監視・影響調査専門調査会(第29回)議事録

  • 日時: 平成20年5月19日(月) 15:00~16:36
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 大沢委員
    • 植本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 報告書案について
    • (3) 閉会
  3. 議事録
分析官
本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は大沢会長代理に進行をお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。
大沢会長代理
それではよろしくお願いいたします。ただいまから、男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第29回の会合を開催させていただきます。
 本日は、「高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査」の最終報告案についての最後の審議となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず報告書案について事務局からご説明をしていただきます。
分析官
それではご報告させていただきます。
 先ほど大沢会長代理からもお話がありましたが、本日高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査につきまして、最終のご審議をどうぞよろしくお願いいたします。
 資料でございますが、資料1-1が最終報告(案)、現時点の最終案でございます。また、それに付随する資料といたしまして、資料1-2が参考図表、データ一覧です。資料1-3が、今回各府省ヒアリングをして、各府省が実施している施策について取りまとめたもの、この3点のセットで最終的な報告を取りまとめる予定です。また、参考資料1という形で最終報告(案)の修正履歴が入ったものをご用意しております。
 では資料1-1で最終報告案につきましてご説明いたします。
 まず1ページ目の目次でございますが、前回にもお示しました3章構成で、第1章で趣旨と問題認識、第2章でデータの分析並びに施策の分析として状況の分析、第3章でそれらを踏まえた課題と取組について整理するという構成に関して変わりはございません。
 これから前回からの主立った修正点を中心にご説明いたします。
 第1章につきましては、特に大きな変更はございません。
 5ページにまいりまして、第2章でございますが、「高齢男女をめぐる状況と関連する施策」、こちらにつきまして分野ごとに状況分析をしております。内容に大きな変更はなく、文言修正、データを確認した上でのデータ構成による修正等で対応してございますが、1点データ等を追加しましたのが5ページ目の網かけをかけている部分でございます。これは、高齢期に至って女性が就業しにくい背景には、高齢期以前に40代、50代で女性がかなり早い時期で離職をする実態があるというのが、高齢女性の就業状況にも影響しているという点について、状況を把握しておいたほうがよかろうというご意見をいただきまして、データを追加しております。
 参考図表19と20がこれに関係して追加したものです。参考図表の10ページ、11ページでございますが、労働力率で見ますと、女性につきまして、下のグラフでございますが、やはり40代後半以降、労働力率が下がる傾向がございます。また11ページにまいりまして、平成9年10月以降に前職をやめた理由ということで、45~54歳、55~64歳をみますと「家族の介護・看護のため」とする割合が女性は男性に比べて高いということがございまして、こうした女性の離職にはもちろん病気、高齢、人員整理、退職勧奨によるものが多いですけれども、女性の場合には家族の介護・看護を理由とした離職が多いという点について状況を分析したものを付け加えております。
 では資料1-1にお戻りいただきまして、次に施策にかかわる部分で変更点があった部分についてご説明します。
 この26ページ以降、第3章の部分が、今後意見決定していただく部分として予定しております。言ってみれば、この報告書のコアになります。この中の「1.高齢者の自立支援における男女共同参画の視点の重要性」、「2.基本的な考え方」に関しては、前回から特に変更はございません。
 「3.施策横断的にみた課題と取組」の (1)ですが、男女共同参画の視点の主流化といった場合に、「各種施策の企画立案等の方針決定過程において女性の参画を拡大していくことが重要である」という文言を加えております。。これは、前回の専門調査会で就労支援施策に関するところで施策の企画立案への女性の参画の必要性についてご意見いただきましたことを受けたものですが、施策全般にかかわる課題でもありますのでこちらにも文言を足す形にさせていただきました。
 続きまして、28ページにまいりまして、(3)、(4)の部分で修正がございます。
 こちらにつきましては、前回は(3)と(4)を合わせた形で整理をしていましたが、前回の専門調査会の中で、NPO・ボランティア、企業といったような民間との連携、地域の資源との連携の重要性ということについて、どこかに書いておいたほうがよいというご意見をいただきましたので、ここの基本的な考え方、施策横断的な課題にかかわる部分に書き足すような形で整理しています。また、地域の特性をきちんと踏まえて、地域の資源も生かしながらという意味でいいますと、タイトルとしては「地域に根ざした取組の推進」としたほうがよいのではないかと判断いたしまして、(3)の見出しの表現を変えさせていただきました。
 併せて「(4)関連施策との連携の推進」については、地域差の中だけで括れる問題ではない部分もございますので、別立てで整理をさせていただいております。
 以上が施策横断的な課題にかかわる部分でございます。
 次に29ページから「4.分野別にみた課題と取組」でございます。全般的に(1)レベルごとに考え方を書く部分について、文章が冗長になっていた部分ですとか、書き方がそろってなかった部分については整理するような形で、事務局で整理させていただきました。ただ、趣旨等につきましては、極力変えない方向で整理してございます。
 施策の項目でございますが、ア以降で変更があった点を中心にご説明します。29ページの一番下の網かけをしております「高齢女性を対象とした就業相談・支援体制の充実」、これにつきましては、「公共職業安定所、高齢期雇用就業支援コーナー、シルバー人材センター等の相談・支援において、高齢女性の就業経歴や就業ニーズを踏まえて相談や情報提供を行うための相談員研修の実施等を通して相談員の知見を高め、高齢女性のニーズや状況を踏まえたきめ細かな対応を行う」という表現にしております。
 先ほどちょっと申し遅れましたが、これ以降、施策の具体的な目玉だしの部分につきまして、関係する各省と協議をしております。この中で、高齢女性を対象とした就業相談・支援ということに関しまして、当初の案では「女性相談員の配置」、「女性専用窓口の設置」という言葉を入れていたのですが、それに関しては、例えば公共職業安定所のほうで、女性だけに特化した窓口を設置する、女性だからといって女性の相談員を配置するということについてなかなか現実的に難しいという意見が各省からございまして、実態としてニーズを踏まえた相談ができるようにということで相談員研修の実施等を通じた相談員の知見を高めるという表現で書いております。
