監視・影響調査専門調査会(第7回)議事録

  • 日時: 平成18年2月9日(木) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府本府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 佐藤委員
    • 袖井委員
    • 古川委員
    • 山口委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 今後の進め方について
    • (3) 女性の能力開発に関する有識者ヒアリング及び質疑応答
      • 佐藤 博樹 委員
        「多様な選択を可能にする職業能力開発施策に関する監視・影響調査を実施する際のポイント」
      • 大矢 和子 氏(株式会社資生堂 執行役員 CSR部長)
        「資生堂の男女共同参画活動からみた女性の能力開発の課題」
    • (4) 都道府県、政令指定都市における審議会等の委員についての法令に基づく職務指定について
    • (5) 閉会
鹿嶋会長
おはようございます。ただいまから、男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会(第7回)の会合を開催いたします。
 昨年の12月26日に第21回男女共同参画会議が開催されたわけですけれども、そこにおいて、今後重点的に監視及び影響調査を行う男女共同参画社会の形成の促進に関する施策が決定されました。一つは、各省庁が実施する「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る施策」についての監視・影響調査、もう一つは、「都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定」についての監視でございます。昨年11月7日に開催した第6回専門調査会において了承した案のとおり、男女共同参画会議において決定されたわけでございます。
 そこで、本日からは、男女共同参画会議で決定された施策について、監視及び影響調査の審議を行っていきたいと思います。
 初めに「今後の進め方について」、事務局から説明していただきます。
塚崎調査官
今後の進め方の案について御説明をさせていただきます。
 今、お話がございましたように、今後の監視・影響調査の対象施策でございますが、審議会の職務指定と能力開発・生涯学習、この二つのテーマが決まったところでございます。資料1-1を御覧いただきたいと思います。
 資料1-1は、その男女共同参画会議の決定でございます。
 次の資料1-2でございますけれども、監視・影響調査をする施策の新基本計画の中の該当部分をお付けしてございます。前回、11月の専門調査会では、旧計画の方で御説明させていただきましたが、今回は新計画に切り替わったということで改めて抜粋を付けてございます。新旧計画で大枠は変化ございません。審議会につきましては、第1分野、能力開発・生涯学習については第3分野と第4分野、第10分野の中で能力開発・生涯学習に係る施策を抜き書きしてございます。
 1点、新しい点としては、資料1-2の最初のページでございますが、第1分野の「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」のところの初めの部分に、まさに今この専門調査会で御検討いただく職務指定についての部分が入っております。
 1のイ 「審議会等委員への女性の参画に関する取組の支援」「○都道府県・政令指定都市等における審議会等委員への女性の登用に関する支援」の「職務指定委員に係る法令上の規定について、男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会において検討を進め、必要な見直しを行う」ということが新たに入っております。
 次の資料1-3を御覧いただきたいと思います。「今後の監視・影響調査専門調査会の進め方(案)」でございます。
 前回の専門調査会では、大まかなスケジュールをお示ししましたが、このペーパーでは、もっと細かく進め方を考えています。二つのテーマについて同時並行で進めていくということで、上の欄でございますけれども、「審議会職務指定」、「能力開発・生涯学習」という二つの欄を並べてございます。
 まず、左側の「審議会職務指定」のところですが、その下のところを御覧いただきたいのですが、2月9日、本日ですが、第7回の専門調査会において都道府県と政令指定都市から調査の結果が出てきておりますので、それについて御報告させていただきます。その後は、省庁ヒアリングを予定していまして、その結果を踏まえ、報告書の取りまとめに向けて御審議を頂きたいと思っております。
 このスケジュールでは、矢印でお示ししているのですけれども、回数などにつきましては、適宜状況を見て決めていただくということになるかと存じます。
 次に右側の能力開発・生涯学習でございますけれども、本日は検討会の発足について、有識者ヒアリングの①ということを予定しています。
 有識者ヒアリングについては、佐藤先生と資生堂の大矢部長にお話をしていただく予定でございます。佐藤先生からは、「多様な選択を可能にする職業能力開発施策に関する監視・影響調査を実施する際のポイント」についてお話を頂く予定でございます。大矢部長からは、「資生堂の男女共同参画活動からみた女性の能力開発の課題」という題で、企業のお立場から見た女性の能力開発についての課題についてお話を頂く予定でございます。
 能力開発・生涯学習というテーマはいろいろな論点を含んでおりますので、さらに二回ほど有識者ヒアリングを予定しています。
 また、検討会の発足についての部分でございますが、先日御議論いただきましたように、専門調査会の他に具体的・専門的な検討をしていただく場を設けるということにしています。この検討の場につきましては、参集者について、あらかじめ鹿嶋会長と委員の先生方にも御相談させていただき、次の資料1-4のリストの先生に御参集いただくこととしております。専門調査会からは、鹿嶋会長、大沢委員、佐藤委員にお願いしています。加えて専門調査会以外のメンバーとして、能力開発・生涯学習の分野にお詳しい先生方にお集まりいただくことにしています。政策研究大学院大学の黒澤教授、国立女性教育会館の中野研究国際室長、学習院大学の脇坂教授、筑波大学の渡辺教授にお願いをしています。この検討する会については、必ずしも固定的な会ということではなく、随時必要に応じて、このリストに載っていらっしゃる方以外の方に御参加いただき、検討を進める形にさせていただきたいと思っています。例えば、各会合の議論のテーマによりまして、リストに載っていらっしゃる先生方以外の先生をお招きするようなこともしていきたいと思っています。
