監視・影響調査専門調査会(第41回)議事録

  • 日時: 平成21年10月27日(火) 10:00~12:00
  • 場所: 中央合同庁舎7号館14階1414共用会議室
  1. 出席委員:
    • 監視・影響調査専門調査会:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 潮谷委員
    • 住田委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 横田委員
    • 生活困難を抱える男女に関する検討会:
    • 小杉委員
    • 桜井委員
    • 白波瀬委員
    • 湯澤委員
  2. 議題
    • (1) 「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」(最終報告に向けた論点のとりまとめ)の意見募集結果 及び 最終報告書(案)
    • (2) 第3次基本計画の策定について
  3. 議事録
鹿嶋会長
おはようございます。それでは、男女共同参画会議の「監視・影響調査専門調査会」の第41回会合と第16回の「生活困難を抱える男女に関する検討会」の合同会合を開催いたしたいと思います。
 合同開催は今日が多分最後になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、審議に移りたいと思います。本日の審議の内容ですけれど、まず「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女」の最終報告書について、専門調査会と検討委員の皆さんの間で審議をしたいと思います。
 それから、後半になりますけれども、後半は「監視・影響調査専門調査会」の委員の皆さんにお残りいただきまして、来年度実施予定である「男女共同参画基本計画」、今、改定作業が進んでおりますが、私ども専門調査会としても、それに対応する必要があります。その説明をさせていただきたいと思います。
 それでは審議に移りたいと思いますが、前回8月の専門調査会の後、委員の皆さんにご了承いただいた内容をもってパブコメを募集したわけです。そこに寄せられた意見の内容と、それを受けて、それを反映させた報告書の修正案について、事務局から説明をしてもらいます。ではお願いします。
分析官
それでは、私からパブリックコメントの結果の御報告とそれを受けましての報告書の修正の内容につきましてご報告をさせていただきます。最初に資料1をごらんいただきたいと思います。
 資料1が、「『新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について』最終報告に向けた論点のとりまとめ 意見募集結果について」というタイトルになってございます。まず1ページ目のところでございますけれども、ここで募集状況をとりまとめております。意見募集期間が平成21年9月2日~9月25日までということで、3週間ちょっとの期間募集をさせていただきました。
 募集の方法でございますけれども、E-GOVへの掲載、内閣府ホームページに掲載いたしましたほか個別に郵送、もしくはEメールでお送りさせていただいた先がございます。ここにございますとおり、都道府県、政令指定都市、男女共同参画宣言都市の男女共同参画担当窓口へ送らせていただきましたほか、男女共同参画推進連携会議メンバーの方にお一人ずつお送りさせていただいております。それから、男女共同参画会議の有識者議員の方、各専門調査会の委員の方へも個別にお送りさせていただいております。それから、今回、調査の中で26の団体にヒアリングをさせていただいておりますが、ヒアリングに協力してくださいました団体へも郵便でお送りさせていただいております。また、全国の男女共同参画センターにも郵便でお送りしておりまして、個別にお送りさせていただいたものが約680件でございます。
 それを受けまして意見をいただいた状況が(3)でございます。意見の件数が104件でございました。この104件といいますのは、記入フォームをつくりましたので、記入フォーム1枚、もしくはメールでお送りいただいた場合には送信1件ということで数えたのが104件でございます。ただ、それぞれのフォームの中には論点をたくさん書いてくださった方もいらっしゃいまして、事務局で論点をそれぞればらばらにして数えましたところ、ご意見としては227件になりました。ただし、意見を提出してくださいましたのが32名・団体ということですので、お一人当たり、あるいは一団体当たりかなりたくさんのご意見をお寄せくださったと、こういう状況でございます。
 意見提出者の年齢別、性別の内訳を(4)に示させていただいたとおりでして、32名・団体のうち女性が29名でした。女性の年齢の内訳はかなりばらけておりまして、男性につきましては3名の方がご意見くださっておりまして、うち2名が20代の方だったと、こういう状況でございます。
 ご意見は郵便もしくはメールでご回答お願いしますということでお願いしておりまして、郵便で寄せられたのが17件、メールでお寄せくださいましたのが87件ということになってございます。
 2番以下に、主なご意見ということで載せさせていただいているのですけれども、その前に、参考資料ということで、B4の縦長でご用意させていただきました参考資料1をご覧いただけますでしょうか。
 こちらの参考資料1でございますけれども、意見募集でお寄せくださいました意見、先ほど227件と申し上げましたが、その全件につきまして要約を載せさせていただいたものでございます。一番左側の欄に「項目」という欄がございますけれども、この項目というのは事務局でざっとした区分けをしております。順番ですけれども、今回の報告書の目次の順番に大体並べております。「経済社会の新たな潮流」から始まりまして、「生活困難の実態」、「生活困難の背景」、「女性のエンパワーメント」、「ライフプランニングを考えるための教育」という形で227件を書かせていただいております。ただ、ここに掲載しておりますご意見は要約ということでごらんいただけたらと思います。
 そして「項目」の隣に「内容」という欄がございますが、こちらは報告書の中の小項目ぐらいのイメージでございます。
 「詳細」のところがご意見の要約でございますけれども、「詳細」になってございます。
 それから、「ご指摘箇所」というのがあるのですけれども、こちらにありますページは、今日ご用意させていただいております報告書ではなく、意見募集をさせていただいたときの資料のページになってございます。今回、6章で述べたことをもう一度7章のほうでまとめるというような形で2か所ぐらいに同じ論点がございますので、ご指摘箇所というのは大体2か所ずつぐらい書けるような形にしてございます。
 それから、右のほうに行きまして「回答対応」という欄がございます。こちらはご意見に対しまして、私どもでどのようにそれを受けとめたかというところを書いているところでございます。今回、お寄せいただきましたご意見なのですけれども、ご指摘の部分につきましては、既に報告書に記載されているご意見がかなりございまして、そういうものにつきましては、報告書のどこでそのことについて書いているかといったことを「回答対応」欄に書いてございます。
 あと、既に書いてあるもの以外のところは、今後の参考にさせていただくか、もしくはそのご意見を踏まえまして、本文のほうを修正するといった対応をさせていただいております。
 その隣に「対応状況」という欄がございます。「対応状況」のところには3種類の記号、「-」、「△」、「○」とございます。「-」ですが、これは既に報告書の中に盛り込みしておりますので、特にこれを踏まえての新しい対応はしてないという記号です。「△」は、今後の取組の参考とさせていただくというご意見でございます。「○」がついている部分は、これについてはご意見の全部もしくは一部を踏まえまして本文のほうの修正を行ったとそういう記号になってございます。
 例えば一番上ですけれども、「経済社会の新たな潮流」という項目に対しまして、ご意見としましては、「非正規労働者が数的に本流となった現状を直視すべき」というご意見だったのですけれども、非正規労働者が既に女性で半分を超えている。男性でも2割に届く水準であるというこの事実につきましては、報告書の中でも認識をしておりまして、その認識をもとに報告書全体の記述をしているということで既に盛り込まれている視点ということで書かせていただき、対応状況については「-」になってございます。
 この227件の項目別に集計をしますと、一番ご意見が多かった項目が、4ページ目以降のところで出てきます雇用の問題でございました。ダブルカウントもあるのですけれども、大体80件以上のご意見が雇用の問題に集中しておりました。大体内容としては、雇用機会均等に関するものが1つ大きなご意見でして、「雇用管理区分を削除すべき」、「間接差別について禁止すべき」、「男女の賃金格差について是正すべき」、「ボジティブ・アクションをもっと強化すべき」というようなご意見。あと「正規・非正規の待遇の均衡」といったご意見もかなり多く寄せられていまして、その中では「セーフティネット」の問題や「同一価値労働同一賃金」の問題、「ケア労働の方の待遇を改善すべきである」といったご意見がかなり多く寄せられております。それから、「労働時間の削減」ということについてのご指摘も多く寄せられました。
 あと、雇用の問題以外では親子の問題ということで、ひとり親への支援ということで、「保育」、「公的相談機関でのサービスを多様化すべき」というご意見や「母子加算」、「児童扶養手当」を含めまして経済的支援について言及されるご意見などがございました。
