男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成18年4月24日(月) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    岩男 壽美子 慶應義塾大学名誉教授
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    北村 節子 読売新聞社調査研究本部主任研究員
    久保 公子 財団法人市川房枝記念会事務局長
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学助教授
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会事業本部長
    佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    寺尾 美子 東京大学教授
    平野 治生 財団法人日本広報センター理事長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 国の審議会等における女性委員の登用の促進について
  3. 男女共同参画推進関係予算について
  4. 女性のチャレンジ支援策の推進について
  5. 閉会

(配布資料)

資料1-1
国の審議会等における女性委員の登用の促進について(男女共同参画推進本部決定)  [PDF形式:49KB] 別ウインドウで開きます
資料1-2
国の審議会等における女性委員の登用の促進について [PDF形式:60KB] 別ウインドウで開きます
資料1-3
国の審議会等委員への女性の参画の拡大について [PDF形式:202KB] 別ウインドウで開きます
資料1-4
国の審議会等における女性委員割合について [PDF形式:531KB] 別ウインドウで開きます
資料2-1
平成17年度 男女共同参画推進関係予算政府案(総括表) [PDF形式:20KB] 別ウインドウで開きます
資料2-2
平成17年度 男女共同参画推進関係予算政府案(分野別一覧表) [PDF形式:113KB] 別ウインドウで開きます
資料3
女性のチャレンジ支援に関する評価方法調査(概要)(案)
資料4-1
「女性のチャレンジ支援策」について  [PDF形式:377KB] 別ウインドウで開きます
資料4-2
女性のチャレンジ支援策について」(パンフレット)
資料4-3
女性の「再チャレンジ支援地域モデル事業」について  [PDF形式:234KB] 別ウインドウで開きます
資料5
基本問題専門調査会第25回議事録
岩男会長
それでは、時間になりましたので、ただいまから「基本問題専門調査会」の第27回会合を開催させていただきます。皆様大変お忙しい中を御参集いただきましてありがとうございました。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、本日の議事を進行させていただきます。
 まず、最初の議題でございますが、「国の審議会等における女性委員の登用の促進について」でございます。まず事務局から御説明をお願いいたします。
定塚推進課長
それでは、御説明させていただきます。資料1-1から資料1-4までが関係の資料でございます。
 資料1-1に概略を書いてございますので、御紹介させていただきますけれども、「国の審議会等における女性委員の登用の促進について」、前回のこの基本問題専門調査会(3月16日)の会議におきまして御審議いただきまして、専門調査会としての報告について会長一任という形で大方の方向性を示していただきました。その後、3月24日でございますが、基本問題専門調査会としての報告という形で公表させていただいたところでございます。その後、この調査会の報告を踏まえまして、政府部内で検討・手続を進め、4月4日には最終的に男女共同参画推進本部決定という形で新しい審議会の女性委員の登用目標を定めさせていただきました。
 順番が逆になりますけれども、資料1-3と書いてあります方が3月24日に、基本問題専門調査会として報告を出していただいたものでございます。大方、前回3月16日に原案にいただいた意見を踏まえて修正をしたという形になっております。
 また、資料1-2が、4月4日に男女共同参画推進本部決定として定めました新しい目標でございます。こちらの方は、基本問題専門調査会で決定をいたしました目標の内容に沿ったものでございまして、それを簡単に政府の方針として決定をしたものでございます。
 資料1-2で若干内容を御紹介しますけれども、まず審議会の目標設定についての「基本的考え方」ということで、第2段落目に御紹介してあります。1つは、国の政策方針決定過程に多様な視点を導入していくという観点。また、もう一つが、行政への国民参加の確保という観点、その2つの観点から女性委員を登用促進しようと位置付けております。
 第3段落目でございますが、「このような基本的考え方に従い、審議会等への委員については、平成32(西暦2020)年までに、政府全体として、男女のいずれか一方の委員の数が、委員の総数の10分の4未満とならない状態を達成するよう努めるものとする」としております。
 また、「当面の目標として、平成20(西暦2010)年度末までに、女性委員の数が少なくとも委員の総数の33.3%となるよう努めるものとする」といたしております。
 また、今回は臨時委員、特別委員、専門委員について、御意見を踏まえまして、新たに目標設定をさせていただきました。こちらは「平成32(西暦2020)年までのできるだけ早い時期に女性委員の数が30%となるよう努める。また、当面の目標としては、平成22(西暦2010)年度末までに、女性委員の数が委員の総数の20%となるよう努めるものとする」としております。
 以上の目標を達成するために、人材育成、また発掘等の取組を進めること。公募等を活用することなどを記述しております。
 また、最後でございますが、内閣府においては、女性人材に関する効果的な情報提供が可能となるよう検討を進め、適切なフォローアップを行うということとしております。
 以上が内容でございまして、これに従いまして、内閣府ほか関係省庁と連携を深め、審議会の女性委員の登用の促進を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえて、何か御意見、御質問等ございましたら、どうぞ御発言いただきたいと思います。よろしいですか。
 それでは、2番目の議題に移りたいと思います。「男女共同参画推進関係予算について」でございます。前回の検討を踏まえ、事務局で資料を作成してくださいましたので、御説明をお願いをいたします。
新木総務課長
それでは、資料2-1、資料2-2をご覧いただきたいと思います。男女共同参画推進関係予算でございますけれども、前回、御説明いたしましたように、第2次基本計画におきまして、取りまとめに当たっては男女共同参画の推進の見地から当面特に留意すべき事項、それ以外の事項に区分して行うということで基本計画に策定されておるわけでございます。これを受けまして、前回のこの会におきまして、その区分の方法を議論いただきました。
 前回の会議では、1つには、所得保障に関する予算は原則として、それ以外の事項とする。例えば年金法でございますけれども、それから、所得保障であっても、家庭生活における活動とその他の活動の両立支援に資するものなど、予算額の把握は特に重要と認められる場合には、これは当面特に留意すべき事項とする、というような考え方に基づき資料を作成するということで御了解をいただいたところでございます。ですから当面特に留意すべき事項でない、それ以外の事項でございますが、それは国民年金及び厚生年金保険の国庫負担、それから、特定障害者に対する特別障害給付金、これは所得保障に関する予算というようなことで、それ以外の事項にするというようなことでございます。
 そういったような考え方に基づきまして、各府省の18年度予算額を調査いたしまして、資料2-1、資料2-2にまとめさせていただきました。
 まず2-1をご覧いただきたいと思います。これはこのタイトルにございますように、男女共同参画推進関係予算のうち、当面特に留意すべき事項というものに当たるものにつきまして取りまとめた表でございます。一番最後のグラフ、3枚目を見ていただきたいわけでございますけれども、総額が4兆3,435億円となっております。内訳を御説明いたしますと、まず一番多いのが重点分野6でございまして、「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」が、約2兆9,163億円となっております。これが全体の67%を占めておりまして、オレンジの部分でございますけれども、それに出ておりますように、そのうち介護給付費国庫負担等を含みます「高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築」が約2兆円になっております。
 次に予算額の多い重点分野は、黄色で指し示しておりますが、5の「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」でございまして、約1兆1,917億円となっております。これが全体の約28%を占めております。前回の会議でいただきました御意見を踏まえまして、特に子育てに関する部分につきまして、このグラフのところにイメージいたしておりまして、それが約1兆609億円ということでございます。この2つで、4兆3,435億円の95%を占めております。
 このほか、下の方に細く入っておりますけれども、ほかの10の重点分野と計画の推進に係る予算の合計が約2,400億円となっております。ここにつきまして、以上が当面、特に留意すべき事項ということでございます。
 次に、昨年度の予算額と比較した増減につきまして御説明いたします。それは2ページの一番下の総合計ということでございまして、これはあくまでも、当面特に留意すべき事項について比較したものでございますけれども、平成18年度は4兆3,435億円となっておりまして、昨年度と比べますと、その部分につきまして、約631億円の減額となっております。