 この検討会については、専門調査会の副会長でいらっしゃいます大沢先生に中心になって取りまとめをお願いしたいと思っています。
 能力開発・生涯学習についての検討でございますが、今、申し上げました検討会で検討いただいた結果を専門調査会に出していただいて、それを踏まえて御議論いただくような形が良いのではないかと思っております。
 もう一度、資料1-3にお戻りいただきたいと思います。
 資料1-3の「検討会(仮称)」と書いてありますが、その欄のところですが、矢印でお示ししていますように、初めに検討会の方で、各省庁に対する書面調査の案を御検討いただき、その結果を踏まえて専門調査会でも御審議いただく。また、統計データや各種調査結果を検討会で何回か分析をしていただいて、その分析結果も専門調査会の審議の基礎としていただくという形を考えています。また、省庁から出てきた書面調査の結果についても、検討会で分析をしていただいた結果を踏まえて専門調査会の方で御検討いただく。このように検討会での専門的・具体的な分析検討結果を専門調査会の検討の基礎にしていただきながら進めていくということを考えています。
 そうしますと、専門調査会の方のスケジュールとしては、今度能力開発・生涯学習の専門調査会の部分を御覧いただきたいのですけれども、まず有識者ヒアリングをしていただきまして、それから検討会での結果を踏まえて、各省の書面調査票の検討をしていただく。その後に検討会での各省書面調査の結果の分析を踏まえつつ調査結果の御検討をいただき、省庁ヒアリングをしていただく。検討会における統計データや各種調査結果の分析の結果も踏まえていただきながら、今年度の終り頃までに取りまとめに向けた御審議をお願いしたいと思っています。
 また、一番右の欄ですが、施策の監視・影響調査以外の事項として、影響調査の手法について検討結果を取りまとめ、5月頃に専門調査会に御報告させていただきたいと思っています。また、苦情処理については、全省庁と都道府県、政令指定都市から集めた事例について、7月頃に定期的な報告をして御審議いただく予定でございます。
 今後の進め方につきましては、以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ただいま事務局から説明したことについて御了承いただけますでしょうか。
 (「はい」と声あり)
鹿嶋会長
よろしくお願いします。
 それでは、また、少し繰り返しになりますが、特に女性の能力開発・生涯学習に関する監視・影響調査検討会につきましては、この専門調査会とは別に、大沢真知子専門委員を中心に詳細な検討を行っていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 次に監視・影響調査の対象施策でございます、「各省庁が実施する多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る施策について」の調査審議を進めてまいります。
 本日は有識者ヒアリングとして、まず、佐藤専門委員から「多様な選択を可能にする職業能力開発施策に関する監視・影響調査を実施する際のポイント」でございますが、それについてお話を頂きます。その後、株式会社資生堂執行役員CSR部長の大矢和子さんから、「資生堂の男女共同参画活動からみた女性の能力開発の課題」についてお話をお聞きすることにしております。
 それでは、佐藤委員、よろしくお願いします。
佐藤委員
有識者ヒアリングということでお話をしなければいけないということなので、有識者かどうかわからないんですけれども、監視・影響調査を実施する際のポイントについてお話ししようと思いますが、結論は非常に難しいだろうというふうに思っています。
 (パワーポイント映写)
 ◎多様な選択を可能にする職業能力開発施策に関する監視・影響調査を実施する際のポイント
 一つは、女性が多様な選択を可能とする職業能力開発施策と限定しなくても、一般的に職業能力施策について、効果測定はすごく難しいです。企業が実施している社員に対する、例えばOFF-JT等の教育訓練もどの程度効果あるか、教育訓練部門はいつも言われているのですけれども、なかなかこれをきちんとやるのは難しい。もちろんどういうことをやっているとか、そのときに受けた人が満足しているかどうか。あるいは運営自体が割合合理的に行われているかということはできると思うのですが、アウトプットというのは非常に難しいです。そういう意味で、今回だけでなく、職業能力開発自体の評価は結構難しいということがまずあります。
 それともう一つは、多様な選択を可能にする、この部分をどこに絞るかということだと思います。職業能力開発全体ではなくて、多様な選択を可能とするという、特に女性、どの分野、どういう施策に絞れば良いのかということをまず考える必要があるだろう。
 ◎検討の対象範囲その上で、どの範囲に絞るかということは一番最後の方に考えることにさせていただいて、まず職業能力開発といったときに、職業能力ですので、生涯学習は別のところでやるということですので、職業能力ということでいえば、能力開発一般ではなくて、職業能力の方に限定するということになります。そういう意味では、職業能力は何かということですけれども、基本的には就業、この場合は雇用だけではなくて、起業等の非雇用含めて、就業に必要な職業能力の開発というふうに、職業能力を限定するのかなというふうに思います。狭くいえば、職務遂行能力の開発の範囲だろう。その中に多様な選択というのをどこに絞るかというのは次の議論になるだろうと思います。多様というとき、雇用も非雇用もという点では、雇用の分野だけではなくて、非雇用というようなところも含めて当然考えることが大事になるだろうと思います。
 ◎ 職業能力を構成する能力
