監視・影響調査専門調査会(第35回)議事録

  • 日時: 平成21年5月25日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 監視・影響調査専門調査会:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 岡本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 潮谷委員
    • 神野委員
    • 住田委員
    • 袖井委員
    • 橘木委員
    • 畠中委員
    • 生活困難を抱える男女に関する検討会:
    • 阿部委員
    • 湯澤委員
    • ※生活困難を抱える男女に関する検討会と合同開催
  2. 議題
    • (1) 「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女」に関する施策の各府省庁等   ヒアリング(第1回)
      • 厚生労働省
  3. 議事録
鹿嶋会長
まだお2人お見えになっていないですけれども、神田先生は15分ぐらい遅れるそうです。3時になりましたので、ただいまから男女共同参画会議「監視・影響調査専門調査会」の第35回会合と第9回の「生活困難を抱える男女に関する検討会」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、ありがとうございました。
 この会合から7月にかけて、かなり頻度高く専門調査会・検討会が開かれますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の審議を進めます。
 あらかじめ事務局より連絡させていただきましたとおり、3月に取りまとめました論点整理に従って、「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女」について、本日と明日の2回にわたってヒアリングを実施いたします。
 まず、事務局の方から今日のヒアリングの内容について説明をしてもらいます。
高村分析官
それでは、御説明をさせていただきます。
 本日のヒアリングは、3月に公開いたしました論点整理の、5の(4)「今後検討すべき課題」としてまとめられた領域を中心に、各府省庁等よりヒアリングを実施したいと考えております。「論点整理」は、備えつけ資料ということで、先生方のお手元にお配りさせていただいております。今申しました「今後検討すべき課題」につきましては、16~20ぺージに記載がございます。また、事務局の方からその内容の抜き書きをしましたものを参考資料として御用意もさせていただいております。
 参考資料の方を御覧いただければと思うのですけれども、ここで挙げられている課題としましては、大項目としてア、イ、ウ、エの4項目でございます。この中の中項目といたしまして、①から順に付番されている項目がございまして、更に小項目といたしまして、破線の四角で囲ってある内側に挙げられているような項目がございます。
 この分野から、今回特に説明を受ける施策というのを資料1の方にまとめてございます。こちらを御覧いただきますと、1ぺージ目の施策が、厚生労働省の方から本日説明を受ける施策になってございます。主に先ほどの大項目ア、イ、ウ、エのウの領域に該当するところでございまして、「安心して親子が生活できる環境づくりに関わる課題」に該当する項目でございます。そのうち①の「困難を抱える親子を地域で支える仕組みづくり」、それから②の「生活困難の次世代への連鎖を断ち切るための取組」、ここを中心に主に福祉に関する施策の現状を御報告いただきます。
 また、2ぺージ目以降は明日のヒアリングの対象の領域ということになってございます。
 また、先ほどの論点整理の中で御覧いただきたい点が「5の(3)」というところでして、ぺージで言いますと15ぺージですけれども、こちらが今後の検討を頂く際の基本的視点でございます。生活困難への対応を検討するに当たりまして、男女共同参画の視点に着目すること。それから、女性のライフコースを通じたエンパワーメント、そのための総合的な施策に着目することなどがまとめられております。今回のヒアリングは、施策の御説明と、それから御議論に時間を取るということで、施策の方もかなり絞り込んでございますけれども、追加的なヒアリングの要否や今後の議論の進め方などにつきましては、本日の会議の最後で御意見を頂戴できたらと存じております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
今指摘がありましたように、今後の進め方については最後に議論をするようにいたします。
 それでは、本日は厚生労働省の担当者の皆さんにおいでいただいておりますので、説明をしていただいて質疑応答を行いたいと思います。質疑応答の時間がありますので、説明の時間は1人大体15分ぐらいになっていますけれども、その範囲内でどうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日、厚生労働省からは、雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室、それから、同じく雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課、更に社会・援護局保護課の方から説明に来ていただいております。今申し上げましたように、1人15分ずつ、それぞれの施策についての質疑応答という形で進めたいと思います。皆さんに3人一括で話してもらうよりは、15分説明していただいて、それから10分ぐらいの質疑応答という順番で進めていきます。
 まず初めに、雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室の堀内宏秋補佐から「母子家庭等就業・自立支援事業」並びに「母子家庭等日常生活支援事業」について説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
堀内補佐
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課の母子家庭等自立支援室の堀内と申します。よろしくお願いします。
 それでは、早速でございますが、資料に沿って御説明いたします。資料2-1という資料がございます。この表題にもございますとおり、私の方から、後でまた婦人の方も一部御紹介しますが、「母子家庭就業・自立支援事業」と「母子家庭等日常生活支援事業」についてまず御説明いたします。周辺の事業の背景も御説明してくださいということでしたので、ここには書いていない部分も御説明いたしますが、よろしくお願いします。
 まず、「母子家庭就業・自立支援事業」でございます。この事業は、平成15年に創設されてございます。その経緯を若干説明いたしますと、それまで児童扶養手当という母子家庭に対する手当がございますが、そういう児童扶養手当、いわゆる経済的な支援が中心だったのですけれども、これを就業・自立に向けた総合的な支援に転嫁しましょうということがございまして、平成14年に、母子及び寡婦福祉法と児童扶養手当法という、あと児童福祉法も若干ありますが、それを改正しまして、総合的な支援に転嫁したということでできた事業でございます。
 これは自立支援事業でございますけれども、総合的な支援と言っております。これは何かと申し上げますと、従来からやっていましたけれども、子育てと生活に関する支援、これは保育所の優先入所。母子家庭、ひとり親家庭の場合は保育所に優先的に入所するように法制化をしたという内容でございます。 あとは就業支援事業。就業支援事業は、ここに書いてございます自立支援事業の内容でございます。このほかに、就業支援事業として、能力開発のための給付金、看護師さんとか介護福祉士さんの資格を取る場合に養成学校に通いますけれども、 その間の生活費の給付をつくっております。あと、言い忘れましたけれども、子育て生活支援と就業支援と養育費の確保と経済的支援ということですので、4本柱ということで総合的支援と言っております。
 あと2つは、養育費の確保ということで、養育費がなかなかもらえないという状況ですけれども、養育費に関する相談センターを設立したり、あとは法務省さんの方で民事執行制度の改正による履行確保の促進という施策をやっております。あと、経済的支援は、ただいま申し上げました児童扶養手当の支給と、貸付金という制度がございます。この4本柱によって総合的に進めましょうというのが平成14年の法改正の趣旨でした。
 その中で、就業支援の1つといたしまして、母子家庭就業自立支援事業というものをつくりました。これは何かと申し上げますと、ここに要旨が書いてございますけれども、母子家庭のお母さんは、ハローワークとか、一般の施策に乗り切れないところがございまして、就業相談から就業講習会とか、情報提供まで一貫した就業支援サービスを提供しましょうという事業でございます。この図ですと、都道府県・指定都市・中核市と、右側に一般市・福祉事務所設置町村と分けてございますけれども、左の都道府県・指定都市・中核市までの事業が平成15年につくりまして、その後、着々と浸透してきまして、現在、都道府県・指定都市・中核市が103件ございますけれども、この自治体においてやっているということになってございます。このように中核市までできましたので、右側の一般市・福祉事務所設置町村の方が平成20年に創設したばかりの事業です。一般市とか福祉事務所設置町村、身近なところでもやってもらいましょうというところで、平成20年に創設しております。
 具体的に何をやっているかということでございますけれども、この矢印の下にございますけれども、既存の支援メニューとございます。全部で5つほどございまして、就業支援事業、これは就業に関する相談とか助言とか、あるいは企業の意識啓発、求人の開拓を、自立支援センターと言っていますけれども、センターの方でやっていただいています。あと右側にございます就業支援講習会等事業でございます。これは、就業準備に関するセミナーとか、資格を取得するための講習会などを開催しています。あと、左下にございます就業情報提供事業でございます。これは、既存のハローワークとかございますけれども、このセンターの方で職業紹介の許可を取って、ハローワークとか、あるいはほかの企業から求人情報を集めて、それを母子家庭のお母さんに提供するというような事業でございます。
 あと、地域生活支援事業でございますけれども、これは就業だけではなくて、そういう母子家庭のお母さん方の生活一般とか、養育費に関する相談を実施しています。
 あと、一番下の在宅就業推進事業でございます。これは、母子家庭のお母さんというのは、お子さんがいらっしゃるので、フルタイム外に行ってなかなか働きに出るというような仕事に就きづらい。お子さんをみながら在宅で、よくITとか、パソコンを使って仕事をもらってきて、それを加工してまた返すというような、そういうITを使った在宅就業のためのセミナーもやっております。
