検討していただく予定でございます。そして、そのような重点的に取り組むべき事項を推進する体制として、ここでは国と地方の推進体制の整備充実など、幾つか例を挙げさせていただいておりますが、こうしたことについて全体的に御議論をいただきたいと考えているところでございます。
 次に、現行の計画につきまして、資料7のデータなども合わせて使いながら御説明させていただきたいと思います。資料6でパンフレットをお配りしているかと思います。緑のパンフレットでございますけれども、それをごらんいただきたいと思います。
 現行の「男女共同参画基本計画(第2次)」と書いてある緑のパンフレットでございますけれども、現行の基本計画につきましては平成17年12月に閣議決定されたところでございます。その構成ですけれども、パンフレットの1ページ目の下に「計画の構成」と書いてございますが、「第1部 基本的考え方」では、計画策定の経緯、構成、重点事項についてまとめているところでございます。
 第2部でございますが、こちらは「施策の基本的方向と具体的施策」になっております。第2部は主要な部分になっていまして、こちらにつきましては後ほど詳しく御説明させていただきたいと思います。
 第3部は「計画の推進」ということで、推進体制などについて記述をしているところです。
 第2部の構成ですけれども、少しわかりにくいかと思いますので、参考資料として机の上に本体の「男女共同参画基本計画(第2次)」という白い冊子をお配りしているかと思いますので、それをごらんいただきながら説明させていただきたいと思います。
 7ページを開いていただきたいと思います。第2部ですけれども、施策と基本的方向、具体的施策の部分でございますが、第2部は全部で12分野を盛り込んでいまして、第1分野が7ページの上に書いてございます政策方針決定過程への女性の参画の拡大となっています。この第1分野を例にとって構成を説明させていただきます。
 まず7ページのところに「目標」というふうにかぎで囲ってございますけれども、その中にそれぞれの分野の目標を初めに掲げています。
 その上で、1枚おめくりいただきまして8ページをごらんいただきたいのですけれども、左側のページが「施策の基本的方向」、右側のページが「具体的施策」でございます。
 計画の対象期間としましては、左のページの基本的方向が平成32年、2020年までを見通しての長期的な施策の基本的方向になっておりまして、右の「具体的施策」の方は22年度、来年度末までに推進する具体的な施策となっております。12分野それぞれにつきまして、「目標」、「施策の基本的方向」、「具体的施策」、3つの部分が入っているというわけでございます。
 それでは、もう一回パンフレットの方にお戻りいただきたいと思います。パンフレットを使いまして、12分野それぞれについて簡単に御説明をさせていただきたいと思います。パンフレットを1枚おめくりいただきまして、2ページ目の下のところをごらんいただきたいと思います。緑でちょっと見にくいですけれども、「1.政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」とございます。第1分野に当たる部分ですけれども、こちらにつきましてはそこに書いてございますとおり、国が率先して取組みを進め、地方公共団体、企業などに対しても広く呼びかけ、取組みを支援するとしております。
 第2次計画では、幾つかの数値目標を掲げております。主なものにつきましては、四角で囲んで右側の欄に書いてございます。第1分野につきましては、右側の主な数値目標のところでございますけれども、2020年までにあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合を30%にしようという目標を立てているところでございます。
 それから、次の丸のところでございますが、国が率先してということで、国家公務員のI種事務系の採用者につきましては平成22年度ごろまでに30%程度という目標を立てています。この国家公務員の採用につきましては採用内定の段階ですけれども、22年度より前に今年度、前倒しで目標を達成しているところでございます。また、こちらには書いてございませんけれども、計画を策定した後の新たな取組みとしまして、昨年の春でございますが、女性の参画加速プログラムを策定して、女性の参画の拡大の取組みを戦略的、具体的に進めているところでございます。
 現状ですけれども、今度は資料7の5ページ目をごらんいただきたいと思います。3の(1)の1で「政策・方針決定過程への女性の参画」とある図でございますが、こちらの方でいろいろな分野における指導的地位に占める女性の割合を10年前と比較しています。10年前が濃い紫で、薄い紫が直近の数字でございますけれども、いずれの分野でも増加をしているところでございますが、点線で書いてございますとおり、2020年に30%という目標に届いている分野はここに挙げている中では審議会のみでございます。
 次に、資料7の11ページをごらんいただきたいと思います。11ページの下半分のところに国際的な指標を挙げておりまして、表の上のHDIというものが平均寿命や賃金水準、教育水準で算出しているものです。日本は最新の順位で179か国中8位と非常に高いところにいるのですけれども、下のGEM、ジェンダー・エンパワーメント指数、これは政治や経済活動への女性の参画を示す指標でございますけれども、そちらの方では108か国中58位ということで、国際的に見ると日本における女性のいろいろな分野での参画というのは依然として低い水準にある。いかにその拡大を図っていくかというのが大きな課題となっているという状況でございます。
 次は、第2分野でございます。すみませんが、パンフレットの方にお戻りいただきまして3ページのところでございます。第2分野は「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」でございます。男女の社会における活動の選択に対して、中立的に働くような制度構築というものが大きな課題になっているとしています。数値目標では、「男女共同参画社会」という用語の周知度を22年までに100%にするということで目標を掲げています。資料7の4ページに「男女共同参画に関する用語の周知度」のデータを載せていますが、19年の調査で「男女共同参画社会」につきましては64%ということで、目標に届いていないという状況でございます。
 意識ということでは、その1枚前のページをおめくりいただきまして2ページのところでございます。いわゆる固定的な役割分担意識につきまして2ページの下の図でございますが、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきであるという考え方について、薄い青と濃い青でございますけれども、反対する方の割合が経年で見ますと増加傾向にありまして、平成19年の最新の調査では反対が半数を超えているということでございます。
 次の3ページの上の図が、同じ調査につきまして性別、年代別に見ているものでございます。真ん中の方の薄紫の部分でございますが、男性については賛成が若い世代になればなるほど減少するという一方で、女性の方は20歳代などの若い世代において40歳代と比べまして賛成の回答が多くなるなど、やや保守的な傾向が若い世代でみられ、男性とは異なる傾向もみられるところでございます。
