男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成19年12月26日(水) 13:00~15:00
  • 場所: 内閣府庁舎3階特別会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    阿部 正浩 獨協大学准教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    河野真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会統括本部長
    住田 裕子 弁護士
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
    山田 昌弘 京学芸大学教授

(議事次第)

  1. 男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について (報告書の論点について)

(配布資料)

資料1
基本問題専門調査会の論点(素案)
資料2
基本問題専門調査会第32回議事録
袖井会長
ただいまから基本問題専門調査会の第34回会合を開催させていただきます。
  これまでにヒアリングを何回か続けてまいりましたが、今回は本調査会の報告書について議論していただきたいと考えております。あと何回か議論をすることになっておりますが、まず今回は、報告書の論点について第1回目の検討をしたいと思います。
  最初に、報告書の論点につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
安田企画官
資料1をご覧ください。本調査会の「論点(素案)」としております。委員の皆様も御承知のとおり、今までずっとヒアリングを重ねてまいりましたが、委員の方々の御意見を十分に伺うためのまとまった時間が確保できておりませんでした。このあたりで1度、委員の方々に論点をしっかり議論して頂こうという趣旨でございます。とりあえず事務局で今考え得るものを論点として書かせていただいておりますが、基本的には委員の方々の御意見をいただいて、これを充実させていきたいと思っております。
  それでは、資料1の内容について説明させていただきます。
  まずIに趣旨と書かせていただきました。一つは、男女共同参画基本法が1999年に制定され、来年で9年になります。10年を1期といたしますと、そろそろ次のステージの取組が行われてもいいのではないかという問題意識、捉え方をしております。
  更に、平成14年以降、女性のチャレンジ支援としていろいろ施策を充実してまいりました。これも一定程度成果が上がりつつある。完全な成果が上がっているという状況ではないと思うんですが、始める前に比べて女性の多様な分野での活躍が量的にも増え、世の中の見方も相当変わってきているのではないかと思います。従いまして、これまで男女共同参画基本計画に基づいていろいろな施策を講じてきたわけですけれども、今後は、その成果を生かして多様な分野において男女共同参画社会をつくっていく。その実践であるとか、具体的な取組を中心にやっていく時代ではなかろうかというのが最初の段落でございます。
  では、どのような実践かと申しますと、男女共同参画社会は多様性が一つのベースになると言われるわけですが、その多様性には、男女の多様性に限らず、例えば世代別の多様性であるとか、それ以外のいろいろな立場に応じた多様性がある。そういった多様な主体が身近な地域において具体的な活動をしていく中で、男女共同参画社会がおのずから現出するのが多分一番好ましい形ではなかろうか。ある意味で、男女共同参画社会は究極の目標ではありますが、男女共同参画社会をつくり上げるために男女共同参画を進めるというよりも、いろいろな取組を通じて、それらの結果として男女共同参画社会が実現するというのが、多分一番望ましいあり方ではないかと考えております。そういう問題意識から、多様な主体が具体的な活動を積み重ねることによって、男女共同参画社会が実現するという視点を趣旨の2つ目として書かせていただいております。
  IIでございますが、これまでのヒアリングや委員の方々のプレゼンテーションを織り込んでつくったものでございます。
  まず、(1)地域における男女共同参画の現状と課題ということで、男女共同参画の担い手の状況を1つ目の○で書いてございます。最初の項目が、よく言われますように、個々の事業レベルで見ると、残念ながら男性や若年層の参加がまだまだ少ないということでございます。
  それから、これもよく言われることですけれども、男女共同参画の範囲は実はかなり広く、基本計画の中でもほとんどありとあらゆる分野を網羅しています。そのため、活動している人自身が男女共同参画を意識するしないにかかわらず、男女共同参画に関わるいろいろな活動が出てきているのも事実だと思います。教育や雇用、福祉、子育てなどで新しい団体が活動を初めていますけれども、そういった団体をまだ十分に巻き込むことができていないのではないかという問題意識でございます。
  そういった現状におきまして、男女共同参画の範囲は今後広くなることはあっても、狭くなることはないと思いますので、そのような広がりに対応して、多様な担い手を巻き込みながら進めていくことが今後必要になってくる。それが課題であろうと思っています。
  2つ目の○は、もう一つの大きな柱が女性の能力活用の状況ということで、主として女性のエンパワーメントという観点でございます。女性のリーダーと書くと、そもそもリーダーとは何かという細かい議論があるのかもしれませんが、ここで言うリーダーとは、リーダーシップをとってやるというような、それぐらいの意味です。今回の調査会の大きなテーマが地域における男女共同参画でございまして、そういった地域における女性の状況を見てみると、定量的なデータがないのでかなり主観的なものになりますけれども、分野によって女性のリーダーが十分に活躍できていないという現状があります。能力はあっても機会がない、実践する場がない、そして、その能力を更に伸ばしていく機会が乏しいといった要因により、そういった現状になっていると思います。それに対する解決策を今後どうしていくかといいますと、やはり女性がリーダーシップを発揮できる機会を増やしていくことで、女性がエンパワーメントすると同時に、地域もそういった活動で元気になっていくという視点が重要ではないかということで書いてございます。
  (2)は、別途ヒアリングの機会を1月以降に設けたいと思っていますが、推進体制上の課題。これは初回に桜井委員から現状のプレゼンテーションがあったのですけれども、やはり男女共同参画センターを地域の拠点として位置付けているわけです。そういった男女共同参画センター、また、そのセンターに限らず、国もそうですが、都道府県・市町村の男女共同参画の担当課なども、人員と予算の問題がここ数年非常に厳しくなっている。この数値を拾ってみますと、男女共同参画関係の予算は毎年10%ぐらいの勢いでなくなっているという大変な事態。これは男女共同参画セクションだけではないと思いますが、そういう状況です。そういう背景のもとでどうするのかという場合、課題の一つとして専門的な人材を確保していかなければならないのですが、外的な状況が非常に厳しいために、かなり難しくなっているのではなかろうかという問題意識を持っております。
  2つ目の項目で書いておりますのは、ただお金がない、人がいないと言ってみてもどうしようもないところですので、先ほどもいろいろな分野が広がっていると申し上げましたが、そういった周りの支援をうまく使い、単に使うだけではなく一緒に事業などを協働・連携することによって、もう少しマイナスをプラスに変える視点が多分必要だろうと思います。しかしながら、先ほどの論点とも重なりますけれども、一方で、まだ十分に連携・協力できていないのではないかと思っております。従いまして、課題の部分では専門的な人材を養成し、確保するとともに、関係機関、NPOなどの民間団体と連携・協力していくという方向性が必要ではないかと思っております。
  IIIは取組の方向性です。IとIIで現状と課題を説明させていただきましたけれども、やはり今後大切なものは、他のものは大切ではないというわけではないのですけれども、最初に、具体的な取組からのアプローチが非常に重要ではないかと考えております。これはマル1で書きました様々な世代・分野の人々のそれぞれ身近なニーズを把握し、それに応えるためにいろいろな人とコーディネートし、活動していくということでございます。「様々な」、「いろいろな世代」と書きましたけれども、これは先ほど申し上げました多様性の一つの具現化でございます。男女に限らずいろいろな世代やいろいろな分野の人が、それぞれ持ち味を発揮して活動する中で、男女共同参画社会がおのずと実現するというイメージでございます。
  もう一つは、それぞれ身近なニーズということで、今までヒアリングを都道府県等からさせていただきましたけれども、やはり一番身近なニーズから始めることが一番問題意識を持ちやすいでしょうし、それがまた逆に、一番地域に根ざしているがゆえに一番重要な土台になっていくものだと思っております。
  マル2は、マル1の活動を通じてどのような効果があるかということを書かせていただきました。このような活動をすれば、活動した本人にも当然メリットがありますけれども、女性が地域で活躍することによって地域も豊かになりますし、それを見ている周りの人々に対する啓発的な効果もあるのではないかというのがマル2でございます。そういった活動が多分今後重要になっていくであろうと思っておりますけれども、その場合に留意しなければいけない事項をマル3~マル6に書いてございます。
  マル3はワーク・ライフ・バランスでございます。こういった活動をする中で、ワーク・ライフ・バランスがそもそもの土台でございますので、それに配慮する必要がある。
  マル4は何度も繰り返しております多様性です。ここに書いてあるのは男女に限らない他の多様性も非常に重要だということでございます。これは、男女共同参画から若干外れた部分があるかもしれませんが、そういったものも含めて多様性は重要だと実感していただくことが、ひいては男女共同参画の重要性を深く理解していただくことになるのではないかと思っております。
