監視・影響調査専門調査会(第24回)議事録

  • 日時: 平成19年11月13日(火) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 植本委員
    • 勝又委員
    • 神野委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
  2. 議題
    • (1) 各府省ヒアリングの結果について
    • (2) 中間的な論点整理(案)について
    • (3) 検討会における検討状況について
  3. 議事録
鹿嶋会長
おはようございます。ただいまから第24回監視・影響調査専門調査会の会合を開きたいと思います。委員の皆様におかれましては、御参加いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、本日の審議を進めさせていただきます。あらかじめ事務局より御連絡させていただきましたとおり、高齢者の自立した生活に対する支援について、これまでの有識者ヒアリング及び関係府省のヒアリングの結果等を踏まえた中間的な論点整理案について、審議を行っていきたいと思います。
 まず、事務局から各府省ヒアリングの結果について、説明していただきます。よろしくお願いします。
山岡分析官
それでは、各府省ヒアリングについてのこれまで専門調査会の中でいただきました御意見について、資料1に取りまとめておりますので、そちらをごらんくださいますようお願いいたします。併せて、参考資料2といたしまして、A3を織り込みで入れております。ちょっと細かな表でございます。こちらも併せてごらんください。参考資料2につきましては、これまで2回にわたりまして各府省施策ヒアリングをさせていただいておりますが、そこで各府省から上がってきたヒアリング資料を暫定的に取りまとめた表でございます。ただ、「確認中」という表現がありますように、具体的なニーズの把握、施策の評価の実施状況等について、ヒアリング資料に記載されていなかった内容をまだ確認中でございますので、あくまで暫定的な取りまとめとして、この結果が確定ではないということで御理解くださいますようお願いいたします。
 この資料は本日、当日回収にさせていただきますので、よろしくお願いします。
 では、資料1で御説明させていただきます。
 各府省ヒアリングについて、これまで先生方から出てきた御意見を踏まえ、まず1点目を「男女別のニーズの把握と施策への反映に関すること」としております。一番多く御指摘いただきましたのが、男女別のデータの集計を行っていないということ、また、男女別のデータを把握しているが施策に反映されていないなど、高齢社会における男女共同参画の取り組みが不十分ではないかという御意見がございました。
 その中で具体的なものといたしましては、男女共同参画の視点が現行の高齢社会対策に明記されているにもかかわらず、施策の立案や実行に十分に反映されていないということが問題ではないか。それから、男女でのどのようにニーズや利用状況が異なるのか等、男女別に実態を把握し、それを施策の運営に反映させることが重要である。また、データをとるだけではなくて、男女の老後の生活様式の違いなどに着目した運用が大切で、そのためには男女共同参画の視点を各府省が持つことが必要であるといった、基本的なことについての御意見がございました。
 それから、結果として施策の恩恵を受けるのが男性に偏ってしまっている施策があると。施策としては別に男性向けにやっているわけではないですが、例えば括弧書きに書いております経済産業省の企業等OB人材マッチング事業につきましては、参考資料の中では1ページ目の下から2つ目の施策でございますが、こちらは日本商工会議所に委託をしてやっている事業で、登録者のうち女性が0.9%、男性は98.9%と、今現在やはり雇用者としては男性が多いという実情もございます。
 それから、シルバー人材センター事業、エイジレス・ライフ表章等につきましても、シルバー人材センターも男性の会員数が女性の2倍であると。それから、エイジレス・ライフ表章につきましては、表章されるのが結果的に男性が多くなってしまっていて、これに関しては、表章の候補者を募るやり方が不十分なのではないかという御意見もございました。
 2点目「関係主体や施策との連携に関すること」といたしまして、さまざまな施策が行われているけれども、それを男女の視点から柱になるようなものを提示して、バラバラにならないように施策間の連携を図って進めていくことが必要だという全体に関する御意見。
 それから、高齢社会施策の推進の多くは地方自治体が担っているということ、これからは地域活動への参加といったようなことを考えると、地方自治体、関係主体等との連携の視点が重要ではないかという御意見がございました。
 次に、3点目でございます。そうしたことを踏まえまして、これからの高齢者施策ということを考えたときに、特に何が男女共同参画の観点で重視されるかということでございますが、(1)として高齢期における男女それぞれの位置付けや男女それぞれの課題の分析を明確にして、それを共有化するといったことが重要ではないかという御意見がございました。
 1つ目でございますが、まずは女性の寿命が非常に長いという問題がございますので、女性が最後1人残ったとき、その介護を誰がやるのかといったような問題ですとか、老老介護の実態の深刻さ等についても実態把握・分析、提言をしてもいいのではないか。
 それから、データを見てまいりましたが、その中で男性は孤立、女性は自立困難といったようなそれぞれの特徴がございますので、そうした問題について各省間で共有されて施策に生かされることが必要ではないかという意見がございました。
 (2)高齢者の自立支援をめぐる課題ということで、男女共同参画という観点、更にそれ以前に高齢者対策としての必要性があるということでございますが、高齢者の能力活用については、経済活動として労働者として働くという視点ばかりではなくて、NPO、ボランティア等の非経済的な活動も含めて考えることが必要であると御意見をいただいております。
 そうした中で、まず、社会に貢献するのは当たり前だという意識をつくり直して、職業生活とボランティアを全体として社会貢献ということでとらえて、それが人として当たり前にやれるような意識をつくるということが現役時代から必要であるし、そういうことがあれば定年になって仕事を辞めても、その人自身の生きがいということでも困ることはない。無償でも周囲に頼りにされるということが重要ではないかと。特に女性については、家庭や地域等における無償活動を社会的に評価し、高齢女性の能力活用を積極的に奨励するような視点が重要ではないかということで御意見をいただいております。
 それから、就業をめぐる男女の問題ということで言いますと、高齢期においても男性の方が就業率が高いですし、希望する場合に就業できているのも男性の方が多いということがございますので、そうした男女間の偏り、女性介護労働者の賃金が男性よりも低いといったようなことも考えますと、現役時代の労働市場における男女差別がそのまま高齢期をめぐる就業市場で再生産されてしまっているという実態があるので、その背景状況等についても把握・分析することが必要ではないかということで御意見がございました。
 (3)人口動態を踏まえた高齢者施策の重要性でございますが、これは男女共同参画という以前に、高齢者施策を考える際の重要な視点ということで御指摘いただきましたものですが、1つが、高齢者のみ世帯やひとり暮らし高齢者が当たり前になるという前提で、今後の施策の在り方を考えていく必要があると。また、地域差などの視点が重要ではないかと。大都市における高齢化の問題というのが、これから重要ではないかということで御指摘いただいています。
 (4)その他ですが、生活者としての自立という視点が重要で、そういう意味で考えると、高齢者が利用しやすいタッチパネル式のようなコンピュータ機器といったものを開発して、使用できるような環境を整えることで、生活自立を支える視点も重要ではないかということで御指摘がございました。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 今説明してもらった点については、今から更に20分程度、中間的な論点整理案を説明してもらいますが、それと一緒に行いますので、引き続いて論点整理の方をお願いします。
山岡分析官
それでは、続きまして、中間的な論点整理につきまして御説明させていただきます。
 最初に、資料3という1枚紙がございます。こちらで今後のスケジュールを御説明させていただきます。
