監視・影響調査専門調査会(第23回)議事録

  • 日時: 平成19年10月9日(火) 9:30~12:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 神野委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 「高齢者の自立した生活に対する支援」に関する各府省ヒアリング
      • 経済産業省
      • 内閣府国民生活局
      • 法務省
      • 厚生労働省
    • (2) 各府省ヒアリング全体についての意見交換
    • (3) 当面の調査検討方針について(案)
  3. 議事録
鹿嶋会長
ただいまから男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第23回会合を開かせていただきます。
 それでは、本日の審議を進めさせていただきますが、あらかじめ事務局より御連絡させていただきましたとおり、「高齢者の自立した生活に対する支援」について、前回に引き続いて関係府省の担当者の方々からヒアリングを実施いたします。本日は、経済産業省、内閣府国民生活局、法務省及び厚生労働省の1府3省においでいただいておりますので、説明を聞いた上で質疑応答を行いたいと思っております。各府省には、事前にお伝えしたヒアリング項目を踏まえて、対象施策等の説明をお願いします。質疑応答の時間がありますので、蛇足でございますが、説明はぜひ予定時間以内におさめていただければと思います。
 まず初めに、経済産業省の施策について、経済産業省経済産業政策局経済社会政策室の大西室長補佐から説明をお願いします。よろしくお願いします。
大西室長補佐
経済産業省の大西でございます。私どもの「高齢者の自立した生活に対する支援」に関して説明させていただきます。お手元の資料1に基づきまして説明させていただきたいと思います。
 資料を1枚お開きいただきますと、「我が国経済と高齢者を取り巻く問題点」ということで、先生方は既にご高承のことであるということは十分承知しておりますけれども、一応簡単に書かせていただいております。2ぺージ目から6ぺージ目までが、この問題点に関してのいわゆるグラフ等々で示させていただいているところでございます。7ぺージ目からは施策ということで取組について書かせていただいているということでございます。
 まず、1ぺージ目でございますけれども、既に少子高齢化がどんどん進展する中で、高齢者を含めた全員参加型社会というのが重要であるということでございます。これは、下の方に書かせていただいておりますけれども、経済成長戦略大綱におきまして、経済成長等を維持していくためには、やはりみんなががんばっていく、そういった社会を築いていくということが大切であるということが明記されております。さはさりながら、高齢者というのは非常にがんばっておられるわけですけれども、そういう意味から、特に男性高齢者においては、労働力というのは国際的にも高くて、就労意欲も高い。しかしながら、やはり高齢であるということから、なかなか無理がきかなくなってきているので、実際、今後自立して働き続けていくというような環境を整えるためには、今現在、ワーク・ライフ・バランス等々の議論がされておりますけれども、短時間就労等々のそういった柔軟な働き方の環境整備が重要になってくるだろうということでございます。
 ただ一方で、団塊の世代の大量退職というのが去年から始まっておりまして、大企業においても、若者の人たちに対する技能継承がなかなかうまくいっていないということで、これを課題に挙げているということが言われております。一方、中小企業においても、なかなか人材確保でいい人を採ってくるというのが難しい時代に入ってきているということで、そういうことを踏まえると、高齢者をいかにして働きやすい環境を整えていくかということが重要であるということでございます。
 この御説明でございますけれども、2ぺージ目から簡単にグラフで書かせていただいております。2ぺージ目は、高齢者の就業意欲ということで、御覧いただきますように、男性・女性共に非常に高いということで、55~59歳においては、高いところは労働力率、あるいは就業希望の有無に関しましても、60~64歳に関して高い比率を示している。6割に達しているというような状況でございます。
 3ぺージ目をお開きいただきますと、さはさりながら、体力的に限界なので柔軟な働き方というのが重要になってくるということでございます。
 4ぺージ目でございますが、2007年問題ということで、団塊の世代の大量退職というのがあるということで、企業においても、特に研究開発部門を中心に危機感を持っているということを明記させていただいております。
 はしょりまして大変恐縮でございますが、5ぺージ目でございますが、高齢者の活躍が期待される分野ということで、高齢者というのは長年いろいろな技術、あるいは経験を持っておられるということから、熟練であるとか、専門的・技術的な業務であるとか、あるいは部下、若い人たちに対する教育的・助言的な業務に当たってほしいというのが言われているということで、そういった分野に働く場が期待されているということでございます。
 6ぺージ目でございますが、左側のグラフでございますけれども、大企業の方が技能継承に非常に不安を抱えているということが明記されております。それから、右側のグラフでございますが、中小企業においては非常に過不足状況というのが深刻な状況になってきているということでございます。
 そういった状況を踏まえますと、いかに高齢者を確保して、いい条件で働いてもらうかということですけれども、我が省におきましては、7ぺージ目にお示しさせていただいておりますけれども、特に大企業から退職された方がそういった経験や知識を生かして、中小企業などに助言とか、そういう形で指導してもらう。そういういわゆる指導人材的なマッチングができないかということで、平成15年度から事業を展開しております。現在ずっと続けておりまして、そういった人材をデータバンクとして登録をして、実際にそういった人材を活用したいと言われる方に対して、そういった人たちを御紹介しているというようなものでございます。現在、7,400名ぐらいが登録されておりまして、男女比でいきますと圧倒的にこの年代というのは男性が多くて、女性は0.9%と非常に少ないのですけれども、今後こういったことを継続していく中で女性の比率が上がってくるのではないかというふうに考えております。
 それで、実際にこういった事業をやったことに伴って、その事業を受けた人というか、迎えた企業と、あるいは行ったOBの方からの評価というのが、ちょっと飛ばさせていただきますけれども、評価ということで10ぺージ目、11ぺージ目に書かせていただいております。受入企業からの評価というものも概ねいい。あるいは、11ぺージ目にいきますと、OB人材においても、非常によかったというのが、概ねいいということの評価があらわれております。
 さはさりながら、やはりOBという名前は非常に悪いんじゃないかとか、実際まだまだこれについてもいろいろな問題点があるのではないかということから、今後20年度においてはさらなる展開をしていこうということで、「OB」という名前は改めまして、「新現役」という名前に変えまして、定年退職後の世代が新たに新現役としてチャレンジしていくということで、新現役チャレンジプランというのを掲げております。
 13ぺージ目、14ぺージ目に書かせていただいておりますけれども、特にこれまで大企業をリタイアされた方が中小企業に入っていくというのを面的にどんどん展開していくとともに、大都市だけではなくて、地方が非常に過疎化しているものですから、そういった方にもやはり高齢者が生きがいを求めていってもらうような仕組みを考えられないか。あるいは、実際に海外に働きを求めていってしまうわけですけれども、日本を成長させていくということからいうと、技術が海外に移転してしまうというのもどうなんだろうかということから、やはり海外から国内に目を向けて働いてもらう場を確保していくということが大切ではないだろうかということで、この3つの視点を踏まえて取組を展開していこうということでございます。
 簡単でございますが、以上が当省の取組でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。今の大西室長補佐の説明についての意見があればお聞きしたいのですが、私どもで各府省ヒアリングに3点、改めて申し上げますと、1つは男女別ニーズの把握が反映されているのかどうかということ。第2点は関係主体と施策との連携。それから第3点は、いわゆる施策の評価、見直し、アウトプット・アウトカム等々の問題。この3点を各府省にヒアリング項目として出してあります。そういう点も踏まえて御発言いただければと思うのですが、どなたかありますでしょうか。
横田委員
今、御説明がありましたけれども、御存じのとおり、この会は男女共同参画会議の下の監視・影響調査専門調査会ということですので、高齢者はもちろん問題になりますが、その中でも特に女性の高齢者の社会での活動をもっと促進するにはどうしたらいいかという観点が重要です。今、会長からもお話がありましたように、今日のお話だけですと、経済産業省の場合には特に女性の比率がちょっと低いということをおっしゃっておられました。もちろん自覚していらっしゃるのでしょうけれども、その比率を高めるためにどういう問題意識を持ってやろうとしていらっしゃるのかというあたりを、ちょっと御説明いただければと思います。
大西室長補佐
もちろん女性がどんどん高まってくるというのは重要でありまして、我々もこういった事業をずっと続けていく中で、女性の掘り起こしというのをやらせていただいております。この0.9%の中には、経営企画部門であるとか、実際、技術の中で研究開発部門で活躍していた方が中小企業に行って非常に御活躍されているという例もございます。特に、企業の中でも製造部門というのが最近、人手不足で問題があるということなので、例えば、研究者や技術者などの方々を積極的に登録していただくとか、そういう形に努めているところです。
 ただし、現状では、日本全体のこの年代の方々の女性の参画状況というのがまだまだ低い状況にあるものですから、それはそれで別途ポジティブアクションといいますか、そういうものをどんどん進めていかなければいけないと思います。また、お辞めになられた女性の方々をスムーズにこういう事業に参加していただけるような努力をしていきたいと思っています。現状でも、例えば商工会議所の中にも婦人部会というのがございまして、特に婦人の方々が入っておられる会というのがありますから、そういったところにどんどん紹介していく中で広めていきたいというふうに思っております。
鹿嶋会長
さらに具体的に、これを見ると、女性は0.9%で男性は98.9%と、文字どおりOBですよね。さらにもう少し具体的なものというのは何かあるのですか。男女別ニーズの把握とか、あるいは評価といったようなもので、政策に具体的につながっているようなものは。
大西室長補佐
そう御指摘されるかなというふうには思っていたのですけれども、そこの分析についてはこれからやっていかなければいけないというふうには思っています。ただ、0.9%でかなり数が少ないものですから、実際、60名ちょっとぐらいの方しかいらっしゃらないんです。7,400名のうち0.9%ですので。だから、分析よりは、まずは、女性の方々が増えるということを努力してまいりたいと考えております。実際、平成19年度から、今まで地域協議会というのをつくっていたのですけれども、それだけでは弱いということで、各マッチング組織というのをつくりまして、このマッチング組織というのが、9ぺージ目を御覧いただきますと、中にはNPOの方々も結構入っておられまして、そういった方で、特に事業型NPOと言われる方々ですけれども、そういう方々にもお手伝いいただきながら、増やしていこうというふうに考えております。
鹿嶋会長
今回の専門調査会は、いわゆる現役時代の仕事のもち方とか、あり方についても波及・遡及して考えるということですが、やはりこの0.9%といったような現状を見ると、特に製造業、中小企業を含めて、経産省の施策全体がかなり男性型というか、そういう問題もあるのでしょうね。
大西室長補佐
はい、御指摘のとおりだと思います。今後、女性の参画を促していくということだと思いますけれども。
山口委員
5ぺージについて伺いたいと思いますが、高齢者の活躍が期待される分野ということで、専門的・技術的な業務、教育的・助言的な業務というふうに書いてあるのですが、推定するに、これらはほとんど管理職を対象にしているのではないか。私は自分で車を運転して、仕事は100キロ以内は全部それでやっているのですが、例えば高速道路の煤煙が一杯あるところで業務をしているのは退職組ですよね。非常に健康によくない。しかしながら、仕事は非常に丁寧です。ちゃんと御挨拶するし。ああいう分野を支えているところがあって、非常に尊敬に値すると思うんです。それから、このごろ道路を掘ったり、工事をしたりしているところ、それも交通整理をしたりするのは男性だと。最近は少しずつ女性も増えてきましたよね。
 私が伺いたいのは、これは厚生労働省の所管なのか、経産省の所管なのかわかりませんけれども、どういう職種に高齢者が再就職しているのか。そのお調べがあるかどうか。それで、専門的・技術的な業務、教育的・助言的な業務というのは限りがあるんじゃないかと思うんです。本当に元気で働きたければそういうところへ行きたい。しかしながら、今見ている私の直感では、危険だとか、汚いとか、要するに現役時代にはそういうところはやらなかった人たちが、再就職したいためにやっているんじゃないかと思ったならば、それはちゃんと対応していかなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
大西室長補佐
もちろん高齢者の中でも、実際に引き続き大企業で働く人、あるいは辞めて中小企業に移っていく人など、いろいろおられると思います。しかし、本事業で対象にしている方は、どちらかというと専門家というか、いわゆるスキルを生かして、それを助言に当たっていくような方を対象としているわけです。もちろん、いろいろな働き方があってもいいし、そういう働き方がちゃんと環境面も整備されて、健康管理も十分できながら働けるような場をつくっていくというのが理想だと思っております。我々が統計的に分析しているかというと、まだまだなかなかきちんとはやられていないところはあるのですけれども、ただ、こういう事業を通じまして、いろいろなニーズ調査とか、そういうことをやらせてもらったりする限りにおいては、やはり管理職の中でも専門的・技術的なもの、特に若い人が上から教えられる経験がなかなかないということから、そういったお年寄りというか、壮年者からちょっとお年寄りに入ったような方々に教えてもらうと、非常に気づきが多いというふうなことが言われているものですから、そういうところを狙って、逆に職場へのいい効果と、お年寄りになろうとしている方々の生きがいというのを両方とって支えていきたいというふうに考えているところです。
