監視・影響調査専門調査会(第19回)議事録

  • 日時: 平成19年3月16日(金) 13:00~15:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 植本委員
    • 神田委員
    • 神野委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る監視・影響調査報告書の取りまとめに向けての審議
    • (3) 閉会
  3. 議事録
鹿嶋会長
ただ今から監視・影響調査専門調査会を開始したいと思います。
 皆様今日はお忙しいところありがとうございました。皆様方の意見、あるいは事務局の方で各関係府省との擦り合わせ等々しまして、まとまったものが皆様のテーブルの上に置いてあります。まず事務局から、取りまとめの報告書案について説明をしていただきます。その後私どもで議論をしたいと思います。
 では、事務局からよろしくお願いいたします。
栗田調査官
本日の資料の参考1のクリップを外していただきまして、目次と書いてある本文の部分と、参考2、カラー刷りの横長の1枚紙を対比しながら御覧いただければと思います。
 基本的には前回2月の監視・影響調査専門調査会で御議論いただきまして、先生方から加筆修正の御依頼があった部分を文章にしたものをベースに、関係の各府省と内容の協議を行ってまいりました。合わせてページをめくりながら御紹介させていただきます。
 参考1の「はじめに」のところでございますが、1ページ目の1「監視・影響調査の実施」の三つ目のパラグラフ、当初、専門調査会に関する記述が書いてあったのですが、男女共同参画会議との関係が明確になっていなかった部分がありましたので、少し表記を精査してございます。最後に、男女共同参画会議において必要に応じて、総理大臣、関係各大臣に対して意見を述べることを決定しているというところを追加してございます。
 2ページ目の真ん中ぐらいですが、「こうした状況の中」から始まっているパラグラフですが、こちらにつきましては正規と非正規の方の能力開発機会に差があるということに加えまして、同じ正規雇用であっても能力開発に差があるということを明確に書いた方が良いという御指摘を前回いただきましたので、その趣旨を踏まえまして、同じ正規雇用であっても、就く職務には男女の格差が存在することにより、職務に応じて受ける能力開発にも差が生じることなどから、実質的な男女間の能力開発機会には格差が存在するという書きぶりを追加してございます。
 3ページ目以降の「女性の多様な選択をめぐる現状と課題」に移らせていただきます。こちらは全般的に言葉の整理をしてくださいという御依頼がありましたので、もともとのデータをとっている調査の文言に合わせるなどの調整を行っております。
 若干テクニカルターム的な文言につきましては、脚注で定義を示した方がよろしいのではないかという御意見を頂きましたので、3ページにありますところで、ロールモデルとかメンター、自己雇用者といった幾つかの言葉に脚注を付けて入れてございます。
 四角囲いの中の下から三つ目の○の最後の2行、「従来の男性・女性が就くことの多かった職業のイメージが、男子及び女子の職業選択に影響を与えるとの指摘がある」、ここは少し誤解を与えるような表現ではないかという御指摘がございましたので、もともとの調査のデータに忠実な書きぶりに直してございます。
 5ページ目、かなり細かい部分ですが、2「非正規雇用の状況」のア「現状」の最後のパラグラフ、「さらに、社会保険」の後に「医療保険・雇用保険・公的年金」と書いていたのですが、言葉の使い方としては厚生年金が正しいのだという御指摘が関係省からありまして、ここは直してあります。
 8ページの真ん中から少し下の部分、「希望・意識」の二つ目のパラグラフ、「研究者から見た女性研究者が少ない理由」というところで、当初、男女の能力差を挙げる研究者はほとんどいないというような書きぶりをしていたのですが、もともとの調査の項目に正確に、「女性が自然科学系の研究職への適性が低いことを挙げる研究者はほとんどいない」という表現に変えてございます。
 10ページの四角囲いの中の表現、関係省から用語の使い方を正確にということで、例えば「農林漁業者団体等及びその役員」というような用語を使ってくれという形で、少し表現ぶりの精査をしております。
 11ページの2「農業分野における女性の就業に関する希望・意識」の4行目から始まるところが若干分かりづらいのかなという指摘もありまして、「農業経営の中で女性が担う仕事に関する女性の意向」、女性が担いたい仕事と男性の意識、女性に担ってほしい、担うべきだと考える仕事については、女性の意向よりも男性の意識が高いという形で、表現ぶりを正確にしてございます。
 12ページの2の(1)の「教育訓練サービス市場の状況」でございますが、四角囲いの中には、教育訓練サービスの大半は民間が担っているということでございますが、具体的にどういうところが担っているのかが分かるように、本文の3行目では「株式会社、経営者団体等の民間が担っている」ということで、言葉を少し補ってございます。
 15ページの(3)「仕事を通じての職業経験・能力開発の現状」の四角囲いの表現を少し詳しく書き込んでございまして、「女性は部門間異動が少ない一方で、男性は幅広い実務経験を積む機会があり、部門間異動が役立つと考えている割合も高い」ということで表現を少し追加したのと、客観的な表現ぶりに努めるような形で修文をしてございます。
 二つ目の○につきましても、「男性は、女性よりも日常的に職場全体の管理的業務にかかわっている」という形に変えてございます。
 16ページの(4)「個人による自己啓発・生涯学習に関する現状」の四つ目のパラグラフ、「生涯学習は必ずしも就労を目的とした技能等の習得だけではないので」という文言から始まるパラグラフですが、生涯学習に関するデータの紹介は若干少なかったものですから、このワンパラグラフを丸々追加してございます。
 19ページの3「女性の多く資格を有する職種で、就業期間が短い状況」の最後の2行に、「このような女性が多く希望し、資格を有して就業している職種において、離職が多く、雇用環境に課題があると考えられる」ということで、課題に関する文章を一文追加してございます。
 22ページの1「施策の概要」の(1)の四角囲いの三つ目の○ですが、ここは少し分かりづらいという指摘もありまして、二つ目の文章、「女性の管理職割合は低い状況にあるが」という言葉を補いまして、「在職中女性の管理職育成を主たる目的とした訓練は行われていない」と少し表現を追加いたしました。
 これと合わせまして本文も、23ページの上から2行目の最後からですが、「現状において管理職に占める女性割合が低い水準にあり、女性は男性と比べ幅広い実務経験を通じて管理的業務に携わる能力を向上させる機会が少ないことに鑑みれば、女性の管理職育成のための教育訓練の充実は重要な課題であると考えられる」という文言を追加してございます。
 25ページの2「新規就農に向けた支援」の最後の一文、「また、農地保有合理化事業により就農に当たっての農地取得の支援もなされている」については、当初、後ろの就労とのマッチングの部分にこの一文を入れていたのですが、施策に関するメインの内容ととらえて良いのではないかという指摘がございまして、こちらの方に移してございます。