 本日11月13日に中間的な論点整理案、これから御説明しますものについて御議論いただきますが、その後の流れといたしましては、御議論いただきましたものをまた反映させたものを12月中に中間的な論点整理案として一旦ホームページ等で公表して、意見募集を行いたいと思っております。本日御議論いただきましたものを反映させたものにつきましては、メール、FAX等で各先生方に御確認いただいて、最終的には鹿嶋会長に御確認いただくような形で公表ベースに持っていきたいと思っております。
 その後、1か月程度論点整理に関する意見を募集した後に、それを踏まえた中間的な論点整理の最終的な取りまとめを2月上旬に第26回専門調査会でさせていただいて、そこで取りまとめたものを2月下旬の参画会議で一旦報告して、参画会議の御意見もいただき、その後、最終的な報告の取りまとめに持っていきたいと思っておりまして、最終的にはその後3回ぐらいやりまして、5月頃の参画会議に最終的なものを報告して意見決定という流れでいきたいと思っておりますので、その前提でお考えいただければと思っております。
 これから資料2に基づきまして、中間的な論点整理案を御説明させていただきます。まず最初に、中間的な論点整理案でございますが、各省との協議がまだ正式には終わっておりませんので、本日各先生方から御意見を伺いまして、その後意見募集に持っていくまでに、また各省とも具体的なところを詰めながら整理していきたいと思っておりますので、その旨お含み置きいただければと思っております。
 では、中間的な論点整理案の内容についてご説明します。1点目「高齢者の自立支援における男女共同参画の視点の重要性」としまして、高齢者の自立支援を考えるときになぜ男女共同参画の視点が重要なのかということを押さえたいということでその趣旨等について書いております。余命が延伸してきた中で、男女がともに高齢期において自立した生活を送ることが一層重要な課題であるというのがあり、その中でも高齢者人口に占める女性の割合が非常に高いということを踏まえますと、高齢社会の在り方はより大きく女性に依存すると同時に、高齢者施策の影響は女性の方がより強く受けるということがございます。
 逆に男性については、高齢期に達する以前の仕事中心の生活から、家庭や地域に戻って人生をつくり直す必要性があるということで、高齢期は非常に男女ともに重要な問題であるということがございます。
 高齢期における生活状況というのは、いきなり高齢期になってつくられるものではなくて、若い時期からの働き方や家族の持ち方、能力開発、生活習慣等の蓄積に負うところが大きいということで言いますと、さまざまな分野における男女間格差が複合的に蓄積されてきた結果というのが、高齢期に至っても固定化して現れているということがありますので、そうした若い時期からのライフステージを通じた支援という観点も含めて、長期的かつ世代横断的な視点に立って施策の在り方を検討する必要があるのではないかということで整理させていただいております。
 2として「男女別に見た高齢者の自立支援をめぐる現状」ということで、データを基に課題を整理させていただいております。参考資料1で、既存統計データとしてグラフを26ページにわたって提起させていただいておりまして、ここで整理している現状のバックデータが参考資料1でございますので、こちらをごらんいただきながらお聞きいただければと思います。
 まず、自立支援をめぐる現状として(1)高齢化の中での男女の状況。これはわかり切ったことですが、女性の寿命が長いという中で、女性の割合が高いということと、ひとり暮らしが非常に多くなっているということが言えます。
 (2)男女共同参画の観点から見た高齢者の自立支援をめぐる現状といたしまして、1高齢期の生活に関する意識については、悩みや不安として老後の生活設計、自分の健康、家族の健康が多く挙げられる。
 2経済的自立をめぐる状況といたしましては、まず、高齢者世帯の年間所得の分布といいますと、低所得階層の割合が全世帯に比べると高いということと、所得格差が大きいということがございます。
 その中で公的年金・恩給が占める割合が7割と高いんですが、この中でも同じ正社員中心でも女性は男性より格段に受給額が低いということで、これはデータをごらんいただくとわかりやすいかと思います。参考資料1の6ページの下のグラフです。現役時代にどういう働き方をしていたかによって、公的年金の平均年金額がどう違うかというのを見たグラフですけれども、正社員中心に比べて常勤パート中心、アルバイト中心というのが男女ともに金額が低いですし、あと、同じ正社員中心で来ても、女性は男性に比べて受給額が非常に低いということがございますので、やはり女性の若い時期の働き方の問題というのが、正社員中心と言えども就業の中断ですとか処遇の格差といった影響が、高齢期の年金の点においても影響しているのではないかということがございます。
 相対的貧困ということで言いますと、特に単身女性と未婚の単身男性で相対的貧困率が高く、生活保護を受けているのも女性の単身世帯の割合が高いという中で、やはり高齢女性、特に単身世帯の貧困の問題があるのではないかということを現状では整理しております。
 3高齢者就業の実態とニーズにつきましては、平成16年6月に高年齢者雇用安定法が改正されまして、高年齢者については少なくとも年金支給開始年齢までの高年齢者雇用確保措置、定年の引上げあるいは継続雇用制度の導入等が各企業に義務付けられたところではあります。そうした流れではございますが、男性に比べると女性の就業希望はあるものの就業できていない割合が高いということと、女性も収入を得る必要といったような切迫した理由があるということで、女性については高齢期に達する以前の就業継続が困難な状況というものが、高齢期に至るまでの職業能力開発や就労経験の蓄積が難しいという現状につながっていて、結果的に高齢期においても就業機会の格差につながっているのではないかということで指摘させていただいております。
 4として地域参加をめぐりましては、前期高齢者を中心に参加意欲は比較的高いですけれども、現状では実際に参加できている人は一部であるということ。それから、参加のきっかけ、関心が高い活動領域ということで言いますと男女間に違いがあるということで、女性は友人等の勧めで趣味の活動、男性は自治会・町内会等の関係から地域行事等といったように、細かく見ますと違いがあるということがございます。
 5生活自立をめぐる状況といたしましては、特にひとり暮らしの男性高齢者を中心として孤立の問題があると。データでも相談相手がいない、付き合いがないということがひとり暮らし男性高齢者に多いということがございます。
 一方、女性についても、ひとり暮らしが多いため一人で過ごす時間が長いため、緊急時の支援などの日ごろからの備えが必要であるということはございます。あと、男性は家事・買い物など、わかり切ったことですが、実施率が格段に低いということもありますので、そうした面での生活自立の困難が危惧されます。6健康面の課題でございますが、70歳以上になると7割を超える人が健康に不安を感じています。そうした中、寿命が女性の方が長いということもございまして、要介護になった主な原因が男女で非常に異なっております。男性は脳血管疾患が多いのに対して、女性は関節疾患、認知症、骨折・転倒、高齢による衰弱が多いと、そこでまず違いがございます。
 また、性差医療に関する研究が今進みつつありますが、その中で、男女で罹患率や死亡率に明らかな差異が見られる疾病がございます。これは今日初めて掲載しているデータですので、参考資料1の16ページ、ちょっと古いデータなので今後更新しようと思っておりますが、千葉県衛生研究所の天野惠子先生から御紹介いただいたデータなんですけれども、男女での死亡率、それから、通院率に差がある疾患が人口動態統計等で見ても多くありますので、そうした状況を踏まえる必要があるのではないかということです。
 あと、健康の維持・増進の心掛けということで言うと、ひとり暮らしの男性で健康への配慮が必要なのではないかということでございます。
 7介護をめぐる状況といたしましては、介護に関して幾つか問題が女性という点でありまして、1つは、実際、女性の介護保険の受給者は男性の約2.6倍であるということで、介護問題は女性にとって非常に大きな問題であると。要介護者としても大きな問題であるということがありますし、ひとり暮らしになった女性高齢者が誰に介護されるのかという問題がございます。
 それから、介護者の立場でも、家族介護の負担は以前よりも減ってきてはいますが、依然として女性が介護者として多いということがありますので、その辺りに問題があるということ、加えて影響調査的な観点で言いますと、介護労働者の約80%が女性であるという中で、介護労働者の給与水準が低い、なおかつ男性よりも女性の方が給与水準が低いという現状がございますので、こうしたことも男女共同参画の観点では重要な課題ではないかとして挙げております。
