監視・影響調査専門調査会(第14回)議事録

  • 日時: 平成18年10月2日(月) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 佐藤委員
    • 神野委員
    • 袖井委員
    • 林委員
    • 古川委員
    • 山口委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 女性の能力開発に関する有識者ヒアリング及び質疑応答
      • 「農村女性をめぐる現状と課題―特に能力開発を中心にー」
        川手 督也 氏(日本大学生物資源科学部食品経済学科助教授)
    • (3) 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に関する影響調査
      -女性の多様な選択をめぐる現状と課題(統計データ分析)-
    • (4) 閉会
鹿嶋会長
おはようございます。
 それでは、第14回「男女共同参画会議 監視・影響調査専門調査会」を開催させていただきます。
 今日はお忙しいところ、また雨の中どうもありがとうございました。
 本日の審議ですが、あらかじめ事務局より御連絡させていただきましたとおり、「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に関する施策」について、有識者の方からヒアリングを行うことと致します。
 本日は、日本大学生物資源科学部食品経済学科の川手督也助教授から「農村女性をめぐる現状と課題-能力開発を中心に-」というテーマでお話をお聞きすることにしています。 その後、「女性の就労をめぐる現状と課題に関する統計データの分析」について、事務局から説明をしていただきます。
 それでは、川手先生どうぞよろしくお願いいたします。
川手助教授
おはようございます。
 ただいま紹介にあずかりました日本大学の生物資源科学部、いわゆる農学部から参りました川手と申します。
 最初に少しだけ私の経歴を申し上げますと、大学を卒業しまして、出身が文学部の社会学科だということもございまして、ちょうど20年間、いわゆる農水省の関係の試験研究機関におりました。試験研究機関の中にも社会科学系の分野がございますので、そちらに従事しておりました。ただ、そのうち2年間、ちょうど平成3年から4年にかけては、行政官として農水省の農村女性対策の担当官をしておりました。
 そういう関係もありまして、農水省の試験研究機関と致しましても、当然社会科学分野があり、更には農業の担い手の問題が非常に重要だということで、試験研究機関の時代はいろんなことをやってきたわけでございますが、そのうちの重点的なテーマとして、農業の担い手の問題、特に女性及び青年農業者の問題について勉強してまいったということがございます。
 今の日本大学に移りましたのは、昨年4月でありまして、大学の教員と致しましては、まだ2年生でございますし、そういう意味では、今、申し上げましたとおり、農水省べったりなところがございますので、果たして、こういう場にいてよろしいのかどうかということも申し上げたところであります。
 御存じのとおり、今、社会科学の分野でも、本格的に農業や農村の問題をやっている人間が物すごく少なくなっています。更に言うと、人の問題をやっている人間は、本当に少ないということもございます。
 20年間ずっとやっておりますと、農村の女の人に大変思い入れもございますので、思うところをいろいろお話しさせていただきたいと思います。
 今日のお話の内容は、大きく分けて三つです。
 一つは、農村女性の現状と課題です。特に女性農業者が中心でございます。当初は農山漁村だったのですが、漁業と林業の方は、今、勉強中でございますので、一番分かるところで農村についてお話しさせていただきます。
 女性農業者という言葉で、恐らくポイントになるのは、一般的に農村部に暮らしている女性というよりも、農業を職業としている部分がかなりのポイントになると思います。そのようなことで、女性農業者という言葉は、あいまいな定義でありますが、農業を職業としているという感じで考えています。
 その中で、必要とされる能力開発と課題、関連施策の評価などをやると、農水省に怒られると思うのですが、少しだけ思うところを述べさせていただきたいと思っております。
 中心は1番、2番です。
 (PP)
 最初は、特に女性農業者が中心であります。
 (PP)
 繰り返すことでもないことですが、日本の場合、農業経営の大半は家族経営であります。多世代同居率が極めて高く、多世代に夫婦がそろっていると、労働力的にも非常に充実している。
 更に言うと、農村社会自体が家の連合体で成り立っているのは、古典的な農村社会学でありますが、「地域住民(農家など)」と書いてあるのは、今の農村を言いますと、混住化が著しくて、統計の取り方によっては、1割を切るぐらいの感じになってしまう。実際に混住化は著しいのですが、今、空間的な意味で土地、水、緑が豊かな部分をNONDIDの形で定義することができると私は思っているのですが、いずれにしろ、都市的地域と比べますと、民間の会社も少のうございますし、更には公的な施設なども少のうございます。そういう意味で、農村地域社会は、地域住民の私的自治の裁量でやっていかなければいけないところが、一つの大きなポイントなのかなと思います。
 よく言われることですが、女性は農業就業人口の6割近くを占めるなど、農業・農村において重要な役割を持っている。特に、子育てが一段落した30代後半から顕著だということであります。
 (PP)
 「女性の農業従事のパターン」になりますが、大半が結婚を契機として就農するということで、要するに結婚相手が農業をやっているとか、あるいは農家だということで、就農するパターンが圧倒的である。子育てが一段落した時点から、本格的に農業に従事していくことで、いろんな統計を追っても、特に30代の後半ぐらいから割合が増えることが確認されます。
 実は今の50代以上になりますと、子育てが一段落しなくても、ずっと農業をやり続けるパターンをとってきている点がございます。細かいことでありますが、労働力率などでいきますと、一般世帯は高度経済成長に入ってから、ちょうど結婚してから子育て期に当たるところのM字が深化していくという話があります。最近は、また上がっていくという話がありますが、統計データをとって農家世帯などでは、もともと一般世帯よりも就業率がはるかに高いのです。要するに、今の50代以上の場合は、かつて子どもを産んでも、その上の世代の女の人たちが育てる形をしている。自分たちは子育てをしていない。
 今の40代以下になってくると、家の仕事をいろいろやりながら農業をする。だから、ここのパターンは、必ずしもそんなに古典的ではない。
 更に細かいことを言いますと、60代から70代になりますと、早目に農業からは足を洗って、家の仕事に専念する。こちらのパターンは、まだ変わっていないところであります。(PP)
 単位が抜けたりしているもので、申し訳ございません。数字は1,000 人でございます。あとはパーセントです。
 別のところに、農水省の関係の統計のデータも表してございます。
 先ほど申し上げた女性農業者は、具体的に何人ぐらいいるのかということになります。よく使われるのは、農業就業人口、基幹的農業従事者数、農業専従者の三つであります。 農業就業人口は、農業のみに従事した者、または自営農業以外の仕事に従事しても、年間労働日数を見て、自営農業の方が多いという農水省の定義がございます。
 基幹的農業従事者は、農業を主とした世帯人のうち、普段の主な状態が農業だということ。やや縛りがきつくなります。
 ここには出してありませんが、農業専従者になりますと、自家農業の従事日数が150 日以上。
 だんだん縛りが厳しくなってくるのですが、特に基幹的農業従事者は縛りがきついので、こちらの方が良いのではないかという御意見もあります。ただ、この場合、問題があります。細かいことになりますが、家事も農業もやっていて、家事の方が主の場合は、幾ら一生懸命農業をやっていても、基幹的農業従者にはカウントされないのです。そういうこともありまして、農業就業人口と基幹的農業従事者という定義がある。
 平成17年の数字で申し上げますと、農業を職業としている人口は、男女合わせておよそ334 万人から236 ~237 万人いて、大分誤差があるわけなのですけれども、そのうちの約半数を超えるぐらい、178 万人から109 万人ぐらいが女性の方になります。
 農業就業人口の方に移らせていただきますと、農業を職業としている人間が 333 ~ 334 万人いる中で、大体178 万人が女性農業者だというとらえ方ができる。
 (PP)
 こちらの画面は大変見にくいのですが、今、申しました農業就業人口と基幹的農業従事者を年代別に見ていただいた数字であります。
 このように10代、20代の割合は少ないのですが、30代を超えて割合が大きくなります。例えば基幹的農業従事者にタイムラグがあるのは、先ほど言った統計のあれです。特に30代の後半になって農業を本格的に始めるときに、家事とどっちが主といったときに、家事を主と書いてしまうと、基幹的農業従事者から外れます。細かく5歳刻みでとれば、更に30代後半から顕著になることが分かります。
 (PP)
 「農業における女性の役割(2)」を労働的な面から見てのお話でありますが、単に働き手だけではなくて、中身も非常に大変なことになっている。
 これは、農業経営や地域農業です。いわゆる多角化・高度化という言い方をしますが、例えば単純に稲作なり中州でお米を生産しているだけではなくて、加工したり販売したり、あるいはいろんな農業体験や農家民宿、場合によっては、レストランを単独ないし共同で作っていくのが、個々の農業経営や地域農業を集団的、組織的にやっていく面でも、水平的な多角化よりは、垂直的な多角化になると思います。そのことによって、高付加価値化を実現していこうという動きが顕著であります。
 そうした場合、現実の社会の性別、古典的な性役割を反映している部分はあるのですが、現実に加工とか販売、あるいはいろんなホスピタリティーが必要な接客的なものにつきましては、農業においても、女性が中心になって引っ張るケースが多うございます。そういう意味では、異常に付加価値の高い部分、古典的な性役割を反映することはあるのですが、やっている。このことによって、働きが非常に目立つ形になっているのが、最近の状況です。
 実際に責任を持って様々な部門を担当しておりますし、後でも述べますが、今、家族経営協定の推進が図られておりまして、一定の経営参画の実現をしている。このことによって、単なる働き手だけではなくて、女性が新たに経営にタッチしていく、いろんなアイデアを出してやっていくという流れの中で、農業・農村の新しい可能性も開かれていく。(PP)