 あと、「教育の無償化」ですとか「奨学金制度の充実」といったご意見も寄せられております。
 それ以外に「若者の支援」の話というところがご意見としては多く寄せられております。
 ご参考ということで後ほどまたごらんいただけたらと思います。
 そういたしましたらば、先ほどの資料1にお戻りいただけますでしょうか。2ページのところでございます。2.に「意見の概要」ということで書かせていただいております。これはご意見内容を要約したもので、ご趣旨が同様のご意見については集約をした形で載せさせていただいております。
 まず(1)ですが、これは以下の意見については、趣旨の全部もしくは一部を踏まえまして本文を修正しているところでございます。先ほどの参考資料1の対応状況のところで「○」がついているものに該当するというご理解をしていただけたらと思います。こちらのほう、対応したというところのコメントといたしましては、一番上にございますが、公的な保育ですとか、介護支援の質量での不備が女性の就業継続に影響しているというようなご指摘がありまして、保育の問題などについて主に今回追加する修正をしております。
 それから、男性への言及というのもございまして、2つ目には企業に男性の育児や両立への理解がないこと、これが問題であるというご指摘。
 それから、その次ですけれども、男性の40代、50代では経済的問題を理由とする自殺者が増加しているというのがあるけれども、この背景には男性役割のプレッシャーがあるのではないかというようなご意見もございました。
 男性孤立の背景ということで、長時間労働や固定的性別役割分担意識があるのではないかといったご意見もあり、これは全部もしくは一部を踏まえた形で追加をさせていただいております。
 それから、労働時間の規制強化が必要といったところですとか、育児・介護の話なのですが、これは将来への投資であると考えるべきというご意見がございまして、これも追加をさせていただいております。
 また、母子家庭なのですが、母子加算の復活、児童扶養手当の一部支給停止措置の廃止など経済的支援についてのご意見もございまして、これも一部を踏まえた形で追加をさせていただいております。
 外国人女性につきましては、日本語習得の機会だけではなく、日本の文化・習慣・基本的な考え方など日本人との相互理解が必要だといったご意見がございまして、これについても追加をしてございます。
 それから、身体障害をお持ちの方の立場からの表現ですとか、立場についての記述をしてほしいというようなご意見もございまして、これも一部分を踏まえて修正をしてございます。
 新たな就業形態ということで、在宅勤務というところについてのご指摘もございましたので、これも新たに追加をしてございます。
 このあたりが主に修正をしたところでございます。
 それから、(2)、3ページ目以降にございます。こちらは今回の報告の修正はしてないのですけれども、「今後の取組を進めるに当たって参考とすべきご意見」ということで、参考資料1の対応状況のところでは「△」に該当とするとご理解いただけたらと思います。
 こちらのほうでは大体40件強ぐらいのご意見をここで取り上げさせていただいております。こちらも後でごらんいただけたらと思います。
 これらの内容は意見募集の結果についてということで、公開させていただきます。
 引き続きまして、このご意見を踏まえまして、最終報告の修正をいたしましたので、その内容をご確認いただきたいと思います。資料は資料2と書いてある厚めのものでございます。
 資料2でございますが、本文が54ページまでございます。そして本文の後に図表がついてございまして、104ページまでになってございます。その後、資料2ということで、今回のテーマに関係のある施策ということで、各府省庁から登録がございました関連施策一覧表をつけてございます。こちらはご審議をいただく中で、既に一度先生方にご確認をいただいている表でございますけれども、今般、予算額のところにつきましては再度各省に予算額について変更がなかったかどうかについては照会をかけております。こちらが121ページまでございまして、その後ろですけれども、「生活困難を抱える男女に関する支援機関・団体ヒアリング結果のとりまとめ」ということで、26団体に対して行ったヒアリング結果の概要について報告書をつけております。
 これも合せますと最後161ページまでということで、これが今回の報告書の全体になる予定でございます。
 それでは、本文の修正箇所についてですが、初めのほうから順にご覧いただきたいと思います。
 まず一番最初10ページをご覧いただきたいと思います。こちらは「生活困難の実態」というところについての追加でございまして、女性の労働の箇所、正規労働者の男女賃金格差について記述を追加してございます。前回のパブリックコメントのところでは、正規労働者の男女賃金格差について1行書かせていただいていたのですけれども、ここにつきまして、国際的に見た状況やその原因などについての記述を追加してございます。これは男女の賃金格差についてのご指摘を踏まえてということでございます。
 続きまして15ページをごらんいただきたいと思います。これは「生活困難の背景」というところでして、特に男性ということで、男性の自殺の問題について取り上げております。40代、50代の男性の自殺の原因・動機を見ますと、経済、生活問題が高い状況となっておりまして、この背景に男性役割へのプレッシャーがあると指摘する声があるという記述を追加してございます。
 続きまして、17ページ目なのですけれども、こちらは「課題の検討に当たっての基本的視点」というところでございます。「女性の生活困難の防止に関して不可欠な男女共同参画施策の推進」というところで、今までここのところを希望する形で就業の継続を図ることができるようにとしていたのですけれども、就業だけではなく「就学」ということも追加してほしいというご意見があり、「就学」を追加してございます。
 続きまして、23ページになります。こちらは、自立に向けた力を高めるというところの教育について書いている分野でございます。まず上のほうですけれども、意見募集をした段階で、労働関係法制度につきましては、学校教育の中で学ぶことが効果があるという記述をしていたのですが、さらにご意見の中で、社会保障制度についても学校で知識を学ぶことが望ましいというようなご意見がございました。それで、社会保障制度と併せまして、困難な状況に陥った際、どこに相談に行ったらいいのか、どこに支援窓口があるのかということを学校の段階で知っておくことが重要であるというご指摘を追加をしてございます。
 その下、「妊娠による高校中退など10代の妊娠」という書き始めのところですが、ここにつきまして、若年で妊娠したとしても、就学を継続することへの支援という視点も欠かせないというご指摘がございまして、それにつきまして追加をしております。
 それから、下から2つ目の「○」ですけれども、性教育についての記述のところで、今までは望まない妊娠を防ぐという観点を含んだ性教育と書いていたのですけれども、いくくつかのご指摘で、人間の尊重、個人の尊重といったことが重要ではないかというご指摘がありまして、その点を追加してございます。
 それから、あと一番下ですが、10歳代から20歳代のときの交際相手からの暴力ということで、いわゆるデートDVと言われるものなのですが、それにつきまして、その防止のためには学校で若いときから教育を受けるということが有効であるというご指摘がございましたので、それについての記述を追加いたしました。
 25ページでございますが、これは高齢者についての記述のところでございます。高齢者につきましては、昨年度の監視・影響調査専門調査会の報告書で報告という形で出していますけれども、その内容から高齢者の状況について記述の追加をしてございます。
 それから、29ページをごらんいただけたらと思います。ここではボジティブ・アクションのことについて記述を追加してございます。職場での固定的性別役割分担意識の解消が重要であるというご指摘がございまして、それについてはボジティブ・アクションの中で努めていくことが望まれるということを書いてございます。
 それから、一番下ですけれども、在宅等で就業する就業形態ということで、こういった就業形態も開発・普及に向けて一層取組をしていくことが必要であると記述を追加いたしました。
 それから、雇用・就労の話なのですが、31ページでは長時間労働の問題について記述をしております。特に労働時間の規制ということに関してご意見が多かったのですけれども、こういった長時間労働が健康・生命にも影響を与えているという状況について書いてございます。今、「ワーク・ライフ・バランス憲章」がありまして、その中で、仕事と生活の調和が実現した社会の1つの姿として、健康や豊かな生活のための時間を確保できる社会を指しておりますので、それが理解しやすいような書きぶりに少し工夫いたしました。
 32ページにまいりまして、労働時間についてなのですが、労働時間が長い事業場に対する重点的な監督指導を今実施しておりますが、それを引き続き実施する必要があるという記述を追加させていただいております。
 それから、一番下のところですが、ここについては、社会保障審議会少子化対策特別部会第一次報告の中で、子どもの健やかな育成は、「未来の投資」であるといった報告がなされておりまして、子育て、介護は将来の投資であるというご意見、それを踏まえた意味づけでここに追加をしております。ここでは脚注にございますが、休日保育・早朝・夜間保育、延長保育・特定保育、病児・病後保育など多様な育児サービスが必要であるといった意見が出されておりまして、それについても記載をしております。