 (3)はこれからの高齢者増と、これから深刻化し得る課題ということで挙げているものですが、1として団塊世代や生涯未婚者がこれからの高齢期をどう過ごすのかという問題で、これは幾つか既存の調査からデータを挙げて見たものです。データは参考資料の21ページから労働政策研究・研修機構の「団塊の世代」の就業・生活ビジョン調査結果と、23ページからシニアプラン開発機構で生涯未婚女性の調査ということで掲げさせていただいていますが、そうした中で見えてきたことは、団塊世代等の多くは高齢期においても就業意欲を持っている。けれども、65歳が一つの境になるようで、65歳でボランティア活動への参加意向が増える。また、働くといった場合も短時間勤務等の正社員以外での形態での就業を希望している。とは言うものの、今、団塊世代の中で社会活動に参加している人というのは約25%にすぎないということがございます。
 あと、40~50歳代の生涯未婚女性については、非常に非正規従業員が多いという中で、老後の生活見込みといたしましても、公的年金に依存できるわけではなくて、仕事による収入への依存ということを念頭に置いていると。こういう方々は高齢期も働き続けなければならない現状にあると言えます。
 2今後深刻化し得る課題ということについては、既にわかっていることですが、生涯未婚者、非正規雇用の増加ということが今後は増えるという中で、より経済的な不安定を抱える人が増えるのではないかという問題がございます。
 そうした現状を踏まえまして、3から「男女共同参画の観点から見た高齢者の自立支援をめぐる課題と取組の方向性」として、大きく6つの柱で整理をさせていただいております。
 (1)「高齢者施策全般にわたる男女共同参画の視点の反映」ということで、各府省の施策をヒアリングした結果でも、施策のニーズや利用状況等の実績について、男女別に状況を把握・分析して、その結果を施策に反映させているものは極めて少なかったということがございます。そうした中で、やはり男女別のニーズ、実績等についてデータ等で把握して、それを施策の企画や運用に具体的に生かしていく取り組みが必要ではないかということで、これを基本的な事項として整理させていただいております。
 (2)「単身高齢女性を中心とした高齢期における経済的自立への支援」といたしまして、まず、先ほどのデータで見てまいりますと、高齢女性の貧困の問題が非常に深刻であるということを指摘いたしまして、この問題については短期的には年金や生活保護による最低生活保障が必要であると。また、より長期的な観点で、こうした問題が現役時のいろいろな格差が集積した問題であるということを考えると、ライフステージを通じた女性就労環境の整備等の長期的かつ世代横断的な視点に立った対策を進めることが極めて重要なのではないかということで整理させていただいております。
 また、更に、近年の動きということで言いますと、非正規雇用が増加して、かつ長期化すると、一方で男女ともに生涯未婚者が増加する中で、非正規雇用の割合は男性よりも女性の方が多いですので、そういった女性が今後、単身での老後生活設計をどうするのかという問題がございます。
 あと、男性も同様に非正規雇用の増加、リストラ、早期退職などの影響がある中で、男女ともに高齢期における経済不安を抱える層が今以上に増えることが考えられます。以上を踏まえまして、女性に象徴的に現れている問題への対応としては、仕事と家庭生活の両立支援、女性の再チャレンジ支援、同一労働・同一価値の実現、企業等における女性の採用・登用の拡大、賃金格差や就業年数の男女間格差の解消など、ライフステージを通じた女性就労環境の整備を進めるとして、女性の年金受給権、それから、資産形成能力を向上させるということが重要ではないかということを整理してございます。
 また、社会保障制度につきましても、この専門調査会で具体的な方向性を細かく出すことは難しいかなと思いますが、大きな視点として働き方や家族の持ち方の多様性を踏まえて、性別やライフスタイルに中立的な社会保障制度というものが必要であるという観点において、今後、評価・見直しを行うことが必要ではないかと考えております。
 (3)「高齢者の就業促進・能力活用における女性特有の課題」といたしまして、1点目ですが、まずは女性は高齢期になるまでの就業経験が少ないというところが、高齢期における就業機会の男女間格差につながっているということもございますので、今、雇用確保措置が進んでおりますが、女性についてはそうした男性サラリーマンを前提としたような仕組みだけでは不十分ではないかと。高齢女性については、高齢期になってから働きたいという女性のニーズに応えて、職業能力開発の機会の提供、並びにニーズに対応した就労相談や求人情報提供などを積極的に進めることが必要ではないかということでございます。
 先ほどの2点目の経済的な問題ともかぶるんですが、高齢期になる以前の問題としての女性の就労支援ということも勿論必要であるということで挙げております。
 それから、高齢者の能力活用という意味では、経済活動としての就業だけではなくて、NPOやボランティア等、社会的に意義のある活動への参加を促進する視点も重要であるということで、女性については子育て・家事や地域活動の経験等を生かして、さまざまな活動領域における参画の機会を積極的に創出することが求められるとしております。
 また、就業経験がなく職業能力が蓄積されていないことで、実際には必要性があるけれども、就業が困難な女性がやはり生じるかと思いますので、こうした女性に関しては就労促進施策の推進にとどまらず、年金等による最低生活保障への配慮ということを行う必要があると整理しております。
 (4)「生活自立(日常生活における自立)をめぐる男女それぞれの課題」といたしまして、ここでは主にひとり暮らし高齢者の問題を挙げております。こうした高齢者が孤立することなく、地域・家庭で自立した生活を送るという観点で何が必要かということでございますが、1つは、高齢男性につきましては、仕事優先できて、これから高齢期になって地域デビューするという状況がございますので、地域活動に参加できるような機会の創出、それから、家庭における生活自立という意味で、家事等の日常生活能力の支援ということが必要であるということと、その中でもひとり暮らし男性高齢者については孤立しやすいということ、それから、女性については後期高齢女性が認知症等判断能力の低下、身体の能力の衰えという問題がありますので、主にひとり暮らし高齢者向けの地域活動の機会に関する情報提供ですとか、支援者とのマッチング、また、より広い社会的ネットワークを構築するということで、これまでも御議論の中で出てきましたコンピュータ機器の開発や、ITを活用した社会基盤の整備ということも視野に入れて考えていく必要があるのではないかということです。
 あと、判断能力の低下に伴うような施策面の問題といたしまして、実際、成年後見制度の高齢者の中で女性が多いということと、消費者被害防止施策についても女性の相談が多いということがありますので、女性とかひとり暮らしで更にリスクとかニーズが深刻である実態に配慮した効果的な普及促進が必要ではないかということで整理しております。
 (5)「健康課題への取組における性差への配慮」といたしまして、今までデータで見ましたように要介護になった原因、それから、身体機能、生活習慣が男女で違うということがありますので、1つは、性差医療に関する研究を高齢期の自立支援という観点においても、今後進めていくことが必要ではないかということ。あと、介護予防という観点で、骨折・転倒、高齢による衰弱といったような病気以外の理由が女性は多いということでありますと、例えば、閉じこもり予防といったようなことにつきましても、後期高齢女性に特に重点を置いて普及啓発を図る、参加促進を図るといったことが重要ではないか。
 また、生活習慣の面で言いますと、喫煙や飲酒はいまだに男性の方がリスクが高いということがありますので、そのような現状を踏まえた、よりきめ細かな生活習慣病対策ということも必要であろうということを挙げております。
 最後に、(6)「介護の現状と男女共同参画への影響」といたしまして、1点目に介護の問題を挙げております。女性の介護負担については一定程度軽減されてきたけれども、いまだに家族介護の負担は女性に偏っていると。なおかつ、老老介護の負担が非常に深刻であるということがございますので、男女ともに介護休業制度を利用しやすい職場環境づくりや家族介護への支援を充実させるということ。それから、女性の介護負担の軽減という観点で、介護施策の効果を継続的に評価することが重要であろうということを挙げております。
 また、夫に先立たれた後のひとり暮らしの女性高齢者が誰に介護されるかという問題があるということで、地域における在宅介護体制の充実、介護付き高齢者住宅等安心して暮らせる住まいの開発と普及促進などの取り組みが必要ではないか。
 最後に、先ほども申し上げましたが、介護労働者も女性が多い、なおかつ給与水準が低いという問題に対応した処遇の改善ということで要点を6点整理させていただいております。