 それと、一般市・福祉事務所設置町村の方は、この左側の事業の中から、一般市ですと、対象人数も少なくなってきまして全てできないことがありますので、既存の左の自立支援センター事業の中からできるものをやっていただくということになっております。大体実施主体は自治体ですけれども、自治体が、一番多いのが母子関係の団体に委託して運営をしてもらっています。
 以上が母子家庭等就業・自立支援事業の概要でございます。
 2ぺージ目でございます。資料2-2でございますが、こちら母子家庭等日常生活支援事業というものでございます。お子さんが保育所に入っていれば、大体日中については子育てというものは余り必要ないと思います。あと、延長保育とかやっていればいいのですけれども、この母子家庭等日常生活支援事業につきましては、保育所に入れなくて、例えば養成学校とか技術習得のための通学の時間だけとか、あとは急な疾病とか、あるいは残業などの事由によって、一時的に自分の介護とか子どもの保育が必要になる時間がございますので、そういう隙間といいますか、そういう時間について、家庭生活支援員と言っていますけれども、いわゆるヘルパーさんを派遣して、その間の日常生活の支援をしましょうという事業でございます。この事業自体は昭和50年からやってございます。途中から、母子家庭だけではなくて、平成8年に父子家庭も対象にしております。
 これも市町村までの実施主体ということでございまして、どういう方が資格かと中段の点線の中に書いてございますけれども、種類として生活援助と子育て支援と分けてございます。生活援助の方は、家事とか介護等ということになっておりまして、ホームヘルパーの講習会修了者と一定の研修を修了した者ということになっております。 あと子育て支援、これは保育サービスで子どもの面倒をみるということで、その2種類でございます。子育て支援の方は一定の研修を修了した者ということで、あと実施場所でございます。実施場所は、利用者のお家のほか、ヘルパーさん、家庭生活支援員の自宅でもオーケーと。あるいは、養成学校、講習会の会場で場所が取れれば、そこでもみますよということでございます。
 以上でございます。短くて済みません。
鹿嶋会長
ありがとうございました。さっき母子家庭の自立支援事業が一般の施策に乗り切れないというふうに言っておられましたが、 この具体的なことはどういうことなのか。そして、平成14年から、いわゆる経済支援から就業自立支援に転換するわけですけれども、その波に必ずしも乗れない母子家庭というのがひょっとしたらあるのではないかというふうな感じもするのですが、逆にそれが劣化、切り下げにつながっていないのか。どうなんでしょうか。特に一般の施策に乗り切れないあたりでちょっと引っかかったのですが。
堀内補佐
論点整理の中でもございましたけれども、このとおりでございまして、母子家庭のお母さん方というのは、ハローワークに行って、お母さん方に合う職業というのはすぐ見つからないようですね。しかも、大体賃金が安いとか、あとは、お子さんがいるために残業とか出張ができないためかどうかわかりませんけれども、雇用主側の理解がなかなか得られなくて採用されないとか、あとは、就業に関してやはり母子家庭のお母さんというのはハンディがあるということなので、そういうハローワークとか、一般の施策の窓口に行っても、母子家庭中心にというか、母子家庭のお母さんに合った就業がなかなか見つからないと思います。そういうことで、なかなか一般施策に乗り切れないというようなことだと思います。
 あとは何でしたか。
鹿嶋会長
経済支援から自立支援へと。ところが、自立支援事業自体がなかなか従来型のようにいかないわけでしょう、一般の人とは。
堀内補佐
確かに、就業に関して言えば、まだまだ十分とは言えないかもしれませんが、母子家庭のお母さんに着目した施策、福祉分野だけじゃなくて、雇用分野につきましても大分整備が進んできていると思いますので、昔に比べたら相当改善はしてきているのではないかと、私どもはそう思っています。
畠中委員
ちょっと質問ですけど、ただいま御説明された事業は、法定受託事務か自治事務か。自治事務とすれば、国の関与は補助金の交付にとどまるのかどうか。それから、これらの事業について、国として効果を把握されているのかどうかをお伺いします。
堀内補佐
母子家庭就業・自立支援事業、ヘルパーもそうですけれども、これは自治事務のあれですが、ちょっと確認します。根拠は母子寡婦法の中にあります。これは自治事務です。
 あと、効果ですけれども、実施主体とか、ここには書いてございませんけれども、実施市町村は確実に伸びておりまして、かつ相談件数とか、講習会とか、情報提供の数におきましては年々伸びております。件数については年々伸びているということでございまして、あと効果とおっしゃいますと、お給料が伸びたとか。
畠中委員
要するに、意図した効果が獲得されているかどうかということです。それから、国としては補助金等を出しておられるのか、どうかということをお教えください。
堀内補佐
補助金は、まず母子家庭就業・自立支援事業の方は国が2分の1出しております。補助率2分の1で、あとは自治体の負担が2分の1ということになっております。
 あと、期待された効果でございますけれども、これはいろいろな要因がありますので、今の経済状況ですので、これによってどのぐらいの効果があったかというのは、その当時、今の状況を勘案すると、正直申し上げまして、なかなかはっきりしたものがないのですけれども、例えば5年に一回、母子世帯等実態調査をやっているのですけれども、それを見ますと、 直近ですと平成18年でやっているのですけれども、その前が15年ですが、そのときのデータとして、母子家庭の就業状況ということで調査しておりまして、ちょっと口頭で申し上げますと、平成15年のときの調査ですと、母子家庭の母の就業状況は83%は就業している。平成18年の調査ですと84.5%が働いているということで、1.5%ですが若干上昇はしている。
 もう少し細かく言いますと、臨時パートの割合ですが、平成15年の調査ですと49%、平成18年の調査ですと43.6%と臨時パートが減っているのですけれども、常用雇用が前回調査ですと39.2%、18年の調査ですと42.5%ということで、若干なり雇用状況は改善しているという数字、これが効果といえば効果かもしれません。
 あと、就業率のほかに、平均年間収入というのを取っているのですけれども、前回の調査ですと 212万円。最新の調査ですと 213万円ということで、これは平均で1万円ほど上がっている。微増ということで、一般世帯と比べないとわかりませんけれども、多少なりとも上がっているという状況がわかります。
 あと、先ほど申し上げました相談件数とか、平成15年から始めた事業でございますけれども、着実に相談件数等は上がっていますし、先ほど口頭で申し上げましたけれども、母子家庭の能力開発のための給付金というのがございまして、看護師さんとか、資格取得のための生活費の給付金がございますけれども、それも年々上がっておりまして、これは看護師さんの資格ですので、常用雇用と結びついているのではないかということでございます。
鹿嶋会長
ありがとうございます。もっと聞きたいのですが、質問時間は10分しかないので。もうお1人ぐらいどうですか。
住田委員
今、弁護士として生活保護世帯の母子家庭の事件に関与しておりまして、こういうふうな形で事業がいろいろあるとしても、実際のところにはなかなか届きにくい実態があると思います。私の今扱っている母子家庭も子どもが何人もいるのですけれども、それぞれ父親がバラバラで、しかも実の親も全く頼りにならないという、社会の中で非常に孤立している状態にあります。日々の生活に追われてしまって動きようがないのです。テレビを見たからと私にファックスでの相談があったのですが、そういうことしかできなかった人なんです。ですから、次に、福祉事務所に行きなさいとか、いろいろ事細かな説明をしているのですけれども、やはり具体的なアドバイスをする人がそういう人の身の回りにはいないということが現実なんです。ようやく生活保護に入ったのですけれども、ところが、東京近郊ですので給付金レベルが非常に低くて、今言った、まさに多人数家族なのに月22万円ぐらいしかもらえないようです。彼女はこれから働かなければいけないのですが、まず住むときに、そして、仕事のときにも誰も保証人がいないということで、たぶんこれは私が関わらざるを得ないというようなことになっています。そこを、個人がたまたま関わったからやるというのではなくて、やはり公的にそういうふうなある程度訓練を受けた人に対しては、住むところや仕事のときに一応安心できるような公的保証ができるものでないと、結局受け入れていただけない現実がある。そこが非常に厳しい、切ない話です。これはたまたま私のところに飛び込んできた話ですが、そういうところに至らないまでも、社会の中で本当に下の下で、何も声を挙げられない方がたくさんいらっしゃるということです。
 民生委員さん、ケースワーカーさんなど、一線の方の御苦労は私はよくわかるのですけれども、今、数が潜在的にものすごく多いんだろうということは想像しますし、そういう方にきめ細かな施策をどういうふうにとっていったらいいかということを更に工夫していかなくては、日本の社会の底辺層の方々はやはり大変だということを私は実感しております。
鹿嶋会長
湯澤委員にちょっと聞きたいんですけれども、今、母子家庭支援事業の説明を受けたのですが、それでも8割は就業していると。それでも、相対貧困率は4割ぐらいあるわけですよね。何が足りないのか。今の説明を聞いて、もし問題点があればちょっと指摘しておいてくれませんか。
湯澤委員
母子家庭就業自立支援センター事業が始まったことは1つの前進であったとは思いますが、幾つか訪問させていただいても、やはり非正規雇用の求人が多いということもあります。相談件数は確かに伸びていても、それが本当に安定雇用、あるいは所得の上昇というところにつながっているのかといったことについては、データとしては検証ができておらず、これから把握が必要ではないかと思っております。
 また、公務労働の場での雇用も進めるという事業も入れられましたが、やはりそれも2ヶ月とか3ヶ月という短期のものが多い現状です。それが足がかりで次のステップになればよいのですが、なかなかその後につながらないということも出ているということも伺っております。
 それから、在宅就業も1つの施策としては有効であるかとは思いますが、まずはパソコンを買うお金が捻出できませんので、実際に講習会で習得をしても、それが家で練習ができなければ忘れてしまう、覚え切れないというようなこともございます。在宅ということが必ずしも有効に機能するのかどうかといったときには、更なる検討も必要かと思います。ワーキングプアであり、働いていても所得が向上しないという日本独特の状況をどういうふうに改善していくのかといった点は、いろいろな策を更に講ずることが必要かと思っております。
阿部委員
1点だけ付け加えさせていただきたいのですが、児童扶養手当の5年の有期化は今どのような扱いになっているのかということをペーパーでいただければというふうに思います。