 これは余談になりますが「参考:農業・農村の新たな可能性について」です。全体的には農業・農村は非常に厳しくて、女性農業者になると、男女共同参画的な観点からもいろいろ問題が多いという話があります。
 一方で、仕事としての自律性が高いですとか、職住近接あるいは一致していることなどから、家庭生活による活動と他の活動が可能で、場合によっては、男女共同参画を実現しやすい魅力ある職業となり得ることは、何回か申し上げております。
 平成4年に、農水省として初めて農山漁村女性対策を体系化したと言いますか、出したビジョンの中でも可能性に言及しているわけですが、実際こういう良さをうまく使うと、例えば家事・育児・介護などの経済的な評価みたいなものも既に行われてしまっていることがございます。
 家事、育児などをすることが、ダイレクトに全体の生活にとって大切だと、だれかが実際に家事をやってくれないと人間生きていけない。あるいは育児も同じで、子どもが育たないという話があるのですが、生産と生活が仕分けられなければいけないのでしょうけれども、かえって、一体的な部分がこういう部分を生む。これが家族経営協定の締結です。
 そのことによって、経済的に労働報酬などを与えられるケースが見られる。こういう取組によって、そういうケースもあることが明らかになる。この点は、所得税の実際の運用問題から見ると、際どいところで、認められないケースが多いのではないかと思うのですが、実際に問題になっているケースもあります。余談でありますが、そんなことであります。
 (PP)
 「○家族経営協定の推進などにより地域リーダー層を中心に一定の参画」であります。
 家族経営協定は、家族農業経営に携わるメンバーが、目的としては、意欲とやりがいを持って経営に参画できる魅力的な農業経営を目指すということで、経営の方針や役割分担、あるいは就業規格、就業条件などについて、家族の間で話し合いをしてルール化する、いわゆる私的な契約であります。こういうことが、男女共同参画の推進ですとか、あるいは農村家族の近代化みたいなことと関連する形でやっていきます。
 家族経営自体の近代化が図れるのではないかという経営の近代化のツールとしても、いけるのではないかということでやられるわけですが、あくまでも農家、農業に携わる人間の主体的、選択的なことであります。これをバックアップすることは、農水省でも施策としてやっているわけですが、農水省の調査でいきますと、18年3月現在で3万4,521 件締結しています。
 (PP)
 いろんなあれがありますが、今、経営参画は一定に進んでいる。十分とは言えないけれども、一定に進んでいることを示すような調査結果になっていますが、果たして調査自体がどういうことを意味しているか吟味されると、いろいろ出てくると思います。
 少なくとも、ここで私がはっきり申し上げたいのは、要するに女性農業者、農村女性は、角のない牛だった。ただ、ひたすら働くだけの存在だったと言われていましたけれども、そういう姿とは相当違うということであります。
 (PP)
 責任を持って担当している部分が70.6%。これも調査の仕方によっていろいろあるかもしれませんが、意思決定の部分で、個々の農業経営とか生活における参画の状況、更にはそれをベースにしながら活躍できる範囲が大幅に広がってきている。特に地域リーダーとして活躍されるような女性の場合には、顕著であることが言えるのではないかと思います。(PP)
 そのほか、地域農業・社会について言いますと、先ほど垂直的多角化をベースにした高付加価値化という動きがあったと思いますが、女性が中心となってやるケースを農業関係者の中で、都会の女性企業をなぞらえまして、農村女性企業という言い方を平成4年ぐらいからしているわけです。販売金額の規模でいきますと、300 万円未満ということで、60%近くです。何だという評価もあるかもしれませんが、非常に元気だというのでしょうか、活発な形でやっている。恐らく直接的な経済効果以上に、間接的なものといろんな意味があると思います。
 今、農業や農村で元気なのは、こういう農村女性起業に携わっている女の人たちだけだなどという言い方をされます。
 (PP)
 この辺の数字も、農水省で調べています。すべてホームページ等で公開されている数字でありますが、伸びてきているということであります。
 (PP)
 「農村女性の経営・生活における位置づけ」についてですが、労働条件というか、労働環境的な観点から見ますと、ただ働きは次第になくなってきていると言いますが、事実上、報酬を受けていても十分な報酬と言えるかどうかという問題などもあります。
 更には農業の場合、依然としてと言いますか、戦後の制度的な枠組みが農地を所有している、していないという話が大きく効いているところもありまして、保有の問題でいきますと、その辺の農地を含めた経営資産が非常に少ないことが言えます。
 これは、現行の法制度などで、農業経営者としての位置づけの問題もありますし、社会参画でも、農協の役員などの場合、例えば組合長になったら、無限責任が出たときの担保がないと、二の足を踏むという話が現実にあると思うのですが、これも逆に言えば、資産を保有してさえすれば、クリアーする話だと思いますが、現実には少ないことがマイナスに働いていることになる。それから、農業に加えて家事・育児・介護などは、女性の方にしわ寄せが行くということがありますので、以前ほどではないにしても大きな負担になる。そういうことを踏まえて、能力向上の機会は不十分でありますし、また、農業経営者としての位置づけ、農業の働き手ではなくて、それを意思決定して自ら新しいビジョンを持ちながら事業を展開していくという観点から、まだ十分とは言えないと思います。
 (PP)
 これもちょっと見づらいのですが、平成15年度の農水省の調査によりますと、半々ぐらいなんですが、報酬を受け取っていても一番多いのは5万~10万で、5万未満と合わせると過半数を超していてどうなのだろうという話が言われるところでありますが、こんな状態です。
 (PP)
 それから、資産の保有状況について、なかなか全国的な調査がないのですが、12年に当時の農村女性対策を担当している婦人・生活課の方で調査した結果でいきますと、いわゆる預貯金というのは、かなりの人間は持っているのですが、農地とか、農作業施設、宅地について見ますと非常に少ないし、中身を見てみますと、言葉は余り好きではないのですが、女性の後継者の立場の人間を除くと更に少なくなります。
 ただ、今の地域リーダーの層の女性農業者になってきますと、こういう問題もクリアーしていこうということで、やはり十全な農業経営者になるためには、先ほどの農協の役員もそうですけれども、ある程度の担保負担、その資産も必要だということで農地を取得するような動きは多少出ております。
 (PP)
 女性が経営参画する上での課題としてよくこういう調査があるのですが、やはり挙がってくるのが家事・育児・介護等の負担が大きく経営に参画するゆとりがないとか、農業技術・経営等に関する知識を習得する機会がないとかあるいは少ないとか、女性のための支援策に関する情報に接する機会がないとか、一つには農業及び家の仕事に追われて外に出ていく機会がないというのと、どうしても農業経営や生産にかかわる話は男性の方に情報やいろんな研修の機会が入るということもございます。
 そういうことで、そもそも有益な情報に対するアクセスの部分で問題があるといっても否めないということであります。
 (PP)
 これは全国調査によってということです。上の方が女性で、下の方がパートナーというか男性ということになると思うのですが、ちょうど青系の色に達したのが、労働時間ということになります。青の濃いのがいわゆる農業労働で、水色的なものが家事・育児ですが、やはり男性の方が基本的に農作業は長くやるわけなのですが、両方とも特に農繁期は働くわけなのですが、足してみると女性の方が働いているということと、家事・育児・介護にかかわる男性の時間は少ないということが言えると思います。
 (PP)
 先ほど農業経営者の社会的位置づけの問題がありましたが、昨今御存じかと思いますが、いわゆる農業経営政策ということで、農業経営に関する公的な支援を集中的かつ重点的に実施する対象ということで、これは既に平成に入ってからそういう制度ができたわけですが、いわゆる認定農業者ということがございます。
 これにつきましては、いろんな制度の運用上の問題もあったりして、要するにプロの農業者としては、今は認定農業者に認定されるということが一つのメルクマールになるという感じになっています。そういう意味では、女性の件数は、平成17年で3,685 件、全体のわずか2.14%にすぎない。
 一つからくり的なことがありまして、制度自体ではなく制度の運用自体で、もともとは所得税法の国税庁の通達がもともと端を発して、やはり一事業に対して一事業主しか認めない、それがそのまま追っているところがありまして、ちょうど平成15年までは、要するに法人化していない場合は、一経営について一事業主しか認めないところ、例えばそういうことなどもありまして、男性でも女性でも良いのだけれども、要するに認定農業者になれるのは、一経営で一人だというのは基本的でありましたが、そういう時代でもなかろうということで、運用改善を行ったのが16年ですけれども、それで数字が出てきているということであります。それにしてもまだまだです。
 (PP)
 先ほどの農業就業人口の半分、基幹的農業従事者でもやはり半分はいるということですから、この数字は著しく低いとしか言いようがないということであります。
 (PP)
 今度は社会参画の方になります。これはほとんど言語道断の数字としか言いようがないと思います。
 特に数字として取られるのは、いわゆる農業委員会というのが、一つ基幹的な行政委員会でございますが、農協の理事等々について見ると、これはどうしようもなく相変わらず低い。
 以前に比べると、正直言って平成3年、4年に私が担当官でいたときは、0.1 %に行っていませんで、当時総理府の婦人問題担当室というところに数字を届けに行かなければいけなかったのですが、非常に恥ずかしい思いをしたのです。それに比べると物すごい伸びではあるのですが、しかし、その水準は極めて低い。ある方が国の恥だと言いましたが、私もそう思います。
 これは公的なものだけではなくて、いわゆる地域農業です。家族経営が中心になっていますので、家族経営の連合体で生産の組織化を図り、農協なんかが入っていくわけですけれども、あるいは水田の転作ということで、何を作っていこうか、そういう土地利用、空間利用みたいなことは、地域農業の枠組みを地域で決めていくわけですけれども、そうした地域農業や村づくり、集落運営などにおける計画や意思決定の場への参画も極めてまれであるということであります。これはもっと社会参画よりも厳しい。
