監視・影響調査専門調査会(第28回)議事録

  • 日時: 平成20年4月18日(月) 9:00~12:05
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 植本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 佐藤委員
    • 神野委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
    • 山谷委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 実態調査結果と考察の報告
    • (2) 最終報告へ向けた論点について(就業促進、地域参加)
    • (3) 報告書案について
  3. 議事録
鹿嶋会長
早くおいでいただいたのに5分遅れですみません。今日は雨風の中どうもありがとうございます。ただいまから「男女共同参画会議 第28回 監視・影響調査専門調査会」の会合を開かせていただきます。
 それでは、本日の審議を進めさせていただきます。本日は、高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査について、最終報告に向けての審議を行っていきたいと思います。
 まず、事務局から実態調査結果と考察について報告していただきます。よろしくお願いします。
山岡分析官
それでは、実態調査結果と考察について御報告させていただきます。資料1~3を使わせていただきます。調査結果報告書全体につきましては、資料2のとおりにとりまとめております。こちらは大変詳細でございますので、本日は細かな御説明は割愛させていただきます。
 資料1が、その結果について概要版としてとりまとめたものでございます。
 この調査結果の概要版につきまして、前回おおむね御説明しておりますので、かいつまんで御報告させていただきます。
 まず趣旨のところでございますが、本専門調査会の基礎資料とするために、55~74歳の男女4,000件を対象に調査しております。経済自立と生活自立の関わり方を探っております。
 2ページ目「調査結果」で、1点目として強調しておりますのが、特に単身世帯で厳しい経済状況があるということ。単身女性の4人に1人は年収120万円未満です。図2で単身世帯の収入分布を見ております。60万円未満が5.3%、60~120の万円未満が18.4%という状況でございます。
 図1で見ましても、世帯人員1人当たりに換算した年間収入の平均額も、同じ年齢層のほかの世帯類型に比べまして単身世帯で少な目に結果が出てございます。
 3ページ、そうした収入とこれまでの就労経歴との関係を見てございます。
 図4が、これまでの就労経歴を見たものですが、全般的にまず男性よりも女性の方で就労経歴という点で、就労していない期間が長かったり、また、非正規雇用等の割合が高いという傾向がございます。また、男性におきましても、単身世帯では、非正規雇用が最も長いとする割合が若干高いということで、単身の男性については、リストラ等の経験もやや高くなっております。
 そういう中で図7本人の就労パターンによる年間収入といたしましては、雇用形態間の格差、それから男女間の格差が見られる結果になってございます。
 次の4ページ目、単身世帯が厳しいという中で、更にどの層が厳しいかということで、特に厳しい状況が見られる離別女性と未婚男性という形で整理させていただきました。
 根拠といたしましては、図8で収入分布を見ますと、未婚の男性、それから離別の女性で、60万円未満等かなり低所得への集中が見られるということがございます。
 また、5ページ以降は住宅や孤立等のことを挙げておりますが、まず住宅費に関しては、都市部単身世帯に重い住宅費負担があるということ。6ページ、高齢単身男性の孤立という問題があります。
 また、7ページ、ICTに関しましては、年齢による利用率の差と、それから、男女間の利用率の差が見られるということを示してございます。
 8ページ、最後でございますが、団塊世代等が、直面する不安ということで、勿論、自分の配偶者の病気や介護、収入等に関する不安が大きいわけですが、老親の介護に関する不安に関しては、55~64歳の2割が不安を持っております。
 未婚子につきましても、非正規雇用無職が一定割合いるという中で、経済自立に関する不安を5%程度、55~74歳の方が抱いているという状況がございます。
 以上から9ページ目で、本調査からの示唆ということで3点ほど、高齢期以前からの対策の重要性、それから経済困窮層ということで、高齢期単身女性のみならず、一部の高齢未婚男性にもその状況がある。また3点目として、そうした単身世帯に問題が見られるということを踏まえますと、これから単身世帯が主流になる家族形態の変化を踏まえた対策が必要である。このような点について述べさせていただいております。
 続きまして資料3をご説明させていただきたいと思います。
 資料3はこうした実態調査結果を踏まえまして、調査の分析を行っていただきました検討会の先生方に、この結果からどういう政策課題が見いだされるかということで、専門調査会の方にお示しする政策課題という考え方ということで、案としてお示しするものです。本日の御議論の御参考にしていただければと思います。
 まず、一点目として、先ほどから申し上げております高齢単身女性の経済困窮につきまして、どういう予防と対策が必要かということでございます。下線を中心に御説明させていただきます。
 まず、高齢期における経済状況は、若い時期からの格差を非常に引きずっているということ。それから、特に家族の保護に内包されない単身女性について、収入レベルが低く経済的に厳しいという状況がございます。そういう中でも特に厳しい状況に陥りやすいのが離別女性、若年期死別も一部含まれるであろうということです。
 これらを踏まえますと、若年期からの生涯を通じた女性の就労環境整備ということが第一に必要ですし、また、離別女性と母子世帯に対する経済的自立支援策の重要性もあるということで書かせていただきました。
 また、最後の○でございますけれども、既に高齢期にある女性に対する支援といたしましては、社会保障による生活の保障に加えまして、希望する高齢女性に対する就業を支援して可能な限りの自活を促進していくことが重要であるということ。就労支援ということで言いますと、女性で多い非正規雇用が中心の職歴ですとか、女性ならではのいろいろな生活経験または体力・健康、ICT利用の状況などを踏まえながら高齢女性に適した就業領域の開発とマッチングの仕組みの構築ですとか、高齢女性が働きやすい就労環境整備等に取り組んでいくことが必要ではないかということを書かせていただいています。
 次に2点目といたしまして、経済困窮リスクが相対的に大きい未婚男性への着目ということで、未婚の高齢男性につきましては、勿論、所得が低い階層の割合というのは高齢単身女性よりも少ないのですけれども、一部低所得への集中というのが見られているというところで、これまで高齢単身男性については、地域の中での孤立という問題を指摘されていましたけれども、その中には職歴が不安定であったり健康状態が悪い、そういう中で所得も低いと、そういう複合的に問題を抱える層が一定割合いるということがわかったということでございます。
 そうした中で、2ページの下線の部分にございますが、男性についても非常に雇用の不安定化に伴ういろいろな経済的なリスクが生じ得ると、非正規雇用も増えていく中で、中壮年男性の再チャレンジ支援ですとか、非正規雇用者の均衡処遇も重要である。正規雇用への移行促進、こういったような政策は男性にとっても非常に重要であるということで書かせていただきました。3点目といたしまして、住宅施策の関係でございますが、高齢単身世帯の約4割が借家住まいという中で、住宅費の負担も比較的大きくなってございます。
 先程の結果にも一部示しておりましたが、年収120万円未満の人も3人に1人は月に3万円以上家賃を支払っているという結果もございまして、収入が低い層にとって住宅費の負担というのは非常に大きいということがございます。そういう点でいいますと、住宅施策について貧困防止対策の一環として位置づけていく必要があるのではないかということでございます。
 また高齢期は、非常に体も弱ってきて不安もあるので、一人でも安心して暮らせるという、ハードだけではなく、ソフト面も備えた住まいの必要性があるだろうということでございます。
 したがって対策としましては、ハードとしての住宅の整備のみならず、住宅費補助の仕組みの検討、安否確認、生活支援など、住まいを支えるサービスや支援体制の充実など多様な方策によって、安心な住まいを確保していく取組が必要。前回もかなりご議論いただいておりますが、こういう指摘をさせていただいています。
 次に4点目でございます。単身男性の孤立とネットワーク、先ほども申し上げました孤立の問題についてどうするか。一番下の下線ですが、地域と接点を持てるような支援策ということで、やはりここの部分はボランティアですとか、NPOと連携した取組としてどうマッチングしていくかということが重要であろうということを書いております。
 3ページ、地域に高齢男性が入っていたときに、しばしば女性との摩擦が生じるということも現場ではいろいろ言われておりまして、そういう中で男性の意識改革ですとか、地域活動における男女の共生・協働について学べるような生涯学習機会の充実も必要ではないか。
 それから、ICTを利用できる人ほどネットワークが広いという結果もございましたので、ICT利用を促進するサポート策というのも孤立を防ぐための取組の一環として考え得るのではないかということを書かせていただきました。
 5点目、ICTでございます。ICTにつきましては、先ほども申し上げましたが、年齢が若くなるほど非常に利用度が格段に伸びていますので、将来的には高齢者の支援策の中においてICTをどう活用していくかというのが重要な課題になるであろうということでございます。
 他方、就業経験とICTの利用度には関連が見られる。就業の経験がない方、少ない方というのはパソコン等の利用が低いということもございます。
 最後の○に書いておりますが、収入レベルが低い方に関しては、ICTの利用度が低いという状況もございますので、なかなか利用につながらない層への支援をどうするかということ。
 特に就労経験が少ないということでは、女性がやはりパソコンの利用が少ないということもございますので、その導入支援も必要であるだろうということで書かせていただきました。
 最後に6点目、団塊世代が直面する不安について、さまざまな不安がある中でも、55~64歳の年代層では約2割が老親の介護を老後不安として感じていますす。団塊世代はこれから非常に時間があって地域活動に参加して活躍すると、そういうイメージがありますが、介護の問題が団塊世代等の生活時間の中で大きな比重を占めていくという可能性もあるだろうということでございます。
 次に、2つ目の○に書いておりますが、未婚の子どもと同居する割合が34.7%でございましたけれども、55~74歳で同居する未婚子の過半数は30歳以上だったということです。
 その同居の未婚子の約1割が無職、15%強が非正規雇用という中で、5%程度の方が子どもの経済自立に不安を抱えているという点もわかってきました。老親の介護と子どもの経済的な自立困難の負担を、中には両方抱えるサンドイッチの状態になる層も生じる、そういう点も踏まえながら介護への支援、それから子ども世代の問題というのも、これからの高齢期の方にとって重要な問題であるということで締めくくらせていただいております。
 本日は、これに関しましては、基本的に御報告という形にさせていただきたいと思いますが、何かございましたら御意見をいただきたいと思います。
鹿嶋会長
未婚男性、単身男性の経済リスクとか孤立とか男性という言葉が大分踊っているので、山口委員辺りは不満かもしれませんが。
山口委員
男女共同参画という視点で理解しております。
鹿嶋会長
新たなファクト・ファインディングとして、大変面白い結果であろうというふうに思っております。袖井先生の方でコメントがあれば是非お願いしたいと思うんですが。
袖井委員
結構です。
鹿嶋会長
山岡分析官からも指摘がありまして、余りこの問題に時間を取れないんですけれども、御指摘、御意見等々、質問があればお伺いしたいと思いますが、どうでしょうか。
佐藤委員
まず、読み方で、初めの方の○で単身女性の収入レベルが低くて、2つ目は離別女性となっているのですけれども、単身女性もずっと結婚をしてきてある高齢期に夫が先に亡くなって単身になった人と、ずっとという人がいますね。ですからかなりその違いがあるとすれば、2つ目の○から始めてもいいんではないか。初めに単身女性と全部言ってしまうのかどうか。2つ目の○が大事であれば、初めは言わなくてもいいかな、それはデータをよく見ておりませんので。
 3つ目の○のワークライフバランスの後に、パート労働者の均衡処遇推進、それを書くのはいいんだけれども、多分大事なのは、子どもがいても働きやすいというときに、多分フルタイム、つまり、長時間残業がないフルタイムで働けるというのが、まず先だと思うんです。それを変えないでパートというのではなくて、つまりフルタイムでもそんな毎日残業がなくて、子育てしながら働けるというのをどう進めてくれるということが大事で、やはりパートだとそんなに収入はありませんね。特に母子家庭などは、フルタイムでそんなに残業がないというのが、実は一番大事ではないか。