 そういうふうに職業能力に限定すると考えたときに、職業能力とは何から構成されているかということですけれども、もちろん具体的な仕事に必要な職業能力というのは一つの定義、先ほどお話ししたことであります。これは既に御存じのように、それぞれの企業、職種特殊的といっていいと思いますが、企業や仕事に特殊なスキル、もう少し職業全体とか、仕事全体に分けられると思いますけれども、ただ、それだけではなくて、最近は仕事をする上で必要な職業の大きく三つの能力、まず、基礎学力をベースにし、それに職業固有、あるいは企業固有な職業能力を積み上げていくことになると思いますけれども、最近はその間で社会人基礎力というようなことが言われていて、人との関係をつくる能力、コミュニケーション能力、あるいは課題を見つけてそれに取り組む能力、自分をコントロールする能力、こういうものがすごく大事だろう。もちろん最近突然これが大事になったわけではなくて、昔もこれは大事だったわけです。ただ、あまり社会人基礎力に注目しなくても、学校教育とか、例えば課題を見つけ取り組んでそれを解決していくということになれば、大学で教える内容自体がそういうものであったわけです。あるいは人との関係をつくるということも、例えば大学のゼミの活動の中やサークル活動の中でおのずと形成されるものだったわけです。もちろん家庭の中での関係、友達との関係ができるものだったわけですが、普通の学校教育の中でこういうものが形成されにくくなっているのではないかとか、企業の中に入っても、こういうのができにくくなっているのではないかという形で、もう一度、社会人基礎力というものに着目し、こういうものを学校教育の中でどう育成していくか、あるいは企業の中でどう育成するかというのが議論出てきていますので、そういうものももちろんある。今回ここまで取り上げるかどうか別ですけれども、後半はそういうふうに分けられますけれども、仕事に着目してというふうに考えています。
 ◎職業能力開発にかかわる国の施策
 それで、どの範囲かということですけれども、基本的には国がやる施策ということです。職業能力開発について、国がどういうことをやっているかということですけれども、大きく四つぐらいの領域に分かれます。一つは、能力開発機会を提供するということです。具体的には、公共職業訓練が非常に分かりやすいと思いますけれども、国自らが、もちろん関連の事業団等々という場合もありますけれども、国自体が直接能力開発サービスを提供するというものがあります。例えば各都道府県に職業能力開発機構などが置かれていたりするわけです。それと今までの職業訓練校が、いわゆるブルーカラーが中心だったという、最近ここ何年かは錦糸町のアビリティガーデンのように、ホワイトカラー中心にホワイト工関連職種の能力開発の仕組みをつくり、かつ衛星放送を使って遠隔地でも受けられるような仕組みをつくっています。あと、女性と仕事の未来館で起業に関する能力開発をしていたりという形であります。
 あと、例えば21世紀職業財団などですと、女性管理職向けの研修などは行っていると思います。そういうふうに、国あるいは関連機関が直接能力開発機会を提供している部分があります。ですから、この中でどれを取り上げるかということはまた後で議論することになると思います。
 もう一つ、ここ何年かの動きは、費用は国が負担するけれども、民間委託というものが出てきています。専門学校に委託しているようなものが出てきていますので、ですから直接国が提供するわけではないけれども、民間の機関を使うというような仕組みが相当入ってきています。最近では、その中で、委託と市場化テスト、この二つは分けなければいけないのですが、例えば夕方とか土曜日、アビリティガーデンがオープンしてない時間の場所を民間企業が企画を持ち込んで、そこで教育訓練をする。これをどうするかですが、市場化テストの一部が始まっています。ですからそこの部分です。
 もう一つは、能力開発の枠組み整備です。これは企業が社員の能力開発をするとき、あるいは労働者一人ひとりが自分の能力を高めるときに、自分がどの程度の能力水準か、あるいは社員の水準がこのぐらいだとか、次は何を目指せば良いかというような、例えば業種別の能力開発体系みたいなものをつくるということがやられています。例えば自動車業であると、生産現場でどういう能力があるか、業種別のものはかなり整備されてきています。
 あと、各種検定制度、これは今まではブルーカラー職種のいわゆる技能検定です。もちろん大企業は社内検定の仕組みもありますが、中小企業などであれば、社員にこういう検定制度を受けさせることで、その準備をするために、検定というのは実技とペーパーテストがありますから、それを勉強させる機会にするという形で検定が使われるという形になっています。
 あと、これはどこに入れるかですが、デュアルシステム(「働きながら学ぶ、学びながら働く」ことにより若者を一人前の職業人に育てる新しい職業訓練システム)で勉強しながら、OFF-JTと職場での実習を組み合わせるか、そういう仕組みをつくり、その中の企業主導型デュアルシステムとか業界団体がそういうものを使うというような形で、こっちに入れても良いのかも分かりませんが、OJTとOFF-JTを組み合わせて能力開発できるような仕組みをつくり、それで業界団体が企業が使うというものが始まってきています。例えば企業主導型のデュアルシステムですと、OFF-JTの部分は本人負担、OJTは企業が少し見る。それで、できれば、そこの企業に就職がつながるような仕組みです。そういう枠組みをつくっていく。ですから、今までの公共職業訓練、基本的には職場を離れるOFF-JTなわけですけれども、OJTと組み合わせるという仕組みが新しく入ってきたということになります。
 もう一つは、国等々が直接能力を開発するのではなくて、企業が行う能力開発を支援するというような仕組みができています。一つは、助成措置の仕組みがあります。あと、これは何年前かの時限の税制だと思いますけれど、特にOFF-JTを実施した場合、OFF-JTにかかる一定額について控除するような、税制面で優遇するというような仕組み。これはここ何年か見ますと、企業が教育訓練に割く費用が減ってきているという状況がずっとデータ的に見るとありますので、そういう意味では企業の教育訓練を促進するという面で、税制面でやろうというような仕組みが入っています。あとは様々な情報提供。
 あと、企業が実施する場合、研修に派遣するようなシステムもあります。中小企業などですと、教育訓練を実施するノウハウがないので、研修に派遣するような仕組みがあります。
 もう一つ、ここ10年ぐらい、今までは国自身が能力開発計画を提供するとか、企業の能力開発を支援するというようなものが職業能力開発のメインだったわけですが、新しい柱として、労働者一人ひとりの自己啓発、もちろんこれまでも企業による社員の自己開発支援の仕組みがありました。例えば、ある資格を取れば、その資格取得の費用を全額、一部免除とか、あるいはこういうテキストを並べておいて、それを勉強しなさいと、テキストを買う費用を見るとか、個々の企業が自己啓発を支援する仕組み、昔からあったわけですが、今もそういうものが使われていますけれども、国として、働く人一人ひとりの自己啓発を支援するような仕組みが入ってきたというのは割合新しい。今までの能力開発施策の中では一番新しいものであります。