 ただ、特に村づくり、集落運営の中では働き手として活躍する。例えば、先ほど申し上げました、いわゆる垂直的な多角化、これは地域農業でも図っていく話でありますので、そういうところで非常に実績として、働き手として目立ってきているということは大分変わってきているところがあります。
 そういうことをとらえて、地域農業や村づくり、集落運営などにおける計画や意思決定の場への参画。
 もう一つ言いますと、これも非常にひどい話です。大きな農協の大豆を転作ですべて一手に引き受けて、8,000 万ぐらいの売上げている、おみその農村女性企業を法人化しているところがありますが、そこが転作についての意思決定の場に立つかというと、全然立っていない。個人的にかなりたき付けているのですが、そんなことがあります。
 (PP)
 これは正直言って、国の恥をさらすようなものだと思いますが、0.1 %という時代からすると、すごい伸びだなと思いますが、実際にそうだと思うのですが、この数字はどうなのだろうという数字でしかないと私は思います。
 (PP)
 少し現状と課題についてざっと総括いたしますと、女性農業者の現状は決してミゼラブルなものではなくて、個別の経営・生活の参画が一定進み、様々な活躍を見せている。
 特に地域リーダー層における取組というのは、自家の農業・生活に発して、地域社会、更には都市サイドまで広がって、内容的には、狭い意味での農村女性地位の向上のみならず、産直、直売、伝統文化の継承や新しい生活文化の想像、地域づくり、地域資源管理、環境問題への対応、高齢者福祉などという形で、農業や農村の新しい可能性を実現するような方向でということです。
 エンパワーメントの面でも、言語道断の数字だと思いますが、それでも0.1 %が4%ぐらいになっているということは、この地域リーダーの層の女性農業者によるかなりの活動、あるいは自らがそうなっていくという形の運動が徐々にではあるが着実に変えていく力となりつつあるということが言えるのではないかと思います。
 (PP)
 しかし、経営・生活における特に農業者あるいは農業経営者という位置づけは不十分であり、地域農業・社会への参画は極めて不十分で、そのことが情報やいろんな自分の能力を向上させる機会に対するアクセスが十分でないということを含めて、能力が発揮されていない状況です。
 (PP)
 「2.必要とされる能力開発と現状、対応する課題」の話に移ります。
 (PP)
 農業・農村をめぐり厳しさが増す外部環境の中で、かつ先ほどから申しましたように、都市、田舎に比べて随分私的自治により運営する領域が大きい農業・農村の中では、いわゆる生活者の視点をいかした女性の農業経営や地域農業・社会運営の参画。更にはその担い手として実力を十分発揮してもらうことが急務だということです。こういう認識がかなり農業の世界でも出てきているわけです。
 (PP)
 経営参画が進んだことに伴い、また、関連する公的な面を含めた研修だとか、ネットワーク形成などを受けて、農業経営者としての一定の能力の向上が特に地域リーダー層で顕著である。
 (PP)
 しかし、繰り返しになりますが、農業に加えて家事・育児・介護などの大きな負担や、農業経営者としての社会的位置づけの不十分ということから、技術や経営に関する研修の機会は依然として不十分であり、繰り返しになりますが、必要な情報のアクセスも不十分である。
 特に最近で言いますと、認定農業者というのが、農業者あるいはプロの農業経営者としての一つのメルクマールとしてのウェートが高くなっていく中で、やはり認定農業者にこういう話が行く。認定農業者はわずか2%と少しですから、その辺が外れてしまうという話があります。
 (PP)
 対応する課題としては、先ほど申し上げていますが、特に子育て期でかなりの期間、大体20代の後半ぐらいに結婚していたとしても、10年ぐらい子育て期にかかるということが言われています。
 その中で、いかに女性が受けやすい研修の企画・実施をするか。これについては、例えば愛知県の方では、広域な女性農業者のネットワークの中に年配の方たちが結構農業を始める前に幼稚園の先生をやっていたりして、その資格をいかしたネットワークみたいなことで一時預かりをしてやるとか、そのバックアップ、例えばそういうことが可能ですとか、そういうヒントを加えるみたいなことがベースになっている。何よりも、家や地域社会等で女性の過重負担が軽減するような形です。
 繰り返しになりますが、認定農業者への認定など女性の農業経営者としての社会的位置づけを明確化し、更には経営参画をすることが、結局自分の農業経営者あるいは地域リーダーとしての資質を高めることにもなるし、いろんな必要な情報や研修を受けるアクセスも受けるということで、経営や社会参画と能力の開発というのを一つ車の両輪的に考えることができるのではないかと思います。
 (PP)
 地域農業・社会の担い手としては、とにかく極めて不十分であるし、特に地域リーダーとして地域農業や社会を引っ張っていくという点では、非常にトレーニングが不足しておりますので、そういう点をどういうふうにするか。これは女性農業者の地域リーダー層でも同じだということです。今、女性農業者の地域リーダー層は、この問題をどう超えるかということが、彼女たちの最大の課題です。
 (PP)
 社会参画の更なる促進ですとか、地域リーダー層に対する重点的な能力開発や研修機会の提供、過重負担の軽減ですとか、ベースになる話でありますが、個人が尊重される社会システムの構築に向けた啓発活動の更なる促進。
 恐らく個人が尊重されるような社会システムが農業や農村の世界で確立されると、本当の意味で新しい農業や農村の可能性が花開くのではないかと思っています。
 (PP)
 地域農業・社会の担い手としての課題としては、繰り返しになりますが、こういうことです。
 (PP)
 これもおこがましい話ですが、今、政策の担当者でも何でもありません。いろいろ農水省を中心にやられてきた施策というのは、資料の4の方に少し農業・農村基本法ができて、基本計画ができたときのものだと思いますが、それを何の断わりもなくホームページから引けたので出してありますが、そういった能力の向上を、いわゆる経営や社会参画と進めるのと一体的な形で進める。更には過重負担などの問題もするという形で、更に自立していこう、能力を発揮していこうという女性が地域リーダー層を中心に顕著になってきている。それをとらえて、いろんな施策をとらえてきているということで、基本的な方向は間違っていなくて、それをどんどん進めていけば良いと個人的な意見としては思います。ただ、農政全体だけでなく、日本国全体として農村女性の重要性についての認識がまだまだ不十分だろうと思います。
 もう一つ決定的なのは、これは特にオールジャパンで思うのですが、能力の向上、別に農業にかかわらないと思いますが、人材育成です。これは非常に時間がかかるのだと思います。経営者ということを一つ取っても、地域リーダーということもそうです。その点の認識は極めて不十分なのではないかという気がします。
 (PP)
 特に差し迫って非常にあれなのは、これまで農業における青年もそうなのですが、女性農業者の人材育成の中心的役割を果たしての協同農業普及事業という国と県のあれがありまして、農業改良普及事業ですが、その組織が、今の行財政改革の中で極めて弱体化している。今までの普及事業は変えなければいけないところは多々あると思いますが、農業に限らず、殊に人材育成の部分は非常に外されることが、民間企業でも一般社会でも多いのではないかと思います。これに変わる支援体制が、非常に未形成である。
 農業が家族経営で担われ、また地域農業や社会の運営が私的自治の部分が大きいということを考えれば、コスト負担の問題などを含めて、一定の公的な支援がまだ必要だろうということで、特に地域リーダー層の女性農業者の方たちが花開こうとしているときですから、もう少し特段の支援が必要ではないかと思います。
 これがポイントだと思いますが、そもそも人材育成というのは、とても時間がかかって、やはり評価の単位というのは最低10年なのだと思いますが、10年でやられたような行政評価というのは、私は見たことがない。考えてみれば、その評価手法というのも未確実であるということであります。その辺の対応を図る必要があるのではないか、その評価手法をお前も考えろということだと思います。
 たらたらと話しましたが、一応話題提供は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
鹿嶋会長
どうも川手先生、ありがとうございました。御意見、御質問等があれば、皆さんから頂きたいと思います。
 家族経営協定でちょっとお聞きしたいのですけれども、新しい18年度の数字、締結数は3万件でしたか、まず、第一点として、これが全体のどのぐらいの数を占めるのかということ。
 もう一つは、家族経営協定の締結と、例えば女性起業数が9,050 件あるとか、その後の農業の近代化と何かリンクしたような調査はあるのかどうかということ。
 もう一つは、家族経営協定自体が農家の嫁不足対策でしたね。それで農業を近代化すればお嫁さんも来るのではないか、そこからスタートしていると思うのですが、そういう認識なのかどうか。むしろ家族経営協定をマイナスと見るような風潮も、今、なきにしもあらずですので、その辺りと絡めてちょっとお伺いしたいのですが、要するに人材育成と家族経営協定は基本的に絡むのかどうかを知りたいと思います。
川手助教授
これも全くの個人的な見解でございますが、人材育成には極めて深くかかわると思います。それは当たり前のことなのですが、農業というのは家族経営でやっているということですから、家族の問題を離れて農業経営の近代化どころか農業経営の運営自体ないだろうということであります。
 繰り返しになりますが、変な話、夫婦が、今、中心になってきていますが、そういう経営において夫婦の仲が悪ければ、離婚寸前であれば、成績が悪いのは当たり前ですし、病気になれば労働力が1減ってしまうということです。
 もっと本格的に家族の問題を全面的に考えれば、経営の問題もないですし、家族の中で人材育成がされますので、当然その問題は避けて通れないだろう。これがすべてではないと思いますが、そういうことをうまくコントロールする手法として家族経営協定は作られている。
 そういう意味では、家族経営協定の話を一遍にさせていただきますが、家族経営協定自体当然のことながら二つの側面がありまして、いわゆる女性農業者の地位の向上という点、あるいは男女共同参画的な話、そういう点もあります。その中に余り好きな言葉ではありませんが、農家の嫁不足の解消みたいなものを考える。
 一つには、やはり家族経営協定の例というので、協定書を三つばかり、資料の1-1から1-3まで出ていたのですが、これを見ていただくと、恐らくそういうレベルのものではなくて、家族農業経営を近代化とか、独自の良さを含めて楽しくやっていこうと、一種の家族農業経営を一つの組織と見て、いかに上手に組織マネージメントしていくかということです。
