監視・影響調査専門調査会(第18回)議事録

  • 日時: 平成19年2月14日(水) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 植本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 佐藤委員
    • 神野委員
    • 袖井委員
    • 畠中委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る監視・影響調査報告書の取りまとめに向けての審議
    • (3) 閉会
  3. 議事録
鹿嶋会長
おはようございます。お忙しい中、お集まりくださいましてありがとうございました。
 ただいまから、男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第18回会合を開催させていただきます。
 本日は新たに専門委員に任命されました日本労働組合総連合会副会長の植本眞砂子委員及び社団法人 行政情報システム研究所理事長の畠中誠二郎委員のお二人が初めて御出席されますので、一言御挨拶をお願いしたいと思います。まず、植本専門委員からよろしくお願いします。
植本委員
植本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
畠中委員
畠中でございます。よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
それでは、本日の審議を進めさせていただきます。あらかじめ事務局より御連絡させていただきましたとおり、本日は、「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に関する施策」について、昨年、第17回専門調査会にて委員の皆様方に御議論いただいて公表いたしまた、報告書の骨子や盛り込むべき論点の整理を基に作成した報告書案について、審議を行いたいと思います。
 まず、事務局から報告書案について説明いただきます。よろしくお願いします。
栗田調査官
それでは、報告書案について御説明させていただきます。席上に配布させていただいております資料の参考2を御覧いただけますでしょうか。その前に参考1という1枚紙のものがございますので、その2種類を使って説明させていただきたいと思います。
 参考1が、昨年までに先生方に御議論いただき取りまとめさせていただきました今回の監視・影響調査報告書の論点(中間整理)でございます。こちらは年末までに、先生方に御連絡いたしましたが、ホームページにも載せて公表いたしました。こちらの中間整理を基に御議論いただいた内容を文章化したもの、こちらが参考2になります。本日は参考1の中間整理と文章化した参考2を対比しながら、説明をお聞きいただければと思います。
 参考2、分厚くなってございますが、大きなクリップを一つ外していただきますと、文章のものと参考資料と2点セットに分かれるかと思います。参考資料の方は御参考まで後ほどゆっくり御覧いただくことにしまして、本日は文章の方を中心に御説明させていただきたいと思います。
 一番最初に目次とございますが、こちらで年末に御紹介しましたとおり「はじめに」という部分と「一、 女性の多様な選択をめぐる現状と課題」「二、 能力開発・生涯学習施策の現状と課題」「三、 今後の取組に向けて」という部分の中を二つに分けまして「1 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習の在り方・課題」「2 多様な選択を可能にするための能力開発・生涯学習施策の今後の取組」といった形で順番に作ってございます。
 中間整理も同じような形で、左上、右上、真ん中、下というふうに箱で整理をしてございましたので、併せて御覧いただければと思います。
 1枚おめくりいただきまして「はじめに」から順に文章をなぞりながら簡単に御紹介させていただきます。
 1ページ目の「はじめに」の部分ですが、まず最初に「監視・影響調査の実施」ということで、男女共同参画の施策の推進を図っていくことが重要であるという話ですとか、男女共同参画基本法の監視と影響調査の根拠条文の御紹介、監視と影響調査は、平成16年7月に設置されたこの監視・影響調査専門調査会において調査・審議をしていますというような事実関係をまず1のところで述べております。
 1ページ目の真ん中に「2 今回の監視・影響調査の視点及び経緯」ということを御紹介させていただいていますが、こちらは一昨年12月26日に開催されました参画会議で、監視のテーマとしてこのテーマが指名されたということと、あと監視と影響調査も併せて行うことが決定されたということが最初のパラグラフに書いてございます。
 次のパラグラフには、この専門調査会において、調査検討を重ねて報告書を取りまとめましたということが書いてございまして、その後ろから今回のテーマの中身について若干解説をしてございます。
 1ページの一番下のパラグラフのところで、いろいろな状況の変化があるということで、変化に対応して絶えず新しい知識や技能を修得することが求められているということ、ページをめくっていただきまして、この課題が重要な課題であるということを述べております。2ページ目の2行目のところから、女性の現在の状況を御紹介しておりまして、いろいろな分野で活躍をしているのですけれども、労働力率がM字型を示しているというようなこと、子育て期に就業希望がなかなか適わない状況が見られるというような状況を御紹介しまして、そういったいったん退職した女性に対して魅力ある再チャレンジの道を開くことの重要性が指摘されているということですとか、若年層の女性において正規雇用者割合が減少している状況等も指摘されているということを御紹介しています。
 こうした状況の中、次のパラグラフでは、女性の能力開発について御紹介していますが、実質的な男女間の能力開発機会に格差があることや女性にはどうしても外出への制約等が生じる特徴があるということで、今後、効果的な能力開発・生涯学習を実施することにより、更なる女性の能力発揮が期待されるということを御紹介しております。
 その次のパラグラフ、「なお」から始まっておりますが、こちらでは、周辺的な状況を幾つか補足で説明しておりまして、もとより女性はライフステージに応じて様々な分野で活躍しており、いろいろな分野で能力発揮が期待されるのですが、今回の報告書では、特に職業能力の開発機会の提供等を重点的に取り扱っていることと、調査の対象は国の施策が中心となるのですが、この分野は、国に加え地方公共団体やNPO、民間企業等多様な主体により実施されていますので、こうした多様な主体との連携も必要不可欠な視点として取り上げていますという点。3点目として、今回の施策が雇用形態等女性の多様な選択に対して中立的に働いているかなどという観点から、関連する様々な制度や環境整備についても取り上げているというところを御紹介しております。
 最後の部分で、本報告書を踏まえ、各府省が関係施策の一層の推進を図られるよう期待します、という形で、「はじめに」のところで調査の趣旨を大まかに御紹介しています。
 次に3ページ目に行っていただきまして、こちらの論点整理の方ですと、左上の四角の部分ですけれども、「一、 女性の多様な選択をめぐる現状と課題」のところを御説明させていただきます。こちらの文章はかなり長文になっていますことと、昨年専門調査会において、統計データの分析の紹介という形で一度御紹介させていただいたデータを文章化した経緯がございますので、文章を3ページですと、上の部分を四角囲いしてございますが、内容の主立ったところを囲み記事にしてございますので、そちらを本日は中心的に御説明させていただきまして、文章の方は後ほど御覧いただければと思います。
 まず「(1)女性の就労の現状と希望」については、丸囲いをしているところの一番最初の「○」ですが、労働力率のM字カーブの底は上がってきているが、有配偶女性の労働力率は上昇しておらず、30代の女性の失業率は、男性よりも高い現状がある。女性の継続就業を望ましいと考える割合は高まっており、就業希望者の割合は特に30代で高くなっている、という現状がございます。
 非正規雇用の状況については次の「○」で御紹介していますが、女性の非正規雇用者が増加しており、就業期間は短期化傾向にあり、社会保険加入率も低い。家庭生活との両立のために非正規雇用を選択している女性も多いが、雇用の安定性等に不満があり、正規での就労希望も少なくない、といったような状況がございます。
 次の「○」は、子育て期の女性の離職・再就職の状況についてですが、女性は、出産等家庭環境の変化に影響を受けやすく、出産による離職率は高い現状にある。再就職希望は高く、再就職後の就労の大半はパートという就労形態をとっており、働き方の希望は、子どもが小さいうちは自宅で短時間の勤務、子どもが大きくなってきますとフルタイム、残業もしながら責任のある仕事をしたいという形で、子どもの末子の年齢で希望が変化してくるという状況がございます。再就労に関しては「資格や技術・技能」が自分に備わっているかといったような不安を持っている方が多いという状況がございます。
 管理職への登用の状況は次の「○」で整理してございますが、管理職への登用率は、増加傾向にはあるものの依然低い。総合職の女性ですと、ロールモデルや先輩職員から助言を受けるようなメンターがいる場合に管理職の志向が高いといった傾向が見られるということがございます。
 次に業種・職種分野別の女性の就労状況について、次の「○」若干長くなってございますが、御紹介しておりますが、女性研究者は依然少ない状況です。女性の就労、現実の割合がともに高い就労分野を見ますと、保育士さんなどですと離職者が多いというような状況が見られます。看護師、保育園の教諭は非常に若くして退職するという傾向が見られます。介護分野においては、ホームヘルパーさんの5割弱、半分弱の方が短時間の労働者であり、サービスに従事する以外の報告書等作成時間や研修等への参加時間に賃金が支払われていない割合が常勤の勤務者の方に比べて高いといったような傾向が見られます。就職を希望する職業には、男性と女性では違いがあり、そういったことの背景には子どもの頃から、例えば科学技術分野は男性に向いているといったような性別での適性イメージが影響しているのではないかというような指摘がございます。
 次の「○」では起業について御紹介しておりますが、起業の開業準備は30歳代でしている方が一番多くなっています。自己雇用者の女性の年間所得は低い水準です。女性の起業理由としては自己実現をしたいという希望を持っている方が男性に比べ高い傾向が見られ、起業した後に直面する困難としては経営知識不足などが指摘されています。
 学歴による就労の状況について次の「○」で整理してございますが、高学歴女性の労働力率は、他国と比較して低い状況にあります。高学歴ほど正規職員・知識・技能をいかしたいという希望を持っている方が多い傾向にあります。
 こういったところが大まかな内容で、9ページまでが細かなデータの紹介が本文で続いております。
 次に9ページに移っていただきまして「(2) 農業分野における女性の現状と希望」ということすが、こちらも四角囲いをした中を御紹介させていただきます。
 労働報酬を受け取っている女性の農業者は約半数で、組合や役員会への女性の参画割合は低くなっています。農村における女性の起業家の活動は、食品の加工が多く、規模的には小規模の経営が多いといった傾向が見られます。
 農業経営への関心は、お年を召している方よりは若年層の女性で高い傾向があります。経営参画する上での課題としては、家事・育児・介護等の負担や女性のための支援策に対する情報不足が挙げられております。
 また、1ページめくっていただき、次に11ページ、「(3) ボランティア・地域活動における女性の現状と希望」でございますが、ボランティア活動をする方は、女性では主婦、男性は会社を退職したリタイヤの方が多いという傾向が見られます。女性を中心とした団体の多くは財政規模が非常に小規模であるという傾向が見られます。
 活動に関する情報を提供してほしいというニーズが高くなっており、特に研修や相談に乗ってほしいといったニーズが高くなっています。
