監視・影響調査専門調査会(第37回)議事録

  • 日時: 平成21年6月22日(月) 15:00~17:30
  • 場所:永田町合同庁舎第一共用会議室
  1. 出席委員:
    • 監視・影響調査専門調査会:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 黒﨑委員
    • 住田委員
    • 袖井委員
    • 橘木委員
    • 畠中委員
    • 山谷委員
    • 横田委員
    • 生活困難を抱える男女に関する検討会:
    • 小杉委員
    • 桜井委員
    • 白波瀬委員
    • 湯澤委員
    • ※生活困難を抱える男女に関する検討会と合同開催
  2. 議題
    • (1) 「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女」に関する施策の各府省庁等ヒアリング(第3回)
      • 厚生労働省
      • 横浜市
  3. 議事録
鹿嶋会長
時間が来ましたので始めたいと思います。今日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。「男女共同参画会議 監視・影響調査専門調査会第37回会合及び第11回生活困難を抱える男女に関する検討会」を開催いたします。今日は2時間半の長丁場ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の審議を進めさせていただきます。本日は、前回の専門調査会の各委員からの御意見を踏まえて「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女」に関する取組み及び施策について厚生労働省及び横浜市から話を聞きます。その後、最終報告に向けた審議をお願いしたいと思います。
 初めに厚生労働省から、派遣労働者の均衡待遇に向けた取組み、いわゆる「2009年問題」、経済危機対策に盛り込まれた非正規労働者のセーフティネットについての説明を35分程度聞いた上で質疑応答を行いたいと思います。
 厚生労働省からは、職業安定局から需給調整事業課の竹野佑喜補佐、雇用開発課の横田喜美子補佐、雇用政策課の岡野智明補佐、そのほか、職業能力開発局能力開発課から田中浩一補佐、社会・援護局からは保護課の高松利光補佐、地域福祉課の大武喜勝補佐においでいただいております。
 皆さん、今日はどうもありがとうございました。大体35分で6人の方に説明いただくということになりますので、大変時間が短くて申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
厚生労働省(竹野)
需給調整事業課の竹野と申します。労働者派遣制度を担当しております。よろしくお願いいたします。
 私の方から、派遣労働者の均衡待遇に対する取組みと、いわゆる「2009年問題」に関する取組みの2点について御説明をさせていただきます。資料1-1をごらんください。資料1-1の1ページ目から5ページ目が、政府が提出しております労働者派遣法の改正法の概要でございます。1ページ目が全体の概要でございまして、2ページ目以降が個別の内容、各論となってございます。
 派遣労働者の処遇に関する改正法の内容から先に御説明させていただきたいと思いますけれども、資料の4ページ目をごらんいただければと思います。「派遣労働者の常用化や待遇の改善②」と書いてあるものでございます。その右側の一番上のところに、今回の改正法の内容といたしまして、派遣労働者について「同種の業務に係る一般の賃金水準等を考慮しつつ、派遣労働者の職務の内容・成果、意欲、能力又は経験等を勘案して賃金決定することを努力義務化」ということで盛り込んでおります。したがいまして、直接的に「均等」とか「均衡」とか、そういった文言を規定しているということではございません。
 これの背景について御説明申し上げたいと思います。派遣労働者について、派遣先の正社員との均等・均衡を図るべきという御意見はかなり昔からございました。改正法案を提出するに当たりまして、政府部内でも事前に検討したという中でもこの議論は当然入ってきまして、有識者から成る研究会の方でも相当御議論いただいたところなんですけれども、その報告書の概略を御説明いたします。
 派遣労働者について均等待遇を実現するための課題といたしましては、まず1点目として、我が国におきましては、企業を超えた職種別賃金が確立しておらず、雇用主の異なる派遣先と正社員との間では、比較対象となる労働者を位置づけにくい。
 それから、同じ派遣元で雇用され、同じ業務で派遣される派遣労働者、例えば、A社という派遣会社から同じ経理という業務でB社とC社に派遣をされるということがあると思いますけれども、B社とC社で対応が異なりますと、同じ雇用主に雇われておりながら、違う会社に行くことで対応が変わってきてしまうといったことで、逆に不均衡が生じてしまうのではないかといったような議論がございまして、現時点で導入するにはかなり課題が多いというふうに指摘を受けたところでございます。
 その上で実効性ある制度内容として、均等・均衡待遇を直ちに導入するのではなく、派遣元に派遣労働者の待遇改善を図る努力義務を課すといったことが実効性のある制度内容として適当だろうということでとりまとめられたものでございます。
 この研究会の報告書をベースに審議会で労使も交えて御議論いただきまして、この改正法の内容になってございます。したがいまして、現時点で一足飛びに均等・均衡ということはなかなか難しいと考えておりますけれども、改正法案に基づきまして派遣労働者の待遇改善を進めてまいりたいということでございます。
 それから、2点目「2009年問題」について御説明させていただきます。資料の6ページをごらんになってください。上の囲いの※のところでございますけれども、労働者派遣法に基づきまして、派遣先による派遣受入期間は、原則1年、最長3年という制限が設けられてございます。
 いわゆる「2009年問題」とは何かということでございますけれども、これは主に製造業におきまして、2006年に派遣に切り替えたということが結構多かったと指摘されておりまして、2009年以降、これを引き続き派遣労働者として使用することができないということで、直接雇用への切り替え、もしくは請負への切り替えといった対応が必要になるということでございます。
 世間的に「2009年問題」として報道されているところもあるんですけれども、これは2つ側面がございます。まず1つ目の側面でございますけれども、これは昨今のいわゆる経済不況の前でございます。派遣先で仕事と労働需要があることを前提といたしまして「2009年問題」が到来しますと、引き続き派遣労働者として受け入れることはできないので、直接雇用への切り替えですとか、請負への切り替えが必要になるということでございました。これがスムーズにいくかどうか、ともすれば偽装請負になるんではないかといったことがございまして、これを踏まえて厚生労働省としては規制の趣旨を徹底する通達を発出して、現場に向けて指導・監督をするといったことでやっておりました。
 しかしながら、昨今の経済情勢の落ち込みを受けまして、第2の側面でございますけれども、問題の性格が若干変わってまいりました。報道などでいわゆる派遣切りと呼ばれる問題と重なってくるところがございますけれども「2009年問題」の到来に併せて、または到来する前に派遣の受け入れをやめてしまう、契約更新をしないといった問題が出てきたということでございます。
 これにつきましては、派遣法上の期間制限の問題というよりは、想像以上に厳しい経済情勢の落ち込みによるものと考えられますので、政府としては、さまざまな雇用対策を通じて雇用の安定を図っていくことが重要ということでございます。
 派遣の関係でいきますと、資料の7ページでございますけれども「派遣労働者の派遣先への直接雇用を促進するための特別奨励金の創設」ということで、これは2次補正で導入されたものでございます。派遣先の方で労働需要があれば、派遣労働者を雇用して、それに奨励金を支給しようということで、何とか雇用維持につなげていくといったことで対策を講じているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 続いて、横田補佐、お願いします。
厚生労働省(横田)
それでは、引き続きまして、雇用調整助成金の関係でございます。資料の方は1-2となっております。
 雇用調整助成金につきましても、昨年、経済情勢が悪くなりましてから、たび重なる制度の拡充、あるいは支給要件の緩和といったことをやってきておりますが、現在の最も新しい姿は、今回補正予算の成立を6月8日に実施したというのが一番新しい制度の拡充部分になります。
 2ページ目が現在の制度拡充後の雇用調整助成金の姿でありますので、先に確認をさせていただきます。この制度については、経済的な理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の方に対して、その事業所さんが一時的に休業とか、教育訓練とか、出向をやりながら従業員の方の雇用を維持する場合、その賃金等とありますが、休業の場合は休業手当、教育訓練の日は賃金、出向のときは賃金、そうした事業主さんが負担する部分に対して助成をしていこうというものであります。
 支給対象は、雇用保険の適用事業所であり、雇用保険の被保険者になっております。
 また、支給要件といたしまして、最近3か月の生産量なり売上げが、その直前の3か月、あるいは前の年の同じ時期と比べ5%以上減少していることを原則にしております。
 また、休業なり教育訓練、あるいは出向というものが、その事業主の方が一方的に決めるというものではなく、労使の合意に基づいて行われるものである必要がございます。
 その助成内容につきましては、真ん中にオレンジの四角で囲ってありますとおり、大企業の場合ですと、休業、教育訓練、出向に係る費用、休業手当、賃金になりますけれども、それに対して3分の2を助成するというのが原則であります。また、中小企業については、その助成率が5分の4というのが原則であります。
 下に括弧書きでありますが、障害のある方については、その方についての助成率を、大企業であれば4分の3、あるいは中小企業であれば10分の9に引き上げるという特例があります。
 また、右側に矢印が伸びていますけれども、解雇などを一切行わない場合については、大企業については4分の3、中小企業については10分の9に引き上げるという、これも特例の措置がついております。
 あと、教育訓練実施に係る加算額というのがありまして、教育訓練の日については、賃金部分に対する3分の2なり5分の4という助成に加えて、その教育訓練をすることそのものの訓練費として、大企業については4,000円、中小企業については6,000円を加算いたします。
 ※が右の方にありますけれども、ただし、日額助成額の上限については7,730円ということで、雇用保険の金額に合わせているということがあります。
 支給手続については、下の図がありますけれども、真ん中のところに赤い斜線が入っている、実際に休業を行う期間というのがありますが、その事前に計画届を出していただいて、その後で実際に休業をやる。休業をやった後、1か月以内に支給申請をしていただいて、現在、実際にお金が入るのは、支給申請をいただいてから、初回であれば2か月以内、2回目以降の申請については1か月以内にお金をお支払いするというスタイルでやっているのが事業の概要です。
 1ページ目は、現在、そういう姿になっております雇用調整助成金ですけれども、今回の6月8日の拡充された部分が「NEW」というマークがついております。
 1つ目の「NEW」は、教育訓練なんですけれども、事業所内で教育訓練をやる場合、半日単位でやりたいという希望が事業主さんからありましたので、そうした半日単位の実施を可能といたしました。
 また、在籍出向者、出向元に籍を残したまま出向先で休業するという人がこれまで対象外だったのですが、そうした例についても助成金の対象といたしました。
 あと、先ほど言いました教育訓練費、大企業が1,200円でしたが、4,000円にアップいたしました。
 また、支給限度日数が、この制度は3年間で300日を限界にしていますが、1年目200日という制限がありましたものを撤廃しましたので、1年目で300日使うこともできるようになっております。
 障害のある方に係る助成率のアップをやっております。
 あと、下の方の「NEW」のマークは、支給申請がしやすくなりましたということで、現在、この制度を利用していただいている方は非常に多くなっておりまして、ハローワークが大変混雑しております。このため、初回の計画届はハローワークに足を運んでいただかなくてはいけないのですが、変更に関しては、休業協定の変更がない場合は郵送などでの受付をできるようにしたところです。
 3ページ目は、残業削減雇用維持奨励金ということで、これも雇用調整助成金の仲間ですが、こちらの方は3月30日に制度拡充といいますか、新たにできたものです。そこにありますとおり、経済的な理由で事業活動の縮小を余儀なくされた、これも事業主の方に対してですが、派遣労働者の方などの雇用の安定を図るために、事業所さんとしてやっていた残業を減らしつつ、派遣労働者の方を辞めさせないといった場合に助成を行っております。
 支給額については、真ん中の茶色い字で書いてありますとおりでございます。
 また、支給要件についても、下の方に書いてあるとおりであります。
 雇用調整助成金制度の最新の形については以上でございます。
厚生労働省(田中)
それでは、資料1-3の「緊急人材育成・就職支援基金の概要」というペーパーで御説明申し上げます。
 これは先般の21年度の補正予算の成立で措置されたものでありまして、合計で7,000億円措置されました。これは、雇用保険を受給できない方、非正規労働者、長期失業者などに対する新たなセーフティネットとしまして、今後3年間、基金を造成しまして、ハローワークが中心となりまして、職業訓練、再就職、生活の支援を総合的に実施するというものでございます。
 この事業は、職業能力開発局と職業安定局にまたがって行われるものでありますので、まず、職業能力開発局の関係から御説明申し上げます。1、2、3と事業に番号を振ってありまして、1番は緊急人材育成支援事業でありまして、職業訓練、訓練期間中の生活保障を行うものでございまして、約4,820億円付いているものであります。
 ①としまして、職業訓練の拡充でありまして、従来の公共職業訓練のほかに35万人の職業訓練を実施するというものであります。これは3年間でございます。まず1点目が、新規成長や雇用吸収の見込める分野(医療、介護・福祉等)におけます基本能力習得のための長期訓練を行うもの。もう一点が、再就職に必須のITスキル取得のための訓練を行うものでございます。