 あと2ページの上から3つ目の終身雇用は使わない方がいいのではないか。一つの会社に長期に働けるのが少なくなったぐらいの方が、どうでしょうか、その言葉があるだけで全部うそっぽく思われるのではないかというだけの話です。以上です。
鹿嶋会長
どうぞ。
山岡分析官
資料3につきましては、この形でどこかに公表するということは予定しておりませんが、ただ今、先生からいただきました御意見につきましては、本日これから御議論いただく報告書の案の中でまた反映させていただきたいと思います。
鹿嶋会長
議論の論点としては、そのほかに高齢女性に適した就業領域の開発というのも、本当にどういう形のものなのかなんていうことも、まだ十分な議論はしていません。
 それから中高年男性の再チャレンジ、これは新たな提言として、政策の中に出ているわけですけれども、ほかにどなたか御意見はございますか。
 それでは、この問題につきましては、この程度で切り上げて、続いて、高齢者の自立した生活の支援に関する監視影響調査結果の最終報告に向けた論点のうち、就業促進と地域参加について事務局から説明していただきます。
 前回は経済的自立と住宅とICTという問題を行ったんですが、今回は就業促進と地域参加であります。
 よろしくお願いいたします。
山岡分析官
資料4‐1‐1、4‐1‐2、資料4‐2‐1、4‐2‐2、この4点を用いて御説明させていただきます。
 これから御議論いただくのは、この後に報告の案全体について御議論いただきますけれども、その中で特に取り出して深堀りをしたい点について御議論いただくものです。
 まず一つ目のテーマであります、就業促進能力発揮につきましては、資料4‐1‐1、4‐1‐2で御説明させていただきます。
 事前にお願いさせていただきたいのですが、ここの就労促進関係の点は、ちょうど今、新雇用戦略というものを策定するという別の動きがございまして、厚生労働省が中心でやっておりますけれども、恐らくこれから5月ぐらいにとりまとめという見込みですが、まだスケジュールがはっきりしないところでございます。
 そういう動きの中で高齢者の就業の問題なども取り上げられそうであり、その中で男女の視点で何が重要なのかということについて、この専門調査会でも積極的にアピールしていきたいということを考えておりまして、報告書全体がとりまとまる前に、この就業の部分だけ前倒しで専門調査会の意見ということでまとめて公表するという可能性も考えております。
 したがって、形式はまた変わると思いますが、例えば資料4‐1‐1の3ページ目からが課題と取組の案という形で、どういうことが必要かという事を書いておりまして、これが報告書の案にも落ちていくものですが、ここの部分については、特に本日、強調すべき点ですとか、男女の視点から付け加えるべき点等がございましたら是非とも御意見をいただきたいと考えております。そういう前提で御議論いただきたいと思います。
 では、資料4‐1‐1について御説明させていただきます。高齢男女の就業促進・能力発揮ということで、まず現状を見ております。
 就業に関する希望と実態は、高齢女性につきましては、例えば図表2の前からお示ししておりますけれども、就業希望があるのに就業できていない者の割合が男性よりも高いですし、また収入を得る必要があるということを挙げる割合も高いということで、高齢期の就業については女性についても必要性を感じながら希望が実現していない方も多いということでございます。また、就業・能力発揮を阻む要因といたしまして、労働時間の問題を挙げる方が多い。また、高齢女性については、以前から申し上げているように、現役時の就労経歴としては、就業中断とか非正規雇用の割合も高く、男性と全く同様ではないということもございます。
 世代ごとの労働状態について図表7をみますと、女性につきましては、まだM字カーブではあるんですが、だんだんM字のところが緩和されてきております。ただ、その中の多くは未婚者が引き上げているというところもありますが、女性の労働力率はすべての年齢層で高まってきているという傾向は確かにございますので、そのような変化というものを踏まえて考えていく必要があるのではないか。
 職種等の状況について、図表の8で見ていただきますと、女性についてはサービスの仕事、60~64歳で言いますと、事務的な仕事等の希望が男子よりも高いということがございます。
 他方、図表9で高齢者の就業を支援しているシルバー人材センターで見ますと、実際に扱っている職種は割といろいろあるんですけれども、実際に契約に至った職群ということで見ますと、一般作業と公園清掃、樹木の消毒、そういったような、どちらかというと男性向けの作業というのが半数以上を占めている。こういう状況でございます。
 したがって、全体的に高齢女性はこれまで余り就業経験がない中で、これから高齢期になって働こうと思っても、適した就業領域がなかなか見つかっていないという状況もあっては、希望が満たされていない割合も高くなっている。こういう状況かと思います。
 「施策の現状」でございますが、今の図表でお示ししておりました最後のページに、高齢者の就業支援事業一覧ということでお示ししておりますので、これでご説明しますと、まずハローワーク、つまり公共職業安定所があるかと思います。
 ただ、こちらについてはデータを確認したところ、新規求職申し込み件数ですとか就職件数で見ましても、高齢者を対象にしたものというのは約3パーセントです。図表10、5ページにその実績がありますが、まだ高齢者はこれから対象になっていく状況にあるかというところです。
 また、高齢者の就労を支援する施策といたしまして、先ほどの事業一覧に戻りますと、独立行政法人の高齢・障害者雇用支援機構があります。事業主に対する指導を行う一方で、就業支援コーナーで相談援助を行っています。
 またシルバー人材センター、こちらは比較的臨時的かつ短期的または軽易な就業を希望する者に対して、仕事をあっせんをするということですが、加入会員数で見ますと、男女比が2対1という状況で、先ほども言いましたように、まだまだ男性中心です。
 こういう中で、それぞれの施策間の連携をしつつ、また高齢女性の仕事というものをどう改革していくか。それをどう支援していくかということが課題になるかと思います。
 では、資料4‐1‐1にお戻りいただきまして、3ページから課題と取組ということでとりまとめさせていただきました。
 まず、就業促進につきましては、最初の前文で書いておりますように、経済自立を促すための対策ということで位置づけられますし、また、他方で能力発揮も必要だということですが、非常に男女間で就業経験の大きな違いがあるということを踏まえる必要があるということを書かせていただいております。
 また4段落目、こうしたことからということで、就労に加えて、さまざまな能力が発揮されるような支援というものが必要であろうということを整理させていただきました。
 そういう中で、大きくは4つの柱で整理させていただいております。アから順番ですが、まず一つ目の柱が、高齢男女が働きやすい柔軟かつ多様な働き方の環境整備ということで、ワークライフバランスの議論とも方向性を一にしますが、非常に個人差、健康、体力面での個人差とか、就業ニーズが多様化するということが想定されますので、柔軟な働き方ができる環境を整備する。
 具体的には短時間勤務、在宅勤務、ワークシェアリング、そうした環境整備ということでございます。
 2点目といたしまして、イ、相談窓口のワンストップ化と高齢女性向けの就業相談等の充実です。このワンストップ化というのが、新雇用戦略の検討の中でも1つ議論に上がってきそうな雰囲気ではあるんですけれども、就業支援に関しては非常にいろんな施策がありますが、それを利用する側からすると、できるだけいろんなサービスをワンストップで受けられることが望ましいということで、相談情報や求職・求人情報の共有等の連携を図って、就業相談、能力開発、職業紹介、起業支援等をワンストップで提供する取組を推進することが1点目でございます。
 2点目といたしまして、高齢女性向けの就業相談体制の整備です。就業経歴が非常に男女間で違う中で、きめ細かな対応として高齢女性向けの相談体制の整備が必要ではないかという問題意識のもとで挙げる取組です。具体的には、女性相談員ですとか、女性専用窓口の設置等を、さまざまな施策において行うということです。
 また、男女共同参画センター等と連携して、高齢女性向けに生活全般にわたる相談から就労に関する相談、意識啓発、能力開発等についてワンストップで提供する取組を推進してはどうかということでございます。
 4ページ、ジョブ・カード制度、こちらがどこまで高齢者向けに対応できるのかというところも、本日御議論をお願いしたいと思うのですが、主に若年層ですとか母子家庭、子育て後の再就職、そのような方々を対象にしたジョブ・カード制度というものが推進されていますけれども、これについて高齢者向けにも取組を推進してはどうか。その中では、高齢女性に関しては就業履歴に加えて、家庭・地域における様々な経験、能力を評価して、能力開発、職業あっせんにもつなげていく、そういう高齢女性向けの取組を推進してはどうかということでございます。
 次の○が、職業相談・求職情報等の男女別分析の実施、これはいろんな施策で相談・求職情報等を把握しておりますが、特に高齢者の就業に関する部分は男女間の差が非常に大きいことが想定されますので、男女別の希望・ニーズ、それから就職状況の違いを把握するために、男女別の分析をしっかりと行うということをあえてここで指摘をしてございます。
 ウといたしまして、高齢女性向けの就業領域の開拓と能力開発の実施ということで、先ほどからなかなか高齢女性に適した就業領域は何なのかということについて、難しい部分があるということを申し上げてきましたが、まずはそうした高齢女性の就業ニーズとか、適した就業領域に関する調査研究を実施してはどうかということが1点です。
 2点目といたしまして、シルバー人材センターにおける高齢女性向けの仕事の開拓。先ほどまだまだ男性向けの仕事が中心ということで申し上げましたけれども、この部分について高齢女性に対する仕事のあっせんをした好事例を収集して、広報周知する取組でございます。
 エといたしまして、高齢男女の能力開発と能力発揮に向けた取組の推進。こちらは就業にかかわらない、もう少し幅広い高齢女性の能力発揮を促進するという観点で整理しております。
 1点目が、地域の教育機関と連携した高齢者向けの能力開発講座の実施。大学等の様々な教育機関が地域にございますので、そうしたところと連携した高齢者向けの能力開発の推進でございます。
 2点目といたしまして、ICTに関して、やはり就業の場で今、ICTが非常に重要なスキルになっていますので、その講座等の充実、その際、E-ラーニング等も活用する。
 3点目といたしまして、高齢女性の能力発揮に係る好事例の発掘と広報啓発ということで、既に活躍する事例についての広報啓発事業をしておりますが、これに関して地域の女性関連施設や女性関連団体等との連携を強化して、さらなる発掘、広報啓発を図るということでございます。
 5ページ、最後の取組ですが、高齢者能力発揮施策における女性の参画の推進。今年度、モデル事業をしております教育サポーター制度ですとか、シニア能力活用促進事業といった能力発揮施策がございます。それについて、高齢女性に参画がきっちりなされているかということを把握しながら、それに向けた取組を推進する。
 こういったものを、大きく4つの柱で考えてはいかがかということで整理させていただきました。
 続きまして、説明だけ続けてさせていただきます。資料4-2-1、資料4-2-2、家庭・地域における男女共同参画の推進ということで、もともとは高齢男性が仕事を定年退職してから、どう円滑に地域に参加するかということで、もうちょっと考えなければということで始めましたが、この点、言ってみれば高齢期の家庭・地域における男女共同参画ということではないかと、そういう切り口で整理しております。
 現状で整理しておりますけれども、地域参加に関しまして、今まで見てきましたように、非常に参加意向は高いですけれども、男女間でいろんな活動領域とか活動のきっかけが違うということがございます。
 ②としまして、孤立の問題があるということで、特に一人暮らし男性の孤立というのが深刻ではないかと、先ほど調査結果でも見ましたが、そういう問題があるということ。それから、男性についてやはり家事の問題も、実施率が格段に低いという中で、生活自立ということでは問題であり、家庭における生活という観点で取り組むべき課題ではないかということで書かせていただいています。
 施策といたしましては、現在のところ国でやっているものは具体的なものがまだ余りありませんが、2点ほど、高齢者の生きがいと健康づくり推進事業ということで、主にスポーツや奉仕活動を行う市町村に対する地域交付金を支給する事業、それから、全国老人クラブ連合会の助成事業等をしております。また、NPOの登録等については、内閣府でも行っているところでございます。
 「課題と取組(案)」ということで、裏面にいっていただきまして、2点ほど挙げさせていただきました。
 1点目が、高齢男性の家庭・地域への円滑な参画を支援する講座等の充実ということで、今、非常にいろんなNPOや地域公共団体などで団塊世代の地域デビュー講座と銘打ったり、退職男性がどう地域に参画するかということを支援する講座等を実施してございますが、そういった講座等の充実を促進する。
 1つ、国の施策として行っているものといたしましては、2行目に書いております、高齢期雇用就業支援コーナーで、退職準備等に係る相談・セミナー等を行っておりまして、その中では仕事のことだけではなくて、高齢期の生活のプランニングということも含めてやっているということですので、こういったことの充実を図っていく。
