監視・影響調査専門調査会(第22回)議事録

  • 日時: 平成19年9月19日(水) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
  2. 議題
    • (1) 「高齢者の自立した生活に対する支援」に関する各府省ヒアリング
      • 内閣府(政策統括官(共生社会政策担当))
      • 文部科学省
      • 農林水産省
      • 総務省
  3. 議事録
鹿嶋会長
おはようございます。ただいまから、男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第22回の会合を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。
 まず、事務局の人事異動について報告がございます。8月1日付で池永課長が、8月24日付で定塚推進課長が異動されましたので、新しく来られた神田玲子調査課長、塚崎裕子推進課長から簡単にごあいさつをいただきたいと思います。まず、神田課長、よろしくお願いします。
神田調査課長
調査課長の神田と申します。よろしくお願いいたします。今まで総務省の統計局というところにおりました。それで、こちらの方に来て、8月からということで1カ月半ぐらいが過ぎたところでございます。
 今回の監視・影響調査では、「高齢者の自立した生活に対する支援」というテーマを掲げていますが、日本は健康寿命では世界一になりました。ただ、健康寿命から平均寿命までの期間を海外と比較するとそれほど変わっていないということは、非常に高齢で病と闘っておられる方が多いということでございます。一方で、健康寿命といっても、単身世帯が増えるという状況でありまして、高齢化社会と言っても各国によって状況は違い、日本独特の問題があると考えております。
 ということで、今回、非常に時代を反映したテーマで皆さんと御議論させていただくことを大変楽しみにしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
次に、塚崎推進課長、お願いします。
塚崎推進課長
監視・影響調査専門調査会の委員の先生方には、調査課におりましたときに大変お世話になりましてありがとうございます。今度、推進課長になることになりましたので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
それでは、本日の審議を進めさせていただきます。
 あらかじめ事務局より御連絡いただきましたとおり、「高齢者の自立した生活に対する支援」について、今回と次回の2回にわたって、関係府省の担当者の方々からヒアリングを実施いたします。
 本日は、内閣府、文部科学省、農林水産省及び総務省、1府3省においでいただいておりますので、説明を聞いた上で質疑応答を行いたいと思います。
 各府省には、事前にお伝えしたヒアリング項目を踏まえて、対象施策等の説明をお願いいたします。ヒアリング項目は、皆さん方の右側にヒアリング項目として参考資料がありますので、それを見ながら説明を聞いていただければと思います。質疑応答の時間がありますので、説明は予定時間内におさめていただければと思います。
 はじめに、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付少子・高齢化対策第二担当、濱田参事官から、高齢社会白書及び高齢社会対策大綱の見直し状況について説明をお願いします。どうぞよろしくお願いします。
濱田参事官
内閣府の濱田でございます。
 それでは、『高齢社会白書』の内容等につきまして、お手元に説明資料を配付させていただいておりますので、それをご覧いただきながらお聴きください。それから、お手元に白書本体がございます。
 まず、我が国の高齢社会対策の基本的なあり方と仕組みについて御説明させていただきますが、本の方の187ページをご覧いただきますと、「高齢社会対策基本法」という法律がございまして、これが我が国の高齢社会対策推進に当たっての基本法であるということでございます、この法律に基づきまして、190ページ以下に書いてございます「高齢社会対策大綱」が策定されております。大綱にもとづいて、毎年、高齢化の現状と、当該年度及び翌年度に実施する施策についてまとめたものが『高齢社会白書』でございます。
 過去の経緯を申し上げますと、平成7年、議員立法でこの基本法ができ上がりまして、その翌年8年に高齢社会対策大綱ができたわけでございますが、その5年後に見直しが図られて、平成13年にまとめられたのが現行の大綱でございます。
 その後、平成17年におきまして、ほぼ5年経過したということで、現行の大綱は5年見直し規定がないので、5年で自動的に見直すということではないのですが、5年経過したということで、高齢化の現状を少し勉強し、将来に向けて今後の高齢社会対策のあり方を考えていこうということで、慶応大学の清家先生を座長に「今後の高齢社会対策のあり方検討会」というのを立ち上げて検討を進めてきたということでございます、その後、5回ぐらい議論させていただいて、その他、ヒアリング等を実施させていただいたんですけれども、その結果をまとめて、今、現時点での高齢社会対策のあり方について、取組みの方向性についてまとめてみようということになりました、それを皆の基本認識の共通認識にしていこうということでまとめたものが今年の白書でございまして、それで今年の白書が例年とちょっと異なりまして、少しメッセージ性に富んだものになったということでございます。
 参考資料を1ページめくっていただきますと、目次がございます。目次に、平成18年度高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況、それから19年度の高齢社会対策というのが書いてございますが、この中の1章の3節というところに、「前例のない高齢社会」に向けた対策・取組みの方向性という部分がこざいます。ここの部分が例年にはない、将来の高齢社会対策のあり方についての方向性をまとめたものでございます、『高齢社会白書』というのは閣議決定の白書でございまして、各省庁共通の認識としてこの考え方でやっていこうということを世の中にメッセージとして打ち出したというものでございます。
 先ほど、神田課長が「高齢化社会」という話をされましたけれども、実を申しますと、「高齢化社会」というのは、国連で、高齢化率が7%に至った社会を「高齢化社会」と呼ぼうというふうに定義づけたものでございまして、その後、日本は、14%を超えたときに、もう高齢化ではなくて高齢社会ではないかということで、表紙の表題も「高齢社会対策」となってございます、ただ、これは国連が言ったというふうに巷間伝えられておったんですが、よく調べてみると、だれ言うともなくという話で、だんだん皆が、もう高齢社会じゃないかというようになって、「高齢社会」というのが定着したということでございます。その後、さっきも御説明しましたが、現時点では高齢化率が我が国は20%を超えて、先だっての総務省が発表した統計によれば、21%を超えております。そうすると、7%で高齢化で、14%で高齢社会だと、21%になったら何になるのだろう。この先28%とか35%になったらどうするんだということを少し考えたのが今年の白書の一つの問題意識でございます。
 では、2ページをご覧いただきたいと思います。
 高齢化の状況ということで、昨年の12月に出た新しい人口推計を踏まえたものでございまして、従来、前回、平成13年にやった推計によりますと、50年後の高齢化率は、大体3人に1人が高齢者になるだろうと推計しておったんですが、それが5年後、去年の12月に出した推計によれば、もっと高齢化が進んで40%。これは5人に2人が高齢者になるという社会がくるということになりました。
 5人に2人が高齢者というのがどんなものかというのを、余りイメージがわかないと思いますが、白書の本体の9ページをご覧いただけますでしょうか。9ページの右下の図で、高齢化率が高い市町村及び低い市町村という図がございますが、この中で、市の中で一番高いのが北海道の夕張でございまして、市の財政が破綻して、なかなか産業がなくて、今余り活力があると言い難いような状況にある夕張市、職場がなくて、若い方々が外にどんどん流出してしまった夕張市並みに日本全国がなるというのが40%の意味するところでございます。いかに由々しき状況であるかというのがおわかりいただけると思います。
 それをさらに数字で見たのが右側の表で、何人の現役で高齢者1人を支えるのか。今現在が3.3人で1人。これが50年後には1.3人に1人になってしまう。表の一番左の欄が1.3人なんですけれども、では、少し支える人の幅を増やして、支えられる人の幅を狭めてみようというのがこの図の意味でございまして、一番右の、支えるのは70歳まで支えてもらおう。支えられるのは75歳、後期高齢者になってからにしようというふうに発想を変えても、やはり50年後には2.2人で1人を支えなければいけないという状況になっているという非常に深刻な状況であるということでございます。
 1ページめくっていただきまして、平均寿命、平均余命の話ですが、平均寿命はどんどん延伸しておりまして、65歳の平均余命、これが50年後には男女ともに20年を超える。要するに、生まれてから大学を出るぐらいまでの期間が、65歳を過ぎてまだある。それが余命というのか。いくらなんでも長過ぎるんじゃないかというのが一つのこのメッセージでございまして、さらにその右側の図を見ていただくと、日本は、平成17年に20%を超えた時点でイタリアを抜いて高齢化率が世界一になりました。図で見てわかるとおり、今後、世界最高水準で推移します。
 よく、中国や韓国というのは日本以上に少子化が進んでいると言われますけれども、韓国や中国と比べても日本は高齢化が進展するという状況でございます。
 こういう状況を踏まえて、先ほど申し上げた、高齢社会の次の段階というのは何だろうというのを考えて、今回の白書でネーミングさせていただいたのが、「前例のない高齢社会」が到来するというワードです。水準そのものもかつてない水準でございますし、世界でもだれも経験したことがない。なおかつ、平均余命が20歳を超えるという状況は、今までとは違う枠組みで考えていかなければならないのではないかというのが一つのメッセージでございます。
 次のページは、よく言われる団塊世代とは何だろうかという話でございまして、よく調べてみると、団塊世代そのものがそんなに特徴があるわけではなくて、その前後の人たちが持っておる特色を、団塊世代というのは、今でも700万人以上いるという規模の大きさによって、世の中に定着させたとか、その傾向を一層進めたという意味で団塊世代というのが特徴づけられるのではないかと考えております。
 最初の左上の図が非常に大きな塊であるという意味で、高齢者に、団塊世代が65歳に到達するのが5年後、2012年なんですけれども、12、13、14の3年間、毎年、差し引きで100万ずつ高齢者が増えていく。3年間で300万人増える。これが規模の大きさでございます。それから、雇用者化、サラリーマン化ということが戦後言われたわけでございますが、団塊世代はその典型で、団塊世代は7割が雇用者でありサラリーマンです。