 それから、②としまして、訓練期間中の生活保障でございます。これもやはり3年間でありますが、30万人措置するものでありまして、訓練を受講する主たる生計者に対しまして、訓練期間中の生活費を給付するというものであります。単身者には月10万円、扶養家族を有する者には月12万円給付をいたします。また、希望者には貸付を上乗せいたしまして、単身者には月5万円まで、扶養家族を有する者には月8万円まで貸付を上乗せするというものであります。
 2ページ目をお開きいただけますか。この緊急人材育成支援事業の概要、流れ図といいますか、説明をしたものでございます。上に四角がございまして、右側が厚生労働省、左側が中央職業能力開発協会でございます。厚生労働省が中央職業能力開発協会に基金を造成いたしまして、一番下に訓練実施機関とございますけれども、専修学校、あるいは教育訓練企業、こういった機関に訓練を委託するわけであります。中央職業能力開発協会と訓練実施機関の間に委託先団体というものを用意しまして、この団体が訓練コーディネート等のノウハウを有する団体でありますけれども、訓練実施機関の開拓とか、事前の審査等を実施しまして、実際の訓練のコーディネートなどを行っていくというものでございます。
 また、右下ですけれども、求職者というマルで囲ってあるところがございます。これはハローワークで職業訓練の受講の勧奨を受けた求職者の方が生活給付を受けるわけでありますけれども、中央職業能力開発協会から、先ほど申し上げました12万円、あるいは10万円の給付を訓練の期間中、月々受けていくという流れでございます。
 緊急人材育成支援事業については以上でございます。
厚生労働省(岡野)
引き続きまして、また1-3の1ページに戻っていただきまして、今、職業訓練の御説明をさせていただきましたが、その後の2番の中小企業等における雇用創出、3番の長期失業者等の再就職支援の再就職支援の部分について、私の方から御説明をさせていただきます。
 まず、2の中小企業等における雇用創出というところでございますが、1番にありますとおり、今般のこの基金の事業の中で、新規成長・雇用吸収分野等におきまして、求職者が希望する職種の分野について十分な技能・経験を有されていないような場合について、実習型雇用ということで、訓練という形ではなく、実際に企業に雇われている形で実習をしながら人材育成をしていくというような形で、受け入れていただく中小企業に対する助成を行うことにしております。この実習型雇用につきましては、原則として6か月を想定しております。1人月10万円の助成を行うとともに、その実習型雇用期間を終了した後に正規雇用に移行した場合につきましては、1人100万円の助成金を支給することを今、盛り込んでいるところでございます。
 実習型雇用と、もう一つ、職場体験という形で受け入れた事業主の方に対する助成も用意しておりまして、例えば、介護分野ですとか、ものづくり分野ですとか、そういった形で未経験の分野で働いてみたいという方の職場体験を行いまして、それを通じて、職場体験に参加した方をそのまま正規雇用に受け入れていただけるような中小企業等に対しまして、職場体験は1か月を想定しておりますけれども、月1人10万円、雇入れ後、1人100万円という形で助成をするということで、内容を盛り込んでいるところでございます。
 それから、3番の長期失業者等の再就職支援でございますけれども、1番、2番ともに、民間の職業紹介事業者に委託して職業紹介を行っているような事業者も、こういった厳しい雇用失業情勢の中で一定の役割を果たしてもらおうということで、職業紹介事業者に委託いたしまして、再就職支援等を行っていただく事業でございます。
 1番の方は、長期失業者に対する再就職支援ということで、これは離職後1年以上失業されているような、長期間失業されている方に対しまして、再就職支援ですとか、就職後の定着支援等を実施するということで、これを行います。
 それから、2番の就職活動困難者に対する再就職及び住居・生活支援ということで、これは住居を喪失して間もなく家もなくなって就職活動が困難となっているような方に対しまして、再就職支援のサービスと住居の提供等の生活支援のサービスを一体的に民間職業紹介事業者にやっていただくというような事業を考えているところでございます。
 詳細につきましては、3ページから6ページに簡単なポンチ絵を付けておりますけれども、後で御参照いただければと思っております。
 基金の説明については以上でございます。
厚生労働省(田中)
それでは、資料1-4をお開きいただけますでしょうか。「職業能力開発支援の充実・強化」ということでありまして、先ほど緊急人材育成支援事業の職業訓練などを御説明しましたが、そちらが全く新しい枠組みの制度であるのに対しまして、これから御説明申し上げますのは、既存の制度を拡充するということで、平成21年度の補正予算で措置されたものでございます。
 まず、第1点目でありますが、雇用型訓練を実施する企業への助成制度の拡充(キャリア形成促進助成金の拡充等)であります。
 2ページ目をお開きいただけますでしょうか。「職業能力形成機会に恵まれない労働者への職業訓練に対する支援の拡充」ということでありまして、ジョブ・カード制度における雇用型訓練を実施する中小企業への助成の拡充を行うというものでございます。
 ジョブ・カード制度におきましては、フリーターや子育て終了後の助成、母子家庭のお母さんなどの職業能力形成機会に恵まれない方(正社員経験が少ない方)を雇用しまして、企業実習と座学等を組み合わせた実践的な職業訓練を実施する事業主に対しまして、この訓練に係る経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成するものでございます。
 下に3つ枠があって、これまでの制度から、こういうふうに発展してきましたということが見て取れるような流れ図になっております。
 まず、一番左であります。従来制度ということで、21年2月5日までの制度であります。中小企業への助成額、あるいは率でありますけれども、OJTについては、訓練生1人当たり1時間600円の助成でありました。OFF-JTについては、賃金・経費の2分の1を助成しておりました。
 現行制度は、補正予算が成立する前の制度でありまして、1つ前の世代の制度であります。OJTについては、賃金の4分の3、また、OFF-JTについても賃金の4分の3を助成するという引上げがなされております。
 更に、右の図でありますけれども、補正予算で成立しました助成の額と率ですけれども、訓練生1人当たりの助成の額については、OJT、OFF-JTともに800円ということになりまして、賃金助成については、それぞれ5分の4ということで、引上げがなされたところでございます。
 下の方に「さらに」と書いてございますけれども、雇用型訓練を初めて導入した場合には、訓練導入奨励費としまして20万円を助成するという新しい取組みを始めたところでございます。
 もう一度1ページにお戻りいただけますでしょうか。2点目の職業能力形成機会に恵まれなかった者に対する実践的な職業能力開発支援の実施ということであります。
 3ページ目をお開きいただけますか。離職を余儀なくされた非正規労働者等、今後見込まれる失業者の増加に対応しまして、これらの方の就職の実現に向けまして、必要な離職者訓練を確保するため、離職者訓練の定員を更に拡充ということでございます。
 民間教育訓練機関等への委託訓練の拡充によりまして、緊急に2万7,000人分を増やすということでございまして、21年度の当初の計画数19万人を約22万人に引き上げるというものでございます。
 もう一度1ページにお戻りいただきまして、あっ、ごめんなさい、今ほどの説明は3番目の説明でございました。さまざまな民間機関等を活用した高度・多様な職業訓練機会の拡大ということでありまして、3点目であります。大変失礼しました。
 2点目に戻ります。2点目については、2ページ目の下の方でございまして、ジョブ・カード制度における委託型訓練の企業実習に要する委託費用の引上げというところでございます。企業実習の実習先の確保を図るという観点から、委託訓練活用型デュアルシステムの委託費を引き上げるというものでありまして、この訓練のシステムが、座学3か月+実習1か月を行うというものであります。前半の座学3か月は月6万円という単価を用いておりまして、あとの実習1か月分については2万4,000円でありました。この後半の1か月の2万4,000円につきまして、補正予算で6万円に引き上げたという措置がなされているところでございます。
 1ページにもう一度戻っていただきまして、4点目でございます。託児サービスを付加した委託訓練の実施ということでございます。
 4ページ目をお開きいただけますでしょうか。民間教育訓練機関等の施設内託児施設を活用、または周辺託児施設と提携しまして、公共職業訓練の受講者のニーズに応じた託児サービスを提供する場合に、託児サービスに係る委託費を併せて支給するというものでありまして、月6万6,000円を委託訓練の委託費に上乗せして支給するというものでございます。
 もう一度、1ページ目に戻っていただきまして、一番下の○でありますが、雇用調整事業主に対する教育訓練に係る相談・支援の実施というものでございます。
 最後の5ページ目をお開きいただけますでしょうか。雇用調整事業主支援アドバイザーの配置ということでありまして、先ほど雇用調整助成金の御説明がありましたが、休業される方について、その休業期間中の訓練をされた場合に教育訓練給付が支払われるという制度になっているんですが、このアドバイザーを活用しまして、給付期間中にできるだけ教育訓練を実施していただきたいという趣旨でアドバイザーを各県の雇用・能力開発機構の都道府県センターに配置しまして、業界団体等に周知しまして、この職業訓練の実施の促進を図っていくというものでございます。
 雑駁な説明で失礼しましたが、以上とさせていただきます。
厚生労働省(大武)
社会援護局地域福祉課の大武と申します。
 資料1-5に従いまして、今回の経済危機対策におきます住宅・生活支援等について御説明させていただきたいと思います。
 まず、現状でございますが、雇用情勢が急速に悪化する中で、雇い止めに伴い、住宅を喪失する非正規労働者が生じておりますことから、昨年12月に「生活防衛のための緊急対策」において、住宅の継続使用、住宅・生活支援の資金貸付、雇用促進住宅の活用等を行ってきたところでございます。
 しかしながら、住居の状況につきましては、昨年10月から本年4月までに雇止めとなり、住居状況について確認できた方(11万733人)の中で3,245人(2.9%)が住居を喪失している等、引き続き住宅・生活の支援が必要な状況にございます。
 今回の経済危機対策では、離職者の再就職、能力開発のため、新たなセーフティネットを構築し、就労、住宅、生活について、切れ目のない総合的な支援を実施することとしております。
 具体的な内容、施策の概要のところでございますが、まず、1つ目としまして、雇用と住居を失った者に対して、住居の確保の支援、継続的な生活相談・支援と併せた生活費の貸付等を行うこととしております。
 具体的には、新たなセーフティネットという赤い枠の左上になりますが、就職安定資金融資につきましては、離職に伴い住居を喪失した方への住居・生活支援として、既に昨年12月から実施されておりますが、これについては、より使いやすくなるよう運用を改善してきているところでございます。
 その横の右上の訓練・生活支援給付は、先ほど御説明ありましたが、今回の経済危機対策の中で、新たな離職者のうち、雇用保険を受給していない者について、職業訓練を受講している期間中の生活保障のための給付と貸付を創設し、雇用のミスマッチの解消を図るための能力開発を強力に後押しすることとしているところでございます。具体的な中身は、先ほど御説明ありましたが、月10~12万円の給付+人によって上限8万円の貸付を行うこととしているところでございます。
 新たなセーフティネットの赤い枠の下の方になりますが、今回の経済危機対策では、上記の雇用対策の拡充と一体となりまして、就職安定資金融資や住宅手当などを受けるまでの期間の生活費の貸付、つなぎ資金を新たに設けるほか、上記の雇用施策の対象となる離職者、例えば、住居喪失の恐れのある方や、上記雇用対策では就職できない方の就職活動と住宅費、生活費を支援するため、生活費を無利子、または低利で貸付、これは総合支援資金融資でございます。もう一つ、住宅費の給付、住宅手当などの施策を新たに講ずることとしております。
 新たなセーフティネットの赤い枠の一番左の部分になります。ちょっと見にくいんですが、緑のつなぎ資金という枠があります。つなぎ資金につきましては、具体的には、就職安定資金融資や住宅手当などの公的給付等による支援を受けるまでの間、当面の生活に要する費用を10万円を限度に貸し付けるというものでございます。貸付に当たりましては、住民票、連帯保証人、写真付本人確認書類は不要としておるところでございます。
 次に、左下の青い住宅手当というところでございますが、住宅手当につきましては、具体的には、住宅を喪失した者、または住宅を喪失する恐れのある者を対象に、生活保護の住宅扶助特別基準に準拠しまして、地域ごとに設定する上限額の範囲で最長6か月間、住宅費を給付するものでございます。
 その次に、これと併せまして、生活費に関してですが、右下になりますが、総合支援資金の創設につきましては、現在、都道府県、社会福祉協議会が実施しております生活福祉資金貸付事業を抜本的に見直しまして、生活に困窮している者に対しまして、継続的な相談・支援と併せまして、生活費及び一時的な資金の貸付を行う資金を創設することによりまして、生活の立て直しを支援するものでございます。例えば、生活費につきましては、上限月20万円の範囲内で、最長1年間必要額を貸し付けることとしております。
 また、今回、併せまして生活福祉資金貸付の貸付要件を緩和することとしておりまして、連帯保証人を確保することができない場合も生活福祉資金の貸付を受けられるようにするとともに、現行年3%の貸付利子を、連帯保証人を確保した場合は無利子に、連帯保証人を確保できない場合であっても年1.5%に低減することとして、生活福祉資金がより使いやすいものに制度を見直しているところでございます。
 最後に(2)のところでございます。(1)に掲げる施策を講じても、なおホームレスとなることを余儀なくされる方も増加する恐れがございますため、既存建築物の借上げ方式による緊急一時宿泊施設の増設等を推進することとしております。具体的には、自治体による旅館、空き社員寮等の借上げを支援、10分の10で補助することにしております。
 私からの説明は以上でございます。
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。