 その際には、是非、男女共同参画という観点から、男女共同の共生、共同について学べるような内容としていくことが必要であるということです。
 また、男女共同参画センターや生涯学習施設等との連携の下に、男性向けの家事等日常生活能力の獲得・向上への支援を行うことも必要ではないかということです。
 2点目といたしまして、こちらは高齢者の地域活動への参加を促進するために、情報提供やマッチングを行う地域レベルでの仕組みづくりを促進するということでございます。具体的には、活動したいと考えている高齢者と、いろんな活動の場を提供するNPO、自治体等がマッチングができるような、今はいろんな市民活動センターとか、ボランティアセンター等がございますが、そういうところの地域レベルの仕組みづくりを更に促進していく。
 そういう中では、地域活動を行うNPOやボランティア等の活動について、参加希望者とのマッチング等も支援する中間支援組織、中間支援団体と呼ばれるような組織の育成支援を行う、こういった取組が考えられるのではないかということで整理させていただきました。
 長くなりましたが、以上でございます。
鹿嶋会長
資料4-1-1の就業促進・能力発揮については、新雇用戦略の策定の動きに合わせて前倒しで発表する。5月前半ですから、次の専門調査会の前になると思うのですが、そこを事務局にお聞きしたいんですけれども、その発表は、雇用戦略の中に、いわゆる男女共同参画の視点を入れてほしいということも含めて発表するということだと思うんです。その確認と、もう一つ、だとすれば、資料4-1-1の3ページの課題と取組ですけれども、例えば資料1の記者発表用の問題等々は、男性というものにかなりポイントを置いたりしていますけれども、女性にかなりポイントを置く必要があるんではないか。全体を見ると大体置かれてはいるんですが、特に相談窓口のワンストップ化、これは新雇用戦略の中でもポイントに置くという説明がありましたが、これは女性とした場合になかなか説明が難しいのかなと。高齢男女ならいいんですけれども、ワンストップ化を高齢女性にとってどういう要望が出るのか。男女ですから、そこで何かいい知恵があれば少し書いた方がいいという気がして今、説明を聞いていたんですけれども、それも含めてお答えがあればお願いします。
 この相談窓口のワンストップ化に関しまして、新雇用戦略の中でということもあるんですけれども、前回の専門調査会の御議論の中で、いろんな政策を考えるときに、神野先生からユニバーサルにもう少しどういう取組が、一つひとつの施策をやっていくだけではなくて、対象者から見た場合に本当に必要なサービスがある程度一元的に受けられるような仕組みが必要ではないか、そういう御議論がございまして、そういう中で一つ考えられるのがこういう就業の部分で、今はいろいろ窓口がばらばらになっている点をつなげていく必要があるんではないか。そういう方向でやっていました。
 ですから、高齢女性向けだけに必要な取組ではないという中で、そこをどう結び付けるかというのは難しいんですが、高齢女性に対する取組を考える際に、やはり一番基盤としては、そもそも男女にかかわらない政策の在り方は、基本的にはどうあるべきかということが大前提としてあると思うので、うまく結び付けて整理できればということで、是非お知恵をいただければと思います。御意見があれば、どなたかどうぞ。
佐藤委員
今の鹿嶋会長のとも多少関わるんですけれども、高齢女性なり高齢者を対象にするときに、高齢期だけ議論していいかということがあって、資料4-1-2の図表5を見ていただきたいんですけれども、多分高齢者は65歳以上で議論しているんだと思うんですけれども、65歳以上で、例えば女性の中で働きたい人の職業機会確保という議論が出ているんですけれども、でも女性の場合に大事なのは、M字型の後ろの山のところを見ると40代です。でも50代からもう落ちてくる。ぐっと落ちてしまって、ですから、ここが変わらない限り65になってから上げようとしても無理なんです。男女で違うところは、50代から女性の就業率が落ちてしまう。
 基本的には、新雇用戦略もMの前はありますけれども、後ろの女性の就業率が落ちているのを上げないとだめなんです。ここをどうするかということをやらないと、高齢期の女性だけ、つまり65になってから上げようというのは無理で、正社員も落ちてしまうんです。ですから、これはなかなかわからないんだけれども、なぜ早く女性の場合は就業率が落ちていってしまうのか。何か制度的な問題とか公的な問題があれば、そこを変えない限り高齢期だけ手を付けてもだめだと思うんです。ですから、そのことは言った方がいいと思います。つまり女性の場合はここを上げるということを言ってもらわないと困ると思います。
 それは男性の家庭への参加を、65になってから家庭で地域活動やってくださいと言ってもだめなので、勿論そこも大事なんですけれども、もう少し前からということを言っておかないと、特に就業の場合は大事ではないかと思います。それが1つです。
 あとは細かいことで、高齢女性向け仕事という言葉は、普通、女性向け・男性向け仕事いうのは厚生労働省はもう使わないと思います。男女局はまだ使うのか。そんなことないですね。
 つまり基本的には仕事自体で男女別なく雇用できるようにするのが原則だと思うので、余り女性向け・男性向けというのは使わない。男女局でどうしているのかわかりませんけれども、厚生労働省はもう使わないと思いますが、これは細かい点です。
鹿嶋会長
ただ図表4を見るとわかるように、確かに構造的な問題もあって女性の就業率は落ちるんですが、仕事がないという問題があるんです。こういう女性が多いわけです。仕事がないというのは何かというと、やはりこの調査の前提になっている現役時代からの延長があると思うんです。さっき資料3のところで私も引っかかったのは、さっき指摘したように、高齢女性に適した職業能力の開発という問題で、今、先生がおっしゃったような問題点があると思うんですけれども、ただ、やはり仕事がないということは厳然たる事実であって、だからそこは今の文章に書いておいていいと思います。
佐藤委員
一度再就業した後、つまり正社員でも辞めていってしまうわけです。だから、就いていた人が辞めていってしまうところが、落ち込みが男性より多いわけです。だから、仕事がないというよりは辞めていくところが。
鹿嶋会長
でも、仕事の質の問題は関係ないですか。
佐藤委員
勿論そういうことも含めた方がいいと思います。見通しがないとかね。だから、何で早くリタイアしてしまうのかというところを議論しておかないと難しいのではないかということです。
鹿嶋会長
その議論についてはまだ全然してないんですが、女性についてなぜ早く辞めるかというのはやってなかったですね。
植本委員
やってないですね。
板東局長
勿論ほかの原因もあるかと思うんですけれども、私も地方に行ったときに辞める人を見ていますと、やはり50代になると親の介護の問題がかなり大きいというのを実感いたしましたので、いろいろ理由を見ていくと、その辺りが浮かび上がってくると思います。
佐藤委員
辞めてから再就業というのはなかなか難しいので、幾つか大きな理由がわかれば。
鹿嶋会長
この辺りは調査データはありますか。
袖井委員
調査結果というのはないんですけれども、私が前に教員の調査をやったんですけれども、やはり50代で教員の方は辞めるんです。それは仕事が忙し過ぎるんです。だから体力的な問題で、勿論介護もありましたけれどもね。だから、今のような労働の状況だと、やはり続けられないという問題もあります。
佐藤委員
そうですね。フルタイムだと働きながら家事も育児も介護もと、そういう中で早く辞められれば辞めようというのも一つだと思います。
鹿嶋会長
でも教員の場合は肩たたきが、教員は夫も教員でダブル・インカムが多いでしょう。その場合は、大体が50代には行ってくると妻の方に肩たたきが出ますね。そういうのも影響するんですかね。
袖井委員
ありますね。でも体力的にきついというのがかなりあるようです。
佐藤委員
たしか就調で職業はわかりますね。
鹿嶋会長
ただ、高齢者の就業の問題は絶対に触れますので。
佐藤委員
だから、先のことに触れておいていただくと、それをやった上で今の高齢者と両方書いていただくといいなというお願いです。
鹿嶋会長
今の議論は、更に発展的にどういうふうに考えればいいか、皆さんからアイディアがあれば是非お伺いしたいと思いますが、どうでしょうか。どうぞ。
勝又委員
図表4の「条件にこだわらないが、仕事がない」ということの実態なんですけれども、条件にこだわらないのに仕事がないということは、つまり雇う側が欲しないということで仕事がないということなのかと思います。
 そうすると、先ほど再チャレンジとかいろいろなトレーニングとかがあるんですけれども、今まで労働の中でいろいろ行われてきた中で、例えば保護的な雇用とか、ある時期において、例えば雇う人のトレーニング期間中の労働コストを安くする。雇う側にしてみればですね。そういう形でのものも考えられないか。ヨーロッパなどでは、若者に対する保護雇用というか。それから障害者に対する保護雇用がそういう形でスタート時にですね。トレーニングするだけではなくて、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの中でやらせながらも、かつ社会保険料とか、税金とか、そういうものについて優遇措置をしていくということで、雇う方が労働コストとして安くなる。そういう誘導的なものも、ある一定期間は必要ではないかと。具体的にそういうふうに、トレーニングすれば雇うのかというと、トレーニングと雇いたい側のミスマッチングのようなものがあって、なかなかそういうものがうまくいかないということになれば、なぜ雇う側は雇わないのかというところにもう少し、雇われやすいというか、雇ってもらえるような形でのトレーニングとか、そういうものがあった方がいいんではないかと思います。
鹿嶋会長
図表3を見てもわかるように、65歳以上は男性よりも収入を得る必要があるんです。ところが実際は仕事がないという実態で、非常に悩ましい問題になっていますね。だから、今、勝又委員おっしゃったようなことも必要になってくるのかもしれません。どうぞ。
山口委員
このごろ余り出てこないんですけれども、女性のライフステージという表し方がありました。子が大学を出て結婚するまでが母親のライフステージとされ、それから後は自分の生活とすることがまだあるんではないかと思います。
 デパートでは女性たちがデパ地下にてお弁当や総菜を買っていますね。今まで労働時間もなく、四六時中家事労働に身を呈していたわけだから、これからは自分の時間として自由にあてるようになったと思います。
 先ほどシルバー事業で、植木の手入れがありますが、これは男性の仕事の領域とされていますね。女性の仕事の領域は幾らでもあるんです。どうして女性のシルバー産業に入らないのか不思議です。今、75歳以下は、ほぼ4年制大学を出ています。その人たちの選択科目というのは語学が多いんです。家政科と外国語ですね。実はその外国語で教員試験を取っている人たちが大勢います。
 今、グローバリゼーションの時代にあって、女たちが勉強した英語、ドイツ語、フランス語で地域社会に貢献できるのではないかと思うんです。
 先ほどからこの文章にも書いてありますが、男女共同参画センターを活用してと書かれていますが、教養を高める学習のみではだめなんです。実際に役立つ自分のスキルを上げるとか、そういうものが求められる時代です。男女共同参画センターがそういう人材を養成する、生きがいを見いだす参画センターのプログラムに変えていかなければならないと思います。
 私は、50年ぐらい運転していますが、高速道路でチケットを扱っている方は非常に丁寧です。デパートの駐車場係の男性たちの気配り、態度は非常にいい仕事をしておられます。女性も生活体験を活かす仕事があると思うので、シルバー人材センターはもっと仕事として開拓すべきだと思います。
鹿嶋会長
そのとおりです。ただ、表現として、高齢女性に適した就業力の開発というのは、要チェックですね。要するに、女性職、男性職を現役時代になくそうとしている中で、高齢になるとまた復活するというのは、今、佐藤先生がおっしゃったようにね。この表現は少し慎重に扱わないといけませんね。
山岡分析官
現状としてまだまだシルバー人材センターで男性が実際に仕事に就いているのが中心であるとか、そういう問題意識を持って、また女性に対するいろんな配慮が必要だというところまではよろしいでしょうか。ただ、高齢女性向けの仕事とか職業領域だとか、そういう表現に関しては注意すべきであると。
佐藤委員
女性ができないなんていうことがまず間違いなんです。それを前提で議論しない方がいいということです。ガーデニングなんていうのは女性ですよ。高いところに登るのは、男性だって高齢者なら危ないわけだから、男性ならいいというのはまたおかしな話で、危険じゃないようにするというとは勿論大事です。
袖井委員
男性は落ちてもいいなんてね。
佐藤委員
それは困るわけです。ガーデニングだって、女性でも十分やれる職域だと思います。それを固定観念で持っているのが間違いだと。それを直すということだと思います。
山口委員
植木屋さんの話が出たけれども、あれは技なんです。
佐藤委員
そういうものも勿論あります。それは若いころやっているわけですね。
山口委員
そうですね。ですから、シルバー産業は男ですよとは書いてない。しかし、その領域に女性が入り込めるような領域が例示としても挙がってないですね。
袖井委員