 その下でございますけれども、ここでは「新待機児童ゼロ作戦」ということについて書いてございまして、20年度~22年度まで3年間を集中重点期間に保育施設の質・量両面での充実・強化を図るという施策がございますので、これについても追加をいたしました。
 それから、33ページをご覧いただきたいと思います。ここは社会保障、税制のところでございます。もともとここは、社会保障、税制ということで、1つのパラグラフの中に書いておりましたけれども、社会保障のパラグラフと税制のパラグラフを2つに分けました。理由でございますが、新しい政権では、年金制度の持っている構造が全員加入の新しい一元的な年金制度を創設するということでして、その方向を踏まえますと、今までパートの適用拡大、社会保障の適用拡大、第3号被保険者という点を議論をしていたのですが、全員加入ということになりますと、そういった論点で議論することがそぐわないという状況になりましたので、そこのところについては書きぶりを改めました。パートタイム労働の話を残すという意味では、この中で社会保険の適用については雇用形態にかかわらず公平な制度となるよう引き続き議論を進める必要があると記述をしております。
 税制については、論点としては同じでございますが、特に配偶者控除についてはということで、国民に与える影響に配慮しつつ、縮小・廃止を含めた在り方について検討を進めるという記述にさせていただいております。
 引き続きまして35ページ、上から3つ目、4つ目の「○」のところでございます。3つ目の「○」は、母子家庭とひとり親世帯ということなのですが、子育て・生活支援や就業支援、経済的な支援など総合的な支援を充実するということですが、これはご意見の中にありました母子加算、児童扶養手当といったことを念頭に記述をしてございます。
 父子家庭につきましても、児童扶養手当の支給を検討するといったことが出てまいりまして、それを踏まえた記述としてございます。
 36ページでございますけれども、こちらにつきましては、今、検討されております高等学校の授業料の実質無償化につきましての記述を入れてございます。
 それから、38ページでございますが、外国人、外国人の親を持つ子どもというところの続きでございますが、日本語教育だけでなく日本の文化・風習について学ぶ機会を設定すると同時に、日本人に対しても相互に学ぶ機会をつくっていくことが必要であるというご意見を追加いたしました。
 39ページは、身体障害者が地域で自立して暮らせるような支援が必要ということで、3行ですけれども、記述を追加してございます。
 また、身体障害者の方に関しましては、それ以外に少し記述を変えたところがございまして、まず41ページでございますが、ヒアリングの内容を記述した2つの枠がございますが、上の枠の記述を、ヒアリングにお越しくださいました自治体にもご承諾をいただいた形で記述を少し変更をしてございます。
 以下、7章になるわけですが、7章も6章までのところに合せる形で該当箇所を修正してございます。
 49ページにつきましては、教育、雇用・就業、保育サービスということで、今までもご説明をさせていただいたことをもう一度7章ということで書き直しをしている部分でございます。
 50ページにつきましては、先ほど高齢者の問題として少し具体的な記述を追加したというご説明をさせていただいたのですが、こちらも同様に高齢者についての記述を追加したことと、それから、7章として生活困難が複合的に発生しているという状況を追加させていただいております。
 それから、ウ以降のところですが、ここにつきましては、当面の課題ということでして、今までのご議論で、必要とされる施策を出してまいりましたけれども、これに施策の担当省庁名を追加をしてございます。
 一番最初は(自立に向けた力を高めるための課題)ということでして、主に学校教育の問題や若者の自立支援といった施策が記述してございます。
 51ページにまいりますと、こちらは雇用・就業の安定ということでして、セーフティネット、雇用機会均等、ボジティブ・アクション、ワークシェアリング、ワーク・ライフ・バランス、労働時間が長い事業場への重点的な監督・指導や保育サービスなどの問題について記述をしてございます。
 それから、52ページにまいりまして、下のほうですけれども、安心して親子が生活できる環境づくりということでして、こちらでは母子家庭の母への就業の支援、父子家庭への支援、教育の問題、高校授業料無償化、幼児教育の話というところを書いてございます。
 53~54ページにかけましては支援基盤の在り方に関する課題ということでして、固定的性別役割分担意識解消に向けた広報・啓発、問題解決のための多様な主体の連携・強化、ワンストップ・サービス化、それの連携というふうなことを書いてございます。
 この担当府省につきましても、今後、若干調整が入るかもしれませんけれども、今の段階でこのように記述をしております。
 以上でございます。
鹿嶋会長
これだけの分量ですと、ふだんは章を区切って皆さんから意見をいただくのですけれども、この問題については大分議論を重ねましたので、修正文、修正してある中で、皆さんの関心分野、あるいは専門分野の中で表現が少しおかしいのではないかといったようなところがあれば指摘していただきたいのと、それから資料1を見ますと、参考とするという中にかなりの項目を押し込めてあるのですが、これは具体的にはなかなか難しいというもの。例えば雇用管理区分を撤廃すべきといっても、これはすぐ撤廃できるような話ではありませんので、矛盾はあるにせよ、参考としておくということなのですが、ただし、参考分野の中でももう少し再考の必要があるのではないかといったようなことがあれば、またご指摘いただきたいということで、皆さんからご意見いただきたいと思いますが、私、今、気づいたのは、23ページの修正文の最後の「○」、デートDVの交際相手の次の(後に配偶者となった相手以外)という(注)をつけていますが、後に配偶者となったケースもあるわけだからとったほうがいいのではないか。
分析官
この括弧ですか。
鹿嶋会長
この括弧の(注)書きを(後に配偶者となった相手以外)と書いてありますが、相手でもデートDVから引き続いて結婚するケースもあるでしょう。
分析官
そうですね。
鹿嶋会長
この(注)はとったほうがいいのではないか。
分析官
検討させていただきます。
鹿嶋会長
デートDV、そういう定義があるのか。要するに結婚した相手は除くとか、婚約時代とか何かのステディな関係のときのもので。
分析官
申し訳ありません、確認をさせていただきます。
鹿嶋会長
どうぞ、皆さんのほうでご意見いただきたい、どうぞ、ありましたら。
住田委員
35ページでございます。4つ目の父子家庭の問題についてですが、「父子家庭の地域での孤立の背景には固定的性別役割分担意識があると考えられ」と書いてあるのですけど、その意味内容がこれだけではピンとこないので、もう少し付加していただければと思います。それとも皆様、これでもうおわかりなのでしょうか、私はわかりませんでした。
鹿嶋会長
わからないですか。
住田委員
はい。
鹿嶋会長
例えば、住田先生だったらどんな形容詞をつければいいですか。
住田委員
まず具体的にどんな意識があるからこうなのだということをおっしゃっていただければ、多分固定的性別役割分担意識なのだろうと思うんですけど、固定的性別役割意識があると、父子家庭はどうして地域で孤立するのかなと、率直によくわからないという。
鹿嶋会長
これは会社に目が向き、父子家庭は地域への目が向けられてないという中で、地域のコミュニケーション、あるいは隣人関係等々で孤立しやすいような状況というのは母子家庭よりはあるのかなというふうなことで、そういうことをひっくるめると、固定的性別役割分担意識というふうなことなんですけれども、もうちょっときめ細かさが必要ですか。検討しましょう。
住田委員
ほかの方のご意見、私がわからなかっただけで、ほかの方はこれで自明だとおっしゃるのであれば。
湯澤委員
私もこの表現は少々ひっかかりました。父子家庭の方の場合、逆に父子での暮らしになったことによって会社をやめざるを得なくなり、在宅で過ごすというような場合もあります。男性が企業だけに目が向いている、ということですと当事者に問題があるようなまなざしにもなってしまうかと思います。そのあたりは、父子家庭の存在を認知しない地域社会の問題としてもとらえられるような表現があったほうがよいかと思いました。
鹿嶋会長
そういう言葉も入れたほうがいいですか。父子家庭にしない。白波瀬委員。
白波瀬委員
住田委員、湯澤委員、私も同意見なんですけれども、この問題についてはかなり複雑なメカニズムが絡んでいて、まず最初にご指摘のように、「固定的性別役割分担意識」という言葉では中身がわからない。父子家庭はかつては自らの親と同居して仕事を続けるというケースが父子家庭の場合は8割以上だったという状況があるのですけれども、戻るうちもなくてという形で、家庭の中そのものがかなり崩壊状況にあるケースというのも、逆に母子家庭よりも数としては少ないのですけれども、あると思います。それは多分マクロな統計ではなかなか上がってこない。つまりそこでは家族の問題と地域とのかかわりというのも、多分家族との関連であるのでしょうけど、そこのところは突然地域という形で表現をするのか、もちろん仕事を続けることができる人も実は父子家庭でも少なくなっていて、もともとかなり所得的には低い世帯で、実は連れ合いに逃げられたというケースも少なくはないと思いますので、ここでは具体的な問題がわかりにくいような気がします。