 それから、その下の2-マル4の図は女性が職業を持つことについての考え方です。濃い青い線の継続就業、子どもができてもずっと職業を続けるという考え方が、男女いずれも増加傾向にあるということでございます。緑の部分は再就業になっていまして、子どもができたら職業を辞め、大きくなったら職業を持つ方がいいという人を継続就業は追い抜いているという状況でございます。
 前後して申し訳ないのですが、パンフレットの方の4ページをごらんいただきたいと思います。次が第3分野でございます。「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」でございまして、4ページの3のところでございますが、右に(1)から(5)とありますけれども、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保、あるいは女性の能力発揮促進のための援助、起業支援といったことが盛り込まれているところでございます。この分野につきましては、現計画が作成された後に、均等法の改正あるいはパートタイム労働法の改正により、法制面での充実が図られています。
 就業の分野における主な変化でございますが、資料7の12ページをごらんいただきたいと思います。12ページの「(2)就業分野における男女共同参画 共働き等世帯数の推移」をごらんいただきたいのですけれども、共働き世帯は年々増加傾向にございまして、男性雇用者と無業の妻からなる世帯、いわゆる専業主婦の世帯との差は広がりつつあるという状況でございます。
 次の13ページでございますが、女性の年齢階級別の労働力率でございます。昭和50年から推移を見ています。現在もM字カーブを描いてはいますが、以前に比べましてM字カーブの底はかなり浅くなっていまして、底になっている年齢階級でございますが、20歳代後半から30歳代へと年齢が上がっているという動きがございます。この変化ですけれども、主に結婚せずに引き続き就業している人が増えているということによるものであることがわかっておりまして、やはり女性の継続就業をめぐる状況は依然として厳しいということがわかります。
 次のページをごらんいただきたいのですが、国際的に見ますと多くの先進国ではM字カーブの底が見られない、逆U字型の国が多くなっていまして、この中では韓国とともに日本は少数派になっているという状況でございます。
 それから、次の15ページの上の図でございますけれども、男女間の賃金格差の図です。差につきましては、長期的には縮小傾向にあるのですけれども、これは男性の正社員を100とした場合の女性の賃金が一番上の線でございますが、男性の正社員を100とすると女性の正社員の賃金は69ということで、依然として格差が大きいという状況でございます。
 その下の図でございますけれども、雇用者のうちの非正規の割合は男女とも年々増加しておりまして、女性の方は非正規が平成16年以降、半数を超えているという状況です。次のページの図でございますけれども、非正規の増加につきまして平成4年から平成19年の15年間の変化を見ております。上が女性、下が男性で、年齢階級別に変化を見ているところでございます。パート、アルバイトは白い部分、それから濃い部分が派遣などでございますけれども、女性あるいは男性の特に若年層でございますが、非正規の雇用者が急速に増加しているという状況でございます。こうした中で、職務あるいは能力に応じた適正な処遇の確保ということが大変重要な課題になってきております。
 第4分野ですけれども、パンフレットの4ページのところですが、「活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立」ということで、農業分野における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大等についての記述がございます。
 農業、漁業の分野ですけれども、資料7の11ページに農業委員や農協役員、漁協役員の女性割合を表で載せてございます。資料7の3-(1)-マル10図でございますけれども、18年の数でごらんいただきますと一番右側でございますが、まだまだ女性の農業委員、農協役員等は少ない状況でございます。ただ、農業分野の女性の起業は増加傾向にあるということです。
 それから、第5分野でございます。5ページのところでございますが、「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」でございます。今で言うワーク・ライフ・バランスですけれども、両立支援を進めるとともに働き方を見直し、家庭、地域社会における男女共同参画を進めるとございます。
 数値目標としましては、右側の主な数値目標のところに書いてございますが、育児休業取得率、勤務時間短縮などの措置の普及率を掲げています。いずれも上がっていますが、男性の育児休業取得率も上がってはいるのですが、19年の最新の数値で1.56%という大変低い水準でございます。
 保育所につきましては、次の数値目標で保育所の受入れ児童数を書いてございます。保育所につきましては20年4月の定員が212万1,000人ということで増えてはいるのですが、御承知のとおり現在、待機児童の急増という実態があるところでございます。この分野につきましては、19年末にワーク・ライフ・バランスの憲章、行動指針ができ、新しい枠組みの取組みが進められているところでございます。
 しかし、実態を見ますとなかなかワーク・ライフ・バランスの実現がかなっていないという状況がございまして、資料7の17ページをごらんいただきたいんですけれども、男性、女性につきまして「仕事と生活の調和の希望と現実」を見たグラフでございます。いろいろな活動をバランスよく優先したいという希望が多いのですが、現実をごらんいただきますと、男性も女性もいずれも家庭優先、あるいは仕事優先という方が多くなっていまして、希望がかなっていないという状況がございます。特に男性の方では、現実は仕事優先の人が多くなっています。
 次のページが、「女性のライフステージに応じた働き方の希望と現実」ということです。18ページでございますけれども、上が現実でございまして、下が希望です。希望のところをごらんいただきますと、子どもが小さいとき、子どもが3歳以下というところでございますが、働きたくないという人は増えるんですけれども、家でできる仕事ならばしたいという方も少なくない。ただ、上の現実の図で見ますと、そうした希望はほとんどかなっていないということがわかります。子どもが大きくなるにつれまして、フルタイムだが、残業のない仕事というところが増えるんですけれども、上の図で正社員の層を見ていただくとわかりますとおり、やはり多くの場合、希望がかなっていないという状況でございます。
 次の19ページの3-(3)-マル3図でございますが、こちらの方で「子どもの出生年別第一子出産前後の妻の就業経歴」を見ています。下の濃いオレンジと緑の部分を合わせたところが就業継続ですけれども、その就業継続の割合というのはほとんど変わっていません。就業継続の中で育児休業を利用されている方は増えています。けれども、むしろ第一子出産を機に出産退職をされる方の割合というのは増えているという実態がございます。
 その背景ですけれども、次の図でございますが、夫の家事・育児等に関わる時間が大変短いということも挙げられるかと思います。下の図で、6本あります棒グラフのうちの真ん中のところですけれども、たとえ妻が週35時間以上働いていても、夫の家事・育児の時間が丸で囲んでございますが、33分と非常に短い状況でございます。