私、シルバー人材センターの委員をやったことがあるんですが、全部男です。ですから、窓口を女性にするというよりも、やはり意思決定のところに男性を入れないとだめですね。シルバー人材センター、上の方は労働省さんの天下りですけれども、あれは決まった部署から男の方が天下ってらっしゃるんです。
 それから、各自治体の担当者が集まって委員会をやったんですけれども、各自治体の担当者も男なんです。だから、意思決定の場に女性がないと発想が全然ないということがわかりました。○佐藤委員 だから、仕事の開拓なども男性がやっていたりすると、そういうところもあると思うんです。もし女性が仕事を開拓すると、取って来る仕事も変わってくる可能性があると思います。
鹿嶋会長
だから、仕事領域の開拓というのは勿論それでいいんですけれども、この仕事は女性、この仕事は男性という決め付けを高齢になってもしないという表現にしていかないとちょっとね。
佐藤委員
そう思っている人がいるのが問題なんです。
鹿嶋会長
ただ、植木仕事は体力使うから、その辺で男性と女性で違うのかなという感じがしないでもない。
佐藤委員
平均で見ればね。でも高齢者でも体力がない人がいるからね。
山口委員
植木屋は職業的訓練ですよ。技ですよ。
佐藤委員
ただ、今、女性でも若い人たちも出てきていますからね。
調査課長
おっしゃることはそうだと思うんですが、制度的には勿論中立的なんですが、実質的には女性がなかなか入っていけない現実があるときに、どうやって女性の就業を促進するのかというときに、ある程度女性に配慮したというんでしょうか。配意しつつ、そういう女性が参加しやすい部分を開拓していくのも、現実問題としてあるわけですね。そこをどういうふうに文章的に、今のままでやると本当に。
佐藤委員
例えば会員を増やして、その人が就きたい仕事、希望している仕事を開拓するなら全然問題ないわけです。
調査課長
女性のニーズを生かしたとか。
佐藤委員
女性のニーズを生かしたというか、登録している女性がやれる仕事を開拓するということですね。それを女性向きと言わなければいいだけの話ですね。
調査課長
上からではなくてですね。わかりました。
佐藤委員
一方で、今、女性が多い仕事だけを取って来るのかということになりかねないわけですね。
調査課長
頭からこうあるべきだではなくてね。わかりました。そこは表現を変えさせていただきます。相談窓口を女性専用のをつくるというのも必要ですか。
鹿嶋会長
私はいいと思うんですけれども、どうですか。
調査課長
女性向けの就業相談の充実とあるんですがね。
佐藤委員
それはマザーズハローワーク、一時やめて、パートバンクもやめて、また復活したわけだけれども、ああいう感じですか。
調査課長
そうですね。
鹿嶋会長
ただ、マザーズハローワークはちょっと違うでしょう。子どもがいるからということでのハローワークだからね。
山岡分析官
女性専用の窓口を設置するというところまでいかなくても、例えば相談員の女性比率を高めるとか、その辺りからまず取り組むべきかと考えています。
袖井委員
もう一つ、職業訓練のところもそういうのを入れた方がいいと思って、今、佐藤先生のお話を聞いていてそう思ったんですが、職業訓練校をいろいろやっていますが、やはりあれは植木となってしまっているので、それをガーデニングとかに変えればもっと女性が来る。そもそも女性が応募しないんです。だから、職業訓練の在り方もちょっと考えた方がいいのかもしれませんね。
鹿嶋会長
ガーデニングとか園芸とかね。
袖井委員
そうですね。ともかく植木剪定となっているから女の人は応募しないんです。
山口委員
ガーデニングと書いたら多いと思います。
佐藤委員
やっている人が男性ばかりで、多分そういう発想をしないんだと思うんです。
鹿嶋会長
今、議論している趣旨はよくわかりますね。
山岡分析官
わかります。
鹿嶋会長
どうぞ。
板東局長
今、地方の男女共同参画センターなどで、女性の再チャレンジ支援ということで、少しワンストップサービスに近いことをやりましょうということも始めているところがあるんですが、例えば京都府の男女センターの方で、女性の再チャレンジを支援しましょうということで、そういったことを始めているんですけれども、その中で確かに子育て中の女性のケースもかなり多いんですが、中には高齢者の方々が来ていて、そういう方々はすぐにどういう職業というのではなく、少しずつパソコンをいじるところから、ゆっくり始めたりという、少しずつ自信を付け、能力を開拓しながら、次にどういう職業と結び付けていくかという、じっくり高齢女性の状況にきめ細かに対応しながらというケアをしているようなんですけれども、そういう意味で就職先のところにそれが端的に結び付いていくようなサービスをしているということではないのかもしれませんが、少し高齢者向けにいろんな可能性を切り開いていくというようなサービスも、子育て中の女性向けというだけではなく、やはりニーズがあるんではないかと思います。手法が少し違うところがあるのかなという感じがいたします。
 例えば、これは民間企業でやっているので、40代、50代の女性向けの再チャレンジを支援しているような企業があるんですけれども、やはり今まで仕事に就いていなかったような方々に、どう自信を持たせていくかというような、かなりメンタルな部分のところとか、あるいは企業の方から働いてもらう人に対してどういう資質を求めているのかというところについて、非常に基本的なところから情報提供している、訓練をしているというのがあるんですけれども、そういったところでいろんな年代層で、いろんなニーズがあるのかなと。確かに今お話しのように、能力開発みたいなところと結び付けていかないと、とにかく向いている職業を集めて紹介しますということだけでは、なかなか不十分な所もあると思います。そういうのを含めてのワンストップサービスというのが、高齢女性をかなり意識したきめ細かなサービスがあってもいいのかなという感じがいたします。
 ただ、まだどれぐらいそういうことができる状況になっているかというと、非常に寂しい状況だと思っています。
鹿嶋会長
高齢女性のための就業相談体制も、私はこのままでいいと思うんです。というのは、高齢女性向けのポジティブアクションと考えれば、こういう整理の仕方でいいと思います。少し時間を取ってしまったんですが、更にあれば後で御意見をいただきたいと思いますが、今日の一番大きなテーマであります地域でありますが、後で取って付けたように言っていますね。地域は後で一緒にもらいましょう。今、地域の問題が全然皆さんから意見をもらっていませんので、今から説明を受けた後で地域についてということであれば、是非御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、最終報告(案)について、事務局から説明をお願いします。
山岡分析官
それでは、今日、一番中心の議題ですが、資料5-1でございます。「最終報告(案)」ということで整理させていただいておりますものについて御議論いただきたいと思います。
 こちらの案でございますが、まだあくまでたたき台でございまして、各省との協議も、この専門調査会が終わった後に先生方の御議論も踏まえた形でさせていただきたいと思っておりますので、そういう前提でお願いいたします。
 目次で大体の構成を御説明しますと、第1章、第2章となってございますが、基本的には今まで論点とりまとめで議論してきた方向性をバックボーンに整理しています。第1章で「趣旨と問題認識」、この報告書の位置づけ、今の高齢社会、これからの高齢社会というものをどうとらえるのかというところについて整理をしています。
 第2章で、それぞれの分野について現状分析、この現状分析については、これまで論点とりまとめの中でもやっておりましたいろんなデータを示しながら、何が問題なのか。また関連する施策として、その施策の現状がどうなっているかということを、そのデータ分析、それから各省ヒアリングの結果を基にとりまとめているものが第2章でございます。
 第3章でございますが、こちらがそうした分析を受けまして、これからの課題と取組ということでまとめています。この第3章の部分が、参画会議での意見決定に対応する部分になるということで考えています。
 本日、お時間も限られていますので、この第3章の部分について御説明の上、特に御議論いただきたいと思っております。
 「男女共同参画の観点から見た高齢者の自立支援をめぐる課題と取組」ということで、まず1点目「高齢者の自立支援における男女共同参画の視点の重要性」。こちらは、これまで論点とりまとめで整理したおりました内容でございます。まず、高齢者人口に占める女性の割合が非常に高いということ。それから男性にとっても高齢期というのは第二の人生ということでもう一度見直していく必要があるということ。
 そういったようなこと踏まえ、また、いろんな高齢期の状況には現役時からの影響が非常に大きいということで、長期的かつ世代横断的な視点に立って施策の在り方について検討する必要があるということを整理しています。
 「2.基本的な考え方」、こちらにつきましては、論点とりまとめのときと同じ内容にしております。基本的には「自立と共生」の理念に基づいて取り組んでいくべきであるということでございます。
 26ページ「3.施策横断的にみた課題と取組」、こちらも論点とりまとめと同じでございます。
 (1)として、男女共同参画の視点の主流化~男女別の分析及び施策への反映の強化というものを、各府省においても進めるべきということ。
 (2)として、高齢者の自己決定の尊重という考え方。
 27ページ、(3)として、地域差に配慮した取組の推進。
 この3点について、論点とりまとめと同様に基本的な施策横断的に見た課題ということで整理しております。
 28ページからが「4.分野別にみた課題と取組の方向性」になります。目次に戻ってごらんいただきますと、5本の柱で整理しております。この柱立てに関しまして、基本的に論点とりまとめと一緒ですが、今まで論点とりまとめでは、(2)に当たりました高齢者の経済自立に関するものを1つ目の柱に持ってきておりました。ただ、前回専門調査会の御議論でも、経済的自立といいながら言っていることが割と現役時からの女性の就労環境整備だとか、社会保障制度の在り方ということで、今、目の前にいる高齢者の自活をどう促進するかというところに関するところが弱いのではないかという御議論もありまして、それを事務局でも検討したのですが、今の高齢者に対して何をするかといったような場合に、なかなか急に社会保障給付の給付費を上げるという議論にも持って行きにくいところもございますので、やはり第一には就業促進が来るのではないかということを考えまして、全体のバランスも考慮した上で1番目と2番目の柱立てを逆転しまして、経済自立に関することといたしましては、タイトルとしては高齢期の経済的自立につなげるための制度や環境の整備という柱立てにして、位置づけを整理し直させていただいております。
 28ページにお戻りいただきまして、ここからそれぞれの柱立てごとに、多少それぞれの取組として何が必要なのかという考え方を示した後に、ア、イ、ウと施策の柱立てを整理しています。○レベルで具体的な取組、どの省に取組を求めるかという形で整理しています。
 28ページからの(1)につきましては、先ほど御議論いただいた就業の部分ですので、内容的には施策の柱は全く一緒ですので、御説明は割愛させていただきます。28ページ~30ページまでが就業の部分です。
 31ページ「(2)高齢期の経済的自立につなげるための制度や環境の整備」といたしまして、前文で高齢期、特に高齢単身女性の貧困の問題というのは、現役時からのいろんな問題を引きずっているということで、現役時からの女性就労環境の整備というものが非常に重要で、それによって就労における男女の均等な機会と公平な待遇の確保に向けた取組を加速化していくことが必要ではないかということで、これを1つ目の柱にしております。
 2点目といたしまして、そういう女性の就業調整をもたらしているようないろんな税制、社会保障制度についてですが、女性の社会参加ですとか、働き方の多様化、また単身世帯の増加といった家族形態の変化など、こうした変化を踏まえながら、性別や家族の持ち方、働き方に中立的な税制、社会保障制度に変えていくことが求められている。特には単身世帯の問題、共働き、正規雇用の増加ということを踏まえてやる必要があるのではないかということで、書かせていただいております。
 なお書きという形で、社会保障制度における給付と負担の在り方について検討する際には、高齢単身女性の厳しい経済状況にある層の現状について把握・分析し、反映していくことが求められる。これに関しては、具体的な施策までは、なかなか踏み込みにくい部分もありますので、考え方として整理してございます。
 その下、アといたしまして「就労における男女の均等な機会と公平な待遇の確保」、高齢期に向けた取組ということで、これは男女局として常日ごろから申し上げています、仕事と生活の調和、再就職や起業に対する支援体制。
 32ページ、つい先だって策定しました、女性の参画加速プログラム、雇用機会均等、非正規雇用者に対する公正な処遇、母子世帯の自立支援施策の推進、これらを挙げてございます。
 次に「イ.性別や家族の持ち方、働き方に中立的な税制・社会保障制度の構築」ということで整理しています。このイの部分が、なかなか難しいところがございまして、前回も御議論をいただいたのですが、年金の制度改革等が厚生労働省でも散々議論してきて、いろんな案も出ながら、それに伴うメリット・デメリットがある中で改正が見送られているようなものもございます。後ろにいろんな玉を挙げておりますが、一部については明記するかどうかを含めて要議論として、すなわち保留という扱いにさせていただきます。その辺り、どこまで男女共同参画の観点で必要性を指摘していくのかということについて、本日、先生方の御意見をいただきたいと思っています。