 次に12ページ、「2 企業や個人による女性の能力開発の現状と希望」ですが、まず「(1)教育訓練サービス市場の状況」については、能力開発・生涯学習を行う教育訓練サービスの大半は、民間が担っているというデータを昨年末御紹介させていただきました。
 サービスを提供する機関によっては、研修等の分野や対象層が異なっているということですが、非正社員(パート)の方を対象としているものがなかなかないといったことでした。非正社員の方は比較的公共職業訓練機関、専修学校等を利用している割合が高くなっています。
 次に13ページ「(2)労働市場政策における公共支出の国際比較」です。ここは分量が少ないので四角囲みを付けておりませんが、労働関連訓練費のGDP比を比較すると、日本は成人対象の訓練費は0.04%と諸外国に比べ低い水準にあるということになっております。
 「(3)企業における能力開発の現状とニーズ」、同じく13ページに御紹介しておりますが、能力開発は「従業員責任」と見る企業が増加している。企業の責任ではなく従業員の責任で見るという企業が増加しております。
 企業の中の教育訓練の受講時間は、平均して男性の方が高い傾向が見られます。
 企業は若年者の採用にあたり、コミュニケーション能力、基礎的な能力を重視している傾向が見られる。
 企業の半数が今後は非正規雇用も能力開発の対象としたいと考えているというデータがございました。中途採用時に重視するのは専門的な技術・知識ということになっておりまして、中途採用の際、離職後の経過期間をマイナスに評価するところと、評価には関係しないと答えるところとほぼ拮抗している状況でございます。
 次に14ページにお移りいただきまして「(4)仕事を通じての職業経験・能力開発の現状」でございますが、四角囲いの中に御紹介してございます。男性の方が幅広い実務経験を積んでおり、部門間異動が役に立つと考えている割合も高い傾向がございます。
 また、男性は、日常的に職場全体の管理的業務に携わっているという傾向が見られます。
 15ページにお移りいただきまして「(5)個人による自己啓発・生涯学習に関する現状」でございますが、女性は「今の仕事」よりも「転職に有利」と考えて資格を取る傾向がございます。
 自己啓発の実質率については、正社員では、女性の方が男性よりも高いという傾向がございます。
 16ページにお移りいただきまして「(6)能力開発に関する女性の希望・意識」でございますが、能力低下を大きく感じるのは、離職期間ですと、2年以上の長期の場合となっています。
 自己啓発・職業生活設計の際に不足している情報については、男女とも能力を取得した後の処遇に関する情報がなかなか足りないというように感じていらっしゃるようです。
 このような、統計データ等からの女性をめぐる現状と課題ということで分析のデータの御紹介をさせていただきまして、17ページから20ページまでは、17ページより前に御紹介しました統計データの分析を、第2章以降の報告書の構成に若干合わせた形で、もう一度再掲したような形で整理をし直しているものです。こちらは文章を後ほど御覧いただければと思います。
 21ページに移っていただきまして「二、 能力開発・生涯学習施策の現状と課題」でございます。参考1の資料ですと、右上の箱で御議論いただいた部分です。こちらにつきましては、一番最初の柱書きのところで、国のほか、いろいろな大学や公的団体、民間企業、様々な主体により実施されていることと、地方公共団体においてもいろいろな取組をしていることを最初のパラグラフで御紹介しまして、次のパラグラフで、今回の監視・影響調査では、主に国における能力開発・生涯学習施策について、我が方の男女共同参画基本計画でいきますと、第3分野、第4分野、第10分野に載っている施策を対象に書面調査、ヒアリング調査を実施して、その施策の実施状況や課題等を把握したといったことを説明してございます。
 実際の中身でございますが、こちらも「1 施策の概要」のところから、少し文章が長くなってございますが、やはり四角囲みを作りましたので、そちらを中心に御紹介いたします。
 まず「1 施策の概要」の「(1)(第3分野)雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」ですけれども、こちらについては、在職者への支援、再就職に向けた支援、起業等雇用以外の就業環境の整備に対する施策といったものが様々実施されております。
 中でも、女性向けの施策としては、能力発揮のためのキャリアアップセミナー、起業支援、先輩職員などから助言を受けるといったメンターを紹介するといったような施策が実施されています。
 再就職支援として実施時間・曜日に配慮した公共職業訓練が行われていますが、在職中女性の管理職の育成に特化した、それだけを対象とした訓練といったものは余り行われていないといった状況が見られます。
 23ページにお移りいただきまして、「(2)(第4分野)活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立」でございますけれども、こちらについは、男女のニーズや課題の違いを踏まえ、農山漁村の女性の経済的地位向上と就業条件・環境の整備に向けた女性農業指導士等女性リーダーの育成等の取組や、新規就農支援として情報提供や研修教育等を行っています。
 農業関係の起業支援としては融資の女性の優先枠がございますけれども、農村女性の起業といったものは比較的小規模なものが多く、また利用者も現状においてはまだ少ないといった状況が見られます。
 都道府県農業大学校における女性の参加率は低く、農業への新規就業女性は少ないといった状況も見られます。
 次に24ページにお移りいただきまして「(3)(第10分野)男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」といったところですが、こちらの分野におきましては、大学等における大学公開講座を始めとする各種の制度改革や、ICTの活用による在宅学習の機会の拡大等により、生涯学習ニーズへの対応を図っております。
 女性に対する支援としては、「女性のキャリアアップ形成プラン」や「社会人キャリアアップ推進プラン」の一環としまして「女性の再チャレンジコース」が行われているほか、国立女性教育会館において各種事業も行われております。
 若者の社会人基礎力の不足に対応するため、アドバイスから職業紹介まで一体的に行うジョブカフェ事業の取組も行われております。
 25ページにお移りいただきまして、「2 施策の分野、実施形式、内容(チャレンジの種類)から見た傾向」でございます。
 四角囲いの中を御覧いただきまして、雇用等の分野においては対象者の状況に応じた施策が、農山漁村の分野においては対象者を新規就農者と現在の農業者を設定した施策が、教育・学習の分野では対象者・性別をあまり限定せず広く実施している施策が多い傾向が見られます。
 チャレンジへの種類、上・横・再と三つのチャレンジの種類に分けて分類をしてございましたが、チャレンジの種類としては、近年は特に再チャレンジ支援策が充実してございます。ところが新しい分野への参入を積極的に促すような施策は余り多くありません。
 女性のライフステージごとの多様な状況やニーズを明示的に考え積極的に対応している施策は余り見られませんでした。
 27ページにお移りいただきまして、「3 男女別のデータ・ニーズの把握」状況について整理いたしました。
 男女双方を対象とする施策や外部に事業実施を委託する場合において男女別のデータを把握していない施策が多い。
 雇用等の分野においては、個別の課題ごとに調査研究は実施されている一方、男女相当を対象とする施策で男女別のデータがとられていないものも多くなっています。
 農山漁村の分野においては、女性に関する独自の調査が継続的に実施されている一方、男性農業従事者との比較や分析が困難なものもございます。
 教育・学習の分野では余り男女別データの把握・利用がなされていないといった状況がございます。
 28ページにお移りいただきまして、次に「4 施策の評価」について整理いたしました。
 施策の評価については、施策の評価を行っていない施策や検討中とする施策も多く見受けられる。
 評価を行っている施策の評価方法としては、利用者数等による評価、利用者アンケートによる評価、外部評価機関や関係団体による評価、アウトカム(政策効果)に着目した数値目標を立てて行っている評価といったいろんな形態が見られています。
 次に31ページにお移りいただきまして、「5 関係機関との役割分担・連携」については、施策の大半は各省単位で実施されているという現状がございます。
 政府が策定する各種プランに位置づけることなどにより、関係府省間の情報提供や連携した事業展開を可能にしているものもございます。
 地方公共団体や関係団体等との連携を行っている施策では、ニーズの把握や地域での施策の幅広い展開に役立てているものもございます。
 次に33ページに移っていただきまして、「6 施策を取り巻く制度・環境」についてですが、「(1)職業紹介所、就労先との連携」というところで、能力開発を行った後、就業や起業に結びつくための取組として、ハローワークと職業能力開発訓練施設、再就職希望者支援事業とマザーズハローワークとの連携が図られていますが、職業紹介がより確実に雇用に結びつくためのより一層の工夫が求められている。
 ハローワークと地方自治体等との連携も少しずつ進みつつあるという状況にございます。
 新規就農支援施策利用者の農業法人等への紹介なども行われております。
 34ページにお移りいただきまして、「(2)雇用形態の多様化への対応した能力開発」というところでは、ライフスタイルや雇用形態の多様化に対応して、事業主の非正規雇用者の活用を支援していく予定です。
 教育訓練給付金については、雇用保険の非加入者である自営業者や加入条件を満たさないパート・アルバイト等の方は利用ができないといった状況になっており、給付金制度利用の期間延長の特例措置を知らずに就業を1年以上中断した人は利用機会を逃してしまうといったような状況があります。
 施策の現状と課題については、以上のような御紹介の仕方をしております。
 次に「三っ 今後の取組に向けて」を35ページ以降に書いてございますが、こちらのところ、「1 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習の在り方・課題」ということで整理いたしました。
 まず「(1)基本的な考え方」ということで、サブタイトルを付けてございますが、先生方から御意見をいただきました、「誰でもいつでもどこでも能力開発・生涯学習に参加できる参加保障の体制作り」がまずは大事であろうということをサブタイトルとして掲げております。
 文章をざっと御紹介させていただきますが、最初の方のパラグラフで、まず、いろいろな状況の変化があって、4行目ぐらい、「だれでもいつでもどこでも能力開発・生涯学習に参加できる参加保障の体制を作る必要がある」ということで、男女共に能力を最大限発揮して社会経済の発展にも寄与することになるので、能力開発・生涯学習というものをきちんとしていかなくてはならないということを最初のパラグラフに書いてございます。
 二つ目のパラグラフには、現在の女性をめぐる状況を御紹介しておりまして、幅広い選択肢で非常に多くの分野で活躍しているということですが、特に子育て期等でなかなか就業希望がかなわないような状況もある。魅力ある再チャレンジの道を開くことの重要性が指摘されていることですとか、若年層の女性正規雇用割合が減少している状況もあるといったことを紹介してございます。
 三つ目のパラグラフでは、女性の能力開発については、実質的に男女間の能力開発機会に格差が存在し、そういったところにも留意をして、効果的な能力開発・生涯学習を実施して、更なる女性の能力発揮を期待するということを述べてございます。
 最後のパラグラフでは、今回の報告書では、先生方に御議論いただきました三つの切り口から整理をしますというところを書いてございます。
 その三つの切り口のうちの最初の切り口を(2)に挙げてございますが、「女性のライフステージごとのニーズに即した能力開発・生涯学習施策」を実施していきましょうというところを、35ページの最後の辺から紹介しています。
