男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成14年12月18日(水) 16:30~19:10
  • 場所: 内閣府5階特別会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
    会長代理
    八代 尚宏 (社)日本経済研究センター理事長
    委員
    伊藤 公雄 大阪大学教授
    北村 節子 読売新聞社調査研究本部主任研究員
    住田 裕子 弁護士
    高橋 和之 東京大学教授
    竹信 三恵子 朝日新聞企画報道部記者
    寺尾 美子 東京大学教授
    樋口 恵子 東京家政大学教授
    古橋 源六郎 (財)ソルトサイエンス研究財団理事長
    山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事

(議事次第)

  1. 開会
  2. 地域社会における女性のチャレンジ支援策について
  3. 閉会

(配布資料)

資料1
滋賀県説明資料 [PDF形式:162KB] 別ウインドウで開きます
資料2
山口委員説明資料 [PDF形式:479KB] 別ウインドウで開きます
資料3
地域における特色ある取組事例 [PDF形式:3820KB] 別ウインドウで開きます
岩男会長
ただいまから「男女共同参画会議・基本問題専門調査会」の第19回会合を開催いたします。大変お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。
 本日は、地域社会における女性のチャレンジ支援策について検討することになっております。最初に、滋賀県企画県民部男女共同参画課の西原参事から、自治会等における女性のチャレンジ支援策についての滋賀県の取組について御説明をいただき、その後で山口委員から、地域における政治への女性のチャレンジ支援について御説明をお願いしてあります。その後、事務局から地域における男女共同参画に関する特色ある取組事例について御説明をいただき、併せて、前回調査会で委員からお出しいただいた宿題についても御説明をいただきたいと思います。
 それでは、最初に、滋賀県企画県民部男女共同参画課の西原参事から、自治会等における女性のチャレンジ支援策についての滋賀県の取組についてお話をお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
西原参事 (滋賀県)
ただいま御紹介いただきました滋賀県男女共同参画課の西原と申します。今日は、貴重なお時間を滋賀県のためにいただきまして、ありがとうございます。私から、滋賀県で今取り組んでおります自治会等における男女共同参画に関する取組について御紹介させていただきたいと思います。その前に、滋賀県と申しますと、琵琶湖を真ん中に抱えておる県でございまして、150余りの大小の川が琵琶湖に流れ込んでくるのですけれども、その琵琶湖の水が流れ出ますのは、南の西側の部分からただ1か所、瀬田川となりまして大阪湾のほうに流れ出ていきます。その流れ出ますところが大津市と申しまして、県庁所在地でございます。これは、京都駅からJRで10分という非常に近いところに大津市がございまして、その大津市の周りに4市が隣接をしておりまして、この部分を湖南地域と申しております。滋賀県は今、人口が135万ございますが、このうち湖南地域にはベッドタウン化ということでほとんど京阪神から転入されてきた方々が住んでおられるということでして、私が県庁へ入ってから30年ほどになるのですけれども、30年前には80数万という県でございましたが、今は135万ということで、人口の増加率が全国一高いということで、半分位の都道府県において人口が減少している中で、増加し続けておりまして、これが2015年になりますと、滋賀県と沖縄県の2県だけが増加県になるだろうと今思われておりますし、また、2030年には滋賀県だけが唯一人口増加県という形になるだろうというふうに推測されておりまして、そういった形で滋賀県は非常に人口が伸びているのですけれども、先ほど申しましたように、南の方に人口が偏っているということで、湖北とか、琵琶湖の西側に当たる湖西の方面では高齢化と人口の減少化が進んでいるというような状況でございます。このような中でさまざまな意識調査をいたしましても、県民の気質といいますか、そういったものが大きく二極化しているような状況が現れてきております。
 それで、自治会への取組を始めました経過として、資料1の1枚目に4点ほど書かせていただいております。
 まず1点目ですけれども、滋賀県民の社会活動への参加率が非常に高いとしておりますが、これは13年度「社会生活基本調査」におきましても、まちづくりの活動に参加しているのが男性では滋賀県は第2位、女性は第1位ということで非常に参加率が高い。もう1点、ボランティアの活動への年間行動者率におきましても、全国で3位という高さを誇っておりまして、県民の社会活動への参加が非常に高い県ということがいえると思います。こういったものは、滋賀県は琵琶湖を抱えておりますが、琵琶湖の水質が今かなり悪くなってきておりまして、既にご存じかと思いますが、昭和52年には、琵琶湖の水質を守ろうという形で、石けんの使用促進運動というのが住民からの運動として盛り上がりまして、その2年後に琵琶湖の富栄養化防止条例というものが制定されまして、有燐を含む家庭の合成洗剤の使用禁止の条例ですけれども、こういった動きも住民から起こってくるというようなことでございますし、また、阪神・淡路大震災の折にも多数ボランティアで活動に参加したというような県でございます。一部、義務的な参加も見られますけれども、総じて、県民気質として主体的に参加をするような気質を持ち合わせているというのが県の1点目の状況でございます。
 そして、2点目ですけれども、固定的な役割分担意識でありますとか、日常での不平等感を県民がどのように感じているかということで少し御紹介させていただきたいと思いますが、固定的な性別役割分担意識は、12年度の県政世論調査の折には、男は仕事、女は家庭ということに同感するというのが18%ございました。これが、10年前の調査結果が28%ございましたので、10年間で10ポイント減少してきております。また、日常生活の中で、どの点に不平等感を感じますかというのは、4枚目の図2を見ていただきますと、一番下が家庭、その次が職場、その上が地域社会となっておりますが、この3つを足しまして、平成12年度では約7割の方が不平等感を感じております。その左横は5年前の平成7年度ですけれども、この表と見比べていただきますと、職場におきましては少し下がっております。これは、均等法等によりまして一定の改善が図られた結果であると思っておりますが、家庭と地域社会では若干ポイントが上がっております。これは、啓発や学習が進む中で、身近な生活の場に残っております不平等感というものに関して、そういったものを実態として見据える人が増加をしているのではないかと感じておりますが、これを年齢別で見てみますと、やはり年齢により意識にかなり大きな格差が出てきているのが現状でございます。地域によりましても、都市化の部分と農村的な部分とではやはり感じ方に差が出てきているというのが現状でございます。
 それから、自治会等の会長や副会長の役職に占める女性の割合ですけれども、5.3%という数値は、県内に自治会総数が3,111団体ございますが、そのうち166団体で女性が会長又は副会長に就任している団体でございます。これは13年度の数字でございますが、12年度、11年度と調査をしましたけれども、余り差が見られないところでございまして、12年度が5.1%、11年度が4.6%というような数値になっておりまして、会長なり副会長に女性がなるというのは非常に難しいということと、このうち、ほとんどが支部で占めておりまして、郡部のほうではまだまだ女性がこういった役職に就いているということが非常に少ないというようなことも表れております。
 3点目で、意識調査の結果、今後、どういった点で地域社会にて取組を進めていく必要があるかという調査をした結果が図3にありますが、これから一番必要なことと挙げておりますのが地域ぐるみによる子育てなどの仕組みをつくることでございまして、これはやはり女性の方がそういったことが必要であると多く答えているところです。
 次に、やはり古い慣習・慣行やしきたりを見直す必要があるというのが男女とも40%台になっております。その次に、女性が自治会等の役員になるなど、地域で女性が政策過程へ参画していくことが今後取り組む上で必要であると、県民の声も出ております。
 そして4点目ですが、男女共同参画懇話会がこの3月までございまして、その懇話会から平成13年3月に県に対して提言がされました。その中で、やはり地域ぐるみの取組が必要だという提言がされております。本県は、県民の社会活動への高い参加意識が見られるところですが、そういった意識を生かしながら地域ぐるみの取組の促進が重要だということで、県に対して提言がございまして、こういった点を受けまして、12年度におきまして、県が自治会等への取組を開始いたしました。
 実際の自治会に対する実践モデル地域の支援事業につきましては、13年度から開始しておりますが、その前段階として、12年度に自治会での取組を始めたところです。
 第1点目は、県内に3,111団体ある自治会等の自治会長に、アンケートを実施しました。その結果ですが、5点挙げさせていただいております。まず、自治会長や副会長に女性がなるのが非常に少なく、その時点ですけれども、会長が1.1%、副会長が3.0%と非常に低い数字になっております。そしてまた、自治会の役員等になりまして自治会の運営等に参加している女性が約25%ということで、やはり女性の参加も低い。全体の4分の1にとどまっているという状況でございます。それから、会長の選出方法でございますが、選挙により行うというのが過半数の54%を占めておりますが、そのほかは持ち回りですとか、話し合いによって決めているというのが現状でございます。そしてまた、投票ですけれども、世帯で1票という形で投票しているのがほとんどということで、この時点では93%がそういった投票の仕方をしておりましたが、わずかではございますが、成人の男女全員に投票権がある自治体が16団体ございました。これが全体に占める割合としては1%というような状況でございます。
 それから、実際、自治会の役員会での席の座る場所ですけれども、これは、ほとんど来た者から順次座っていくというのが約5割。そのほか、やはり年長者とか、男性から座っていく自治会が20%ございました。それと、役員会で男性は会場の準備や後片づけ、女性はお茶汲みなど台所回りの仕事を分担しているというような現状でございます。
 それから、自治会でさまざまな奉仕活動をしておりますが、そういった奉仕活動に女性が参加した場合に、男性ではないということでもって追加費用を分担しなくてはならないと。これは出不足料というふうに申しておりますが、そういった出不足料を支払わなければならない自治体が全自治体のうち2.5%ということで156団体ございました。これは、この13年の調査時点で156団体で実際にまだあったわけですけれども、その時点で、過去にあったが、そういうものは廃止をしたという団体が160団体ほどございました。ですから、そういった習慣が残っておりました中で約半分強の自治体はもう既になくなっておりますが、約半分の自治体では今もってこういった出不足料が残っているというのが現状でございます。
 それから、伝統的な行事の運営なども自治会の主な行事としているところが多うございますが、そういったところにおきましては、やはりそういった運営や企画に当たっているのは、自治会のうちでも限られた人であると答えているところが約5割ございました。そういった限られた人というのは、ほとんどが男性で占めているというのが現状でございます。これが13年の1月から3月にかけました自治会のアンケートの結果でございます。