鹿嶋会長
意見は十分理解しました。それも検討させてください。ほかに。
白波瀬委員
高齢者の中の。
鹿嶋会長
何ページですか。
白波瀬委員
50ページのところで、同じ文章が前にも続いているところなんですけれども、50ページの上から「○」の3つ目の「高齢世帯は相対的貧困率が最も高い」というところで、「中でも未婚男女」、ごめんなさい、「ボリュームが大きく」という言葉があるのですけれども、これはできるだけ日本語で書かれたほうが、ちょっと唐突な感じがいたしました。これは細かいところです。
 「未婚男女、離別女性が経済的に厳しい」、ここで死別女性が入ってないんですね。恐らくこれは75ページの図表35のところで、高齢者の65歳以上(死別)、配偶関係別に見てみると、確かに未婚、離別に比べると死別の貧困率が低いというところで削除されたのかなとは思うのですが、この値は多分算出の仕方がすべて個人単位とした上で、それでこの貧困率をとっているんですね。もっと申し上げると、女性の死別、ほとんどが子ども世帯と同居する三世帯の死別の高齢女性というのもここの中に入っておりますので、そういう意味では貧困率が下がります。
 ですから、こういう形で離別、死別という死別をとってしまってもいいほど、特にひとり女性の場合は離・死別にかかわらずかなり貧困率が高いですので、ここで離別女性は出てくるけれども、死別女性が出てこないということになりますと、かなり一面的な指摘なような気がしますので、もし明らかに図表35と連動させないということでの記述でしたら、できれば、離別が出ているのであれば「死別」も入れていただいたほうが私は現実に即しているのではないかと思います。
 以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ほかに。
横田委員
10ページの真ん中の赤く入っているところですが、まず、これは正規労働者の男女間賃金格差を比較すると、2008年の段階で、男性を100とした場合、女性が67.8となっていますが、これは正しいのでしょうか。つまり男性の正規労働者と女性の正規労働者の比較でこういう数字なのでしょうか。それとも、むしろ女性の場合には非正規労働者が多いという状況も反映した正規労働者以外の人も含めた100に対して67.8なんでしょうか。その点、まず確認させていただきたい。
分析官
これは、男性も女性も一般労働者という定義です。
横田委員
もしそうだとすると、ここの書き方だけだと、今のことがわからない。最初の書き出しが正規労働者の男女間賃金格差ということで頭出ししていますので、それで読んでしまうと、今おっしゃられたことが反映されないような気がするんですね。ですから書き方をもうちょっと詳しくしないと、一般労働者についての女性の平均賃金水準、よく読めばわかるのかもしれませんけれども、ちょっと迷うところです。非正規労働者が女性に多いということから来る問題点がこのままだと見えてこないので、そこのところ、少しつけ足すだけで済むと思いますが、はっきりさせていただきたいのです。
 なぜこのことを問題にするかといいますと、もう一つ問題がありまして、この男女間の賃金格差の解決のための施策というのが、後ろのほうを見るとあまりはっきりと出てきていないような気がするんですね。もちろんワーク・ライフ・バランスとか、社会保障の充実とか、そういうことがずっと後ろのほうの施策に書いてあるのですけれども、意見でも大分出てきている同一価値労働同一賃金の原則がきちんと守られてないという現実に対して何かの提言をしないとちょっと弱い気がするのですが、その点が、私の見たところ、うまく表現されてないという感じがしますので、その点について、もしどこかに表現されていれば、私の見落としかもしれませんし、そうでないとしたら施策の中に少なくともワンセンテンスか、ワンパラグラフ入れる必要があるかなという気がします。その点、指摘させていただきます。
 それから、全くつまらないことですが、気がついたので、こういうのを見落とすとそのままになってしまうものですから、33ページの赤字の一番下の行、「縮小・廃止を含めてどの在り方について」というのでなくて、多分「その在り方について」だと思いますので、これは全くの誤植ですけれども、気がつきましたので。
鹿嶋会長
今の意見ですけれども、調査のは一般労働者なんですね。これは統一したほうがいいですか、言葉も。
横田委員
統一というよりも、はっきり書いていただければいいと思います。頭で「正規労働者の」ところから始まっていますから、そういうふうに読むと、正規労働者の賃金が男女間で100に対して67.8となっているんですが、私が今まで聞いてきた数字は、67とか66とか、67.8とか言われているのは。
鹿嶋会長
非正規入っているやつですね。
横田委員
全部入れての全くの平均賃金です。一般労働者という言い方でもいいのかもしれません。
小杉委員
この統計の中では、一般とパートタイムと分けていたと思うんですね。
横田委員
そうすると、ますますわかりにくい。
桜井委員
今回の場合には非正規を含んだものも出しておかないと。
鹿嶋会長
もちろんそうなんだけれども、ここはいわゆる正社員の格差を論じているので、一般労働者を比較していて、正規の労働者の賃金というのは40代半ばでぐっと下がってくるんですね。それは厚労省の調査では昇進が原因なんですね。いわゆる女性は昇進しないから、だんだん下がってくるのですね。だから、この書き方で問題があるとすれば、むしろ正規労働者と一般労働者と言葉を2つ使っていますので、このあたりを整理したほうがいいのかどうか。
桜井委員
一般労働者の(注)を1つ入れていただくとか。
横田委員
そうですね。
桜井委員
はい。それから、関連で言えば、これだけ「生活困難」ということがテーマなわけですから、非正規の労働者も含めた男女間格差というのをどこかで出しておいたほうがいいのではないかと思いますが。
鹿嶋会長
それはむしろ、だったら正社員と非正社員の格差のほうが正しい。正規と非正規を混ぜて65とかなんか入れてもあまり意味ないでしょう。
大沢委員
雇用形態別にということですよね。
桜井委員
ここではなくて、どこかそういった場所がないかなというふうに思っているんです。
大沢委員
多分厚生労働省で、男性のパート労働者、女性のパート労働者。それを使えば計算しなくても出ると思いますけど。
白波瀬委員
最初が「正規労働者の男女間賃金についても」というところから始まっているので、そこは別々にされたほうが議論は混乱しない。あと、賃金センサスですよね、この出典が。
分析官
そうです。
白波瀬委員
ですから、それを入れられたほうが、入ったらわかりやすいので。
分析官
入れさせていただきます。
鹿嶋会長
その原因も、繰り返しになりますが、昇進問題にかかわっていて、全体から大枠で眺めれば、同一価値労働同一賃金の問題になると思います。その辺は多少書き分けます。
神田委員
今のことを確認したいのですが、つまり一般労働者というのは正規労働者のうちの一般労働者についてということですね。
大沢委員
微妙に違いがあるんですね。
小杉委員
統計によって定義が違うので、微妙な違いがあるので、あえてこういう表現、この統計で、これを一般労働者を正規に書くと、それ、違うぞという人が出てくるということなんです。
白波瀬委員
だから出典を明らかにすれば、そこでという。
鹿嶋会長
ここは(注)をつけましょう。よろしいですか、神田先生。
神田委員
わかれば。
鹿嶋会長
畠中委員。
畠中委員
先ほど横田先生がコメントされたところ、33ページの配偶者控除で思い出したのですけれど、これは例の子ども手当の財源で廃止するということが言われているんですけど、これは廃止するとはまだ決まってないんですか。
分析官
決まってないです。
畠中委員
貧困率の関係ですが、民主党政権になって、貧困率を公表したという新聞報道がありましたけれど、それはこのレポートの中には入ってないんですか。
分析官
この中には入ってございませんけれども、同じデータを使いまして、検討会で阿部先生に計算していただいた計算結果というのは掲載してございます。
畠中委員
入れなくていいものかどうかということですね。
鹿嶋会長
検討させてください。全部検討させてくださいになってしまうけれども。検討させていただいていいですか。
畠中委員
結構ですよ。
袖井委員
先ほどの白波瀬さんのですけれども、このデータだけだと多分おかしいかもしれないですけれども、住宅の所有状況とかそういうデータ見ると、死別が一番いいですね。持ち家が一番高いですね。ですから、これだけでは言えないかもしれないけど、離別が一番しんどいということは明らかなので、ここは高齢女性の死別入れないほうがいいと思うんです。だからもしそういう資料を加えるのだったら、例えば資産の所有状況とか、住宅所有状況、そういうのを入れればいけるかなと思います。
 それから、29ページなんですが、これも小さいことですが、一番下の「○」で、「IT」と書いてあるけど、これは「ICT」だろうと思います。
 以上です。
鹿嶋会長
白波瀬先生はどうですか、今のご意見は。
白波瀬委員
それでも結構だと思います。いろいろ見方がありますので。
鹿嶋会長
ほかに。桜井委員。
桜井委員
