男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成15年2月24日(月) 13:30~16:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
    委員
    伊藤 公雄 大阪大学教授
    北村 節子 読売新聞社調査研究本部主任研究員
    住田 裕子 弁護士
    高橋 和之 東京大学教授
    寺尾 美子 東京大学教授
    樋口 恵子 東京家政大学教授
    古橋 源六郎 (財)ソルトサイエンス研究財団理事長
    山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「女性のチャレンジ支援について」(最終報告素案)
  3. 閉会

(配布資料)

資料1
外務省説明資料 [PDF形式:1260KB] 別ウインドウで開きます
岩男会長
ただいまから男女共同参画会議基本問題専門調査会の第21回会合を開催します。大変お忙しくまたお天気の悪い中、お越しいただきましてありがとうございます。
 本日は、前回の専門調査会の御意見を踏まえて、国際分野における女性のチャレンジ支援として、外務省国際機関人事センターの伊藤所長においでいただいておりますので、伊藤所長から国際分野における女性のチャレンジ支援として、特に国際機関の法人職員増強について御報告いただきたいと思います。その後で、最終報告の取りまとめに向けて御議論をお願いしたいと思います。それでは、まず伊藤所長から国際機関の法人職員増強について御説明をお願いいたします。
伊藤所長
外務省国際機関人事センターの伊藤です。どうぞよろしくお願いいたします。私から国際機関における女性職員ということで、特に法人職員の関連でお話ししたいと思います。国際機関における女性職員数は昔から大変少なかったものですから、1995年第4回世界女性会議において、各国際機関は女性職員を増やすように努力すべきだという1つのパラが入りましたものですから、それ以降いろいろな国際機関で女性職員をなるべく多く採用しようとするポジティブ・アクションがとられているのが現状です。各国際機関の財政状況が悪いため、ポストの数は減っていますけれども、その中で新規採用する場合には特に女性を多く採用しようと、空席広告や何かの一番下に必ず女性の応募をエンカレッジしますとか、もし男性と女性で同じクオリティの候補がいた場合は女性を優先して採る形で、女性職員の増強に努めているのが現状です。
 そのバロメーターとして、どれだけ国連の女性職員数が増えているのか、国連事務局の例をみますと、1992年にプロフェッショナルズの30.06%が女性でしたが、10年後の2002年6月現在では41%で10ポイント上がっているとの報告があります。ジェンダーバランスはどんどん改善しつつあると言えると思います。この中で、日本人職員の中で女性がどれだけリプレゼントされているかというと、機関によって違うのでなかなか難しいですが、日本人職員の中で女性の割合は46%です。まだジェンダーエクイティまでには至っていないところですが、頑張って活躍しています。
 日本人職員の男女比を見ると、ユニセフ、ユネスコなど、女性が60、70%と優位を占める機関もあります。また、国連事務局で働く日本人職員111人うち、64人は女性です。他方、IAEAなど日本人女性が3人位しかいないという機関もありますので、バランスから考えるとまだ50%にはなっていない。
 平成9年の「邦人国際公務員増強のための懇談会」報告書を受けて、外務省国際機関人事センターでは、なるべく多くの人が国連職員として活躍するように、いろいろな活動を行っています。その1つとして、例えば若い人たち向けにアソシエートエキスパート等派遣制度があります。JPO、AEと呼ばれていますが、この制度は、外務省のODAでUNDP、ユニセフ、UNHCRなどの機関に日本人を若手のP2レベルの職員として2~3年間派遣し、職務経験を通じて国連を知ってもらった上で、正規職員に応募して職員になってもらうものです。この制度で正規職員になっている日本人は大変多いです。
 例えば、ユニセフの日本人職員数の約85%がアソシエートエキスパート、JPO派遣制度を通じて正規職員になっています。この制度では年間65人の若い日本人を各国際機関に派遣していますけれども、どんどんこうした制度を通じていろいろな方がいろいろな国際機関で活躍しています。
 昨年の合格者65人のうち、50人が何と女性です。もともと応募者数も男女間で大変差がありまして、語学や何かを通じた段階になると、50人は女性、15人は男性となりました。3年前は50人の枠でしたけれども、3年間の派遣期間終了後、コンサルタント、短期契約等も含め約7割が国連に残っています。最初に開始した時点で女性がそれだけ多いわけですから、多くの日本女性がこれからも国連職員として活躍していくことになると思います。
 ユニセフやUNHCRなどの方々が来ると、日本がいかに国連機関のジェンダーバランスに貢献しているかということをよく言われまして、女性が大変活躍している、またはこれからも活躍するであろうという分野ではあります。具体的にシニアの方たちを御紹介させていただきますと、UNDPの駐日事務所の弓削昭子さん、彼女もUNDPのJPOとして入って、その後UNDPで仕事をした後、現在、駐日事務所長にD1というポストにいらっしゃいます。それから、UNESCOの事務局次長の広瀬晴子さん、バーゼル条約事務局長の桑原さん。ESCAPの事務局次長にもシニアの方がいます。こうした方々は、D1とかD2といったレベルで幹部職員として活躍している方も大勢いらっしゃいますし、若手の課長クラスにも随分層がありますので、これからもどんどん日本女性が国連職員として活躍していくことが考えられます。
 そのため、我々は国内でもいろいろな活動をしていまして、このようなパンフレット、ホームページなどの広報活動をしています。今はインターネット社会で世界中からホームページが見られるので、できるだけ多くの情報を提供していきたいと考えています。このほか、国内で北海道から沖縄までいろいろなシンポジウムや大学などに行って広報活動をしております。
 また、国連はなかなか高学歴社会でありまして、例えばアソシエートエキスパートの要件として修士号が必要なため、修士号を海外で取得される方も多いです。このため、海外でもどんどん国連代表部やジュネーブ代表部などを通じて、海外在住の日本人にも情報提供をしております。ちなみに、去年のアソシエートエキスパート制度では、830人ぐらいの応募者のうち、最終的に65人が合格しましたが、応募者の半分以上が海外在住の日本人でした。やはりそういう方々の多くが海外で修士号を取得する間に応募してくるようでして、海外での情報提供にも力を入れなくては思っております。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問等がございましたら御自由に御発言いただきたいと思います。1つ伺いたいのですが、これから必ずしも若い方に限らず、いろいろな方のチャレンジを支援しようとここでは考えているわけですけれども、AEとかJPOは大体若い方が多いと。
伊藤所長
35歳が年齢制限です。
岩男会長
年齢制限があるわけですね。それで、若い方についても一層増やすにはどういう支援を特に考えたらいいかということ。それから、35歳以上というか、もう少し年齢の高い方の場合にはどうであるかといったようなことで、少し御意見を伺わせていただければと思います。
伊藤所長
アソシエートエキスパートは、実は、3年前までは32歳まででした。そうすると、なかなか限られているので、もう少し日本人は時間をかけてと。というのは、最初から国連を目指す人は余り多くありません。大学卒業後、普通に日本企業に就職して、2、3年たってやはり自分はもっと違うことをしたい、国連職員になりたいということで、修士号を取得して要件を満たす方々が結構多いので、そういった方々のためにもっと幅を広げる必要があるので、年齢制限を32歳から35歳に引き上げました。年齢制限を引き上げた途端、応募者数も大変増えまして、やはりそういう方々もいらっしゃるのだということで、なるべく多く若い段階で実現できるようにということで上げたのです。
 その後、35歳以上である程度職務経験があり、その経験を活かして国連に貢献したい方々のためには、ロスター登録制度を設けております。これは、キャリアや専門分野をお持ちの方々の履歴書を外務省国際機関人事センターに登録しておいてもらい、国連でその人にぴったり合う空席広告が出た場合には、御連絡をして、その方にそのポストに応募してもらう形をとっています。例えば、外資系企業などで人事などを担当しておられる方で、5年か10年の職務経験があり、35歳以上の方などがよく登録されていて、ユニセフの人事担当のポストが空いて、彼女にぴったりだと思った場合には、こちらから御連絡をすることになります。現在、650~700人を登録してもらっています。そういう方々については、いいポストがあったときに声を掛ける。
 このほか、いろいろな国際機関の人事担当者が訪日したり、また採用ミッションというので、今、国連事務局側が日本人職員を採らなければ、アンダーレプレゼンテーションを解決してくれということで我々がプレッシャーをかけていることもあるのですが、そういうことでなるべく日本人職員を採りたいということで、あちらから人事部長が来て日本人候補を面接する状況になっております。そこで、採用ミッションが来る場合などにも我々は連絡して、面接を受けてもらうことをしておりまして、35歳以上になると一人ずつに対応する形で処理しております。
岩男会長
D1、D2と幹部になる人がだんだん増えているとのことですが、かつては前の懇談会のときにも、D1以上の日本人が非常に少なく特に女性は下の方にたくさんいるので、もっと国を挙げて応援してほしいと申し上げたのを覚えています。かなり政治力を使って応援しないといけないこともあるのですが、D1以上のポストについても、ロスター登録をしている人から採用されるケースはありますか。
伊藤所長
アナン事務総長も内部登用者であるなど、国連のカルチャーを知っていることが、採用される上でのポイントになるのは確かにあります。稀なケースになりますが、政治的アポイントメント以外に普通の方でも幹部職員になるケースは2人ぐらいあります。1人は男性ですが、外資系の日本企業で人事をずっと担当してUNHCRに行った方。もう1人は女性で、以前は世銀やOECFで働いていて今はESCAPの事務局次長になっている大海渡さんです。
 ただ、先ほど言いましたように、P5の人が今どんどん増えているので、この方たちを政府としてバックアップして、どんどんD1以上になってもらうのが我々の戦略です。
住田委員
今日いただいた資料の3ページ目に「国連事務局における望ましい職員数国籍別状況」がありまして、ここで望ましい職員数の範囲ということで注3に3つの要素から算定されていると出ていますけれども、いつ頃からこういうものができたのでしょうか。そして、この判定はどなたがつけていらっしゃるのでしょうか。これは数字からして、二重丸、丸、三角というのは自動的に付くものなのでしょうか。
伊藤所長
分担金、義務的拠出をしている国際機関については、機関側が望ましい職員数を出しています。ですから、例えばUNDP、UNFP、ユニセフなど、義務的拠出ではなくボランタリーコントリビューションの機関にはそういうものはないのですが、国連事務局のように19.669%の分担率で義務的に払わなければいけない機関については、望ましい職員数を計算します。
 望ましい職員数は、分担率、メンバーシップ191か国それぞれから代表されなければいけないこと、人口を基準にして算出されるのが中位点、日本の場合には計算すると301が出てきます。この中位点の上下15%が望ましい職員数の範囲として決められており、例えば職員数が111人しかいない日本は、下限の256にも達していないので、アンダーレプレゼントになるわけです。
住田委員
いつからこのような数字を制定されて、どのぐらい運用されているのでしょうか。
伊藤所長