 女性はライフステージごとにいろいろ活躍の舞台を変えていくケースがあるという紹介をしておりまして、36ページにお移りいただきまして、そういったライフステージに応じて本人の望む選択を可能にするためには、新しい技能や知識の習得機会を確保することが必要であるといったことを述べてございます。最後の3行、「特に、出産、子育て期を通じた継続就業、あるいは再就業のための支援や就業中断期の能力開発が重要であるとともに、子育てや地域活動というかけがえのない経験が就業の場でいかされるような取組が必要である」といったところを明示的に書いてございます。
 女性のライフステージに応じてというところを四つの小項目に分けて議論をしていただきました。そこを1番から紹介してございますが、まず「1番 就業・起業や地域活動への参画につながる能力開発・生涯学習の実施」というところを御紹介します。
 最初のパラグラフで全般的に支援が必要であるというところを御紹介しまして、二つ目のパラグラフでは、別の分野へのチャレンジ支援の一環として、科学技術分野に対する支援、農業分野に関する支援について触れてございます。三つ目のパラグラフについては、女性の起業、NPO、地域活動に関する支援について記述をしてございます。このパラグラフの最後には、起業の事業開始もさることながら、継続した支援が必要であるというところも触れてございます。その次のパラグラフは、現在教育訓練サービスの多くは民間で担われている状況を踏まえ、主に公的部門においてはどういったところを重点的に担うのかといった役割分担意識を持つことは重要であるといったところにも触れてございます。
 2番の方へお移りいただきまして、こちらは「子育て等による就業中断期の存在も考慮した能力開発・生涯学習の実施」ということで整理しました。
 最初のパラグラフでは、実際に女性は出産で退職する方が多いということですとか、家庭生活に影響を受けることは状況として多いといったことで、そういった就業を中断する方が多く存在することも考慮した能力開発・生涯学習の実施が求められていると書いてございます。こちらは年末の段階では「就業中断期を前提とした」という言葉を使っていたのですが、中断を大前提としたととらえられかねず余り望ましくないのではないかという御指摘ありましたので「就業中断期の存在も考慮した」といった言葉に変えてございます。
 37ページに移りまして、就業中断期の女性の方は、非就業者と区分されるということですが、こちらは「無業者」という言葉ではなくて、厚生労働省の方に事務的にお聞きした結果、「非就業者」という言葉がよろしいのではないかというアドバイスをもらいまして「非就業者」という言葉を今回使っておりますが、非就業者と区分されますが、非就業者に関する情報自体が不足しているということですので、そういった情報把握の必要があるといったところを触れてございます。
 次のパラグラフは、特に女性の場合ですと、外出に制約が多いといった状況がございますので、情報化が進展した現在ではインターネットを活用した支援も有効ではないかといったところに触れてございます。
 「3番 子育てや地域活動経験等をいかした職業能力開発の実施」ということでございます。こちらは非常に御議論が活発だった部分かと思いますが、企業で子育てや地域活動経験を積極的に評価してほしいということを最初のパラグラフで述べてございます。
 次のパラグラフでは、具体的にどういった能力が職業能力の一部として評価される可能性があるのかといったところで御議論いただいたものを整理して書いてございます。食品開発のマーケティングや、営業活動にいかすといったところですとか、複数の業務を同時に処理する能力、コミュニケーション能力等、企業の社会的責任(CSR)を意識し、社会貢献事業をするときに役立てるものもあるのではないかといったところを書いてございます。
 次のパラグラフでは、いずれにしても、評価をするときにはどういったものが評価できるのか。誰がどのように能力を判定するのかといったところを検討しなくてはいけないといったところも触れてございます。
 その次のパラグラフでは、こちらは「マインドアップ」という言葉を使って御議論いただいた部分ですけれども、本人自身がそういった能力をきちんと自覚しなくてはいけないということを文章化してございます。
 「4番 能力開発・能力発揮の意欲向上の促進」というところですが、こちらは能力開発・能力発揮の目標が必要であるけれども、なかなか目標を持ちづらい状況があるということで、そういった目標を持てるような支援をしましょうということが書いてございます。
 二つ目のパラグラフでは、ロールモデル、キャリアパスの提示、メンター制の導入などに触れてございます。
 続きまして「(3)施策をより効果的に実施していくための取組」でございますが、こちらもこの分野だけに限らず施策横断的に見られるものでございますがということで、3点に分けて御議論いただいた部分ですが、「1番 男女別データの整備等の推進」ということで、男女別データの整備に尽力すべきであるといったことを述べてございます。
 「2番 評価の推進」ですが、こちらについては、施策のマネジメントサイクルを確立する。特に従来軽視しがちであった評価機能については、評価意識の向上や評価手法の開発に向けた取組が開始されているといったようなところを紹介してございます。ただ、まだなお課題が多い状況ですので、今後いろいろ検討して評価に取り組んでいく必要があるといったことを書いてございます。
 「3番 関係機関との役割分担・連携の明確化」ということですが、こちらの官-民、官-官といったことで少し区分けをして御議論した部分ですが、まず官-民につきましては、民と連携、協働して取り組むことが重要である。ネットワークの構築やそういったことについて触れてございます。
 それから、39ページの一番下のパラグラフですが、官-官の関係については、関係府省との役割分担・連携ということでジョブカフェの例などを紹介してございます。参加者の利便ですとか、施策の主要現場となる地方公共団体や関係団体への配慮といったことも触れてございます。
 40ページにお移りいただきまして、官-官の中でも国の中央省庁と都道府県や市町村の関係については、大まかな役割分担はとられているのですが、それぞれの地域において事情がいろいろだと思いますので、そういった役割分担・連携を模索する必要があるといった記述にしてございます。
 次に「(4)施策を取り巻く制度・環境の整備」という部分ですが、こちらは取り上げ方もなかなか難しい部分もあるという御紹介を昨年からさせていただいていますが、昨年、参考1では大きく小項目五つに分けて御紹介させていただいたのですけれども、少し事務的に整理しましてタイトルを三つに付け直しました。
 「1番 能力開発・生涯学習と就労とのマッチングの推進」というところで、そちらでハローワークとの連携、教育機関との連携を書いてございます。
 「2番 雇用形態に中立的な能力開発機会の確保」というところで、こちらで非正規の問題と雇用保険の問題を一つにまとめて書いてございます。
 「3番 多様な選択を可能にする就労環境の整備」ということで、周辺的な様々な問題を書き込んでございます。
 こちらはいろいろ御議論あるかと思いますが、とりあえず整理の仕方だけ御紹介いたしました。
 その後、42ページから44ページなのですけれども、昨年御議論いただきましたときに、専門調査会において、いろいろ先進的な企業の取組事例をヒアリングしたり、あとは具体的にこういったところを紹介できないかという御要請があったところを六つほどピックアップしまして文章化したものでございます。もし、このような紹介の仕方で構わないということでしたら、それぞれの企業に紹介をしたいということで連絡をとりたいと思っております。
 具体的には西友で「非正規雇用者の能力開発」の例。
 トヨタ自動車で「企業による再雇用支援、プロキャリア・カムバック制度」の御紹介。
 資生堂の就業継続支援の例として「WIWIW (ウィウィ)事業」の御紹介。
 それから、中高年女性の再就職を支援する会社としまして、株式会社のフラジュテリーというところがございましたので、そちらの取組の御紹介。
 横浜市の男女共同参画センターの取組ということで、「講座ルトラヴァイエ」、自分を知ることを重視した講座を設けているという御紹介でございます。
 6つ目が、日本ヒューレット・パッカード社、納得できる評価制度をきちんと持っているというところの御紹介でございます。
 次に45ページにお移りいただきまして、最後の今後の取組の部分でございますが、こちらは各府省に対して、具体的にこういったことをやってほしいということで取組を求める部分でございます。
 (1)から報告書の構成に基づきまして具体的に中身を入れてございます。これは細かに読み上げませんが、中身的には、例えば昨年末に改定しました女性の再チャレンジ支援プランの中に入っていた中身も、分野的には重なる部分もございますので、そちらの取組状況も一部入れてございます。
 また、47ページですけれども、「男女別データの整備等の推進」につきましては、先生方からも御要請が具体個別にいろいろございましたので、例として今回指摘があったものはこういうデータをほしいという御指摘がありましたということも御紹介させていただいております。
 その後の評価ですとか、関係機関の役割分担・連携の明確化というところは、なかなか具体的な取組状況といったところまで御議論が深まるというよりは、もう少し手前の抽象的な段階かなという理解でおりましたので、そういった文章の書きぶりにしてございます。
 それから、48ページの「施策を取り巻く制度・環境の整備」につきましては、ここの取り上げ方自体につきましても、また御議論あろうかと思いますが、とりあえず今このような文章で書いてございます。
 報告書全体がまだ案の段階ということであるのですけれども、特に45ページ以降の各府省に対して取組を求めていくという部分については、各府省との調整は特にまだ行っておりません。そういった意味で各府省の方から今後意見照会等をする段階でこういったところに配慮願いたいといったような意見が出てくる可能性もありますけれども、その点もお含み置いた上で御覧いただければと思います。
 雑駁ですが、説明は以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。改めて参考2の目次に戻ってほしいのですけれども、大きく三つにこの報告書が分かれております。「女性の多様な選択をめぐる現状と課題」、「能力開発・生涯学習施策の現状と課題」、「今後の取組に向けて」と、かなり大部の報告書になりますので、この三つを均等に議論するのは少し時間のロスだと思います。
 「一、 女性の多様な選択をめぐる現状と課題」、私、事前にこれに目を通したのですけれども、かなり良くまとまっているという感じがいたします。もちろん一、についての意見もいただきますが、特に議論していただきたいのは、「二、 能力開発・生涯学習施策の現状と課題」、「三、今後の取組に向けて」というところにポイントを置きたいと思っております。というのも、この専門調査会の趣旨が国の施策の内容、進捗状況を評価して、かつ改善すべき点を明らかにするところにこの専門調査会の趣旨がございますので、二、と三、についてはかなり時間を割きたいと思っております。
 まずは、の、3ページから20ページまでの「女性の多様な選択をめぐる現状と課題」につきまして、皆さんから御意見があればお聞きしたいと思っております。
 私、まず一つ気にかかっていたのは、「社員」と「職員」と二つの使い分けが入っていまして、例えば4ページの2番の2の一、の現状で、社員比率とかそこに出てくるのですけれども、5ページへ行きますと、「職員」という言葉が出てきますね。この使い分けで、一般的には職員となれば公的団体、社員は民間団体というふうに分かれると思うのですけれども、この調査を見ると必ずしもそうでもないのですね、読んでいると。これは何か理由があるのですか。
栗田調査官
事務的には「正規雇用」、「非正規雇用」という文言を使うように整理をしたつもりなのですが、ただ、特に前半部分につきましては、いろいろな調査分析ものの御紹介といった形になっておりますので、元の調査で、例えば正社員ですとか、非正社員といったような言葉を使っていれば、それはそのまま使っています。
鹿嶋会長