 今から皆さんから質問を受けますが、私の方でまず竹野さんにお伺いしたいんですが、派遣社員の問題、雇用の安定が大変大事だと思っているんですけれども、派遣の場合の直接雇用の切り替えの問題は、いわゆる期間の定めのない場合と有期雇用と2つに分けています。派遣社員は均衡処遇は難しいんだろうと私は個人的には思っているんです。いわゆる間接雇用ですからね。ただ、直接雇用というと、私たちは普段は正社員をイメージするんですが、いわゆるパートへの切り替えというのがかなりあるわけです。その辺り、どうなんですか。助成金の50万、100万で多少の差はあるんですけれども、それがどうかということと、もう一つは「2009年問題」に絡みまして、請負への切り替えというのを認めているわけです。となってくると、テンポラリーワークというのがテンポラリーではなくなってくるんではないかというイメージがあるんですが、答えられる範囲で結構ですので教えていただけますか。
厚生労働省(竹野)
今、御指摘いただいた点についてお答えさせていただきます。
 まず、直接雇用と派遣の関係ですけれども、派遣労働者の中には、好んで派遣労働者を選択している方もいらっしゃいますし、あるいは仕事がないからやむを得ず派遣労働者になっている方もいらっしゃるということで、今回、政府の提出した改正法案におきましては、常用型を希望する方はできるだけ常用型に行っていただきたいということを内容に盛り込んでおります。
 資料1-1の3ページ目をごらんいただければと思いますけれども、右上のところで、登録型の派遣労働者について、希望に応じ常用雇用への転換推進措置を努力義務化とするということで、期間の定めのない派遣労働者、または通常の労働者として、これは派遣元の方で雇用すること。それから、紹介予定派遣というものがございまして、これは職業紹介を通じまして派遣先で直接雇用をあっせんするということでございますけれども、こうしたやり方。それから、教育訓練等の措置といったことを、派遣元事業主の努力義務といたしまして、希望する派遣労働者につきましては、こうした形で、いわゆる不安定な雇用状態から脱却していただきたいということを改正内容として盛り込んでいるところでございます。
 それから、もう一点、請負との関係がございましたけれども、これにつきましては、請負といってもさまざまな形がございまして、いわゆる偽装請負に近い派遣的な働き方をされているものも確かにあるんですけれども、専門的な技術を持ちまして、請負の中でしっかり技能を蓄積していくというような形もございまして、請負だからだめだとか、そういうのはなかなか一概には言えないところでございます。
 ただ、請負労働者であっても、処遇をしっかりしていくということは大変重要でございますので、厚生労働省でガイドラインを出しまして、請負の場合でも、しっかり請負労働者の処遇改善を図られるようにということで普及啓発に努めている。それから、発注者の側に対しても、請負側の方できちんとした措置が取られるように、しっかり支払いとかをしているとか、そういったことを普及啓発をするということで取組みを進めているところでございます。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ほかに質問ありましたら、どうぞ。
 畠中先生。
畠中委員
今般の緊急経済危機対策でいろいろなメニューで手厚い保護をされているというのは大変結構なことだと私は思いますが、果たして、それが効果が上がっていくかどうかについて把握する体制になっているかどうか。これはどなたでも結構ですので、お答えできたらお答え願いたいんです。
鹿嶋会長
畠中委員、もしできれば、どなたか聞きたい人に指名をお願いします。
畠中委員
では、答えやすいように個別の問題で御質問します。例えば、職業訓練期間中の生活保障ですが、従来は、失業保険だけだったんでしょうか。
厚生労働省(田中)
そうです。失業給付が生活保障といいますか、そういったことでありまして、これが受けられない方の訓練期間中の生活を保障するということで、10万円、12万円というものが新たにできたということでございます。
畠中委員
大変結構なことだと思うんですけれども、では、職業訓練を受けて、生活費をもらいました、しかし、職業訓練が終わっても職に就けませんでしたと、こういう人を把握する体制になっているのかどうかということと、その場合は生活費を返してくれというんですか、それともそれは支給したままということになるんですか。
厚生労働省(田中)
就職できたか、できないかというのが生活保障を返してくれという条件にはなっておりません。生活保障は給付といいますか、そういった位置づけであります。確かに訓練が終了した後に、中には就職できない方もいるというのは想定されるところであります。就職に向けて御本人も努力していただくんですが、ハローワークでもできるだけその後のフォローをしまして、職業紹介などに取り組んでいくと、そういう位置づけになろうかと思います。
畠中委員
就職されたかどうかということを把握する体制にはなっているんですね。
厚生労働省(田中)
就職されたかどうかは把握できます。
勝又委員
緊急人材育成・就職支援基金についての御質問なのですが、こういう基金を最近は多くおつくりになるのですけれども、3年間で基金を使うというイメージなんですが、例えば、初年度に非常に多く利用があった場合には、その後、少なくなるということが前提なんでしょうか。それが1つ。
 それから、基本的なことなのですが、7,000億円と書いてございますが、右側の1、2、3を足し上げますと6,820億円になるのですが、例えば、中央職業能力開発協会に基金造成後、そちらに行く運営費というか、手数料みたいなものになっているのかどうかお伺いしたいです。
厚生労働省(田中)
まず、基金1年目にたくさん出てしまった場合ですが、そこまでの想定はなされていない。3年間で7,000億使うということで、もし想像を超える以上に出たらば、その時点でまた新たな対策を考えることになろうかと思います。今のところ、1年目にいっぱい出てしまってということは想定されていないところでございます。
 それから、合計すると7,000億にならないということでございますけれども、資料1-3の一番下に※で「1~3のほか、帰国を希望する日系人、研修・技能実習生への帰国支援を実施」とありまして、こういったところにも予算がついていまして、主なものが1、2、3に書いてあります。それ以外にもまだあるということでございます。
勝又委員
そうしますと、中央職業能力開発協会にはいかないということですか。
厚生労働省(田中)
人件費等は必要になってきますので、それは盛り込まれてございます。
勝又委員
それは幾らぐらいになっていますか。
厚生労働省(田中)
今、資料を持ってきておりませんので、幾らかという数字はございません。
勝又委員
では、後ほどお答えいただければと思います。
厚生労働省(田中)
はい。
袖井委員
住宅・生活支援についてお伺いしたいんですけれども、これは具体的に窓口はどこが担当するのかということをお聞きしたいのと、それから、1つ気になるのは、例えば、現在、ホームレスなどの人を集めて、たこ部屋みたいなところに入れて、生活保護費を取ってしまうとか、そういう怪しいのがいっぱい出てきています。この場合に、そういう恐れがないのか、チェックする機構があるのかどうか、お聞きしたいんです。
厚生労働省(高松)
お答えいたします。住宅・生活支援等の中の赤い枠の下の2つ、住宅手当と貸付のところのお話をさせていただきます。
 まず、住宅手当のところの担当窓口は各自治体の福祉事務所を想定しております。こちらは自治体の現状の取組みの実態によってちょっと違ってくるかもしれないんですが、一応、想定しているのは福祉事務所ということで、生活保護を担当している部署で一緒にやっていただくことを考えております。右の総合支援資金の方は、都道府県の社会福祉協議会がやるんですけれども、窓口の方は市町村の社協の方を窓口とさせていただいております。
 先ほどのホームレスだとかの狭いところにという話で最近話題になっているんですが、例えば、住宅手当の関係で言えば、現状、生活保護でそういう問題がございますので、同じところに窓口がありますので、生活保護と同様に、不正受給なりピンはねとか、そういうところも防いでいけるんではないかと考えているんですが、そこのところは中でも懸念しているところであります。
袖井委員
何かいい方法はありますか。
厚生労働省(高松)
具体的には、これはまだ11月から実施することにしていますので、そこら辺の不正対策ということで中で考えております。
鹿嶋会長
山谷先生。
山谷委員
2点質問がございます。
 まず、1点目ですが、資料1-3の2ページ目でございまして、中央職業能力開発協会というところがどこかに委託をするんだそうですけれども、具体的にどういう団体に委託されるのか、それを教えていただきたい。
 もう一つが、資料1-4でございますけれども、雇用調整事業主支援アドバイザーという肩書の方を94人、47都道府県に配置されるんだそうですけれども、これで6億円。この6億円というのは、この94人の人件費なのか、それとも何か別の具体の事業に使っているのかというところを教えていただきたい。併せて、この94人というのはどこにいらっしゃるのか。つまり、都道府県の県庁所在地みたいなところにいるのか、それとも、もう少しフィールドに近いところにいらっしゃるのか、それを教えていただきたいということです。2点でございます。
厚生労働省(田中)
まず、緊急人材育成支援事業の委託先団体ですけれども、これは公募をかけているところでありまして、まだ決まっていないところでございます。
 2点目の雇用調整事業主支援アドバイザーでありますが、これは雇用・能力開発機構の都道府県センターにそれぞれ2人配置するということでございます。ほとんどは人件費でございます。
鹿嶋会長
これはどういう資格の人たちなんですか。
厚生労働省(田中)
例えば、企業で労務関係とかをやっていらっしゃったOBの方、経験を積まれている方、そういう方を想定しております。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 ほかに質問はありますか。
 それでは、小杉先生、湯澤先生、それから、住田先生、そういうふうにいきましょう。
小杉委員
これからやっていくものが多いんですが、実績がどこまで上がっているのか、これまでの実績でわかるところをお聞きしたいんです。具体的に言うと、例えば、住宅・生活支援という話ですと、どのくらいの貸付が既に行われているかとか、あるいは貸付は回収できているのか、貸し倒れが起こっていないかとか、これは少なくとも去年の暮れから行っているので実績があると思うんですが、その実績の数字。ほかのところでも、既に行っていて、実績がわかれば、その数値を教えていただきたいんです。
 以上です。
厚生労働省(高松)
今のお尋ねにお答えいたしますが、住宅・生活支援等の、資料1-5の赤い枠の中の左の真ん中の就職安定資金融資というのは、今、御指摘の12月からやっている事業ですけれども、担当が今日、来ておりませんので、実績はわかりません。申し訳ございません。
鹿嶋会長
後で事務局の方に回答してください。
厚生労働省(高松)
後ほどということでお願いいたします。
 それから、その下の住宅手当につきましては、先ほど言いましたが、10月からということで、実績はまだでございます。
 その右の総合支援資金の見直しの方も10月からということですので、現時点では実績はございません。
鹿嶋会長
湯澤先生。
湯澤委員
今の質問と関連しまして、その実績があるものについて、ジェンダー統計でどのぐらい把握できるかということで、把握できる、できない、できるものはジェンダー別にお願いしたいというのが1点です。
 それから、ジョブ・カード制度で、対象がフリーター、子育て終了後の女性、母子家庭等の母というふうに挙げられていますが、対象別に事業実績の統計があるかどうかをお聞きしたいということです。
鹿嶋会長
その2点はどうですか。
厚生労働省
随行席から失礼いたします。
 全体的な話ではなく、今、例示を出されたジョブ・カード制度の関係でございますが、ジョブ・カード制度では、対象者別の詳しいものは実績として把握していないという状況でございます。
鹿嶋会長
住田さん。
住田委員
お尋ねします。まず最初に、1-5の、先ほど小杉委員もお尋ねになった件で、貸し倒れの心配をされたわけですが、既にカードローンでかなり高利で借り入れた方もこの制度が使えるのでしょうか。そういう方がこちらに移行したとしても、非常に貸し倒れ率が高いんではないかなという心配をしました。そういうところに行く前に先にこちらの制度を使えばいいんですけれども、周知されていないということなので、その実情について興味がございます。後ほどお教えいただければと思います。
 もう一つは、1-1の派遣事業の関係なんですけれども、違法だったことから、幾つかの会社が潰れたという報道もございまして、かなり淘汰されてきたと思います。派遣労働者の実数と派遣事業会社が今、どういうふうな動きになっているか。かなり大手に集約されつつあるのかなという気もしておりますので、これも後ほどで結構ですので、いただければと思います。
 以上です。
鹿嶋会長
もしわかれば、是非、今日お願いしたいと思いますが、最初の質問からどうですか。
厚生労働省(大武)
最初の質問の貸し倒れの方も対象になるのかという質問でございますが、総合支援資金で予定しております中に、一時生活再建費用ということで、例えば、債務整理弁護士費用とかも費用の項目として挙げておりますので、多重債務の方辺りが生活を再建する場合には貸付の対象になる。生活を再建するまで生活費を支給するといったこともできるかと考えております。
 周知につきましては、今、10月実施に向けて一生懸命やっているところでございます。
鹿嶋会長
どうぞ。
厚生労働省(竹野)
派遣労働者の数の関係でございますけれども、派遣労働者数は、平成19年度の数字で、いわゆる登録者数で約381万人。登録者数といいますと、どれぐらい働いているかわかりませんので、1人1日8時間働くとして常用換算したものが大体174万人といった数でございます。
 それから、派遣元の事業所数は、平成20年度末で8万3,605。これは事業主ではなくて事業所の数ですので、支店がいっぱいあれば、それでプラスされることになりますが、これが8万3,605ということで、年々拡大の一途をたどっているところでございます。
鹿嶋会長
住田先生、いいですか。
住田委員
ありがとうございました。
鹿嶋会長
桜井委員。
桜井委員
細かいことなんですが、資料1-3の緊急のところの1の②の生活保障は、従来型の1-4で御説明いただいた訓練を受けるときにも適用できるんでしょうか。つまり、母子家庭の母親が1-4の託児つきサービスのある訓練を受けるとします。そうした場合にも、要件が合っていれば、1の②の、雇用保険が受給できない人がこの訓練を受けるときに、生活保障の給付を受けられるということでしょうか。
厚生労働省(田中)
おっしゃるとおりです。受けられます。大丈夫です。
桜井委員
といいますのは、緊急の3年間をやるというのも、これだけのお金を使って、大変ありがたいなと思うのですが、1-4の、例えば、母子家庭の母等でという従来型のものに託児サービスを提供するということがありますが、この訓練が母子家庭の母親の実態に即した訓練のコースになっているのだろうか。