 この要因でございますけれども、1ページをちょっと見ていただきますと、重点分野の5でございますけれども、両立支援のところでございますが、5の(2)に「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」が約2,600億円の減額となっております。これはその中にあります児童手当給付ですが、それが三位一体の改革によりまして国の負担率が下がったこと、あるいは出生数の減少によりまして、出産育児一時金、配偶者出産一時金の給付額が減少したことで、こういうふうになったということでございます。
 以上が総括表でございますけれども、資料2-2を見ていただきますと、分野別の内訳表になっております。分野別の内訳表でございますけれども、Ⅰが当面特に留意すべき事項でございまして、これが分野別にずっと34ページまでそれが出ているということでございます。
 35ページに一番最後でございますけれども、それ以外の事項ということで、先ほど申し上げました国民年金、厚生年金の国庫負担と特定障害者に対する特別障害給付金を載せておりまして、これがそれ以外の事項ということになっております。
 今後の予定でございますけれども、こういったような取りまとめを行うということで御了解を得られましたら、今後公表ということになるわけでございますけれども、従前は要するに約10兆円ということでまとめまして、予算の案が年末までにできて、年が明けて予算が出揃ったところで取りまとめを行うということで、年が明けて最初の男女共同参画会議で報告しておったということでございます。ところがそういうようなことで、今回は取りまとめのやり方を変えましたので、もう既に年明けの男女共同参画会議は3月に会議がされておりまして、次回の男女共同参画会議がいつになるかというのは現在調整中でございます。
 一方、例年6月頃に公表されます「男女共同参画白書」、この白書におきましては、男女共同参画推進関係予算の概要を掲載いたしておるところでございます。ですので、場合によっては、男女共同参画会議の開催よりも白書の公表が先になることが考えられます。その際には白書に掲載、白書というのは男女共同参画白書につきましては、閣議決定をいたしておりますので、これは概要でありますけれども、1つのタイミングかなと思っておりまして、その際は白書で掲載することで公表にしたいというようなことでございます。まとめまして、白書になるか、男女共同参画会議になるということをこれから検討したいと思っておるわけでございます。
 以上のようなことで、公表のタイミングと方法を考えていくこととしたいと存じております。以上、御説明でございます。
岩男会長
ありがとうございました。これまで御説明があったところで何か御意見がございましたら、どうぞ御発言いただきたいと思います。
室伏委員
前回の調査会で伺ったことの繰り返しになりますが、資料2-2の25ページに厚生労働省の対策の3番目に「母子保健医療対策等総合支援事業」がございます。これが今年度多少増えておりますが、その中に新しい事業として「小児科・産科医療体制整備事業」というのがございます。この部分は、前回申し上げましたように、女性たちが安心して子どもを産んで育てるために非常に重要な部分だと思っております。ぜひ、この部分を十分に支援していただきたいと思います。もし、今この内容についておわかりのことがありましたら少し御説明をいただけたらと思うのですけれども。
岩男会長
どなたか、関係の御担当の方で御説明がおできになる方がありましたら御説明いただきたいのですけれども。
新木総務課長
これにつきましては、実態があれでございますので、先生の趣旨を体しまして、厚生労働省に今後どうするのかということで私の方で聞きまして、後ほど先生の方にお答えすることにいたしたいと思います。いずれにしても重要な予算なので、今後とも充実をお願いしたいというような強いお話でございまして、本日はそういうことで、お聞きしたということでございます。失礼いたしました。
佐藤委員
質問というか、今後見ていく上で御配慮いただきたいのは、特別会計等含めて予算が、今の特別会計の見直しがあるので、特に、例えば、5男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援、これは1兆ちょっとという話ですけれども、ここは例えば労働保険の部分が結構大きくて、ですから特別会計でやっている部分がどうなるかということは、直接担当ではないにしても、男女共同参画の予算の動きにかなり影響しますので、その辺は少し見ておいていただくといいかなと。今、特別会計の比率どのぐらいなのか、気にはなるのですけれども、すぐにというのは無理でしょうから、その辺も特別会計の見直しの方も少し見ておいていただくといいかなと思います。
新木総務課長
今の先生のお話につきまして、一応分野別内訳表の方には、詳細にはここにありますように、括弧書きが特別会計となっておるということでございます。
岩男会長
ほかに何か御意見等、お気づきのことがございましたら。これまでの問題としては、とにかく一見、男女共同参画関係予算というのが非常に大きく見えるような形の集計といいますか、提示がなされていたわけですね。その大半が今も御説明がありましたように年金、あるいは介護保険の部分であったというようなことで、例えば男女共同参画局の予算というと非常に少ないというようなことであったわけです。
 それともう一つの問題は、確かに「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」というのは、基本計画にもきちんと入っているわけですけれども、それも男女共同参画を推進する上で重要であることは間違いないと思いますけれども、狭義の男女共同参画といいますか、それとなかなか渾然一体としておりましてわかりにくいところがあったという、それを少しずつ改善して整理をし直していただくと、これが課題であったのだと思うのですね。その方向で今回は少し工夫をしていただいたということではないかというふうに思います。
新木総務課長
男女局の予算は実は4億円でございまして、このグラフでいいますと、1つは、「政策・方針決定過程への女性の参画」に入っておりますし、それから、「計画の推進」の中にチャレンジ支援策は入っておりますし、「女性の暴力」のところにも入っているというようなことで分かれておるわけでございます。何分にもその程度ということで、今後とも必要な予算を確保していきたいということでございます。失礼いたしました。
岩男会長
もともとの金額が大きくないから、減った分もそんなに大きくはないのですけれども、例えば「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」といったようなところが少しであっても削られているというのは大変残念に思いますので、これは今後の課題だと思いますけれども、来年度はまた復活できるようにぜひお願いしたいと思います。
新木総務課長
今回、先ほど申しましたように、例えば負担部分が変わっているというのは補助率が変わったとか、そういうことで、例えば「両立支援」のところが減ったとか、そういうようなことでございますので、国の負担部分が変わったということで、事業それ自体は、別に削ったということではないものが多いようでございまして、そういうところも本来ならば、事細かに御説明せんといかんのですけれども、きょうはお時間ないので失礼させていただくということでございます。
岩男会長
それでは、平成18年度予算につきまして、事務局より提出された資料の形で取りまとめるということでよろしゅうございますでしょうか。
 それではそのようにさせていただきたいと思います。
 それから、先ほど課長から御説明ございましたように、公表に関しましては、当面委員限りということでございますので、その点も御留意いただきたいと思います。
 それでは、議題の3に移りたいと思います。「女性のチャレンジ支援策の推進について」でございまして、資料3の「女性のチャレンジ支援策に関する評価方法調査について」、事務局から御説明をお願いいたします。
日下部推進官
それでは御説明させていただきます。資料3と振ってあります「女性チャレンジ支援に関する評価方法調査(概要)」ということでございます。
 この調査については、平成17年度の委託調査ということで1年かけて研究してきたところでございます。この中の2ページ目の最後にプロジェクトチームの委員名簿がございますけれども、専門調査会の委員でもあります佐藤先生に主導的に御指導いただきながら行ってきた調査ということでございます。
 まず、調査の目的から御説明させていただきますと、国や各都道府県における女性のチャレンジ支援策の進捗状況を図れるものはないだろうかというのが一番最初の問題意識でございました。そういうことで、女性のチャレンジ支援策についてということで、平成15年の4月のこの基本問題専門調査会で報告書が出たわけですけれども、その中に9つの分野が示されたわけですけれども、そういった分野について、女性のチャレンジ支援に関する指標データを収集し、それから指標化にふさわしいデータを選択し、選択したデータを用いてチャレンジ支援策の進捗状況を測定できる指数を作成するという作業で行ってきたところです。
 なお、指標の作成に当たっては、平成12年から16年までの5年間のデータを対象としたところでございます。
 指標の選択ですが、どういった指標を選んだかということですが、最終的に選んだ指標については後ほどまた御説明しますが、基準としては、まず最初に、9分野(雇用・起業・NPO・農林水産・研究・各種団体・地域・行政・国際)のいずれかに当てはまること。この結果として、該当、全くふさわしい指標がなかったという分野も出てきたわけですけれども、今回はその9分野にいずれかに当てはまるということを1つの条件としました。
 データが公開されていること。
 時系列にデータを捕捉できること。これは必ずしも毎年データが発表されていなくても、5年に一度なり、2年に一度なり時系列的にデータが捕捉されていればいいと考えました。
 4つ目の基準としては、当該分野の指標として代表性があり、統合指標を構成するのにふさわしいことであること。
 5つ目としては、似たような指標がいっぱい出てきた場合には、最もデータが揃っているといったことを重視してデータを選んだところでございます。
 なお、結果として9分野のうち、NPO・各種団体・国際についてはいろいろデータはあったのですけれども、統合して1つの分野ごとにわかるような指標をつくるのはちょっと難しいということで今回は作成できませんでした。