山口委員
そうしますと、OBとかOGとかの就職先についての職種の御調査はないわけですね。
大西室長補佐
今のところは体系的にはやっていないですね。この調査でニーズ調査をしているぐらいで、実際ここでおつけしたのも、政府の統計ということで厚労省さんが出されている実態調査であるとか、そういったことで傾向を把握しているということで。ただ、実際、我々が事業をやっていく中では、それはその事業機関からどういうニーズがあったのかということはやっておりますけれども。
山口委員
現実的には、労働問題全般は、現在、厚生労働省の方が所管というふうに考えていいわけですか。
大西室長補佐
労働問題全般はそうだと思います。
山口委員
ありがとうございました。
鹿嶋会長
ちょっとタイトでして、全体の議論の時間も後でありますので、その時間にぜひ説明いただきたいと思います。大西さん、どうもありがとうございました。
 続きまして、内閣府国民生活局の施策につきまして、内閣府国民生活局消費者企画課、山崎課長補佐から説明をお願いします。よろしくお願いします。
山崎課長補佐
御紹介いただきました内閣府国民生活局消費者企画課の山崎でございます。よろしくお願いいたします。
 早速ですが、資料2に基づきまして、当方の「高齢者の自立した生活に対する支援」関連施策を御説明申し上げます。当方で高齢者に関する施策といいますと2つございます。当方は消費者政策全般を所管しておりますが、特に内閣府単独として事業ということになりますと、高齢者の啓発関係の2つということで、何かといいますと、消費者問題出前講座というものと、もう1つはメールマガジン「見守り新鮮情報」の発行というものでございます。
 1つは、出前講座の方でございますが、こちらの方は平成13年から行っておりまして、消費者トラブルの防止におきましては、消費者自身が問題の知識・理解を深めることが重要であるということで、消費者問題に関する専門家を、全国各地で高齢者の集まりがございます。高齢者がそれぞれやっている老人クラブですとか、公民館での集まりとか、そういったものに講師を派遣してほしいという要望があった場合には、内閣府の方で講師に関する費用を負担しまして派遣する、そういう事業でございます。これは悪質商法等の事例、また、その対処法などを講義申し上げるという事業であります。大体20名以上の集まりに対して派遣するということです。これは、平成18年度は2,100回弱、また、今年度は2,500回を予定しております。参加者ですけれども、女性が約7割でございます。そういう事業で、来年から国民生活センターの方に移管する予定であります。
 もう1つ、メールマガジン「見守り新鮮情報」の方ですけれども、これは平成16年度に悪質住宅リフォーム問題というものが社会問題化いたしまして、高齢者が非常に被害に遭った。家に訪問して、例えば床下が腐っているから危ないとか、瓦が割れていると言って高額な修理をして、あるいはほとんど勝手にして高額な費用を請求するという事例でございます。これについては、各省庁の政府全体として施策を行いまして、消費者政策の関係する省庁で対策をとりました。それに基づいて、高齢消費者見守りネットワーク連絡協議会というものを関係省庁、また高齢者団体等によって組織いたしましていろいろ議論した結果、どういう形で見守ることが効果的であるかということを議論いたしまして、出た結論の一つがメールマガジンという手段でございます。これは、全国の消費生活センターでさまざまな相談を受け付けております。年間で百数十万件の相談がございますが、そこで得たというか、明らかになった悪質商法の情報につきまして、それを内閣府の方に届けていただきまして、それを内閣府の方で情報として編集、また検討して編集して、それをメールによって全国の関係する方々にお届けするというシステムでございます。
 どうも一見、メールによってというと、高齢者でメールを使っている方がどのぐらいいるのかという疑問が当然わいてきますが、実はこれは高齢者御自身がメールを使っていらっしゃる方であればもちろん結構でございますが、直接お届けするというよりも、高齢者の周りの方々である家族とか親戚、また民生委員、ホールヘルパーなどの日々高齢者と接しているメールを使える世代にお送りして、それらの方々から高齢者へ日々の活動の中で悪質商法について情報提供していただくということを想定しているものでございます。現在、約1万5,000件の登録をいただいております。こちらについても、来年、国民生活センターの方に移管する予定でございます。こちらの方は男女別の登録件数はここでは把握はしておりません。また、消費者問題出前講座、また、メールマガジンの方も、男女別の相談件数の多少による政策への反映というものは特段行ってはおりません。
 今後ですけれども、出前講座につきましては、今までは高齢者向けに主として行っておりましたけれども、今年度は障害者の方々、また若年層、若者の集まりにも講師を派遣するということを行う予定になっております。また、メールマガジンについては、これは月に2回ほど発行するということで進めておりますけれども、実際に被害が出てしまって、都道府県の消費生活センターからこちらの方に情報がきて、それでメールマガジンを発行するまでに若干時間の差が生じておりますので、それをどのように改善するかとか、また、登録者数が1万5,000件ですので、やはり被害の防止という観点からはもっと増やすべきということで、どうやって登録者数を増やすかということなどが課題となっております。
 短いですが、以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。消費者関連では、いわゆる男女別ニーズの把握、施策の対応が余り行われていないようですけれども、例えば、いわゆる高齢者向けの消費者被害というのは今激増しているわけですよね。そういう中での男女別の被害といったような把握の仕方は大事ではないか。例えば、夫が亡くなったら、女の名前にすると恐いので表札は夫の名前にしておくとか、それから、悪質セールスマンの中には、相手が高齢女性だとなるとかなり居丈高になって、それで物を買わせるとか、何となく消費者被害も男女別の違いがあるような気もするんです。そのあたりはきちんと把握する必要があるんじゃないですか。
山崎課長補佐
全く御指摘のとおりでございまして、当方では特に調査を行っておりませんが、後ろの方にグラフがついております。これは内閣府の独立行政法人でございますが、国民生活センターの方で調査した結果でございます。ここでグラフが幾つか出てまいりますが、比較的薄めで点がひし形ではなくて四角になっているものが女性ということで、国民生活センターのデータは適宜いただいておりまして、これを御覧いただいても、全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は女性が男性の1.5倍ないし2倍、3倍だったりするケースが多いというふうに考えております。
 また、確かに今御指摘いただきましたように、特に高齢者になりますと、どうしてもひとり暮らしの女性が多くなるということとか、例えば夫婦で住まわれていても、やはり買い物をするのはどちらかというと女性ですとか、それから商品も、これは特に男女は関係ありませんが、布団や着物とか、健康器具、あと健康食品は、女性が購入される割合が多少多いようですので、そこは特に今までは違いに応じてという対策はとっておりませんけれども、今後そのあたりは気をつけてやっていきたいと思っております。
鹿嶋課長
ほかに御質問、御意見ありますでしょうか。
 私どものヒアリングは、冒頭に申し上げましたように、男女共同参画の視点ということで行っていますので、ぜひ男女別の違いを、例えば調査統計するにしても把握していただきたい。そういうようなものを展開してほしいというふうにぜひお願いしておきたいと思います。
山崎課長補佐
わかりました。
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。
 続いて、法務省の施策につきまして、法務省民事局付の澤村さんから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
澤村
法務省民事局の澤村と申します。よろしくお願いいたします。資料3に基づきまして、法務省の施策について御説明させていただきたいと思います。
 本日は、第2次男女共同参画基本計画のうち、高齢者等が安心して暮せる条件整備の中に、高齢期における資産の有効活用を図るための施策の1つとして成年後見制度の活用が掲げられていることから、その制度の概要と実情について御報告させていただきます。もっとも、あらかじめお断りさせていただきますが、成年後見制度は、そもそも男女の違いに着目して設けられたものではなく、今回、施策の1つとして掲げられたのも高齢者の財産管理のいち手段であるという観点からであると理解しておりますので、その限度での御報告になってしまう部分もありますことをお断りさせていただきたいと思います。
 また、成年後見制度の創設は本省が主体となって行ったものであり、制度創設後も登記制度はこちらで所管しておりますが、実際の市区町村レベルでの活用につきましては、厚生労働省さんが所管する法律に基づいて市区町村が実施しているものでありますので、その部分につきましては、この後ヒアリングを受けられます厚生労働省さんに御報告をお願いしております。
 では、まず成年後見制度の概要ですが、これは資料3-2に記載してあるとおりであります。それから、詳しい内容や、わかりやすい内容説明は資料3-8のパンフレットを御参照ください。
 簡単に申しますと、成年後見制度は、判断能力が不十分な方々を保護し支援する制度です。認知症などの理由で判断能力が不十分になった方は、御自分の財産を適切に管理したり、契約をきちんと理解して締結したりすることが難しく、場合によっては御自分に不利益な契約を締結してしまったりすることがあります。そのようなことを防止するために、親戚などに限りませんけれども、適切な第三者が判断能力の不十分な方の利益を考えながら、場合によっては代理として法律行為を行ったり、御本人の方に同意を与えたりするというものです。この保護の対象となる御本人は、高齢者には限らないということになっています。従来、禁治産制度とか、準禁治産制度というのがございましたけれども、平成12年に御本人の自己決定権を活用しながら、その保護を図るためということで、成年後見制度という新たな制度として整備したものであります。
 成年後見制度には、法定後見制度というものと任意後見制度というものがあります。法定後見制度というものは、パンフレットの2ぺージの方に記載してございますが、御本人の判断能力に応じて3つに分類され、家庭裁判所によって選任された成年後見人などが本人を代理して法律行為を行ったり、同意を与えたり、同意を得ずに行った行為を取り消したりするというものです。他方、任意後見制度というものは、御本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人に代理権を与えるなどの契約を公正証書で結んでおき、判断能力が低下した後に家庭裁判所が選任する任意後見監督人という方の下、任意後見人が御本人の意思に従った保護や支援をするというものです。なお、成年後見人の方が金融機関などで取引を行ったりするなどの場合には、その権限を証明する必要がありますけれども、そのためには登記というものがございますので、成年後見人は登記事項証明書をもって代理権を証明するということになります。本年4月、その証明書交付の発行手数料を若干引き下げておりますので、その辺の利用はしやすくなっているのではないかというふうに考えております。
 続いて制度の利用状況ですけれども、資料3-4を御覧ください。これは最高裁判所が公表している平成18年度の統計結果です。その中の2ぺージにありますように、平成12年の制度発足以来、順調に利用件数が伸びていることがわかります。平成18年度では2万9,380件について後見開始の審判がされているということになっております。
 その男女別の内訳でございますが、これは7ぺージに記載してございます。平成18年度の男女別の割合は、男性が47%、女性が53%ということでほぼ変わりはありませんが、御本人が65歳以上の高齢者の場合は、資料には数字はございませんけれども、最高裁判所に確認しましたところ、男性が4,860件、女性が8,351件ということで、男女比が約37%対63%ということで、女性の割合が高くなっております。その原因を詳細に分析したものは残念ながらございませんけれども、やはり所詮高齢者の割合が高いことと連動して、女性の方でも活発に利用がされているということではないかと思われます。なお、任意後見人制度の登録件数は資料3-5のとおりでありまして、こちらの方も年々増加傾向にある状況で、平成18年度では5,610件ということになっております。
 続きまして、成年後見制度の運用に関する関係主体などとの連携ですけれども、制度発足当時から介護保険法などにより、親族等に適切な方がいない場合などに、市町村長が成年後見開始の申立てをすることができるものと規定されていましたが、昨年、平成18年4月の介護保険法の改正によりまして、市町村が行う地域支援事業の必須事業として権利擁護業務というのが定められました。そこで、高齢者の権利擁護の観点から支援が必要と判断した場合には、御本人の判断能力に応じて成年後見制度が活用できるような調整作業をしていただいております。また、任意事業の1つとして、市町村が成年後見制度利用支援事業を行っておりますが、具体的には制度の周知や申立費用、成年後見人の報酬の助成を行っていただいております。なお、このあたりにつきましては、冒頭に申し上げましたとおり、厚生労働省さんが直接には所管されております。
 それから、関係団体としましては、申立てを代理したり、成年後見人の担い手となったりする方々の団体である日弁連、あるいは司法書士の団体、社会福祉会の団体などがありまして、非常に精力的な活動をしていただいております。当省も、それらの団体が行う勉強会に出席させていただくなどして意見交換を行っております。なお、近年は成年後見制度の利用件数の大幅な増加に伴いまして、成年後見人の担い手が専門家では十分賄えないことから、一般市民の方に成年後見人になっていただけるような研修などを行うことが一部の自治体で試みられているというふうに伺っておりまして、今後その活用が期待されているというところです。
 さらに、少し前のお話にはなりますが、先ほど内閣府さんの方からも御報告がありましたとおり、平成17年7月には、当時、悪質住宅リフォーム問題というのが社会的に問題になりましたことから、関係省庁と対策を検討したことがございますが、その中でも成年後見制度の利用促進を図るということがうたわれております。
