監視・影響調査専門調査会(第12回)議事要旨

  • 日時: 平成18年7月25日(火) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府本府庁舎3階特別会議室

(開催要領)

  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 林委員
    • 古川委員
    • 山口委員
  2. 議題
    • (1) 女性の能力開発に関する有識者ヒアリング及び質疑応答
      • 脇坂明氏(学習院大学教授)
        「女性の能力開発」
    • (2) 施策についての苦情及び人権侵害事案の処理状況について
      • 1、政策研究大学院大学 黒澤昌子 教授
      • 2、お茶の水女子大学 三輪建二 教授
    • (3) 閉会

【女性の能力開発に関する有識者ヒアリング】

  • 均等やファミリーフレンドリーの度合いを高めることが、企業の業績にプラスに働くかどうか調査をした結果、(業績のとらえ方はいくつかあるが)一人当たり経常利益は、均等度もファミフレ度も高いところで非常に高くなっている。
  • 短時間勤務について、育児短時間勤務は多くの利用者がいるが、フルタイム勤務者と時間比例で給料が支払われており、仕事の質のレベルはあまり落としていない。
  • 能力開発において、重要なOff-JTや自己啓発に参加できない、あるいは中断期間が中途採用において評価されないということが女性特有の問題として関わってくる。
  • 育児休業や短時間勤務中の能力開発、またそれに対する処遇がそれほど問題なくなれば、意識がそれほど変わらなくても男性でも休暇が取得できるようになるのではないか。
  • 大卒女性の再就職に関する調査結果では、労働時間の希望は短時間が多いが、実際再就職した人や働いている人は長時間労働であったり、希望年収でもギャップがあるといった状況である。
  • 大卒女性を採用した企業に対する調査の結果から、大卒女性は、年齢制限により再就職が狭められているということが推測できる。
  • 「求人の年齢制限に関する実態調査結果」(1999年)によると、9割の企業が上限年齢を設けている。
  • 去年実施した「パートタイム労働者実態調査」によると、42.5%の事業所で基幹パートがおり、その事業所のパートのうち、5割以上が基幹パートである。基幹パートは増えているが、能力開発の体系や処遇は伴っていない。
  • パートタイマーの人に職業能力を高めたいという希望は強い。
  • 求められる能力開発の方向性としては、パート・アルバイトの活用に、経営者、管理職の意識改革、パート・アルバイトに対する正社員と同様の能力開発機会の付与、上位職へのキャリアパスを展望できる仕組み作りである。
  • さらに、社会保険の年収や労働時間の制限をなくしていくことで、多くの問題が解決するのではないか。
  • パート・アルバイトが多い小売業や飲食店でパートの能力開発について店長等に聞くと、不十分であるという回答であり、その理由は業務が忙しくて時間がないことである。
  • 級を設けて処遇向上の道を作り、パートを活用している企業があるが、パートタイマーがグレード1からグレード2に移る際の大きな壁が130 万円の壁であり、グレード2からグレード3に移る際は、労働時間の延長や責任の問題等が一つの壁となっている。
  • パートを活用している企業では、パート比率が8~9割になり、パートタイマーと正社員で能力開発を基本的に同じような形にせざるを得ない状況まで来ている。
  • 実務経験に基づく能力評価が非常に重要であり、そうすれば求人求職のミスマッチも緩和できる。
  • 今までの資格制度の欠陥は、職場と直結してないことである。基本的に重要なのは実務能力をOJTで行うことで、それにOff-JTが付随して行われることが重要である。

【質疑応答】

  • 例示された企業においてグレード3の労働時間は週40時間であるが、この辺りで、転換の問題や、正社員との処遇の格差の問題、能力と処遇の問題は出てないのか。
    →他のスーパーの話だが、基本給では数パーセントの差だが、賞与の算定の仕方や福利厚生で差が出てくる。
  • パート・フリーター問題を解決する道筋としては、①能力開発の機会を増やす。②上位に行けるキャリアパスというのを明確にする。③ボーナスや、福利厚生なども平等にするような方向に持っていくことであると考える。
  • 業務が忙しく時間が取れないため能力開発ができないことについて何か御助言があれば。
    →各売場に画面があるコンピュータ・ベースド・ラーニングは、空いた時間に皆が行っており、できるのだと感じた。また、労働時間が短いパートタイマーであってもOff-JTをして戦力化しないと意味がない。

【苦情処理・人権侵害事案について】

  • 寄せられた苦情内容は、①男性に関する施策も取り組んでほしいという要望、②計画改定関係の要望や意見として、ジェンダーや女性学に関するもの、③選択的夫婦別氏制に関する要望、ドメスティック・バイオレンス、ワーク・ライフ・バランス、男性の育児休業、防災や復興対策の意思決定における女性の参画に関する苦情・要望などであった。
  • 今年度から人権侵害事案の体制、相談等を調べたところ、人権侵害の事案の中から男女共同参画に関する人権侵害を取り出して調べるのは難しい状況であり、人権侵害事案の中に施策についての苦情が含まれていても、施策の苦情処理につなげていく方策がなく、適切に処理できてないケースが多いのではないか。
  • 人権侵害については、不平・不満を聞いただけで終わらず、さらに施策の改善にまで発展するというシステムはまだ機能してないのではないか。そこをどうするかが、これからの課題ではないか。
  • ノルウェーのオンブッドが機能しているのは、苦情を言うことによって制度が変わる、制度が変わることがまた苦情を呼ぶというサイクルができ上がっているためである。期待を込めて言う苦情の中には要望的な提案型の苦情もあり、そういったことを通して制度が男女共同参画の方向に向いていくという形になっている。

(以上)