監視・影響調査専門調査会(第43回)議事録

  • 日時: 平成22年9月14日(火) 15:00~17:00
  • 場所: 内閣府本府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 岡本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 黒﨑委員
    • 潮谷委員
    • 神野委員
    • 住田委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山谷委員
  2. 議題
    • (1)平成21年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について
    • (2)平成21年度男女共同参画社会の形成の状況及び平成22年度男女共同参画社会の形成の促進施策について(平成22年版 男女共同参画白書)
    • (3)「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)」(平成22年7月23日 男女共同参画会議)について
    • (4)運営規則の一部改正について
  3. 議事録
鹿嶋会長
第43回「男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会」を開催いたします。
 本日は議題が4つあります。
 まず1つは平成21年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について、これは事務局の方から報告してもらいます。
 2番目は平成21年度男女共同参画社会の形成の状況及び平成22年度男女共同参画社会の形成の促進施策、いわゆる男女共同参画白書について事務局から報告を受けます。
 3点目ですが、7月23日に第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方を答申いたしました。これにつきましては私から報告いたします。この答申の中には監視・影響調査機能の強化を含む推進体制の強化が盛り込まれていますので、喫緊の課題として昨年末から年初にかけてのWGで御意見をいただいてきたわけですが、改めてそれについても御意見がありましたら伺いたいと思っております。
 4点目は運営規則の改正について審議したいと思っています。
 かなり盛りだくさんになっておりますが、まず1つ目の議題から事務局より報告を受けたいと思います。どうぞよろしく。
稼農調査官
それでは、1つ目の議題につきまして御報告させていただきます。調査官の稼農です。よろしくお願いいたします。
 資料1関係を御説明いたします。これは例年御報告させていただいております苦情処理関係等の把握状況につきましての御報告でございます。報告案件は大きく分けて2つございます。資料1が全体の概要を書いておりますが、まず1つ目が「<1>男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等について」でございます。もう一つが後段で御説明しますが「<2>男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について」でございます。
 まず1つ目につきまして御説明をいたします。資料1ですが、これは総務省の行政相談制度、各府省の行政相談窓口、都道府県、政令指定都市の苦情処理機関等を調査対象といたしまして、私どもから調査票を送らせていただいて、記入していただいたものをとりまとめたものでございます。
 2に調査対象となる苦情と書いてございますけれども、年度としては21年度分を調べておりまして、国や地方公共団体が実施する法律、条例等に基づく制度や公費を投入する施策の在り方など、また、これらを含む運用の在り方、人権侵害事案に関する苦情のうち、男女共同参画に関する施策についてという苦情に該当するものでございます。
 3把握内容でございますが、ごらんのとおり受付年月日を始め、区分といたしましては男女共同参画基本計画の重点目標ごとに分類したものを、併せて整理をするということをやっております。
 4にありますように、都道府県、政令指定都市につきましては、苦情処理体制についても調査を行っているものでございます。
 では、苦情関係について内容の御説明に入りたいと思います。資料1-1をごらんください。これは御参考なんですが、行政相談委員さんの人数あるいは下の段が人権擁護委員さんの人数及び女性割合の推移をまとめております。折れ線グラフが双方とも女性割合を示しております。ごらんのように上の段の行政相談員は平成19年度辺りから割合が大体34%前後で、ほぼ横ばいという状況であります。下の段の人権擁護委員につきましては、ここ数年男性を含めた総数というのが若干以前よりは少なくなっているものの、女性割合としましては40%台前半ということで、増加傾向にあることがわかります。
 資料1-2をごらんください。これは都道府県、政令指定都市における男女共同参画に係る施策の苦情処理及び人権侵害被害者救済の処理窓口の専従担当者数の推移です。昨年の専門調査会で、たしか潮谷先生からだったと思いますが、専従割合というのもわかればということで、後ほど調べて皆様にお送りしたものを、今年は最初から載せております。それぞれに非常勤職員の割合も含めて整理をしているものであります。左側が苦情処理体制、右側が人権侵害の救済体制でございます。
 双方とも非常勤の割合を見ていただきますと、左側が90%をちょっと超えているということで、右側が74%程度ということで、割合は横ばいですが、21年度と22年度を比較しますと、左側の苦情処理体制の方が総数が60人ぐらい減となっておりまして、人権侵害は36人の増となっています。体制の御参考としてお示ししました。
 資料1-3をお開きください。まず1ページ目は国に寄せられた苦情処理の件数等を整理したものでございます。総数ですが、ごらんのとおり上の表の合計欄の一番右下は1,662件となっております。下の段に経年変化の延べ数が書いてありますけれども、平成20年度の315件と比べますとかなりの増加ということで、数にして1,300件以上の増加、5.3倍ぐらいになっております。これは平成21年度に1つは国連の女子差別撤廃委員会の最終見解が出されたということ、あるいは平成21年度が第3次基本計画の策定に向けた議論の実質的なスタートの年ということでありまして、計画に向けた意見、要望等が非常に増えております。
 上の段で特に多いところを御説明いたしますと、カテゴリ別内訳は計画の重点項目に沿って内訳をしていますが、2の社会制度・慣行、7の暴力の根絶、11の国際関係が多くなっております。
 数が多いところ、今、言った2と7と11について代表的な例を御紹介しますと、2の社会制度・慣行については、数としましては選択的夫婦別姓制度を含む民法改正についての賛否等についての御意見、御要望が最も多くございました。
 7の暴力の関係ですが、デートDV等も含めましてDVの防止や予防啓発、被害者支援についての支援の一層の強化を求める御意見が多くございました。
 11の国際的協調等の部分でございますが、これは女子差別撤廃委員会の選択議定書の批准に関する御意見が多かったのが特徴となっております。
 資料1-3を1枚おめくりいただくと、先ほどは国でしたが、都道府県、政令指定都市に寄せられた苦情処理の件数等をまとめたものです。一番上の段が先ほどと同様なカテゴリ別に分類した表ですが、これは平成21年度中に処理をした苦情の件数をまとめたものです。全体で43件、重複を除くと40件となっております。
 真ん中の段の表は経年変化を見るために、当該年度に新規受付をした件数に限って経年変化を見ております。新規受付件数を見ますと平成19年、平成20年度は60件台でありましたけれども、平成21年度については37件となっております。後ほど人権に関する救済関係の動きを御説明しますが、DV関係など個別の人権関係の相談等が増えてきております。これを併せて考えますと、都道府県とか政令指定都市等においては制度に関する苦情等の数は少なく、DVと人権に関わる部分の相談が多くなっているのではないかと推察されます。
 3の苦情処理体制の整備状況ですが(1)にありますように、すべての都道府県、政令指定都市で体制が整備されております。類型といたしましては(2)ですが、庁内というのが最も多く、27の自治体が第三者機関を取り入れているということでございます。専従担当者数は冒頭に御説明したとおりでございます。非常勤が9割を超えている状況です。
 (4)は苦情処理制度活用促進のための取組みということですが、各自治体もいろいろな工夫をされておりまして、具体的にはここにありますように県、市のホームページや広報誌、パンフレット、リーフレットあるいは県の主管課等のホームページから、申出書式をダウンロードできるように福島県では工夫されています。埼玉県ではミニカレンダー付きのPRカードを市町村、書店等に配布するといったこと、鳥取県では審査結果を記者発表するということで、いろんな意味でPRをされてございます。
 幾つか代表的なものを御紹介したいと思います。栃木県の例ですが、男女共同参画推進条例の改正について、第三者機関を設置して申出受付調査を実施し、適切に処理し、必要があると認めるときは県の機関に対し、勧告その他の意見を述べるようにしてくれという意見が寄せられたようです。現行は知事が必要と認めるとき審議会に意見を聞くことができるということになっています。
 年度中の処理は未処理となっておりますが、その後の状況をホームページで確認しましたところ、県の男女共同参画審議会がこの意見について、条例に基づく苦情の申し出があった場合には、すべて審議会に報告するべきだという意見書を、知事に提出したという処理になっているようでございます。