 メインは教育訓練給付金制度です。雇用保険に3年以上入っていれば受給資格を得られて、5年になるとフルに出るわけですけれども、雇用保険に一定期間加入して、かつ指定されている講座を受講すると、その費用の一定額までは後から戻ってくるという仕組みです。様々な英会話学校など教育訓練給付金で何割戻るという仕組みです。ただ、初めは結構助成率が高かったのですが、利用者が多いということで、何年か前に引き下がっているような状況がありますが、しかしメインなものであります。
 あと、様々な、個人に対していろいろな組織で、あなたのキャリアなどを考えれば、こういうような能力開発が必要ですよというような様々な情報提供があります。
 これは企業の方に入れても良いのかも分かりませんけれども、先ほど企業が独自に社員の自己啓発の仕組みがあると言いましたけれども、もう少し積極的に企業に自己啓発、これは長期の有給で企業で社員が勉強するような仕組み、有給で長期の訓練休暇みたいなものを導入すれば、それについて助成するというような仕組みも入ってきています。
 こういうふうに大きく四つぐらいあります。ですから、この中で全部やるのか、つまり女性の多様な職業生活選択にかかわるものをどこか選ぶか。例えば能力開発の提供だけやるのかというような選択があると思います。
 忘れましたけれども、能力開発の提供を、先ほど21世紀職業財団とか、女性と仕事の未来館というお話をしましたけれども、例えば介護労働安定センターでヘルパーの育成をしています。こういういろんなところでいろんなことをやっています。例えば主婦の再就業なんていうと、もしかしたらヘルパーなども大事になるかもしれないということですので、そういう意味で、国本体だけではなくて、関連機関でやっているものも相当ありますので、それをどこまでカバーするかといったものもあります。
 例えば、ここには書いていませんけれども、職業能力開発の整備で、ビジネスキャリア制度というのがあります。先ほど検定制度はブルーカラーが多いというお話をしましたけれども、あまり知らないかもしれませんが、知られていないこと自体が問題ですが、ホワイトカラーで経理、営業の職種、その中について、一応職業能力のランクをつくって勉強したり、実務経験で、経理の何級というような評価をするビジネスキャリア制度というようなものもあります。これはホワイトカラーの職業能力を社会的に評価するという仕組みです。こういうものも能力開発の枠組み整備という形では行われています。
 ◎検討のポイント
 そういう意味で、既にお話ししましたが、検討のポイントですが、一つはどういうふうに見るかですが、職業能力開発の効果といったときに、一般的にはそれが就業、例えば無業の人で働きたいという人であれば、典型的には失業者に能力開発し、その人が就業するということが、その職業能力開発が成功したということになるでしょうし、在職者であれば、例えば能力開発することによって、もちろん継続することもポイントかも分かりませんが、キャリアアップ、例えば先ほどの女性や管理職を目指すための人の教育であれば、それが管理職に就くということにプラスになったか、そういうような形で見ていく。能力開発の有効性は就業や就業継続やキャリアアップに結びつくというところが一つポイントだろうと思います。起業もありますので、例えば経済産業省や21世紀職業財団がやっているような起業支援のセミナーであれば、それは起業にどういう形でプラスになっているかというようなことになると思います。
 ですからそれが一つのポイントですけれども、何を取るか。例えば一つの考え方としては、全部やるのか。または再就業、今、無業だけれども、働きたいという女性の再就業にかかわるような能力開発施策に一つ絞るのか。どの施策と絞らないで横断的に少し見るというのも一つかも分かりませんし、もう一つは起業。あるいはキャリアアップ、一般的、全体の能力開発もキャリアアップ、より上といえば、管理職がメインになるとすれば、女性が管理職を目指すとすれば、これにかかわる能力開発が十分行われて、かつ効果があるか。ですからどの範囲にするかというようなことは一つあると思います。
 多分検討会でやるのか、ある程度この範囲だと言っていただく方がやりやすいかもしれない。つまり非常に範囲が広いです。今回の多様な選択を可能にするという、それは多様ですから全てになりますけれども、今の女性の例えば働き方、社会参加という点では、どこがポイントだという、上から三つとか四つ挙げていただく方が検討しやすいのではないかと考えています。
 もう一つは、企業が今度やる場合、先ほど企業独自でやるものについていろんなサポートをしていますけれども、これを見るとすれば、ここもどこに絞るか。ここで言うと、企業が行う女性のキャリアアップと考えると、それにかかわるようなサービスや提供があるかと、例えば企業に対しても限定するとか、そういうふうに一貫してやるかどうか。あるいは国が直接提供している分野だけに絞る、情報提供もやらないというやり方もありますが、その辺も一つ選択になるだろう。
 あと、自己啓発です。自己啓発も情報提供もありますけれども、一番は教育訓練給付制度だと思います。ただ、お話ししましたように、これは雇用保険にカバーされている人たちです。もちろん離職後一定期間は、一定の加入期間があれば利用できるわけですけれども、例えば無業の人はこれは使えないわけですが、それは雇用保険にカバーされてない人の能力開発をどうするかということはもちろんありますけれども、自己啓発について、この利用状況はどうか。この辺を特に女性という観点から絞ってやる。もう一つは、自己啓発はもちろんお金のサポートもありますけれども、時間があるかどうか。今、20代後半、30代は長時間労働で自己啓発する時間がないとか、あるいは必要な情報が提供されているかどうか、機会があるか、費用、これがありますけれども、これを全部やるか、どこかに絞るか。
 ちなみに教育訓練給付金制度を雇用者ベースでどのくらいの人が利用しているかです。なかなかこのデータはないのですけれども、計算すれば出てくるかと思うのですが、30代、40代、50代で働いている人をナショナルサンプルでとってやった調査があるのですが、この中で一般職の正社員を見ると、利用している人は男性で2.4%、女性で4.9%です。つまり女性の方が利用率が高い。一般職です。非正社員で見ると、男性が2.0%で女性が2.1%ぐらいです。ですから2~5%で女性の方が利用率が高いです。