 この水準なのですが、次の20ページのところに国際比較を載せてございます。これは、国際的に見て大変短い。3-(3)-マル5図で、6歳未満の子がいる夫の家事・育児時間の比較をしていますが、日本は非常に短いということがわかります。
 その背景でございますが、その下の図でございますけれども、30歳から40歳代の男性の2割以上が一番上の赤い線、あるいは灰色の線でございますが、今は少し減っていますが、週60時間以上働く人の割合で見ますと男性の30代、40代で20%以上の方が60時間以上働いているというような長時間労働が常態化している人が少なくないということがございます。このように、実態を見ていくと、ワーク・ライフ・バランスはまだなかなか進んでいないという現状でございます。
 次の第6分野でございますが、パンフレットの5ページのところでございますけれども、「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」でございます。高齢者を社会全体で支えていく介護体制の整備、高齢者の社会参画の支援といったことが盛り込まれています。
 資料の21ページのところですけれども、高齢者単身世帯、中でも離別の女性ですが、非常に年間収入が低い方が多くなっていまして、年間収入が120万円未満である方の割合が全体の3分の1くらいで、経済的に厳しい状況にあります。
 下の図でございますけれども、「65歳以上単独世帯数の将来推計」ですが、未婚や離婚が増える中で急増が見込まれているという状況です。こうした高齢の単身世帯は今、申し上げましたような経済困窮あるいは孤立などの困難を抱えやすいといわれているところでございます。
 また、次のページでございますけれども、介護の問題もますます深刻になることが予想されるところでございます。介護者の続柄ということで内訳を書いてございますが、同居の配偶者、それから子ども、あるいは同居の子どもの配偶者が全体の約6割を占めているという現状です。性別でみますと、同居の場合、主な介護者の7割が女性です。
 それから、その下の図でございますが、介護労働者の内訳を性別で見ますと女性が8割を占めているということでございまして、介護の負担は女性に偏っているという状況がございます。
 それから、第7分野でございます。第7分野は「女性に対するあらゆる暴力の根絶」でございます。女性に対する暴力は、犯罪となる行為を含む人権侵害でありまして、男女共同参画社会形成の上でその根絶は重要な課題となっています。予防と根絶のための基盤づくり、パンフレットの6ページの7の(2)以下、配偶者からの暴力、性犯罪、売買春、人身取引等が書かれていまして、女性に対する暴力はさまざまなものが含まれますが、それぞれの形態に応じた幅広い取組みを総合的に推進するとしております。配偶者からの暴力、いわゆるDVにつきましては、19年にDV法が改正されたところです。
 現状ですけれども、資料7の23ページをごらんいただきたいと思います。配偶者からの暴力の実態としまして上の図で、何度も暴力を受けたという人の割合ですが、女性の場合だと約1割、10.8%、男性の場合は2.9%、約3%で深刻な状況でございます。配偶者間において、殺人では約6割、傷害・暴行では約95%が女性の被害者となっています。
 次の次のページで25ページのところでございますけれども、強姦、強制わいせつの認知件数を図にしております。推移で見ると減少傾向が見られるのですが、まだまだ多いという状況でございます。
 職場におけるセクハラの相談件数は、近年増加傾向にございます。下の3-(5)-マル5の図でございますが、近年セクハラの相談件数は増加傾向にあるという状況でございます。それから、第8分野でございますが、「生涯を通じた女性の健康支援」ということで、特に妊娠・出産期は女性の健康支援にとっての節目の時期になっております。
 資料7の26ページをごらんいただきたいと思います。26ページの図の3-(6)-マル1の図でございますけれども、乳児死亡率などの母子保健関係指標につきましては経年でみますと低下傾向にあるという状況でございます。
 しかし、下の図をごらんいただきたいのですが、周産期死亡率などは年齢に比例して上がっておりまして、特に45歳以上になると急上昇するということがわかっています。女性のライフプランニングの支援などにおきましては、こうした点についても配慮をしていくことが必要といえるかと思います。
 第9分野でございますが、「メディアにおける男女共同参画の推進」でございます。メディアにおける人権の尊重を確保するため、メディア界における男女共同参画の推進、人権に配慮した表現についてのメディアの自主的な取組みの促進などについて、計画の中に盛り込んでいます。
 メディアにつきましては、またちょっとお戻りいただくんですけれども、資料の7の10ページのところに各種メディアの女性割合を載せております。10ページの「各種メディアにおける女性の割合」という図でございますけれども、いずれも少しずつは増えているんですが、まだまだ低い水準にとどまっているという現状でございます。
 第10分野でございますが、「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」ということでございます。数値目標としましては、すべての教育レベルにおける男女格差を解消するという数値目標を掲げています。
 資料7の28ページでございますが、男女別の進学率で見ますと女性の大学学部への進学率は上昇傾向にございます。資料3-(7)-マル1の図では、男女別の進学率を見ています。
 その下の図ですけれども、学部学生、それから院生に占める女性の割合を専攻分野別に見ますと、専攻によってかなり偏りがございまして、特に理工系は少ないという現状でございます。
 それから、第11分野でございますが、「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」でございます。国際規範・基準の国内への取り入れ、浸透あるいはODAなどによる「平等・開発・平和」への貢献について盛り込んでいます。この関係では、先ほどもお話がございましたが、今年の7月に女子差別撤廃条約の報告審査が行われる予定でございます。それから、最後の12分野でございますけれども、1次計画のときは全体で11分野だったのですが、2次計画のときにこの新しい分野が加わったところでございます。中身は、科学技術、防災、地域おこし、まちづくり、観光、それから環境という内容でございます。
 科学技術につきましては、主な数値目標として女性研究者の採用を挙げております。これにつきましては、資料7の29ページのところでございますが、研究者に占める女性の割合は緩やかですが、増加しつつありまして、20年の数値で13.0%と、まだ水準としては低い状況でございまして、次の30ページのところに各国比較を載せてございますけれども、他国に比べるとまだまだ低いという現状でございます。
 現行の計画につきましては以上でございますが、最後に資料7の31ページをごらんいただきたいと思います。新たな課題としまして、「生活困難を抱える人をめぐる状況」について載せてございます。31ページの上の図、3-(8)-マル1図でございますけれども、ひとり親家庭の増加など、家族の変化あるいは非正規の増加、グローバル化などを受けて生活困難を抱える方が増えていまして、上の図でございますが、例えば母子世帯の年間就労収入というのは大変低い水準になっていまして、200万未満が全体の7割以上という状況でございます。