最初に義務的拠出ということから始まって、いずれにしろ第11回国連総会に入ったときにはもう望ましい職員数というものがあったので、本当に最初の頃からこのコンセプトはあったのだと思います。
住田委員
何十年とか何年前ぐらいの大ざっぱな見当で結構なのですが。
伊藤所長
50年頃ですね。
伊藤委員
望ましい女性職員数については別に規定はないのでしょうか。
伊藤所長
まだ女性のものはありません。ただ、ジェンダーエクイティを目指しているとのは確かにあると思います。
岩男会長
先ほど例に挙げられた方は、人事担当の経験者というか、そういうような例を多く挙げられたような気がしますけれども、伊藤さんから御覧になってどういった経験を積んでおくことが将来、国際機関で働こうとするときに採用されやすい、活躍するチャンスが多いことにつながるのでしょうか。
伊藤所長
官房系の話を私はしてしまったのですけれども、一番、特に若い方々が希望するのは、ロールモデルであった緒方貞子さんの影響か、人道援助、開発援助の分野です。国際法や国際関係論とかジェネラルのところから始まって、国連のそれぞれのサブスタンスについてそれぞれの機関が必要としている分野があるわけです。例えば、ユネスコだったら教育、哲学とか、そういう決められた、ある程度そのサブスタンスの分野はありますけれども、それ以外は法律、行政、機関によって分野が違うという感じだと思います。
 官房系はどこに行ってもどこでも使える。特に日本人はMBAを取得してバジェットやファイナンスをやったらどうかといろいろ言っています。官房系でしたら結構どこの機関に行っても生き延びられるわけですけれども、MBAを取得して銀行で何年も勤務している方でも、UNHCRに行って難民を支援したいと言うこともあり、なかなか希望する分野と入りやすい分野がマッチしないときもあります。
伊藤委員
5ページ目のいわゆるP以上の方たちの男女別の表ですけれども、おっしゃるようにD1以上は男性が確かに多いのですが、P2、P3のところには割と女性が多い。これは、いろいろな理由で離れていく女性が多いのか、あるいは大きな流れとして国連職員が減少する中で女性職員は増えつつあると考えるべきなのか。どちらなのでしょうか。
伊藤所長
後者です。女性職員がどんどん増えています。これだけの優秀な女性たちが日本では活躍する機会が余りないからかなと思ったりしていますけれども。
伊藤委員
P2、P3の辺りは、数の上では明らかに女性の方が優位の状況ですね。これからまた上の方につながっていくのかなと考えていいですか。
伊藤所長
上がっていきますね。女性職員で辞めている人はそれほどいませんけれども、男性の場合は家族、家とかの理由で帰っていかれる方が何人かいます。
樋口委員
私は国連職員、特に女性職員というと忘れられないエピソードが2年ちょっと前にございまして、この内閣府が初めてできて、仕事と子育て両立支援策に関する専門調査会ができたときの当時の森総理のお言葉ですけれども、それが国連の女性職員に関するエピソードです。
 これは前にも申し上げたので議事録にも載っているかもしれませんが、総理がニューヨークへいらっしゃって、国連職員である日本人女性に集まってもらったら、独身者は別ですけれども、既婚者は2人ではなくて3人の子どもを持っている人が多かった。日本の職場ではちょっと考えられないことです。最も初級の管理職というとP5ぐらいですか。
伊藤所長
上にいくほど高いのです。P5は課長クラスです。D1以上が幹部です。
樋口委員
課長ぐらいの職位にいっている人もいらしたようですね。子どもを2、3人持っている。そして彼女たちに、日本にいたらこの職位でこれだけの子どもは産めなかったでしょうと言われて帰ってきた。そこで、アメリカでできることがなぜ日本でできないか。これが仕事と子育て両立支援策の出発点だということをオフィシャルな場でも確かおっしゃっていたと思うのです。そうしたら、あとで私は、今度は少し国連内部のことを知っている方から、国連の勤めは楽ですからねという意見も聞きました。
 日本でできない仕事と子育ての両立が国連でできているとか、そういう宣伝の仕方もありえますね。勤務条件とか、女性が3、4人も子どもを持ちながら管理職に到達しているとか、その辺りは今日のお話では出てこなかったですが、森前総理のお話で非常に私は印象に残っています。そういうわけで、女性職員の仕事と家庭の両立に関して国連職員はどうですか。質問はそのことです。
伊藤所長
確かにそうだと思います。もちろん、職場で完全に男女平等だという以外にいろいろな育児休暇等もきっちりしているということ、子育てのためにもいろいろな制度があるということで、皆さん待遇としては大変いいという話は国連職員から聞いています。また、子どもについても教育手当があるということです。ですから、開発途上国の人たちも何人も子どもがいて、それで教育手当があるからということもあるし、別にそれが1人2人3人でも1人ずつに教育手当が支給されることなどもありまして、御夫妻で国連職員になっている方も多いですし、子育てについては大変いい待遇だと思います。
北村委員
今のことに関連してですが、私はそういった事情をよく知らないままに失礼かもしれないけれども、国連の費用のかなりの部分が人権費に充てられていて、拠出金が有効に使われていないのではないかという国連批判もありますよね。それで、国連はいいよと言った場合に、おそらくそういった反論があることは十分考えられるわけで、その辺のすりあわせは関係者の方は何か御腐心なさっているのですか。
伊藤所長
国連事務局の分担金の多くの部分は確かに人件費になっている。ですから、そういった批判があるのでポストをどんどん減らしているのが現状です。その中で日本人女性は増えているという話を先ほどしたのですけれども。
伊藤委員
国連職員の流れは大体わかったような気がするのですが、NGO関連とかさまざまな国際活動での日本人女性の動きは、数字等でなかなか把握しづらいかもしれませんが、印象レベルでも結構ですので、どのような感じで捉えておられるか、お聞きしたいと思います。
伊藤所長
開発援助、人道援助の分野で活動しているNGOの方々の中には、国連を目指す人もいますし、NGOから国連に入る例は時々あります。例えば、池上さんのように、ジョイセフからUNFPAの日本事務所長に最近なった方もいらっしゃいます。我々は、国連の関わっているNGOでは女性が結構活躍しているという印象を持っていますし、そういった女性に何とか国連に入ってもらいたいと声を掛けたりしています。
伊藤委員
数字として把握できていないのですか。
伊藤所長
数は少なくて、例としてそういう感じだと思います。
伊藤委員
男女が大体どのような形で参加されているのか。そこまでは把握しにくいだろうと思いますけれども。
伊藤所長
この人、この人と数えるぐらいの例を言える程度ですね。
伊藤委員
いわゆる国連のNGOだけでも把握しきれないですか。男女の活動のバランスみたいなものですが。
坂東局長
私が質問するのはおかしいですけれども、例えばジェンダーエクイティのためにいろいろ努力していらっしゃるのに対して逆差別だとか、いろいろなところで男性に職をということで反発はないですか。
伊藤所長
JPOで派遣された日本人男性には、最初から、あなたたちは差別されているのだから女性の3倍は働かなければいけませんという話はしております。今、1つのポストにいろいろな人が応募してきて女性が就いてしまうと、男性はもうあきらめてしまうというほど、国連ではポジティブ・アクションが進んでいるのが現状だと思います。女性にはかなわないという感じですね。
松田委員
他の国はともかく、日本の場合には優秀な女性が国内で受け入れられていないことが逆に国際機関での進出につながっているという、いわば逆比例関係にあると思います。
 先ほどのお話では男性の中途退職者が多いとのことですが、恐らく日本の企業とか機関に転職していくのだろうと思います。そこでちょっとお聞きしますが、女性の場合には、そういったケースはそんなにないのですか。例えば、国際機関でいいところまで行った人の能力、経験、人脈などを利用するために日本企業なりが引き抜くケースはほとんどないのですか。
伊藤所長
そういうケースはほとんどないです。ただ、女性の方も同じく家族責任とか、子どもの関係とかで、どうしても日本に帰りたいという女性職員も数多くいまして、そういう方たちがどうするかというと、先ほども例に挙げたUNDPの東京事務所長の場合などは、日本国内で教授職を探して休職するという方法を考えていて、日本国内で教授職になって戻ってくる方々は結構いらっしゃいます。
松田委員
もう一つは、日本に置かれている国連関係機関は余りなくて国連大学くらいですけれども、その有利さというのはないのですか。国連大学が日本にあることによって、国際機関に採用されるとか、何かする日本人なり日本人女性の数が増えるというメリットはないのですか。それから、国連大学以外に日本に招致しようという動きはないのですか。
伊藤所長
残念ながら、国連大学は男女比のジェンダーバランスが悪い機関の中の1つで、男性がすごく多いと私は怒っているのですけれども、UNU学長はオランダ人のヒンケルさんですが、UNUですとどうしてもPh.Dを持っていないと入れないこともあるのでしょうが、女性比率が大変低いと批判の対象になっている機関の1つです。国連大学が日本にあるメリットは余りないですね。日本がホストカントリーアグリーメントを結んでいるのは国連大学、ITTO、国際熱帯木材機構、アジア生産性機構(APO)ですけれども、どれもジェンダーバランスの点では余り望ましいレベルまでは達していません。
古橋委員
こういう国際機関における能力評価がどのようになっているか。私が聞いているIMFや世銀では、一度ある国の人が特定のポストについたら、絶対他の国にそのポストを譲らない。あらゆる妨害が行われたりするというのを過去にいろいろ聞いているのですけれども、日本人の場合に上がっていくときの能力評価というか、どのようにして上がってきているかという実態を外務省は把握しておられますか。
 要するに、上の方になったらまさに政治力によっていろいろな工作があるわけですけれども、局長クラスなりあるいは課長クラスもそうだと思いますが、そこに対して相当な支援を行わないと私は増えないのではないかと思います。それはまた日本人の性格として人を押しのけてでも上がっていこうという人がまだとてもいないということも影響しているのではないかという気がしているのですけれども、その辺についてはどういうお感じでしょうか。
 能力評価について、人事部だけが能力評価をしているわけではなくて上司が必ずするでしょう。その上司の評価で、上の方に日本人がいないのは大変な損ですね。だから、それをやるためには私は日本の国連負担金の資金的貢献に配慮してポジティブ・アクションで日本人枠を逆につくるようなことをある程度要求したり、負担金の割にはポストが多いところには当分の間、遠慮してもらったりとか、そういうことを外務省が負担金との割合において国連に言うべきではないかとも思うのです。それに、語学力の点においては遜色ない人たちがどんどん出てきて、それが上に上がっていくときに現実は相当ダーティな昇進が行われていると私はよく聞きますけれども、その辺はどのようにお考えになっていますか。
伊藤所長
まず能力評価の話ですけれども、国連における能力評価というのは、上司の人とその能力評価を受ける人が最後まで合意しないとその数字を出せないのです。ですからバトルみたいなもので、ある程度能力評価を受ける側も合意するようなレベルで、どこまでそれを信じていいかわからないのです。第三者がそれを見ると、それは上司が面倒臭いからあきらめて評価点の悪い人でも5にしちゃうという感じになっているのかもしれませんけれども、いずれにしろ能力評価というのはそういう形で国連では行われています。
 それから、日本として何をしているかということで2つ話したいと思います。1つは、例えば若い人たちでも、上の方の人たちでも、押しなべて日本は分担金以外にもボランタリーコントリビューションを出していて、例えばシンポジウムを明日行いますけれども、人間の安全保障基金を出していて、その基金からなるべく多くの日本人が関わっているプロジェクトに対して資金供与をしている。そうすると、その日本人のプロジェクトにお金が出ていて、そのプロジェクトを完成させればその人のクレジットになる。その人の成績が上がるという形で、それぞれの活動費や何かにお金を出してあげてその人の評価が上がるように努めているということをしています。