 このところ、雇用・能力開発機構の方と御一緒に母子家庭のお母さん向けの職業訓練のコースを新たにつくるという研究会をさせていただいているんですけれども、期間が最低3か月とかの長期だったりする。私どもが今やっているのは、1か月のコースが何とかできないかとか、そういうことをやっているんです。
 それから、従来型のですと、母子家庭の母の特定をしていくのに、離婚が成立していないと難しくて、母子家庭の母とみなされない。女性たちにとって一番厳しいのは、離婚が正式に成立するまでの期間が経済的にも大変苦しいんですけれども、そこの部分がカバーできない。それをどこで読み込むかというと、母子寡婦福祉法の6条の3項に、夫に遺棄された女性ということで、DVの被害を受けた人については、そこのところで読み込んで、離婚が成立していなくてもOKというふうにしているんですが、それはDVの被害を受けたということを都道府県の自治体に証明をもらわなければいけないとか、大変ハードルが高いわけです。
 そうしますと、緊急のこういったことも大変必要なんですけれども、今ある制度をもっと使いやすくするということについて、どういうふうに努力していただいたのかなということをひとつ伺わせていただきたいと思います。
 それから、もう一つは、母子家庭の母親というのは、多くの場合、DVの被害を受けている、かなり重なっているというのが現場での実態でございます。そうしますと、ハローワークですとか、雇用・能力開発機構の都道府県センターの方たちに、母子家庭の母親への対応について、どういうことが必要かというような訓練ですとか、そういったことがなされているかどうかということも伺わせていただきたいと思っております。その辺りはいかがでしょうか。
鹿嶋会長
答えられますか。
厚生労働省(田中)
母子家庭のお母さんに対する職業訓練につきましては、平成14年から本格的に始めておりまして、DVを受けた方に対する訓練も今年度から新たに雇用・能力開発機構が実施をする運びになっております。今、調整中でありまして、今年度から新規でやることになっておりますので、その辺りは御理解いただければと思います。
桜井委員
それは多分、一緒にやらせていただいているんだろうと思いますが、それでも使いにくいところが制度的にあるのが何とかならないかと思います。
鹿嶋会長
離婚調停中でも母子家庭の母とみなされるわけですか。
厚生労働省(田中)
済みません、細かいところは今、御説明申し上げられないんで恐縮です。
鹿嶋会長
後でも結構です。
厚生労働省(田中)
わかりました。確認します。
桜井委員
それから、ハローワークとか、都道府県センターのスタッフの方への訓練というか、理解のための啓発のようなことがなされているかどうかということ。また総務省でDV防止法を受けて、各省庁がどういうふうに政策をやって、それの効果がどういうふうに出たかという結果がこの間まとまったんですが、そこでは、ハローワークですとか、雇用・能力開発機構については全然データが取れなかったということがあったかと思うんですが、このあたり今どうなっているかということを教えていただきたい。
厚生労働省(田中)
今日はハローワークの直接担当が来ておりませんので、申し訳ございません。お答えできなくて恐縮でございます。
鹿嶋会長
大変大きな、大事なテーマなんで、後で結構ですので、もし調べたらで結構ですが、どうですか。調べることばかりたくさん増えてしまいますが、大丈夫ですか。
厚生労働省(田中)
職業能力開発というよりも職業安定局が中心になってくると思いますので、そこはまた調整をさせていただければと思います。
鹿嶋会長
神田先生。
神田委員
資料1-3に関係することですが、これはどこでも共通なんですが、具体的に、例えば、2の中小企業等における雇用創出というので、①が7万人、②が2万人、下の方も3万人、1万人とありますが、これの算定根拠はどういうことで出てくるんでしょうか。
厚生労働省(岡野)
この数字自体は、御承知のとおり、この事業の要対人員といいますか、対象の数として想定しているということで、7万人については、ハローワークに毎月新規求人が、中小の製造業ですとか、介護分野等から出されていると思います。勿論、マッチングというのはいろいろな手段がありますので、上の訓練とか、いろんな形でマッチングしていくわけですけれども、大体その月に2,000件程度をこの実習型雇用でマッチングをして雇用に結びつけていこうというような形で考え、大体3年間で約7万人というような形でございます。
 それから、長期失業者の3万人は、基本的にこの事業は失業者の多い大都市圏で事業を実施することを想定しておりまして、1年以上の失業者が今、労働力調査ですと、年間平均で90万人ぐらいいるんですけれども、そのうちの実施地域の割合とか、あと、民間職業紹介事業者を希望する者が大体どれぐらいいるかを推計しまして、年間で1万人、3年間で大体3万人という形で設定したということでございます。
神田委員
その際、男女というのはどういうふうに予想として入っているんですか。
厚生労働省(岡野)
申し訳ございません。男性、女性ということを想定して設定はしておりませんが、非正規離職者に対しては、女性の方も当然含まれていると思っております。男性、女性含めて、それぞれの7万、2万、3万、1万と、特に分けずに推計をしたということでございます。
鹿嶋会長
黒﨑委員の質問を最後にします。
黒﨑委員
まさに質問しようと思ったら、今、大都市圏を中心にというお答えだったんですけれども、先ほど6億円で、46都道府県均一に2人ずつアドバイザーを配置するとなると、需要と供給のアンバランスがある程度出てくる。需要というか、ニーズがあるところに必ずしもその数が行っていなかったり、逆に、もっともっと深刻な地方自治体にある程度投げたようなものが本当にやれているのかどうかということについては、今後どういう対策を取られるつもりか、もしわかっていればお聞かせ願いたいと思います。
厚生労働省(田中)
雇用調整事業主アドバイザーの件ですね。雇用・能力開発局の各都道府県センターに2名ずつ配置するということで事業が始まります。この様子を見まして、このバランスを見直すこともあるやもしれませんけれども、とりあえずスタートは2人ずつ配置ということでございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 まだ質問あると思うんですが、時間がきましたので、このぐらいにしておきたいと思います。厚生労働省の皆さん、本当にどうもありがとうございました。
 (厚生労働省関係者退室)
鹿嶋会長
引き続きまして、横浜市市民活力推進局人権・男女共同参画担当の安部きみ子理事より御説明をお願いしたいと思います。説明の時間は30分程度ですが、どうぞよろしくお願いします。
横浜市
それでは、冒頭で恐縮ですが、資料2の母子家庭の支援策のところが、データでお送りしたのが、出力していただいたときにオートシェイプが壊れてしまったみたいで、中身が少し消えてしまっていますので、今、読み上げます。
 支援策の真ん中のところ、保育所/子育て相談・支援の次に、教育支援、それから、国の制度であります児童扶養手当と生活保護、母子生活支援施設、それの対策の支援、これだけのものがこのペーパーから消えていますので、済みません。
 ここに書いてあることを全部お話ししますと時間がありませんので、男女共同参画の視点のお話を中心にいたしますが、その中で支援策の部分で強調したいところをピックアップをさせていただきます。
 まず、今の母子家庭のところですが、抱えている課題の中では、いわゆる生活不安のほかに、若年母子であったり、あるいはお子さんが小さかったり、突然の離別となると、かなり精神的な不安もあれば、不慣れな子育てということもあって、そちらの方の不安に対応する部分がどうなるかというのがあるんですが、これにつきましては、地域子育て支援拠点というものが、今、ほとんど全国でバックアップされているかと思いますが、ここに対して子育て相談を受ける、あるいは子育て支援を受けるということです。
 かつては、子育てに関するお悩みですと、児童相談所へどうぞですとか、もっとお子さんが小さいうちには保健所で母子保健相談という形であったんですけれども、軽い、小さな不安に対応するのは地域の子育てに御経験のある方、あるいは地域の中で子育て支援に熱心に取り組んでいらっしゃる方に、この子育て支援拠点の運営を委託するという形で進めております。
 男女共同参画の視点の方に行きますけれども、私たち横浜市では、福祉保健センターの中で御相談を受ける際にも気をつけていることは、例えば、生活不安を前面に訴えて御相談にお見えになったとしても、抱えている背景は何かということは気にします。先ほど申し上げたように、離婚直後の困難な状況があったりした場合には、幾ら母親御本人が生活の不安だ、早く働きたいと訴えたとしても、親子の状況に着目をする。そこの中で、優先順位は母子の心身の安定ということを念頭に置くことをケースワークの中で配慮をしております。
 自分で仕事を見つけてきて御相談なさる方は、高収入を目指すために夜遅くのお仕事をお探しになったりですとか、そういったこともあるんですけれども、特にお子さんが小さいうち、あるいは思春期のころで、きっちり親子として向き合わなければいけないような時期にそういった転換期があったような場合には、日中のお仕事を探すようにですとか、あるいは身体的・精神的に母親がまだ就労に向いていないなという状況のときには短時間の就労を進めたり、今は医療的なもの、治療的なものを優先しなさいという御指導、アドバイスをする場合がございます。
 あと、2番の寄添いと傾聴は、御相談なさる方は必ずしも自分の抱えている課題を端的に表現できない、もやもやしているものがあって、なかなかそれが言葉になってこない、そこの部分を敏感に感じ取って、できるだけ言葉として引き出してほしいということで心がけをしております。
 3番の能力レベルに合った就業支援と能力開発、日常生活支援ですが、一番厳しい状況でいきますと、例えば、日常生活の仕方も、スキルも身についていなくて母子二つ身になった方ですとか、あるいは生活上の習慣も何も身についていない、子育てについてもだれかの応援が必要、そういった大変危ない状況の方があったりするんです。そういった場合に、正直言いまして、その方たちが横浜の男女共同参画推進協会のフォーラムに相談に行って自分のことをきちんと伝えられるかというと、大変厳しい。そうなると、いわゆる福祉事務所の中で、実際の制度適用の部分を前面に出しながら、まず安全避難をしていただいて、それから次のステップへ行こうということになります。大変厳しいハードルを抱えていて、超不安定な状況ですと、私どもは母子生活支援施設を念頭に置いた処遇方針を立てる場合が結構あります。
 それから、能力レベルに合った就業支援は当然相談にもつながるんですけれども、たまたま今回のこのお話をいただいて、幾つかの相談機関にヒアリングに行ったんですが、そこで言われたのは、今まで専業主婦をなさっていて、生活もぎりぎりだった方たちにとっては、いわゆる女性センターはいかに敷居が高いかということです。それが端的に出てきたのは、例えば、ドレスコードが違うんですよとおっしゃるんです。外部の相談機関に御相談に行くのにも、例えば、身繕いを改めて、そういった雰囲気に気押されない状況で行ける力がない。着の身着のままとは言わないんですが、自分の身じたくを整えることもままならなかったりする方たちは、どこへと行ったら、私たちのところですと言うんです。私たちのところというのは、母子就業自立支援センターへおいでになる方が多いですという話をしておりました。
 4番は、男女共同参画そのもので、いかに自分を取り戻すかという話ですので飛ばさせていただきます。
 この視点の中で、1番と2番をきっちりやっておかないと、5番の貧困の世代関連鎖解消、断ち切りがとても難しい。これは現場を通して本当に実感しております。先ほど母子生活支援施設と申しましたが、実は、自分が子どものときにそこに入っていて、自分が成長して若年母子となって、また生活支援施設に舞い戻る。あるいは生活保護でも同じです。親子3代それぞれ世帯が別であっても、生活保護に頼って生活、働くというイメージが持てない世帯は明らかにおります。
 支援策の中で課題として書かせていただいたんですが、女性相談員の体制強化は、後でDVのところで申し上げます。
 あと、外国人母子の日本語力UPは、短く書いてしまったので伝わりにくいかと思うんですが、ヒアリングをした中でわかりましたのは、女性が外国人で子どもがいてという場合に、特にお子さんの日本語能力がおぼつかない状況で就学年齢を迎えてしまうと、学業の中ですごいハンディキャップで、ここを埋めることが本当に難しいんだという話が聞こえてまいりました。
 その次の文化・行事体験といいますのは、例えば、生活保護を受けて食べることの心配がなくなったとしても、親世代から、更にそのまた上の世代から世代間連鎖しているところというのは、家庭内でいろんな行事をやる伝統も文化も持っていませんし、あるいは、そういったことの発想がない。
 それから、今、高額のゲームだとか、あるいは学習塾だとか、ケータイだとか、子ども文化にとっては共有体験が大変大きな意味を持つ。ところが、ケータイにしろ、ゲームにしろ、うちは買えないのよという子どもの中で疎外感が生まれて、そこから子どもがちょっと外れてしまうような不安がある。食べることの不安はなくなっても、プラスアルファの部分についてはなかなか追いついていかない状況があります。
 あと、DV被害者のところなんですが、課題については、母子家庭のところプラスということで、私が今更ここで言うまでもないので、課題のところは二次被害のことだけお話をさせていただきたいと思います。済みません、右側の男女共同参画の視点の「点」が消えてしまいました。二次被害防止のところとかかわるんですけれども、これもヒアリングに行った中で、ショッキングな例を1つ聞きました。
 身内から長女か何かが性的な虐待を受けていました。間に児童相談所が入りまして、児童相談所と保護者の方と警察ともいろいろ御相談して、これは親告罪ですから、告訴をしますという話になった。お子さんは小学校上がる前から被害を受けていて、かなり長い期間だったらしいんですけれども、事前調整の中では、お子さんに配慮をして、母親への代理の聴取でいいという話をいただけたので、では訴えますということになったんだそうです。
 ところが、実際に訴えた後の対応はどうだったかというと、警察も検察も、当事者の女の子に直接聞くということをした。どういうふうに聞いたのか、それから、お聞きになった方の性別までは確認できませんでしたけれども、その結果、被害に遭っていた女の子は完全に二次被害で、性的被害を受ける前の状況の幼児さんのところまで退行現象が出てしまった。幼いきょうだいとほとんど母親を競うような、そこら辺まで退行現象が出た。相談機関での二次被害というのは大分軽減されたんだなというふうには私たちも思っておりましたけれども、警察ですとか司法の場では、まだそこら辺の配慮が届かなかったのかなと、その御家族に対する申し訳ない思いと、今時の言葉で言えば、チョー頭にきて、むかついています。
