監視・影響調査専門調査会(第34回)議事録

  • 日時: 平成21年3月9日(月) 13:00~15:04
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 監視・影響調査専門調査会:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 岡本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 潮谷委員
    • 住田委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山谷委員
    • 生活困難を抱える男女に関する検討会:
    • 阿部委員
    • 小杉委員
    • 桜井委員
    • 白波瀬委員
    • 湯澤委員
    • ※生活困難を抱える男女に関する検討会と合同開催
  2. 議題
    • (1) 新たな経済社会の潮流における生活困難を抱える男女について とりまとめに向けた論点整理(案)について
  3. 議事録
鹿嶋会長
それでは、時間が来ましたので、男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第34回の会合を開催させていただきます。今回は「第8回生活困難を抱える男女に関する検討会」と合同開催となっております。
 まず会議に先立ちまして、監視・影響調査専門調査会に新たに加わっていただきました弁護士の住田裕子委員を御紹介いたします。一言御挨拶をお願いします。
住田委員
住田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
それでは、本日の審議を進めさせていただきます。
 本日は、「新たな経済社会の潮流における生活困難を抱える男女 のとりまとめに向けた論点整理(案)」について意見の交換を行います。
 まずは事務局から、生活困難を抱える男女に関するとりまとめに向けた論点整理(案)について説明をお願いします。
山岡分析官
では、御説明させていただきます。資料1-1をお手元にお持ちください。
 資料1-1がとりまとめに向けた論点整理(案)でございまして、前回御議論いただきました論点整理の骨子の案から、また御意見を踏まえまして文章化をしていったという状況でございます。1ページ目、2ページ目に目次を挙げております。全体で4部構成になっておりまして。「1.はじめに~なぜこの問題を取り上げるのか」ということを整理した後、2.で、「経済社会の新たな潮流」ということで、マクロデータをもとに「家族の変化」、「雇用・就業をめぐる変化」、「グローバル化」といったような動向分析をしました。次に3.として「経済社会の変化のもとで生じている生活困難の実態」につきまして、データ、ヒアリングなどの情報をもとに実態を整理することにしております。その後、4.として、かなり大きく整理するという全体の構成になっております。2ページ目の一番下に、参考資料として、「資料1.参考図表」、それから「資料2.ヒアリング結果のとりまとめ」とありますが、こちらの別扱いの資料になっておりますが、資料1-2と資料1-3が、今回の論点整理の参考資料ということで付ける予定の資料でございます。資料1-2は、統計データとか、既存の調査などから見えてきました様々な状況を示す関連データを整理したものでございます。資料1-3が、前回も御報告いたしましたが、生活困難に直面している男女に対する支援活動を展開している機関・団体等26団体に対するヒアリング結果についてとりまとめた結果でございます。本日、資料1-2と1-3の詳細は御説明する時間がございませんので、それをもとにとりまとめました資料1-1の内容について順次御説明したいと思います。
 では、資料1-1にお戻りいただきまして、3ページから本文になります。
 3ページ冒頭に、この論点整理の位置づけにつきまして説明を加えております。今回の論点整理につきましては、支援機関・団体に対するヒアリングや統計データなどをもとに専門調査会及び検討会における議論をもとにして、中間的な論点の整理としてとりまとめたものであるということで、今後は、関係する施策の実施状況について調査等を行い、さらに具体的な検討を深めて最終的な御報告をとりまとめるという中間的なものであることを改めてここで説明をしております。
 その上で本文に入りまして、「1.はじめに」からでございますが、前回も御説明いたしましたように、大きくは、女性の生活困難のリスクが健在化しつつあることと、それから、生活困難層の多様化・一般化と、そこに潜む男女の問題という大きな2つの柱立てで問題提起をしてございます。
 最初の(経済社会の変化のもとで顕在化しつつある女性の生活困難リスク)に関しましては、前回の骨子(案)のときは、「女性の貧困」リスクと、かぎ括弧付きの「女性の貧困」という言葉を使ってございました。これに関しては、いろいろ事務局内、あるいは会長とも御相談をさせていただきまして、今回この検討を始める際に、「貧困」という言葉ではなく、「生活困難」という言葉を使うと決めたという背景もございまして、今回は、「生活困難」という言葉で統一をしております。「貧困」とした場合に、非常にわかりやすい言葉ではございますが、どうしても経済的な困難・困窮のイメージが強いというところで逆に誤解を招いてしまうのではないかと。今回取り扱う生活困難は、経済的困窮プラス、もう少し人間関係を保てないといったような孤立の問題なども含めた幅広い困難状況を指すものということで考えておりますので、「生活困難」という言葉で統一をしております。
 1点目の女性の生活困難リスクにつきましては、これまでは標準世帯モデルの陰に隠れて見えにくい問題であった女性の生活困難といったような問題が、単身世帯、ひとり親世帯の急増などのもとで顕在化してきている。その背景には、男女共同参画をめぐる問題、そうした女性が働きやすい環境といったような環境整備が十分に整っていない、そういった問題があるのではないかといったようなことを指摘しております。
 次に「生活困難層の多様化・一般化とそこに潜む男女問題」では、女性だけではなく、男性でも不安定な雇用が増加しているといったような問題とか、若年層での無業、不安定雇用の増加といったような問題、あるいは4ページにまいりまして、国際化の進展のもとで在留外国人女性とその子どもの社会適応の困難など、非常に問題が幅広くなってきていると、そういったような点と、そこの背景に男女共同参画にかかわる問題があるといったようなことを指摘するという流れになっております。
 そうした2つの柱で問題提起をした上で、本調査のねらいとしては、こうした新たな経済社会の潮流のもとで、女性、男性それぞれのライフスタイルや置かれている状況が大きく変容してきたことを踏まえながら、新たに生じてきて、あるいは顕在化・深刻化しつつ、生活困難の所在とその実情を探り、その背景にある男女共同参画をめぐる問題について検証、考察するというようなことでねらいを整理することにしております。
 以上が「はじめに」でございます。
 続きまして、「2.経済社会の新たな潮流」につきましては、ここでは、マクロデータを用いて、家族の変化、雇用・就業をめぐる変化、グローバル化といったような状況を分析しております。事前に資料をお送りしておりますので、ここは簡単にポイントだけ御説明します。「家族の変化」では、単身世帯とひとり親世帯の増加が進んできていること。それから、「主たる生計の担い手の変化」で、女性が主たる生計の担い手になったり、あるいは、既婚の男性も、非正規雇用で雇用が不安定になったり、そういったような状況があることを4ページまでで記しています。
 5ページにまいりまして、「雇用・就業をめぐる変化」については、ここは非正規雇用の問題を中心に書いておりまして、非正規雇用者が女性ではもう半数を超えている、男性も増えてきたという中で、かつて、主婦が家計補助のために両立を図る働き方として、余り問題としてはとらえられてこなかったけれども、近年は、生計を担うにもかかわらず、その人自身が低収入で不安定な非正規雇用という層が増えているという問題を指摘しています。
 そうした非正規雇用は、何が問題なのかということを次の点で指摘しております。低賃金、雇用の安定もございますが、2つ目の○の4つ「・」を挙げております中で言いますと、非正規雇用になると、その状態を非常に繰り返しやすい。それから、能力開発の機会を持ちにくい。また、その非正規雇用者の方が有配偶者の割合が低いということがございまして、結婚して家族を形成することへの障害も大きいのではないかということなどを挙げています。また、近年の情勢ということで、派遣切りなどの問題の深刻化についても触れることにしております。
 次に「(3)グローバル化」でございますが、ここは90年の法改正なども影響して、非常に外国人が急増していることと、来日目的の多様化,定住化、居住地域の広域化が生じていると。こういう中で次のページの6ページにまいりまして、国際結婚も非常に増えてきているという中で、外国人の親を持つ子どもも非常に増えて、平成18年では日本で生まれる子どもの約30人に1人は少なくとも一方の親が外国人いう状態になっているといった変化を示しております。このような様々な変化のもとで、家族による扶養や企業における安定雇用等のセーフティネットから漏れてしまうこと。その中で、既存の制度枠組みによる対応では不十分な生活困難層が生じていると考えられるのではないかという問題提起をしております。
 次に3.が、そういうマクロの大きな背景・状況を踏まえた上での今、生活困難を抱えている人々がどのような状況にあって、どういう支援ニーズがあるのかということを分析しているパーツです。ここで「生活困難」とはということで定義を挙げておりまして。こちらは専門調査会でかなり以前にも御議論いただきましたが、経済的な困難に直面している状態を中心にとらえるけれども、そこから派生して、あるいはそれ以外の何らかの不利な状況にあるために、地域社会と人間関係を保てずに孤立したり、必要なサービスを享受できなかったりする、社会生活を営む上での困難も含めてとらえるという形で定義をいたしました。前回の専門調査会の中で、「関係性」という概念を含めてこうした問題をとらえるべきという御意見もいただきまして、そうした趣旨も含めた定義としております。