 また、具体的な施策の制度改正の玉としては、なかなか指摘までは行きにくいものの、大きな考え方として男女共同参画の観点から見た場合に制度はどうあるべきかということに関しては、是非とも指摘をしていきたいと思っていまして、それに関して32ページのイの中の文章で、大きく3点ほど整理してございます。これについて、この考え方でいいのかというところを是非ともチェックをしていただきたいと思っています。
 前回、専門調査会で出したペーパーの中では、中立性、個人単位化、家族の育児等への配慮ということを書いていたんですが、なぜ中立性が必要なのかということから整理しないと説得力がないかなというところがあります。そういう点で、今回は高齢期の自立に向けて女性の自立を促していく方向での制度の見直しが必要ではないかということと、やはり男女共同参画ということで言いますと多様性を尊重していくというところがございますので、そういう中でいろんなライフスタイルの変化ということを踏まえて、制度はどうあるべきかということで3点ほど整理しています。
 1点目が、女性の経済的自立を阻害する方向に働き得る制度の見直しが必要ではないかということで、配偶者控除ですとか第3号被保険者制度に関して、一面において女性の就業調整、それにより経済的自立を阻害してきた側面があるという問題を指摘しまして、こういう被扶養の女性については、世帯に守られているうちは経済的に安定しているけれども、いざ離婚等で離れた場合にリスクに弱い、そういう中で女性自身の経済自立を促す方向で制度見直しが必要ではないかということでございます。
 2点目として、女性の働き方の変化への対応が必要ではないかということです。共働き世帯が増えているということもございますし、また、女性の就業形態としてパートタイム労働等の非正規雇用が多いということがあるという中で、そうした方々の状況も踏まえた制度、いろんな活動が選択に中立的な制度への見直しが必要ではないかということです。
 3点目として、家族形態の変化への対応が必要ではないかということで、単身世帯が最も多くなってきていて、そういう方々に関しては家族の中でお互いにリスクをヘッジするということが難しいということもありますので、そうした単身世帯でも途中で何か就業中断等があった場合でも老後の安心が保障されるような仕組みが必要ではないか。
 こういう大きな課題に対する視点を提示した上で、制度の見直し、中立的な仕組みになるようにということで考え方を示しております。
 具体的な検討については、社会保障国民会議等の場において早期に進められることが必要であるし、また社会保障で制度全般について一体的に見直す観点が重要であるということは言うまでもないという考え方を整理しております。
 具体的な政策の玉といたしましては、この3本柱に沿って整理しまして、1点目が3号被保険者制度の見直しの問題です。これに関しましても、では見直した場合に負担をどうするのか、給付をどうするのかという議論がある中で、1つは以前平成14年にやっていたライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システムに関する報告の中では、所得分割制度の導入ということも合わせて検討してはどうかという方向で、影響調査の中で指摘してございます。そういうことも含めて、慎重に検討していく必要があるという方向性です。
 2点目、配偶者控除の見直しでございます。これも前回御議論いただきまして、単に見直すだけだと負担が増えるだけですので、負担に与える影響を調整するように配慮しつつやるということ。それから、育児期への配慮については控除という形ではなく積極的な評価としての手当への変換の方向性も含めて検討する。これも前回の御議論を踏まえて付け加えさせていただいておりますが、この辺りもまだまだ議論が必要ということでとしています。
 ②として、パートタイム労働者への厚生年金の適用拡大ということで、被用者年金等法案の法案が提出されていますけれども、まずその早期成立を手がかりに適用拡大に向けた取組を推進するということ。
 2点目として、遺族厚生年金の仕組みの見直し、これに関しては、前回の制度改正の中で給付される4分の3のうち、女性の年金権を優先させるという制度改正がなされたばかりではあるのですが、更に女性の就労・不就労の選択における中立性を確保するという観点で、片働きと共働きの間の不均衡を縮小する方向で、給付と負担の関係について見直したらどうかということでございます。ただ、これもある程度見直しがされたばかりということで、どこまでこのことを言っていくのかということでにさせていただいております。
 34ページ、社会保障制度における介護期間への配慮、これに関しまして、今は育児期の保険料免除ということがございますが、介護期間についても必要性があるのではないかということで書いてございます。ただこの辺りも、育児と介護では、例えば年金の支え手に対する支援をするかどうかということで考えた場合に、位置づけが違うのではないかという議論が過去にいろいろあるようで、その辺りも含めて扱いにしております。
 「③家族形態の変化に対応した制度への見直し」、モデル世帯の見直しということで、これは今までは片働き世帯がモデル世帯でございましたが、単身、共働きということが主流になっているということを踏まえた見直しということです。
 2点目、老齢年金の加入期間の見直し、こちらにつきましても、先ほどのリスクに弱い単身者の増加、非正規雇用者の増加も踏まえ、25年に短縮してはどうかという案ですが、こちらもやはり厚生労働省が出しているペーパーなどですと、逆に低年金者が増えるという懸念、あと25年といっても保険料免除の制度を多段階化してきているという中で、ある程度この25年というのは満たすことは可能な年数であるという見解もございまして、そういう中で、それでも必要であると言うかどうかというところで御判断いただきたいと思っています。
 次に「ウ.自営業や農林漁業における家族従業者の経済的地位の向上」ですが、1点目に、第1号被保険者制度における育児期間等への配慮、これは今、2号者だけに育児期間の保険料免除等がされていますが、第1号に関しても育児期については通常は保険料免除だけというわけではなくて、積極的な評価としての保険料免除やみなし加入期間等の配慮があってもいいんではないかということでございます。
 ただ、これを考える場合も、では1号だけでいいのか、ほかの3号等も含めて必要ではないかとか。あと1号に関して、そういう状態の把握がなかなか難しいということもあって、この制度についてもメリット・デメリット、考えるべき点はいろいろあります。
 2点目に、農業者年金制度の普及促進。
 3点目に、家族経営協定の締結促進。
 35ページから3本目の柱として、生活自立に関してです。アが、先ほど御説明しました高齢期の家庭・地域における男女共同参画の推進でございます。
 36ページ、イといたしまして、単身高齢者の自宅生活をサポートする生活支援体制の整備。こちらに関しましては、前回住宅の関係で御議論いただいた時に一緒に御議論いただいています。1つが、高齢者の日常生活支援施策の推進、現在は主に認知症等の判断能力が低下された方に対する支援ということで展開している施策ですが、そうした日々の高齢者の生活を支援する施策の一層の推進を図るということ。
 2点目は、もう少しそれを広げるようなイメージですが、認知症等までいかなくても、日々の生活に不安があって何か手助けが欲しいという方に対する生活支援のためのサポーターの仕組みを地域あるいはNPO等との連携の下に検討を進めてはどうかということです。
 3点目、高齢者の孤立防止のための公的支援体制の整備ということでは、これは今ちょうどモデル事業として動き出しているものでもありますが、特に単身高齢者の孤立を防ぐために必要な支援をコーディネートして提供するコミュニティーワーカーの仕組みというものを更に普及・推進していってはどうかということです。
 ウとして、高齢者の判断能力の低下に対応した施策の推進について、特に消費者被害の防止ですとか、成年後見制度に関して、高齢女性に非常に被害者が多かったり利用者が多いという実態を踏まえて、もう少し女性の視点を入れていってはどうかということです。
 1点目として、これら施策の効果的な普及啓発といたしまして、具体的には見守りネットワーク協議会とか、メールマガジン等がありますけれども、こういったところへの女性関連団体の参加促進を図るということ。
 2点目として、これらの制度や施策について、高齢女性が利用しやすい体制の整備ということで、例えば女性後見人の育成とか、先ほど言っていました女性相談員による相談体制の整備、こういったようなことを図ってはどうかということです。ただ、ここもを付けさせていただいているのは、先ほどの就業のところの議論と一緒で、女性向けだから女性後見人、相談員でいいのかというところが、事務局の中でも判断に迷うところがあり、御議論いただきたいと考えております。
 エとして、高齢者の安心の住まいの点ですが、これは前回も御議論いただきました。
 1点目として、生活支援サービス付き住居の整備。
 2点目として、介護を受けられる高齢者向け住宅等の整備。
 3点目として、低所得者向けの住宅施策の充実。
 これに関しては、低所得者向けということで、2段落目にまた書きで、やはり生活保護は受給しなくても住宅費のみ支援があれば自活できる層を対象とした支援策ということで、低所得高齢者向け住宅手当の創設について、財政負担と効果との関係に関する調査研究を行うなど、実現化に向けた検討を進めるということを書いておりますが、これも非常に大きな問題ですので、どこまで落ちていくかというところでということにさせていただいております。
 38ページ、住み替え相談窓口の整備。それから、住宅資産の有効活用に対する支援。この辺りは前回もお示ししていたものです。
 オとして、高齢者の状況に配慮したICTの普及・活用ということで、これも前回の論点の内容を落とし込んだもので、1つは高齢者のICT機器利用を支援する体制の整備として、使いやすい機器の開発、それから利用を支援する体制の整備。
 2点目として、生活におけるICTの有効活用を更に推進する。
 3点目として、高齢女性における情報格差解消のための取組を進めるということで、この中では男女共同参画センターや地域の女性団体等との連携した取組を進めるということ等を挙げています。
 カとして、高齢者虐待の問題への対応ということで、こちらに関しては虐待防止の対策の一層の推進を図っていくということでございます。
 39ページ「(4)性差に配慮した医療・介護予防への取組」ということで、この点は男女差が非常に大きいということをより一層踏まえた研究体制整備、分析といったようなことを書いております。
 アとして、性差医療の推進ということで、1つは研究の推進を図るということ。
 2点目として、知識の普及をさまざまな団体等と連携して図っていく。
 3点目として、そうした性差医療を推進する体制の整備を図っていくということで、国立成育医療センターを中心として情報提供、それから医療機関等における取組を促進するということ。
 それから、こうした取組の好事例についての普及促進を図る。
 また、女性医師の働きやすい環境整備というのも、ある意味女性のニーズに応じた医療の提供という点で関連があるということで、ここに位置づけさせていただきました。
 40ページ、男女の違いに配慮した生活習慣病対策、介護予防施策の推進ということで、1点目が特定健診・特定保健指導や介護予防における男女別評価の推進として、ちょうど特定健診等については、今年度から動き出している仕組みですけれども、個人別の健診・保健指導のデータですとか、介護予防のデータが蓄積されていきますので、それに関する男女別評価の推進をしていくということ。
 2点目として、そうしたデータを基にした男女の違いに応じたプログラムの開発研究を進める。
 3点目として、高齢男性向けの生活習慣改善のための支援機会の充実を図っていく。
 4点目として、骨粗しょう症予防の推進。これは従来からやっているものです。
 5点目として、高齢者や女性が参加できる地域の健康づくり環境の整備ということで、これは主にスポーツ総合型地域スポーツクラブにおける参加促進の問題への取組でございます。
 最後に41ページから「(5)女性の介護負担の軽減、良質な医療・介護基盤の構築」といたしまして、アとして女性の介護負担の軽減に向けた継続的な取組ということで、1点目が介護サービス基盤の整備。これに関しては、介護人材の育成とか、職業紹介といったようなことを一層推進するということと、やはり女性の介護負担の軽減が実現するかということに関しては、定期的に調査分析、チェックをしていく必要があるのではないかということです。
 2点目として、介護休業制度を利用しやすい職場環境づくりということで、これに関しては制度の普及支援、労働者からの相談対応、両立支援に取り組む事業主への助成金の支給等の取組を進めるということです。
 イとして、良質な医療・介護基盤の構築に向けた取組について、こちらは1点目として、介護労働者の処遇改善に向けた取組、これに関しては、実際に労働者の就業の実態とニーズに関する把握を男女別に継続的に行っていくということ。また、就業ニーズを把握して、それに応じた職場環境整備の促進を図るということです。
