- 日時: 平成19年10月9日(火) 9:30~12:00
- 場所: 内閣府3階特別会議室
(開催要領)
- 出席委員:
- 鹿嶋会長
- 勝又委員
- 神田委員
- 神野委員
- 袖井委員
- 畠中委員
- 山口委員
- 横田委員
- 議題
- (1) 「高齢者の自立した生活に対する支援」に関する各府省ヒアリング
- 経済産業省
- 内閣府国民生活局
- 法務省
- 厚生労働省
- (2) 各府省ヒアリング全体についての意見交換
- (3) 当面の調査検討方針について(案)
- (1) 「高齢者の自立した生活に対する支援」に関する各府省ヒアリング
- 議事要旨
■経済産業省のヒアリング
企業等OB人材マッチング事業について説明を受けた。
【説明を踏まえての意見交換】
- 女性の登録者率を高めるために、どういう問題意識を持っているのか。
→本事業は製造部門の需要が大きく、女性の参画が低い分野であり、またそもそもこの年代の女性に就業者自体が少ないため女性の登録は少ないが、商工会議所の婦人部会等に働きかけるなどしてポジティブアクションを進めていきたい。 - 登録者のうち女性0.9%、男性98.9%は文字通りのOB施策。何か分析等は行っているか。
→平成19年度から地域協議会だけでは弱いと、マッチング組織を作成した。これはNPOの参加も多いので、その協力でまた新しく裾野を広げていけるかと思う。 - 高齢者の再就職状況を把握しているのか。再就職したいがために、現役時代にはやらなかったような不本意な業務についている現状があるのではないか。
→どんな働き方でも環境面が整備されていることが理想。ニーズ調査等で把握している限りでは管理職の需要が多く、若い人に知識を伝える存在が不足していると思われる。
■内閣府国民生活局のヒアリング
消費者問題出前講座、メールマガジン「見守り新鮮情報」等の消費者問題対策について説明を受けた。
【説明を踏まえての意見交換】
- 消費者問題に男女差は大きくあると思うが、応じた対策はとっているのか。
→国民生活センターのデータでは、女性については男性の1.5倍から3倍の相談を寄せられている。寄せられた相談内容は、布団、着物、健康器具、食品等、女性が購入する傾向の大きいものについてが多い。今は特に違いに応じた対策をとっていないが、今後男女ごとの特徴に留意して気をつけて行っていきたい。
■法務省のヒアリング
成年後見制度について説明を受けた。
【説明を踏まえての意見交換】
- このパンフレットを初めて見たのだが、何部くらい刷って、どこに配っているのか。
→資料7にあるが、今年は852,000部印刷し、法務局・地方法務局・戸籍事務所・全国老人クラブ連合会等に配布している。 - 法テラスができて一年目だが、連携はしていないのか。
→法務局として正式には行っていないが、弁護士会と定期的な交流の場を持っているので、そうした場で理解を深めてもらっている。 - 任意後見制度の男女比は。
→データを取っていない。 - 男女別の把握が必要ではないか。
→今後はそれに努めたい。 - 施策の利用状況における年代による男女の違いの原因はどのようなものか。
→男性の40~50歳代が多いのは知的障害者などが多いためである。女性は高齢者が多いようである。 - ならば今後、高齢化が進むにつれてさらに女性が増えていくのではないか。
→それは考えられる。障害者は施設との契約等が主体であるし、高齢者は見守り業務が付随するといった違いがある。 - 女性税理士会へ赴いた時、後見人になるための勉強をしている人に会った。後見人にはどのような人を想定しているのか。
→従来から司法書士と社会福祉士が多く担っている。最近はその他一般の方向けの研修等も行っている自治体がある。 - もう少し幅広に声をかけていくような事は行っていないか。
→具体的な部分は厚生労働省にお願いしている。
■厚生労働省のヒアリング
介護予防施策、高年齢者雇用確保措置の導入促進、シルバー人材センター事業、年金制度改正、メタボリックシンドローム予防戦略等について説明を受けた。
【説明を踏まえての意見交換】
- 介護保険制度は実際に事業を行っているのは市町村だが、地域支援事業の施策評価は、厚生労働省としての評価なのか、市町村の評価なのか。
→基本は厚生労働省の評価。各市町村での事業実績の状況を全体でみて、厚生労働省で施策を評価している。 - 各市町村で行う政策評価は厚生労働省が指示しているのか、市町村独自に行っているのか。
→この場で把握していないので、後程回答する。 - シルバー人材センターの部分にファミリーサポートセンターとの連携の記載がある。高齢者対策と少子化対策はかなりの部分を別々に行っている印象があるが、このように施策間のリンクを図っていく方向性は厚生労働省にあるのか
→ファミリーサポートセンターは普及にばらつきがある。シルバー人材センターは全国にあり、その中でファミリーサポートセンターと連携している事例もあるので資料にも記載したが、連携状況については統計としては把握していない。 - 現役時とリタイア後の相関関係が強い。同じ介護職にも賃金の男女差がある。分析のためにも、もっと男女別の把握をしっかりして欲しい。シルバー人材センターにも同じことがいえる。
→日本全体の賃金体系が勤続年数に依拠しているため、どうしても女性が賃金が低くなりがち。今年施行した男女雇用機会均等法により、今後女性の勤続年数が延びていけば、少しずつ改善していくのではないかと考えている。 - 介護労働者の男女賃金格差は何が原因か。
→把握していない。 - 定年を迎える女性はどのくらいいるのか?