 それから、付け加えた表現として、「特に生活に困難を抱える層については、福祉事務所とも必要に応じて連携し、ニーズに応じた対応を行う」。ここに関しては、この下の段落で、「男女共同参画センター等と連携し、高齢女性に向けた生活全般にわたる相談から、就労に関する相談、意識啓発、能力開発等についてワンストップで提供する取組を推進する」と書いているのですが、こうした就労だけではない生活全般にわたる相談に関して、男女共同参画センターだけと連携ということでは来る層がある一定で限られてしまう可能性がある。実際生活に難しい状況を抱えていらっしゃる方々に関しては、福祉事務所との連携が必要ではないかということで、「特に」から「行う」までの文言を加えさせていただきました。
 それから、その次の項目でございますが、ここが今回唯一内容を保留として項目のみ出させていただいております。これにつきましては、もともとは「ジョブカード制度における高齢男女向け取組の推進」という文言で、内容的には、現在ジョブカード制度において、高齢者向けのジョブカードをつくって、高齢者の再就職を支援する取組が進みつつあります。そのジョブカード制度において、高齢者向けの支援ということに加えて、高齢女性向けには就業だけではなくて、家庭や地域における経験能力を評価して、仕事に向けた能力開発や就業あっせんを支援するという内容を書き込んだもので、前回専門調査会の案でお示しさせていただいておりました。
 これは担当する省との調整の中で、ジョブカード制度の中において地域活動の評価をするということが、就業と同様に例えば就業証明書のようなものをとって評価することができないということ。それから、企業側から見た場合に、地域活動をしたという実績について、それを評価したいというニーズがないと、そのような意見がありまして、現在想定されている高齢者向けのジョブカード制度の中に積極的に地域活動の評価というものを位置付けていくのは難しいと、そういう意見がありまして、調整に至っておらず本日申し訳ございませんが、保留とさせていただいております。ここにつきましては、本日の先生方のご意見も踏まえながら、参画会議までに調整をしていきたいと思っております。
 それから、30ページの、「高齢者就労支援施策の方針決定過程への女性の参画の拡大」、を先生方のご意見により付け加えさせていただきましたものです。
 続きまして、ウの部分ですが、これにつきましては、網かけをかけています「高齢女性の就業ニーズに合った仕事の斡旋」、ここは前回、「高齢女性向けの仕事」という、逆に女性の就業領域を限定してしまうような表現になっていた部分について、先生方からご意見いただきまして、「ニーズに合った」という表現で変更させていただきました。30ページ、この下の「シルバー人材センターにおける高齢女性を対象とする仕事の開拓」、ここももともと「高齢女性向けの仕事」といった部分を修正したものでございます。ウの中身につきましては、項目的には変更ございません。
 エでございますが、「高齢男女の能力開発と能力発揮に向け取組の推進」につきまして、この中で能力開発講座、ICTの能力開発とありますが、一番最後の項目、「能力発揮を促進するための取組の推進」を今回新たに付け加えさせていただいております。「高齢女性の様々な分野への参画を促進するための活動の充実に向けて、地方公共団体や女性関連団体等の求めに応じて適切な指導・助言ができるアドバイザー(女性の参画促進アドバイザー(仮称))を派遣する事業を推進する」。これは男女共同参画の取組として予定を検討している施策ということで記載させていただきました。
 その下の網かけにつきましては、能力発揮施策についての男女の状況に応じた取組について、より具体的な内容を書き込むような形で整理をさせていただいたものです。
 次に32ページにまいりまして、(2)経済的自立に関する部分につきまして、最初の考え方のところに、前回、横田先生からご意見いただきましたILO条約に規定されている同一価値労働・同一賃金の原則について書き足しております。そうした原則を踏まえながら、就労における男女の均等の機会と公平な待遇の確保に積極的に取り組むことが求められると、まず原則を明記するという形でございます。
 次にアの中立的な税制・社会保障制度の構築、こちらに関しましては、前回かなり先生方にご議論いただきまして、残す方向で合意頂いた項目を整理しております。加えて、文言やトーンについて若干修正を加えております。順にご説明しますと、アの文章の中で、「第一に」というところ、女性の経済的自立を阻害する可能性がある制度の見直しが必要である。こちらにつきましては、具体的に配偶者控除や第3号被保険者制度でございます。これらの制度につきまして、最後の文章のところが、「制度を見直すべきである」と書いていたところについて、「制度の見直しの検討を進めるべきである」という形で、具体的な制度にかかわるものとして、まだ流動的な部分があるということで「検討」という言葉を入れさせていただきました。
 それから、「第二に」の部分でございますが、ここはライフスタイルに中立的にということで、前回簡単に中立的なものとするようということで書いていたのですが、その内容がわかりにくいとご意見ございましたので、「就業等の活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立的なものとする方向で見直していく」と説明を丁寧にした形で修正しております。
 33ページにまいりまして、「検討にあたっては」というところですが、これは随分以前から個別の制度の見直しだけではなくて、ユニバーサルに物事を考えるべきだというご意見をこの会の中でいただいておりました。それにつきまして、社会保障制度全般について具体的に見直す観点が欠けているという批判を踏まえ、総合的な視点からの見直しということを書いております。
 その次の段落でございますが、前回の専門調査会の中で、項目を立て、P(ペンディング・保留)であるということで出していたもので、ご議論の結果、今すぐにこういう方向で見直せというには時期尚早ではないかということがございました。したがって、介護休業期間や第1号被保険者の育児期間については、今後の議論されるべき論点であるという形でトーンを変えて、この文章の中に書くという整理にさせていただきました。
 ①以降が、前回ご議論いただいて残しましょうということでいただいたものでございます。まず第3号被保険者制度につきましては、タイトルを「第3号被保険者制度の見直し」としておりましたが、今までも何度も見直しの議論をしながら、なかなか実績に至らない難しい問題であるというところも踏まえ、「あり方の検討」というタイトルにさせていただいています。
 それから、次の「配偶者控除の見直し」、これにつきましては、2段落目の「『手当』への変換の方向性」などにつきましては残すというところで、内容的にはほぼ変わらないのですが、これも文章中の表現としては、「配偶者控除の見直しの検討を進める」と、こういう形に変更させていただきました。
 次に②のパートタイム労働者でございます。こちらも方向性として書くということに関しては問題なく前回どおりなのですが、まずはこの「『被用者年金一元化等法案』の早期成立を図る」。ただ、それでは終わりではないというニュアンスを残すように、表現ぶりを調整させていただいています。