 それから、12年度には、県としまして、地域でこういった男女の取組を進めていただくリーダーのための手引書を作成いたしまして、配布して活用していただくという形でここに持ってきておりますけれども、こういった地域の研修マニュアルというものを作成いたしました。それから、啓発ビデオとしまして、「FREE YOUR MIND~本音を語りましょう!~」ということで、これは業者委託しまして、約15分のドラマ形式の啓発ビデオですけれども、これを作成いたしました。そういったことを12年度に行いまして、13年度に自治会を対象としました支援活動を実施いたしました。
 それが2点目の事業でございまして、事業のねらいということで、ここで2点挙げさせていただいております。この事業を開始いたしましたのは、自治会の住民自らが自治会運営や慣習・慣行の見直しをしていただくということが1点目のねらいでございます。そしてまた、2点目としましては、こういったモデル自治会で取り組んでいただきました運営の手法や取組事例につきまして、関係者でそういった情報を共有していただきまして、そして、そういったノウハウを他の地域へ発信をしていただこうということで取組をいたしました。取り組みました自治会は、自主的に手を挙げていただきまして、2年にわたりまして事業を進めていただくという形で進めました。
 具体的に取り組んでいただく内容につきましては、2頁の下の方に紹介させていただいておりますが、例えば住民による学習会を開催していただくということで、これは、講師を招いての研修会、あるいは、ビデオを使った学習会、それから、住民に対するアンケート調査。それから、組単位でありますとか、班範囲での男女に関わるような小規模な話し合いをしていただこうと。
 それから、3頁目になりますけれども、市町村や県で実施しますさまざまな講座やセミナーへ参加していただくということですとか、男性の料理教室、また、お祭りとか、さまざまな地域への行事に女性が積極的に参加をしていただく。それから、自治会等の役員へ女性が参画できるように、女性の割当制の導入、こういった取組をしていただいておりまして、これは2か年事業でしておりますので、13年度から14年度にかけまして事業をしていただいておりますのは7市町(12地域)。それから、今年度と来年度の2か年で実施していただきますのが23地域(10市町)でこういう取組を始めていただいておりますが、主として農村地域での自治会で積極的に手を挙げていただきまして、この事業に参画をしていただいております。この自治会が取り組んでいただきます市町の関係で言いますと、現在、滋賀県内で50市町村ございますが、そのうち男女共同参画の計画をつくっておりますのがまだ8市7町の15市町しかございませんが、今取り組んでいますモデル地域のうち、22の地域では町でまだ計画を持っていないようなところからの参加がございまして、町の職員ともども、こういった取組から町のプラン作成へと、この取組が動いていくように県としても期待しておるところでございます。1か年1自治体で、県2分の1、市町村2分の1ということで、10万円の範囲内で2か年間補助をいたしておりまして、主には講師等の依頼の謝礼でありますとか、いろいろな研修会や勉強会での経費、そういったものに充てております。
 そういった金銭的な補助にプラスしまして、この自治会での取組支援の特徴として2点ございますので、それを中ほどに書かせていただいておりますが、自治会と市町村の担当だけではなかなか取組が前へ進まないというような状況もありますので、専門家の支援委員、これは3名で構成されておりますが、大学の教授とか女性史研究家等で、3名が支援委員として当たっていただいております。この支援委員と、地域づくりアドバイザーというのを県で養成しておりまして、こういった方が中心になりまして、自治会への支援に当たっております。地域づくりアドバイザーにつきましては、ここでは男女共同参画センターが養成したと記入しておりますが、過去にセンターのさまざまな養成講座に参加した修了生に呼びかけまして、平成12年度から男女共同参画カレッジというものをセンターで計画しまして、このカレッジは6月から12月にかけて半年間で計10日間参加していただきまして、修了者がアドバイザーに当たっております。現在、修了者はかなりたくさんいるのですけれども、実際にアドバイザーとして地域に送り出せる人はなかなか数多くありませんで、現在、20名ほどが35地域にアドバイザーとして携わっていただいております。このアドバイザーと専門家支援委員が年間で5~6回、ミーティングをいたしまして、ノウハウを得ながら、各地域での自治会での取組にアドバイザーとして参画をしながら、さまざまな取組を進めていただいているということでございます。
 それともう1点は、地域づくり実践交流会というのを県で開催いたしておりまして、これは、そういった自治会で活動している住民が一堂に集まりまして、それぞれの取組を発表しますとともに、他の地域での取組も聞きながら交流を深めていただきまして、また新たな取組を自治会に戻って始めていただこうというものでございまして、13年度、14年度と2回開催いたしまして、13年度は60名しか参加がございませんでしたけれども、14年度は、12月14日に開催しまして、4分科会と全体会議という形で 150名ほどの参加を得て実施することができました。その後、食事をしながら交流も深めていただくということで、大変充実した1日を過ごしていただくことができました。
 こういう取組を進めておりますが、課題がないわけではございません。自治会の役員はほとんど1年で交代をするというのが現状でございまして、手を挙げて新たな取組に取り組んでいただきましても、2年目にほとんどの役員が入れ代わりをするという中で、継続して取組を進めることが非常に難しい自治会も出てきていますし、また、女性がさまざまな自治会活動に参加することで、一部、決まった女性に対して地域住民がなかなかそれについて行けないというような現状も出てきておりまして、余り走り過ぎますと、なかなか住民にうまく受け入れてもらえないというような現状も中には出てきております。しかし、自治会の規約を改めて、女性が役員に入っていけるような規約改正をされた自治会もございますので、こういった自治会をただいま民間のシンクタンクに委託しまして、そういった実績事例を分析・整理を今年度していただいておりますが、来年度におきましても、こういったノウハウにつきまして取りまとめをいたしまして、他の自治会でこういった取組の輪が広がってくように、県としてはハンドブックもつくっていきたいということで、今、予算要求をしているところでございます。
 ただ、滋賀県は非常に財政が厳しい折、来年度でこのモデル事業は打ち切りという形になるわけでございますが、せっかく今取り組んでいただいておりますこの取組が全県に広がるように、これからもさまざまなNPOの団体での取組との交流も含めまして、これからまた新たな取組にもチャレンジをしていきたいと考えております。
 滋賀県の取組につきまして説明いたしました。どうもありがとうございました。
岩男会長
ありがとうございました。この場でお聞きになりたいという御質問がございましたら、1問程度よろしゅうございますか。
北村委員
人口が増えている数少ない県の1つだということですが、流入してきた人と、もともと地元にいた人との間で男女ということについての意識の差というのはかなりあるのかどうか。もしあるとしたら、その辺の調整をどんなふうにしていらっしゃるのか伺いたいのですが。
西原参事(滋賀県)
確かに、今おっしゃっていますように、湖南地域では新たに転入されてきた方が非常に多くございまして、ここでは男女という取組でというよりも、自治会活動そのものに入ってこられないというところで、都市部では自治会活動で新たな問題が発生をしております。男女の取組は、どちらかといいますと、都市部におきましては、NPO等、自主的な活動という形で、自治会での活動ではなくて、自分たちで子育てから入っていったり、そういった活動をされている方が非常に多くございまして、自治会でともに参加をされるというところは非常に少ないのが現状でございます。
 ただ、大津市などでも、自治会長が女性というところもかなりございまして、そういったところでは参画が非常にうまくいっている自治体もございますので、うまくいっている自治体を今後は県としても紹介をしながら、その輪が広がっていくように県としても応援をしていきたいというふうに考えております。
岩男会長
ありがとうございました。
古橋委員
1つだけ。滋賀県では環境問題から入っていかれたが、環境問題のキーワードの一つはまさに参画である。これからいろいろなことを進められる場合に、市と町村部とやはり分けていかないと男女共同参画を進めることはなかなか難しいのではないか。
 それから、地域における男女共同参画を考える場合に、地方分権と並んで、情報公開を大いに利用しなければいけないけれども、滋賀県の場合には、男女共同参画条例が県の場合はもうできているのか。市町村でどういうふうになっているのかそこのところを伺いたい。それから、非常にベッドタウンであるがゆえに、今後、戦後生まれの方々が定年を迎えてだんだん地元に定着してくるに当たって、彼らをNPOに組み入れていく努力がこれからの地域活動によっては必要であるけれども、そういう点について意識を今持っておられるかどうか。
西原参事(滋賀県)
確かに、今、委員がおっしゃったように、市と町村とで取組の状況にかなり格差がございまして、県の場合、8市41町1村ございますが、8市は全てプランもできておりますし、彦根市のほうでは条例も既にできております。ほかの市でも今、条例策定に向けて作業が進んでおりますが、町では、男女共同参画を担当する部署がまだないというような町もかなりございまして、どこの所属にも属さない総務課がそういった事業をしているというところもございますので、確かに県としましても、そういう進んでいるところと、これから取り組んでいくところに分けまして取組を進めていく必要があると思っておりますが、ただいま市町村合併が進んでおりまして、プランもなかなか進まないというのが現状でございます。
 それから、滋賀県は昨年度、条例が12議会で制定されまして、今、千葉県は大変御苦労されておりますが、滋賀県の場合は、昨年、大変な苦労の中で一部条文の変更という形で可決いたしまして、この4月から動いております。条例に基づくプランということで、この4月から条例に基づく審議会において、短時間のうちにプランの考え方を整理していただき、この12月議会でプランを議会に審議していただいておりますが、どの府県も同じと思いますけれども、男らしさ・女らしさですとか、ジェンダーフリー、リプロの問題で、議会も非常に質問も多いです。今、情報公開の話が先生から出ましたが、滋賀県は全て条例、計画、指針等はパブリック・コメントを3年ほど前からかけておりますので、この12月議会が終わりましたら、男女のプランも1か月間、パブリック・コメントにかけて修正を加えた後、2月議会で審議をしていただく形で、3月にはプランをつくりたいということで、作業を現在進めております。県内で今、83団体ほどNPOの登録の審査がありまして、このうち75団体、既にNPOとして活動していますが、その中でも男女共同参画関係は非常に少ないです。滋賀県の場合は環境団体がNPOでは 一番多く、それから、福祉もボランティアも含め活動がかなり盛んでして、この2分野で非常にNPOが多いですが、男女共同参画だけというのは非常に少なくて、環境や子育てとかと関わってNPOも生まれかけていますので、こうしたNPOも育てながら取組を進めてまいりたいと思っています。
古橋委員
環境で女性がそれを通じて参画していくということをやっていけば、私は何も男女共同参画のNPOをつくる必要は全然ないと思います。
西原参事(滋賀県)
そうですね。
古橋委員