 法人で言えば、定款と就業規則と社訓みたいなものと同じようなものが書かれているものもありますけれども、その中でいろんな本格的な中長期、短期の経営改善計画、更には家族経営ですから、経営と生活が一体的なところがありますので、そういうものを含んだ形のものとして活用されている。かなりいろんなことで使えるのかなという気がしています。
 もう一つ、家族経営協定を推進している方たちの中心は、圧倒的に今の地域リーダーとして活躍されている女性農業者の皆さんです。年代で言いますと、50代、60代、ちょうど団塊の世代を中心とした、いわゆる戦後民主化教育を受けてきた人たちでありまして、その人たちがやるせない思いみたいなもので、すごく雑な言い方をすれば、農家の嫁の一通りフルコースを味わってきて、それを乗り越えて、いわゆる自己実現、更には地域のリーダーとして広く農業を超えてやってきている。その人たちの思いがありますので、恐らく農家の嫁不足解消という点にはいかないだろうと思います。
 その中のいずれもリーダーの人たちは、青年農業者のリーダーの人たちの締結した協定でありますけれども、いろんなことがありまして、女性の財産権の確立の問題ですとか、更には終末期宣言、要するに死に際の問題ですね。既に臓器移植法が作られる前に長野県でやったような例もありますけれども、そんな問題も入っていますので、はるかにそういうものを超えているだろうと思います。
 それから、例えば全体の政策の観点からしてターゲットのどのぐらいの割合になっているかということでありますが、家族経営協定は恐らくいろいろ応用していくと、一般のサラリーマンの家庭でもやったら良いと思いますが、私も若干妻とやらせていただいておりまして、恐らく家族の運営をうまくやっていこうというときにやったら良いと思いますが、もう一つ、家族農業経営を近代化、発展させるツールとしても非常に組織マネージメント的なところから高いだろうという観点からだと思いますが、農水省としてはまさに専業的な家族農業経営を中心にやっている。
 そうすると、そのターゲットは、認定農業者を想定しているのが、40万件という話がありますから、40万分のせいぜい4万弱ですから、10%弱だろうということです。やはり家族だからということで、特に近代、産業化してから家族に対してロマンが強くなっている部分がありまして、家族を大切にすることはとても大切なことだと思いますが、そこの部分が払拭されない部分だけ抵抗があるのかと思います。ただ、抵抗があるからこそ、逆に手法としてインパクトがあるだろうという点が難しいです。
 それから、多分男女共同参画的な面から評価が易しいだろうということだと思います。正直言うと、男女共同参画的なことを含めて、まだ評価については十分ではありません。ちょうど本格的な推進が施策的になされたのが平成7年で10年経ちますので、そろそろその辺の評価もできないといけないと思っていまして、私自身も家族経営協定について研究しておりますので、男女共同参画的な視点も勿論ですし、それから農業経営の近代化、発展という観点からも詰めている最中でございます。
 また、事例として、例えば法人化に発展するとか、経営継承を円滑にしている事例が出てきましたので、確実にそういう効果はあると思いますし、もう一つ面白いのは、やはり家族関係と農業経営、あるいは男女共同参画と家族経営の発展ということについても、まだ十分詰められていないと思いますが、この関連については非常に密接だということです。 済みません、長くなりました。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 どうぞ。
神田委員
今もお話の中に出てきた、女性リーダーの問題なのですが、地域リーダーの輩出基盤みたいなものがどうなっているかという点です。
 もう一つは、広がりと言うのでしょうか、どのぐらいの規模の組織なのか、地域的な点で広がりを持ったリーダーなのかなどについてお話をいただきたいと思います。
川手助教授
現実には、女性農業者のリーダーの場合、まだ契機としては自発的なケースは少ないのだと思います。やはり公的機関、特に今の50代、60代で見ますと、かなり明確でありまして、今は農業改良普及センターとは言わなくなったのですかね、いわゆる普及センターの関係がある。ちょうど昭和50年代の後半から60年代にかけて、当時の農業を本格的にやり始める年代になりますけれども、普及センターの中の、いわゆる農業者としての技術だとか経営の講習を始めたのが1985年前後ありますが、そのころに普及センターにやってきて研修を受けて、ただの農家のおばさんでは終わりたくない、更に言えば、広域なネットワークを、今は普及指導員と言いますが、普及指導員のバックアップを受けながらやってきたということです。
 その方たちは、基本的には、いわゆる農業の場合は指導農業士という地域農業の模範として後継者育成だとかいろんなことをやる都道府県知事認定の制度がありまして、資料1-2の5枚目ぐらいに「○ 女性の指導農業士の推移」ということで、これも農水省の方でまとめている資料ですが、それを載せてございます。
 名称がいろんな名称で、男性の場合は指導農業士あるいは若い場合は青年農業士ということでありますが、これが典型的で、あえて数字を挙げるとすれば、平成16年の7,020 人というのがあります。これはまさに中心になっている50代、60代、青年の場合はもっと違いますけれども、そういう方たちでありまして、逆にそういう方たちが、今、核になって全国的なもう少しボランタリーなネットワークをいろいろ作り出して、ようやく幾つかそういうものが出てきたという感じです。
 まさに、今の地域リーダーの日本の女性農業者というのは50代、60代でありまして、彼女たちが実権を握って、実力を持っている、ステップとしては非常に明確に公的な機関の働きかけによってということになります。
 まだ現実には、こうした部分も必要なのではないかということを私自身は思っていまして、この辺は行財政改革の議論になることかもしれませんけれども、普及センターが、それに代わるような組織、農業協同組合なんかもございますし、市町村なんかもありますけれども、何らかの形で人材育成、特にリーダー育成をするような、しかも立ち上げの段階で引き上げるようなことを、更には広域なネットワークを、すぐ広域なネットワークは作れますけれども、そういうことが必要なのかなという気がしています。
鹿嶋会長
ありがとうございました。どうぞ。
古川委員
それでは、家族経営協定について少しお伺いしたいと思いますが「参考:農業・農村の新たな可能性について」というところの一番下のところに「家族経営協定締結による家事・育児・介護などの経済的評価など」というのがございまして、それから資料の方を見ますと、資料1-3-1の3枚目ぐらいの一番下に「● 家族経営協定の取り決め内容(複数回答)」というのがございまして、家族経営協定の取り決め内容を見ると、農業経営の方針決定が85.8%、労働時間・休日が84.3%、農業面の役割分担、これは作業分担とか簿記記帳等、これが73.4%ということが高い割合だと書いてありますけれども、一つお伺いしたいのは、家族経営協定締結による家事・育児・介護などの経済的評価などというのが、これからの議論かもしれませんが、それについてです。
 それから、家族経営協定について、例えば女性のサイドからの何か意識調査みたいなものがあるのかどうか、このことについてお聞きしたいと思います。
川手助教授
後者の方の御質問からお答えしますと、先ほどから繰り返しですけれども、今の家族経営協定を推進しているのは、地域の女性農業者のリーダーの方たちです。当然中心になるような調査はそういう方たちになると思います。非常にその方たちの、いろんな言葉にできないような思いとか、そういうことも含めて感じられるものがあると思います。
 もう一つの方の家事・育児・介護の経済的評価というのは、勿論全体としてはレアケースではあるのですけれども、ただ、これはまさに職住近接というか、生産と生活は仕分けなければいけないのですが、一体的ということで、要するに家事・育児・介護をだれかがやってくれなければ生きていけない、これはすべからく同じですが、そこが非常によく分かるような仕組みにもともとなっているということでありまして、そういう意味では、先ほど言った、いわゆる家事だけやっているような、現実に若い子育て期の女の方ですとか、あるいはそういうことについて労働報酬等が支払われている事実がそこそこありまして、それが表になっているのかなという気がします。だから、これは家族経営協定以前に、既にそういうことがあって、恐らく専従者企業の中で見られていて、それが逆に言うと、家族経営協定を推進する中で、女性農業者が中心になっていきます。
 まず、彼女たちが何を目指すかというと、一つには家事・育児・介護というものをきちんと一つの仕事として認めてくれという話から始まるのです。これは決して経済的評価ではないのですが、経営主の妻の仕事の役割分担の中に家事だとか介護だとかを入れてくる。これが第1のステップ。
 第2のステップとしては、そういうことで、いわゆる可視化が進むというか、ビジブルになってくるという流れの中で、ではきちんと農業に専念できるのは何々のお陰だからというのが大事。
 第3段階になってきますと、もう少し分担していこうというようなもの。
 いずれにしろ、経済的評価というのは、既に20年ぐらい前から気づいていたのですが、実は割合は分かりませんけれども、少なくとも5%ぐらいの農家は、既に経済的評価は事実上やっていったのが更に促進されて、家族経営協定ということで、これもまた世間的にビジュアルになる話です。それでそれが進んでいくという話はあるのだと思います。
 よろしいでしょうか、細か過ぎますか。
鹿嶋会長
ありがとうございます。山口委員、お願いします。
山口委員
家族経営協定がスタートしたときに、これは男女共同参画の良い方向だと思ったけれども、私の印象ではアイデアとしては良いのだけれども、どうして協定が進まないのかなという感じはいたしました。今、伺ったらもう10年経っているというのですけれども、その協定書の内容を見ると、何を一番女性が協定書を結ぶことによって良いのかと考えますと、やはり一つはきちんとした報酬が入るということと、一応生活にめりはりを付けるということだと思うのですが、結局協定によって女性自身の収入がもっと高まっていけば効果があるのではないかと思うのですが、何件結んだかというよりも協定書による成果というものを調査しなければいけないのではないかと思います。