 それから、3番目ですけれども、つくり方ですが、「全国」の2000年の値を1として、全ての実数値データを指数化していますと。例は下の表に挙げておりますけれども、例えば係長以上の女性割合といった指数を選んだ場合、2000年における女性割合は5.28%だったわけですが、この5.28が1になるようにした。したがって、2001、2002年、2003、2004、この残りの4年間についても2000年が1になる指数化しているということです。そうすると、例えばここの表の中にある1から2004年の6.71%は1.270になると、こういった方法でそれぞれの選ばれた指標を指数化したということでございます。
 次に2ページですけれども、この統合指数、すなわちある分野においては複数の指標が選ばれたわけですけれども、その指標をどうやって統合したかということでいえば、採用指標の指数値の単純に平均した。4つの指数があれば、4つの指数を平均したと。したがって、2000年は1ですので、いくら平均しても1になるわけですが、2000年以外の数字はそれぞれの指標を単純平均したものを使ったということでございます。
 雇用分野でいえば、全国の統計がとれてふさわしいと思いました指標が8つありましたので、8つの指数の算術平均、都道府県毎でいえば、必ずしも都道府県毎で全ての統計が出ているわけではありませんので、都道府県毎に出ているものは3つございましたので、3つの単純平均を行ったというつくり方でございます。
 作成の結果ですけれども、これは次の別添1以降を見ていただきたいと思いますが、まず、具体的にどのような指標が選ばれたのかということは、3ページ目をご覧いただければと思います。雇用-1、雇用-2、雇用-3、雇用-4というふうに、統合指数が全国で出ておりますが、雇用については、ここに書かれた8つの指標を選びまして、それを2000年を1とするように指数化して、この8つを単純平均したということでございます。起業でいえば4つ、農林水産でいえば、ここに書かれている3つ、研究は3つ。地域はなかなえいい統計がなかったということで、結果的には「地方議会における女性の議員割合」ということで、この地方議会というのは、都道府県と市町村も含めたものですけれども、議員割合。行政についていえば、1から7に掲げられたここにあります指数。それから、どこにも全ての女性のチャレンジに影響してくるであろうという指標がいくつかございまして、それは共通というふうに分類しました。その中の共通-1・2・3というのは、「共通A」と申しましたが、「4年制の大学の進学率」や「学部選択における男女比率」、「大学院在籍者に占める女性の割合」、こういったものが進捗することが女性のチャレンジに影響してくるだろう。それから、「地域の子育て支援」というのは「共通B」として、若干趣が違うので別の分野にしたところでございます。
 基本的には、チャレンジについていえば、上へのチャレンジ、横へのチャレンジ、再チャレンジ、3つ大きく分けてあるかと思いますが、その3つとも含めたものということで、今回は作成したところでございます。
 4ページでございますけれども、4ページは都道府県別で見た場合、どの指標を使ったかということでございます。全国と比べて都道府県別で得られるデータは少ないものですので、したがいまして、その中で選んだ指標も少ないと。先ほどの全国で選ばれた指数の中で都道府県別に得られるものがここに記されております。それぞれの分野について、これも雇用であれば、この4つの統計を指数化して単純平均したものを使ったところでございます。
 その結果、作成したグラフが次の5ページ目以降になっております。基本的に5ページ目以降については、まず、各分野毎に全国の統合指数、全国の場合の進捗状況とその次のページに都道府県別に見た進捗状況、これをそれぞれの分野について出しておるところでございます。
 例えば5ページでいえば「雇用」ですが、2000年を1として、2003年、2004年と若干伸びているのですが、2003年から2004年にかけては微妙に落ちていることが得られております。
 6ページは、これは都道府県毎に、先ほどの雇用を統合した指数の進捗状況なりを見たものでございます。1.0というのが2000年の全都道府県の平均が1.0でございますので、1.0よりも高ければ全国よりも高いと。1.0よりも低ければ全国よりも低いということになっています。また、2000年から2004年まで毎年の進捗を棒グラフにしておりますので、伸びているか、落ちているかというのはこのグラフを見ればおよそわかるのではないかと考えているところでございます。例えば非常に高い県、1.2近くまでいっている県としては青森県、徳島県あたりは今回の雇用統合指数については非常に高い数字が出たということが言えるかと思います。一方、1.0よりも低いところは全国平均よりも低いということでございます。
 次に7ページは「起業」でございます。起業についていえば、先ほど申しましたけれども、全国でいえば、5つの指数で、地方でいえば女性の社長割合と自営業の女性割合と2つを指数化して単純平均したものを使っております。全国で見るとやや右上がりになっていますが、非常にその伸びは少ない。また、都道府県毎に見れば、例えば青森県などは非常に高い数字が出ているということが言えます。また、徳島県あたりは非常に高い指数が出ている。また、県によっては上がったり下がったり、そこはいろいろあるかと思います。
 続きまして「農林水産」ですが、9ページ、これは2000年を1として非常に伸び率は高いことが言えます。この伸び率が高い理由としては、基本的にはどういった指標を用いたかと申しますと、農業委員会に占める女性割合、農林水産関連の審議会に占める女性の割合、農協の役員に占める女性割合ということで、基本的にはもともとの水準が極めて低いところです。数自体も分母に来る数もそれほど大きくないところへ分子も非常に小さいところがちょっと伸びたということで、数字が変動しやすいということが農林水産統計の今回選んだ指数の中では特徴となっておりますので、数字としては大きく伸びているところと伸びてないところが大きく分かれたということが言えるかと思います。都道府県別に見ると、奈良県あたりは非常に高く伸びている。これは例えば農協の女性役員がゼロだったところが数%まで増えたということも1つの要因になっておりますが、こういったことで県によって農林水産指標は非常に大きく変動するというのが今回の指数の特徴として出ております。
 次に「研究」でございますけれども、この研究については、全国でいえば、4年制大学における教授職等、研究分野の女性の進出割合、大学院に占める女性の割合といったものを選んだわけですけれども、ここは非常に伸びてきているということが言えるかと思います。また、都道府県別で見ても、全般的には右上がりの傾向がかなり多くの県で見られるということが、この「研究」の指標で、したがって、大学の教授職、研究分野といったところに女性の進出が進んでいるということが言えるかと思います。なお、教授職といいましても、教授・助教授・講師なども含めた値を今回は採用しているところでございます。
 それから、「地域」でございますけれども、地域については、本当はNPOとかそういった指数があってもよかったわけですけれども、なかなか地域に密着したいい指標が見つからなくて、基本的には地方議会における女性の議員割合ということを採用した、この統計の1つだけでございます。これを見ますと、全国で見れば、2000年から2004年にかけて伸びてきているということは言えるかと思います。
 なお、この指数は、2003年と2004年で同じになっていますが、基本的には今回2004年の数字が出ないところは最新のデータと同じにするといったようなことをしておりますので、2003年と2004年がこの指数については同じということになっております。時系列データですので、数年に一遍しか新しいデータが出ないということが往々にしてありますので、最新のデータがないところは直近のデータに合わせると。また、時系列で、過去何年間に一遍しか出ていないところは直線的に補完すると。毎年同じだけ伸びたとして、過去のデータは補完するという作業は今回しています。
 「行政」についていえば、国については7つの統計、地方についていえば、地方公務員における幹部の女性比率や都道府県の審議会の女性比率、女性公務員の採用比率といったものを地方においては採用しているところでございます。それを見てみますと、非常に伸びている県は伸びていると。また、1.0より高いところは、東京都などは高いですけれども、ここは地方の公務員等について女性の比率が進んでいるということが言えるかと思います。なお、東京都については、2004年は若干落ち込んでいるということが言えるかと思います。県によっては、鳥取県のように非常に順調に伸びているといったところもあれば、さほど伸びていないというところがかなり大きく分かれるところでございました。
 次に17ページですけれども、「共通A」でございますけれども、地方の共通Aについては、女性の4年制大学の進学率。全国についていえば、更に学部選択における男女比率や大学院の在籍者に占める女性の割合も全国の指標には入っているところでございます。都道府県毎に見ますと、全国でも伸びているところですが、全体的にいえば右上がり傾向にあるのではないかということが言えるかと思います。
 それから、「共通B」でございますけれども、Bはほとんど変動がないのですけれども、何かと申しますと、地域の子育て支援ということで保育所の入所率を統計でとったわけですけれども、基本的にはほとんどが100%近いということです。保育所の入所率ということに関しては、待機児童と言われておりますけれども、(入りたい人と入っている人)分の(入っている人)という計算しますと、ほとんどが100%近いということで、指標としてはほとんど変動がないという結果になっております。
 また、別添2、21ページですけれども、レーダーチャートでいくつか主な雇用・起業・行政・共通Aという、今までの統計の分野の中で4つを代表的なものとして取り上げたところ、起業については、ほとんど2000年、2004年と変わってないのですが、例えば雇用については、全国で見ますと、若干伸びているとか、行政についても少し伸びているとか、共通Aは更に伸びているとか、こういったことはレーダーチャートを見れば若干特徴がわかるかなというふうに思っております。最終的には都道府県毎にもこういったレーダーチャートをつくっていきたいと考えているところでございます。