 2点目として、地域で必要な医療が受けられるための医師確保対策の推進。以前、専門調査会の中でも医療基盤の部分で、非常に地域差が大きいということも御指摘いただいておりましたので、現在、緊急医師確保対策として医師不足地域の解消、女性医師等の働きやすい環境整備等を進めております。そうした取組を推進するということ。
 それから、女性の参加加速プログラムの中で、重点を置いております女性医師の勤務状況等に関する改善の支援、こういったようなことを進める。
 以上のように柱立てを整理させていただきましたが、まだまだ不十分なところも多いかと思いますので、是非御意見をよろしくお願いします。
鹿嶋会長
それでは、まず先ほど私が飛ばしました資料4-2-1「高齢期の家庭・地域における男女共同参画の推進」、それから、今、説明があった中で軽く触れただけでしたが、最終報告(案)の中の参画会議の意見決定を必要としない部分、1章と2章、この辺りで意見、質問等々がありますでしょうか。どうぞ。
大沢委員
いろいろと読ませていただいて、今回、高齢期の家庭・地域における男女共同参画ということで、NPOとか地域のボランティアの人たちとか、そういう人たちとの協力の視点が出てきてもいいのではないかと思います。
 実は、私、余り参加できなかったんですが、男女局でそういった事例集をつくられて、今まとめられているところなんですが、私が聞いた例では、京都府でそういう地域でいろんな活動をしている人たちのネットワーク化を進めることで、協力して住みやすい地域をつくっていく、これは子育て支援に関するものでしたが、同じようなことは高齢者の自立支援などでも言えると思いますので、そういった視点があってもいいかなと思いました。
 ついでなんですが、この点とは直接は関係ないんですが、就業支援などの1つとして、女性の起業ということも就業するというだけではなくて、自分の雇用を自分たちでつくってしまおうという発想もどこかに入ってもいいのかなと思います。去年の厚生労働省の女性白書は、女性起業のことが特集になっておりましたので、そんな情報を活用すれば少し選択肢が増えると思いました。
 以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。どうぞ。
横田委員
後の方でも関係するのですが、最終報告(案)の10ページ、高齢期に経済困難に陥りやすい潜在層ということで母子世帯となっていますが、その人たちの中心は非正規雇用の人たちだと思います。そこには正規雇用者との間に賃金格差があり、またそのほか保険等の不利益があります。これは前からここでも何度も出てきていることなのですが、私が今、出ておりますILOの専門家委員会でも、ずっと指摘されてきていました。ILO100号条約の問題なのですが、数値的に全然改善されてないのです。同一価値労働・同一賃金という原則が条約には書かれていまして、それを基本にこの問題を考えるというのがILOの立場です。例えば非正規雇用がいけないのではなくて、非正規雇用であった場合に正規雇用と同じ労働価値に対しては同じ賃金を払うという基本が貫かれていないところに問題がある。だから、非正規雇用を正規雇用にすればいいという発想の前の段階の問題があるわけです。そのことがないために問題が残っているのです。
 ILOの立場は、日本に対しては、法律できちっとこれを規定しなさいということなのです。条約を批准しているわけですから、法律に書かないのはおかしいという考え方なのです。
 もちろん今ここで法律に書けと言う必要はないのですが、私はこの報告書の中で、やはりそのことは一言はっきり書いておいた方がいいと思うということを、意見として申し上げさせていただきます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
山岡分析官
先生から御指摘がありました非正規雇用者の問題につきましては、この10ページで問題点を指摘すると同時に、32ページの方で非正規雇用者に対する公正な処遇の促進ということで、政策としては書いておりますけれども、先生が指摘しておくべきだとおっしゃる内容は、具体的にはどのようなことでしょうか。
横田委員
考え方の基本原則をどこかできちっと書いておいてほしいということなんです。つまり同一価値労働・同一賃金、これは男女の区別もなく、老齢者か若いかの区別なく、外国人か日本人の区別もなく守るべき基準で、これは条約上の義務になっているわけです。ところが、日本ではそれが法令に書かれていないために、しばしば忘れられたり、守られなかったりしている、それが原因となって、結局女性の平均賃金が男性よりも低い、まだ3分の2ぐらいだという状態がなかなか改善されない状況が続いていまして、法令を改正するところは勿論大きな問題で、なかなか難しいかもしれませんが、こういう報告書の中ではILO条約を批准していまして、これは書いて決しておかしいことではないものですから、そのことを一言書いて、こういう考え方でこの問題に対処すべきだというふうに書いて、あとの内容については問題ありません。そのことです。
鹿嶋会長
ありがとうございました。どうぞ。
大沢委員
今の点に関連するんですが、今、韓国と日本との非正規労働者の比較をしているんですが、韓国で起きている問題というのは、臨時的な働き方、雇用契約に制限がある人たちが無年金化している。パートタイマーが持っている問題というのは、韓国の場合には臨時労働者の問題になっているわけです。それは経済のグローバル化やコスト競争が非常に厳しくなっているということが関連しているということなので、非正規の問題は両国で同じように持っているわけですが、日本の場合にはパートタイマーの低賃金化という問題になり、韓国の場合には臨時労働者の不安定化等、さまざまな問題をもたらしているという違いがあると思います。
 なぜ、そういう違いが起きるのかというのを見ていくと、この第3号被保険者あるいは配偶者控除の制度が、日本にはあって韓国にはないというところが違いですねというところに、今、研究が落ち着きつつあります。
 ですから、そういう視点から見ると日本の場合にはこういう制度があるがために、こういった貧困の問題がより女性に多くの問題を押し付けてしまっているということを念頭に置いた方がいいと思います。ですから、女性の生き方がこれによって制約されるという問題ではもうなくなってきているということなんです。問題の根っこというのは、経済の構造が変化しているところにあるわけなんだけれども、こういう制度があるがゆえに、特に家族形態が変化して、単身世帯が増えてきて、その中で非正規雇用に女性が非常に多く就いているがゆえに、女性の貧困問題が今後より深刻化する可能性がある。これに対して、この制度を残していくことがいいのかということを国民に問うという議論をしていくべきだと思います。この報告書でどこまで書けるかというのはよくわからないんですが、そういった背景は念頭に年金問題を議論していかないと。
鹿嶋会長
今、大沢委員のおっしゃったことを今からやりたいと思います。2章までの意見は、もし更にあれば後でペーパーでいただきたいと思っております。
 3章以下の部分で、特に3章の4のところでかなりがついていますけれども、このまま出していいのかどうかということでございます。32ページ辺りで、例えば論の立て方、これは第1、第2、第3と書いてありますけれども、このような形でいいのかどうか。
 それから、今、大沢先生のおっしゃったことは、第3号被保険者制度も含めた問題、33ページ以降ですね。要するに、今までも過去に議論されてきて、なかなか解決がつかない問題を、改めて私たちがきちっと出すのかどうか。それともこの辺りは、もう少し落として現実的に対応していくのかどうか。そういう問題も含めて議論をしていただきたいと思っております。特にと書いてあるところがそうなんですね。
調査課長
というところの趣旨なんですけれども、慎重に議論した上で打ち出すべき政策だという意味のです。ですから、とりあえず今日御議論をいただいて、皆さんの御意見を尊重した上で言っていくのであれば、これから各省協議に進みたいと思っております。
 第3号とか配偶者は、今までもある程度のことは言ってきていますので、ここは言っていくことは必要だと思っています。
鹿嶋会長
失礼しました。は言われ尽くしたことじゃないんですね。
調査課長
より新しい提案だということです。
佐藤委員
かつハードルが高いと思っているということですね。
調査課長
それで皆さんに御承知いただきたいということです。○佐藤委員 今までここで議論してないでしょう。
調査課長
議論は出てます。
神野委員
ちょっといいですか。私は、32ページ辺りからのまとめ方でいいと思います。少なくとも男稼ぎ社会を前提にしている制度は、ちゃんと辞めろという意思が、方向がきちっと打ち出されてくれば、あとのことをどうするかということよりも、一つひとつ問題が出てきたときに、これで対応できるという方向性が打ち出されていればいい、そちらをしっかり書いた方がいいと思います。
 私の責任もあるんですが、税制などについて言うと、少なくとも私は出してなかった問題もありそうなので、そういう問題が出てきたときにも、こういう方針でいけば大丈夫ですよという方向が出ていた方がいい。それは、昨日の夜中に大沢真理先生から、原先生と大沢真理先生がまとめたジェンダーのレポートを読んでくれといわれて読んでいたんです。そこでは、勿論配偶者控除も指摘されているんですけれども、今の高齢者の問題はもっと大きな問題になるかもしれない寡婦控除の問題をとうとうと議論しているんです。
 ここでは今まで議論してなかった、議論していたかもしれませんが、突然出すのもおかしいので、ただ、そういう問題を考えている人たちの間で、かなり意識されているので、出てきたときも、ここでそういう方針が読めるようにしておいた方がいいだろうと思います。
 私はよく追ってなかったのですが、配偶者控除というのはある意味で男女対称なわけですね。つまり私のところにいるような男性の大学院生で、妻が看護婦さんで一生懸命働いている場合には配偶者控除の恩恵を受けているわけで、ところが、寡婦控除だけは男女非対称なんですね。つまり婦人の寡婦と夫の寡夫と違うんです。これは明らかに女性に有利な制度になっているんですが、これは男稼ぎ社会を前提にしているわけですね。
袖井委員
遺族年金もそうですね。
神野委員
年金もそうですね。この寡婦控除が、私の解釈と違うので確認しようと思っていたんだけれども、今、寡婦控除は27万円あるんですけれども、死別だけではなくて離別者も適用できるようなことが書いてあるんです。それは間違いですね。
 女性の方の寡婦控除は、一定の所得と子どもがいるという条件があると、その27万がまた10万ぐらい増えるんです。男性は増えない。その書き方だと、離別の女性は男性の寡夫控除と同じ27万止まりで、死別した場合で条件がと書いてあるんでけれども、それは後で確認しますが、私は離別は適用されないと思っていたのです。
 いずれにしても、それを読んでつらつら考えてみると、この調査を見ても、離別とか死別と同時に、全然結婚していなかった方の単身の高齢者が問題になるのに、どうして、例えば死別した一人の人だけが更に優遇されるのかということですね。こういう制度は、多分ほかの国にないと思うので、多分男稼ぎ社会を前提にして発想として出てきて、特に改正する前は女性にかなり有利な、男性の場合にはほとんどもらえないシステムになっていたので、それがかなり前提になっているのではないかと思うのですが、こういうのは難しいんですね。難しいというのは、廃止しろと言うか、男稼ぎ社会が崩れつつあるんだけれども残っているときに難しいんだけれども、そういう問題もいろいろ出てくるかもしれないので、原則はとにかくきちっと書いておいた方がいい。あとこういうふうに抜けている問題もあるということは認識しておいた方がいいと思いましたので、その点だけちょっと。
鹿嶋会長
そうすると、神野先生の場合はと書いてあるようなところをざっと見てくださって、大体問題なしと。
神野委員
このまま残した方がいいとは思いますが、無理してやるのであれば、これが読み取れるような形で前に少し。例えばさっきの寡婦控除の問題も、ユニバーサルにサービスがちゃんと出ていっていれば、わざわざそんなサービスで保障したりしてあげていれば必要ないわけですね。死別か死別じゃないかにかかわらず、むしろこれを見れば、極端に言えば男性の場合には結婚してない男性の方が深刻なわけですね。少し発言が不穏当かもしれませんが、そうですね。それは制度がゆがんでいるんではないかと思いますので、そういう制度があるんでないかと思います。
鹿嶋会長
そうすると、男性稼ぎ型社会の残滓があるわけですね。そして合理性を欠くものについては、少し指摘していった方がいいという見方でいいですか。
神野委員
いや、指摘するんではなくて、ここで方針を書いてありますから、1、2、3で読めるわけですね。
調査課長
もうちょっと男性中心が前提ということで、少し言葉が足させていただいてもいいかもしれませんね。
佐藤委員
そこは注意していかないと、余り大胆に書かない方がいいです。
鹿嶋会長
男性稼ぎ型社会云々というのもなかなか難しいですね。
神野委員
だからこれでいいんじゃないかと思います。
鹿嶋会長
山口委員、どうぞ。
山口委員
今、神野先生のお話を伺っていて、実は女性団体の中でも夫の遺族年金をもらっている人がいて、それは本当に不公平だともらっている人が言っていました。
 先生の今のお話の背景は、国連婦人の地位委員会で、これからの課題として、ジェンダーバジェットの問題がある。その中身をおっしゃっているのかなと。
神野委員
その報告書です。
山口委員