  マル5は地域間の相違です。日本全国に約1,800市町村あるわけですけれども、市町村と一括りに言ってもいろいろな市町村があり、いろいろな課題なり、いろいろな人口構成があります。市町村イコール地域ではないのですが、それぞれの地域の状況に合わせて課題を設定していくことが非常に重要だということが書いてございます。
  マル6は、ともするとこういった報告書は、どうしても行政を主語に書いてしまうきらいがありますけれども、そうではなくて、やはり行政は重要なプレーヤーの一つではありますが、プレーヤーの一つにとどまって、NPOや民間の団体も主人公だということでございます。特にNPO、非営利活動法人はいろいろな分野で非常に数が伸びております。こういったところと連携しながらやっていくことが非常に重要ではないかと思っております。
  (2)体制の整備でございますけれども、先ほども何度となく出てまいりましたが、いろいろな分野があるということでございます。従来から県なり市の男女共同参画部局におきまして、民間団体を連ねたネットワークづくりは当然やっていますけれども、これは多分国も含めてだと思いますが、まだまだネットワークが不十分であろう。量的にも不十分でしょうし、質的にもこういったネットワークは難しい部分がありますので、より広範な分野で適切にネットワークが機能するようにしていく必要があるのではないかと思っております。
  特に、コーディネート役が重要だと思っております。ややもするとネットワークを立ち上げるときが一番力が入っていて、その後はだんだん下り坂になっていく事例もなきにしもあらずです。コーディネート役がしっかりしていると、それが生き生きと動き出すのだろうと思っています。それから、行政内部におきましても「従来以上に関係部局間の連携・協働を強化」とさらっと書いてありますけれども、なかなか難しいと思います。
  マル2は、やはり地域の拠点がしっかりしていなければ駄目でしょうということで、イメージとしては男女共同参画センターあるいは女性センターなどを念頭に置いております。やはり機能を強化していかなければいけないということでございます。
  ア)からオ)までいろいろ書かせていただきましたけれども、男女共同参画センターはいろいろな事業をやっております。例えば、先ほど言ったようなネットワークづくりも当然やっておりますし、活動の場を提供するという機能も非常に重要でございます。これはセンターの事業というよりも、結果としてそういう機能を持っているということだと思います。相談事業等を通じて、一番現場に近いところから情報を吸い上げて本庁などに繋いでいくという課題発掘機能といったものが、仲介役として非常に重要ではないかと思っております。
  それから、先ほどの繰り返しになりますけれども、今後は異なる分野の団体の連携・協働を更に図っていき、より広がりを持った対応ができるといいだろうということでございます。
  そのような活動を実際に進めるに当たっては、相当な能力と識見を持った専門的な人材が必要になると思います。今でもそういう方はいらっしゃるとは思いますが、長期的な観点からの核になる人材の育成、女性センターは10年、20年で終わるものではありませんので、将来を睨んだ人材の育成まで踏み込んでやっていく必要があるだろうと思っております。
  特に、指定管理者は3年ないし5年程度が指定期間になっていることが多いですので、3~5年の枠があるために、新しい人を雇うに当たってはなかなか難しい面があるという声をよく聞くものですから、そういった点。それから、どのように評価するかという点で、多くの自治体でかなり御苦労されて、それほど弊害もないのかもしれませんけれども、やはり定量的な部分がどうしてもクローズアップされがちです。定量的なものも非常に重要ですが、例えばネットワークの評価は、ネットワークの構成団体が100あるところより50しかないところの方が優れているとい場合も多分あるでしょうから、そのような評価をどうするかは、非常に重要であろうと思われます。
  それから最後の項目です。これも既にかなり行われていることですけれども、独自にあるいはネットワークを使って、センター間で情報を交換し合うことは非常に重要だということが書いてございます。
  IVの具体例は、取組として例えば次のようなものか考えられるということです。先ほどから何度となく出ている多様性を一つのキーワードに、多様な世代、多様な分野、多様な人々が協働すると、どのような副産物が、良い効果があるかという観点から5つほど書いてございます。
  もう一つは女性の視点を生かす取組です。ここで言う女性の視点とは、単に男性とは違う視点というだけのことですが。女性の視点を生かすと、各分野の取組の質がもっと上がっていくような取組の例をもう少し多く挙げられるといいのですが、とりあえず、このようなものを挙げております。
  参考資料として、幾つかのバックデータと、私どものホームページ等に載っている事例を配っております。併せて御参考にしていただければと思います。
  以上でございます。
袖井会長
どうもありがとうございました。
  それでは、早速自由討論に入りたいと思います。十分な時間をとってありますので、どなたからでも自由に御発言ください。
伊藤委員
大変だったと思います。御苦労様でした。
  事前に送っていただいたものを読んで、大きい部分と小さい部分と4つほど気になったところがありましたので、申し上げたいと思います。
  一つは、鹿嶋委員がおっしゃっていたことと絡むんですけれども、やはり男女共同参画の意義及び内容の周知ということは、きちんと最初の方で立てておいた方がいいんじゃないかと思います。いろいろ誤解などもありますので、それがないと今後うまく進まないんじゃないかというのが一つです。
  それから、細かいことですけれども、言葉の問題です。「女性の能力の活用」と言うと反発される方が出てくるのではないかと思います。行政が利用するみたいなイメージになるからです。文書の形で外に出すときには、「発揮」とか、行政と住民が対等になるような言葉遣いをされた方がいいんじゃないかと思います。
  3番目はNPOのところです。これは何度か申し上げたことがありますが、私はNPOはすごく大切だと思ってきました。10年以上前からNPO、NPOと言い続けてきたわけです。でも、同時に、いわゆるNPO以外の民間団体の重要性についても考えていただきたい。例えば、経営者団体とか具体的な民間企業であるとか労働組合であるとか、更にはいわゆる婦人会、女性会、青年団であるとか、既に存在しているNPO以外の組織の位置付けをしていただきたい。民間団体に含まれているのかもしれませんけれども、もう少しはっきりさせた方がいいのではないかということがあります。
  4番目は具体例のところです。新しい基本計画の防災の位置付けについてです。女性の視点を生かす取組の中で、この「女性の視点を生かす取組」という言葉も少し変えた方がいいのかなという気もするんですが、防災については少なくとも挙げておいた方がいいのではないかと感じました。
袖井会長
大変貴重な御意見をどうもありがとうございました。
住田委員
まず、Ⅰの趣旨の中にどういうことを入れるかということです。伊藤委員の男女共同参画について一言入れておくというのは、私も賛成です。
  その次に、なぜ地域を今回取り上げたかということです。私としては2つぐらいの意味があると思っています。一つは、個人・家庭と最初につながる身近な社会であることが、まず大事だということ。もう一つは、今は仮想社会やバーチャル社会というITに繋がりやすいんですけれども、やはり身近に生きる場として、現実に生きる場としての地域の重要性をきちんと踏まえる。そこから教育であるとか福祉であるとかいろいろなところに広がっていくのだという、社会の最初の接点であることの重要性を少し強調していただければと思います。
  それから、体制の整備として、地域における男女共同参画センターの役割として、この情報の窓口の機能を更に充実させることが、行政的な立場からすると非常に期待されます。連携に当たり、どういうことがあるのか、どんな人に連絡をとったらいいのか。特に、個人情報保護法が非常に厳格に運用されるようになってきましたので、個人情報保護法をきちんと守る中で、発信していただいていい情報を集積しておいて、安心できる相談窓口や情報の入口となっていただければと思います。
  そういう意味では、人的な資源として地域にはたくさんの方々が眠っていらっしゃるわけで、それを掘り起こすためにも、こういうノウハウを持った人、能力を持った人、こういうことをやりたいという意欲を持った人がここにいますという情報をいろいろと集めていただいて、ネットワークの一つの足掛かりにしていただくような機能を更に充実していただくといいと思います。
  それから、取組として防災が出ておりましたけれども、今の世の中では防犯が非常に重要であろうと思っております。具体例としてたくさん書いてありますが、消費者教育も防犯につながることが非常に多くて、今ここにこんな不審な人が来たという情報が地域で集まりますと、「みんなで気をつけましょう」、「今こんな怪しい人たちがうろうろしていますよ」となります。悪徳商法であるとか、盗みをやる人たちとか、そういう情報のためには、今地域で防犯機能を強化することが非常に重要視されています。その辺を少し入れていただいたらと思います。
辻村委員
伊藤委員の男女共同参画の意義を書き込むということ、さらに、住田委員の地域を取り挙げた意義を書き込むということに全面的に賛成いたします。
  私の方では、第1に、基本法から9年が経過したのですけれども、これが一律に急カーブでずっと浸透していったと読むのか、それともどこかで何かが起こって、少しダウンしてきたと読むのかという背景の分析が、趣旨の中に書くかどうかは別として、若干必要ではないかと感じました。男女共同参画の趣旨については、少なからず浸透しているとは思いますけれども、逆に予算面での削減が見られるのはどうしてだろうかなど、そういったことの分析を若干加味していただければと思いました。
  第2に、推進体制上の問題あるいは趣旨のところでも主体間の問題が出ておりますが、ここでは国と地方、地方の中でも県と市町村、行政と民間というようにそれぞれの主体を一律に扱うのではなく、それぞれが何をしてきたか、例えば、国は地方に対してこれまで9年間に何をしてきたか、県と市町村の関係はどうなっているか、そういったことが大変気になりました。これは以前にヒアリングでも何度か発言させていただきましたけれども、それぞれがバラバラにやっていたのでは、やはり成果が出ないものですから、成果を飛躍的に増大させるための主体間の関係をどう扱うかという視点を重視していただきたいと思いました。これは確かに、ネットワーキングのところで出てきておりますけれども、更に問題にする必要があると思いました。