 協定書に関してはそうなのですけれども、私が地方に行きますと車窓から田園風景を見るのがとても好きで、特に感じるのですけれども、都市生活と農村生活とどちらがあれかというと、かつては農村が厳しかったというけれども、農村は少なくとも車窓から見ている限りは立派なうちに広々と住んで、貧しさは都会だと思うのです。今、所得格差とか格差社会とかと言われておりますが、実際には農村に本当にそういう格差があるのか、やはり都市のサラリーマンではないかと思います。
 特に東北から北陸辺りの女性を見ますと、本当に実力もある、しかし社会の表に出ない、そういう人たちはどうかと言いますと、そこそこに経済力を持っているというのです。
 起業のことなのですけれども、今まで農村女性はある部分は農業時間に割くのですけれども、パートタイムに行く人がいっぱいいました。パートタイムは非常に賃金が安い、それで起業にも転換すると、300 万円以下のところが一番多いそうですけれども、起業をやってしまうとパートよりは良いと、しかし、そこそこにお小遣いを持つので、そこでストップしてしまっているのではないかということで、もう一つ上に行かなければならないのではないかと思います。
 先ほどからマネージメントの話が出たと思いますけれども、やはり経営に関する簿記をするとか、経営分析するとか、その他いろいろありますね。少なくともそういうステップアップした教育の段階ではないかと思います。
 文部科学省の方の一般教養講座というのは、本当に婦人学級などで広がってきましたけれども、やはりそういう実戦的なものが大事ではないかと思います。
 私自身も、例えば女性の政治参加とか社会参加ということでプログラムを組んでやってきましたけれども、これはもう永遠に勉強していかなければだめですね。今はどうしたら参画できるか、やはり議会へのチャレンジということでそういう気運を作るようにしております。そうなりますと、やはり実戦的な内容が必要とされるのです。一つの仕事としてやる場合には、そういう実戦的なトレーニングをもっと強化する必要があるのではないかと思います。
 いろいろ男女共同参画プランだとか男女共同施策が出ておりますが、いろいろ各地自治体でも男女共同参画プランを策定していますが、農水省系列のJAに携わっている女性たちのプランが一番実践的で、何をするか明確だったと思います。
 そういうところから多分農業家族協定などが進んでいると思いますけれども、やはりもっと徹底的にオーナー、経営者として対等にやっていくような内容をしていかなければいけない。
 今、ワーク・アンド・ライフバランスと言いますけれども、まさに女性たちがそこを目指した経営の教育をしていくのではないかと思います。
 いろいろ申し上げましたが、感想は何かございませんでしょうか。
川手助教授
全く御指摘のとおりで、家族経営協定が進まなかったり、起業が途中で止まるのもおっしゃるとおりで、女性の場合だとある一定の年齢で経営移譲や生活権を自分たちの世代で作ってしまえば、そこそこ食べられるし、そこそこ裁量権もあるということで、言葉は悪いですけれども定位安定してしまうということですね。それはおっしゃるとおりだと思います。
 そういう意味で、まさにそのときにステップアップを図るということで、要は経営者教育ですね。更に言うと農村の場合は、繰り返しになりますが農村社会自体を自分たちで担っていかなければいけないということで、今も地域経営の担い手と経営者としての勉強を進めていかなければいけない。そういうことも農水省として大分力を入れようとしているようなのですが、更に強めなければいけないということだと思いますし、全くおっしゃるとおりで、またそれで非常な専門家が必要になってきますね。中小企業診断士とかいろんな形の方で、それがまた今までのようの県の職員なりJAの職員が自前でやれば良いというよりも、JAの職員の方や県の普及指導員の方たちがコーディネートとして本格的にやっていく話になるのだと思いますけれども、そんなふうに考えております。
山口委員
どうもありがとうございました。
鹿嶋会長
皆さん、御議論どうもありがとうございました。
 それでは、川手先生には、ここで御退席いただくことにいたします。川手先生、本当にどうもありがとうございました。
川手助教授
どうもありがとうございました。

(川手助教授退室)

鹿嶋会長
続きまして、次の議題であります、「女性の就労をめぐる現状と課題に関する統計データの分析」について、事務局から説明をお願いします。
矢島分析官
お手元の資料2を御覧ください。本日、統計データ分析の御説明に入ります前に、これまで有識者ヒアリングを何度かお願いしてまいりましたし、各省施策の書面調査の実施、次回以降のヒアリング調査、統計データ分析というものを取りまとめているものが、報告書としてどういった形に取りまとめようとしているのかということを、まず資料2の方で皆様に御説明させていただきたいと思います。こちらは報告書の「構成案」となっております。
 「Ⅰ はじめに」というところでは、今回の調査に関する視点を取りまとめさせていただく予定でございます。
 Ⅱのところで「女性の多様な選択をめぐる現状と課題」、こちらが本日これから御説明させていただきます統計データ等の分析の結果について取りまとめる部分でございます。これは、これまで有識者ヒアリング等で御紹介いただいた視点やデータ等も活用させていただいております。
 「Ⅲ 能力開発・生涯学習施策の現状と課題」というところが、既に各省から書面調査で情報を提供していただいておりますものと、次回以降ヒアリング調査させていただく部分を基に取りまとめさせていただくものでございます。
 このⅡとⅢ の課題等を整理して、今後の施策等の方向性を最後に取りまとめさせていただくということです。
 今回、監視・影響調査ということで、初めて同じテーマで同時に検討させていただいておりますので、監視の視点からどのようなことを意見として取りまとめるのか、また影響調査の視点から、どのような政策提言をまとめるのかといったところを整理して、最後の取りまとめをさせていただきたいと考えております。
 では、本日の統計データの分析について、資料3-1と3-2を使って御説明させていただきます。3-1の方が、報告書の内容について簡単に取りまとめたものでして、3-2の方はバックデータ、グラフを示しておりますので、3-1を御説明しながら必要に応じて3-2のグラフを御紹介したいと思っております。
 まず資料3-1の表紙の構成でございます。「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に関する影響調査」と書いております。影響調査ということで、最初の方にも御説明させていただきましたけれども、女性の多様な選択をめぐる現状というものと、それに対する希望、どういったことを希望しているのかということを比較しまして、そこにどんな課題があるのかという視点が一つ。それから、男性と女性の置かれた状況を比較して、そこにどんな課題があるかを見るといった視点で取りまとめております。
 まず1番の方では「女性の就労の現状と希望」ということで、基本的な労働力率や失業率の状況、非正規雇用の問題、子育て期の女性の離職・再就職の状況、上へのチャレンジといった視点で管理職への登用の状況、業種・職種分野別女性の就労状況で横の広がりといった視点、起業の状況、学歴による就労の状況でございます。
 農業分野につきましては、就労の一形態でございますけれども、今日御説明いただきましたように、様々な特殊な状況がございますので、分けて項目立てしております。
 3番目に、就労以外でボランティアや地域活動の面を取りまとめております。
 Ⅱと致しましては「企業や個人による女性の能力開発の現状と希望」ということで、「企業における能力開発の現状とニーズ」「職場における職業体験・能力開発」の状況、「個人による自己啓発・生涯学習に関する現状」、最後に「能力開発に関する女性の希望・意識」といったところを取りまとめております。
 資料3-1の1ページをお開きください。構成と致しまして、まず「労働力率と失業率の状況」についての現状と希望の主な観点を枠の中に示してございます。枠の外にありますのは、この観点についてより詳しく説明したものでございますので、この枠内について御説明させていただきます。
 まず「現状」と致しましては、皆様よく御承知のとおり、男女の労働力率の差が特に大きいのは20代後半から30代、いわゆるM字カーブの状況があるということ。
 未婚労働力率と既婚労働力率の差の拡大があるという状況でございます。こちらは資料3-2の3ページの上の図表1-5を御覧ください。上の2本のラインは男性の有配偶労働力率と未婚労働力率で、下の2本が女性の有配偶労働力率と未婚労働力率でございます。未婚女性労働力率の方が、1980年の54%から61.8%に上昇するという中で、有配偶女性労働力率と若干差が開いているという状況がございます。
 戻っていただきまして、2ページの上の図表1-3のグラフを見ていただきますと、こちらは年齢階級別の労働力率の推移でございますけれども、下の方からぐっと上に上がってきているのが、25~29歳、20代後半の労働力率でございます。それに対して、下の方に濃い四角で記してありますのが30~34歳でありまして、30代と20代後半の労働力率でかなり格差が開いている状況がございます。
 こうしたことが、未婚労働力率と既婚労働力率の差の拡大と、ここには示しておりませんが晩婚化といった状況の中で、20代後半の労働力率と30代の労働力率の差の拡大といった形で見えています。
 また、隣の1ページの下の図表1-2のグラフを見ていただきますと、M字カーブの底の部分は1982年~2000年にかけて上昇しているのですが、これが主に無配偶の女性の増加によるものであり、有配偶女性の労働力率が増えていないといった状況がございます。
 5ページを御覧いただきますと、こちらは平均勤続年数や現金給与額についての推移を見てございます。長期的には、男女の勤続年数や賃金の格差が縮小してきているという状況を示しております。ただ、このデータでは直近が17年になっていますが、16年~17年のところでまた少し差が開いているといった状況がございます。
 6ページの上の図表1-12のグラフを見ていただきますと、こちらは男女の賃金格差を企業の規模別にとらえたものでございます。折れ線グラフの方が男女の格差でございますけれども、こちらにつきましては濃いラインの男女格差1000人以上と書いてある大企業の方で、特に格差が大きいという状況がございます。
 その下のグラフでは失業率について、特に30代女性が高い状況を示しております。また、男性というのは、若年と高齢期で失業率が高くなりますが、女性の場合は年代が上がるにつれて徐々に失業率が下がっていくという状況を示しております。
 こういった現状に対して、希望の方でございますけれども、男女の世論調査では男女ともに女性の継続就業が望ましいと考える人が多いということや、仕事と家庭生活や地域活動を両立させたいと考える女性が多いという状況をお示ししております。