 法務省としましては、先ほど御覧いただきました資料3-7のとおりのパンフレットを毎年配布するなどして制度の広報に努めておりまして、引き続きこれを続けていくこととしております。制度につきましては以上のとおりでありまして、男女共同参画の観点からの御報告とは到底言えないものになってしまい大変恐縮でございますが、高齢者の財産保護のための制度としては、成年後見制度は順調に利用されているものではないかというふうにこちらでは考えております。
 以上、簡単ではありますが、御報告申し上げました。
鹿嶋会長
ありがとうございました。あらかじめ男女共同参画の期待には応えられないという趣旨の発言がありましたが、御意見、御質問がありましたらどうぞ。
袖井委員
私、このパンフレットを見たのは初めてですが、とてもよくできていると思いますが、どういう形でどの辺に配っているのか。案外届いていないんじゃないかという気がしますので、大体どのぐらい発行していて、どういうところに配布していらっしゃるのかちょっとお聞きします。
澤村
それは先ほど申し上げませんでしたが、資料3-7の方に記載してございますが、1年間の発行部数が平成19年3月ですと85万2,000部作成しております。主な配布先は、法務局など、あるいは公証人役場、それから司法書士会、家庭裁判所、弁護士会等々、この制度を利用される方が赴かれると思われるところに一応毎年配布している形になっています。特に、一番下の方に記載してございます全国老人クラブ連合会につきましては、昨年から配布を開始しているところでございまして、そのようにして高齢者の方御本人の手にも届くようにいろいろ工夫はしているところでありますが、さらに、もう少し適切なところがないかということについては、引き続き検討を続けてまいりたいと思います。
山口委員
結局、みんな悩みを持っているのですけれども、敷居が高いというか、なかなかそこまで持っていくのは容易じゃないかということで、法テラスができて1年たちましたね。あそことこことの関連はどうなんでしょう。あそこは今一生懸命PRしておりまして、どうしたら役に立つか、みんなが法律的知識を上げるか、相談をどうするかということですが、その辺との連携というのはできているのでしょうか。
澤村
具体的に法務省と直接の連携というのは、申しわけないのですが、今のところはまだ行っておりませんけれども、弁護士会を通じまして、非公式ではありますが、年に数回、弁護士会、あるいは家庭裁判所などと、この制度の活用を図るための懇談会というのを持っておりまして、その場面で弁護士会などを通じて法テラスに働きかけをしていただいたり、あるいは法務省の方から働きかけをするという形では行っているところであります。
山口委員
法テラスなどをもっと使えるようになったら広がるのではないかと思いますので、検討してください。
鹿嶋会長
任意後見制度はまだ数はそう多くないのですが、男女でどちらが利用が多いのですか。
澤村
登記上は、統計がとれていなかったので確認がとれていないところですけれども。
鹿嶋会長
これは統計をとっていないんですよね。
澤村
はい。申しわけございません。
鹿嶋会長
それから、いわゆる後見制度の申込みですけれども、男性は比較的若いですね。女性は65歳以上の申込みが増えていますよね。全体の半数以上を占めるのですが、男性は65歳以上というのは3割で3人に1人でしょう。これはどういうふうに見るのですか。
澤村
その辺もきちんとした分析はできていないのですが、40代、50代の方というのは、精神障害者であるとか、あるいは知的障害者の方などが非常に多くございまして、そちらの方の数が男性の方が多いということを反映しているのではないかと思います。
鹿嶋会長
女性の方が高齢社会を反映して高齢者というふうな理解ですか。
澤村
そのような理解をしております。
鹿嶋会長
そうすると、高齢化比率が高くなると、今後さらに女性の比率が増える可能性があるわけですか。
澤村
ええ。その可能性はあるというふうに思います。
鹿嶋会長
そうすると、知的障害者と高齢者というのでは当然施策も違ってきますよね。
澤村
はい。知的障害者の方ですと、確かに施設との契約であるとか、その辺を主にやっていただく形になりますけれども、高齢者の場合ですと、逆に見守り業務など、そういうものも含めて行っていく形になりますので、その辺は最近非常に精力的に市町村などでも活動を行っていただいておりますので、今後も有効に活用していただけるかと思います。
鹿嶋会長
くどいようですが、やはり男女別の把握をきちんと把握した施策というのが当然必要になってきますね。
澤村
はい。今後はそれに努めさせていただきたいというふうに思います。
鹿嶋会長
ほかに御意見などありますでしょうか。
板東局長
ちょっと質問を。成年後見人になっていただくような専門家というのは必ずしもそんなに多くないというお話がございましたけれども、この間、たまたま女性税理士会に行ったら、そこでも後見人になれるような勉強をされているというお話もお聞きしたのですけれども、専門家というのはどういった方がそういった専門家として考えられ得るのか。いきなり一般市民の研修というより、いろいろな専門家を活用するというのが中核になるかと思いますけれども。
澤村
従来ですと、司法書士さん、それから社会福祉士さんという方が大きな専門家としての団体となっておりまして、そちらでは自主的にいろいろな、成年後見制度に特化した組織をつくられていまして、そこで情報交換をしたり、独自の研修制度を行ったり、独自のマニュアルをつくられたりしているというふうに伺っております。
板東局長
例えば法務省の方で少し幅広に声をかけられたりというのは余りやる必要はないのでしょうか。
澤村
はい。申しわけないのですが、法務省の方と厚生労働省さんの方と両方分かれてしまっているところもありまして、具体的な方は厚生労働省さんにお願いしているということでございます。
鹿嶋会長
ほかに。それでは、澤村さん、どうもありがとうございました。
 続いて、厚生労働省の施策につきまして、厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課の山田課長補佐から説明をお願いします。厚生省はちょっと長いので、説明は30分ぐらいになります。
山田課長補佐
厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課におります山田と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 厚生労働省の資料は4になっておりまして、内閣府さんと相談しましてヒアリング資料をつくりましたけれども、各事業ごとにいろいろと細かく書いてございますので、申しわけないのですが、まず参考資料1の方から説明申し上げたいと思います。ダブルクリップを取っていただきまして2つ目の資料になります。既存の資料ばかりで申しわけないですけれども、基本的に我が国の人口はこれから減少していきますが、高齢者は引き続き増えていく、そういう社会になっております。2006年現在では、高齢者は2,660万人となっておりまして、このうち65~74歳は男性が678万人、女性が766万人、合わせて1,444万人。75歳以上のいわゆる後期高齢者と呼ばれる方は、男性453万人、女性763万人、計1,217万人。合わせて2,660万人となっています。後ほど介護保険の話をいたしますが、この高齢者の方々は大体介護保険の第1号被保険者ですけれども、そのうち2007年の3月現在で要介護の認定を受けている方は440万人になっています。内訳は、要支援1という一番軽い方が53万人、次の要支援2が51万人。要介護という認定を受けている方は、1が90万人、2が75万人、3が65万人、4が54万人、一番重い5が49万人となっておりまして、今、65歳以上の高齢者2,660万人のうち440万人、5人に1人ぐらいの方は要介護認定を受けているという状況になっております。
 次のぺージが人口ピラミッドの変化とありまして、こちらはどこかで御覧になったことがあるかと思いますけれども、2005年、現時点ですでに65歳以上の方々の人口のウエートはかなり大きいのですけれども、2030年、2055年となっていくにつれまして、高齢者の占める割合がだんだん大きくなりまして、50年後の2055年には現役が1.2人に対して高齢者が1人というふうな世の中になるというふうに推測されています。
 話が就業の方に変わりまして、それが次の参考資料2ですけれども、高年齢者の就業状況とありまして、基本的に我が国は諸外国と比べて労働力率が高齢者でも高いというふうに言われておりますが、そこにありますように、男性は65~69歳で働いている方が約半分、49.5%。女性でも約3分の1、28.5%の方が実際に働いておりまして、働いていないにしても、希望している方々は同じく男性で21%、5人に1人、女性も大体5人に1人の18.3%というふうになっております。
 次のぺージが高齢者の働く意欲ですけれども、基本的には65~69歳になっても男性は引き続き働きたいという意味であります70歳以上まで働いていたいとか、年齢に関わりなくいつまでも働きたいという方の比率はかなり大きな割合になっております。男性の場合、65~69歳ですと年齢に関わりなくいつまでも働きたいという方は約3割、30.6%、女性は4人に1人、25.2%という数字になっております。
 そして、その次の参考資料3の「介護保険」という資料、これは基本的には介護保険を利用する方々向けにつくった資料でして、これはかなりはしょって飛ばしていきますけれども、ぺージをめくっていただきまして2ぺージ目です。こちらが介護保険制度の改革というふうにありまして、左上の数字がサービス利用者数の数字。これは、制度が発足した当時は150万人ぐらいだったのですけれども、2年前の数字で恐縮ですが、平成17年は330万人。これぐらい増えてきていまして、今現在は400万人強という数字になっております。次のぺージは飛ばしまして、4ぺージですけれども、これは法改正の中身を書いてありますのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、介護保険は平成12年から始まりまして、一度法改正をしまして大きく見直ししております。その見直しの方向は、今、高齢社会を踏まえて直しているということですので、大体、制度の問題点といいますか、これまでの制度の問題点とか、運用の点とか、そういうところがわかるということで少し御説明を差し上げたいと思います。
 見直しの全体像というのが2つ目にありまして、その一番左側に予防重視型システムの確立という丸がありますけれども、その上の方にあります軽度者の大幅な増加というところ、ここは制度をつくったときは要支援とか、要介護とか、軽い方がそんなに増えるとは想定していなかったのですけれども、制度が運用されてきまして、要支援とか要介護1の方が結構大きく増えてまいりました。こういう方々に適切な介護支援、もしくは介護予防の支援が必要だということがありまして、先般の法改正で、下の四角の(2)ですけれども、地域支援事業というものをつくりまして、要支援の方や要介護になるおそれのある高齢者の方に対しまして、要介護状態という重い状態にならないようにということの介護予防事業というのを位置づけて推進していくということになりました。具体的には、要支援とか要介護の方の身体能力を低下させないように運動するとか、あと、自分で噛んで食べるということが意外と健康に大事ですので、そういう口腔運動。あとは、精神的に引きこもったりしますと認知症へつながっていきますので、閉じこもりとか、うつとか、そういったことを予防する。そういった事業を市町村にしっかりとやっていただく、そういう位置づけをしたというものであります。
 2つ目はお金の話でして、在宅介護と施設介護では公費負担の割合がかなり違うということがありまして、諸外国並みにしまして、施設給付の見直しの(1)にありますけれども、居住費とか食費とか、そういったものは基本的に介護給付という公的負担ではなくて、自己負担というふうにしたという法改正であります。
 そして、3つ目のところが新たなサービス体系の確立とありますが、ここは上の方にあります認知症の高齢者や、ひとり暮らしの高齢者の方が多くなりまして、なかなか自助努力だけではうまくいかないというのがありますので、地域密着型サービス、これは後ほど申しますサービスを創設したり、あと、地域に介護サービスを中核的に提供するといいますか、コーディネートする機関として地域包括支援センターをつくった、そういう改正をしたというものであります。
 そして、5ぺージの方に入りますが、サービスの質の確保・向上という丸のところがありますが、これはもともとサービスの質の確保が課題というのがありましたので、介護サービスというのを公表する。または、一度指定を受けたら、ズルズルといくのではなくて、ちゃんと事業者としてやっているかというのを見るために更新制を導入しまして、事業者がきちんと介護サービスを提供するように、そういったことをいたしました。
 最後の負担の在り方・制度運営の見直しのところは、まさにお金の話ですので省略させていただきます。
 そして、次のぺージは飛ばしまして、8ぺージをお願いいたします。8ぺージは、利用者が実際要介護といいますか、介護サービスを受けるということを流れ図で示しまして、こういうふうに申請してくださいと書いている図ですけれども、今回申し上げたかったのは9ぺージの一番右の方です。地域支援事業というものは、元気な高齢者や、介護が必要になるおそれのある人にもちゃんとしますというサービスですし、新予防給付とありますけれども、ここは要介護が1、2、3、4、5と重くならないようにしていくというための事業を行うということであります。一番下の介護給付は、これまで介護給付という一般のものであります。こういうふうにすべての高齢者に対して、本当に元気な方は別ですけれども、それ以外の方には基本的にきちんと、体の状態とか、ニーズに応じたサービスを介護保険で行っていく、そういった仕組みになっているというものであります。
 その後は、12ぺージと13ぺージのところに、今、地域密着型サービスと地域に密着しているという感じのことをしゃべっておりますけれども、その中身が書いてあるのがそこです。13ぺージに地域密着型サービスの創設とありますけれども、そこのサービスの内容というところにありますように、基本的に市町村が自分で住民にとって何がいいサービスかというのを考えて、しっかりとサービスを与えるというものであります。典型的なものがズラッと並んでおりまして、基本的には夜間の緊急時などにホームヘルパーが訪問するとか、認知症の人を対象とした日帰り介護やグループホーム、そういったものを市町村が必要に応じて行うといったものになっています。