  3番目は、NPOなどの民間団体が非常に重要であることは間違いないと思いますが、「産学官民」で言いますと、「学」の部分がずっと抜け落ちていることが気になっておりました。専門家がいないということが書いてあるのですけれども、実際やってみますと、派遣講師などは学会の会員であったり、その地域の大学の教員であったりすると思いますので、このネットワーキングの中に「産学官民」の「学」の部分がこれまでどのように成果を上げ、かつ、不足しているのかを分析し、課題として掲げる必要があると思いました。
  第4点は具体例のところです。女性の視点を生かす取組が書かれております。これは例としては勿論賛成でございますが、我々として課題の中で何を克服するターゲットにするかという分析がもう少し必要ではないかと思いました。例えば、男性の理解や参加が不十分であるという、これまでに指摘されている障害があるわけです。そうすると、男性の理解を得るために、例えば女性の視点を生かす取組をしましょうというのでは、目的と方法が必ずしも一致しない。いくつかターゲットを絞って、男性の理解を得たり男性の参加を得るという目的に対してどういう方法・手段が効果的であるかというように、一律に並べてしまうのではなく、目的ごとに分けて論じる必要があるかと思いました。
袖井会長
大変貴重な御意見ですけれども、最初の点はすごく難しいと思いますが、辻村委員、何かありますか。
辻村委員
難しいと思います。これは以前に発言させていただいたことがあって、「条例の制定などはどこかの段階を境に減っているのでしょうか」と聞きましたら、「いや、減っていません」ということでした。でも何となく頭打ちの感がありまして、基本計画や条例は県や政令指定都市のレベルまでは九十何パーセントまでいった。しかし、市町村のレベルでは10%そこそこにとどまっていて、そこからなかなか伸びないという感じですね。ですから、そういう状況があるからこそ、津々浦々にこの精神を浸透させる必要があると、何か背景的な原因が書き込めれば、より具体性を持ってくるのではないかと思いました。
袖井会長
ちょっと事務局に聞きたいんですけれども。先ほど予算額が下がってきたという説明がありましたが、それから自治体によって部署を減らしたところもありますね。他の部署と合体したり。そういうデータはきちんととれますか。
安田企画官
毎年、地方公共団体に対する調査を実施しておりまして、予算についてはデータがとれます。ただ、下がっている原因は、必ずしも男女共同参画を軽視しているということではないと思われます。2000年以降、地方の財政が厳しい中で、少なくともここ3年ほどは10%程度減っていますが、地方自治体の人に聞いてみますと、確かに予算が減って苦しいけれども、他と比べて特に減らされているという思いはあまりなかったんです。ですから、これは男女共同参画が地方で停滞しているということではなく、まさに今話題になっている地域の衰退というようなところに原因があるという気はいたします。
  それから、課につきましても、都道府県レベルでは基本的に「女性」であるとか「男女共同参画」の担当課はありまして、男女共同参画をやらないという市町村も一つもありません。ただ、その組織が専任であるか、他の分野と抱き合わせで企画課、企画係のようなところでやっているかという違いはあるんですけれども。これもまた、必ずしも男女共同に力を入れていないということではなく、明確なリンクというよりも、まさにそこは自治体の規模がかなり大きく影響しているという気はいたします。
鹿嶋委員
施行されて9年、もっと大雑把に言うと10年ですね。十年一昔という中でこの報告書を出すとすれば、先ほど伊藤委員と辻村委員もおっしゃっていましたけれども、男女共同参画の進展の状況と課題を冒頭で、やはり書ける範囲で整理しておく必要があると思うんですね。その中で、この報告書の持つ意味というものは我々の中できちんと整理しておく必要がある。これは、マスメディアの分野に携わった者としては、すぐ「セカンドステージ」という言葉で、新しい段階、第2段階に入ったんだという言葉でまとめたかったりするんですけれども。まとまるのであれば、やはり新しい段階に入ったということで報告書をまとめたい。では、その新しい段階での報告書のポイントは何かというと、皆さんいろいろな考え方を持っておられるのでしょうけれども、いくつか出ている中で、「それも男女共同参画なの」というようなものまで整理しているわけですよね。非常に多様な観点から男女共同参画を整理している。男女共同参画を限定的な枠内で捉えるのではなく、基本計画の中に盛り込まれているプランはかなり多岐にわたっているわけですから、それも捉える必要があるとなると、やはりかなり幅広に大枠を考えて問題提起をしていく必要があると思います。そういう意味でも、改めて整理をし直してもいいのかなと今考えています。
桜井委員
今の鹿嶋委員の御意見に関連してなんですけれども、実はその幅広に大枠にというのがすごく捉えにくい。「論点(素案)」にも「多様な主体」とか「必ずしも男女共同参画を直接の目的としない」というような表現がいくつかありますが、それがそのままの形で地域に行くと、「一体これは男女共同参画の担当部署でやるべきことなのか」、という批判にすぐ結びつきかねません。例えば市町村でいえば、就業支援なら商工部、子どものことなら子育て支援担当課、健康のテーマなら保健所などでやればいい、というように、男女共同参画として何をやるべきかがすごく見えにくくなると思うんです。計画に載っている様々な分野をテーマにするのは当然なんですけれども、その軸足はやはり男女共同参画になければならないと思います。そこのところをしっかり言わないと、「本当に男女共同参画事業は必要なの」という話になってくると思うんです。
  もう一つ。鹿嶋さんがおっしゃるように、私も第2ステージだと思うのですが、この論点(素案)を見て思ったのは、男女共同参画は人権問題と捉えれば、障害者の問題や外国籍の方の問題などと通底するところがあります。そういう部分は大事に、というよりそういうところまで広げて考えていく必要はありますが、そのときも、私たちのところはやはり男女共同参画の視点からのアプローチで、しかし、ソーシャル・インクルージョンという、世の中で生きにくさを抱える人たちを排除しない、包括した社会をつくっていくという考え方をとると。この整理をきっちりやってからでないと、非常に曖昧になって、「必要ないんじゃないの」となりがちです。そこの整理が第2ステージでは大事かなと思いました。あらゆる分野に浸透させるということと、あらゆる分野のものを扱うときの視点は、やはり男女共同参画を軸足にしないと「必要がない」という話になりかねませんので。そして、やはり第2ステージですから、ソーシャル・インクルージョンの概念もそろそろ入れていった方がいいのではないかと、大きくはその点を思いました。
袖井会長
どうもありがとうございました。他にどなたかいらっしゃいますか。
山田委員
2点ばかり意見を述べさせていただきたいと思います。
  まず第1点は、やはり9年が経過したというところで、確かに全体として男女共同参画が進展してきたと思っているんですが、地域の男性、若年層の参加が少ないというところ、特に若年女性層の動きに関して私は一つ懸念を持っています。先日配付された調査におきましても、男性は若年層の方が固定的な役割に反対の意識が強いんですけれども、女性では30代、更に20代において固定的な役割分担意識に賛成の人が復活して増えてきているという点があります。確かに女性が多様な分野で活躍する事例が増えてきたということはあるんですが、桜井委員もおっしゃったように、福祉の分野だけではないのですが、むしろ活躍できることから置いてきぼりにされている若い女性が増えてきたのではないか。そういう人たちの中に、「置いてきぼりにされるのなら、昔の固定的な方がいい」と思う人が増えてきたのではないかという懸念を持っております。あらゆる分野で活躍するということは勿論正しいと思いますけれども、女性だけではなくあらゆる男女が活躍できるような条件づくりということ。更に調査に関しましては、なぜ若年女性に固定的な役割分担に賛成の人が増えてきたのか一度検討する必要があるのではないかと思っております。
  第2点は地域に関してです。今までなかなか話題にならなかった地域というものに焦点が当たり、住田委員がおっしゃったように、それが重要であるという意義はすばらしいことだと思います。ただ私は、国民生活審議会の「暮らす」ワーキンググループの委員をしていて、そこでも1回述べたのですが、また、前々回も都市と農村の違いに関して述べたんですが、やはり多様性とは言えないぐらいの地域の格差が出てきてしまっているのではないかと思っております。「ある部分を地域に任せる」、「地域のNPOや人材を活用する」と言っても、活用する人材がいる地域、つまり経済的・精神的に余裕がある人が多い地域と、それがほとんどいない地域が現実に存在するのではないかと思っております。そういう点から言いますと、やはり任せられるところはどんどん地域に任せて構わないと思いますけれども、地域にNPOが存在しなかったり、企業が存在しなかったり、別の審議会で「大学と連携した地域づくり」という例を紹介されましたが、大学がある市町村ばかりではなく、大学がない市町村の方がはるかに多いという実感を持ちましたので、そういう人材的なリソースが少ない地域における男女共同参画をどうするかが、今後地域の連携、ネットワークを任せた場合に一つの課題になってくるのではないかと思っております。勿論ここに書かれていることはすばらしいことで進めてほしいんですけれども、更に、そこから漏れるとか、できない人たち、地域に対する配慮もお願いしたいと思っております。
袖井会長
ありがとうございました。
  先ほど伊藤委員から御指摘があったように、やはり既存の団体も考えないといけないと思うんです。NPOがないところも確かにありますけれども、地域で古くからあるいわゆる伝統的な団体、婦人会や老人会なども視野に入れた方がいいのではないかと私は思っております。確かにNPOは、ある程度の生活のゆとりがある地域でないとできないような気もします。
  他に、どなたかございますか。