 右上の図は高学歴化ということでございまして、高校・大学の進学率が、団塊世代が進学する年齢に達するころに進学率が上がっております。団塊世代の後もずっと進んでおるわけでございますが、団塊世代は7割が高校進学して、2割が大学に出たという、一世代前とは違う特色があります。
 さらにもう一つ戦後言われたのが都市化ということでございまして、団塊世代は、生まれたときは、大体3割ぐらいが3大都市圏、3人に1人ぐらいが3大都市圏に住んでいたのですが、現在では約半分が3大都市圏に住んでいる。都市への人口流入の象徴的な世代である。こういったことが、後で見られるような、家族とか地域のあり方に大きな影響を及ぼしてきた世代であるということでございます。
 次のページをめくっていただきまして、では、高齢者を取り巻く環境というのはどうなのか。1つは、世帯、家族のあり方なのですが、高齢夫婦だけとか、高齢者1人だけの世帯というのが非常に増えてございまして、昭和55年の段階では、高齢者のいる世帯の4分の1が高齢者のみ、高齢者夫婦のみか高齢者1人の世帯だったのが、今では過半数が高齢者のみの世帯である。最近、孤立した高齢者というものが、孤独死などという面で問題になっておりますけれども、そういったものの要因が世帯類型からわかる。
 次が、同居の問題でございますが、よく言われるように、三世代同居というのは大幅に減少しているわけでございますが、依然として、心の支えは誰ですかといえば、やはり家族で、中でも子どもというのは配偶者に次いで高い。
 ところが、付き合い方を見ると、だんだんと親しい付き合い方が減って、毎日一緒にいるというのがどんどん減って、時々会うというのが増えて、5年に一回の調査で、今回初めて逆転しております。付き合い方が変わっている。
 次のページは所得の問題でございますが、よく言われるように、高齢者も非常に豊かになってきて、世帯人員1人当たりの所得で見れば、全世帯平均とそんなに変わらない。ところが、これもよく言われていることでございますが、所得格差が大きいと。右側の図でジニ係数というのを付けてございますが、格差の大きさを0から1までの係数で出すわけでございますが、1に近いほど大きいということで、社会保障や税の控除や給付を受ける前の当初所得で見ると相当高い。一般家庭に比べると、一般世帯が0.4台なのに対して高齢者世帯が0.8264ということでかなり高い。税や社会保障の給付や控除をした後の再分配後の所得であっても、やはり依然として高齢者の世帯の方が格差が大きい。
 また、資産の面で見ても、4,000万以上の貯蓄のある世帯が2割ある一方で、300万以下という世帯も1割いらっしゃるというような格差があるという点に政策の面で着目していく必要がある。
 次のページは健康の面でございますが、日本人というのは非常に健康だと思っている人が多いというデータでございます。ところが、右側で見ると、医療サービスを利用する頻度は諸外国に比べて高い。これは、皆保険、フリーアクセスの制度を持っているという面もあるわけでございますが、一方で日本人の健康意識の高さみたいなものもあらわれているのかなと考えております。
 しかしまた、一方で、介護の問題でございますが、要介護者が急速に増えている。次のぺージの右側の表を見ていただくと、後期高齢者になると2割の方が要介護、要支援になっている。最初の図で見ていただくと、高齢者が増えるだけではなくて、後期高齢者が増える。全人口の4分の1が後期高齢者になるわけです。全体の4割が高齢者になる。さらに、25%が後期高齢者になるとすると、どれだけ介護の負担が大きくなるかということを考えると、介護の予防、健康対策の重要性がわかるかと思います。
 左下の図で、だれに介護してほしいかと聞くと、多くの方が配偶者となっております。特に、男性はほとんどが配偶者にやってもらいたい。となると、高齢者の方が介護を配偶者に頼みたいというと、当然、介護する人も高齢者、いわゆる老老介護の問題というのが出てくるわけでございまして、それが右下の図で、現在でも介護者の55.9%が60歳以上という状況にある。この辺が老老介護の末の介護心中、介護自殺というような問題にもなっているところでございます。
 次のページは、健康面でもう一つ最近言われているメタボリックシンドロームについてでございますけれども、これも一目瞭然、男女とも加齢に従って、メタボリックシンドロームないしは疑われる予備群と言われる方々が増えている。介護の問題も含めて健康づくりとか介護予防といったことが今後一層重要になるのではないか。
 次のページでございますが、10ページは、働くという面でございまして、現時点でも60歳を過ぎても多くの方が働いておられます。さらに、昨年、65歳までの継続雇用制度導入の義務化を定めた改正高齢社会安定法が施行されまして、その傾向はさらに進むかと思いますけれども、ところが、就業できていない中に、就労したいと思っている方が結構いらっしゃる。上から2番目のマスでございますが、60~64歳の男性でも16.1%、65~69歳の男性で21%、60~64歳の女性でも19.7%、65~69歳の女性で18.3%の方が、就業を希望しながら就業できていない。こういった、意欲がありながら働けていない方に仕事に就いていただくというのも、今後の重要な人口減少、それに伴う労働力人口減少の時代に重要になっていくのではないか考えております。
 次のページで、では、働きたいと言いながら、60代で働けるような準備をしているかということを聞いたのですが、50代の多くの人は、能力開発とか自己啓発というのが行われていない。理由を聞くと、時間がない、忙しいということがあげられております。
 先ほど申し上げた、人口が減少していくに伴って、性別・年齢別の労働力率が変わらないとすると、労働力人口がこのぐらい減るという図が右側でございますが、このまま変わらないとすると、25年後には1,000万人労働力人口が減少する。御本人の能力、意欲の活用という面でも重要なのですけれども、こういったマクロの経済力の維持という観点からも、高齢者の雇用、就業の促進というのは重要である。
 12ページでございますが、御近所付き合い、地域の機能という面を資料で見てみたのですが、近所の人たちの交流が弱まっている。だんだんと親しく付き合っている割合が減っている。では、近所に関心がなくなって、地域に関心がなくなったのかという面で、新しい動きであるNPOに関する関心度合いを聞いてみると、多くの方が、やってみたいのだけれども、きっかけがない。情報がないからできていない。この辺の入り口、きっかけづくりというのが地域の絆の再生につながるのではないか。地方では、人口が流出して、若い人がいなくなって、従来の地域がなくなってしまった。都市部においては、流入してきた人口がみんな雇用者になってしまって、地元に昼間いないという意味で、都市部では地域が新たにはつむげなかった。日本全国で地域というものがなかなか機能しなくなってしまった。NPOというものが新しい可能性として出てきたわけでございまして、こういったものに参加し得る環境づくりみたいなものが重要になっていくのではないかという点でございます。
 次の13ページ目が高齢者の安心・安全という面でございまして、高齢者の交通事故、火事、消費者トラブルといったようなもので、高齢者の安心・安全というのがなかなか守られていない。例えば、消費トラブルの要因を見てみると、相談する人がいない。先ほど申し上げた高齢者のみの世帯になってしまっていて、御近所付き合いがなくなってしまっているというようなことで、高齢者が地域で孤立してしまっているという問題が出てきております。
 今回の白書でその辺でおもしろいデータがあったので御紹介させていただきますが、白書の27ページをご覧いただくと、「一人暮らしの男は寂しい?」というテーマで、私どもで世帯類型別に御近所付き合いとかいろいろなものの状況を調査したんですけれども、ご覧いただくとわかるとおり、男性の一人住まいというのはてきめんに近所付き合いができていない。御近所との交流ができていない。今回の会議のテーマが高齢者の自立ということでございますが、高齢者のみの世帯というものを考えてみると、男性は、付き合いとか心の交流といった面で非常に多くの問題を抱えていらっしゃる。女性の面を見ると、これは従来から指摘されているとおり、女性高齢一人住まいというのは、生活保護の最も大きな対象の一つになっております。ですから、経済面での自立というのが女性の面では大きなテーマになります。男性の面では、近所付き合いとか交流といった面が一つ大きなテーマになるのではないかということを今回の白書でも指摘してございます。
 次のページ以下が今回のメッセージでございまして、「前例のない高齢社会」というのはどういう取組みが必要なのかということでございまして、現状は、やはり65歳以上の高齢者というのは、支えられる人だというイメージは変わっていない。ところが、現実を見ると、働きたいとか社会参加したいという意欲がある方はたくさんいる。
 それを踏まえると、右側に書いているように、イメージを変えたり、意欲を活用するような仕組みを作っていく必要がある。現状では家族や地域の機能が低下しているが、一方で、独居の高齢者でございますとか、要介護者、また高齢者以外にも子育て世代みたいに支えを必要とする人も増えている。そういう人たちのためには、何らかの地域の絆の再生が必要なのではないか。また、孤立する高齢者の安全確保が重要なのではないか。
 平均寿命が一層延伸して、65歳以降で20年以上の人生がある。ところが、健康づくりの自覚が足りない。または生きがいを持って暮らすための準備というのもなかなかできていないということで、高齢期への準備不足といったことを指摘してございます。
 次のページが、では、我々は何をしていけばいいかという取組みの方向性でございまして、まず1つは、「高齢者」=「支えられる人」という観念を捨てると。むしろ、高齢者というのは、社会を支えることが可能なマンパワーなのだと。前の大綱の基本理念というのは、高齢者は一律に支えられる人たちではない。中には元気で支えることが可能な人がいるから、そういう方たちには応分の負担をしていただこうというのが一つの理念で、それに応じて社会保障制度の見直しなどもやってきたわけでございますが、今回の白書で指摘したのは、それをもう半歩進めて、むしろ高齢者の多くの方は元気で、支えることが可能なのではないかというふうに発想を変えようというのが今回の白書の考えた一番のポイントでございます。
 では、具体的にどうかというのが2番目以下でございますが、高齢者を職場で活用していくために、結果として今の若い人は働き過ぎで、高齢者の方は働けなさ過ぎだというのをバランスをとっていこうというのが世代を通じたワークライフバランスということです。
 それから、地域の再生というのも、地域活動に参加するというのは、ものすごいことをやるのではなくて、ほんのちょっとしたことで世の中は変わるのですよ、高齢者自身がちょっとしたことに参加していただくことで、世の中、大きく変わると、そんなことを指摘してございます。
 また、次は、高齢期を元気で活力あるものにするためには、若い時期からの準備をしないとだめですよということを指摘してございます。そういうものを考える上で、一人の人生の中でも、若い時期には猛烈に働いて、高齢になったら時間を持て余すというのではおかしいと。生涯を通じてワークライフバランスを見直そうというのを一つ提言してございます。