54ページの下から3つ目の「○」ですけれども、「既存制度を活用したワンストップ・サービス化を引き続き進める」とあって、これはとても大事なことだろうと思いますが、今回のハローワークで、生活保護とか住宅までやっていくというのがありましたでしょう。ああいうふうに出されても機能しないのではないかと現場では思っています。つまり、現場に、今、ハローワークの窓口にいる方たちがどれだけ貧困問題ですとか、あるいはそこに来る、例えば母子家庭とか、DVの被害を受けた人、そういった方たちについて、どれだけ対象に迫るスキルを身につけているかというと、全く訓練受けていないんですね。ですからこれだけでは、ただ、予算消化ということで出てくるだけではないかと思って、既存制度を活用するというのは大変大事だと思いますので、既存制度が活用できるように、もう少し研修ですとか訓練を対象者がそのサービスを受けやすくなるような、シンプルにしていくというか、今、母子家庭のお母さん向けの公共職業訓練コースをやりかけているのですけれども、その方たちが訓練手当を受けるために3か所も4か所も役所というか、窓口を回らなくてはならなくて、そういったことが果たして本当に可能なのだろうか。それは派遣切りに遭った方たちについてもそのとおりだろうと思うんですね。ですから既存制度を活用しやすいように見直していくということをどこかに入るといいかなと思うのですけど。
鹿嶋会長
ここに入れるとすれば、その表現だけでいいですか。
桜井委員
対象者に迫った制度になっていないというところが一番の問題だろうと思うんですね。
鹿嶋会長
ここについては文章のサンプルを事務局に出してください。
桜井委員
そうしてみます。済みません、今ごろ。
鹿嶋会長
それで検討します。
桜井委員
済みません、一番気になりました。
鹿嶋会長
住田委員、どうぞ。
住田委員
33ページ、何回も出てくるところですが、一番最後の「○」です。最初の一文の「女性の就業等の活動の選択」という、「選択」という言葉にちょっとひっかかっています。するか、しないかというような、まず意味内容に思えてしまって、どのように働くかという、時間的にどのような就業時間とるかとか、そういうことに関係するのが入りにくいなということと、選択というと、働く女性の側の意思のことが先に来てしまう、そのように受けとめられるような気がするんですけど、場合によったら、これは雇用主のほうから仕向ける場合もあるなと。そういう場合もあるので、いっそのこと、これとってしまったらどうか。もしくは「在り方」という言葉のほうがふさわしいけど、最後に「在り方」があるので、ここは重複するとまずいなと、そういう感じでございます。
鹿嶋会長
「選択」をとって別の言葉に変えるということですね。
住田委員
なくても読めるかなという。
鹿嶋会長
あるいは「在り方」、ダブりを意識しながら。
住田委員
「就業等の活動に対して及ぼす影響」でもわかるかなという感じがしました。
鹿嶋会長
ほかには、潮谷委員。
潮谷委員
1つは評価をしたいと思います。32ページ、49ページ、52ページ、それぞれに保育の量と質という、必ず「質」を出してくださっているということが今回とてもよかったと思います。時間的に広げていって、子どもの側から見ていくと、子どもの人権や発育、あるいは成長・発達、それが侵されていっているというところがありますので、それに必ず「質」ということを加えていただいたということはとてもよかったのではないかと思います。
 それで、34ページの課題認識ですが、「○」の2つ目のところで、「子育てをしている障害がある人に対する子どものケアを含めた支援の充実が図られるべきではないか」という、この課題に対して、どこでどのように吸収されていっているのかがちょっと見えないという感じがしております。質問です。
 以上です。
鹿嶋会長
もうちょっと具体的に言うと、2番目の「○」について、施策の現状とか方向性が見えないという意味ですか。
潮谷委員
はい。
分析官
その部分に関しまして、もし潮谷先生のほうから、こういう施策が必要ではないかといったご意見ございましたらば、逆にお聞かせいただけたらと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
潮谷委員
1つは障害女性ということで非常に差別があるということです。それから、さらにその人が子育てをしていくというときに、公的な制度の施策と、もう一つは地域社会の中での施策。例えば、私が知っている事例ですけれど、全盲のご夫婦で赤ちゃんが生まれたのですが、育児書を点字で書かれているものがなかったときに、彼女は子どもの便の状態を、どのように把握して育てていけばいいのかわからなくて、自分の舌で赤ちゃんの便をちゃんと識別と言ったら、いけないけれども、そしてやっていったということがあるんですね。
 それで地域社会ともつながってない。それから、障害者の人たちに対しての子育て支援的なものも今のところ完全にされてない。だから公的な部分と私的な領域と両方、障害を持っている方たちの子育てというのはバックアップしていかなければならないのではないか。それと言語の習得がその後見ていると、話しかけていく領域が乏しいというようなこともあって、子どもにも問題が出てきているということですので、ある意味では障害を持っている方たちの子育てというのは、子ども自身にも少なからず、障害と言っていいかどうかわからないけれども、そういったものがある。そういう状況がありますので、ここの部分はある意味では二重の人権的な侵害、あるいは困難性を抱えていると、そんな感じがしています。どんなふうに表現したらいいのかわからないのですけれども。
分析官
済みません、今、「二重の」とおっしゃいましたのは、1つは障害ということ。
潮谷委員
その人自身が障害を持っているということと、もう一つは、子育て支援というところで、なかなか既存の法律につなげていったりとか、あるいは地域社会の中でバックアップをしてあげたりという、そこらあたりの理解がないという、そんな感じがするんです。
分析官
ありがとうございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。小杉委員。
小杉委員
済みません、49ページに、上から「○」の2つ目に「社会保障制度についての知識の理解」というのが中長期的な課題で入っているんですが、労働関係の部分というのは、前は労働関係だけがあって、社会保障が入ってなかったから社会保障が入ったのですが、中長期的な課題のところで、労働関係はほかのところでひょっとしたら置いているから、ないのかもしれないけど、多分本人が身を守るための基本的な理解ということで、社会保障と同時に、労働関係についてもきちんと知って自分を守るだけの教育を学校時代にしてほしいという趣旨だと思うので、入れたらいかがと思います。
分析官
済みません、労働者の労働関係法規制に関しまして、実は51ページで、別のところに書いてございます。51ページの「○」で言いますと、上から7つ目のところでございます。
小杉委員
多分構造を理解してないのでいけなかったのだと思います。ここだけ見ると労働はどうしたのだろうと思ったので。
分析官
ありがとうございます。
鹿嶋会長
ここのところには今の問題も加筆して。
湯澤委員
23ページでございますが、一番下から2番目の「○」の項目です。今回、意見募集の中でも言葉使いの問題がいくつか出てきました。「望まない妊娠」という言葉がありますが、10代で妊娠した方の中には自分は望んでいるのに社会から「望まれない妊娠」として位置づけられているという場合もあることが指摘されていますので、価値中立的に表現するならば「予期せぬ妊娠」といった表現のほうが適切かと思いました。
 それから、同じくこちらの項目の中の「人間尊重の精神を基盤とし」という表現がパブリックコメントをもとに取り入れられています。そこで、パブリックコメントの内容を拝見してみますと、とりわけ「予期せぬ妊娠」という点については、女性が抱え込まなければならない側面があることがニュアンスとして伝わるとよいという文脈もございました。そこのところで、男女がともにかかわっている事象なのだということをもう少し入れてほしいというような意見ですとか、女性側の自己責任事項ではないといったようなご意見が出ていますので、「人間尊重の精神」という表現ではまとめきれないニュアンスを入れ込めないかと思いました。
 それから、2点目なのですけれども、35ページです。先ほどの「父子家庭」の前の項目の「母子世帯」のところですが、パブリックコメントを受けて、「子育て・生活支援や就業支援、経済的支援など総合的な」という点に、母子加算や児童扶養手当一時支給停止の問題をこのように入れていただいています。しかし、「総合的な支援」というのは、既に2002年の母子家庭等自立支援対策大綱の中で言われており、「総合的な支援」という表現を用いる中で児童扶養手当の一時支給停止が実行されてきた経緯がございます。そこで、「総合的」という言葉ですと、今までと同じというようなニュアンスが伝わるかと思いますので、もう少し率直な表現ができないかといったことが2点目です。
 それから、3点目は50ページです。先ほどから話題になっている高齢世帯のところを新しく書き入れていただきまして、基本線では異論はありません。しかし、3つ目の「○」の最後から2行目の必要性というところですが、パブリックコメントの中でも、医療や介護の問題がいくつも出てきておりまして、就業したり社会参加できる手前で、健康問題や医療、介護などで暮らしの維持そのものが難しいという現実もあることを一言入れられたほうがよろしいかと思いました。
 以上です。
鹿嶋会長
湯澤委員の2つ目の意見、35ページのところですが、これは例えば具体的にどういう表現をするか。総合的支援というところですね。なかなか難しいと思いますので、こういうふうに委員が案としてあるということをメールで入れてもらえますか。
湯澤委員
わかりました。
桜井委員