河野委員
論点(素案)どうもありがとうございました。約10年ということで一言感想としては、当時課題を抱えていた人たちが10歳年をとってきているので、管理職などもそれなりに意識が変わっているのだろうなと思いつつ、私は、アップダウンがあってもこれだけ意識が変わってきたのは大変すばらしいことだと、まずは思っています。
  その上でこの論点案を見せていただきまして、昨今、女性として集められるのを非常に嫌う女性も多いので、私は今回のテーマはこうじゃないかと思っています。先ほど桜井委員が男女局のお話をされて、賛同した上でのちょっとした反論なんですけれども。本来こういう局はなければいいわけですよね。変な言い方をしてすみません。ないのが本来は望ましいけれども、理由があるからあるわけですが、最終的には障害者の方なども含めて個としてとらえることが重要だと思います。そういう意味で今女性ということ一つで掲げていますけれども、私のフィールドから見ると、集められるのを本当に嫌がっています。というのは、男性と同等または同等以上に力を持つ人たちも非常に増えてきているので、感情的にではなくて、「なぜ集められるの」というところも出てきているという、嬉しい悩みがあります。先ほど鹿嶋先生からも次のステップという御意見があって、私もそう思っていたんですが、今、男性・女性と分けていいのかわかりませんけれども、そろそろ個々をすくうだけではなく、コラボレートして産物が必要なのかなと。その産物が、先ほど出てきた具体例の後半。「女性の視点を生かす取組」という表現がいいかどうか個人的にはちょっと疑問もありますけれども。性別以外の分類もいいと思うんですが、産物として女性のためにやってあげているというよりも、本来女性の潜在的な能力を使って、個人としてではなくて、力と力を合わせたときに必ずこういう産物があるというものが見えてこないと、それこそここの意味もなくなってしまうのではないかと思います。
  そこで重要なのが2つあって、やはり機会をつくることだと思います。「機会をつくる」と文章に書くだけではなく、どういうところでどういう具体的な機会が必要かを、これから地域でどんどん考えていき、地域の中には企業もありますので、そこでも考えていく必要が出てくるのだと思います。
  もう一つは、「定量的な把握が困難な部分もある」、ここは私も大きくうなずいておりました。まさに定性的な評価をどうしていくのかと。逆に言うと、定性的な部分があって、定量的には評価し得ないものもあるのだというところまででもいいんですけれども、一人一人の意識の変わってきたところや、環境の変わってきている姿のようなものが浮き彫りにできるといいかと思います。具体的には、例えば専業主婦の方とか派遣の方であっても、選択肢がなくて仕方なくやらされているのか、自分で選んでしているのかによって生き方は全然違ってくる、生きにくさが変わってくるので、その辺はアンケートで出ているものもあるとは思いますが、何か浮き彫りにできたらと考えました。
  それから最後に、先ほどの「女性の視点を生かす」というところです。他のポイントが大変大きなウエイトになっているんですけれども、ここは各論ですので、書くとしたらサンプルというか、こんなこともあるというような軽い乗りでないと、逆に限定し過ぎている気がするんです。私がちょっと見ると、例えば、地域にある特有の技術を使った何々の開発というのは1つもないんですよね。ですから、女性はこうだと思ってつくってしまっているような気がしなくもなくて、ここはもう少し各論で検討した方がいいかと思います。
伊藤委員
今の河野委員の御意見に触発されて一言申し上げたいと思います。これは山田委員のおっしゃっていた若い世代という問題とも絡むんですが、私も、特に若い世代は、個人にベースを置かないと、つまり一括りにされてしまうとうまく対応していただけないだろうと思います。だから、個というものに焦点を絞るのは大賛成です。と同時に、家族やコミュニティという問題についても位置付けをある程度はっきりしておいた方がいいと思います。「男女共同参画が進むと家族が破壊される」という議論がまだまだあるわけです。家族を扱うのはすごく難しいのはわかるんです。日本の場合、家制度の問題があって、家族というと家父長制の家族を連想する方がおられる。だからちょっと難しいところはあるんです。けれども、人と人との繋がりのようなものの再生という問題を、やはり男女共同参画の観点からはっきりさせる必要がある。家族にも多様な家族があります。それこそ同性愛のカップルも含めて家族にしようという流れがありますし、また単身者の世帯も増えています。そういう多様な家族というものをきちんと踏まえると同時に、家族やコミュニティにおけるデモクラシーという視点がほしい。つまり、ジェンダー平等と民主主義に根ざした家族とコミュニティを形成することが、人と人の新しい絆の再生に繋がるということを、どこかではっきり位置付けた方がいいんじゃないでしょうか。これは、今後も必ず議論になるところだと思います。それをどう位置付けるかというのはすごく難しい。いろいろ議論があるかもしれません。でも、こうした家族・コミュニティを男女共同参画の視点で位置付けるということを、趣旨のところでもいいですから入れていただきたい。
  もう一つは、これもすごく難しい問題ですが、国際という問題をどうするかということです。地域というとドメスティックに考え過ぎてしまうわけです。地域にもいろいろな外国の方がおられることも一つはある。それだけではありません。男女共同参画は他の分野と比べると国際化しているのではないかと思っているのですが、現在、日本の社会や政治が全体としてすごくドメスティックになっている状況があると思うんです。国内の政治状況しか見ていない。国際的な動きが見えない状況の中で、施策が進められていることが日本社会の停滞の大きな原因の一つだと思います。これはすごく難しい問題提起ですが、地域の男女共同参画と世界が繋がる窓口を、どこかでつくれないかと思っています。
袖井会長
他にございますか。
加藤委員
「I 趣旨」あるいは「II 地域における男女共同参画の現状と課題」のどちらかに、どうして地域における男女共同参画を進めることが大事なのかという押さえを、もう少し丁寧に書き込んでおいた方がいいと思います。日頃から地域における男女共同参画を進めるにおいて、これは個人の価値観ですとか、人権意識ですとか、複雑な地域社会構造の中で男女共同参画を進めていくことの難しさを痛感いたしております。
  既存の地域構造の中に少しずつでも男女共同参画やジェンダーの視点を織り込みながら、発展的に社会を変えていくという発想が必要なのかと思います。入口はあえて男女共同参画だけではなくてよいと考えております。
  卑近な例でございますけれども、私どもの団体では一昨年、第2次の基本計画に防災が一つ入りました。この防災と男女共同参画を繋げていくためにこのLPガスというエネルギーを通した防災学習会の全国展開をスタートさせました。テキストもつくり、参加者自身が参加感を持てるようにチェックリストを入れました。このチェックリストには、例えば、「防災計画を策定する部署に女性の幹部職員が加わっているのでしょうか、いないのでしょうか」を筆頭に、幾つか男女共同参画を地域の人たち自身でチェックしていただけるリストをつくりました。また学習会をするときには、行政の男女共同参画を御担当になっていらっしゃる部署の方、それから、防災を担当していらっしゃる部署の方、それから、LP事業者の方、こういう三者の御参加も得るようにしています。こうしますと、日頃なかなか横の連携がとれない方々を繋ぐことができます。官といわず民といわず、こういうやり方は非常に効果的ではないかと思います。
  次に、ジェンダーコミュニケーションとでも申し上げるのでしょうか、男女共同参画を推進していく上で、やはりコミュニケーションは非常に重要な要素だと思っております。同じ時代を生きていても背負っている文化が一人一人違うわけです。男女共同参画を進める難しさがそのあたりにもあります。しかし、男女共同参画は活力ある社会を実現していくために大事なのだと、それから、これだけ格差社会が拡大していくときに、女性がエンパワーしながら社会構造をよい方向に変革していく、地域の一人一人の人たちに理解していただくときに、やはりコミュニケーションがとても重要だと思いますので、論点を整理していくときにもコミュニケーションの重要さのようなことがどこかに入るといいと思います。
伊藤委員
私も以前コミュニケーション社会学という講座に属していましたので、ジェンダー間のコミュニケーションについて、書いたりしゃべったりしています。おっしゃるとおり男性は要件型、レポート型のコミュニケーションになりがちですし、女性の場合は共感型というかラポール確認みたいなコミュニケーションになるといわれています。男女間で議論すると、女性が反発されるのは「男性はすぐに結論に走りたがる」ということです。逆に、男性は、「女性は話があちこちに行って、なかなかまとまらずイライラする」とおっしゃる。これは社会的につくられている部分が大きいと思うんです。そのギャップのようなものを含めて男女間でジェンダーの問題について語り合うチャンスを作り出す必要がある。ところがそれがあまりない。ジェンダーの問題について夫婦で話すことなどほとんどないわけです。すぐに壁は破れませんけれども、地方自治体の女性センターなどでのセミナーでそれをやると、男女双方が、思ってもみなかったような発見がお互いにある。だから、ジェンダー間のコミュニケーションギャップを埋める工夫はしていく必要があると思います。ただ、それをどこに書き込むか。具体例の中に書き込むのかと思ったりもします。すごく重要なことではないかと私も思います。
鹿嶋委員
桜井さんと意見が対立したようで、でも、基本的に一緒なんですよね。それも含めてですけれども、何らかの閉塞的な状況がまだ男女共同参画にはあるわけです。9年、四捨五入して10年の節目で出すには、それについて何らかのヒントになるような大胆なレポートが必要だと私は思っているんです。
  どういう点が閉塞状況かと言えば、やはり男性の認識がまだまだ不十分だということ。それから、山田委員からも出たように、若い人たちの男女共同参画の認識がいま一つだということ。それから女性センター自体が、「男女共同参画」という看板を掲げない方がむしろ集客力があるということも言われたりしている。そういう中で何をするかということを、やはり我々の報告書では頭の中に置いて、センターのスタッフも活用できるような報告書にしていくことが大事だと思うんです。