 それ以外に、上の方とか、ある程度の方々でなかなか昇格していかない方々や苦労していらっしゃる方々は、国連代表部とかジュネーブ代表部の人たちが、その上の人たちを通じて働きかけを行ったりしているのが現状です。
山口委員
伊藤さんが所長になられた頃はなかなか応募が少ないと伺っておりましたけれども、今、各地で説明をするとどういう質問が一番多いのか。もう一つは語学ですけれども、英語は話せるが、日本人はスペイン語だとかフランス語だとどうなのか。その状況は一体どうなのか。それから、職員になると任期は決まっているのか。その点を伺いたいと思います。
伊藤所長
まず質問ですが、やはりいろいろわからないことがある。ただ、どんな職務経験を積んだら国連に入れますかとか、そういうことについてはホームページを見てください。ホームページでいろいろな人の実態なども紹介していますので御覧になってくださいと。いろいろな海外経験を積んだらいいでしょうとか、そういう話が多いと思います。
 あとは言葉ですけれども、国連はもともと多言語主義というのをとっていまして、6か国の公用語があるわけですが、国連の6公用語の中で英語かフランス語はワーキングランゲージと言って、この2つのどちらかが必ずできなければいけない。それプラスもう一つくらいできたらいいというだけで、特に日本の場合は余りにもアンダーレップだということで、英語だったら英語、フランス語だったらフランス語で職務遂行可能であれば入るときは採ってくれるということに今はなっています。ですから、その意味では今の特に若い方たちは全然言葉では遜色ないというのが現状です。
 なぜ男性の応募者数が少ないかもここからくるのだと思いますけれども、任期が2、3年に限られていて、その意味では不安定な職業ですから、二の足を踏む方々も結構いるというのが現状です。2、3年でまた次のポストに応募していかなければいけないことで、結構皆さん不安がるということです。
山口委員
どうもありがとうございました。
住田委員
望ましいジェンダーバランスという言葉が出ましたけれども、どの程度だと思っておられますか。
伊藤所長
望ましいジェンダーバランスという概念は国連ではないですけれども、あえて言えば職員数の半分ということではないでしょうか。
岩男会長
お忙しい中どうもありがとうございました。これで伊藤所長の御説明をおしまいにさせていただきます。
 それでは、次に最終報告に向けた検討に移りたいと思います。前回は、事務局が用意した資料に基づいて御議論いただきました。本日は、前回の基本問題専門調査会以降にいただいた御議論を踏まえて、委員限りで配布してあります資料に基づいて議論したいと考えております。最初に事務局から御説明いただいて、その上で議論に移りたいと思います。
 本日は最終報告素案ということですけれども、3点ほど御留意いただきたいことがございます。まず1つ目は、全体の構成がこのような形でいいかどうかということ。2つ目は、基本問題専門調査会として本提言の柱として何を打ち出すのか。2つ3つその目玉を決めていただく。それから3つ目に、その他、最終報告素案全体にわたって具体的な論点があればそれについて御議論いただく。大体この3つを本日の主なテーマにしたいと思っております。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
村上課長
本日は、この全体の構成自体について御議論いただきたいと存じます。全体項目の構成について、個別分野の順番は、今回の議論の比重が高い経済分野から始まりまして、その後はヒアリングの順になっております。農業分野も広い意味で経済分野ではございますけれども、特色のある取組状況でございますので、個別に農業は取り上げるというような形になっております。
 次に、この最終報告素案の項目について、「身近に感じられるチャレンジ支援の必要性」が加わっております。それから「国際分野におけるチャレンジ支援策」として国際公務員の分野が加わっているのが大きな変更点です。
 まず、長期的には生産年齢人口が一層減少することが予想されるという辺りでちょっと詳しく書いておりますし、それから「男性も女性も安心して将来を設計することができる社会を目指す」云々というところから、「一人一人が自らの将来のビジョンを描き、ライフプランやキャリアプランをつくり上げることができる」というところです。それから、ダイバーシティの話を少し加えております。それから、「女性の「横」へのチャレンジが実現すれば、様々な分野における「上」へのチャレンジが効果的に進むという相互関係がある」というようなことを書いています。
 それから「このため、一度の選択でその後の全てが決まってしまうのではなく、女性一人一人が、生涯にわたって主体的に多様な選択を行いながら、人生を設計していけるような環境整備を図ることが重要である」と書いています。また、「男性にとっても選択の幅を広げるものとなり」ということを加えております。
 次にライフスタイルのところですけれども、「ライフスタイルの選択に中立的な税制・社会保障制度・雇用システムの構築」のところをちょっと詳しく書いておりまして、例えば配偶者控除・配偶者特別控除のところは前回より詳しく書いて例示を示しております。次は少子化関連のところで、これをより丁寧に説明しております。
 次に、具体的なイメージがわかりやすくなるようにということで「我が国においては、政策・方針決定過程への女性の参画拡大を目指し」と審議会の話、それからこれはナイロビの将来戦略勧告を踏まえたものですとか、それからこれはゴール・アンド・タイムテーブル方式で進めてきたということ、これが重要だというようなことについてきちんと書いております。
 次に「再チャレンジの現状」のところですけれども、「育児や介護等と仕事と両立のできるような環境整備が十分ではないことや、両立することに対する家族、職場の理解不足、社会風潮などが障害になり、継続が困難な状況にある」と、わかりやすく書いたつもりです。
 次に「身近に感じられるチャレンジ支援の必要性」をテーマとして新しく加えた部分で、これは古橋委員の意見を反映しているわけですけれども、具体的にイメージが湧くようにと、「多様な選択肢がある中から、自分にとって適切な選択を行うための具体的イメージを描くことは難しい。このため、起業、NPO法人での活動、地域活動等にチャレンジすることで輝いている姿を説得力のある形で紹介することによって、女性だけでなく男性を含めた国民の多くに個性と能力を発揮できる男女共同参画社会を身近に感じてもらい」というような話です。
 それから、「例えば、女性や男性が活躍している現場を直接あるいは間接に体験したり、そこで活躍している女性や男性の生身の人間としての姿に触れたりできる機会を広く提供することが極めて有効であると考える。例えば、多様な媒体による具体的なチャレンジ事例の紹介、職場等の活動の場に訪問できる機会の拡大、講演会等へのロールモデルの派遣など」という形で、イメージが膨らむように書いております。具体例を示すことがいかに重要かをここで示しております。
 次は「女性のチャレンジ支援のためのネットワーク形成の重要性」です。ここも非常に重要な部分で、「ネットワークの構築のため、複数の関係支援機関が垣根を越えて積極的に参画できるようチャレンジ支援地域連絡協議会(仮称)を設置し、協議会の検討を踏まえて、チャレンジのため必要となる情報を効率的に提供していくことが期待される」ということを書き加えております。これは、岩男会長の御意見を踏まえて書いております。地域で実際によく機能していくようにといいましょうか、実務が動くようにするには確かにこのチャレンジ支援地域連絡協議会があれば非常に進むと思われます。そういうことで、より具体的に書かせていただいております。ここは一つのポイントであろうかと思います。このネットワークが非常に重要でありまして、実は私どもの来年度の予算の目玉も、このチャレンジ支援に係るキャンペーン及びネットワーク環境整備についてでして、そのためにチャレンジ支援ネットワーク検討会を設置して、各省庁が提供している女性のチャンレジ支援策の情報の体系化、ワンストップ化を目指しまして、そこに来ればその人にとって必要な情報が効率的に入手できるようにするシステムをつくりたいということです。それは「チャレンジ支援ネットワーク検討会において、チャレンジ支援ネットワーク形成のための調査検討を行い、地域におけるネットワーク構築の在り方について広く情報提供する」。また、さまざまなNPO法人や関係団体がございます。こういうNPO法人とも連携協力を図ることが重要だと。必要なデータの提供や具体的紹介なども行っていくということをここで書いております。
 次に個別の分野でございます。1つ加えておりますのが「ICTリテラシーの向上」です。岩男会長の御意見も踏まえまして、「特に仕事を辞めて新たにチャレンジしようという女性にとっては情報へのアクセスの機会が少ないと思われるが、今後はこのような状況を踏まえ、様々な支援機関における各種IT講座等の活用により、技術革新に対応できるようなICTリテラシーを身につけるための機会を身近な場で提供していく」ということ。それから、「チャレンジ支援のためのネットワーク等環境整備において指摘された情報提供システムの構築においても、各支援機関における講座等の情報を効率的に提供するよう検討を行う」。さまざまなところでICT講習なども行われておりますが、系列のところ、自分のところの施設以外は余り集められず、また提供できないのが実情でございますので、その地域のどのような講座があるかも適切に教えてあげることができるようにという意味でも、ネットワークが非常に重要であるということです。
 次に「個別分野」に移りますが、まず「雇用の分野におけるチャレンジ支援策」のところです。これにつきまして、ポジティブ・アクション、諸外国の例を書いて「我が国においても、これらの制度を参考にしつつ、厚生労働省において、ポジティブ・アクションを積極的かつ効果的なものとするための立法措置を視野に入れた検討を行う」と書いておりますが、実は経済産業省から特に意見がありまして、これを是非紹介するようにと言われております。ここはちょっと御異論があるということでして、「厚生労働省において」と書いてあるところを削除してくださいと。ポジティブ・アクションを積極的かつ効果的なものとするための検討を行うのは厚生労働省だけではないのではないか。それから、立法措置が含まれることは疑問だと。このような規制を強めるのはいかがか。検討の方向性を決めてしまうのはいかがかというようなことで、立法措置がアプリオリに含まれるというのは問題だ。検討に予断を与えず、幅広く柔軟な検討を行うべきであるという御意見です。それから、ポジティブ・アクションを検討する前にまずは制度の中立性を行うべきだと。これは、先ほどのライフスタイル選択の中立性のようなことで、そっちがまず先でしょうというような御意見でございます。それから、社外取締役の辺りも言及していまして、「社外取締役などを含む企業の役員に女性の活用を進めるため、経済団体や各企業が自主的な取組を進めることを期待する」。それで、カタリストの例などを書いています。
 次に、補助金の交付について言及しております。「補助金の交付については、補助金の内容に応じ、補助金の交付の対象となる団体を決定する際に、男女共同参画社会に貢献するような内容を判断の一要素とすることが考えられる。ただし、補助金の使途の目的を踏まえ、補助金の交付を通じて過大な負担とならないよう配慮が必要である」ということで、これは古橋委員の御意見を踏まえて追加しております。
 次にパートタイム労働者についての言及がありまして、ここは少し簡素化して書いております。といいますのは現在、厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会で今後のパートタイム労働対策の方向について検討の最中でございます。それで、今、労使で非常に激しい議論が闘わされているところでございますので、ここにつきましては2月27日に雇用均等分科会でもう一度議論があり、3月以降報告書の取りまとめをするとのことですので、次回の基本問題専門調査会の時点で書ける内容を考えて書いてまいりたいということで、これは今、暫定的な形でこのように簡略化して書かせていただいております。