 もう一点だけ説明したいと思います。鳥取県でございます。[2]警察官の採用試験が男性は2回あるのに女性には1回しかなく、警視庁や他県の採用試験との併願も認められていないのは、不公平であるといった御意見が寄せられたということでございます。これも年度内には未処理となっておりますが、これもホームページで確認いたしましたところ、県の男女共同参画推進委員の意見としてホームページに載っておりまして、県は警察官Aの採用試験を男性と同じく、女性も2回とすることを要望するという御意見が出されたりしております。
 簡単ですが、代表的なものを御説明いたしました。
 続きまして、男女共同参画に関する人権侵害事案の部分につきまして説明をいたしたいと思います。恐縮ですが、最初の資料1にお戻りいただければと思います。資料1の<2>でございます。1に法務省の人権擁護機関の取組みがございます。ここで法務省の人権擁護機関とございますが、これは法務省本省と地方の法務局、各地にいらっしゃる人権擁護委員の方々のことを言います。
 この件数等につきましては資料1-5をごらんください。件数の推移を見ますと、ここ最近女性の人権ホットライン、人権相談件数、人権侵犯事件数とも若干ですが数としては微減しているということでございます。それぞれの件数を相談内容別に分類したものか資料1-7と資料1-8です。
 資料1-7は女性の人権ホットラインの相談内容の内訳です。ごらんのように暴行虐待、強制・強要に関するものが多いです。暴行虐待は21年度2,369件、強制・強要は2,195件となっております。
 資料1-8でございますが、これは人権相談件数と人権侵犯件数の内訳です。双方とも見ていただきますと、例えば上の段でいきますと内訳の一番上、夫の妻に対する暴行・虐待が21年度は5,053の相談があった。下から3段目の内訳、夫の妻に対する強制・強要が3,772ということで、合計しますと8,825件となります。下の段の人権侵犯の表ですが、同じく夫の妻に対する暴行・虐待が2,443件、夫の妻に対する強制・強要が875件、合わせまして3,318件ということでございまして、この部分が非常に相談が多くなっておるということでございます。
 何度も恐縮ですが、資料1-5にお戻りいただきたいと思います。先ほど御説明したのが法務省関係の人権擁護機関です。1の(2)が都道府県、政令指定都市における人権侵害相談の件数の内訳を示したものです。こちらは中段の表ですが、ごらんのとおり数の上でも特に配偶者からの暴力が、年々増加していることが顕著にわかると思います。この増加の影響で全体の総数でも平成20年度を上回っている状況であります。
 同じ資料の2、都道府県・政令指定都市の人権侵害に関する相談体制等の整備状況でございますが、こちらもすべての都道府県、指定都市で何らかの体制が整備されております。処理体制につきましては記載のとおりでございます。
 最後になりますが、資料1-6について御説明をさせていただきます。これはこれまで御説明いたしました人権相談等の件数のうち、統計上可能なものにつきまして、特に件数が多い配偶者からの暴力等に関するものを機械的に集計してみたものです。人権ホットラインにつきましては配偶者からの暴力という枠での内訳がございませんで、それは入っておりません。あくまで御参考で単純に足したものであり、数値として集計したものでございます。これを見ていただきますと、配偶者からの暴力に関する相談につきましては、それぞれ増えている傾向がございまして、トータルで見ましても年々その件数が増加していることがわかります。
 説明は以上です。よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
ありがとうございました。苦情処理等の相談、人権侵害は経年変化から見てうまく機能していると言えるんですか。
稼農調査官
数としては都道府県は少ないですが、国、地方双方をトータルで見ると、配偶者からの暴力関係はかなり増えてきていると言えると思います。あとは全都道府県、政令指定都市に聞いたわけではございませんが、やはり件数だけで見ないでほしいというのもある。都道府県、政令市の場合、センターとか男女共同参画担当部に聞いておりますので、それ以外の例えば国で言えば文部科学省に苦情が行っている部分等は国で集計しているんですが、都道府県、政令指定都市の場合は男女センターとか、そういった部分ですので、直接施策を担当しているところに行っている苦情もあるのではないかという御意見もいただいております。
鹿嶋会長
皆さんから質問、御意見があればお伺いしたいと思います。
住田委員
法務省の人権侵犯件数が着実に増えているということは、人権相談委員さんの数がそれほど増えていない中で大変な御苦労をしておられると思います。こういう問題は弁護士でも非常に難しいものですから、対応がきちんとできるかを懸念しております。
 そういうセンターなど、専門のところにお持ちになった方がいいケースが多いのではないか、また、それらとうまく連携がとれるようなシステムになっているのかが気になります。従前からかなりパワーアップしているとは言え、女性の人権擁護委員さんが増えているとは言え、案件自体が難しくなっていることを懸念しております。最終処理状況についての対応をいずれかで結構ですので、お教えいただければと存じます。
鹿嶋会長
人権擁護委員に対する教育は、年に何回か行われているんですか。
住田委員
はい。大きな大会もありまして、その中で個別にもやっておられます、裁判所の調停委員さんに対しての研修とちょっと違いますが。
 今はそれほどではないんですが、以前は名誉職的な意味合いが非常に強く、また高齢者が多かったようです。弁護士会の意見を聞くことがあるので弁護士さんもかなり入っていらっしゃるんですけれども、それでもすべてのDV案件に立ち向かうのは、弁護士さんだって場合によっては殺されるわけですので、非常に難しい問題であると思います。
鹿嶋会長
潮谷委員、どうぞ。
潮谷委員
人権啓発センターの理事をしていまして、前は人権擁護委員連合会の会長をしていたんですけれども、やはり今、先生が言われたように人権擁護委員に対しての各県の取組みの中で、やや名誉職的、あるいは選挙の功労者的な選出も偏っているところもありました。人権擁護委員の皆さんたちにも呼びかけて研修をやっていくことが必要ではないでしょうか。以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。人権擁護委員に関わらず、行政相談委員も含めて、その辺りのことで意見があればお伺いしたいと思います。かつては、特に行政相談委員はいかに女性委員を増やすかということで、この専門調査会で議論したことがありますが、行政相談委員はそんなに増えていませんね。人権擁護委員は着実に増えている感じがしますが、今の議論を聞けば人権擁護委員も単に女性を増やすというだけではなくて、質の問題でしょう。それが名誉職的なものではないということにポイントを置かざるを得ないわけで、その辺りは今後変えていかざるを得ないということですが、ほかにどうですか。
 都道府県に寄せられた苦情、鳥取県に寄せられた苦情で警察官は男性は2回募集があるという不満です。それから、これは前に議論した気がしますが、警察官はまだ相変わらず割当制をやっています。警察官は力仕事なので男性の方がいいのかなという感じもするんですが、私の大学の学生なんかも不満を訴えてくることがあるんです。警察官になりたいんだけれども、男性と女性で全く条件が違うんだというわけです。すなわち、男性の方が採用枠が多い。残念ながら警察官の募集はそういう状況が否定できない。均等法ではそういうことは本来禁止されているんですが、残念ながら警察官の採用までは及ばない。各都道府県に聞くとそういう答えが返ってきます。
黒崎委員
今のに関してですけれども、私は警察の協議会に入っているんですが、警察官の中の女性警察官の役割は非常に大事で、窓口として今の暴力とか、いろんなセクハラも特に若い人は、難しいところに行かないで結構警察に駆け込むことがあって、ただ、そこで男性が多いとどうしても窓口で女性がいないからと言って、やめてしまうということがある。そういう意味でも行政だけではないアプローチというのは非常に必要かなと思っているところで、そういう部分がもう少し、既存の組織だけの相談だけではなくて、例えばNGOの窓口だとか警察の窓口では、もっと件数が上がる可能性があるかなと思っています。
鹿嶋会長
ありがとうございました。苦情処理関連は議論が出尽くしたと見てよろしいですか。神田委員、どうぞ。
神田委員
先ほど来問題になっております行政相談委員とか、人権擁護委員の具体的な研修というのがどう行われているかわかったら、後で教えていただきたいと思います。
稼農調査官
各地区もそれぞれやられていると思いますが、私ども内閣府男女共同参画局でも年に一度、男女共同参画の視点といいますか、それにつきまして非常に関心と相談対応にも実益にもかなえてもらうということで、行政相談委員さんと人権擁護委員さんを対象に、全員を対象にというのは難しいのですが一堂に会してもらいまして、年に一度ですが、研修をしているという状況でございます。あとはいろんな役所や各地域でそれぞれ連携等とりながらやられているのかなと思いますが、そこは今、手元にはないので。
神田委員
では、後で結構です。
鹿嶋会長
ほかはいいですか。男女共同参画への苦情というのが案外難しくて、何をどう訴えたらいいかわからないということも初期の段階ではあったんですけれども、この苦情処理の意見などを見てみますと、最近はどうもそうでもなさそうな、なるほどなと思うような意見が寄せられている感じです。ということは、やはり国民への浸透度、理解度が深まったと解釈してよろしいですか。
稼農調査官
処理につきましても、勿論難しいものほど恐らく年度またぎになることもあると思うんですが、各年度で速やかに各都道府県等でも処理されている状況かと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。それでは、次の議題にいきます。
