監視・影響調査専門調査会(第16回)議事要旨

  • 日時: 平成18年11月13日(月)15:00~17:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(開催要領)

  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 佐藤委員
    • 袖井委員
    • 林委員
    • 古川委員
    • 山口委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策に係る各府省ヒアリング
      • 内閣府
      • 経済産業省
      • 厚生労働省
    • (3) 閉会
  3. 議事概要

各府省から施策について及び、以下の①~⑤のヒアリング項目について説明後、質疑応答を行った。

  • ①施策の立案及び評価に際して施策に関する男女別のニーズや効果に関するデータを把握し利用しているか
  • ②施策の評価について、事業実施の実績などのアウトプットだけではなく、その後の就労への結びつきやマクロデータの変化などアウトカムでの評価を行っているか
  • ③個別施策単位のみでなく、能力開発または生涯学習施策の事業全体として評価をしているか
  • ④施策間の連携について、関連する分野・テーマの施策や、「能力開発についての動機付け」-「能力開発」-「就労支援」など、能力開発に関する一連の施策が連携して行われているか
  • ⑤企業等(農業経営、NPO等も含む)の人材ニーズを能力開発プログラムに反映させているか
  • ⑥雇用形態の多様化に即した対応がされているか
  • ⑦企業が雇用を拒んだ場合、拒まれた者の特定の能力の不足などその理由を明確にさせ、その者が当該能力に関する訓練等を終了した場合、当該企業はその者を責任を持って雇用するといった仕組みについての考えについて
  • ※⑥⑦は厚生労働省のみに対する質問

【内閣府ヒアリング】

((ア)(イ)(ウ)の施策についての説明及びヒアリング項目に対する回答)

  • (ア)「女性の再チャレンジ支援ポータルサイト」
    • 再チャレンジしたい女性が必要な情報をインターネット上で効率的に入手できるよう、関係府省と連携して総合的な支援情報ポータルサイトとして「女性の再チャレンジ支援ポータルサイト」を構築しようとしているところ。
      • ①本年3月に行ったニーズ調査を踏まえサイト構築をすすめている。
      • ②③女性の再チャレンジ支援全体の外部評価機関としてチャレンジ支援推進事業企画委員会を設けている。
      • ④女性の再チャレンジ支援プランの中の一つとして位置づけており、プラン実施の関係各省と連携しながらやっていきたい。
  • (イ)「再チャレンジ支援地域モデル事業」
    • 女性が身近な地域で気軽に再チャレンジできるように、必要な情報やサービスがワンストップで受けられる取組を「再チャレンジ支援地域モデル事業」として実施。
      • ①平成15年の基本問題専門調査会、女性の再チャレンジ支援ネットワーク検討会等で、時間に制約のある女性が再就職に関連するサービスを一か所で受けられることが必要ではないかという御意見から実施している。
      • ②③再チャレンジ支援事業全体で外部評価機関を設けており、評価を見て進めていきたい。特にアウトカム、アウトプットについては事業策定段階で決定しており、アウトカム指標は事業レベルで設けている。女性の再チャレンジ全体の中の一つとして評価していくことが必要だと考えている。
      • ④まさに連携することがこの事業の眼目の一つであり、21世紀職業財団、雇用・能力開発機構等と連携しながら地域のネットワークの構築を進めていく。
  • (ウ)「女性のライフプランニング支援に関する調査」
    • 女性の長期的な視点に立ったライフプランニングの検討を支援する「女性のライフプランニング支援に関する調査」を実施する。18年度にアンケート調査、事例収集等分析を実施。今後ライフプランニングマニュアルの作成、ライフプランニングサイトの作成を検討している。
      • ①出産前後にかなりの女性が離職している、再就職が希望どおりになっていない、子どもを持った女性が具体的な就職活動をスムーズに開始していないなどの現状を既存統計から把握し実施している。
      • ②③④女性の再チャレンジ支援プランの中に位置づけられている。調査結果が出されたら、プログラムの検証や全国への普及を再チャレンジの情報支援事業と併せて実施していく予定。

(質疑応答)