 それから、最後に、資料で申し上げた、安心できるまちづくり。特に、地域で高齢者を孤立させない取組みというのが重要であるというようなことを指摘してございます。
 16ページ、最後に一つのメッセージということでまとめを書かせていただきましたけれども、固定観念を見直して、高齢者は「支える力」だというふうに位置づける。それから、世代を通じたワークライフバランス。高齢者の地域参加のきっかけとして、今、市町村とかNPOがきっかけづくりとか情報提供をやっておりますけれども、それを今回の白書では、「地域の仲人」というネーミングをさせていただいて、そういう役割に期待したい。また、地域で高齢者を孤立させない取組みというのも進めていかなければいけない。健康づくりは自己責任ですよ。それから、50代になったら、もう一回人生の設計をしてほしい、というのは、人生80年時代に、大体みんな二十になると人生設計をやるのですけれども、二十歳から60年の間の中間地点、30年経過した50代になったら、もう一度考えてみたらどうですか。それから、安心できるまちづくりが重要だ。こういうものができれば、先ほど申し上げた「前例のない高齢社会」であっても、活力ある社会というのは維持できるのではないかというのが今回の白書の結論でございます。
 それ以下の施策の面は、今後、各省のヒアリングがあるということで割愛させていただきます。
 最後に事例集というのを付けてございますが、実際、いろいろなことを言っても、絵に描いた餅じゃないかというような言われ方もするので、いろいろ先進的な取組みをやっていらっしゃる事例というのを18選んでこの中に書いてございます。また、それ以外に白書の付録として、市町村のアンケート結果で幾つかの事例を紹介したものも付けてございますので、後ほど御参照いただければと思っております。
 以上、早口で恐縮ですが、私からの説明は以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。皆さんから後で質問をいただきますが、まず私の方で質問したいんですけれども、「前例のない高齢社会」、大変おもしろく聞きましたが、いわゆる「前例のない高齢社会」になればなるほど、人口構成の面でも、いわゆる高齢者のマジョリティは女性だろうと。このまとめは、男女という違いを抜きにして、今報告いただいたんですけれども、「前例のない高齢社会」の中で、男女の違いでさらに今から際立つものがあるのか。さっきの説明を聞いていると、男は寂しくて、女は経済力がないという話ですよね。そういうもので何か出てくるものはあるのかどうか。そうした場合にどういう施策が今後の展開として必要なのか。その辺を説明いただけますか。
濱田参事官
具体的にというと、高齢者のみで暮らす世帯が当たり前になるということを念頭に置いた施策、そういう切り口だと思います。さらに、一人暮らしが増えると。一人暮らしの高齢者の世帯というのが、高齢者世帯の4分の1という時代が来るということは、4割の高齢者の4分の1だと、人口の16分の1が一人住まいの高齢者ということになるとすると、高齢者のみの世帯、さらには一人住まいの高齢者をどう支えていくのかという、施策だけでは多分やり切れないと思います。先ほど申し上げた地域の力みたいなものを生かしていく。何より重要なのは、今、地域に参加したいのにできない人たちをつなげていく、地域を活性化させるような施策というのが、これからの「前例のない高齢社会」を支えていくには最も重要ではないかと私は考えております。
鹿嶋会長
男性、女性といった場合はどうなんですか。その視点はどうなんですか。
濱田参事官
主に男性は付き合いができない。むしろこっちから積極的に出かけていってあげるくらいではないと、待っていても来ないんですね。何とか会議とか、何とかNPOとかあっても、家から出ていかない。家に入っていくぐらいの取組みをしないといけない。去年、介護保険法が改正されたときの取組みで、地域包括支援センターでやっている取組みの中にも、地域のネットワークを活用しながら、高齢者の方にむしろ出かけていくぐらいのことをやろうとか、今年から始めた孤立死防止プロジェクトという施策もあって、そういうのもむしろ一人暮らしの高齢者の人に出かけていくというのが大事なのではないかという発想です。なかなかそういうのを全部官でやるとすると、マンパワーは足りない。ならば、民の、地域の人たちの力を生かしていかないと、とてもじゃないけれども、やっていけないというのが現状で、今回の白書の事例の中にも、そういう孤立した高齢者のところにもちょっと日常的に声をかけるとか、文通なんかをすることで、お元気ですかと確認するとか、そういうNPOの取組みも書いておりますけれども、そういう取組みを活性化させていくというのが一番現実的なのではないかと私は思っております。
鹿嶋会長
そうすると、例えば、前例のない場合では、むしろ対男性ですね。男性に対してフォローする必要がある。女性については今までどおりでいいんですか。
濱田参事官
女性についても、経済面もあるのですが、他にも女性は体力が急速に衰えていくという問題があって、一人住まいの女性の高齢者が何を求めているかというと、ほんの日常的なことでいいと。買い物を手伝ってくれるとか、もっと言うと電球を変えられない。電球を変えてくれるだけでいい。そういうのを、ただとは言わない。市場価格ほどではないけれども、ちょっとしたお金を払うことでやってもらえると大変助かるという声を多く聴きます。それをやっているのが元気な高齢者であるというNPOをこの中で紹介しているのですけれども、「助け合いネット」というNP〇なのですけれども、高齢者が登録して、派遣してほしいという高齢者の声に応えて、行ける人が行って、そうすると、事前に買ったチケットを渡すのですね。時給何百円という安いものなんですけれども、それを貯めて、逆にやった方の高齢者もそれを貯めて、自分が助けが必要になったときに使えるシステムです。さらにそれを貯めて、一定の金額になったら現金化して、それをおろして夫婦で海外旅行に行ったとか、やる方の高齢者の生きがいにもなるし、やってもらう、特に女性は体力が衰えるとそういうことができないので、そういう日常的な助けを必要とする女性に対する支援が重要である。男性については、むしろ心の面だと思うのですが、女性については、日常的なことを手伝ってあげるというのが大事なのではないかと考えております。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ほかにどなたか質問ございますか。どうぞ。
大沢委員
質問ではないんですけれども、日本とフィンランドのITの活用の違いについての本を読んだときに、フィンランドではITが活用されていて、特に、一人暮らしの高齢者の世帯にモニターというか、ITの活用でそういう人たちとのコミュニケーションがとられているというようなことも聞いたんですが、日本のIT戦略の一つとして、一人暮らしの高齢者を支えるということも計画の中では長期的な計画としてあるんでしょうか。
濱田参事官
ITを活用して云々というのは、私も余り存じ上げていませんが、今のところ、地域の中で、地方の取組みの中でそういう取組み、パソコンまでいっているかどうかというと、なかなか難しくて、携帯とか専用回線の電話とか、そういうレベルにまだ多くのところがとどまっていますけれども、ITもだんだん使いやすいという面で進歩しているというところもあるので、これからITの進展というのは高齢化社会にどれだけ役に立つかというのは非常に重要な視点だと私も考えております。
鹿嶋会長
よろしゅうございますか。
袖井委員
ちょっとお聞きしたいんですが、地域差の問題をどういうふうに考えるかということで、わりに好事例というのは地方の小さいところが多いと思うんですね。もちろん東京都もやっているけれども、これは電話相談みたいなものに限られる。そうすると、大都市で人間関係が非常に希薄になってしまって、そういうところをこれからどうするか。私は、これからの高齢化問題というのは、都市人口がものすごく増えてくるので、都市の高齢者の問題ではないかなと思うので、地域差をどう考えていらっしゃるのか教えてください。
濱田参事官
おっしゃるとおり、今までは、高齢化の問題というのは地方の問題と言われてきたのですが、これからは急速に都市部での高齢化が進むと。団塊世代が都市部に流入したと申し上げましたけれども、その団塊世代がもう60歳だということは、あと5年たつと、高度成長期に都市部に流入した人口が高齢化する。その一つの先駆けが、いわゆるニュータウン。私は港北区に住んでおるのですが、港北ニュータウンというのは、今、影ではオールドタウンと言われるぐらい高齢化が進んでしまっていて、団塊世代が高齢化して、子どもたちが結婚なり就職なりして家を出てしまうと、残ったのは高齢者だけ。その高齢者だけのまちをどう支えていくかというと、先ほど申し上げたとおり、高齢者が支える側に回る仕組みを早く作らないと持たない。特に都市部の問題なのですね。今、地方は既に高齢化が進んでいるので、自分たちなりの取組みというのを長いことやってきているのですが、都市部は、長いこと高齢の問題というのは過疎地の問題みたいに考えてきたのが、今、目の前に都市部にも高齢化の問題というのは深刻になってきているんだということを、これを作ったときに、まだ地域別の人口推計が出ていなかったので余り書けなかったんですけれども、先だって5月ぐらいに出た都道府県別の人口推計を見ると、都市部でも非常に深刻な状況になるということがはつきりと予想されております。
袖井委員
どうしたらいいんでしょうか。
濱田参事官
むしろ都市部というのは、人の数も多いですよね。人の数も多いということは、支える数も多くできやすいし、ネットワークを作るときも、離れて、隣の家まで100メートルあるところよりは、ちょっと歩けばお隣さんがあるというところの方が、本来はネットワークを作りやすいはずですよね。ところが、今の都会というのは、私もマンションの隣の人の顔を知りませんが、なかなかコミュニケーションできていない。むしろ都会こそそういうコミュニケーションが大事だ。そのコミュニケーションの輪をどうやって作っていくかというのは、都市部においては大きな課題なのだろうと私は考えております。
鹿嶋会長
ありがとうございました。質問はまだあると思うんですが、実は今日はかなりタイトな時間でこの運営をしなくてはなりませんので、このぐらいにしていただきたいと思います。
 それから、「高齢社会対策大綱」見直しがあるそうですけれども、こうなってきますと、何らかの前例のない高齢社会の特徴を裏付けたようなものの記述も必要になってくるかと聞いていましたけれども、男女共同参画では何かお考えになるようなことはありますか。
濱田参事官