「社員」と「職員」という言葉が二つ入っているので、民間企業を対象にした調査のようなところでも「職員」を使っているでしょうか。
栗田調査官
使っています。
鹿嶋会長
それはどういうふうに区別するのですか、説明きちんとできますか。例えば、5ページの一番上の二、の上の方、これは非正規職員、職員という言葉を使っていますね。図表1-1-25というのを見ると、これは従業員と職員調査となっているので、多分民間と公的、両方調査していますね、これは。この場合、どうするのか。このあたりの表記には何らかの整合性が必要なのではないかというのは少し感じます。
矢島分析官
基本的な考え方としては、今、調査官からありましたとおりに、一、の部分では元の調査になるべく忠実にというふうにしておりますけれども、今、おっしゃったような点については、細かくはもう少し精査して説明を付けるように。
鹿嶋会長
元の調査が職員という表記になっていて、きちんとその辺の説明ができれば、それで私は良いと思うのですが。
矢島分析官
合わせているようにしていますが、今、おっしゃったところについては、私ももう一回確認します。
鹿嶋会長
そこだけです。ほかに御意見あれば、どうぞ。「一、 女性の多様な選択をめぐる現状と課題について」、御意見、質問等があればどうぞ。20ページまでのところですね、この報告書の。
佐藤委員
19ページの一番下の、これは公共職業訓練が「自営業者と比べて」と、元々自営業を対象にするわけではないので、何でこう書いたのか。
鹿嶋会長
どこですか。
佐藤委員
19ページの一番下、「自営業者と比べて」という、公共職業訓練は基本的には失業者とか雇用者だから、何で「自営業者」が出てくるのか。
矢島分析官
ここでは非正社員の問題を指摘しているのですけれども、正社員と比べてだけでも良いのですけれども、この調査自体が正社員、自営業と非正社員、三区分で比較をしていますので。
佐藤委員
公共職業訓練を自営業で受けているデータがあるのですか。
矢島分析官
はい、後ろの方で。
佐藤委員
そうなの、どこ。起業する人というの。
矢島分析官
参考資料の方で、教育訓練サービス業の状況で。
池永調査課長
資料-86の図表2-1-9の「能力開発の教育訓練プロバイダー別構成」というのがございまして。
鹿嶋会長
あるんだね。
矢島分析官
自営業等なのですけど。
鹿嶋会長
入っていますね。
神野委員
普通受けるのじゃないですか。ちょっと私よく分かりませんが、認定職業訓練を含めて職業訓練ですよね。例えば、私、ずっと自動車会社に勤めていましたが、修理工とか、そういったときの職業訓練、旋盤工ですか。
佐藤委員
社員に受けさせるのはあると思うのですよ。
神野委員
いや、個人事業主。
佐藤委員
そういうのがあるんだ。
神野委員
モーター屋さんは個人事業主ですよ。そのときに塗装工とか、板金とか、打ち出し板金とか、そういった方々は、職業訓練を本人が受けようと思ったらば、個人で受けざるを得ないでしょう。
佐藤委員
どうなのか。
神野委員
私の回っていたモーター屋さんなんかで、個人で受けに行っている例はたくさん知っています。
佐藤委員
公共職業訓練で。
神野委員
職業訓練。
佐藤委員
じゃあ、そうなのか。
神野委員
そうしないと資格取れないから。一級技能検定とか、技能検定受けられないですよね。
鹿嶋会長
どうしますか。
佐藤委員
それは良いです。基本的には雇用保険の財源でやっているわけですから、その辺はどうなっているのか。普通は専門学校などで取るというのはあるのですね、そういう資格が。自動車の整備とか専門学校にありますよね。公共職業訓練で自営業者が行って受けられるのか、私、よく分からないので、そうなのかも分かりませんけど、確認していただければ良いのです。
鹿嶋会長
確認だけしてもらいましょうか。
佐藤委員
私もよく分からないのですが、財源的にそうなので、と思っただけの話です。
鹿嶋会長
分かりました。ほかに御意見があれば。
畠中委員
私、初めてで、この分野では全くの素人なのですが、今の御説明を聞いていて、横文字が多くて分からないところがあって、例えば「ロールモデル・メンター」、分かりません。それから、「ロールモデルやメンター」とか書いてあるところもあって、これは素人には分かりづらい。私の勉強不足かとも思いますが。日本語でも「自己雇用者」というのは、これはどういう概念かというのもよく分からない。自己雇用者とする経営者か、この概念がよく分からないですね。
矢島分析官
少し注釈を付け、説明を入れます。
畠中委員
説明があれば良いですけれども、素人には少し分かりづらいということであります。
鹿嶋会長
これは注釈にロールモデルとかメンターとか入れましょう。
矢島分析官
今、御指摘があったように、「ロールモデル・メンター」とすると、一続きの言葉のようになってしまいますし。
鹿嶋会長
ここはそうなってしまっていますね、工夫しましょう。
矢島分析官
そのあたり、直させていただきます。
鹿嶋会長
ほかにどうでしょうか。
植本委員
3ページの真ん中の方のところに、それぞれの職業の選択のところで、「背景に子どもの頃から……」
鹿嶋会長
3ページのどこですか。
植本委員
3ページの「○」の5番目の一番最後のところに、「背景に子どもの頃からの性別での適性イメージがあるという指摘がある」という指摘があって、それで、9ページの「学歴による就労の状況」というところで、要するに「中卒・高卒、高専卒、短大卒、大卒の順に」ということでの分析があるのですけれども、これとこれとの連関の中で、次に政策にどう反映するのかというふうなところでいけば、これは次の議論のところですけど、例えばのものとして、それぞれの分析の分を重なり合わせたところで見えてくるものとしての政策展開みたいなものが、どこにあるのかなというのが少しあるのですけれども、要するに短大に行くのは圧倒的に女性だという、そういうものとの関連とか、そういうところが、だから大学によってという、そこのところで男女の比率が随分と違うということと、子どもの頃からの性別の適性イメージということとが、かなり関連を、進学イメージと就労イメージという、そこのところが関連しているのかなという印象を持っているのですけれども。
鹿嶋会長
この「○」の5は何ページからの要約ですか。
栗田調査官
8ページですね。上の方に書いてある「二、 希望・意識」という部分です。
鹿嶋会長
これは誤解を招くか、「背景に子どもの頃からの性別での適性イメージがあるという指摘がある」、指摘があるとはいえ、男女共同参画という趣旨から少し外れてくるのか、どうだろう。
袖井委員
もう少し丁寧に説明したら良いじゃないですか。適性イメージがあるというのは。
鹿嶋会長
少しね。
池永調査課長
これは資料-49でありますような、「高校3年生が将来就きたい職業」という図表1-1-94を見ると、男子と女子で希望にかなり違いがみられることを受けています。
鹿嶋会長
これは適性かね。
池永調査課長
もしかしたら言葉がよくないかもしれません。
鹿嶋会長
適性というとね。適性という言葉は固定的な性別役割分担につながりかねないですからね。
矢島分析官
今おっしゃったことなのですけど、前のところで、例えば分野の問題と学歴の問題と分かれているのですけれども、その後の、17ページからの課題のまとめのところでは、先ほどと少し繰り返しになるので説明を省かせていただいたのですが、例えば18ページの上の「理工系分野や農業など横へのチャレンジの困難さ」のところで、子どもの頃から、イメージが早く確定してしまうことや、大学の専攻である程度決まってしまうので、後から変えるのは難しいというような問題指摘にはつなげているのです。そういったことで、ここの括りで、後の方の施策の提案とまたつなげていっているというようなこともしてあります。今おっしゃったような……
鹿嶋会長
離れ過ぎてしまって分からないですね。
矢島分析官
そうですね、ちょっと段階が。
鹿嶋会長
少しね。
矢島分析官
最初のところはかなり細かいデータなのですが、ただ、それも紹介しないとだんだん根拠が。
鹿嶋会長
そこに(注)を付けて、何ページ参照とかなんか、これと結びつくような工夫が必要なのかもしれないね。
矢島分析官
そうしたらこちらのまとめの方に元の関係を少し書いておく。
鹿嶋会長
そうだね。それから3ページの「○」の5は、ここは言葉を変えましょう。大変良い指摘をありがとうございました。
 そのほかに、どういうことでも結構ですので、後にまた戻ってくださっても結構ですが、次に「二、 能力開発・生涯学習施策の現状と課題」、21ページから34ページ、これについての皆さんからの御意見を頂きたいと思います。
 27ページでは「男女別データ・ニーズの把握」というのをきちんと出していただきましたので、これはヒアリングの時点で、男女別データが極めてお粗末だという現状がはっきりしてきましたので、これについてはこういうふうに頭出しをして書いてもらったのです。
神田委員
34ページの一番最後の(2)のところの「○」の一番上なのですけど、「ライフスタイルや雇用形態の多様化に対応して、事業主の非正規雇用者の活用を支援していく予定である」、これは施策の方向ですね。「助成をする予定である」というのは次元が違うのではないでしょうか。
栗田調査官
34ページの(2)の本文の4行目でございますか。
神田委員
ここですね。
栗田調査官
こちらは、昨年の段階で予算要求をしている情報を基に書いておりまして、予算がついて、これで大丈夫ですということであれば、少し表現ぶりを精査したいと。
神田委員
現状と課題から、更に一歩踏み込んだ方向性が書いてあるので、ちょっとどういうふうに位置付けたら良いのかなと。難しいですね。現状でもあり。
栗田調査官
事実関係を整理してから、また書きぶりを調整させていただければと思っておりますが、このような取組も見られている。さらにこういった取組を進めていくべき、両方に入っていてもおかしくはないのかなというふうに思うのですけれども、少し精査を致します。
神田委員
現状としてとらえるのか、施策の方向としてはっきりとらえるのかというのが少しあいまいだと思いますが。
栗田調査官
今までは方向としてとらえていたのですが、既に予算要求もして話が進んでいるという状況でございます。
佐藤委員
つまらないことですけど、33ページの「職業紹介所」というのは正確ではないので「公共職業安定所」です。だから「ハローワーク」と書くかどっちでも良いですが、「職業紹介所」という言い方はない。「公共職業安定所」か「ハローワーク」です。
鹿嶋会長
分かりました。「職業紹介所」が出てくるのはここだけでしたか、ほかにないですか。
栗田調査官
図表のところもあります。直しておきます。
佐藤委員
民間の職業紹介所という言い方はありますけど。
植本委員
今の、先ほど34ページの御指摘のあった「事業主の非正規雇用者の活用を支援していく予定である」というところと、4行、次の本文のところとは要約としては少し読み取りにくいと思うのです。誤解を与えると思うのですね。厚生労働省が正社員の転換とか非正社員の職業能力の高度化を支援する場合には、というところと、非正規雇用の活用支援ということでは全然意味が違いますので、ここは要約としては誤解を与えると思います。
栗田調査官
事実関係とともに精査いたします。
鹿嶋会長
文章としては「職業能力の高度化」とか、「職業能力の向上」とか、もう少しやさしい言葉にしておく必要があるのかな。
 ほかに34ページまでありますか。一、二、全体を通してで結構です。また、前に戻ってくださっても結構ですよ。
神田委員
33ページの題のことなのですけど、一番最初の目次「施策を取り巻く制度・環境」、取り巻くというのはよく使う言葉ですか、「施策をめぐる」か、「取り巻く」か。
佐藤委員
取り巻くか、めぐるか。
神田委員
取り巻くで良いのか。
鹿嶋会長
「施策をめぐる」よりは「取り巻く」の方が。
神田委員
はっきりしている。めぐるはもう少し漠然していると思うのですね。それは言葉としては。これは「取り巻く」というので特徴を出して、「めぐる」などという漠然としたものではないよという意味を込めると。
佐藤委員
上が問題で。
神田委員
それはそう思いますけど、そういう意図がきっちり入っていれば、「取り巻く」で。
畠中委員
さっきと同じ趣旨ですけど、ついでに言っておきますと、「クロス・コンプライアンス」というのは何のことか分からないというのと、「ジョブカフェ」というのは何のことか教えていただけますか。私、初めて聞いたのですが、これは喫茶店のことですか。