 (3)の四角囲いの一番下の○ですが、ジョブカフェの紹介の部分で、ジョブカフェ事業を一体的に行うという形の文言にしていたのですが、ここは1か所で行うということで、「ワンストップで行う」という表現ぶりが正確だということで、「ワンストップで行うジョブカフェ事業の取組も行われている」と表現を適正化してございます。
 合わせまして本文も、26ページの最後のパラグラフですが、「若者の就業促進等のため、厚生労働省と経済産業省が連携して『ジョブカフェ』事業を開始した」ということで、「ワンストップで行うもので、就労の意欲が高まり就職後も長続きしやすくなるという結果が出されている」としています。ただ、こちらのモデル事業は18年度で終了すると聞いております。
 27ページの一番下のパラグラフ、「『上』『横』『再』のチャレンジの種類から」の説明の部分ですが、一番下の「一方、農林漁業分野は」という、農林漁業分野の特徴的なところについて書いている一文がございまして、最初は「また」という文章の前に入れ込んでいたのですが、農林漁業分野だけ最後に特出しで一文触れたということが分かるように、後ろに文章をずらしています。
 29ページの3「男女別のデータ・ニーズの把握」の四角の最後ですが、こちらも若干詳しく説明しようということで、「教育・学習の分野では」の後に、「対象者を幅広く設定している施策が多く」という文言を追加いたしました。本文に合わせて追加しています。
 32ページの図表の中で、「目標を立てて達成度を評価」する事業として、キャリア形成促進助成金と、教育訓練給付制度もこちらに例示が挙がっていたのですが、いろいろ事実関係を精査しますと、目標を立てて達成度を評価しているという取組は行っていないということでしたので、教育訓練給付制度を削除してあります。
 33ページの(1)「関係府省間・府省内の連携」の最初のパラグラフの最後の3行、「このほか」以降、ヌエックでも取組をしていますということで、表現を追加してくださいというお申し出を頂きまして、その一文を追加してございます。
 35ページの言葉の使い方を、ハローワークという用語の使い方が一般化しているので、本文でも「ハローワーク」という表現に全部統一いたしました。
 四角囲いの中の最初の○の、ハローワークやマザーズハローワークとの連携の部分ですが、最後の部分、「再就職希望者のニーズ等に応じたより一層の取組が求められる」という表現ぶりに若干変えておりまして、もともとは「職業紹介はより確実に雇用に結びつくため一層の工夫が求められる」と書いていたのですが、客観的には、再就職希望者がこういうニーズを持っている、それに対応がどれだけできているのだろうかというところから取組を推進してくださいということで関係省といろいろ話を致しまして、このような書きぶりに変えてございます。
 36ページの(2)「雇用形態の多様化に対応した能力開発」の最初の○ですが、「事業主の非正規雇用者の職業能力の高度化を助成する方針である」、予算がつきまして、こういうことを今後やっていくということで事実関係を整理いたしまして、このような表現ぶりにしてございます。
 37ページ以降のコラムの部分ですが、先月御議論いただきましたときには、その後に続きます「今後の取組に向けて」の後ろに入っていたのですが、施策の現状と課題を紹介し、先進的な企業の取組を紹介し、今後のあり得べき姿という形で御紹介するのが、順番としては適切ではないかという議論がございまして、入れ込む順番を少し前にずらしてございます。
 中身につきましてはそれぞれの企業に確認をとりまして、このような形で掲載をしてよろしいということでご了承を頂いております。なお、西友さんの取組のところにつきましては、脇坂先生から、非正規という言葉は西友さんの中ではあまり使わないのではないかという御指摘も頂きまして再度西友さんに御連絡をした上で、パートタイマーという言葉で整理をさせていただきました。
 40ページ以降の「今後の取組に向けて」というところですが、ここは構成が大きく変わってございまして、2月に御議論いただきましたときには、「今後の取組に向けて」というところを、あり方・課題という部分と、各府省に積極的に取組を求めていく部分ということで二つに分けてございましたが、40ページの一番下の3行を御覧いただきたいのですが、「また、それぞれの項目ごとに、各府省において、当面、積極的に取り組むことを求める施策を四角囲いの中に例示した」と書いてございます。四角囲いの中に整理し直しましたのは、当面積極的に取組を求める、あくまで例ということですので、あり方とか課題といった本文の後にすぐ四角囲いで御紹介をした方が、例示だという趣旨がよく分かるのではないかということで、少し構成を変えてございます。
 四角囲いの中にあります取組につきましては、内閣府男女共同参画局において今後とも状況把握に努め、必要な対策を講じていく必要があるということで、しかるべき時期にきちんとフォローアップをすることを予定してございます。
 構成に関する変更点が以上でございまして、文章がどういうところが追加になっているかということでございますが、40ページですと、上から三つ目のパラグラフ、「こうした状況の中」というところから始まっているところですが、「はじめに」のところで修文したのと同じですが、正規雇用と非正規雇用の間に存在する能力開発機会の格差に加えまして、同じ正規雇用であっても、能力開発機会に格差があるという趣旨の文章を追加してございます。
 41ページの(1)「就業・起業や地域活動への参画につながる能力開発・生涯学習の実施」の最初のパラグラフの後半部分ですが、リカレント教育、専門職大学院などの活用につきまして、先月の専門調査会におきまして、表記をした方がよろしいという御意見を先生方から頂きましたので、ここの記述を追加してございます。
 その次のパラグラフの後半部分、農業の部分ですが、「『農業構造動態調査』等によると新規就農者に占める女性の割合は少ない状況にあるが、今後、農業従事者の大幅な減少が見込まれることから……女性の活躍が期待される」と書いてございます。
 先月の段階では、新規就農者が少ないとか、女性の割合が少ないという感じの書きぶりをしていたのですが、新規就農者の数の評価はいろいろなとらえ方があるということで、あまりこちらに書き込まないでほしいという要請が関係省からあったのと、さはさりとて女性の割合が少ないことはきちんと書きたいというこちらの意向がありまして、こういう調査によると、女性の割合は少ない状況にあるということできちんと書き込みたいということで調整を致しました。
 42ページの(1)の四角囲いの中でございますが、細かには御紹介しませんが、具体的な事業の中身を詳しく正確に書き込んでほしいという趣旨で若干、記述の追加がなされています。
 (2)「子育て等による就業中断期の存在も考慮した能力開発・生涯学習の実施」の一番下の「また、特に外出等に制約の多い就業中断期の女性に関しては」の後に、「能力開発機会を提供する際、育児、介護等に配慮した柔軟な時間設定や身近な場所での提供、託児場所の確保等が求められる」という文言を、御議論いただいた内容をもう少し具体的に書いた方がよろしいかと思いまして一文追加してございます。