 次に(2)から「生活困難をめぐる動向」ということで、ここでは「相対的貧困率」のデータとか、生活保護の受給状況をもとに、近年の全体的に見た場合のどこに困難が生じているかということを見ています。
 1つ目の○は阿部先生などからデータをいただいた部分ですが、近年は、勤労世代及び子ども世代で相対的貧困率が上昇している傾向がある。それから、生活保護の状況を見ますと、高齢者世帯、障害者世帯、母子世帯が多いのですけれども、保護率は地域によって大きく異なるということで、産業構造の影響なども大きいのではないかといったようなことを書いております。
 7ページにまいりまして、2点目の(女性に多くみられる生活困難)ということで挙げております。ここも貧困率と生活保護の受給状況で見ておりますが、女性の方が男性に比べて相対的貧困率が高い。その差は高齢期になるとさらに広がっていくということで、中でも、母子世帯、また、特に離別者といったようなところで厳しい状況があるといったようなことを示しております。
 2つ目の○で、生活保護の中での母子世帯の保護率が高いという問題を指摘しておりますが、2つ目の○の4行目の後段から、生活保護を受給する母子世帯が多い背景には、地域産業の衰退や景気の悪化によって世帯が経済的な困窮に陥って離婚に至るケースがあることといったような、離婚が、その背景にまた生活困難の問題があるというような点につきまして、前回、専門調査会でも御意見をいただきました点を踏まえた記述を入れております。
 次の項目が、(経済的困難がもたらす社会的排除)で、経済的困難が、また、様々な必需品、サービス、ネットワークから排除されやすい状況を生み出しているといったような問題についてもふれるという形にしております。
 次に8ページにまいりまして、「分野別にみた生活困難をめぐる実態と支援ニーズ」といたしまして、ここも前回、骨子でポイントをお示ししておりました部分をさらに肉付けしたものでございますので、詳しい説明は割愛させていただきたいと思いますが、既存の統計・調査、それからヒアリングをもとにとりまとめております。8ページの1つ目が(ひとり親世帯)で、ここでは主に母子世帯の就労率は非常に高いけれども、非正規雇用が多くて、多重就労をして、子どもに十分に対応できないといったような問題がある。父子世帯についても、家事等に関する悩みを持ったり、孤立をしてしまう、そういった問題があることを指摘しております。
 8ページの下側の(子ども)と立てた部分ですが、ここでは、子どもの相対的貧困率が近年上昇傾向にあるということ、それから、子どもの教育費支出が、ひとり親世帯あるいは所得階層が低い世帯において相対的に少ないといったようなことがございます。9ページにまいりますが、生活困難の次世代への連鎖の問題ということがあるいったようなことについても指摘しております。
 9ページの次の(若者)でございます。若者につきましては、2つ目の○で、フリーターや無業については、女性の方が、また低学歴者の方が多いといったこと。また、そうした問題には、中退者の問題とか、高校在学中の妊娠による中退の問題、こういったようなことも絡んできていることを指摘しております。3点目の○に「ニート」のことも書いておりますが、前回、専門調査会の中で、今は家族に支えられて生活できているけれども、経済的に自立できないという点では、潜在的な困難層であるという、そのニートの問題も改めてきちんと書くことにしております。
 4点目の○としては、ニート等の背景には、不登校、いじめ等の経験が多く見られるといったようなことを指摘しております。
 次の項目は(高齢者)でございますが、これは昨年の監査・影響調査の中で分析した結果などを入れております。高齢期の経済状況により、非常に若い時期からの影響が大きいこととか、高齢男性の孤立の問題などについて指摘をしております。
 次に10ページにまいりまして、(国際結婚、在留外国人女性とその子ども)では、国際結婚の中で様々な文化・価値観の違い、コミュニケーションの困難、それから、DV、親の介護といったような非常に様々な困難を抱える人々がいるといったような問題で、DVの問題が外国人女性の一時保護の理由としても多いといったようなこと。それから、外国人女性の職域が非常に限られてしまう。不安定な条件下で働いているといったような問題を2点目の○。それから、3点目の○で、在留外国人の子どもの不就学とか、学校における日本語理解をめぐる問題、こういったようなことについて指摘しております。
 次に(女性と労働をめぐる問題)といたしましては、これまでと多少かぶるのですけれども、女性の中で非正規雇用が非常に増加していて,それを繰り返しやすいという中で、不景気時などに仕事を失いやすい。そのため生活困窮に陥るリスクが高いといったようなこと、あるいはセクシャルハラスメントの問題とか、妊娠による派遣契約の解除といったような問題も見られることを挙げております。
 次に11ページにまいりまして、(DV等の女性に対する暴力被害等)ということで、ここもデータ等をもとにしていますが、非常に相談件数が年々増加していることと、DVは自尊感情を大きく侵害して、その結果、心身をまた回復して自立に向けてという点で、非常に様々な困難を伴うといったようなことを2,3,4の○で示しています。5つ目の○の中で、DVを受けていても、夫等から離れた後の経済的困窮を怖れて保護を求めるのが遅れるケースがあるといったようなこととか、障害、低学歴者といったような場合には、なかなか自立に向けた道のりは困難といったような方、あるいは、性産業の問題が絡んでいる方もいらっしゃるといったようなことを挙げております。
 (生活上の障害を抱える人々)ということで、女性の視点ということでは、障害のある女性が、2点目の○に書いておりますが、子どもを自分の手で育てたい場合に、それを支援する仕組みが不十分であるといったようなことなどを挙げています。
 その他のということでは、多重債務、ホームレスといったような状況についても整理をしております。
 では、すみません、駆け足で大変恐縮ではございますが、12ページの最後の課題の部分でございます。
 (1)に最初に「生活困難をめぐる状況」といたしまして、「困難の複合化・連鎖・固定化」の状況があるということで、DVの例などを挙げながら書いております。こうした中で、3段落目の「このように、」からでございますが、こうした非常に複合化・連鎖・固定化する状況がある。このような状況を断ち切るためには、多方面の連携に基づく取組が必要で、ライフコースを通じて、可能な限り早期からの支援が必要とされる。前回の専門調査会でも、早期の支援の重要性という御指摘もございましたので、それと、総合的な支援でこうしたことを書いております。
 次に(2)は「生活困難を生み出す要因」でございます。「ア.女性が生活困難に陥る背景」に関しては、大きく4つの項目立てにしていまして、それは前回の骨子と同様でございます。1つ目が(妊娠・出産・育児等のライフイベントの影響)ということで、家事・育児並びに介護の負担が女性に偏るという中で、就業中断が生じやすく、職域なども限られる形であること。また、例えば10代の妊娠は、女性の教育機会と就労機会を同時に奪ってしまう可能性を秘めていて、その影響が生涯にわたって影響を及ぼすといったことについて指摘をしております。
 次に13ページにまいりまして。先ほどの項目と多少重複感があるんですが、そういう中での女性の就業構造の問題ということで、出産・育児等の影響が女性の方にまだ偏っていて、なおかつ、ワーク・ライフ・バランスの浸透などはまだ不十分という中で、女性の雇用が非正規雇用に集中して、相対的に低収入で不安定な雇用につきやすい。そのために、景気後退期などの雇用調整の影響を受けやすいことを指摘しています。
 次に(女性に対する暴力等の影響)です。こちらも様々な分野で暴力の問題が背景にあることが見えてきましたので、そうした問題について挙げております。この中の4つ目の○で、被害者が外国人あるいは障害者等の場合に、問題解決がより難しくなったり、また、逆にそのハンディゆえに暴力被害を受けやすいといったような状況もあること。それから、5つ目の○で、性産業の存在も女性の自立を困難にしているといったようなことを挙げております。
 最後の4つ目が(背景にある固定的性別役割分担意識)ということで、これまで挙げたような社会構造の背景にある固定的性別役割分担意識の影響といったような問題についても指摘をするという形になっています。
 次に、14ページの「イ.男性特有の状況」ですが、ここは2つの項目で、(日常生活自立の困難)と、(男性役割のプレッシャー)で挙げております。1点目の日常生活自立に絡みましては、男性も介護を担うことが多くなってきたという中でその影響があるのではないかという御意見が前回ございましたので、そうした点についても記述をされております。
 2つ目の項目の(男性役割のプレッシャー)では、こちらは前回の専門調査会の中で、非正規雇用の男性が結婚できないといったようなことも、これとの絡みで問題として指摘できるのではないかという御意見がございましたので、14ページの一番下の行から、その問題についても指摘をしてございます。
 次に15ページにまいりまして、ウ.の「男女共通にみられる状況」では、全部で7点、このような要因が、複合的あるいは連鎖して生活困難の状況の発生に関わっているということで挙げています。1つ目が(成育家庭をめぐる問題)。世代間での連鎖の問題があるということ。それから、2点目として(低学歴)。中卒や高校中退など、相対的に低学歴の人が様々な不利があると。3点目(自尊感情の侵害による社会不適応)ということで、いじめ・不登校、DV被害などの経験から、そうした自尊感情の侵害があった場合の不適合の問題。次に4点目として(雇用構造をめぐる問題)。こちらは、男女共通に労働市場における非正規化の進展と、そのセーフティネットが不十分であることが、生活困難層がより多様化していく背景にあるといったようなことを整理しております。次に16ページにまいりまして、(生活上の障害)です。障害者、あるいは障害者と認定されていないが、知的な遅れや精神的な疾患により生活上の障害を抱える人々が様々な困難があって、特に手帳がないものの困難を抱えている方が、公的支援の対象になりにくいといったような問題を挙げています。次に(外国籍)の問題、または(地域ネットワークの弱体化)が影響しているのではないかといったような分析をしております。