 次に遺族厚生年金、こちらに関しましても、項目として残しました。文章表現といたしまして、まず「就業環境整備の加速化が前提」となるということ。それから、女性の就労・不就労の選択における中立性の確保だけではなく、遺族に対する所得保障の必要性等も踏まえるということを明記して、給付と負担の関係について検討すると、こういう表現で項目としては残しております。
 ③の家族形態の変化に対応した制度への見直し、これもタイトルが「モデル世帯の見直し」とありましたところを「あり方」という表現に変更しております。内容的にはモデル世帯のあり方を検討して、今の片働き世帯だけではなく、単身世帯(男女別)や共働き世帯などの給与水準等について、更なる周知に努めるということで、モデル世帯そのもののあり方の見直しも含めたニュアンスで書く方向で整理しております。
 次に老齢年金の加入期間、こちらにつきましては、方向性を明記した上で、「社会保障審議会年金部会等における議論も踏まえた上で、そのあり方について検討する」、ちょうどこちらの審議会の部会の検討が進みつつあるというところもありますので、こういう表現にさせていただきました。
 以上でございますが、税制、社会保障制度のところはトーンの調整ということがございましたが、内容的には前回のご議論をほぼそのまま反映するような形でさせていただいております。
 次に34ページからの「イ.就労における男女の均等な機会と公正な待遇の確保」につきましては、内容的には大きな変更はないのですが、「女性の再就職や起業に対する支援体制の充実」を女性の就業支援の1つの領域ということで加えさせていただいています。
 それから、その下の「ポジティブ・アクションの推進」、こちらは前回項目立てをしておりませんでしたが、男女の均等な機会の確保という点で重要な取組ですので加えました。
 次に「ウ.農林漁業」のところに網かけをしておりますが、前回は「自営業、農林漁業における家族従業者の経済的地位の向上」と自営業も含めた形で書いていました。前回の専門調査会でお示ししたときにはこの項目の中に第1号被保険者の育児期間の配慮の問題を入れていましてが、その部分が前回のご議論の結果、今回項目立てをするまでには時期尚早であると判断して33ページの前段の文章の中に織り込みました関係で、自営業にかかわる取組として項目立てするものが挙げられておりませんでした。したがって、こちらについては農林漁業に絞った形でウのほうは項目を整理させていただいて、自営業に関することといたしましては、第1号被保険者の問題を33ページの文章の中で書いている中で反映していると、そのような整理にさせていただいております。
 以上が(2)のご説明です。
 次に(3)、37ページでございます。前段の文章の中で、文章の流れ等は修正しているのですが、その中で、特に前回のご意見を踏まえた修正としましてパソコン、ここが前回は女性のほうがパソコンの習熟度が低いと書いていたのですが、そういう表現はよろしくないというご指摘があったことを踏まえ、事実を書く形で整理をしております。
 次のアについては大きな変更ありません。
 38ページのイで、「単身高齢者の自宅生活をサポートする生活支援体制の整備」という項目ですが、この中の1つ目の、「高齢者の日常生活支援施策の推進」、前回もこういう項目を立てていたのですが、前回の中では女性の生活支援員の育成配置といったようなことを書いてございました。一人暮らしの女性が多いので、だから女性というようなことでございますが、さっきの就労相談と同じ考え方で、女性だから女性でなければならないというわけではないということもありまして、「男女別のニーズへの配慮を含め、利用者ニーズに応じて一層の推進を図る」と、こういう書き方で、男女別の状況の把握、それに応じた施策の推進を求める表現に変えています。
 それから、その下の「地域福祉を活性化する体制の整備」、こちらにつきましては、前回は「(仮称)コミュニティソーシャルワーカーの配置」と書いておりましたが、こちらは今年度からモデル事業も動き出している施策で、予算要求段階ではコミュニティソーシャルワーカーという言葉を使っていたのですが、今年度実際施策を動かしだしたところでは、その言葉は使わずに、「地域福祉活動を調整する役割を担う者を配置する」と表現ぶりが変わったということと、施策としてソーシャルワーカー的な人の配置だけではなくて、そういう方々の活動が生きるような拠点づくり、それと連動した見守り活動等の事業を実施する、そういうこともひっくるめた地域福祉の活性化に向けた取組であると、もう少し大きい施策であるということで、ここは施策の内容を広めた形で差し替えています。
 それから、39ページの上の、網かけはかけていませんが、一番上の成年後見制度や消費者被害防止施策に関しましては、前回はア.イ.ウ.のレベルで、ウとして「高齢者の判断能力の低下に対応した施策」というように1項目を立てておりましたが、「判断能力の低下」という表現がどうかというご意見も前回いただきましたので、この部分は生活支援の一環としてイの中に包括するような形で整理をしました。
 次はウの中ではICTの関係ですが、この中で変更があったのは1点目のICTの利用支援の関係でございます。これに関して、今は講座開催など利用支援する取組の充実・促進となってございますが、前回は利用支援する相談員や相談窓口というようなもう少し具体的な書きぶりにしておりました。この部分は具体的な実施方策は民間に委ねられる部分があるというところもありまして、具体的に相談窓口といった場合に国としてやれることがそこまで至らない可能性が高いということで「講座開催など」ということで、文言を一部削除させていただいております。
 次に39ページの下からの住まいの確保の部分ですが、これに関しましては、40ページの「なお」書きのところが確認させていただきたいところです。前回専門調査会の中で、勝又先生からの住宅手当の創設についても既に書き込んでもよい時期ではないかということでご意見をいただきまして、当初下の3つ目の「低所得向けの住宅施策の充実」の中に住宅手当の創設に関することを書く方向で調整をしておりましたが、現時点で、まだ財政的な見込みも立たない中で、具体的な施策ということで書き込むのはまだ少し早いというところもありまして、この前にありました第1号被保険者制度の検討と同様に、今後の議論されるべき論点であると書く形で調整させていただいています。
 それから、その下の「生活支援サービス付き住居の整備」、こちらにつきましても、先ほどありました日常生活支援員と同様に、前回は女性の生活援助員を配置するということを書いておりましたが、こちらも女性だから女性というだけではないという議論がある中で男女別のニーズの把握からやるということで整理をしています。
 次に41ページにまいりまして、「性差に配慮した医療・介護予防への取組」、この中で、アの性差医療の推進に関しまして、1つ目が研究の推進、2つ目が知識の普及ということで網かけをかけています。こちらにつきましては、前回の報告案の中では、例えば、性差医療に関する研究の推進の中にあります研究機関として、具体的な名称を挙げていました。例えば国立成育医療センターですとか、国立長寿医療センターという名称を挙げておりました。しかし、名称を挙げてしまうと、そこのセンターで行っている研究が性差医療に関するものだけではなく、性差も含めたおのおのの特性に応じた研究を行っているというところで、誤解が生じやすいため、そこの研究機関名を載せて「性差医療」という言葉を書くというのが難しいということと、それからこういった研究の推進といったことは必ずしも国立のセンターだけでやるべきものではなくて、民間の研究者の方が行われる研究を側面的に支援するとそういったようなことも含めてであるという考え方もございまして、表現ぶりを研究機関名を外し、なおかつ「学会や研究機関等との連携の下に、性差医療に関する研究を一層推進する」という表現にしています。