 43ページの(3)「子育てや地域活動経験等をいかした職業能力開発の実施」の文章を少し追加してございます。例えば2行目、「企業では、いったん就業を中断したり、就業は継続しつつ仕事と生活の調和を図りながら子育てや地域活動経験等を積んだ者に対して、従来は必ずしも積極的な評価をしてこなかった。しかし、子育てや地域活動経験等からは、企業内での業務だけにとどまらない多様な価値観や幅広い視野、組織や肩書きにとらわれない人とのかかわり方や地域での生活者としての視点等が育まれ、社員資質の向上や能力アップにつながることにもなる」という表現ぶりを追加しました。
 44ページにお移りいただきまして、子育てとか地域活動経験が職業能力としていかされるいろいろな例を挙げてございますが、脇坂先生から、5行目ですが、「家事や子育てで培われる複数の業務を同時に処理する」能力は時間を管理する能力だという御指摘がありましたので、「時間管理能力」と明確に書いてございます。
 同じページの真ん中あたりの「子育てや地域活動経験等から培われる能力を」から始まるパラグラフですが、こちらは2月の専門調査会で、趣旨がよく分からないと、今日御欠席ですが、佐藤先生などから御指摘を頂いたことを踏まえまして、ほぼ丸々書き換えさせていただきました。「職業能力として企業が認識するためには、職業能力の適正な認定、評価が重要な課題である。子育てや地域活動経験等から培われた能力のうち職業能力の一部と評価できる能力はどのような能力かを分析し、再就職の面接の場や就業後の人事評価の場において、だれがどのような形で能力を判定するかなど具体的な場を想定して認定、評価方法を検討し、その情報を広く提供することが必要である。その際、例えば職場の人事評価においても、社員が仕事と生活を調和させながら家事、子育て、介護や地域活動等を経験することが、多様な発想や業務の効率化等の形で仕事にいかされているのではないかという観点を取り入れることが重要である」という形で書いてございます。
 46ページの(1)「男女別データの整備等の推進」の四角囲いの中ですが、具体的な男女別データの整備を、各府省に対して求めるところですので、各府省におきましてはなかなか対応がきかないということで、削除してくれという御意見を頂いた項目もあったのですが、最終的には表現ぶりを少し精査いたしまして全部、先生方からお求めがあった項目につきましては何らかの形でここに書き込むことにしてございます。
 具体的に若干補足をさせていただきたいのは「・」の四つ目、「テレワーカーの女性データの更なる充実に努める。(国土交通省他)」ということで、上の三つにつきましては男女別データの整備の推進を求めるということで、女性のデータをとっていない状況ですが、テレワーカーにつきましては女性のデータをとっていないということではなくて、専門調査会でもデータの御紹介を頂きましたが、女性のデータはあるけれども、クロス分析等をしていくと少しサンプル数が足らないので、統計的には有意なものとして公表できるようなサンプル数にない状況だというところを踏まえまして、「女性データの更なる充実に努める」ということではいかがだろうかと。「国土交通省他」と書いてありますのは、調査の項目の決定に、内閣府男女共同参画局においてもいろいろ御協力を致しますという話をさせていただいた経緯がありまして、「国土交通省他」と書いてございます。
 その次の「・」、農林水産省のところですが、当初、男性のデータを追加してくださいという形でお願いをしていた部分ですが、具体的に精査をしていきますと、男性のデータがないものは本当にごく一部でございまして、そのうちの一つには、例えば起業女性に関するデータがございます。家族経営で農業に従事しているお母さんが自分で食品を加工して道の駅で売ったり、そういう形で小規模で何か新しいものを始めるというものが想定されている。そういう方が大半であるということで、同じような形で就業する男性はほぼいらっしゃらないということなので、実際に男性の追加といってもサンプルがないので、そこは調査のしようがありませんということでございました。
 そういう状況でもありますので、「男性の追加に努める」という形で書かせていただきまして、その後に、「全体の中の女性の状況を、男性も含めた分析を行ったりして明確化するように留意してください」という形で書いてございます。
 48ページの4「施策を取り巻く制度・環境の整備」ですが、こちらは当初、監視・影響調査を開始しましたときに各省に対して示しました計画の分野に載っている施策の範囲から拡大した部分でございます。そういうこともありまして、掲載をすること自体、できれば削除してほしいというような御意見を具体的に何か所か頂いた部分でございますが、最終的には各省とやりとりをいたしまして、項目としては全部載せるということで納得をしてもらっているところです。
 具体的には(1)「能力開発・生涯学習と就労とのマッチングの推進」ですが、49ページの四角囲いの中を御説明させていただきたいのですが、(1)「就労とのマッチングの推進」のところで、ハローワークとの連携を、最初のパラグラフで書いてございますが、こちらは取ってくれ、なかなか難しいという御意見も多かったのですが、能力開発をするときに就労に結びつけることの重要性をきちんと理解してもらうということでやりとりをいたしまして、具体的な、例えばハローワークとの連携ということで言うと、職業相談を行うところで具体的に文言を追加したり、「計画的な再就職準備の支援を行う」というところの前に、先月の段階では「本格的な求職活動を開始する前の段階から」という言葉を入れていたのですが、そこに限定した読み方をしてしまうと、ハローワークはその段階からは対応できないという御意見も頂きましたので、そういう言葉を落とすような形で、就労とのマッチングの推進に取り組んでいきましょうということで御了承を頂いているという形になります。
 48ページにお戻りいただきまして、一番下の「また」から始まるパラグラフですが、こちらは、キャリア教育について書き込んだら良いのではないかと先生方から御議論いただいて追加した部分でございます。「求職期間も含めた職業生活の初期の段階では、まず職業観を育み、本人の希望する職務にいかなる能力が必要とされるかを知り、必要に応じてその能力を開発する機会を与えることが、本人が主体的に進路選択をすることにつながる。こうしたキャリア教育の実施は就労とのマッチングの推進につながるものである」ということと、「職業観や勤労観を身に付けたり希望する職務に必要とされる能力を知るための講座の提供、能力開発を行うための機会取得に関する情報の提供等が行われることが有効である」、「また」以降に、リカレント教育、専門職大学院の取組も紹介したら良いのではないかという御指摘もありましたので、最後の部分までが全部追加になってございます。