余り日ごろ、男女という視点で物を考えていなかったのですが、やはりさっき申し上げた、男性が心の面で孤立しないというのと、女性の日常的なことにいかに手助けを得るような仕組みを作っていくか、両方、地域の問題で、地域の力をいかに再生していくかという視点が大事だということではないかと考えております。女性だって心が孤立している人もいるし、男性だって年取っていけば、うちの父親ももうじき80歳ですけれども、てきめんに体力が衰えてきましたから、それは両方あるのでしょうけれども、象徴的な面で言えば、やはり女性は体力、男性は心の面というのを念頭に置きながら、大綱の見直しも考えていきたいなと思っております。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ぜひそのあたりをお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、内閣府の施策につきまして、同じく内閣府政策統括官の少子・高齢化調整第二担当の鈴木参事官補佐から説明をいただきたいと思います。
鈴木参事官補佐
資料1-2をご覧いただきたいと思います。
 まず、施策の概要でございますけれども、この点につきましては、先ほど濱田参事官の方から御説明済みでございます、1の部分でございます。基本法がございます。大綱の作成・推進、年次報告の作成、それに高齢社会対策会議、これは内閣総理大臣を会長としまして、全閣僚の委員で構成しているものでございます。
 それから、2でございますが、高齢社会対策に関する調査研究というのをやっております。また、3は国民に対する啓発です。
 高齢社会対策大綱」の推進でございますけれども、平成13年12月28日に策定されました大綱に基づきまして進めております。現在、高齢社会対策の在り方等についての検討を行うということで、有識者を交えまして検討会を開催しているところでございます。座長は、慶応義塾大学の清家篤教授でございます。この検討会につきましては、年内に報告書を取りまとめるという方向で動いているところでございます。
 その後、高齢社会対策会議におきまして、大綱見直しの可否について決定することを予定しております。
 それから、高齢社会白書の関係でございますけれども、今、平成9年以来と資料はなっておりますが、誤植でございます。平成8年以来、白書を閣議決定の上、報告しております。今回の白書につきましては、19年6月8日閣議決定の上、報告を行ったところでございます。
 調査研究でございますが、高齢社会対策大綱の基本的な施策分野というのがございまして、「就業・所得」とか「健康・福祉」といった分野でございますけれども、こういった分野に沿ったテーマを取り上げて、高齢者の意識についての調査を行っておりますのが、一つ「高齢者対策総合調査」というものでございます。おおむね5年に一度ぐらいのサイクルでテーマが繰り返されております。
 もう一つは、高齢者社会対策の在り方に関する議論に資するという観点からの「政策研究調査」。この政策研究調査につきましても、意識調査をやってみたり、あるいは企業やNPOを対象とした調査を行ってみたりということでございます。
 次は、国民に対する啓発でございます。
 1つは、エイジレス・ライフ実践者・社会参加活動事例の紹介という事業でございます。これは、元気に地域でいろいろな形で活躍している個人の方、団体を表章するものです。団体が社会参加活動事例でございます。個人がエイジレス・ライフ実践者でございます。こういった方々に私どもの特命担当大臣名で書状をお渡しするとともに、記念品を差し上げております。また、受章された方々の活動の事例を紹介する冊子、これは所管法人が作っておりますけれども、こういったものを買い上げて、関係方面に配るというようなことをやっております。
 それから、心豊かな長寿社会を考える国民の集いでございますけれども、これは、毎年ローテーション的に各県を回しておりまして、年1回開催しておりますけれども、昨年は愛知県、今年は沖縄県で11月に開催予定でございます。この集いの中で当該開催県のエイジレス章等の受章者の方への贈呈式、それから、その方々の活動の御紹介、それに記念講演やパネルディスカッションといった形態での開催を行っております。
 それから、高齢社会研究セミナーでございますけれども、これは、高連協という高齢者関係の団体の連絡協議会がございまして、これは任意の団体でございますけれども、こことの共催で、毎年、東京で開催しております。今年は既に開催済みでございます。
 これは、午前から午後にわたりまして、午前中、講演をやりまして、午後、分科会に分かれて、それぞれ高齢者の社会参加等についてのテーマを掲げて討議を行うといったようなセミナーでございます。
 男女別ニーズの把握・施策への反映ということでございますけれども、例えば、先ほど申し上げました「総合調査」あるいは「政策研究調査」におきましても、基本的な属性として男女別という集計を行っているところでございます。
 ニーズや実際的な状況の違いについて考慮しているかということでございますけれども、特に男女の違いに着目した取組というのは行っておりません。調査・研究につきましても、今申し上げましたとおりでございます。男女別の違いというものが見られた場合には、そういった報告の中で記述を行うということであります。
 関係主体・施策との連携でございますけれども、自治体や関係団体と連携して取り組んでおります。国民に対する啓発の実施に当たりましても、都道府県、市町村、関係団体との連携の上で対象者の講習だとか、広報啓発、実施等に取り組んでいるというところでございます。
 エイジレス・ライフ実践者等の紹介事業関係でございますけれども、都道府県、政令指定市、そのほか高齢者関連の団体からの推薦も直接仰いでいるところでございます。
 もう一つは、各都道府県、中核市以上の社会対策担当の課長クラスを集めまして、主管課長会議といったようなものも開催しているところでございます。
 他の施策との関係は特にございません。
 施策の評価・見直し関係について、男女別データ等の把握ということは、特にしておりません。
 見直しの具体的な取組関係でございますけれども、エイジレス・ライフの実践者の紹介、表章関係でございますけれども、これまでの推薦傾向で見ますと、男性に比べまして女性の人数が少なく。結果的に決定した表章者の方においても女性が少ない。今後、次年度以降ということになりますけれども、自治体や高齢者団体に対しまして、女性候補者の発掘に努めてもらうような方向での工夫が必要になってまいろうと考えております。
 エイジレス・ライフの選考に当たりましては、選考委員会を設けておりまして、そのメンバーの男女割合はご覧のとおりでございまして、今回19年度の開催に当たりましては、1人女性の委員の方を増やしております。
 今後に向けましては、今申しましたように、募集段階での見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。
 参考資料には、これまでの総合調査の過去3回のテーマとか政策研究のテーマ、また、エイジレス・ライフの男女別の推薦、決定件数、国民の集いの開催実績やセミナーの開催実績、さらに、エイジレス・ライフ実践者の募集要綱をお付けしておりますので、これはご覧いただきたいと存じます。
 以上で私からの御説明を終了させていただきます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。質問はございますか。
山口委員
ちょっと伺います。エイジレス・ライフ、表章されるということですが、事業の成果というのは、例えばどういうものを成果とするんですか。
鈴木参事官補佐
紹介事業という位置付けでございまして、こういった方々が全国各地で元気に御活躍なさっていますということで、その活動ぶり、生きざまを紹介することによりまして、同様の年代の方々が、じゃ、私もといったような意味での一念発起をされるとか、そういったことにつながっていくようなことを期待しております。
 先ほど申しましたとおり、実践事例集というのを作って広くお配りしておりますし、私どものホームページにもそういった表章者の方々の活動概要等一覧にして掲載しております。また、表章者が決定しました後に、内閣府の記者クラブにも、こういった方々が受章になりますということで、マスコミに対してもお知らせしているところでございます。
山口委員
そうしますと、ものづくりに表章したとか、あるいは楽しい組織づくりを表章したとかということではないんですね。
鈴木参事官補佐
ヒョウショウのショウが、エイジレスの場合は、一般的な彰と違いまして、単なる文章の章なんです。印なんです。ちょっと異質なものでございまして、そういう意味で紹介事業としております。
山口委員
そういう対象は、例えば、国からの補助金だとか支援金だとかはいっているんですか。
鈴木参事官補佐
基本的に、国等からのお金を受けて活動しているといったような方、あるいは団体については除外するような方向で選考を行っております。
山口委員
やはり男性の方が多いですか、表章対象は。
鈴木参事官補佐
参考資料のちょうど真ん中ぐらいに、決定件数で、今回の件数で言いますと、エイジレス・ライフの実践者が47人でございますけれども、そのうち男性は34、女性は13。この割合傾向は、過去3年の数字を見ましても、それほど変わっておりません。
山口委員
ありがとうございました。
鹿嶋会長
ありがとうございました。これはこんなに格差が出るというのは、男性の方がむしろ応募しやすいような、推薦されやすいような中身の問題というのはないんですか。男女間の格差がやたら多いですよね。エイジレスで。
鈴木参事官補佐
まず、推薦を受ける相手が都道府県、政令指定市、あと、高齢者関係団体。そこから私どもの方に挙がってまいりませんとどうしようもない。募集要綱をご覧いただきましても、個人のところで、例えば過去に培った知識や経験を生かして、それを高齢期の生活で社会に還元し活躍しているとか、自らの時間を活用し、近所付き合いや仲間内での支え合い活動に積極的に貢献しているとか、あるいは、中高年から一念発起して物事を成し遂げたとか、こういったことでお願いをしているところで、ここらを見る限りにおいては、そういった差が生じてまいるというふうには直ちには考えられないのでございます。
鹿嶋会長
ドラマ性があるとなると、男の方がひょっとしたら……。
袖井委員
私も昔これの審査委員をやったんですが、都道府県に流すという探し方の問題もあるのではないかと思うんですね。高齢者団体とおっしゃったけれども、私は高齢社会をよくする女性の会のメンバーですけれども、応募してくださいと一度も言われたことがないですね。だから、民間団体をもうちょっと発掘しないと、女性は増えないのではないかなと思います。あと、婦人団体、女性団体ですね。多分、山口さんのところにもいっていないのではないかと思います。
山口委員
お呼びがないです。
袖井委員
そうですよね。
鹿嶋会長
ありがとうございました。一応これでとどめておきますので、もしさらに意見があれば、後で委員の皆さん、ペーパーでぜひ出していただければと思います。どうもありがとうございました。
 次に、文部科学省の施策について、文部科学省生涯学習政策局社会教育課の渡部課長補佐から説明をお願いいたします。
渡部課長補佐