 次に、農業分野の話です。委員から農協などにおける男女共同参画に関する取組の充実という御意見がございましたが、ここの文言の中に含まれていると考えられます。おっしゃっていただいた施策については別途、参考資料としてお付けしたいと考えております。
 研究分野につきましては、総合科学技術会議に関する意見を若干修正しております。それから、委員からの意見を踏まえて「方針決定過程への女性研究者の参画として、競争的資金等の審査や学術論文の審査において、女性研究者が審査委員として積極的に登用されることが期待される」という部分を加えております。
 それから、国際分野について追加いたしております。(9)で国際公務員、国際交流に関するチャレンジについても記述しております。これが、主な変更点や御意見のありました点についてです。
 提言の柱としてはということですが、事務局としましては全体的に見まして、まず1つは各分野におけるポジティブ・アクションの推進、それから今回加えました「身近に感じられるチャレンジ支援策」の辺りが非常に重要だと思っております。個別分野における好事例や、支援策に関する情報提供の充実が共通ということを言及しているという意味で共通していると認識しておりますので、それもよく御覧いただきまして、提言の柱を何にするかを御議論いただきたいと思っております。
 それで、先ほど余りポジティブ・アクションを御説明しませんでしたが、この辺が一つの目玉ではないかと思います。「ポジティブ・アクションの範囲の検討」で、諸外国を見るとクォーター制やゴール・アンド・タイムテーブル方式がある。我が国においては国の審議会等委員についてこのような政策をとっている。それから、雇用分野においては均等法にポジティブ・アクションを定めて自主的なポジティブ・アクションを国が援助できるようになっている。農業分野においてはというように書いておりますし、それから男女共同参画基本計画でも実効性のある措置の具体化について総合的に検討することが書かれております。それで、「今後、女性の参画を拡大していくために、雇用以外の分野も含めたポジティブ・アクションについて検討するため、平成15年度以降、内閣府において調査・研究を行う」ということをここで書かせていただいております。以上で、御説明を終わらせていただきます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、まず構成について御意見をいただきたいと思います。
伊藤委員
その前に、世界経済フォーラムですが、これでは何が75か国中69位なのかわからない。女性の経済的活動への参画ですよね。このままだと国際競争力が69位というふうに誤解されてしまうのではないか。ちょっと修正していただいた方がいいと思います。
岩男会長
ありがとうございました。いかがでしょうか。この全体の並べ方あるいは組み立て方について何か御意見がございましたらどうぞ。大体、一応はよろしいですか。まだもう一回ございますけれども。
坂東局長
構成の変更はここで決めていただかないと、次回にこの構成を変えろと言われても対応は不可能になります。
松田委員
構成ということになるのかもしれませんが、これは最終報告案だということですので、大体こういうものの場合、終わりに何かもう一つパンチを効かせたものがあっていいのではないかと思うのですが、これで終わってしまうのですか。
岩男会長
前の中間報告のときにアピール、委員としての訴えかけというのでしょうか、呼び掛け文といいましたか、そういうことが議論になりましたので、何か別途そういうものを…。先生が考えておいでになる「おわりに」というのはどういうものでしょうか。
松田委員
要するに、全部をまとめてもう一度確認をするというか、今、座長がおっしゃったように別途そういうアピールで、私が言ったレッツという要素を入れるということで目的は達せられると思いますけれども、そういう意味です。これだけですべてが尽くされるのはちょっと寂しいなという感じです。
伊藤委員
言葉の問題ですけれども、2の(5)だけが「少子化との関連」となっている。ほかのところは必要とか支援とかなのですが、これは「少子化対策としての意義」とか、もう少し前向きな表現ができないか。
山口委員
「対策」はやめましたので。
岩男会長
きっと苦労をしてだと思いますが、やはり「対策」というのは……。
伊藤委員
文章として最後のところは少子化対策として意義があると書いてあるのですけれども、「関連」じゃなくてもうちょっと前向きの言葉が何かないかなという気がするので、それは考えていただきたいと思います。ここだけ「関連」と、すごくクールな書き方になっちゃっていて。
坂東局長
少子化への好影響くらいでしょうか。
伊藤委員
少子化への好ましい影響というのも何か…。「関連」というのではなくて、もうちょっと前向きの表現をしていただきたいと思います。
岩男会長
ここは基本的な考え方ですから、基本的な考え方としては両立ができている。それは、結果的には出生率を高くしているという諸外国の例と同じことになるはずですよということなのですね。
伊藤委員
中身はそういうことなのでしょうね。
古橋委員
「対策」じゃなくて「対応」じゃいけないのですか。
伊藤委員
文中では少子化対策と書いているけれども、頭に出るのは問題ですね。対応という言葉だったらいいですかね。
岩男会長
それから、文中もやはり「対策」よりは「対応」の方がいいですね。
松田委員
これは恐らく少子化のマイナス効果という一般的な考え方を否定するためですから、それならばむしろ反対にそれを中和させるくらい強い言葉でないと。だから「対応」くらいがいいでしょうね。「関係」では余りにも控え目過ぎるし。
坂東局長
これはプラスだよということをいいたいのですけれども。
松田委員
単に否定するだけではなくてプラスだということですね。
高橋委員
どうも私は危惧を持つのですけれども、やはり少子化とは関係がないということでポイントであるべきであって、少子化にとってプラスになるとかマイナスになるということは言えないのではないかと私は思うのです。ただ、少なくともマイナスになるということを言われているので、そういうことはないですよと。むしろここの会議で言うべきことは、そういうこととは関係なしに共同参画を実現していくのだと。そこまで言う必要はないですけれども、仮に共同参画が少子化につながるとしても、それは共同参画を実現する中で別途対応していくべき問題だろうと思うのです。
 特に私が危惧を持つというのは、少子化がプラスになりますよというのはちょっと論証は難しいことで、かえって足元をすくわれるのではないかと思うので、こちらの防衛としては少子化につながるということは言えないはずだというようなスタンスの方がいいという感じがするのですけれども、いかがですか。
岩男会長
両立支援ではいけないのですか。仕事と子育ての両立支援ですが、基本的な考え方としては少子化を表に出すというよりも。
伊藤委員
ただ、多くの方が女性のチャレンジと言うと、今の状況では少子化問題に対して心配されるのは事実ですよね。文中にあるように明らかに国際的に見たら経済の発達している国では、女性の就業率が高い方がむしろ出生率については歯止めがかかっているというのは事実です。もちろん少子化についてこれだけで歯止めがかかるとは私も思いません。少子化というのはすごく複雑な要素が入っていますから。ただ、その辺のところはデータに基づいて言える部分は言えるし、はっきり書く方がいろいろな反発に対しても説得力を持たせるためには必要なのではないかと思います。
松田委員
大体こういうもののポイントというか目玉になるのはリアクションが強い、例えば先ほどの話だと公契約についてあちこちからリアクションがある。そういう皆がそうだそうだと言っているようなことを言っても意味は全くないので、本当かというくらいのものがあった方がいいので、少子化についてはそういう意味ではね。学術論文でしたら私はそんなことは書きませんけれども。論証されませんから。
伊藤委員
先ほどの国連の職員の話などで、女性のチャレンジが保障されるところでは出生率がある程度確保されるというのは予想できるのではないかと思いますし、そのように書けるのではないかと思います。
高橋委員
確かにここで言うべき一番重要な点は、男女参画が進んでいる国において必ずしも少子化になっているわけではない。解決方法があるのだということだと思います。今、ざっと見た限りで内容的には私は特に異論はないですが、少子化への対応とかというような形で、何となく少子化対策になりますよというようなニュアンスで出すとすれば、それはちょっと不安だなということを申し上げたかったのです。
坂東局長
では、仕事と子育ての両立支援というのですとよろしいですか。
岩男会長
支援で私はいいと思います。では、全体の構成はこれでよろしゅうございますか。
高橋委員
「支援策の方向」の中で今回「身近に感じられるチャレンジ支援の必要性」を新しく入れられたとおっしゃったのですが、これの趣旨はもうちょっと具体的なイメージがわくような仕方での支援策を考えるんですよということなのですか。ちょっとその位置付けが……。
古橋委員
私が方々に行ってお話しすると、男女共同参画がわからない人たちがいっぱいいるのですよね。これに対して、やはり推進するためには好事例を示してあげることが一般大衆には一番説得しやすい。
 しかし、好事例というのは、ばらばらになっていて誰もなかなか集めてきてそれを言えないシステムになっているから、そういう好事例を集めてきて公表することが一番有効です。あそこでもやっているのだから我々もこうしましょうということでチャレンジするときの意欲が湧くときの基盤整備になります。そういうことが一番日本の現状から見て必要なのではないか。こういう認識ですから、その項目を特に起こしてもらいたいと言ったのです。
 チャレンジ支援と言ったときに基盤整備で何があるかというと、やはり好事例というものがないと一般の人は、例えば家族経営協定といわれてもわからないのです。だから、家族経営協定の好事例、それも男性にとってそれがいかにいいかという事例をいっぱい集めてきて、それを現場で皆が議論をして教えてあげるということが一番のチャレンジの基盤整備になるのではないか。いまだ日本はそういうような状況ですよという意識があるものですから、特にそれを入れてほしい。そして、その好事例を出すためには各省皆が集まってきて、内閣府を中心としてそういう好事例を集めて、方々へ行ってどんどん講演していくということが必要なのではないかという気がしたものですから、それを入れてくださいということであって、それは当たり前だという人もいます。そんなのは当たり前だという人もいるけれども、日本における現状はそういうことをやってあげる必要があるのではないか。例えば、山口さんのところで出した市会議員とかの事例で四十七士、ああいうのは非常に大切な好事例ですね。ああいうものがあると、では私もつくってみましょうというようなことが出てくるので、ああいうような事例をもっともっと出していく必要がある。
伊藤委員
私も大賛成ですけれども、ただ、言葉としてチャレンジ支援の必要性というのがちょっとわかりにくいというのも事実ですね。今、古橋委員のおっしゃる話だと、身近に感じるチャレンジ事例の提示とかが必要ですね。
岩男座長
あるいは、チャレンジ支援の基盤整備というのはわかりにくいですか。
伊藤委員
提示の方が、今のお話だと私は分かりやすいような気がするのですけれども、ロールモデルみたいな感じですよね。それがすごく必要だというのはIBMの方の話とか、いろいろなヒアリングの中でも強く感じていましたので、こういうものは必要だとは思います。ただ、支援の必要性という言葉ではなくて、もっとストレートに言ってもいいのではないかと思います。
岩男会長
では、ここはちょっと言葉を工夫するということで。
古橋委員
事例をここに出してということで書いてもらったと思ったけれども、そうなっているのでしょう。だから、それは項目を変えたらいいですよ。