 2つ目の議題は男女共同参画白書についての説明を事務局からしていただきます。よろしくお願いします。
中垣調査課長
それでは、男女共同参画白書について御説明させていただきます。
 資料が2点ございます。資料2というパワーポイントのハンドアウトと、白い表紙の長い題名の書いてある白書本体でございます。
 本日時間も限られておりますので、御説明についてはポイントを2つに絞りたいと思います。
 1つ目はそもそもこの白書の構成、もう一つがパワーポイントでフィーチャーいたしました特集編で何を書いてあるかという話でございます。
 まず1つ目の白書の構成でございます。白表紙本体の扉を1ページおめくりくださいませ。この文章はここに書かれておりますとおり、男女共同参画社会基本法に基づいて、男女共同参画社会の形成の状況及び男女共同参画社会の形成の促進に関する施策等々について、報告を行うものであるということでございまして、冒頭、会長からも御説明がありましたように、次期の基本計画では、その計画のフォローアップをどう充実させていくのか、監視・影響調査機能をどのように充実させていくのかというのが重要な課題になっている中、基本的には白書が男女共同参画社会の形成の状況とか、施策についてまとめてあるものとしてあるということで御説明していきたいと思います。
 1枚おめくりいただきますと目次がございます。目次をごらんいただきますと、第1部ということで男女共同参画社会の形成の状況、これが内閣府なり政府がアセスするところの男女共同参画社会の現状をまとめた部分でございます。その中に冒頭で特集編ということで、後ほど御説明いたします女性の活躍と経済社会の活性化という部分が含まれておるところでございます。
 第2部が21年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策でございまして、全体で13章立てで毎年、男女共同参画社会、昨年度何が進んだのかということを説明してあります。この章立ては第2次男女共同参画基本計画に基づいて分類されたものでございます。すなわち、第2次計画に述べられた事柄がどのように施行されているのかということを、ここで記述しておるところでございます。
 更にもう一ページおめくりいただきまして、目次の<4>ですけれども、平成22年男女共同参画社会の形成の促進施策ということでして、ここも第2次計画のフレームワークに基づいて、今年度各省庁でどのような施策がとられるのかをとりまとめたものでございます。
 更に目次の<5>ページをごらんいただきますと、資料というのが5つございます。その中の3~5がフォローアップに関するございまして、3は関係予算額の概要をとりまとめたもの、4は使用実績をとりまとめたもの、5は第2次計画における数値目標のフォローアップをとりまとめたものという構成になっておりまして、全体といたしまして2次計画に述べられた内容がどのように推進されているのかを、毎年とりまとめた書類となっておるわけでございます。
 御参考までに、183ページをごらんいただきますと、ここが資料3ということで、男女共同参画基本計画関係予算額の概要ということで、このページと184ページの2ページにわたって予算額をまとめてございます。更に185ページに決算額をまとめておりまして、186~187ページが計画に掲げられた数値目標の進捗状況をまとめたものとなっております。
 以上が全体の構成についての御説明でございます。
 次に、この中での特集編について御説明をさせていただきたいと思います。白書についてというパワーポイントのハンドアウトをごらんくださいませ。資料2です。
 1ページ、今年度の男女共同参画白書では、女性の活躍と経済社会の活性化という特集テーマを組みました。その言わんとすることを一言で述べるとするならば、ここに書かれてあるとおりでございまして、現状、我が国ではほかの先進国に比較して女性の参画が進んでいません。しかしながら、それは逆に言えば女性の参画が進み、女性の活躍する場面が多くなればなるほど、その潜在的な力が発揮される可能性が大きいことを意味しているんだという、ポジティブなとらえ方をしておるところでございます。
 そこで、本特集では特に女性の活躍を進めることが経済成長のために有効であることを論じ、その実現に向けた課題等について論じるというのがポイントでございます。
 1枚おめくりいただきまして、スライドの2枚目でございます。現在の我が国の社会の状況でございますけれども、皆さん御案内のとおり、我が国の女性の年齢別労働力率は赤い線、つまりM字型カーブを描いております。依然としてM字型カーブが残っておりますのは、先進国の中では日本と韓国ということでございます。
 ただ、このようなもったいないことをずっと続けられないというのが、この下のグラフでございまして、よくごらんいただきます人口ピラミッドでございますけれども、下の方にあります2055年になりますと、生産年齢人口が総人口に占める割合というのはわずか51%、すなわち残りの半分が非生産年齢人口になるということでして、できるだけ多くの方に活躍していただくことが必要になってくるという現状認識でございます。
 一方、4ページ目をごらんいただきますと、今のところが日本の状況だったわけですけれども、国際的も今、多くの国際機関が女性の活躍を経済の活性化につなげることを論じておるところだということを紹介しております。例えば右下の赤字で示しましたEUの成長戦略、今年3月に示されましたものにおきましても、INCLUSIVE GROWTHの実現のためには、男女共同参画を推進する政策の必要性が位置付けられているところでございます。
 また、OECDの日本に対する提言というのが昨年秋にあったわけですけれども、これは日本についてなんですが、人口高齢化のもたらす影響は日本が一番大きく、労働参加率を高めることが優先課題となっておりますけれども、最も明らかな対象は働き盛りの世代、すなわちM字カーブの底になっている世代です。そこに対する政策を優先的に進めなさいという提言をしているところでございます。
 ちなみに、今週末にAPECのWOMEN LEADERS NETWORKという国際会議が東京で行われることになっておりまして、そういう中でも女性の活躍が経済社会を活性化させるんだというのが重要な論点になっているところでございます。
 さて、そこで本日のポイントの1つなんですけれども、要はM字カーブがなくなると、どのぐらいインパクトがあるのかという試算を機械的にしたのが5ページ目でございます。[2]が単純にM字の底を塞いだものでして、M字の底を塞いだ場合には労働力が130万人増えます。更に[3]の緑の部分は何かといいますと、現在働いていないけれども、働きたいという女性が相当数おります関係が緑色になっておりまして、その方たちが全部働いた場合には345万人、日本の労働力人口を増やすことができるという試算でございます。
 ちなみに6ページ目をごらんいただきますと、それがどのくらいのインパクトを持つのか書いてあるわけですが、[2]の一番右の段、131万人増えるというのは日本の労働力人口の2%、345万人増やすというのは日本の労働力人口の5.2%に相当するという、非常に大きなインパクトを持ち得るのだということを試算したところでございます。
 7ページ目はもう一つ大きな試算なんですけれども、7という数字がいっぱい書いてあります。何かといいますと、女性の時間当たりの賃金は男性に対して大体7割でございます。一方で働く時間、就業時間も女性は男性の7割です。しかも働いている人の数も男性に対して女性は7割です。そうしますと、0.7を3回かけますと女性の経済に対する賃金における貢献は、男性の約4割弱にしか過ぎないことがわかるということでございます。
 これを国際的に比較してみましたものが8ページでございまして、8ページ目の一番上のグラフが女性の賃金総額、一番左が日本ですが0.366、男性の36.6%の賃金総額である。これは先進諸国の中で最も小さい数値ですが、それは[1]就業者数、[2]労働時間、[3]賃金のどれで見ても少ない。すなわち、日本は女性の活躍が進んでいませんけれども、数においても時間においても、時間はワーク・ライフ・バランス等々の問題もありますので、長ければいいというものではないと思うんですが、賃金においてもまだまだ女性の活躍余地はあることがわかるわけでございます。
 一番下が賃金になっているわけですけれども、賃金、女性の労働価値を上げていくためにはどのようなことが考えられるか、考えていきましたときに、労働力の質という視点がございます。そこで10ページ目をごらんください。10ページ目は各国の高等教育、高等教育というのは高校を卒業してから受ける教育全体でございますが、高等教育在学率を男女別にとったものでございます。そういたしますと、日本は右のグラフでは一番下でございまして、日本の女性54.1%、男性も61.5%ということで、男性も、とりわけ女性も高等教育の在学率が非常に低い。しかも、下の方は比較的よく言われているところでございますが、そもそも高等教育を受けた女性の就業率が日本では非常に低い。つまり、日本では女性の高等教育在学率そもそもが低い上に、高等教育を受けた方々が余り労働参加していないということで、逆に言えばまだまだ日本の女性が活躍する余地は大きいということかと思います。
 以上までが日本の労働力という観点から女性を見てきたところなんですけれども、それだけではありません。一方、市場を牽引していく、その需要をつくるという側から見ても女性が大事ですよというのが第4節でございます。赤字で書いてございますように、成長分野の成長には女性の消費、生活者の視点が欠かせないというのが結論でございます。
 ファインディングの主なものが一番下の箱に並べてありますが、女性の方が今後の成長分野における消費意向が高い。今後の成長分野といいますのは新成長戦略などでもまとめておられます環境エネルギー、健康、観光、地域活性化というものでございますが、それについても消費意向が日本は女性の方が高いというのが、次のスライド等から示されております。更に、女性の方が同じものをチョイスするのであっても、環境や安全性を重視する傾向というのも認められます。