 もう一つは、この制度があるのを知っている人がどのぐらいいるかということですが、正社員で男性が32%、女性が42%。女性の方が知っている。非正社員は両方とも30%強であまり差はない。あと、先ほど来のは利用した人ですけれども、もちろん制度的に利用できない人もいますが、例えば利用する資格はあるが、利用しなかった人。例えば勤続20年で当然使えるが、忙しくて受けられない。あるいは必要がないかも分かりませんけれども、これは正社員の男性で14%、女性が15%です。非正社員でも男性が12%、女性が7%ぐらいなんですけれども、非正社員がめちゃめちゃ低いかというとそうでもない。多分正社員に入っていて、それから異動したりするので、あるいは正社員のときに使っていた人たち、これは今の時点の就業形態しかとれませんので、こういうものは男女間とか働き方で違いがあるとすれば、使いやすさのことを考えると、現状では一般的に男女で見ると、女性の方が比較的時間はある。もちろんそれは良い悪いは別ですが、比較的受けているのが一般職の正社員についていえば言えると思います。
 あともう一つは、先ほど雇用保険に一定期間入っていることが使えると同時に、指定を受けている講座の問題ですね。指定を受けている講座が、例えば女性の多様のキャリア選択ということに使えそうな講座に入っているかどうかが一つの視点になると思います。これもかなり見直してきています。当初は職業能力にかかわるものでなく、趣味ではないかというようなものも入っていましたが、これは相当見直してきています。もう少し高度な仕事にかかわるようなものに絞ってきていますけれども、もう少し女性の多様な働き方の選択という観点から指定講座を見ていくこともあるかもしれないということです。
 あとはいろんな施策全体ですけれども、例えば先ほどの女性の無業者が働くとか、起業とかに絞った場合でも、そういう施策を必要とする人にちゃんと提供されているかどうかということだと思います。それは、例えば雇用保険にカバーされてないからということもあるかも分かりませんけれども、我々が検討する範囲を決めたとしても、それを必要とする人たちが、それにアクセスできるような仕組みにあるかどうかということが大事な論点になるかもしれないと思います。
 最近の職業能力開発、国の施策として難しいのは、ある程度、雇用保険の3事業の中の費用でやるものがメインなんです。でも、それにカバーされてない人が増えてきているのをどうするかというのはなかなか難しい面ではあります。
 ◎能力開発の現状に関する統計の整備が不可欠もう一つ、難しいと思ったのは、どういう施策があって、どのぐらいそれを受講しているか、どういう情報提供しているか、これは分かります。例えば、誰がどのぐらい受けているか、結構データの足りない分がたくさんあります。特に個人の視点から見て、個人が実際どのくらい能力開発投資しているのか。例えば1年間にどのくらいの時間を使っているか。逆にいえば、どういう人が使えないのかということが分かるような、あるいはどんな内容の勉強をしているか、費用はどうか。誰がどのように能力開発をやっているかという情報はない。企業がどのぐらい、誰にどのような能力開発をしているか、ないんです。後であるものについてお話しします。
 もう一つは、無業者です。今、仕事をしてない人がストックとして、実はポテンシャルとしては相当有用な職業能力を持っているかもわからないけれども、このデータもない。ですから結構分析は難しい。もちろん厚生労働省は、能力開発基本調査というのを毎年やっています。どういう調査かといいますと、多少調査の方法は変わるのですが、企業に調査票を送って、企業がどういう能力開発をやっているかというようなことを聞いています。もう一つは、その企業に、労働者に何通か個人調査票を入れて配っていただいて、その人に聞くというような仕組みになっています。そういう調査があります。ただ、この調査の問題は、個人調査もやっているのですが、基本的に企業に雇われている人しか調査対象にならない。当たり前のことですけれども、それと企業を通じてまく。それもサンプル数が、一番新しいものですと1社3通入れている。一般的に考えると非正規のところにまかれない。
 もう一つは企業調査、規模は忘れましたが、当然一定規模以上の企業にまくことになります。以前もお話ししたかと思いますけれども、就業構造基本統計調査を見ると、正社員が働いている企業規模と非正社員が働いている企業規模を見ると、非正社員が働いている企業規模が小さくなる。多くの場合、制度調査は大体企業規模30人以上に配る。それ以下の規模で働いている人のデータは落ちますし、非正社員のカバー率はずれるわけです、規模間に。そういうこともありますので、企業がどうやっているか分かりませんが、個人の側が、企業からどのくらい教育訓練を受けているのか、個人がどのくらいやっているのか。特に無業がどういう教育訓練投資しているのかというようなことが分かりにくい。特に効果を測定するとすれば、過去にどういう教育訓練を受けて、その人がどういうようなキャリアをたどっていくのかということが、できればパネル調査で分かると一番良いわけですけれども、そうしないと実は効果、つまり教育訓練はある程度中長期にあらわれるもので、短期にあらわれる教育訓練は、私はいつも言うのですが、すぐ役に立たなくなる側面もある。ハウ・トゥーはすぐに役に立つのだけど、逆にすぐに役に立たなくなる側面があって、そういう意味では、中期的に見れば、能力開発についての統計整備、特に個人についてナショナルサンプルでとるような仕組みが必要で、そうしないと施策につながらない。(パワーポイント映写終了)
 今日御意見を伺いたいのは、一つは、実際提供するか、枠組みを全部、縦をどうするかです。もう一つは、領域みたいな横です。先ほど言ったように、女性の再就業、起業、キャリアアップ、もっと一般に絞るか、多分この縦と横が決まると割合やりやすくなる。それとも全部やるということなのか、すごく広いのである程度優先順位をつけていただくと良いのではないか。あまり参考にならないですが、ただ、絞っていただきたいという情報提供ということだけです。
 どうもありがとうございました。
鹿嶋会長
ありがとうございました。今から絞るまでの議論が果たしてできるのか、非常に難しいのですけれども、質問も含めてご意見をお聞きしたいと思うのですが、どうでしょうか。
勝又委員
先生、先ほど近年企業がトレーニングに費やす費用が減ってきているというお話があったのですが、それは基本的にどのような理由なのですか。
佐藤委員