鹿嶋会長
これは経済産業省だったね。
佐藤委員
いや。
鹿嶋会長
厚生労働省か。
佐藤委員
厚生労働省と経済産業省がやっている若年向けの就業意識支援ですとか就職につなげるような取組をやっているのですね。これがその名前なので、一応統一ブランドとしては「ジョブカフェ」です。ただ、各都道府県ごとの名前は少し違うのですけれども、一応基本的にはジョブカフェでやってくださいというふうにお願いしています。
矢島分析官
報告書全体を通して、その言葉が最初に出てきたところできちんと説明するべきなのでしょうが、まだ報告書全体を通してチェックできていないためかと。
鹿嶋会長
その見直しをしておく必要がある。
矢島分析官
見直しをして、その言葉が最初に出てくるところがどこかということで(注)を付けるような精査をします。
神野委員
最近、私の関係した報告書では割と(注)を付けているのですね。報告書としてはあまり格好が良い話ではないのですが、一応専門用語とか、今みたいなジョブカフェは、分かりませんよ、普通の人が聞いたときに。
矢島分析官
例えば一番後ろにまとめて一覧のような形で付けた方が参照しやすいでしょうか。
神野委員
一応付けた方が。
矢島分析官
何度も出てくるので、最初のところで見逃してしまうというのもあると思うのですが。でも、やはり脚注で最初に入れた方が良いでしょうか。
佐藤委員
もしやるなら索引を作るかですね。それで(注)の説明はどこにあると。
池永調査課長
工夫いたします。
鹿嶋会長
広く読んでもらうにはそういう配慮は必要だよね。
神田委員
カタカナ用語をどういうふうにしていくかというのは大問題ですね。なかなか日本語で良い言葉が見つからないからそれで行ってしまうのだけど、それで良いのかということはありますね。
佐藤委員
でもさっきの公共職業安定所は今余り知られてなくて、ハローワークの方が知られているというのがありますので。
神田委員
そうなのですよ。格好も良いしね。
佐藤委員
多分若い人は職安というと分からないかもしれない。
袖井委員
イメージが悪いから。そうすると「マインドアップ」なんていうのも(注)を付けておかないとね。
佐藤委員
意識啓発とか、それぐらいでも入れておく。
鹿嶋会長
「マインドアップ」は本報告書の初のお目見えとして、今回の一種のキーワードになっていますので、それも(注)を付けようか。
栗田調査官
本文の中で、こういうものをマインドアップというふうに一応書いている。すいません、飛んでしまいますけれども、38ページの部分の上から3行目に、「子育てや地域活動経験等により培われた能力を本人自身が認識、評価し、職業能力につなげようとする本人の意識啓発、言わば「マインドアップ」というふうに説明を入れ込んでいるつもりではあるのですが。
鹿嶋会長
この言葉が出たときに、それは一体なのじゃというふうな議論はしたのですね。
栗田調査官
文部科学省さんが説明のときに使っていらっしゃったりとかするので。
鹿嶋会長
「マインドアップ」をね。
栗田調査官
はい。こういう報告書もので使うのは初めてとなるようですが。
鹿嶋会長
良いのじゃないですか、「キャリアアップ」に対して「マインドアップ」というのは。
 それでは、その先も今度は含めてどうぞ。
佐藤委員
三つぐらいあるのですけど、一つは、参考の1にもあるのですけれども、非正規と正規の能力開発格差という参考1の一番下の右から二つ、これが、例えば、後ろもあるのですけど、2ページのところも、女性の能力開発について、こうした状況で、正規と非正規の能力開発機会が少ないから、男女間の能力開発機会の格差があるという書き方が結構いろんなところへ出てくる。35ページの「こうした状況」、さっきと同じ文章だと思うのですけど、それがいろんなところにあるのですが、正規と非正規で能力開発格差があって、非正規に女性多いというのはいいのだけど、正規の中でも男女の格差があるわけです。だから、そのことは私は書いておいた方が良いと思うのですが、いつの間か、正規、非正規の格差だから男女の格差があるという書き方は少し気を付けた方が良いかなというのが一つなのです。
矢島分析官
両方あると。
佐藤委員
両方あるというふうに書いておいた方が良いのではないか。正規・非正規で、非正規の方が女性が多いということですよね。それももう一つは男女、正規の中でもいろいろ書かれていますけれども、OJTについても差があるのは事実なので、一応書いてあるのだけど……
矢島分析官
両方ある中で。
佐藤委員
ということを書いた方が良い。
鹿嶋会長
イメージが、例えばのところは、男女間格差があるということで両方出しておこうか。
矢島分析官
両方あるという中で、部分的に一方だけが書かれているとこがあると問題だということだと思いますが。
佐藤委員
そうなのです。こういうまとめのところに、正規・非正規の方だけに持っていってしまうのはどうかなということなので、少し見ていただければというのが一つ。あと二つ目は、37ページの3番なのですが、子育てや地域活動経験の中にも職業能力にいかせるものがあるということは言われるのは非常に良いと思うのですが、よく分からないのは、「いずれにしても」という最後のパラグラフ、ここは何を言いたいのかよく分からなくて、子育てとか地域活動の中に職業能力をいかせるものがあるということを検討しなければいけないということは分かるのです。だから評価しなければというのがよく分からなくて、企業はあくまでも職業にいかせるかどうかだけを見るわけで、基本的に、そこにPTAとかボランティアが出てくるのが、評価の仕組みを作る、ボランティア活動をやっている人に、その中にも職業にいかせるのもありますよということを検討していただくのに入っていただくのは良いのだけれども、これは企業の中で評価してもらうのですか。それは少し無理だろうという感じなのです。それが一つです。
 それと勤務評定項目にワーク・ライフ・バランスを入れろというのは、これもやめた方が良いというふうに思っていて、つまり企業が、社員が企業の外でやっているものを評価させるというような議論はしない方が良いだろう。基本的には効率良く仕事することは評価しても良いと思うのですよ。だけど、ワーク・ライフ・バランスというのは企業の外で何をやっているということまで、これはいろいろ考えたら、ボランティアやっていたら評価するというのは、余り良いことではないのではないか、それを評価してしまうというのは。
鹿嶋会長
最後の点について言うと、例えば今の企業の中の、一部の企業の中では、6時半に帰して、残業すればペナルティーでボーナスから差し引くとかということもあるでしょう。そうするとそれはワーク・ライフ・バランスですよね。
佐藤委員
ですから効率的に仕事をするというのを進めるのは私は大賛成なんです。でも外で何かやれということを企業は言わない方が良いのではないか、何をやるとかね。ということなのですよ。何かやらなければいけないということも逆に私はおかしいのじゃないかという気もしていて。
飛田審議官
書き方を工夫しないといけないと思うのですが、個人のパフォーマンスの評価をするときにワーク・ライフ・バランス度を直接入れろということは少しおかしいですね。それは御指摘いただいたとおりだと思います。
佐藤委員
そうそう。だから企業としてワーク・ライフ・バランスを推進しろということと……
飛田審議官
職場の全体の評価としてそういう項目を入れるということは。
佐藤委員
それは良いと思うのです。でも、外でボランティアやらなければいけないとか、家事やらなければいけないとかというのを評価するというのは変な気がする。
飛田審議官
企業が評価することについて、ワーク・ライフ・バランスやっているかどうかということを入れるべきではないと。
佐藤委員
これ見ると、評価項目に入れろという話でしょう。
神野委員
これはどういう意味ですか。
矢島分析官
もともと出てきたのが再就職の女性で、その人がどんな能力を持っているのかというところを、そういった子育て期とか、地域での活動経験、その経験自体ではなくて、それによって培われている能力を評価しようということで、ただ、どう評価して良いか今分かってないというようなことでスタートしているのですけれども、少し広がり過ぎて。
佐藤委員
例えば育児休業をとって復帰した女性、それはでも育児休業をとったことを評価するというのは変な話なので、その評価を見たときに、そこに何かそれにプラスになるものがあるものは評価してくださいというのはあると思うのです。それとここは少し違うのじゃないか。
鹿嶋会長
そこでの議論は専業主婦の培ってきた能力、例えば子育てとか家事とか、そういう能力というのも……
佐藤委員
それは採用するときですね。
鹿嶋会長
採用するときに評価するシステムがあって良いのではないかという議論の延長だったのですね、これ。
佐藤委員
家事をやったことを評価するのではなくて、家事が職業能力に結びつくものであれば評価してくださいというふうにしないと、それは企業には無理だと思うのですね。
飛田審議官
例えば、入札かなんかのときに、グリーンだとか女性に配慮する、そういうことを評価するのはまた別の問題で。
矢島分析官
また、別の問題です。
佐藤委員
前半は私も賛成だし、それはもう少し企業が、実は仕事に役立つ能力があるにもかかわらず、見てないのを私は変えていかなければいけないと思うのですね。だけど、「いずれにしても」以降が少し分かりにくいなということだけの話なのです。
矢島分析官
培われた能力を評価するというところだと思うので。
佐藤委員
企業の仕事に役立つ能力があるから、それがあるとすれば評価してくださいということにしていただければ良いかなと。
鹿嶋会長
もう一回整理すると、37ページの「評価者として職場の上司の他にPTAやボランティア活動」、確かにこれは無理だね。
佐藤委員
「評価者として」、ここが変なのですよ。
鹿嶋会長
ここがね。
池永調査課長
企業内での評価というのは、そういう地域活動や子育てという経験をどう職業能力としていかせるかというときに、本人の自己申告だけではない、ある程度客観性を持った形で、PTAとかボランティア、PTAでこんなことをしたということを企業が認識できるような……。
佐藤委員
でも資格認定なんてやめた方が良くて、事例で、そういう活動がいきますよというようなことを少し情報として整理する必要があると思うのです。あとは、企業が採用のときに、ボランティア活動で何をやっていたのとか、どういう事務をやっていたの、どういう活動をやっていたのということを聞くということを促すということだと思うのですね。だから認定するとか、それはやめた方が良いのじゃないか。
鹿嶋会長
3番自体は大変私は重要だと思うのですね。
佐藤委員
それはそうです。私はそれは否定しないです。最後のここのところは少し分かりにくい。
鹿嶋会長
アイディア何かないですか、どうすれば良いか、具体的に。
佐藤委員
まず一つは、例えばNPO活動をしたときに、そういういろんな活動の中で、企業に役立つものを少し整理する、そういう活動をする、育児・家事でも。それは整理して企業に情報提供するということは良いと思うのです。個人のじゃなくて、例を挙げたりとか、まずはそこが先じゃないか。あとは企業が採用するときにそういうものを踏まえて、特にこれから非労働力化している女性の活用は大事になってくるので、そういうものを見ていくことが大事ですよというふうに、企業に情報提供することは、まずはそこからではないかという気がする。
鹿嶋会長
この試みというのはまだないですよね。
佐藤委員
ないです。
鹿嶋会長
全然ね。組合もやってないでしょう、こういうことは。
植本委員
実はこの項目を見て私が少し違和感持ったのは、今、組合もとおっしゃっていただいたのですけれども、私たちは男性の育児休業取得のときにそれを促進策として、こういうことをやれというのを常に問題提起を企業にしているのですね。むしろ女性の再チャレンジを促すということも当然そうなのですけれども、逆に育児休業をして戻ってきた男性のいかし方ということでのプログラムが明示をされれば、むしろ逆にそれがまた呼び水になるのではないかという、そういう趣旨で、男性の育休の取得のアップのために、むしろ小委員会ではマーケティングに生きるよとか、在職期間を入れないことによって賃金が下がったり、退職金が下がるということへの支援策を講じることによって呼び水になるのではないかということを、組合の中の交渉などのやりとりではそういうやりとりを常にやっているので、むしろそこのところは……○鹿嶋会長 それがひいては女性の再チャレンジとか採用のときにも、そういう項目が役に立つ。