その点は非常に進んでいるわけですから。石けん運動もやられていますし、そういうことではないでしょうか。
西原参事(滋賀県)
ありがとうございます。
岩男会長
どうもありがとうございました。
 それでは、次に「地域における政治への女性のチャレンジ支援」について、山口委員からお話を伺いたいと思います。山口委員への御質問は、ほかの御説明が終わってから一括して行いたいと思います。
山口委員
では、「地域における政治への女性のチャレンジ支援」。私は、これから地方議会を中心に御報告させていただきたいと思います。私ども財団法人市川房枝記念会は、女性参政権の行使の状況を調査する、有権者の啓発教育を行う、政党から中立的な立場で政治教育を行う、といった事業をしています。
 それで、まず現状を数字で把握してみたいと思いますが、実はこれから申し上げますのは、ちょうど1999年4月に第12回の統一地方選挙が終わりました後、全国の地方議会女性議員の実態調査をしたわけです。当時の旧自治省にお願いしまして、99年の6月1日に調査をしました。なぜならば、統一地方選挙といっても4割欠けているくらいの実施状況ですから、そのときに進出したということであっても女性議員の全体像をつかめない。したがって、全員の立候補、当選の状況などを調べました。簡単に特徴的なことを申し上げます。なぜならば、来年、統一地方選挙がありますので、むしろ99年の全国調査の結果をしっかり押さえていますと、来年どのくらい進出したのか、あるいは減ったのか、その辺がむしろ御参考になるかと思いますので、ちょっと申し上げます。レジュメにもありますけれども、その時点で女性議員の総数は 3,764人ということで、全議員総定数の5.9%だったということです。3,299議会のうち1,787議会、いわゆる54.2%に女性議員がいる。ひっくり返して言えば、女性議員がゼロというところが44.2%とまだあるということです。前回、95年のときは43.1%に女性議員がいたので、それを考えると若干増えている。11.1ポイント増えているということがおわかりいただけると思います。先ほどから大都市、中小都市、町村というのがありますけれども、要するに人口が多いところは多い。例えば人口10万人以上の市区議会というのは、 100%女性議員が、数は別として、一人でもいるということ。人口の少ない議会というのは非常に遅れているということです。都道府県の進出度は10.1%ということで4都府県。それから、これは別紙にグラフがついていますので、またご覧いただきたいと思いますけれども、女性の進出度が 5.1~10%というのは17道府県。前回の8道府県から考えると増えているということ。女性議員の37%以下と書いてありますが、これは私のミスで37県です。これは、その5年前に2%だったのが10県だったのですが、99年にはゼロになったということで、進出の状況がここでおわかりになると思います。議会別の進出状況を見ますと、都道府県議会が 5.3%、市区議会が10%、町村議会が4%でして、最も身近な町村で女性議員の進出が遅れていることがこの数字でわかると思います。
 それから、県議会の状況でございますけれども、これは分けて考えますと、その時点で女性県議がゼロなのは3県。前回が10県だったことを考えますと、女性県議が増えているということですが、依然として女性県議がいない県があるという状況です。それから、女性議員のいる市区議会は694議会中 621議会、全体の89.5%で、前回4年前よりも 8.7ポイント増えている。町村議会は 2558議会中 1122議会、43.9%で、いうなれば、56.1%が女性議員ゼロになるわけです。また、1222町村議会に女性がいると申し上げましたけれども、女性議員が1人というのが70.1%もあるという驚くべき結果です。
寺尾委員
町村議会というと何人位いるものでしょうか、イメージとして。
山口委員
大体20人位です。
寺尾委員
20人前後のうち1人ですか。
山口委員
ええ。詳しくはここに載っていますが、一応、傾向だけを申し上げます。地方議会の党派別については、無所属が圧倒的に多く41.4%、以下割合の多い順から、共産党、公明党、生活者ネットワーク、社民、民主、自民、諸派となっていますが、おそらく無所属の中で保守系が圧倒的に多いのではないかと考えられます。要するに、党名を名乗らないということです。それから、平均年齢は52.8歳。これは、前回は51.2歳と考えますと、高齢化しています。
 では、この時点で当選回数はどの位かというと、平均は2.2回です。しかし、99年は42.5%の人たちが初当選し、2回目が24.4%、3回目が16.9%ということで、実は当選回数を重ねるごとに割合が減っています。新人は議席を取りやすいけれども継続は難しいといった結果が出ています。これが99年全体の進出を数量的に見た状況です。
 では、進出への阻害要因についてですが、99年全体の調査を終えた後、高畠通敏先生を主任研究員に、政治学、女性学、それから私どもが入りまして9人で女性の政治参画研究会をつくって、ヒアリングやアンケートにより調査しました。東北や九州南部、山陰、四国などは、女性議員の進出が大変遅れているのですが、東北では福島、北陸では福井、四国では愛媛、九州では熊本と、4県をヒアリングしました。アンケートでは大都市と遅れている地域、これは国会と地方議会と一緒に調査しました。特色的なことを申し上げますと、やはり非常に遅れている地域では、伝統的な家族観が強く、それで男性が優位に立っているのです。政治は男性に任せておけばよいという意識が非常に強いのです。2番目は、変革を好まない。中央に直結していたい、いってみれば、議員は公共事業を持ってくるような人でないとだめということです。3番目に、そういう社会風土ですから、女性の自己規制が非常に強くなってきているということです。表に出ないということ。4番目には、そういうことから、政治には距離を置くという意識が強いということがこれで分かりました。
 今年11月に「47人の挑戦」を刊行しましたが、私どもでは女性の地方議員の養成講座を開設しております。この8年間で勉強した人たちの中で、47人がどのように選挙への立候補を決意したか、どういった選挙運動を展開したか、お金はいくらかかったか、議会活動はどういった内容を特色としているか、そして現在の問題を、書いてもらったものです。 それによりますと、出るときの困難は三盤だと言うのです。御承知のように「地盤・看板・鞄」というのですが、選挙に出た人たちは、それが障害だといいつつもこの3つを乗り超えているのです。
 むしろ、私はプラス「家族・家庭盤」と申し上げましたけれども、全般に地域社会に根強い性別役割慣習があるということです。それは、家庭、地域、組織そのものにありますけれども、女性が立候補する場合には、まず、家族・家庭の問題がある。夫が反対する、それから子育て・介護は誰がするか。もう1つは、地域社会との利害の問題がありますので、親戚が出てきて邪魔をする。こういうことで、むしろ3盤以上の問題がが「家族・家庭盤」でございます。
 特に、3盤は、男性はこういうものをある程度持っている人が議席を取っているわけですが、このようなものがなければ選挙はできない。つまり選挙は金のかかるものだという思い込み、すり込みが相当強いということをこの「47人の挑戦」で感じました。
 この47人は、こういった金のかかる選挙をしていないのです。公職選挙法では、選挙が終わると収支報告を選挙管理委員会に届け出ます。その選挙費用の届出というのは、監査をきちんとするわけでないし、法定選挙費用以内に収まっているか、領収書がついているか、10項目に分けて費用を計上するのですが、一応出されたものが公表されています。その結果を見ますと、47人の地方議会に出た人、県会議員は1人でしたけれども、平均的な選挙費用は136万円です。136万円というのは、法定選挙費用の大体30%で、3割位でやっているということです。金はどういうふうに入っているかというと、寄付金が50%、自己資金が40%、その他はバザーなどの事業で調達しています。こう考えますと、自分の地域活動、地域社会の範囲で活動していますから、その範囲から資金の支援があり、かつ自分のお金を使い活動しているので、それほど負担がない。したがって、余り3盤ということは大きな問題にはなっていないということでございます。
 それから、地域社会に根強い性別役割分担ですが、私どもの研究会での調査結果によると、伝統的な家族観、夫婦像が重視されている。女性は表に出ないことを美徳とするとか、学習はするけれども行動はしない。したがって、女性候補者が出ない。また、革新的な人が出にくい地域である。中央につながるパイプを持っている人が出る。それから、変革を好まない県民性。もう1つは、政党においても、まず男性を優先的に立候補者に選ぶことをしています。このように地域政治の実態は、男性優位が根強いといえます。
 女性の進出に向けての課題として考えられるのは、政党で女性を出すというところもあるのですが、クォーター制をとっている政党もあります。党本部の女性局ではそれをいうけれども、地域の政党支部にはそれが通らない。本部は本部、地域は地域ということで、地域の実情が優先しています。したがって、女性議員というのは男性社会の隙間産業だといわれるように、出ているという実情です。したがって、隙間産業のような状況からどう脱却していくかが大きな課題ではないかと思います。
 無所属の女性議員の活動の特色としては、1番目は議会を身近なものとして住民に知らせること、2番目は福祉政策、3番目は教育、4番目は平和問題の取組です。特に無所属で出た女性議員についていえますが、分かりやすく、かみ砕いた形で積極的に議会報告を行っております。この議会報告は、公的なものと比べますと、自分がやったという自慢話よりも、客観的に議会の状況を書いている。それから、報酬を公開するなど、ガラス張り、透明度を図る特色があります。住民参画で議員を送り出しますと、多くの人が傍聴するようになったとのことです。富山県の例ですが、非常に多くの人が傍聴したので、男性議員からバスで動員したのかと聞かれたそうです。女性議員たちは、よく調査や情報収集を行うなど、従来の議員とは違って、政策提言をしようとする傾向も見られます。
 それから、自治と分権下の住民参画ということでございますけれども、これは特に自治体に提案したいと思うのですが、やはり男性・女性議員数の大きな格差、これをなくすキャンペーンをとるべきではないか。例えば自治体の基本計画、行動計画の中に取り込んでいる自治体がかなりあります。国は政策・方針決定過程への参画を奨励しているものの、政治や国会への進出を計画や施策にあげていませんが、自治体などではかなりそういうことを入れている地域があるということです。自治体の基本計画の中に、特に自治と分権下では、男女共同参画、住民参画が必要である。そういう意味で、もっと政治への参画を強調する計画と施策があっていいのではないかと思います。
 もう1つは、政治意識の向上への取組です。旧自治省では選挙管理と選挙啓発が仕事だと思います。明るい選挙推進協会などで選挙のたびに推進員の人たちが「みんな投票しましょう」といったキャンペーンをしますけれども、もっと積極的に考えて、分権の時代ですから、自治への住民参画とか、そこと選挙とのつながりを、この選挙啓発で男女共同参画を強調していいのではないか。これは、地方議会に限らず、国政についても言えるということで、単に投票しましょうというよりも、男女共同参画の視点を入れて、もっと政治意識の向上に役立てる方策があるのではないかと思います。
 1990年代になりましてから女性たちの議会進出を目指すネットワークがずいぶん広がっています。例えば女性議員を増やす会とか、あるいは女性の政治スクールとか、私どもの市川房枝政治参画センターもその1つでございますが、どちらかというと選挙運動に役立つ即戦的なプログラムで、立候補から選挙運動までのノウハウを伝授するようなところが多い。自治体では、最近、もっと分権や自治についての学習から政治的関心を高める。そして、選挙へ結びつけるといった取組を女性センターなどで始めました。