 また、下に国際結婚の動向を載せてございますが、1980年代半ば以降に急増しています。組合せとしては妻が外国人、夫が日本人が多いということでございまして、特に在留外国人女性とその子どもが社会に適用しにくい、あるいは孤立しがちであるという問題も生じています。
 こうした生活困難につきましては、子どもの教育の問題など、次世代への連鎖の問題が指摘されていまして、次の最後の32ページでございますけれども、日本における子どもの相対的貧困率は1980年代以降、上昇傾向にあるという状況がございます。生活困難層の問題は、女性が希望に応じた働き方を選択しにくいというような社会構造、固定的性別役割分担意識、あるいはDVの問題が背景にあるということもあり、男女共同参画の視点を持って対応すべき新しい課題ともいえるのではないかと思います。以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。詳細な御説明をいただきまして大変勉強になりました。
 スケジュールについて最初にお話がございましたけれども、ほぼ1年弱、10か月くらいでまとめていくことになりますが、まず今回を含めて3回くらいでその方向性や取組みの概要について議論をしていくということになろうかと思います。あと2回くらい、6月中に会合が予定されておりますけれども、その中で方針をできるだけクリアにしていくということを予定しております。
 そうしますと、今回も貴重な時間でございますので、できるだけ多くの御意見をいただきたいと思います。今、御説明がありましたことも含めて質問、あるいは御意見をいただきたいと思います。資料の9にございましたが、基本理念について話し合うことも、それから視点についてそれを基にして定めていくこと、それから重点項目をどういうふうに考えていくかということもございまして、いろいろなレベルの話になろうかと思います。第2次基本計画の現状の御説明にもございましたが、それも踏まえて今日はかなりランダムに議論いただくのがよろしいかと思っております。
 今日の御議論を踏まえて、次回までにおおよその方向を整理し、そしてまた改めて皆様に御意見をいただいてということがよろしいのではないかと考えております。
 それでは、どうぞお願いいたします。
佐藤委員
内容というより、進め方のことですけれども、2つあります。
 1つは、資料9のところでまず基本理念を議論するということなんですが、この基本理念というのは何かということです。基本法に基本理念が書かれているので、基本理念はそこにもう定められると考えた方がいいのではないかと思っています。ですから、基本法を踏まえ、1次はもう終わったけれども、2次の計画を踏まえながら、基本法でうたっている男女共同参画の推進を図っていく上で、基本的に基本計画は政府の取組みの方針ですから、政府としてどういう考え方で、どこを重点にやっていくか。
 ですから、基本理念を議論するのではないと思うのですが。多分、細かいことは後ろに出てくると思いますけれども、第3次の基本的な取組みの方向性を議論するのであれば私はわかるんですが、基本理念を議論することがわかりません。
 2番目は、基本的な課題を議論し、あとは具体的なそれぞれの分野ごとで議論していくことになると思います。今回12分野と書かれていますが、最初は11分野だったと思います。この分野は動かせないものかどうか。つまり、この12分野という枠組みですね。前回の第2期のときは11分野の枠組みで議論をし始めてあとで1つの分野が加わる形なのですけれども、なぜ当初11分野で、また12分野になったのか、よくわからないところがあります。
 例えば、メディアにおける男女共同参画推進ですが、考え方によってはこれは政策方針過程への、つまりメディアという組織の中で、例えば女性がいろいろなポストに参画していくこととも読めます。新たな取組みの科学技術分野も1に入っています。男女の両立支援も、では均等となぜ分けるのかとかですね。
 つまり、11分野とか12分野は動かせないのかどうか。つまり、今回の取組みの方向性のイメージがはっきりするのであれば、この11、12などの分野にこだわらないで整理した方がいいかなと思います。
板東局長
それでは、簡単に今の御質問につきましてお答えします。
 まず1番目のところです。この基本理念という言葉は法律と同じ言葉を使っているのでまずいかとは思うんですが、男女共同参画の推進の必要性とか、新たな状況の中においてどういうところを重視するかということももちろんあるんですけれども、改めてどういう枠組み、考え方の中で必要かということについても少し強調した方がいいのかなと。
 例えば、人権の尊重という観点ですね。人権の尊重、平等とか、個人の尊厳という観点はもちろん重要だと思うんですけれども、例えば多様性の推進とか、そういった枠組みとか、あるいはいろいろな連携・協働あるいは社会に主体的に参画をし、形成をしていくという考え方とか、強調すべき考え方のところというのはその時代に合わせて更に強化をしていった方がいいのではないかと思っております。
 そういった改めて理念なり、必要性のところでも、もう少し今の時代に合わせて強調した方がわかりやすい部分というものを少し最初に持ってきたらいいんじゃないかということですけれども、そのことだけを議論していてもなかなか実りは少ないかと思いますので、最後にどういうふうに書くかというようなお話だと思います。
 私などはよくいろいろなところで話をさせていただくときに、実感としては最近やはりダイバーシティの話をすると割合理解していただけるという部分もありまして、そこの部分を男女共同参画の推進などについて従来以上に強調した方がいいのかなという感じがしているところでございます。
 それから、柱のところは佐藤先生が御指摘のように、これはこだわらなくて構わないということで、整理をしても、少なくしても多くしても、そこは構わないということでございますので、これから重要だと考えるべき柱をどういうふうに立てていくかということをまさに御議論いただければありがたいと思っております。
羽入会長
ありがとうございました。佐藤先生、よろしゅうございますか。
佐藤委員
はい。
羽入会長
今、局長からお話がありましたように、確かに基本法というものがあってそれにのっとるということは必要だとしても、具体化するための方策を考えるに当たって、どういう共通の方向性があり得るかということは議論してもよろしいのではないかと私は考えております。
 今、佐藤先生に御指摘いただきましたように、この12の枠というものは一つの考える手立てにはなるかと思いますので、それも含めてそれぞれの皆様の御意見をいただければと思います。どうぞ。
辻村委員
基本的な質問をさせていただきます。
 計画の対象期間というところですけれども、第2次基本計画におきましてはこのパンフレットの一番下に書いてございますように、長期的な施策の方向は15年間、要するに2005年から2020年を目指したわけですね。それで、短期は5年間を目指したわけですね。
 それで、今回は2010年からまた5年間を短期では目指すと思うのですが、長期についてはこちらの計画で左のページに書いてあるところですが、このように1度2020年という数字を出してしまった場合に、この次の第3次の長期の目標期間はいつまでになるのでしょうか。
板東局長