鹿嶋会長
今答えられるものはいいですよ。
堀内補佐
児童扶養手当につきましては、平成14年の法改正のときに、5年たったら半分支給しませんよという法改正をしたのですけれども、具体的にどういう方が半分になるかという要件は政令で決めることになっておりました。その政令を平成20年、去年の4月にその政令が決まりましたけれども、簡単に申し上げますと、 どういう方を一部支給停止にするかというと、働ける状態だけれども、求職活動も何もやっていない方のみ止める。それ以外の方は引き続き支給しますよということで、どういう方かと申し上げますと、働いている方は継続支給します。求職活動している方も継続支給します。あとは、病気とか、お子さんが小さい方、あるいは介護している方については、そのまま継続しますということでございまして、それ以外の方について支給停止ということになっておりますので、ほとんど全体に対する件数的には出てきていないですね。
阿部委員
件数的にはもう把握されているのですか。
堀内補佐
12月時点で。ちょっとお待ちください。済みません、数字を持ってきていませんけれども、後で。たしか率にして0.8%ぐらいだったと思います。数字については後ほどペーパーで。
鹿嶋会長
それは後でペーパーでください。どういう回答が出るかわかりませんけれども、ここの専門委員会は監視委員会ですから、今の国の行政に対していろいろな問題点を指定するわけですが、今の指摘に対して、担当者としてどういうふうにお考えになっているかというふうなことを事務局に寄せていただければありがたいです。
堀内補佐
わかりました。
鹿嶋会長
どうぞよろしくお願いします。
潮谷委員
1点だけ、ぜひ伺わせていただきたいのですけれども、先ほど費用負担について、国2分の1、自治体2分の1ということでありましたけれども、この事業に対して、システムとしては地方自治体から国に対して申請して、その申請に応じて国2分の1、自治体2分の1という、そういうような決め方なのか。あるいは逆に、国から総枠、それぞれの自治体の中では、上限ここまでですと。それに対して国2分の1、自治体2分の1ですよということなのか。そこはどんなふうに。
 というのは、実はこの事業を活発にやればやるほど、地方自治体の財源を非常に持ち出さなければならないということであれば、地方自治体はものすごく大変な状況の中で、この事業そのものの意図されるところが実態としては低下せざるを得ない。そういった状況等も考えられるわけですので、ただいまのことも後で文章で結構ですので、ぜひ教えていただきたいと思います。以上です。
鹿嶋会長
お答えできるものは今でも結構ですよ。
堀内補佐
これは補助金ですので、ほかの補助金も同じですけれども、基準額というのがございまして、この事業をやったら幾ら、この事業をやったら幾らという基準額の範囲内で出しています。これは負担義務ではないので、補助金ですので予算の範囲内でやっていますけれども、予算的には足りていますので、自治体からきたものを切っていくということはないです。基準額の中で補助しています。
神野委員
1ついいですか。ついでに資料ですが、この政策全体としての財源面をお願いできればと思うんです。というのは、潮谷委員が心配されているように、一方で児童扶養手当などについては補助率を削減しているわけですよね。自治体はそちらに回さなくてはいけないわけですよね。今のこの政策体系の中で。
堀内補佐
今御説明した補助金と児童扶養手当は。
神野委員
だから、今おっしゃった政策の中に、1つの柱として児童扶養手当がありますよと説明されていましたよね。その全体の財源でいかないと、先ほどから御指摘のとおり、母子家庭に対するさまざまな問題というのは、自立支援にいく前のさまざまな問題が今ほころびちゃっているわけですよね。だから、そちらの方にも回さなくてはいけないわけですよね。しかも、そこに加えて児童扶養手当などについては、自治体は持ち出しが増えるわけでしょう。補助率が3分の1になるので、減らされると。
堀内補佐
三位一体の段階で補助率は。
神野委員
だから、自治体の負担は増えるわけですよね。
堀内補佐
そうです。
神野委員
更に、2分の1補助率で、将来的補助金としては、2分の1というのは極めて高率ですよね。これは負担金じゃないでしょう。そこへ新たな事業としてやらせるということを消化できるだけの、ここで言えば、15年までは中核都市以上、それ以降については増えているわけですよね。いずれにしても、全体の財源の見取図を国・地方負担別にどうなったのかということを示していただければということです。政策全体としてね。
堀内補佐
わかりました。全体の児童扶養手当も含めた予算額と補助率でよろしいですね。
神野委員
そうですね。
鹿嶋会長
それでは、ありがとうございました。まだ質問はあると思うのですが、大変申しわけありません、時間がきましたので。堀内さん、どうもありがとうございました。
 引き続きまして、同じく厚生労働省雇用均等・児童家庭局の家庭福祉課母子家庭自立支援室の相澤孝予女性保護専門官から、「婦人保護退所者自立生活援助事業」並びに「職業紹介等を行なう企業等による婦人保護施設等の退所者(DV被害者等)に対する就業支援」について説明をお願いします。よろしくお願いします。
相澤専門官
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室) 相澤です。よろしくお願いいたします。
 それでは、婦人保護施設の関係での事業の説明をさせていただきますが、まず私の方から「婦人保護施設退所者自立生活援助事業」について説明をさせていただきます。その後に、先ほど説明しました堀内補佐の方から、もう1つの方の事業で「婦人保護施設等の退所者(DV被害者等)の自立支援」ということで、「安心子ども基金」の関係というとこで説明をさせていただきます。
 それでは、「婦人保護施設退所者自立生活援助事業」について御説明します。備え付け資料の方にも入れていただいておりますけれども、論点整理の中で婦人保護事業についてデータなども示していただいて御議論いただいたというふうに承知しております。婦人保護事業は、さまざまな生活上の課題を抱えた女性の方に対する支援を行なっている婦人相談所、あるいは婦人保護施設といった機関が支援を行なっております。論点整理の62ぺージの方にもデータを示していただいておりますけれども、図表70の方で婦人相談所の来所相談、平成19年は全部の合計で1万 7,971件、来所で相談にお見えになっています。婦人保護事業においては、来所以外にも、電話ですとか、あるいは婦人相談所以外に、市町村等に配置されております婦人相談員という方たちがさまざまな相談を受けております。
 そうした中で、婦人相談所の中では、どういった問題を抱えている女性の方が入所されているかということですけれども、資料の方にはございませんけれども口頭で若干補足させていただきますと、婦人相談所の来所相談の内容で、夫からの暴力を訴えて、主な相談内容としてみえた方が半分を超えて51.1%。そのほか離婚問題や家庭不和、あるいは居住の問題ですとか、 さまざまな問題を抱えていらっしゃる方がおみえになるということです。
 そうしたさまざまな問題に対して、特に一時保護というような形で緊急的に保護をしたり、あるいは婦人相談所の一時保護所ではなくて、婦人保護施設や、あるいはお子さんがいらっしゃる場合には母子生活支援施設などにも一時保護委託という形で緊急避難をすることが可能です。一時保護を必要とされる方の中では、いわゆるDV被害、夫等からの暴力の方が7割を超えております。そうした中で、婦人保護施設ですが、全国には50ヶ所ございます。実際に40都道府県に設置されておりまして、婦人保護施設がない自治体もございます。また、公営が23施設、民営が27施設というような状況になっております。婦人保護施設の入所者は、平成19年では1,314人の方が入所されているのですが、そのうち38.1%が夫からの暴力を理由とされています。また、次いで、居住なし、住居問題といったことで入所されている方が29.9%となっております。
 今御説明したように、婦人保護施設はさまざまな問題を抱えていらっしゃる方が入所されているということで、とりわけ夫等からの暴力だけでなく、経済的な問題ですとか、あるいは家族関係の問題、あるいは場合によっては能力的な問題、あるいは精神疾患を抱えていらっしゃる方などもいらっしゃいまして、そうした方々一人ひとりに合った、きめ細やかな支援を講じていく必要があります。特に施設に入所中は、例えば施設から就労に向けて必要な準備をしたり、あるいは施設から通勤して就労されている方に対して支援を行なったりして、徐々に地域で自立していくような支援を行なうことが可能ですが、退所して一旦社会で生活していくとなると、社会生活の上でも、あるいは就業している際の就業先での課題といったこと、さまざまな問題を抱えることになりますし、お子さんを同伴している場合には、またお子さんの問題についてもいろいろと対応していかなければならないということで、退所された方がさまざまな課題に対して対応していく必要があるので、やはり施設を退所した後の地域社会での安定した自立生活が検索できるような支援、アフターケアが重要というふうに考え、この事業が始まっております。
 この事業は平成3年に創設されておりまして、現在は児童虐待DV対策等総合支援事業統合補助金の中に組み込まれておりまして、都道府県の負担が2分の1、そして国の負担が2分の1というような補助金の事業になっております。
 この事業ですけれども、もう少し詳しく説明いたしますと、この事業を実施する施設は、この事業の申請に当たって、年度当初において対象者を10人は想定しているところが申請をするものです。これはどうしてかといいますと、この事業は、例えば自立しているアパートや御自宅の方に出向いて支援をしたり、あるいは就職先に行って面会をしたり、あるいは関係機関に手続きに行くときに同行支援をしたり、さまざまな形で就業中、あるいは就業後、帰ってきて自宅において支援したりというような形でアフターケアをしますので、かなり出向いて行って支援をするということが特徴なのですが、これを行っていただく生活援助指導員というものを配置することができるということで、人的配置するということで、お1人の方を1年間ずっと支援していくということではなく、一定の支援数を確保した上でこの事業を申請していただくというようなものです。
 対象者は、婦人保護施設を退所して自立した生活を送る上で種々の問題を有していて、御本人が希望し、かつ婦人相談所が必要と認めた方です。配置されました生活援助指導員が実際に生活場面や、あるいは職場、あるいは関係機関、家族調整等々の支援を行なっていきます。実際にこの支援を行なう際には、支援計画を立てて、その支援の計画に基づいて支援をし、その支援結果報告を上げていくというような形で行なっていくことになっています。個別の支援計画書を作成するということが特徴です。