 それから、課題として公職選挙法の問題があります。例えば選挙運動期間は、町村議会では5日間、市区議会では7日間、県会議会になりますと9日間ということで、堂々と名前が言える期間が余りにも短い。特に戸別訪問は買収のおそれがあるということで禁止されていますけれども、もっとフェース・ツー・フェースというか、トーク・アンド・トークというか、言論による選挙運動の制限がなくなりますと、女性にとってよいという声が大変強いです。それから、お金をかけない選挙は、住民参画としては奨励されるべきですが、今の選挙法では、ボランティア、つまり自分が金を出すとか、選挙運動員になるとか、事務を手伝うとか、ボランティアにはいろいろな形がありますが、労務を提供するということになりますと、それを金銭に換算して収支報告に計上することになっています。したがって、自分で実際に出したお金、カンパを受けたお金に加えてボランティアを金銭に換算して出すということになると、非常に選挙に金がかかるという収支報告になります。公共は、ボランティアを奨励しながら、そういう無償の行為を金銭に換算して計上するのはいかがなものかという問題がありますので、ここは検討すべき課題だと思います。
 それで、議席を増やすには候補者を増やさなければならない。それには、政党そのものがポジティブ・アクションに本気で取り組まないと増えていかないということになります。ただし、町村合併など自治体統合の動きがあります。これまで狭い町村で集落の代表が持ち回るとか、あるいは無投票当選が各地でありますが、時代の変化に対応し切れない地域の問題がある。男女共同参画が必要な時代なので女性はもとより、専門的知識を持った人が選ばれるとか、JA等の団体がクォーター制を敷くことが必要ではないかと思います。
 先ほど滋賀県の話にもありましたけれども、目的は「まちづくり」だということ。単なる男女共同参画にしましょうという号令ではなくて、実際に枠組みよりも、まちづくりの会議に出席して、こういうまちをつくっていくとか、こういうふうに予算を使うとか、実態面からもっと女性が入っていく。その結果、議会に進出することに結びつくのではないかと思います。以上、特色的なことをかいつまんでお話しさせていただきました。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、続きまして事務局より、地域における男女共同参画に関する特色ある取組について御説明をお願いいたします。また併せて、前回の、委員よりいただいております宿題についても御説明いただきたいと思います。
事務局(推進課長)
それでは、資料3「地域における特色ある取組の事例」をご覧いただきたいと存じます。資料3は3つに分かれています。まず「市民活動等からはじまった取組」の例といたしまして、一番上に「おんなの目で大阪の街をつくる会」の取組を挙げています。これは、大阪市立婦人会館の女性社会セミナーに参加した女性有志が、ボランティアとして人にやさしい大阪の街をつくりたいと願って活動を開始したということで、具体的には、使いたくなる公共施設にするにはどうすればよいか。利用者の視点から見るということで、例えば全地下鉄の111駅を、高齢者や身障者が利用するような立場に立ってバリアフリーの視点から調査し、提言を行って、これは非常に好意的に受け入れられた。地下鉄が人にやさしい駅になるための提言。それから、現在は天王寺動物園を都市型動物園にリニューアルして、大阪市民の憩いの場とするためにはどうすればよいかというような活動をしておられるようで、具体的には次のページに詳しく出ております。これをビデオとして制作したりして、また、そのビデオが「おんなの目が街を変える-経済企画庁長官賞受賞」というようなことにもなったりして、かなり成果を出しておられるという例です。
 それから、2番目の(株)ハー・ストーリィというのは広島市で2人の主婦が始めたものでして、在宅で何かをしたいという気持ち、その能力を仕事に生かすということで、女性のライフスタイルに合った仕事をつくりたい。結婚や出産で仕事を辞めて家庭に入った主婦が在宅で能力を生かす、そのシステムを構築する。SOHOとモニターという2つの場を用意して、企業の販売促進を代行して大変活発に活動し、収益も上げているという例だそうです。その資料が参考2として出ております。これは、コマーシャルベースでも成功しているという例です。
 次に、「自治会等地域における団体等からはじまった取組」としまして、最初に、東京都立川市大山自治会における取組です。これは、女性の自治会長さんが大活躍されてきていると。もともとなり手がいなかった都営アパートの棟の自治会長になったわけですが、いろいろノウハウを教わって、自治会役員から子ども会役員まで何でも引き受けて、その後、より大きな団地全体の自治会、会員 3,000人の会長に選ばれたと。ここで頼りにされる自治会づくりとして、お年寄りから若い夫婦の子育ての悩み、一時保育を受け付けるボランティア組織「大山ママさんサポートセンター」を設立した。自治会の主体的取組から始まったのですけれども、行政機関とも連携して、ひとり暮らしのお年寄りのネットワークづくりも始めている。団地内の駐車場の管理も都から請け負って、高齢者の協力員を組織するなど、大変活発に活動されています。次のページをめくっていただいた後ろ側に一覧表が出ていまして、「大山ママさんサポートセンター」で育児支援、子育て支援、ひとり暮らしのおじいちゃん、おばあちゃんへのサポート等々、さまざまな活動を繰り広げているという例です。
 次に挙げていますのが「茨城県日立市塙山学区住みよいまちをつくる会」、これは地域における住民の主体的取組で、女性の元気パワーと書いておりますが、日立市の行政指導によって始まった小学校区ごとのコミュニティ活動から始まり、1980年に「塙山住みよいまちをつくる会」ということで、住民主体でコミュニティプランを策定している。組織として人材発掘と男女共同参画の活動を続けており、現在も女性会長を筆頭に、部局長も半数が女性である。具体的な活動としましては、「塙山第2次さんさん計画」というのが7つ挙がっていまして、健康づくりとか、地球環境保全とか、防災とか、清掃というような形でさまざまな事業を積極的に展開し、これらの事業も部局長の半数が女性だということで、女性が多くを担っているということでして、企画立案し、社会福祉協議会や女性会や子ども会、PTAなど、さまざまな機関と連携して事業を展開しているという例であります。
 3番目としまして「行政等の支援からはじまった取組」です。まず、横浜市女性アドバイザーを挙げています。これは、行政の支援事業から政策提言へと書いておりますが、女性の目で見たまちづくりの提案を募集して、まちづくりアドバイザーとして市民に委嘱を行って提案してもらっているものです。まず、第1期まちづくりアドバイザーの活動では、「女性の目で見たまちづくり提案」を市民から公募して、まちづくりアドバイザーを選定して、そこから研究会や分科会によって出された提案や提言を部局が予算化できるか検討を行って具体化してきている。第2期のアドバイザーの活動では、次年度以降の事業の企画立案を行うに当たって、そのアドバイスが欲しい部局を募って、所管部局がテーマを設定して、委嘱した女性アドバイザーからなるグループに提示して、そのテーマに沿って活動を行い、提言を行う。具体的には、障害者の出品によるショップの設置、一時的保育の定員増、街路樹の保存などというような成果を出してきているということであります。
 それから、次の愛知県の春日井市ですが、これは、そもそもは行政の支援がきっかけですが、女性が主体的に取り組んだ地域づくりでして、これは当初、建設省において、まちづくりに女性の視点を生かして、安全で安心して暮らせるまちづくりを進める「安心・安全まちづくりフォーラム」、これは建設省が全国的に展開したものです。その中の1つとして春日井市も参加したわけですが、それがずっと続いている。その後、自主的に女性が中心となって発展していった事例であります。これは、モデル地区での安全マップづくりを皮切りに、2年かけて市内37小学校区で防犯、防災、交通事故防止に関する安全マップづくりを実施して、その成果を5冊のイラストマップにまとめて市に提出した。それをもとにマップをつくって市民に配布したというものでして、マップがどんなものかといいますと、どこが危ないかというのが一目瞭然で、「歩行者にヒヤリ!」とか、「暗くて危険」とか、こういうようなものをつくっているという例であります。
 その次が石川県羽咋市、これは女性起業家の支援の例です。羽咋市が「男女が共に輝く21世紀のまちづくり条例」をつくり、そこで、21世紀の活力あるまちづくりを進めるには男女の対等なパートナーシップの実現が大事と。新しい事業や活動が活発に起こされるというような起業について言及している。具体的な事業としては、市街地の空き店舗を借り上げて、意欲ある女性、女性グループにあっせんするために、仕事の内容やアイデアを全国公募して、安い家賃で2~3か月店を出して、採算状況をモニターする「おためしショップ」、「女性のためのインターネットカフェ」などを優秀アイデアとして選定して、これらのアイデアを参考に、実際に起業する希望者を募集したということでありますが、実際は募集したところ、余り応募がない状況のようです。そういう意味では、少し苦労されているというふうに聞いています。
 その次が熊本県の例です。これは、県民の自発的活動を支援する行政の取組でありますが、非常に大きなセンターをつくった。男女共同参画センターをはじめ、NPO・ボランティア協同センター、しごと支援センター、生涯学習推進センターを備えた複合施設「くまもと県民交流館パレア」を整備しまして、男女共同参画社会づくりに関する活動など県民の自主的で主体的な活動に対する支援を行い、各種研修・講座や相談業務を実施している。この活動に関するさまざまな関連情報をワンストップ化して効率的な情報提供を行っているということでして、5つの機能、5つの業務を関連させている。単に寄せ集めたというだけでなくて、機能的にも非常に連携を深めており、総合的に情報が提供できるシステムになっているということであります。ワンストップ化を実現しようとしているということであります。
 以上が地域における特色ある取組の事例として、あちこちで評価の高い、あるいは先駆的で新聞に出たような事例を取り上げて御説明を申し上げました。
 それから、次にお示ししておりますのが、これまで宿題で出ておりましたことです。
 文部科学省の女性のエンパワーメントのための男女共同参画学習促進事業について、山口委員からも御言及がありました件であります。要は、男性参加の促進についての視点がこの事業の中に盛り込まれているということであります。事業の概要としましては、平成11~13年度に実施されまして、女性の団体やグループが男性とのパートナーシップを図りつつ、男女共同参画の視点から地域社会づくりに参画する事業を推進することによって、女性のエンパワーメントの促進に資する。実施に当たっては、地域の女性団体やグループが1つのケースで、もう1つは全国的な活動を行っている女性教育団体、この両者があるのですけれども、これが行う男女共同参画基本計画における11の重点目標の中からテーマを設定して、テーマに応じた学習やその成果の普及を図る事業を委嘱して行っている。応募された中から選定して委嘱しているということで、2番目にあります男性の参加の促進について、事業の趣旨にきちんと書かれているということです。実行委員会・団体組織に男性メンバーを加えたり、男性の参加者を増やすための工夫がなされているということです。
 事例としましては、栃木県、岐阜県、和歌山県、日本YWCAの例が挙がっております。それから、皆様のお手元に冊子がお配りされておるようですが、その1~2ページ目に事業概要と委嘱状況があります。具体的な委嘱先一覧は後ろの68~72ページにありまして、その中には女性起業家の支援の例や、まちづくりの支援の例もございます。