植本委員
アップしていくと。そこのところは。
佐藤委員
追加的に入れておけば良いのじゃないですか。男性の側から言えば、プラスになるということですね。
鹿嶋会長
それが無理がないか。
矢島分析官
趣旨として同じだと思うので。
佐藤委員
少し書けば良い。
鹿嶋会長
書き方としてね。
佐藤委員
これで私は終わりです。40ページの1番の下の方なのですけど、「また」のところ、2番の上の、一つは初職に就くときに、最初に就く仕事の能力を分かるようにしてあげると。教育訓練機関は、その能力開発をしろということなのですが、職務に必要、これは大学は職業教育しろということなのですか。つまり、二つ考え方があって、専門学校みたいなことをやれという議論と、いわゆる自分の頭で考えるという基礎的な知識と課題について、その知識を使って解決していく。さらには分野によっては知識を作り出していくということを大学は教えるのであって、職業教育は入ってから企業がやるという考え方があると思うのですが、私は初めから職業、つまり初職に必要な能力開発なんてやってしまったら逆に困るのではないかという、その仕事が合わなかったらどうするのという気もしていて、つまり企業が求める能力開発してもいいですけれども、それはすぐに役に立たなくなるんですね。企業が必要な能力というのは変わっていくので、少しここは考え方だと思うのですが、専門学校は良いと思うのですが、大学と言われたときに、うん、どうだろう。初職に必要な職業能力を付けるのかということは……
鹿嶋会長
情報提供だけでもだめですか。
佐藤委員
それは良いと思うのですけど、それはキャリア教育みたいな話で分かるのですけど、職業能力というのはどうかなというだけなのですけれども。
栗田調査官
そこのところも若干迷いがありまして、文章化するときに、今、御指摘のパラグラフの下から3行目のところなのですけれども、情報提供も書いてありますが、その前のところが、「希望する職務に必要とされる能力開発を行うための機会の提供」ということでぼかして書いてあります。
佐藤委員
行うためというのは、大学で専門学校のような講義を入れなさいというわけ。
栗田調査官
ええ。
佐藤委員
私は、就職する前に職業能力を付けたり、資格を取ったりするのは良いのかどうかということもあるのですよ。ほとんど企業はそれを見ないです。
植本委員
連合で、今、大学に寄付講座というのをしているのですけど、その経験からいけば、本当に仕事に就くというのはどういうことなのか、働くことと生きることというのは人生にとってどういう意味を持つのかとか、そして、先輩から、そういうことの経験の中で、こういう問題点を感じたけど、こうクリアしたよとか、そういうことを繰り返しいろんな職域の方が行って話をするという講座を二つの大学でやっているのですけれども、そこのところでいうと、ものすごく学生の皆さん方が関心を持たれる。やっぱり今のフリーターの問題とか考えても、働くことと生きることというのがどういう関係性があるか。むしろ大学ではその辺のところをしっかりと、そういう意味での職業性を身に付けるという教育が必要だというのは分かるのですけれども、何か手に職を付けるという意味では大学の役割ではないのではないかと思います。○鹿嶋会長 学生の就職のときのベストセラーの『絶対就職』という本をダイヤモンドで出しているのですよ。あれは今言ったことなのね。
佐藤委員
そうです。
鹿嶋会長
私って、どんな仕事をしたいの、そういう話なのですよね。
佐藤委員
「初職」と言わない方が良い、職業生活の初めのということだと思うのですよ。つまり最初に適職に就かなきゃいけないというのはそれは無理ですよね。実際上半分は転職するのは3年ぐらいで、職業生活の最初のキャリアをどうするかみたいなことを。
鹿嶋会長
いや、ここはもっと高邁で3割が転職するのだから、それをなくそうという。
佐藤委員
昔から3割なのですよ、30年間。逆に移動しないのが良いかどうかというのは別で、望ましい適職探査期間だと考えた方が良いじゃないか。最近少し増えていますよ。もともと大卒について言うと20年前も25%ですよね。最近増えているわけではないので、昔から4分の1は転職しているのですよ。20年、30年は変わってないです。最近5%ぐらい増えているのは、大卒。ただ、これも女性比率が増えているから、大卒の中で、元々大卒女性は3年で5割転職しているのです。元々高かったのです。大卒の転職率が高まったのではなくて、男女比の構成が変わった部分の方が大きいのではないか。そこは考え方だと思います。
神田委員
今のところなのですけれども、今、使われている言葉で言えば、キャリア教育なのですよね。
佐藤委員
そうです。
神田委員
だから、それは必要だと思うのです、そういう意味では。だけど、職業紹介に近いような、そういうのまで大学がやるということは。
鹿嶋会長
ここの思いとしては、初めて就職する際のミスマッチがあって、3割強、特に大企業事務職なんて5年以内で8割辞めてしまいますからね。だから、そういう不幸な出会いをなくそうかという思いがここはあるのですね。
佐藤委員
それは職業能力教育ではなくてキャリア教育だろうというふうに思うのですけれども。
飛田審議官
専修学校と大学と書き分けたらどうですか。
池永調査課長
これは実務的な知識というよりは、大学で何を勉強するにあたって、世の中でどんな仕事が今求められているかとか、どういう要請があるのかが分かってこそ、自分はこれを勉強しようということになるだろうから、そういった職業の状況の情報を学生が学校において得られることが重要ではないか、それを学校に対して示そうという問題意識です。おっしゃるとおり、そこで訓練をするといったつもりではありませんので、少し書き方の工夫をします。
神田委員
そうです、書き方を変えていただいて。
鹿嶋会長
キャリア教育の必要性なら問題ないでしょう。
神田委員
問題ないどころかものすごく良いです。
佐藤委員
例えば失業したら職安に行くとか、雇用保険をもらえるとか、さっきの育児休業の制度があるとか、知らないのです。だからそういう教育はやった方が良いかもしれない。均等法があるとか、そういうのを知らない人、結構いるのですよ。最近でも大体5割ぐらいしか知らないとか、そういう教育はもっとやってもらった方が良いかなという気はしますけれども。
鹿嶋会長
40ページの下から2番目のパラグラフは、そういうことで少し再構成しましょう。
神野委員
現実に動いてしまっているので、そもそも論は、つまりぼかした書き方にしておいた方が良いのではないかと思います。私も別に佐藤先生の大学論は賛成しますが、しかし現実には専門職大学院とかどんどん動いてしまっているわけですよね、大学院そのものが。
佐藤委員
それはよく分かります。
神野委員
だから、そういうことから言えば、もう一回、再教育を受けるときに、大学に入り直せるという方向で動いているので、そこは無視しない方が良いと思います。それは、ほかのヨーロッパでもみんなやり直せるわけですよね。
佐藤委員
そうです。リカレントのところを、専門職大学院としては、そこはもちろん大事だと思うし、専門職大学院ということはハウトゥではないですよね。行動職業人と言っているわけで、それは私は否定しませんけど。
鹿嶋会長
そこの場合は、両方入れておきましょう、少しぼかして。
佐藤委員
ついでに最後だけど、43ページ、資生堂は、「WIWIW (ウィウィ)」は、資生堂から離れて別会社になりましたので。43ページのこれ、株式会社になってしまったから、資生堂ではなくなってしまった。
鹿嶋会長
小室さんという人が社長になったのですね。
佐藤委員
資生堂ではないので、だからどうするか、考えてください。
栗田調査官
資生堂の方に一応確認をしたのですけれども、「WIWIW (ウィウィ)」の最初のプログラムを開発された方は退社されて、その方は別途でまた会社を起こしてやっていらっしゃると。しかし、資生堂の方の「WIWIW (ウィウィ)」事業というのはそれはそのまま残っているそうです。
佐藤委員
そうなの。
栗田調査官
資生堂として、この事業をほかの企業にプログラムを使ってくださいということで販売するようなこともやっているというふうに聞いていますが、小室さんの会社とは別になっています。
佐藤委員
二つあるわけ。
栗田調査官
はい。
鹿嶋会長
開発者の小室さんが社長になっているのはもう資生堂と全く関係ないの。
佐藤委員
別会社、開業しちゃったのですね。本当は向こう「WIWIW (ウィウィ)」使ってないですか?
栗田調査官
(資生堂の「WIWIW (ウィウィ)」事業と小室さんの会社は)狭い意味で言ったら競合するのですけれども……。
鹿嶋会長
使っているよ。
佐藤委員
使っているよね。
栗田調査官
それはお互い、世の中のために良いことやっているので、頑張っていきましょうという関係になっているというふうに聞いています。
佐藤委員
そうなの、何かよく分からない。
栗田調査官
今回、専門調査会で、去年、資生堂さんの方をヒアリングしたので、こちらを御紹介ということで書いています。
佐藤委員
すいません、長くて。
鹿嶋会長
この辺、ダブっているのだ、彼女と。
神田委員
先ほどの40ページの議論なのですけれども、キャリア教育の中にいろんなのが入り込んでいて、例えば、就職活動支援を今、「就活」というふうに言葉を作ってしまっていて、それが広がっているのです。それはかつての就職部が担当していて、職員の人がかかわっているわけです。一方で、それとつながって、将来職業をどう考えるかとか、いわゆるキャリア教育の本筋に当たる内容が入っていて、大学教育がそういう形で大きく今変わってきている。しかも、両方とも要望が強いわけですよ、学生から。だから片一方だけということではないかもしれませんね。
 国立女性教育会館でも今度3月9日・10日に就職支援セミナーをやるのですけれども、参加者は、かつての就職部の職員の人と大学の教師と両方です。
佐藤委員
そうですね。
神田委員
こうした中で、どういうふうな考え方をするか。
鹿嶋会長
一応書いてみますので、後でまた意見をいただきたいと思います。37ページと40ページについて議論が出ましたけれども、ほかはどうでしょうか。
袖井委員
佐藤先生がおっしゃったリカレントみたいなのはどこか入っていましたか。
鹿嶋会長
リカレントは。
袖井委員
お茶大なんか、文科省から特別のお金もらったりしているのですけれども、主婦がもう一回学び直して能力を付ける。
佐藤委員
そうですね。主婦じゃなくて大学ね。
袖井委員
そう。
鹿嶋会長
それは書いてないね。
矢島分析官
そうですね。
鹿嶋会長
リカレントも少し入れましょうか。
袖井委員
どこか入れた方が良いですね。
鹿嶋会長
そのとき、専門職大学院の話なんかを少し入れれば良いじゃないですか、リカレントの方にね。
佐藤委員
そこへ入れたら良いじゃないですか、少し2~3年育児期、子育て、それからすぐじゃなくて、専門職大学院へ行ってからというのもあるかもしれないですね。
池永調査課長
ぜひ教えていただきたいのですけれども、例えば主婦だった人が専門職大学院に行くような場合、すごくハードルが高いことが予想されます。それは、お金の面だったりとか、あるいはどこを受けたら良いかなかなか情報が得られないとか、その辺についてはどうお考えになりますか。
袖井委員
文科省がリカレントの学生に奨学金を出すことになりました。それでお茶大はモデル事業に選ばれたのです。そういうのもいくつかはあるみたいですけれどもね。
鹿嶋会長
お茶大の卒業生が来るのですか、リカレントの。
袖井委員
限らないみたい、広く一般に開放しています。
神田委員
そうするとそれは施策の現状になるのでしょうか。
鹿嶋会長
リカレントの項目、どこかへ入れてもらいます。
神野委員
多分戻るとき、お金の問題もあるかもしれませんが、もう一つ、問題なのは、職業経験の有無を認定するときにいつも主婦はもめるのですよ。つまり専業主婦を職業経験としてみなすかと、逆に条件をくっ付けるわけですよね。社会人入学として別枠にすると。
佐藤委員
一度もどこかで働いたことが、全然ない人はあまりいないのではないですか。
神野委員
いや、いますよ。
袖井委員
全然ないという人がいますか?