 最後に別添3でございますけれども、これは今までは全て指数化しておりましたので、何年から伸びたとか、全国平均と比べてどうかというのはわかったわけですけれども、実際の割合がどれぐらいなのだろうかというのを御参考までにお示ししたのが別添3でございます。当然統合指数ではなかなかこういう形は出せませんので、各分野における指標を1つ選んで、実際の割合がどれぐらいなのかと見たのがこの別添3でございます。例えば、1番の管理的職業従事者、これは総務省の統計からとったものですけれども、これは「◇のものを見ていただきますと、どれぐらいの水準かというのがわかると、全国で言えば、11%ぐらいのところからスタートしております。女性の社長割合は「□」であらわされたもの、若干見にくくて申し訳ございません。農協役員に占める女性割合は「△」で、一番下のゼロに近いところに張りついています。これは2004年の数値で書いてあります。それから4年制の大学の教授職等ということで、教授・助教授・講師等を含めたものを見ますと、これは大体全国においても、15%から20%ぐらいの間に多くの県がおさまっています。それから、地方議会の議員、地方公務員の幹部の大体の水準を理解するためにこの表を付けたところでございます。それぞれの指標自体は、既に有名な指標ではあるのですけれども、一応1つの表として入れてみたのが別添3ということでございます。県によって一概に全てが高いとか全てが低いとかなかなか言いづらいところがあるのですけれども、東京都などは全般的に若干最近下がっているところはあるかもしれませんけれども、高い数字が出ているとか、そういったようなことが言えるかなと思います。
 以上が今回の作成した指標の説明でございます。
 なお、2ページ目に戻っていただきますと、今後の課題としては、当然9分野に絞ったことが、本当に今後それで十分なのかというような課題は残されております。NPOなど地域活動を始めとしてデータが十分なかったと、探しても無かったということは多分存在していないのではないかと思いますけれども、なかなかいいデータがないと。ある県においてはあったり、あるところが一時的に調査を行ったところがあったりしても、連続的に、時系列的に各都道府県毎に得られるとか、全国で統計が揃っているということはなかなかなかったかなと、そういう分野も多かったということでございます。
 また、この統合の仕方とか、統合の選び方とかにはいろいろな意見があるかもしれませんけれども、今回は1つの試算をしてみて、この試算でもって、また次の試算がなされたり、あるいはこういったところを見て各都道府県が、自分の県が遅れているとか、進んでいるとかを見ながら一層チャレンジ支援に努めていくことが期待されるところでございます。以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。今後いろいろ改善をする必要があろうかと思いますけれども、しかし、非常に興味深いデータを示していただきましてありがとうございました。
伊藤委員
ちょっとよろしいですか。3ページ目のところなんですけれども、起業が1、2、4、5、6と3が飛んでおるのですけど、3、4、5じゃないですか。
日下部推進官
3はあるのですけれども、今回、統合するのに使わなかった資料が1つございまして、整理番号使っていまして、すみません。
伊藤委員
整理番号のときに揃えないとまずいのではないかと思います。
日下部推進官
すみません。
岩男会長
このプロジェクトの主査をされました佐藤先生、何か一言。
佐藤委員
既に説明されていただいていますが、1つは、今回の指標開発目的が、国なりそれぞれの都道府県が女性のチャレンジを進めていく、それを評価できるような指標をつくるということで、そういう意味で伸び率を見ているということで、絶対数字を見ているわけではなくて、伸び率が高くても水準が低いというようなことがありますので、その辺は見るときに注意していただきたい。これは両方入れてつくるのはなかなか難しいので、そういう意味では、今からどのぐらい改善してきているか。絶対数字はすごく低いけれども、ちょっと伸びるとすごく指数が上がるというのも出てきますので、その辺は指標のつくり方からしてやむを得ないということを御了解いただきたい。
 2つ目、NPOや各種団体、国際が落ちているということで、これはすごく大事な分野ではないかという御意見あるかと思うのですけれども、各種団体についていえば、男女共同参画局として、例えば日本弁護士会、医師会での女性の会員とか役員を調べたデータつくられているのですけれども、それはそれぞれ重要なデータなのですが、各種団体というもの、これが何かということもあるのですけれども、社会活動をする上で重要な組織で、その中で女性がどの程度役員や会員として参加しているかということだと思うんですけれども、今調べられている団体がいわゆる各種団体というものを定義したときに、代表するものであるかどうかということは結構難しいですね。ですから今調べているデータが意味がないという意味ではなくて、それのどれとどれを全部足せばいいのか、あるいはどれとどれをやればいいのかという点については非常に難しいということで今回見送ったわけです。例えば企業事業所統計調査の各種団体の役員をとるなんていうやり方もあり得ると思うんですね。ですので、ちょっと見送ったということです。
 それともう一つ、医師とか弁護士は、雇用の方の専門的技術的職業の中には入っているんですね。そちらではある程度専門職等についてはとれているという形で、これは議論していただくということはすごく大事かなと。
 あとNPOも、ホームページは都道府県、登録されて載っているのですけれども、これは集計されているものがないんですね。ですからここのどういう団体があるかということはある程度あるのですけれども、それを集計してというようなことは課題ですし、あと、活動メンバーは女性はもともと多いんですね。そうすると役員の方をとるか。そのデータはうまく集計データではなかなか出てこないということがあります。
 あと、国際ですけれども、これも地域間の比較ということで国際で何をとればいいか。国レベルではある程度とれるのですけれども、ただ、国際機関の日本から行っている女性とか、海外の大使館等々の女性、大使・公使、これは公務員の方には入っているんです。そういう意味でこれも結構難しい。議論はしたのですけれども、見送ったということであります。
 あと、2ページ、ウエイトです。各分野で、上へのチャレンジ、横、再チャレンジ、念頭に考えてとったのですが、十分とれているのは雇用分野だけです。そのときに全部同じウエイトで足し上げているんですね。もちろん誰かが重要だという議論もあるのですけれども、これを議論し始めるとまた大変だという形で、そういう意味ではウエイトをかけずに積み上げているというふうになっています。これも残された課題ではあります。
 あと、分野毎の女性の活躍の拡大と同時に共通部分がかなりあることがわかりましたので、大学進学率とか研究者、大学院、こういうものは共通という形で、そこへ取り出したというのは、多少今までのこういうものへの議論の仕方とは違って共通分野。あと、女性が子育てしながら、それぞれの地域で働き続ける。保育サービス等を共通環境として取り出したということが新しい枠組みです。それでいいかどうかということも、また御意見伺いながら改善できればということです。
 以上です。
岩男会長
ありがとうございました。今回は現在利用可能なデータを使われたということで、場合によっては、今後の指標づくりというか、今後に向けてどういう指標が必要なのかということを考えておくことも必要だと思います。例えば再チャレンジなどはいろいろと難しい指標だとは思いますけれども、しかし関心は非常に高いと思いますので、そういった新しい指標としてどういうものが必要なのかということを、むしろこちらでこういう指標をとられるところに働きかけて、今後とっていただくというようなことをするというのも1つだろうと思うんですね。
 それから、先ほども御説明ありましたように、社会のあらゆる分野の指導的地位に女性が2020年までに少なくとも30%にするという目標があるわけですけれども、例えば別添3で、そのサンプルというか、どういうところはこれを30%にするには想像を絶するような努力をしなければいけないということがこれでわかるわけで、そういったことも踏まえて、これから少し御議論いただければと思いますので、どうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。
坂本委員
こういうふうに見ていくのかという勉強になりました。それで、意見、感じたことなんですけれども、4ページ目の総合指数都道府県別の場合のところの最後の共通の4で、「地域子育て支援」で保育所の入所率が掲げられていて、ほとんどあまり変化がないというところなんですけど、保育所の入所率が果たして両立支援にどの程度見えてくるかというところは非常に重要だと思うんですね。ここで待機児のとらえ方というのが、申請書を出した人を対象にしていて、潜在的なニーズが必ずしも捉えきれていない数字をここに出すのは、若干このままでよろしいでしょうというような結論を導きだされるようで、現状を知っているところとしては、この数字が果たしてて適正かというところはもう少し見ていきたいと思っております。例えば保育所の入所対象になる年齢の子どもを母数として実際入っている子どもの数の推移を見るとか、データのことに関して専門的なことはわからないのですけれども、もう少しリアリティのある、まだまだ強化していかなくてはいけないという課題が浮き彫りになるような数字を出していただいた方がよりいいかなと感じました。
 それと地域子育て支援センターとか、つどいの広場、家庭において、再度再就職活動しようという人のエンパワーする拠点がここ数年整備されてきています。そのあたりも伸び率というところでは、今後、捉えることもできるし、増えてきているというところも捉えられるのではないかと思いました。出されている数値いろいろ見ますと、チャレンジ支援をした結果、こういう変化があったというものが非常にたくさんあってわかりやすいなと思うんですけれども、どういう支援か必要なのかというあたりももう少し見えるような指標が、なかなか難しいのでしょうけれども、出てくるとうれしいかなと思いました。
 以上です。
岩男会長
ほかにいかがでしょうか。辻村委員、どうぞ。
辻村委員