 また、場合によっては対象者が暴力被害者である場合もあるので、そうしたことへの配慮もかなり必要になってくることになります。実際に、一番下の方にありますけれども、例えばその方によっては週に1回様子を見に行ってお話を伺うというような形で支援をしていく方もありますし、毎日のように訪問や、あるいは連絡をとって確認をしていったり、あるいは金銭管理などについては、期間を決めて支援させていただくというようなこともありますので、かなり個別に支援内容は変わってくるものです。平成20年度実施施設10ヶ所ということで、50施設中10ヶ所ということで、DV補助金の中でもなかなか全ての婦人保護施設で実施していただいている事業とはなり得ていないところがありまして、特に婦人保護施設そのものの入所定員が非常に少ない施設もございますので、いわゆる自治体間によっての違いがあるということです。多いところでは年間何百件もの自立支援に向けての支援をされている都道府県もございますし、最低限の10人ということで申請をいただいているようなところもあります。
 実は、平成20年に見直しをいたしまして、それまでは申請がありました自治体全て一律に10人以上の対象者がいらっしゃれば、一律に補助をしていたのですけれども、今お話ししましたように、自治体によって支援していく方の人数がずいぶん違いがありますので、10人を超えた後は、支援した人数に応じて補助をしていくようなやり方に要綱を変えております。
 いずれにしましても、婦人保護施設を退所された方へのきめ細やかな支援が必要という認識でこの事業を進めておりますけれども、一方で婦人保護施設の抱えるさまざまな課題の中で、退所だけに焦点を当てていくというだけではなくて、入口から出口、そして出口の後、さまざまな形で関係機関、特に一般施策との連携なども含めてやっていくという点では、退所者自立生活援助事業の効果的な実施については更に検討していくことが必要と考えております。
 以上、退所者自立生活援助事業について御説明をさせていただきました。
堀内補佐
引き続き、補正予算の関係として、婦人保護施設等の退所者等の自立支援ということで、これは今、国会で御審議しています補正予算の1項目ですけれども、まだ成立しておりませんので、案という形でお聞き願えればと思います。
 これは、表題の下に括弧で「『安心子ども基金』の対象事業追加」とございます。実は、「安心子ども基金」というのは、前年の20年度にできておりまして、それは保育所の待機児童のための基金だったんですけれども、その基金に婦人保護施設の退所者、ほかにいろいろとありますが、補正事業を追加したという内容でございます。
 背景でございますけれども、表題の四角の括弧内にございます、これは現在の経済状況のための補正予算ということですので、この補正予算の趣旨に沿った現在の厳しい雇用情勢の中、安定した就業が困難なDV被害者等の退所者にとって就職が一層厳しいという状況ですので、このために、ピンクの※2つは、それプラス婦人保護施設の在所者の状況でございます。大体5割が入所前は専業主婦または無職ということと、あと、婦人保護施設を退所した後、アパート等、なかなか経済的基盤の安定がないので、就職先の確保もないということで、そういう就職先の確保が重要であるということの背景で、真ん中辺にございますけれども、そういうような退所者に対して適切な就業環境を与えるとともに、適切な支援を行なって、社会的自立を目指すために、具体的には職場の開拓とか、面接等のアドバイス、就業紹介等を行なっている企業等とございますけれども、この下の方に、就業・職業紹介等を行なう企業とか、あるいは都道府県の福祉人材センターとか、あとはNPO法人とか、あるいはまた、ハローワークのOBさんとか、そういうノウハウを持っている方に都道府県が委託してDV被害者、婦人保護退所者の職場の開拓とか、職場訪問、 あるいは相談とか面接時のアドバイスをやっていただこうということでございます。
 これは、47都道府県に1ヶ所。これはまだ要綱等ができておりませんけれども、婦人保護施設の近く、あるいは県庁内に設置していただいて、そういう事業をやっていただきましょうという事業でございます。「安心子ども基金」、これは全体で約1,500億円ほどございますけれども、この中の1つということでございまして、今年度中に成立すれば、都道府県に基金をつくっていただいて、これにつきましては、平成21、22、23と、補正予算ですので、この23年度までの事業としてやっていただこうというものでございます。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。質問、意見ありますか。
阿部委員
「安心子ども基金」というのは、私はそれなりに評価できるものだと思いますけれども、今御説明のあった自立支援事業というところでは、それまでも、今既にハローワークがあり、マザーズハローワークがあり、母子家庭等自立支援センター事業があり、それから、また同じような形のDV被害者等のための自立支援というようなことをやっているわけで、これらについて、どれもまだ余りポジティブな評価というのがなされていない現状なんです。また職業紹介等をする事業を行なうというのが、今、本当にそれが効果的なのかということを考えるべきだと思うんです。
 特に今、この未曽有の経済危機という中で、緊急的に補正予算を使ってやるというのであれば、本当に今、緊急的なニーズに対応するものが必要であって、それは例えば住居の問題であったり、本当に今の経済資金の問題であったり、子どもの教育資金の問題であったり、今すぐ必要なものというのがかなりあるのではないかと思うんです。それについてどのような対策がこの「安心子ども基金」の中で対応されているのか教えていただければと思います。
堀内補佐
「安心子ども基金」は、保育とか、社会的養護とか、ほかに子育て支援ということでいろいろな事業がございますので、全体的な基金のお話は私だけではなかなかできないのですけれども、確かに自立支援センターとか、マザーズハローワークとかございます。それぞれ趣旨は若干違うのですけれども、いろいろな事業があるというのは確かですけれども、この状況なので、そういういろいろなメニューをそろえたと。既存の事業ももちろんですけれども、こういう状況なので、補正予算として、今回のDV退所者についてはプラスしてつくったという趣旨でございます。
鹿嶋会長
全体像を一言で語れないんですよね。
堀内補佐
先ほど申し上げましたが、全体ですと、保育サービスとか、あと社会的養護もございます。あと、母子家庭もございますし、一般の地域子育てに関する支援もございまして、全部ひっくるめて1,500億円の「安心子ども基金」の拡充ということになっております。
住田委員
2つほどお尋ねしたいと思います。まず1つ目は、委員で横浜の女性センターにいらっしゃる桜井さんと、今回廃止が決まった雇用促進事業団との関係で、女性が自立するための教育訓練プログラムをつくるということが始まったということを聞いているのですけれども、それが今どうなったかということです。そのコンセプトといいますのは、今パソコンなどの知的な作業をできる方はまだしも、DV被害者などのメンタル面の傷を負った、対人関係能力が非常に低くなった方が、ひとり立ちがまずできて、そして人前に出ていくということも訓練するというものです。 これが今回のもので更に広がった形でいけばいいんだけれども、雇用促進事業団がつぶれることになって、余り芳しくない動きであれば残念だなということで今日お尋ねしたわけです。
 それからもう1つは、今回も訪問指導等による日常生活に対する援助の指導員の制度です。これはとても大事な役割があると思うのですが、これとか、先ほどの民生員やケースワーカーさん、それからDVの関係で対応する方々それぞれの問題は、低賃金で待遇が非常に悪いということ、それとともに、バーンアウトする危険性を常に秘めているということです。そこら辺も目配りをされた事業になっているかどうかということが気になっております。
 以上です。
袖井委員
関連して。私も生活指導員というのが大変関心というか、問題があると思うのですが、どういう方がなるのか。あるいは、このための訓練ですが、自治体とか、いろいろなセンターなどでやっているのは、ほとんどがパートの方がこういう仕事をしていらっしゃるので、こういう方自身の研修・教育訓練、身分というのはどうなっているのかちょっと教えていただきたいと思います。
鹿嶋会長
すぐ答えられますか。
相澤専門官
答えられる範囲でお答えしたいと思います。最初の御質問の横浜の女性センターの雇用促進の方は、担当部署が違っていて、雇用促進の方なので、私ども婦人保護事業の担当からはちょっと把握ができていないので。
住田委員
でも、バラバラというのは変ですよね。
相澤専門官
申しわけございません。ただ、そうした訪問して支援する、あるいは婦人相談所の職員もそうですけれども、身分保証の問題を御指摘いただいたのかと思いますが、あるいはバーンアウトの問題やリスクということに関しては、そういった職員の専門性の確保のための予算ですとか、そういったものは補助してはいるのですけれども、全体が地方自治ということで、自治体でどういうふうにやっていくかというようなところにもよるので、課題は御指摘のとおりあることも承知しております。
 また、退所後の生活を訪問支援する者のことですけれども、これも自治体の方でどういった方を任命するかというようなことを決めておりますので、婦人保護施設に常勤でそういった方を置いているというよりは、訪問支援していくことは不定期なものですから、非常勤の形で置かれているところが多いというふうに承知しています。なかなかいつ、どういう形で、計画は立てるのですけれども、定量的に支援がいつもあるというような状況でもないということでの、そういった効率の問題も自治体としては出てくると思いますし、また、専門性に関しても、国としては専門性確保のための予算事業をしているのですが、実際にどういった形で専門性の確保ができるかということは今後また取り組んでいきたいというふうには思っています。お答えになっているかどうかわかりませんが。
鹿嶋会長
たぶんたくさん質問があると思うのですが、申しわけありません、このぐらいにしないとどんどん時間がなくなっていきますので。私は、後で結構ですけれども、通常就業支援が困難な人たちがかなりいるわけですよね。この人たちはどうしているのかということをぜひ聞きたい。それから、入所期間というのは2週間でしたか、10日でしたか。
相澤専門官
一時保護所は原則2週間というふうにされているところがありますけれども、ケースによって柔軟に対応しております。婦人保護施設はもっと長いです。
鹿嶋会長
では、就業困難な人たちだけで結構ですが、それはどういうふうに対応するのかということだけ、後で結構ですので、お答えください。
相澤専門官
わかりました。
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。
 それでは、次に厚生労働省の施策について、社会・援護局保護課、高松利光補佐から「子どもの健全育成プログラム」、それから「子どもの学習支援のための給付の創設(生活保護世帯対象)」についての説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