  • ライフプランニング支援のポータルサイトは再チャレンジ支援サイトと同じものか。
    →独立したものではなく再チャレンジのサイトを拡充する形で支援のための情報提供をする。
  • 再チャレンジ支援サイトは各省庁の協力を得てつくるということだが、ライフプランニング支援サイトは内閣府がつくるのか。
    →サイト自体の作成は内閣府だが、リンクや掲載内容等に協力をいただく予定。
  • 再チャレンジ支援とライフプランニング支援はコンセプトが違うので、サイト名など工夫した方が良い。
  • ライフプランニング支援について、再チャレンジは現実的に必要な事項だが、様々な障壁等で離職しなくてもよい状況をどうつくるかということも必要なのではないか。
    →ライフプランニングの支援について、今回調査を立ち上げたところであり、今後施策に結びつけるようにしていきたい。

【経済産業省ヒアリング】

((ア)(イ)の施策についての説明及びヒアリング項目に対する回答)

  • 全員参加型社会の実現が不可欠になっており、あらゆる年代に応じた教育をやっていくことが重要である。経済産業省では特に女性と若者について必要があると考えて事業を実施。

(ア)「女性向け創業塾」

  • 女性のチャレンジの一つとして起業の仕方やノウハウを指導している。
  • 参加者の9割以上から良かったという回答。創業塾では約3割が受講後に新規開業を果たしている。
    • ①女性向け創業塾受講者を対象としたアンケートにより要望やニーズを把握しカリキュラムの改善を図り、創業塾の効果向上に利用している。
    • ②開催件数実績だけでなく、創業塾修了者に追跡調査を行い、活動状況等を把握し、施策がより効果的なものとなるよう役立てている。
    • ③創業等に関連するアドバイザー制度や融資制度等他の施策の連携も視野に入れて総合的な観点から評価を行い実施に努めている。
    • ④商工会、商工会議所等が経営指導員を通じて行う能力開発へのフォローアップ事業や、創業者向けの金融政策と連携し、創業実現までの支援体制強化に取り組んでいる。
    • ⑤創業を実現した創業塾修了者、創業者と情報交換を行っている商工会、商工会議所の経営指導員等創業に関係の深い者から意見を聞き、優秀な創業者を輩出できるよう受講カリキュラムの検討を進め、施策全体がより能力開発に結びつくように取り組んでいる。

(イ)「ジョブカフェ」

  • 若者の社会人基礎力が不足していることから、厚生労働省と連携してカウンセリング、アドバイス、情報収集ができるジョブカフェを立ちあげた。若者の目的意識がはっきりして就労しやすく、就職後も長続きしやすくなる。
  • 事業はモデル事業のため3年で終了となり、現在自治体に普及啓発を行っている。
  • 特に就職するつもりがなかった人の6割近くが就職の意志に何らかの効果を生じている。
    若干だが、実際に就職した方で、ジョブカフェを介して就職した人の方が、それ以外で就職した人と比べ、現職をずっと続けたいと思っている。また、利用企業からも高い評価を得ている。
    • ①ジョブカフェサービスの利用者のサービス満足度や就職に向けた効果等を調査し、評価分析してサービスの質の向上に役立てている。
    • ②各地域が策定する事業計画・目標に沿って評価を実施するとともに、ジョブカフェ評価委員会による改善指示等のアドバイスを行っている。また、利用者の満足度調査により取組の普段の見直しとサービスの向上を促している。
    • ③地域企業のニーズに沿った人材育成カリキュラムの開発・実施をすることで就業の促進を図りながら若者の能力開発を行っている。
    • ④企業誘致や中小企業対策などの地域の産業施策と密接に連携することで産業と雇用の一体的な施策展開を図っている。また教育機関と連携したサービスにより広範な若者層に対するサービス提供を可能にし、教育施策と一体化して対応している。
    • ⑤ジョブカフェ事業をサポートする企業群とのネットワーク化を図り、企業ニーズに即した雇用につながる人材育成カリキュラムの開発等を実施している。

(質疑応答)