 それから、「女性のエンパワーメントのための男女共同参画学習促進事業実施要綱」の「3委嘱先」の中に「男女共同参画の観点から当該団体以外の関係団体・グループの男性が主要メンバーとして参画していることを要する」ということを明記しております。
 岩男会長からお話がございました「警察署協議会について」の情報でございます。警察署協議会は、警察署長が、警察署の業務運営に民意を反映させるために、その在り方について住民等の意見を聴くための機関です。警察署長が警察署の業務運営について住民等に説明し、その理解と協力を求める場であります。これは平成12年7月に警察刷新会議が国家公安委員会に提出した「警察刷新に関する緊急提言」を受けて、警察法改正で設けられたものでありまして、平成14年6月1日現在、1,269警察署中、1,265警察署に設置されております。開催状況は2のとおりです。「3.男女比」をご覧いただきますと、男性が74.1%、女性が25.9%ということで、女性の視点が入っているということです。地域住民の要望や意見が警察署運営に反映された状況としては、交番に警察官が不在のときに来訪者が書類を提出できるようにポストを設置したとか、繁華街の違法駐車対策を実施したとか、あるいは自治体の協力を得て街灯を設置したとか、ピンクビラを排除したとか、そういうような事例があると聞いております。
 それから、住民の理解と協力が得られた例としては、少年非行防止のための地元PTAとの共同パトロールの実施や、生徒や児童を守るための地域住民との共同パトロールの例等がある。その他、女性委員が所属する女性団体で自発的に警察に関するアンケートを実施した話があると聞いております。これが警察署協議会の話で、この裏側に緊急提言や関係法令を載せております。以上がこれまでの宿題の一部でございます。
 それから、本日、議論していただくためのたたき台として、現状、阻害要因、好事例、今後の方向性と分けてお話をさせていただきますが、まず現状としては、自治会等の役員に占める女性の割合は極めて低い。役員の選出方法は世帯単位が多い。行事等で男女の固定的役割分担や出不足料の慣行がある。それから、政治分野では、国会議員よりも低い地方議会の女性議員比率が問題。
 阻害要因としては、やはり意識の差、地域レベルでの自発的取組の好事例の不足。今日、好事例の紹介がいろいろとございましたが、ロールモデルの不足や家庭との両立が難しい。家庭の基盤をどうやって確立するかということが阻害要因。
 それから、3番目の女性のチャレンジ支援に関する好事例としましては、自治会等地域団体へのチャレンジとしては、自治会等地域の団体における主体的取組への行政等からの支援。今日、滋賀県から御説明がありましたのはこれの典型的な例であろうかと存じます。意識啓発のための事業への支援、マニュアル作成とか、リーダー養成。それから、男女共同参画計画をつくり、その計画における目標設定と、そのフォローアップに関して、ゴール・アンド・タイムテーブルなどのような手法を取り入れているところがいくつかあります。地域の活性化につながるような各種団体等々が連携した取組というのもございます。
 それから、地域における政治分野へのチャレンジとしては、政治意識向上のための各種講座等の実施。それから、実態状況の把握や各種情報提供などが好事例であろうかなと。それから、共通事項としましては、トップダウンによる取組参加の要請。関係機関とのネットワークの形成。女性だけの活動でなく、男女ともに取り組む姿勢。行政、団体、NPO法人等の地域におけるさまざまな支援。それから、好事例等の情報提供。ほかにも共通するのですけれども、このようなことが考えられるかなと。
 今後の方向性としましては、地域づくりにおける男女共同参画の視点の重要性を認識していただくにはどうすればよいか。地域におけるネットワークづくりへの支援。活動に資するような調査研究、情報提供の充実。実情に応じたゴール・アンド・タイムテーブル方式の推進。どのように推進するかというのも課題であろうかと思いますが、これらが議論の素材として考えられるのではないかということで、お示ししております。どうぞよろしくお願いいたします。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、本日伺いましたお話を踏まえまして、「地域社会における女性のチャレンジ支援について」、御自由に御発言をいただきたいと思います。
竹信委員
まず、さっきボランティアの労務提供で、どうしてその必要があるのかをもう少し詳しく説明していただきたいのが1つ。あと、クォーター制がほとんど浸透していない、どこもやっていないということだと思うのですが、クォーター制実現の可能性は、もうほとんどないから、地域の活動から地道に底上げしていった方がいいということなのか。また、上からもクォーター制で網をかぶせていく可能性はあるのかどうかについて、見通しを伺いたいです。
山口委員
では、第1点のボランティアの問題ですが、選挙運動に従事するボランティアは、事務員と運動員の労務提供というのがあります。運動員というのはお金をもらってはいけないので、これは選挙費用にはカウントしないのです。自分ができる仕事ということで、例えばポスターを貼るとか、個人演説会の会場をつくるとか、そういう労務提供は金銭に換算する。それから、ウグイス嬢も有償で出す。これは選挙運動だと思っていたけれども、今は事務員で有償です。でも、女性が選挙運動に関わるというのは、実際に選対を仕切るというよりも、ウグイス嬢が多いのです。そのウグイス嬢は、今はお金を出すようになってしまっている。したがって、呼び込みをやる役割をした人たちも金銭に換えるということ、これはおかしいのではないか。
 全体に一番言いたいことは、福祉や何かもボランティア活動だけれども、自分たちのまちをつくる、自分たちの地域をつくる、こういうことへの参加こそ最大のボランティアではないか。アメリカの選挙運動では、積極的に女性団体も青年団体も学生もみんなボランティア参加しているわけですから、日本はそこに縛りがあって、片やボランティアを推奨しながら、選挙に関するボランティアを金銭に換算する部分があるのはおかしいのではないかという論理です。
 それから、クォーター制ですが、3,300ある議会の中で、議員は無所属が圧倒的です。無所属というのはクォーター制をしようがないのです。地方議会で共産党と公明党ははっきりと自分の政党を名乗るけれども、自民党は名乗らないで無所属名です。それで、国政選挙のときには保守系の議員を応援していますね。無所属が多い限りクォーター制は実施できないのですよ。
 町村合併のような状況がありますが、今まで町村の顔役が無投票当選で町村を支配していたけれども、町村合併で広い地域になりますと、もうそういう議員では収まらない。自分たちのまちをどのように活性化していくかということになりますと、かなり専門的な知識とか、それに関する経歴が必要になります。女性人材を発掘して、専門的な知識、税務や財政とかに長けた人が必要になってきます。
 問題は政党ですが、政党の場合には、議員は中央と直結してまちの利益を図る。国から補助金を引き出すことが優先する中では、女性には出番が回ってこない。インタビューを4県で行いましたときに、女性の問題は男性議員がやるからと言われましたよ。女性議員は要らないということです。女性たちが出る場合には、こういう言い方はよくないかもしれませんが、ジァンヌ・ダルク的なところがあるのです。候補者がいないから出すということ。もう1つは、女性の候補者だが、男性が選挙を仕切ることで、実際に男女共同参画型の選挙になっていない。やはり主導は男性だという実態があるわけです。党本部は、男女共同参画だからと、選挙のたびに女性候補を増やすということを打ち出しても、地方の政党支部の実際はそうではない。一方で党本部は女性の候補者を増やさなければならないので、経験もないし政治的見識もいかがかと思うような人を、数合わせで出しているという実態もあるのです。政党は公認の基準を明確にして、どういった活動歴や専門性があるかということ、そういう客観的な物差しを持って、男性と女性を対等にする仕組みをつくるべきです。口では、クォーター制とか、女性の登用を言っていますけれども、実態においては、まだまだ女性の出番がないです。
 それから、女性候補者はお金がないということで、公認料以外にも、例えば50万円を出して女性を支援している党もあります。そういう支援の仕方もあるかと思います。しかし、まず立候補ありきで、政党がその努力をすれば、女性議員6.8%の現状を変えられると思います。今、無所属が多いのは、繰り返しますが、隙間産業、そういう実態だというふうに思います。
寺尾委員
選挙制度が現実にどういうふうに動いているか基本的なところがわかっていない初歩的な質問で恐縮ですが、党が公認をしてくれると、後援会は党がもってくれることになるのですか。
山口委員
ありません。後援会というのは個人的なものです。
寺尾委員
先ほど無所属も自民党系が多いのではないかとおっしゃいましたよね。それで、無所属の議員というのは男性にも相当多いのですか。
山口委員
多いです。地方議会は一番多いです。
寺尾委員
そうすると、女性が40何%無所属であるというのは、それは男性も基本的にそうですか。
山口委員
これは女性の議員の人たちに対して調べた結果、44%が女性と。これは、全体的に男性も多いと聞いています。私は今、その数字を持っていませんけれども、地方議会というのは無所属で出る人が多いです。
寺尾委員
そこのところは女性だから無所属が多いというわけではなくて、男女ともに無所属が多いわけですね。
山口委員
そういうことです。1つ申し上げたいのは、政党があって、政党支部も地方にはあるけれども、政党が実際に政党活動として機能していない。政党が責任を持つというよりも、日本では後援会組織です。個人が自分の応援団をつくっていくことで、無所属もそうだけれども、政党の人も成り立っているのが日本の政党政治です。
寺尾委員
労務提供があった場合は金銭換算するというのは、これは選挙に使っていいお金というのは決まっているために、そのカウントに入れるか入れないかということですね。労務提供分のお金は、結局、もしボランティアで自分がただ働きしたのであれば、そこは、その分寄付があったというふうに換算するためにすると。
山口委員
収入と支出に換算して報告するのです。なぜこういう問題が出たかというと、選挙には金がかかるという一般通念があるが、みんながボランティアで参加し、カンパで女性が出たならば、あれならば私もやれると、そのことを知らせたい。ボランティアによる政治参加を奨励したいけれども、ボランティアを金銭に換算して選挙費用に計上するのはおかしいのではないかと、こういう議論です。
寺尾委員
その場合は、実際に自分がお財布から出したお金はいくらで、あとは、ボランティアの人たちが働いてくれた分の金銭換算なので、この部分は選挙費用といいながら、実は自分は払っていませんということはいくらでもできるのではないでしょうか。
山口委員
それではごまかしになってしまいます。例えば、1万円寄付したならば領収書を出すから1万円寄付したのは記載されるわけです。ただ、1日労務提供でポスター貼りしたことになると、1日の上限は決まっており、1万5千円まで支払えます。
寺尾委員
その人を支援するために実際は働いたのに、それは金銭換算をされる。そうすると、それはこれだけ選挙に使いましたというふうに換算される。逆に言うと、これだけお金がないと選挙に立てないのだという情報になっていくということですよね。
山口委員
そういうことです。金がかかるというイメージがあるじゃないですか。もし自分で選挙運動に関わって、その結果として2割とか、あれなら自分もできると。ボランティア参加によって、金をかけない選挙の実践によって、政治意識も政治参画意識も高まるから。それなのに、なぜそういうことをするのかという議論があるわけです。