 一方、女性と男性となぜ消費の仕方が違うのかというと、女性の方が従来どちらかというと生活者としての視点を多く持っていたからだとすれば、今後仮に例えばイクメンと言われるような積極的に育児をする男性が増えてくれば、全体の消費動向も変わってくるのではないかということで私どもも調べましたところ、積極的に育児をする男性は家電や育児関連サービス、子育てを楽しむための商品やサービスなどにおける消費意向が高いことが示された。仕事を持ち続けるつもりの女性は、さまざまな分野で消費意向が強いことも示されております。
 12~14ページでその辺りのことを図表で示しておるところなんですが、結局のところ女性の消費に対するインパクトが高まること、また、生活者の視点を持った消費者が増えることが、消費を活性化させる可能性が大きいというのが我々の分析結果でございます。
 15ページでございますが、女性も単に物を使うだけではなくて起業する人も増えてきています。特に女性の起業は生活密着分野で増えてきている。したがって、女性の起業を後押しすれば、新たな需要の創造につながるのではないかということも指摘しているところでございます。
 おかげさまで、あちこちのメディアの方にも非常に御注目いただいた白書なのでございますが、とりあえず御説明は以上にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
鹿嶋会長
ありがとうございました。白書全体の構成は脇に置くとして、今、的確にポイントを説明いただいた女性の活躍と経済社会の活性化について、御意見等々があればお聞きしたいと思います。
 特にM字カーブにつきましては今回の答申の中でも見出しを立てました。公聴会ではM字カーブを解消することに対し、参加者の中から、M字カーブは今のままでいいんだという指摘もあったわけです。これは保守系の皆さんの考え方だと思うんですけれども、私どもはそのようには考えていない。M字カーブの解消はM字カーブ問題というふうに、「問題」という言葉を入れています。公聴会での意見を反映して入れたのですが、いずれにせよ今回の答申の中でも重要ポイントとして位置づけましたので、基本計画の中でも解消に向けた施策を打ち出していただけるのだろうと私は思っています。皆さんから白書の経済部分について質問があれば、あるいは御意見があれば伺っておきたいと思いますが、どうでしょうか。
住田委員
女性の就業率の問題なんですけれども、採用の段階で雇用機会均等法があるにもかかわらず、正社員の採用が非常に厳しい、特に今年は大変で氷河期であると聞いております。その辺りの数字がどこかで出てきたらいいなと思います。新卒でも女性と男性とは比率ではっきりとした差があります。特に大学院卒の方、理科系であっても女性の場合は壁が厚かったということを肌で感じていますので。
 もう一つは今回、GGIについて初めて出たと思います。今回のGGI、経済フォーラムのものをもう少しクローズアップして出していただくと、また違った観点から経済界の方がごらんになるのではないかと思いました。
鹿嶋会長
ありがとうございました。事務局から何かコメントありますか。
中垣調査課長
第一点目の新卒の話は確かにないのですが、より長期的な動向ということで白書本体の7ページ目をごらんいただきますと、具体的には前回の景気の底でございます2002年から2009年までの各産業別の雇用者数の増減を、男女別にとったものなんですけれども、一番左を見ますと全産業で見たときに増えているのは圧倒的に女性です。150万人ぐらい増えている。それに対して男性は25万人ぐらい減っている。雇用機会全体で見るとやはり女性の方が増えているということは言えるのかなと。
 なぜそのようなことが起きるのかといいますと、産業構造の影響があるだろう。例えば建設業や製造業のように、どちらかというと男性に多くの雇用機会を提供していた産業では、やはり雇用者数の減り方が大きくて、逆に医療、福祉のような分野では圧倒的に女性に新たな雇用機会を提供しているという状況がありますという、長期的な動向は指摘してあります。
 一方で39ページ第1-特-29図といいますのは、男女別の非正規雇用の比率が載っているところでございますが、これはよく御指摘を受けますように、どの年齢階層を見ましても女性の方が高いということは、悲しいかなまだ続いているというのは指摘しているところでございます。
 戻りまして8ページ目をごらんいただきますと就業希望者、すなわち就業を希望している人の男女別の内訳を見ますと、やはり就業希望者、つまりまだできていないという人は合計で見ますと、やはり15~24歳とか25~34歳というような若い世代に多いということで、御指摘のとおり雇均法等々できましても入口の段階で苦労している人が多いという状況は明らかかと思います。
 右側にGEM、GGIについてというコラムがございます。今回の白書では今、御指摘いただきましたGGI、具体的にはGENDER GAP INDEXについても初めて分析を行ったところでございまして、その内訳が10ページに出ています。
 GGIで見ますと第1-特-6表でございますけれども、我が国は101位と非常に低迷しております。その背景には主に経済108位、政治110位ということで、健康という意味で言いますと健康寿命が圧倒的に長いなどといったプラス面もあるわけですが、それ以外の部分で非常に低い順位に今いるということでございます。
 11ページ目では経済、教育、健康、政治の各部分について日本の順位を分解して見てみましたけれども、所得の推計値の男女比ですとか、管理職に占める女性の割合といった部分で日本の順位は3けたになっております。教育で見ましても、先ほど御説明しましたように、日本では女性の高等教育在学率が非常に低うございますので98位となっています。更に政治のところで見ますと、国会議員に占める女性の比率が圧倒的に低いなどもありまして、その結果を踏まえまして日本のGGIは非常に低くなっていることも紹介してございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。就職がものすごく厳しくて、2000年当時は大卒フリーターという言葉ができたんですが、最近のメディアは大卒無業者という言葉を使っています。大卒のフリーターと無業者が出ることになってくると、この監視・影響調査専門調査会でも男女共同参画の視点から、そういうケースをどうするのかという議論が必要になるかもしれないし、大学の就職率何%という数字の中にはかなりトリッキーなところがあり、実はフリーターが入っているケースがあります。私大などはフリーターも入れて公表しているようですが、そうなってきますと問題を内蔵しているということにもなりかねません。
 そのほか、御意見がある方はどうぞ。大沢委員、どうぞ。
大沢委員
資料を見せていただいて、男女共同参画白書と、前に苦情処理のところで先ほど女性に対する暴力の問題が指摘されましたけれども、同時に資料1-3を見ると男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革ということで、各省庁の窓口に大分苦情が来て、それは男女別姓などの問題などもあると思うのですが、ここら辺をもう少し調べてみてもいいのかなという感じがいたします。
 確かに様々な男女差というのがあるんですが、大分法律上で差別を解消するような動きを、強い拘束性を持っているのにもかかわらず、それを知らない女性たち、余りそういう意識がない女性たちがいるのですけれども、そういうところで実際にこういう差別が行われているとか、そういうことを自分たちで知って、苦情を申し立てるだけでも随分現状が改善されることもあるし、意識が変わることもあるのかなという、そういうことを感じました。
 以上です。
鹿嶋会長
住田委員、どうぞ。
住田委員
特に今年は文科系の大学生の就職率が悪くて、自然科学系、技術系の方が非常に厚遇されているようです。女性は自然科学系に余り行っていないものですから、それはどちらかというと性別役割分担意識が反映した結果ではないかという気もしないでもないものですから、できれば今後大学に対しての自然科学系と文科系の入学者数みたいな、そんな比率も出していただくと就職率に格段の差が出るのではないか。特に医学系は100%だと思いますので、そういうような統計もとっていただくと何かの参考になるかもしれません。
 そうすると女性も就職するためには、弁護士や公認会計士、医者以外にも、ちゃんと就職できるんだという目標ができるのではないかという気がしております。
鹿嶋会長
白書の関連では大体このぐらいでいいですか。何か言っておきたいこととかありますか。
袖井委員
住田さんからもおっしゃったんですが、賃金なんかは理系の方が高いというデータも最近出ています。ですから男女別と簡単に言ってしまうと6割とか7割になってしまうんですけれども、やはり理系と文系でどう違うのかとか、そういう細かいデータもこれからつくっていく必要があるのではないか。女性の理科教育はかなり今、推進されておりますが、何となくこういう情勢だと女性の間に専業主婦志向とか、そういうものが出てきてしまっているので、やはりもう少し細かいデータをつくっていただきたいと思います。
鹿嶋会長
中垣調査課長、どうぞ。
中垣調査課長
1点だけ御参考までなんですけれども、白書の100ページに今、先生方から御指摘のあった点についての図表を載せております。
 100ページの第1-8-2図というのが、専攻分野別に見た学部学生数の推移でございます。男性では青い部分が工学系なんですが、非常に目立つわけなんですけれども、女性はやはり緑とオレンジ、つまり人文科学と社会科学が多い状況があります。