大変興味深い統計結果をお示しいただいたと思います。でもこれはあくまで伸び率ですので、伸び率が微増していれば、それをよしと見るのか、伸び率がまだまだ低いと読むのかというのは、これはそれぞれ分野によっても違うと思います。とりわけ私は11ページの研究分野について関心を持って見させていただきましたけれども、4年間で、例えば20%増えているというのは、スタート時点で女性比率が高ければそれなりに成果が出てくると思うのですが、スタートの時に極めて低い場合は、この伸び率ではとても間に合わないということがあります。例えば東北大学ではスタートのところが3%ぐらいだったものですから、5年たっても5%にしか増えていないとしたら、このまま国大協の目標である20%になるためには何年かかるか心配になります。そこで仮に計算をしましたら50年かかるという数字が出てきてしまって、これではとてもだめだという議論をしたことがあります。そこで、次の課題として、スタート地点が仮の目標値から見て大体どのぐらいの位置にあるのか。また、その目標にするまで何年かかるかという伸び率を考える必要があると思います。例えば国大協の目標である20%になるまでにはこの伸び率のままだと何年かかるかとか、あるいは30%という目標値に到達するまでには何年かかるかとか、勾配をどのぐらい上げないとだめか、というよう議論をするための資料を得ることは可能でございましょうか。
日下部推進官
そこは多分それぞれの指標についてどういう目標があるのかということにもなってくるので、むしろ今回の研究会からはちょっと出てしまうかなという気はしているんですけれども、指標毎の目標みたいのがあれば、もちろんそういった計算はできることはできると思うんですけれども。
岩男会長
2020年までに30%という目標があるわけですから、指導的立場にいる女性、社会のあらゆる分野、ですから一応そういうシミュレーションをやってみて、そこに行くにはどういう急勾配があって越さなければいけないか、どういう努力が必要かということはやってみる価値は私はあるというか、作業として必要になるのではないか。そうするといろんなものが明確になって、何年でどのくらいにしなければいけないかという途中の計画を立てやすくなるというメリットもあるのではないかと思うんですけど。
佐藤委員
基本的には何を目的にしてつくるかによってつくり方は違ってくると思いますので、今回は取組を評価するという形でつくっています。ただ、それでも、これはストックの比率の変化なんですけれども、フローで毎年、例えば大学の教員になって、新規に採用された人の中での女性比率をどう見るかというのはつくり方としてあり得ると思います。ただ、そういうデータはなかなかつくりにくいんですね。
住田委員
感想も込めて。非常にわかりやすかったと思います。全体として、バラツキのあるものが多いのに、バラツキがないのが2つあります。1つが保育所の入所率ともう一つ雇用分野で伸び率。女性が働く立場はそれほど強くなってない。しかも余り見通しも明るくないなというような印象を受けました。
 女性の場合、就業年数そして正社員の比率が今低くなってきている。これは幹部候補生になりがたいということで、ゆゆしき問題だと思っています。そのあたり、もし統計がとれるならばお願いしたい。女性の潜在的な失業率というのも、結局保育所の入所率の裏腹の問題として依然としてあると思います。これも統計、これはとりにくいのかもしれませんが、私は興味を持っております。もう一つ興味を持っているのは、ここに入れるかどうかはふさわしくないかもしれませんが、女性が安心して働けるような立場にあるときにDVの被害者でないということが非常に重要だと思っているんです。犯罪の被害者として、殺人とか性的な犯罪である強姦とか、そういうものの女性の被害者の比率が治安の裏腹の問題でもあるし、女性の地位のあらわれでもあるそれらが司法統計からとれるものがあれば、参考的に見せていただければと思います。
岩男会長
ある意味では、チャレンジをしようとする女性の足を引っ張るというか、その意欲を阻害するようなマイナスの指標というようなもので重要なものをまた別にとるというようなことだと思うんですね。
 それから、これは統合指標ですけれども、共通部分が非常に大きいということもあるのですが、できれば、上へのチャレンジ、横へのチャレンジ、再チャレンジというような、また、細分化した統合指標みたいなものをつくっていただけると非常いいのではないか。
伊藤委員
こういうのをつくっていただくと各セクションが一生懸命になってインセンティブが高まるのではないかと思うので、すごくいいと思うんです。各種団体なんですけれども、資料4-2の4ページのところは、各種団体取組で、連合、日生協とIOCが入っているんですね。恐らくこれは特定団体ではまずいということで排除されたのだと思いますけれども、例えば労働組合についても、日本の場合、三大労組、二大労組か三大労組かわかりませんけれども、それであればやれるのではないかと思いますし、これは日生協の場合は生活協同組合ですけれども、いわゆる協同組合連合みたいな形での枠でとれば、これもとれないことはないのかなというふうに思ったりもします。特に労働組合の場合、雇用の分野の問題と裏腹だと思うんですね。労働組合がこの問題に鈍感だという状況が雇用の分野の改革を妨げているというか、十分に進んでいないということに関係しているのではないかと思います。例えばその辺のところを指標化するということも考えたらいいのではないかと思うんですけれども。
佐藤委員
実は各種団体全体を示すと考えたときに、何と何と何をとればということなんですね。たしか医師会とかそういうのも全部とっているのですけれども、どれをとれば、連合を入れるというのは労働分野で入れるといいと思うんですけれども、ほか何をとればいいのかということなのです。それだけなんですね。それが今共同参画局で20ぐらい集めていますか。忘れましたけれども、いくつかの団体をとっているのですけれども、それを全部足せばいいのかというと、なぜがこれが入らないのだといったときに説明ができるということが結構大事で、それだけの話なんです。
河野委員
佐藤先生大変だったと思うんですけれども、失礼かもしれませんけれども、これからこれがすごく大きなたたき台となってどんどん進化するのがとても楽しみで、いい指標ありがとうございます。私も感想一言なんですが、先ほど岩男会長おっしゃっていたいくつかの分野でとおっしゃる中で、特に情報がないのが再チャレンジだと思っていまして、ほかの会議でも発言させていただいたかもしれないのですけれども、企業内で、例えば新卒採用のときに、ということになると、出口でも入口でも情報としてとれるのですけれども、例えば正社員で30代、40代の方がどこか企業に入ると、これすら非常にレアですけれども、そういうことの集計が企業側もできないんですね。実態を申し上げると、例えば30代、40代ですと求人が行われまして、そこに一般的にいうキャリア転職とか、中途採用という形で、男女関係なく、子どもがいる、いないは全く関係なく30代、40代に募集がかかります。そこで動いてくるのは、例えば人材紹介の企業が動いてきたり、ヘッドハンターが動いたりしますので、よほど優秀な人でないと、人材紹介の手数料が発生し、お金も動きますので淘汰されてしまうというのが実情で、そこにずっとお子様を10年くらい育てて、さあ、再チャレンジというと、正直非常に厳しいというのが実態です。そこをどのようにサポートするのかということも必要なのですが、逆にそこをうまく採用して教育しながら育ててくれているもし団体や企業があったらば、そこがちゃんと見えるような何か評価指標というか、そういうものができたらいいなというふうに感じました。
 多分、今が再チャレンジの方々が一番困っているときで、これから先々は、続けるか、またはやめるかの選択が行われた世代になるのですけど、ちょうど30代、40代はもう基本的にはやめていた世代なので、何かその人たちに対してもメッセージとして送れるような何か情報が出てくるといいなと感じました。
 以上です。
佐藤委員
岩男会長からもそれぞれの分野、上、横、再チャレンジと分けてということのお話だったんですけれども、16年度のプロジェクトがあって、そのときは分野毎に、かつ、上、横というので、一時点も含めてどういうデータがあるかというのは一応見ているんですね。ですから、そこに例えば募集のときの年齢制限などがどうなっているのかとか、そういうのは一応見ています。一時点のものしかないとか、あるいは地域ごととれないとか。
日下部推進官
どういう形にしようか、今考えているところなんですけれども。
佐藤委員
こういうこともやっていますので、あとは一応網羅的には見ていますので、それも見ていただければいいかなと思います。
河野委員
雇用で、例えばお子様がいらっしゃった女性が正社員として採用されたというデータはないだろうと思いますけれども。
佐藤委員
就業雇用統計調査を再分析すればつくれるかもしれない。加工するとできるデータとか、こういうデータをつくった方がいいというようなことも多少は議論しました。ただ、一応公表されているデータは難しいかと思います。
五條委員
都道府県段階の行政がこのデータを踏まえて施策を一層進めないといけないという認識を持つように促すことが非常に大事だと思います。そのときに政策的に新たに進めようとしている課題をどういうふうに加味していくかということが大事なことではないかと思うんです。この指標を前提にすると、例えば2000年から時系列でとれるものが前提ということになるわけでありますけれども、例えばの例ですけれども、農林水産業の例でいえば、ここ2年ぐらいの中で特に新たな指標として重要視しているものとして、認定農業者の女性の認定、とりわけ夫婦で共同申請できるようになったわけですが、例えば都道府県行政がそこの部分をもっと進めようという意識を持つように促すためにはこうした指標に出てくるということが効果的であるわけですが、2000年からデータがあるものが前提ということになると、やや以前からベースがあって、データがあるものだけということになってくるわけですが、政策課題として、今進めようというものをどういうふうに加味して都道府県行政に刺激を与えるか、その部分が大事ではないかと感じております。ですから途中からでも新たな指標をデータとして加味していく方法ができるのかどうか。農林水産業でいえば、例えば、先ほど申し上げた認定農業者のことだとか、それから漁業では、私、最近漁業の方の共同参画の問題ももっと問題意識を持って頑張ろうと思って漁家女性の現地調査をした中で、各都道府県認定の指導漁業士という、これについての女性の認定というのが非常に大事な課題だというふうに認識し始めたのですね。そういう新たに加えるべきと考える指標をどう扱うかということが1点目です。