  その場合の一つのヒントは、基本的な問題をきちんと考えることは大事ですけれども、従来型の男女共同参画型のテーマというのはやはりあるわけですよね。DVとか再チャレンジとか。それにとどまらずかなり幅広くテーマを設定して、「これもそうなのか」というところまで、無関心層の認識領域を広げてもらい、また、そういう中で男性たちを巻き込んでいくというステップが必要であろうと。だから今回の報告書は、「新たなステージ」と銘打つかどうかは別としまして、10年というタイミングで出すには何らかの視点を出していく必要があるだろうということです。私の言った視点というのはそういうふうに考えたい。そして「多様な」ということを一つのキーワードにしてやっていくのがいいのではないかということで、反論しておきます。
  もう一つは、「女性の視点を生かす取組」というのは、ある意味では非常に悩ましい表現なんですね。企業でもかつて「女性の視点を生かす商品開発」ということをやったけれども、結局潰れていくんです。なぜかというと、やはり生活者の視点なんですね。生活者の視点というのは背景にある固定的な役割分担の話に繋がっていますので。しかし、3ページに書いてある程度ならいいかなと思って、あえてそこは言わなかったんです。
平野委員
事務局に教えていただきたいんですけれども、この報告書の性格についてです。約10年経ったのでそろそろ第2ステージに入るということで、総合的に今までの進捗状況を振り返って、将来どうするべきかという大きな範囲での報告書をつくろうとしているのか、あるいは地域における男女共同参画をどう進めていくのかという、どちらかというと地域に焦点を合わせた報告書をつくろうとしているのか、どちらなのか。あるいはそれも全部この調査会で決めるということでしょうか。それを教えていただきたいんですけれども。
安田企画官
直接のお答えになっていないかもしれませんが、経緯だけ申し上げますと、昨年7月にこの基本問題専門調査会を立ち上げまして、今回は地域に焦点を当てましょうということで進めました。当初のテーマはあくまでも地域でございます。ただ、いろいろな検討をしていく中で、地域をもう少し別の観点から見た方がいいと思われる部分については、地域という大きな流れから外れない範囲内で入れていければいいのかなと思っております。あまりお答えになっていないかもしれませんが。
板東局長
今お答えさせていただきましたように、地域から入ったのは事実です。ただ、地域でどう取り組んでいくかを考えるときに、これまでの9年、10年を取り上げるか、もっと幅広く見ていくかは別にいたしましても、先ほどからも御指摘がございますけれども、地域レベルでの取組というのはいろいろな意味でかなり難しい状況にあったと思います。ですから、国で音頭をとるのは比較的楽かもしれませんが、本当に地に足がついた形で地域レベルでの取組を推進していく、先ほどありましたようにプロダクトを出していくためには、やはり我々としましても、いろいろな意味で考えなければいけない点がまだまだたくさんあるのではないか。検証を踏まえながら、地域レベルでの在り方を考えていかなければいけないのではないかと思います。
  その中でチャレンジ支援などに触れておりますけれども、内閣府だけではなく自治体においてもいろいろな施策が行われてきたわけですけれども、それが本当に成果を上げてきているのかということ、それから、視点が合っているのかどうかということは、やはり実質的に見ていかなければいけないのではないか。そういう意味で、大きく全体を見て検証をしていかなければいけないということも事実だと思いますが、特に男女共同参画の推進ということで重要なのは地域であるという認識を我々も持って、そこをスタートラインにしていく必要があり、男女共同参画全体に関わる大きな問題もきっとこの中から浮かび上がってくるのではないかと思っているわけでございます。
坂本委員
皆さんのお話の中で、この論点整理はそういう方向なのかということがちょっとわかってきたところですけれども、9年経って次に向けてということでは、非常に景気の悪いテーマが来てしまったなというのが率直なところです。非常に重要ですけれども、あらゆる問題が地域に今あるので、そこにスポットを当てて非常に景気の悪いことばかりが連なってしまって、弾みがつくというよりも一緒に沈んでいってしまわないかなという心配をちょっとしています。逆に住田委員がおっしゃったように、最も身近な社会としての地域が今輝きを失っている。それを輝かせるという視点で男女共同参画は非常に重要なんだと置き換えていくことが大切だと思うんです。そういう意味では、社会が輝いている、それから大人が輝いている、子どもたちも輝いている、企業も輝いているという姿に向かって、男女共同参画を視点に持ってみんなで取り組んでいきましょうという、多少景気のいい話に持っていきながら、でも非常に切実な課題と絡まっていますよと。そこをやっていく上でみんなの共通のキーワードとして男女共同参画をもう一度一緒に持っていきましょうということだと思うんですけれども。これまでヒアリングした中にも、やはり男女共同参画を用いて出てきた好事例があったと思うんです。具体例のところにはテーマ性のあるものはたくさん書かれているんですが、男女共同参画という視点を持って成功した事例がもっと出てきてもいいんじゃないかと思います。日本の中では割と限られた地域の成功例ということで、そんなに目覚ましい変化は、もしかしたら出てこないのかもしれませんけれども、ヒアリングをした中にも幾つかあったと思うんです。逆に今、日本の地域を考えていますけれども、地域がテーマになっているからといって国内だけにスポットを当てる必要もなくて、海外のローカルな事例、海外で男女共同参画という視点を持って地域や社会を変えた好事例も参考になるのではないか。かなり先の、もしかしたら夢の部分かもしれないけれども、そういう事例もあるんだということを見せていくのもいいと思います。
  今具体的に書き込まれている内容は、専業主婦だったり高齢者だったり、本当に地域にいる人たちにスポットを当てて書かれていると思うんですが、地域の中には別の地域で仕事をして寝に帰るだけの人たちもいるわけですよね。そういう人たちが接点を持ちにくい内容になっているので、そういう人たちにとっても地域はとても重要な場所だということを、もう少し多面的に見せていく必要があるのかなと思います。もう少し景気のいい話が欲しいなというのが感想です。
袖井会長
でも今の日本の地域は、シャッター通りなど本当に大変なことになっていますから。
住田委員
そうすると、今回の論点に関しては地域という切り口で、10年経ったらもう1回大きく振り返るという形にした方がよいのではないかという気がいたしました。
  2つ目は、男女共同参画社会基本法第9条に地方公共団体の責務として区域の特性に応じた施策を策定しましょうとありますが、この特性は様々であることをきちんと認識しなくてはならないということです。現状について「担い手の状況」や「能力活用の状況」と書いてありますけれども、地域においては極めて大きな違いがあること。そして、その地域の特性に応じた男女共同参画をどう進めるかということをきちんと認識しておかなければいけないと思います。
  最初に申し上げたと思いますが、都市型か農村・漁村型か、それから、地域のつながりが薄いところか濃いところか、伝統的価値観が強いところか弱いところか、それによって施策も大きく変わってくるのではないかと。そのどこに当てはまるのかもある程度区分けして書いておかないと、焦点が絞れないものになってしまうと思います。
  次に、男女共同参画の地域の拠点としてのセンターづくりの一つとして、専門的に消費者行政をするのはここであるとか、防犯をするのはここだという形で言われていますが、男女共同参画は基本的には全て総合した上でのメインストリームであるから、どのような専門を持つ人も一度は男女共同参画の視点を持っていただいて、そして各専門分野に散らばっていくのだと。そういう意味では情報の集積であり、人の集積する場であり、キーとなるところであることをきちんと書き込んでいただいたうえで、先ほど申し上げたように情報の窓口にもなり、人材をあちらこちらに派遣する窓口になってもいいという気がしております。
  それから、地域の実情の中で、やはり一番問題なのは伝統的な地域団体があるときに、女性がなかなか上に行けないという実態です。これは大なり小なりどこにでもあると思います。そういう意味では、閉じこもって外に出られない女性たちに対する働き掛け、それから、女性ゆえに下働きはさせるけれども意思決定過程には参加させないという方々に対する働き掛け、そういう必要性は、かなり違いはあるかと思いますけれども、まだまだ共通してある問題です。その重要性をメインストリームとして、それを常にやるという意味では、桜井委員に対して、その必要性は今なおまだまだ必要であると申し上げたいと思います。
辻村委員
一言いいですか。この報告書は誰が誰に対して出している報告書かということに関してです。これはナショナル・マシーナリーとしての男女共同参画局が「今後こうしますよ」という形で出すような要素を入れるのかどうか。先ほど景気のいい悪いという話が出ましたけれども、例えば、地方自治体が「これをやりたいけれども予算がない」と言った場合に、それが絶対大事なら国がそれを肩代わりするからやりなさいという景気のいい話に持っていけるものなのかということも、少し考えていただきたい。要するに、基本計画で「支援する」と書いているんですね。国が支援するんだけれども、運営と有機的な連携が図られるように支援する。「こういうネットワークがありますよ」と紹介して、先ほど「音頭とり」という言葉を使われたんですが、好事例を紹介して「これをやったらいいですよ」ということを示すだけにとどまるのか。それとももう少し踏み込んで、例えば、「国が補助金をつけて、事業を今後このようにやります」となるのか、国の覚悟のようなものを書き込めるような報告書にするのか。その辺りは非常に難しいと思いますけれども、それも考えていただけたらよろしいかなと思いました。
板東局長
内閣府といいますか、男女共同参画局の視点で見ますと、財政的な問題は大変厳しく難しい。特に内閣府は補助金を出したり、自ら事業を実施したりするところではないということもあって、非常に厳しい点もございます。ただ、こういう分野に取り組んでいこうといういろいろなモデル事業などは、できる限り自治体と組んで、実質的にセンターなどの事業に入っていくような形でという工夫を今までもしてきていると思っております。ただ、地方に対する補助金的なものは非常に難しくなってきている。全体として一般財源化の方向に向かっているということもございます。