 そういう中で(3)として「対応の基本的視点」。こちらも前回の骨子と同じ柱立てで書いておりますが、1点目は(生活困難の中にある男女問題への着目)をするということで、まずは男女別の観点でその状況を的確にとらえて、効果的な対策を検討していくことが必要であること。その例示としては、例えばパートタイム労働等の非正規雇用をめぐる問題も、男性も加わることで社会的な問題として顕在化してきたとか、そういう側面がある。その背景には、固定的性別役割分担意識の影響とか、社会構造の問題がありますので、そうした男女共同参画をめぐる問題に対して、より一層敏感な視点を持って検討をしていくという必要性を書いております。
 2点目として、生活困難の防止に不可欠な男女共同参画施策の推進といたしまして、これまでの分析のような、様々社会構造を変えていくために、固定的性別役割分担意識の解消、家庭・地域における男女共同参画を進めていく。また、17ページの1つ目の○にありますが、DVに関する、その対策も必要だと書いています。
 3点目として、(女性のライフコースを通じたエンパワーメントと総合的な支援)ということで、こちらは何度も専門調査会等の中でも議論をいただきました、女性のライフコースを通じて見ていく必要性があるということ。それから、女性本人の福祉にまずは着目していくことも必要であるといったようなことについて3点目の○までに指摘をいたしまして、最後の4つ目の○で、総合的な支援の必要性について記載することにしております。
 次に最後が、一番重要な「今後検討すべき課題」の部分でございますが、ここのところも、最終報告に向けて引き続き施策の状況調べなどをして分析を深めていくという前提で書いているといたしまして、大きく4つの柱で整理をいたしました。前回は、複数のものを完全に羅列するような形でございましたが、御意見がございましたので、ア.イ.ウ.エ.という柱で整理をしております。前回は雇用の話を一番最初に持ってきましたが、まずは、自立に向けた本人の力を高めるといったような課題から、順序変えもいたしました。そういう中で18ページのア.でございますが、「自立に向けて力を高めるための課題」といたしまして、1つ目に(若年期におけるライフプランニングを考えるための教育の充実)ということで、前回の専門調査会の中で、女性も結婚だけではない、自分で暮らしを立てていくことの重要性についてできるだけ早く学ぶことが必要ではないかといったようなことがございまして、そうした趣旨の内容を入れております。
 2点目の(教育領域と職業領域等の連携に基づく若年期の自立支援の充実)は、前回にも書いておりましたものですが、2つ目の○に、前回御意見がありました、学校で高校生も労働法などについて学ぶ、そういう機会の充実の必要性について書き込む形にしております。また、3つ目に中退の問題を書いておりますが、妊娠ゆえの中退についても、そのフォロー体制の充実と、それから、4行目の後段から書いております「望まない妊娠による中退を防ぐため、学校・家庭等において性に関する正しい理解を深めることが重要ではないか」と。やはり性の問題が生活困難の背景に影響を及しているということでありましたので、その部分を書き込んでおります。
 また、(暴力被害当事者等のエンパワーメントに向けた支援の充実)も、これも前回書いておりました部分でございますが、挙げております。
 次にイ.にまいりまして、「雇用・就業の安定に向けた課題」ということでは、(雇用の場の改革)は、均衡待遇の確保とか、非正規雇用者のセーフティネット機能の更なる強化といったようなこととか、19ページにまいりまして、女性が雇用の場においても十分な能力発揮できるようにするためのワーク・ライフ・バランス、その他の様々な取組で挙げています。
 次に(女性の就業継続や再就業を支援するための環境整備)で、こちらも常々男女共同参画の分野では言われていることですが、2点目の○に「子どもを持ちながらも安心して学び直しや資格取得のための職業訓練の機会を持ち、より良い条件で再就業できるための支援をさらに充実していく」で、これも前回御意見を伺いました点を丁寧に書くことにしております。
 次にウ.が「安心して親子が生活できる環境づくりに関わる課題」として、(困難を抱える親子を地域で支える仕組みづくり)ということで、施設入所者が退所した後のフォローアップの仕組みとか、困難を抱える親子が、また、そのケアをする時間が確保できることを支援するといったようなこと、また、障害を抱えていても、自分で子どもを育てたいという人に対する支援、あるいは父子家庭の子育ての支援について書いております。
 次が、次世代への連鎖を断ち切るための取組の必要性ということで、教育機会の拡大等の支援も必要ですし、また、女性が就労と結婚・出産・育児の二者択一構造を解消することが、また、その子どもがいる世帯が経済的な困難に陥るリスクを低減することでも必要であるので、その重要性についても書いております。
 次に20ページにまいりまして、(国際化に対応した支援体制の強化)として、外国人の交流や相談等の支援の仕組みづくり、国際結婚等に関する相談支援、日本語教育の機会、DV等に関する母語での支援、それから、外国人の子どもの就学機会の保障や、第二言語としての日本語教育の充実、こういったようなことの必要性を指摘しています。
 最後にエ.ということで、かなり横断的な話で大きな話になりますが、「支援基盤の在り方等に関する課題」ということで3つ挙げています。前回、課題として目出しをしておりませんでしたが、1点目に(家庭や地域における男女共同参画の推進)を挙げました。これはやはり基本中の基本であるということで挙げております。
 2点目。(自立概念の捉え直しと支援チャネルの多様化)という中で、目指すべき自立の形ということは、経済的自立だけではなく、様々な社会参加、社会関係づくりに社会的自立など、様々な側面からとらえるという中で、そのための支援チャネルを、NPO、企業等々の連携も含め多様化していく方向で考えていくということでございます。
 最後が(制度の狭間への対応や個人のニーズに応じた一貫した支援の必要性)で、既存の制度で狭間に落ちてしまう支援ニーズに対応しなければいけないし、また、既存の制度では、やはり細分化・縦割りになっているという中で、個人を一貫してフォローできないという問題があるという中で、21ページに大きな方向性を書いているというのがございますが、既存の制度間の連携や体系の見直しのほか、民間機関等との連携による柔軟な共助の仕組みの構築も含めて関係を深めていきたいということ。それから、生活困難者への支援ということでは、困難に陥っている人々への相談援助に加えて、その人自身が必要とするような、自立に向けて必要とする住宅、医療、教育等の多面的に部分的な支援が適切に組み合わされる必要があるという中で、イギリス等で進められつつあるような政策といったようなものも調査検討の対象に今後すべきではないかというようなことで締めくくっております。
 大変駆け足で申しわけございませんでしたが、以上で説明を終わらせていただきます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 前回に比べると、特に生活困難者支援に関する課題等は、だいぶすっきり頭に入るようにまとまっていると思うんですが、今から皆さんの御意見をお聞きしたいんですが、まずは、3~11ページまでを見て御意見をいただきたいと思います。12ページ以降の課題についてはその後ということで、大体今から80分ぐらい時間を取っていますので、そのうちの半分ぐらいを11ページまでの中での議論に充てたいと思います。今日は、中間報告についてはほぼ最終的な議論になりますので、皆さんの方で改めて質問がある人は出していただきたいし、それから、ぜひ積極的な意見も出していただきたいと思っておりますが、どうですか。
住田委員
今、最終段階ですのに、いきなり入ってきて、経過をわきまえない質問や意見を申し上げるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 最初に、3ページと目次に、「男女問題」という言葉が挙がっているわけですが、勿論、私は中身を見ればわかったんですが、一般用語としてこなれた用語かどうかということです。確かに男女共同参画の視点から見て女性にとって非常に大きな問題であるということで趣旨としてはわかるんですが、「男女問題」という言葉をこのままいきなりぽんと目次に持って来られると非常に違和感を覚える方がいらっしゃるのではないかと思いましたので、「男女共同参画の視点から」からとか、なにか工夫をしていただければと思いました。
 次に、全体の構成として、非常に時宜を得たテーマだと思っておりまして、勉強のために入らせていただいたのですが、これは「生活困難を抱える男女について」とありますが、本当のところは、男女共同参画局がやるからには女性問題であり、また、男性に関しては男女共同参画の視点から生活上自立できていない男性の問題、もしくは固定的性別役割分担にとらわれて生きにくい男性の問題なのだろうなと思ったんですけれども、そうすると、そこをどういうふうに整理していくのかが非常に難しいなと思って見ておりました。一般論として、今の経済状況の下で、男女共に特に非正規雇用者に関しては問題が生じていることは事実ですけれども、まず女性に関して特に顕在化してきた問題について主に取り上げる必要があるのではないかなということから、そこから書いていただいて、一般論の次にすぐに男女共同参画の視点から女性特有の問題は、もっと最初に書いておいていただいた方がわかりやすいなと思ったんです。そうすると、母子家庭の問題とか、DVの問題が男女共同参画局にふさわしい、この会で取り上げるのにふさわしい問題ではないかなと思いました。
 5ページですが、(非正規雇用をめぐる諸問題)として今までいろいろ御議論なさったことかと思いますが、私の体験的な感覚から申し上げますと、非正規社員、特に派遣社員について、今まで女性は、今、雇用の調節弁としてしか書かれてないんですけれども、そろそろ年齢差別の問題が表に出てくるのではないかなという気がしております。派遣社員のほとんどが代替性の効く、一応はパソコン技能を必要とする専門職ですが、実際は、若い女性の今までの秘書業務とか、補助業務に近かった事務職だったものですから、結局若い女性の方を好まれておりまして。最終的には40代以上の女性が派遣社員であっても雇用されるというような可能性が非常に薄くなってきている。この御時世ではますますそのような傾向が強くなってきていると思うんです。そうしますと、特に中高年に入ってきた女性が非正規社員からも締め出されているというようなことが、派遣制度が認められてからそろそろその時期が来ているのではないかなという気がします。そこら辺を見据えたところを入れておいていただくと、男性とはまた一つ違った問題点が出てくるのではないかなと思いました。