 「性差医療に関する知識の普及」、こちらに関しましても、前回は病院団体及び学会等との連携といったような言葉も入れていましたが、やはりいろんな方策が考えられる中であまり方法を限定するというところは得策ではないという判断もありまして、基本計画の表現に揃える形で調整をしました。
 それから、次の「女性のニーズに合った医療の推進」、こちらに関しましては、前回は「性差医療を推進する体制の整備」という言葉にしておりましたが、新健康フロンティア戦略の中で、女性の健康づくりという関連で出されている表現が「女性のニーズに合った医療」となっているため、整合性を図って表現を整理しています。
 次に41ページの下から生活習慣病対策、介護予防施策の関係ですが、42ページにまいりまして、ここは「特定健康診査・特定保健指導における男女別評価の促進」、この評価につきましては、表現ぶりは変えましたが残しております。他方、介護予防の施策についても男女別評価を促進するということを入れておりましたが、これに関しましては当面実施の見込みが非常に立ちにくいということがありまして、今回は確実に個人別のデータの整備がされる「特定健康診査・特定保健指導」、この部分についてやってもらうという方向で整理しています。
 それから、その次の「男女の健康問題のニーズに応じた個別の予防プログラムを受けられる仕組みづくり」、これについて前回は「男女の違いに応じた保健指導・介護予防プログラム」というような表現をしていましたが、表現ぶりを健康フロンティア戦略で言っている「女性の健康問題のニーズに応じた」という表現に合わせて整理することにしました。
 次に43ページにまいりまして、(5)でございますが、この中の内容はほぼ変わらないのですが、アとイの整理の仕方を若干変えています。前回、(5)のタイトルが「女性の介護負担の軽減・良質な医療介護基盤の構築」ということになっていたのですけれども、ここの部分、女性の介護負担の軽減というのが他の項目に比べてここだけ目的が入ってくるというのが違和感があったので、「良質な介護・医療基盤の構築」と修正しています。
 それから、アとイに関しましては、前回アは「女性の介護負担の軽減に向けた継続的な取組」、イが「良質な医療・介護基盤の構築に向けた取組」という形で、アが介護、イがまた介護+医療ということで、介護の部分が両方に入ると、内容的にあまり変わらないにもかかわらず整理が不十分であったというところがありまして、アで介護関連のこと、イで医療関係のことということで項目を整理させていただきました。それに伴いましてタイトルの表現も変更しております。
 施策の内容といいますか、表現ぶりをもう少し詳しくしましたのが44ページの「介護労働者の雇用管理改善に向けた取組の推進」、こちらが前回は「介護労働者の処遇改善に向けた取組の推進」と言っていましたが、ここは「雇用管理改善」といったほうが、より今行おうとしている取組の表現ぶりとしては正確であるということで、「雇用管理改善」と言った上で、内容に関して関係法令の遵守、就業の実態とニーズに関する男女別の把握、キャリアや能力に見合った適切な給与水準の確保等と内容をさらに詳しく書き込むという形で整理をさせていただいております。
 以上が主立った修正点でございまして、細かな部分については参考資料のほうもごらんいただきながら、確認その他ご意見等ございましたら併せていただきつつご議論いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
大沢会長代理
どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明についてご質問、ご意見などございましたら、ご発言をお願いいたします。どの部分についてでも結構ですので、ご自由に発言をしてください。よろしくお願いします。
横田委員
ちょっと全体にかかわることなのですが、これまでに私ははっきりさせてなかったので、今回全部通してみて気がついたのですが、「高齢者」とはっきりした定義があるんですか、つまり何歳以上、何歳、何となく65歳以上を考えているみたいなので、大体そういうふうに読むと間違いないのですが、ただ、定年制が55までの人があったりして、55歳からはかっているのもあるのと、場合によって75歳、いわゆる最近問題になっている後期高齢者という、そのあたり、ここで「高齢者」と言ったときには、65歳以上の方だということをどこか注ででも書いておいていただいたほうがいいかなと思いました。もしそれが間違いでなければ。
大沢会長代理
いかがでしょうか。
分析官
今、先生おっしゃられましたように、今回、高齢者は「65歳以上」ということで想定して書いています。人口動態統計上「65歳以上」というのが「高齢者」という定義になっているということなどを根拠に判断していますが、別の部局で行われた高齢社会対策大綱を検討する検討会において65歳から高齢者という括りでいいのかという議論もあったりしており、必ずしも人口動態統計上の定義を当てはめていいというわけではないともちろん認識をした上です。
 ただ、分析の中で高齢者の状況を見るために、それ以前の年齢の、例えば55歳からの状況を見ておく必要がある場合には55歳からのデータを見たり、また75歳以上の部分を絞ってみたほうがいい部分についてはそうするといったような、多少分析の中で年齢の幅がまた出てしまっているというところはご理解いただければと思います。
調査課長
ただ、実際窓口などで、高齢者の窓口のところに、64歳の人が行ったら却下されるかという、それもまた極端な例だと思うので、そこは多分現場現場で、原則は多分65歳とか、白書などの定義にするにしても、実際の施策上は現状を見ながら配慮いただくことを、そういう趣旨のことをちょっと書き込んだほうがいいような感じはいたします。
横田委員
そうしましたら、一番最初の2ページのあたりに出てきますね。「65歳以上の高齢者」というあたりに(注)を付けて、大体65を基準にしているけれども、場合によってはそれより幅をもった年齢層も対象にしていることがあって、その場合にはそういうふうに表記すると。それから、個別の対応については、また状況次第で必ずしも厳格に65歳で切るというようなことを考えているわけではないということをちょっと注で書いておいていただいたほうがいいかなと思いました。
大沢会長代理
ありがとうございます。これは年金支給や定年年齢などとの関連で考えている年齢なんでしょうか。経済的な水準が変化する時期ですよね。60~65歳でということかしら。
板東局長
ただ、定年とか年金の受給年齢が65歳云々と変わる前から、一応人口動態的な意味では65歳以上とされていたということだと思います。
大沢会長代理
わかりました。
神田委員
私、前回韓国に出張していたものですからお休みになってしまって、意見を言うのが遅くなったこともあるのですけれども、きょう見せていただいて意見を言わせていただきたいと思います。
 第3章の課題と取組で、基本的な考え方が出てきておりまして、ここで「(3)地域に根ざした取組の推進」、「(4)関係施策との連携の推進」、これはそのまま結構だと思いますが、並行して基本問題専門調査会のほうからもこれが出てきておりまして、両者の関連は非常に重要だろうと私は思っているんです。そこでも地域の活性化や地域の活動の推進というのがございまして、これからのことを考えますと、そうした地域活動を担う中心になるのが高齢女性ではないかと思っているわけです。