51ページ、上から2つ目の「○」で、「若者に対する支援としては」とあるのですが、これですと、女性とか男性とかということが全くなくて、これまでと変わらない支援になってしまわないかと思っています。母子家庭と父子家庭が背景が違うし、施策も違ってくるように、女性は先ほど言いました予期せぬ妊娠があったり、性暴力の被害があったり、やはり男性と女性と大分違いますし、今、若者サポートステーションに来れている人たちは男性が圧倒的に多いという現状を見ますと、ここのところは男女の性差といいますか、ジェンダーといいますか、あるいは背景という書き方がいいのでしょうか、置かれている状況、そういったものに配慮しての施策が必要だということを何か一言入れていただきたいと思うのですけれども。
鹿嶋会長
ありがとうございます。
神田委員
今のことに関連してです。特に教育の領域では人間尊重とか、大変すらっと入る言葉なんですね。そして、その中で女性の差別の問題は見えなくなってきているので、社会的性別に伴う問題をきちんと見えるような形で文章にしていただきたいと思っています。
鹿嶋会長
そろそろよろしいでしょうか。最後の質問、いいですか。
横田委員
小さいことかもしれませんが、38ページの赤く書いてある外国人に、日本語教育以外の文化・風習について学ぶ機会というのがあって、実は全く同じ文章が50ページの一番上のところにあるんですね。必要ならば強調するために2つ同じ文章を書いてもいいのですが、50ページのほうは、外国人の子どもの増加に対応する第二言語云々という書き方で、日本語教育以外にも、文化・風習についても教えるということを、子どもにするという趣旨なのかもしれませんが、全く同じ文章というのが私にとっては読みにくい。多分もうちょっと短くして、文化・風習も含めて、「日本語教育だけではなく」という最初の文章に入れてしまったほうが、全く同じ文章が2か所に出てくるのはちょっと不自然な気がしますので工夫してください。そういうことです。
鹿嶋会長
ありがとうございました。何かたくさん出てきますね。3人まとめてお話聞きますので、どうぞ。
勝又委員
意見というよりは評価したいと思うんですけれども、50ページのところに、各府省の名前を今回初めて入れたと。前回のときには入っていなかったということ、入れたほうがよかったと私は思うのですが、先ほどご説明の中に、今後変わっていくかもしれないというような、各府省とのところでというお話があったので、そこはどういうふうに変わっていくのかということと、それから、前には入ってなくて入れたというところの経緯について教えていただければと思います。
分析官
実はこういう形でテーマを設定しまして、報告書を作成するのが、テーマとして今回3つ目のテーマになります。昨年度、「高齢者の自立」ということ、それからその前の年に、「生涯学習について」ということでまとめさせていただいているのですが、いずれも最終報告には取組の課題について、どこが担当すべきかということで、省庁の名前を書き込んでございます。それで今回の最後には入れるようにしたところでございまして、今まで入ってなかったということはパブリックコメントの対象にそこは含めないということで、最終的には入れるのですけれども、というふうな整理でやっておりました。
勝又委員
パブリックコメントに、どこの省庁がこういうことについてやるべきということはコメントする必要はないと、そういうお考えだったのですか。
鹿嶋会長
そこまでの議論はしてなくて、従来型の慣習を踏襲したということですので、今後、今、おっしゃられたような意見が出ますので、今後パブコメのときはどうするかというのは、改めて課題として出しますが、いずれにしてもそういった理解をしていただけますか。パブコメについてどうするかは、今、先生おっしゃったような意見があれば、今後は検討いたします。とりあえずは今までは出していませんでした。
潮谷委員
そのことに関連して。実は各省庁のこういう責任分野を明確にされるのはとても大事なことで、54ページでワンストップ・サービスのことが言われていて、さっき既存制度を活用したという、そこの中身についても言われていたのですけれど、担当の窓口が実は自分がやっている仕事がどこと連携をしていっているかというのを見る意味でも、私も自治体の中にいましたので、行政は必ず人事異動があります。そういった中で、こういったものがきちんと見させられているととても理解しやすいという側面もありますので、私はぜひ今後ともこういうことをやっていっていただければと、そういう願いを持ちます。
 以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。パブコメの段階ではまだ十分に府省のすり合わせも練り上がってないという段階もあって、あまりここを出すのはどうかという議論も。
潮谷委員
パブコメではなくて。
鹿嶋会長
わかりました。ありがとうございます。
住田委員
小さな話です。先ほどの33ページの問題は、52ページに同じ文がありまして、52ページの下から4つ目「○」で、これで「選択」という言葉を外した文章があったので、これと一緒にされたらよかったと思います。
 あと漢字の話ですが、32ページに「国が責任をもつ」とあるのですが、ここは平仮名です。「ありかた」は漢字の「在り方」か「あり方」と混在していますので、最後はそこは修正してくださいませ。
鹿嶋会長
最後になりますが、湯澤委員。
湯澤委員
既に、先ほどご意見が出ておりましたが、パブリックコメントの中で出てきた同一価値労働同一賃金の実質化という点をぜひ入れていただきたいと思います。
鹿嶋会長
最後です、小杉委員。
小杉委員
質問なのですが、「ICTを活用し、在宅」というのが今回突然入ってきましたね、今まで議論になかったのだと思うのですが、特にここで引かれた実態調査で、まゆつばというか、私はそう思っているのですが、この表現は多分風呂敷残業を含んでしまうので、テレワークを1日8時間以上、私もしていることになりますから、うちにパソコン持っていってうちでやっているという、時間や場所に限定されない仕事の仕方を進めることは大事だと思うけど、それをテレワークという、今までの枠組みの中で本当にできるのか、ちょっとクエスチョンマークがあるので、できれば「時間や場所を限定されない多様な働き方ができる」という程度の表現のほうがいいのではないかと思うんです。
鹿嶋会長
まゆつばというのはテレワークの実態調査がまゆつばなんですか。
小杉委員
この表現だと、要するに風呂敷残業というか、パソコン残業が含まれてしまうんですよ。
鹿嶋会長
それも、今、議論する時間がないので、検討ということでよろしいですか。 検討します。
 ということで、大変駆け足で皆さんから意見いただきました。ありがとうございました。意見かなり出ましたので、修正をかけて、最終報告としまして男女共同参画会議のほうに提出いたします。修正については私のほうにご一任いただければと思いますが、それでご承認いただけますでしょうか。
 (「異議なし」と声あり)
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 それでは、修正の上、「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女」についての最終報告書にしたいと思っております。この報告書のとりまとめに当たっては、昨年の7月の第30回の専門調査会から、本日の第41回まで、12回にわたって議論をいただきました。検討会の皆さんは16回にわたってお集まりいただきまして本当にありがとうございました。うち11回は、専門調査会と合同で審議をしていただきまして、大変貴重なご意見をいただきました。検討委員会の阿部委員、小杉委員、白波瀬委員には政府調査の特別集計にもご協力いただきました。この分析結果は、男女別に就業の状況や貧困の状況を分析した非常に貴重なものですので、別途何らかの形でとりまとめたいと思っております。それについても、またご協力いただくことがあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、この報告書の取り扱いですが、先ほど申しましたように、本日の意見を踏まえて修正を加え、そして男女共同参画会議へ提出し、意見を決定した段階で公表することになります。
 ただ、今のところ、男女共同参画会議の開催時期が未定であります。男女共同参画会議の意見は、本報告書の第7章、45ページ以降の意見を踏まえて作成することになります。7章を出して意見決定してもらうのですが、7章プラス、これをかなりわかりやすく書き加えたもの、そういうものをつけるということになるんですね。それを後で皆さんにお諮りしますので、それで皆さんからご意見もお聞きするということになると思いますが、そのあたりの具体的な表現や作業については私に一任していただきたいということをお願いしておきます。
 スケジュールが決まりましたら、メールで皆さんあてにご報告するようにいたします。
 ということで、長く続きましたこの検討会、専門調査会の課題もひとまず終わりということになりますが、局長からご挨拶をお願いしたいと思います。
岡島局長
昨年の7月から1年以上にわたりまして、大変密度の濃いご議論いただきましてありがとうございます。また、検討会委員の先生方には専門的なお立場から、こうした分析をいただきデータを出していただいたり、貴重なご意見をいただきましたことを改めまして御礼申し上げます。
 この1年余の間に経済情勢、社会情勢、あるいは政治情勢大きく変わりました。そういう中で、この報告書の意義はますます重要になり、また脚光を浴びることになると思います。私ども、今、会長からお話がございましたように、参画会議に提出しまして、そしてそれを政策にしっかり反映していけるようにしていきたいと思っております。