ただいま御紹介いただきました文部科学省の社会教育課の渡部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、配付されております資料2-1をご覧ください。文部科学省におきましては、皆様方も御存じのとおり、高齢者ということで実施しておりますのは、2-1の「団塊世代等社会参加促進のための研究」が高齢者に該当するというものでございまして、ほかは、広く地域住民一般を対象にした事業ということになっておりまして、その中でも高齢者等も対象にしております「総合型地域スポーツクラブの育成・支援」の事業、あるいは「地域スポーツ指導者育成推進事業」、この3つの事業につきまして、今回御説明させていただきたいと思っております。
 事業ごとに1枚ずつの方が見やすいのかなという気もしましたけれども、内容として重なる部分もございましたので、今回、質問の事項ごとにまとめさせていただきました。まず、はじめに、「団塊世代等社会参加促進のための調査研究」でございます。これは、平成19年度今年から開始された事業でございまして、20年度も概算要求をしているところでございます。
 内容につきましては、資料2-2をご覧いただきたいと思います。資料2-2ですが、新規事業・拡充事業評価ということで、1枚目は、文部科学省の政策評価の際に使っているフォーマットでございます。こういうような形で政策評価をされております。政策評価については、大体概算要求前と、2月、3月ぐらいに2回ヒアリングをして政策評価の確認をしているということになっております。
 1枚めくっていただきまして、「団塊世代等社会参加促進のための調査研究」でございますけれども、背景といたしまして、この辺は後ほどデータということも出てきますけれども、まずは団塊世代が大量に社会に出てくるということ、また、働いている人の6割が、定年後から何らかの形で働き続けたいということ、社会のために役に立ちたいと思っている人は約6割ほどいるということ、あるいは、学習した経験を公的な機関で認証して、どの地域や団体でも通用することがよいと考える人が約3割いるという話、あるいは御存じの再チャレンジの話ですね。こういったことが背景にございまして、団塊世代等が職業や学習を通じて培った経験を生かして、教育分野で活躍をしていただく。教育分野というのは、場所としては、例えば学校で、小・中・高であるとか、あるいは公民館であるとか、図書館であるとか、博物館であるとか、そういった場所で活躍をしていただこうというような事業でございます。
 こういった、今まで培ってきた経験を生かして活躍するというものを教育サポーターと言っておりまして、そういうことを支援する制度、仕組みを教育サポーター制度とこの事業では位置付けております。
 下の方に「教育サポーター制度」のイメージ図というものがございますけれども、例えば看護師さんであるとか、工業技術者であるとか、海外勤務経験者といったような方々が、それぞれの今まで蓄えてきた知識・技術を生かして、学校等で活躍しようと。
 ただし、例えば学校で活躍するに当たっては、いわゆる教授法といいますか、子どもたちに教えるという技術なり、あるいは知識という部分が必要でございますので、その部分については、教育・学習という部分を中にはさみまして、いわゆる研修をして社会に出ていってもらう。また、社会で活躍するに当たっては、何がしかのここの検討内容の下の方に認証の基準方法とか登録内容とかありますけれども、やはり学習しただけではだめで、何がしかの活動の場と結びつけるものという制度なり仕組みが必要であろうということで、こういった結び付ける、マッチングするということも含めて、今回検討しようというようなものでございます。
 19年度につきましては、こういった教育サポーター制度の基本的な考え方、あるいは標準的な仕組みみたいなものを検討いたしまして、来年度20年度の概算要求でこれを都道府県、政令市等で実際にやっていただこうと計画しているものでございます。
 続きまして、「総合型地域スポーツクラブの育成・支援」でございますけれども、これも20年度概算要求をしております。これにつきましても、ポンチ絵を見ていただきまして、資料2-2を2つめくっていただければと思います。最初のものはやはり事業評価の資料でございます。
 「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」でございますけれども、地域の社会問題、スポーツの現状ということで、少子・高齢化社会、地域コミュニティの弱まり、国民の運動不足、子どもの体力低下といったような事柄がございます。この中にも統計も入っておりますけれども、また、新たな提言等ということで、新健康フロンティア戦略ということで、幼年期から一生涯を通じて運動、スポーツに親しむことで健康寿命を伸ばすと。子どもたちの社会性、感性を涵養しようということで、これは教育再生会議の方から出ております。また、小規模自治体におけるクラブ育成支援というようなことも考えてございます。
 解決策として、総合型地域スポーツクラブの創設ということで、例えば、スポーツの振興だけでなくて、心と体の調和のとれた人間形成であるとか、地域コミュニティが有していた機能を再構築しようというようなことも含めて、スポーツを通じた地域再生みたいなことも一緒にやっていこうというものでございます。
 この事業につきましては、2年間支援を行う事業でございまして、スポーツクラブを立ち上げるための事業とお考えいただければよろしいかと思います。その後の運用については自前で予算を獲得してやっていただくという内容になっております。
 推進事業の内容については、右にございます総合型クラブ育成支援事業の実施ということで、設立準備委員会であるとか、スポーツ指導者であるとか、クラブマネジャー等を配置してスポーツ交流大会を実施したりということであるとか、総合型クラブ育成支援チームを結成したりであるとか、あるいはアドバイザーを養成・派遣したり、情報提供をしたりといった一体型の事業となっております。
 続きまして、「地域スポーツ指導者育成推進事業」でございます。2枚めくっていただいて、最後の紙でございます。
 スポーツを気軽に楽しみたい人であるとか、健康増進を目的として運動、スポーツを行いたい人に対応できる指導者がなかなか少ないという課題がございます。こちらの方にあるとおり、クラブの53.8%は指導者の確保が課題であるということ、あるいはクラブ指導者の74.3%は無資格であるということがございます。総合型地域スポーツクラブをこれからどんどん推進していくに当たっては、やはり指導者の確保・育成というのが非常に重要になっております。そういう意味で、地域スポーツ指導者育成をしていこうということを考えた事業でございます。
 この事業については、18カ所の総合型地域スポーツクラブ等において実施するという予定にしております。これは、平成20年度来年度の概算要求でございますので、まだ実態の事業はございません。
 こういった3つの事業でございます。
 続きまして、資料2-1に戻っていただきまして、1枚めくっていただいて裏側でございますが、施策の立案に際して、男女それぞれのニーズや実際的な状況のデータについてでございますけれども、団塊世代については、先ほどデータをお示ししましたが、そのほかに、教育サポーター制度に類似した制度、あるいは人材バンクといった事例を現在調査をしておりまして、その中で男女別の内訳を設けた調査を行っていると。こういった調査をもとにして検討していこうということでございます。
 また、総合型地域スポーツクラブにつきましては、内閣府が実施している「体力・スポーツに関する世論調査」というものがございまして、成人の週1回以上運動、スポーツを実施している率については、18年8月現在でございますけれども、44.4%。男性が43.4%、女性が45.3%という結果が出ております。
 また、地域スポーツ指導者育成推進事業についても、同じ調査でございますけれども、男女ともスポーツの楽しみ方やスポーツへの興味関心がわくような指導ができることであるとか、健康・体力づくりのための運動やスポーツ指導ができることということがそれぞれ1位、2位を占めているというような状況でございます。こういったことをもとにして事業を実施、推進する予定というところでございます。
 また、施策の立案及び実際に対して、男女それぞれのニーズや実際的な状況の違いをどのように考慮しているかということでございますけれども、団塊世代等の社会参加促進のための調査研究でございますが、今後、社会教育関係者であるとか、学校教育関係者、有識者からなる検討委員会を設置いたしまして、教育サポーター制度のあり方について検討することにしております。さっきの、現在やっている調査であるとか、既存の調査をもとにいたしまして、また、男女の割合に大きな差異があれば、委員会でその対応について検討していこうと考えております。
 総合型地域スポーツクラブにつきましては、総合型地域スポーツクラブの事業の中にモデル事業というものがございまして、内容としては、地域によっては子どもや女性、障害者、高齢者などの参加が促進されていないという地域がございます。そういった地域にあって、このモデル事業を活用していただきまして、スポーツクラブに参加する方々が増加するようにということを考えております。
 最後の地域スポーツ指導者でございますが、これは20年度新規のため、今後検討していくことにしております。
 続きまして、次のページでございますが、施策の実施に当たって、どのような主体と連携をしていくかということでございますが、団塊世代においては、この事業においては、教育委員会、あるいは商工会議所、福祉関係の法人から成る委員会を選出する予定ということでございます。
 また、事業に当たっては、平成20年度概算要求におきまして、先ほども申したとおり、トライアル事業と位置付けておりますが、こういった事業を実施していこうと。これについては、市町村レベルを考えております。
 また、総合型地域スポーツクラブでございますけれども、各都道府県教育委員会をはじめ、都道府県単位で設置されている広域スポーツセンターとの、あるいはスポーツあるいは医療関係、お医者さん、そういった方々との連携を図っております。
 また、普及啓発もやっておりまして、こういった資料の作成・配布であるとか、あるいは事例の提供であるとかというようなことをやっております。
 地域スポーツ指導者については、これも20年度でございますので、今後検討してまいります。
 続きまして、他の関連する施策との連携(他省庁の施策を含む)ということでございますけれども、団塊世代の事業につきましては、制度のあり方について、現在検討を行っている段階でありまして、現在のところ連携は行っておりません。ただし、今後実施するに当たりましては、例えば職業能力の育成という部分もあるかなと思いますので、例えば、厚生労働省さんあたりのところと連携をしていかないといけないかなと考えております。
 総合型地域スポーツクラブでございますが、地域の実態に応じまして、スポーツ少年団や老人クラブが中心になりまして、総合型クラブを運営しております。
 地域スポーツ指導者につきましては、これも来年度の事業でございますので、今後検討させていただきます。
 施策の評価についてでございます。
 団塊世代等の事業につきましては、文部科学省の政策評価実施計画に基づきまして評価を行っておりますし、総合型地域スポーツクラブも同様でございます。地域スポーツ指導者育成については、これまた20年度ということで、来年度以降の評価ということになります。