 以上でございますが、本日は御自由に御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 各府省のヒアリングも我々は男女共同参画の視点が施策に反映しているかどうか、その辺にポイントを置いてやってきたわけです。高齢者の自立という問題、高齢者問題は女性問題だとは言われているんですけれども、男女共同参画といったようなことからきちんと論点整理をするというのは、多分これが最初なのかなという感じで今、報告書を見ているわけです。
 皆さんからお伺いしたい意見は、まず、男女共同参画の視点というものをベースに置いて、この論点整理がきちんとまとまっているかどうかというのを見ていただきたいんですが、まず1つは、いわゆる制度等の見直し等々で、具体的な方向性を更に細かく出せるものがあるのかどうか。これはなかなか難しいとは思うんですけれども、その点がまず第1点。もう一つは、いわゆる新しい視点といいますか、今後強調していく必要性があるのではないか。例えば、今回の議論の中でも、いわゆる高齢者の問題というのは現役時代の矛盾を引きずっているんだと、それが全ライフステージにつながってくるんだと、この辺りは私はきちんと言っていいと思うんです。
 それから、生涯未婚者が増加していますので、生涯未婚者の問題と高齢女性の貧困の問題をどう考えていくのかという視点。
 それから、親自身が壮年の未婚者を抱えている問題です。更に、貧困の問題が輪を掛けてくる、その中での経済的な虐待の問題も出るであろうといったような問題、これもまた大きな問題であろうということです。その辺りも是非議論していただきたい。
 そして、もう一つ同時に、必ずしも高齢者問題というのは男女共同参画という尺度だけではとらえ切れない問題があって、例えば、資料1の2ページの(2)を見ますと、2つ目の「・」辺りは、必ずしも男女共同参画という視点ではないかもしれないんですね。社会貢献の職業生活とボランティアの問題です。3つ目の「・」は女性についてはということで、これは男女共同参画の視点できちんと整理できるんですけれども、その辺りが多少マージナルな領域に入ってくるのもあるんですが、そういう問題も含めて是非議論をしていきたいと思っております。
 どなたからでも結構ですので、御自由に御発言いただければと思いますが、どうでしょうか。
神野委員
細かい資料のことなんですが、よく言われる男性でも未婚者の男性高齢者の貧困の問題が出てくるとか、しかし、白波瀬さんの統計の意味は、近年急速に男性・女性とも高齢者の貧困問題は解消されていると見ていいんですか。相対的貧困率という指標で見る限り。
山岡分析官
まず、参考資料1については、幾つかデータの確認中ですので、取扱いには御注意をいただきたいんですが、私どもの方で事前にこの情報を伺ったときには、1つは、いろいろ社会保障制度が整備されてきたという中で、所得の再分配というものが進んできましたので、そういう意味でいくと全体として貧困率というものが下がってきている、そういう意味で格差が一定程度解消されてきているという現状はあるんだけれども、例えば未婚、死別、離別で見た場合に、またその中でも差があるという参考のデータということで御説明いただいておりました。
鹿嶋会長
これを見ると、男性と女性はちょっと条件が違うんですね。女性の場合は未婚者が圧倒的に低くて、男性は死別ですか。
神野委員
普通、生涯未婚の場合に男性貧困が生じ、離別や死別によって女性の高齢者貧困問題が増えると。
山岡分析官
この中で言いますと、2001年の部分で見ますと、高齢男性のひとり暮らしの中では未婚者で総体的な貧困率が高いと。一方、女性のひとり暮らしでは離別者で高いという中で、高齢期において男性の場合は、ちょっと語弊があるんですが、結婚できなかった方というのが経済的にも厳しいというような、鶏と卵の関係というところもあるかと思いますが、そういう現状があるかのではないかと思います。
鹿嶋会長
生涯未婚者が増えていますが、未婚率が高い理由というのはわかっているんですか。国勢調査で出るでしょう。
山岡分析官
恐らく国立社会保障・人口問題研究所さんの方で分析されているかと思うんですが。
勝又委員
意識調査でやっている場合は、まず人口学的には私は人口学の専門ではないですが、タイミングでまだ未婚であるという期間があって、ある程度生涯未婚であると決めた人たちのコーホートという2つに分けて考えなくてはいけなくて、一時点で未婚であるかどうかということでは出てこないんですけれども、ただ、意識の中では総体的に結婚することについてのメリットを余り感じないとか、年齢の階層的に変わってはくるんですが、メリットを感じないと思っている人がそのまま意識的には結婚しないというような、そのグループが今何歳で、何歳までいったら生涯未婚と考えるのかというところで非常に難しいところはあると思いますが、一応、意識調査の上では結婚に対する価値観というものが変わってきているということがあります。
神野委員
木村先生の意識調査だと、生涯かどうかわかりませんけれども、未婚者の結婚しない理由については男女差が明らかで、女性の場合には子育ての負担に耐えられないが第1位なんです。第2位が、仕事と家事との両立ができないです。男性は75%が結婚の経済的負担に耐えられないということです。
鹿嶋会長
では、格差社会はますます男性未婚者を生むということですかね。
神野委員
そうですね。
鹿嶋会長
要するに、フリーター100~200万人という人たちが増えればね。
袖井委員
内容的なことですが、1つは、ワーク・ライフ・バランスというのが今かなり注目されていますので、子育て期の女性の問題だけではなくて、男性も含めたそういうことを入れていった方がいいと思うんです。つまり、男の人が定年退職後孤立してしまうというのは、やはり仕事だけやってきたということになると思うんですよ。だから、そういう機会を提供しただけではだめで、企業の側も協力しないと無理だと思うんですね。現在のような性別役割分業社会では。ワーク・ライフ・バランスというのは別のところでやっていますけれども、やはり生涯にわたったそういう視点が必要だということを是非どこかで強調していただきたいということ。
 それから、最後の6ページ目の介護ですが、高齢者虐待は圧倒的に女性がやられているんですね。息子がお母さんへというのが圧倒的に多いんです。在宅要介護者の調査というのが最近出ました。ですから、その辺の問題もうまく書けないかと。つまり、息子というのは、離婚したり、生涯未婚だったりほとんどが配偶者のいない息子なんですね。だから、生涯未婚の話が出ているんですが、それはその人自体が自立できないということだけではなくて、親の年金に依存したり、自分のうっ屈した気持ちをお母さんに当てるとか、その辺の悪循環に全部つながってくるので、やはり介護の問題における男女の違い、あるいは女性の差別という問題を是非うまく入れていただきたいと思います。
鹿嶋会長
そういう視点が入れば、新しい視点として論点整理ができていきますね。
 ほかにどなたかおられますか。
植本委員
1つは、最後の介護の問題点の指摘のところについてですが、これはこのとおりだと思うんですが、現実的には介護労働者の報酬を上げるということが勿論一番大事な視点で、それでないと人が集まらない。しかし、報酬を上げても集まらない地域がたくさん出てきているという地域差と人材育成の問題というのは、介護労働では今日的に非常に大きい問題だと思っております。そういう視点、特に介護の問題が医療の問題と同じように地域差がすごく出てきて、本当に村から人がいなくなっている状況、少し地域に目を向けた内容にしていただきたい。同じように、介護の問題だけではなくて、先ほど新しいデータとして病気の傾向も男女差があるというデータをお見せいただきました。高齢者医療の問題としての視点も介護の問題と裏腹の問題でありますので、その視点、医療の問題としてどのようにとらえていくのかということも必要なのではないかと思っています。
 もう一つは、各府省ヒアリングの意見のところ、1ページの2、高齢者施策の推進の多くは地方自治体が担っているというくだりがあります。これはそのとおりですが、逆に言えば、地域で具体的に政策を展開していくときに、該当の高齢者の意見を聞くような仕組み・システムというものが極めて乏しいと思うんです。一部、老人会とかいろいろな意見を聞く場というのはあるようですが、自立して社会参画をしたいと思っている高齢の男性・女性がしっかりと政策反映できるような地域における仕組み、例えば、デンマークの高齢者委員会のようなものが今後、高齢者が地域で増えていく中では仕組みとして考えて、元気な高齢者がしっかりと自分でものも言い、そして、具体的な担い手にもなっていくというような視点での方向性の議論もできたらいいなと思っています。
山岡分析官