 第1-8-3図は修士レベルの在学者について見たものなんですが、これを見ますと一層顕著に男女差がございまして、男性では青の工学系が圧倒的に多いんですけれども、女性はばらけている状況がございます。
 更に104ページの第1-8-9図と第1-8-10図をごらんいただきますと、第1-8-9図は大学の研究者に占める男女割合でございまして、やはり男性の研究者で目立つ青が女性ではほとんど目立たない。第1-8-10図の大学教員における分野別の女性割合を見ましても、明らかに右から4番目の工学系では圧倒的に女性が少なくて、特に一番左の教授となりますと2.4%に過ぎないということを、御参考まで載せているところでございます。
鹿嶋会長
非正社員がこれだけ多くなると、男女間の賃金格差はすでに出ているんですが、男性の正社員の賃金を100として、男性の非正社員、例えばパートは幾つかとか、男性の正社員の賃金を100として女性の非正社員は幾つかとか、要するに男性正社員が圧倒的なんです。男の8割は正社員で、女性の正社員というのは4割と5割の間ぐらいでしょう。そうなってくると、その辺りの格差のデータは押さえてありますか。
中垣調査課長
65ページをお開きいただきますと、第1-2-13図が男女間所定内給与格差、要は一般労働者間の比較なんですけれども、男性に比べて女性は7割という数字があります。更に次のページの第1-2-14図が男性の一般労働者を100としたときの、男女の短時間労働者の賃金を見てみたものでございますが、女性の短時間労働者の賃金は49.1で半分以下、男性の場合は54.8で5割ちょっと、つまり半分ちょっとという状況に今ございます。
鹿嶋会長
わかりました。ありがとうございました。
 ほかに御意見、質問はこのぐらいでよろしいですか。それでは、次の議題に移ります。
 3番目は男女共同参画の答申、7月に、基本計画策定に当たっての基本的な考え方を答申しましたので、その概要について説明します。資料3と皆さんのお手元に配付してある答申の本体、この2つをベースにして話をしたいと思います。
 7月23日に総理に答申をいたしました。答申についてはやはり実効性ということを閣僚の皆さんも十分に意識しているようで、事あるごとに実効性、実効性ということをおっしゃっていましたので、そうである以上は基本計画も是非実効性あるものをつくっていただきたいと申し上げておいたところでございます。
 資料3を見ていただきたいんですけれども、今回の答申内容の特徴として実効性あるポジティブ・アクションの推進について説明し、これについては例えば本体の7ページ辺りを見てみますと、喫緊の課題として挙げてある中でクオータ制の導入、すなわち国会議員の女性候補者の比率にクオータ制を導入してはどうかということを話しました。それから、インセンティブの付与、いわゆる公共調達で男女共同参画推進企業に対する加点制度によるインセンティブの付与、さらにはゴール・アンド・タイムテーブル方式などをこの中に盛り込んでいます。
 国会議員については、例えばミレニアム開発目標でも2015年までの目標の中に女性の国会議員を増やすことが入っているわけです。そのようなこともあり、今後の政治判断になってくると思うんですが、私としては是非、党として、政権与党として女性候補者へのクオータ制の導入を考えていただきたいと思っています。
 法的根拠のあるものにするのかといった議論までは、しておりません。こういう考え方がありますよということで、そこに書いておいた程度であります。
 資料3に戻っていただいて、もう一つは男性や子ども、地域における男女共同参画の推進ということがありまして、資料3の「第2部 重点分野」の第3分野ですが、男性、子どもにとっての男女共同参画について柱を立ててあります。ちなみに今回の答申では重点分野は15分野ですが、第2次基本計画のときには13分野でした。2分野増えているわけですが、15分野ある中で★が付いているものが5項目あります。これは新設分野と書いてありますが、新たに設けたものも勿論あるわけですけれども、従来のものを多少変えたということもあって、トータルでは15分野になっております。
 その中で第3分野には男性、子どもにとっての男女共同参画という柱を立てたわけです。その理由は第2次基本計画から5年経つ中で、1つの反省点として男女共同参画という問題が女性のため、中でも働く女性のためといったとらえられ方が多かったのではないかということで、第3次の計画に当たっては男性を視野に入れたものが必要だというのが起草ワーキンググループなどでの共通した認識でした。
 答申の特徴として、世帯単位から個人単位への制度・慣行への移行も書いてあります。それは税制とか社会保障制度、家族に関する法制の検討等ですが、この問題につきましては後で説明いたしますが、国連・女子差別撤廃委員会からの最終意見が昨年8月に出ました。その中で2項目は2年後のフォローアップということですから、来年がフォローアップの対象年になるわけですけれども、その中にこの辺りの問題が入っています。特に家族に関する法制等々の中で、男女差別を助長するような法制度があるとすれば、それを撤廃せよという趣旨の勧告がCEDAWの最終意見の中に入っておりますので、そういうことも含めてこれは考えているということです。
 雇用問題の解決の推進とセーフティネットの構築ですけれども、これはM字カーブ問題等々を入れてありますが、隣の重点分野で言いますと第7分野、第8分野がそうであります。第7分野は貧困など生活上の困難に直面する男女への支援、第8分野は第2次では高齢者だけだったんですが、そのほかに障害者、外国人等が安心して暮らせる環境の整備を入れてあります。これにつきましては私ども監視・影響調査専門調査会の中で、平成21年度は「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」という報告書を出しましたし、平成20年度は「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」という報告書を出しております。その辺りも踏まえた上で第7分野、第8分野の新設分野を設けてあります。
 第12分野、第14分野も新設分野として入れてありますが、また答申の特徴という視点に戻りますと、雇用問題の解決の推進の中ではM字カーブの解消、貧困など生活上の困難に直面する人々への新たなセーフティネットの構築等々を書き込みました。国際的な概念や考え方の重視ということも強調しています。それが大きな特徴として載っています。
 今度は答申の本体に沿って少し説明をいたします。基本的な考え方は後で説明するとしまして、重点分野を第1分野からずっと書いてあるわけですけれども、例えば9ページの第1分野「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」を見ていただくと、まず反省から出発しているんです。なぜ男女共同参画が進まなかったのかということで、まずは反省すべきことをたっぷり議論して、そこに書き込んだ。そのためにはどういう目標が必要なのか、そしてその目標を具体化するための施策は何が必要なのかというように、大きく3本立ての構成で答申の内容を構成しております。
 6~7ページは喫緊の課題が書いてあります。喫緊の課題という言葉自体も第2次基本計画まではなかったわけですが、第3次では喫緊の課題、もう一つは5ページにある改めて強調すべき視点とか、この計画自体が国民にとって大変親しみやすいもの、わかりやすいものであってほしいという思いを込めた結果の表現です。
 6~7ページの喫緊の課題の中には、先ほど説明しましたように、いわゆるポジティブ・アクションについて書き込んだことと、2番目はジェンダー予算とジェンダー統計も監視・影響調査専門調査会で議論をしてきたものですが、これについてもきちんと書き込みをしてあります。特にジェンダー統計についてはこれから専門調査会でも、どう徹底すればいいのかという議論をしていきたいと個人的に考えております。
 3番目は雇用・セーフティネットの構築で、今、説明しましたM字カーブの問題等がそこに盛り込んであります。
 16ページ(2)具体的な取組みの中に、ジェンダー統計とかジェンダー予算の実現に向けた調査、研究を行うといったことが書き込んであります。
 21ページは雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保の中の文章ですけれども、<3>施策の基本的方向と具体的な取組みの中で同一価値労働についてかなり言及しました。同一価値労働については監視・影響調査専門調査会でも時折議論になった経緯がありますが、(2)[3]同一価値労働についての男女労働者の同一報酬に関する条約の実効性確保のため、職務評価等の研究開発を進めるという文言を入れてあります。
 22ページ、非正規雇用における雇用環境の整備の(2)具体的な取組みの[2]として、同一価値労働同一賃金の実現に向けて、法整備も含めて具体的な取組みを検討するという言葉を入れております。法整備を含めてという言葉で書き込んだことは、かなり踏み込んだ表現になったであろうと自負しております。
 [3]不安定な身分やキャリア形成の困難さなど非正規雇用を巡る解決を図り、非正規雇用労働者がスキルアップ、キャリアアップができるような仕組みの構築を推進するということも書き込んであります。
 なるべく監視・影響調査専門調査会に関係のあるようなところで説明いたしますが、資料3をもう一回見ていただくと、第3部の推進体制として国内本部機構の強化と同時に、女子差別撤廃委員会の最終見解等の実施状況についての監視・影響調査機能等の強化と書いてあるわけです。監視・影響調査機能を拡大して、力を十分発揮できるようにしようではないかということなんですが、そのためにどうするかということが71ページに書いてあります。
 2基本計画の実施状況や女子差別撤廃委員会最終見解等の実施状況についての監視・影響調査機能の強化ということですが、先に説明しましたように、監視・影響調査専門調査会では基本計画の実施状況の監視と同時に、女子差別撤廃委員会の最終見解の実施状況についても監視をしていくことになるわけです。