 8ページの下の図表1-17を見ていただきますと、就業希望者、求職活動をしていないが働きたいと考える女性が、このグラフにあるとおり実数と割合で示しておりまして、特に割合が30代で高いという状況を示しております。
 次に非正規雇用の状況を御紹介しております。資料3-1では2ページになります。その下で、現状と致しましては若年層とM字の右肩の再就職層で非正規雇用が拡大している。また、短時間労働者が、女性雇用者の40%、入職者では半数を超えている状況などを示しております。
 またグラフの方で御確認いただきたいのが11ページでございまして、大企業ほど正社員に占める女性の割合が低いということで、上の図表1-22が「企業規模別正社員に占める女性の割合の推移」でございます。こちらは500 人以上というところが一番下のラインになっております。
 下の図表1-23につきましては、パート、アルバイトについて時系列的に見ると、労働日数や1日辺りの労働時間が減少してきているという状況を示しております。
 12ページの上の図表1-24では、就業の継続期間も女性のパート、アルバイトで減ってきているという状況でございます。上の方の台形になっている部分が5年以上で、平成9年から14年にかけて下がっているのですが、下の方から1年未満、1年~2年というところの割合が上がってきている状況で、短い時間、短い日数で、しかも継続就業期間も短期化しているといったパート、アルバイトの状況を示しております。
 12ページの下の図表1-25からは、社会保険の本人加入状況について示しております。まず図表1-25が医療保険の本人加入状況でございまして、一番上に男女別データ、正規、パート・アルバイト、その他というところで示しております。やはりパート・アルバイト、その他で割合が低くなりますが、こちらは全体としてパート・アルバイトやその他という割合が女性で高いために男女を比較すると女性の加入割合が低くなるという傾向になっております。
 13ページは、雇用保険の加入割合でございます。こちらも同じような傾向がありまして、パート・アルバイトやその他の中で男女を比較すると、女性の方が加入割合は高いのですけれども、全体として正規の割合が女性で低いために一番上の棒グラフでは男女間に差が出ているという状況です。
 図表1-27では、公的年金の第2号被保険者割合について、同じように示してございます。
 次に、こういった非正規に関する希望と意識でございます。14ページの図表1-28を御覧ください。現在の就業形態を選んだ理由と致しましては、ちょっと細かくて見にくいのですけれども、白い棒グラフの方が非正社員の状況でございまして、この非正社員の方がかなり高くなっているというところが、家庭生活や他の活動と両立しやすいという理由でございます。こういった理由で非正社員を希望しているという状況がございます。ただ、パート・アルバイトを希望した動機で、その下のグラフを見ていただきますと、自ら希望した方も結構いらっしゃるのですが、自ら希望したが育児等の負担が少なかったら正社員を希望していたといった方も結構いらっしゃいます。
 15ページの図表1-30、31のグラフでございますけれども、これは女性パートタイマーの今後の就労希望で、別の会社でパートタイマー以外で働きたい、正社員で働きたいといった形で、そういった違った働き方を希望する方もいらっしゃるという状況でございます。
 次の16ページの図表1-32は、正社員と非正社員で何らかの不満を持っていた場合に、転職希望者の割合がどれぐらい増えるかといったところでございます。
 これにつきましては、上から4番目の雇用の不安定性ですとか、そこから更に三つ下がった教育訓練、能力開発の在り方といったところで、正社員と非正社員の格差が大きくなっておりまして、全体に非正社員の方が不満が転職希望に結び付きやすいといった状況が見て取れます。
 こういったところが、非正社員の現状と希望というところでざっと問題点を挙げております。
 次に子育て期の女性の離職、再就職の状況でございますけれども、グラフの方は17ページの図表1-33からでございます。こちらは、既にいろいろなところで紹介されておりますけれども、出産前後に仕事を辞める女性が多いということ。結婚した女性や子どものいる女性では、正社員として働く人が減っているという状況がございます。
 また、特にグラフで御覧いただきたいのが、19ページの図表1-37でございます。これは、左側が「前職の従業員規模別『結婚』、『育児』により転職した女性の割合」、図表1-38が「前職の雇用形態別『結婚』、『育児』により転職した女性の割合」ということで、これを見ますと比較的規模の大きな企業と正社員というところで結婚、育児のために転職した割合が高くなっているという状況があります。
 20ページの上の図表1-40では、再就職率を示しておりますけれども、男女別に見ますと上の方のラインが男性で、下の方のラインが女性になっています。女性は、特に30代で再就職率が低いという状況があります。こういった点からも子育て期の女性で再就職が難しい状況がみてとれます。
 22ページで見ていただきますと、このように女性の方が再就職率は低いのですけれども、22ページの図表1-43を見ていただきますと、再就職のために下げた条件というところがございまして、特に男女別で見ますと、上から3番目の正社員としての採用という辺りを再就職のために下げた条件として挙げる女性が多いということでございます。
 その下には、離職時の年齢別に見て転職前後で年収がどう変わったかというところでございますけれども、これは25~29歳、30~34歳のところで、転職によって年収が減ったとする女性が多くなっています。
 こういった子育て期の再就職・離職の希望や意識ですけれども、23ページの図表1-45を見ていただきますと、小学生以下の子どもを持つ女性なのですが、すぐにでも働きたい、子どもが大きくなったら働きたいを合わせると、約六割がいずれ働きたいという状況があります。
 再就業に当たっての課題、不安なども示しているのですが、25ページの方の希望の仕事に再就業するためにあったらよい支援というところでは、こちらは漠然と再就職を考えている段階の人と、就業のための具体的なアクションを起こしている段階の女性ということで分けて示しております。 こういった段階によって、やや希望する支援が異なっているというところを示しております。
 26ページのグラフでは、末子の年齢別の働き方の希望ということで、やはり子どもが小さい時期は短時間勤務を希望する人が多いのですが、子どもが小学生、中学生以上になってきますと、フルタイムだが残業がない仕事、残業しても責任のある仕事が増えてくるということで、子どもの年齢とともに働き方に対する希望も変わってくるといったところを示しております。
 27ページは、管理職への登用の状況というところでございます。管理職の方は、管理職に占める女性割合が増加傾向にありますが、以前低い状況です。役職の中でも高い役職ほど割合が低い状況を示しております。
 27ページの下の希望・意識では、男性に比べて管理職希望が少なく、特に考えていないという女性が多いというところで、具体的なキャリアプランが描けていない状況をお示ししております。
 28ページからは、業種・職種分野別の女性の就労状況を示しております。
 28ページの下の図表1-53を御覧いただきますと、上の方が事務営業系の仕事というところで、濃い棒グラフの部分は女性のみを採用している企業の割合でございます。
 下の方、技術系と書いてあるところで、真っ白な棒グラフにつきましては、男性のみを採用している企業というところで、やはり事務系と技術系で女性のみを採用、男性のみを採用という傾向が分かれているという状況がございます。
 理系に関するデータを幾つか示しておりますが、説明を省かせていただきまして、33ページを御覧ください。今回、この業種、職種分野別の女性の就労状況の中では、特に女性の割合の高い看護師、保育士、幼稚園教諭といった職業についての状況をお示ししております。
 まず保育士につきましては、今、登録制になっておりまして、資格試験に通って都道府県に登録した人が保育士として働けるということなのですが、その数がかなり増加傾向にあるという状況を示しております。
 図表1-63では、実際に保育所で働いている保育士の男女別の内訳というところでございます。登録者も上の方のラインが女性で、下のぎりぎりのところをはっているラインが男性なのですけれども、ほとんどが女性という状況になっています。ただ、保育所保育士数につきましては、平成15年から常勤換算従事者で示されておりますので、パートと正社員とでそれぞれ実際に何人ぐらい働いていて、それが登録者数との関係でどれぐらいの割合かといったところでは比較できない形になってございます。
 また、保育所保育士数につきまして、平成16年以降は性別の数値がとれません。 34ページにつきまして上の方のグラフで、保育所の保育士の採用と退職者数の推移というところで、毎年3、4万人が採用されて、その採用数の7、8割に当たる人が退職している状況でございます。
 看護師・保健師・助産婦につきましては、こちらも登録者数なのですが、上の方のラインが女性の看護師の数でございます。こちらもやはり女性が圧倒的に多いということになっております。 35ページでは、実際に就業している看護師数の推移というところで、男女別に示してあります。男性が平成16年のデータで4.2 %という状況です。
 図表1-67で、年齢階級別の就業者数を載せておりますが、やはり20代後半がピークで年齢が上がるにつれてどんどん就業者が減っていくという状況になっています。学校教員の方の幼稚園・小学校・中学校・高等学校につきましては、図表1-68が教員免許状の授与者の数でございますけれども、こちらは高等学校が免許取得者が多いという状況です。
 そしてその下のグラフ、図表1-69で実際に働いている職員は小学校が多く、中学校・高等学校に関しては免許を持っているけれども働いていない人が多いということです。
 37ページの上のグラフで見ていただきますと、女子教員の占める割合としては、幼稚園では9割を超えて圧倒的に女性が多いという状況です。図表1-71の四つのグラフにつきまして、ちょっと見にくくて恐縮なのですが、白い棒グラフが離職者、色の付いている棒グラフが採用者でありまして、小学校や中学校や高等学校は定年まで勤める方が結構いらっしゃるのですが、幼稚園につきましては25歳未満で採用されて20代のうちに辞めてしまう人がかなり多いという状況があります。こういったところで、学校教員の資格を持っている中でも、特に女性の割合が高い幼稚園については看護師と同じような状況があるということでございます。