 施策の見直しをどのように行っているかということでございますけれども、団塊世代等の事業につきましては、今年度施策の実施状況、基本的な考え方の整理を踏まえまして、来年度以降、トライアル事業をもとにして実績評価を行っていこうと考えております。
 総合型地域スポーツクラブでございますけれども、全国展開を現在推進しておりまして、18年7月現在、2,416のクラブが育成されているところでございます。これは育成中のところも含めてでございますが。先ほども申したとおり、地域によっては、子どもや女性、障害者、高齢者等の参加が促進されていないということもございまして、モデル事業を19年度から実施しているところでございます。
 地域スポーツ指導者については、来年度事業ですので、今後検討させていただきます。
 最後に、高齢者の学習機会の整備についてということで、参考データがございます。学級・講座数、これは高齢者対象の学級・講座数でございます。私ども教育委員会、あと公民館が大体学習の中心でございますので、ここにおける学級講座の例でございます。
 16年度間、13年度間となっておりますけれども、いずれの部分も、一部減っているところもありますけれども、大体のところは増えているということでございます。
 一番多いのは、教養の向上という部分が一番多く取り組まれているものでございまして、その後、体育・レクリエーション、市民意識・社会連帯。ちょっと残念なのは、職業の知識・技術の向上というところが一番低くなっていて、文部科学省においても、今後は職業知識・技術の向上の部分にもっと力を入れていこうということを答申でも言われておりますし、社会教育全般で取り組んでいかないといけないと考えているところでございます。
 早口でございましたけれども、概略を説明させていただきました。どうもありがとうございます。
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。質問、御意見がありましたら。どうぞ。
勝又委員
今御説明いただきました高齢者の学習機会の整備なんですが、これは、講座数として幾つあったかということなんですが、実際に参加された数とかそういうのはお調べになっているんでしょうか。人数ですね。
渡部課長補佐
例えば、教育委員会ですと、参加者は合計いたしまして790万人ですね。
勝又委員
それは何年度のお話ですか。
渡部課長補佐
これは16年度間ですが。平成17年度社会教育調査報告をもとにしております。
勝又委員
790万人で、平成13年度、2つ時点をお示しいただいたので、どのくらい増えているのかなという関心がございまして、御説明いただきたい。
渡部課長補佐
13年度については資料がございませんので、また後ほど。
勝又委員
よろしくお願いします。
鹿嶋会長
ほかにあとお一人ぐらいですが、よろしいですか。
 教育サポーター制度などを見ていると、こういう人材の発掘の仕方を見ていると、やはりこれも男性の方がかなり多くなってしまうような気もしますが、どうですか。
渡部課長補佐
そうですね。今は人材バンクについて、既存の人材バンクの登録数とかを調査していますので、その結果を見て、もし女性の比率が余りにも少ないようであれば、掘り起こしということも考えていかないといけないかなと考えています。
鹿嶋会長
よろしくお願いします。それではどうもありがとうございました。
 続きまして、農林水産省の施策につきまして、農林水産省経営局普及・女性課女性・高齢者対策推進の高畠課長補佐から説明をお願いします。よろしくお願いします。
高畠課長補佐
農林水産省の施策について、資料3を御用意しております。
 まず、農山漁村における高齢者に関する基本データということで、最初にそちらの説明をいたします。
 3ページ目には、農業就業人口におきます男女別・年齢区分別の推移をお示ししております。農業就業人口というのは、下の注1にございますように、15歳以上の方で自営農業のみに従事した方、またはそれ以外の仕事の両方に従事されている方のうち、自営農業が主な者と定義しておりますが、こちらにつきましては減少の一途をたどっておりまして、平成2年から平成17年までの15年間で146万人減少と、約7割程度にまで減少しているという状況でございます。
 それとともに高齢化も進んでおりまして、農業就業人口中、65歳の高齢者の方の割合が、平成2年では36%程度でしたが、平成17年には58%と約6割が高齢者の方になっております。
 男女比につきましては、30代以降74歳までについては、女性が過半を占めておりまして、農業上、女性は非常に重要な働き手、役割を果たしていると言えます。
 4ページ目が林業就業者でございまして、こちらも平成2年から平成17年までに大きく全体として減少しております。作業の特性上もありまして、女性の割合は農業に比べると少ないものになっており、全体で大体15%程度となっております。
 5ページ目が漁業就業者における推移でございまして、こちらも減少傾向であります。平成2年と平成17年を比べますと、大体6割程度に減っております。年齢区分別のデータは男性のみお示ししておりますが、65歳以上の高齢者は平成17年で約35.7%となっております。農・林・水いずれにしましても高齢化が進んでいるという状況でございます。
 6ページ目ですが、農業につきまして、65歳以上の方がどういうふうに増えているかを男女別に示したグラフでございます。1番目が男女計、2番目が男性、3番目が女性とついてのグラフです。基幹的農業従事者と言いまして、農業就業人口のうち、普段の主な形態が主に仕事、主に農作業をやっていらっしゃいますという方に占めます65歳の方の割合を折れ線グラフで示しております。棒グラフの方は、農家人口、農業就業人口、基幹的農業従事者数のグラフになっております。
 見ていただきますと、男性、女性、特に同じように高齢化のパターンを示しておりまして、数字の上からは、男女の大きな差はないと見受けられます。
 前置きが長くなりましたけれども、施策の説明にまいります。
 男女共同参画基本計画におきましては、農山漁村における高齢者について、「活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画」というところの「高齢者が安心して活動し、暮らせる条件の整備」という中に記されております。
 講ずべき施策の柱として3本。「高齢者の生活支援体制の整備」、「高齢者の活動の促進」、そして「老後の自立の確保」があります。農水省の高齢者関係施策のうち、これらに関する施策についてご説明いたします。
 まず、「高齢者生活支援体制の整備」について、7ページですが、これに該当するものとして、「JA食料・農業・農村サポート機能活性化促進事業」のうちの「農村地域維持・活性化支援事業」がございます。
 この事業内容ですが、農協が行う介護保険事業、高齢者福祉事業、組合員組織が受ける介護の援助などの助け合い運動等の強化のため、組織のリーダーや介護ヘルパーの育成、あるいは助け合い運動の普及啓発、また、農協の職員研修に対して支援を行うものであります。全国農業協同組合中央会と都道府県の中央会に対し、そういった研修会の開催費用等を助成しております。
 組織のリーダーの育成や、介護ヘルパーの養成研修、あるいは農協職員の研修につきましては、特に男性向け、女性向けということでなく、男女ともに対象となっておりますから、男性のニーズ、あるいは女性のニーズを特に分けて把握はしておりませんが、実施に当たっては、受講生の方にアンケートをとるなどして、受講生のニーズに合った研修となるようにしております。
 例えば、農業経営には農繁期であるとか農閑期であるという特性があることから、こういったものも勘案しまして、それぞれの受講希望者の方がライフスタイルを考慮して研修を活用することができるようになっております。
 9ページに研修参加者についてのデータを載せてございます。男女別のデータをとっているのは一部ですが、女性の方も相当数参加されていることがわかります。そういったことで、女性にも参加しやすい形になっております。
 施策の評価につきましては、農協における介護関係の人材の育成数、あるいは介護関係の事業の取扱高の増加で評価をしております。
 見直しにつきましては、特に男女を取り巻く状況の変化ということでは行っておりませんが、介護制度の改正等の全体的な介護の見直しを踏まえて見直しを行っているということでございます。
 続いて、高齢者の活動の推進に係る施策に移らせていただきます。
 11ページに「担い手アクションサポート事業のうち新たな人材の育成・確保活動」がありまして、さらにその中のメニューとして、「高齢者による担い手育成・確保支援」がございます。農林水産省としましては、農業の発展のため、担い手が中心となって営農していく、あるいは集落全体が力を合わせて営農していく集落営農、そういった営農形態を推進しているところですが、高齢者の方には、これまで培ってきた知識や技術をもとに、若い担い手を育成していく役割、あるいは集落営農の一部門を担っていくなどの活躍が期待されているところです。
 この事業では、そのような高齢者による担い手の支援や、集落営農へ参画を促進していくために、地域でシンポジウムを開催したり、あるいは高齢者の方に地場農産物の加工技術や都市との体験交流活動に係る知見を向上させるための研修を開催する、それを補助するものでございます。
 活動の内容は、地域の農業の状況や参加する高齢者の方の意向によっても変わってくるものでございますが、事業の趣旨の範囲で、できるだけ幅広にサポートしていくことにしております。したがって、男性主体のグループ、あるいは女性主体のグループ、あるいは男女混合のグループであっても、やりたいということであれば、支援対象になりますが、事業要領上、比較的女性にニーズの高い農産加工に係る研修が実施できますよと明記するなど、女性の方も使えますよということを配慮して事業を行っているところでございます。
 事業の評価につきましては、この事業の趣旨から、担い手支援に貢献している高齢者グループ数を毎年度把握して行っています。ただ、この高齢者グループ数については男女別に分けてとっておりません。
 続きまして、19ページに「シニア能力活用促進事業」がございます。これは、先ほどの担い手アクションサポート事業と同じように、高齢者の方に、担い手の育成や集落営農の参画を促していくために行っているものでございまして、こちらは、民間団体が実施し、全国レベルで高齢者の方の活動の優良事例の収集やその表彰などを行っております。
 こちらの方も男女問わず対象としており、また特に男性だから、女性だからということでなく、いずれのニーズにも沿うように事業を実施しておりますが、例えば、優良事例の収集につきましては、高齢女性のグループ活動なども積極的に取り上げております。
 また、高齢者活動のうち優良なものについては、年1回、10月に表彰しておりまして、農林水産大臣賞をはじめとした各賞をお渡ししております。これによって、当該活動に関わった高齢者の方をねぎらうとともに、他地域での高齢者の活動が活発化することを期待して行っております。
 この事業につきましては、男女の状況の変化を踏まえた見直しというものは特に行っておりませんが、農水省として担い手の育成確保が喫緊の課題であることを踏まえ、高齢者による担い手育成確保に係る活動を促進する事業としての見直しを行っております。