 そこでどういう取組が必要なのかということを考えたときに、分野別の取組として、次のページ、29ページ、30、31ページ、ここは就業促進、能力発揮の取組ということでございますけれども、前のほうのところ、29、30ページ、31ページの上ぐらいまでは就業促進なんですね。そして、かろうじて地域づくりと関係しているなと思うところが31ページでございます。何か地域づくりに高齢女性たちが自立という点でもそうでしょうけれども、ここのエのところが何となく弱い感じがいたします。
 例えばエのところで、一番上の「○」で「地域の教育機関と連携した高齢者向け能力開発講座の実施」として文部科学省、厚生労働省が出てまいりますが、そのすぐ下の文章、「高齢・障害者雇用支援機構」、その次はまた「シルバー人材センター」ということで、また就業のほうに寄っていくわけで、前の基本問題専門調査会の報告の中では、女性関連施設でのそういう講座とか、国立女性教育会館についてもそうした役割を担うというようなことが出てきておりますので、それらに関連してそこに十分配慮したような在り方が必要ではないか。それから、「地域の教育機関と連携した・・・」とありますが、この教育機関というのもやや漠然としておりましてよくわからない。それから、その次の文章で「教育機関等との連携の下に、高齢者の能力開発に資するような生涯学習の充実を促す」という、促すという非常に弱い言葉で出てきております。文部科学省はどうとらえているのでしょうか。というのは、公民館等で高齢者学級というのがたくさん行われておりますので、そことの関連などもしっかり把握して取り入れていくことが私は必要であろうと考えております。
 その下の31ページ、私はこれを大変評価しているところでございますが、ここで「女性の参画促進アドバイザー(仮称))を派遣する事業を促進する」というのが出てきております。この参画促進アドバイザーというのが大きな役割を果たせるような方向が重要ではないか。実は38ページにも「高齢者生活支援サポーター」というのがあるのですが、そこでは「仕組みの構築に向けて」と書いてあるんです。一方、先ほどの参画促進アドバイザーにつきましては、仕組みなどには一切触れてないということでございますので、これを重要視するとすれば、もう少し仕組みをどういうふうにつくって、どういう人を養成して、どういう役割を果たすのかというようなことを明確にすることがより効果的であろうかと思います。そして例えば、こういう方の養成の講座というようなことにつきましては、国立女性教育会館もお役に立てるかと思いますし、あるいは地域の女性関連施設などもやれるのではないかと思います。男女共同参画の推進を中心に置いている機関がそうした役割を担うことができるような、ここのところに入れていく必要があろうかと思っております。
大沢会長代理
ありがとうございました。地域の視点を入れるとうまい循環が出てくる地域で働くか、就労支援かではなくて、女性の雇用がまた生み出されて、そこに生涯学習、アドバイザーを養成するような、そういうものが生み出されていくと、相乗効果で高齢社会が豊かになるというような、そういったご意見だったと思いますが、よろしくお願いします。
分析官
ご意見ありがとうございました。細かな部分は改めて検討させていただきたいと考えますが、生涯学習の充実を促すの「促す」の表現が弱いというところ、ご趣旨は大変理解をするところなのですが、生涯学習で、例えば公民館でやっている何々講座というものにつきましては、今時点は国のほうから直接的に助成金を出してやるというよりも、地方分権の流れの中で、それぞれの地域ごとにやってもらうということを後押しするというのが今の国の役割となっておりまして、直接的に充実すると書きにくいので間接的に「促す」という表現にさせていただいているというところでございます。
 しかし、先生のご意見も踏まえまして、もう一度そこは検討させていただきたいと思います。
 それから、女性関連施設の関わりですとか、アドバイザー制度の仕組みをどうつくるかといったようなことに関しまして、お時間いただいて検討させていただきたいと思いますが、内容的にはここの31ページのエの部分が関わるのと同様に、37ページのところで生活自立の関係の施策としてですが、アで地域における男女共同参画ということも書いておりまして、高齢男女の地域参加の支援ということは、こちらに書いております。こちらのほうにも先生のご意見を反映できるものもあるのかなと思いますので、そちらも含めて検討させていただきたいと思います。
神田委員
お願いいたします。
調査課長
今申し上げたのと同じなんですが、(1)のところは、正直なところ、就業というのですか、比較的元気な高齢者というと怒られますが、そういう方々の就労を促進するというのがどうしても重くなっていまして、それで(3)のほうで、地域における支え合いを、それを担う担い手としての高齢女性のあり方というのについて触れているような整理になっていますので、その辺、もうちょっとわかるような感じに整理をしたいと思います。
植本委員
すみません、前回気がつけばよかったのですが、1つは、3ページのところに(2)の1つ目の「○」の点線囲みのところに、「働く場合は短時間勤務等正社員以外の形態での就業を希望する傾向がみられる」と、これは誤解を与えるのではないかと思いますので、「正社員」というのが要らないのではないか。「短時間勤務等の形態で就業する」で十分意味が通じますので、正社員と書くことによって誤解を与えるのではないかと思うので、ここは文言整理をお願いできたらと思います。
 それから、ワーク・ライフ・バランスとの関連のところで、34ページ、そこで「就労における男女の均等の機会と公正な待遇の確保」というイのところで「ワーク・ライフ・バランスの推進」という1つ目の「○」のところで、基本のところを、これは何度も繰り返し言うという意味で、男性の働き方の見直しというところが、この入口のところで重要なのではないかなと思います。イの導入部なのか、1つ目の「○」なのかは別にして、男性の働き方の見直しや育児・介護への積極的な関与が必要であるという入口の考え方を少し入れておいていただいて、全体化して女性の表現を入れていただくほうがより豊かになるのではないかと思います。
 それと、自立と地域でのお話というところも少し出ているのですが、28ページの一番上の段の「また、高齢者の意見が地域の施策や取組に反映させるような仕組みを組み込んでいくことが必要であり、国としては国内外の先進事例の情報を収集し、情報発信していくことが望まれる」と。ここのところが今後の非常に大きな課題になってくるし、本当に地域で、自立をした高齢者がどういうふうに自分たちのニーズを自ら整理をして施策化していくというような、そんな仕組みをどうつくっていくのかで、2回か、3回ぐらい前のときにデンマークの高齢住民委員会の事例などが参考になるなということを申し上げた記憶があるのですが、先進事例の情報というのがもう少し書き込めないのかなと。例えばデンマークの高齢住民委員会のことを、私たちは理解として参考事例として思っていいのかどうか。そのことによって、逆に地域における取組の文章化になっていっている37ページなどの「家庭・地域における支え合いの下での生活自立に向けた取組」というところなども、そういう考え方の中で、各種の取組という中に主体的に高齢者自身が何をしていくのかという、そういうところが反映できるのではないかと思いますので、できれば、そういう点での流れが入ってくると、よりわかりやすく、積極的な意見反映になるのではないかと思います。