神野委員
いますよ。
袖井委員
全然ない人います?今、ほとんどいないでしょう。
神野委員
いや、だけど、それは認定できないわけですね。
佐藤委員
それはしようがないのじゃないかという気もしないでもない。そこまで入れろというのは少し。
神田委員
それはさっきの能力の評価とかかわってくるわけですよ。これは大きな意味を持つのですよ。
神野委員
職業就かずに家事をやっていたりという人は社会人とみなすかと。つまり社会人枠として、別枠にしているわけですよね、社会人枠は特別の入試ですよと。別な普通の上がってきた人と少し違う条件でテストしましょうといっているときに問題なのは、職業を受けていたということとみなすかと。
佐藤委員
今、どのぐらいあるのですか。学校を卒業して一度も就職しないで家事やっているという人って。
神野委員
だから職業として認定するか、しないかですよ。
袖井委員
そういう意味。
佐藤委員
そういう意味ね。
神野委員
だから、職業として認定しなければ、だって、こういう職業経験がなければといったときに、主婦ですと言ったら、それは認めないということですよね。だから1年間しか○○会社に勤めていませんでした、それは認められないでしょう。
佐藤委員
それは認めないという意味ね。
鹿嶋会長
職業としての認定というのはどのぐらいなのですか。
神野委員
入試のあり方によっていろいろですので。
鹿嶋会長
短いのはどのくらい。
神野委員
私どものような場合には一応社会人枠は設けないと。ただ、社会人の経験があるということは学問をいろんなことをやっていることが、仕事をやっていることによって一応ディスターブされているのだから、その期間を考えてあげましょうと。例えば、内閣府に5年間勤めていた人は、その職業のことを思ってあげれば、5年間も勤めていたのでは、丸々最初から出てきた大学卒の人と同じレベルでは無理だから、学力の辺はここをやりましょう。職務内容をその替わり評価しますと言っているわけですよ。この職務内容の評価のときに、主婦といったときに、私は1年間○○証券に勤めていて、あとの4年間は専業主婦というのは変だけど、家庭でやりましたと。職務内容を総合評価だからと称しているわけで、学校の成績以外にどういう職務をやってきたのかということも評価してあげましょうといったときに、どうやって評価されるのかというのが問題になるわけですね、そういうときに。だから、それぞれのところによって違ってくるし、例えば、そちらでやっているかどうか分からない、ただ、社会人枠といって、枠を決めてしまったときは入れるのか入れないのか、もう1年で入れちゃうのか。
佐藤委員
普通の大学院でやっている場合、そういう問題が起きるのですね。それは普通の社会人枠でなくて受ける分には構わないけれどもということですね。
神野委員
そうです。
佐藤委員
あと社会人大学院の場合は2年とか3年設けている場合、それは学部を出てそのまま受けてくる学生もいるのですよ。だから主婦というふうに想定しているのではなくて、学部学生がそのまま来るのを避けるという方が大きいと思いますけれども、確かにあります。
鹿嶋会長
それで主婦を排除すると、この37ページの趣旨とは少しずれるのですよね。
佐藤委員
普通の大学院は排除してないのですよ。
鹿嶋会長
もちろんもちろん。
佐藤委員
だから問題は社会人大学院の方ですね。
鹿嶋会長
そうそう。
袖井委員
お茶大なんかは主婦を想定しているのですよ。主婦の生徒を想定している。
佐藤委員
初めからありきで、普通の大学院へ入っていますよね、主婦の方も、今までも。
神田委員
結局その根底にあるのは、地域の活動やボランティア活動というのは、職業じゃないですから。したがって、社会活動というとらえ方をすれば、そういうものが入ってくるのですけど、職業というとそれらは排除されてしまうのですね。そういう問題が根底にあって、それを何とか評価しようというのが、この35ページのここなのです。だから、ここはとても重要なことだと私は思っています。
鹿嶋会長
そうなのですね。
袖井委員
そういうことで言うと、例えば介護なんかで、家族の介護をずっとやった人が介護福祉士の試験を受けるときに今までの介護経験を認定してくれないかという要望もあるのですよね。
神田委員
それはあるでしょうね。
袖井委員
普通経験5年以上で受けられるわけですけれども。
鹿嶋会長
どうしますか、そういうところまで多少踏み込んでいきますか、提言として。
袖井委員
そこまでいけるかどうか。
佐藤委員
少し難しいところはある。
神田委員
私はだから、こういうところで、そういうことをきちんと書いて。
鹿嶋会長
今、先生おっしゃったような介護福祉士なんか、それは当然介護経験の人は評価しても良いような気もしますよね。
袖井委員
でも、やっぱり職業としてやった人じゃないとだめなのですよね、受験資格は。
鹿嶋会長
そのあたりは問題提起として出していく。
佐藤委員
NPOの普通のボランティアもだめですね。
神田委員
そうです。
佐藤委員
単なるボランティアは。
袖井委員
単なるボランティアは。
佐藤委員
結局だめなのです。
袖井委員
ちゃんと介護保険適用のところで働いたりすれば良いのだけど、単なるボランティアでは無理です。
神野委員
それから、35ページのところで言えば、既に日本の職務評価、あるいは勤務評定というのは、それほどきちんとした職務評価になっていないので、現実には評価するのですね。というのは、会社は物が売れれば良いので、広報活動として、その人が様々な、土日にはこの人は一生懸命地域で活動していると。そのことが評価が高ければ、職務評価に入れるのですよね。それはアメリカなどでも、午後、ボーイスカウト活動でわあわあやっている人とかはそれなりに評価していますから、職業能力というのが実は非常に難しくて、職業能力というのは非常に……そもそも人間の能力といったときには、狭く労働市場で物を売る能力ではないとかと言い始めるとえらく混乱するので、少し漠としてこのぐらいで書いておいていただいた方が良いのではないかと思いますが。
鹿嶋会長
そのあたりの話を少し入れてみましょう。どういうケースを例示するかどうかは、またこちらでも考えますけれども。
神野委員
それから、ここもマイナスの話ではないわけですよね、ワーク・ライフ・バランスの話も。これはマイナスで評価しているわけですね、現実には。
佐藤委員
現実はね。
神野委員
現実は育児休暇をとってしまうとか、マイナスの評価になる。あまり大きい声で言ってしまうとまずいのですが、実質出勤率というのをとっていますから。
鹿嶋会長
そうですね。
神野委員
それは少し、ここはどういう意味なのかと。これはプラスの方で考えているのですよね。
佐藤委員
これはプラスで考えている。
神野委員
考えていますね。
矢島分析官
勤務評定とまで言ってしまうのがどうかとは思うのですけれども、ワーク・ライフ・バランスを図るために、そういった時間を有効に使うことに対して前向きな見方をするとかいうぐらいのレベルなら書けるかもしれない。
鹿嶋会長
育児休業の取得者なんて大体マイナス評価されているケースが多いわけですよ。でも、あれだってプラスの評価の要素を持っているわけで、だから、そのあたりのニュアンスが少し入ってくれば良いのか、こういうところに。
神田委員
やはり今いろんな社会活動を評価して地域づくりやなんかを進めようという動きがありますから、そちらに少し評価を高めるような方向が必要なんじゃないでしょうか。それから、例えば38ページにある「マインドアップ」はとても良いと思っておりますけれども、これもそういう要素が入ってこないと、自分だけが地域活動してやったよという自己満足になってしまうのですね。結局これで打ち出しても、そういう自己満足の状態だとあまり広がっていかないとか、評価されないということになるので、ぜひ、今のような観点を入れてほしいと思います、私は。
鹿嶋会長
専業主婦体験とか、専業主婦の能力というのをどういうふうに職業の方に結び付けられるか。今回のテーマはある意味では非常に大きなテーマだし、逆にそういう提言がきちんとまとまれば、初めての報告書になるので、そのあたりは目玉商品として、この報告書を考えても良いかもしれませんね。
神田委員
専業主婦というふうに限定しないで、社会活動能力みたいな方。
鹿嶋会長
社会活動能力。
神田委員
はい、専業主婦能力とはしない方が良いと思うのです。社会活動能力、地域活動能力とか、そういう方に言ってほしいです。
鹿嶋会長
子育て体験とか、家事体験とか、そちらの方はどうですか。
神田委員
子育ても単に専業主婦に限定するのではなくて、子育てによる社会活動体験みたいなものも評価される。各家庭の中で閉鎖的になってしまうと、今、子育てはうまくいかないです。
鹿嶋会長
そうすると専業主婦の中でも限定されてくるようなところがあるでしょう。
神田委員
専業主婦という位置ではなくて、何をやっていた専業主婦なのか、活動の内容じゃないのですか。
佐藤委員
企業に評価しろといったら、子育て自体を評価しろというのはやめた方が良いと思います。それは無理ですよ。それは企業ですから、事業活動の役に立たなければだめなのですよ。
袖井委員
でも、例えば育児や介護が企業活動に関連した場合には評価しても良いわけでしょう。
佐藤委員
もちろんそういう意味ですよ、言っているのは。
袖井委員
そういう意味でしょう。だから、何でもかんでも評価しろという意味ではないのだけれども、だから、そういうことにもっとセンシティブになってくださいということは良いのじゃないですか。
神田委員
子育てとか専業主婦としての、そこで培われた能力が企業にとっても非常に有効だから評価すると、こういう段階のことなのだから。
鹿嶋会長
そうすると、社会活動能力とかというふうに限定されると、そちらの方がちょっと排除されちゃうのですね。
袖井委員
別に社会活動と言わなくても良いと思うのだけれども、そういうふうにしたら良いのじゃないですか。
神野委員
管理者に特に必要なのですよ、子育ては。人間というのは自分の思うとおりに動かないのだということを理解できる。そうしないと、誰もが言ったとおりに動くのだというふうに勘違いを起こすから、管理者教育として子育てをやらせるというのは一番、よく体験入隊とかやっているでしょう。あれよりよほど良いのじゃないですか。
佐藤委員
特に教育につながるということを言った方が良いと思うのですよ。そういうふうにつながる部分があるというふうに言うのは私も大賛成なのですけれども。
鹿嶋会長
どこかに一つのことを複数こなせるなどというのはありましたか。