 続きまして、老後の自立の確保にまいります。27ページに「漁業者老齢福祉共催事業の推進による漁村地域の福祉向上の促進」がございます。これは、漁業者年金を運用するに当たって必要な事務費について国が補助を出す事業でございます。
 漁業者年金につきましては、加入数が、男性が5万4,000人、女性が3万4,000人とありますが、漁業者従事者における女性の割合を考えると、女性の加入率が非常に高くなっております。
 29ページに最近の男女別の加入者数のデータをお示ししておりますが、新規加入者における女性の占める割合は約4割と非常に高くなっております。制度上は、年金ですので、男女に特段差はないのですが、やはり老後の生活の設計に関しては、女性の方の関心が高いということもありまして、事務局としては、漁協の女性部を対象として、加入に関する講演会を開催するなど、女性に対しての積極的な年金の加入促進を図っているということでございます。
 最後になりますが、農業者年金制度について御説明します。39ページでございます。
 こちらは、従前からあった制度ですが、平成14年1月から、農業に従事する者であれば、男女の差なく、関係なく幅広に加入できるように制度を改正しております。年金制度としては特段男女の差を設けていませんが、加入しやすくなったということでございます。
 39ページ以下、データが載っておりますが、大体新規加入者に占める女性の割合は約3割となっております。
 40ページの中段に書いてございますが、農業者年金特有のメリット制度としまして、農業の担い手につきましては、保険料を一部国庫補助するという政策支援がございます。これは認定農業者や認定就農者で青色申告している方につきましては、毎月の保険料のうち、最高月1万円が国庫補助されるというものです。この認定農業者や認定就農者で青色申告している方というのは、どうしても経営主である男性がほとんどで、その配偶者である女性がその要件にはなかなか該当しなかったのですが、そういった女性の方でも家族経営協定を結んで、農業経営にきちっと参画していることが明確になっている場合には、男性と同様の政策支援を受けられるようになっております。それが表の区分3というところですが、今、新規に加入されている女性の9割以上がこの制度の該当者ということでありまして、制度改正によって、女性の加入促進に非常に寄与していると言うことができるかと思います。
 また、女性の新規加入者が増えていることから、加入者の女性向けの情報発信を行ったり、また、新規加入者に占める女性の割合が3割ということなので、まだまだ拡大の余地があるということで、女性向けの加入促進の働きかけを積極的に行ったりしているところでございます。
 後ろの方に農業者年金のパンフレット、3種類ございます。1種類目が一般向け、2種類目は認定農業者や認定就農者の方向けですが、基本的に経営主である男性が見られるであろうということで、奥さんや息子さんも入れますよということをきちんと書いております。
 3つ目のパンフレットが、これは女性や後継者向けに加入を勧めるものということでございます。
 以上、非常に雑駁ではございますが、農水省の3つの柱それぞれについて御説明してまいりましたが、総括すると、いずれの施策につきましても、農山漁村の高齢者の活動や生活の支援に資する施策であり、男女の差を特に分けている制度はありませんが、運用に当たっては、女性の方にもメリットがあるように配慮して運用しているところです。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。全体を聞いていて、運用には男女の配慮があるんですが、シニア向けの施策自体、男女別の把握がまだ不十分ですよね。一方で、家族経営協定などを積極的に推進している。締結率は数%、大変低いですけれども、家族経営協定はもともと嫁不足からきているわけだから、あれも親とか、おじいちゃん、特におばあちゃんあたりが元気にしていれば、嫁いでみようという人が増えるかもしれないということであれば、シニア向けのいろいろな対策も、男女別の把握をもう少し積極的に行って、何が問題なのかというのを発掘していく必要性があると思いますが、どうなんですか。もちろんあなたがおっしゃったように、運用はきちっとやっているということなんでしょうけれども、どうなんでしょうか。
髙畠課長補佐
新たなデータの把握については、統計組織の整理合理化の流れの中では難しいところですが、データを分析して数字上の状態を把握したり、あるいは、この資料には載せておりませんが、高齢者の活動や女性の活動に対して調査を行ったりして、それぞれのニーズといったものを把握する努力はしております。
鹿嶋会長
ほかに質問はありますか。それでは、どうもありがとうございました。
 次に、最後になりますが、総務省の施策につきまして、総務省行政局貯金企画課、松田課長補佐及び郵政行政局保険企画課の山本課長補佐からの説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
松田課長補佐
よろしくお願いいたします。総務省の方から御説明させていただきます。
 総務省の方の施策として挙げさせていただいています施策は、いずれも郵政公社の方において提供されております金融サービスについて、施策として御紹介させていただいています。資料は4でございます。
 郵政公社では、寝たきりや認知症の方など介護の必要な方に対して金融面からの支援を行うための「介護貯金」、それから、これは別に郵政公社だけではなくて、一般的に販売されている商品ですけれども、勤労者が老後の資産形成を計画的に行うために、いわゆる「財形年金定額貯金」を実施しております。また、ゆとりある老後生活に資するため、簡易生命保険契約の保険サービスを通じて生活の安定のための自助努力を支援しております。
 皆様御承知のことと思いますけれども、日本郵政公社におきましては、本年の10月1日より民営化が行われる予定になっております。
 個々の商品、若干具体的に説明しますと、まず、介護貯金ですけれども、寝たきりなどの介護が必要な方が預け入れる、済みません、ここは「定額」と書いておりますけれども、申しわけございません「定期」の間違いでございます。定期貯金でございまして、一般の定期貯金よりも若干利率を上乗せさせていただいて、500万円までの限度額を設けて受入れを行っております。また、万が一貸付等が必要になった場合には、一般の貸付利率よりも安い利率での貸付も行えるようにしております。
 それから、財形年金につきましては、通常の年金と同じようでございまして、給料やボーナスから天引きで積み立てることで、5年以上継続して積み立てることができる定額貯金ということで、利子は非課税、60歳以降、年金方式で受け取ることができるということでございます。
 それから、簡易生命保険は、御承知のように、万一の場合、家庭の生活保障、老後の生活保障、子どもの教育資金準備など、国民各人のライフスタイルを通じて生じる多様なニーズに備え、それぞれの加入目的に合わせて保険を選ぶことができるという通常の保険のサービスでございます。
 男女別のニーズの把握の反映ということで、簡易生命保険の方につきましては、保険契約でございますので、当然男女別の死亡率とか、り病率を考慮して保険料の設定をさせていただいています。
 一方、貯金サービスの方につきましては、特に男女別での商品設計の違いはございませんので、その辺のところのデータ把握等はしていない状況でございます。
 続きまして、関連主体との取組みなんですけれども、総務省としては、先ほど御説明したように、基本的には日本郵政公社の施策ですので、特段の取組みは行っておりません。
 施策の評価・見直しということで、実績をここでは御紹介させていただいていますけれども、簡易生命保険契約に当たりましては、男女別の加入状況をディスクロージャー紙面等で毎年公表しておりまして、主な保険と年金サービスの加入状況は以下に示されているとおりでございます。
 貯金サービスにつきましては、先ほど申しましたように、男女別のニーズ把握等データ把握を行っておりませんので、こちらでは介護貯金と財政年金定額貯金の預入状況を時系列で御紹介させていただいております。
 自助努力につきましては、情報提供や広報については、基本的には日本郵政公社のサービスでございますので、自主的な経営判断に基づいて実施しておりまして、総務省として特段の取組みは行っていないところでございます。
 冒頭御説明しましたけれども、日本郵政公社におきましては、10月1日から民営化が行われまして、新たに発足されます「ゆうちょ銀行」「簡保生命」というのは、それぞれ銀行法上の銀行、保険業法上の保険会社として新たにサービスの提供を行うことになりまして、監督官庁の方も総務省の方から金融庁の方に移される予定となっております。
 なお、既に契約が行われています介護貯金、財形年金、保険サービスの既契約者につきましては、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険機構という独立法人が新たに設立されまして、こちらの方が権利義務を承継することになります。ただ、これは旧契約の管理を行う組織でございまして、新規契約の締結等を行うことはございません。実際に利用者が預払い等を行うのは、それぞれ貯金銀行、保険会社の方に業務を委託しておりますので、利用者サイドから見れば、通常の今までどおり郵便局の方でサービス提供は受けることになっております。
 総務省としては、独立行政法人の機構に対しましては、独法の通則法上や機構法に基づいての運営管理については指導ができるような状況ということでございます。
 以上、簡単ですけれども、御説明を終わらせていただきます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。御意見、御質問があれば伺いたいと思いますが。
勝又委員
2ページ目のところですが、保険とか年金保険で男女別の数字を出していただいているんですけれども、女性の方がある意味で関心が高くて、加入されている状況も多いという形になっているんですが、これは、私、ちょっと不案内なんですが、一般の保険についても同じような傾向があって、別にこれは簡易生命保険であるからということではないんでしょうか。
山本課長補佐
民間生命保険の状況、私、わからないんですけれども、恐らく簡易生命保険の場合は、住宅の方に訪問販売する率が多く、在宅されている女性に御勧誘させていただくというケースが多くて、現実には女性の御利用が多いのかなという感じで、民間生保の場合は、会社等で入るケースが多いと男性の方が多くなるのかもしれないです。私はデータを持っておりませんので、申しわけありません。
鹿嶋会長
ほかにございませんか。
畠中委員
行政局の人が来られていると会長がおっしゃっていましたけれども、自治行政局の人は来られています? 今日は郵政部局だけですか。
松田課長補佐
はい、郵政局だけです。
畠中委員
そうですか。大変失礼しました。私、聞きたかったのは、高齢者の自立した生活支援というのは、地方公共団体でやられているのがほとんどで、総務省自体が直接そういう事業をやっているということはないから、今日は説明がなかったのではないかと思いますが、何かそういうものに対して総務省がサポートしているとか、調査研究しているとか、そういうものがあれば伺いたいなと思ったんですけれども、特にないということですので、結構です。