 そういう意味では8ページの(ひとり親世帯)の問題も、結局は母子家庭の問題なんだろうと思っています。最後に父子家庭に関しては少し書いてありますけれども、余り男性に重きを置く必要はないのではないかなという気がいたしました。
鹿嶋会長
言ってみれば、派遣社員は若年定年制がああいう形で復活しているのは、私も同じような問題意識を持っていますので、その辺については十分書けると思うんですが。ただ難しいのは、大変いい問題提起なんですが、女性の問題を強くして、それを最初辺りからどんとやれという意見ですが、どうですかね。これはかなり議論をしましてね。それでまとまりをつけたんですが、勿論住田委員の意見はよくわかりますけれども。前回の議論の中では、男性についての記述が少ないなんていう意見も、これは私が言ったと思うんですが、そういう指摘もあるくらいの中で、まず女性についてボリュームたっぷり、問題をシャープに、そして、それを冒頭にということなんですが、どうですか。まず、分析官の山岡さんから。
山岡分析官
おっしゃるとおりで、その辺りは非常に悩ましく今までまとめてきております。3ページで「はじめに」で、本当は最初に順序とすれば、男女のことということで考えなければ、最初に生活困難層の多様化・一般化の話が来て、そのうちの女性という位置づけに本来なるかと思うんですけれども。男女共同参画として検討するということでは、女性の生活困難の問題をまずは冒頭に打ち出したいという整理をしたというところです。
住田委員
「生活困難」というとき、女性の場合は「経済的生活困難」なんです。男性の場合は、事実上の本当に生活する上での生活困難なんですね。そこをごっちゃに書くからややこしくなるのであって、経済的生活困難はほとんど女性の問題、特に高齢の女性の問題だろうと思っています。ですから、「生活困難」と書くと、何か「貧困」を使わないための論点が抽象化しそうな気がするんですが。「貧困」というと、完全に経済的生活困難になると思うんですが。ですから、そこで「経済的生活困難」と書いていただいた方が、今回の貧困のことまで対応した方がよろしいのではないかと思うんです。経済面における生活困難ということですね。そうすると、女性の経済的生活困難がもっとシャープに出てくるのでは。男性の場合は経済的生活困難ではなくて、自立できない生活状態、自分の身の回りのことができない生活困難ということになってくるのでは。
鹿嶋会長
今の議論は、3ページの(経済社会の変化のもとで顕在化しつつある女性の生活困難リスク)は、「女性の貧困リスク」という形で前回は提示したんですが、これを「生活困難リスク」とした。「経済的生活困難リスク」とした方がいいかどうかまで含めて、その辺も皆さんから御意見をいただきたいんですが。
袖井委員
住田さんのおっしゃるのもわかるんですが、私も幾つか訪問してみて、必ずしも経済だけではないということがわかって、山岡さんと一緒にかなり行ったときに、自尊感情の問題とか、その辺のところから、あるいは世代間のそういう傷ついてきているというか、そういう問題も非常に大きいと思って、最初は「経済的困難」から出発したのですけれども、ここへたどり着いたという経緯があるんですね。
 1つ感じたのは、「生活困難とは」という定義が6ページと後で出てくるので、これを最初に持っていった方がいいのではないか。要するに、なぜ「貧困」だけではなく、もっと広い視野でとらえるのかということを言わないまま、「生活困難」を最初からずっと言ってしまっているので、途中でこれが出てくるのはちょっと違和感があるので、この順序を変えたらいいのかなと感じました。
鹿嶋会長
その議論は、やはり私と事務局でもやっていたんですが、今の経済潮流をまず出して、生活困難はその次にということで一応これは収めているんですが、今、袖井先生がおっしゃったようなことで、改めて再考してもいいですね。今日はこの時点、この段階で決着のつく問題はどんどん変えていきますが、それ以外の問題については、一応私のほうで預かって、事務局と議論するという形になりますので、それを前提にお話しいただければと思いますが、ほかにありましたらどうぞ。
桜井委員
今のことなのですが、「生活困難」というと、やはり大変に紛らわしくなるかなと思っていまして。内閣府の男女共同参画局の視点でやるというところをやはり鮮明にした方がいいのではないかと思っていまして。ジェンダー格差が経済格差にそのままストレートに反映しているというのが今の状況だろうと思うんですね。そこのところを押さえない限りは女性問題はなかなか解決がつかない。人間関係とか、自尊感情とかというのもありますけれども、しかし、そこの背景には経済的な困難が大変大きくて、性別役割分業のところの規範が大変強い日本社会において、ジェンダー格差=経済格差、あるいは経済格差=ジェンダー格差と言った方がいいのかもしれませんが、HDIとGEMの差が経済のところではっきり出るというところをちゃんと押さえるべきだと思います。
鹿嶋会長
住田委員の問題提起で、一番最初の段階に戻ってきたような感じが。
神田委員
私は、「生活困難とは」という、これをどこか前の方に入れた方がいいと思います。今回の報告の新しさは、単に経済的貧困だけではなくて、「生活困難」という形でとらえたところにあるので、その新しいところがよくわかるように説明すべきだと、私はそう思っております。
小杉委員
私は、この課題が「生活困難」だというふうに設定されてから参加した者なので、「生活困難」が先にありきで参加させてもらったんですが。基本的には袖井先生に賛成で、前に持ってくることによって、今回、それが新しいと私も聞いて、それで入ったという経緯がございますので、多分それまで皆さんの議論があってこれになったんでしょうから、その新しさを前に出していただくとわかりやすいのではないか。
 それから、現在の書き方が、最初に、経済社会の変化のもとで顕在化してきた女性の生活困難リスクと、これを最初に出している男女共同参画局らしくなっていて、もともと男女の問題があって、それで女性の問題が先にあった。そこに最近の変化の中で男女の問題として、改めて違うものが見えてきたという、こういう順番が整理されていますので、ほかではない順番だと思います。
鹿嶋会長
御自由にどうぞ。ほかに御意見がありましたら、どうでしょうか。
 あと、文言の問題点があれば、また言っていただきたい。
袖井委員
文言について言いますと、4ページ目で「単身世帯」と「単独世帯」と2つ使っているのですね。これは役所によって違うんですよね。ちょっと私は覚えてないのですが、厚労省が「単身世帯」で、総務省が「単独世帯」ではなかったでしょうか。この辺役所によって用語が違うんですよね。どっちかに統一した方がいいと思います。
潮谷委員
今の4ページに絡んでですけれども、ここの最初のフレーズに「高齢化の進展により単独世帯」と書いてありますけれど、その後の記述の中で、実は「生涯未婚」というところで、男性の比率の高さがここに出てきております。そうしますと、全体的に考えていったときに、何となく単身世帯に占めている男性が多くなってきているという、そういう錯覚が出てきそうな心配がありまして。実はその後のページの7ページ等を見ますと、高齢者の中に女性の単身が増えてきている実態がありますので、一言、高齢者の中に占めている女性の比率の高さ等も触れないといけないのではないかなということを感ずるところです。
 それから、7ページです。(女性に多くみられる生活困難)というところに障害者のことがほんの少し触れられておりますけれど。しかし、障害女性の問題はある意味では非常に多重な形の中で差別感の中に、女性であること、障害を持っていること、そして、経済的に就労のチャンスが非常に少ないというようなこと、そういったことを考えてまいりますと、相対的貧困率の中にどこかに少し触れないのでいいのかなというようなことを感じさせられるところでありますので、何か全体的に、そういった意味では障害女性に関して、ハンディキャップのある女性の問題に関してちょっと気になるなと。20ページ以降では、障害者手帳と関連しての記載はありますけれど、「生活困難」の中に入れないでいいのか。「女性」ということの中で丸めてしまっていいのかなという点がやや気になるところでございます。
 以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 まず、出た意見をざっと整理しておきますと、まず「単身」と「単独」の統一ですね。
山岡分析官
それはいたします。
鹿嶋会長
それから、高齢化の中で、生涯未婚とのあれで、単身者は、男性の方が多いのではないかという誤解が生まれるのではないかという話だから、そこに一言書くことができますね。
大沢委員
先ほどの自尊感情と非正規化の問題で、ここでは別々に扱われていますけれども、非正規化が自尊感情の形成を妨げるという両方の側面があると思いますので、5ページですが、(非正規雇用をめぐる諸問題)に、できたらそれをちょっと書き込むことも考えてもいいかなと思います。これはフリーター・ユニオンを組織されている方のお話ですけれども、正社員ならば、だんだんと難しい仕事をさせてもらっている間に自分に自信がついてきて、社会人として一人前になっていくという、そのプロセスからフリーターの人は最初から外されてしまっているのでなかなか自分に自信が持てずに、それがずっと続いてしまうというようなことがありましたので、正社員・非正社員問題は、ただ単に経済的自立を困難にしているという問題だけではなく、日本の社会は会社中心社会ですので、会社に属することで大人として成長していく機会があった、それが男性の若者であれば当たり前と思っていた社会が、今はそうではなくなったと。勿論女性の問題も大きいわけですが、そういったこともありますので、ちょっとそこら辺を言うと、多くの人がその経済的な困難だけでなくて、人間として成長していく中で安心した暮らしができるという、そういった雇用機会がすべての人に保障されている社会が前提になってこの会議があるところをこの中でちょっと触れられたらいいかなと思いました。
鹿嶋会長
要するに、安定収入とスキルだけではなくて、昔の若衆宿みたいなところを企業が担って、人格形成もそこで行われてきたと。そこから女性が遮断されてきているのではないかという話ですか。