一つは、全体的にコスト削減という中で、もちろん総人件費の中に教育訓練費がありますから、福利厚生なんかをカットすると同じように減らしてきている。減らしても教育訓練する必要がありますので、できれば対象層を絞るというのが一つの解釈ですね。一応教育訓練の総額、一人当たり教育訓練費用を見るとやはり落ちてきているのは間違いないです。これも難しいのは、非正社員が増えていますから、そういう意味では一人当たりというのがそういうものによって薄まっている可能性もあります。正社員だけ見るともしかしたら変わってないのかもしれないですけれども、結構データを見るのが難しいです。
大沢委員
私が聞いた労働経済では、今までは結構平等に教育訓練が行われてきたんだけど、それが全ての人ではなくて選ばれた人に変わってきているのではないかという議論もありました。
佐藤委員
ナショナルサンプルでやった調査見ると、過去1年間でOFF-JTが19時間以下というと、確かに正社員と非正社員の差はあって、非正社員が短くなるのは事実ですよね。それが引っ張っているのかもわからないですけれども、本当に格差が、ばらつきが広がっているのかはなかなかデータ的に難しい、特定層に絞っているのかどうか。
鹿嶋会長
検討のポイントの中の最初にお書きになっている、実際の就業に結びついているかどうかなんですが、これが例えば、いわゆる会社の能力検定、能力開発、それから、非正社員が自分でお金払って検定受けて資格取ったと。それがどういうような形で就業に結びつくか、追跡みたいなのは全くないんですか。
佐藤委員
今度検討会、黒澤さんに入っていただきますけれども、たしか公共職業訓練を失業者で受けた人がどのくらい就業に結びついているかというような研究はあります。ただ、これも難しいのは、訓練による効果なのか、この訓練機関に入ったセレクションが働いていることによって企業は優れた人がいるから採るという、この効果は一応コントロールしていかないといけない。常にその問題はあるんです。訓練機関へ入れたということによって一応セレクションかかっていますから、だから企業が採用している可能性もある。これをいかに区別するかは非常に難しい。一応そういう研究は出てきています。
鹿嶋会長
もう一つ聞きたいのは、例えばIT技術者で情報処理技術者何級というのがありますね。ああいう取得者が、就職の際の一つの資格としてキャリアを求められると。そして実際に就業に結びついている、そういうものは実際にあるんですか。
佐藤委員
情報処理技術者などであれば、専門学校かなんかで、もともとそれを前提にして取っていますから、それは結びついているといえるかも分かりませんけれども、大卒の場合であれば、一般的には情報処理技術者であっても、別にプログラマーとかSEにするために採るわけではないので、SEというのは上の方で、業務分析とかそちらの方ですので、あまり資格は関係なくて、例えば業務分析できるような、あるいは逆にいえば、きちんと経理の勉強してきたりとかという方が良いということにはなりますね。専門学校のものは割合就職率などを見れば分かると思います。
山口委員
これは職業についた人を対象としているのか、あるいはこれから企業につこうとしているのか、その範囲の問題があると思いますね。それから企業の中で、技術教育と一般的な情報や知識、どちらかというと、どっちなのですか、こういう訓練教育というのは。
佐藤委員
ここでの議論は国の施策なんですね。ですからここでは、企業が独自にやるものを評価するわけではない。企業の取組に対する国の支援の仕組みが、例えば女性の多様なキャリア選択にプラスかどうかというようなことを評価するので、企業独自でやるものをここで見るわけではない。もちろんそれは非常に重要です。企業がやる、特に入ってから5年ぐらいまでの、オンザ・ジョブ・トレーニング(OJT)、どういう職場で、どういう仕事を経験するかということが実は女性のキャリアは大きいと思いますけれども、ここでは一応そこは対象外だということだと思います。
山口委員
鹿嶋会長がおっしゃられた中で、要するにここを受けた人の追跡調査というのはあるんですか。
鹿嶋会長
いわゆる検討会で検討していただく黒澤さんが一部、公共職業安定所のこちらを調査している。それは一応その報告を待ちますけれども、今、山口さんがおっしゃったのは、いわゆるOJT、OFF-JTの中に国の施策として関連するものがあると思うんですね。そこにかかわれる人は、今、就業を継続している人なんですけれども、OJT、OFF-JTに全く閉ざされている、回路が遮断されている人たちがいるんですね。これは若者のフリーターであり、今から仕事を求めたいという再就職志望の専業主婦でありという人たちなのですが、そちらを両方カバーしていくのか。
佐藤委員
職安に行って、訓練校の方に行って訓練を受けるというルートはもちろんあるんです。
鹿嶋会長
それはありますね、確かに。
佐藤委員
もちろん無業者でも仕事につきたいという人が必要な教育訓練を受けられているかどうかということはもちろん検討できる。それは結果として就業に結びついているかどうかという議論になるだろうとは思います。
山口委員
佐藤先生が言われた範囲の問題ですね、結局は。
鹿嶋会長
両方やらざるを得ないですかね。
佐藤委員
今ので言うと、妊娠・出産あたりで7割辞めていますので、女性が再就業というのが一つ大事だと言われていますので、一つは再就業だとは思います。もう一つは、やはり管理職が少ないということで、キャリアアップは大事だと思います。ただ、これが国の施策としてどの程度あるかということはまた議論しなければいけないと思うんですけれども。
袖井委員
今、量的にはあまり多くないんですけど、母子世帯に対する支援とかいろいろやっていますね。
佐藤委員
ありますね。
袖井委員
ああいうものはどういうふうに考えるのでしょうか。国がかなりやっていますよね。
佐藤委員
そうですね。もしかしたら、割合受けるなら受けやすいようになっているか分かりませんけれども、すみません、情報がないので、特別の枠があるのかどうか。就業促進のは今やっていますので、何か別のプログラムか。
塚崎調査官
就業支援はやっています。
佐藤委員
就業支援の中で、多分教育訓練もあるのではないかと思います。ですから、そういうものも入れるかどうかということだと思います。対象層ごとにもあるんですね。そういう母子関係とか、障害者とか、ここは女性ですからあれですけれども、それもどうするかですね。
袖井委員
そうですね。
佐藤委員
どこか絞らないとやれないかなという気はしています。
大沢委員