鹿嶋会長
ほかにありますか。それでは、どうもありがとうございました。
 本当に皆さんには申しわけないですが、大変駆け足で、質問時間が少なくて申しわけありません。今、全体で聞いていておわかりのとおり、男女別というのは、この監視・影響調査専門調査会のかなり大きなテーマではありますが、男女別に把握していないものもまだかなりあると。
 それからもう一つ、資料1-2の2ページを見ると、男女別の基本属性として、男女別のデータをとってはいるんだけれども、しかし、それに着目した取組みを行っていないということも書いてあるんですね。となってきますと、単に男女別にとることだけを我々が要求していくだけではだめであって、やはりどう運用されているかが大事なのですね。その違いに着目した運用となってくると、男女共同参画の視点といったようなものを各府省がきちっと持っていただく。男女共同参画の主流化というのですか、そういうものが必要になるのかなと聞いておりました。
 特に、高齢社会大綱につきましては、見直しの際に、男女共同参画の観点をぜひ入れていただきたい。皆さんの方でこういう視点がぜひ欲しいということがあれば、今日はその時間がありませんけれども、ペーパーで事務局の方に出していただければと思います。とにかく「前例のない高齢社会」ということでさっき説明を受けて、私も大変びっくりしたような箇所もあるんですけれども、そういう中では、従来型の女性の把握、あるいは女性のライフスタイルの把握ではとても補完できないようなものもあるのではないかと思うんですね。それをどういうふうにして入れていくかということ、それをさっきずっと感じていました。
 それから、各連携ですね。地方自治体関係・関連団体との連携、それは文科省の教育サポーター制度も完全にそれがないと行き詰まるはずでして、ですから、そういう連携についても私どもはきちっと要求していく必要があるということを感じておりました。
 今、ざっと私が今回のヒアリングを通じて感じたことですが、皆さんの方で、このペーパーの報告書の取りまとめの参考にしますので、今、各府省の説明を聞いて、こういう視点が必要であるというものがあれば、ここで出していただきますが、どうでしょうか。
神田委員
今、会長が言われた男女共同参画の視点というのをきちんと入れないと、バラバラになってしまうのではないでしょうか。いろいろな施策が行われているということはわかったんですけれども、それをまとめていく柱になるようなものをこことしては出して、それをそれぞれの施策の中に入れ込む必要があると思っているところでございます。それを具体的にどういう形で出したらいいのか、これが大きな課題になってくるのではないでしょうか。ということは、今まで言われた男女共同参画の視点というその視点とは、具体的にこういう施策に入れるときに、どういう形をとるのかということが問われていると思っております
鹿嶋会長
主流化されていないという言葉で言ってしまえば簡単なんですが、「男女」と言った場合、何が問題なのかという問題把握をしなくてはならないという認識が、まず全体にきちっと浸透していないのかなという感じもするんですね。
 もう一つ、単に男女別でとっただけではだめだということが、今日、だんだんわかってきたんですね。そこに着目した施策を展開していかなくてはならないのでね。ですから、男女別を把握した後のアウトカムについてもきちっとフォローしてもらうという姿勢が大事かなと、各府省の意見を聞いていたんですけれどもね。
山口委員
少なくともここで各府省が御説明くださるときは、男女共同参画の視点を意識していなかったということは言わないようにしていただきたいと私は第一に思いました。
 聞いていて、これはここでやらなければいけないかなと思ったのは、男性と女性が高齢になるまでの生き方は、社会構造的なものがある。その結果、こうなったということもここの報告書としては書かねば、ジェンダーに結びつくと思いました。
 それから、もう一つ、今、地域社会を活性化するというか、特に分権で住民参画が奨励されておりますけれども、女の人は地域社会での貢献というのは、わりにすっと入っていくけれども、男の人は、地域社会もこれまでの会社という組織感覚なんですね。
 私どもは、ボランティアをもちろん奨励します。埼玉県の方に有名な先生がいらっしゃるんですが、「ちょいボラ」でいいと。例えば、たばこ屋のおばさんがたばこを売って、1人でぽつんとしていると。けれども、多分トイレに行くこともできない。そんなようなときに、「おばさん」と言って入っていって、声をかけてあげて、留守番をしてあげるのもボランティアなんだと。「ちょいボラ」、そこから始めなければだめだと聞いて、なるほどなと。ボランティアが自然体になっていく社会を目指したり、女性の大学の先生たちは、御自分の職業生活以外のボランティアをされています。そうすると、職業生活とボランティアと一緒になっているから、定年になっても全然困らない。むしろ定年になると、先生たちは引っ張りだこということですから、男の人は定年になってしまうとちょん切れてしまう。そこが私は問題だと思うんですよね。やはり職業生活に就いたときから、社会に貢献するのは当たり前だというところあたりから作り直して、社会構造的なものを入れていくという考え方をあらわしたいと思うんですが、今聞いていてそう思いました。
鹿嶋会長
ほかにございますか。
大沢委員
感想ですが、最初に高齢社会白書の中で、男性は孤立して、女性は経済的な自立に問題があるというような指摘があって、そういったものがもう少し各省庁の間で情報として共有されていて、例えば、文科省のスポーツ・レクリエーションにすごく力を入れていると思いますが、それだけではなくて、女性が自立できるための講座のようなものが開かれて、あとは、厚生労働省とも連携をとりながら、そういう人たちが職業が得られるようなサポートというところで、もう少し連携をとってワークライフバランスに向けた動きというのを作っていくことが必要かなと思いました。
鹿嶋会長
ありがとうございます。連携についてもぜひ強調したいと思います。まだ御意見があるかと思いますが、一応これくらいにしまして、次回の専門調査会、ここでまた引き続き関係府省のヒアリングを行うことにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局の方から御連絡ありますか。
長谷川総務課長
前回の調査会の終了後に山口委員の方から、防災の分野におけます男女共同参画の問題につきまして御指摘がございましたので御説明させていただきますが、まだ調べの方が十分でございませんので、現在把握しておりますものを御報告をさせていただきたいと思います。
 第2次の基本計画におきまして、新たな取組みを必要とする分野ということで、防災の分野が出たわけでございますけれども、国の方の対応としては、委員も御承知かもしれませんが、17年の7月に中央防災会議で防災基本計画を修正しておるわけでございます。
 その中では、例えば避難場所の運営管理などにつきまして、男女のニーズの違いなど、男女双方の視点に配慮した対策をということで書かれておるわけでございます。それから、地方の方の対応につきまして、とりあえず、取り急ぎといいましょうか、先般、中越沖地震がありました新潟県の方に、これは担当者のベースでございますが、電話で聞き取りをさせていただきましたが、新潟につきましては、平成16年の10月にも中越地震がございまして、それ以降いろいろやられておりますが、例えば17年の8月には、新潟県の中越大震災の復興計画の中で、男女が共同で参画する視点も踏まえながら、地域社会に根ざした復興活動を推進していくといったような旨、記載されておりますし、今年7月に修正されました新潟県の地域防災計画の中で計画の策定の実施に当たりまして、男女両性が参画し、両性の視点から見て妥当なものであるよう配慮するといった記載がされておるわけでございます。
 今回の中越沖地震における対応についても若干聞いてございますが、女性からの相談というのがあるわけでございます。これにつきまして、県の男女平等推進相談室、ここで相談を受け付けているということを柏崎市など、市町村も通じましてリーフレットの配布などをして周知をしているとか、あるいは避難所での対応でございますが、パーテーションを設置して、こういう場所を確保するといったようなことをしまして、おおむねプライバシー、あるいは男女のニーズに沿った運営が行われているといったことを聞き取りはしてございますが、まだ不十分でございまして、ほかの都道府県のその後の対応、これもまだ調べが十分でございません。それで、第2次の基本計画につきましては、中間的にフォローアップを防災以外も含めて全般にやっていくことにしてございますので、こういうフォローアップをする中で、防災の分野についてもしっかりとフォローアップしていきたいと思っております。
 なお、もう一つ申し上げておきたいと思いますが、全国知事会の中に男女共同参画特別委員会というのがございます。ここで19年度の検討課題ということで主な3つがあるんですが、その中の1つに、防災分野における男女共同参画の推進についてといったものが入っておりまして、このあたりの動きも注視しながら、連携をとりながら進めていきたいと考えてございます。
 今日は中間的でございまして、また改めて御報告申し上げたいと思います。
 以上です。
山口委員
消えてしまうこともないと思いましたけれども、一応こういうふうにフォローアップしていただく必要はありますね。どうもありがとうございました。
山岡分析官
では、引き続きまして、事務的な御連絡をさせていただきます。
 本日、貴重な御議論をありがとうございました。時間が大変足りない状況でございまして、大変申しわけございません。本日の件につきまして、追加の御質問ですとか御意見等ございましたら、事務局までメール、FAX、お電話、何でも結構でございますので、お出しいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それから、次回でございますが、第23回専門調査会といたしまして、10月9日火曜日の午前10時から12時。場所は同じくこちらの内閣府本府の3階特別会議室を予定しておりますので、ぜひとも御出席のほどよろしくお願いいたします。
 また、その次の専門調査会は、中間的な論点整理ということで11月上旬に持たせていただきたいと考えております。後日、事務局から日程調整の御連絡をさせていただきますので、その節はよろしくお願い申し上げます。
 本日の資料でございますが、資料の5といたしまして、議事録第21回の議事録を先生方に御確認いただきましたものを置かせていただいておりますが、こちらは御確認が完了したということで公表させていただきますので、御了承いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
鹿嶋会長
それでは、第22回の監視・影響調査専門調査会を終わります。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)