大沢委員
そうですね。若い人が排除されてきて、それから、特にその中で女性の機会はもっと失われているという二重、三重の困難を女性が抱えるようになってきているのではないかと思います。
鹿嶋会長
小杉委員どうですか。今のような非正規のとらえ方。
小杉委員
大沢委員のおっしゃるとおりだと思います。真に能力開発、キャリア形成からの阻害ですから、そのキャリア形成は自尊感情とか、社会的自立とか、そういうことを含んでいますので、ここにある幾つかの中の1つに、キャリア形成からの阻害、何かそういうような表現があるといいなと思いました。
鹿嶋会長
わかりました。
 さっきちょっと言い忘れましたが、山岡さん、「経済的困難」を前に持っていきましょうという意見がかなり強いので、それを検討しましょう。「経済的困難は何か」というのが6ページに来ているでしょう。
山岡分析官
定義ですね。
鹿嶋会長
定義です。これを前に。
山岡分析官
はい。
住田委員
今お聞きしておりまして、今までの議論の経過はわかりました。「生活困難」は、今回ここに特に取り上げる大きな意味合いであるということで、そうしたら、やはり定義を前に持ってきていただくと非常に広い意味内容を入れたものであって、目配りを利かせているものだということがよくわかりました。特に女性の場合は、経済的な問題についての生活困難があることは所々に書いてあるところですので、特にそこにこだわるわけではございません。
 それから「男女問題」という言葉に関して。
鹿嶋会長
これも直しましょう。「男女問題」もね。
 そのほかはどうでしょうか。
岡本委員
11ページの(生活上の障害を抱える人々)で、2つ目の○に「障害があるためにDV等の被害のリスクが高まったり」と、「DV等」と書いてありますが、私などの認識ですと、DVというと、夫であったり、家族というふうにある意味限られてしまうように感じるんですが、障害を持っている女性たちの部分で言うと、むしろ、会社、働く場であったり、例えば福祉の場であったり、そういった社会における性暴力の問題の方が大きいのかなと感じていまして。そうすると対応の仕方も若干違ってくると思いますし、そこを書き加えるか何かされた方がいいかなとちょっと感じました。
鹿嶋会長
ありがとうございます。
住田委員
1点よろしいですか。すみません、もう一つだけ。
 3ページに、「生活困難」の中で、今、潮谷委員もおっしゃったんですが、「ひとり親世帯、不安定雇用者、外国人」に、あと「障害者」を入れていただけないかと思います。今、障害者に関しては、身体障害だけでなく精神障害、それから、発達障害という問題が出てきておりまして。そういうことの支援のプログラムがかなり開発されてきております。女性のニートもそういう方々が一部は入っていると思うんですが、男性のニートは、周りからそういうところへ行きなさいという形で支援の施設などに行って、いろいろと自立のための努力をされているわけですが、女性がどうも来ておられないような傾向が見えましたので、そういうところも含めて、支援施設のチャンネルの中にそういう部分を入れていただければいいかなと思いました。
山岡分析官
場所をもう一度確認させていただけますか。
住田委員
3ページの「はじめに」の2行目に「外国人」の後に「障害者」を入れていただきたい。字は難しいみたいですけど、今どんな字を使うのかわかりませんが。
鹿嶋会長
「障害者」ですか。
住田委員
はい。
鹿嶋会長
それはどうしますか。平仮名がいいですか。そこも少し議論をしたんですが、私たちは平仮名にしますか。
住田委員
あんまり抵抗がないようにしていただいたら。
鹿嶋会長
はい。
 もう一つよその審議会で議論になった点は、5ページの「派遣切り」なんだそうですが、5ページの「グローバル化」の上に「派遣切り」とありますが、これはこのまま行こうということにしたんですけれども、行ってもいいですよね、「派遣切り」で。
板東局長
かなり抵抗がある方もいらっしゃるようですので、もうちょっと丁寧に言った方がいいのかもしれません。
鹿嶋会長
これも意見を聞いておきましょうか。「派遣切り」という表現についてどうですか。どういうふうにお考えですかね。厚生労働省からは特段の反論はなかったと聞いておりますが、抵抗ある人もいるでしょうか。
小杉委員
かぎ括弧が入っているから。
住田委員
「いわゆる」と書いてありますね。
鹿嶋会長
いいですか。
小杉委員
ただ、現実は、派遣社員だけの問題ではないので、これで派遣社員だけの話みたいにされるとちょっと困るかなとは思いますけれども。
住田委員
今の「派遣切り」の話は、要するに経済的な問題で、正社員に対しても危ないだろうということは、そのぐらい劇的な今雇用情勢の悪化がありまして、そこら辺の危機意識をもう少し入れておいていただいた方が、出すタイミングとしていいのではないかなと思ったんです。
 ですから、例えば3ページの「はじめに」で、単なる「変化」とか、「グローバル化など経済社会が大きく変化する中」は、これは普通の時代の変化だろうと思うんですけれども、経済的には非常に大きな変動というか激動が来ているわけでして。そういう意味では雇用情勢が増す中というのは、その同じページの(生活困難層の多様化)の下の○の1で、「経済のグローバル化、産業構造の変化などにより雇用情勢の厳しさが増す中」というのも、ちょっと危機意識が薄いような書き方だなと、そんな気はいたしました。
鹿嶋会長
はい、わかりましたというか、そうかな。そうですよね。これは去年の11月以前の書き方かな。了解しました。
 どうぞ、どんな御意見でも。
湯澤委員
細かい点ですが、7ページの(女性に多くみられる生活困難)の2番目の○で、「保護率でみると母子世帯が高い」というのは世帯保護率では。保護率と世帯保護率は違うので。
鹿嶋会長
わかりました。「世帯保護率でみると」ですね。
神田委員
「派遣切り」のことに関連して『毎日新聞』ですが、「育休切り」ということが報道されていました。これは大変なことですね。
岡本委員
それは今、相談に連合などにも来ている状況ではありますので、育休切りで。正社員が育休を取っているときに、もう来なくていいですよということを言われているという相談がありました。派遣で働く人の育児を理由にした雇い止めが、報告書のどこかに書いてあると思いますが、今の状況から言うと、正社員のところまで入れた方がいいかもしれないです。
鹿嶋会長
労働局の均等室を調べる機会があったんですけど、あそこで一番多いのはセクシャルハラスメント相談で16,000件ぐらい年間に来るんですが、次が今の話なんですよね。要するに、妊娠・出産・育児等による不利益配転が年間3,000件ぐらい来ているんですよ。だから、その中に育休切りといいますかね、そういう問題が入ってきているのかもしれませんね。
 ただ、ここの場合は、「切り」の場合は、さっき住田委員がおっしゃったのは、派遣だけでなく請負も入っていますからね、「派遣村」で切られている中にはね。だから、「派遣切り」というと、派遣社員だけかという固定的イメージが定着するかなということなんでしょう、住田先生がさっきおっしゃったのは。
山岡分析官
今の「育休切り」に絡みまして、10ページに(女性と労働をめぐる問題)という中で、ヒアリングから見えてきたことでございますが、3点目の○に、「育休切り」とは書いてはいないんですが、「妊娠による派遣契約の解除」ということで、「育休」とまでは書いていないんですが、そうした「女性であることを理由とした様々な問題も生じている」というようなことを書いております。ヒアリングの記録を改めて見直さないと、ちょっとそこまで書けるかどうかというのはあるんですが、今現在ではここまで書いているということでございます。
板東局長
今、神田委員から御指摘がありましたように、先週も新聞に、東京労働局発表の東京労働局で受けた相談件数などの発表が記事になっておりまして。その中で育児休業を終わった方に対して雇用が切られたとか、そういったことに絡む相談が増えてきているということがございました。全体でどういう状況があるのかというのを、今厚生労働省でもいろいろ実態を把握しようとしているというお話でございますので、その辺りの少し実態がわかるような数字等が出てまいりましたら、この場でも御紹介をさせていただきたいと思っております。
 全体で確かに育児休業自体が非常に増えてきているということもございますので、その件数が増えていることと経済的な状況の問題がどれぐらいリンクしているのかということも含めて、もう少し状況を明らかにするようなものをまた出させていただきたいと思っております。
住田委員
もし入れていただくとしたら3ページかと思うんですけれども。女性の離職による問題は、高齢期になった場合に、年金の金額に影響してくる問題ですので、そういう意味では顕在化はしていないかもしれないけれども、もう予測可能なリスクとしてそれも入れておいていただければと思います。
阿部委員
7ページの生活保護のところなのですけれども、特にそこだけというわけではないのですが、全体的に制度の問題点は何も書いてないので、それがそういうスタンスで書かれているのかもしれませんが、例えば生活保護のことに関して見れば、保護率が高齢者世帯と母子世帯とその他の世帯によって違うのは、捕捉率の違いという要因もあります。ここでは、それぞれの世帯類型の経済的状況の違いに結びつけていますが、それもありますけれども、それだけではないので、これを見ると、例えば母子世帯の方が保護率が高いから、母子世帯の方が経済的困窮に陥る確率が高いというふうに結びつけているのかなと思いますが、そう簡単に「このように」と結びつけていいものかどうか、ちょっと疑問点が残ります。
鹿嶋会長
具体的にどういうふうにこの辺り表現すればいいんですかね。
阿部委員
「例えば低所得世帯のすべてが生活保護を受けられるわけでもない」などを一言入れていただくとか。逆に言えば、生活保護にかかっていれば、そういう経済的困窮に陥らないはずなのですね。しかし、これを見ると、母子世帯の保護率が高いことが強調されますが、母子世帯の貧困率が60%なのに、保護率は10%なんですね。その50%は生活保護にはかかってないわけであって、そういう違いがこの報告書からはちょっと見えてこないかなという気がします。
鹿嶋会長
なるほど。わかりました。いい御指摘ありがとうございました。
大沢委員