  もう一つの財政的なポイントとしては、やはり自治体の予算の中でのウエイトをどう高めていただくか。先ほどからのお話にも出てきておりますけれども、例えば、福祉や労働など他の分野に、いかに男女共同参画の視点を取り入れた形で予算を使っていただくのか。ジェンダー予算分析などの問題もございますけれども、それがこれからますます重要になってくるのではないか。いわゆる男女共同参画とか女性関係専門の予算だけではなく、全体を横串で見ていくことが非常に重要なのではないかと。先ほどからの御指摘のように、その横串で見ていくということの記述が若干弱いかと思いますので、そういう点は更に強化していかなければいけないと思います。
  それから、先ほどの予算が減ってきているというのは、特にセンターの予算が減ってきているということです。ここでセンターの役割の重要性をいろいろな意味で強調させていただいたり、あるいは、センターで専門的な人材を確保したり育てていく重要性ということ、それを考えた上で自治体の予算配分やセンターの設置形態、運営形態の問題を考えていただきたいと思います。そういったセンターに対する応援となるようなことも、ここに盛り込んでいきたいということがございます。
  それから、坂本委員からも御指摘があったように、先ほどの御質問との関係で言えば、男女共同参画にとって地域が重要だということ、逆に、地域が元気を出していくためには男女共同参画が非常に重要なのではないか。特に、先ほどシャッター通りという話がありましたけれども、もう少し女性たちが前に出ていくようなまちづくりができれば、本当はあんな状況にはならないのではないかと思います。私も地方に出た経験でつくづく感じたことがございまして、その両面から地域というものを捉えていくのかなという感じがしております。
阿部委員
皆さんが言っていることは、なるほどなと思うことは多々あるわけですが、私が今の段階の論点ペーパーで非常に残念だなと思うのは、客観的な証拠があまりないというところです。後ろについている統計が何件かの地方自治体のデータであったり、あるいは一部全国のデータはありますが大したボリュームでもないですし、全般的に趣旨あるいは現状と課題を浮き彫りにするような客観的なデータではないところが、ちょっと残念な気がします。
  9年やってきたということですが、情報をとるあるいは統計をとることに関して、多分あまり熱心にやってこられなかった。勿論予算の問題等もあると思います。これは地方に行けばもっと悲惨な状況で、県ごとにあるいは市町村ごとにデータをとっているのは多分わずかだと思います。これだけ多岐にわたる領域を取り扱いながらも、県民意識調査ですとか市町村の意識調査ですとか、一部のことについてはデータをとっているかもしれませんが、ここで狙っている政策全般についてのデータはとっていません。従って、政策評価も行うことができないのが多分現状だろうと思います。
  ところが、この報告書の後ろの「取組の方向性」には、「それぞれ身近なニーズを把握して」というようなことが書いてあるわけですが、ではニーズはどこで把握しているのかというと、坂本さんや桜井さんは皮膚感覚で把握しているかもしれませんが、それが本当に客観的にいいのかどうかというとやはり難しいところがあるだろうと思います。しかも、国民あるいは県民・市民を説得できるような素材であるかというと、かなりきつくなるのではないか。そこがやはり残念だなと思います。
  従いまして、私が言いたいことは何かといいますと、今までやってこなかったのが残念だったなと。それならこれからやればいいということです。是非、取組の方向性のところに、定性的ではなく定量的にも把握するということをしっかり書き込んでいただきたいということです。そうすることによってどのようないいことがあるかというと、例えば、先ほど都市部と農村部の比較という話がありましたが、多分今は比較できるものがないんですね。そういうものも出てくるだろうと思いますし、これから次の政策展開を考える上でも統計は必要だろうと思いますので、是非やっていただきたいというのが1つ目です。
  それから、細かいところを言わせていただくと、2ページ目のⅢの(1)の①を読むと「異なる世代、性別、分野の人々をコーディネートし、活動として実現。このような活動を通じて」とあり、その後ずっと「このような活動を通じて」と出てくるんですが、「このような活動」というのが何かがよくわからないんです。
  それから、「コーディネート」という言葉が、おわかりになる人にはわかるんでしょうけれども、私には一体何なのかよくわからなかった。多分、「組織化する」というようなことだろうと思うんですが。河野委員が先ほどおっしゃっていたように、個を大切にするとか、個の問題だということを強調する一方で、「コーディネートする」というのはどう位置付けるべきなのかと考えていくと、これだけの書き方ではいろいろと誤解を受けるのではなかろうかと思ったりします。
  ですから「活動」をもう少し具体的に書いていただけると、その次の「このような活動」がわかるんじゃないかと思います。
袖井会長
これはあくまでも素案ですので、確かに皆様が御指摘なさるようにいろいろ不備な点もあると思います。今回は第1回目で、今後何回か検討していきたいと思いますので、今回は一つ一つの言葉のようなことよりも、できれば基本的にどういうことを入れていくかということを是非御提案いただきたいと思います。
伊藤委員
今の阿部委員の話に関連してですが、以前の基本問題専門調査会で、全国的な男女共同参画の推進状況についての数量的なデータのまとめと、政策評価のための基準づくりをしたと思うんです。その結果については、ここでもう一度確認する必要があるのかなと思います。各都道府県別ぐらいまでは出ると思うんです。
  もう一つは、まだ限られているんですけれども、男女共同参画の推進状況の指標を幾つか出している都道府県が増えていると思います。指標が出ている都道府県のデータだけでもまとめていただけると、今の阿部委員のお話も、具体的な議論が進みやすいんじゃないかと思います。
帯野委員
今の阿部委員のお話は、私も大変疑問に思っておりました。身近なニーズの把握。何パーセントとか大きい数字でとるものだけではなく、女性がどんな分野でどう活動しているのかという数字を是非とっていただきたい。数字があれば、今後女性が活躍できるどういう分野を開発しなければならないかビジョンもつくれると思います。数字がないものは幾ら見ても、今もこれからもわからないということだと思います。
  ただ、そうは言いましても、どんな分野で女性が活躍しているのか、活動しているのかは非常にとりにくいデータです。女性の活動は、かなり身近なところで、細かなものが多いと思うんです。それで以前から一度是非調べていただきたかったのですが、非上場・小規模企業の実態を一番反映しているのは国民金融公庫ではないかと思うんです。国民金融公庫で少額の、多分300万円とか500万円ぐらいの資金を借りて、起業する人、特に女性が融資を受ける率は高いのではないかと思うんです。あそこは決算書もとりますので、分野別の数字は既に出していると思いますが、国民金融公庫に是非お問い合わせいただいて、女性の融資申込者に対してどれくらい融資をしたか、どの分野に融資したかというデータを出してもらえれば、どういう分野で女性が活躍したのか、あるいは、今までにないどういう傾向のところで女性が行動を起こしているのかということも見えるかと思いますので、国民金融公庫に是非お問い合わせ下さい。もう一つは、廃業率と創業率もあると思います。日本は創業率が諸外国に比べて低いと言われていますが、女性は小規模経営なので廃業も多いけれども、その分意外に創業も多いかもしれない。金融公庫くらいの融資金額で恐らく10年か15年かの長期返済になっていますので、廃業することになっても借り換えしつつもう一度創業することは十分可能な仕組みになっていると思うんです。ですからそれを見ることによって、女性の経営の特性もあぶり出せるかもしれない。そういうものをあぶり出して、女性の特性を生かした商業政策をつくれれば、新しい時代に合ったフレキシブルな社会が実現でき、かなり明るい結論が導けるのではないかと思います。是非お問い合わせいただけたらと思います。
袖井会長
では事務局で、国民金融公庫についてデータを集めてください。
桜井委員
今、皆さんの御意見を伺っていて、やはりそれぞれの立場によって見える場面が大分違うんだなと思いました。大学の先生が見えるところと、企業の方と、私のように地域でやっている者は大分違うと思いました。10年前とは時代状況も違っていますから、今見えてきているものは、以前とはかなり違います。その意味でも第2ステージだと思います。ですから、男女共同参画という視点で視野に入ってくるものも10年前とは少し違うのではないかと思います。というか、10年前とは違ったところにもスポットを当てないと駄目なのではないかと思っています。
  私の実感では、感覚的なものかもしれませんが、世間でかなり言われるように、地域社会では格差の広がりをひしひしと感じています。ですから女性リーダーをつくることは一方では大変大事なことですけれども、ニートやDV、ひとり親家庭の問題も看過できないところまできています。先ほど板東局長がおっしゃったとおり、私が言ったのもそういうことなのですが、あらゆる分野に男女共同参画を横串で刺していくと。加藤委員がおっしゃったように地方都市で何かをやっているときに、そこに男女共同参画の視点を入れて活動をつくっていくと。それはあらゆる分野に、ということです。
  私が今、地域社会の現場にいて感じているのは、ひとつ例をあげれば、例えばニート対策は横串に刺す大変いい例だと思います。厚生労働省ではニート対策として、ジョブスポットやジョブステーションなどいろいろやっていますが、女の子も男の子も一緒にやっているんです。同じようなサービスを行っている。ちょっと考えてもわかると思いますが、10代、20代の職に就いていない女性が抱える問題と、10代、20代のニートの男性が抱えている問題とは、全然違います。同じ再就職といっても、女性の場合と男性の場合とでは全然違うのと同じです。そこには男性と女性の社会でのありようの違い、役割期待の違いが大きく影響しています。現実に女性ニートの場合はやはり性産業が近いし、性暴力の被害をかなり受けていると思われます。