 (2)具体的な取組み[1]を読んでみますと、基本計画における施策の進捗状況について、男女共同参画会議において定期的に監視するとともに、必要に応じて取組みの強化等を働きかける。
 [2]女子差別撤廃条約に基づく第6回報告に対する女子差別撤廃委員会からの最終見解における指摘事項への対応に関し、男女共同参画会議においてその進捗状況を監視するということであります。
 では、その女子差別撤廃委員会からの所見についてはどうなっているのかというと、同委員会からフォローアップの対象として挙げられているものが2項目ございます。それについての進捗状況を2年以内に提出するよう締結国に要請するとありますので、2年以内ということは来年となります。
 1つは差別的な法規定の撤廃です。これは総括所見、レポートの18パラグラフなので、皆さんのお手元にはないんですけれども・・・。
中垣調査課長
白書の178ページにパラグラフ18が載っています。全パラグラフ載っています。177ページから始まりまして、178ページがパラ18になります。
鹿嶋会長
178ページの18パラですね。これは女性の婚姻年齢を18歳に設定することとか、6か月間の再婚禁止期間を廃止することとか、選択的夫婦別氏制度を採用するということが書いてあります。
 もう一つは28パラグラフ、これはポジティブ・アクションです。指導的地位の女性を日本は2020年までに3割にするという目標がありますけれども、ポジティブ・アクションを推進することによって女性の意思決定過程への参画を拡大する。そのための数値目標とスケジュールを設定した暫定的特別措置と書いてありますが、これはポジティブ・アクションのことです。基本法は積極的改善措置ですが、国連の方はポジティブ・アクションを暫定的特別措置というふうにかなり強い解釈をして運用に結びつけています。「実質的な男女平等を実現するための暫定的特別措置」だというわけですが、この問題については、今、説明しましたように来年夏ぐらいまでにはフォローアップということになっていますので、その点についても私たちは今後何らかの形で対応していかざるを得ないことになります。
 以上のように今回の答申は全体にかなりレベルが上がったというか、ハードルを上げたと言えると思います。男女共同参画についてハードルを上げたということは、別の表現をすれば、男女平等化のスピードをもっと上げろと世界が要請していることへの対応だということもできるでしょう。女性の指導的地位への参画という問題についても、もう少しスピード出しなさいと、迅速な対応が要請されている。そのためにはポジティブ・アクションを積極的に実施しなさいと、世界も要請しているんだろうと思っております。そういう思いも込めまして、答申をいたしました。
 あとは基本計画に、具体的な数値目標とかスケジュールを盛り込む必要があります。それについては政府の仕事、具体的には事務局が行う作業ですが、私たちも答申は既に終わったのですが、基本問題専門調査会等を舞台にして、少し議論をしていくことになっています。
 といったようなことで、今回は特に政治の意思、ポリティカル・ウィルこそ必要なのだということを答申の中でも強調しつつ、かなりハードルを上げましたので、政府には是非、実効性のある基本計画を作っていただきたいと思います。
 かなりスピードアップして説明をしてしまいましたが、何か質問があれば私が答えられる範囲のものをお答えしますし、あとは事務局からも補足してもらうことになると思います。
 同時にもう一つ、専門調査会として監視・影響調査機能の強化を、皆さん自身はどう考えているのか、どうしたらいいのかということの御意見も伺いたいと思っています。
勝又委員
監視・影響調査という形でやってきたことを、これからどういうふうに具体的に改善につなげていくかというところが、次のステップではないかと思っています。
 例えば具体的に私がイメージするのは、今まではいろんな省庁を呼んでヒアリングをしたり、そこに対して指導したりしているわけですけれども、例えば今、国では様々な省庁がいろいろな基本計画を持って政策を進めている。そういうところにあっても男女共同参画の考え方を進めるという具体的な助言をしていくことも、非常に必要だと思います。
 と言いますのは、それぞれいろいろなところで基本計画をつくって、いろいろな目標値を決めてやっているわけですけれども、男女共同参画についてはすべてについて影響を与え得る、与えていかなくてはいけないという視点だと思うんです。そこが今までなかなか十分ではなかったのではないかと、自分自身も反省を込めて思っておりますので、影響調査からどのぐらい結果を具体的に政策に反映できるかという、そこが非常に重要だと思います。
鹿嶋会長
今までも私どもの要望を参画会議に上げ、意見決定してもらい、各府省に落してもらうということを行ってきており、その道筋はできているんです。ただ、道筋はできていても、なかなか成果が目に見えないとか、大分前に報告書を出したけど、その後はどうなっているんだと聞かれても、なかなか答えられないケースもあるわけです。
 そういったこともあるので、今回例えばジェンダー予算の考え方の導入なども将来の視野に入れているわけですから、今おっしゃったようにどういう形で意見を政策にすぐ反映できるのか。それをもう少しクリアーにするようなシステムを考える必要があるかもしれません。ただ、一応形だけはできていることは確かなのです。
 畠中委員、どうぞ。
畠中委員
事務局に対する質問ですけれども、この男女共同参画会議の設置根拠というのは内閣府設置法ですか。
高村分析官
基本法です。
畠中委員
そこには男女共同参画会議としての調査権とか勧告権の規定はありますか。
中垣調査課長
答申の95ページをごらんください。92ページから基本法がございまして、95ページからが男女共同参画会議についての規定でございます。22条3項が関係大臣に対して意見を申し述べること、また、4項が形成の促進に関する施策の実施状況を監視し、及び政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べることとなっております。
畠中委員
勧告権まではないんですね。
中垣調査課長
ございません。
畠中委員
それでも調査し、意見を述べるという権限があるんだから、これを大いに活用するということですね。
鹿嶋会長
それは、やっていると思っているんです。この根拠があるからこそ参画会議で意見を述べて、意見決定をしてもらっているんです。ただ、そこから先になってくるとどういう形で各府省に落してもらっているかというのは、私どもにストレートに報告が来ているわけではありませんが、ただ、基本法22条に沿った趣旨のことは制度的にはできているんです。
岡島局長
昨年の影響調査について御説明してください。
高村分析官
最近といいますか、昨年一番新しい調査ということで先ほど会長からも御説明がございました「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」という影響調査を実施していただきました結果、その後、御報告しているところではございますけれども、どのような形で男女共同参画会議で意見決定したかについて、簡単に御報告をさせていただきます。
 平成21年11月26日に男女共同参画会議が開催されております。そこのところで政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況及び今後の取組に向けての意見ということで「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」という報告をさせていただいておるところでございます。
 そこで意見として申し上げた内容というのが、こちらの専門調査会でおとりまとめいただいた内容でございますけれども、表紙というのを男女共同参画会議ということで1枚作成をして提出しておりますけれども、何をしたかという内容を簡単に記述した後、最後に関係施策の着実かつ効果的な推進を図る観点から、今後の取組に向けて留意することが重要と考えられる事項について、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、別紙のとおり意見を述べるものであるということで提出をしております。
 なお、その内容につきましては男女共同参画会議で意見を決定していただいた後、各大臣に対しましても文章の形で送付をしているところでございます。
岡島局長
高校の無償化とか、進んでいる施策があるでしょう。それを御紹介してください。
高村分析官
御意見をいただいた中で、既に実現していることも幾つかございます。今、局長からも御指摘がありましたけれども、1つは父子家庭への児童扶養手当の支給につきまして実現したということがございます。高等学校の授業料の無償化もここに書き込んでいただいたところでございますが、これにつきましても実現をしたところでございます。
 以上です。
鹿嶋会長
参画会議ではいつも、私どもの報告が終わると男女共同参画担当大臣から各府省の大臣に、どうぞよろしくお願いしますと一言添えてもらっていますので、それがいわゆるこの問題を下に落としてもらって徹底してもらっていると私は理解しているんですが、これについてもう少し強力に言ってもらう必要があるのかどうか。今、畠中委員が言ったような趣旨を踏まえれば、その辺りも更に実効性あるものにすることについて、要求をしていくことになってくると思うんです。
畠中委員
これは参考までですけれども、私は総務省におりましたから少し申し上げますと、総務省の行政監察、今は行政評価と監視に分かれていますが、いずれも勧告権があって、例えば行政監視で勧告すると文書で回答を求めるんです。2回にわたって求めているんです。大体勧告どおりとなっているんですけれども、それでも効かない場合はもう一度調査するということをやっているようです。文書で回答を求めるということはやっておられるんですか。