寺尾委員
それは、そのときに一覧表みたいなものを自治省や何かがつくるときに、こういう計算をしているからよくないというお話ですか。
山口委員
要するに、政令か何かの指導ですね。
寺尾委員
つまり、実際問題として、そんなにお金はかからないのだというメッセージ を発することは、メッセージを発するにはお金がかかるとは思いますけれども、するこ とはできるのではないでしょうか、実際にはそうだということを。
山口委員
だけど、選挙運動の収支報告は、選管に提出した後、1年間、縦覧期間があります。どのくらいかかったか見られる。そうすると、そのときには数字で見るじゃないですか。自分は金をかけていないというのは、例えばこういう記録で見たり、説明はできます。
寺尾委員
数字がひとり歩きしてしまうということですか。
山口委員
数字は数字ですよね。例えば 100万円使ったというのと、10万円使ったというのでは感覚が違うじゃないですか、お金として。収支報告という公のものですから。
寺尾委員
実は、その 100万円の中の90万円はお金が実際には行き来しなくて、働いてもらっただけであっても。
山口委員
そういうことです。
岩男会長
そういう情報を個人的に出すことはできても、公の数字としては裸の数字だけということになってしまうというお話ですね。
山口委員
いくら出したかとか、いくら寄付をもらったか、そこで選挙をやれるのだと。それを、何もお金がある人ばかりが選挙に参加するのではないのだから、労力提供した、あるいは運動をやった、こういうことこそ大事だと言っているのです。
樋口委員
だから、そういうPRというか、そういう教育というか、今はそういうことをすることでしか対抗できないということですね。
山口委員
それは非常に大きな意味があるというわけ。つまり、ボランティア参加ということで政治参加を高めるということになります。一方で、福祉やボランティアといっても、それは金銭に換算して報告を出さないじゃないですか。それはおかしいと、こういう話です。
樋口委員
そんな仕組みはみんな知らない話ですから、こういうことの報告にまた載せていけばいいのではないですか。
山口委員
そういうことです。
高橋委員
今の選挙制度というか、お金の計算方式を弁護するつもりは全然ないですけれども、非常に簡単に言えば、政党によって、ボランティアをやりましょうとたくさん集まってくる政党と、そうではない政党があるから、ボランティアは全く自由ですと言ってしまうことができないというので規制をかけた。そのやり方として、それではお金に計算して、上限いくらまでということでやりましょうと。ですから、ボランティアをやることがいけないわけではなくて、換算された金額の範囲内なら、どれだけボランティアをやってもいいのです。ある政党はおそらくボランティアが全然いないから、お金を払ってやるということですけれども、そういう政党間の利害関係の中でつくった制度だということだと思うのです。
山口委員
先生がおっしゃるとおりです。背景はそれだと思います。例えば戸別訪問してはいけないのも、強い政党と弱い政党、悪い政党といい政党があるわけです。根は、そういう政治的な問題だと思います。しかし、本当は考え方としては、ボランティアでもっと政治参画を活性化するには、自発的なボランティア参加が本来です。同時に、戸別訪問で言論戦とかね。
岩男会長
選挙期間ではないときに、もっとそういうチャンスをたくさんいろいろな形でつくるというのも1つだとは思いますけれども。
山口委員
そのとおりだと思います。というのは要するに、選挙のために名前を売ることが先行して政策論になっていない。活動実績によって候補者になるということが望ましいのですけれども。
古橋委員
先ほどから山口さんの意見を聞いて、一つだけちょっと疑問に思うのは、地方議会議員についての政党化ということがないからクォーター制ができないというお話でした。私は、地方議員の政党化は好ましくないと思っています。本当の男女共同参画の観点からいけば、地方議会議員というものはまさに地域のものだから、政党の理念とか、そんなものは関係ないのではないか。そのほうが男女共同参画を進めるのにいい。例えば、もし政党化すれば、今言われているように、国会議員が県会議員を何人持ち、その県会議員が町村会議員を何人育てるかという現在のシステムというものを認めてしまうことになる。私は、そういう地方議会における政党化というのは、知事も大分無所属になりましたが、私は、県会議員とか、特に市町村会議員というのは政党化があっては逆にいけない。そのためには、女性がもっと言論の自由ということを勉強してもらう。それは、精神的自立がなくてはいけないし、経済的自立がなくてはいけない。そういうようなことからのエンパワーメントをまずやるべきだというふうに思うのです。そこのところがちょっと疑問に思いました。
 それからもう1つは、今、私どもが地方議会とか、そういうところで一番必要なことは、リーダーの養成の仕方です。今や理念の時代ではなくて、どうやって地方議会なり、そういうところにリーダーを増やしていくか。リーダーを養成していくためにはどうしたらいいか。そのためには、何をしたらリーダーになれるかということについて、具体的なマニュアルをつくっていく段階ではないか。そのためには、先ほど申し上げたように、町村部というのは全く違っているから、まず地域の状況によって男女共同参画の実情と、それが進まない原因というものをよく調べて、それに対してどういう方向で進めたら男女共同参画が進むかをやはり地域で議論するし、有識者がそれについて議論していく。したがって、環境問題への参画ということで入りやすいならば環境問題でいくし、それ以外のことでいけるというようなところであるならば、その方向でいく。そういう地域に男女共同参画を進めるのに一番いい議題は何かというようなことを検討するという方法論を検討するべきではないか。
 そういう意味において、私は、山口さんのところで無所属の地方議会議員の方に研修をやっておられましたよね。それは非常にいいことだし、そういう方々が地方議会に出るということも必要だけれども、地域において、男女共同参画をやるというときのもっと具体的な進め方というものを検討する必要があるのではないか。私は今、交通安全教育普及協会の会長ですけれども、啓蒙教育のときに一番必要なことは、まずリーダーの養成です。いいリーダーをどうやって育てるか。そのリーダーがどういう形で地域において説明できるようにするかということが一番大切です。男女共同参画も、もう理念の段階を過ぎたのだから、その地域において具体的な方法というものを考えていく。それに対してアドバイスをするようなシステムを検討すべき段階ではないか。さっきも申しましたけれども、60歳定年を迎える人たちがだんだん増えてくるときに、その人たちをどうやって取り込んでいくとか、そういうような具体的な、どういう人たちが地元にいて、自分たちにはどういう問題があるか、そういう人たちをどうやって利用するか、そういうようなことを考えるいろいろな方法論を、リーダーが入ってきやすいような方法論を考えて、具体的な運動としてやっていく段階にきているのではないかという気がいたします。
山口委員
私が申し上げたのは、 6.8%の現実を考えるときに、政党を名乗る人はあれだけ少ないでしょう。だから、政党はもっとやれば上がりますよと言っているのです。私の考え方は、地域の自治体の議会というものは是々非々だと思うのです。党本部で決めたことが必ずしもそこの地域に合わない。したがって、私は、政策で是々非々だということは、結局は党則に縛られない、無所属だと、こういう考え方を私も持っております。これは言えると思います。
古橋委員
その方がいいと私は思うし、山口さんがやっておられることは、まさに無所属の町議会議員の研修で、ほとんどが無所属ですよね。だから、それは非常にいいことではないかと思います。
山口委員
そうですね。それは、政党は当然、自分たちの党の人たちの政治教育はすべきだと思うし、そうでない人たちは自分の情報とか研究する場所がない。それを求めているわけですから。
古橋委員
今、無党派層というのは60%になってしまった。昔は30%いた。それが、全体として60%、それがバラバラ動くから非常に不安定になってしまったのですけれども。私は、地方議会においてはそれでいいのではないかというふうに思っています。
伊藤委員
関連して一言。無所属の女性議員というのは、私が見る限りでは、いわゆる女性団体、婦人会候補という方が結構おられるのではないかと思うのです。今の古橋委員のお話とも絡むのですけれども、やはり団体をバックにしないと、女性の場合、無所属でもなかなか通りにくいところがあります。おっしゃるように、地域の女性の活動の活性化は大切です。それは環境保護でもいいけれども、いろいろな活性化の中で、これは政治の場が必要だという形で動き始めることで、従来の既成の団体とは違う形の女性の議員というのはこれから増えてくるのではないかと思います。リーダー養成とおっしゃいましたけれども、地域の女性の政策に関わるような活動を活性化していくことが、結果的に、無所属の市民の声が反映できるような議員の誕生につながっていくのかなと思います。
 もう1つ、最近、若い世代の中に「職業としての地方議会議員」という動きが出始めていると思うのです。それは、先ほどの議論で、地方議会の議員になるのはそれほどお金もかからないし、町議会議員だったら 200票集めれば議員になれてしまうわけです。そういう形の中で動き始めている人たちもいるわけです。ただ、逆に言ったら、余り見識のないまま議員になってしまう人も出てくる可能性もありますけれども、ある面、若い世代の中での職業としての地方議会議員のような動きと男女共同参画みたいなものがどうやってドッキングできるのかというのは考えていってもいいのかなと思います。
山口委員
伊藤先生の話で、市や区議会議員というのは圧倒的に女性運動、特に市民運動、先ほど言った環境とか、そういう問題に取り組んでいる人が多いです。種類によって違うのは、県会議員とか、そのぐらいになりますと、かなり専門的な仕事の経験がある人たちが多いということが言える。
 それから、今の地方議会を名誉職と考えるか、職業として考えるかということですが、私どもでヒアリング調査した結果、今、女性の労働はM字型パターンですね。したがって、M字型をもたらすものとして、フリーになったときに職業として持つかみたいな傾向があることは確かです。それから、おっしゃるとおり、若い人が、不況になってきて「では、いっそ立候補するか」と。だけど、あれは職業なのかどうなのか。例えば県会議員ぐらいになって、ある程度の報酬があれば生活は成り立つけれども、町村議会では成り立たない。したがって、町村議会は会社経営者が多いですよ。しかし、本格的にそれだけやる人は「こんなのやっていられるか」、町村議会は「これは女に任せる」と、実態調査ではそういう傾向もあるのです。
樋口委員
別なことになるかもしれませんが、3つぐらい申し上げたいことがございます。1つは、地方自治体の流れとしては、滔々たる合併が特例法の期間内だけでも数多く出てきて、それは、さっき山口委員が言われました、隙間で出てきた女性議員の行方を左右すると思うのです。隙間をふさぐ方向にくるのか、隙間を広げる方向にくるのかというと、どうも見ていると、隙間をピシッとふさいでいく傾向があるような気がします。20世紀最後の合併といわれた丹波篠山の3市町村がかなり大きな市になりましたね。あちらの動きを見ていますと、とにかくそれまで隙間をくぐって出てきた町村部の女性議員がいたのですが、今度は合併によって完全に地域代表というか、この町からは絶対何人出さなくてはということで女性は一人も当選できなかったという動きがあります。ですから、これは本会議の場でも申し上げたのですが、町村合併というのは女性が出てくることに一体どう作用するかというのは、私はかなり危機感を持って見なければいけないことだろうと思います。もう1つは、合併にもめげず、隙間がなくなるにもかかわらず、リーダー研修養成などを利用して、男女共同参画という大義名分として出ていく方法を考えなくてはということです。それからこれからの地方議会・議員の在り方ですが、職業かどうかというお話もありましたけれども、恐らく小さい自治体では、地方議会の在り方自身が変わらなければいけないのではないか。男も女もボランティアであって、むしろ議会は夜開くというような方向を目指すとか、この専門調査会で言うことではないにせよ、地方議会の在り方を踏まえながら議論しないといけないのではないかと思って伺っておりました。