 それと、社会保障国民会議との連携のくだりがありますが、ぜひそこのところは強い調子で書いていただきたいと思います。
大沢会長代理
1点、ワーク・ライフ・バランスのところですが、よくワーク・ライフ・バランスというと、男性の働き方の見直し、そのとおりなんですけれども、正社員の働き方の見直しですよね。「女性も含めて正社員の中で」と言ったほうが正確かなという感じがいたしました。非常に重要な点で、ただ単に就労支援とか生涯教育を充実させるだけではなくて、高齢者自身の意識啓発というのでしょうか、そこら辺をこの報告書の中でより鮮明にしていくというようなご意見だったと思います。
袖井委員
いくつかお聞きしたいこととして、意見があるのですが、1つは、30ページのところのですが、このというのは残らない、消えてしまうのかどうか、とても非常に重要なことなので、できれば残してほしいのです。地域活動の評価ができないとかという話があったのですが、ここのところは「能力と経験」として、実際に生かされているんです。企業ではあまりそうでもないですけれども、例えば保育ママさんとかファミリーサポート、ああいうなんかは子育てをした経験というのが生かされているので、別にここで挙げているのは、再就職といっても、企業で働くことだけではないので、もうちょっと広く考えてなるべく残していただきたいと思います。
 それから、あとちょっとわからなかったのですが、33ページの真ん中あたりの①の「所得分割制度の導入を含め」と書いてあるのですが、この所得分割制度というのがちょっとよくわからないのですが、具体的に多分夫と妻で稼いだということを評価することだと思うのですが、もう少し注を付けるか、わかりやすく書いていただけないかと思います。
 もう一つが、35ページの一番上のところ「起業に対する支援体制」のところですが、ここのところは「起業のための情報提供等」と書いてあるのですが、情報提供だけでなくて、「経済的な支援」というのも入れていただけないか。これは基本問題のほうでしたか、帯野さんがよくおっしゃっていましたが、彼女が起業なさったときにどこもお金貸してくれなくて、国民金融公庫だけ貸してくれたというようなことありますね。例えばグラミー銀行とか、ああいう話もありますけれども、情報だけでなくて「実質的な財政的な援助」ということも入れてほしいなと思います。
 以上でございます。
調査課長
今のご意見、もっともなお話でありがとうございます。ジョブカードのところはぜひ私どもも入れたいと思っていまして、高齢者にとって地域活動、自治会活動も含めて、そういう方面で活躍したというのは、また社会に確実にプラスになっていくと思っています。ただ先生がおっしゃる企業にとっても、そういう人材は重要だと思っていまして、そういう自治会などで多くの縦割り組織ではない、横の組織の人をまとめられる能力というのはとても高いと考えられますので、そういうのが企業の中に入って住民との間で接点になるとか、そういう意味では企業にとってもすごく重要だと思っておりますけど、ぜひその辺、幅広く高齢者の能力をはかるという意味では重要なのかなと思っています。
袖井委員
能力と経験ということです。
調査課長
経験ですね。ぜひその辺は頑張らせていただきたいと思っております。
山口委員
全体の印象としましては、ジェンダーの視点が出て、他のところでは出ないものが出てきたということで評価しています。ただ、この26ページにあるとおり、基本的な考え方で、自立と共生という理念がありますが、自立の場合には経済的な自立と併せて生活的な自立がよく言われるのですが、共生という問題1つありますね。男女の共生だけでなくて、豊かな生活の人と貧しい人、共に支え合う社会と私はとっているんです。
 そうしますと、今回全体的には経済的自立というか、そちらを志向していると。これはこれで大事なことですが、大変それは気になるんです。本当に貧しい方はいらっしゃいます。そういう方には手を差し伸べなければならない。しかしながら日本の社会の特色というのは中間層が多いと。最近はその中間層が崩れて格差社会と言われているのですが、女性団体活動の場合に、お金を稼ぐだけでなくて、地域社会のために誇り高く貢献していきたいという層があるんです。そのことへの書きぶりは弱いと思います。
 団塊の世代がこれからどういうことをしたいのか。男の人も女の人もそうですが、その人たちはさんざん働いてきたから、だから自分の自給自足の農業をやることによって生活を豊かにし、それを近隣に配って豊かに生きようという生き方もある。団塊の世代が、ある程度ゆとりがあり、社会的貢献に価値を置くようになると日本の社会もよくなると思うんです。したがって、経済だけではなくて、そういう社会に貢献する自発的なボランティア活動の奨励というか、その辺を具体的に書きたいと思うんです。
 そのようなことに関し、女性センターや公共的な相談場所がありますね。
 今書きこむのは24日も迫っていますから、前文の中で少し書き込むように、趣旨と問題認識で、数行でもいいからそれがほしいと思います。
畠中委員
先ほど袖井先生がおっしゃったのところですね。先週メールで送られてきた案では、黄色のマーカーが付いているところがもうちょっとあったような気がするのですが、現段階ではここだけということでいいんですか。
分析官
先週お送りした段階で、黄色のマーカーは各省との協議未了ということでお送りした部分ですが、ここ以外は協議としては終了したということでございます。
畠中委員
わかりました。それからもう一点は、仮にここが各省と握手できなければ見切り発車をするんですか、それとも落とすわけですか、どうされるんですか。勇気を持っておっしゃったらいいと思うんですけれど。
調査課長
もちろんなるべく落とさずに入れる方向で頑張ります。ぜひ、そういう意味で、皆様方に今日この場でいろいろ意見を聞かせていただければ、それをもとにまた再度調整をさせていただきたいと思いますので、もしこの点について言っておきたいというご意見ございましたらば、ぜひお寄せいただければと思います。
畠中委員
もう一点、各省折衝で担当者の方が大変苦労されているのはよくわかります。私も何回かこういう経験がありますのでよくわかります。例えば、「見直し」が「あり方検討」になったというのもやむを得ないかと思うんですけれど、「慎重に」というのが2回出てきまして、霞が関用語というのか、霞が関文学では「慎重に検討する」というのは何もしないということなんですね。ここはそういうふうに読んでいいものかどうか。
分析官
今、33ページの上の「また」の網かけのところが1つ目ですか。
畠中委員
もう一つ。
植本委員
もう一つ、3号被保険者ですか。
分析官
住宅手当のところでしょうか。
袖井委員
3号被保険者。
分析官
少なくとも「○」で見出しを付けているものではない上の段落のものに関しては、まだ調整の余地はあるので、調整します。下に関してはももう一度検討します。基本的には「慎重に」というのは落とす方向でということですね。
 加えて40ページの住宅手当のところも「慎重に」、3カ所ですね。こちらはもう一度調整させていただきます。
勝又委員