高松補佐
(厚生労働省社会・援護局保護課) 厚生労働省社会・援護局保護課の課長補佐をしております高松と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料2-5に沿って説明させていただきます。「生活保護制度における子どもの健全育成のための支援」ということで、今回の21年度補正予算におきまして、生活保護受給者世帯の子どものための予算というのを積んでございますので、こちらの内容について説明させていただきます。
 まず1ぺージ目ですが、趣旨・目的ということで説明させていただきます。生活保護制度におきまして、これまでも教育支援について重視しておりまして、例えば平成16年の社会保障審議会生活保護制度の在り方に関する専門委員会というところからの提言が下の点線でございます。こちらの中でも、貧困の再生産の防止の観点ということで、高等学校への就学について対応すべきではないかというような提言をいただきまして、これを踏まえまして、平成17年度に高等学校等就学費ということで、高等学校の授業料ですとか、関係する経費について、生活保護でみるということを始めております。
 これまでもこのように進学に関する充実を図ってきたところでございますが、2つ目の丸ですけれども、最近、子どもの貧困ということで社会問題化しつつございますし、また、生活保護制度に関する国と地方の協議の場というのがございますが、こちらが平成21年3月に協議の取りまとめということで取りまとめております。こちらの内容が下の点線にございます。この中でも、若齢世代の自立支援を充実させるため、教育部門との連携ですとか、支援体制の強化、教育扶助・生業扶助の拡充等による総合的な取組について検討する必要があるというふうに提言されてございます。
 これらを踏まえて、今般、更に内閣総理大臣から新しい経済対策ということで子育て支援ですとか、子ども・若者支援について、高齢者に比べると比較的手薄であるという指摘がございましたので、内部で検討しましたところ、経済危機対策において、生活保護制度における子どもの健全育成支援ということで盛り込ませていただいたというのが経緯でございます。
 具体的な内容ですけれども、2ぺージ目を御覧ください。具体的な内容は、柱が2つございます。まず1つ目、子どもの健全育成プログラム、こちらは仮称でございますが、これの策定・実施ということで、約21億円の予算を計上してございます。これは7月実施ということです。これの内容ですけれども、生活保護を実施している福祉事務所というのが各自治体で設置しておるのですけれども、そちらに子どもの育成支援のための専門相談員を配置させていただきます。その上で、こちらにございます子どもやその親が日常的な生活習慣を身につけるための支援ですとか、進学に関する支援ですとか、引きこもりや不登校の子どもに関する支援などを、福祉事務所と、あと福祉事務所だけではできませんので、地域にありますさまざまな社会資源を活用した自立支援に取り組むプログラムを策定するという内容になっております。こちらで具体的にどういう方を専門相談員にするかということで、1つ例としてこちらにありますが、子どもの教育ですとか、児童福祉に関する専門知識を有する方ということで、例えば先生の経験をされた方ですとか、保育士の方ですとか、そのようなところが想定されます。
 次が2つ目ですが、子どもの学習支援のための給付の創設ということで、こちらは生活保護費自体の話になります。こちらで予算額42億円計上してございます。こちらでは、子どもの家庭内学習ですとか、クラブ活動参加のための給付ということで、新たに教育扶助で、高校生の場合には生業扶助として、こちらの基準額の金額、これは月額でございますが、こちらを新たに支給するということです。基準額を具体的に言いますと、小学生で 2,560円、中学生で 4,330円、高校生等で5,010円ということになってございます。何分、現在、国会で予算審議中でございまして、具体的な詳細についてはまだ検討している部分もございますので、答えられる範囲で質疑をさせていただきたいと思います。
 こちらからの説明は以上でございます。
鹿嶋会長
質問をどうぞ。
坂橘木委員
2つほど質問がございまして、先ほどの発表の方とも関係あるのですが、これは補正予算ですよね。これは恒久的な政策と考えていいんですか、それとも1年こっきりで終わりなんでしょうか。その点をお聞きしたいのが第1点。
 それと第2点は、個々のそういう細かい政策を考えるも大事だけど、いわゆる児童手当というもので総枠で子どもに使う費用を家庭に任せて、こういうようないろいろな細かい支援をやるよりも、総額ドーンと与えて、子ども支援を国全体でやるという政策もあり得ると思うのですが、 それとの整合性というのは厚労省はどういうふうに考えておられるか。この2点をお聞きしたいのですが。
住田委員
私の方は小さな質問ですけれども、私の今担当している依頼者の関係で生活保護世帯があるのですが、高校生のお子さんが都立高校に通っていらっしゃるんです。それで、さる事情から近郊の県に移ったわけですけれども、そうすると、そこの県では都立高校の学費は生活保護世帯には出せないと。ちゃんと転校して県立高校に行かないとだめだと。ですから、今、橘木先生がおっしゃったように、細かくがんじがらめの制度にしてしまうと、要するに必要最小限のものしか出さないという、そういう言い方になってしまうわけですね。もっと柔軟にできるようにしていただかないと、今までのお子さんのこれまでの教育を受けてきた経過が生かされないということにもなってしまいます。よく考えて頂きたいと思います。
鹿嶋会長
答えられる範囲で。
高松補佐
お答えします。まず1つ目の恒久的なものかということでございますけれども、今、21年度補正予算の方を審議中でございまして、こちらがどうなるかというところもありますけれども、それを執行してみて、それでどうかというところを判断して、今後、恒久的なものにしていくかということになりますので、現時点では正直お答えできないのですが、厚生労働省としましては、来年度予算でも要求していこうというふうに中で検討はしております。それがまず1つ目です。
 2つ目の児童手当ですとか、家庭の方にお金を渡して、その中身を任せた方がいいのではないかという考え方ですが、児童手当の関係になりますと、私、生活保護の担当でございますので、申しわけないのですが全体の話はできないのですが、生活保護の中だけで申しますと、実際にそのお金がお子さんの教育のために使われるというところが大事になりますので、そういう意味では、総額を渡して御自由に使っていただくというよりも、実際に本当に教育のために必要なものに使っていただきたいので、どちらかというと、流れとしては、それぞれのニーズに合った給付をつくるという方向で、そういうスタンスでやっております。それが2つ目です。
 あと、都立高校の件ですけれども、実際、生活保護制度の場合は必要最低限度の生活ということですので、それを上回る額は出せないのですが、御指摘の都立高校から近くに移った場合の。
住田委員
移れと言われたんです。でも、そんなことをしたらこれまでの経験や関係上もったいない、今のクラブ活動や先生との関係があるんです。ですから、移らないと交通費やいろいろかかるんですね。それは出せないと言われたんです。
高松補佐
現状で言いますと、授業料の部分については、その地域の公立高校の授業料ということでやっておりますのでそういうことになってしまうのですが、そこのところは御指摘は御意見として承らせていただきたいと思います。以上です。
阿部委員
非常にポジティブな方向の施策だと思っております。補正予算という問題はありますけれども。私もまだ混乱しているところがあるので何点かお聞きしたいのですが、まず2つ目の学習支援のための給付の創設というのは、今ある教育扶助の追加ということで、全く別に給付されるということですよね。
高松補佐
はい。
阿部委員
それであれば、すみ分けがどういうふうになされているのかとか、教育扶助の方はもう既に生活保護の中で含まれているものなので、これを恒久化したときにその増減はどうなるのかということがまず1つです。
 それから、生活保護にかかっている子どもの数というのは、子どもの全体からすれば1%に満たすか満たさないかぐらいで、子どもの貧困率が14%と言われる中ではほんの一部ですよね。また、生活保護にかかっている子どもたちというのは、就学援助費も一応対象にはなっていますよね。
高松補佐
はい。
阿部委員
そうしますと、これは本当に保護課さんではお答えが難しい形ですけれども、生活保護にはかかっていないけれども、生活保護の基準以下の就学援助を受けているような子どもたちというのがたしか13%ぐらいいますので、生活保護基準の 1.1倍ぐらいのところの子どもたちですよね。そのための均衡という問題もやはり出てくる可能性もあると思うんです。そうしたときに、そういう子どもたちには何も給付がなくて、生活保護にかかっている子どもたちは、就学援助費ももらえて、これももらえるというようなものがあったときに、やはり先ほど橘木先生のお話ともつながるのですけれども、横並びといいますか、均衡問題ですとか、生活保護にかかった方が得だよねとか、そういう議論がどうも出てきてしまうような気がするんです。こういうのをやはり厚労省全体として今後どのように考えていくのか。これは簡単には答えられませんけれども、もしお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
高松補佐
まず現行の教育扶助とのすみ分けというところもう一度説明させていただきますけれども、現行は教育扶助というのは義務教育にかかる費用ということで、小学生、中学生に出されておりまして、ここはまず小学生について、今、基準額は月額で 2,150円、中学校で 4,180円ということで、こちらも授業に直接かかる教材費とか給食費などが出ているのですが、それとは別に、家庭内での学習の例えば参考書ですとか、あとクラブ活動の経費とか、そういうものを別途教育扶助に上乗せして出すということでございます。ですから、教育扶助とは別というか、教育扶助の中に入っています。そういうのが内容でして、高校生の場合は、教育扶助ではなくて生業扶助という方で高等学校等就学費というものを、こちらは基本月額が 5,300円ございます。これとは別に、また授業料とか教材費などは出ているのですが、そこにまた更に家庭内学習の経費として5,010円ということで、それを上乗せするという整理になってございます。
 2つ目の御指摘ですけれども、就学援助とのすみ分けということですので、まず今、生保をもらった方が得ではないかというような御指摘で。
阿部委員
そういう指摘というか、 そういうことも起こる可能性があるということです。
鹿嶋会長
マージナル領域の人たちでしょう。
高松補佐
そうですね。
鹿嶋会長
むしろ生保の方が得だという話とつながっているんです。
高松補佐