 それから、女性団体をバックにしてというか、この頃当選した女性たちの声を、地方へ行きながら聞く機会があります。多くの地域では伝統的な婦人団体というのはむしろ今の体制に組み込まれてしまって男性の地域代表しか出せない。そこを、県の女性センターなどで勉強して、それこそリーダー養成のような勉強をした人が、市ぐらいの単位であちこちから票をかき集めてという形で、確かにまだこういう隙間なのですよね。ところが結構その隙間が寄せ集めると大きくて、ようやくどころではなくて、トップ当選してしまったとか、そういう人もいるわけです。そういう人たちがどういうところで養成されているかというと、この間、各地域の館長会議というのがありまして、私も女性と仕事の未来館長として参加したら、地域によってはびっくりするような女性会館があるのですよ。「ここのセンターで勉強させて政治家を出します」と言い切るわけです。政治的な距離にいつも気を遣っている大都市の会館から見たら腰を抜かしてしまって。「政治家を出します」なんてとても無理だというようなことが、県によっては、本当に言えて、かつやれてしまっているところがあるのですよ。ですから、何か文句のつけようのないそういう大義名分はどう全体として打ち出したらいいでしょうね。
竹信委員
今のお話は大変関心を持って聞かせていただきました。日本でもかなり有効な試みができているのですよ。
樋口委員
そうでしょうね。それはできていますね。
竹信委員
ということは、そのような試みを広めるための養成講座を各地につくることが1つですね。それと、女性にとってやはり一番問題なのは家族をどう説得するかですよね。女の政治はまず家族の説得から始まると言ってもいいぐらいなので、そのノウハウをちゃんとそこで教えていくとか、ジェンダーフリー教育への誤解も多い中で、男女平等についての正しい知識を持ってもらうとか、それを政策的にどう生かせるのかといったことは、やはり話し合ったり教え合ったりする場がないと、なかなかできないというのは事実だと思うのです。だから、養成講座についてのモデル事例といいますか、こういうものをつくったらというような成功例を示していって、広められればいいなと思います。
事務局(企画官)
今の政治の御議論ですけれども、われわれが一番心配しているのは、行政として、政治の政党団体が今おっしゃったようなことをする、これは全くできると思います。ただ、行政の委員会としての提言の中で、行政としてこういうことを支援しましょうということが言えるか。だから、そこでどこまで何ができるかというところなのです。
古橋委員
なぜ言えないのですか。自治省がいろいろやっているではないですか。
山口委員
自治体では基本計画を自由に策定できますね、そういう奨励はできますねということ。政治意識の向上、総務省の選挙啓発とか、行政として、もっと男女共同参画とリンクさせてできると言っているのです。そういう社会風潮づくりというか、土台づくりということで、これをここに出しているのです。民間はもっと自由な発想があります。さっきおっしゃった全米女性幹部機構、NWPCというのですが、それは完全に、どうしたら候補者が選挙に勝てるかということを、世論調査の仕方から、ダイエットから、服装から、夫婦との関係から全部書いてあるのです。
伊藤委員
おっしゃるように、例えば行政機関がどこまで女性候補、あるいは女性の議員の拡大に対して関与する形で議論が進められるかというのは、難しいところは確かにあると思うのです。ただ、フランスや韓国のように、選挙制度を変える形で動いているようなところもある。だから、政策的に女性の議員を増やすというところに行政機関がどこまで踏み込めるのかというのも、この専門調査会の1つのテーマになり得るのかなと思います。それは、日本の場合、すごく難しい問題だと私は思います。しかし、そこまでいくのかどうかという話は考えなければいけない。と同時に、私はそこまでいけないと思いますけれども、今、竹信委員が言った話と絡むのですが、我々のできることは政策課題としての男女共同参画みたいなものをもっとはっきりした形で広く社会に知らせるということ、むしろそこからそういう関心を持った議員の方たちが増えていくという形で進んでいく方向なのではないかと思うのです。その辺のところは我々がやれることだし、我々の任務かなと思うのです。ちょうどいいじゃないですか。これだけある種のバックラッシュの中で議論になっているのですから、来年の地方選挙を1つの政策的なメルクマールにしながら議論していただいて、結果的に女性の議員が増える形になるなら。我々のすべきことは、そういう議論を進めようということを提案するということでいいのではないかと私は思います。
岩男会長
高橋先生に伺いたいのですけれども、ここで出す報告、提言というものは、 男女共同参画会議に出すわけですね。そこでは、私たち有識者は半分しかいないのです。その辺はどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。
高橋委員
ポイントが今すぐつかめないのですけれども、有識者と政治家が混じっていると何か違ってくるという御趣旨ですか。
岩男会長
何と言ったらいいのでしょう、各関係省庁の大臣がいらっしゃいますね。そうしますと、出すものというのは、その大臣方も皆さん御賛同になっているということで、初めて公式のものとして認められるという仕組みになっているというふうに私は理解しているのですけれども。
寺尾委員
おっしゃっていることは、おそらく、例えば審議会が何か答申するのは審議会の意見だけれども、会議になると、かなり行政の機関としての位置づけが強くなるということだと思います。
岩男会長
そういうことです。
寺尾委員
内閣の下にある、そういう行政機関としての会議がそういうことを決定するということだと思います。
高橋委員
私はよくわからないですけれども、そこでは議論して何かの考えをまとめるという場だと思いますから、現実的な政治家判断としては、それは日本のシステムとして、どこかの官庁が反対したら通らないだろうということはあるかもしれませんけれども、そういう判断をするのかどうか。例えば、この前、「7人の侍」で大騒ぎになったことがありましたね。国会が受け入れてくれないようなものをやってもしようがないとか、どこかの省庁が受け入れられないようなものを議論してもしようがないと考えれば、それがリアリスティックだということであれば、それに従って行動すると、そういう問題ではないかと思うのですが、私はそういう現場の経験がないものですから、どう考えるべきかというのはわからないですけれども、理論的には、おそらくそんなことを配慮しなくて、一番いいと思う考えを出せばいいということだろうと思います。
寺尾委員
その点についてですけれども、参画会議自体は基本法によって位置づけられているわけですね。それで、男女共同参画というのはこういうもので、政策決定過程への男女の共同参画が必要であるということは基本法に言われていて、それに必要なことを審議する会議として男女共同参画会議があるわけで、その会議が、例えば政治過程における女性の数を増やすことが基本理念の実現に必要なことであるというふうに言うことは、別に法律にも違反しませんし。
高橋委員
別に法律の決定をやるわけではないですから。
坂東局長
そのために、いろいろなトレーニングをすること、情報提供とか、データバンクとか、そういう支援的な活動を行うべきだと言うのは問題ないと。
寺尾委員
ええ。事実としては、現職議員の地位を脅かすかもしれないけれども、それとこれは全然別の問題ですから、それを一緒にするのはおかしいですよ。それを一緒にした議論は間違っているのではないかと言わないといけないと思いますね。基本法は国法ですから。
古橋委員
私が言いたいことは、1つは、男女共同参画会議に上げるときの論議がしっかりしていれば、恥ずかしいことは全然ないのではないか。そこで一部の政治家が反対したら、それは議事に残るだけの話であって、それは全体として後で評価されるだけの話。もし、それでも通る見通しがないといっても、この専門調査会としてオープンにしてしまう。その過程が大切ですよね。こういう議論があったと。だから、選択的あれの問題はうまくいかなかったかもしれないけれども、あそこに上げたということで啓蒙活動が行われたというふうに考えるべきだと私は思うのです。
山口委員
おっしゃるとおりです。私は、やはりチャレンジと言っているのだから、起業とかの範囲ではないので、むしろチャレンジの中で自らも努力するし、政党も努力するという意味では、政治参画は抜くことはできない。今、先生がおっしゃったとおり、ここでそれを除いて、行政ができること、立法でやることと分けてしまったら、国民から見たら「何、あそこは」と言われる。やはりこの議論は大いに活発にやるべきだと思います。
住田委員
この会議のあり方について確認させていただきたいのですが、これも入れて経済財政諮問会議などの4つの会議は、内閣の重要政策に対する意思決定の場であると位置づけられております。ですから、ここで決まって会議に上げ、会議で決まったことに関しては、内閣の総意であり、ある意味では拘束されると考えています。ただ、構成員の各大臣が、その省庁で具体的にどういう形で動くかということは、それぞれ独自に動くこともあるでしょうけれども、少なくともこの会議で決めた方向に沿っていくということは当然だと思っています。これは単なる審議会とは全く違った位置づけで、要するに、内閣の内部で決めたことだと考えてよろしいのではないかと思っております。
 私自身、最近、各省庁に呼ばれてお話しする機会があるのですが、そのときに見せていただきますと、この男女共同参画会議の構成員である各大臣が副大臣に男女共同参画の担当をするという形で大体指名しておられまして、副大臣が各省庁でそれぞれその取組についての会議を持っておられます。それを見ると、かなり数字を意識したポジティブ・アクションをやっておられる。実績はこれからだと思いますけれども、いろいろなところで、いかにも日本的な横並び意識から競争をやっておられるということは、私はある意味では非常に感銘を受けました。
 それと同様のことを地方自治体で、条例とか、プランということで今、図表ができていますけれども、私は、ぜひ地方自治体に欲しいと思いますのは専任の男女共同参画の担当者です。今、兼任の方がいらっしゃるところがかなり多い。それから、先ほどの滋賀の方の御説明だとゼロのところもあるということですけれども、これはやはり総務省を通じて、担当者がゼロであるというのは、消防庁だったら防火管理者ですが、ああいう責任者がいなかったらまずいと同様に、地方自治体は、基本的にはこういう法律を持っている以上は、条例があろうが、プランがなかろうが、担当の専任者がいないのはおかしいという発想で、ぜひ各自治体に1人ずつ担当者をつくっていただくということを私は内閣として言ってもよろしいのではないかという気がするのです。それが、総務省が各地方自治の本旨にもとらない形で上手な御指導をしていただきたいと思っています。
 そして、例えば出不足料ですが、こういうことを今、 160の自治体があると今日御報告があったことに対しては、やはり問題があるということをきちんと指摘すべきだろうと思うのです。その他、女性だからこれになってはいけないという明文もしくは案文の暗黙の規定というのも恐らくありまして、それで女性がなろうとしたときに反対された事例があれば、それも問題である。