 38ページの図表1-73で、高校3年生が将来就きたい職業というところで、女子の場合は保育士・幼稚園教諭、看護師、教師といったところがベスト3になっているところで、そういった職種について資格を持って働くというイメージがあるのですけれども、若いうちに辞めてしまって再就職ということもあまりなされてないのではないかという状況があります。
 起業の状況につきましては、40ページからお示ししておりまして、自己雇用女性につきましては、数自体は余り増えていないのですが、全体に占める女性の割合が増えているといった状況を示しております。また、女性の自己雇用については年間所得の規模が男性に比べて小さいといった状況がございます。
 41ページの下のグラフで、女性の起業希望者自体も30代に多いという状況がございます。
 43ページの図表1-81で、開業後に直面した困難につきましては、経営知識が不足しているといったところを挙げる女性が多くなっております。
 また、以前経産省の女性の自己雇用に関する研究会では、女性は男性よりも小さい規模で始めて、辞める確率が高いということで、創業時よりも継続支援に重点を置く必要があるのではないかといった指摘がなされています。
 学歴による就労の状況でございますけれども、グラフは45ページからになっております。他の先進国と比べて高学歴女性の労働力率が低いといった状況、40代以降の再就職期に高学歴女性の有業率が低いといった状況を示しております。
 希望につきましては、47ページからでございまして、高学歴女性ほど正社員希望が多いのですが、年代が上がるにつれて希望が減少するといった状況。
 図表1-89で、就業を希望する既婚女性の希望する理由としては、知識や技能をいかしたいからという理由が、特に高学歴女性で高いといった状況を示しております。
 次の農業分野につきましては、今、川手先生から御紹介いただいたようなデータに近いものを取りまとめでおりますので、本日は説明を割愛させていただきたいと思います。
 ボランティアの状況につきましては、62ページを御覧ください。ボランティア活動の活動行動者率を見ますと、女性の方がやや高い傾向にございます。
 ボランティア男性の参加比率というのが、近年減少傾向にあります。これは、わずかな差なのですけれども、女性は主婦、男性は定年後の人がボランティアしている割合が高いのですが、高齢化が進んでいるにもかかわらず男性の割合が減っている状況がありますので、実際の男性が減っているという傾向は数字で見るよりも大きな意味があるかもしれません。
 65ページを御覧いただきますと、図表3-7でボランティア団体の代表者の女性の割合が7割近くを占めるのですが、その下のグラフで予算規模別に見ますと、やはり予算規模の大きな団体では男性が代表であることが多いという状況がございます。
 ボランティア・地域活動に関する希望・意識では、活動をどう始めれば良いか、情報の入手方法が分からなくて始められないといった問題。それから、女性では活動のための知識、技術の習得を課題とする人が結構いらっしゃいます。
 企業や個人による女性の能力開発の現状と希望につきましては、68ページからでございます。OFF-JTまたは計画的OJTの実施率の推移を見ていただきますと、近年減少傾向にありましたが、15年度以降にやや持ち直しているということで、これはその下のグラフでの1人当たりのOFF-JTの平均額についても同じようなことが言えます。
 69ページの上のグラフでは、従業員の能力開発を行うのは企業の責任であるかどうかということについては、平成12年と15年の調査を比べますと、従業員個人の責任である、あるいは個人であるに近いと答える企業が増えているといった状況がございます。
 70ページのグラフで見ていただきますと、図表4-6で男女、正社員、しかも役あり、役なしで、OFF-JTの経験比率を見ているのですが、女性の方は正社員の役ありではかなりOFF-JTの経験比率が高くなっているということがあります。
 71ページの下の図表4-9で、最も役立った研修を受けた理由というところでは、男性の場合、上司からの特別の指名があったということを挙げる人が多くなっていますが、女性では男性と比較して自分から希望した人が多くなっているという特徴がございます。
 企業のニーズというところで見ますと、73ページの下のグラフで非正社員を活用する業務と致しまして、今後更に活用する業務分野を拡大したいと考える企業が多くなっております。
 74ページの上の方で、それに伴って社員の能力開発の対象者として非正社員も対象にすると答える企業が半数あるという状況でございます。
 中途採用の募集の際に年齢不問とする割合が増加しているといったことがあるのですけれども、76ページの下の図表4-19のグラフを見ていただきますと、中途採用における離職後の経過期間の評価としては、経過期間をマイナスと評価する企業と評価に関係しないという企業がほぼ拮抗しております。そういうことで、能力や資格を重視する傾向と、まだ年齢や離職期間にこだわるということが拮抗している状況にあります。
 職場における職業経験、能力開発と致しましては、78ページの上のグラフで、実務経験別従業員の割合ということで、女性の方が一つの部門で一つの仕事に当たっている人の割合が高く、男性の方が多様な経験を積んでいるということがございます。
 その結果、図表4-23では、部門間の異動についての評価も、男性の方がとても役に立っていると肯定的に評価する傾向がございます。
 79ページの方では、職場での職務経験として日常的に自分で判断して仕事をしたり、新人の指導をしたり、トラブルに対応するなど、管理的な業務にかかわるような仕事の仕方をしている人が男性の方が多いという状況を示しております。
 個人による自己啓発の状況でございますけれども、83ページの下の図表4-33のグラフを見ていただきますと、OFF-JTの実施率と受講時間、自己啓発の実施率というのがございまして、四角い棒グラフの方がOFF-JTの受講率と自己啓発の実施率なのですが、いずれも女性の方が低いという状況があります。ただし、自己啓発の実施率については、正社員で見ますと女性の実施率の方が男性よりも高いというのは、図表4-34で表れております。
 最後に、能力開発に関する女性の希望と意識でございますけれども、85ページを見ていただきますと、下の図表4-37では、今、働いてない女性で子育て期に行いたいこととして、自己啓発や資格取得のための勉強というのが最も多くなっているという状況がございます。
 86ページの下のグラフで、職業能力を高めたいと思っている派遣労働者の割合がかなり高いという状況を示しております。
 仕事に必要な能力を身に付けた場所は、職場での実務経験とする人が多いのですが、やはりパートやアルバイトにつきましては正社員と比べて、職場で身に付く能力が少ないと感じているという状況も示しております。
 89ページの上のグラフでは、自己啓発・職業生活設計の際に不足している情報としていろいろあるのですけれども、一番多いのが能力を取得した後の処遇についてどうなるのかといった辺りの情報が不足しているという問題意識が高くなってきております。
 一番最後の生涯学習をしていない理由として、女性では自分の希望に合う講座や教室などがないですとか、子どもや親などの世話をしてくれる人がいないなどが、男性と比べて高くなっているという状況がございます。
 大変駆け足で申し訳ありませんが、こうした形で女性の多様な選択や能力開発の実情と課題について取りまとめてございます。今後また先生方に御意見いただきまして、報告書に向けて精査していきたいと思っております。
鹿嶋会長
ありがとうございました。資料2は、改めて申し上げますと報告書の構成案です。ヒアリング等々、今からの作業もありますけれども、今、矢島分析官に報告していただいた影響調査のものは、その2に当たる部分です。今の影響調査は、いわゆる現状と希望をデータとして提示し、影響調査ですからどういう課題があるのかを抽出するということであります。皆さんの方から、御意見、御質問等があれば受けたいと思います。
 どうぞ。
佐藤委員
データの読み方だけ、11ページの図表1-22、これは規模別の非正社員比率で、これはこのとおりなのですが、業種と規模で、つまり非正社員が多い業種は規模が小さいから、業種の影響が相当大きいという解釈だけ気を付けた方が良いと思います。
 16ページの図表1-32は、この図表は仕事の内容・やりがいに不満を持った人の中での転職の比率なので、別に非正社員の不満が高いのではない。普通のデータは非正社員の方が不満は低いのです。ですから、雇用の安定性に不満を感じたときに正社員と非正社員では、転職しようと思う比率が違うというデータで不満足の比率ではないので、それは別に挙げないといけないと思います。
 20ページの図表1-40もなんですけれども、これは多分求職者の中で再就職した人の割合ではなくて、多分前職がある人の比率ではないかと思いますが、ちょっとそれを確認していただきたいのですけれども、これは再就職できた人の割合という書き方なのだけれども、多分そうではなくて求職者の中で前職がある人の割合ではないかと思いますが、それを確認してください。
定塚推進課長
白書にも載せておりますけれども、就職できた人です。ハローワークで安定就職できた人ということです。
佐藤委員
そういうことですか。
 あと40ページの図表1-76なのだけれども、自己雇用というのは経済産業省が使っているのだけれども、起業のときにそのまま使って良いかどうか、ちょっと気にはなっていて、普通セルフエンプロイメントを自己雇用と訳す場合、それでも良いのですけれども、雇用者を持ってない人に限定することが多いのです。つまり自営業種で人を雇ってなくて自分しかいない、だから自分で自分を雇用しているのだという意味で自己雇用と。でも、これはそうではなくて、どういう議論をするかでデータの取り方を考えた方が良いと思います。役員も入っているでしょう。この役員も形式な役員もいるけれども、大きな会社の役員もいるし、起業といったときにこのデータを使うのが良いのかはちょっと気になるということです。
 以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ほかに御意見がございましたら、どうぞ。
神田委員
62ページのボランティアで、ボランティアと地域活動をどういうふうに見るかということで、イコールにしてしまうのか、どうなのかという問題があるので、そこをちょっと整理しないと、地域活動をしているのは全部ボランティアだと見てしまうと、何か違和感があります。そこが大きく問題になるかと思います。
矢島分析官
基本的には、ボランティア中心のデータを取っています。
神田委員
地域活動は省いてしまうということですか。例えば64ページは市民活動、団体基本調査報告書から出してくるわけですね。
矢島分析官
地域活動というのは、自治会とかですね。
神田委員
能力開発ということを考えたとき、ボランティア活動だけではないだろうと思います。
鹿嶋会長