 それから、暴力の世代間連鎖解消は、ここの場でも何度も議論があったと思いますので、飛ばさせていただきます。
 支援策の中で1つ申し上げたいのは、DV被害で保護されたり、あるいは一時保護所、シェルターを利用するときには、女性相談員が同行支援いたします。シェルターに入った後、医療機関にかかるときも、裁判所へ保護命令の申立てをするときも、外出しなければいけないときは、福祉事務所とシェルターが連絡をして、女性相談員が同行支援をいたします。
 それから、若者の方なんですが、引きこもりだとか、対人関係が苦手な方だとか、課題については既にいっぱい議論がされているかと思いますけれども、最近、ちょっとどうしたものかなと思うのは、ニートや何かとは違うんですけれども、私たちが危惧をしているのは、若い女性の方が性別役割分担意識の中で専業主婦願望が増えてしまった、あら、これはどうしたのという感じです。
 例えば、大卒の男女でしたらば、どちらも必死で就職活動いたしますけれども、高卒の女性の場合には、正規就労ができないと、すぐアルバイトの方に行ってしまうんです。もともと女性は非正規雇用が多いんですけれども、高卒は男女とも正規雇用が難しければ、アルバイトですとか派遣の方にすぐつながりやすいんですけれども、女子の高卒については特にそうかと思います。それなのに、高学歴の女性の場合には、どこかで白馬の王子様が見えているんではないか。今の若い男性は、自分ひとりの給料では養えない、だからおまえも働けよというのがあるわけなんですが、そこのミスマッチに気づいていないのか、見えないふりをしているのか、このままいったら、高学歴女性で、一部専業主婦願望の方たちについては、大きなところで爆発がくるんではないかという不安はあります。
 ここの支援策の中でちょっとピックアップをいたしますのは、最初に書いてあります青少年の自立支援です。青少年相談センターと書いてありますが、これは横浜市の独自の施設です。昭和39年か40年前後から独自でつくっている、法定外の施設です。児童相談所で御相談となると、どうしても年齢が少し低目なんです。中学以上のことになってくると、実際に自立支援だとか、あるいは抱えている課題に対して、グループワークの中で立ち直っていただく機会だとか、社会性を学ばせようというときに、児童相談所の枠の中では対応がしにくい。そこの中でもう少し年齢の高い方たちにも対応できるようにということで設置されて、当初はおおむね20歳ぐらいまでということでつくりました。
 ところが、今、現実は、実際には、中学校の後半、中2、中3ぐらいから上は35~36まで来ています。ニートとか言われる、もっともっと前から、昭和から平成に移る段階から、家庭内暴力で、お子さんが小さいうちは何とか母親で抱えていて、思春期になって体も大きくなってくると父親もかかわって、それでももう手に終えなくなって青少年相談センターにSOSという例がかなりありました。
 あと、若者サポートステーションは、ヤング・ジョブ・カフェですとかと同じような形で、でも、選択肢が幾つかあった方がいいよねということで、横浜市が、ちょっと取っかかりをつくるための就労支援ということだったり、あるいは、若い子で、行き場がなくてたむろするような方たちに、このサポートステーションですとか、地域ユースプラザで場の提供もしようということで設置をしたんですが、ヤング・ジョブ・カフェは、至近距離に若者サポートステーションができましたら撤退されてしまいました。利用者側のすみ分けというのがあったはずだったと思うんですが、類似は要らないですね、横浜市さん、どうぞやってくださいということで、そちらの方は消えてしまいました。
 あと、自立援助ホームは、児童福祉法の措置が終わった後の子どもさんたちへの部分で、少しジャンルは違うんですが、実を言うと、もっと生活困難を抱えているお子さんたちのための施策です。例えば、児童養護施設を退所して、あるいは、昔、教護院といいました児童自立支援施設を退所して、帰る家がない、住み込み就労でいきなりやれるかどうか不安だというときに、親の代わりになって、寄り添って、ここを生活の場としながら、リズムをつくって、働きに出るという習慣をつくれるようになる。それから、職場での人間関係をきちんとつくれるようになる。そういったことのサポートをするための自立援助ホーム。
 実際に児童福祉法も、高校卒業するまでという形でいられますけれども、長い間、一時保護を経験したり、あるいは母親と一緒にあちこち逃げていて生活が不安定になっている間にどんどん学業が置いていかれると、学校に行ってもお客さんで、ところてん式の中学校卒業になる。でも、高校だけは児童福祉法の中でも費用支弁されるようになって、やっとの思いで高校には出せるようになったんです。だけれども、それから後、本当は一番カバーしなければいけないんですが、法律ではここまでですよと切られてしまう。というところで、最初は横浜市の単独事業でやりました。その前に東京都の単独事業であって、横浜も類似のが欲しいということでやりました。そういうふうにやっていた中で、厚生労働省の児童家庭局が制度としてある程度カバーをできるようになったと聞いています。
 話が行きつ戻りつして恐縮なんですが、課題のところで、私、DVのことを言い忘れました。支援策の中で、住まい確保支援と書いてあります。横浜でも、数量的には微々たるものですが、神奈川県でステップハウス制度をつくったり、民間のシェルターの中で独自にステップハウスを用意してくれているところがあります。
 ただ、ここから先は私の私見ですが、ステップハウスへ行って、今度、本格的に生活できる住居を定めるというよりは、母子生活支援施設なり、あるいは一時保護所、シェルターを出た後は、どこが安全な住まいなのかということは慎重にする必要があります。地域の方の目が届く、そういった環境をつくる。あるいは、先ほど女性相談員の体制強化というお話をいたしましたけれども、女性相談員、母子生活支援施設の職員のアフターケアとして、かなりの期間、きちんと相談に、先方が出てこられない状況のときはこちらから出向いて支援をする、お話を伺う、場合によっては、母子が御了解であったらば、民生員さんとコンタクトを取る、そういったことをして、子どもたちが何度も何度も転居をする、居が定まらない期間をいかに短くするか。私はステップハウスよりもそちらの方を本当は充実した方がいいんではないかと思っています。ただ、これも母子によって状態がかなりばらつきがありますので、可能な人はできるだけ早くそのようにした方がいいのかなと思っております。
 残り時間が少なくなりましたので、おめくりいただきまして、2ページ目です。ひとり親とDV被害者と若者に限って、主な支援内容と、実際にどういうところでやっているのか、それから、関係するところはどこら辺なのかということを一覧表にまとめました。網かけは母子と女性のみ、斜体の太文字は横浜市の独自事業ということです。
 この中で、緊急一時保護の民間の方は補助金を出していますよという話と、一番下の青少年相談センターは、先ほど申し上げました。
 ひとり親の就業のところで、職業訓練校というのは本当は都道府県事業なんですけれども、横浜市は独自で、これも大分以前から中央職業訓練校を持っています。以前は都道府県も職業訓練校とお客様は区別ありませんでした。ところが、平成18年度から、母子家庭の母と生活保護受給世帯に限定をいたしまして職業訓練をやっております。
 その次の生活住まいのところで、民間住宅あんしん入居事業というのがございます。母子ですとか、あるいは高齢者ですとか、例えば、生活保護費で住宅費はちゃんと出るから、家賃を滞らせるということは、ゼロではないんですけれども、ほとんどないんです。ただ、個人では保証人が得られない。そういった方たちのために、横浜市の公的な機関が間に立って保証人の機能をするということで、民間賃貸住宅を借りられるような制度をつくりました。
 その次に、3枚目をおめくりいただきまして、横浜市の中で、外郭団体ではないんですけれども、横浜市と共同して、結構手広く、あるいは確実な事業を横浜市と一緒にやっているところを3団体だけ例示で出しました。このほかにもたくさんございますけれども、一応、母子だとか、福祉系をやっているところを選びました。
 1番の社会福祉法人礼拝会は、終戦直後から当時の厚生省関係の事業をやっていまして、売春防止法ができる以前の、そういった仕事をやらざるを得なかった方たちの施設からつくったものです。ただ、これは宗教法人の教義として、困難な女性を支援する。だから、宗教法人としての活動も、ずっと女性を助けるという視点でやっていました。それがそのまま、例えば、法定施設の運営をやるためも含めて社会福祉法人になったものでございます。横浜市の中で最初に民間の一時保護施設、シェルターをつくったのがここです。昭和60年代の後半にここがやり出したんですけれども、福祉事務所のケースワーカーが、一時保護施設がなかなか思うように使えなくて困っていて、すぐ飛びつきまして、利用調整をしていく中で、法人側と、ああしたい、こうしたいという研究会をやりまして、それから補助金に結びついたところでございます。ここは自分たちの方から母子生活支援施設をつくりたいということで認証を受けまして、建設し施設運用をしています。
 2つ目の社会福祉法人訪問の家は、重度心身障害児はかつては就学を猶予された経緯もございますけれども、重度心身障害児の学校の訪問学級としてスタートしたときに、母親学級も併せてつくられました。小中学校ですから、卒業がある。卒業があったら、その先、行き場がないということで、お母さんたちが訪問指導学級の教員と手を取り合いまして、地域作業所が横浜の中でも補助金制度があったんですが、まず、そこに結びつきました。やっているうちに、どんどんニーズが広がりまして、全国で初めて重度心身障害者の通所厚生施設をつくったりですとか、かなりやっていたんですが、その後、横浜市の中の特に障害児関係の福祉の部分の施設整備の中で、行政側がこの団体を頼るところがありまして、団体と相談しながら、法定施設も含め、あるいは法定まで行かないけれども、制度にはあるグループホームですとか、実質的な課題に対応する動きをここがやってきています。
 あと、3つ目の社会福祉法人たすけあいゆいは、ワーカーズコレクティブをつくったんですが、その発想は、自分たちの地域の中で、高齢でも在宅生活を何とかやりたいと頑張っている方たちを助けたいということで、御自分たちでヘルパー資格をお取りになって、ワーカーズコレクティブを立ち上げた、これがスタートでございます。最初は高齢者関係の施設だったんですけれども、同じ南区にあるということで、横浜市立の母子生活支援施設が老朽化して建替えをするときに、ちょうど指定管理者制度が出始めるころでございまして、もう公設公営はだめ、公設民営でもなくて、民設民営だというふうに言われまして、国の補助金、横浜市の補助金がありますので、整備助成を受ける団体に手を挙げて、そこから今度は児童福祉分野の方にも羽根を広げて事業拡大をしています。
 この事例2と3ですが、横浜市の中のワーク・ライフ・バランスの事業所支援で、グッドバランス賞という表彰制度が19年度にできたんですけれども、いずれも認定団体になりました。女性も男性も働きやすい職場環境、就労状況をつくっているということで認定させていただきました。
 以上、駆け足になりましたけれども、横浜の中でいろんな施策をするときの男女共同参画の視点ですとか、あるいは資料提供でほとんど終わりましたけれども、関係団体、支援団体の一覧表等の御説明を終わらせていただきます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 我々がなかなか思い至らない、リアルな、生の話を聞かせていただきましてありがとうございました。
 質問、意見があればお伺いしたいと思います。
 1つお聞きしたいんですが、能力レベルに合った就業支援というのが母子家庭のところで書いてあります。能力レベルという意味は、ごく常識的な能力レベル以下の場合を想定しているんですか。
横浜市
知的ハンディキャップが疑われる母もおいでになります。療育手帳をお持ちの方もいらっしゃいますが、そういった判定を受けずに育って、結婚して、お子さんを持っている方もおいでになります。お子さんでしたらば、療育の能力判定というのがあるんですけれども、就労支援を行うために職能判定を受けてもらう場合もあります。
 そのほかには、一般の就業経験がないですとか、あるいは事務的な作業ですとか、パソコンには全然触ったことがなくて、だから就業の入口がすごく狭まっているだとか、知的能力はいろいろです。
鹿嶋会長
学歴などの構成で言うと、いわゆる義務教育段階の人たちがかなり多いとか、そういうことも言えるんですか。
横浜市
ばらばらです。私は昔、児童家庭関係の業務をやっていましたけれども、それはもう15~16年前なんですが、その当時でも、中卒、高卒が大半でした。たまに短大卒というお母様がおいでになりましたけれども、母子生活支援施設にお入りになる方は、義務教育、あるいは高校ぐらいまでが多いのかなと思います。それ以外のところは、学歴、学力は本当にさまざまだと思います。
 今、御質問いただいたところで思い出しましたけれども、生活保護を受けている母子も、ぎりぎりで働いている母子も、子どもに能力があったら、高学歴への進学、大学への進学がもっと容易になるような仕組みが欲しいなと、本当に思いました。これが再生産をさせないためにすごく大事だなと思っていまして、生活保護の世帯もそうですし、母子家庭や何かのところもそうなんですが、うちはどうせ大学行けないよねというところで勉学の意欲を失うんです。そこら辺が、指導する上でもすごく困難だと思っています。
鹿嶋会長
その辺りは湯澤先生も指摘してきたことだと思うんですが、御意見ありますか。
湯澤委員
ひとり親家庭の場合、母子家庭等自立促進計画を各自治体がつくるようになっていますので、各自治体の自立促進計画を見れば施策の概要が把握できるということですが、なかなか従来型の計画から抜け出ないように思います。各自治体の計画の中に、もっと抜本的に再生産を解消させるような、例えば、今、出ました子どもの進学保障ですとか、そういうことを打ち出している計画は余りないと思いますので、計画そのものを変えていくことが必要かと思っております。
鹿嶋会長
ほかに。
 どうぞ、先生。
横田委員
横浜市の状況、大変よくわかって、勉強になりました。簡単なことですが、2点。
 1つは、先ほど具体例を詳しくお話しされた二次被害の件です。私、ものすごく深刻な問題だと思うんです。これが切り離されたたった1件の出来事で、ほかに起こらないというんでしたら、それはそれでよいのでしょうが、警察、検察がかかわっていますから、非常に無神経な制度がそのまま残っているという状況です。ただ、警察は県レベルですから、横浜市には、直接の権限がないわけです。そこら辺りを内部で検討されて、例えば、この点について、県の警察の方に注意を喚起するとか、そういうアクションが取られたのか、内部でどうしたらいいかということを検討されたのかどうかを伺いたいというのが1つなのです。