その中身ですね。これは全くここで触れなくていいのかということがあるので、おっしゃるとおり、私はそういうことを視野に入れておいた方がいいと思います。
 もう一つ、今、だれもが気になっているのは、後期高齢者の問題です。これは全然触れないんですか。ここでいうのは高齢者という定義を入れておいて、その場合に高齢者といっても5年ごとに変わってきますね。その辺は全然前提として入れなくていいのかどうか。私は入れた方がいいと思います。以上です。
鹿嶋会長
後期高齢者の定義を入れると。どうですか。
山岡分析官
定義について、高齢者の状態像が非常に大きく変わるということを書くということでしょうか。
山口委員
まず社会保障制度の中で年齢の問題がありますでしょう。それだけでも決まっているものがあれば取り出した方が明快だと思います。ここでいう高齢者というのは、例えば60歳以上あるいは65歳以上であるということであって、後期とか前期とかに触れないで、全部それ以上を含めるのか、今、後期高齢者と言われた人たちはものすごく怒っていますからね。
鹿嶋会長
あえてそういう問題は触れない方がいいんじゃないですか。どうなんですかね。
山口委員
そういう戦略もありますね。
鹿嶋会長
ここで触れると、また火を付けてしまう。
山口委員
それは皆さんのお考えで。
鹿嶋会長
どうぞ。
横田委員
ありがとうございます。3点あります。1つは先ほど私が申し上げたことが32ページに具体的に書かれていて、そこのところも気になっていたのですが、結局ここに書いてある。例えば上の○の3つ目のところの非正規雇用者に対する公正な処遇というところですが、この公正な処遇という言葉の具体的中身が書いてないためにあいまいになっているのです。ですから、一番最初の方で公正な処遇というのが、同一価値労働に対して同一賃金を払うという基本原則なんだということがはっきり書かれているとわかりやすいと思います。
 次にイのところに出てくる中立性というのは、先ほどもちらっとおっしゃったのですが、やはりこの文章だけだとちょっとわかりにくいと思います。ですから、どういう意味で中立性と使っているのか、少し補足することをお願いしたいと思います。私たちがここで議論していたところではわかるのですけれども、多分一般に読む人にはわかりにくいのではないかと思います。
 最後に33~34ページの点ですが、配偶者控除の見直しの問題以外は、余り内容を詳しく知らないので何とも意見は言えないのですが、この配偶者控除の見直しの部分について考えますと、これは先ほど神野先生がおっしゃったとおり、男稼ぎ社会という日本の状況を踏まえて、こういう制度ができて、その枠の中で動いている中で、実は女性が自立する上で問題が出てきているところに問題があるわけですが、他方でこの制度の下で対応している人が結構いるわけです。これをいきなり見直してやりますと書くと、意見は分かれて混乱するのです。
 ですから、方向性としては、いずれは廃止するにしても、ここでの書き方は、どういう書き方にするかは工夫していただくとして、やはり実情を調査して、現実に合っているかどうかを検討し、場合によってこの制度を見直すことを検討すべきというふうにワンランク落とした表現にしないと、いきなり見直しと言って、そちらの方向に進むと言ってしまうと、移行期の問題がどうしても出てくると思います。理想的な状況になっていればいいのですけれども、移行期でやはり不利益を受ける家庭の主婦、女性がいる可能性があるというか、私はいると思うのです。ですから、そういうことも含めて、ほかのところも同じなのですが、遺族厚生年金もなくなったら困るという人と、こんなのおかしいという人といるわけですから、検討の余地があるという観点で、今後検討していくという形に提言しておいた方が、今の時点では無難かなと思います。この先もうちょっと問題がクリアーになって、はっきりとその方向性が出せるときにもう一度書き直した方がいいかなというのが私の意見です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。は新たに提言すると言っていたけれども、配偶者控除の見直しは前から言われていることで、報告書としてこういうものを出すのが初めてなんですか。
山岡分析官
配偶者控除の見直し全体としてのではなくて、手当に変えていくかという、そういう細かいところまでということです。
鹿嶋会長
今の横田委員の意見は、どうですか。
神野委員
これはいいんじゃないでしょうか。見直しという表現と、先生がおっしゃったような御心配は、配偶者とかなり慎重な書き方になっているんですね。正確に言えば育児期だけではなくて、配偶者控除の対象になっている人の生活費も入るのかもしれないけれども、配偶者という要件のみの控除についてはと書いてあるので、官僚的に読むと配偶者という要件のみですから、その配偶者が、例えば扶養が必要な状態になっていると言えば、そのときにまた新しい制度をつくるときどうするかという議論をするんだということや、あと手当が入れば手当との関連でやるとか、基礎控除の引き上げとかを含めていろいろやりますよというふうに読めばいいんですね。見直しということですから、単に廃止してそれで終わりということは、前にも言いましたけれども、それは意味してないということでいいんですね。
山岡分析官
そうです。
神野委員
そうだとすれば、見直すと言っているので廃止とは言ってないと、いずれにしても検討していくことは必要だということですね。このぐらい書いておかないと、制度全体の見直しも進まないような気がするので、このぐらいの表現はいいんじゃないかと思います。なお以下が問題があるのかどうかは任せるにしてもですね。
鹿嶋会長
どうですか。
横田委員
私はその点に固執するわけではなくて、この点は関心を持っている人が非常に多いわけですから、その人たちがわかって、なおかつ納得できるような表現にさえなっていればいいということです。その場合に何となく最初の文章に出てくる縮小または廃止という表現は、勿論、今、神野先生がおっしゃったように、要件が付いていますが、書く方はそういう要件を付けますけれども、読む方は意外にそういうところは見ません。見直しとなっていると、やはりこれはやめる方向なのかというイメージを持ってしまうので、そういう点で配慮さえすればいいというのが私の発言の趣旨です。
鹿嶋会長
ありがとうございます。これについては、後で事務局と私の方でまた検討いたします。
 ほかにありますか。どうぞ。
勝又委員
次の34ページの上のところなんですけれども、で「社会保障制度における介護期間への配慮」ということで、介護期間における保険料免除の導入を行うというふうに言っていることについては、これをどういう根拠で言うのかということが、余り議論されてないんですね。特に育児休業との関係でおっしゃったんだと思うんですけれども、育児休業の時には、いわゆる次世代を育てるべくしている人たちへの配慮という言い方もしていたと思うんです。つまり将来その人たちは保険料を納める側に回るということで、そういうところでやっていたんですけれども、これは介護期間における保険料の免除行うことで、逆に言えば女性の働き方に対して逆の影響を与える可能性もあるわけですね。つまり働いていた人が保険料免除、そういうことはないかもしれないんですけれども、何のためにやるのかというときに、社会保険の考え方の中にあって、現在、高齢化社会をすべての人で支えていこうということが中心になって議論されているときに、こういうふうに一つひとつの制度の中で保険料を免除していくという、効果のよくわからないような財政政策のようなことをやっていくことがいいのかどうかという議論が必要で、まだそういうことについてはしっかり議論されていないので、ここに持ち出すのは早過ぎると思います。
鹿嶋会長
あと私ももう一つ気になっているのは、ウの最初の○の1号被保険者の配慮なんですけれども、2号は雇用保険から賄っていますけれども、1号はどこに財源を求めるのかという議論が、厚生労働省に後で協議するとすればいろいろ出ると思うんですけれども、この辺りの問題も含めてどうですかね。
佐藤委員
年金自体は雇用保険ではなくて年金財政全体の中で見ているわけですね。2号についての社会保険料免除分はそれで見ているわけですね。給付は雇用保険ですけれどもね。
鹿嶋会長
給付の方です。
佐藤委員
でもこれは給付じゃないですね。
鹿嶋会長
こちらは免除ですか。
佐藤委員
免除ですから、これは年金財政ですね。これは、基本的に育児休業で所得がないからという趣旨で、その時期のということで、特に事業主は働いてもらってないにもかかわらず保険料だけというのもあるわけですね。なぜ負担するのか。そういう中で出てきている話で、これを拡張するときのロジックって結構難しいと思います。
 あと介護について、これはやめた方がいいと思います。これは介護した人に社会保険という形で免除を手当を付けるような形になってしまうので、これは介護休業だけでもないですね。介護一般なわけでしょう。
山岡分析官
そこまで十分に詰めていませんでした。イメージは介護休業期間です。
佐藤委員
だって介護休業であると、もっと短期ですから、法律上も93日でしょう。それを全部取るわけではなくて、非常に少ないので、そこも免除するというのは運用上ほとんど意味がないという気もします。
山岡分析官
わかりました。
鹿嶋会長
どうぞ。
袖井委員
介護休業というのは、3か月というのが最低で、企業によっては1年とかあるんですね。ということと、それから私どもが説明するときは、やはり育児休業は次世代育成、将来の労働力に対する考慮で、介護は過去の労働力、過去に社会貢献した人への考慮というふうに説明しているんですけれども、そういう考え方もあり得ると思います。
 3か月は大したことないかもしれませんけれども、実際には1年とか長く取れる企業もありますし、大企業だとそれをやっているんです。
佐藤委員
ただ、介護休業の社会保険料免除は、基本的には法定の範囲だったのが、今、改正で3歳までになってしまっているんですけれども、何らかの期間は設定するということなので、民間企業の機会に合わせるということはないと思います。
 ただもう一つ、私も育児休業についても次世代支援ということであれば、介護でも介護のためにやめてしまうと、それで年金財政を支える程度が、働き続けられるという点で年金財政を支えるのに貢献しているから免除するというのは、ロジック的には十分言えると思います。
袖井委員
これはもうちょっと説明しなければいけないですね。
鹿嶋会長
1号被保険者の育児期間の免除は問題ありませんね。
調査課長
1号について書かせていただいているんですが、多分こういう問題があって、1号はそもそも本当に仕事しているか、仕事をしていないか、女性が子どもを育てながらしているかどうか。自営とかだとわからない、判断ができないわけです。ひょっとしたら所得があるかもしれない。そういうふうに保険料免除をしてもいいのか。要するに、所得があるかないかわからないような人に一律に子どもがいるからといって免除していいのかという議論が出す反論としてはあり得るんです。もしそうであれば、それだったら働きながら子どもを育てているような2号の人も免除すべきではないかというふうに広がるので、そこは本当に休んで収入がない中で子どもを育てている1号かそうでないかを、制度上、今の状況では区別できない以上、これは多分難しいかもしれないという反論は十分あり得るので、それに対してどう応えていくかだと思います。
佐藤委員
ここも本当は子育て期間中の所得保障をユニバーサルにやっておけば、今は雇用保険から出してしまっているのが問題で、一律に出してしまえば免除などはしないでやる方がすっきりするような、子育て期間中の所得保障をどうするか。いろんな働き方をしているわけですけれども、今は雇用者だけが雇用保険から出ているところを、その矛盾の上にどんどんやっていくような感じがしないでもない。
山岡分析官
年金の保険料を免除するとか、そういう話ではなくて、基本的には児童手当とか、育児手当給付金とか、そういうイメージですね。
佐藤委員
働き方にかかわらず一定の所得保障をするというやり方もあると思います。年金でそれをやるというのはね。
鹿嶋会長
趣旨はわかるけれども、今の話を文章にするのはなかなか難しいですね。
佐藤委員
それはもう神野先生に。
神野委員
いえいえ。
袖井委員
少子化対策ということを考えると、こういうのも必要かなという気もしますね。
佐藤委員
今おかしいのは、社会保険料免除も、とにかく3歳までになってしまっているんですね。それで所得保障の方は1歳、ただ、保育園に入れない場合は1歳半まで延びる。だから、1歳半と3歳がある。それで、産前・産後休業中の社会保険免除はないんですね。実はその前で辞めているんだけれども、そこは社会保険料免除がなくて、後ろの方だけ3歳まで免除になってしまっている。
 ですから、産前・産後休業中というのは、事業主は強制休業があるにもかかわらず、社会保険料だけ負担しているんですね。何かすごくおかしな話で、休ませなければいけないんだけれども社会保険だけ払っているんです。だから、全体的におかしくなっているんですね。
鹿嶋会長
何か一言入れた方がいいですかね。ユニバーサルという言葉を使うかどうかは別としてね。部分的につなぎ合わせたようなところがあるわけでしょう。
佐藤委員
そういうことを初めての方に言う必要がありますかね。だから、根本的に改革しないでパッチワークでやってきたのがいけない。
植本委員