非常に悩ましいところでありまして、社会的な変化というのも非常に今ある意味では不透明といいますか、見通しが難しい状況になっているというところもございますし、2020年に30%などというのは非常にわかりやすい目標であり、まだまだ達成というところから見るとなかなか距離があるという目標でもございますし、いつも常に15年先をという形にするのか、それとも一応2020年にするのか。その辺りも含めて、御議論いただければありがたいと思っております。
 それから、更に長期の目標というだけではなくて、例えば2015年までをターゲットに置くのであれば2015年の数値目標みたいなものを、中間過程として2020年に30%というのであれば、全部の分野というわけにはいかないと思いますけれども、例えば特定の分野、公務員とか、そういうものについてはもう少し短期的な目標というものも必要なのではないかという御意見もきっとあろうかと思います。
 特に、今の辻村先生の御質問は、恐らく数値目標を設定する場合にどう考えていくのかということだと思いますので、より取組みを促進しやすい目標の設定の仕方を考えていかなければいけないのかなという感じがしております。余り先の目標をつくっても、むしろ現実に推進していこうという力になるのかどうかというところもあろうかと思いますので、その辺りの具体的な方法論も考えていかなければいけないのかなと。効果的な方法論というものを合わせて考えていかなければいけないかと思います。
塚崎推進課長
長期の対象期間につきましては、第1次計画のときには2010年までで10年間でしたので、対象期間の設定はかなり自由でございます。
勝間委員
全然違う軸でお願いしたいことがあります。
 多分いろいろな基本計画をつくっても、メディアへの浸透と、更に一般市民、国民への浸透というのは、正直申し上げてほとんどできていないような印象を持っております。ですので、もう少しメッセージがシンプルにならないと、なかなか専門家の議論になって難しいかなと思いますので、メディアの見せ方、あるいはメディアだけではなく国民への見せ方というものを是非検討していただければと思います。
羽入会長
ありがとうございます。こういう専門家が議論をしていると専門用語で安住したりすることがあるかと思いますので、是非そのように進められたらと思います。メディア関係の方もいらっしゃいますので、またお知恵をどうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋委員
重点分野は佐藤さんがおっしゃったように、私も12の重点分野にこだわる必要はないと思うんですが、メディアについては方針決定過程に入れるよりは、むしろこれはメディアの表現の問題がかなり大きなウェートを占めるので、方針決定に入れてしまってこれをなくすというのは、私は反対です。特にインターネットを含めて、いろいろな意味での性表現を含めた人権配慮のないような表現が問題となっています。それだけに一項目立てて、議論を深めることが大事だと思うんです。
 ただ、どういう形のものにするかというのはもう一回白紙にしてやった方がいいかもしれません。特に生活困難などは今回かなり大きな目標の一つになってくると思うので、その意味では我々は12にこだわらずに議論した方がいいかなと聞いていました。
佐藤委員
私も鹿嶋さんの意見と同じですが、ただ、一応そういう議論をした方がいいんじゃないか。つまり、なぜ特出しするのかということが余りわからなくて載っているので、多分そういう議論はあったんだと思うんです。
 ただ、分類だけ見てしまうと何で特出ししているかよく見えないので、私はきちんとそういう議論をもう一度して、やはりこういうふうに出すんだとわかるような形で出した方がいいかなということです。
伊藤委員
私も鹿嶋さんの意見に賛成です。メディアの項を置くべきだというのに大賛成です。しかし、この項目はずっと置いてあるんですが、はっきり言ってほとんど何もできていないところなんです。
 そういう意味で、次の第3次でメディアのところをどう詰めていくのかというのはきちんと議論をすべき重点ポイントの一つではないかと思います。広報の問題も含めてのことです。
羽入会長
ありがとうございました。
 お待たせいたしました。五條委員、どうぞ。
五條委員
この計画で具体化された施策についてですけれども、その実効性を上げていく上での推進体制についての描き方なのですが、この計画では前回もそうですが、それぞれの項目の端のところに担当部署というものが書いてあるんです。それぞれの課題を見ると、必ずしも1つの省庁で実現できる課題ではないことが非常に多くある。だけど、どうしてもどちらかというとその窓口になる部署だけを書く傾向があると思います。それから、非常に幅の広い課題であると、全府省というふうに書いて、逆に抽象的になってしまうということがあります。
 一番わかりやすい例で言えば、地方公共団体の部分での政策方針決定への女性の参画ということになれば、当然内閣府、総務省も関係があるわけですけれども、各地方の農山漁村地域に関して言えば、農林水産省も多分に大きな関係性が出てくるということであります。
 基本計画を通じて提案をしたことに対しての実施体制をどうするかということについて、担当部署の窓口だけを基本的に書くという書き方ではなくて、実効体制を上げていくために各省庁間の連携を促すようなことをもう少し考えるとか、関係機関や団体に要請するというような文書があるんですけれども、具体的には協力を要請していくような重要な団体があれば、そういうことも明記していくといったようなことを想定していくことができないのだろうかということが1点目です。
 2つ目は、計画決定後の政策展開との関連で言うと、前回基本計画を策定し終わった後のいろいろな議論の中で強く実感したことなのですが、どうしても政策的に共同参画を進めることによってどういう政策効果が上がったのかということが、かなりある意味でしゃくし定規に見られるというケースがありました。
 例えばですけれども、農山漁村分野でいえば、女性が農業委員になる。それでは、女性が農業委員になることによってどういうふうにそこでの取組みが変わったのかということが問われたりします。男性だとなぜ問われなくて、女性だとなぜ問われるのか。男性は以前からの社会構造の上に乗ってやっている場合が多く、それほど能力がなくてもある程度のことができる場合があるわけです。だけど、女性が農業委員などに特に公選制で上がってきたら大変なご苦労を伴うことが多いんです。
 そういう中で、女性が上がって何ができるのか。政策的にそれがどういう効果があったのかということを逆に問われるようなことになったりするということが往々にしてあって、そもそも男女共同参画を進めるということは、これは政策効果に直結する、しないは別として、まずは人権問題を解決していくところから考えていくレベルのこともあります。
 そういうことを考えていくと、直接的な政策効果がどういう場合には問われて、どういう場合には問われないのか。問われるというよりも、そもそも進めることが前提になる議論なのか。そういうことを、よく考えながら検討していく必要があるのではないか。その点を申し上げておきたいということであります。
羽入会長
ありがとうございます。
 2点ございましたけれども、最初の方のことについてもし可能でしたら板東局長あるいは事務局の方から、実施体制についてどういう工夫が可能かというようなことをお答えいただければと思います。いかがでしょうか。
塚崎推進課長