 次に14ぺージですけれども、ここは介護の話というより、むしろ高齢者の所得の話も男女共同参画基本計画に書いてありますので、所得といいますか、収入の関係で触れたいと思いますけれども、介護保険の負担は、御案内のとおり、基本的に1割でありまして、残り9割は公費負担というふうになっております。利用者はそのほかに保険料というものを負担しますけれども、基本的に65歳以上の方は加重平均で、住んでいる市によって違いますけれども、月大体4,090円、年間4万8,000円の負担。それに加えて利用料が費用の1割負担となっております。居宅サービスの場合は、そこの表にありますけれども、一番軽い方であれば月4,970円まで、一番重い要介護5の方であれば、利用者負担の上限は月3万5,830円となっております。一方、施設サービスの方は、食費とか居宅費というのが基本的に自己負担になりましたので、その負担の額が幾らかによって自分の負担の額が変わるのですけれども、それ以外は基本的に介護サービスですので、上の表と同じような負担額というふうになっております。
 以上が介護保険の話の全体でありまして、その上でもともとの資料4に戻っていただきまして、高齢者の社会参画に対する支援、これは男女共同参画基本計画の6の(1)という分野になりますけれども、ここについての各事業、ヒアリングのポイントといいますか、観点と合わせてお話ししてまいりたいと思っております。
 まず1番で、高齢者の自立した生活に対する支援に関連する施策として、具体的にどのような取組を行っているかにつきましては、まず丸の1つ目で、高齢者の社会参加に対する支援としては、1、地域支援事業というものがございます。それは先ほどのパンフレットの中に出てきたものでして、被保険者、基本的に65歳以上の方が要介護状態、要支援状態になることを予防するとともに、地域の中で自立した日常生活を送れるように支援するために、市町村が事業を行うものであります。ポツの1つ目の介護予防事業は、先ほど申しました運動したり、口の運動をしたり、閉じこもりを予防したり、そういった事業であります。ポツの2つ目の包括的支援事業といいますのは、括弧の中にありますが、介護予防のケアマネジメント業務、これは介護予防というものと、介護の前の支援事業のマネジメントを一体的に行うという事業であります。総合相談支援事業、権利擁護事業、包括的・継続的ケアマネジメント業務、こういったものを行います。ポツの最後、任意事業といいますのは、介護給付費等費用適正化事業、これはまさに過大な負担といいますか、介護保険のむだなお金を減らすための事業であります。家族介護支援事業といいますのは、まさに家族の介護というものを支援しようという事業であります。これらは任意事業と位置づけられております。
 これらを市町村が自分の介護保険事業計画に書き込みまして、自分の計画に基づいてやるという仕組みになっています。ただ、これは国や県の負担も入っておりますので、基本的には市町村の行える事業の額の上限というのが定めてありまして、それが市町村の介護保険の事業費の、今年でいいますと大体2.3%以内と、そういった費用負担の枠内でやるという話になっています。予算規模は、国庫負担の額ですけれども、平成19年度は約574億円となっておりまして、来年度の概算要求は結構増えておりますが、769億円ということを要求しています。
 2,ですけれども、高齢者の生きがいと健康づくり推進事業というのがありまして、これはまさに高齢者が地域の中で生きがいをもって生きていく。ゲートボールとか、町内会の掃除とか、スポーツ交流とか奉仕活動など、そういったものを行いますけれども、そういったことを支援する市町村に対しまして国庫補助というもので支援するというふうになっています。今のところ、昨年度は278市町村で実施いただきました。お金自体は、上の地域支援事業と同じ交付金の枠内でやっているものでして、予算額は同じになっています。次に2ぺージになりますが、全国老人クラブ連合会の助成事業というのがありまして、これは老人クラブというのはもともと地域の集まりとして自主的にできたりしまして、昭和25年にはいろいろとできていたものですけれども、こういったものの全国の団体に対しましてさまざまな補助事業を行いまして、末端の老人クラブの活動を活性化するといったものになっております。そこにありますように、高齢者の生きがいと健康づくりを推進するために、全国老人クラブ連合会が会員のクラブに行います援助への指導や、調査の研究、あと老人クラブの指導者の養成訓練に必要な経費を助成するというものであります。最後の老人クラブ指導者の養成訓練ですけれども、それに対しては、次の丸にありますけれども、6万770人が参加したということになっています。残念ながら、これは男が何人で女が何人かというのはとっておりませんで、男女計で6万770人となっています。
 次に、高齢者の社会参画で大きな枠としまして就労というのがありますから、その就労を支援する施策としまして、定年の引上げと継続雇用制度の導入等による65歳までの雇用の確保策というのを厚生労働省でやっております。
 1,高年齢者雇用確保措置の導入促進に係る指導といいますのは、ほとんど読み上げで申しわけないですが、平成18年度から高年齢者の雇用安定法という法律がありまして、その法律の9条に、基本的に事業主は定年の引上げ、これは65歳への引上げですけれども、継続雇用制度の導入、そして定年そのものを廃止する、その3つのいずれかを講じなければならないというふうにしておりまして、これによって高齢者が一律60歳定年でクビになる、そして無職になるといったことを防ぐということをやっております。現在から平成21年度までは、定年の引上げは63歳以上にしようということをやっておりまして、平成22年から24年までは64歳まで、そして平成25年からは完全実施でして、65歳までの定年にするか、65歳までは継続雇用するか、そもそも定年を廃止するか、そういったことを事業主に対して法律上義務づけるということで就労の場というのを確保していきたいという施策をやっております。これは、事業主に対する義務づけですけれども、義務づけだけではなくて、各種助成金でそういった制度を導入した場合に、事業主に助成をしております。
 そして、丸の3つ目を飛ばしまして4つ目ですけれども、平成18年、昨年度ですけれども、51人以上の規模の企業のうち84%の企業が、先ほど申しました3つ、定年の引上げ、継続雇用制度、定年廃止のどれかを導入しています。これは、51~300人以下の中小企業が実は82%で、301人以上の大企業は94%と、企業規模によってちょっと差があるのですけれども、原則としまして、法律上の義務づけですので、これをきちんと守っていくように厚生労働省として指導していきたいというふうに考えているものであります。
 そして、丸の2つ目がシルバー人材センター事業とありまして、これは高年齢者雇用安定法の41条に、定年退職した方に臨時的または短期的・軽易な就業、つまり会社できちんとフルタイムで働いたり、責任のある仕事で働くというのはちょっときついということで退職した方であっても、臨時的や短期的かつ軽易な就業は希望したいといった高齢者の方が多いので、地域の日常生活に密着した仕事、これは自治体とか、そういったところから受託するのですけれども、そういった事業を斡旋しまして、高年齢者の仕事の場を提供するいうものであります。都会ですと、駐輪場の整理とか、あと公園の掃除とか、そういったもので結構活躍しているところであります。
 基本的には、丸の4つ目にありますけれども、事業実施団体47団体とありまして、これは47すべての都道府県にシルバー人材センターがありまして、やっていないところはないという状況になっています。シルバー人材センターに加入している者は全体で76万人ぐらいおりまして、男性の方が多くて約51万人、女性は約26万人ということになっています。
 3ぺージの方ですけれども、こういった施策は男女別ニーズを把握しているかという話ですけれども、シルバー人材センターの会員数とか、そういったものは把握はしているのですけれども、それ以外の施策は基本的には男女別という観点では講じていないところであります。先ほどの定年の引上げとか、ああいった話は、事実上、男性の方が勤続年数が長いとか、そういったことがありますので、定年延長の施策は男性に主に効いてくる施策ではあるのですけれども、そうはいいましても、女性の継続年数も今延びていることもありまして、基本的に今後は女性に対しても役立つといいますか、効いてくる施策になるのではないかというふうに考えているところであります。
 (3)の関係主体・施策との連携というところですけれども、基本的に介護保険というのは市町村にやっていただいておりまして、市町村がやるものを都道府県が支援するといいますか、介護の提供体制を整備したり、国の方においては、まさに国庫補助とか国庫負担によって財政的にも支援するという仕組みになっておりますので、国、県、市の連携はとれている、そういった形になっています。定年の引上げとか、継続雇用制度とか、そちらの方の雇用関係は市などは余り関係していないというのもあるのですけれども、そうはいいましても、国の方でも都道府県労働局という出先がありますし、出先関係で自治体と連携しているところもあるようですので、それなりに各主要な団体とは連携しているのではないかというふうには思っております。
 4ぺージの方ですけれども、ほかの関連施策とはどのように取り組んでいるかという点については、余りいいのがなくて、そこでは3つほど挙げています。地域支援事業というのは、基本的には認知症とか、そういったところまではいかないまでも、精神障害の方対策とかなり近いところがありますので、そこでは高齢者のうつ予防対策というのを例示していますけれども、そういった精神疾患に近いとか、そういった状況であれば、精神保健福祉部門、各都道府県に精神保健福祉センターというのが必ず1つ置かれておりますので、そこと連携しまして事業を実施するようにしているという状況になっています。定年の引上げとか、シルバー人材の方は、定年の方は後ほど申し上げようと思っていましたが、年金の支給開始年齢の引上げと歩調を合わせた形で定年の引上げを行うということで、年金施策との連携を図っております。シルバー人材センターの説明ははしょらせていただきます。
 そして、(4)の施策の評価と見直しというところですけれども、ここはいろいろと4ぺージ、5ぺージと書いてありますけれども、基本的に厚生労働省は政策評価法に基づいて政策評価を行っている。その評価書の中にある程度書いてあるということになっております。今口頭で申し上げるだけで恐縮ですが、介護保険関係、高齢者の社会参加に対する支援関係、このあたりは厚生労働省の政策評価の大項目9の小項目3の1というところで、高齢者の介護予防、健康づくりを推進するとともに、生きがいづくり、及び社会参加を推進することという施策目標のもとに評価しているところであります。直近は平成19年8月に公表されておりまして、その中身が4ぺージ、5ぺージに書かれているということになっております。
 同じく定年の引上げのところも、厚生労働省の政策評価の大項目4の中の3の1という中で書かれておりまして、基本的には目標がしっかり書いてありますので、ここだけあえて申し上げますと、65歳以上の定年企業を設ける企業の割合というものを厚生労働省としては平成20年度で42%の企業というのを目標にしていまして、それに対して平成18年度の政策評価としましては、33%と、あと2年で9%上げる、そういったことを政策評価でしております。そして、65歳以上の高年齢者雇用確保措置、これは要は継続雇用ということで、一旦退職して再雇用という意味が含まれるのですけれども、それは平成19年度までに45%の企業というのを目標にしていまして、これは平成18年度時点で既に67%の企業が導入しているということで、こちらは政策目標達成済みというふうになっています。
 5ぺージはそれで終わりにしまして、次の6ぺージですけれども、施策の見直しについてはどのように行っているかにつきましては、大きく財源の話とか、サービスの受給関係とか、そういった形で介護保険法の見直しとか、いろいろとしておりますけれども、特段、男性がどうなっていて、女性がどうなっているから、その方向で見直すといったことは特段行っていないというのが正直なところであります。
 そして、(5)その他、情報提供や広報。ここは最初のヒアリングの個別項目というところでいただいていた内容ですけれども、高齢者の就業促進を効果的に進めるためには、企業とどのように連携しているかということにつきましては、丸の1つ目にありますけれども、高年齢者の雇用確保措置を導入するに当たっては、基本的には独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構と連携しまして周知・啓発を行ったり、あと助成金の支給を行ったりをしているという状況になっています。シルバー人材センターにおきましても、基本的には市町村・都道府県、あと県単位にありますシルバー人材センターの連合会と連携してやっております。そういうところで情報を流しているということになっています。ただ、後段にありますヒアリング項目でいただいていました男女の状況の違い等に配慮した工夫を何か行っているかということにつきましては、特段、施策としては行っていないのですけれども、シルバー人材センターで受託する事業ですけれども、大体男性がやりやすい仕事はやはり男性が受託していまして、女性がやりやすい事業というのはやはり女性が受託しています。男性がやりやすいというのは何かといいますと、企業でパソコンとか税理とか、そういうことをやっていた人はやはりそちらの方をシルバー人材センターの事業としても受託する傾向がありますし、あと庭木の剪定とか、結構力仕事のものは男性の方が受託しているのが多いです。女性は一方で清掃といいますか、掃除関係とか、そういった事業を受託しているのが多いように見られますけれども、済みません、細かいデータは持ち合わせておりません。
 以上が高齢者の社会参加に関する支援ということで、男女共同参画計画の6-1関連でありました。
 引き続きまして、基本計画の6-(2)で位置づけられています介護体制の構築に関する施策について駆け足で話したいと思います。資料の8ぺージです。
 基本的に、高齢者の自立した生活に対する支援として具体的に何を行っているかということにつきましては、6-(2)という観点におきましては、介護保険制度というのは着実にやっていると。大きく言えばそういう話になります。サービスの提供基盤は、基本的に平成11年のときと比べまして、サービスの提供基盤というものは全国で急速に整備されたところでありますし、要介護の認定者数も平成19年3月時点で440万人おりますので、着実に利用が進んでいるというふうに考えております。
 一方で、2,の介護予防ですけれども、ここが大事だといえばそうなんですけれども、これにつきましても、さっきの6-(1)で触れたものと同じですが、要支援や要介護状態になる可能性の高い高齢者を早期に把握して、そういう状態にならないようにしていく。予防するということを目的としまして事業をやっております。ここは、ポツにあります地域支援事業交付金、これは今年度574億円ですが、この中の介護予防特定高齢者施策として実施しています。