とてもあいまいな質問になってしまうのですが、私も阿部委員と同じように、社会制度の問題が余り出てきていなくて、この後でまた議論をすることかもしれないけど、セーフティネットが出てきて、それは雇用保険との関係で多分出てくるのだと思いますし、それから、生活保護はまた別のところで出てくるのかもしれない。だけど、今問題になっているのは、その間にすごく大きなギャップがあって、非正規の人はそこに落ちてしまいますよという問題だという、現実問題としては、そこをどこで拾えばいいのかを考えていました。
 それと、もう一つは、母子世帯がなぜ2つも3つも掛け持ちの仕事を持っているのか、パート賃金が非常に低い問題と社会保障制度の問題はここずっと長い間男女共同参画委員会影響調査でも議論されてきて、ほとんど手がつけられないままになっていて、就労調整の問題が出てきているわけですが、ただ、雇用形態によって適応率に差があることが、経済のグローバル化の中では非正規労働を増加させる方向にも働いているわけで、つまりは、男女の役割分業を前提にしてつくられた社会制度が全然変わらないことが非正規労働者の増加を生み出して、かつ、生活困難者を生み出しているととらえてみると、ここで一番やらなければならないのは社会制度を変えなければこの問題は根本的に変えられないというメッセージがどこで出るのかなというのをずっと考えていました。
住田委員
すみません、それに関して。
 1-2の図表49の「子どものいる世帯の相対的貧困率(再分配前・再分配後)」で、再分配後の方が大きいのは日本だけであるという、この図表はまさに制度の何かひずみを表しているのだろうなと思います。私はそこは専門家ではないのですが、少しそこら辺を説明していただくと、制度に対する何らかのコメントになるのかなと思っておりました。
小杉委員
大沢委員の御意見に関連してなんですが、非正規雇用をめぐる諸問題の中で、非正規雇用、セーフティネットの話をここでとらなければいけないことが抜けているのではないかと思うんですよね。要するに、雇用保険に入っていないという問題が。だから、セーフティネットに。それは雇用保険制度の問題ではあるのですけれども。多分、ここの次のような問題状況があるという中には、制度的問題もこの中で指摘しておくといいのではないかと思います。
潮谷委員
大沢委員が言われましたように、私も社会保障制度そのものが制度設計するときに、男性中心の中で制度設計されてきた、その経過が結果的に女性が生活安定を得ていくときの非常にマイナス要因として動いていっているということと。それから、就労現場の中にもそのことは影響を及ぼしていっておりますし、年金の問題にしましても、実は女性たちが働いて、正規の労働者として年金をかけてきている。それがいざ夫を亡くしたときに、男性の遺族年金を選択するのか、女性自らの年金を選択するのかという問題があります。女性自身がその働いてきた貨幣的な価値を切り捨てることが前提になっているような社会保障制度の仕組みがあるわけなのですよね。ですから、そこら辺りの社会保障制度の男性中心で来たそこら辺りをどこかで、触れる必要はないかと思うんですね。大沢先生が言われたその点はとても大事な観点ではないかと私も思います。
鹿嶋会長
今何人かの方から出てきた問題は、12ページ以降の方にある、あるいは書いておくべき課題だと思うんですね。改めて12ページ以降を見て、今言ったような趣旨のことが抜けていれば、例えば何ページのどの辺りにこういう問題を入れなさいというふうな具体的な指摘までいただけると大変ありがたいんですが、どうでしょうか。例えば大沢先生の意見が何ページ辺りに入れたらどうですかというふうな具体的な指摘までもらった方が、事務局も私も困らなくて済むんです。
潮谷委員
私は、どこにということ以外に、もう一つ11ページ以後のところで気になっていますのは、17ページにエンパワーメントのことが言われているわけです。「今後検討すべき課題」の中にも、実は高齢者が抜けていっております。高齢社会の中で、高齢女性がエンパワーメント、あるいは自立に向けた施策、検討すべき課題の中にあるという、そういう認識を持たないと、社会の活性化は失われてくるのではないかというような思いをちょっと抱いたところでありました。
 以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございます。
 高齢者のエンパワーメントについては、前回の専門調査会で、いわゆる高齢者の貧困問題をやりました。結論は、若いときからの連鎖なんですね。ですから、これを書いた背景には、若いときにまず女性の自立できるような経済力ということがあって、それがずっと引きずっていったわけですよね。それが多分あってこういう形になったのかなと思いますが、でも、何らかの形でこの中に高齢者のエンパワーメントを書き込みましょう。具体的に例えば何がいいですかね。
潮谷委員
高齢女性の問題の中では、経済的な問題だけではなくて、社会参画の問題とか、それから、いろいろな形の中で情報の問題だとかということを含めてエンパワーメントできてないというようなこともありますので、課題としては、今後高齢者問題を考えていくことはとても大事ではないかなと私は思います。
鹿嶋会長
生活者の自立という問題も、高齢者、特に女性の単身高齢者の場合は、何か出るかもしれませんしね。わかりました。
 ほかにありますか。
山岡分析官
先ほど御議論がありました、社会保障制度の問題につきましては、現在、明確に書いているのは、19ページの上の方の(女性の就業継続や再就労を支援するための環境整備)の中の3つ目に、女性の多様なライフスタイルの選択を尊重し云々という、制度が中立的なものとする方向で、ということで、これはこれまでたびたび監視・影響調査の報告書などでも書いてきた、そういう方向性はこの問題に関しては抜かすことはできないということで書いております。ただ、個別の制度の問題がどうかということに関しては、まだ現状では関連する施策・制度のヒアリングなどにつきましては、4月以降という予定でございまして。そういう中で余り書き込んでいないというところでございますが、今御意見がありましたように、ヒアリングするまでもなくわかっている制度の問題につきましては、書ける範囲で織り込んでいきたいと思っております。また、ほかにもし追加すべき、ここにもう少しこういう形で書いた方がいいという御意見がございましたら、是非いただければと思います。
板東局長
高齢者の問題につきましては、今、鹿嶋会長からもお話しいただきましたけれども、前の報告書でやってはいるんですが、改めてもう少し盛り込んだ方がいい点があるかなと思いますので、そちらの方はまた検討させていただきたいと思います。
神田委員
先ほどの制度の問題をどこに入れるかということなんですけれども、12ページの「生活困難をめぐる状況~困難の複合化・連鎖・固定化」そこら辺に入るかもしれません。
 それから、17ページのエンパワーメントですが、高齢女性のことがちょっと弱いと思いますので、「ライフコースを通じた」というわけですから、「高齢期の」とか、社会的な活動とか、社会参画とか、そういうこともここでは重要ではないでしょうか、エンパワーメントとして。プラス思考で行けば、元気な高齢女性は社会参画の担い手かもしれない。そこら辺を書いていただくと、少し明るくなるのではないでしょうか。
鹿嶋会長
はい、ありがとうございました。
住田委員
15ページの「男女共通にみられる状況」の自尊感情の侵害の中で、いじめ、不登校とDVがある、あと児童虐待の被害者と入れていただいた方が、連鎖につながると思います。
鹿嶋会長
ほかにはどうでしょうか。白波瀬委員は御意見どうでしょうか。
白波瀬委員
ちょっと雑駁な感想を述べさせていただきますと、中間報告の方向性についてです。最初の段階で小杉委員からも出ましてように、この委員会としては何を新しい視点としてアピールするかということを強調した方がよろしいと思いました。
 生活困難に関わる問題は諸側面が複合的に絡んでおりますので、何が先で何がその結果としてくるかという因果関係を特定化することがやさしくありません。経済的問題が根底にあるとは思いますが、それだけでなく実際の生活者にとっての困難リスクというところにこそ実は現実的に問題があるし、それは諸制度の改革も含めて取り組んでいかなくてはいけないという点が、本委員会で強調されるべきところだと思います。この点、もう少し強弱をつけて提示していただけると、尚よろしいかとおもいました。
 あと、もう一点。「男女共同参画」という点に関連して、男女の話か、女性の話かという点について議論をし始めますとキリがありませんが、どちらかに焦点を当てた報告書にした方がメッセージがはっきりするのではないかと思います。もちろん、男女の問題は、男か、女かのどちらかの問題でなく、どちらも問題なのですが、、焦点が絞れれていた方がメッセージとしては強いと思いますので、そういう意味ではあえて女性を取り上げているし、ここにこそ問題があるというところを強調したらいかがでしょうか。もっとも、これは男性だったら問題がないと言っているのではないことについては、適宜触れていただくことも必要だと思います。報告書というのは総花的よりも、どこかに焦点を絞った方がインパクトがでてくると思います。
鹿嶋会長
ありがとうございます。
 何が新しいかというのは、生活困難度は何かという中で、それを意識しながら分析していく必要はあるかもしれないね。あとは、複合的な問題は、複合的なものをずっと引っ張っていることは何度も指摘してありますが、それも何かわかるようにすることと。
 私なんかは、随分女性が主役だと思う報告書だなと読んでいるんですが、やっぱり「男女」になっていますか。私は、だからこそ男性の問題はもっとあるのではないかと前回の調査会で言ったんですが。
白波瀬委員
そこのところ、私も大賛成です。父子家庭の貧困問題についても、男性単身の問題も深刻ですし、何よりも2000年に入ってからの男性の生涯未婚率の高さはきになります。ただ、該当するケースが量的にはまだ少ない。逆に言えば、この問題はそれ自体重要ですので、別途、議論した方がよろしいかもしれません。これを男性も女性もと同時進行でやっていこうとすると、重要な今現在ある女性の問題が過小評価される危険性もでてきます。ここはやっぱり女性でというところで主張した方が、かえって男性の問題も軽々しく扱わないのではないかと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
畠中委員