たぶん話が2つあると思うのですけれども、まず基準額以下で、本当は生活保護を必要としているような世帯の方々が、実際の子どもの貧困と言われるのが13%だと。そのうちの実際は1%ぐらいしか受けていらっしゃらないというところですので、まずそこは本当に生活保護を必要とされる方には生活保護を受けていただくというか、そこは申請していただいて受けていただく。まず、必要な方に生活保護を受給していただくというのが大事だろうと思います。その上で、就学援助の金額と今回の教育扶助の金額はどちらが高いかというのは。
厚生労働省社会・援護局保護課
うちの方だけ上乗せをやっていくと、文科省さんの今やられている施策は私どもの方でちょっと把握していないんですけれども、もし文科省がこの施策をやらないのであれば、生活保護の方だけ教育扶助額が若干高い形になると。
高松補佐
実際、現状はそういうふうになっておりますので、そこは、就学援助の方は文部科学省でやっておりますので、そこはまた文部科学省とうちとも連携して、今後、教育支援を進めていこうとしていますので、その中で1つ検討課題としていただければと思います。
鹿嶋会長
今の阿部委員の指摘は大変大事な指摘でしたね。
湯澤委員
自立支援プログラムが導入さるようになってから、幾つかの自治体で子どもの視点からのプログラムも出てきています。そういう自治体の例を見てみますと、例えば高校で言えば、高校の進学率とか、中退者の数とか、データで把握をしながら、実際に貧困の再生産を防止するという観点から検証されています。とりわけ高校で見た場合には、全日制の高校への進学率は同世代の子どもたちよりも極めて低いとか、中退率が高いとか、そういうことが自治体レベルではデータが出てきていると思います。ぜひこのあたりを国として把握をしていただきたい。そうすると、本当にこのプログラムの意味が出てくると思います。なかなか全国の状況がわからないので、そのあたりをやっていただけるかどうかということころです。
高松補佐
確かに、おっしゃるとおり、現状を把握した上でないと対策を打てませんので、全体の高校進学率ですとか、あと、どこに問題があって高校に進むことができないか。実際、お金だけの問題ではなくて、低学歴の家庭の方が進学率が低いとか、そういうこともございますので、そこの原因をしっかり分析しなければいけないと思います。そこは御指摘のとおりだと思っておりますので、また検討したいと思います。
鹿嶋会長
検討してくれるのね。
高松補佐
はい。
鹿嶋会長
わかりました。どうもありがとうございました。
 続きまして、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の短時間・在宅労働課の廣瀬千奈美補佐から、「パート労働者の均衡待遇」について説明をお願いします。どうぞよろしくお願いします。
廣瀬補佐
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課) ただいま御紹介賜りました厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課の廣瀬と申します。私の方からは、パート対策について御説明申し上げたいと思います。
 まず、パート労働の現状でございますけれども、平成20年度は総務省の労働力調査によりますと、約 1,407万人というのがパート労働者の数となっております。こちらは雇用者総数の約4分の1を占める数となっておりまして、そのうちパート労働者の7割が女性という状況でございます。また、男性のパート労働者も増加しているというような状況の中、平成20年4月に、資料でお付けいたしております改正パートタイム労働法が施行されたところでございます。このパートタイム労働法につきましては、少子高齢化、労働力人口の減少社会において、パート労働者が能力を十分に発揮することができる雇用環境を整備するために、パート労働者の納得性の向上、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保、通常の労働者への転換の推進等を図ることを目標としたものでございます。
 主な内容としましては、まず1つ目として労働条件の文書による交付と、労働者からの求めがあった場合の説明義務を定めております。
 2つ目としまして、均衡のとれた待遇の確保の促進ということで、まず(1)としまして、全てのパート労働者を対象に、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保を義務化しております。また(2)としまして、特に通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対しましては、差別的取り扱いの禁止をしております。
 3つ目としましては、パート労働者の通常の労働者への転換の推進ということで、例えば社内公募して正規労働者を募集するときとか、社会から新たに雇い入れるときには、当該事業所に雇用しているパート労働者に対して、こういう募集しているよと周知するといったような措置をとるよう義務化をしております。
 そして、4つ目としましては、苦情処理・紛争解決援助ということで、基本的には、何か苦情が出た場合には、労使間で自主的に解決するよう、これを努力義務化しておりますし、また、行政型のADRの整備ということで、労使双方どちらからでも結構ですけれども、求めがあった場合は地方労働局長による紛争解決の援助であるとか、調停会議による調停といったスキームを設けたところでございます。
 パート法の施行につきましては、地方都道府県労働局の雇用均等室で担当しており、相談とか、説明会、事業所訪問といったことをして周知を図っているところです。また、パート法は雇用管理の改善を図る法律でございますので、やはり事業主の自主的な取組ということが非常に重要なキーポイントとなっているところでございます。
 そのため、2枚目にお付けしておりますが、「均衡待遇・正社員化推進プランナー」というものを平成21年2月から、地方都道府県労働局雇用均等室に配置をいたしました。主に社会保険労務士といった企業の人事制度に精通した専門家の方になっていただいておりますけれども、こういう方々が企業を訪問して、改正パートタイム労働法に沿った均衡待遇の確保や、正社員転換の推進といったことについて、事業主さんにそれぞれの実態に合ったアドバイスを行なっているところでございます。
 また、こうした中で集めた好事例などについては、適宜その他の企業に提供する等によって、どういうふうに均衡待遇というものを確保していったらいいのかというノウハウを提供することで、運営面からのサポートを行なっているところです。
 これに加えまして、3枚目の資料でございますけれども、こちらは経済的な面からのサポートということで、「短時間労働者均衡待遇推進等助成金」というものを設けてございます。こちらは2つの種類がございまして、1つ目が事業主向けのものでございます。 幾つかのメニューがありますが、この中で正社員と共通の処遇制度の導入をした場合、2回に分けて助成金を支給することにしておりますが、25万×2回で50万円。中小企業事業主につきましては、2回目+10万円の増額ということをいたしております。あと、短時間正社員制度の導入といったものが4番目のところにございます。先ほど申し上げました正社員転換といいましても、パートの方というのは短くしか働けないからパートになっていらっしゃる。それをフルタイムになれるのだったら正社員にどうぞと言われても、なかなか働く側のニーズに合わないといったところもございます。厚生労働省といたしましては、短時間でありながら正社員としての処遇が図られる短時間正社員制度の促進というものも行なっているところでございまして、こういった助成金を活用していただいて、事業主の方に積極的な均衡待遇の促進ということに取り組んでいただいております。
 また、特に中小企業の事業主さんについては、なかなか自分の企業1社で取り組むのは難しいといったような事情もございます。そういう場合は、事業主団体向けの助成金というものを用意しておりまして、中小企業事業主団体が構成事業主に対して、中小企業診断士等による個別指導のもと、均衡待遇に係る制度を導入した場合には、2年にわたって実施ということですけれども、各年度、目標達成度合いに応じて 1,000万円を上限に助成するというものも設けているところでございます。
 これらのソフト面からの支援、そして経済的な支援というものを通じて、事業主の方により積極的に雇用環境の管理の改善に取り組んでいただくことで、パート労働者の雇用管理の改善を図っていきたいと考えているところでございます。
 以上、簡単な御説明でした。
鹿嶋会長
ありがとうございました。御意見ありますか。
岡本委員
今、雇用労働者におけるセーフティネットの問題がいろいろと言われて注目を浴びているわけですけれども、パートの方たちのセーフティネットについて、どういう議論が今行なわれているか伺いたいのですが、特に掛け持ちパートの方たちが、短時間といっても働いている時間は通常の労働者と同じ方たちが、実際には社会保険を受けられないという問題があるわけですね。実は私、パート労働法の審議会のメンバーだったものですから、そのときもそのことについては相当議論があったわけですけれども、まさに今こういう状況の中で、改めてそのことについてはきちん方向性というか、そういったものを持っていかなければいけないだろうというふうに思っています。ですから、担当部局としてそういったことの議論をされているのかどうかを1つ伺いたいと思います。社会保険の問題ですから、実は担当は違う課だということはよくわかってはいますけれども、いわゆる短時間労働者の政策を検討しているところとして、そういう問題意識をどういうふうに持っていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
廣瀬補佐
御指摘がありましたように、社会保険ということで直接の担当ではないのですけれども、やはりおっしゃるように、セーフティネットというものをいかにきちんと整備していくかというのは大事な問題であると考えております。パート労働者に対する社会保険の適用ということでありましたら、現在、年金一元化法の中の1つのメニューとして今国会に提出されているところでございます。いずれにいたしましても、そういう中で、今までですと4分の3要件というところが、20時間以上等ということで適用拡大の方向に向かっていると承知しています。このような動きの中、パート労働の担当部局といたしましても、パート労働者がよりきちんと処遇されていくことは重要だと思っておりますので、適宜、関係部局の方にもそういった取組を積極的に行なっていただけるように連携をとってまいりたいと考えております。
坂橘木委員
今の御質問ともろに関係するのですが、一番最後のぺージで短時間労働者正社員制度の導入というのが4番目にございますね。これは、具体的に例えばボーナスを支払うことを決めるのか、あるいは社会保険に入る資格を与えるのかとか、この短時間正社員制度の導入は具体的にどんなイメージを考えたらいいか教えていただきたいのですが。
廣瀬補佐