 本当にどうもありがとうございました。
鹿嶋会長
検討会の委員の皆さんのお仕事はここまでなんですが、今からの課題は、基本計画の策定の進め方なのですが、ご退席いただいても結構ですし、あるいは議論の中で傍聴していただいても結構です。
分析官
最後になるのですけれども、今日お配りさせていただきました資料なのですが、最終的には、今、会長のほうからお話がございましたとおり、男女共同参画会議に提出して公開ということにさせていただこうと思っておりまして、今日の資料は非公開ということでお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
桜井委員
私は残らせていただきます。
 (小杉委員、白波瀬委員、湯澤委員退室)
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。
 引き続きまして、監視・影響調査専門調査会として、今、次期の基本計画の策定、それについて、この専門調査会もかかわることになりますので、そのご協力をいただきたいと考えております。
 男女共同参画を進めるためのマスタープランであります基本計画ですが、2000年に第1次基本計画、5年後の2005年に第2次基本計画が策定されたわけです。そして、さらに5年後の来年2010年の第3次基本計画の策定が、今、基本問題・計画専門調査会で行われているわけです。
 この基本計画の検討に、監視・影響調査専門調査会としてどのようにかかわっていくかということについて、事務局から説明をお願いします。
調査課長
それでは、資料3-1というものをお配りしておりますが、こちらをごらんいただきたいと思います。ただいま会長からご紹介いただきましたように、新しい基本計画の検討に関しまして、そのうちのいくつかの論点につきまして、監視・影響調査専門調査会の委員の皆様にもご協力をお願いしたいと考えてございます。本日、今後の手順につきまして簡単にご説明したいという趣旨でございます。
 最初に資料3-1の1枚目にスケジュールの資料がございます。今まで計画策定状況はあまりご説明する機会なかったのですが、今、どういう状況にあるかということをご確認いただきたいと思います。
 まず、今年の3月に男女共同参画会議で総理から諮問が行われております。「男女共同参画社会基本法を踏まえた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について」ということで、会議の意見が求められているということでございます。
 その後、基本問題専門調査会を「基本問題・計画専門調査会」という形に改組いたしまして検討が開始されております。5月から6月にかけまして、主な論点、検討体制等についてご議論をいただきまして、7月以降、現在のところまでは第2次基本計画のフォローアップを順次実施をしております。具体的には各府省からの施策の実施状況についてヒアリングを実施しております。
 それから、これと並行いたしまして、時期的にはほぼこれからという段階なのですが、ワーキング・グループ(WG)をいくつか設置いたしまして、順次開催するという段階になっております。
 今後のことについて申しますと、フォローアップとWGからいただきました論点整理を踏まえて、中間整理案を4月ごろに公表いたしまして、パブリックコメント、最終答申、その後の政府による計画の策定作業を経まして、来年の12月を閣議決定ということを目標といたしまして作業を進めているところでございます。
 先ほどWGと申しましたが、ただいま計画の論点につきまして、概略でどのような論点があるかというところをまとめていただいておりまして、それに基づいてWGで検討していくということを考えております。
 資料を1枚めくっていただきまして裏面になりますが、「3次基本計画の重点事項の考え方について(案)」という1枚の資料がございます。こちらは先ほど申しましたように、5月から6月の基本問題・計画専門調査会の議論に基づきまして、ただいま13の重点事項ということで整理をしております。ご紹介いたしますと、「政策・方針決定過程への女性の参画の促進」、「女性のライフコースに沿ったエンパワーメント」、「地域における男女共同参画の推進」、「男性にとっての男女共同参画」、「生涯を通じた健康支援」、「生活困難を抱える人々への対応」、「女性に対する暴力の根絶と人権の尊重」、「風土の改革・気運の醸成、あらゆる世代層への広報・意識啓発と実践的取組」、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」、「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」、「監視・影響調査機能の強化」、「国際的協調・対外発信機能の強化」、「国と地方の推進体制の整備充実・地方公共団体、企業、大学、NPO、地縁団体、男女共同参画センター等との連携強化」ということになってございます。
 基本的には現行計画の課題のうち今後も重要であるもの、それから新たな論点といたしまして、男性にとっての男女共同参画といった観点。それから、これまで各専門調査会でご検討いただきました地域における男女共同参画でありますとか、生活困難を抱える人々への対応、ワーク・ライフ・バランスの推進といったあたりを計画にどうつなげていくのか。それから、風土の改革・気運の醸成、国と地方の推進体制と各主体との連携といったことは横断的な検討事項としてそれぞれ検討していくというような位置づけになっております。
 この各重点事項に対応いたしましてWGを設置して、今後、新計画に盛り込んでいくべき論点についてまとめていただきたいということで考えてございます。このうち「生活困難を抱える人々への対応」、「多様な生き方を可能とする社会システムの実現」、「監視・影響調査機能の強化」といった論点を監視・影響調査専門調査会のご協力を得まして検討をお願いしたいと考えてございます。
 「生活困難を抱える人々」につきましては、本日、最終報告の議論を終えていただいた段階でございますが、これを新計画にどう反映していくのかということ。それから、「多様な生き方を可能とするシステム」につきましては、ここでは税、社会保障、家族にかかわる制度といったあたりを例として挙げております。
 それから、「監視・影響調査機能の強化」につきましては、評価の仕組みでありますとか、ジェンダー予算の検討といったあたりを課題の例として挙げてございます。
 若干補足になりますが、現行計画では12の重点分野がありまして、それに沿って施策体系がつくられておりますけれども、重点事項と重点分野というのは同じものではないのですが、重点事項はそれぞれの施策の方向性ということで課題ごとに検討していくことでございまして、これの両者の関係につきましては、今後、基本問題・計画専門調査会で検討することになってございます。
 それから、WGでどのようなことをお願いしたいかということですが、資料の次のページ以降、こちらは8月の基本問題・計画専門調査会資料でお配りをした資料をそのままつけておりますけれども、「基本問題・計画専門調査会ワーキング・グループ(WG)等の運営について」という紙がございます。
 趣旨のところに書いてございますけれども、基本問題・計画専門調査会の審議に資するための調査・審議をお願いしたいということでございます。担当分野につきましては、先ほどご紹介したとおりでございまして、下のほうに書いてございますが、必要に応じて委員以外の有識者の参加も可能であるということ、基本問題・計画専門調査会の委員が必要に応じてオブザーバー参加するということ、次のページになりますが、自由にご議論いただきたいと考えておりまして、議事につきましては基本的に非公開ということで考えてございます。
 具体的な今後の進め方でございますけれども、ただいまスケジュールといたしまして、11月9日の3時~5時、12月22日の3時~5時の2回、日程調整をお願いしておるところでございますけれども、この2回分を当面WGという形で開催をさせていただきたいと考えてございます。11月9日につきましては、これまで行ってまいりましたフォローアップにつきまして、その状況を事務局で整理をいたしまして関連施策の現状についてご説明したいと考えてございます。その他の議論の素材として参考資料を適宜ご説明したいと思いまして、その後、新計画に向けて検討すべき論点について自由にご議論いただければと考えてございます。
 それから、12月22日につきまして、9日の議論を踏まえまして、事務局から論点案をご提示いたしまして、それに基づく議論、それを集約したものを基本問題・計画専門調査会へ提案していきたいというような流れで考えてございます。
 2回では少ないかもしれませんので、必要に応じまして、再度WGを開催するということも検討したいと考えてございます。
 それから、フォローアップの関係なのですが、現在、第2次計画のフォローアップを進めておりますが、監視・影響調査専門調査会で過去2回にまとめていただきました報告書につきましても併せてフォローアップを実施をしております。