 最後の50ページの(2)「雇用形態に中立的な能力開発機会の確保」の二つ目のパラグラフですが、こちらは雇用保険との関係を書いていた部分でございます。先月の段階では、雇用保険に加入する方の範囲を拡大しましょうという中身を書いていたのですが、厚生労働省さんで今通常国会に提出しました法律に、そこまで踏み込んだ中身が今回入っていないということでしたので、「また」以降のところですが、「教育訓練給付の受給要件となる雇用保険加入期間の緩和を検討する」という中身が法案に入ってございまして、実際にやることになっているという取組を御紹介させていただこうという形で文章を修正しています。具体的には雇用保険の加入期間、今は3年ですが、初回の給付に限っては1年で良いではないかという内容が法案の中に盛り込まれていると聞いてございます。
 主だったところは以上です。
鹿嶋会長
皆さんから御意見を頂きたいと思いますが、今、事務局の説明がありましたように、関係府省との調整の中でかなり削除の意見があった箇所もございます。ただ、相当事務局が防波堤になってくれてかなり残したというのが率直な実態でございます。
 私たちの能力開発についての報告書は、例えば40ページに書いてあるように、いつでも、だれでも、どこでも能力開発に参加できて、かつ、それが女性のライフステージ、家族の状況変化によって女性のライフステージも揺れ動いたりしますので、そういう中できちんとした能力開発を受けるようなシステムをどう作るか、それが最終的には企業とか周辺に結びつくようなシステム装置をどういうふうにするかというのが私どものポイントだと思います。その大枠は外さない中でどういう報告書にするかを議論したいと思います。
 ただ、関係府省との調整はもう済んでおりますので、そこについての文言はさらにこうしろああしろというのはちょっと無理ですので、それは議事録にとどめるか、あるいはどうしてもというのであれば会長預かりにさせていただきますので、その件についてはあらかじめ御了承いただきたいと思います。
 「はじめに」の1「監視・影響調査の実施」でも幾つか訂正したり書き加えたものがありますが、1ページから21ページまでのレポートの中で、御意見があれば伺いたいと思います。
横田委員
多少全体にかかわることでもあるのですが、20ページにも出てくるのですが、幾つか問題提起だけさせていただきます。
 一つは、非正規雇用とか非正規職員という用語は避けるというようなことをおっしゃったような気がするのです。それでパートタイマーという表現。ところが、これは最初から非常にたくさん出てきているのですね。ですから、言葉の整理をしたいのですが、正規雇用、非正規雇用、あるいは正規社員、非正規社員というのはやっぱり使うのですね。その上で、非正規の方はパートタイマーと派遣が中心だというとらえ方でよろしいのですか。
鹿嶋会長
それについては大体議論しまして、この専門調査会としては使うという方向になりました。この議論を改めてするとすれば、例えば厚生労働省あたりでこの文言を変えるという議論が出れば、専門調査会でも改めてやる。ただ、一部流通業界の中には、非正規雇用という文言を使わないところも出ていますので、特にコラムの中で、西友につきましては、最初は「非正規雇用の能力開発」となっていたのですが、これを「パートタイマー」に変えると、この間の議論の中でそういうふうに決着をつけていますので、よろしくお願いします。
横田委員
私、前回欠席しましたのでフォローしていなかったのですが、なぜこのことを言ったかといいますと、ILOに、日本の状況についての報告書が提出されたときに、多くのILOの専門委員から、レギュラーエンプロインメントとイレギュラーエンプロインメントとは一体どう違うのだという質問が出たのです。イレギュラーエンプロイメントは英語で言いますと「違法な」「不法な」雇用になるのです。多分これは正規、非正規ということで、パートタイマーと、フルタイムの人を区別するのだという説明をしたら分かったのです。
 ということで、この言葉が外に出て行った場合に誤解というか、理解できない感じで受けとめられているものですから指摘させていただきました。ここの会議の整理で良いと思いますが、用語の使い方を考えた方が良いかな、英語に訳す場合のことも考えた方が良いかなということが1点。この点は結構です。
 それから全体として、この報告書はカタカナ語が非常に多いのです。これによって理解がしやすいのであれば良いのですが、普通の人の場合、分からない言葉も出てくるような気がします。今からどこまで改善できるか分かりませんが、国の文部科学省の国語審議会でも、外国語から日本語にしたものはなるべくそのまま使わずに、日本語でもう一度表現するということで、一律に、カタカナ用語はこういう日本語にするということも出ていたと思います。それをそのまま使う必要もないのですが、国の報告書ということからいうと、カタカナ表記が非常に目に付くような気がしましたので指摘させていただきます。
鹿嶋会長
気になるようなカタカナ語は、例えばどういうところですか。
横田委員
いろいろありますが、マネジメントサイクルとか、アウトカムも分かりにくいのです。分かっている人には分かるのですが。アウトカムが出てくるのは31ページです。全体としてものすごく多いという印象です。たとえば「再チャレンジ支援ポータルサイト」、本当にこういうふうに言った方が分かるのかなという疑問があります。これは33ページですが、そんなことが気になったということが、全体的なことですので、一緒に指摘させていただきます。
 もう1点お伺いしたいのは、ハローワークとの協調がいろいろ出てきています。これは大事だと思っていますが、しばらく前に新聞で、ハローワークの民営化の話が出ていたのです、コラムで小さく。
 仮に民営化が進むと、ここで書いてあることはどういうふうになるのか、私にはイメージが描けないのです。今のハローワークを前提にすれば、ここに書いてあることは全部いいと思います。そうであって良いと思っていますが、民営化するということになるとどういうふうになるのかちょっと分からないのです。
 お役所の方ではそのことは分かっていらっしゃると思いますので、説明していただければと思います。
鹿嶋会長
最後の点について後で事務局からもコメントを頂きますが、聞いた範囲では、民営化を十分考慮して、ハローワークのところの文言調整が出ていますので、それを考慮した上での文言調整が入っていると聞いています。
 補足があれば説明してください。
栗田調査官
二つ目のカタカナ語のところと、今のハローワークのところと両方補足させていただきますが、カタカナ語が多いという印象を持たれるのは御指摘のとおりかなと思いますが、ポータルサイトなどですと、具体的な固有名称になっていまして、アウトカムにつきましては、最初に出てくるところに括弧書きで説明をつける。ロールモデルとかメンターとか、定義がきちっと決まっているようなものにつきましては脚注を付けるという形で、先月の専門調査会でも御指摘を受けまして、対応できる範囲はしたところですが、マネジメントサイクルというのは何も付いていませんし、そういった意味で、まだ気になる言葉が残っている可能性もあろうかと思います。ページをめくっていただいて御指摘いただければ、ここに(定義が)付いていますとか、これはまだ付いていないので考えますということで精査させていただきたいと思います。
 ハローワークにつきましては、今回の監視・影響調査の報告書で取り上げること自体に関して、関係省でも否定的な見解が結構強かったというお話をさせていただきましたが、その背景に、民間開放といった議論の波にもまれているところも関係があろうかと思っています。