岩男会長
全体についてはよろしいですか。
山口委員
私はちょっとこだわっていることがあります。どのようなチャレンジかというところで「上」へのチャレンジ、「横」へのチャレンジ、「再」チャレンジと、それなりに語呂はいいですけれども、中間報告で「上」へのチャレンジと書いてありますが、私は「横」というのはネットワークだと思うし、それはいいですけれども、どうも私は「上」と書くと抵抗があるのではないかと思います。言ってみれば、これは職位向上ではないかということを私は赤で入れたのですけれども、職域拡大とか職位向上だとか、そういうことじゃないかと思いますが、上とか下とかというのはいいですか。
岩男会長
でも、女性の総理が出てもいいし。
山口委員
それはいいのです。そのこと自体は出るべきだと思います。可能性だってあるのだから。ただ、上とか下とか上下関係の表現が私は気になるのです。それで、中間報告に出してしまった後は直せないのかどうか。
 それから、全体に最終確認ですが、私が言ったのは、高い職位を目指す場合、上とか横とかマスコミ陣が新聞に書くのはいいけれども、こういうところで「上」と書くのはどうかと思うのですけれども、皆様はどう考えられますか。北村さん、ジャーナリストとしてどう思いますか。
北村委員
わかりやすいと言えばわかりやすいですよね。ただし、その価値観をどう読むかというのは人によっていろいろだという気はしますけれども、大方の人がイメージするものというのは何となくコンセンサスがあるような気がします。
山口委員
私は、上下関係と取られるのがとても嫌なのです。
北村委員
おっしゃることはすごくよくわかります。
坂東局長
これはよく使ってきた言葉では政策決定への参画のことです。それは恐らく一番こういう世界の方たちにはなじんだ言葉だとは思うのですけれども、それこそ業界語なのではないですか。
岩男会長
「上」へのチャレンジを上下関係というふうに受け止めるでしょうか。
山口委員
割合そういう平等感覚の人たちというのは、女性団体なんか強いですよ。
岩男会長
上にいった人がまた別のところで下から始めてとか、いろいろな可能性があることを含めて考えればいいので、何か非常に固定的に考えると上下関係ということにつながるのかもしれませんけれども、そういうものを私たちは考えているのではないと思います。そもそも基本的な考え方として多様化というものが一つのキーワードになっているわけで、それを進めようとしているときに、上下関係という受け止め方をされるでしょうか。
山口委員
そういう地位についている人はそうなのです。でも、助手から見れば、その上に講師があり、助教授があり、教授があり、そういうことがあるのですね。一般的に上下関係と言いますけれども、どうもここで言うのはやはり管理職を目指すとか、そういういうことではないとか。
樋口委員
でも、女だからという理由でいつまでも講師にとどめられたとしたら、それはやはり「上」へのチャレンジと言っていいのではないですか。
山口委員
その言葉の使い方を問題にしているのです。それは全くそうなのです。ただ、表現としていかがなものかと。
村上課長
「政策・方針決定過程に参画し、活躍することを目指す」と、一応解説は付けてあるのですが。
伊藤委員
定義をしながら使ってはいるのですよね。
樋口委員
山口委員がおっしゃるのは、議員も一般の市民も対等であるという考え方から言えば、議員になることを「上」へのチャレンジと言ったらちょっと違うのではないかという意味だとは思うけれども。
伊藤委員
垂直的、水平的とか、別の言葉もありますが、やはり中身は一緒ですね。
北村委員
便宜的に言っておりますがという言い訳ではあると思います。それで、実際に女性の場合はプロモーションがなかなかかなわなくてというような状況があったときに、そういったことでコンプレインする人は明らかに上へいきたいと言いますよね。だから、我々が今、下にいるという認識に立つならばそんなに抵抗はないのではないか。
樋口委員
そう言うと、ポジティブ・アクションだってアファーマティブ・アクションだってまさに「上」へのチャレンジですから。
山口委員
チャレンジするのだから、それは職位を上げるとか、そういうことには全く異議はないし、それを審議しているので、その表現が私は気になったのです。
松田委員
下へのチャレンジというのはないですからね。
住田委員
もしやるとしたら、中枢部分とか中心部分へのチャレンジですね。
岩男会長
でも、ここで考えているのは必ずしも中心部分だけじゃないわけで。
坂東局長
政策方針決定への参画です。
樋口委員
アメリカですら、ガラスの天井と言われるものを突破していこうということなのだから、やはり上へいくのですよ。
山口委員
表現上のことで、まとめとして最後だから問題にしているのですけれども。
岩男会長
私はいいのではないかと思っております。ただ、もしいろいろ議論をして、またほかのものに変えるという場合にも、そこは表現だけの問題ですからまだ次回でも間に合いますし、最後までチャンスはあると思います。構成ということで、これでよろしければ。
坂東局長
先ほどお話が出ましたアピールというのは、前に別立てで付けますか。それとも、先ほどおっしゃったような「おわりに」のところに付けますか。私は何となく別立てのようなアピールというのを付けるというふうにイメージしていたのですが、いかがでしょうか。ここでお諮りいただけると。
松田委員
トーンがかなり変わるとすれば別立ての方がいいので、急に突然最後にアジテーションが出てくると、それまでの学術的価値が全部下がってしまったりするとまずいですけれども。
岩男会長
別立ての方がこの専門調査会として出すということで自由度があると思います。ですから一応別立てで、もし必要であれば「おわりに」をつける。それでは、個別の問題に移る前に提言の柱ですけれども、先ほど事務局から御提案がありましたが、ポジティブ・アクションが1つ。それから、身近に感じられるチャレンジ支援が柱になるのではないかというお話でしたけれども、いかがでしょうか。
古橋委員
身近に感じられるチャレンジ支援が中心になるかはちょっと疑問があると思いますね。それは当然の話ですから、これは協議会をつくるというのは一つの案だと思います。
岩男会長
今、協議会のお話が出たのでついでに申し上げますと、関係機関が垣根を越えて積極的にというときに、単独ではいけませんよと。少なくとも2つ以上の機関が一緒に入らないとだめですとする。縦割りの問題があってなかなかうまく進めにくいという話を聞いたものですから、条件としてはこういうものをやって効率的に云々とするよりも、むしろ単独だったら何も援助しませんということを心としては入れたいということです。だから、書き方についてももっと強い言い方をしてもいいかもしれないと思います。
樋口委員
今ごろになって言っても採用してもらえないかもしれませんが、もう3年目ですし、ここらで内閣府においてチャレンジ大賞をつくりましょうと提案します。私は、かつては、表彰などはシンボル効果だけだと思って割とばかにしていたのです。ところが、今度女性と仕事の未来館の3周年で、誰かが言い出して、作文の募集と優秀作品の表彰をしました。ホームページの威力というものをつくづく感じましたし、短い間にしては500通くらい集まって、特に中高校生の内容は涙が出るようなものがあって、戦後50年、今の高校1、2年生は均等法の中で生まれた人たちで、やはりひと皮むけていますね。それで、こちらがエンパワーされたという感じです。それに、賞を出して小さな表彰式をやってみたら、これがまたいいのです。皆、喜ぶし。仕事と子育て両立支援策に関する報告書にも、両立のために尽くした企業の表彰を提言していますが、表彰には一定の波及効果があります。
古橋委員
身近に感じられるチャレンジ支援じゃなくて、チャレンジの事例の提示ということで、そこにひとつこのチャレンジ大賞みたいなものを入れられないですか。そういうことも必要だよと。
樋口委員
そうですね。その中にチャレンジ大賞を入れて、内閣総理大臣賞か内閣官房長官賞。
岩男会長
内閣官房長官でもいいですよね。男女共同参画担当大臣だから。
伊藤委員
男女共同参画担当大臣賞というのはいいのではないですか。というのは、そういう職があることをご存じない国民の方は多いわけですから、そういう賞をつくってむしろ周知するというのは大切なことじゃないかと思います。
樋口委員
ほかのここでやる男女共同参画局のシンポジウムなどで授賞式をやってもいいし、別件でやってもいいし。
岩男会長
そうですね。では、是非入れましょう。
高橋委員
今の賞というのは目玉にするという趣旨ですか。
岩男会長
身近に感じられるチャレンジ策の整備の中に入れるということです。
高橋委員
先ほどのお話だとポジティブ・アクションの推進と身近なチャレンジ支援が目玉ということだったものですから。
岩男会長
そうですね。
村上課長
はなはだ事務的なことで申し訳ないですけれども、何とか賞とかというのを正式にやろうとすると予算だとかいろいろあって、毎年続けていくならば継続的予算をどうするかとか、いろいろ大変な面もあるということをここで申させていただきたいと思います。
坂東局長
100万出すとか、そんな大きな話じゃなくて、記念品程度じゃないですか。
岩男会長
大臣のポケットマネーでできる程度でいいじゃないですか。
山口委員
フォーラムなど既存の大会があるじゃないですか。そこのプログラムの一つにしたらよいのですよ。
坂東局長
6月の全国大会のときとかですね。
樋口委員
チャレンジ大賞を検討すると。
岩男会長
よろしいですか。それでは、住田さんどうぞ。
住田委員
ポジティブ・アクションの関係で、柱の大きなものにするということについて賛成いたします。ただ、そのためのいろいろな問題点があるかと思います。特に理解が不十分であるということはここにも書いてあるくらいですので、その理解を得るためにはやはりもう少し書き込んでいただきたいと思うのが、1ページの終わりから2ページにかけての世界の中での低い日本女性の活躍状況だと思います。それで、最初の方のGEMは66か国中32位、これだけ見ると真ん中じゃないかという印象を受けてしまうのですが、私が必ず言いますのは、先進国の中ではほぼ最下位であるという、ここが入っていないと困ると思います。
岩男会長
ODAを供与している国よりも低いということを言うべきですね。
住田委員
そうですね。そういうことを書き込まないと、真ん中辺という印象を受けてしまうのが困ります。それから、世界経済フォーラムについても、これはどういうものであるかということをもう少し書いておかないといけないと思います。次の「日本の女性は潜在的に大きな能力をもっている」というところは、後ろに参考資料をつけるわけですから、やはり国際比較の中で何位であるということもきちんと書いてやっていただきたい。そうすると、この部分において、女性の活躍度においては先進国とは言えないと書いていただかないと、下に「先進国として国際社会に貢献しようとする我が国にとって」というのは非常に矛盾している部分があるということを、まずきちんと事実として書いていただきたいと思います。
 その上で、日本の女性というのは能力がありながら活躍していない。だから、能力に応じた実力主義からいくとポジティブ・アクションをきちんとした形で、場合によっては望ましいジェンダーバランスとしては5割ということを書いてもいいなと思います。女性が増えるといいと思うところの数字についてはもう5割くらいきているわけですね。「欧米諸国と比較すると」ではなくて世界的にということで、ここをきちんと書いていただかないとポジティブ・アクションの説得力が全くないと思います。遅れているから普通にしようとしているだけなのであって、女性にものすごく優遇的に逆差別的に引き上げるものではないという発想でしていただかないと、ポジティブ・アクションに対してまたバックラッシュが起きるという心配をいたしております。
 GEMが低い理由としては審議会どころではない。あらゆる分野においてこのような形でのポジティブ・アクションは必要であって、それをどんな形でやるかというと、そろそろ望ましい数値をある程度設定して、それは押しつけではないし、義務でもないけれども、やはり日本女性の能力に応じた形としてはこのくらいはせめてよろしいのではないでしょうかということを見えやすい形で国民にわかりやすく提示するというのが、この内閣府の今回のチャレンジ支援の中の一つの目玉になるのではないかという気がいたします。