漠然とはしているんですが、諸外国と比べると、やはり辞めた後の期間が非常に長くて、しかも有能な人ほど戻って来ないという、そういう傾向があることはこれから問題になってくると思いますので、そこら辺のメカニズムと原因を探る。それとまだうまく研究が進んでいないのですが、ちょっと今時代が変わってきて、30代と20代で少し傾向が変わるという結果が出ているようです。これは、非常に日本の特徴であり、かつ、それで若者が自分に自己投資をするときにもビジョンが見えない。という意味では、再就職の問題だけではなくて、全体の女性の教育投資を妨げているようになっているということを考えると、やはり再就職、専業主婦、その後というのは一つ、この検討会で検討すべき課題かなと。非常に難しいというように思いますね。
佐藤委員
職業開発とは別なんですけれども、大学、大学院で、女性のエンジニアで考えると、普通は男性の場合、今、修士まで行くわけですね。それを学校教育で切り離すのか、もし、女性のその分野で言うと、入ってもらわなければ困るのですけれども、工学系の大学院に行かないと無理ですよね。そこは議論しないというのもあると思いますけど、挙がってない分野ですけれども、女性も工学系の分野で活躍するとすれば、そこに入りやすくとか、あるいは受け入れる態勢が問題あるのかもしれませんけれども、本当は大事な分野なのかもしれませんね。
大沢委員
そうですね。教育機関で、アメリカでもそこが平等化してきたことがその後に大きく影響しているということで、そこの平等施策みたいなものは少し見ていく、大学、大学院の高度教育が適切に対応できるのか、これから何かそこら辺で支援できるのかということも検討してみた方が。
佐藤委員
企業なども、今、国民金融公庫の教育ローンがあるんですね。あれで自分の子どもにしか借りられないと思っている人がいるけれども、本人にも、つまりサラリーマンが社会人大学院に行くときに借りたりできるので、そういうのもあるんです。それは例えば女性が借りるのがどうかとかというのも議論としてはあり得る。
大沢委員
議論しても良いと思いますね。
神田委員
私ども会館で、キャリア支援ということで研究やっているんですね。ロールモデルを詳しく聞いているわけですね。それを見ると、ずっと一直線のコースではないんですね。皆さんやっぱりいくつかの中断を重ねながら、また学習をして、またやっていると。それは個人的努力で今までやられていたと思うんですね。そうした個人的努力を国の施策としてどういうふうにやっていくかということではないかと私は思っております。女性のライフコースの一つの特徴で、中断したのを次にどう積み上げていくかということなのだろうと思っています。
鹿嶋会長
高学歴女性の場合は既にM字型トレンドに指摘されているので、それをぜひやりましょう。難しいテーマかもしれませんが、どうすれば良いのかという問題を、今のネックもかなり高学歴女性が作用している可能性がありますよ。
神田委員
そうですね。高学歴女性、科学者等々大変な努力なんですよ、個人的に。あれを政策に乗せないとだめだと思います。
鹿嶋会長
もう一つは、非正社員として働く若者の中には個人的努力を放棄しているようなケースもあって、彼らをどういうふうにこのシステムの中に組み込むかという問題は出ますね。要するに公共職業安定所へ行けば良いのですが、行かない人が多いです。
古川委員
私なりに、今、お話を承るといくつかの類型があるような気がするんですね。一つめは企業に入っている人は、キャリアアップというようなこと、これは基本的には企業がやることだと思います。二つ目の類型は、これから入る人ということについては、就業にいかに結びつくか、これは国がやるべきだと。三つ目の類型としては、いったん就職して、例えば子どもの出産とか、あるいは仕事が性に合わないというような場合がありますね。子育てとかなんかと一緒にしながら、再就業の機会というのは国がやらなければいかんし、また、仕事の対応が変わってくる、つまり能力開発の対応が変わってくると。それから、いったん子育てとか何とかではなくて、企業に入ったけれども、そこはうまくいかないということでいったんそこから離れていくと。しかし就業はしたいというような人がいらっしゃいますね。その人たちをどうするか、いくつかの類型があるかと思うんですけど、どこに絞っていくのか、それは能力開発の、例えば子育てとか何とかの就業の場合と、全くこれから若者が入っていく場合と違うんですね。その辺を仕分けしないとなかなか能力開発と一概にいっても対応が違ってくると。どこに焦点を絞るかとかというような感じがしますですね。
鹿嶋会長
佐藤委員、何かアドバイスありますか。
佐藤委員
それを少し、どの層かというのは議論していただかないと、どの層の、どういうテーマについて評価するのかということをしないと、それぞれみんな大事だといえば大事なんですけれども。
山口委員
資格制度いっぱいありますね。例えば美容師も国家試験ですね。それから女性の税理士さん、せっかくそういう資格を持っていてもいきてない。女の人は資格取らなければねと話をしますが、その先がない。例えば税理士さんなんかもせっかく資格を取っても、いかす場所が。せいぜい零細企業につけば良い方です。美容師だとか取った先はどうなのか。
 だから、私は資格の等級をつけてやらないと、そういう教育投資が無駄になるなと。資格プラス経験というセットがないと、この能力開発というのはうまくいかない。
佐藤委員
枠組み整備なんですけど、最近は基本的には国がこういう仕組みつくらないというふうになってきている。基本的には民間が主体的につくれという方針ですので、そこは対象外なんです。できるだけ国がこういうものをつくらないようにという、特に資格等は、というのが今の流れなのです。キャリアカウンセラーについても四つか、五つありますが、それぞれの団体が独自にそれはやれるようになっているということはあるので、ただ、それがどういうものかという情報を出せという言い方はできるかも分かりませんけれど、ここも対象に入れるかどうかですね。
原田審議官
佐藤先生の対象をどういうふうに絞り込みをしていくべきかということに関してなんですけど、局内でまだ詰めた議論をしてないので個人的な意見なのですが、少し翻って考えると、監視・影響調査の中で扱っていくストーリーは、男女共同参画の観点からどういう課題が職業能力開発との関連で横たわっているかという視点で考えれば、佐藤先生にまさに御指摘いただいたように、一つ間違いなく出てくるのは、結婚・出産時に退職された方が7割以上を占める、この層が望まれる形での再就業を果たせてないという、そういう課題に能力開発という観点から、どういうふうに応えられているのか。あるいは今後どういうアプローチが必要なのかということは必ず出てくるのですが、最初からそれに絞り込んでしまうのか、それとも、これまた話題に出ました民間分野でも、あるいは今まで比較的手薄だった科学技術、防災等々の新しい領域でも女性が責任ある役割を果たしていくと、そういう観点からの能力開発も男女共同参画のこれまた大きな課題として浮き彫りになっていると。