 もう一点、専業主婦願望が多いというのは、このごろ新聞でも若い人の中に出てきているということを報道していますが、私は男性ですから、間違った考えかもしれませんが、性別役割分担の考え方が間違っているということはいいのですが、結果的に、ある女性が専業主婦願望があったとして、それをいけないということはいえないのではないか。
 つまり、それは個人の選択の問題であって、男性にもそういう人が出てくるかもしれませんが、女性の中にそういう人があってもいい。ただ、それをいいことに男性が女性にそれ以外のチャンスを与えようとしない状況があることは大変問題です。ですから、その辺の扱いは難しいのですが、一方的に、そういう願望がいけないのだというふうに押しつけること自体は、逆に問題かなと思います。私はいろんな選択肢があっていいのではないかと思っているのす。
 ただ、今の状況は、社会全体がそういう方向に、親も学校も教え込む雰囲気がありますから、自分で自然にそう思ったかどうかわからないという若い人が多いことも事実なので、その辺は問題なのですけれども、本当にそれがいいという女性がいるときに、その人に対して、それはおかしいということを問いかけることまではしてはいけないのではないかという気持ちを持っているのですが、間違いでしょうか。
鹿嶋会長
では、まず1番の御質問から。
横浜市
実際にヒアリングの中で聞いた中では、お子さんのことを考えると、これ以上、いわゆる対応も含めて表沙汰にしたくないということでありましたので、これは動いているというのは聞いておりません。ただ、警察はDVへの対応や何かは最近よくなったなとは思っていたんですが、そういった意味でちょっとショックでした。聞いたというところで動いていいやら悪いやらという戸惑いも私たちにあります。
横田委員
その点で、私の感じでは、例えば、具体例で挙げますと、その人たちが望まないのにということになりますが、その件を知った以上は、一般的に警察にそのことを申し入れて、こういう場合には女性の警察官を対応させるとか、注意を払ってほしいということを伝えて改善を求めることは、一般論としてはあっていいんではないかなという気がちょっとしますので、そのことを指摘させていただきます。
鹿嶋会長
補足ですか。
桜井委員
同じ横浜市で安部理事の下で仕事をしている者なんですが、1つ目の警察に対して、横浜市がどこまで二次被害を防止してほしいと言っていかれるのかということなんですが、これは大変難しいことだろうと思いますが、警察も含めての連絡協議会のようなものをDV被害者に対してやっています。そこで意見交換などをする機会があるということが1つ。
 それから、もう一つは、基本問題調査会のところでも発言させていただいたんですが、私どもは横浜市の委託を受けて地域の苦情処理の窓口を持っていまして、そこに警察からの二次被害があったという事案が上がることがあります。その事案を基に市長名で調査をして、もし更に調査を必要とするんであれば県警本部まで行って調査をするということをかつてやったことがありました。しかし、調査の壁は大変厚いというか、高くて、横浜市長名だと言っても、県警は応じる義務はないんだと、私、頭から言われたこともございます。それでも、こういう事案が上がってきて、こういうところについては御配慮いただかないとということをお話しすることによって、研修の機会が警察の中で少し増えていったりということはあったかと思います。
住田委員
犯罪被害者に関しての保護をきちんとしなければいけない。特にDV等によって心身が傷ついた女性、児童に対してはきちんと対応すべきというのは当たり前のことで、このように手をこまねいておられると聞くと、見過ごせません。これは市を通すよりも、司法の話ですから、警察、検察庁、また弁護士会を通じて、その事実関係とその対処について申し入れるべきです。
 恐らく女性の警察官、検察官が対応しているはずだと思っておりますので、二次被害というより、そのお子さんに対しては、被害を思い出させるようなことをやってはいけなかったという事案ではないかと私は思います。ですから、医学的な知見を持った方を関与させた上で事情聴取すべきだったと思います。私は、意図的行為による被害は、かなり少なくなっている、特に横浜ではそうだろうと思いますので、配慮不足による失敗事例として、表に出すべきでしょう。お役所の手続的なルートうんぬんよりも、被害者の声を代弁する形で、検察庁、警察、弁護士会にきちんと出していただきたいと思います。暴力部会でも、同じような問題に対しては常に私も言ってまいりましたので、そういうルートはございます。余り遠慮されない方がいいと思います。
鹿嶋会長
ほかに。どうぞ。
小杉委員
横浜市の取組みの支援策の若者のところの最後に若年女性就業支援というのがあるんですが、これを詳しく教えてくれないかなと思いました。というのは、今、若い人たちの、特に女性の労働市場がめちゃくちゃで、高卒女性の安定的な就業機会は本当に小さくなってしまっているんです。先ほど女子高生は、まあいいか、アルバイトでもというふうな選択になりがちだというお話がございましたが、それは、労働市場が大きく変わってしまって、若い女性に対して安定的な就業機会がない。大学卒業者に対してはかなり改善したんですが、学歴間格差が非常に大きくなっているのが女性で、その中で高卒以下の女性たちの就業機会はかなり厳しくなっているんではないか。
 これは横田委員に対する意見なんですけれども、私も基本的にはジェンダーというのは、後からできるものではありますが、やはり個人の中に内面化されているものですから、そう簡単に踏み込めるものではないと思います。ただ、若年期というのは、私自身、高校1年から、その後6年間、個人を追跡するような調査をずっとやっていたことがあるんですが、意識が大きく変わる時期で、在学中は親の性役割分業観を強く体現した若者たちが、就業機会を得て、就労する中で意識が変わっていくんです。例えば、女性がより面白い仕事に出会うことによって、仕事に対する意識がどんどん変わっていくということがございまして、今の環境というのは、特に若年の低学歴女性に対して就業機会が非常に閉ざされている、その中で起こっているという可能性もあるので、個人に直接働きかける云々というよりは、むしろ環境整備の方をもう少し考えていかなければならないんではないかという意見を持っています。
 そこで、この若年就業支援とは何なんだろうと、非常に関心があるんですが、教えてください。
横浜市
実はこれは横浜市の男女共同参画推進協会とマイクロソフト社が共同でやっている仕事で、桜井委員の方が詳しいんですけれども、現在働いていない、働きたいとは思っているけれども、何となく自信がない、せめてパソコンができますぐらい言って自分で背中を押せるような状況をつくりたいとか、そういったきっかけづくりということです。母子の方は今、パソコンですとか、いろいろありますので、シングル女性だけに限定をしてということで、仕事の取っかかり、就労しようという、気持ちが前向きになるきっかけづくりとして、1つはパソコンも含めた、自信回復なのか、自信を新たに持つのかわかりませんが、そこら辺をやりましょうということです。
 桜井委員、そんなところでいいでしょうか。
鹿嶋会長
簡単に。
桜井委員
実は、これは最初に調査をして、その結果を踏まえて、この5月からプログラム化したものです。その調査の対象者というのは、職場にも学校にも属していないということで、非正規と不就労を繰り返している若い女性たちが大変多いというところに着目して調査をいたしました。さまざまな生活困難な状況のことも聞いたんですけれども、例えば、母子家庭であったとか、不登校があったとか、薬を飲んでいたとか、入院をしたことがあるとか、性被害に遭ったことがあるかというようなことも聞きましたら、困難な状況を平均4つマルをしていらっしゃるんです。ですから、ここでもこれまで御討議いただいたように、継続的にというか、1つのつまずきが次のつまずきというか、困難を生んでいくことがよくわかりました。お1人は、まだ20代なのに、6つも7つもマルを付けられた。その方たちの職歴も見ましたら、5つ6つ仕事を繰り返している、不就労と非正規雇用を繰り返していることがわかりました。
 その方たちに、御自分として何が一番苦手かというふうに聞きましたら、人と話すことにマルを付けた方か一番多かった。次には、パソコンが苦手だということで、びっくりしました。若いから、そんなことはできると思っていたんですが、ケータイはできるけれども、パソコンはできないという結果が出てきました。それで、職業準備の講座とパソコンとを組み合わせて、丁寧な、その方の生活実態に合わせての事業をやり始めました。ニート支援をやっているところ、若者塾などの御意見もいただいて「桜井さん、午前中は無理よ、起きてこられないから。週5日通うのも無理よ」と言われて、それでも週3日、4日は通っていだく、それから、午後からのスタートということでやるようなものをつくりました。調査結果につきましては、私どもの男女共同参画推進協会のホームページから全文ダウンロードできますので、見ていただければと思います。
 以上です。
鹿嶋会長
それから、横田先生が2番目の質問でおっしゃっていた、いわゆる性別役割分担はいけないものではないということですが、私の意見だけ述べさせていただきますと、私もいけないというものではないと思っています。ただ、いろんな考え方の選択肢の一つであればいいと思うんですが、若い女性の中でそういう考えが増えていくというのはやはり問題で、今後議論する必要があるんだろうと思うんです。
 というのは、男女共同参画の第2次基本計画で、いわゆる男女別の視点、いわゆるジェンダーの視点の中で問題ありとしているのは、一つは固定的性別役割分業の固定化なんです。ですから、それが若い女性の間で支持者が増えるというのは、背後に何か問題があるんだろうと私は思っていますし、同時に今のような非正規雇用が増えますと、共働きでないと生活が維持できないんです。そういう中で専業主婦願望が強くなって、シンデレラのような状況を希望する女性が増えるというのも、現実を見ていないという感じもします。だから、これは今後、もうちょっと丁寧な議論をしていく必要があるのかなと思っております。
 どうぞ。
板東局長
今の点でございますけれども、今年、ちょうど男女共同参画白書が発行されたところでございます。その中で、男女共同参画社会基本法ができてから10年ということで、今までの10年を振り返るということを特集にさせていただいております。その関係で、ネットを使っての意識調査をやったんですけれども、そのときに先ほど御指摘のような状況が出てきておりまして、女性で見ますと、40代の辺りが一番性別役割分業意識に反対という人が多くて、賛成という人との差が大きいんです。30代、20代になってきますと、反対という人の方が多いんですけれども、賛成という人がちょっと増えてくるということで、その差が少なくなってくる。それが今のお話のように、専業主婦願望を表しているのではないか。質問は一般論ということで聞いているんですけれども、恐らく個人としての選択のところも含めて反映しているんだろうと思います。
 それから、もう一つ、男性の方は、若ければ若いほど性別役割分業に反対という人が逆に増えてきて、男性はもともと賛成という人が多いんですけれども、20代のところではちょうど拮抗するという状況になりました。ですから、これは順調に減っている。
 これは、理念の問題というより、同じことが違う方向で男女に効いているんではないか。今のお話のように、例えば、特に女性の若い人で非正規労働は非常に増えてきておりますし、全体として見ても、雇用形態別に見ると、女性の非正規率は半分以上になっているという状況もある。それから、仕事と家庭の両立が相変わらず非常に厳しい。働くということに対して、明るいイメージを若い人がなかなか持ち切れないという状況が今、あるんではないか。
 そういう中で、男性の方は、1人でやるのはなかなか大変だ、女性も含めて、家庭も社会も職場も担っていくと、意識の方がだんだんそちらの方に向いていくと思います。
 それから、女性の方は、むしろこれは大変だという意識が非常に強く、今まで以上に出てきているんではないだろうか。役割分担する方が効率的ではないだろうかというような意識が若い女性のところに出てきているんではないか。
 これはいろんな分析があって、今、少しずつ晩婚化なので、20代ではそういうふうな状況だけれども、実際、結婚したりという中で違ってくるんではないかというお話もあったりするんです。
 そういった意識をめぐる状況が、社会的な問題とか、経済の上での問題とか、雇用構造の問題とか、そういったところを反映していないだろうかというところを我々はきちんと見ていかなければいけないんではないか。個人の選択肢がたくさんある中でというふうに必ずしもなっていないところが、もしかしたら、社会構造の中で今、出てきていないだろうか。そこを真正面から考えていかなければいけないんではないかと思っております。
鹿嶋会長
いずれまた機会があったら議論したいと思います。
 安部きみ子さん、長時間、本当にありがとうございました。(拍手)
 (横浜市関係者退室)
鹿嶋会長
続きまして、今まで聞き取りをしてきました各府省庁の施策について、これまでのとりまとめの状況と、今後、最終報告作成までの経緯を事務局から説明していただきます。
分析官
では、事務局から2点御説明させていただきます。今、会長からお話がございましたとおり、今後、最終報告をとりまとめるに当たりまして、その構成案と、その案に沿って御議論いただく場合の大まかな論点に関して御説明をさせていただきたいと思います。2点目なんですが、その論点を踏まえつつ、御議論の対象となっていく関連施策につきまして、現時点での事務局でとりまとめた内容についての御説明でございます。
 順番が前後いたしまして申し訳ないのですけれども、最初に資料4をごらんいただきたいと思います。資料4ですけれども、これが最終報告の構成に関します事務局の案でございます。最終報告は、3月に出されました「論点整理」をベースといたまして、新たに3つの内容を取り込むということでとりまとめたいと考えております。
 3つというのは、1をごらんいただきますと、まず「現状認識」というところでございます。これは十分「論点整理」の方でまとめられているんですけれども、更に生活困難を抱える男女に関する検討会で国民生活基礎調査、就業構造基本調査の特別集計をお願いしておりまして、こちらでの主要な結果につきましては追加してまいりたいと思っております。
 それから、2つ目の「施策の現状」というところを今後追加してまいりたいと思っております。概略御説明いたします関連施策につきまして、この下の2に示されているような内容で書き加えてまいりたいと考えております。
 3点目の「課題と取組」というところでございますけれども、これは「論点整理」に書かれました生活困難の実態、あるいは課題と現状の施策等の状況を踏まえた上で、この下の3に示されたような観点から御議論いただき、提言としてとりまとめたいと考えております。