その部分は、最後の具体的施策ということで出てくる部分だと思いますので、そういう形で今度は書くということで、工夫して変えていくことはもちろんできると思います。
羽入会長
ありがとうございます。目標を設定して実施の施策を考えていったときに、どこが実際に関与するのかというのは非常に重要なことだと思いますので、これも心して臨んでいきたいと思います。
 2番目におっしゃってくださいました政策課題が問われる分野とそうでない分野というのか、ある程度の区分けが必要ではないかという御意見かと思いますけれども、それは恐らく数値目標を設定するのが適当なものとそうでないものというようなことも御意見の中には含まれていたのではないかと考えます。
 ほかの方、どうぞ。
林委員
この12のテーマは、恐らく北京会議の北京行動綱領を参考になさったのだろうと思います。だから、次回以降、目次だけでも結構ですから、北京行動綱領が資料としてあった方がいろいろな議論がしやすいのではないかと思いますので、よろしくお願いします。
 女性の人権に関する国連での議論は、北京行動綱領とミレニアム開発目標について各国それぞれの政府がどのような努力を達成しているかという議論の立て方をしていますので、もちろんそれに合わせる必要はないんですけれども、外に向かって説明するためにはそれが必要だと思います。
羽入会長
ありがとうございます。何かございますか。
塚崎推進課長
次回から用意させていただきます。
羽入会長
では、山田委員どうぞ。
山田委員
次回、次々回は予定があり出席できませんので、ここで具体的な内容に踏み込んだ要望等を発言させていただきます。
 私は社会学者ですので、データをいろいろ読みながら考えるのですが、先ほど塚崎課長に説明していただいたとおり、まず若い人の中での専業主婦志向が強まっているという資料7の3ページの点、あとは16ページの表に注目したいと思います。平成4年当時は、未婚女性はほとんど正規雇用だけれども、結婚してしまうと非正規が多い。
 けれども、最近のデータですと、逆に未婚者は非正規雇用が増えて、既婚者で正規雇用が増えているという状況になって、ここ十数年の間に男女雇用機会均等法がどういう効果をもたらしたのか。もちろん男性の非正規雇用も増えたので、そういう意味で男女が均等になったと言えばなったんですけれども、そういうことを考えなくてはいけないと思います。
 それから、私は今データを動かしているんですけれども、やはり共働きに関心がありますので、子どもが小さい家庭の共働き状況を年収別に見たところ、男性が高年収の場合の共働き率というのは実は余り増えていなくて、男性が低収入の場合の共働き率が非常に上がっている。その場合は女性の平均年収が50万とか、そういうレベルで、それは同じ共働き家庭と言っても高年収共働き家庭と低年収共働き家庭では相当意味が違うので、だんだん統計自体の取り方、見せ方も本当は変えなければいけないかなと思っているところです。
 従来の議論では、基本的な考え方として女性も男性も同じように皆、能力を発揮して正社員になって、全員の収入が高くなれるんだというような前提に今まで立っていたのではないだろうかという気がいたします。もちろんそうなることが望ましいということはだれも異議をとなえないとは思うんですけれども、本当にそれができるんだろうか。可能なんだろうか。男女とも皆、正社員になれるような世の中になれるんだろうか。
 もう一つは、なりたいんだろうかということもありますが、これは述べません。
 そうなりますと、今までの男女共同参画の進め方というものは、極端に言ってしまえばですけれども、新自由主義的男女共同参画ではなかったのか。それについてこられない人が出てきているので、若い人たちが受け入れられないということがあるのではないかというのが1つの懸念でございます。男女共同参画、あれは高学歴で頭がいい女性のためのもので、私は知らないわという人が増えてしまったのではないかというのが、一つの私の懸念材料でございます。
 第2点としては、これも関連するんですけれども、やはり柱で社会保障を加えてほしいというのが私の望みでございます。つまり、雇用分野、教育分野、家庭分野、いろいろありますけれども、社会保障における男女共同参画というものが余り議論されてきませんでした。弱者が出てきたときにいろいろ男女について扱いが異なること、もっと正確に言えば男は皆、正社員になれるということを前提にした社会保障制度というものがあった。それが今、成り立たなくなっているのに、社会保障制度はそのままだということがいろいろな問題を生み出しているということがありますので、是非社会保障分野における男女共同参画というものを考えてほしいというのが第2点でございます。
羽入会長
ありがとうございます。恐らくここで議論すべきことは新しい視点で、ということも局長は先ほどおっしゃっていましたけれども、そういうことの中にも今、山田委員がおっしゃったことが含まれるべきではないかと思います。
 では、どうぞ。
岡本委員
1つは、メディアの話があったんですけれども、実は大変恥ずかしいのですが、私はこの男女共同参画の基本計画の重点にメディアが入っているということを全然知らなかったんです。というのは、多分メディアの側から見れば何らかの働きかけというものはされていないのではないかという気がしてならないんです。
 NHKの場合は国会の議論などで、女性は少ないじゃないかとか、管理職は少ないじゃないかと時々御指摘を受けることがあるんですが、多分民放などはそういった場もないのかなという気がしております。
 それで、先ほどの議論もありましたけれども、では女性がメディアの中である程度の地位にいるべきかどうか。もちろんそれは必要なんですけれども、私は例えば放送局で言えばもっと現場に近いところに女性が増えていくことが大事だろうと思っています。多分、新聞でも同じではないかと思います。
 出版などで言うと、もしかしたらもう少し上のクラスの編集に決定権を持つところに女性がいないと、いわゆる性表現的な部分について、一記者が思っても上から言われてしまうというようなことはあるのかなと思っていまして、多分メディアごとにどういうポジションに女性が多くいればいいのか、対応は違っているのではないかと思いました。
 それからもう一つ、先ほどの山田先生のお話にも関連するんですけれども、いわゆる指導的地位に占める女性の割合を増やしていくということは当然大変重要なことだと思いますが、もう一つは普通の女性たちの能力をきちんと発揮できるシステムということも併せて考えていかないと裾野は広がっていかないんじゃないかと思うんです。
 それで、コース別雇用管理、いわゆる総合職の問題をいろいろと私たち組合の立場としては意識をしているわけですが、総合職に対するポジティブ・アクションというのは結構やられていて、企業でも女性の活躍推進室などをつくって、そういうところに力を入れているということが実はあるんですけれども、その結果、少し前から言われているように、女性の中で、正社員の中でも女性の二極化が非常に進んできていると思っています。特にデータにもありましたように、均等法以降、女性の大学進学率がこれだけ高まっている中でも、大卒の女性は総合職として採用されない、または総合職にはなりたくないという2つの方たちがいらっしゃると思うんですけれども、こういった問題についてどういうふうに考えるのか。
 総合職の人たちの働き方というのは一体どういうふうになっているのか。または、均等法以降の総合職の方たちの今のポジションはどういうところにいるのかということも、実は余りよくデータとして見受けることはないわけですけれども、いずれにしても正社員の普通の女性たちも働き続けられる。そして、能力を発揮できるというポジティブ・アクションの部分をきちんと議論していきたいと感じています。