ありがとうございました。今、先生から御指摘があった高齢者医療の問題ということについて、もう少し具体的にご意見についてご説明願えますでしょうか。今、事務局で性差医療といったような観点でもう少し研究を進め、それを現場の医療に生かしていくことが必要なのではないかというところまでは書いているんですが、もう少し違った視点がございましたら教えていただければと思います。
植本委員
今申し上げたのは、介護保険制度と医療保険制度が表裏の関係として、保険制度の仕組みとしてどのように考えていくのかと。例えば、担い手の問題として担い手の拡充ということも含めてどう考えていくのかということとして、地域の格差の問題と併せて、介護の地域格差と医療の地域格差も当然あります、高齢者医療の保険制度の問題としても現れてくる、それは高齢者の負担の在り方の問題も、逆に男性と女性とで収入の形態とか貧困率が違うという形の中で、医療保険制度の問題も欠かせないのではないかということです。
山岡分析官
ありがとうございました。
勝又委員
ただいまの御意見で元気な高齢者というお話があったんですけれども、私は自立ということを考えたときに、やはり自己決定、高齢者自らがどういうふうにしたいんだということをはっきりと言えるというか、そういうものをつくっていかないと、結局周りからいろいろなことを言われて、自己決定もせず流されていくというような、それから女性のエンパワーメントの議論がずっと長いことあるわけですけれども、エンパワーメントされずに女性もそのまま高齢者になっていくと。また、社会が弱者という非常に一面的な見方で、高齢者だからこういうふうにした方がいいんじゃないかみたいな形でいくということではなくて、先ほどおっしゃったようにデンマークの高齢者委員会のような、自らが自分たちの状況をどうしていきたいのかということを出していくような、そういう働きみたいなものをサポートしていく、そういうことが重要ではないかと思います。
 高齢者のジニ係数がそれ以外の勤労世帯よりも非常に悪化しているというのはよく言われますけれども、実際のところ、どの国においても高齢者というのは貧富の差が激しいと。それをどこまで社会がサポートできるかというところは、引退後の生活をどのくらい社会がサポートしていくかという、ある意味で国民の価値観にかかわっているところだと思うんです。ですから、一律に高齢者は弱者であってどうにか自立させてあげなくてはいけないというような考え方から一歩抜けて、やはり高齢者にも自己決定をしてもらうという形でのエンパワーメント、それは男女で言えば、やはり女性の方がそういう自己決定に対する訓練というのは非常に足りなくて、そして、高齢者になってもいろいろな形で依存していくという形がさまざまな社会的な問題につながっていくと思います。
鹿嶋会長
その自己決定というのは、女性についてのものですか、男女双方ですか。
勝又委員
男女双方についてだと思います。ただ、例えば、長いこと仕事をしてきた男性は、組織の中で決定する立場に置かれた経験があるかもしれないんですけれども、女性で比較的仕事をしてきても、そういう決定をするような立場に置かれてこなかった人たちは、何をしたらいいかということを聞いて、それに対してやっていくと。選択肢があるところから選んでいくというようなことだけになれているような場合においては、特に自分が今の生活の中で何をしたいのか、どういうふうに生活したいのかということを表現することすら非常にはばかられるみたいなところがある。だから、男女両方に関係のあることではあるんですけれども、女性のエンパワーメントというところから言えば、例えば、高齢者の団体ができたときにも、恐らく今の状況では日本は男性が長になって「何か御意見はありませんか」と聞いて、女性の意見は最後に出てくるというような状況が見えるわけですね。そういう意味では、女性の高齢期に達するまでのエンパワーメントの不足みたいなものを補いながら自己決定の力をというところで、両方ではあるんだけれども、やはり女性に力を入れていきたい分野かなと思います。
鹿嶋会長
自己決定の部分でも現役からの問題で、年をとってから急に自己決定と言ってもなかなか難しい問題で、昨日、家族経営協定を地方に行って見てきたんですけれども、家族経営協定なども中高年夫婦が息子さんのお嫁さんに来てもらおうと、あるいは都会から農業経験のないお嫁さんが来たので、いわゆる近代経営的な農業をやろうということで結構結ぶところがあるんですけれども、やはりあれなども妻がそういうことを持ち掛けても夫の方が拒否しているケースがあって、締結家庭がまだ数パーセントなんですよね。それまで持ち出せないということがあって、そうなってくるとやはり現役・高齢含めて、ライフステージを通じた男女共同参画という視点が非常に大事だという感じがするんですけれども、今おっしゃったように、高齢社会になってからも、特に女性の自己決定をアピールするのはいいんだけれども、これも若いときからの問題なんだという視点も強調しておく必要があるかもしれませんね。
山口委員
データの16ページなんですが、男女でほぼ2倍以上の死亡率の差が認められる疾患ということで天野先生のデータが出ていますが、男性に多い疾患と女性に多い疾患でバランスが悪いですね。これはどういうことなのか。それから、自殺というのが男性でこんなに多いということに私は改めて驚いたんですが、女性に多い疾患というのはこれっきりないのはどういうことなんですか。もっと乳がんだとか、がんだとかいろいろあると思うんです。これは私の推定ですが、多分女性はパートタイムだとかそういうところにいると、組織としての健康診断を受けられないのではないかと。地域社会ではこのごろ随分高齢者の診察奨励がありますけれども、そういうところに提起されているので、ちょっとこのデータはいかがかなという感じがしたんです。これは感想でいいですけれども、何か特にありますか。
山岡分析官
データの方は、事務局で最新のデータに差し替えつつ、もう一度確認しようと思っています。
 付け加えて言いますと、こちらは天野先生からいただいたデータの一部だけを御紹介しているのですが、その中でも悪性新生物につきましては、男性と女性で比べますと、更年期前までは男性の方が明らかにがんになる確率は高いんですけれども、女性も更年期を過ぎるとホルモンの関係が非常に影響するらしく、黄体ホルモン分泌が低下してくると急にがんの罹患率が高まるというグラフもいただいておりまして、全体として見るだけではなくて年齢別に見るとまた違いがあって、女性も高齢期になるとがんのリスクが高まるという現状があるということがございます。
山口委員
性差医療というのは相当進んでいるんですか。ワードとしては聞いておりますけれども、余りそれが出ていない。私は、女性団体活動の中で、女医会だとか環境会だとかおられるので、少しNGOの立場で性差医療のことを少しやってみようかなと思っています。
 もう一つは、家族の多様化ということで家族に関係するんですが、夫が病気になると妻を頼りにする。妻が病気になると社会的施設を頼りにして、娘さんとか嫁さんというのはこのごろしなくなったというのは割と定着してきましたよね。しかし、そういうことになりますと、こことしての狙いは、家族とか家庭、そうではなくて、先ほどから自己決定と出ていますが自立ですよね。自らのことは自ら決定するという方向を強調するとなりますと、いろいろな対策を講じなければならないと思います。
 例えば、少子化との問題なんですけれども、ここは大臣も少子化、男女共同参画と2つになっていますが、少子化というのは生産を支えていく上では必要だと言っておりますけれども、やはり一つは家族形成だと思うんですが、問題はそのように家族が変わってきますと、少子化そのものもそういう意味では老後を支えるとか、そうはならないという感じがするんです。スウェーデンなどに行きますと、例えば、この間暗殺されしまったアンナ・リンドなどと話をしたときに、彼女は閣僚をやっていても、出産でも何ら影響はなかったと。健康であれば出産なども5日間ぐらいで現場復帰して、いろいろなデータも入ってくるから何の問題もなかったと言ったんです。準婚姻法というのを適用していて、結婚していなくても子どもは産める、そして、ちゃんと社会が見ていくということですよね。小さいときからちゃんと生涯安心していける。やはりあそこの国も子どもたちには頼らない、やはり施設を重要視して家族が通っていくという感覚。そうすると、こことしては高齢者の問題を考えるときに、どういう社会を目指していくかということと非常に関係してくると思うんです。言っていることはみんな一人一人が大事なんだということで、みんな共通点だと思いますけれども、これからますますそういうことが多くなってくると思うんです。