 そろそろ3年目と先ほど樋口委員が別の賞の関係でおっしゃいましたけれども、女性公務員の方の採用もそろそろ3年目ですので、男女共同参画の意義についてある程度御理解いただきつつあるときに、では次なるところとしては望ましいものとしてこのくらいのものを見えやすい形で、わかりやすい形で御提示する。これは決して女性にとってめちゃくちゃに引き上げるものではなくて、あくまでも今まで低過ぎるものを普通並みに50%にいくまでの途中経過としての、それこそ先ほどのゴール・アンド・タイムテーブルの関係でやるものであると。審議会以外にも広げていくものがあってよろしいのではないかというのが今回だと思います。そうしますと、そういうふうな形で外国ではそのような数値目標の設定というのをどこでもやっていて当たり前であると。ですから、日本はそういう意味で遅ればせながらで、日本が突出してやらなくてはいけない必要性がかなり高いにもかかわらず、その分野でも遅れていたということも一言どこかで書いていただければと思います。以上です。
古橋委員
それに関連してですけれども、私は国家公務員についてドイツの例として、ドイツでは立法措置に基づいて女性のゴール・アンド・タイムテーブル方式をとることが義務づけられているわけです。行政も司法、裁判もそうです。それと同じように、全体として何かそういうゴール・アンド・タイムテーブル方式をとるべきであるとやはり言うべきだと思います。その場合、数値目標というときに具体的な基準がないといけません。そうすると、GEMで言っている管理職とか、国会議員の割合とか、ああいうようなものでいくのか、何年後というものを目標とするか。あれで言っている30%というのは何年までですか。
坂東局長
できるだけ早い機会です。
古橋委員
しかし、その場合の30%は何を基礎にしているのですか。
坂東局長
クリティカルマスという言い方をしていて、30%いれば政策決定に女性たちの影響力を。
古橋委員
そうすると、その母数というのが何かというのがわからないとなかなか数値が入れられないですよね。
岩男会長
あれは、あらゆる領域において30%ということだと思うのです。
古橋委員
あらゆる領域ということで数値が取れないと、毎年検証していくわけですから、何か私はやはり数値目標を打ち上げた方がいいと思います。そうすると、何でいくのか。管理的職業従事者に占める女性の割合というものが今は8.9%だけれども、それを何年後に30%に持っていくのか、少なくとも20%に持っていくのか、そこら辺のところをやはり具体的に早目に検討をして数値目標を上げるということがいいのではないか。だから、漠然として言えば20年後に20%とすると。では、その20%に相当する現状は何だと必ず言われますから、その現状は何だというところでわかるもので、かつ20年後とか、その間のタイムテーブルとして10年後にどういう目標にこれをしますという必要があります。
 それから、私はある程度これを強制すれば行政官の具体的数値はできると思うのです。しかし、それ以外において民間企業、農業協働組合とかいろいろあるわけですね。具体的に取れる数字で何だということを言うと、管理的職業に占める女性の割合というのはGEMの中に入っているわけだから、あのGEMで取っている統計数値の中で何年後にそれを幾らにするというような数値を何かここで言う必要があるのではないか。
岩男会長
私もその数値を挙げる必要があると思います。ただ、数字を何%とこちらから言うか、あるいは各省庁、団体それぞれ自分で考えて、自分たちでゴールを設定しタイムテーブルをそれなりにつくって、それを報告をしてもらうというようなやり方というのもひとつ考えられるのかなと思います。
古橋委員
その方向はこれにある程度出ているのではなかったですか。
坂東局長
そうです。今まではむしろそれでやってきて皆さん頑張ってくださいできたけれども、それこそ効果が上がっていないわけです。
岩男会長
一律にするかどうか。実は、先週私はノルウェーにまいりました。あそこは4割ルールですね。ただ、公的機関に対しては4割でかなり成功してきているけれども、次のステップは企業にどうやって強制するかという話で、2005年に4割というのを目指しているのだそうで、今、法律を準備しているのですね。それで、その法律をポケットに入れて、4割がもし進まなかったら法律を出しますよと。つまり、立法化しますよとその法案をちらつかせるわけですね。しかし、プライベートセクターに関しては、結局は実質的に自分たちの努力でやってもらうという形をやはりとる方が望ましいという考え方なのです。ですから、両にらみで進めていこうということです。
樋口委員
やはりそういう資料を私たちも個別にしか知らないし、ここの中で後の資料に世界の数値目標と法制化の動きとかというので、各国の数値が入っています。
事務局
今日、参考資料として資料の最後に付いております。
樋口委員
例えば、一番大きな法律で言えばフランスのパリーテから始まって、この間、私は是非調べてくださいと言ったのは、フランスのパパの産休の法制化の結果とか、今ノルウェーでそういう動きがあるとか、数値目標はむしろ世界の趨勢だとどなたかがおっしゃっていたけれども、その辺りはやはり出しておいた方が説得力があると思います。
岩男会長
数字でやはり出した方がいいですね。
坂東局長
それは文章の中に書き込んだ方がいいですね。
事務局
現状分析編の方ですが、今、把握している限りのことを少しずつ文章の中には入れております。例えば研究ですと例えば最後の「その他」のところで、フィンランドでは40%という話ですとか、あとは各種団体のところにつきましても、これは連合の方からお話を聞いておりますけれども、世界的な動きとしてまず50%という話があるということを受けて、ただ、日本におきましてはまだそこまで一律に求めることはできないので、それぞれの団体で自主的に目標を定めてゴール・アンド・タイムテーブル方式でやっているということですとか、それぞれの分野で自主的にどこまでやっているかというものを参考資料として付けさせていただこうというふうには考えております。
 それで、今の報告書の中におきましても、例えば研究分野では国大協さんが20%という目標を定めておられますので、そういった方向性を更に進めていただきたいというような提言の趣旨になってございますので、今のところは一律というよりはそれぞれの自主的な取組としてゴール・アンド・タイムテーブル方式を進めるという方向性が提言の中に織り込まれているということだと思います。
古橋委員
今のを聞いても、弱いのではないかという気がします。
山口委員
おっしゃるとおりです。もう少しデータの比較がないのかということですが、第一に国際比較がありますよね。日本はとてもそういうものを気にします。各種団体とか大学関係も皆、大学ならば大学の中でどのくらい女性を登用しているかとか、ランキングを表に出すことは今回の目玉になるかもしれない。
 前に都道府県の豊かさに関するランキングが出たら、低いランクの知事から文句が出たことがあったけれども、気にするのです。例えば、JAとか生活協同組合とかいろいろあるじゃないですか。そういう一覧表を付けることは案外今回の各分野の目玉かもしれない。
 それから、国家公務員の場合、ヒアリングを聞いたりした私の印象ですけれども、かなり進出しているところとそうでないところと努力目標もばらばらだと。地方公務員もましてや国家公務員は、目標値を設定して努力することは大事だと思います。それがないとだらだらしてしまうので、どれだけ努力したかということを各省も競争していただきたいし、それから男性が占めているような国土交通省のようなところだって、女性が入る分野だっていっぱいあるのだから、やはりそういう目標値はこことして提案したらどうですか。
岩男会長
さっき私が申し上げたのはそれで、その報告を、現状がこうで、それぞれ自分のところはどうするというゴールをいつまでというので何%というのを並べて出して、実際に今度は報告を求める。どこまで達成できたかをちゃんとモニターしていくというような形のやり方をすればかなり進むのではないかと思います。
山口委員
岩男会長のは各省ごとでしょう。例えばさっきから40%をどうするとか、40%はとにかくとして、あと5年たったら30%だとか、そういう統一したものがあった方が国民にとってもわかりやすいですね。
坂東局長
人事院の場合はガイドラインを示して、それに基づいて各省庁は計画をつくったのです。そのとき、もちろん数値目標などもそれぞれつくってくださることが望ましかったのですけれども、過去3年間の平均だとか、あるいは努力するように努めるものとするとか、御自分たちの努力でおつくりになった分についてはその程度しか期待できなかったわけです。今もう一回もっといいものをつくってくださいと言っても、それ以上のものが出てくるということはまずあり得ないと思います。それは、公務員についてでもどこでもですね。
古橋委員
説得の方法として、今GEMは66か国中32位というのがありますね。それを上げなくてはいけないと国家の恥ですよということは方々で言っているのです。男性の恥ですよということも言っているのですけれども、GEMにおける32位というのは女性だけの所得とか、あるいはまた国会議員に占める女性の割合、この2つはちょっと触れられないわけです。
 しかし、そのほかにこの32位の中においては行政職及び管理職に占める、あるいは技術職に占める女性の割合というのが入っているわけでしょう。それはある程度統計を取れば分かります。それから、それ以外に民間の方は労働力調査で取れるのです。だから、そういうものを既存の統計を基にして、それについて現状はこうだけれども何%にするという目標を立てるということで、何か私は言った方がいいのではないかと思います。
伊藤委員
私も今の古橋委員と同じような意見を申し上げようと思ったのですけれども、先ほどの住田委員の話で66か国中32位で、これは確かに先進国の中では最低レベルだとおっしゃいましたが、中でも国会議員の比率と行政職、管理職の比率については恐らく世界ランキングで取ったら80位台だろうと思うのです。それははっきりこれについては何位だというのを示す。66か国中だともっと下がると思いますけれども、150か国中で80位台になってしまうと思うので、そうした現実をはっきりここで語って、その上で後の方でこの状況を変えるというメッセージをはっきり出すべきだと思います。
古橋委員
この行政職、管理職及び技術職に占める女性の割合という国連の数字がどの統計でやっているか、国際ジェンダー統計というのがよくわからないので、そこのところを比較してみて、それに相応する我が国の統計はどれか、それはどういうもので取っているかというのを見て、そして労働力調査と公務員の統計と両方あるならば、それを基にして、現状はこうだけれども、これを何年後に何%にしましょうということを立てるべきだということを言った方がいいのではないですか。
坂東局長
それは誰が立てるのですか。
古橋委員
全体として内閣府が立てるのですよ。男女共同参画局として提言すればせざるを得ない。
坂東局長
何度も申しましたように、内閣府が各省と話し合ってつくるということになりますとできませんということで、まずこの前の人事院のガイドラインに沿って各省庁がおつくりになった以上のものが出てくるということは非常に難しいと思います。
古橋委員
男女共同参画会議で各省大臣にそれをやらせればいいのではないですか。
坂東局長
もしこちらでそういうことを皆さんが何%、せめてこの程度はというふうなことを提示していただく。
岩男会長
ここの報告の中にはっきりと入れて、そしてそれを参画会議に上げて了承していただく。
古橋委員
だけど、何%というのはある程度調査しないと今はできないでしょう。
坂東局長
毎年、例えば1種で何人採用、何%採用しているというのはできます。
古橋委員
行政はできます。しかし、管理職的職業に関する女性の割合というものは現状で、それは今、労働力調査で見ればわかるけれども、それ以外のものを含めて。
坂東局長
国勢調査ですと8.9%ですし、女子雇用管理調査30人以上企業とか、幾つかのものではすべてデータはあります。