  それから、坂本さんは景気の悪い話ばかりになってしまったと話しておられましたが、格差社会の中でワーキング・プアの問題も大きくなってきています。女性のワーキング・プアは母子家庭に大変多いです。男女共同参画の視点からは、子ども連れのワーキング・プアに対して厚生労働省とは違うアプローチがあるはずなんですよ。その視点を入れていくのが、男女共同参画だろうと思うんです。この軸足を外してしまったら、厚生労働省がやることと同じなんですよ。ですから、そこは踏みとどまってやっていかなければいけない。
  しかし、おっしゃるように、いきなり「男女共同参画です」という旗を揚げたら誰も来ない。若い10代の女の子たちに「男女共同参画センターでニートの講座をやりますから来ませんか」と言っても来ないんですよ。私たちはその事業をこの3月から1年、2年かけてやろうと思っていますが、まずは「オールニートニッポン」という番組で若い人たちに人気のある雨宮処凛さんに来てもらって、まずはトークショーからです。そして、いきなり就業支援といってもうまくいきません。やはり居場所をつくるところからスタートしないと自立支援まで繋がらない。これは女性の再就職あるいはDVの被害者が自立していくのと同じなんです。ステップを踏んで、安心して心も癒されて、そうでなければ就業までいかない。女性のエンパワーメントという視点できちんとやっていけるのが、男女共同参画の視点だと思うんです。あらゆる分野を視野に入れるのはいいのですが、軸足はあくまでも男女共同参画の視点にあると、私が思いましたのは、いま申し上げた理由によります。
山田委員
桜井委員を全面的にサポートいたします。私は厚生労働省の若者の人間力を高めるための国民会議の議員もやっているんですが、すごくパラドックスですけれども、ニートとかフリーターの対策に関しては、意識して男女でどうこうというのは使わないようにしているのですよね。差別になるからということで使わないんですけれども、現実の状況を考えれば、まさに男女の状況が大きく異なっているということがあります。是非そういうことも含め、現実の男女を取り巻く状況が違っていることを前提にした政策を提言できる点で、男女共同参画局が重要な役割を担えるのかなと思います。
河野委員
異なる切り口になりますが、よろしいですか。先ほど加藤委員がおっしゃっていたコミュニケーションや、伊藤委員がおっしゃっていたその分野をどう捉えるかということですけれども。非常に重要だと思います。私のフィールドでは、管理職候補の女性陣のマネジメント研修で、大きくは出さないんですが、例えば初めての役員会でどのように行動するかとか、ちょっとした各論ですが、意見を具申するときにどうするかというような、小さいところに至っています。コミュニケーションについてそれぞれのフィールドでやり方があるわけで、今回の報告書を考えたときに、そろそろ、細部にわたってそれぞれのポジションにある方々が実効性の高い具体論を展開する時期に入ってきた。それが次のステージではないかと思うんです。10年前は中央から教えていただいて受講していた地方のトップの方が、今度はマイクを持って次に伝達する順番が来て、この10年間で気付きや意識は一応したように思います。その次に皆さんが必要なのはアクションプランで、「どうしたらいいの」、「どうやったらできるの」というところです。そこを抜きにしてしまうと、「また取りまとめか」みたいなことになってしまうと思うんです。
  ただ、逆に言うと、ページ数にも制約がある中で細かいことには触れられないと思いますが、それぞれの中で細部にわたり具体的なアクションとして展開し、御専門の皆さんにお任せする時代になったということで、NPOが出てきたり、いろいろな団体が出てきたりするのだろうと。中には株式会社が出てきたりすると思いますので。その展開をここで踏まえていくといいのではないかと考えました。
桜井委員
男女共同参画センターにとっては、大変悩ましい時代になってきたと思っています。地域によっては、「あんなものがまだ必要なの」と言われています。そのことは初回にも申し上げたかと思いますが、やはり根拠法がないからだろうと思います。例えば配偶者暴力相談支援センターは、DV防止法にこういう機能を持ちますと6項目ぐらい書いてあるんですよね。そういったものが男女共同参画センターには全然ないので、それぞれの地域で既にあるセンターをお手本にしたり、あるいは予算を睨みながら、是々非々で事業を組み立てている。まあ、ガイドラインがないということもできます。そうだからこそ、阿部委員がおっしゃったように、私も定量的な評価が絶対に必要だと思っています。定性的な評価は、ややもすれば主観で、こう思うからこうだということで評価できてしまうところがあります。客観性に乏しい難点があります。
  ですから、第2ステージとして男女共同参画センターのことでいえば、ガイドラインのようなものを示すことができればと、強く思います。「男女共同参画センターとはこういうことをするところです」、「拠点施設としては一応、こうあるべきです」みたいなものを出すことができれば、全国の男女共同参画センターは指針ができて、大変大きな力を得ると思うんです。根拠法がないだけに、ガイドラインのようなものを掲げていただいて、それに対して定量的な評価が必要だと思っています。それをやっていくきっかけがここでできると大変ありがたい、地域の女性センターはどれだけ力づけられるかと思いました。
袖井会長
桜井さんにお聞きしたいんですけれども。実際にそういう現場にいらっしゃって、非常に大きく変わってきたとおっしゃっていますが、どういうところが一番大きく変わってきたかということと、いろいろ苦労していらっしゃいますが、一番大きな障害はどんなことなのか、ちょっとお話しいただけますか。
桜井委員
一つは、センターによって格差が広がってきたということです。閑古鳥が鳴いているところも出てきていますし、地域の拠点施設として賑わっているところもあります。行財政改革の名の下に、自治体が必要だと設置したにもかかわらず、それはまた、男女共同参画の推進という行政施策にもかかわらず、予算がどんどん削られて、設置した自治体がもういらないと言ったり、行政施策としてきちんと位置付けられていないのだろうと思うんです。ですから、男女共同参画センターの方でも何をしていいのかわからない、閑古鳥も鳴いてしまうところが出てきている。
  もう一つは、指定管理者制度が入って実施主体が多様になってきた。その多様性の中で、「何をやってもいいのね」ということになってきている状況かと思います。非常に難しい状況を迎えています。
袖井会長
それは大変に危険ですね。
鹿嶋委員
要するに、NPOの中にはお化粧法をやったりしているところがある。化粧の講座をやるのは悪いとは言いませんけれども、それが男女共同参画のテーマかなというと疑問です。
袖井会長
パソコン講座とか。
鹿嶋委員
パソコン講座はまだいいですけれども、化粧法までテーマを広げる必要はあるのかなと多少疑問を持っているんです。でも、そういうテーマで講座を設定するケースが出てきているわけです。本来のテーマと言うとまた変な話になってしまうんですけれども、男女共同参画とは何かというきちんとした押さえは必要ですよね。
袖井会長
行政は人を集めてカウントして、それで評価する傾向がありますので、どうしても化粧法のようなことになってしまいがちですね。
桜井委員
例えば同じパソコン講座でも、男女共同参画の視点でするのか、そうではないのかということだろうと思います。パソコン講座にしても、再就職講座にしてもそうです。男女共同参画の視点での就業支援といえばやはり女性を対象にしますよ。けれどもその視点がなければ、男女共同参画センターの場所を借りて「男性も女性も差別してはいけないから一緒にどうぞ」と、職業訓練校と同じように男女を対象にしてしまうわけです。そうすると、「これは男女共同参画センターで税金を使ってやるべきものですか」という話になりますよね。そういう視点がどうしても必要で、そこで踏みとどまってもらいたいと思っています。それがないと、何をやっているのか全然わからない。生涯学習センターと変わらない。
坂本委員
この素案に書かれている具体的な地域をイメージしたとき、それを担うセンターは、市区町村のセンターの方が都道府県よりも期待度が高い内容が書かれている気がするんです。そうすると都道府県レベルのセンターは、それもまちまちなのかもしれませんけれども、かなりいろいろなことをやられていると思うんですが、市区町村レベルになると職員体制なども非常に脆弱で、予算もほとんど持っていない。先ほど御指摘もありましたけれども、講座の実施がセンターの主業務のようになっていますが、私たちが期待しているのはそうではないですよね。地域の中で男女共同参画という視点を失ってバランスを崩し活力をなくしてきているのを、地域の視点でしっかり捉えておくことも市区町村のセンターには求めたいわけです。けれども、そのへんは伝わっているのかなという気もすごくするんです。講座をやるのがセンターの仕事ではなく、講座もやる必要はあるけれども、それと同等に地域の中に男女共同参画が行き渡っているのかを把握して、足りないところをしっかり市民にメッセージして、そこに注意を呼び掛けるという大きな役割があるんじゃないか。その辺りは踏み込んで提案してもらいたいと思います。
  それと、行革の論議で、毎回ナショナルセンターである国立女性教育会館が独立行政法人ということで存続が危ぶまれる状況があって、それはいろいろな角度からの考え方があると思うんですけれども、やはりそれも一つ象徴しているのかなという気がします。男女共同参画を政府レベルで担うのは男女共同参画局がありますけれども、草の根に行き渡らせていくパートナーとして、国立女性教育会館を筆頭とし市区町村のセンターまでを、明確に位置付けてほしいなと感じます。
袖井会長
他にどなたかございますか。
阿部委員
