監視・影響調査専門調査会(第30回)議事要旨

  • 日時: 平成20年7月17日(木) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第一共用会議室

(開催要領)

  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 植本委員
    • 神田委員
    • 神野委員
    • 袖井委員
    • 橘木委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
    • 横田先生
  2. 議題
    • (1) 平成19年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について
    • (2) 新テーマ「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について(仮題)」について
  3. 議事録

■平成19年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について事務局から説明。

【説明を踏まえての意見交換】

  • 法務省人権擁護機関が取り扱った夫の妻に対する暴行・虐待等に関する相談件数は減少傾向にある。これはどう解釈すればいいか。
    → 配偶者暴力支援センターへの相談件数は増加している。相談できる環境づくりが進んできた結果と考えているが、一方で、なお潜在的な被害はあるものと考えている。このように専門の機関や警察の窓口が整備され、そちらを利用する人が増えているという傾向があるのではないか。
  • 都道府県における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情処理件数の集計には受付件数の場合と処理件数の場合とがあるとのことだが、比較対照等を行っていくときのことを考え、統一するべき。

■新テーマ「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について(仮題)」について事務局から説明。

【説明を踏まえての意見交換】

<生活困難の定義についての意見>

  • 貧困という言葉を使わず、生活困難という言葉をあえて使っているのは、貧困とは違う生活困難という考え方を提示したいと言うことか。
    → 経済的自立の問題を中心としているが、貧困にとらわれず、生活困難について見ていきたいという考えがある。父子家庭や外国人の抱える問題は、経済的な問題だけではない。
  • 親の教育水準、経済水準等が、どう困難に影響するか。また、直接的な施策に加え、キャリア教育等、時間をおいて効果を持つ施策も重要ではないか。
  • 「経済の新たな潮流」は家族と雇用の複眼で見ていくという理解でよいか。
  • 生活困難を定量評価しようとすると、どのようなファクターと関連づけて見るかが難しい。曖昧な概念で始めて、分析を進めていく中で精緻にしていくというやり方しかないだろうか。
  • 生活困難の定義とは? 収入はあるが子育てに困っている専業主婦も生活困難者なのか。
    → それは経済面で線を引く。
  • 最終的に政策提言するなら、脱家族化、脱市場化という概念も参考になる。
  • 収入だけではなくて支出のパターンを見てもいいかもしれない。
  • 生活困難は、経済的な困難、精神的な困難あるいは経済的充実、精神的充実の両者を捉える必要がある。
  • 人間は市場で買えるものと買えないもの、両方が生活を支えている。本来生活を支えるために形成した家族やコミュニティにおいて、人間関係がうまくいかなくなるとむしろ生活を困難にするものが生産されてしまう。政策的に言えば、そうした人間関係をそのあとでどうやって調整していくか、と言うことだと思うが、精神的なものは、翻訳しないと政策に結びつきづらい。だがどうやって翻訳するのか。
  • 人間関係の状況を生活困難に入れるのはどうか。どう測るか難しいのではないか。
  • 格差という言葉は出てこないか。
    → 生活困難という言葉の中に含むものとして扱っているが、調査のタイトルも仮題であり、今後ご議論いただきたい。
  • 生活困難といったときに、経済的な自立ということだけでいいのかどうか。社会的自立とでも言うのか、二つの要素で見ておいた方がいい。新しい経済社会の流れには、産業構造の変化や様々なものがあるが、ここでは家族と雇用でつかまえようとしている。社会的あるいは人間関係的な自立を分析し、その上で雇用面の分析等していく中で問題分析を進めていくといいのではないか。
  • 生活困難の共通イメージを持つことが必要。また、政策の展開というアウトプットを見据えた入り口の整理が必要。
  • 基本は経済的自立だが、家族や地域の人間関係も視野に入れる必要。経済的自立の重要性を明示的に示すことには意義がある。
  • 貧困「感」についても考える必要。また、生活困難の捉え方にも地域差があるのではないか。

<その他の意見>

  • 施策そのものの有効性も調べてはどうか。母子世帯施策などは効果に問題がある。
  • 国連婦人の地位委員会でも述べられているが、国の女性関係予算を分析し整理していくことが必要ではないか。これから国連に報告するとき問題になると思う。ジェンダーの視点で施策に口出しするだけではなく、施策の影響を、予算から見ていくことがあっていいのではないか。
  • 貧困というテーマは古くて新しい。社会的な情報としてジャーナリズムの世界ではもう一度発見しているところ。現状を捉え切れていない部分に野心的に取り組むテーマと思う。
  • 本テーマは、計画で言えば、全体に関わる問題と捉えて良いか。
    → 色々な分野に関わっていくと考えている。

(以上)