→データで把握していない。 - 今般の制度改正で始まる新予防給付、地域支援事業等は、男女別の実態把握により今後の事業実施がスムーズとなると考えるため、検討願いたい。
→担当局に伝えたい。
【府省ヒアリング全体についての意見交換】
- ヨーロッパにおいては、年金とは若年層の雇用を守るためのものでもある。スウェーデンでは、高齢者は退職後、労働市場へは入れない。NPOやボランティア活動が発達しており、国全体で非市場的な活動へのサポートが強い。日本では、経済社会における労働市場への参加に議論が留まる傾向があるが、そこを変えていく必要があるのではないか。
- 現役時と同じように市場で働き続けようとすると、現役社会のジェンダーバイアスが再生産されてしまう危惧がある。
- 高齢者というとどうしてもお荷物的なイメージになるが、もっと明るく捉えたい。新しい何かを提示して、大綱に反映させたい。
- 「今後の高齢社会対策の在り方等に関する検討会」の報告骨子案を見る限り、男女の視点は希薄である。記載はあるが、ちゃんと具体化していくことが大切。高齢者のワーク・ライフ・バランスも大切、生活者としての自立とワークの問題、そういう視点はあってもいい。
- 男女共同参画社会と高齢者の自立といった場合には、豊かに人間らしく生きるという部分が必要。物を買うことでしか豊かさを得られない価値観に問題がある。
- 高齢女性の能力を活用していくというプラスイメージを提示したい。農村レストランとか、高齢女性が活躍している例はある。
- 高齢社会の男性の位置づけ、女性の位置づけをちゃんと議論するべき。男性の介護をした後女性が一人残ったら、その介護は誰がやるのか、そういう実態に対する具体的な分析がない。90歳まで生きる高齢者が増え、老老介護の実態は深刻。この会議でそうした提言をしてもいいのでは。
- ボランティア活動というのは終わりがなく、時間とお金と労力を使う。けれども、こうした活動が男女共同参画社会を後押しする。定年後の活動というのは、金銭の損得の話ではなく、自律的なボランティア活動によって、社会をよくするということ。高齢社会の問題をやるときには、ボランティアの記載も欠かせない。
- スウェーデンでは、知的障害者も極力自立させる、機器類が発達していて、様々な工夫で自立をなるべく促す。自立を支援する機器類の開発等も必要ではないか。
- まとめるとポイントは、「男女別の視点を入れる」「現役時の男女の在り方」、「生活者としての自立の重要性」、「高齢者のワーク・ライフ・バランス」等だろうか。
- 今ボランティア従事者が把握している実態等も把握に努めるべき。
■当面の調査検討方針について事務局から説明を行った。
【当面の調査検討方針(案)についての意見交換】
- 実態調査を企画するにあたり、調査票は専門調査会で示すのか。どのように行うのか。
→検討会で基本的には検討する。随時郵送等で委員に示したい。業者委託をし、全国を対象に訪問調査を行う。 - 対象は住民基本台帳で拾うのか。回収率は低くならないか。
→内閣府の他部局において同様の規模で高齢者の意識調査を訪問調査を行っており、回収率は5~6割程度である。訪問調査であれば郵送調査よりも回収率は若干高くなる。 - 調査票や抽出方法については事前に知らせてほしい。厚生労働省の再分配調査なども参考になると思う。既存の調査を極力参考にして行ってほしい。
→既存にあるものは極力利用し、棲み分けを図りたい。所得など聞きたいが、聞くのが難しい項目もあるが、その点も含めて検討していきたい。
(以上)