33ページのところの「遺族厚生年金の仕組みのあり方の検討」のところが何を言いたいのかよくわからなくなってしまったような気がするんですね。初め遺族厚生年金については、女性の就労・不就労の選択における中立性を確保する観点から、片働き世帯と共働き世帯の間の不均衡を縮小する方向で、給付と負担の関係について検討するというふうになっていたものが「希望する女性が働きやすい就業環境整備の加速化を前提としつつ」というちょっと方向違いの、何を言いたいのかよくわからないという形になったので、これは厚生労働省の意向なんですか。
分析官
ここは確かに厚生労働省との調整の過程でこういう文言になっておりますが、先生のおっしゃるとおり、目的がはっきりしない文章になってしまっていますので、これは文意を明確にする方向で調整させていただきます。基本的には就業環境整備の加速化と遺族に対する所得保障の必要性を踏まえるということを前提としつつ、就労・不就労の選択における中立性を確保する方向で、給付と負担の関係について検討するということですので、文意をはっきりさせる方向で調整いたします。
山口委員
さっき35ページのところに自営業のことについて言われましたけど、あれはどうして消えたのでしたか。
分析官
35ページのウの部分でございますか。
山口委員
はい。
分析官
前回、自営業、農林漁業ということで併せて書いておりまして、それに対応する施策といたしましては、第1号被保険者の育児期間における配慮という施策の項目を立てておりました。第1号被保険者は自営業も含みますが、前回のご議論の中で、第1号被保険者の育児期間の配慮に関しては、今回項目立てをして施策の方向性を明確に示すところまでは時期尚早ではないかというご意見をいただきまして、33ページの上段の2段落目に書いてある部分に、今後の論点であるという整理にさせていただきました。
 その結果、ウの部分に自営業に対応した施策がないものかということで事務局でも検討したのですが、今回専門調査会の中で自営業の部分を取り上げて深く議論していないということもございまして、今回それに代わる施策としては入れられなかったということです。農林漁業に絞ってウのほうは整理させていただき、自営業に関することといたしましては、この33ページの第1号被保険者の点について将来的な論点と示すにとどめさせていただいたという経緯でございます。
山口委員
ご苦労のことはわかるのですが、自営業者の労働組合から、自分たちの問題が外されているという陳情を受けます。そういう自営業のことが1つも書いてないとやはり自分たちは軽く見られているというか、日本の経済社会を支えているのはそういう経済構造です。とりわけ女性はつらい思いをしているのです。それにふれないで全て取ってしまっていいのかどうか。自営業問題は認識していることを文字として書いておきたいと思います。
調査課長
自営業のところは議論がございまして、1つはどういう状況なのか、就業の状況、賃金も待遇も含めての実態把握は必要ですというのはあるんですけれども、その結果、どこに政策的にやるべきかというところが見えてこないものですから、それで今回の高齢者という中では、中途半端でそこまで。
山口委員
はまる政策はないわけですか。
調査課長
政策として落とし込めないのかなというところで今とまっている状況です。
山口委員
とにかく働く時間の限度がないですよね。国民年金くらいでしょう。本当にひどい状況ですよね。検討を要する項目あたりでも入れておかないとだめなんじゃないか。
大沢会長代理
どんな陳情が多いのですか。
山口委員
まず第一に働く環境ですよね。とにかく制限なしに働くということ。それから夫婦で働きますから個人的収入がない。農業の場合には家族経営協定できましたからね。何にもないと。自分たちはこの経済社会を支えているのだと、何とかしてくれと、こういうことですよね。社会保障ですよね。
大沢会長代理
だとすると、それが35のウですかね。
植本委員
現状をどうとらえているかということがせめてわかるようにしないと、おっしゃっているように。その上で、今後すべきことについては検討していく必要があるというところで、何かないと疎外感というところがやっぱり出てきますよね。特に高齢の女性の就業率は逆に自営業のところのほうが高いです。
大沢会長代理
そうですね。
大沢会長代理
地方へ行くと農業で働いている女性が多いし、かなり大変な状況ですものね。
山口委員
農業問題は日が当たるようになってきているわけですよ。
大沢会長代理
そうですか。
山口委員
中小零細企業の妻たち家族の問題なのです。
大沢会長代理
そこが抜けていて農林業だけがなっているところかしらね。
山口委員
どこに入れたらいいか。ここの項目の一番最後かしら。商工業における働く女性の環境問題については検討するというものがないと。
大沢会長代理
そうですね。
調査課長
現状把握のところ、途中段階で入っていたんですけれども、各省との調整でうまくいかなかったのです。
山口委員
そこを拾ってくれる役所はないのですか、経済産業省だとか、商工業団体。
調査課長
一応はそうなってはいるんですけれども、なかなか見込みが立っていないという状況と、あとその結果、政策的にどうすればいいのかというところが多分経産省ではないんですね。生活と実態把握のところが、同じ省庁じゃないものですからちょっとやりにくい部分というのも残っている政策ではあります。ただ、いずれにしても現状把握もできないかというところで、きょうのご意見踏まえてもう一度調整をさせていただきます。
山口委員
1~2行でもいいから、落としてないと、わかっているよというところを入れたいですね。ちょっと考えてみたいと思います。
袖井委員
ウのところに入らないですよね、35ページの。
大沢会長代理
「○」をもう一つ入れてもいいかもしれないですね。
袖井委員
要するに貨幣評価されにくいなというところが似ているし、何かうまく入らないかしら。
山口委員
ここが一番大変なんですよ。こういうところで働いている妻たち高齢者がです。
袖井委員
遺族年金ないし。
山口委員
ないし、本当に一代限りでしょう、働いている間だけだから。町内会の会合に出て行ったって、だんなの代わりなんですよ、役員はだんながやっていても。それから、また本人がやると婦人部長、お祭りの担い手。
袖井委員
前は罰金取られた、今はそういうことはないですか。女が出るとちょっとお金払わなければいけない。
山口委員
それは出不足の話でしょう、福井のほうの。
袖井委員
そうそう。
山口委員
あれは解決したんですよね。
横田委員
私、何点かあるんですが、細かい点も含めて、きょうが最後ですよね。
大沢会長代理
そうです。
横田委員
多分1件1件解決したほうがいいと思うので言わせていただきますと、5ページの網かけのかかっているところの表現だけなのですが、「○ 40歳代後半ピークに」というところの1行目、「女性の労働力率を年齢階級別」と書いてあるのを「階層別」か「年齢層別」にしていただけますか。私、「階級」という言葉使うとすぐに別のことを思い出しちゃうので。それ、簡単なことですね。
 次ですが、12ページの、これも小さなことなんですが、「資産形成への支援にかかわる施策」の3行目のところですね。ここだけどういうわけか、ちょっと丁寧語が使われているんですね。最後のほうに行きますと、「民営化前に利用されていた方の契約」、そこまで気を使う必要ないので、「民営化前の利用者」とか、「民営化前に利用していた人」くらいにしておいたらいいかなと。ここだけ浮き上がっちゃっているんです。
 それから15ページ、これは表現の判断なのですが、下のほうの「○」の「日常生活の支援にかかわる施策」のところの1行目ですが、「判断能力が低下した高齢者・障害者等に」というのもちょっとひっかかるので、例えばの例ですけれども、「自立した生活を送る上で困難のある」というような表現にしてちょっと中和したほうがいいかというご提案でございます。