今の神田委員の指摘は検討課題にしましょう。
 どうぞ。
山口委員
男女共同参画施策の中の地域活動の活性化というのは今度の大きな目玉ですね。ですから、それが中心であって、意図はそこにボランティアがどう参加しているかということではないのですか。どうなのですか。
池永調査課長
多様な可能性ということで、いわゆる就業だけではなくて、地域活動、ボランティアも示しています。これらに関するデータをどうとらえるかというところで、確かにこれだけでは狭いという御指摘は検討課題とさせていただきます。
鹿嶋会長
それでは、山口委員と神田委員のものを検討課題にします。
 ほかにございますか、渡辺さん、どうぞ。
渡辺教授
資料3-1の6ページでございますけれども、これは確認させていただきたいのですが「(4)管理職への登用の状況」、状況はそれで結構でございますが、その下で希望・意識、男性に比べて管理職希望が少なく、考えていないという女性が多い。ここが矢印で具体的なキャリアプランが描けていない状況とおっしゃるのは、こういう描けていないという結論なのでしょうか。その可能性でもう少し調べたいということですか。
矢島分析官
そうです。あと先生方に御意見をいただいて、報告書にするときはもう少し解釈を加えてデータを取りまとめなければいけませんので、とりあえず事務局の方でこういったことなのかということを書かせていただいております。御意見をいただければと思います。
鹿嶋会長
先生、よろしいですか。
渡辺教授
結構です。
鹿嶋会長
林委員、どうぞ。
林委員
19ページの図表1-13にかかわってですが、規模が大きいところの女性の方が結婚や育児により転職したのが多いというのが出ています。転職をしたのだから辞めたのではなくて、また仕事に就いているということですね。
矢島分析官
そうなのです。辞めただけではないということです。
林委員
それをどう考えたら良いのかと思うのですけれども、辞めるという割合も規模が大きいところの女性が多いのですね。辞めて転職できるのも規模の大きいところの女性が多いのですけれども、それはそれぞれ理由が違うと思います。まず辞められる人は、そのパートナーが結構高収入であるケースが多いから、一時辞めても暮らせるという見通しが立つということが一つです。辞めても、かなり大規模なところでの経験を持っている女性は、再教育をしなくても他の会社に結構高い年収で採用されているのです。3年ぐらい大手で教育訓練を受けながら経験を積んだ人は、結婚して一旦退職しますと言っても、また800 万ぐらいの年収のとこに女性が就職できているのです。更に夫が転勤して一旦辞めても、またそのぐらいのところに就職できているのです。そこでパートナーとの関係と、もう一つは大手での能力開発を最初にされたこと自身が、非常に大きくほかの会社で重用されているのだなという実感を持っていたもので、このグラフとの関係でどういうふうに見たり、書いたりすればよいかと感想を持ちました。
矢島分析官
もう少しデータを補強して、両方別々に指摘する必要があるのかもしれませんので、検討させていただきます。
林委員
だから、保育所、預けるところがないから育児のために辞めたということではないのです。一見そのように見えるけれども、小さい規模のところの人は辞めずに働かなければ預けるところが、あるとかないとか言っていられないぐらい、一旦辞めたらもうとても正社員にはなれないと思う人たちもいたり、ちょっとどう言えば良いか分からないけれども、生々しい周辺の女性の状況で言えば、そういう感じです。
鹿嶋会長
就業構造基本調査の選択肢は、育児、結婚以外にもあるのですか。今、林委員が言ったような趣旨まで含める回答の選択肢はあるのですか。
矢島分析官
その他もあったと思いますけれども、それ以上細かくはなかったと思います。ただ辞めたという状況と少し分けて分析する必要があると思いますので、検討したいと思います。
鹿嶋会長
そのほかに御意見ございますか。どうぞ。
袖井委員
女性の多い職業として、この資料の33ページ辺りから保育士とか看護師とか教員が上がっていますが、福祉関係がとても多いのです。ですから、是非それも入れていただきたいと思います。いわゆるケアワーカーという人たちです。資格も介護福祉士を取っている女性が非常に多いということなので、それを是非入れてほしいということです。 それから、研究者のことで、これは入るかどうか分かりませんが、30ページ辺りから、どういうところで女性研究者がいるかというのがあるのですが、研究費が少ないというのもあるのです。それは国がやったのではないのですけれども、応用物理学会などが中心でやって、研究費ゼロという女性が非常に多いというのがありましたので、もし入ればそういうものも入れていただきたいという希望でございます。
 以上です。
鹿嶋会長
ほかにございますか。
矢島分析官
もし調査会の後で御意見がありましたらいただきまして、またヒアリング調査等の後でももう一度皆様にお諮りしたいと思います。
鹿嶋会長
そういうことで、一応これで皆さんの御質問、御意見はこれで打ち切らせていただきます。何かあれば、後でペーパーで出していただいても結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に事務局から前回説明のあった、各府省庁書面調査結果について追加的な説明が本日あります。
 よろしくお願いいたします。
久津摩調査官
こちらのA3の資料の7ページを御覧いただければと思います。まず、書面調査結果の回答の追加でございます。番号に灰色がかかっているものが三つありますが、文部科学省に対して、生涯学習局以外の施策が足りないのではないかということを投げかけておりましたところ、この三つの施策が回答されてきたということです。
 まず一つは、「大学における教育内容等の改革状況についての公表」ということで、大学における編入学の受け入れとか、社会人特別選抜の実施とか、昼夜開講制の推進とか、こういったことについて文科省から調査結果を公表しまして、それによって各大学の教育内容等の改善に関する取組を促しているということです。社会人を対象にする施策で、各省が実施している施策を対象にしておりますので、こういったものが上がってきているということです。それから、専門職大学院に関する施策と通信制大学、大学院に関する施策も上がってきています。
 以上が回答の追加でございます。
 次に、資料4を御覧いただければと思います。前回、書面調査結果を御報告しましたが、口頭の説明だけでは分かりにくい点もあったのではないかと思いまして、それを改めて書面にして若干追加事項も盛り込んだものでございます。
 まず1のところでは、調査の概要を簡単に記しております。
 2の「施策内容の整理の方法」については、こちらのA3の資料にも改めて載せておりますけれども、「能力開発施策の在り方」ということで、国が直接行っているものとか、教育訓練機関等への支援を行っているものなど、ABCDの分類。それから、上、横、再チャレンジ、その他のABCDの分類。この縦横の分類で整理したということでございます。
 そして、(2)で、分野については、労働分野、雇用等の分野、農山漁村、それから生涯学習、大きく分けるとこの三つになるのではないかということです。
 3の「調査結果の概要」では、回答施策数を改めて載せております。
 (2)以下について、この調査結果から気づいた特徴を挙げております。これは、将来的に、先ほどの矢島の方から御説明しました構成案の3と4をどう書いていくかということにつながっていけばというものなのですけれども、まだ事務局が気づいたものを挙げたということにとどまっております。
 (4)では、分野による分類を見ての特徴ということで、第3分野では対象者を細かく設定して分類しているということです。在職者を対象にするもの、再就職者を対象にするもの、在宅者を対象にするものなどです。第4分野では「新規就農者」と「現在の農業者」に設定して実施しているということ。それから、第10分野では余り対象者や性別を限定せず、広く実施している施策が多いという特徴があります。
 (5)の実績の把握についての特徴としては、男女別の実績データが提供されていない施策が多いということがあります。
 (6)の評価方法では、特に評価を行っていないものもありますし、利用者数等をカウントしただけの評価やアンケート評価の結果による評価もありますが、アウトカム的な数値目標による評価も見られたということで、それがここに挙げてあるものでございまして、実施後の就業率や企業者の割合といったものを見ていくもの、目標を立てて達成度を評価していくものなどがあったということです。
 (7)では、関連施策の連携について、書面調査の結果から、分かったものを挙げております。
 「●他府省の行う事業との連携」をしているもの、 「●地方公共団体・関係団体との連携」を図っているもの、「●プランへの位置づけ」をしているもの、「●職業紹介所・就労先との連携」を図っているものなどでございます。
 以上の整理はまだ不十分なものでございまして、報告書の作成のための検討は、今後とも事務局で行っていきたいと思います。
 次回はヒアリングですけれども、前回欠席された方もいらっしゃいますので、ヒアリング項目などを、資料5に改めて付けております。この中で、4の(2)の2番目の・は、前回議論が出ました事項につきまして、書面にして、厚生労働省に投げかけております。この部分は前回から追加でございます。
 次回から、各府省ヒアリングということで、各府省の方からは、書面調査の結果を簡単に御報告いただきまして、その後、このヒアリング項目に沿って説明いただきます。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 資料4については、前回の専門調査会に事務局が出してきた資料は、生データ過ぎはしないかという指摘を受けまして、こういうふうにきちっとまとめていただきました。大分理解しやすくなったと思っております。
 更には、資料5に関するヒアリング項目は、前回皆さんに資料を提示いたしましたが、その件も含めて、何か御意見がありましたら、どうぞ。
 資料4につきましては、今後更に変わっていく可能性もありますので、一度目を通しておいてください。
 それでは、本日の審議はここまでにさせていただきます。
 最後に事務局から連絡があれば、どうぞ。
久津摩調査官
第12回の議事録については、資料7のとおり公表いたします。
 また、第13回の議事録についての御意見などを、お寄せいただければと思います。
 それから、次回の会合は、10月23日の月曜日13時より、こちらの3階特別会議室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
それでは、これで本日の「監視・影響調査専門調査会」の第14回会合を終わります。
 本日は、どうもありがとうございました。

(以上)