 それからもう一点は、データを見てみますと20年間くらい徐々に進んではいるんですけれども、本当にこのままの進み具合ではとても2020年30%というようなことにはいかないだろうと思うんです。ここで、例えば国際的な動向であったり、例えば『ルワンダの奇跡』ということが言われましたけれども、クォーター制であれだけ躍進をしていたりとか、欧州でもありますが、そういったことについて第1次、第2次で議論されていたのかどうか、ちょっとわかりませんが、かなり難しい問題だと思うんですけれども、そういったことについて今回改めて今のこの状況を見るときに、その議論が必要なのではないか。是非、議論をしていただきたいと思います。
 それから、国連からのさまざまな勧告というものが出ていますけれども、これに対してどうしていくのかということも必要かと思います。
 それで、私どものことで申し訳ないんですが、実は連合でも本当に女性の参画が進まないものですから、大会などの代議員を、大きな産別のトップしか実は代議員に出ないので女性を何とかしたいということで、クォーター制なことを少し規約に書けないかというふうに今、議論をしているところなのですが、労組法上、問題があるというようなことを厚労省から言われています。企業的にポジティブ・アクションを進めているにもかかわらず、私たちのところでは全然できないというようなことになりかねない。
 これは一つの例でしかないのですが、そういったクォーター制についての議論が果たしてできるのかどうか。私は、してみる必要性はあるのかなと思っていますけれども、そのことも合わせて申し上げておきたいと思います。以上です。
羽入会長
どうぞ。
河野委員
今の岡本さんの意見も含めてですけれども、まず先に理念めいたところだけ1つ申し上げます。
 私も先ほど伺っていまして、今回これからメッセージを出すに当たってダイバーシティマネジメントというのが一つの切り口だと思っていました。女性、男性という切り口だけだと行き詰まっていきますけれども、これから多様性というのは更に重要だという認識が増してきているので、その辺りのメッセージというのもひとつ有効ではないかと、現場として感じています。
 同時に、少しずつではありますけれども、いろいろな女性陣が結果を出してくれているので、理解は進みつつあると思っております。その上で重要なのは、やはりこれから実効性とか、実現化とか、その辺りのアクションプランをはっきりと出していくことであって、変な言い方ですけれども、もうそろそろある意味での理念めいたものは置いておいて、今度はその理念の中に具現化した実効性の部分をクローズアップするといいように感じました。これがまず1点です。
 それから、今度は具体的なことなんですけれども、私は企業や組織のことしか逆に発言できないのですが、非常に胃が痛い思いをしているのはやはり指導的立場の30%で、本当に厳しいと思います。
 厳しいんですけれども、ここで重要なことは、男女共同参画というのは本当に長い長い人の歴史の中での大変なことだと私は思っておりまして、その中で全体を変えていくには、私は質と量だと思います。質と量という言い方は失礼かもしれないんですが、やはりそれなりに活躍する人たちが見せてくれる質も必要で、そういう意味では指導的立場が30%がいいかはわかりません。民間企業においては検証できていないですけれども、ただ、重要だと考えます。先ほど岡本さんがおっしゃったように、数として普通の人が普通にワーク・ライフ・バランスを取りながら勤め続けるということも重要です。
 ただ、山田先生がおっしゃったことは私も非常に感じていまして、それが正社員として可能な社会かというのは、これは男女関係なく、それがいい悪いは別にして、ちゃんと検討して発信しなければいけないことでしょうし、ひょっとするとその形が少し変わらざるを得ないこの5年間になるかもしれないので、そこは少し慎重にしていくべきだと考えます。
 具体的なことで、このM字カーブなのですが、私も不勉強なのですが、先ほどの話は底上げのところはシングルで頑張っている方が多いからというようなことですね。そうなると、ちょっと乱暴な言い方ですけれども、もっと言ってしまうと底上げの部分の方々がお子様を持って普通に働いている人たちの数だということがわかると、その全体像としてワーク・ライフ・バランスがとれて男女共同参画もそれなりに達成しているということが言えるのか。そこのところのM字の中身で、私たちの求めるビジョンみたいなものがちょっと見えなかったので、そこは少し議論する必要があるのかなと思いました。
 最後に質問ですけれども、私の見方が悪いのかもしれないんですが、勤続年数ですとか、同じ企業に10年以上勤めた人たちの割合とか、そういう数値があると、企業の中で管理職になる人たちというのはやはり継続就業をしている人たちの割合の方がたしか多いと思うんです。ですので、昔の資料にはあったんですけれども、勤続年数ですとか、同じ企業にどのくらい勤め続けていたか。もしそういうデータがあれば、また教えていただければと思います。以上です。
塚崎推進課長
今は手元にないので、次回は用意させていただきます。
桜井委員
私は、2点申し上げたいと思います。
 1つはキーワードといいますか、先ほど来ダイバーシティという言葉が出てきましたけれども、私はやはりだれをも排除しないというか、今、生活困難とか、ニートの問題なども随分クローズアップされております。あるいは在住外国人の問題などもありますから、ソーシャル・インクルージョンと言いますか、だれをも排除しないという視点での取組みがひとつ必要ではないか。そうしないと、男女共同参画に積極的にアプローチする層ではない方たち、男女共同参画などは知らないわという方たちへの影響というものが出しにくくなるのではないかと思いました。
 それからもう一点は、では何を計画に乗せるかという、その「何」の部分については、第2次の計画でもかなり網羅的に出てきていて、それがまだまだ浸透していないというのは、ホワットではなくてハウの部分ですね。
 先ほど来いろいろな方がおっしゃっておりましたけれども、どうやってそれを社会に浸透させていくか。ここで言う推進体制のところが主体、これまでのように国が単体でできることは限られておりますし、地方自治体が単体でできることも限られている。そうしましたら、ではどういう組合せでやっていくのかというところで、そこを今回は重点事項を検討するのと同じくらいに重要に時間もかけて、ページ数も割いてやっていくべきではないか。
 そこで、本当に影響力のある、実効性のある計画にしていくというところで、実効力のある、影響力のあるというのは例えばどういうことかといいますと、先ほど塚崎課長が御紹介くださった、例えば共働き世帯と、それから片働きといいますか、専業主婦ですね。これはかなり前から逆転していて、共働き世帯の方が多いにもかかわらず、まだ年金ですとか、国の仕組みの標準モデルでは、片働き世帯の子ども2人というのが相変わらず標準モデルになっている。こういうところもおかしいのではないかということで、その仕組みを変えていくところにまでやはり影響力を持つ男女共同参画の推進ということが具体的に問われているのではないかと思います。
 ですから、そういうところを今回は一生懸命やっていただければというか、一生懸命やれればいいかと思っております。