11ページまでは、これは大変なことだということでお聞きしていたんですけれど。それではどうするかということでして。それは17ページ以下の「今後検討すべき課題」になるんですが、それは今後、「最終報告に向けて、具体的な取組の必要性やあり方について検討を深めていく予定である」ということで、余り具体的なことが書かれてないのは、この段階ではそうだと思います。今後、ヒアリング等を通じて検討されて具体的なことが書かれていくのだと思いますが、その際のちょっとした留意点を申し上げます。
 まず、18ページの教育ですね。私も大学で教えていまして、教育の重要性は重々承知しているつもりなんですが、先週もある先生から聞いたんですけれど、今、就活(就職活動)が厳しくて、ゼミに入っていると、そのゼミの先生が全部お世話してくれると考えている学生がいると言っていました。これは、1年生の段階からキャリア教育をしなければいかんなと思いました。
 それから、その次の段落で、「関係機関間の連携に基づく支援が必要」と、これは当然のことなんですがね。ただ、役所は縦割りでして、これだけではどこも何もしない。だから、例えば、連絡会議を設置する、などというような、もう少し具体的なことを書かないと、うちのことではないと思って、どの省庁も何もしない。それから、相談体制とか支援ですね。これは大変重要なことだと思います。というふうに、今後どうするかということを考えるときは、具体的にどの省庁について、具体的にああせい、こうせいとはっきりわかるように書いた方がいいのではないかと思います。念のためにということで。
鹿嶋会長
具体的なポイントを挙げていただきまして、ありがとうございました。
袖井委員
今の畠中委員のおっしゃることに賛成いたします。確かにいろいろヒアリングに行ってみると、支援団体そのものの間の連携がとても悪いですね。施設なども空いているところがあるかと思うとウエイティングがあるところがあって、確かに連携というのをどこかに入れた方がいいと思います。東京都社会福祉協議会で初めてそういう協議会みたいなものが出来始めつつあるようですね。
 それから、もう一つ最後のところに入れた方がいいかなと思うのですが、支援組織への支援ということです。これはヒアリングに行ったときに「内閣府さんお金出してくれませんか」なんて言われちゃったんですが。要するに、NPOなどは手弁当で、本当に無償でやっていらっしゃって、それで大丈夫なのかなと思います。韓国などは、そういう民間の活動に政府がお金を出しているんだそうですね。韓国などはキリスト教関係の団体が多いそうです。支援組織に対する支援と、支援組織間の連携とか、その辺りは最後に入れてほしいなと思います。
 それから、何かポンチ絵みたいなものを考えていただけないか。私も何かうまく書けないかなと思うのですが、そういうのが得意ではないのですけれども、例えば背景があって、問題があって、問題からこうなってこうなるというようなものを書いていただけると、ほかの役所の方あるいは政治家の方などもわかりやすいのではないかと思います。何か絵解きみたいなこともちょっと考えていただきたいなと、これは希望でございます。
鹿嶋会長
あれは最初はつくったんだよね。概念図みたいなものをつくってくれているんですね。
山岡分析官
内々にはつくってあるんですが。ですから、参画会議までにはつくる予定でございますので、すみません。
神田委員
17~18ページの先ほどのところを見ますと、生活困難層として、若者というところが多く出てくるんですね。だけど、全体として高齢者が増えて、生活困難という状況が出てきますので、そういう人たちに対する教育とか学習の問題は大変大きいと思うんです。そこら辺をここにもう少し入れておくといいと思います。
 実は、私どもで今、キャリアがあまりにも職業に寄り過ぎて考えられているので、実際に社会の共通基盤をつくるキャリアということで、「社会活動キャリア」というとらえ方をしております。これは、社会活動を実際にしている方にとっては、それが、キャリアとして認められるということで自信にもなるようです。もちろん、職業キャリアとの関係も考えなければならないのですけれども、今そういう時期ではないかと思っております。それなどは高齢者の問題をとらえていくときに、有効だと思いますし、教育や学習がそこで果たす役割は大変大きいものがあると思います。
鹿嶋会長
前に厚生労働省もそういうことを考えましたよね、一時期ね。社会活動のキャリアを、再就職するときの評価のポイントにしようということを考えていたような記憶があるんですけれども、その後どうなったか。でも、非常に大事な指摘ですよね。
神田委員
いまに履歴書にそういうのが付くといいと思っております。
勝又委員
最後のところのどうしていったらいいのかというところの中に、是非、エビデンスに基づく政策立案を今後はやれと入れてほしいです。政策立案にエビデンスを使って資料をつくることはこれまでもありますが、標準世帯など架空の条件で作った社会保障制度などについてのモデルが多いのです。そうではなくて、実際の家計の個票データでエビデンスに基づいた、実証に基づいた政策立案をしていくことによって総合的な施策を考えることができるとおもいます。また、政策をやったときに必ずエビデンスに基づく評価をやると。この委員会では監視・評価をするという形でやっておりますけれども、このような評価を通して制度疲労をしているような社会保障制度の具体的改革案がでてくると思います。そういうような視点も入れていただければなと思います。
山谷委員
評価が出てきましたので、一言。まさにおっしゃるとおりで、ちょっと感じていたんですが、後半部分は時間軸がないんですね。ですから、言い放しになる可能性があるので、せめてエビデンスに基づいて、時間が経過してどうなるかということで、評価の視点でいくと、3つぐらいはあるかなと思うんです。非常に大事で中長期的な重大課題なんだけど、すぐは解決しない。だから、いつも心にとめておいていただきたいというのが1つですね。それから、その全く逆で、緊急課題で今すぐやらなければいけない。これは1年か2年単位ぐらいで見ていただく。3つ目が、問題が広くなるのは確実にわかっている。今からエビデンスがわかるんだから、これにあらかじめ対応していかなければいけない。ですから、5年から10年ぐらいのスパンで、そういう3つぐらいの時間軸で置いておかないと、いつ評価したらいいか、どう評価したらいいかができないので、そこのところを少しお考えいただきたいなと思っています。
鹿嶋会長
おっしゃるとおりだと思いますね。それは非常に難しい。それについての精緻な議論を実はしていませんのでね。中間報告ですから、今、先生のおっしゃったことに100%答えられないかもしれませんが、事務局としては、是非今のことを頭に置いたものをもう一回ちょっと整理してみることも必要ですね。それは確かに大事ですよね。
桜井委員
これもこれから先のことなのかもしれませんが、家族形態がだいぶ変わっていく中で、例えば若者の支援の18ページの辺りですが。例えば、キャリアを築くために職業訓練校などに行きたいという若者があったり、あるいは今、自分の成育家庭が大変貧困で、生きにくさをすごく抱えてしまって、学校もなかなか行かれない。定時制も途中でやめざるを得ないというような人たちに対して、家族がいるからということで、制度的には何もその子に対して支援もできないという状況があって、そういう場合に例えば母子家庭のお母さんが職業訓練を受けるときに訓練手当が出るように、中学を卒業した子、あるいはまだ10代の子たちにも、例えばそういうことが可能にならないかとか。つまり、これまでのキャリアを築く職業訓練のあり方、あるいはそこへの手当の出し方も、家族の形態がだいぶ変わって、家族としての機能がなかなか果たし切れない家族が大きくなっていくときに、そういったところまでの目配りというか、今の職業訓練制度と言ったらいいのでしょうかね。そういったところまでの何か。この中間報告ではなく、この次の課題になるのかもしれませんけれども、教育領域と職業領域との連携に基づく若年期の教育の充実といった辺りで、これまでの親子関係がだいぶ違ってきているというところについて、そこに目配りした何か施策が必要なのではないかという記述ができないだろうかと1つ思っています。
 それから、もう一つ、その上ですが、キャリア教育が、大学の教育段階からというのでは、前回も御指摘があったかと思いますが、ちょっと遅いのではないかと思っています。
 それから、もう一つ、神田先生の御指摘の社会活動キャリアが、生涯学習でキャリアを築いていたものが、これまでもなかなか職業に結びついていかなかったという実態がありますから、これまでのそれと社会活動キャリアとの概念の違いというのでしょうか、そこのところを明確にしないと、こういうことだけで出しても、これが職業に結びつく、つまり経済的自立に結びつくキャリアになることが大変難しいのではないかと思いました。
鹿嶋会長
高校、大学からでは遅いというのは、義務教育段階からということですか。キャリア教育をそういう表現にした方がいいですか。
桜井委員
はい、そうですね。キャリア教育と言ったらいいのかわかりませんが、例えば『13歳のハローワーク』がありますよね。ああいうのも既に民間では出ているわけですし。それから、自分が仕事を人生の中でどういうふうにとらえるかということを、例えば総合学習でもいいのですけれども、そういうふうな視点からの何かがあるといいなと思っております。
鹿嶋会長
いまひとつよくわからなかったんですが、家族形態の変化と職業訓練のあり方は、具体的にどういうことですか。もう少し簡単に言うと。
桜井委員
今、成育家庭が大変困難な状況にある人たちは、自分に意欲があっても、例えば親が生活保護の申請をしないとか、それから、学校教育が受けられないという状況があって、そこからフリーターとか、そういうところに流れていくわけですよね。そうすると、自分がいくら何か訓練を受けたいと思っても、なかなか18歳未満の子たちなどは、自分では何のしようもないという、親の保護のもとにあるから、その親次第で得ることができる制度も、そこも得られなくなってしまっているという状況が、最近大変多く見えていると思っているんですが。
潮谷委員