 そういうところも含めまして、最終的に民間開放しましても、現状のままの組織であっても、様々なところと連携をしながら、利用する方が使いやすいようにしていくのだという考え方自体は変わらないという理解でおりますが、民間開放の議論も念頭に置いた上でやりとりをさせていただいて、今の文言になっております。
鹿嶋会長
括弧書きの注1が、例えばアウトカムであれば、最初に出たところはあるけれども、2番目以降はないのだよね。章が変わってまた出るとか、何か入れた方が良いのかな。全部に出すのはうるさいでしょう。1回で良いですか。
神野委員
マネジメントサイクルは日本語に訳してもかえって難しくなりますよね。常識で判断しないと、敵性言語を使うなと言っても、スキーを雪上滑走板とか、ギターを肩抱えつまはじきって訳したわけですよ、戦争中は。そこまではできないので、ある程度の線で、この間も議論したように、注を付けたりすることで。かえって難しくなる。
 我々はいつも見ている言葉だからかもしれませんが、こちらから見ると、何を言ったのか分からなくなる可能性もあるので、これはこれでいかしていただいて、強いて言えば、注を付けるか、前後にちょっとした解説を導入するぐらいで良いのではないかと思います。
矢島分析官
カタカナ語が多いという御指摘を頂きまして、確かにそうだと思いますが、報告書の性質上の問題もあります。前半の1章の部分は、既存の様々な調査データを元に整理しておりまして、元の調査で使われている言葉はなるべくそのまま使うようにしておりますのでそれは変えられないということと、2章の部分は既存の施策を対象にして整理しておりまして、先ほどおっしゃったポータルサイトのようなものも、施策でそういう名称が付けられているようなものが結構ありまして、そういうものは基本的に変えられないというところがございますので、全体にそういう印象を持たれたのかと思います。統一しがたいところもありまして、読みにくい部分もあるかと思います。
鹿嶋会長
大変大事な点だと思います。ほかにお気づきの点で、これだけは是非とか指摘してください。
 ほかにございましたら。
山口委員
前回はお休みしまして失礼しました。あるいは御議論があったのかもしれませんが、ボランティアというと、社会的貢献、無報酬でという言い方をしますが、全然定義がなくて良いのかどうか。実にいろいろな解釈があるのですよ。
 ボランティアをやっていて、交通費、お弁当代をもらってのボランティア、全くないのとか、最近、組合なんかから言われるのは、ボランティアというのは安く労働力をたたいているからとかいろいろ言われるので、定義をどこかで押さえておく必要があるのじゃないかと思いました。
 資料の77のところですが、「スタッフの構成」云々と書いてありまして、いろいろな種類が左の方に書いてありますね。これをボランティアとして想定されているのでしょうか。
 ボランティアの範囲って大変広いですよね。
 本文の11ページのところですが、「ボランティア活動をする人は、女性は主婦、男性は退職者が多い。女性中心の団体の多くは小規模財政である」と書いてありますが、ボランティアの定義の必要があるのじゃないだろうかと思いました。ボランティアというのはどういう範囲なのか、そこまで書き切れるかどうか分かりませんが、少なくとも資料の77の例示がそうなのかなと思いました。
鹿嶋会長
ボランティアの定義まではきちんと議論はしなかったのですが、そこまで書くとページがかなり食いますね。
矢島分析官
資料の77に関して申しますと、ボランティア・地域活動と設定しておりまして、ボランティアと地域活動は重なりがあるわけで、そういう意味で全体が市民活動という範囲だと思います。その中に有償ボランティア、無償のものなどもあると思いますし、そこを厳密にボランティアとする、例えばボランティアと地域活動の線引きなどは、少し難しいかと思いますが。
山口委員
あんまり長く解説を書かなくて。本来的には有償ボランティアっておかしいのですよね。平気でやっているところがあるのですよ。
鹿嶋会長
ワーカーズコレクティブもボランティアの範囲に入れる人もいますし、難しいですよね、それがおかしいという議論をここでやるのは。だったら、むしろその辺の定義はせずに、ボランティアでいってもらった方が良いと思いますけどね。
神野委員
日本は厳密に言うと、先生御指摘のように、ボランティアが有償ボランティアとかいろいろ変になっているので、ごく常識的に触れない方が良いのじゃないか。
 日本人はボランティアをする人が少ないので、小学校のうちから強制的にボランティア活動をさせろと。だから、詰めていくとおかしいので、ここは漠として常識的に考えていただくということで。
山口委員
ボランティアとだけ書いておいた方が良いというわけですか。
神野委員
定義をやっていくと、日本のボランティアの中には様々なものが入ってしまっているので、定義上、これはボランティアじゃないとやっていくことを議論したりしなくてはいけないので。
鹿嶋会長
はじいてしまって、市民活動の意欲をそぐことになりかねないですしね。
山口委員
ボランティアが多様に解釈されるので気になって仕方がなかったのですよ。
 ここではスタンスを明確にした方が良いかなと思いました。しかし、皆さんがそういう御意見ならばそれで良いのですが、「ボランティア活動をする人は、女性は主婦、男性は退職者が多い。女性中心の団体の多くは小規模財政である」と書いてあるのですね。主婦だったのですよ、高度経済成長期は。しかしながら、今は主婦がいなくて、しかも高齢化して、自分の社会的視野を広げ、社会的な貢献をしようという人たちが無償でやることが少なくなってきて、むしろ危機なのですね。
 ですから、多くは小規模財政であり、高齢化であり、少なくなっているくらいのことを書いていただいた方がはっきりすると思います。
鹿嶋会長
この文章はデータに基づいているのでしょう。データの何ページですか。
矢島分析官
75からです。ボランティアの状況ですが、行動者比率でいうと若干増えていることにはなっているのですが、これは高齢化の影響等もあると思いますが。
山口委員
専業主婦で担っていたボランティア活動が崩壊です。パートタイムの方たちは疲れますし、土日があるから、働いている人たちがボランティア活動をするかといったら違いますよね。
 かつては花金と言って、花の金曜日と言ったけど、今は花木になっていて、ボランティアじゃない、自分の趣味生活ということになって本当に変わってきていますよね。
鹿嶋会長
76ページの図表1-1-146を見ると、主婦、定年退職後の人、男性が多いのでしょうけれども、これが多いことは確かなのですね。この調査が平成13年度なので、今はどうかというと、多少のギャップはあるのかもしれませんが、データに基づいて文章を書くとするとこういうふうになってしまうのですよね。
 でも、山口さんのおっしゃることはよく分かりますけどね。専業主婦の若い人がボランティアに参加しないというのはよく分かりますが。
大沢委員
年齢構成が変わってきているのですよね。
神田委員
細かいことを言うと、主婦という言葉も。資料には「仕事を持っていない」と書いてあるけど、主婦って何?って。
山口委員