古橋委員
では、このデータでこれを何年後に幾らにしましょうというふうに言えばいいんですね。
坂東局長
民間企業に関してそういう数値を出すというのは恐らく……。
古橋委員
それはさっき言った通産省が反対しているのと同じじゃないですか。
山口委員
例えば、国会議員などは世界のランキングがはっきりしますよね。IPUが毎年出しますから。それで、例えば先進7か国の公務員における上級職というか、そういうところがどのくらいか。それに対して日本は低いと。それで、このくらいはせめて目標値というふうには出せると思います。
山口委員
それは違いますけれども、私が申し上げたのはそのことじゃなくて、国会議員はランキングがはっきりしている。だから、単純に総数に対して女性が何%、それを各国と比べたら何位だということ、それでいかに112位で低いとか、そういう方がわかりやすいですね。
 データによるランキング表を出したい。それを3年に1回ずつ出していく。これはやはりチャレンジの成績表ですよ。これならばできるのではないかと思うのです。是非そういうランキングのデータブックを3年ごとに出してほしいなと思います。
岩男会長
そうですね。それで、成績のいいところや上がったところに賞を出すと。
坂東局長
では、目標値はお出しにならないですか。
山口委員
目標値は目標値としてですね。
古橋委員
目標値を出す以上は、基礎データをきちんと早く出してくれないと困ります。
住田委員
私が最初に申し上げたのは、人事院の方で2001年に女性国家公務員についてのガイドラインを示されて、それからもう3年たったので、そろそろひと回りしたので、その次にそれを受けて内閣府としても一つの何かを出してもよろしいのではないか。今までと同じことをやるのではあまり意味もないので、一つずつ段階を積み重ねる意味があるのではないかということを申し上げたつもりです。そうしますと、そろそろ日本も遅ればせながらであるけれども、望ましい数値目標というのをある程度示すことではないかということを申し上げたのです。
 ですから、私はあくまでその趣旨で申し上げたいと思うのですが、ひとつ支えになると思いますのは1990年のナイロビの会議での30%という数字。あれがいろいろな分野において私は一つの尺度になると思っていまして、ここら辺でこれを更に浸透させる。これは国連のそういうふうな場で一つの目標として出たので、何も審議会だけをこれですることではなくて、あらゆる分野において少なくとも20%、そしてできれば早いところ30%ということを言ってもよろしいのではないか。
 そして、個別分野で余り言うと角が立ちそうですので、数字としてわかりやすいところとして私はこれをひとつ提言したいと思うのです。これをここに組み込むということです。
岩男会長
私も全く同感です。日本は国連というものに対して非常に弱いところがあるので、国連がこういうふうに言っています、早くこれを達成しなければと出す。第2位の資金拠出国でありながら、国連が示した目標を達成しないのはおかしいですから。
伊藤委員
この数字は30%でよろしいですか。33になっていませんか。目標は3分の1になっていませんか。
坂東局長
クリティカルマスは30%ですね。
住田委員
それで、審議会についてはこの目標に向かって全省庁が総力を挙げてやっておられて、それに対してある程度のものが出来てきたわけですから、それをいろいろな分野に浸透させましょうと、日本はそういう形で一つずつと。
伊藤委員
国際社会が決定した目標に向かって日本も努力しましょうと、そういうメッセージは数字を出して言えるのではないかと思います。
古橋委員
そんなことを言って最初から30%にしたら、ああそうで終わってしまう。だから、具体的に今度は義務づけなくちゃいけない。
伊藤委員
今度は2010年までにどれくらいとかですね。
坂東局長
審議会の場合は30%という数字をいきなり出さないで、10年で10%、それを達成したら15%、20%、そして30%というふうに少しずつ引き上げてきているのですね。
古橋委員
私は、国家公務員についてはぽんと数字を出したらいいと思います。各省が反対しているけれども。その次に民間における管理職の割合というものについて努力目標をやはり立てるべきだということで。
坂東局長
中間報告のところで出しましたように、アメリカは46.5%、ヨーロッパのスウェーデンとかは28だ、29だ、26%に対して日本は8.9%だと。
樋口委員
今のことについて、私がちょっと関係していることでは、厚生労働省の中に女性の活躍推進協議会というのがあります。これは要するにポジティブ・アクションを広げていこうということで、一昨年始まって25人の委員のうち19人までは企業の代表権のあるトップが集まっています。かなりしっかりしたことを入れて中間報告が出て、本当はこの3月で任期満了、解散となるはずだったのですが、そう言っている中で47都道府県全部に女性の活躍推進協議会ができたということもあり、国の協議会も当分続けることになりました。
 そのときにいつも有識者から出てくる数値目標ということに対して、経営者のある方々は非常に反発なさいます。ただ、それが論議されるようになったということで、時代の動きを感じます。そういう動きも踏まえながら、女性のチャレンジ・ネットワークというとき、47都道府県にそういう活躍推進協議会がつくられたわけですから、まさに雇用の面ではそこでポジティブ・チャレンジのネットワークができているわけです。特に地域の中にまで浸透している縦割り行政を崩して、トータルに人々が生きやすく、女性がチャレンジしやすくしていくのが地域社会だと思っていますから、ネットワークをつくるのは大賛成でこれは目玉になると思うし、進めなければと思います。
 ただ、具体的に例えばどことどこのグループ・団体というように、どういうところでどんな関わり方ができるのか、もうひとつ具体的なイメージがわかないので教えていただければ幸いです。また、数値を挙げるとき、2割というか、3割というか、限りなく50%を目指して当面は何十%でいいのではないですか。
古橋委員
私は、やはり一番説得力があるのはGEMの数字だと思うのです。今は66か国中30何位とか言っているけれども、その中で行政職、管理職に占める女性の割合は幾らということの国際比較を早く出してほしいのです。
村上課長
この白書の34ページをごらんください。
古橋委員
何位じゃなくて国際比較の割合ですよ。
村上課長
これは要因分析をして、今は1位から10位の国、11位から20位の国、21位から30位の国というふうに10番ずつ分けて、その国の平均値がどうなっているかを見ると、やはり日本は水色と青が悪くて、国会もかなり低いのに寄与してしまっているわけで、あとは行政職、管理職ですね。専門職、技術職はほかと比べて遜色ないなということがこれでもっておわかりになるかと思います。
古橋委員
その元統計はどの統計をとっているのですか。専門職、技術職に占める女性の割合の統計の元統計です。行政職、管理職に占める女性の割合というのは人事院の調査を出しているのかどうか。その元統計があれば現状はすぐわかるわけだから。
村上課長
元統計はどちらにしてもマクロの統計で、国勢調査なり……。
古橋委員
その統計が欲しいのです。
坂東局長
国勢調査でしょう。8.9%です。それが9.0%なのはどうしてかということで。
古橋委員
専門職、技術職にしても国勢調査ですか、それとも労働力調査ですか。
村上課長
8.9は労働力調査です。
古橋委員
行政職に占める女性の割合は人事院の統計でわかるのですね。
事務局
中間まとめは今お手元にあると思いますけれども、その後ろの参考資料の9ページをごらんいただきたいと思いますが、企業の女性の管理職比率ということで代表的なものを挙げさせていただいております。これは労働力調査ということで。
古橋委員
それと足して、この管理的職業従事者というのは行政は入っていないでしょう。入っているのですか。
事務局
これは企業です。
古橋委員
そうすると、全体として30%ないし20年後に何%にすると決めたとき、現状の数字は何かといったときに、ただ数字を並べただけでは余りにもいい加減な数字だと言われてしまうから、私の言いたいことはそこのところの関係をつけるような統計をちゃんと取っておかないといけないよということです。ゴール・アンド・タイムテーブル方式のときのゴールを決めるときに、現状は幾らだから毎年これだけ上げていくのですよといったときのですね。
事務局
今、参考資料として目次だけですけれども、データを付けさせていただくというものを御用意させていただいています。今、事務局で御用意できますのが政策・方針決定過程に関する参考データということで、各国の女性国家公務員の採用状況ですとか、企業における管理的職業従事者に占める女性の割合ですとか、そういったことは御用意できるとは思います。
 ただ、ランキングというようなことができるかというと、今の状態では難しいと思います。それで今、公表できるものとしてこういった数字は御用意できます。ただ、個々の分野をその数字に基づいて何%ということを目標として立てるということはなかなか難しいというふうに考えております。
 それで、提言の中にそういったことを書かせていただいております。支援の着実な実施及びそのための評価ということで書かせていただいているのですが、ここでは今までのヒアリング等の中で自主的に目標を設定して継続的に把握をする。それをまた評価し直して将来的な計画に反映していくという好事例が見られましたということを踏まえまして、こういった現状分析、取り組む定量的及び定性的な評価並びに施策への反映を行うことは期待されるということを今のところでは書かせていただいています。
古橋委員
それでは弱いから我々は強いのを出したいと言っているので、その場合に書き方としては国連がこういうふうに30%と定めているのだから、その目標に向かっていくべきだと。その場合、特にGEMの中に参照されている専門職、技術職に占める女性の割合は現在何%だけれども、それについては何年後に何%、それから行政職に占める女性の割合は何年後には何%にするということを検討する必要があるということを言う必要があるのではないかということを言っているわけです。
 全部インテグレートした目標を出すというのはなかなか難しいならば、しかしGEMの中に入っていることは確かだから、これを上げるということが我々の目標でしょう。このGEMの割合は今、恥ずかしいのだから、こんなことをやっていると国際協力もできなくなってしまう。日本は何をやっているのと。GADをやれと言っているのに、日本は自分のところでやっていないじゃないのと言われたときに、できないのですよということでしょう。したがって、これは上げなくちゃいけない。そうすると、やはり30%という国連の目的だからそれに向けてできるだけ早くやりましょう。とりわけこの部分についてはこれだけ遅れているから、例えば8.9%というのは20年以内に倍にするとか、国家公務員の割合で言うならばこれはある程度数字は私は出ると思います。それを何%にすると。現在の行政職、管理職に占める女性の割合はこうだからと。
樋口委員
国家公務員の管理職は低いですよ。1.1じゃなかったですか。
古橋委員
行政職、管理職は地方公共団体も入っているのですね。1.1というのは1種でしょう。
坂東局長
今は少ないですが、恐らく15、16年もたてばその人たちが上がってくると思います。
古橋委員
だから、そこのところの数字をぼんと出すべきか、出さざるべきか。私は国家公務員については前からゴール・アンド・タイムテーブル方式で数字を出せと言っているのだけれども、各省の抵抗で人事院も出せなかった。しかし、今や出すべきだ。ドイツや何かは法律でつくっているのだから。
北村委員
HDIというのは種類の違う指標だということは重々承知しているのですが、それはその国の国民のポテンシャリティーを表すものですよね。そうすると、例えばこれだけの力と環境がある人間だったらばという言い方でイメージ的な数字を逆にそちらからある程度出すことは不可能なのでしょうか。つまり、これだけの力と環境があるのだったらここまで言っていいはずだという。
伊藤委員
ジェンダー開発指数は11位ですから、少なくともここまではいけるはずです。