  • 創業人材育成事業の評価で、参加者の9割以上が役に立ち、3割が新規開業ということだが、この年齢階層は分析しているのか。
    →年齢は30~40歳が約25%と多く、次に20~30、40~50で同程度の割合である。
  • ジョブカフェモデル事業の自立化と言っていたが、どのくらいの可能性があるのか。また創業支援でフォローアップはどの程度行っているのか。実際には起業後4年で半分が辞めており、事業からの退出の仕方を教えることも大切だと思う。
    →モデル事業は20か所あり、そのうち半分くらいは継続したいという方向とのこと。また、事業のたたみ方については、別の事業で中小企業診断士等が指導している。
  • 「多様な選択」と言ったときに各省でニュアンスが違う。各省のすみわけや連携はどうなのか。
    →そのような観点から更に評価を考えなければと思っている。各省だけではなく、自治体、民間含め専門調査会でも御審議をいただいて少し整理しなければいけないと思っている。
  • 経産省の考え方をHPなどに掲載して情報提供して欲しい。
    →中小企業庁や、商工会議所からもアクセスできるようになっている。
  • 創業塾受講者に対するアンケートで男女の別に○をつける回答欄がないとのことだが、是非男女別データをとってほしい。

【厚生労働省ヒアリング】

(施策についての説明)

  • 女性労働をめぐる状況から、1)女性の管理職比率が低いことから、女性が働く現場で様々な場面に参画し能力発揮を進めるための支援、2)出産を機に7割の女性が離職していることから、妊娠出産しても継続就業できるような支援と辞めた方の再就職支援、3)非正規雇用が増えており、色々な働き方への支援、が課題であると考えている。
  • 女性と仕事の未来館運営事業として働く女性の能力発揮のためのキャリアアップセミナー、相談、情報提供を行っている。また在職の労働者に対する公共職業訓練を実施している。
  • 企業の取組に対する支援として、事業主が従業員に職業訓練を実施したり能力開発休暇を付与した場合にキャリア形成促進助成金を支給している。
  • 労働者の取組に対する支援として自発的な職業能力開発に対し教育訓練経費の一定割合を支給している。
  • 育児介護等により退職した方への再就職支援として、実施時間、曜日に配慮した公共職業訓練を実施している。また再就職希望者支援事業の推進として将来的に再就職を希望する人への情報提供や再就職準備セミナーを開催したり個別相談や情報提供をしている。また、再チャレンジプラン策定のサポートをするプログラムやeラーニングプログラムの開発と提供を行っている。
  • 女性医師の再就職支援事業として就職斡旋事業や相談事業を行っている。
  • パートタイム等短時間就労希望者も含めて、再就職希望者に公共職業訓練を実施している。
  • 女性と仕事の未来館運営事業として、起業支援のセミナーの開催、メンターを紹介するサービスの実施をしている。また総合的情報提供を行う専用サイトを創設することを目指している。
  • 在宅就業者の再就職支援として、在宅ワーカーが自分の能力を自己判断できるシステムの運用、eラーニングを実施している。

(ヒアリング項目)