高村分析官
はい。フォローアップという仕組みをとってやっております。生活困難を抱える男女というのは公表したのが昨年度だったということで、今時点でフォローアップはとっていないんですが、前年の「高齢者の自立した生活に関する支援に関する監視・影響調査」は昨年12月4日、基本問題・計画専門調査会と監視・影響調査専門調査会の合同会議の中で、各府省より文書による回答を求めて御報告し、御意見をいただいたところでございます。
鹿嶋会長
袖井委員、どうぞ。
袖井委員
この第3次基本計画は大変すばらしいんですけれども、やはり数値目標とかタイムスケジュールみたいなものをきちんとつくっていただきたいと思いますし、今のところはっきりしているのは2020年30%だけなのですが、これもちっとも実現しないですね。特に福田総理のときに加速プログラムというものをつくって医師、公務員などの女性比率を高めるという目標が掲げられましたね。ああいうものはどうなってしまったのか。言い出しただけなのかなと思うので、そういうものをきちんとやる、それが監視・影響調査専門調査会の仕事ではないかと思うんです。
 例えば世帯単位から個人単位へというのは、ずっと昔から言われているのですけれども、ちっとも実現しないし、その辺のところは何かこちらからタイムスケジュールとか、具体的な数値を出していく。ジェンダー統計にしても何年までに統計全体の何割までとか、そういうものを出していかれないかと思います。
 今、畠中委員がおっしゃったように、本当に勧告ぐらいの力が欲しいと思います。意見を述べても、はい、聞き置きましたという感じで、とてもむなしいような気がするので、その辺をもう少し監視・影響調査専門調査会が具体的に動けるような形にできないかと思っております。
鹿嶋会長
ポジティブ・アクションに関しての数値目標、工程表等については今から出してもらいますので、きめ細かいものができると思います。
 ただ、もう一つはフォローアップなんですけれども、確かに強い勧告みたいなものはないにせよ、かなり広範囲な行政守備範囲の中で、どういう進捗状況になっているかというのは、いずれ今までやってきてそれなりに緩やかであっても成果はあったんだろうと私は思っています。ですから、今、袖井委員がおっしゃったような形で強化と同時に、その辺りでもしパワーアップするとすれば何ができるのかということも、議論しておく必要はあると私は思っています。今おっしゃったようなことは、率直に受け止めたいと思っております。
潮谷委員
この第3次計画の中で、男性に着目したという点は非常に評価できるのではないかと思います。特に8月1日だったでしょうか。一人親の中でも父子家庭に関しての扶養手当が実現したということは、第3次に入る前の成果として大きなものがあった。
 その一方で、やはり私も先ほどから言われているように、とてもむなしさというか、どこまで各省庁がこの重さを受け止めてくださっているのかなという点が、手ごたえとしてなかなかわからない点があるんです。
 例えば2007年の公的教育費の支出が最近報道されました。あの中で日本は最下位で、私費に依存している割合が高いわけです。私たちが調査をした中で、一人親世帯の中の母子世帯が教育という点では現実に格差的な状況をはらんでいます。そんな中で現状から言えば一人親の問題と教育が、一方でこう実際に与えた影響は大きいですよということを提言していながらも、状況としてなかなか改善されない。そんな状況を考えていくと、もう少しフォローアップの中で見える形というのが構想できないかなと、そんな思いを抱いているところです。
 感想を含めて、以上です。
鹿嶋会長
いずれにしても、監視・影響機能の強化は確かですので、今、袖井委員、畠中委員、潮谷委員の意見を聞いていると、やはりパワーアップなんでしょうね。少しパワーアップしろということなんでしょう。それがどういう形でできるのかということは、今後少し詰めていきたいと思います。
岡本委員
私は起草委員会に関わりましたので、そのときの感想を含めて申し上げると、非常に各省庁の対応にばらつきがある。今おっしゃった部分で言うと受け止めもすごくばらつきがあるなということを感じてきました。起草委員会では各省庁のヒアリングというか、必ず担当の方もいらっしゃったりするんですけれども、自分たちがやらなければいけないというところで言えば非常に必死になって、それに関わって発言もされるところもあれば、起草委員会にもいらっしゃっていない省庁は、多分関係ないと思っているんだろうなと感想をもちました。今回、答申の内容を受けてそれぞれ各省庁が何をするかということで、今後は役割分担がされていくわけですけれども、そこのことをきちんと伝えていかないと、これまでヒアリングした結果の中でも、非常に取組みが遅いところはわかっているわけですから、そういったところを集中的にやっていかないと難しいなと感じていました。
 先月、CEDAWのシモノビッチさんを呼ばれて、内閣府がやった会議ではなくてNGOの方たちがやった会議の中で、先ほど鹿嶋先生がおっしゃった来年の報告について、ともかくあと1年しかないけれども、全然進んでいない。政権交代して割と期待もあったんだけれども、なかなか議論が進んでいないという状況の中で、男女共同参画会議に別立てとして、CEDAWの勧告に対する監視をする会を設けたらどうかみたいな意見が出ました。その中で言えば今回の基本計画の中で監視・影響調査の専門調査会がパワーアップしてやっていくことは、それに対する答えでもあるんだろうと私は思っているんです。
 ここはもう少しきちんと見ていくことをやっていかないと同じ結果になってしまって、基本計画の報告は世論調査という考え方を外しましたけれども、それだけでも多分大きいことだと思うんですが、その上でやはりきちんと来年に向けてもっと見ていくと言うんでしょうか、言っていく必要があるなと思っています。
 来年の報告ではありませんけれども、選択議定書についてもずっと興味を持ってきたんですが、外務省の中での議論におさまっていて、どういう議論をしているのかがなかなか見えてきません。そういったことも含めて、この専門調査会だからこそできることだと思いますので、しっかりとやっていかなければいけないのではないかと思っています。
鹿嶋会長
大沢委員、どうぞ。
大沢委員
もう皆さんが言われた母子世帯の問題とか、そういった問題に関わってなんですが、日本の貧困の問題は非常に深刻になってきていると思います。今回第7分野でその問題をクローズアップできたということは、非常に重要だと思うんです。
 特に国際比較をしてみて働いても食べていけない。貧困者に障害があるとか、そういう理由でなくて、健全な肉体と能力があっても食べていけない。これがやはり社会の問題として一番大きな問題になってくると思います。これはまだ分析が必要ですが、背後に年金制度とか税制度などの影響が非常に大きくて、やはり非正規は世帯主に養われているという暗黙の前提が、こういうところに非常に大きく影響しているんだということを、監視・影響調査専門調査会でも言っていく必要があると思います。
 特に税制、年金制度は片働き世帯の影響を非常に強く受けていて、その結果子どもの貧困あるいは母子世帯の貧困ということで、社会的に大きなコストを将来的に生み出すという視点から、男女共同参画に関する調査の力を強めて、同一賃金同一労働の原則は外圧だけではなくて、時代の変化の中で重要だということを言っていくことが重要だと思います。それが1点です。
 もう一つは今、女女格差などと言われるように、女性の中でかなり差が出てきているように思います。データを見ているところなんですが、真ん中がなくなっているという感じなんです。ここが女性の参画が増えることで中間層が増える。今日のお話で女性が消費者として非常に貢献するとか、ダイナミックになるとか、所得が増えるというのは、まさに中間層をいかに増やしていくかということになっていって、20代、30代の男性の賃金分布の山が移動しているというのは結構最近言われていて、私もちょっと見てみたんですけれども、そんな状況になってきていて、そこを埋めているのが女性の所得といったようなところを言えば、これが重要だと言えるのではないかと思います。
 ポイントですが、要するに格差を広げない中で女性全体を底上げしていく政策を実施していったらいいのではないかという感想プラス意見です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。住田委員、どうぞ。
住田委員
簡単に申し上げます。今回、反省点をたくさん書かれたということは、私としても非常によくわかるところなんですが、4ページの必ずしも十分に進まなかった理由として最初に書いてあるのが、固定的性別役割分担意識です。私もこれが出発点であり、これを大きく変えないことにはいろんなところでのバックラッシュ的な話が、表面的には押さえ込まれているけれども、底流には色濃くあるということだろうと思います。
 そうすると「意識は、弱まってきているが未だ根強い」という言い方なんでしょうか。私から見ると若い女性はそれに回帰が始まっており、なおかつ世界と比べると信じられないくらいこれが強いと考えております。そこには母性神話の誤解があり、なおかつ3歳児神話があり、なおかつおかえりなさい神話がある。それが引いては児童虐待だとか青少年の非行とか、少子化問題すらも全部女性が働くことにあるとされ、結局ここに帰着するような気がしているんです。
 そこを押さえない限りは、そこの説明は必須でしょう。女性が働いたら豊かになりますということではすまず、家庭は大丈夫なのか、子どもは大丈夫なのかなどの出てくる反論に対して答えないと。ですから、ここの誤解を解くための広報、啓発活動というのはすごく大事だと思います。