 1つ飛びまして、3,の認知症高齢者支援対策の推進というところですが、ここが8ぺージにいろいろと事業の名前が書いてありまして、9ぺージのひし形の地域支援事業交付金のポツの権利擁護業務と、その次の成年後見制度利用支援事業、このあたりが先ほど法務省さんが御説明くださった当省分の事業であります。これは基本的には、老人福祉法には民法の特例としまして、市町村長が必要だと認めるときには、成年後見とか補助とか保佐とか、そういったものを申し立てることができるというふうにありますけれども、それを引き続き適切に使っていただきたいといった事業であります。
 ここで法務省さんから伺っていますのは、市町村長が申立てをするときには、一応、民法の法律上は4親等以内の親族が成年後見などをできるとありますので、今までは4親等以内の親族がいる場合はその人にやってもらった方がいいということで、4親等以内の人がいるかどうかを調べなさいということになっていたのですけれども、そこを先般、2親等以内、兄弟か孫まで確認すれば足りまして、明らかに4親等の方がいて、その方が何かしそうだということがわかっているときは別ですけれども、それ以外のときは2親等の方までを把握しまして、いらっしゃらないということであれば、成年後見等の制度を利用する。そういったことをやるというふうになっております。
 次に、福祉用具の開発・普及というのが(4)にありますが、ここは時間の関係で省略させていただきまして、9ぺージの(2)の話、そして10ぺージの話を差し上げたいと思いますが、ここは介護保険という制度は基本的には要介護に至った方とか、そういった体の状態とか、介護を受けられる状態はどうなっているかとか、そういったことに着目した制度でありますので、男女別ニーズを把握したり、男女別のニーズをもとにした施策というものの反映というのはふだん行っていないというのが正直なところであります。それが9ぺージと10ぺージの話であります。
 介護保険関係は、個別ヒアリング項目としてケアワーカーの状況について把握しているかどうかというものをいただいておりまして、それが11ぺージ以降の話であります。介護労働者の状況というところがありますけれども、11ぺージですが、基本的に社会福祉士と介護福祉士というのが主に介護を担う有資格者ですけれども、社会福祉士は男性約3万2,000人、女性は約6万2,000人で女性が多くなっています。介護福祉士は、男性は13万人に対しまして、女性は51万人と約4倍の数になっております。この数字は、あと常勤・非常勤の別というのがちょっと飛びまして19ぺージにありまして、19ぺージの下の表ですけれども、有資格者は今申したとおりですが、それ以外の全体を合わせまして、今、介護に従事している職員の方々は右下ですけれども、平成17年時点で112万人います。そのうち常勤で働いている方は約66万人、非常勤で働いている方が約47万人となっています。その男女比ですけれども、常勤・非常勤別にはとっていないのですが、上の表を御覧いただきますと、右上ですけれども、全体計という場所で男性が22%で、女性が78%。大体1対4で女性の方が多い職場になっております。
 11ぺージに戻っていただきまして、介護労働者の就業実態・就業ニーズというところですけれども、そこは丸の3つ目から説明させていただきますと、介護職を選んだ理由というところで、女性は基本的に資格や技能を取ったからには生かすという方が5割、生活を維持するためという方も5割、これは複数回答ですが、これからの時代にますます必要となるという、介護を積極的に選ぶ方が4割という形になっています。男性の場合は、基本的に生活を維持するためという方が一番多くなっております。ただ、一方で、こういう高い意欲を持っている方々ですけれども、処遇についてはそれほど高くありませんで、それが20ぺージを見ていただければですが、介護に従事する方々の勤続年数が短いことも影響しているとか、さまざまな要因が考えられますが、全体の労働者の平均年収が453万円、男性が511万円、女性が324万円ですが、それに対しまして、施設で働いている介護員の方は、男性でも315万円、女性だと281万円というのが平均年収になっています。ホームヘルパーになりますと、女性しか掲げておりませんが、262万円が平均の年収となっております。介護支援専門員は一応専門職でありますので、ほかより若干高くて平均では373万円というふうになっておりますけれども、それでも上の方にあります全労働者と比べますと低い状況になっている。そういう状況になっております。
 こういったことが現状ですが、これらの処遇を改善するために一体何が必要かということで、先般、社会福祉事業従事者確保のための基本的な指針というものがありまして、それを見直ししました。その基本方針の中身を受けまして、基本的に介護の方々の報酬は国家公務員に福祉職の俸給表というのがありますけれども、その給料表にのっとるぐらいと同じぐらいの給料、これを参考にして賃金を決定すべきだというふうに方針でうたっております。これは厚生労働省告示であります。また、事業者に対しましては、事業収入というものを介護労働者に対して適切に配分しようと、そういったことも一応そこでうたわれている、そういう状況になっています。
 あとは、そういったことを目指すために介護をやっているという話がざっと書いてありまして、時間があれば戻りますけれども、ちょっとはしょらせていただきまして、21ぺージにまいりたいと思います。21ぺージは高齢者の所得保障ということで、男女共同参画基本計画の6-(3)という大項目になります。これも、この中に入る前に別冊資料4というのがついておりまして、平成16年の年金制度の改正のポイントという冊子です。こちらに基本的なデータがすべて載っているといいますか、年金というのはある意味、機械的な制度でありますので、制度のあらましといいますか、仕組みについて御説明したいと思っております。
 まず、2ぺージから御覧いただきまして、年金の役割というところです。年金は高齢期の生活の基盤の下の方にあります1,から(6)の中身、そこが今の我が国の高齢者にとっての年金の意義といいますか、役割というのを端的に示しているという状況であります。年金は基本的に高齢者世帯の収入の7割になっていまして、所得の7割を補てんするといったものになっております。2,にありますように、6割の高齢者世帯は、所得は年金だけで生活しているという状況になっています。3,にありますように、年金を頼りにしている高齢者の方は約7割いるといった状況になっております。このように年金制度は皆年金が達成されてから二十数年たちますけれども、だんだん制度として成熟してきたといった状況になっております。今申した細かいデータは次の3ぺージにありますので、後ほど御覧いただきたいと思います。
 そして、4ぺージですけれども、年金制度の体制というよく見慣れたものがあると思います。ここで申したいのは、一番下の年金の加入者数ですけれども、全体で7,046万人。一番左、3号が1,124万人で、1号が2,237万で、一番右の2号が3,685万人とありますが、これを男女別に言いますと、女性は大体1対1対1であります。約1,100万人が1号、約1,200万人が2号のサラリーマン、そして約1,100万人が3号になります。男性は3号がかなり少なくて、10万人程度しかおりませんで、1号が1,100万人、2号が2,500万人、合わせて3,600万人ぐらいになっております。そういうわけで、制度の全体としては男女ほぼ1対1ですけれども、1号、2号、3号の内訳を見ますと、女性は3号が極めて多いといった構造になっています。
 次、6ぺージに飛びますけれども、6ぺージは一番左下の表ですけれども、年金の受給期間はどの程度かという四角があると思います。これからの年金の仕組みは、65歳からの支給というふうになっておりますけれども、65歳から何年もらうことになるのかということを考えますと、1975年の方でも男は13.7年、女は16.6年ありますけれども、今後どんどん平均余命が延びていきまして、2050年段階では男性で19.7年、女性で26.2年。65歳になってから男性で20年、女性で26年、年金を受給し続ける。それが平均的な姿となっております。平均余命で言うとピンとこないところもありますけれども、平均余命が80歳とかといいますと、まさに2人に1人は80歳まで生きるということでして、かなりの数の方が高齢者、さらに後期の高齢者になっていく、そういった状況になっています。
 そして、次は9ぺージの方に飛びまして、今回の男女共同参画のヒアリングの主眼であります生き方や働き方の多様化に対応した年金制度にする、そういった話が平成16年度に行われています。言葉だけ申しますと、四角の1つ目ですが、高齢者や女性など、さまざまな方々の多様な生き方や働き方に対応できる制度となるように、高齢者の就業と年金の仕組み、女性と年金の仕組み、そういったものについて所要の措置を講じた。そういったものが平成16年の改正になります。改正は平成16年で昔の話のような感じがしますけれども、後ほど申しますように、施行といいますか、効力を持ち始めたのはつい最近、もしくは来年から、そういったものが結構あります。
 次が、一気に飛びまして19ぺージです。ここが先ほど申した生き方と働き方の多様化への対応というところの具体的な中身が書いてありますけれども、まず女性と年金をめぐる課題というところで、離婚時の厚生年金の分割というのがあります。これは新聞でよく取り上げられました平成19年の3月ごろに離婚が減ったとかという話がありましたし、平成19年の5、6月には離婚が増えたといった話がありましたけれども、それは平成16年に改正されて、まさに今年度から実施されているものであります。中身につきましては、そこに書いてあるとおりでして、離婚した場合には、当事者の合意か裁判所の決定によって、婚姻期間中の厚生年金分割というのはすることができるというふうになっています。
 そして、その次が婚姻中の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割、これは来年度からの実施ですけれども、これは専ら女性の年金が増えるという仕組みですけれども、第3号の被保険者は大多数が女性ですが、その方々と婚姻している第2号の被保険者、この方々が離婚した場合は、自動的に婚姻期間中の被用者年金の記録が2分の1になるということになっております。
 20ぺージにいきますけれども、遺族年金の見直しということで、今までは、変な話ですが、夫婦の年齢差は大体6歳ぐらいあるのが平均でして、そういう中で女性が65歳のときは男性が71歳。平均余命の関係からいきますと、夫の方が先立つ場合が圧倒的に多いというのがあります。そのときに、女性が今まで自分の厚生年金を掛けていましても、夫の死亡による遺族年金が受給できるようになりますと、実はそちらの方が金額が多いということで、自分の厚生年金は掛け捨てになっていたといった問題がありました。そういう問題を解消するために、見直しのイメージ図の中の2,にありますけれども、基本的に妻自身の老齢厚生年金、自分が掛けていた保険料に対する年金額、これは全額出るということになりまして、ただ、夫の遺族年金の方が額が多かったという場合は、その差額を遺族厚生年金として支給することで合計額は同じというふうにするという制度改正をいたしました。また、ついでに、子どものいない30歳未満の妻に対しましては5年間の給付としまして、ずっともらえる状況という制度からは改めたというふうになっております。
 そして、最後、20ぺージの下の方、これは主に現役の女性に関して意味のある話ですけれども、育児休業していますと、基本的に保険料が免除されるという仕組みに今なっていますけれども、育児休業法が前は1年までだったので厚生年金の方も免除が1年だったのですが、これを厚生年金の方は3歳未満まで、育児休業を取るのであれば最長3年弱は保険料を免除するというふうになっております。また、育児休業はしないまでも、短時間勤務をするという女性の方は、保育園の送り迎えなどがあるので、そういうことを選ぶ方がいらっしゃいますけれども、その場合に、もちろん普通、時間が短くなれば給料の額も下がりますけれども、その場合であっても、基本的に年金額の反映のときは、短時間勤務をする前といいますか、産休に入る前の給料の額で計算した年金額を払うように改めたということで、女性が育児休業することによって賃金が減って、それによって年金の額も減る、そういった連鎖というのが制度上ないという状況にしたというものであります。
 21ぺージの方が専ら高齢者の話ですけれども、今までは高齢者は働きますと一律に2割カットとかになりまして、働くと年金がもらえなくなるから損ということで、就労意欲を阻害していたというのがありました。そういうことがないように仕組みを改めたというものであります。基本的には、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、下の方の表は、70歳以上はこういうふうになりますよという表がありますけれども、これと似たような感じで、60歳代前半でも基本的に働けば働くほど、年金の額は仮に減ったとしても、年金と就労の収入と合わせた合計額の所得は増える、そういった仕組みをつくったということになっております。
 次の大きな括弧の中の65歳以降の老齢厚生年金繰下制度の導入、これは平成19年4月実施とありますけれども、これは基本的には、国民年金にもあります、もらうのを遅くすれば月額が増える、それを厚生年金でも導入したというものであります。そういったことで、年金によって高齢者の働く意欲を失わせるといったことがないようにしましたと同時に、所得保障の観点からも就労に合わせた合計所得か増えるように合理的な仕組みに改めたというふうになっております。
 ぺージをまたかなり飛びまして、23ぺージですけれども。
鹿嶋会長
なるべく要領よくやってもらえますか。
山田課長補佐
下の方に短時間労働者の厚生年金適用というのがあります。この資料ができたときは、まだ検討事項でしたけれども、先般、先の通常国会に法案が出されまして、基本的にはパートの労働者、高齢者の体力の問題とか、いろいろあって、短時間勤務を希望する方が多いのですけれども、短時間であっても週20時間以上働く、1年以上の雇用の継続の見込がある。そして月給といいますか、月額9万8,000円以上、そういった要件を満たしていれば厚生年金の被保険者になるということで、厚生年金の分の年金額が増えるということになっております。これは、いわゆる普通の高齢者じゃない女性のパートももちろんそういうことになりますので、今後の女性の年金額が増える、そういうことに資するという仕組みでもあります。
 以上でこの資料は終わりにしまして、メインの資料に戻りますが、メインの資料につきましては、21ぺージは実はほとんど今の資料の中でしゃべった中身がずっと書いてあるという状況になっています。