 「高齢者の自立した生活に対する支援について」、こちらは平成20年6月に公表したもの。「多様な選択を可能にする能力開発、生涯学習施策について」、平成19年5月に公表したものであります。本日、意見決定の部分につきまして、資料としてお配りをしてございます。12月4日に調査会を予定してございますけれども、こちらは基本問題・計画専門調査会と監視・影響調査専門調査会の合同会合という形で開催させていただきたいと思っておりまして、関係省庁のヒアリングを実施する予定でおります。現在、資料をとりまとめ中でございまして、でき上がりましたら事前に送付しまして、ご質問など伺いたいと考えてございます。フォローアップの結果につきましては、施策の進捗状況を情報といたしまして、新計画の参考にもしていきたいと考えてございます。
 説明としては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
ありがとうございました。要するに監視・影響調査専門調査会が第3次基本計画策定のWGとして、今から仕事をするということであります。その中身が、生活困難、既に行っている高齢者の自立した生活に対する支援等々について、それを第3次基本計画にどういうふうに盛り込んでいくかということ。もう一つ、監視・影響調査機能の強化ということがあります。これは私は大変いいことだと思っているんですね。監視・影響調査専門調査会というのは、言ってみればジェンダーの主流化を図る大きな役割を担っているわけで、そこの機能を少し大きくしていくということです。
 今の事務局の説明に対して、質問、意見等があればお伺いしたいと思います。潮谷委員。
潮谷委員
実は自治体から大学のほうに参りまして、非常に大学というのは男女共同参画の意識が乏しいところだなと。昇進の状態等々も見ていましても、なかなか女性の研究者の方たちがやりやすい環境の中にないというのを実感するんです。自治体で男女共同参画推進を展開していくよりも、大学の中で推進していくことの困難性を、私、物すごく感じるんですね。
 そういう意味からいたしますと、現状の中でも、重点事項の中でも、研究職に対しての視点、こういったものが非常にないような気がいたします。特に子どもたちが学んでいく場、そういったところの中で、女性の研究職と大学等々含めて、それはロールモデルでもあるわけなんですね。そういった意味からすると、重点事項の中ではどこでそういった研究職、あるいは醸成の意思含めて吸収されていかれるのかなという点を質問させてください。
調査課長
この論点整理の中では明示的に出ていないのですが、「政策・方針決定過程への女性の参画の促進」という中で、現在、「女性の参画加速プログラム」というものを進めておりまして、その中に重点的な分野としまして、研究者、医師、公務員ということになっております。この紙に書いてないだけでありまして、研究者における女性の参加、促進というのは大きな問題意識として現在持っておりますので、その点、ご理解いただければと考えております。
潮谷委員
ありがとうございます。
鹿嶋会長
ほかに質問、どうぞ。
横田委員
先ほどもご説明いただいた資料3-1の2ページ目、裏側、下から2番目のところに「国際的協調・対外発信機能の強化」、これは入っていることは大変結構で、しかもWGができるということで、その中に林陽子さんが入っているのは、国際社会の実態をよくご存じの方ですので、大変いいことだと思いますが、ここに書いてある女子差別撤廃条約はよろしいのですが、「平和構築・開発援助への貢献」というのは、もちろんあったほうがいいにこしたことはないのですが、それを書くぐらいだったら、ILOの111号条約とか175号条約、ILO関連条約と書けばいいのですが、日本が入っているのはご存じのとおり100号条約だけなんですね。
 ですからILO関連条約と国連の人権理事会の「普遍的定期審査」というのが去年から始まりまして、日本における女性の地位の低いことがはっきり指摘されていますので、その辺に対してもきちんと今後は説明ができ、また日本の実態が問題なわけですから、それを改善するために、これだけのことをやりましたという報告できるようなことをしたほうがいいので、それも明記するかどうかは別ですが、林先生がご存じですから、中でそのことを議論されると思いますが、私は少なくとも「平和構築・開発援助への貢献」というのを書くぐらいだったら、それは削って、「ILO関連条約」と、今の人権理事会「普遍的定期審査」を書いておいたほうがいいかなと思います。忘れないようにということをお願いいたします。
 それから、先ほど大学のこと、これは大学の関係者、私は本当に恥ずかしい思いをずっとしてきまして、ただ、1ついいことが動いているのは、今、大学評価ばやりで、いろいろなところで第三者評価が行われていまして、その中に教員の「ジェンダー・バランス」というのが評価項目に入っていまして、私の所属している中央大学法科大学院も、この間、大学基準協会の審査を受けまして、ほとんどは幸いA評価だったのですが、C評価がありまして、それはジェンダー・バランスが悪いと。したがって、研究科長が、この点、ぜひ新しい教員を任用する際には女性をできるだけ採るような努力をしてほしいということを一言言われるようになったので、時間かかりますけれども、改善は進みつつあるかなという気はしますが、それはあくまでもきっかけであって、実態がどうなるかというところはちょっとわかりませんので、依然としてその点は重要な点だと思います。
大沢委員
1点は、先ほど分析官の説明にあったかなと思うのですが、年金の一元化のような、これから新政権になって社会保障制度を含めて制度が大きく変わる可能性が高いというようなことをおっしゃいましたが、この「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」と非常に大きくかかわってくると思います。もし何か進展があるのだったら教えていただきたいし、もし現在ご存じでしたら、どういう方向になっていくのか。これが本当に日本の将来を決める一番大きな改革と私は思います。それを後でお願いします。
 もう一点は、今回は生活困難を抱える人々ということでしたけれども、一番母子世帯の問題を見ても、働いているのに貧しいという、そこのところが日本の抱える大きな問題であって、これは必ずしも特殊な世帯でひとり親世帯とかということではなくて、むしろ共働きとか、若い標準世帯と言われているところでも、今、子どもの貧困率が高まっていると。それをどうやって解決したらいいのか。世帯所得に占める女性の所得の割合を上げていくということでしか解決の道がないということを、この基本計画の中ではっきりと認識して、そのためには、女性のあらゆる差別を撤廃する必要はあるけれども、特に賃金、正社員とパートタイマーの賃金をこれだけ低くして、しかも処遇制度から変わっていると。基本給からしても全然違う制度がつくられているという、こういうことが残されている限りはこの貧困問題というのは解決できないのではないか。
 これは私の意見ですが、そういう意味で、もう一歩進めて、生活困難を抱えるというところから、基本的人権として、同一価値労働同一賃金、均等待遇の確立をこの時期に進めるような、そういうことが、今、本当に求められているという意見と質問が1点です。
調査官
社会保障制度については、先ほど分析官のほうから説明があったように、いろいろと動きが今後出てくるのかなという認識で内閣府としてもいます。
 政権が替りまして、マニフェストに年金についても一元的なものへとしていくことが書かれています。恐らく制度設計には時間がかかると思いますが、いずれにしても、どんな働き方にとっても公平な制度を目指すというのがマニフェストに載っているということなので、そういった方向に向けて検討が動き出すのかなという認識でおります。
 あと、税制につきましても、新聞報道等によれば新しい新税制調査会がスタートして、従来と違って閣僚中心ということです。報道で見てますと、子ども手当との関係での財源問題としてどうするかというようなことがこれから議論かということなので、私どもとしても、状況把握しつつ、またWG等の場で資料等があればお出しできればなと思っております。
鹿嶋会長
ありがとうございました。質問はそろそろよろしいですか。
 それでは、どうぞWGよろしくお願いします。多分重点事項はプライオリティーはつけてはいませんが、生活困難の問題などは、第3次基本計画の中で大きなテーマになってくると思いますので、どうぞよろしくお願いします。監視・影響調査WGということでスタートいたします。
 次回の会合は11月9日の15時から予定しておりますが、そこからWGとして開催いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。非公開です。
 最後に事務局からありましたら、どうぞ。
分析官
本日も活発なご議論いただきまして貴重なご意見たくさんいただきました。どうもありがとうございました。
 次回でございますけれども、今、ご説明させていただきましたとおり、11月9日ということで既にご連絡をさせていただいております。改めてご案内申し上げますが、WGということでご案内をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 あと、資料の取扱いにつきましては、先ほどお話をさせていただいたとおりでして、男女会議に出すタイミングでの公表ということで、今時点では非公開ということでお取り扱いいただければと思います。
 あと、最後に議事録でございます。ちょっと今日分量が多くなっておりまして恐縮なのですけれども、35回からの議事録を先生方にご承認いただいたということでホームページのほうにアップさせていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。どうもありがとうございました。
鹿嶋会長
それでは、これで第41回「監視・影響調査専門調査会」を終わります。本日はどうもありがとうございました。

(以上)