かつてアンケートを書いているときに「専業主婦」があったのですよ。文句言われたらしくてなくなって、最近は無業になったのだけど、どうなのですか。
神田委員
就業じゃないという意味でしょう。
鹿嶋会長
その議論までやるととても終わりませんので。
神田委員
ボランティアは、ボランティア活動、社会活動、市民活動全部を包括しているというとらえ方をする。それはNPOがまた重なるからね。
山口委員
皆さんがそうおっしゃるなら。簡単なコメントもつけられないわけですよね。
鹿嶋会長
考えさせてください。
神田委員
NPOにつながって、起業みたいなところにつながっていく。
畠中委員
この報告書はかなり力作でして、読むのに大変時間がかかったのですが、内容的には、これまでの議論の積み重ねだと思いますので、特に意見はありませんが、私は前回から参加しまして、正直言って、この分野ではまだ素人でございます。
 この文章は、専門家の先生がお読みになれば分かるのですが、素人が読んで分かりにくいところがありましたので、素人が読んだ感想だということでお聞きいただければと思います。
 まず1ページの監視・影響調査の実施のところで、下の3行で監視と影響調査を説明しておりますが、このとおりだと思いますが、共同参画の視点から、施策を改善すべき点を明らかにするという影響調査と書いてありますので、監視は、施策の改善すべき点を明らかにすることの要素はないと読めるのですが、それで良いですかというのが1点。
 2の「視点及び経緯」という表題ですが、中身は経緯ももちろん書いていますが、視点と問題意識が書いてあるのですね。表題がこれで適当かどうか。
 8ページの中ほどで、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校の順に多くなって」いると書いてありますので、高等学校の方が数字が高いのかなと一瞬誤解したのですが、よくよく考えてみると、幼稚園の方が高くて、以下順に、高等学校にいくに従って低くなっているということですので、これは私の読み間違いだということに気がつきました。資料を見るとよく分かります。
 金額が書いてありますね。10ページが15万円、12ページは30万円、14ページは3万円、読んでいて年額か月額か、30万円というのは、年としたら多いのか少ないのか、専門家が見ればすぐ分かると思うのですが、一々資料を見て確かめたということです。
 8ページ、非定型者(登録ホームヘルパー)、こういう使い方で結構ですが、14ページで「役ありと役なしの差が大きい。非典型ほど受講率も高いが」と、非典型というのが出てくるのですが、これがよく分からなかったですね。
 以上、素人が読んで疑問に感じましたということです。直してくれということではありません。
鹿嶋会長
非典型が出てくるのは、調査が非典型を使っているから出したのですか。
矢島分析官
そうです。非典型は最初に出てきたところで、注を忘れて落としていたのですが。
鹿嶋会長
非正規と、調査によっては非典型という言葉、例えば連合は非典型を使っていますが、調査によってかなり複雑なのですね。調査の言葉どおりを引用しているということなので、非典型については説明を入れたいと思います。
 監視・影響調査、監視も、問題点を明らかにするだけではありませんので、そういうふうに読めるのであれば、1ページの表現も変えたいと思います。
栗田調査官
こちらの表現、中身的には、例えば監視ですと、このパラグラフの4行目に、内容の進捗状況等を評価するという、評価の中身に改善すべきところがあれば改善を求める、ということで、評価の一部に含まれるのかなという理解でいるのですが、ここの文言は監視の実施方針、参画会議で決まりました、監視はこういうもので、こういう手順でやりますというところに書いてある定義の言葉をそのままとってきています。影響調査につきましては、影響調査の出した報告書の中に定義めいた言葉がありまして、その言葉をそれぞれつなぎ合わせているので、お読みいただくと、監視の方に、改善点を明らかにするという趣旨は明確に出てこないような感じで、誤解を生じさせてしまったかもしれないのですが、中身的には監視も、評価するという部分の中に入っているという理解でいます。
鹿嶋会長
改善すべき点は明らかにしますので、その文言は分かりやすくした方が良いかもしれない。
 私も読んでいて、「鑑み」という表現が結構出てくるのですね。鑑みなんて言われると、えっと思うわけですよ。そういう積み重ねも、全体としての分かりにくさにつながるのかもしれないので、どこでも、だれが見てもというのがこのテーマですから、この報告書も、どこでも、だれが見てもという報告書なので、文言に気をつけていった方が良いかもしれませんね。ありがとうございました。
横田委員
19ページの3「女性が多く資格を有する職種」、この言葉は少し分かりにくいですね。中の方も見てみたのですが適切じゃない。「女性が多く資格を有する職種」というのは、一つの文章としては意味が分かりにくいと思います。ここで言っていることは、「女性の多い業種は同時に、資格を有する人が働く場でもある」ということですね。それを短く言うとどうなるのかなと、先ほどから考えていて分からなかったので、指摘だけさせていただきます。工夫していただけば良いと思います。
鹿嶋会長
考えさせてください。おっしゃるとおりですね。19ページの3の表題を考えます。
神田委員
16ページの自己啓発という言葉ですが、これはどこかの調査が言っているのですが、広い意味だから、この前に何か付けた方が良いのではないか。これは自分でお金を出してやっている学習ですよね。
 資料の中にあるかなと思ったら、自己啓発は自己啓発で出てくるのです。前の方に少しでも付くとね。
鹿嶋会長
自己啓発は分かりにくいですかね。
神田委員
意味するところが広いですもの。この場合には自分で主体的にということ。
 どういう言葉が良いのか。
鹿嶋会長
本文で少し考えましょうかね。ありがとうございました。
神野委員
僕はどちらでも良いと思いますが、どちらでも良いと思って妥協すると、後でとんでもない解釈を、特に厚生労働省は付ける場合があるので、社会保険とありますが、医療保険、雇用保険、公的年金と書いておいたら、フェーズが少し抽象度が高いので、具体的なレベルで表現して、相違があるものは雇用年金、つまり正規と非正規があるのは雇用年金だから、具体的なレベルで書いてほしいという意味ですよね。公的年金を厚生年金と書けという意味は。
 5ページの「さらに、社会保険(医療保険・雇用保険・厚生年金)」と書いてあるのを、もともとは公的年金と言っていたのだけれど、それだと非常に抽象度が高いレベルで書いているわけで、具体的なレベルで、年金制度は分立しているのだから、そこはもう少しフェーズに落として書いてくださいという要請ですよね。そういう理解で良いのですね。そのほかに他意はないのですね。
 というのは、医療保険の方も同じことが生じると思うのです。なぜ、こちらは良くて年金は、その結果として、書く抽象度のレベルが不均一になるわけですよ。これは何か政策的な意図が、僕なんか、あるのじゃないかと勘繰りたくなるのですが、そういうことはないのでしょうねということを確認しているだけですが。
鹿嶋会長
それは事務局も答えられないでしょうから預からせてください。難問なので。
 下の方は正規職員で良いのですか?