羽入会長
大隅先生、どうぞ。失礼いたしました。
大隅委員
確認なんですけれども、今後のスケジュールのところです。今日を含めて3回くらいで総論的なことのお話をした後に、フォローアップというところで各省庁からのヒアリングと書いてあるのですが、このフォローアップというのは具体に申しますと、この第2次基本計画があって、それぞれの担当の省庁が右側に書き込まれている。これがそれぞれどんなことをされましたかということをヒアリングする。そういった理解でよろしいんでしょうか。
塚崎推進課長
そうです。それぞれの分野の進捗状況、あるいは評価ということをしていただくということです。
大隅委員
そうですか。でも、それがない段階で基本的方針というものを話せるのか、私はちょっと不安に思ったものですから。
 というのは、非常に大部な細かいいろいろなところまで目を配られた第2次基本計画ができているわけですけれども、逆に細かい分、では何を本当にしたのかというところにおいて、多分、結構大変なのではないかということが想像されるんです。
 それで、この後、2回でどういうことを話していくかというときに、実際に例えばどこの部分はできて、どこの部分はできなかったということなしに、大きな方針が立てられるのかどうかということに不安を覚えたんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
塚崎推進課長
確かに3回で完全に方針を立てるということではないと思っております。ですから、フォローアップをしながら補う部分、基本的枠組みの部分でも話が出てきたらまたそちらの方も盛り込みながらということで、ある意味、前後しながら進めていくということになるかと思います。
板東局長
それと、実は昨年の2月の段階でございますけれども、今、配らせていただいているのですが、中間的なフォローアップというものは一回いたしまして、余り詳しい分析をしたわけではございませんけれども、今の段階でも少しこういった点は気をつけるべきではないかということも、その段階で男女共同参画会議の方で御指摘をいただいた。それを踏まえて、女性の参画加速プログラムというものもつくったというようなことはございます。
 それで、今お話がいろいろ出ておりますように、私は恐らく基本的方向として出していただくお話の中で、例えば今まで欠けていた視点として、先ほどからございます生活困難の問題とか、いろいろとひとくくりに女性とか男性と言ってもできない。そこにいろいろな状況の変化がある。そういうところに対して、男女共同参画推進というものがどういう視点を持って、どういうビジョンを持って臨んでいくべきか。
 そういった点について、例として出していただくというようなことなどを始めとして、必ずしも細かい施策の問題というよりも、これからの大きな時代の変化も踏まえたビジョンといいますか、そういったところが最初に御議論いただくようなお話になってくるのかなという感じがしております。
大熊委員
まずメディアの経験者としてですが、今日はとてもわかりやすいカラフルなグラフがありましたけれども、インターネットで見てみましたらまだアップされていないようで、これはなるべく早く、どこかのサイトにいくとこんなに日本は男女差別がひどいということを、これでもか、これでもかと国際比較で見せるようなサイトをつくっておいていただきたいと思います。
 医療費などについては、日本はトルコ、メキシコ、韓国に次いで下から4番目みたいなことを何度も何度も言われているうちに、民主党の鳩山さんの政策にOECD並みとかというものが出てきたように、繰り返しこんなにひどいということ、そしてこういうものを載せたからと言ってメディアに通報するというようなことをすると、何か比較するときにそのグラフを使ってくれるということになるかと思います。
 もう一つは、山田先生がおっしゃった社会保障分野というのは是非お入れいただきたい。それは、桜井先生がおっしゃったようなことも含まれますが、社会保障の分野で言いますと、よく21世紀はおばあさんの時代と言われるように、社会的サービスの受け手としておばあさんが非常に多くなるという受け手の問題と、それからよくピンクカラージョブと言われるように、看護士さんとかヘルパーさんとか、女性が多い仕事の待遇がとても悪い。どこの国でもそういう傾向はあるんですけれども、取り分け日本はよくないために、非常に問題を大きくしていますので、是非ともその辺りも問題にしていただけたらと思います。
羽入会長
すみません。時間の制約で先生方の御意見を閉ざしているような気がしますが。
 坂本委員、どうぞ。
坂本委員
山田さんのおっしゃった社会保障における男女共同参画という視点はとても重要だと思います。これまでの議論の中で、私も時々言わせてもらいましたが、地域の中でマジョリティとして平均的な暮らしをしている専業主婦で、子育てをしていて、再チャレンジを一生懸命頑張ろうとしているような人たちにとっては、ここでの議論というのはうまくつながっていないなというのが実感です。
 そういう意味では今、御指摘もあったように、貧困層の可能性が足下に及んでいる人たちが地域にたくさんいます。その視点なしに次の計画を策定してしまうと、貧困が人権の問題を侵していくリスクゾーンに入っていくと思われますので、男女共同参画以前の、私たちが扱っている中でも最も深刻な部分が増えていく可能性をはらんでいます。次の計画にはこうした点に重点を置いて議論をしていっていただきたいと思います。
 それから、五條さんがおっしゃっていた政策効果を常に求めてしまうような傾向があるというところには、そろそろくさびを打ってほしい。政策効果ではなくて、これは人権上の考え方として男女が平等にとらえられなくちゃいけないんだという視点を持って提案するようなものもしっかりと発言できた方がいいなと思っています。
 子育ての問題も、ある意味、ワーク・ライフ・バランスともつながっていますけれども、効率性というところでお母さんがやった方がいいというようなことがずっとついて回るんです。子どもの視点からすると、父親、母親、両方の性から育まれることが基本的な考え方だと思いますので、効果だけではなく、基本的な考え方、前提を大切にする視点を書き込んでいくべきかと思います。
羽入会長
ありがとうございます。
 皆様、第2次を踏まえて第3次ということで、非常に今回は期待されている、あるいはそれに対して私たちがこたえなければいけないというお考えの下に御発言いただいていることをひしひしと感じてまいりました。次の会、それから3回目の会議でも更にこの方向性を明らかにしていきたいと思っております。
 今回は議論をここで閉じさせていただきたいと思いますけれども、今後これらをまとめつつ、更に議論を続けていきたいと思います。
 時間が迫ってまいりましたけれども、事務局からお知らせ等がございましたらお願いいたします。
塚崎推進課長
次回でございますけれども、御案内していますとおり6月5日15時から、今回と同じ会場、この3階の特別会議室での開催となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
羽入会長
ありがとうございます。
 お話の中にございましたけれども、制度そのものを考えるということとか、対象によって私たちが議論をそれぞれに深めなければいけないだろうということ、実現可能な形での案をつくってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)