 それから、細かいところで恐縮ですが、気がついたとき言っておかないと後が直らないものですから。20ページ、これは内容的なことなんですが、下から2番目の「○」の年老いた親の介護不安ということで、老々介護の問題で、我が家もそうだったんですが、深刻なんですね。しかし、これはこれでいいんですが、実はもう一つ問題があるのは、障害児を持っている高齢者というのは結構大変なんですね。私の身の回りにもいまして、一言どこかでこういう問題が認識されているということは触れていいかなと。こことの関係でどう立てられるか、事務局で工夫していただきたいのですが、高齢者は上があるんですが、同時に、子どもの障害者を抱えている人の場合の非常に大きな負担が年を取るごとに増えていくんです。障害児が40歳、50歳になって、親が70歳、80歳になったときの絶望的な状況というのがあるものですから、本当はこれは少なくとも経済的、できれば介護を含めて国の施策がないといけないと思っているところなんですが、ちょっとそれを頭出しぐらいしておいていただければと思うんですね。
 それから、さっき山口さんとも始まる前に話していたんですが、21ページのあたりなんですが、触れられていないことなんですが、例えば真ん中の「家族介護を行う労働者への支援にかかわる施策」のところ、ご存じのとおり、フィリピンと二国間の経済協力協定結んで、年間100人ということで細かい条件付いていますね。日本語を勉強しているとか、資格があるとか、100名入れると。新聞で得た情報だと今度はインドネシアと1,000人というんですね。数は多くないですから細かくすればいいのかもしれませんけど、結局これはそういう方向に動くという政策が背後にあるんですね。そうすると長期的にはここの問題にかかわってくるような気がしまして、私はそれに対してネガティブでもポジティブでもないのですが、そういう動きがあるということをちょっと書いておく必要があるのではないか。そういう施策も含めたことを考えなければいけない。私それをやるべきだという考えにはまだ自分は立ってないんです。しかし動いてはいます。そうかといってやってはいけないという考え方でもないんですが、ちょっとこの点、慎重にしたほうがいいということがあって、指摘だけさせていただきます。いろいろ問題があるようでしたら触れなくてもいいんですが、ちょっと気になるものですから。
 それから、39ページ、これは私の知識がないところかもしれません。一番上の「○」の4行目に「見守り新鮮情報」というのは、こういう名前のメルマガがあるんですか。
分析官
あります。
横田委員
あるんですね。じゃわからなくてもしようがないですね。わかりました。
 ちょっとわからなかったんです。最新情報だとわかりやすいんですが、新鮮というとちょっとわかりにくかっただけのことです。
 それから、41ページですが、先ほど網かけのところの説明で、特定の研究機関名を外して一般化したということなんですが、それに伴ってここを読むと、厚生労働省だけではなくて文部科学省が関係してくるのかなとちょっと思ったんです。そういうことまで含めていいのかどうかを検討してみてください。つまり「学会や研究機関」と書くと厚生労働省だけではないという気がするんですね。知識の普及も同じだと思うので、もしあれだとしたら2点ですが、研究の推進と知識の普及のところで文部科学省を入れるほうがいいかどうか、検討していただければと思います。
 以上、細かい点ですけど、気がついたところです。
大沢会長代理
ありがとうございました。それでは、この報告(案)については、本日の議論を踏まえて修正の上、6月13日の男女共同参画会議への報告を予定しているということです。
 では本日の審議はここまでとさせていただきます。事務局のほうから何か連絡事項はありますか。
分析官
本日はありがとうございました。この報告(案)につきましては、本日いろいろご意見いただきましたので、事務局のほうで修正をいたしまして、再度先生方にお送りして最終のご確認をお願いしたいと考えております。修正の方は1週間程度時間かかるかもしれませんが、修正後のものをお送りさせていただきます。その後、確定したものを6月13日の男女共同参画会議で報告の上、意見決定をさせていただきます。意見決定の範囲といたしましては、先ほど申し上げましたが、第3章の部分について意見決定をする方向で考えております。
 それから、前回ご報告させていただきました実態調査結果でございますが、本日机の上に置かせていただいております。これは一旦公表を先送りさせていただきましたが、こうした政策とセットで公表させていただくということで、6月13日の男女共同参画会議で、この本体報告書の公表と同時公表を予定しております。よろしくお願いいたします。
 本日でこのテーマの審議はこれで終わりとなります。1年間どうもありがとうございました。
 最後に局長よりごあいさつを申し上げます。
板東局長
それでは1年間にわたりましてこのテーマで非常に先生方には行き届いたご議論いただきましてありがとうございました。先ほど山口先生のほうからもお話がございましたけれども、こういった男女共同参画・ジェンダーという視点でいろんな課題が浮かび上がってくるという非常に典型的な例として、ほかのモデルになり得るような検討ではなかったかなという感じがしております。これは中間的な論点整理の段階からもかなりいろいろなところで評価をしていただいておりまして、例えば高齢者女性の貧困の問題とか、今までひとまとめにしてなかなか見えなかった問題、例えばジニ係数などの問題も結局あれは高齢者の中で差があるだけよというお話があるのですが、その中で女性、男女という問題がどうかかわっていくのかというところについてもいろんな問題提起をしていただいたと思っておりますし、ちょっとペンディングにしておりました調査のほうの発表も併せまして非常にいろんな新しいエビデンスを提起し、また施策の方向としても今まで十分にご議論がなかった事柄についても提起していただいているのではないかと。
 大変そういう意味で監視・影響調査専門調査会の先生方へのこちらの議論に対しまして改めて感謝申し上げたいと思います。これを十分に生かしていきたいと思いますし、ほかのテーマについても、さらに積極的な取組をやっていきたいと思っております。本当にどうもありがとうございました。
 また、座長はきょうはご出席されておりませんけれども、13日の男女共同参画会議には、鹿嶋先生がぜひ出席して報告するというお話をいただいております。
 本当にどうもありがとうございました。
分析官
事務的なご説明ですが、本日の資料は、お配りしましたものもまだ確定ではないので非公表扱いでお願いいたします。また、実態調査結果もまだ公表するバージョンとして確定していませんので、このまま置いていただければと思います。
 それから、次回以降の予定並びに次のテーマにつきましては、参画会議で次のテーマについての議論を予定しておりまして、その後に後日あらためてご連絡させていただきたいと思います。日程調整も後日させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。
大沢会長代理
それでは、これで監視・影響調査専門調査会の第29回会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。

(以上)