 そして強力なリーダーシップが不足していたと言うんですけれども、私はこういうことは強力なリーダーシップでやることだとは思えないんです。別の場面では強力な推進力は必要なことがあるかもしれません。例えばポジティブ・アクションは恐らくは法制度によって強制力を持たせよう、拘束力を持たせようという方向ですが。しかし、これはリーダーシップとは言わないと思うんです。誰かが言い出したからそれに引っ張られるような話ではなく、国民全体がみんなそういう意識に変わっていくような底を上げていくようなものです。そういう形でしか意識は変わらない、制度も変わらないと思います。
鹿嶋会長
強力なリーダーシップというのは政治のリーダーシップを意味していまして、政治の意思が、男女共同参画社会をつくるんだというリーダーシップがなかったという趣旨です。
住田委員
期待している選択的夫婦別氏制度はずっと棚上げされています。戦後からの懸案で、これを強力なリーダーシップでやろうとしたときに、バックラッシュ派の家庭を大事にしましょう派とどこかで激突する可能性があるわけです。やはり大多数の方々が少数者のニーズに対しても幅広く受け入れるという、そういう考え方が必要なのです。選択的夫婦別氏制は家庭をないがしろにする考えだと誤解されているところがあるので、そういうところでの意識啓発活動や広報啓発活動が私は大事だと思っています。
鹿嶋会長
ありがとうございました。そろそろ時間が来たので、この議論はやめたいと思います。CEDAWの最終見解のフォローに関する専門調査会の件ですが、個人的には監視がテーマになりますので、委員会をもう一つつくらずに、監視・影響調査専門調査会で行うべきだろうと思っています。ただ、かなり懸案が多くなってきますので、監視・影響調査専門調査会ですべて行うのが可能かどうかということもありますが、その辺りは最終的には事務局が判断することになると思います。
 最後の議題は、これは余り手間はとらせませんけれども、監視・影響調査専門調査会の運営規則の一部改正です。事務局から説明をお願いします。
高村分析官
すみません、その前に今の議題に関して1つだけ補足で御説明させていただきたい点がございます。
 先ほど大沢先生から調査の力という御発言があったんですが、確かに男女別でデータとして示しているものは、監視・影響調査専門調査会のみが示しているというデータもあります。例えば相対的貧困率につきましても男女で示しているものというのは、こちらの専門調査会で示したものしかありません。
 併せて検討会を設けさせていただいたんですけれども、そちらで今の相対的貧困率などを計算し報告書にして、先生方にもお送りさせていただいているんですが、実はそちらの報告書につきましては、国会で父子家庭への児童扶養手当の審議を行う委員会の中で、参考資料として取り上げられたという経緯もございます。検討会の報告書は男女会議としての意見として決めたものではないんですが、広くそういった状況を認知してもらうという意味での活用のされ方もあるのかなと思っています。
 申し訳ありません。議題の4番目に引き続き移らせていただきたいと思います。お手元の資料4をごらんいただきたいと思います。
 こちらは監視・影響調査専門調査会の運営規則の一部改正についての御提案でございます。こちらでございますけれども、実は平成21年11月2日の基本問題・計画専門調査会では、既に同様の改正がなされているところでございまして、こちらの監視・影響調査専門調査会も、その改正に合わせた形で会議の公開を今後するということについて、お諮りをさせていただくという資料になってございます。
 事前に先生方にはお送りさせていただいたんですけれども、お送りしたのが期日の間際になってしまいまして大変申し訳ございませんでした。お送りしたものは資料4と同じでございますので、ごらんいただきたいと思います。
 現在、監視・影響調査専門調査会というのは非公開で開催しておりまして、運営規則にそれに関しまして特段の記述というのはございません。ですけれども、国の審議会の大半が現在、運営規則で公開とされている状況を踏まえまして、議事内容の透明性確保などの観点から、本調査会につきましても公開することを御提案する内容となってございます。
 具体的にはめくっていただきまして1枚目に、改正案と現行というところがございますけれども、改正案をごらんいただきたいと思います。5条で会議の公開を追加させていただけたらと考えているんですけれども、中をごらんいただきますと、調査会の会議は公開とすることに加えまして、ただし書きがございます。ただし、会長は公開することにより公平かつ中立な審議を保障する静謐な環境の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があると認めるときは、会議を非公開とすることができるというただし書きでございます。
 2項といたしまして、会長は会議における審議秩序の維持のため、傍聴の退場を命ずるなど必要な措置をとることができるという項も加えております。
 この変更を加えました後の運営規則というのが次のページ以降にございまして、今ごらんいただきました5条を会議の公開ということで、今回お諮りしている内容を赤字にしてお示しさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございますけれども、御審議よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
質問はございますか。畠中委員、どうぞ。
畠中委員
これはこれで結構だと思うんですが、配付資料をどうされるのか。例えば、今日もたくさん配付されていますが、我々も見せてくれ、と言われた場合に見せるのかどうか。それから、まだ案の段階のものは、我々は、置いていっているでしょう。そういうものを傍聴人に対してはどうするのか。持って帰りたいと言われた場合にどうするのか。もし断る場合にはどの規定で読むのか。役人的な質問で恐縮です。
高村分析官
資料につきましても原則すべて公開ということで考えております。
畠中委員
そうすると、答申案の段階のものも渡して持って帰ってもらうということですね。
高村分析官
はい。そのように考えております。
畠中委員
そういうことでよければ結構だと思います。
鹿嶋会長
プレスも入るので、案の段階で書くことはできるわけですね。一般市民と一緒だから、そこは問題ないですね。プレスの情報入手が遅くなるということはないですね。基本問題専門調査会が既にやっていますが、会長判断で非公開はまだ一度もないです。ということで公開でやりたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 特段問題があるとすれば、静謐な環境を維持できるか辺りかと思うんですが、特に議論が白熱したりすると、傍聴人からやじが飛んだりする可能性もなきにしもあらずだと思うんですが、「会議における審議秩序の維持のため私の判断で退場を命じるなど必要な措置をとることができる。」となっていますので、問題はないと思うんで。よろしければこれでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
住田委員
事前情報で反対の動員がかかってきたときの対応をうまくしてください。インターネットに押し寄せるようなことをする可能性があります。先生おわかりですね。
神野委員
それと研究者の方から言うと、私はほとんど公開にしない立場で、専門家委員会なども公開にしないんですけれども、委員が提出した資料だけ気をつけていただきたい。事件が必ず起きるんですけれども、学者がまだ完全に脱稿していない段階で出した資料が、そのまま独り歩きしてしまうんです。これは幾ら何とかの資料だと言っても、その個人は非常に心を奪われた悲しい思いをしますので、例えば委員会が作成したり提出した資料は公開で構わないと思いますけれども、委員提出資料については公開しないという原則を、私の専門委員会では貫いています。そうしてもらわないと専門家委員会というのは政府税調の専門委員会なんですが、それぞれモデルを使ってしまうわけです。そういう議論をするときにかなり重要になるということです。
鹿嶋会長
それについては委員限りとして、委員だけしか出さないということで配慮していきたいと思います。研究者からそういう注文がつけば、そういうことにしたいと思います。また我々も全員には出したくないというものもありますから、そういうことで対応していきたと思いますが、どうですか。
住田委員
持って帰れないものとか、色分けしていただくといいと思います。
鹿嶋会長
それらは市民の参加者には出さないことにしたいと思います。そういうことでやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 最後に事務局から何かありますか。
高村分析官
本日は御多忙の中、御審議いただきまして大変ありがとうございました。最後に事務連絡がございます。
 最後に参考資料2ということで、本日第41回監視・影響調査専門調査会の議事録を机上に置かせていただいております。こちらにつきましては御確認をいただいた内容ということで、ホームページに掲載をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、今、資料につきましていろいろ御意見をいただきまして、委員の先生方の御意見に沿った形での運営をさせていただきたいと思っておりますが、本日の段階ではまだ非公開のものもございますので、それにつきましてはどうぞそういった扱いということでよろしくお願いしたいと思います。
 今日こちらに2冊、男女共同参画白書と答申をお配りさせていただいておりますけれども、既に委員の先生方はお持ちのものかと思いますし、重いものでもございますので、そちらは机上に残しておいていただいて結構でございますので、そのようにしていただけたらと思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。
鹿嶋会長
それでは、第43回の監視・影響調査専門調査会を終わります。どうもありがとうございました。

(以上)