 すいません、もう一点ですが、それぞれの分野で1つの指標ではなくて、2つぐらいの指標が非常に重層的に絡み合っている場合があります。例えばの例ですが、農林水産業では、農協の役員という指標がこのデータに出て来ているわけですが、農協の正組合員に占める女性の比率をどう向上させるかということも非常に大事で、農協の正組合員に占める女性の比率が高まって、組織基盤の中での女性の発言力が高まって、結果的に農協の女性の役員を増やしているのかどうかといった検証が重要であり、1つの指標を見る場合に、それと非常に因果関係の深いものを充てて、それで関連性を見ながら動向を把握していくべき場合があると考えます。そういうような1つの指標をめぐって非常に因果関係の深いものをどういうふうに拾っていくかということも各分野で少し議論を深めていく必要があるのではないか、そんなふうに感じております。
岩男会長
2000年からデータが揃っているということが望ましいわけですけれども、それは全てにおいてそれが可能であるわけではないわけですし、先生が今御指摘になったように、新たに拾うべきもの、あるいは新たにこちらが希望してとっていただくものとか、ですから、そういうことを考えると、必ずしも2000年からある必要は私はないと思うんですね。これからいい指標がいろいろと出てくることの方がより望ましいと思うので、ただ、これはいつからというようなことがはっきりとわかるような形にして処理をするということは可能だと思いますので、その問題は、私はあまり深刻な問題だというふうには思っていないんですけれども。
五條委員
私が申し上げたかった目的は、政策課題として今進めないといけないと。そういうものに刺激になるような指標としての要素を含む必要があって、そのときに1つの例として、先ほどの農林水産業でいえば、認定農業者比率ということが挙げられるのではないか、そのことを申し上げたいと思いました。
岩男会長
そうですね。これを見て、どういう政策をどのくらい頑張らなければいけないのかという、そこが明示的にわかるようなものということが非常に大事で重要な御指摘だと思うんです。それから、各都道府県別の比較は、これは各都道府県にお知らせになるわけですよね。積極的に強く広く。
日下部推進官
最終的な姿としては、これだとまだバックデータも付いてないので、バックデータも付けて、正式的な統計名なども付けた参考資料も後ろに付けた形でつくりたいと思っています。
鹿嶋委員
大変おもしろいので、今後、何年毎にこの調査やるのかわかりませんけれども、略称といますか、日本版GEM(genderempowermentmeasure)でいいのか、そういうような呼称が必要なのかなという感じもしています。GEM、算出方法が全く違うので、その中から統合指標のレーダーチャートありますけれども、いくつか数字をピックアップして、各都道府県別のGEM、ランキングすると嫌がるところもあるでしょうが、やはり地方に返していかないと、今も議論になりましたが、意味がないと思うんですね。だからぜひ呼称を付けていただきたいのと、我々でみんな考えてもいいのですけれども、地域にフィードバックして、それを1つの材料として、ウイークポイントを補強していく、そういうような自主的な作業、呼称さえあれば、新聞・報道も結構取り上げやすくなると思うので、そういうふうな作業が必要かなと思います。
岩男会長
すいません、呼称については「チャレンジ支援」というのが、ここは元祖チャレンジ支援であったはずなんですけれども、最近いろんなところで取り上げられ、使われるようになっておりますので、これには若干こだわった方がいいのではないかと思います。
鹿嶋委員
元祖と入れますか。
室伏委員
大変興味深いデータをまとめていただいたと思います。1つ私思いましたのは、こういう全体をまとめたデータの中で埋没しまうようなことがあると思うんですね。ですから、例えば、ある地域で非常にすばらしい試みをしていて、そこでの絶対数なり、伸び率なり、あるいは施策の非常に優れた部分とかということが調査の中で浮かび上がってくることがあると思いますので、各地域にモデルになるようなそういったものがありましたら、ぜひハイライトを当てていただいて、地域に数字を戻すときに、こういうことをやっているところがありますよということを具体的な形で示していただけると、それぞれがこれからの自分たちのやり方を考える上でも非常に役に立つと思いますので、そういったこともやっていただければと思います。
伊藤委員
五條委員のお話と関連するのですけど、家族経営協定の数にかなり敏感になっている自治体もあると思うんです。入れてもよかったのかなという気がするんですけれども。
佐藤委員
議論をしたんですけれども、たしか数がそれほど多くないんです。
伊藤委員
少ないですね。
佐藤委員
何かの理由で外したのだと思います。
伊藤委員
一部の、たしか長崎県かなんかの、男女共同参画の指標として、家族経営協定数を目標値決めて動いているような都道府県もあったかのように記憶しているんですけれども、例えば、そういうところに刺激になるようなというのもあってもいいかなと思ってちょっとお聞きしたのですけれども。
桜井委員
とても興味深く拝見させていただきました。再チャレンジという場合には、雇う側からとっても、雇われる個人の側からとっても非常に難しいというのは、以前、横浜で再就職の女性の調査をしたことがあるのですけれども、大変難しかったので、全国で見るのはとても難しいのだろうと思うんです。しかし政策的に言えば、一たん家庭に入って子育てした女性が再び働いて自立するということが政策的には一番大きいのではないかと思うんですね。私たちはこういう言い方しているんですが、「収入向上プロジェクト」と言っているんですけれども、収入が上がらなければどうしようもないというところが、1つの考え方としてあると思うんです。ですから、もう少し収入というか、3ページの雇用-5ですけれども、「きまって支給する現金給付額の男女格差」ではなくて、女性の収入というところをストレートにそのままとっていただいて、そこが伸びていくかどうか、都道府県毎に。そこの伸び率の方がわかりやすいかなというふうに1つ思ったのと、それから、住田委員が御指摘したところと重なるのですけれども、DVの被害を受けて母子家庭になる方たちがすごく増えています。やはり母子家庭の収入というのが、大体世帯収入の200万未満というふうに言われていますが、そこはとることができると思いますので、それの都道府県別に母子家庭がどのぐらいの収入を持っているのかというところがもう1つの指標になるかなという、そこをもう少し、今、再就職支援といった場合に、母子家庭の参加者がすごく増えているんですね。普通に再就職講座をやっても母子家庭の方たちが増えていますので、そこのところが1つ指標になるかなと思いましたのと、それから、どなたかおっしゃった正社員とパートの比率ですね。そこのところが正社員が少しずつ増えていくとか、そういったところが重層的に見ることによってチャレンジ支援が功を奏したということになるかなと思いました。
 それと裏腹といいますか、第1子を産んだ女性の7割が退職しているということをこの間、チャレンジ支援の基礎データとして伺っておりますが、そこの都道府県版というか、そこが7割が6割5分になって、6割になってということで、継続就業支援が増えていくということも、これはまた1つ政策的には大事なことですので、そこのところも指標としてとれるかなというふうに思いました。
 あとは、地域の子育て支援のところで、保育所の入所率というのは、このデータは横浜でいうと、全く現実とは違うので、ちょっと100%でずっということですと、坂本さんおっしゃったように実感とずれるかななんて思いまして、とり方が難しいのだろうなとすごく思いました。保育所と同時に学童保育の問題もすごく難しくて、学童にどれだけ入れているのかというところで、お母さんたちが働こうかどうしようかというところを考える選択の1つになりますので、保育所と一緒に学童保育もとっていただければなと思いました。
 それから、もう一つ、長くなってすいません。地域のところなんですけれども、NPOをとりにくいとおっしゃった。それは本当にそのとおりだと思うんですが、地域のNPOが法人格取るときに、都道府県に申請しますよね。そのときにどの分野で自分のところは申請するかというのがあるのですが、そこに男女共同参画というのがあるんですね。例えば、第1優先順位として男女共同参画を挙げたところ、第2優先順位として男女共同参画を挙げたところをとっていくということは可能だと思うんですね。あと、子どもとか人権とかという分野もあるのですけれども、そこは子どもといっても、例えば男性が多くて、ニートとか、ひきこもり、不登校とかというテーマをやっているところがあるので、そこが必ずしも女性の分野でいけるとは思わないのですが、少なくとも男女共同参画という分野を挙げたところについては、これは非常に挙げるところ少ないんです。多分最下位ぐらいじゃないかと思うんですけど、十いくつの分野の中で。でも必ず各都道府県でとっていますから、それはどうかと思ったんだけど。
佐藤委員
いくつかいいですか。
岩男会長
どうぞ。
佐藤委員
家族経営協定とかそれぞれの数字を全国なり都道府県でとるのはいいんですね。問題は、今回は統合指標なんですよね。雇用分野全体としてというのがねらいなので、いくつもとるのは大事だと思うんです、各種団体も含めて。例えば、雇用分野全体としてどうかというのが、それを測定する指標をつくれということですから、途中で指標が変わるのはまずいんですよ。趣旨からするとそれはだめなんですね。ですから、もちろん個別分野の指標としてとるのは否定しないです。
 NPOも別に男女共同参画だけのNPOでなくて、NPOが女性の活躍の場として広がってきているかということをとるので、分野を限定するのは趣旨には合わないんですね。
桜井委員
そうなんだけど、ほかにないだろうというふうに思っちゃう、すいません。
佐藤委員
皆さん言われるところはどれも間違っていないですけれども、今回あくまで統合指標をつくるということで、かつチャレンジというのを議論始めた2000年ぐらいからどうかということを見たいということで選んだということですので、その辺、御理解いただければと思います。
北村委員
私、伺っていて本当に御苦労なさった調査で、なおかつ結果がおもしろいなというふうに拝見いたしました。ただ、思うのですけれども、こういう数字というのは非常にひとり歩きしやすいところがありますよね、わかりやすいばかりに。でも、例えば各県によって経済状況であるとか、言ってみれば、男女共同参画の成熟度というのはかなり違うと思いますので、2000年の出発時点でのレベル、さっき先生もおっしゃっていましたけれども、かなり違うと。そうすると、例えばこの数字を見て、私なんか中京あたりの雇用率は結構高いのだろうと思うんだけれども、例えば不況風が吹いていると言われている東北北部なんかに比べてかなり低かったりとか、これは雇用率じゃなくて伸び率だから。