短時間正社員制度につきましては、法律上の定義というものは今置かれていないところですけれども、私どもといたしましては、まず、この名前のとおり、所定労働時間が短い正社員というもので、無期契約、雇用期間の定めがなく、かつ、たぶん時間当たりになると思うのですけれども、月給を時間当たりに直したときの給与あるいは賞与とか退職金といった支給基準がフルタイムの正社員と同等であるといったものを考えております。
 そして、短時間正社員制度と申しました場合は、これは企業の中で人事制度として確立しているということを考えておりますので、就業規則であるとか、あるいは何か労働契約に書いてあるとかというような形で客観的にわかるようなものを念頭に置いております。
坂橘木委員
どのぐらいの導入比率なんですか。まだ始まったばかりという感じですか。
廣瀬補佐
そうですね。短時間正社員制度といったときに、実は今申し上げました定義の短時間正社員制度が、まだ事業主さん一般になかなか周知しきれていないところで、どのぐらいの数なのかというのがわからないところではあるのですが、まだそんなに多くはないのかなというふうに思っております。
鹿嶋会長
育休明けの短時間勤務は、言ってみれば短時間正社員ですよね。ただ、あれは限定付きだから、それがずっと恒久的にあるわけじゃないから。これが恒久的にあるとなると、これはまだいろいろな議論が必要だと思うんですよね。私が聞いていると、やはり同一価値労働・同一賃金の原則がないと、パートが 1,400万人に増えてきましたので。それで、女性が7割。これは、 1,200万時代もずっと7割だったんですよね。今はもう 1,000万に近づいているわけでしょう。やはり同一労働・同一賃金の原則というのを出さないと、身分制度みたいになってしまいますよね。非正規雇用になるというのが。正社員との格差が多過ぎます。そこに大きな問題が出ているのかなという感じがしています。
 もう1つは、今回は説明を受けていないですけれども、ぜひここにお呼びしたいと思うのは、こういう直接雇用じゃなくて、むしろ派遣とか、特に請負の実態がわからないんですよね。そちらにかなりの人がいっているはずなんですよ。 製造業請負だけで100万人いると言われていますから。だから、そちらの方は6月にはヒアリングとしてぜひやりたいと思っているんです。
 どうなんでしょうか、今、話をずっと聞いていたのですが、連合さんは均等で要求していますけれども、「均衡処遇」という言葉が本当に実効性あるものなのかどうかということと、もう1つは、パートと正社員の行ったり来たりができるというのであれば、やはり一元化した人事管理が必要ですね。流通業は今、一元化した人事管理に入っているのですけれども、一般的にはそこが二元化してしまっているから、どうしてもパートから正社員へ、正社員からパートへといった流れがスムーズにいかないような気がしているのですが、どうですか。答えられる範囲で結構です。
廣瀬補佐
まず、最初に同一価値労働・同一賃金というようなお話があったところですけれども、基本的に、同一価値というわけではないのですが、同一労働、同一賃金という概念は、今回の改正パート法の中で第8条のところに盛り込んだつもりでおります。 要は、無期契約で、仕事が同じで、責任の範囲も同じで、人材活用の仕組みが一緒であれば、それは当然パートだということだけで差別するのはまかりならないということで、ここは明確に規定をしております。
鹿嶋会長
ただ、あれは実数はものすごく少ないんでしょう。実態数に落とすとね。
廣瀬補佐
ええ。ただ、同じ労働をしていれば同じ処遇を受けるというのは当然の基本原則だと思いますので、そういうところをまず徹底した上で、プラス均衡処遇のところをどのように確保していくかという御指摘は非常に大きな問題だと私どもでも考えているところです。要は、どのぐらい同じで、どのぐらい違ったときに、どれだけの処遇をするのが妥当であるのかというところだと思いますけれども、その辺につきましては、我が国は職務評価といったようなものがなかなか普及しておりませんし、特にヨーロッパなどでは産業横断的な賃金というものもある程度あるような国もございますので、そういう状況にない我が国において均衡処遇を考えたときに、どういうふうに能力というものを評価し処遇していくのかというところを、方法なり知恵なりを調べ、何かよいアイデアがないかということを考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 あと、正社員への転換というのがなかなか難しいんじゃないかというお話だったかと思いますけれども、こちらにつきましても、一度正社員から外れてしまうとまたもとに戻るのが難しい。そういう障壁が高いということが問題になっていると思っておりまして、この辺も改正パート法では12条で措置義務化ということにはしたのですけれども、ここにつきましては、先ほど短時間正社員の中でも申し上げましたように、正社員化をするといっても、それが労使双方にとって望む形でなければなかなか難しいということもありますので、私どもとしては、短時間正社員というようなものも含めて、正社員へのルートというものを複数提示することで、より移行が図られるようなことを考えていきたいと思っているところです。
鹿嶋会長
ありがとうございました。では、袖井先生。
袖井委員
短時間労働者均衡待遇推進助成金というのは昨年から始まったんですか。
廣瀬補佐
これは19年の7月からだったと思います。
袖井委員
どのぐらい使われているんですか。こういうのはいろいろあるんですけど、聞いてみると余り使われていないというのが結構多いので、実際にどのぐらいお金が使われているかということを知りたいと思うんです。いろいろ制度があるんですけれども、事業主にそれほどアトラクティブな額ではないし、聞くところによると、書類が大変面倒くさいとか、そういうようなこともあって余り利用が進んでいないというようなこともちょっと聞くのですが、実際はどのぐらい利用されているのか、数字があったら教えてください。
廣瀬補佐
平成20年度の助成の件数については、今ちょうど取りまとめをしているところで。
袖井委員
では、後でお願いします。
廣瀬補佐
はい。あとは、申請の手続が面倒くさいというお話は聞いているところもございまして、この辺については、まだどういう形になるかは未定ですが、やはり事業主の方が申請しやすいように、例えば短時間正社員制度の導入をしようと思ったときに、助成金はあるけど申請手続が面倒くさいといったときに、わかりやすいような何か情報発信というものを考えていきたいと思っているところでございます。
鹿嶋会長
それでは、住田委員。
住田委員
2点ございまして、パートタイム労働者というのは、組合員の加入率、組織率が非常に低うございますから、ADRの存在というのは非常に大きな力になるのでしょうが、これが今どんな状況になっているのかということ。当然、これは各都道府県に1つずつあるわけでしょうね。そういうことの確認です。
 2つ目は、正社員と短時間労働者の違いは、意外と福利厚生のところで差別されている場合があると思いまして、福利厚生もやはり一緒にするということの方が正社員になろうという意欲が更に高まってくると思いますので、そこら辺はどういう御指導をしておられるのか。どうも文章を見ると、そこはどちらでも構いませんみたいになっているのですが、私は、ここも日本的には意外と大事かなという気がしているんです。以上です。
廣瀬補佐
ADRについてですが、まず都道府県労働局の方に窓口がございますので、そちらの方に行っていただければ大丈夫です。
住田委員
時間帯は昼間ですか。
廣瀬補佐
時間帯は、開庁している時間です。
住田委員
意外と使いづらいですね。
廣瀬補佐
それから、実績については、こちらもちょうど今取りまとめのときでございます。
 それから、福利厚生については、こちらも改正パート法の11条でもって、全てのパートタイム労働者を対象に、同等な利用機会を与えるよう配慮しなければならないと定めているところでございます。
鹿嶋会長
コストが高い労働者になるのは、企業が敬遠してしまうことがあるから、なかなか腰は重いんでしょうね。
住田委員
食堂なども使えなかったりして、そこが結構大きいんです。
鹿嶋会長
それもあるしね。
岡本委員
慶弔休暇とか、ああいうまさに人々の生活に関わるというか、なぜ正社員とパートで、親が亡くなったときの休暇について制度が違うのかというような問題点も大きいと思うんです。
住田委員
日々のことですからね。
鹿嶋会長
今、正社員がIDカードを持たされていて、食堂もIDカードでパッと入れないんです。なかなか難しいですよね。
大沢委員
確認ですけれども、4分の3要件が20時間以上に拡大されたというのは、社会保険の方でしょうか。雇用保険に関しても、 1,000万人、雇用保険未加入があるということで、今回、加入者が多少増えてはいるのでけれども、未だに、例えばパートタイマーで何人の人が雇用保険に加入しているのかとか、そういったセーフティネットですね、何かデータがありましたら教えていただけますか。岡本さんがおっしゃったようなところが、これからの母子世帯の問題など、いろいろなことを考えるときに非常に重要になると思うのです。
鹿嶋会長
それは後でもいいでしょう。
大沢委員
もし後でわかれば。
廣瀬補佐
そちらは私どもの担当ではございませんで、ちょっと数はわかりかねます。
鹿嶋会長
雇用均等・児童家庭局じゃないんですね。
廣瀬補佐
はい。あと、社会保険も別の部署ですが、こちらも今現在まだ審議中ということで、拡大されたわけではないと。
大沢委員
20時間に拡大するということではないということですね。わかりました。
坂橘木委員
先ほど企業福祉のことを言われたのですが、企業福祉というのは大企業だけなんですよ。中小企業はほとんど企業福祉とは無縁の世界にいるので、中小企業にいる正社員も余り企業福祉の恩恵を受けていないので、もう少し割り引かないといけないというのが私の印象ですけれども。
鹿嶋会長
お答えのペースがあるので、意見として。
廣瀬補佐
割り引くと申しますのは。
坂橘木委員
パートの方にも企業福祉をやれという御意見は、それは大企業の方にはそういう要求はしてもいいけど、そもそも中小企業には企業福祉がないから、正社員もパートの人も企業福祉から除外されていると理解するのが大事だということを言いたかったんです。
廣瀬補佐
失礼しました。ありがとうございます。
鹿嶋会長
本当に今、マージナル正社員というのはすごいですよ。残業手当は出ない、福利厚生施設もないというので、パートとほとんど似たような状況です。これは身分は正社員で、社会保険料は払われているんです。今、そういう人たちがものすごく増えていますね。特にIT関係の若者にはそうした人がいます。そういう意味では非常に大変ですね。本当にありがとうございました。長い時間、質問もたくさん出ました。どうもありがとうございました。皆さんも御議論ありがとうございました。