栗田調査官
調査データの紹介で、調査で非正規職員と。
鹿嶋会長
公的年金の場合は非正規職員でも違和感がないのだけれども。
神野委員
何でここだけこだわるのか分からない。意図がね。ぎりぎりの交渉をされているので、微妙なことがあるのであれば、それはどうでもいいので、どうでもいいと言っていいのでしょうねと。
鹿嶋会長
答えるのが難しいので預からせてください。
 皆さんの問題提起は全ページにわたって、特にこれからの問題、目次で見ると、今後に向けて、40ページ以降は大変大きな問題だという気がするので、特に関係府省が大いにチェックしてきたところですので、報告書の全ページにわたって疑問、質問があれば出してください。
袖井委員
36ページの(2)の囲みの中ですが、「ライフスタイルや雇用形態の多様化に対応して、事業主の非正規雇用者の職業能力の」、「の」がいっぱい続けてとても分かりにくい。「事業主による」とかそういうふうに。
鹿嶋会長
「事業主が」でいいですね。
袖井委員
そうですね。横田委員がおっしゃった、この辺もカタカナ語が多いけど、このあたりはまとめて処理していただけるわけですね。
鹿嶋会長
全部対応できるかどうか分かりませんが、気になるところがあれば改めて対応します。もう固有名詞になっているものもあって、そこまで日本語に置きかえると、日本語を編み出すのが難しくなって。
袖井委員
でも、必ずマスコミはそういうことを言いますよね。
横田委員
45ページのカタカナ文字で、その前にも出てきてはいるのですが、ロールモデルというのが、読んでみてよく分からないのですね。この言葉で本当に良いのか、問題提起したいと思います。
 その前のページにあるマインドアップという言葉も、むしろ日本語の「意識啓発」の方がずっと分かるのですが、これはマインドアップでなければいけないのかなと。43ページの下から3行目に能力アップとあるのですが、これは「アップ」でなくて「向上」で良いかなという気はするのですね。そんなことに気が付きましたので指摘させていただきます。
鹿嶋会長
ロールモデルについては、例えば45ページで言えば、最初に出てくるのが(4)の上から3行目、「身近にロールモデルがなく」、身近に女性の生き方のモデルになるような存在、すなわちロールモデルがと。
栗田調査官
ロールモデルは3ページの脚注の1に定義をしております。
鹿嶋会長
いいですか、横田委員、ロールモデルは。
横田委員
言葉の意味は分かるのですが、「ロールモデルの育成」というのがよく分からないのです。そのつながりがイメージとして描きにくいのです、私の頭の中では。
栗田調査官
ロールモデルとなるような社員、女性を育成する。お手本になるような人をまず育成して、その人を目標に、若い人が頑張るということなのですが。
横田委員
「ロールモデルとなるような女性の育成」と言えばよく分かるのですが。
鹿嶋会長
それを入れましょう。
横田委員
そうしてください。それなら分かります。
山口委員
確かにカタカナというのはきちんとしておかないと後で恥をかくのですよね。
 95年に、私どもの北京の会議のときに、ICTなのだ、ITではないのだと言われていて、あれから10何年たったら、ここにICTと書いてある。外国でもICTですね。ITなんて言葉は日本語ですよね。ちゃんとしておいた方が良いと思いますね。10何年遅れて。
鹿嶋会長
マインドアップですが、これはずっと議論になってきたところで、事務局で、マインドアップについて説明してください。調べたことを。脇坂先生からもそういう指摘があっていろいろ調べたと思いますが。
栗田調査官
脇坂先生から、心理学に詳しい方に言葉を精査して頂いた方が良いのではないかという御指摘も頂いたのですが、どういったところに使っているのか、事務局にありますいろいろな報告書やホームページで検索した範囲で御紹介いたしますと、ヌエックの方でやっております調査の報告書の中で、マインドアップという言葉を、同じような意味合いで使っているものがあったり、ホームページレベルでいろいろ検索を致しましたところ、民間の研修を提供しているような企業がマインドアップ研修講座ということで、こういうメニューをやっていますと御紹介しているものがあったり、男女共同参画センターがいろいろやっている講座とかセミナーの中で、マインドアップと銘打ったものが見当たるということと、特許庁さんでやっていらっしゃるイベントの中に、マインドアップのためのセミナーというものがあったりということでございます。また、文部科学省さんのいろいろな説明の資料の中にマインドアップという言葉が出てきたものを見たことがございますが。
神田委員
国立女性会館が行った、日本、韓国、ノルウェー、アメリカの4ヶ国を比較した「女性の生涯学習とエンパワーメント」の調査によると、欧米型は、資格を取ってキャリアアップしていく、そのための学習が多いのです。ところが、特に日本の場合には、それよりもむしろ自信をつけて意識を高めるとか、そういう志向が非常に強くて、非常に対照的な形で出てきたわけです、生涯学習の意識が。それをマインドアップとしたわけです。これは韓国で開かれた女性学の国際学会でも発表いたしました。
鹿嶋会長
日本の場合は自分で何をしていいか分からないというレベルなので、それを表す言葉としてどうかなということのマインドアップですが、爪をつけていることからもお分かりのように、私ども最後まで、この言葉をどうするかという議論はしてきましたが、そういう趣旨を踏まえてこの言葉を出してきたいきさつがあります。よろしくお願いします。
山口委員
確かにやたらにありますよね。例えば職業能力意識啓発講座なんて言っても来ないのですよ。マインドアップ講座とかしないと。そういう国になってしまった。横文字がすてきだと。英語がだめだったらフランス語ですよ。フランス語がだめだったらギリシャ語とかね。とっても嫌ですね。みんなそうですよ。センターの名前をつけるのなんか競争ですよ。
神田委員
評価とつながって、アウトプットとアウトカムという言葉が出てきますでしょう。アウトプットとしてはどうなのか、アウトカムとしてはどうなのか、具体的に示すことが求められる。それは非常に難しいですね。
山口委員
大学の先生とジャーナリストが悪いのですよ。きちんと英語をやっていらっしゃる方は気になるでしょう。
神田委員
評価のときの具体的な内容として大変難しいです。
鹿嶋会長
皆さんの御不満は十分に分かります。
山口委員
私も使いますけどね。
渡辺教授
マインドアップという言葉は自己啓発で良いのではないかと思っていましたが、今、いろいろな御議論があったことが分かりまして、お任せいたしますが、もう一つ、27ページで、これも御議論いただいたのかもしれませんが、私、休んでおりましたので。「上」「横」「再」のチャレンジの種類から施策を見る流れが書かれていて、女性のキャリアを「上」と「横」と「再」という形で見ていくのはとても画期的で、すばらしい視点だと思っております。
 よく読むと、「上」だけがキャリアアップになっていて、「横」と「再」はチャレンジなのですよ。もともとキャリアアップという言葉自身が和製英語ですから避けたい言葉ですが、これだけはマインドアップよりは流行していますから使うことは良いのですが、「横」も「再」も、その意味ではキャリアアップなのですよ。27ページから28ページにかけて、「上」の方をキャリアアップと言い、「横」と「再」は普通の日本語がついている、この区別は避けた方が良くないかなと。「上」の方は、例えば昇格とか昇進と言い、全体を含めてキャリアアップとかキャリア形成促進と言う方が理屈には合うのではないかと思って、そこだけが気になりました。
鹿嶋会長
趣旨はよく分かりました。おっしゃるとおり、「再」も「横」もキャリアアップだろうと言われればそのとおりなのですよね。ただ、もう少し直接的な意味でのキャリアアップと言えば上なのですね。
山口委員
チャレンジのときに、「上」「横」「再」のとき議論があったのですよ。私は「上」というのは気に食わないと思っていたのですが、それを言ってしまうとメチャクチャになってしまうから整理されましたが、議論がありましたよね、どういうふうに表現したら良いか。
鹿嶋会長
その議論までやると、元に戻っちゃうから。
渡辺教授
できれば全体をアップにしていただくと良いなという思いはあるのですが、それは私のあくまでも感想です。
鹿嶋会長
それもここでの議論は難しそうであれば、また会長預かりで。全部会長預かりですみません。
山口委員