 2の「施策の現状」について簡単にごらんいただきますと、既に施策の対応が図られている分野については、下にあるような主に3つの観点から内容を記述していきたいと考えております。まず「論点整理」が指摘する課題に対してどの程度対応できているか。それから、男女別のニーズの把握、男女共同参画の視点の導入、施策の評価の有無といった点。それから、関係主体との連携は取れているかということで、今までの御議論、それから、過去に監視・影響調査専門調査会の報告書などで報告されている内容を基に、これらの点を挙げてみました。
 それから、施策の対応が十分でない点につきましては、なぜ施策が行われていないのか、あるいは課題が何かというところで御意見をちょうだいしたいと思っております。
 それから、現下の経済社会状況に対応する、関連する報告書などの内容でございますけれども、本日の資料の中で、参考資料1~4ということで御用意をしております。簡単に後で御説明いたしますけれども、最近、政府から出されました報告書などの内容を施策の背景として参考に記述してまいりたいと考えております。
 3の「課題と取組」について提言する観点ですけれども、施策の現状を踏まえまして明らかになった課題について、解決の方向性につきまして御議論いただきまして、その内容をとりまとめてまいりたいと思っております。その際に「論点整理」の「5.(3)対応の基本的視点」として指摘されていた点には留意していくことが流れとしてはいいのかなと思っておりまして、御参考までに裏面に5.(3)を抜粋で乗せさせていただいております。
 主な点といたしましては、当専門調査会では、女性が生活困難に陥りやすい要因を解消するという男女共同参画の視点から考えていくということ。それから、最後ですけれども、女性のライフコースを通じたエンパワーメント。それから、さまざまな支援策を用意して、総合的に提供するといった「論点整理」で挙げられた点を配慮しつつ御議論いただければと考えております。
 続きまして、施策の現状につきましては、資料3-1、3-2にとりまとめてございます。現在、事務局の方で関係府省庁の協力を要請いたしまして関連施策の調査を進めておりますけれども、これは暫定的にとりまとめた表というふうに御理解いただきたいと思います。この調査の御協力を依頼するに当たりまして、一部事務局からの説明が不足していたようなところもございまして、まだ関係府省庁の中で確認中というところ、確定していないところがございます。ですので、この結果は確定ではないということで本日、御理解いただきたいと思っております。また、この資料はそういった意味で、本日、回収資料とさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 この内容なんですけれども「論点整理」5の(4)今後検討すべき課題といったところで述べられた項目に沿ってまとめてございます。項目だけを取り上げて、項目ごとに該当施策数を示したものが資料3-2でございますので、こちらの方も参考にしながらごらんいただけたらと思っております。
 また資料が飛びまして恐縮なんですが、内容をごらんいただく前に、資料3-3について御説明申し上げたいと思います。資料3-3でございますけれども、これは3月26日に開催されました前回の男女共同参画会議で当専門調査会の鹿嶋会長より有識者議員からの意見ということで御提出いただきましたものです。
 これに対しましては、男女共同参画会議の席上、ほかの委員の方からも御意見がありまして、官房長官からは、生活困難を抱える人々、特にひとり親家庭に重点的に光が当たるように、各省庁が連携してしっかりやっていきたいという旨の御発言がございました。
 そして、その後、4月10日に、先ほど申し上げました参考資料1なんですけれども、経済危機対策が発表されておりまして、この中では、そういった男女共同参画関連の議論を踏まえまして、生活困難を抱える家庭への支援の充実が図られることとなっております。
 この御提案内容と経済危機対策に盛り込まれました関連する施策との対照表が資料3-3の2枚目、3枚目にございます。簡単にごらんいただきますと、最初の方が雇用機会の均等と雇用の安定の確保というところで、本日、厚生労働省の方から御説明をいただきました施策が関連施策ということで挙げられております。
 それから、仕事と生活の調和の推進というところですと、安心こども基金の拡充で1,500億円の積み増しということで、地域における子育て支援の拡充が図られる。これが関連する事項となっております。
 次の3枚目ですけれども、生活困難家庭の支援ということでごらんいただきますと、先ほどごらんいただいたような安心こども基金の拡充分、あと、教育費負担の支援といった点、外国人労働者の支援などが関連する施策となってございます。
 また、女性に対する暴力等の被害者対策ということでは、3つ目として、DV被害者相談体制の強化がございます。
 また、総合的な支援体制の構築といった点では、地域における男女共同参画促進総合支援経費ということで、経済教育対策の中に関連する施策ということで位置づけられております。
 先ほど、参考資料1の「経済危機対策」のところで触れさせていただいたんですけれども、参考資料2は、先日、6月15日に出されました安心社会実現会議の報告書になっております。
 あと、参考資料3は、前回の文部科学省の説明の中にございました「幼児教育の無償化について」と題する、今後の幼児教育の振興方策に関する研究会の中間報告の概要でございます。
 また、雇用の安定・創出の実現に向け、日本型ワークシェアリング取組促進に盛り込みました、3月23日になされました政労使合意につきましても、本調査会での御議論と関連する内容についての政府の今後の取組みの方向性を示すものであると考えまして、参考資料としてお配りをさせていただいております。
 それでは、表が大きくなってございますけれども、資料3-1につきまして、概要を御説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページ目ですけれども「ア.自立に向けた力を高めるための課題」に該当する施策が挙げられてございます。自立に向けた力を高めるという意味では、早期からの教育、自立の困難を抱える若者、暴力被害者のエンパワーメントから高齢者の自立など、非常に幅広い意味での自立が図られますけれども、これにつきましては、前回、文部科学省から説明がございました施策が中心的なものとして挙げられております。
 一番左側に整理番号が振ってございますけれども、この番号でごらんいただきまして、1、2、3、そして次のページに行きまして、4は女性のライフプランニング支援総合推進事業でございますけれども、ここまでは前回説明を受けました。
 また、5の地域における若者支援事業は、内閣府の共生社会担当から挙がってございます。これは、地域の青少年センター等を地域の中核機関とし、さまざまな問題を抱える若者を関連機関、団体等と連携して、個別的・継続的に支援する体制を整備する施策だということで挙がってきてございます。
 その後、ごらんいただきまして、11~16番といったところは、前回、内閣府の男女共同参画局の方から御説明申し上げました、DV被害者の自立に対する支援になってございます。この中で、特に12番に関しまして、DV被害者のための相談機関電話番号サービス、DV相談ナビというものでございますが、これは今回の経済危機対策、補正予算の中で拡充が図られた部分でございます。
 続きまして「イ.雇用・就業の安定に向けた課題」というところでごらんいただきたいと思います。こちらは、経済危機対策の中でも非常に重点的に対応なされる分野のうちの1つでございまして、補正予算による新規実施分も含めまして、施策の内容も多くなってございます。
 22番、23番につきましては、前回、厚生労働省より説明を受けた部分でございます。
 また、26~28番まで、本日、同じく厚生労働省の方から説明を受けまして、21年度の補正予算で新規に取り組んでいる部分でございます。
 29番、30番につきましても、雇用調整助成金の拡充ということで、本日、説明を受けました部分で、こちらも補正予算で拡充が図られている部分になります。
 続きまして、34番、35番につきましても、本日、厚生労働省より説明を受けた部分でございます。34番は、平成21年度の補正予算で新規に取り組まれる事業で、先ほど説明のあったとおりでございます。
 あと、多様な雇用形態の普及といたしましては、36番、短時間正社員制度導入支援事業というものがございます。
 それから、37番、ワークシェアリングの普及というものもございます。これは参考資料4で付けさせていただいております雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意に基づいている施策でございます。
 40番の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律は、改正法案を国会で審議中でございます。
 42番、次世代法に基づく企業の行動計画策定・実施についてでございますが、これは平成23年度に従業員101名以上の規模の事業主まで拡大されることになってございます。
 それから、44番、育児・介護雇用安定等助成金は、補正での拡充の施策でございます。
 48番、49番につきましては、安心こども基金による拡充での施策になってございます。
 それから、52番でございますけれども、パート労働者への社会保険適用拡大、これは前回の厚生労働省からのヒアリングでございましたけれども、現在、継続審議中となってございます。
 続きまして「ウ.安心して親子が生活できる環境づくりに関わる課題」でございます。53番、54番、母子家庭等就業・自立支援事業、母子家庭等日常生活支援事業は、前回、厚生労働省より説明がございました。
 それから、安心こども基金拡充分ということでごらんいただきますと、49の再掲であります55番、56番。先ほど桜井先生の方から、新規に取り組まれる部分でやっていらっしゃるとおっしゃったのは、恐らく56番の施策ではないかと思われますけれども、こういったところがあがってきております。
 それから、DVの被害を受けた被害者への住宅確保の施策ということで、前回、委員からお尋ねがございましたけれども、これにつきましては、国土交通省の方から、60~62番ということで、公営住宅における同居親族要件の緩和、優先入居、目的外使用が挙げられてきてございます。
 また、生活困難の次世代への連鎖を断ち切るための取組といたしましては、前回、文部科学省、厚生労働省より説明のあった施策の登録がございます。補正予算で取り組まれる内容としましては、70番、(独)日本学生支援機構奨学金事業の家計急変学生に対する緊急採用奨学金の貸与人員の倍増ですとか、あるいは返還猶予者の増加への対応というものもございます。
 それから、番号にずれがございますけれども、前回、厚生労働省の方から話を伺いました生活保護世帯を対象とした子どもの健全育成プログラム、それから、子どもの学習支援のための給付の創設等も平成21年度の補正予算による新規事業となってございます。
 それから「国際化に対応した支援体制の強化」といたしましては、前回、内閣府、文部科学省より説明がございました施策が中心ですけれども、補正予算で新たに取り組まれるのが76番、定住外国人の子どもの就学支援事業でございます。
 それから、最後に「支援基盤の在り方等に関する課題」でございます。80~83番までのところは、これまでに出てきた施策の再掲ですけれども、79番は、地域における男女共同参画促進総合支援として行われる事業でございまして、これは男女共同参画局で地域における男女共同参画促進に関する情報の収集、提供、実践、調査、研究、アドバイザー派遣等の支援という内容になってございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
 資料4の内容に戻りまして、これらの施策の内容ですとか、今後の課題といった点で御議論いただけたらと思っております。短い時間になってしまいましたけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
資料3-2は説明しなくていいんですか。
分析官
これは御参考ということで、ごらんいただけたらと思います。
鹿嶋会長
我々が大分議論をしてきたものが盛り込まれているような印象もありますし、また、補正予算で新たに実施される施策もあるわけです。ただ、一方で、さっき桜井委員から出たように、まだ母子家庭と認定される前の段階、実はその辺りが本当は一番苦しいのだけれども、認定されなければ援助が受けられないという問題、何といいますか、実態と施策の間の微妙な敷居の高さみたいなものがあって、それはこの表を見てもなかなかわからないんです。ところが、実際はそういう問題があるということは大変いい指摘だったと思います。そういう問題も含めて、この施策全体をごらんになって、何か問題点、質問等々があるのかどうか、更に何か盛り込んでいく必要があるかどうかといったことをお伺いできればと思うんですが、何せ資料が多過ぎるし、施策も随分多いので、ぱっと説明を受けただけで、これだとなかなか言えないかもしれませんが、あれはどうだとか、こういう視点からの施策が足りないんではないかとか、そういうランダムなもので結構ですので、是非御意見をお伺いできればと思っております。
 どうぞ。
小杉委員
早速ですが、先ほど幾つか意見もありましたけれども、結果の目標値とか、それに対しての達成度とか、あるいはそれをチェックするシステムを組み込んでいるかどうかとか、基本的にはチェックするシステムの組み込みと、それを次のアクションに変えられるか。つまり、先ほどの敷居が高いとかいうような状況は結果に結びつかないことになるわけです。それがどこに問題があるかということをそれぞれの施策担当者が自分でチェックして、それを変更するという仕組みが織り込まれていないと、やはりそういうことになると思うんです。まず自己評価の仕組みがあって、例えば、基金みたいに3年積んでいれば、途中で変えなければいけないことがあると思うんですが、それを変えるような仕組みとして、そういう項目があるかどうか。多分、ないと思うんですけれども、そこが大事ではないかと思うんです。
鹿嶋会長
今の質問に対しては、事務局は今すぐ答えは出ませんね。
分析官
そうですね。済みません、今、この場でお答えするのはちょっと難しいです。
鹿嶋会長
宿題として持ち帰らせてください。
小杉委員
多分、それがないということの指摘が大事なんではないかと思います。
鹿嶋会長
なるほどね。了解しました。
 どうぞ。
山谷委員
今の関連なんですが、先ほどの神田先生の御質問にも関連あるんですけれども、目標数値の掲げ方というのは結構あれでしたね。あれで評価とか達成度とかという議論はかなり無理ではないかと思うんですけれども、それを言ってしまえば終わりなので、目標数値とか、あるいは予算とか、積算の根拠の合理性みたいなものが、どういう経緯でそれが出てきたのかということを知りたい。畠中先生などは無理だとおっしゃるかもしれませんが、施策の評価と見直しとか、ニーズの把握とかというところに非常に大きくかかわる問題だろうと思うんです。わかる範囲でもよろしいので、そこが必要かなと思います。