 22ぺージでいきなり(2)にいきますが、男女別ニーズの把握・施策への反映というところですが、ここは事実上、育児・介護休業は現状として女性の方が多いということもありまして、先ほど申した厚生年金の育児休業期間中に額が下がらないようにするという配慮措置は、基本的に女性の方が圧倒的に利用者が多くありまして、平成17年の段階では約9万3,000人の方がこの特例といいますか、この措置の対象となっております。男性は254人とまだ少ない状況になっております。そういったこともございます。
 そして、次のぺージにまいりまして、(4)は飛ばします。
 (5)が個別のヒアリング項目でありましたのであえて申しますと、モデルケースで年金の給付水準を述べよということですけれども、この場合は家族形態とか就業形態別の標準的なモデル水準というのは余り出していないのですけれども、男女別のものは、そこにありますとおり、厚生年金であれば、男性は約19万1,000円、女性は約11万円、大ざっぱに言いますと大体6割ですが、これは現役時代の賃金額の差が今の段階で男性の3分の2の金額というのが女性の平均の賃金ですので、大体それを反映している形かなというふうに思われます。国民年金の方は余り差がありませんで、男性が5万8,000円、女性が4万9,000円弱となっております。
 最後は、25ぺージからが高齢期等における健康づくり支援ということでありますけれども、これも駆け足で話しますと、成人期や高齢期における女性の健康づくりとしまして、まず国としましては、1,国立長寿医療センターとありますが、国立病院というのは基本的に独立行政法人化しましたけれども、ナショナルセンターとして子どもへの成育医療とか、癌とか、そういった重点的に医療の仕組みが必要だというところはナショナルセンターとして国のままに残してあります。その1つが国立長寿医療センターでして、愛知県の大府市にあります。やっていることは基本的には長寿社会に向けた戦略ということで、医療の観点からの研究とか臨床とか、そういったことをやっております。平成16年3月に設置されまして、病床数は402床。医師が62名おりまして、その他の職員を合わせまして、計433名がそこに配置されているという状況になっております。
 そのほかは、メタボリックシンドローム予防戦略事業というのが2,に挙げておりますけれども、これは基本的には高齢者がメタボリックの状況になっているのが意外と高くて、大体男性だと5割以上、女性でも25%、4人に1人はメタボリックの疑いが少しはある、もしくは強く疑われるという状況になっております。そういう方々ももちろん対象なのですけれども、若年期からそういったことには成人病対策に気をつけなければいけません。高齢者になってからでは遅いというのもありますので、メタボリック対策というのをやっているというものであります。「メタボリック」という言葉が26ぺージ、27ぺージにずっと続きますが、基本的には、高齢者のための健康づくり、高齢者本人もそうですけれども、誰しも高齢者になるということを考えますと、生活習慣病対策として重点的に進めているというものであります。
 3に骨粗しょう症の予防というのがありますが、これは医学的に骨粗しょう症、骨の密度が薄くなってもろくなって、転倒するとすぐ骨折しやすくなるというものですけれども、医学的には、これは女性がやはり、特に閉経後の女性がなりやすい病気というのがありまして、男性よりも明らかになりやすいというのがありますので、40歳以上の女性を対象に重点的に骨粗しょう症検診を実施する、そういった事業をやったりしております。健康づくりは、基本的には高齢者だけといいますよりは、40代とか、青年期、壮年期、そのあたりまで含めて、厚生労働省ではいろいろとやっているといったことが後に書いてあります。
 以上であります。
鹿嶋会長
ありがとうございました。大変広範囲に話をしていただきましたので、皆さんの方から質問があれば伺いたいと思っていますが、どうでしょうか。
勝又委員
資料の4ぺージ施策の評価・見直しについてですが、例えば介護保険とか、そういうものについて、すべて市町村がやっているということで、ある意味で市町村のところでないと施策の評価とか、そういうものは難しい分野がたくさんあると思うのですが、ここで施策の評価を行っているというふうに書かれているということは、つまり厚生労働省としての評価なのか。それとも、末端で実際にやっているところは市町村ということですけれども、どういうふうに評価というのを区分けしているのでしょうか。
山田課長補佐
基本的には、厚生労働省の政策評価としてやっておりまして、そういうわけで、各市において評価したものが国にもヒアリングなどで聞こえてきますので、各市において余りうまくいかなかったというのが全部上がってくれば、厚生労働省でもよろしくなかったということですけれども、ある程度市においてうまくいったとか、そういった話がいろいろありましたので、制度の設計としてよかったのではないかと。そういった意味では、厚生労働省の評価になっております。
勝又委員
各市の評価というのは、厚生労働省が評価をするようにという形で例えば基準を決めたりして評価をしたものを集めて評価をしているのか。それとも、各市がそれぞれやったものを集めているのか。どういう形で各市のやったものを評価する基礎にしているのでしょうか。
山田課長補佐
済みません、そこまでは、後ほど調べて回答したいと思います。
鹿嶋会長
では、それは後で結構ですので、ぜひまた回答をください。ペーパーで結構ですから。
 ほかにありますか。
袖井委員
資料の2ぺージで老人クラブ連合会のことをちょっとお聞きしたいのですが、どのぐらい予算がいっているのか。高齢者対象の事業には、いろいろなものがあります。地域支援事業もありますし、生涯学習もあるし、なぜ老人クラブに国がずっと援助し続けているのか全くよくわからないです。先ほどリーダーの数字がわからないようなことをおっしゃっていましたけれども、これはたしか全社協あたりで把握していると思うんです。私も、ときどき各地の老人クラブ連合会などにお話に行くのですけれども、代表はほとんど男ですね。女の人というのは、会長にはほとんどいないですね。市町村ではちょっと女の人がいるのですけれども、上へいくとほとんど男なんですよね。老人クラブへの予算のことを教えていただきたい。
山田課長補佐
手元にある平成18年の政策評価書に書かれているものですと、介護サービス適正実施指導事業費というものがありまして、それが37億8,600万円ですが、その中の内数になっています。老人クラブ事業は、確かに国が3分の1負担、あと県と市が3分の1ずつとか、そういった負担になっております。全部では37億円というふうになっておりまして、その内数であります。
袖井委員
その一部ですね。
山田課長補佐
はい。
板東局長
4ぺージの真ん中の部分、シルバー人材センター事業の推進のところにも書いてあるのですが、高齢者対策と、他の政策例えば少子化対策というのが別々になっている部分というのが非常に大きいのかなと思うのですが、ここにもちょっと書かれておりますように、例えば子育て支援事業などに女性などが活躍される余地が大きいと思うのです。働き方の改革とか、いろいろな生きがいづくりとか、そういった面などでもその2つをリンクさせていくというのは多分有効な部分があると思い。このあたりは、具体的に地域でいろいろリンクされていることがあると思うのですけれども、例えば厚生労働省の考えとして、なるべくそういった施策間のリンクを図っていくというような方向性というのはいかがでございましょうか。
山田課長補佐
ちょっと失念していまして済みません。まさに局長がおっしゃっていただいたように、ファミリーサポートセンターというのが都市部でも普及していることは普及しているのですが、普及していないところはしていないところがあります。一方で、高齢者のシルバー人材センターは地域どこにでもありますので、そこの人材といいますか、資源といいますか、その能力を活用して、子どもの送り迎えとか、そういったことをできたらとは思っております。それでやっているというところがあるので、このようにファミリーサポートセンターなどと連携というふうに一言書かせていただいたのですが、これだけのファミリーサポートセンターが人材センターとやっているかとか、逆にシルバー人材センターの方からの統計とか、そういったものは今持ち合わせていません。申しわけありません。
鹿嶋会長
全体に感じたのは、特に高齢社会になっても新たな役割分担というのを引きずっているなと。例えば介護労働はほとんど女性が担っているわけですね。シルバー人材センターになってきますと、やはり男性が現役時代に培ったパソコン能力とか税務能力をやると。それから、介護労働者の賃金自体も男女間の格差が未だにやたら多いわけですよね。そうなってくると、いわゆる現役時代と高齢社会、リタイア後もかなり相関図があって、同じような関係を引きずっているようなことがある。そこの原因みたいなものをきちんとする必要があるし、例えばもう少し男女別の把握の仕方を厚生労働省自体もきめ細かくやって、シルバー人材センターのものとか、ほかのそういうものについても、多分、介護労働者の賃金とか何かだけじゃなくて、そういう問題も含めて今後やっていく必要があるんじゃないですか。そういう関係の原因究明とか、今後のそれに伴う新たな施策の展開とかということを含めればね。
山田課長補佐
そこは、引き続きやっているという感じですけれども、今年施行されました男女雇用機会均等法におきましては、変な話ですけれども、女性は妊娠したら退職勧奨があるとか、出産したときに退職勧奨がきついとか、そういったことがありますけれども、それらも含めて、不利益な取り扱いはすべて禁止するというふうに法律上禁止したというのはありますので、それがうまく運用されていけば、基本的に女性の勤続年数も延びていく。あと、もともと労働基準法の方で、女性という理由で賃金について差別してはならないというふうな規定がありまして、これの運用を労働基準監督署でしっかりやっているはずでして、2つ合わせまして、我が国は女性の能力とか男性の能力という観点よりは、基本的にまだまだ勤続年数とか、企業の中での能力形成とか、そういったことで賃金が決まるところがあって、そちらの方が女性が長く働き続ければ男性と賃金決定について差異がなくなってくるはずですので、そちらの方で少しずつ男女の賃金格差は縮まっていくのではなかろうかというふうに考えています。その部分での年金の金額が増えていけばというふうには思っています。
鹿嶋会長
介護労働者の年収の男女間格差というのはなぜあんなに出るのですか。
山田課長補佐
済みません、これは詳細には把握しておりません。
鹿嶋会長
それから、今、定年を迎える女性というのは実数はないんでしょうけれども、推計でどのぐらいいるのですか。幾つか会社を変わったとしても。例えば60歳でリタイアしたなんていう女性はどのぐらいいるんですか。かなり増えてきているんですか。推察では、公務員も含めれば増えてきそうな感じがするのですけれども。
山田課長補佐
データを今持ち合わせていなくて申しわけありません。男女雇用機会均等法世代ということでよく新聞に取り上げられますけれども、まだ22年ですから、大卒が23歳だとすれば、今45歳で、先駆的な企業であれば50歳ぐらいに到達したかなというところですけれども、まだ60歳ではないということがあります。
鹿嶋会長
均等法でいうとね。
山田課長補佐
はい。
鹿嶋会長
ほかに御意見どうぞ。
横田委員
高齢者の就労のところですが、シルバー人材センター、これは大変力を入れてやっておられて、実際に大きく活用されているというところです。私がお伺いしたいのは、厚生労働省の管轄下で行われている公共職業安定所、ハローワークですが、こことシルバー人材センターの明確な法律上の区分けというのがあるのでしょうか。年齢で切るとか。ちょっと私がはっきりしないのは、当然ですけれども、職を求めている人はハローワークへ行くという形になるわけですね。ここの中に書いてあるところですと、ハローワークへ行くと、シルバー人材センターへの案内のパンフレットとか、そういうのが用意されているように書いてあるのですが、実際の職業紹介というのはハローワークではやらないのでしょうか。それとも、それは重なってやっているのでしょうか。その辺をちょっと伺いたいと思います。
山田課長補佐
基本的には、シルバー人材センターは法律上、無料の職業紹介ができるとなっていますので、そういう意味では職安と同じ機能を持っていますが、ただ、職安は、シルバー人材センターの臨時的かつ短期的または軽易な就業ということで、職安にいらっしゃる中高齢者の方は引き続き半年でも1年でも長く働きたいので仕事を探しに来るという方がありますから、その辺でちょっと職種が違うといいますか、それがあるというふうに思います。
鹿嶋会長
「シルバー」という名前は変えないんですか。さっき「OB」を「新現役」とするということになっていますか、「シルバー人材センター」というのは。
山田課長補佐
これは、言葉が確かに、変な話ですけれども、昔の学生列車は金の卵で、今は銀の卵だというのがたしか10年前かそれぐらいでしたので、もう古い言葉だと言われればそうかもしれません。法律上書いてある言葉でして。
鹿嶋会長
御意見ありますか。
栗田調査官
介護制度の関係で1つだけですけれども、制度改正が行われたということで、法重視型システムの確立が主な改正点だという御説明をいただいたのですが、併せて介護制度につきまして、特段、男女別のデータの把握ですとか、そういったことはなかなかやっていないというような御紹介があったところですけれども、特に今般、改正の中に入っておりました予防重視のところの新予防給付ですとか、地域支援事業といったところですと、男女の健康の状態ですとか、あとは男女別のニーズといったようなところも把握をしていただいて、政策の展開を今後図っていただくと、より効果的な事業の実施につながるのかなというふうに思いまして、現段階ではまだ事業が立ち上がったばかりなのでこれからということかと思うのですが、そこのところを特に強くお願いしたいなというふうに思った次第です。
山田課長補佐
担当局に伝えたいと思います。
鹿嶋会長
よろしいですか。山田さん、どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆さんは、これから、今、関係府省のヒアリングが終わりましたので、全体の意見の交換を行いたいと思います。机の上に参考資料として前回のヒアリングの際の意見をまとめたものですね。
山岡分析官
前回の意見をまとめたものは参考資料2でございます。
鹿嶋会長
それを適宜参照していただきながら議論をしたいと思います。
 まず、意見交換の際の参考として、内閣府の政策統括官(共生社会政策担当)の方で検討が進められております「今後の高齢社会対策の在り方に関する検討会」の報告書の骨子案も参考資料4としてありますので、まずその説明を事務局から簡単に説明していただいて、その後議論に入りたいと思います。
山岡分析官
参考資料一式の最後に参考資料4とございますので、そちらを御覧いただければと思います。