栗田調査官
37ページですね。
池永調査課長
今まで御議論いただいた中で出てきた例をできる限り入れ込んだ形にしています。
鹿嶋会長
そうなのだね。
池永調査課長
37ページの3番の二つ目のパラで、関連する商品開発やマーケティングとか、複数の業務を同時に処理する能力とか、あと、CSR活動といったときにはそういう視点がある人に働いてもらうのが効果的とか書いてあります。さっきおっしゃったような管理職の例もそうかもしれませんが、どういうところが役に立つのだというのがあった方が説得的になると思いますので、佐藤先生がおっしゃるように、企業にとってのメリットを例示的にもできる限り多く入れたいと思っています。
神田委員
もう一つ言っておきますけど、要するに、今、専業主婦というのは少なくなってきていますでしょう。専業主婦という立場や位置ではなく、家事・育児の能力、それは男も女も共通だというような方向でないと。男の人も家事能力を持って、それが企業に役立つのだと、そういう方向を持ってほしい。
鹿嶋会長
もちろんそうですけど、少し焦点がぼけませんか。要するに現実は10人中7人は、最初の子どもが生まれた途端に家庭へ入ってしまっていますから、だから男はそんなことないわけですよね。
神田委員
男はそちらの能力を伸ばしてないということです。私はそういう広さでやらないとここはいけないと、私は賛成しかねますね、専業主婦というのに限定していくやり方は。
矢島分析官
専業主婦という言葉は使わない方が良いということで……
神田委員
家事能力とか育児能力。
佐藤委員
男性も含めて考えた方が良い。
神田委員
男性も含めて。
栗田調査官
職業経験等ということで書いていますので、一応全部御議論いただいているものは含み込まれるような書き方にはしているのですが、ただ、それぞれ個別のところをとらまえると……。
鹿嶋会長
アクセントの付け方ですね。
栗田調査官
ええ、ということかと思うのですけれども、一方で、全部書き込もうとすると焦点がぼけるというところもありますので。
鹿嶋会長
いずれにしても家事とか育児能力、そういう体験から培った能力は企業人としての評価の一つ項目にどういうふうに加えられるか。
神田委員
それにボランティア、社会活動などを並べていけば良いのじゃないでしょうか。
矢島分析官
経験そのものではなくて、経験によって培われた能力という言葉にするということで。
神田委員
そうです、培われた能力、そういうことです。
佐藤委員
男性の方もボランティアとか、そういうところがあるから、最後の方に男性もというような書き方をすれば、さっきの育児休業とった男性も入ってくるから、そういう意味で生きていくための能力はいろいろあるわけで、仕事だけではなくて、実は仕事の能力とつながっているというような書き方ができれば。
神田委員
そうです。
鹿嶋会長
男性に育児休業とってもらう言い方としては、育児休業をとることは実は企業にとって大きなプラスになるという言い方を今しているわけだから、そのあたりのことを少し入れれば良いのだね。
 いずれにしても、この大きなボリュームゾーン、260万でしたか、再就職を目指す女性たちがいるわけで、その人たちが何らかの形で実際に希望すれば職業に就けるという、そのあたりのことを少し理論的に書いていきたいなと思っています、ここは。
 ほかにどうでしょうか。
神野委員
これは無視していただいて良いのですが、無理でしょうから、この報告書、35ページ、基本的には能力開発、生涯学習に参加できる参加保障の体制作りと。しかも全体の報告書がこの概念でうまくまとめられていると思うのですが、参加保障というのは責任は協働社会というか、社会全体が責任を持つわけですよね、この体制作りは。そうすると、本来は誰でもいつでもどこでも「ただで」と入れたいのですが、日本では無理でしょうね。
袖井委員
それは無理でしょう。
神野委員
日本では恐るべき国民で、サービスというのは、ただでもらうものではなくて、いくばくかの負担をしない限りは与えてはならないという確固たる信念がある国民なので、「ただで」は入らないのですよね。本当は参加保障と書くには「ただで」を入れないと本当の保障にならないですよね。そんなのいくらでも保障できるので、と思うのですが、ちょっと無理でしょうから、どこかに端々の行間で読めるようなことをしておいていただければ。
鹿嶋会長
ほかにありますか。
佐藤委員
最後の41ページのところの介護のヘルパーが出てくるのだけど、これは多少ほかの非正規の問題と違うところがあって、これは介護報酬をどうするかなんですよ、実際は。介護報酬制度の中に研修が入っているかどうかで、単純に有期だからやってないというふうに言えるかどうかというのは、移動の時間とかそういうことも含めて、少しこれは難しいのではないか、ここに例示するのは。本来は介護報酬の中に組み込まないと無理だよね。
鹿嶋会長
そうか、この研修をね。
佐藤委員
研修を。例えば。それは厚生労働省が入っていると言うか言わないかだけど、介護報酬の単価計算のときにどう積み上げているかで。私なんかがいろいろ雇用保険とか有給休暇全部やると無理なのだ。全部入れてしまうと、有給休暇もきちんととるとか、そういうものを全部やっていくと、実際計算してみるとだめなのだけれども、どういうふうに積み上げているかがよく分からない。
鹿嶋会長
ここは厚生労働省に確認して、そして提言として介護報酬の中に研修まで入れる。研修も介護報酬の中に入れるべきではないかと入れれば良いのじゃない。
佐藤委員
既に入っているというのであれば、事業主はさぼっているということもかもしれないし、もともと入ってないとやりようがないわけですよ。
栗田調査官
厚生労働省の方としましては、恐らくこちらはなかなか書き込むのは難しいという判断かと思うのですけれども。
鹿嶋会長
後で調整して、一応聞くだけで良いので。
矢島分析官
ここではデータの問題で、介護だけでこういったデータがとれているのですね。なかなか分からないのですね。こういう登録型の働き方の人の実態というので、本当は介護だけではなくて、登録で派遣のような形で働いている人というのは、問題としてあると思うのは、例えば賃金、最低賃金を決められたとしても、結局実質一日8時間どうやっても働けない仕組みがあるということだと思うのですね。それは移動の時間とか研修とか、報告書を書くとかという時間が賃金に含まれなければ、それをやらなければいけないですから、1日8時間働いても8時間分お給料もらえないわけで、1時間当たりが最低賃金であれば、最低賃金よりも更に低いということに構造的になってしまう話であって、そこに「研修時間」という形で能力開発の要素も入っているので、今回取り上げているのですが。本当はほかの分野でもデータを示せれば良かったのですが。佐藤先生がおっしゃるように、介護の分野だと、そういう保険制度の中でという特殊性がやっぱり……。
佐藤委員
あと派遣の登録とヘルパー登録というけど、全然これは意味が違うので、派遣の場合は登録で雇われている雇用、派遣されている。ヘルパーの場合、登録って、よく分からないけど、基本的に有期雇用なので、これを事業者は日々雇用というか、協定は月単位で雇用しているということだと思うのですね。介護のあれは月単位で作るから、だから月単位で雇用されている人たちなのです。それが月ごとに働く曜日や時間が変わり得る可能性がある。あまり登録というのが正確な言葉ではないので。
鹿嶋会長
そうするとどうすれば良いですか、ここの表記は。
佐藤委員
「また」以降なくてもよいというだけの話なのです。
鹿嶋会長
できれば、今、女性は介護の分野に出ているから入れたいと思いますけれどもね。
佐藤委員
なるほど。
袖井委員
女性の再雇用で、これはものすごい多いのですよね、中高年女性の再雇用は介護が多い。
鹿嶋会長
厚生労働省はあまりここは書き込むのは積極的ではないと思いますが。
佐藤委員
趣旨が、できるような制度的な整備しろと書くなら良いと思うんですね。事業主だけが悪いみたいな感じになってしまうと、そういう意味だけの話なのですよ。
植本委員
資格を取った人はすごくたくさんいるのに、実際職業に就いている人が非常に少ないという典型的な分野でもあるのですよね。そこを阻んでいるのは、今ここに例示されているようなことを含めて阻んでいる要素があるとは思うのですね。
鹿嶋会長
いずれにしても、今の意見、趣旨は酌んで、一応厚生労働省と調整してみて、ここの文章は一応書き込むという前提でいきましょう。ただし、どういうふうに書くかは厚生労働省と話してもらってくれる。
栗田調査官
各データ自体はきちんととれているので、その紹介は現状の紹介ということで書かせてもらう……。
矢島分析官
そこまではそう書いて良いと思うのですけれども……。
佐藤委員
どうしたら能力開発できるかというだけの話なのですよ。やってくれというだけでやれるのかどうかだけを少し心配しているだけで。
栗田調査官
そこの書きぶりは少し調整させていただければと思います。
鹿嶋会長
ここは切らずにちゃんと載せるようにしませんと。
佐藤委員
それは私も良いと思うので、正確に分かるようにしていただければ。
神田委員
ここの研修は大事ですね。どういう形でやったら良いのか。
鹿嶋会長
ここの調査会は監視・専門調査会ですから、ですから政府の施策について、私どもがいろいろな立場から言えば良いので、多少きつく言っても良いのではないか、厳しく言っても。その辺の調整は、皆さんの立場があるだろうから任せます。
 ほかにまだ議論があると思うのですが、あとはペーパーで、締切り、いつまでに出してもらいますか、意見がある場合は。
栗田調査官
20日までにお願いします。
鹿嶋会長
20日までに事務局あてに出してください。本日の議論は意見を踏まえて修正して、次回に取りまとめをしたいと考えております。本日の審議はここまでとさせていただきますが、事務局から連絡ありますか。
栗田調査官
本日お配りしました資料の取扱いでございますけれども、報告書自体が3月16日の回で最終的な取りまとめということでございます。それから、各省の方ともまだ調整をしてないという状況のものをお出ししているということですので、取扱いに十分御留意願いますようお願いいたします。
 それから、席上に参考3として、前回の専門調査会の議事録を配布してございます。こちらの方もお気づきの点がありましたら御連絡いただければと思います。以上です。
鹿嶋会長
それでは、これで本日の監視・影響調査専門調査会(第18回)の会合を終わります。どうもありがとうございました。

(以上)