鹿嶋会長
事務局も少ない人数でやっていますので、なかなか。どうですか。どこをどう突つけば出ますか。逆に教えていただきたいんです。いちいち当たるしかないですか。
山谷委員
だと思います。
小杉委員
いえ、触れられていないとか、そういうことを書けばいいんではないですか。
鹿嶋会長
勿論、それは書きます。今、小杉委員がおっしゃったとおり、それは書きますが、ちょっと待ってください。
 橘木委員。
坂橘木委員
今のと違う話でいいですか。
鹿嶋会長
では、今の話を少しやりますので。
 神田先生、どうぞ。
神田委員
今のとちょっと違うんですけれども、根本的なところで私、わからなくなりました。
鹿嶋会長
ちょっと待ってください。今の意見の延長の人はいますか。
 桜井委員。
桜井委員
やはりちゃんとした数字の積み上げができていないと思います。今、雇用・能力開発機構の方で御一緒させていただいているものも、母子家庭の託児つきのが1,500人と書いてありましたが、1年目でとても無理なんです。なぜかというと、今つくっているコースは1か月という、これまでの公共職業訓練のコースではない、一番短いものをつくっているんですが、1か月毎日保育をサービスできるところなどは臨時的にないです。例えば、私どものところがそれを受託したとしても、20人が精いっぱい。全国で6か所でやると聞いていますけれども、手を挙げるところが少ないと思うんです。
 ですから、もともと1,500人は達成できないと思っています。そのことは雇用・能力開発機構を通じて厚生労働省の方にはお伝えしてあるんです。ですから、これを目標値にされてはすごく困るということで、今、マニュアルをつくっているんですが、受託した機関が、受講者の満足度を含めて自己評価できる仕組みを最後に入れるということを私たちのプログラムではやっています。積み上げのところでは考えていないというのは、上手に書いてくださいね。とりあえず数字を挙げたということになっているのではないかと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 では、違う意見で、どうぞ。
坂橘木委員
生活困難を抱える男女の問題を考えたときに、端的にあらわれるのは、父子家庭と母子家庭の年収がかなり違うんです。その原因の1つは、女の子の受ける教育が職業に役立たないのを結構学んでいるというところがあるんです。男性の場合は、工業とか、商業とか、高校においても大学においても職業に役立つような科目をかなり専攻しているんだけれども、不幸にして女性の場合には、学校を出てもそんなに実業に役立たない科目をかなり勉強しているので、そういうハンディをなくするような教育もここでひとつ言ってほしいかなという気がいたします。
鹿嶋会長
わかりました。
 今の橘木委員の意見は、私もそのとおりだと思うんですが、それに関連して何かありますか。いいですか。
 どうぞ。
住田委員
では、1つだけ。私、商業高校を結構回っているんですけれども、商業高校は女子学生が非常に多い。その女子学生が意外と専業主婦願望が強くて、学校の先生から見ると危うくてしようがないようです。大学の場合は、女子学生が、実学系ではなくして、文学部とか、そういうところに行って、就職のときには不利益であると、そのような風潮はあると思うんですけれども、高校の場合はどうもそれだけではないような気はいたしました。
坂橘木委員
住田委員の言っていることは全く同感で、なぜ工業高校に行かないかというのが出てくるわけです。工業高校は圧倒的に男性なんです。工業高校を出たら、フリーターとかニートに余りなっていないんです。それと、普通科に行く女性もニート、フリーターになっているんで、もうちょっと高校においても実業に役立つようなことを女の子は勉強してほしいと私は言いたいですね。
住田委員
先ほどの教育の話になりますと、結局、社会で一番役に立つのは、単なる知識ではなくしてコミュニケーション能力なんです。社会の中でチームプレーができないと困るんです。
 DVなど暴力がひどくて、人間関係が疎遠で冷たい場合は、やはり基本的なコミュニケーション能力に欠けがちになります。社会や集団に気後れして入っていけない。自尊心以前に人と対話することが非常に困難なんです。そこら辺は少し入れていただかないと、今の政策の中ではそこは入っていないような気がします。それが1つ。
坂橘木委員
コミュニケーション能力というのは男女差がありますか。
住田委員
それは女性の場合もありますし、男性も勿論あります。職業訓練学校に行きましても、男女差ではなくて、そういう人がいるという事実があるとお聞きしまして、生活困難の背景には、それも1つ言えるかと思います。
鹿嶋会長
住田委員の今の意見は、その指摘だけでいいですか。
住田委員
はい、いいです。
 もう一点だけ申し上げたいのは、生活上の障害とか困難とという言葉。今日のとりまとめですと、10ページぐらいのところに「生活上の障害」という言葉とあり、14ページにもございます。性格上の問題、人格障害的なケースがこの間も出てきております。適切な職業訓練や社会になじむということが、なかなかむずかしい。特別支援教育でようやく始まったばかりなんですけれども、実は、自立できない方々というのは、こういうケースがかなりある。ホームレスにもそういう方がいらっしゃるということ聞いております。ですから、そこら辺に少し目を向けないと、生活上も、そして経済上も自立できない方々が振り落とされていってしまっている現状があるんではないかと思います。
鹿嶋会長
黒﨑先生。
黒﨑委員
今のことに関連してですけれども、もともとある障害ではなくて、何か人から言われたこととか、会社での人間関係とか、友達との関係とかでそうなったことがかなり多くて、そのまま引きこもりだったりニートだったりするので、カウンセリングだったり、医療機関とか、精神的なケアをもっと早くやることによって、そこに落ち込まないということはかなりあるので、その視点が抜けているかなと、この間から思っていました。
鹿嶋会長
ちょっと待ってください。
 今度は神田先生でしたね。どうぞ。
神田委員
私、今の該当施策の一覧をお聞きしていまして、そして私が質問したときに、男女という視点は根拠に入っていないということだったんです。そうすると、ここで題目として掲げた「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」という「男女」は一体どういう意味を持ってくるのか。要するに、みんな生活困難を抱えた人間の問題についてのことになってしまうんではないですか。この施策は膨大なものですけれども、男女の視点がなくて、困難を抱えた人たちに対する施策です。それでよろしいんでしょうか。
鹿嶋会長
ただ、男女別ニーズの把握もちゃんと、ないところは勿論あるんですけれども、ほとんどないですか。
神田委員
ここの施策に問題点としてこういうのがあるということは言えないとね。
鹿嶋会長
あるところもあるんですが、確かにないのが多いです。
神田委員
そうしたら、日本の全部の政策は男女なんて関係ないです、人間の政策ですよと言って、全部並べることになるんではないか。
鹿嶋会長
先生も御存じのように、男女別のニーズの把握は監視・影響調査専門調査会の大きなテーマですから、まだまだそれが徹底されていないようなところもあるんですが、タイトルは男女ということでいって、それはもう一度、この報告書の中でも指摘したいと思います。
神田委員
是非そうしていただかないと。今日の説明を聞いていると、ほとんどそういう視点が落ちてしまっていて、大変矛盾を感じております。
鹿嶋会長
そうですね。
 どうぞ。
横田委員
先ほど小杉先生がおっしゃられたことの関連なのですが、結果がどう出ているかということと、そのフォローアップなのですが、私の観点から言いますと、極めて簡単な結果が国際社会では出てきているのです。去年の人権理事会による日本の人権状況審査でも、女性に対する待遇が問題だということはちゃんと指摘されているのです。具体的な数字としては、国連開発計画が出しているジェンダー・エンパワーメント指数で、実は、これだけいろいろやってきて、それでも2006年に日本は国連加盟国192の中で比較の対象となった75カ国中42位だったのです。2007年、翌年が54位でした。そして昨年、2008年が58位だったのです。それは向こうのデータの取り方がおかしいとか、日本の実情を反映していないということを議論するのはいいのですけれども、国際社会ではそうした評価が定着しているのです。非常に細かい点でのターゲットも大事なのですが、最終的に出てくるところで、実は国際社会では日本に対する評価は非常に低いままなのです。これを上げるようにといいたいのですが、別に国際社会での地位を上げるのが目的というわけではなくて、そこに日本の問題が出ていると思うのです。
 私が出席しているILOの専門家委員会では、日本の女性の平均賃金が男性を100としたときに67という数字になっています。多分、これはそんなに改善されていないどころか、最近の状況を見ると、むしろ悪化しているかもしれない。そのことを私は非常に深刻に感じているところなのです。報告書のどこにどう入れるかわかりませんが、国際社会で非常に単純化されて出てきた数字に日本のこういう努力の結果が反映されていないという問題があるということを発言させていただきます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。是非入れたいと思っています。
 どうぞ。
湯澤委員
今日、資料3-2でも「論点整理」の柱などを御提示いただいているんですが、この報告書になじむものなのかどうかということがわからないところです。経済的な安定した基盤があるところで自立に向けた力が高まったり、あるいは安心して地域で暮らせるということがあると考えられます。今、確かに安心こども基金とか、基金がたくさんつくられたということで対応できている部分もあると思うんですが、実際的には、例えば、児童扶養手当におきましては「就業意欲がない方について、半額に減額をする」という措置が実行されております。それ以外の方についてはそれは凍結されていますけれども、いつそれが凍結ではなくなるのかといったことを当事者が不安に思っています。
 一方で、生活保護では、今年4月、母子加算が全廃されました。その代替措置として就労促進費が付いていると言われておりますが、就労促進費がつくのは就労をしている人や何らかの活動をしている人です。生保の家庭の中で、半分以上の方だと思うんですけれども、病気やPTSDとかで働けない場合には、就労促進費がつきませんから、実際的に格差が生まれています。そういうふうに経済的な基盤のところでいろいろ政策が動いてきているところをどうとらえたらいいかということと、貧困の中で、あるいは厳しい労働環境の中での健康破壊という部分が大きいので、その部分をどう入れ込めるかという2点です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 最後に、白波瀬委員は御意見ありますか。
白波瀬委員
勉強することの方が多くて、なかなか意見を言うまで内容を消化できていないというのが本当のところです。あえて言うならば、これだけたくさん重要な案件が出て、これだけいろんな施策が立ち上がっているにもかかわらず、現状がどうしてついていかないのか、ということです。申し訳ないんですけれども、絵に描いた餅的なものをすごく感じてしまいました。ただ、今日、厚生労働省から来ていただきました方々は、説明というお立場での報告でしたので、どうしてそうなっているのか、と尋ねてもお答えのしようがないのではないか思いました。
 また、何度か議論にも出てきましたが、評価をどうするかが問題です。目標値をどこに置くかというのは非常に難しいと思います。ただ、問題が出たからといって、補正予算をどんどんつぎ込んでも、実際にどこに問題があるのかということを十分把握せずに、とにかく取り組む。このような形での制度の積み上げしか日本は行ってこなかったために、制度としても蓄積されていっていないのではないか。それが今、大きなつけとして出てきているんではないかと思います。
鹿嶋会長
大変いい意見をありがとうございました。
 どうぞ。
勝又委員
この表なのですけれども、先ほども基金のことで質問したんですけれども、例えば、34番の新規補正予算で、緊急人材育成は平成21年度予定7,000億というのは間違いですね。つまり、その年に3年間の基金を7,000億積み上げただけの話です。今、基金流行りで、基金をその年に積み上げたから、それは予算だというような形でしめされ、実際にその使途はとらえないという傾向にあるので、基金の場合には、3年間7,000億とか、しっかり書いてもらうようにしてください。
分析官
今の御意見、承知いたしました。
鹿嶋会長
それでは、時間もまいりましたので、もうよろしいでしょうか。審議ありがとうございました。今日いただいた意見につきましては、次の審議を予定している最終報告の素案に反映をさせていただきます。
 事務局の方から連絡があれば、よろしくお願いします。
分析官
今日は長時間にわたりまして御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
 次回の専門調査会は、7月13日15時~17時、金融庁13階共用会議室を予定しております。御多忙の中ではございますが、どうぞそちらの方もよろしくお願いいたします。その際には、本日の御意見を反映させていただいた形で、素案ということになろうかと思いますけれども、御提示させていただきまして、御意見をいただきたいと考えております。
 それから、もし本日の御議論に追加的な御意見等がございましたらば、1週間程度を目安といたしまして事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。
 それから、資料の取扱いでございますけれども、先ほどお願いしましたとおり、資料3-1、3-2につきましては、まだ各府省庁に確認が済んでいない暫定的なものでございますので、本日はここで回収をさせていただきたいと思います。また改めて御提示する予定ですので、机の上に置いていっていただけますと大変ありがたく存じます。
 それから、前々回、前回の専門調査会で委員の先生方より出された質問のうち、後日回答となっていた部分の回答を配付させていただいております。ただし、最終的な回答は集計にもう少し時間がかかるという箇所もございますので、非公開資料という扱いで、委員の皆様限りでお取扱いいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
鹿嶋会長
それでは、これで本日の「監視・影響調査専門調査会第37回会合及び第11回生活困難を抱える男女に関する検討会」を終わります。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)