 そういうことを考えると、何かの方法で、各県が、今、男女共同参画の成熟度において、どのレベルに達していて走り出しているのだということを、この表を見た方にわかっていただくべくちょっと偏差をつけておかないと、逆に結構数字が高いところは、これでいいというふうになってしまっても惜しい気がする。そこのところの何ていうのでしょうか、技術的にはどうだかわかりませんけれども、何かあったらというふうに思いました。
佐藤委員
6ページ見ていただければ、全国と都道府県のはちょっと違いまして、都道府県の場合、1としているのは、全都道府県の計が1になっているんです。ですので、トレンドだけでなくて都道府県間比較もできます。つまり2000年の全国都道府県計が1です。ですから、全体で比べてその県が低いか、高いかというのはわかります。1より低いというのは、2000年の全国都道府県計よりも低い。そこを出発点としては伸び率が出てきます。
 もう一つ、大事なのは、その前のページの全国計とは数字が違います。データが違いますから。都道府県でとれるデータの積み上げた全国計を1として、それを見ていますので、都道府県のデータは横に比較できます。もちろん水準は全国のところの1の数字が何かと見ていただかなければいけないのですけど、一応横比較はできるようになっています。
岩男会長
それでは、久保委員お願いします。
久保委員
先ほど地域のところで、地方議会しか指標がとれなかったというお話ですけれども、地方議会がとれたのであれば、なぜ国会がとれないのかなと。国会は衆議院と参議院に比例代表がありますが、衆議院は小選挙区、参議院は選挙区ということで、それぞれの地域といいましょうか、都道府県単位というか、そこから選出されています。ですから比例代表を除いた選挙区、小選挙区選出議員については、都道府県単位のデータがとれるのではないかと。これは記念会でも調査したことがあるのですけれども、過去60年間、全然女性の国会議員が出てない県がまだ多いわけですから、県のバラツキがあるから統合しにくいというふうな検討の結果で指標をおとりにならなかったのかもしれないのですが、その点は如何かと思ったことが一点。それから、さっき因果関係からというお話がありましたが、例えば町議会などは無所属が約60%と一番多いわけですけれども、政党所属の議員も当然あるわけでありまして、その政党がどういう働きかけをするかによって女性議員が増えるか、増えないかという大きなかぎを握っていると思うのですね。ですから各党の都道府県別の女性党員と女性議員の割合といいましょうか、そういった指標もとって、ひとつ反映されたらいかがかなと思いました。
佐藤委員
多分これ前と違うのかもわからないんですけれども、地域として政治はないんですね。つまり国の政治というのは項目としてないのです。これは地方議会とっているんですけれども、政治でとっているのではなくて地域でとっているんですね。もともとの区分分野はそういうふうにつくられていて、我々はそれをベースにしてつくっていますから、もともと政治というのはどこにも基本的にはないのです。もちろんそれが必要だということであれば検討しますけれども、もともとの枠組みに国レベルの政治というのがないのですね。
久保委員
そうですか。これまでの検討の積み重ねがすぽっと抜けているものですから、失礼いたしました、それでしたら結構です。
佐藤委員
岩男先生がつくられたものです。我々はそれをベースにしてつくったという。
岩男会長
いろいろ議論もいたしましたのですけれども、問題があってということです。
 それでは、大変興味深いデータで、皆様から大変活発な、また示唆に富んだ御意見をたくさんいただきました。まだ御発言いただいてない寺尾委員、何か御発言ありますか。
寺尾委員
いいえ。
岩男会長
それから、申し上げておかなければいけないのは、この資料3にも書いてございますけれども、本資料につきましては、まだ公表前でございますので、委員限りということで扱いに御注意いただきたいと思います。
 それでは、続きまして、資料4の「女性のチャレンジ支援策」等について、事務局から御説明をお願いいたします。
 

(パワーポイント映写)

頼本企画官
それでは、資料4の方でございますけれども、パワーポイントと、あとビデオ等も用意させていただきましたので、そちらに基づいて、時間もございませんので、ちょっと駆け足ぎみになるかと思いますけれども、御説明をさせていただきたいと思います。今回このような形でチャレンジ支援の全体の経緯、あるいは行っている事業の全体について御説明させていただくのは多分初めてだと存じますので、よろしくお願いいたします。
 ◎「女性のチャレンジ推進策」について(これまでの経緯)
 1枚目のパワーポイントでございますけれども、そもそもチャレンジ支援の始まりは、平成14年1月に参画会議において小泉総理から、「暮らしの構造改革」の一環として、チャレンジを促進することについて指示があったというところから始まっております。
 これを受けまして、まさに当専門調査会におきまして、1年間ほどかけて調査を審議いただきまして、15年3月に各分野の支援策の方向などを「チャレンジ支援策」の提言として取りまとめていただいたところでございます。そこで、「上」、「横」、「再チャレンジ」、たびたび出てまいりますけれども、この3つのチャレンジを目指すということが提言されたわけでございます。
 そのことが参画会議に提言として報告されまして、更にこの提言のうちの最も重要な部分が15年6月の推進本部決定ということで、一番下のところでございますが、決定をされております。そこで積極的改善措置ということで、2020・30が推進本部として決定されたということと、2つ目として、チャレンジ支援のネットワークの重要性について提言がされたということでございます。
 これらの提言決定等を受けまして、更に具体化が進みまして、15年4月からは、チャレンジ支援ネットワーク検討会、北村先生に座長をお願いをいたしました会議でございますけれども、ここでチャレンジ支援のネットワークについてより具体的な在り方について検討がされまして報告書を取りまとめました。
 更にそれを受けて、16年4月からはチャレンジ支援推進事業企画委員会、こちらの方は鹿嶋先生に座長をお願いをしてございますけれども、ネットワーク検討会の報告書に基づきますモデル事業等を実施した際の助言・評価機関としてお願いをしておるところでございます。
 更に、平成17年の12月、昨年の12月ですけれども、27日に男女共同参画基本計画第2次が閣議決定されたところでございますけれども、この中で初めて女性のチャレンジ支援について位置付けておるところでございます。ここでは推進体制のところにおきます記述、ずっとございますけれども、暮らしの構造改革の実現のためのネットワーク化、ワンストップ・サービス化、身近なチャレンジモデルの提示。それから一番下の行に、実態を把握するための指標の開発と普及を行うと、これが先ほどの議題の件でございました。
 基本計画にはそのほかにももちろん2020・30ですとか、再チャレンジ、それから理工系への女性の参画といったこともそれぞれの分野において記述がされておるところでございます。
 それから、これも先ほどからお話の出ております再チャレンジにつきまして、女性の再チャレンジ支援策検討会議が官房長官主宰で開かれておりましたけれども、これも昨年の12月26日に女性の再チャレンジ支援プランが策定されたところでございます。
 ◎内閣府における「チャレンジ支援推進事業」
 以上が大変駆け足で恐縮ですが、経緯でございまして、ここからが内閣府におきます「チャレンジ推進事業」、どのようなことをやっているかということの概略でございます。平成16年度から事業が始まってございますけれども、まず、始めましたのが、地域におけるチャレンジ・ネットワーク環境整備推進事業ということで、16年度、17年度に行ったものでございます。これはチャレンジ支援に関する情報を効率的に入手ができ、そして個人のニーズに応じたアドバイス等の支援を行うことができると、そういった環境整備を行う推進体制につきまして実践的なモデル事業を行おうというものでございます。詳しくはパンフレットの5ページ目から8ページ目、これは後ほどご覧いただければと存じますけれども、16年度につきましては4府県、17年度につきましては6県にお願いして実施をしているところでございます。
 それからチャレンジ・サイトでございますが、内閣府のホームページに平成16年4月から運用開始ということで、どういう画面かというのはパンフレットの9ページに載せておるところでございます。それから、チャレンジ賞の創設ということで、これもパンフレットの方に受賞者の方々等を掲載させていただいているところでございます。
 それから、17年度でございますけれども、17年度になりますと、若者自立・挑戦のためのアクションプランの一環といたしましてチャレンジが登場してまいりまして、ここでは女子高校生理工系キャンペーン事業、ジョブカフェ連携研修等事業、女性若年層向けセミナーといった事業を行うようになってきています。
 それから、右の方にありますが、女性のチャレンジ支援アドバイザー等研修事業、これはNWECと連携をいたしまして、男女共同参画センターの職員の方々あるいは男女共同参画の地方自治体の職員の方々でチャレンジ支援の相談や支援の企画立案等を行う方々に対して、その企画立案能力について研修をいただくというものでNWECと協力して行いましたものでございます。
 ◎若者の自立・挑戦のためのアクションプランの一環として
 「女性のチャレンジ支援策」の推進~女性若年層就業促進のための普及啓発~
 それで、若者の自立・挑戦のためのアクションプランの一環としての先ほどの事業についてより詳しく書いたものが、こちらのパワーポイントでございますけれども、1つは、女性生徒向けキャンペーンとして、インターネットWebサイトで情報を提供いたしましたり、また、教員や高校生向けにシンポジウムやセミナーを行って、ブースなどを設けたりとか、そういったことをいたしております。大変これらのシンポジウムやブースには人が集まりまして盛況でございまして、これについては引き続き行ってまいりたいと思っておりますけれども、18年度以降につきましては、地方自治体に対して委嘱をして同様のセミナー等を地方に広げていただきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、右側が、女性若年層向けセミナー開催事業でございますけれども、こちらは、17年度は神奈川県と兵庫県にお願いして実施をしておりまして、女性の就業講座とか出張講座などの取組をいただいております。