 例えば、独身と言ったって、男性も独身というコースは結婚できないから独身ではなくて、その方がいいと、自由に生きられるという考え方もあるわけです。女性もそうですよね。職業生活が面白くなっていけば、一人になってやっていくと、いろいろ変わっていく。ですから、私がここで申し上げたいことは、そういう社会の変化にどう対応していくかということを、まだ完璧にそこまでいっていないかもしれないけれども、その中間過程かもしれないけれども、その考え方も入れなければならないかなと思います。
 それから、今回これを読んでいて、逆に言えば具体的で面白かったなと。我が身に触れるからでしょうけれども。郵政民営化で、例えば、郵便局の方が山の中に行かれなくなったと。あそこで年寄りと会話することによって随分年寄りが元気になり、状況がわかるといったけれども、私はひとり者が多くなってきたときに声を掛けるというようなボランティアでも組織でも置くと、病気も早期発見できるし、孤独死もなくなるし、それから、自分は忘れられていないなと思いますので、そういう将来を見据えた大きな政策と同時に、もう一つ周辺でもできること、地域社会の人たちに是非協力してほしいということをセットしたような内容がいいんじゃないかと思います。
 ちょっと長くなって失礼いたしました。
板東局長
先ほど性差医療がどれくらい進んでいるのかというお話がございました。基本計画の中にも性差医療に触れているわけですが、現実に申しますと、まだ十分にいろいろ進んでいるとは言えない状況にはあろうかと思います。ただ、上川大臣も非常に性差医療の問題は強い関心を持っておりますし、厚生労働省の方でも厚生労働科学研究の一環といたしまして、性差医療の問題を取り上げているということで、少しずつこういう意識が高まりつつあると思います。特に、骨粗鬆症などにつきましては、検査などもかなり普及しつつあるというところだと思いますけれども、性差医療全体としては、特に年代に応じて先ほどのようにかなりホルモンの分泌など変化があって、いろいろな時期にいろいろな側面があるんだというところまで、まだ十分に女性自身も認識できていない、整理できていないというところもあろうかと思いますし、まだ女性専門外来も非常に少ないということがありますので、そういった体制整備とか知識の普及とか、そういう研究などの推進といったことを含めて、まだまだ総合的な取り組みが必要な分野ということで考えております。
 全地婦連なども、今後、海外から研究者を呼ばれての講演会などもされるとお聞きしておりますので、民間の団体でもいろいろなところで少しずつこういった問題が関心を持たれつつあると思っております。
山口委員
せっかく施策にあるんですから、今度は性差医療というものを強調して入れて、そこから出てくる女性の問題というのがありますから、一つの問題として取り上げたらどうでしょう。
板東局長
健康フロンティアの施策の中にも、性差医療という言葉ではないんですが、女性に関する問題などについて意識して取り上げられているということはございます。
 それから、先ほど家族とのかかわりというお話がございました。単身、又は家族と一緒に住んでいるというだけではなくて、最近は共同生活の新たな形が、気の合う人たちと助け合ってとか、世代を超えてみたいな話も含めまして出てきていますので、そういう新しい疑似家族的なといいますか、そういった形態というものも新たな視点として考えていく必要もあるかなと思います。
山口委員
男同士で住むのと、女同士で住むのといろいろありますよね。これも一つの形ですからね。
鹿嶋会長
確かに、そういうものも新しい視点で入れておく必要があるかもしれませんね。
 それから、山口委員がさっき言った声を掛ける、見守りですけれども、地域格差の中で今後、高齢化率が深刻化するのが都市部だという報告がありましたね。そうすると、都市部の問題は何かというと、みんな孤立しているので、声を掛け合うというのが田舎ほどないわけです。だから、その辺りも指摘しておいた方がいいかもしれませんね。要するに、インフラがまだないと思うんですよ。地方のような高齢者が最低限生きていけるだけの見守り、声を掛け合うといったものも含めて。だから、それも問題提起として新視点として出した方がいいかもしれませんね。
植本委員
ちょっとそれで御紹介してもいいですか。今、声を掛け合うボランティアとおっしゃいましたが、実は清掃労働者がそういうことをやり始めている地域が増えてきているんです。特に、行政の側で直営で収集をやっているところなどは、逆に独居老人のデータを福祉からもらって、希望する独居老人のところには戸口まで行ってトントンとたたいて、ゴミを回収すると。そうすると、安否確認ができて、一声掛けることができるということで、いわば既存の事業の中でそういうことをやっている自治体が増えてきております。そういうことも含めてまるで関係のない政策ですが、マッチングさせればすごく地域に貢献できるということがあるので、それも一つの事業展開の例としてはあり得るのではないかと。そうすると、ボランティアに頼るとこの地域では穴が開くということが起こったりしがちですが、そういう全体に網が掛かるようなものとして考えていくと、自然にやれるのではないかと思います。
 だから、町などではエレベーターがついていないようなマンション的なところだと、3階、4階から持って降りて、また上がってというのが大変だから、戸口まで行くということがすごく喜ばれているというのはお聞きしています。
鹿嶋会長
今の話も私の話なども、男女共同参画という視点ではかなり境界領域にあるんですけれども、やはりそういうものがないと厚みがないですから、報告書の中に入れていった方がいいかもしれませんね。
山口委員
新聞販売所なども頑張って、いっぱいあふれていたらおかしいと思ってくれないとね。新聞販売所なんて自然でいいと思いますよね。みんな宅配性なわけですから。
鹿嶋会長
ほかにありましたらどうぞ。
 私が一つお願いしたいのは、男女共同参画の視点は口うるさいほど言ってきたんですが、いわゆるこういう政策的なものでジェンダーの主流化といいますか、主流化していくことが必要なので、こういうものを男女別に統計をとったりするのも勿論いいんですけれども、施策として末端の方に置かれたのではなかなかインパクトがないので、これを主流化していくということも、強調していっていいんじゃないかと思うんです。そうしないと、男女共同参画施策というもの自体の展開がワンテンポ、ツーテンポ遅れてしまうわけです。だから、政策的に優先順位を高めてもらうような努力をしてもらうということは大事だと思います。監視・影響調査専門調査会なので、施策を監視しているんだから、そういうことは強調していいと思うんです。
山口委員
これから開かれる国連の婦人の地位委員会は、ジェンダー・メーンストリームが今度課題になると聞いておりますけれども、当然日本からも代表が行くわけですから、案も持っていかなければならないし、海外の動向もつかんでこられる。これは期日的には間に合うんじゃないかと思いますけれども。3月に婦地委員があればね。
畠中委員
今の会長の御意見は私も同意見です。、4ページの3の課題と取組の方向性のところで、(1)に、各府省のヒアリングの結果、「反映させている施策は極めて少なかった」と書いてありますが、私もヒアリングを全部お聞きした感じでいいますと、そのとおりだと思います。ただ、これはやむを得ない面もあるんです。何も各府省の肩を持つつもりはありませんけれど、要するに、日本の役所というのは縦割り、分担管理なんです。各府省も自分のところに必要でないことはやらない、むしろやってはいけないんです。だから、こういう男女共同参画の視点の反映が重要ですよというのは、常に内閣府の男女共同参画局が言い続けなければいけない。要するに、あなたの府省庁の施策をやっていく上でも必要ですよ、ということを言ってあげて、自分の省庁の施策に必要だということにならないと、主計局に行ってもなかなか認めてもらえないということです。あなたの府省庁の施策をやっていく上でもこういう視点が必要ですよ、重要ですよというのを常にこちらから言ってあげるということが必要ではないかと思います。これは念のためです。
 それから、1点だけ質問をいいですか。細かいところですけれども、2ページの一番下から4行目、女性についてひとり暮らしが多いから一人で過ごす時間が長いのは当たり前なんですけれども、「緊急時の支援などについて日頃からの備えが必要」というのはどういう意味なのかちょっとよくわからなかったんですけれども説明してもらえますか。
山岡分析官
ひとり暮らしが多いと勿論一人で過ごす時間が長いというのはデータでもわかっているのですが、そういった中でも女性はひとり暮らしが多い、したがって一人の時間が長いですねということをまず前段として押さえておいて、例えば、急に体調が悪くなったとか、災害のときにいざ近隣から支援を求められるかといったようなことで言うと、急にその場で支援を求めても難しいというところがありますから、事前の地域とのネットワークとか、そういう安否確認の仕組み、災害時の手助けをどうするかということについて考えておく必要があるだろうということで書かせていただいております。