今のことに関連してですが、18ページのア.の書き方を少し考慮した方がいいのかなと思います。ここのところは「若年期における」と書いてあります。そして、そこの3行目に「早期からのキャリア教育を充実させていくことが必要」と。私は、キャリア教育の最初のスタートは実はもう幼児期、早く言えば乳児期からの問題なんですね。例えば「遊ぶ」ことの発達がずっと発展していく。ピアゼなどに言わせれば、それが発展していく形の中で構成遊びに行ったり、次は職業につながるような形になったり、という非常に早期の部分から見ていく部分があります。今、子どもたちの中では「遊ぶ」ことが大変乏しくなってきている。そういうような状況の中で、なかなかキャリア教育は順調な形の中で学習されていってない子どもたちの存在がすごく多いんですね。ですから、私はここの「早期からキャリア教育を充実させていくことが必要ではないか」と、今、桜井委員がおっしゃった中身はこれでもういいと思うんです。ただ、その上のところが「若者が」という形になっておりますし、「若年期における」と、こういうふうにされているために、ここのところの「早期から」がやや義務教育を終わったところからというような認識にたどり着いていってしまいますので、できれば、そこをちょっと創意工夫することによって、ここの部分は今桜井委員がおっしゃったことも含めて生きてくるのではないのかなと思います。
鹿嶋会長
「若年期」は、義務教育を終えてからというニュアンスが強いですか。
潮谷委員
ええ、そうとらえられるかなと思います。
鹿嶋会長
これは検討させてください。
湯澤委員
全体を通して、「大変な家庭だったから困難なんだ」というような形で、家族批判というか、家族の自己責任と受けとめられていくことはないかどうか、点検してみました。12ページの(1)の「困難の複合化・連鎖・固定化」といったところなんですけれども、ここで何かもう少し明確に伝わるものをもう一個加えられないかなと思ったところなんです。「困難の複合化・連鎖・固定化」が、いわば昔から言われていることといえば昔から言われていることで新しいことではないので、これが現代的な文脈の中でこのことがより一層改めて着目することが必要なんだというところに位置づけた方が、家族の自己責任論というようなことに短絡的にはいかないのかなと思います。
 例えば、3段落目では、生活困難な状況というのは、「ある一時点に降って湧くのではなくて、ライフコースの様々な場面で」と書いてはあるのですが、とりわけこれだけ家族の経済基盤が子育て世帯でも二極化しているというような形になってきている中にあって、家族の持つ資源、家族資源の格差が埋め込まれている社会の中で、その資源格差がなかなか解消されずに、そして、それの中で、教育費の問題にしても、家族に依存するような施策がとられているために困難な状況にある家族は一層困難になっている。その中で複合化や連鎖や固定化といったものが抜け難いものになっているというような形でとらえた方がよいのかな、という印象を持ちました。
 そういう意味では、3行目の「例えば、DV被害女性は」とか、「また、ニート等についても」の記述についても、確かにこれは正しいことではあります。しかし、ニートについても、「いじめ等との経験」がというところで複合化・連鎖というふうに始まっているんですが、もっと根本的なところから、もう少しその手前の部分から連鎖・複合化している部分があって、その中にいじめがあるということであると思いますので、何か家族資源の格差とか、それによる教育機会の格差とか、その辺りのところにもう少し入り込んだ方がいいのかな、という印象を持ちました。
 そういった目で見てみると、付属資料にはたくさんデータがあって参考になるものなんですが、この中に教育機会の統計がないんですね。このテーマが成人期ということで、子ども期のことということではないにせよ、高校生の進路選択においても、家族の経済力と、それに絡んだ学力、それから、性別でも格差があることは、統計的に言われてきていることなので、高校生の進路選択におけるジェンダー統計みたいな形で、例えば浪人する人も男の子の方が多いとか、短大は女子が多いとか、何か複合化・連鎖・固定化がもうちょっと出発点に当たるようなところで見えてくるものも入れ込めた方が、現代の社会状況の中で、なぜ複合化・連鎖・固定化を問うのかといったことが見えてくるのかなという印象を持ちました。
鹿嶋会長
ありがとうございます。「複合化・連鎖・固定化」はこの報告書のキーワードの一つだと思いますが、それは時代を反映した新たな文脈でと、そういうことなんだと思いますので、そういうふうに理解しております。
神田委員
ここはあえて「生活困難」を打ち出しているわけですから、職業を離れた人の問題も当然入れていくわけで、職業は重要なんですけれども、そこら辺の目配りは非常に重要ではないかと思っております。
勝又委員
先ほど袖井委員がおっしゃっていた組織への支援というお話があったのですが、韓国のお話をちょっとされましたけれども、韓国は、女性の職業センターをマッチングファンドでやるという制度を何年も前からやっていまして。つまり、NPOなどの民間団体が、提案をした事業について、マッチングというのは費用の半分だとは思うのですけれども、公的な財源をそこに投入していっています。ここの最後の方に、支援チャンネルの多様化というところには、地域NPO、企業等との公的な政策の連携をいかに利用していくかということがあると思うんですが、具体的に財源的な話にも踏み込んだ議論をしていくべきだと書いたらいかがでしょうか。
阿部委員
意図的なところではないのかもしれないですけれども、12ページ以降に女性の生活困難に陥る背景とか、その次のページ、その次のページにも入ってきますけれども、「出産・育児等のライフイベントの影響」が何遍も出てくるんですね。固定的性別役割分担意識だとか。たしか最初の方では、未婚の女性の貧困問題についても書かれていたかと思いましたけれども、ここから先は、出産によってやめることが問題だというような、そういうような印象を受けてしまいます。例えば母子世帯のお母さんは、もともとからずっと雇用を継続していて、それは離婚前からもずっとそうなんですけれども、ずっと非正規だったという人もいるわけです。ですから雇用の男女格差が一番最初に出てくるべきではないかなと思います。そこのところが正規であっても男女格差があることもありますし、勿論非正規ではさらに格差が大きい。それは出産とか関係なくもともとあるというところをもう少し前に出していただきたいなと思います。
鹿嶋会長
いい指摘をありがとうございました。
小杉委員
私は湯澤先生のおっしゃったこととても賛成なんです。この書き方で一番気になってしまうのが、「自立に向けた」という18ページの頭のところのライフプランニングを考えれば何とかなるのかという感じがするんですよね。つまり、格差の固定化・複合化・連鎖を問題にするならば、生まれ落ちたときから背景に持ってしまっているものがあって、それに対してどうやって介入していくかという話だと思うんですね。それを自分でしっかり考えましょうという、これを最初に持ってくるというのでいいのかなと。これも必要ですけど、これが頭かなというのはとても疑問に思いました。
鹿嶋会長
ただ、それは何回も、初めに教育ありきという議論がここで出てきたんですよね。やっぱり教育だろうという議論がね。
小杉委員
教育ではあるんですが、この教育というのは、本人が自分でキャリアを設計すればいいんだと。でも、それ以前に教育から排除されてしまう。あるいは、最初からインセンティブの話がありますけれども、家庭環境によって学校教育の方に向かないような育て方をされてきてしまうわけですよね。そこに対する介入が大事なんだという話は、できればそちらの方を冒頭に持ってきていただいて、その後で、勿論考えることは大事ですから、それはやってほしいんですが、そうしたある格差を背景に持つ子どもたちという存在を最初に考えなければいけないのではないかと思います。
鹿嶋会長
わかりました。
 大変熱っぽい議論をありがとうございました。報告書の最終とりまとめでこんなに熱っぽくやったのは久々だと思います。
齋藤審議官
蛇足でございますが、「障害」の「害」の字の用字なんですけれども、必ずしも平仮名表記が主流になっているというわけでは必ずしもないのではないかと思います。その辺は潮谷先生が一番御専門でございますけど。
潮谷委員
実は熊本県の場合は、「障がい」の「がい」の字を平仮名表記でしましょうということを、これは県の意思として決定をいたしました。そのために施策全般にわたって「障がい」の「がい」を平仮名で表記しております。法律の関係で言いますと、ここに表現されている「障害」が一般的にまだ使われておりますので、その辺は内部的にもどういうふうにするのかということを検討されたらいいかなと思います。それから、これから権利条約の関係も出てきますので、おそらくはどんな表記をするかというのは、今後の課題の中に出てくると思いますので、あえて「害」の字に余りこだわらなくてもいいのかなという感じがしているところです。熊本県の場合は、全体に議会も全部含めて意思統一をいたしました。それで使っています。
鹿嶋会長
我々の報告書で「害」を平仮名にすると、問題がありますか。
板東局長
正直申しますと、政府関係の文書の中での統一的な表現がとりあえずはあるかと思いますので、将来の問題としては、障害者の問題についてどういうふうに扱っていくかというのはあるかと思いますけれども、とりあえずちょっとその辺りはおまかせいただければありがたいなと思います。
鹿嶋会長
はい、わかりました。
 どうもありがとうございました。3月26日の男女共同参画会議に中間報告として提出しますが、その前に今たくさん意見が出ましたので、それを踏まえた修正(案)を皆さんにお送りさせていただきます。必ずしも100%皆さんの意見を反映できるとは思いませんが、なるべく反映いたします。それは会長一任ということでお任せいただければと思っております。また、その後は、各省の施策ヒアリングなどを織り込みながら、最終報告に向けて検討をさらに進めていきたいと思います。
 では、事務局の連絡事項がありましたら、どうぞ。
山岡分析官
本日は、本当にありがとうございました。今後の会議の日程につきましては、年度明けになるかと思いますが、日程調整をいたしまして、改めて御連絡をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。本日の資料の扱いでございますが、すべてまだ確定していない非公表ということで、お取扱いに御注意いただきますようお願いいたします。どうもありがとうございました。
鹿嶋会長
それでは、これで第34回の監視・影響専門調査会及び第8回の生活困難を抱える男女に関する検討会を終わります。本日は、どうもありがとうございました。

(以上)