 それから、3番目に、ジョブカフェとの連携による研修等の開催事業でございますけれども、ジョブカフェと男女共同参画センターなどが連携をいたしまして、就業支援研修ということで、13地域に委嘱をいたしております。この中で就労スキル、男女共同参画の視点などからの講師派遣等を行っているところでございます。
 ここはキャンペーンサイトの画面でございます。
 これはキャンペーンのシンポジウムに関しますテーマ等を書いてございます。ここら辺は飛ばさせていただきたいと思います。
 これが女子高生チャレンジキャンペーンにブースを出したときの様子でございます。
 あと参加アンケートなどございますけれども、大体非常に参考になったという御意見が多くなっています。
 ◎女性の再チャレンジ支援プラン(概要)
 更に、18年度からの取組でございますけれども、女性の再チャレンジ支援プランが昨年末に決定されたことを受けまして、それぞれの予算を各省庁持ち寄って実施していこうということでございまして、非常に予算も増加しております。
 その18年度の一番下のところですが、内閣府としては、女性の再チャレンジ支援地域モデル事業、これを新たに始めます。これにつきましては、配布資料で、記者発表資料を添付させていただいております。これは後ほどご覧いただければと存じます。
 それから、女性再チャレンジ支援のポータルサイトを設けたり、あるいは女性のライフプランニングを支援していくといったような内容でございます。
 ◎それから、もう一つ、これは17年度からやっているものでございますけれども、地域活性化事例研究事業ということで、17年度は3地域にお願いをしまして、女性がまちづくりを主体的に行っていく元気な女性たちの事例についてビデオをつくりまして、それを各地に発信をしていくという事業を開始しておるところでございます。具体的には滋賀県栗東市の事例と京都府舞鶴市の事例と熊本の宇城市の事例ということでございます。
 こちらにつきましては、十数分間ぐらい、滋賀県の事例についてビデオを流させていただきたいと存じます。
 説明が大変駆け足で恐縮でございました。
 

(ビデオ映写)

頼本企画官
以上です。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、今後の女性のチャレンジ支援をどのように進めていったらいいかというような点につきまして、何か御意見がございましたら、残りの時間、10分足らずですけれども、御発言をいただきたいと思います。
辻村委員
今後、30%にするという目標に向かって、どういう範囲が指導的地位の女性なのかということは、この調査会でも議論されると思いますけれども、やはりどのようにすればいいかということで、ポジティブアクションなどについて少し具体的な内容を指し示していくということが重要だと思います。先ほど伸び率がどうかという発言をしたのですけれども、伸び率を上げるためにはポジティブアクションを推進しなくてはいけないのですが、どこまでできるのかとか、何が必要なのかというようなモデルケースというのでしょうか、そういったことの検討というのは、ポジティブアクション研究会で分野別に一応されたところですけれども、それを具体的に示していくということは必要ではないかと感じております。
岩男会長
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、寺尾委員。
寺尾委員
遅れて来たので、過ぎてしまったことかもしれないんですけれども、男女共同参画推進関係予算額分野別内訳表という資料を見ていて、少しいろいろ考えたのですが、防衛庁の新というところに、「護衛艦の練習艦への改造」というのはどうしてそうなるのかなというところから見始めたのですけれども、「多用途支援艦の建造」とか、これ女性をトレーニングするためにこういうのが必要という、こういうことなのか。これの1枚目です。
伊藤委員
トイレとか更衣室が増えるんじゃないですか、違うんですか。
寺尾委員
改造はわかるんですが、「多用途支援艦の建造」というのがわからないですね。
岩男会長
1枚目ですね。
寺尾委員
1枚目の、はい。
岩男会長
これ何か御説明がございますか。
新木総務課長
これはいずれも今お話がありましたように、女性の乗り込みのための必要な措置を施したり、あるいはそういうものをつくったりということでございます。防衛庁のいろんなそういう機器につきましては、男性しか乗れないというようなものが結構ございまして、それに対して女性の進出ということで、こういうものを一応。
寺尾委員
ここはわかったんですが、護衛艦を練習艦に改造すると、何で男女共同参画に推進するのか、多用途支援艦を建造すると何のかというのがちょっとわからなかったのです。なんですけれど、ほかのところの省庁が出しておられる支援費とか援助費とか何とか費というのは、それを具体的に何するのかは書いてないですよね。そうすると、防衛庁の方がむしろわかりやすいんです、ある意味で。それを見ながら思ったんですけれども、せっかくお金を使うのであれば、それが効果的なところに一番お金が使われることが大事ですよね。こういうソフトのようなものをつくるにしても、そうすると役に立っているということについてのフィードバックみたいなもの、つまり同じお金を使うのだったらこう使ってほしいみたいな声が出てき得るのだと思うのですが、それを敏感に吸収してフィードバックした新しいことを考えていくようなことをするのがいいと思うんですね。何とか費、何とか費でこうやって講習して何とかしましたというのも、それが非常に有益な場合と、ただ、お金を取ってきてやる場合とがあると思うんですね。ですので、その辺のエバリュエーションいうか、コストベネフィットアナリシスというのですか、最近のあれで言うと、それを組み込んでいくことが大事かなと思いました。
岩男会長
基本計画にいろんな項目が出ているわけですけれども、それを予算と具体的に関係づけて、その結果、こういう予算がついた結果、どこまである、例えば留意すべき事項が進んだかというようなフィードバックがあり、更にまた注文をつけていくというような、そういう相互作用が必要だという御意見なんだと思うんですね。確かに非常に大事な点だと思います。今までは予算の御説明があると、一応そこで完結したような形になって、つまりこれは18年度の予算は決まってしまったというようなことですけれども、次年度に向けてという、将来に向けての視点が当然必要になるという大事な点だと思うんですね。どうぞ、坂本委員。
坂本委員
資料4-3の「女性の『再チャレンジ支援地域モデル事業』について」というペーパーの中に、今年度このモデル事業を実施されるところが載っているのですけれども、この3枚目の千葉県のところの実施される拠点が、「(仮称)子育てお母さん再就職支援センター」となっているんですけれども、これはどういうことなのか、もう少し情報を教えていただきたいのですけれど。
定塚推進課長
こちらは、千葉県でこの事業のために新しく千葉県の担当部局の方で新設をするというふうに伺っております。千葉市の美浜区につくられるということでございます。
岩男会長
ほかに何か、どうぞ、室伏委員。
室伏委員
チャレンジ支援について、いろいろと考えてくださって、ありがとうございます。すばらしく進んでいくだろうと期待しておりますが、まだ、これだけのことを政府がやっているということが皆様にわかっていただいていないということがあります。せっかくの事業ですから、津々浦々までぜひ広報していただきたいと思っております。
岩男会長
私は広報が特に必要だというふうに思って、さっき広報関係予算が少し減った、わずかであっても残念だなというふうに思っていたのですけれども、ぜひよろしくお願いをいたします。どうぞ、桜井委員。
桜井委員
18年度のモデル事業についてなんですけれども、これは効果測定というのはどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
定塚推進課長
特に18年度の再チャレンジ支援地域モデル事業等につきましては、当初各県の方からどういった効果を予定しているかという数値も出していただいています。例えば、この事業によって何人再就職とかという数値も出していただいています。そういった数値も含めて効果を最終的に把握したいというふうに思っております。
桜井委員
それは、私たちに教えていただいて、そうすると、この次やるところがすごく参考になるのではないかと思いますので、とてもいい試み……
定塚推進課長
そうしたことにつきましては、実は別途、こうしたチャレンジの事業を推進する際の企画委員会ということで、鹿嶋先生が委員長でやっていただいているところもありまして、そちらで具体的に事業の内容を聞いているのですが、こちらの専門調査会にも御報告をきちんとさせていただきたいと思います。
桜井委員
お願いします。
北村委員
今回のこの文書には直接関係ないかもしれませんけれども、今、厚労省の労働政策審議会の方で進められている中間管理職へ移行する段階での裁量労働制の問題がありますよね。あらゆる分野での指導的立場に女性が入っていく、企業の中でプロモーションしていく上で新しくまたハードルができるわけです。多分週40時間にかかわらず裁量労働をしなさい。それをクリアーしたらプロモーションがあるよという設定は、それをクリアーさえすれば、女性、男性関係なくという意味ではプラスの意味があると思いますが、ちょうどその年代の人たち、30から40代にかけてということだと一番家庭運営の大変な時期だという気がするんですね。ハードルになるか、バスコンティになるかという非常に難しいところだと思うんですけれども、そういう次の直接関係ないように見える施策についても、女性が次のステージに上がっていくための、何というんですか、ゲートとして、法的対象措置と言ったらおかしいかもしれませんけれども、共同参画の視点から常にウォッチしていて、こういったチャレンジ支援、これを再チャレンジと言った方がいいかどうかわかりませんけれども、前もって手当てするといいましょうか、そういう考え方を、私も具体的にそういうのはどうしたらいいかよくわからないのですが、今度労働法の改正についてはちょっと心配しておりますので、考えていただきたいと思います。
岩男会長
よろしゅうございますか。
 それでは、ちょうど時間にもなりましたので、本日、第27回の会合を終了したいと思います。どうも活発な御意見をありがとうございました。

(以上)