畠中委員
ありがとうございました。
鹿嶋会長
ほかに御意見があればどうぞ。よろしいですか。
 今の質問のように抽象度がまだかなりありますので、論点整理自体はもうちょっと具体化するのでしょう、このぐらいでいってしまうんですか。
山岡分析官
中間的な論点整理としては、これぐらいでと思っておりますが、ただ、本日お伺いして、幾つか今の柱立てにないものもございますので、そういったものをどういう形で組み込むかということをもう一度精査させていただきたいと思います。
鹿嶋会長
今、畠中委員からあったようなところも、具体例を入れたが方がわかりやすいですね。体調が悪いとか、災害のときになんて聞いて初めてわかるようなことだから、そういうところは具体化しましょう。
山岡分析官
わかりました。
 最終的な5月の参画会議に報告する最終報告書では勿論もっと詳しくと思っております。ただ、今御意見いただきましたように、今の中間的な論点整理の中でちょっと表現ぶりが足りないところ、詳しい説明がないとわからないところは、もう少し踏み込んで書きたいと思います。
山口委員
今、畠中さんが言われたことで各府省は余りそんなことを気にしていないと、実際にそうですよね。地方自治体などに行ったら本当にひどいもんですよ。「何それ」というようなことで。この間こちらで内閣府政策統括官(共生社会政策担当)今後の高齢者社会対策の在り方等に関する検討会で意見を入れるということでペーパーをいただきました。どっちが上か下かという話ではなくて、男女共同参画の視点というのはここに入っていなかったらメーンストリームにならないので、先生がおっしゃったように、この際視点とはということで強調していただきたい。その視点から見るとこうだということを是非要望します。
山岡分析官
この間、中間的論点整理の前でございましたが、各先生方に意見の案ということで御確認いただきました。それはまず事務的に今の共生社会政策担当に送っております。そちらをまず反映してもらうように強く要望しておりますし、高齢社会対策大綱の見直しに向けた検討会が11月2日に開かれましたが、その中でも検討会の先生方から男女共同参画の視点が重要であるという議論が出ておりましたので、そういう方向で是非とも入れてほしいということで、こちらとしても要望しておるところでございます。
神野委員
これまでも出ている論点ですが、別に大きくということではなくて、修文するのであれば少し気をつけた方がいいかなと思うのは、自立を非常に強調しているので、スウェーデンなどの考え方は、自立すれば自立するほど連帯するという考え方なんですよね。ここでいくと、自立してからいろいろ連帯し、連帯するゆえに自分の社会における必要性が高齢者も自覚できて、それがまた自立に反映していくという、中に一応自立だけではなくて書いてあるから読めばわかるんですけれども、表現ぶりを助け合いのメカニズム、もともとスウェーデン語で社会サービスのことを「オムソーリー」と言うんですけれども、オムソーリーという意味は「悲しみの分かち合い」という意味なんですよね。男女共同参画というのは、もともとそういう分かち合いの思想に基づいている面があると思うので、自立と同時に自立していくということが次のネットワークみたいなものにつながっていくというトーンを少し入れた方がいいかなという印象です。
山岡分析官
ありがとうございます。
鹿嶋会長
自立し過ぎて孤立しかねないというイメージもありますからね。ありがとうございました。
 ほかにはどうでしょうか。さっき言おうとしたのは、畠中委員がこれを繰り返し言ってほしいと、大変大事なことだと思います。この間実はスウェーデンのシンポジウムに参加したら、向こうの女性のジェンダー平等の委員長が、スウェーデンの男女平等は知識から始まっていますという趣旨のことを言っていましたので、知識というのは多分繰り返し言っているということなんでしょうね。だから、なるほどと思って、今の畠中委員の意見もそういうことなんだろうなと思って聞いていました。
 ちょっと時間は早いんですけれども、御議論ありがとうございました。皆さんから御意見いただきましたので、事務局で中間的な論点整理を整理して、再度委員の皆さんに送付して確認をお願いした上で、年内に公表して意見募集をする方向で進めたいと思っております。もし、追加的な意見があれば1週間程度の間に事務局までメール、FAXどちらでも結構ですので、お知らせいただければと思います。
 次に、事務局から実態調査の企画をしておりますので、検討会の状況について説明をいただきたいと思います。
山岡分析官
では、資料4-1、資料4-2で御説明させていただきます。こちらも事前に一度、メール・FAXで検討会の開催について委員の選任が終わったということで御報告させていただいておりますが、一度既に開かせていただいております。資料4-1でごらんいただきますと、今回の検討会につきましては専門調査会の審議の基礎資料にするということで、アンケート調査分析を行うことを目的に開催させていただいております。3枚目に検討会のメンバーということで挙げさせていただいておりますが、専門調査会からは鹿嶋先生、勝又先生、袖井先生にお入りいただきまして、袖井先生が座長、あと4名各分野の専門家に入っていただいて、調査の企画について既に始めております。
 資料4-2で、第1回検討会を開きまして、そこで実態調査の内容についてのおおむねの方向性を議論しました。その結果について御説明しますので、もし、こういうことが必要ではないか、また、その他御意見がございましたらいただければと思っております。
 まず、調査の視点でございますが、前回の専門調査会の中で経済不安と生活自立、日常生活における自立に焦点を当てるということで御確認いただきましたので、それを踏まえましてその中で何を見ていくかということについて検討しました。これについては、長期的に今後の政策の方向性を考えるという意味で、これからの高齢者の問題を主にとらえる視点を中心にしようと考えております。具体的な論点としては、ひとり暮らし高齢者の孤立の問題、それから、非正規雇用とか離婚とか終身雇用、リストラということでの経済的な不安の問題、あと、親の介護と子どもの自立困難の問題を抱える前期高齢者というようなことがあるだろうということで考えております。
 調査内容といたしましては、一つが、ライフスタイルと高齢期の経済状況との関係性について探る、すなわち高齢期の経済状況がそれまでの働き方、家族の持ち方でどのように違うのかということについて分析する。また、今の団塊世代等50代後半から60代前半の方々が今後年金を受給する時期になったときに、どういう経済状況になりそうかということについて、それまでの働き方、家族の持ち方との関係で考えていこうということでございます。
 それから、もう一点といたしまして、主に家族や地域とのかかわりとして、孤立の問題に焦点を当てて、生活自立をめぐる課題を探ってはどうかと考えております。今の高齢者の現状を把握するほかに、団塊世代がどういう人間関係を持っているのかということ、場合によってはITの関係、携帯電話とかPCといったものの利用の状況なども含めて把握したいということで考えております。
 調査対象についてはちょっと議論があったところなんですが、55~74歳の男女ということで、主に55~65歳前後辺りまでがこれからの高齢者、65~74歳といったところが年金を受給し始めている世代と、そうした層をカバーする形で設定したいと考えております。
 全国調査として行い、抽出については世帯構成による割り当てを行い、主にひとり暮らし世帯を多めに抽出する予定です。ここには書いてございませんが、訪問調査の形でさせていただきます。面接にするか、留め置きにするかというところは、今検討会で調査の内容をもう少し詰めてから整理するということで決めております。
 2ページは調査の内容のイメージですので、これは御参考まで。
 3ページの具体的調査内容案ですが、詳細については第2回検討会を11月27日に予定しておりますので、そちらで調査票案を出して検討する予定です。現状では、調査項目としてどういうことを聞けばいいのだろうかということまでは御検討いただいています。1つは、本人と家族の状況ということで、本人の年齢、性別、健康状況、加えて最終学歴というのが経済状況にも影響しているだろうということで挙げております。それと婚姻状況、子どもの状況が子どもの自立の問題も含めますと非常に大きな問題ではないかということで入れてございます。住宅は、そこである程度経済的な状況が予測できるということとか、女性が住宅の名義を持っているかというところも一つのポイントではないかということで入れております。