今、坂本委員がおっしゃったことは私もそう思っています。地方公務員の方々の異動が頻繁で、論点に書いてある言葉で言えば、好事例やノウハウがたまっていきにくいということですね。確かに、市町村アカデミー等で男女共同参画に関する教育をしているようではありますが、質はともかくボリュームは相当少ないのではないかという気がします。例えば私が知っているのは、統計研修所というところがありますが、統計の担当者には半年とか1か月という期間で教育するんですが、多分市町村アカデミーは1週間あるかないかじゃないかと思います。2泊3日ですか。やはりそれでは「何だったんだろう」という程度で終わってしまうのではないかと。そういう意味でもNPOでやるのか、坂本さんのような人たちを育てていくところに力点を置くのか、というところを議論していったらどうかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
坂本委員
指定管理者でやられているところに話を聞くと、そういう人たちはますます研修の蚊帳の外に置かれる状況がある。指定管理者のいい悪いはいろいろあると思うんですけれども、その職を担う人にそれ相応の知識や見識を持っていただくのは大前提だと思うんです。そのへんを担っていく仕組みは、やはりボトムアップではなかなか難しくて、トップダウン的にしっかり予算をつけるとか。この委員会で議論をして方向を示していくというのは、非常に意味があることではないかと思います。
桜井委員
今おっしゃった点は、本当に男女共同参画センターの一番基本の問題だろうと思います。それは、担っている人たちの処遇の問題です。男女共同参画センターに1人でも常勤の人をつけてほしいと思います。どこに予算を使うかなんですけれども、やはり常勤で安心して働けるという雇用が本当に少ないです。NPOが指定管理者となって男女共同参画センターの事業を担うようになり、ますますその傾向が強くなってきています。例えば、月15万円とか12万円で館長をやっている施設もあるほどです。研修も旅費が出ないから行けないとか。それで専門性をと言われても、無理だと思います。
袖井会長
桜井さんのところは、常勤職員は何人ですか。
桜井委員
固有職員が25~26人、嘱託が20人ぐらい。嘱託も非常勤ではないですから、ほとんどが常勤でやっています。すごく珍しいです。うちぐらいかもしれないです。
袖井会長
事務局の方でそういうものは調べられますか。例えば、各センターでスタッフが何人いて常勤が何人とか。データはありますか。
塚崎推進課長
配布資料の19ページに、都道府県全体ですけれども、常勤職員数、非常勤職員数をつけています。
板東局長
都道府県だけで、市町村はないですか。例えば、女性会館協議会のようなところで調べられているものはありませんでしたか。
桜井委員
協議会の会員館のものは出てくると思いますが。
山田委員
もしよければ給与水準も含めて。
袖井会長
そういうものはわかりますか。桜井さんは御存じですか。
桜井委員
給与水準までは出てこないですね。
塚崎推進課長
情報提供のレベルを出ないかもしれませんが、一言よろしいでしょうか。私は内閣府に来る前には、前回ヒアリングをお願いいたしました菅原先生と同じ業務領域といいますか、市民参加型の地域づくりや観光人材の育成、環境による地域づくりなどに関わってまいりました。その過程で多くのNPOと一緒に仕事をする機会なども多かったのですが、その経験から申し上げますと、現在議論となっている男女センターの運営を受託するNPOだけではなく、NPO一般において、行政のアウトソーシング先となる場合には、コストダウンの手法として活用されるケースが多く見られます。その場合、たとえば施設などの長となる人の人件費が、もちろん業務内容にもよると思われますが、結果的には総委託費の中の配分により月給が十数万円になってしまうケースも多く見うけられました。行政サイドが運営費や人件費の圧縮という観点を重視してNPOの活用を行いますと、このような状態になることも多いのではないでしょうか。
袖井会長
ますます景気の悪い話になってしまいそうですね。
加藤委員
地域における男女共同参画はどうしても重要だと私は思いますのは、一昨年に第2次基本計画ができまして、もうすぐ次の基本計画をつくっていくわけですよね。第2次の基本計画をつくっていくときにも、やはり議員の皆様方あるいはその関係の方々に御理解と御協力をいただきたい。第3次基本計画だけでなく市町村レベルの条例にもかかわってきます。国や県、市町村の議員の方にも男女共同参画への一層の御理解をいただきたいと考えています。そのためにも地域の人々に男女共同参画を御理解いただくことが重要です。
  それから、先ほど来から桜井委員がおっしゃっておられるように、国立女性教育会館一つとっても、恒例行事のように見直しや廃止ということが浮上してくる。男女共同参画の推進に国立女性教育会館の機能強化が重要だと考えているところです。行政改革のあり方そのものについても問題意識を広げる必要があります。
袖井会長
どうもありがとうございました。そろそろ時間もまいりましたが、どなたか是非とも発言したいという方はいらっしゃいますか。
平野委員
これは言わずもがなのことで、あるいはお願いということになるんですけれども。今日配られたのはこの調査会の論点で、しかも素案ということでございますから、そういう意味で捉えるということで、次回は報告書の素案のようなものが出てくるのかもしれませんが、今日いろいろな意見が出たと思いますので、全面的に改訂というか、今回のものを土台にするのではなく、新しい視点からつくっていただきたい。これではまだ足りないと思っておりますので、今日の先生方の意見を聞いて新しいドラフトを出していただきたいと思います。これはお願いでございます。
袖井会長
厳しい御意見で、どうもありがとうございました。そろそろ時間ですので、この辺で自由討論を終わりにしたいと思います。皆様方にいろいろ新しい御意見をいただいて、大変よかったと思います。新しい段階に入ったということを共通認識にして、これまでどうだったか、特にこの10年間、男女共同参画の道のりは必ずしも平坦ではなく、非常に厳しい状況にありましたので、やはりそのことをまず前提として趣旨のところにきちんと書いておく必要があると思います。それから、多様性がキーワードになることは共通認識だと思いますけれども、女性間の多様性もかなりあるということ、それから、地域が今回の焦点ですが、地域にも多様性があり、多様なものに目配りをしていくということですね。皆様の御意見を聞いていても、企業にウエイトのある方もあれば、地域に暮らす女性にかなりウエイトのある方もあって、そのあたりも必ずしも同一ではない。ですから、やはり多様な視点で目配りをしながらやっていくということが必要ですね。
  もう一つは、勿論、男女共同参画が基本であること。そこは揺るがせないと思いますが、多様な分野においてどれだけ男女共同参画を推進していくか、あるいはこれまでどうなってきたかということを押さえておく必要があるかと思います。
  それから、もう一つ重要なことはデータを集めるということです。確かに男女共同参画、それから、私なども時々困ったりするのは、女性の社会参加の必要性がよく言われるのですけれども、具体的なデータが非常に乏しいですね。ですから、今後定量的なデータをどう集めていくかということが一つの課題としてあると思います。乏しい中でも何とかして具体的なデータを集めていくことも、今回の報告書に是非入れたいと思います。先ほどもありました国民生活金融公庫であるとか、あるいは各地の男女共同参画センターにおける常勤・非常勤の職員数、できれば給与も是非入れて、できるだけ具体的にしたいものです。今日の資料に紹介してありますようなアンケート的なものは、あまり参考にならないと思います。各センターにアンケート用紙を配って「どうですか」と聞くのはあまり参考にならないので、できれば具体的なデータを報告書に盛り込みたいと思っております。
  それでは最後に、本調査会の今後の進め方と前回までに御議論いただきました運営規則の改正について、事務局から御報告をお願いいたします。
塚崎課長
本日は、有意義な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。いただいた御意見を十分踏まえてまいりたいと思います。
  今後の進め方でございますけれども、1月と2月に2回ほどヒアリングを予定しておりまして、その後、報告書について御討議をいただく予定でございます。5月ぐらいを目処に取りまとめていきたいという予定でございます。
  それから、前回までに御議論いただきました本調査会の運営規則の関係でございます。前回の調査会では、調査会の直前になって急に御出席いただけなくなった委員がおられて、出席委員が過半数を割ってしまったような場合でも調査会を開けるようにということで、会長が必要と認めるときは調査会を開くことができる。ただし、この場合には議決はできないという内容の改正案を提案させていただいたところでございます。その際に、議事録については書面での議決ができるようにしておくべきではないかという御提案をいただきました。事務局で調べましたところ、他の専門調査会では、調査会の開催間隔が長い場合など議事録を調査会に長期間お諮りできない場合には、運用で、議事録案を委員の方々にお送りして、個別に御了解をいただいた上で公表するという方法がとられておりました。こうしたことを踏まえまして、本調査会でも、調査会の出席委員が過半数を割ったような場合も含めまして、議事録を調査会に長期間お諮りできない場合には、議事録案を委員の方々にお送りして御了解をいただくという方法をとらせていただきたいと考えております。
  以上でございます。
袖井会長
運営規則の改正と議事録をお諮りする方法については、ただいま事務局から説明があったとおりとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 

(委員より了承する旨の声あり)

袖井会長
どうもありがとうございました。
  次に、資料2ですが、10月15日の第32回基本問題専門調査会の議事録を事務局でまとめていただきました。このとおり決定し、内閣府のホームページ等で公開することとさせていただきますが、よろしいでしょうか。よろしければ、すみやかに公開することにいたします。
  最後に、事務局から何かありますか。
塚崎推進課長
次回ですけれども、1月29日火曜日、13時半からこの建物の5階特別会議室で開催する予定でございます。詳細につきましては、おって御連絡をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  以上です。
袖井会長
それでは、これで基本問題専門調査会の第34回会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。

(以上)