 こちらは、前回、内閣府の共生社会政策担当の方から高齢社会白書等について御説明申し上げましたが、そちらの担当部局が事務局として現在年内を取りまとめを目途に「今後の高齢社会対策の在り方等に関する検討会」を開催しております。先週、10月5日、金曜日にこの検討会が開かれまして、報告書の骨子の案が出ておりましたので、こちらの専門調査会として御検討いただくに当たり、こちらの状況も踏まえていただきたいということで参考資料として整理させていただいております。
 詳細はお持ち帰りいただければと思いますが、ポイントだけご説明致します。8ぺージをお開きいただきまして、こちらで今後の高齢社会施策の方向性ということで、大きな取り組むべき方向性が示されております。これらが今後の高齢社会対策大綱の見直しに反映されるものと考えられます。
 方向性といたしましては、1点目といたしまして、高齢者に対する国民の意識の変革。高齢者は、高齢社会を支える貴重なマンパワーとして意識変革を図ろうということ。それから2点目といたしまして、高齢者の就労の促進。高齢期においても、活力を十分に活用できる、年齢に関係なく働ける社会を目指すということでございます。9ぺージにまいりまして、3点目、地域で高齢者を支える取組の支援ということで、高齢者が高齢者を支え、高齢者が子育て世代などの若い世代を支えるという助け合いの連帯、そういう中で高齢者が地域活動に参加しやすい環境を整備していく。4点目、健康で自立した高齢期への準備。若いころからの高齢期に向けた健康管理が重要であるということで、啓発、情報提供、それから高齢期になっても積極的に介護予防に取り組んでいくといったようなことが書かれております。最後、10ぺージにまいりまして、高齢者が安全・安心に暮せる生活環境づくりということで、バリアフリーのまちづくりといったようなハード面の取組の必要性、並びに犯罪消費者トラブルの被害の防止という意味で、地域で孤立させないためのコミュニケーション等。それから、下から3点目のポツで書かれておりますが、とりわけ独居の男性高齢者の地域での孤立を防ぐためのコミュニケーションづくりなども重要であるということで整理されておりますので、御参考にしていただければと思います。
 併せて、本日お配りしております参考資料3でございますが、こちらは文部科学省を前回ヒアリングさせていただきましたが、学級・講座の受講状況についてのデータを追加で出していただいておりますので、御参考にしていただければと思います。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。前回、今回と相当駆け足で各府省のヒアリングをしてきましたが、この監視・影響調査専門調査会としてどういうものを盛り込めばいいかという皆さんの忌憚のない御意見をいただきたいと思います。その時間を今から少し取りましたので、率直な御意見をお聞かせいただければと思うのですが。
神野委員
ちょっととんちんかんになるかもしれませんが、今日のヒアリングを聞いていても、基本的に高齢者の自立とか、高齢者の社会への参加という場合には、主として考えているのは労働市場への参加であり、労働市場で所得を得ることが自立だというように、非常にアバウトに言ってしまうと聞こえるんです。資料5は私は適切だと思いますけれども、これは自立というようなことを考える場合に、経済不安と生活自立、つまり日常生活における自立と2つに分けているわけですよね。今日の問題意識というのは、むしろ主として経済不安の方に関わっている意味で自立というふうにおっしゃっているところがあって、それと生活の自立というのはやはり分けて考えなければならないだろう。これは、私はどうせ少数意見ですから無視していただいてもいいのですけれども、そもそもヨーロッパで年金というのは、労働市場から出て行ってくださいというお金ですよね。つまり、ヨーロッパの場合には、どうしても労働組合が強いので、不況になると勤続年限の短い人々からクビになっていってしまう。したがって、失業はみんな若い人に滞留しますから、私たちに労働市場を開放してくれるために、お年寄りは労働市場から出て行ってくださいと。そのかわり私たちが一生懸命働いて、あなたの分まで生活の面倒みますからというお金なので、スウェーデンなどは、退職してしまうと絶対に労働市場にむしろ参加できないわけです。そこで何をするかといえば、友情支援サービスとか、家族支援サービスとか、それまで蓄積されていた能力を使ってボランティア活動をやるわけですね。ボランティア活動というのは、スウェーデンなどに行って日本はボランティア活動でNPOなんて言うと、NPOというのは若い人ができるわけはないでしょうと。昼間は一生懸命働いて、夜は家族と生活して、いつボランティアをやるんですかと。ボランティアというのは、リタイアした人が、それまで培ってきた能力などが労働市場に参加できないで余っているから、それを生かしたり、あるいは新たに身につけて、それを社会のための還元することなんですよと。実は、そういう社会のさまざまな事業に自ら参加することによって、自分が必要だと思われる、実感できる、それこそが生きがいということなのであって、労働市場に参加することではないということで、むしろ生活の自立とボランティア活動、つまり非市場的な活動へのサポートが非常に強いわけです。政府がやっているものについて言えば、生活自立の方の活動から言えば、そのうちのスウェーデンでは日本でいう消費税が25%で、日本は5%じゃないですか。まだまだ上げられますよねといったときの恐怖が日本人に伝わっていないと思うのですが、スウェーデンの人は25%で買っていないですよ。つまり、極端に言えば、自分で家もつくってしまうんです。御案内のとおり、IKEAの家具というのは、スウェーデンではパーツでしか売っていませんから、完成品を市場で買うということはないんです。ワークとライフのバランスがとれていて自由時間が多くて、小さいうちからさまざまなものをつくる訓練ができていますから、家に帰ったら自分たちで趣味の編み物をしたり、つまりほとんど市場で買っていないんです。
 日本人は、むしろ本来家庭でつくっていいようなものも市場で買いまくるわけですよね。これで25%いったら、私はものすごいことになるんじゃないかと思うのですが、それに恐れもなく突き進もうということをしていきますよね。だけど、今、私たちが老いて仕事をやったとき、そういうことをするのがむしろ楽しみになって、そこをサポートするということと両立して考えないと無理じゃないか。実際、私などの同期はもうそろそろみんな退職し始めるのですが、まずやることというのはお料理学校に行くことですよね。それから、みんなボランティアで、あるいは田舎に引っ込んだりするようなことをやっているので、日本人は市場がスタンプを押さないと有用な労働だと思わないという習慣がありますが、そんなことはないですよ。私たちの社会に必要なものは、市場がスタンプを押してくれない労働でも、人々は支え合うし、分かち合うということは十分できるので、介護とか何とかでもお互いに支え合うということができるはずですから、そちらのサポートを含めて、つまり社会参加というのを狭く労働市場への参加ということではない面で広く政策が打たれる。そうしないと、思わぬところに、会長がいみじくも指摘されていましたけれども、既存の労働市場にジェンダーバイアスがあると、それをそのまま高齢者に持っていかれちゃうと、そのジェンダーバイアスがそのまま再生産されるということになりかねないのでないかということを危惧してちょっと申し上げたのですが。
鹿嶋会長
今日のヒアリングは経済産業省と厚生労働省に対して行いましたので、ちょっと経済面という印象が強く聞こえたのかもしれませんが、我々の議論の過程では、今、先生がおっしゃったような過程で、生活者の自立の問題と老後の経済問題と2つちゃんと考えていますので、その辺はバランスがとれているというふうに思っています。むしろ今おっしゃっていただいたように、現役時代のバイアスをやはり高齢者になっても引きずっているんだなという印象を今日もかなり強くしましたので、そのあたりをどういうふうに考えていくかということだと思うんです。
 そういう意味では、何度も繰り返したのですが、きちんと男女別でとって、そこにどういう問題があるのかというのをちゃんと把握してほしいということを強調したいというふうに思っているのですけれども。
 ほかに。どういう御意見でも結構ですが、どうですか。
神田委員
この検討会の報告書、骨子でございますが、詳しくは見ていないんですけれども、印象としては、今の社会のそのままの延長で、これからの来るべき高齢社会全然見えないんです。確かに問題は問題として出すにしても、今までの社会とまた違う何かが出てこなければならないんじゃないか。そして、その出てくるものの視点として重要なのが男女共同参画社会ではないでしょうか。この視点をきっちりと具体的に明らかにして、こういう報告書の中に反映させていかないと、このままの延長になってしまうと思うんです。だから、何となく高齢者はお荷物という感じですね。そこを私どもとしてどういうふうに入れていくかということで、かなり重い課題ですね。
鹿嶋会長
対策大綱につきましては、もう報告書骨子が出ている段階なので、我々として、今回これについて意見を言っても、なかなか反映が難しそうなんですが、ただ、今後のこともありますので、我々の発言の記録には、今、先生がおっしゃったようなことをきちんと留めておきたいと思っています。おっしゃるとおり、全体をざっとながめた限りでは、男女共同参画といったような視点が希薄なことは確かですよね、この骨子を見る限りは。
神田委員
4ぺージのところに、2の講じられた施策として、(4)男女共同参画の視点というのが出てくることは出てくるのですけれども。
鹿嶋会長
お義理程度に「視点」と書かれたてもしようがないようなこともありますので、きちんと消化してもらわないと。それも感じたんです。前回と今回のもので、男女別にとればいいかというと、そうでもないんですよね。とっても、必ずしもとっているだけというだけで、十分に消化し切れていない。だから、前例のない高齢社会というのを前回報告があったのですけれども、そういう中で新しい視点は何が必要かといえば、我々が議論している視点というのは今まで欠けてきたわけですから、それは当然必要だろうというふうに思っています。
 あと、今日の話を聞いていて、この間、仕事と生活の調和に関する専門調査会の方でもワーク・ライフ・バランスの報告書を出したのですけれども、あれは老若男女というふうに定義していますのでそのとおりですけれども、やはり高齢者にとってのワーク・ライフ・バランスというのもきちんと考えていく必要があるのかという感じで聞いていました。特に神野委員からも出たように、生活者の自立という問題とワークという問題の関連性というのは、高齢者ならではの新たな問題が出るわけですから、そこについても何らかの新視点があっていいのかなという感じがします。そういう印象で今日の議論を聞いていたのですけれども。
山口委員
神野先生がおっしゃったことは本当に身に沁みます。といいますのは、経済に始まって経済に終わるような一生でありまして、定年を早く得て、自分で今まで経済以外のことをしたかった、ゆとりが持ちたいというふうに思うのです。ただ、現実的に言えば、男性の自立の場合には経済はオーケーだと。しかしながら、生活はだめ。女の場合には経済はだめで、生活の方はオーケーだと。結局、ボランティアというものに関しましてはあいまいになってしまう。私は、やはり男女共同参画社会と高齢者の自立といった場合には、この日本が本当に豊かに、最後に人間らしく生きるというか、その部分はしっかりと書きとめておかなければならないというふうに思います。全く消費経済で突き進んできましたから、物を買うことだけ豊かさを感じないけれども、そうじゃない現象があるわけですから、その辺は、ここの調査会としては、神野先生的思考を大いに入れる必要があるなというふうに思います。
鹿嶋会長
そのとおりですね。ほかに御意見は。
袖井委員
私も神田先生とか神野先生の御意見に賛成なのですけれども、何となく後期高齢層の女性が多いとか、100歳以上老人の80何%は女性とか言われると、私自身もだんだん肩身が狭くなってしまうのですけれども、やはり高齢女性の能力を活用するとか、そういう道が考えられないかと思います。何かお荷物というイメージなんですよね。要介護の人が増えて、そして社会保障費が大変になって若者に負担がいく。だから、その辺のところで、高齢者は高齢者を支えるという抽象的なものだけじゃなくて、やはり高齢女性、あるいは中高年女性の能力活用ということで、今度の第2次基本計画にも、地域とか、まちおこしにおける女性の役割ということが書いてありまして、現実にかなり高齢女性が活躍しているわけですよね。だから、やはりそのあたりをもっと強調したらいいんじゃないか。例えば農村などに行きますと、農村レストランとか、おばあちゃんの料理の伝承とか、結構活躍しているので、高齢女性がお荷物だというイメージは払拭していただきたいというふうに思っております。
鹿嶋会長
私もそのとおりだと思うのですけれども、ただ、活躍の場を見ると、やはり現役時代の延長で、介護の7割が女性でしょう。それから、シルバー人材センターでも何をしているかというと、さっきの説明だと清掃が多いというんですよね。そうすると、やはり女性が担ってきた家事、介護、育児などの延長を高齢になってからもやっているので、高齢社会に女性の活躍は結構なんですけれども、そのあたりは現役時代も含めて何らかの形でコメントしておかないと、活躍の仕方を見ると、やはり高齢社会になっても現役とそんなに大差ないというふうな現状があるのかもしれませんね。
横田委員
今、皆さんがおっしゃられたことは私もそう感じるのですが、それを含めて、高齢化社会に入りつつあって、むしろもう入っているのかもしれませんが、その中での女性の位置づけ、男性の位置づけの実態をもうちょっとわかるように捉えて分析するという視点がないような気がするのです。その意味は例えばどういうことかといいますと、高齢者介護の問題が高齢化社会で出てくると、まず、高齢者の介護というと、家庭の中で女性がやるという仕組みになるわけですね。その場合には、若い女性もなり得るわけですね。結婚して義父・義母の世話をする女性とか、そういうのもありますし、それから、先ほど何度も出ていますように、男性と女性の年齢差が大体5歳あって、女性の方が長生きであるということは、大概、男性の高齢者の介護は女性がして、その後、女性が残って、この女性たちの介護はいずれどうなるのだろうという視点というのが余りきちんと捉えられていない。この実態を数字的にもきちんと捉えて、それをどうするかということをやらないと、先ほど神野先生もおっしゃられたことですが、ただ単に経済メカニズムの中で企業がどうするという話ではなくて、家庭の中で起こっている実態、これは収入とかそういうことには全然関係ないことですが、実際はそういうところで介護の問題も起こっているし、高齢化社会の問題も起こっていると思います。