 それからもう1つは、やはり政治への参画という意味での女性議員の供給源の問題としては、私はこういうのを見せていただいて、また、今までいろいろな方とお話しした中では、やはり学校の先生とか、地方公共団体の職員、それから看護士とか、そういう専門職、そういう方々があるときにいろいろな形で皆さんに推薦されて、もしくは思い立って立候補しておられるという、人材供給源として非常に良質な方々がいらっしゃるわけですね。また、夫の転勤に伴って地方に来て、そして仕事がなくなったけれども地域のためにという形で出てこられた方、そういう方というのは非常にすばらしい方がたくさんいらっしゃるので、そういう方に対しての講座をやっていただきたいのですが、そういうときには平日の昼間ではなくて、ぜひ土曜日とか夜間とか、議会もそういうふうに夜間に動いているようですけれども、そういう形での女性の学習の機会を平日の昼間から、仕事と両立できる形での開催をぜひやっていただきたいと思っています。
 それから、ポジティブ・アクションの一環として、もう具体的に政治とか、いろいろなところに進出していただく期待のある方のリーダーの養成ということにある程度着目して、各職場からそういう方を出してきて、そういうところで勉強していただくというようなことをぜひ積極的にやっていただきたい。そのための前提としては、人材の流動化という前提として、立候補して落ちたときには戻ってきてもよしとか、公務員とか、民間企業は認めているところがかなりあるようですけれども、そういうことで、ある程度優秀な女性は何年かそういう形で政界に出す、また戻ってもよし、そのまま職業としての政治家になってもよし、もしくは上位レベルの議会に挑戦されるのもいいというようなシステムが望まれます。
高橋委員
非常に重要な点なので確認したいのですが、会議の決定が内閣の内部の決定だというのはどういう意味ですか。
住田委員
構成員が各大臣12人と民間有識者12人で、内閣府の中にそのまま位置づけられていて、一種の非常勤公務員です。
高橋委員
ということは、内閣の決定ではないわけですからね。
古橋委員
閣議決定ではないです。
高橋委員
ええ。ですから、別に内閣を拘束するというのは。
住田委員
内閣の重要政策をやるための会議です。男女共同参画に関しては、この会議の意思決定というのは非常に大きな重みがあって、しかも、各大臣がそれぞれに了承された上で決定されるものですから、それに対する正当性とか、重みとか、それに対する事実上の拘束力はあるだろうと、そういう意味で申し上げたわけです。
古橋委員
例えば樋口さんが言われたものは、すぐその後、もう一回閣議決定しているのですよね。
樋口委員
仕事と子育て両立支援ですね。
古橋委員
だから、本当に重要なものはもう1つ閣議決定した方がいいのですけれども、普通は推進本部でやりますから。
住田委員
12人の大臣がメンバーですからね。
古橋委員
その人たちについては拘束すると思いますね。
上杉審議官
今のお話のように、12省の全大臣が参画会議の構成員になっている。それで、その参画会議で皆さん、よしとして決定するということは、それぞれの省も省の方針としてそれを認めてよしとするということになるわけですね。単なる意見ではなくて、それをまさに実行するという立場に各省大臣が出すということになります。したがって、これまでもいろいろな専門調査会でまとめを出すたびに大変苦労したわけですけれども、まとめる際に、各省との調整で、恐らく各省がどこまで受け入れるか。これはできる、これはできないという話でギリギリとやっていって、やはり各省としても、できないものは書けないというのがそれぞれの立場だし、こちらとしては男女共同参画の立場からできるだけ書きたいということですけれども、書けば、それは実行しなくてはいけないという立場に各省が立つということは非常に重い事柄だと思います。
高橋委員
それは国会を通さないとやれないことですからね。おっしゃる意味は、行政内部での話ならわかりますけれども、各省が義務を負うわけではないのではないでしょうか。
事務局(推進課長)
条文に即して、補足していいですか。お手元にあると思うのですけれども、白書の 191ページから 192ページにかけて参画会議の条文があって、「会議は、次に掲げる義務を負う」と。第22条の第3号に「前2号に規定する事項に対して調査審議し、必要があると認めるときは内閣総理大臣及び関係各大臣に対して意見を述べること」で、これまで暴力の専門調査会の意見も正式に出しているのです。そうしたら、その意見は当然尊重される、そういう感じになるわけです、条文に即して言えば。
岩男会長
よろしいですか。残りの時間が少なくなりましたが。
竹信委員
さっき出不足料とか世帯単位投票のお話があって、私もこういう慣習をあちこちで聞くことがあります。例えば内閣府などでこういったものの全国調査をして、どこまで広がっているのか、残っているのかということを出せないものでしょうか。実態がわかると意識の改革には非常に役に立つ。本来、マスメディアの役割なのかもしれませんが、そういう公的な調査が全国的な規模で行われれば、大変な啓発効果があると思います。
岩男会長
いかがでしょう。おそらく議会から非常に・・・。
坂東局長
そうなのです。おそらく、この報告書を出すときに、例えば中間まとめのときも、ポジティブ・アクションなどをどの程度まで書き込めるかということで、公契約のところなどは、現行の法令の壁をいかにクリアするかということで、非常に細かいところまでせめぎ合いがあったわけですね。ですから、非常にトーンダウンした表現にならざるを得なかった。例えば政治の人材養成や、そこらの部分についても、正直な話、各省との議論の中でどこまで書けるかというのについては、これを書かなかったら先生方が承知しないから書かざるを得ないのですという形の先生方のほうから非常に強力なバックアップがない限り、公務員同士の間ではまず書けないですよね。
北村委員
滋賀県の方の御発言で、私、非常に印象的だったのが、最近、自治会に、特に若い層の方は参加しないで、むしろNPOなどでその機能を果してしまうという御指摘があって、これは、例えば労働組合などと非常に似たあれで、既存のシステムによらないで、例えば市民ユニオンみたいなものにいってしまうとか、独自にやる。そういうのを見ていると、私は、自治会というものがどういう法的位置づけかということを知らないままにものを言っているのでトンチンカンかもしれませんけれども、大体、自治会というのはこれから先もずっと必要なのか。むしろ機能問題別に解決していくシステムができるならばという考え方が1つあると思うのです。そうすると、自治会というものを絶対のものと考えて、そこに参加していくという考え方をするのか、全く別な新しい発想で機能性を高めていくのかということと、2つ考え方があると思うのです。要するに、女性の立場から言ったら、ゴチゴチになったところにあえて参加したくない、この視点は私は大事だと思うのです。
岩男会長
ですから、地域の女性チャレンジのチャンネルを自治会だけにする必要はもちろんないので、多様なもの、特に新しいものを探していくというのは大事なことだと思うのです。しかも、好事例を見つけていくというような。
北村委員
あと1つ、本当に短く。古橋先生がおっしゃったように、今度の議会のことについてのコメントになると、こういう話を持っていくと論争になって、結果的に玉砕する可能性がすごくあると思うのです。そうすると、玉砕したという事実だけが残ってしまうと非常にダメージが大きい。やはりプロセスだと思うのです。どういう論点で我々はこういう申出をして、その根拠は何であるということをかなりあれしていて、それでディベートがあれば、それでかなり目的は達せられるのではないかというふうに思います。
高橋委員
1つは出不足料の問題で、私も非常に問題があるとは思うのですが、実態を調べてみないと何とも言えないという気がするので、そこは扱いを慎重にしたほうがいいかなと。というのは、もしかしたら力仕事のようなもので、役割分担をしているというのが背景にあるのかもしれないという気がいたします。
伊藤委員
具体的に滋賀県の例を知っているのですけれども、男性が休むと1万円払う。女性だけなら5,000円払う。力仕事中心のケースではあるのですが、力のある女性もいるかもしれないし、体の弱い男性もいるわけです。それは男女不均等でいくわけにはいかないだろうと私は思います。
竹信委員
それが高じると、女性が道路補修に出ると、5,000円の「罰金」とでもいうようなお金を払わなければいけなくなる、というわけですね。
高橋委員
それは知っています。私も田舎出身ですからよく知っていますけれども。だから、その論理は私もおかしいだろうと思いますけれども、しかし、それなりに理屈が全くないわけでもないだろうと思いますから、そんなに簡単にこれは違憲だというようなことが言えるのかどうか。もう少し慎重に議論を詰めたほうがいいだろうということです。
 それから、女性の政治家になるべきリーダーを育てるというのは非常に重要なことだと思うのですが、考えてみると、学校教育ではほとんど女性政治家養成の教育をやってこない。そもそも日本では官僚養成の大学はあるけれども、政治家養成の大学というのはないわけです。しかし、すぐそれを大学でやれといっても無理ですから、民間でそういうことをやっていく団体に援助をするということは非常に重要なことだと思います。
 ただ、それはどういう制度をつくるかによって、これがアファーマティブアクションになるとやはり憲法問題が出てきますから、援助をせよということを言うぐらいだったら何も問題ないと思いますけれども、もう一歩進んで、どういう形でというようなことを考えるときには、法的な議論を詰める必要があるだろうと思います。と同時に、それに関連してですけれども、アファーマティブアクションになっていく場合に、基本法以下の現行の法律の執行に立って、行政ですぐ会議で決めればやっていけるかというと、そうではないだろうと思うのです。やはり法律が必要だと思いますから、そこあたりまで頭に置いて議論する必要があるだろうと思います。ここでどこまで詰めるのかわかりませんけれども、そんなことを感じました。
山口委員
教育基本法には、学校教育、社会教育、政治教育とあるけれども、政治教育は、日教組の政治活動の問題があったから触れないのですよ。法律的根拠としてはあるのです。
上杉審議官
学校と言いますと、一応、政治のことは必ず学ぶことにはなっています。今、国会をやっていますが、子どもたちがみんな訪問しに来ているわけです。ただ、特定の政党を支持するような活動を教育の中でやってはいけないです。そこの兼ね合いが非常に難しい時代があったということです。
山口委員
そのために何もやらないのです。そこが問題なのですよ。
岩男会長
まだまだ御議論は尽きないと思いますけれども、時間は既に過ぎておりますので、今日のところはこれでおしまいにさせていただきたいと思います。今日、いろいろ御提案がございましたのは、調整の上、当然、最終報告に載せるというようなことで、いろいろと調整をしていきたいというふうに思っております。
 今後の検討予定を確認させていただきたいと思います。中間まとめ以降、さまざまな分野にわたって検討を行ってまいりまして、来年3月にこの調査会の最終的なチャレンジ支援に関する取りまとめを行うことになっておりますので、次回は1月になりますけれども、1月以降は最終取りまとめに向けた検討を行いたいと思っております。行政分野につきましては、残りの検討回数が非常に少ないものですから、次回の全体的な議論の中で検討を行いたいと考えております。よろしいでしょうか。いつも非常に忙しいのですが。
 それでは、どうもありがとうございました。これで本日の基本問題専門調査会を終わりたいと思います。1年間、大変お世話になりましてありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えいただきたいと思います。

(以上)