「上」「横」「再」はすでに議論があったわけですから、「再」というのは途中での、一時職業を離れた人たちにチャンスを与える。「横」は、いろいろな分野に行ける土台を作るという分け方ですよね。
鹿嶋会長
もちろん分かっていますよ。全部に含まれるというのは、再チャレンジでも、管理職店長とかパート店長とかいろいろいるでしょう。そうするとキャリアアップに入ってきますよ。そういうことまで含めると全体にかかわるのではないかという渡辺委員の指摘はそのとおりなのですね。
 ただ、限定された意味だと、上のチャレンジの表現なのですよね。特に20・20・30計画なんてありますので、上というのは非常に大事なキーワードではあるのですが、キャリアアップという言葉で、そこだけで使うのはどうかというのが今の趣旨なので。
渡辺教授
もったいないような気がします。
鹿嶋会長
ほかに良い表現があれば考えますが、御指摘として伺っておきます。
脇坂教授
事務局から各省庁との擦り合わせが大変だというときにこんなことを言うのもあれですが、変わらないということを前提でしゃべります。
 49ページの「雇用形態に中立的な能力開発機会確保」の中に、社会保険として雇用保険だけが挙がっています。しかしながら、皆さん御存じのように、130万円問題は非常に大きいわけでして、130万円という壁がありますから当然、パートタイマーを初めとするいわゆる非正規の人たちがいろいろな能力開発機会を受けられませんが、明らかにあれは疎外をしているわけであります。だから、むしろそちらの方が雇用保険よりも大きくて、実際の企業の現場で、いわゆる非正規の人たちを、OJT、OFF-JTに関するものがないですから、本当は年金、医療の130万円問題は大きいということを、文章は変わらないことを前提として発言させていただいて、そういう意見があったということをできれば議事録に残していただきたい。
鹿嶋会長
ありがとうございました。議事録にきちんと残しますので。私もそのとおりだと思っていますが、議事録に残します。
横田委員
30ページの5にアウトカムの説明が書いてあるのですが、ここのところをもう少し工夫した方が良いと思います。直すとすれば、「政策の実施によってどのようなこと」ではなくて「成果」、どのような成果がもたらされたかというのがアウトカムで、アウトプットは、何回こういうことをやりましたという、会議をやりましたというだけのことがアウトプットなのです。その違いをはっきりさせた方が良いと思いまして、そこを加えると少し良くなるかなと思います。
鹿嶋会長
「政策の実施によってどのような成果がもたらされたか」ですね。
横田委員
これだけ会議をやりましたとか、こういうことをやりましたというのはアウトプットであって、いくらやっても効果がなければだめなのですね。効果が実際に出てきたときにアウトカムがあったと見るわけですね。
鹿嶋会長
ありがとうございます。ほかにお気づきの点があればどうぞ。
畠中委員
46ページからの政策提言のところで、「留意する」という言葉が幾つか出てきますが、あえて聞きますが、省庁との折衝の結果ということですか。それとも特に意味はないということですか。
栗田調査官
具体的にこういうところの取組をということで議論が深まったものについてはもっと具体的に書いて、専門調査会の中の御議論では、そこまで具体的な御議論に至るというよりは、全体的な方向性としてそういう御意見だったかなというところに「留意をする」という言葉をつけて、各省との間でやりとりを致したという経緯がございます。
畠中委員
よく分かります。私も官庁文学を駆使した方ですから。
神田委員
今のところですが、「委託事業の場合、委託先との契約時に、事業に関連する男女別データの取得を条件に盛り込むよう」、「盛り込む」というのは、一つを例を挙げていただくとどういうことになるのでしょうか。具体的なイメージが全然湧かない。
矢島分析官
例えば、事業について、参加者についてのデータを男女別にとって報告を上げてくださいというようなことです。
神田委員
女性だけやった場合には出てきませんよね。
矢島分析官
その場合はそうだと思いますが、その場合、参加者何人ではなくて、参加者はすべて女性で何人と明確にしていただければ良いと思います。
鹿嶋会長
46ページの箱のところは大分変わったところですね。
栗田調査官
変えたのは、先ほど御紹介しましたテレワーカーと、農林水産省のところの表現ぶりを変えただけで、あとは変えてございません。
鹿嶋会長
今、皆さんから意見が出ましたので、さっきから私、会長預かりを乱発していましたが、一応会長預かりとして、修正を踏まえた上で次回の男女共同参画会議にかけたいと思います。
 神野委員から出た5ページの厚生年金のところは厚労省にもう一度聞いて確認してください。ここの文言がどうなるか未定ですが、確認だけはするように致します。
植本委員
今おっしゃっているところですが、厚生年金をやるのだったら、医療保険は違う表現になるだろうと思うので、どちらでもいいので向きをそろえてほしいと思います。
脇坂教授
おそらくデータが、例えば公務員共済のときに、いわゆる非正規の人たちの率とかがきちんとないと思います。僕は一度調べたことがあって、そういうところがわりと難しいのです。データにそろえていくと。ここに書いてあるのはデータの話ですから。
 そうでなくて、全体の社会保険をどうすべきかというときは良いと思いますが、データに合わせるとこうなるのかなと。違うのですか。
池永調査課長
資料の13、14で、こちらはもともとの医療保険・雇用保険・公的年金と書いたのは、これに沿って書いていたものです。その後年金のところを直したのですが、そこは確認をします。
脇坂教授
聞いてみれば良いのです。
栗田調査官
データに合わせるような形でということで精査を。
鹿嶋会長
そこはそうしてください。繰り返しになりますが、会長預かりとしていただいて、皆さんの御意見を踏まえて、修正を加えるべきところは加えます。次回の男女共同参画会議に、本調査会報告として報告させていただきますが、そういう手順でよろしくお願いします。
 男女共同参画会議に報告する報告書については、年度末を目途に皆さんに送付させていただくことに しております。どうぞよろしくお願いします。
栗田調査官
年度末までに皆様に、会長預かりとさせていただいた部分を精査させていただいて送付いたしますが、それとともに、専門調査会の今回の報告書ということで公表させていただきたいと考えておりまして、鹿嶋会長もそれでよろしいと。
鹿嶋会長
男女共同参画会議にかける前に記者会見をしまして、私どもでこの議論をした中身について発表する。広く周知して、これは大変大きな、大事なテーマだと思いますので報道していただくということですね。それも御了承ください。よろしくお願いします。
 ほかにございますか。
畠中委員
大変大事なことで、各府省で真剣に取り組んで実施していただきたいのですが、フォローアップはどうされるのかということをお尋ねしたいのですが。
栗田調査官
具体的には先生方にも御相談させていただきたいと思っておりますが、前回出しました、職務指定に関する監視の意見決定につきましては、出しました後、半年程度でフォローアップを致しました。今回のテーマにつきましては、タイムスパンがそれより長いのかなと思っておりますので、1年とか2年とか、具体的には御相談したいと思いますが、さはさりとて3年とか5年とかそれほど先にはならないうちにフォローアップしたいと思っております。
鹿嶋会長
事務局から連絡事項がありましたら。
栗田調査官
本日の資料の取り扱いにつきましては、最終的に年度末目途に公表ということですので、それまでは案ということで、先生方限りということでよろしくお願いいたします。
 本日お配りしました議事録、17回のもの、皆様のチェックが終わったものを資料1として配付してございます。こちらはこのまま公表させていただきたいと思います。参考3としてお配りしました前回18回の議事録ですが、修正等御意見がございましたら、23日までに御連絡いただければと思います。
 本日、参考1の報告書案、ざっと御説明させていただきましたが、お帰りになりましてお気づきの点がありましたら、大変恐縮ですが、週明けの20日の正午ぐらいまでに事務局まで御連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
それでは第19回の監視・影響調査専門調査会をこれで終わりたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

(以上)