その辺のところのトータルな視点が、最初に横田先生がおっしゃった、公正労働とか均等処遇ということも入口で、同一価値労働・同一賃金が貫けてないから起こっている問題があるということ。それから次世代の育成支援という観点であるにもかかわらず、今、先生がおっしゃったような制度上の矛盾なども抱えているという、その現状認識のところの問題点整理のところに入れておいていただいて、そこから解決として目指していく問題としての課題整理の中で、例えば今おっしゃったように、まだ到達していない、合意形成にならないようなものとしては、今後検討する課題として幾つか羅列する方法もあるのではないかと思うんです。
 33ページのところも、表現は配偶者控除も含めて、この間議論してきたことで、そのとおりだし、それを言い続けることが大事だと思います。横田先生の御懸念というところでいけば、①の書きぶりの経済自立を阻害しない制度ではなくて、促進する制度というふうにポジティブに書けば、その辺のところも少し受け止めが変わってくるのかなと、印象が変わって次に読む気持ちのところが少しやわらぐかなと思ったり、読みながら思っていました。
 先ほど神野先生がおっしゃっていただいた寡婦控除の問題も、私自身が寡婦控除で助かって育ってきた立場から言えば、逆に育ってみればありがたかったけれども、別の視点で指摘すれば、やはりそれは問題だねというのがあるんです。だから、そこをどうソフトランディングしていくのかということなので、持っている問題点、解決すべき課題はこれだけあると、だから今後議論していこうみたいなところも少しあると、次の取り掛かりになるんではないかと思います。
鹿嶋会長
そうすると、パッチワーク型というのは社会保障制度だけに限らなくて、労働もあるから、1ページの趣旨と問題認識の中で、最初の方にそういう趣旨を入れますか。これは監視・影響調査だから、そういう問題をきちっと言う仕組みは、男女共同参画ではここだけですからね。
山岡分析官
1ページの趣旨のところは、意見決定の対象外になる可能性もあります。ここはこの報告書の位置づけを整理しているところにすぎないと言えばそうなので、3章以下のところで考え方の部分ですとか、25ページ、26ページ、この辺りのところで織り込みを考えてみたいと思います。
鹿嶋会長
それは織り込みよりは冒頭に出せるような、すぐ目に付くような形の方がいいんじゃないですか。25ページ辺りできちっと言えるのかどうか。
山岡分析官
では、そういう全体を通した考え方として、制度の矛盾とかユニバーサルに物事を考えていかなければいけないという、そうしたようなことを書きながら、また個別の5つの柱立ての中で必要な部分については、具体的に先ほどの同一賃金の問題ですから、制度上の矛盾の問題について書いていく。
 社会保障のところは、今、植本先生がおっしゃったように、必ずこの中に織り込むべき第3号被保険者制度等については個別に方向性を明確にいたしますけれども、議論がまだ残る先ほどの介護期間の問題ですとか、第1号被保険者の問題については、まだ結論までは出ないけれども、議論が必要な、検討が必要な問題であるという整理をさせていただくということでよろしいでしょうか。
 具体的な方向性として、どこまで言うかなんですけれども、第3号被保険者と配偶者とパートタイム労働に関しては今までも言っていることで是非ともと思うのですが、その他の介護期間の免除、第1号に関しては今後の検討課題と整理させていただきます。残っていますのが遺族年金、モデル世帯の問題、加入期間の問題ですが、この辺りの扱いをどうすればよろしいか御示唆をいただければと思います。
鹿嶋会長
御意見ありますか。私はモデル世帯はここに書いてあるような形でいいと思うんですけれども、まだかなり議論が必要なのは加入期間ですね。どうですか。確かに低年金者を増やすことにもつながりかねない問題ですね。
勝又委員
無年金者を増やすという問題も既にありますね。
袖井委員
よくわからないですけれども、前に厚労省に聞いたら、80万人ぐらいいるというんですね。だから、25年に足らなくてぱあになってしまう人がいる。それがすごい問題だと思います。年数が足らないために欠けてもだめだった。男の人にも結構多いそうです。
鹿嶋会長
そうなるとこの専門調査会としては、このような形で出しておいた方がいいですか。
袖井委員
1号の問題も含めて、今後の課題というところに入れたらいいんじゃないですか。
佐藤委員
何年と具体的に言わなければいいんじゃないですか。見直しも必要だと。具体的な期間は書いてないですね。
鹿嶋会長
書いてないですね。この是非を含めですからね。
神野委員
検討すると書いてありますからいいんじゃないですか。
鹿嶋会長
それでは、この辺はそういうことで行きましょう。どうぞ。
横田委員
簡単な表現だけですが、35ページの真ん中より少し下ですが、「加えて」で始まるパラグラフが真ん中辺にありますね。そこの3行目、「高齢女性は同年代の男性と比べてパソコン習熟度が低いことから」というのは、まず私の妻などは私より習熟度高いですから反論しますので、私より習熟度高いですから、ここは「高齢女性のパソコン習熟度を高め、情報格差を解消するため」という表現にしていただければと思います。
 もう一点は、36ページの下の方のウですが、ここの「高齢者の判断能力の低下」というのは、現実にあることではありますが、この表現でいいのかどうか検討して下さい。少し適切ではないような気がするのです。
 それから、いきなり成年後見制度に結び付けたらいいのかなという問題もあって、その前の段階で、例えば無料の専門家による相談制度の充実とか、そちらの方があった方がいいのではないかという気がしますので、少し工夫してみてください。単なる表現上の提案です。
山岡分析官
わかりました。
鹿嶋会長
どうぞ。
勝又委員
37ページの生活保護、いわゆる住宅費のことについては、もう入れてもいい時期に来ているんではないかと思っています。生活保護の議論の中でも、住宅費の探究について議論されている学識経験者の方は大勢いらっしゃいますし、それから格差社会になったときに生活保護なのか、別に生活保護の中の探究の話だけをしているわけではないというふうにも理解しておりますけれども、やはり地域社会にちゃんととどまっていられるために、住む場所というのは非常に重要で、そこに対する社会的なサポートがあれば、ある程度社会への参加ができるという考え方が非常に強くあって、そこについてもう少し低所得者である高齢者の住宅については、出していった方がいいという考え方は今、非常に時宜にかなっていると思います。
鹿嶋会長
それから、37ページの上から2番目の○がになっていますが、高齢女性でいいのかどうかという問題ですが、私は個人的にはいいんじゃないかと思うんですけれども、このはどうですか。高齢女性だけに限定していいのかどうか。
調査課長
高齢女性の人は相談員が女性じゃないと相談しにくいという根拠があれば入れやすいんですけれども、単に必要とする側が女性だから、受け皿も女性じゃないといけないというのがどうなのかなと、ちょっと単純すぎないかなと思っています。
鹿嶋会長
どうぞ。
山谷委員
少し論点が違うかもしれないんですけれども、ここでこういうふうに報告書のようにして出されたものは、ただの提案で終わるんですか。それとももう一回監視・影響調査をかけるんですか。そこのところを教えていただきたいと思います。
山岡分析官
ここで出しました具体的な政策に関しては、参画会議での意見決定ということで、各省もその場で同時に意見決定するという意味では、ある意味各省に取り込んでいただくということになります。
 これに関して、取り組んでいる、取り組んでないという状況に関しては、ある一定の時期においてフォローアップをかけるということで、フローアップ時期まではまだ明確ではないんですけれども、そういう状況になるということで予定しています。
山谷委員
そうすると、関連なんですけれども、制度を入れるとか、制度を見直すとか、こういうのはわかりやすいんですが、普及拡大を図るとか、そういう表現で後で見直すことができるのかどうかなんですね。もう一回監視したり、調査したりするところが、非常にあいまいな表現だと逃げられてしまう感じがあって、もう少しうまくきちっと後からチェックできるようなものが欲しいですね。
山岡分析官
具体的な政策の玉の部分で、まだ具体性に欠ける部分があるというには認識していまして、その辺りはできる限り具体的なものにできるよう努めていきたいと思います。
鹿嶋会長
特にで更に御意見ありますか。で特に問題になったのは34ページの最初の○です。社会保障制度だけですが、そのほかは大体いいですか。あと特にに限らず、ほかの問題でも。どうぞ。
畠中委員
せっかくの提言ですから、各省に責任を持って検討し、実施していただく必要があると思うんです。その意味で、本文で省庁名が入っているというのは大変いいことだと思っております。複数省庁が入っているところは、それぞれの省庁が責任を持って検討していただくという趣旨ですね。それも結構なことだと思いますが、28、29ページのワンストップについても、それぞれの省庁が責任を持って検討していただくという意味でいいですね。
調査課長
検討ではなくて各省の合意の上での意見決定ですので、やるとなって初めて書けるものですので、書いたということは各省がもう取り組みますということになります。だから、検討ではなくて取組です。
畠中委員
私はそういう意味でいっているんではなくて、ワンストップのところは厚生労働省も経済産業省もワンストップ化を推進するという意味ですねということです。
調査課長
そうです。同時に両省がという意味です。
畠中委員
念のためにお伺いしますが、29ページの上から2行目の「相談情報や求職・求人情報の共有等の連携を図り」とありますが、これは大変いいことだと思うんですけれども、これは個人情報ですか。
調査課長
そうです。
畠中委員
個人情報なら少し注意された方がいいんではないかということです。
山岡分析官
おっしゃるとおりで、この辺り、実際どこまでできるかというのは、また各省とも調整していきたいと思います。
 また、現在、各省名が入っていますが、これもまだ十分に精査できてない状況で入っています。これから実際に所管状況などももう一度確認しながら変更がございます。
 少し戻ってしまうのですが、先ほどの社会保障の関係で、33ページの遺族厚生年金に関しては、具体的な玉出しのままでよろしいのかどうか。
鹿嶋会長
どうぞ。
山口委員
私はこれでいいと思います。
 実際、この遺族年金をもらっている人もおかしいと言っておりますから、やはり公正・中立的な立場から、これは検討を要する事項だと思います。
鹿嶋会長
のところはみんな刺激的な内容ばかりなので、なかなか面白いと言えば面白いんですけれども、神野先生、袖井先生辺りは、どうですか。このまま入れ込んでいってよろしいですか。
袖井委員
やはり制度そのものを見直すというか、検討し直さないとおかしいと思うんです。というのは、前年度の年収が850万円に満たないともらえてしまうんですね。女性で850万なんて取っている人はそんないないし、死別者に対して、これだけではないですけれども、全体的に優遇ですね。その辺をどういうふうに考えたらいいのかわからないですけれども、この程度は書いておいて構わないと思います。
鹿嶋会長
それでは、このままいきましょう。ほかに御意見、どうぞ。
大沢委員
小さいことですが、私の知識不足だと思うんですが、先ほど無年金者が80万人という袖井先生のお話で、こういったところも少し触れて、経済的困窮とか。
袖井委員
数字は大分前に聞いたので確認した方がいいと思います。
大沢委員
そうですね。そういうところが貧困度が高いという調査結果はあるのですが、もし具体的にどの程度なのか、セーフティーネットから漏れている人が、どれぐらいいるのか把握しておくと、最終的にはこの問題は経済が構造的に変化して、家族が変化した中で、セーフティーネットをもう一度再構築していく必要性に絡んだ議論かなと思いますので、そこら辺を把握したらいいかなと思いました。感想です。
袖井委員
少し付け加えますと、女性の場合は、今はなくなったんですけれども、前に脱退手当金をもらった人が結構いるんです。脱退してしまうとそこがだめになってしまうんです。それで足らなくなった。今の高齢の方ですね。その辺も書いておいた方がいいかもしませんね。脱退手当金制度というのは、今の人たちは大丈夫ですけれども、70以上とか、その辺は25年にならない、足らない人がいます。
鹿嶋会長
ほかに付け加える点はありますか。
 それでは、3章の意見決定部分の書き出し辺りで、さっき言ったようなことは是非うまく整理してください。
 御議論、本当にありがとうございました。もし何かあればペーパーでいつものように事務局の方に出していただきたいと思います。
 では、本日の審議はこれで終わりにしますが、事務局の方で連絡事項をお願いします。
山岡分析官
本日お示ししました最終報告(案)につきましては、次回5月19日の会議で最終的な審議をお願いしたいと思っております。本日お時間も足りませんでしたので、お戻りになりまして追加の御意見等がございましたら、おおむね1週間ぐらいを目途に事務局までお知らせいただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次回の専門調査会につきましては、5月19日月曜日の15時~17時まで、本日と同じ本府3階の特別会議室を予定してございます。よろしくお願いします。
 また、本日の資料につきましては、すべて非公表の扱いとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。本日は、長時間どうもありがとうございました。
鹿嶋会長
それでは、これで「監視・影響調査専門調査会」の第28回の会合を終わります。本日は、どうもありがとうございました。

(以上)