 それで、今から事務局の方で今後の議論の進め方とスケジュールについて説明いたしますが、それをお聞きになって、今日の議論の中で更に何か深めるべき点があるのかということが第1点。それから、今後、こういうヒアリングが必要だとか、更にこういう点はどうかといったような点がありましたら、御意見を伺いたいと思いますが、まず事務局の方から、これからの議論の進め方、スケジュールについて話してください。
高村分析官
御議論いただきまして、どうもありがとうございました。
 今後のスケジュールにつきまして、事務局の案を御説明させていただきたいと思います。お手元の資料3を御覧いただきたいと思います。本日のところからスケジュールの案ということで記載をさせていただいております。本日は、論点整理の指摘に従いまして、関連する施策の状況の御確認と、それから施策に関する御議論ということで先生方にお願いをさせていただきました。そして、今後の最終報告の取りまとめまでのスケジュールですけれども、明日、施策のヒアリングを予定しておりまして、その後、6月22日ということで第37回の専門調査会の日程が決まっております。ここでは、必要があれば追加的な施策のヒアリングをさせていただくということと、あと、最終取りまとめに向けまして、論点の整理等の御議論をいただければと存じております。
 なお、検討会の方でございますけれども、こちらの方は就業構造基本調査及び国民生活基礎調査の特別集計の状況によりまして、この間に1回程度開催するということを検討させていただきたいというふうに思っております。
 そして、最終報告につきましては、6月の御議論を踏まえまして、7月に2度、専門調査会を開催させていただきたいとに考えております。初回の方では、骨子ということで御議論いただきたいと思っておりまして、2回目の方では、文章にいたしまして最終案ということで御議論をお願いしたいと考えております。
 日程の調整につきましては、追って事務局の方からお願いさせていただきたいと思っております。先生方には、御多用のところ恐縮ですけれども、その節にはよろしくお願いいたします。
 その後ですけれども、8月にはパブリックコメントの募集をする予定でございます。9月には、パブリックコメントの御報告と、それを踏まえました報告書の修正について御議論をいただき、そして最終案の取りまとめをいたしたいと考えております。最終案につきまして御承認をいただきました後、10月ごろかと思いますが、男女共同参画会議への報告を行なう、このようなスケジュールを考えております。
 以上でございます。
鹿嶋会長
明日の10時からの専門調査会・検討会合同開催で施策ヒアリング、一応それが最終ですが、6月22日に追加のヒアリングを実施したいんです。今日、皆さんで議論したことで、何か更にこういうことをもう少し聞きたいということがあれば、ここで意見として挙げていただきたいのと、新たに施策として追加するヒアリングで、こういう府省を呼びたい、そこでこういう話を聞きたいというふうなことがあれば言っていただきたいということです。私の方は、6月22日は、先ほど申し上げましたように、請負と派遣についての現状を説明してほしいというふうなことで、事務局の方にももう申し入れてありますが、何か皆さんの方で御意見ありますか。
袖井委員
自治体というとたくさんあるのでなかなか難しいけれども、結局、実際にやっているのは自治体ですよね。だから、自治体のヒアリングもできればしたいと思うのですが、ちょっと難しいかな。どうでしょう。
鹿嶋会長
検討させてください。即答できませんので。自治体ね。例えば先生はどこの自治体という御推薦のところがありますか。
袖井委員
ちょっと今は思いつかないですけれども、比較的よくやっていそうなところというので京都府などはどうかなと思うのですが、よくわからないです。
鹿嶋会長
それでは、事務局と後で検討します。
神田委員
今日お聞きしていて思ったことは、相談員とか、支援員とか、そういう直接問題に関わる人の養成というのが出てくると思うんです。ところが、どんな形でそれが養成されていて、どういうプログラムがあるのかということはちょっと出てこないんです。たぶん、もし母子家庭というようなことでやるとすれば、プログラムの中で基礎的にはこういうことはみんな共通に知っていなければならないとか、その上でいろいろな目的別に多様な内容が組まれると思うんですが、中身がわからないで、はい、相談員です、支援員ですというところが、果たしてこれで具体的な解決につながるのだろうかという危惧を持つんです。中身をどんなふうに考えているのかわかるようなヒアリングができるといいなと思います。
鹿嶋会長
具体的には、どういう人を呼ぶとイメージしていますか。
神田委員
生活援助に関わる一定の研修の修了した者。一定の研修というのは一体どういうことを考えていて、そして具体的に一定の研修を修了した者が現実にどのぐらいいて、実際仕事をしているのはどのぐらいで、報酬はどうで身分はどうなのかみたいな、そういうことが具体的にわかるといいなと思っております。
鹿嶋会長
それは、今日の厚生労働省にフィードバックさせて、ペーパーでもらうというのが1つの方法としてあります。 それから、現場の方は我々でヒアリングしましたので、そういう中から浮かび上がってくるものが一部あると思うんです。今度新たに呼ぶとすれば、どういう形がいいのか。今、神田委員の意向を汲んだようなものというのは、湯澤委員か阿部委員、アイデアがありますか。
阿部委員
私も、おっしゃられることは非常によい意見だと思います。相談して、大変ですねで終わってしまったら何もないので、そのソリューションみたいなものがあるのかというところだと思うんです。でも、多分それは1つの機関ではなかなかなくて、余り選択肢はないと思うんです。その中でどういう工夫をなさっているかという個人個人のノウハウみたいなものに非常に左右されていて、すごく親身になっている相談員もいれば、残念でしたで終わってしまう相談員もいるというようなことを聞いていますので、簡単に誰か1人に聞いたらわかるという問題ではないような気がします。
袖井委員
昨年、ヒアリングに行ったときは、横浜市の母子家庭支援センターでしたが、あそこの場合、母子家庭のお母さんをリクルートして相談員に充てているということで、そういうのもなかなかいいんじゃないかと思いました。
湯澤委員
自治体によって相談員の方の労働条件もかなり違うと思うのですが、非常勤職が多いという中で、ある自治体では、5年で雇い止めというようなことが出ておりまして、それが相談業務にも適用されています。そうしますと、女性相談とか、そういう現場を担っている方が、専門性がだんだん蓄積されてきたときに、もう雇い止めになってしまうとか、継承されていかないとか、そういう問題も昨今起きてきています。
鹿嶋会長
今、神田委員の方から提起された問題と、どうも現場の声を聞くとか、そういう形でないと無理でしょうかという感じで今聞いていたのですけれども、それを6月22日にやるかどうかはちょっと検討させてください。
神田委員
これは、かなり本格的にやる必要があるかもしれないですね。
鹿嶋会長
ええ。ただ、我々の報告書の中で、例えば重点ポイントというのがやはりあるわけですよね。母子家庭自立支援事業が大切だというのであれば、そのあたりに少しポイントを置いてヒアリングをしておいた方がいいのかもしれません。全体の共有知識として。ですから、それを22日にやるかどうか。
袖井委員
相談員につきまして、 基本問題の方で昨年調査して報告書を出したのですが、あのとき女性センターについては調査したんですよね。その結果、大変身分が低い、給料は低い、研修はやっていない、雇い止めはある、いろいろ問題が出てきました。だから、たぶんほかのところも同じような状況じゃないと思うんです。今、鹿嶋さんがおっしゃったように、具体的にどこかの自治体を取り上げてお聞きするというのがいいのかもしれませんね。
鹿嶋会長
スケジュールを見ると非常にタイトで、22日しかないので。
神田委員
それはお任せします。
鹿嶋会長
私が全部あずかってしまって大変恐縮ですが、あずかり事項とさせてください。
 では、大沢委員で最後にします。
大沢委員
今日のパート均衡の話も非常に重要だと思うのですが、労働保険の適用事業主に限られてしまいます。日本の場合には、日本の制度で雇用保険に加入しているところはそういった形で救済されるわけですけれども、それ以外に、そこに加入していないと、あとは生活保護しかないというところで、その中間のところにセーフティネットが張られていないという問題があるわけですが、特にこういった母子世帯ですとか、生活に困難を抱えている人たちというのは、 そういうセーフティネットに入っていないというところで、しかも住居もなくて、そうすると、そこのセーフティネットが全くない中でどう支援していくのかというところが今までのヒアリングのなかになかったと思うのですが、今回、補正で、求職者支援法というか、ちょっと名前は正確ではないかもしれませんけれども、第2のセーフティネットをつくっていこうという新しい動きが出てきて、それについて、もし6月22日に少しヒアリングができれば、厚生労働省の方で補正予算が組まれたと思うのですが、そういったセーフティネットから既に漏れている人たちが就業訓練を受けて、また労働市場に戻れるような仕組みを今後どうつくっていくのかというのを国がどういうふうに考えているのかということについてぜひ聞けたらと思います。 御検討ください。
鹿嶋会長
わかりました。
 それでは、時間もオーバーしてしまいましたが、御議論ありがとうございました。今日この会議自体もかなりタイトで議論の時間が短かったのですが、それは申しわけなく思っております。明日もまたあるわけですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局の方から連絡事項がありましたらどうぞ。
高村分析官
それでは、3点ほど事務連絡をさせていただきたいと思います。
 まず、備え付けということで今日お手元に御用意させていただきました論点整理ですけれども、このままお席の方に残してお帰りいただければと思います。また明日以降、必要に応じて事務局の方で御用意させていただく予定でございます。
 それから、2点目でございますけれども、お手元の方に議事録をお配りしております。32回、33回、34回と3回分ございますけれども、こちらは先生方皆様の御確認がとれましたので、この内容にてホームぺージで公表させていただきたいと思っております。
 それから、3点目でございますけれども、お忙しい中、連日で大変恐れ入りますけれども、明日10時から、第36回の専門調査会を開催させていただきたいと思っております。本当にお忙しいところでございますけれども、ぜひ御出席の方よろしくお願いいたします。場所ですけれども、本日と変わりまして、お手元に地図も御用意しております。 永田町合同庁舎の共用第1会議室というところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
鹿嶋会長
それでは、これで本日の「監視・影響調査専門調査会」の第35回会合及び第9回「生活困難を抱える男女に関する検討会」を終わります。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)