  • ①データの取得は必ずしも全てのもので男女別をとっているわけではないが、女性と仕事の未来館や女性対象の事業については実施している。アンケート結果でニーズを把握するとともに結果を検証し、次のプログラムにいかしている。
  • ②在職中労働者への訓練事業については、受講者、事業主への満足度調査を行い事業評価を行っている。求職者に対しては就職率で事業評価をしている。未来館のキャリアアップセミナーでは継続就業に向けてキャリアパスを策定したかなどを把握し事業評価している。就労への結びつきに直接つながらない相談、情報提供はアクセス件数や相談件数で評価している。
  • ③政策評価法に基づく政策評価として、例えば「キャリア形成相談事業」や「キャリア形成助成金」などは、「キャリア形成支援システムの整備」という一つ上の概念で評価するなど、個別施策そのものではなく、全体としての概念を評価している。
  • ④ハローワークと職業能力開発訓練施設が連携して取り組んでいる。ハローワークで受講指示をし、職業訓練後、職業紹介をするというサービスを日常的に行っている。
    また、再就職希望者支援事業では動機付けを支援しているが、修了後にマザーズハローワークのサービスを利用してもらうよう、キッズルームや個別の担当制で相談対応をするなど連携している。
  • ⑤企業のニーズについては、公共職業訓練は、企業等からヒアリングをして訓練コースの設定を行っている。女性と仕事の未来館でも運営協議会に民間の人事総務担当を入れており事業に反映している。
  • ⑥キャリア形成助成金は、教育訓練の機会が乏しい非正規労働者を正社員に転換する場合や非正社員の職業能力の高度化を支援する場合に、事業主に対して高率の助成をするよう、19年度予算に盛り込んだところである。なお雇用保険制度の被保険者の適用要件は正社員か非正規社員かは関係なく、一定の労働時間と1年の就労見込みの要件を満たせば良い。また、教育訓練給付については、雇用保険に加入していない者も訓練の対象者としている。
  • ⑦ハローワークは求職者の意向と能力にあわせて職業紹介をしている。求職者の能力と労働市場の状況から就職可能性が高まると期待される場合に職業訓練の受講を勧めている。能力開発後に同じ会社を紹介することもゼロではないが、能力がついたその時点でより良い求人に紹介しているので、一律に能力開発前と同じ会社に紹介するのはなかなか難しいのではないか。

(質疑応答)

  • 在職の労働者に対する公共職業訓練のところで、男女別のデータを取って欲しい。また再就職を希望する女性等に対する公共職業訓練の具体的訓練内容と、それが就労に結びついているかどうか。
    →離職者訓練は、職業訓練校と民間の教育訓練機関に委託しているものと2種類あり、職業訓練校の方は訓練終了3か月後に8割が就職している。民間の方は66%となっている。
  • 特別会計の見直しで能力開発にどのくらい影響があるのか。また女性の管理職比率が低いが、女性が管理職を目指すための教育訓練が公共職業訓練や教育訓練給付金の対象とされている講座にあるのか。
    →独立行政法人改革で、公共職業訓練を行う雇用能力開発機構に渡される交付金は削減の方向にあり、訓練の全体のボリュームは減っていく。しかし、大量の離職者が発生した場合には、政府から別途特別会計、一般会計等で対応していくことになるのでは。今後、より事業主のニーズに沿った形で訓練をしていかなければと思っている。
    在職者訓練では、ホワイトカラー向けの訓練は公共職業訓練の約4分の1と率が低い。これはものづくりが得意分野であるということと、民業圧迫の観点とがある。おそらく女性が管理職を目指すといった訓練は実施していない。
    今後事後のアウトカム評価が厳しくなるので、今後この専門調査会の議論の方向と合うように変わっていくと思う。
  • ものづくりの訓練は機器が古くなり、技術が陳腐化しているため大企業からは参加しないと聞いたがどうか。また受講コースごとの男女の特徴はどうか。
    →自社内の訓練が難しいような中小企業を中心にニーズ把握して事業を実施しており、7割が299人以下規模の企業からの派遣である。また機器整備は現在リースにしており、最新のものに置き換えながら行っている。男女別のデータはとっていない。
  • 女性はものづくりコースを受講するケースが少なかったということがある。また企業規模の把握の仕方が299人以下では大雑把すぎるのではないか。
  • 施策間の連携のとして、例えば子供を保育園に入れたいと思って窓口に行くと「就職してからきてください」と言われるといったことがあるが、保育行政との連携はしていないのか。
    →保育に欠ける児童について国は基準を示しているが、その他それに類似するものとして求職中の方も含まれるという通達を出している。しかし、保育は自治体の裁量が大きく、「求職活動」について具体的な内容は示していない。どういう優先順位をつけるかは各自治体の判断となっている。
  • フリーターの定義を教えてほしい。パート・アルバイトに限定し派遣を含まない把握のしかたで良いのか。
  • 近年のフリーターの増減の傾向について、その背景は景気の影響と見るのかそれとも構造的な問題なのか。またフリーター対策について厚生労働省としてはどういう能力開発をしてくか、示してほしい。
    →フリーター対策はいろいろ実施している。

(以上)