住田委員
その11位をやはり書いていただきたいですね。
坂東局長
そのどちらが迫力があるか、わかりやすいかということをちょっと皆さんにお考えいただきたいですけれども、そもそもGEMとは、そもそもHDIとは、これが何位の何によって何年内に何%という方がわかりやすいですね。
住田委員
私は、ポジティブ・アクションが女性に対する逆差別になるということに対する備えとしてそこは書いておくべきだろうと。能力があるのに、それに比して実力相応の登用がされていないということですね。そこは書いておくべきだと思います。その上で今、申し上げたのがやはり数値目標で、どちらかというと私の個人的な感じではやはり30は国際的な形で出ている数字ですからこれを掲げて、しかし遅れている部分についてはいきなりは無理だから20くらいでいかがでしょうということで、その部分については性急なことを言わずに、国家公務員はもう20というのは時間の問題だと実は思っていますので、そんなに抵抗なく取り入れていただけるのではないかという感じがしています。
 あとは、管理職の方は特に民間企業に関しては今は9ですから、今、古橋委員がおっしゃったように10年、20年たてば20になるというのも、今の上の方はどう思うか知りませんけれども、全体的な流れから見てそれは20にいくのだろうと思いますので、それも無理やり設定して押し付ける数字ではないと思います。
古橋委員
この表をちゃんと出して比較を出すことですね。
伊藤委員
ただ、従来は102か国でデータが出ていましたね。何で2001年だけ六十何か国になっちゃったのですか。
坂東局長
恐らくデータが集まらなかったのだと思います。
伊藤委員
でも、従来102か国でずっと出ていましたよね。
坂東局長
余りでこぼこじゃまずいでしょう。その前の年に調査がなかったのではないですか。
住田委員
自信のない国は出さなかったのではないかという気がしますね。
伊藤委員
102か国で2000年のときはたしか41位か何かですよね。
坂東局長
5年に1回とか3年に1回しか調査していない国が多いのではないですか。
樋口委員
47都道府県の県の職員の通知表があったら面白いかもしれないですね。
古橋委員
それはもう出ていますよ。
樋口委員
議員だけでなく、職員の管理職も出ていますか。
古橋委員
管理職もあります。
坂東局長
よくやるのは、学校の管理職で校長、教頭の割合の47都道府県ランキングというのはフォローしていらっしゃいます。
山口委員
各県のデータがこのくらいのもので出ましたよね。
上杉審議官
その辺は地方の行政で全部出ています。
山口委員
やはり気にしていますよ。
樋口委員
やはり気にしているものを出さないとだめですから、ランキングを出していくのはいいことだと思います。
住田委員
目標をどのような位置付けにするかですけれども、余りクォータみたいな形式とか、義務的なものにするとやはり抵抗は強いし、確かにそこに至る段階にはまだ至っていないと思いますので、できれば望ましいという形での緩やかな。
伊藤委員
2015年目指して目標何%に向かって努力をしましょうみたいな、そういうメッセージだと思います。
住田委員
そうですね。それに対する改善計画をそれぞれにおつくりいただくということですね。
岩男会長
その努力の進捗状況をレビューしていく。
伊藤委員
業種別とか、それぞれに関して女性の管理職の割合についてのランキングを、例えば毎年毎年発表しながら各県別でやっていくような形ができれば、それは競争的な原理がいろいろな面で働くわけですね。
樋口委員
働くところはいいですけれども、一向に無競争な企業はどう説得したらいいですか。近々会議がありますから教えてください。
 女性の活躍が目に見える業種、例えば化粧品会社、例えば資生堂はそうやっていらっしゃるだろうけれども、うちのような重厚長大企業はどうしても男性中心になりますのでという企業はどうしたらいいでしょうか。そういう企業はずっとそれでいいのでしょうか。例えば鉄鋼ですね。
古橋委員
それは、女性職員の中に占める管理職の割合というものをすればいいのではないですか。ドイツだって、全体の女性職員の中に占める管理職の割合が低いところは特に出しましょうというやり方だったのです。
樋口委員
そういう重厚長大なところでも女性職員がいないわけではないですからね。
古橋委員
少なくとも女性職員の元数が少なかったら数は少ないかもしれないけれども、比率としてはやはりある程度同じにしてくださいよということを言うべきなんじゃないですかね。
伊藤委員
国際比較だと、重厚長大でも結構女性の管理職がいる国もあるのではないかと思いますけれども。
北村委員
おそらくイメージがないと思います。男社会でやってきた企業みたいなものは、うちは重厚長大だからだめよというときにシミュレーションをするという作業がおそらくない。そうしたら、この委員会で出すかどうかは別にして、ある種の未来小説的なもの、女性をきちんと採用したために起きてくる状況みたいな青写真みたいなものをどこかで見せるという作業はあってもいいと思います。それはもちろんポジティブな意味でです。
伊藤委員
確か若手官僚たちがつくった二千何年の未来というものがありましたね。あの中に男女の話もかなり入っていたような気がしますけれども。
村上課長
要は企業における公正な業務評価の徹底の推奨とか、目標を立てる際のベンチマークとして活用できるような業種規模別の女性の活躍状況等の各種データや好事例など、目に見える形での情報の収集提供と、ここで一応厚生労働省がやることになっておりまして、これは中間報告でもここの部分は言及しておりますので、これをちゃんとやってくださいねということかと思います。
坂東局長
それから、そういう職場だけではなく、国公立大学の教員の方たちは20%とか、あるいは今、文部科学省のキャリア懇談会の方では研究者の数値目標を30%というのをお出しになるというのに、この専門調査会ではそれは……。
樋口委員
出せないというのはお恥ずかしいではありませんかと。
岩男会長
大分時間が押してまいりましたけれども、最後の「国際分野におけるチャレンジ支援」の国際公務員のところも、やはり女性が既に活躍をかなりしているわけで、それによって日本のイメージが随分改善されているという事実があるので、非常に活躍しているということを書いた方がいいのではないでしょうか。
樋口委員
今日外務省から来た方に申し上げようと思っているうちに時間がなくなってしまったのですけれども、会長がおっしゃるとおりですが、実はいろいろなことをやっているわけです。伊藤委員から少し前に御質問が出て、NGOについてはどうかということでしたけれども、内閣府はそういう分野を把握できないのですか。アフガニスタンにも関わっていることですし、いきなり今すぐでなくても必要性があると書いておくくらいでもいいのですが、NGOにおける女性の国際的活動の活躍とかですね。
 それから、国連職員というと非常に高学歴であり、レベルも高くなりますが、例えば私の大学の卒業生でよく行っているのが青年海外協力隊です。そこで、栄養学とか被服学とか看護師ですね。それから面白いのは、家政大学の社会人などを見ますと、看護師として協力隊へ行ってみて、もっと別な基礎勉強が必要だというので、医療レベルよりも生活レベルが必要だと言って栄養学に再入学してきたり、家政学レベルというのは青年協力隊で目立たないかもしれませんがよく活躍しています。
 昔、中根千枝先生が研修所の何かの役をしていらしたころ、男女の比較をお書きになった非常に面白い本がありました。
 そして、あえて言えば、これはむしろ女性にも男性にもいえることですが、そういう人材が帰ってきたときの受け皿ですね。やはり帰ってくる若い人たちの受け皿が今になってもあまり改善されていないわけです。女性のチャレンジ支援が、行って帰ってくる男性の幸せのためにもここで受け皿のありようを提言するというふうにしたら、男性からも感謝されるのではないですか。
古橋委員
先週の金曜日にJICAの運営審議会に私も出ていました。JICAは独立行政法人になってしまうので、運営審議会もなくなってしまうのですが、そのときに海外青年協力隊の話も出ましたし、そういう人が帰った後の受け皿をどうすべきということについても非常に議論が出ました。
 したがって、今JICAに海外青年経済協力隊のジェンダー統計ですね。要するに、女性が何人くらいいてどういうふうになっているかという活動状況を調べてもらって、これを先に積極的に推進すべきであるというようなことを一言書くこともいいかもしれません。それで結構男性も出ているのですよ。大学を出て目標が定まらないときには一回行ってくるのが、今の一つの流行ではないですが、格好いいことになってきましたから。
住田委員
「男女共同参画社会の実現」ですが、ここに家庭生活の充実などについて、是非一言入れておいていただきたいと思います。是非お願いします。男女共同参画社会と言うと社会全体と書いていますが、家庭に目を向けていないという言い方をされるのが一番困ります。その視点だけはどこかに入れておいていただければと思います。
岩男会長
それから、中間報告を出した後で、再チャレンジが弱い、もっと書き込んでほしいという御意見がきておりました。それで、私も昨日飛行機の中で考えていたのですけれども、今ほかの方でやっている調査結果を見ても、辞めて非常に後悔しているという女性が多い。出産や何かで辞めて、思うような復帰できないということですけれども、考えていたのは、辞めてからいろいろなところに行って履歴書を書くとかあるのですが、私は辞める前にしなければいけないことというのがわかっていないと思うし、それを教えることをしていないのではないかと思うのです。
 ですから、辞める前には必ずこういうことをしておかなくては後で復帰が難しくなりますよというものを提供しなくちゃいけない。非常に具体的な形で、ある意味ではマニュアルみたいなものを辞める前に渡すということが私は必要なような気がします。だから、身近にというときにそういうものもこの中に入れ込んだらどうか。あるいは余りにもレベルが具体的過ぎるのか。
樋口委員
ちょっと待て、その退職。辞める前にこれだけは。
岩男会長
今はそこを何も考えずに辞めているのです。
古橋委員
そうすると、ストレスが高まっちゃうのですね。辞める前にちゃんとそういうことをやっておけばストレスが高まらないかもしれない。
住田委員
子どもを1人しか生まないのは、2人目を生むのが大変で早く戻りたいと、実は少子化につながっているのですね。
岩男会長
どういうコネをつくっておく必要があるとか、辞める前にいろいろなことがあると思うのです。それでは、もう予定の時間になってしまいましたけれども、今日御確認をいただきましたように、全体構成としては少し修正をするところがありましたが、一応基本的にはこのような形でということで、本文とアピールは別にするということと、それから参考資料として個別分野、現状分析編及びデータ等参考資料というのを添附するという形でつくり上げる。
 それから、先ほどの柱については御確認をいただいて、その順番をその柱との関係で高橋委員のおっしゃるような形に変えるということですね。それから、その他いろいろ御意見がございましたことを織り込んでいただく。それで、次回に最終のディスカッションをするということですけれども、またいろいろと御意見があると思いますので、3月3日までに事務局までお電話またはファックスで御連絡をいただきたいと思います。
 それから、樋口委員には宿題をお出ししてしまいましたが、よろしくお願いします。
 それで、いただきました御意見を事務局の方で整理をしていただいて、3月14日が一応最終の検討になりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。そして、4月の参画会議で御報告をするというふうに考えております。そういうことでよろしゅうございますか。何か事務局の方から御連絡がございますか。
事務局
次回の御案内をもう一度させていただきます。3月14日金曜日16時半から19時までということで、場所は今日と同じ場所でございます。
岩男会長
それでは、これで本日の会議をおしまいにさせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)