 それから、今実際に起こってきていることは、90歳以上の人口が非常に増えているということは、介護をしている子どもの世代がもう既に高齢者なのです。だから、高齢者による高齢者介護という時代にもう入っていると思うのです。こういう実態に対して、きちんと事実を把握して分析して、そして、どう対応するかということをやっておかないといけないと思います。これはいずれこの状況はどんどん増えていきますが、今のところ、伺っていると、そういう問題をどこかできちんとやるという仕組みがないために対応が遅れているように思います。それぞれこれまで存在した問題を前提にして官庁がつくられ、各局・部課ができてきたわけですが、このような新しい問題がちょっと取り残されているという感じがするものですから、やはりこういう審議会の中で、評価委員会のようなところでそういう問題を国全体に出して対応することを考えてほしいというような問題提起をしてもいいのではないかというのが私の意見で、恐らく皆さんもそういうお考えだったと思います。
山口委員
私、この前、ボランティアのことをちょっと申し上げたことがありますが、やはりボランティアのしっかりした考え方がはっきり出てこないと、特に定年後の社会というのは本当に自律的なボランティア活動をするということが社会をよくすることだと思います。しかしながら、経済のように、幾ら金儲けして、幾ら損失したかというような話じゃない。本当にボランティア活動というのは、特に私、女性団体活動をやっているからわかるのですが、やってやっても終わりがないんですよ。やればやるほど時間とお金と労力を使う。けれども、そういうことがなければ男女共同参画社会を後押しする、そういう社会の風潮もできない。ですから、私は高齢社会の問題をやるときには、やはりボランティアのことも、経済的自立と同時に書き込んでいかなければならないというふうに私は思います。もっとそういうことに価値を見出すというか、そういうふうに私もこれから何かちょっとメモを出したいと思います。
鹿嶋会長
今日の問題については、後でペーパーでもちろん引き受けますので出してください。さっき横田先生がおっしゃっていたようなことは、私ももう60歳過ぎましたが、特に私の年代の男性も結構恐怖感を持っていまして、妻が私よりも先に逝ったらとか、あるいは妻に離婚されたらという不安がずいぶんあって、私の古巣の論説委員の中にA君というのがいるのですが、奥さんの名前がジュン子さんというのですけれども、最近はいつもジュン子さん、ジュン子さんと言って金魚のフンみたいにくっついて歩いているそうです。とにかく離婚されたら俺は生活できないと。確かに年齢差でいくと、男が看取られるケースが多いのですけれども、では看取った女性はどうなるかという視点は確かに希薄だったかもしれませんね。それで、長生きすることが何となく悪いようなイメージというのがどこかであるでしょう。
山口委員
それは間違っていますね。
鹿嶋会長
ええ。
横田委員
それと、もう1つよろしいですか。今おっしゃられたことで、この前、スウェーデンの、スウェーデンがすべていいとは私は思いませんけれども、ただ、スウェーデンのものの考え方で1つ高齢化社会で非常に大事だなと思ったのは、知的障害者も含めて、できるだけ自立する、できるだけ自分で生きられるための工夫をいろいろ考えている。今、科学技術がどんどん進歩していまして、ある程度は障害者のためのいろいろな機器類が発達していますね。私のところも義理の母が一緒に住んでいまして、障害4ですけれども、これに対応する機器がいろいろあるのです。これはもっと国が援助して、いろいろ技術的な開発をすることによって、できるだけ介護というふうにいかずに、できるだけ自分で生きたいとみんな思っているはずなので、バリアフリーというのは1つの動きですけれども、それだけではなくて、細かいいろいろな工夫をすると、障害が出てきてもできるだけ1人で生きられるようになる。でも、恐らく最後はやはりかなり負担を誰かが負わなければいけないという状態は出てくると思いますけれども、なるべく自立するための方法について、何か技術的に、あるいは制度的に対応が可能なものは、そういうものをどんどん開発するということも必要ではないかと思うのです。
 スウェーデンではそういうものの開発をどんどんやっているのです。コンピュータも、今のコンピュータは高齢者が使えないのです。それで、タッチパネル方式にしてスウェーデンではやっていて、高齢者が必要とする生活上の問題について、パネルにタッチするとそれがすぐ対応するという、簡単なことで技術的には可能ですけれども、なかなかそういう発想が出てこないというところが今までの日本の少子高齢化対策の問題点だったと思いますので、その辺も含めてちょっと提言の中に入れていただければと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。全体を通じて、やはり男女別の視点を繰り返し繰り返し各府省には言ってきたのですけれども、この視点をぜひきちんと我々でレポートの中に入れるということ。それから、現役時代の男女のあり様についても触れておかなければ、それがやはり根っこにあるわけですから、それについても何らかの形で触れる。それから、神野先生から出たように,いわゆる経済不安と生活者としての自立の問題ですね。特に生活者としてどう自立していくかというふうなことについてもきちんと触れるということ。大体そういうことを感じておりました。特に高齢者のワーク・ライフ・バランスといったような問題も何らかの形で触れていただきたいというふうに私は思っています。あと、皆さんの方で、ぜひこういう視点もというので後で思いついたことがあれば、いつまででいいですか。
山岡分析官
では、これから10日ぐらいを目処で。特に期限は明確には定めませんが。
鹿嶋会長
では、1週間から10日。早ければ早いほどいいということで、事務局の方にメールなりファックスで入れてください。
神田委員
私は男女共同参画の視点の基本は、「個」の尊重ですけれども、あえて「自他」の尊重、関係だというふうに言っているんです。「他」の尊重を明確にしていくと社会の基盤をつくることが必要だという観点つまり社会参画の必要性がはっきりしてきます。
 それからもう1つ、報告の中に、今ボランティアをやっている人とか、地域づくりに活動している人たちがいるわけです。そうすると、その人たちが具体的に何が問題なのかをきっちり出して、それに対してどういう施策が必要なのかというような、あくまでも実態を基盤に置くことが重要です。方向もそこからも出していくというやり方をとる必要があるのではないかと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。それでは、この議論はこれで打ち切りたいと思います。
 これからの進め方について、事務局の方から説明してください。
山岡分析官
資料5でございます。「当面の調査検討方針について(案)」ということで御説明させていただきます。
 後ほど御連絡しますが、11月13日に次回の専門調査会を予定しております。そこで中間的な論点整理を行わせていただきたいと思います。これまで有識者ヒアリング、それから関係府省ヒアリング、あと統計資料も一部見ておりますので、それらの結果も踏まえまして、中間的な論点整理ということでお願いしたいと思っております。先ほどもお話にありましたが、これから1週間から10日ぐらいの間で追加的な御意見等いただければ、事務局までお願いいたします。
 2点目といたしまして、実態調査の実施についてここで簡単に御議論いただきたいと思っております。男女共同参画の観点で高齢者の自立した生活に対する支援ということを考える際の基礎資料というものを集めるために、検討会を組織した上で実態調査を実施したいというふうに考えております。現在、事務局の方で想定しております問題意識でございますが、自立支援と申しましても非常に広いところでもありますので、その中で、政策的な対応の必要性が高く、かつ性別による状況の違いが想定される問題ということで、経済不安と生活自立つまり日常生活における自立に焦点を当てて調査を行いたいというふうに考えております。
 それで、1点目の経済不安に関しましては、特に高齢者は現役世代に比べて所得格差が大きいというデータ等もありますし、あと、単身高齢女性を中心に経済的に不安を抱える層が一定程度存在するという中で、男女共同参画的に見た場合の問題として捉えられるだろうと。こちらの実態、それからそうした不安を抱える層はどのような層かということについて、世帯の状況ですとか、働き方との関係等も踏まえながら調査をしてはどうかということが1点目でございます。
 2点目といたしまして、日常生活における自立の問題につきまして、単身高齢男性の問題ということと、あと、ひとり暮らしが増えてきているというところがございますので、孤立といった側面も含めまして、生活自立の状況はどうか、地域や家族との関わりはどうかといったようなことについて調査をしてはどうかというふうに考えております。
 2ぺージ目にまいりまして、この中で※で書いておりますが、ほかにも高齢者の自立に関係するテーマは、就業の問題とか、地域参加の問題とか、これからの高齢者はどうなるのかとか、そういういろいろな見方があるのですけれども、こういった問題につきましては、既存の調査などもさまざまございますので、今後、検討会の中で調査に組み込む必要性や可能性について検討していってはどうか。基本的には、先ほど御提案した経済不安と生活自立に焦点化をしつつ、プラスΑどこまで必要かというところで、本日並びに検討会での御議論で精査していきたいというふうに考えております。
 調査対象につきましては、前期高齢者等の男女4,000人程度ということで、調査の焦点の当て方によって柔軟に調査対象の割当てを考えていきたいというふうに考えております。進め方につきましては、有識者の検討会を組織しまして、こちらの専門調査会からも数名参加していただく形で、調査の企画並びに取りまとめについて検討していきたい。そして、検討結果を随時専門調査会に報告していくということで、2月中旬以降の報告に反映させていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。調査についての御意見、あるいは、こういうところうぜひという項目がありましたら、指摘をいただければ幸いです。
勝又委員
私知らないんですが、調査票というのはこういうところでお示しになるのですか。
山岡分析官
調査のタイミングにもよるのですけれども、基本的には検討会の中で検討させていただいて、会議にかけられるかわかりませんが、随時個別に郵送等で御意見を伺うというような形でさせていただきたいと思っております。次が11月13日の調査会ですので、そのときにある程度のものができていたり、タイミング的によければお示しさせていただきたいと思います。
畠中委員
技術的な問題になりますけれども、これはどのように調査されるわけですか。委託するわけですか。
山岡分析官
はい。調査会社に委託をして調査いたします。それで、今の設計といたしましては、全国に散らばるような形で調査対象を選ぶということと、高齢者ですので、なかなか郵送でということですと回収が難しいということで、訪問調査の形を想定をして準備をさせていただいています。
勝又委員
訪問調査という場合には、どういうふうに抽出するわけですか。
山岡分析官
住民基本台帳を各市町村が紙で持っておりますので、その名簿から65歳以上とか60歳以上を拾ってきて、その中でまた無作為に抽出するという形になります。
勝又委員
直接行って訪問してしまうわけですか。
山岡分析官
選んだ対象者に関してはそうです。
勝又委員
そうすると、回収率は低くなってしまうんですか。
山岡分析官
郵送に比べますと回収率は一定程度確保できます。内閣府内の共生社会政策担当の方でも同様に高齢者を対象にした面接調査をしておりますが、大体5割から6割の回収率ということになってございます。
勝又委員
ぜひ調査票を見たいです。調査票の設計とやり方によって出てくるものが非常に違うということがありますので、やはり抽出の方法と調査票そのもの拝見したいですね。
山岡分析官
わかりました。
鹿嶋会長
調査の内容はいいですか。特にリクエストはありますか。
勝又委員
どういう聞き方をするかですよね。今の調査のお話じゃないですけれども、不安ですかみたいな聞き方をして出してくるような通常の調査をやってしまうのか。やはり既存の調査というのは本当にいろいろありますので、私どもの研究所でもやっておりますし、内閣府でも過去にいろいろなさっていますし、それから厚生労働省の国民生活基礎調査の間にやっている、いわゆる再分配調査とか、そういうところでやっているものの、その間のところでやっている調査があるんです。そういうところの調査なども参考にされてやっていくということでないと、単なるアンケート調査みたいなものでは非常に限られたデータしか出てこないと思います。
山岡分析官
既存の調査をできる限りステダィをして、そちらで取っているものはそちらに任せるなり、あと、そちらでもまだ男女別に取っていないものを取るとか、そういうことでほかの調査との連携、整合、すみ分けというものを考えていきたいと思います。
 それと、あとは調査の内容についてということでは、本当のところを言いますと、やはり所得の状況とか、資産の状況とか、数字で欲しいというのは確かですが、なかなかそういったことを訪問で聞いて明快に答えてくれるかというところがありますので、そこは検討会の中で先生方の御意見も伺いながら、聞ける部分は数字で聞いたり、あと、聞けない部分は生活感といったようなところで、経済的不安を持っているかどうかといったようなところで聞くといったような対応を図っていきたいと思っております。
鹿嶋会長
それから、有識者検討会とか、組織化とか、進め方につきましては、今日ここでお示しできるほどまだ固まっていませんので、それにつきましては会長預かりという形にさせていただければというふうに思っております。
 では、本日の審議はここまでとさせていただきますが、次回の専門調査会につきましては、中間的な論点整理を予定しております。事務局の方で連絡事項がありますか。
山岡分析官
では、事務的な連絡ということで、次回第24回の専門調査会につきましては、11月13日、火曜日の午前10時から12時。場所は内閣府本府の5階の特別会議室を予定しております。メールでも御連絡しておりますが、御確認をお願いいたします。議題につきましては、これまで行いました有識者ヒアリング並びに前回と今回行いました関係府省ヒアリングの結果等を踏まえて、中間的な論点整理を行うことを予定しておりますので、もし事前に御意見等がございましたら事務局までよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
鹿嶋会長
それでは、これで監視・影響調査専門調査会の第23回の会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。

(以上)