 就労状況・就労意向については、現在の状況とこれまでの就労経歴を取りたいのですが、正規・非正規別に細かくとっても使えないというところがありますので、おおむね正社員中心で来たのか、正社員で働いていたが就業中断後パートなのかといったようなパターンで把握していこうということと、それから、大きな就労上のリスクとなるようなイベント、就労中断とか転職、リストラ等がなかったかということも確認しようと思っております。
 経済状況・経済不安に関して、ここは金額でどこまでとれるかという点が非常に難しいだろうという意見になっておりますが、ある程度とれる範囲で収入源や年金についても遺族年金等受給の有無といったようなこと、それから、経済不安といったようなことについて把握したいと考えております。
 また、社会や地域とのかかわりについて、他者との交流の現状、先ほども疑似家族という話がありましたが、これまでは家族・地域ということでよく議論がありましたが、家族・地域以外のもっと広いネットワークというのがこれからあり得るのではないかということが検討会の中でも御議論がありました。例えば、ネットで知り合ったということもありますし、職場の関係とか学生時代の関係が続くといったようなこともある中で、もうちょっと広く人間的ネットワークを見ていった方がいいだろうと検討会の中でも御意見をいただいています。また、IT機器というのが今後、高齢者の中でも一定程度普及していくでしょうし、やはり体がだんだん衰えていくという中で、生活上必要性も高まってくるだろうということで、その利用状況や利用意向も把握してはどうかと。
 最後に、老後の生活に関する意向や見込みについても調査したいと考えております。老後の生活をどう定義するかということはありますが、年金を受給するぐらいの年代層になってからということでいったときに、誰と暮らすのか、どういうことを大切にしたいか、どういう不安があるのかということを把握したいと考えております。
 以上、今はかなり多めに幅広に挙げておりますが、検討会の中でも実際に調査票を設計してみて、全体のボリュームや優先度、それから、実際その内容で聞ける、回答してもらえるかということも含めて、更に精査をしていこうということで今整理させていただいております。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。質問などはありますか。
山口委員
感想です。今、分析官が、年寄りというのはどこまで経済のことを言うかわからないとおっしゃっていましたね。本当に年寄りになると、私の周辺にも70歳代が随分いるんですが、自分の財産が幾らかと聞かれるのが一番嫌みたいですよ。盗られてしまうという意識もあるんですね。このごろ例の電話の詐欺などありますから、聞き方は相当工夫しなければならないだろうと。
 それから、もう一つ、成年後見制度とか公的な福祉サービスとか、どういうものを利用しているかということを聞かれた方がいいと思います。御参考にしてください。
鹿嶋会長
成年後見、要するに対象者があれだと聞けないですよね。
袖井委員
知っているかどうかもあるんじゃないですか。
山口委員
知っているかもそうですね、それから、実際に使っているかどうか。
鹿嶋会長
実際に使っていたら、本人は調査の対象にならないでしょう。
袖井委員
でも、任意でやっているのはありますよね。物すごく少ないですよね。
山口委員
少ないですね、随分パンフレットは出ているけれども。
袖井委員
でも、認知度なんか聞いたらいいかもしれないですね。意外に知られていないんですよね。
山岡分析官
今の点についてですが、調査対象については今のところの予定としては入院、要介護の方、認知症の方というのは、その時点で補助サンプルに替えて、御本人が基本的には回答できる方にしようと思っています。したがって、成年後見制度などに関しては、実際に後見を受けなければならない状況になっている方というのは回答は難しいですが、任意後見契約を結んでいて、それに備えていらっしゃる方というのは対象になるかと思います。今の御意見は検討会でもお伝えするように致します。
袖井委員
そういう制度の認知度とか何かも聞いた方がいいかもしれないですね。
畠中委員
前もお聞きしたと思うんですけれども、これはどのようにして調査されるんですか。面接調査ですか。
山岡分析官
まずは、玄関まで訪問するということがあるんですが、その場で面接して聞くか、一旦お渡しして持ち帰って留め置きで書いていただいたものを回収しに行くかというのは、検討会の中でも調査内容を詰めてから決めようとしております。理由としましては、収入源などを書いていただく場面がありますし、割と細かい状況を聞くとなりますと、その場で聞かれて答えることに抵抗される方が非常に多いためで、こういった点も踏まえて調査方法については調査内容を詰めてから決めるという整理にしております。
畠中委員
調査の方法はよく検討されたらいいと思います。というのは、竹林審議官はよく御存じですけれども、国勢調査でも最近は調査拒否というのが多いんです。何でこんなことを聞くんだということで。特に、若い人などは無関心で、そういうことを言う人が多いと聞いていますけれども、55歳以上だから大丈夫かなと思うんですが、例えば、郵送の場合は調査員に見えないように封をするとかという工夫をされたらいいと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ほかに質問・意見はありますか。
 それでは、本日の審議はここまでとさせていただきます。事務局から連絡事項がありましたらどうぞ。
神田調査課長
今日は、いろいろ非常に有意義な御意見をいただきまして、ありがとうございます。資料の全体の太い流れが確かに見えにくくなっているので、今日いただいたメッセージの中で自立と連帯、自立だけを強調する傾向にあったんですが、そうではなくて、やはりみんなで分かち合うことによって自分もまたハッピーになれる、充実できるというようなトーンと、国として全体に何をやってゆくべきかということと、身の回りでお互い個人がどうやっていきましょうかということを初めの方にわかりやすく書いて、整理をしていけば、割と全体として大きな流れ、柱があってわかりやすいと思いますので、その辺を工夫させていただきたいと思います。原案は、いろいろなことを書き過ぎてわかりにくいところがありましたが今日の御議論で非常にクリアになりましたので、その辺を調整させていただきたいと思います。
鹿嶋会長
あと、さっきも出たように、ちょっと抽象度の高い表現があるので、そこは2~3補足してもらうといいと思います。
山岡分析官
ありがとうございました。今の課長の意見の中で、先ほどの自己決定やエンパワーメントの問題も、場合によっては別立てで主流な考え方ということで整理しようかと、担当者として今いろいろ御意見を伺った中で考えております。また整理をしてご覧いただきまして、御確認をお願いしたいと思います。
 では、事務的な御連絡でございますが、次回の第25回の専門調査会は来年1月下旬を予定しております。次回の議題は、男女共同参画基本計画第2次のフォローアップの報告を行うことを予定しておりますので、推進課長より簡単に御説明いたします。
塚崎推進課長
今、お話がありましたように、基本計画ですけれども平成17年12月ということで、5年計画なのでほぼ2年経とうとしているところでございます。中間地点ということで、計画全体の中間的なフォローアップを予定しております。
 現在、各分野につきまして、各省庁から実施状況を出してもらっておりまして、次回にその出てきたものを取りまとめて御報告をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
山岡分析官
続いて、事務的な御連絡でございます。先ほど来申し上げていますが、本日御議論いただきました中間的な論点整理案について、追加的な御意見等があれば今後1週間程度で事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。
 また、次回以降の専門調査会の日程につきましては、近日中に事務局から調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 資料の取扱いでございますが、参考資料2につきましては、まだ各府省に確認が済んでおりません暫定的なものでございますので、本日ここで回収させていただきたいと思いますので、机の上に置いておいていただければありがたいです。
 参考資料1のデータ編がございますが、まだ原データに当たって確認していないもの等もございますので、非公表という扱いで委員の皆様限りでお取り扱いいただければと思います。
 資料5として第22回の議事録を置いておりますが、こちらは委員の皆様の御確認が済んだものということで、この形でホームページに公表させていただきます。以上でございます。
鹿嶋会長
それでは、これで監視・影響調査専門調査会の第24回の会合を終わります。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)