 そういう男女共同参画の観点から、どういう課題が横たわっており、それに対して能力開発というアプローチでどういう問題状況が出てきているのかというのを最初は少し幅広に議論して、ただ、さはさりながら最後まで全方位で議論をしていくのもそれは実りある答えにならないとすれば、ある段階からは、今、最初のテーマ、あるいは二つ目も含めてか、あるいは、はたまた三つ目、何かが登場するのか、そういう重点的取組にだんだん深めていくという、そういうことなのかなという気が今のところしているんですけど。
佐藤委員
私は基本的には無業者で就業を希望する人、みんな働けという意味ではないので、無業者で就業を希望する人を収入に結びつけるときに能力開発が必要であれば、それは提供してあげる。もう一つは上、管理職。もう一つ、今言われた横、先ほどエンジニアというお話しをしましたけれども、女性の活躍の場を広げていくときに必要な、学校教育も含めて職業能力開発ケアということ。あとは領域的には大きくは三つ。ただ、それだけやれば良いのかというと、確かに私も自信はなくて、少なくともこの三つはきちんとやる必要があるかなという気はしています。
袖井委員
能力開発といったときに大きく二つあると思うんですね。一つは、全く新しいスキルを身につけるということと、もう一つは、今まで持っているのをブラッシュアップするというのと両面があって、例えば新しいスキルですと、意外に役に立っているのが中高年の女性などのヘルパーさんですね。これは結構就職に結びついているというのもあります。それからブラッシュアップが結構難しいんですね。私は女性と仕事の未来館で、これは試験的にあったのですが、厚労省の雇用均等・児童家庭局のお金で、3年間にわたって高学歴女性で家庭に入った人で、何かのスキルを持っている人の再訓練というのをやったのですけれども、うまくいかない。例えばITがあったのですが、今のITものすごく進んでいてもうだめなんですね、家庭へ10年も入った人では。
 それで結局一番うまくいったのが意外にリフォームというので小さいところでしたね。零細企業のようなところで、台所・キッチンとかお風呂を直すとか、ほとんどそれはフルタイム雇用ではないんですけど、こういうところはうまくいったのですが、だからなかなか就職に結びつかないという問題がありますね。
 だから、本当にその人の能力がついたのかつかないかということもあるけれども、一番大きいのは採ってくれないという問題があるので、そこをどうやって、これを図るかですよね。そこら辺の図り方も。
佐藤委員
ですから能力開発と、職業紹介がうまくリンケージ、そこはちょっと広げて見るということが必要かもしれないですね。
袖井委員
そうですね。
名取局長
もう一度、資料1-1を見ていただきたいのですが、確かにおっしゃるとおり、絞り込みはもちろん大事なのですが、実はもうちょっと大きなテーマが参画会議で決まっておりまして、雇用の分野だけではなくて、農山漁村ですとか、多様な選択を可能にする教育・学習の充実ですとか、重点目標の3、4、10にかかわる分野が対象となっております。
鹿嶋会長
そう言われると相当広いですね。
佐藤委員
そこまでは今日は話さないで良いだろうと。それはそうです、広いんですよ。
鹿嶋会長
ほかに御意見ありますか。佐藤委員、どうもありがとうございました。この議論はこのあたりで一応ピリオドを打っておきます。
 次に、株式会社資生堂執行役員のCSR部長・大矢和子さんにおいでいただきましたので、「資生堂の男女共同参画活動からみた女性の能力開発」についてお話を伺います。
大矢氏
資生堂の大矢でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、お手元に私どもの次世代育成行動計画の表と、現在展開しておりますWIWIW事業のサービスの御案内をお手元にお配りしております。御案内させていただきます。
 (パワーポイント映写)
 ◎資生堂の男女共同参画活動からみた女性の能力開発の課題
 先ほど非常に広い範囲での御議論だったのですが、今回、私どもの資生堂という一企業の中での男女共同参画を進めている上においての女性の能力の開発の課題という形で絞ってお話させていただきたいと思います。
 ◎1-1.資生堂の概要
 資生堂の概要をお話をするのですが、創業134年、グループの従業員数が約2万5千強で、グループ全体で国内、海外とグローバルの展開を行っております。
 ◎1-2.資生堂の売上
 化粧品事業でみると世界の4位に位置しております。
 ◎1-3 資生堂のビジネス領域
 また、ビジネス領域も、皆様化粧品だけというふうな形でイメージされているかと思いますけれども、パーラー、THE GINZAというブティック事業、リラクゼーション、トイレタリーというような事業も行っておりますので、資生堂の社員と申しますと、一般的には化粧品の販売・ビューティコンサルタントというイメージをされる方も多いと思いますが、美容師もおりますし、パーラーで働いている人間もいるし、もちろんスタッフ部門もいるというような形で非常に職種が多く従って女性社員の活躍の幅も広いというようなところが強みでもあり課題でもあります。
 ◎1-4.資生堂国内グループ社員数
 合計国内では1万2,000強の社員を有しておりまして、その中では女性が9,000、男性が3,000という形で女性が約7割になっております。ここで見ますと、平均勤続年数がグループ全体で、男性で19.7年、女性で13.9年ですが、資生堂単体で申しますとほぼ18.9、年17.2年というような形で男女ほぼ同じような年数になってきました。グループで展開しておりますので、職種が多いということが一つの課題。それから、もう一つは、非常に母数が多いので、それで全体的に男女共同参画で両立支援をしていくことにいろんな課題があるということです。
 ◎2.多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に関わる特徴的な制度・施策では、今日議題になりました多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に関わる特徴的な制度・施策、両立支援も含めまして御案内させていただきます。
 ◎2-1.仕事と家庭両立支援の為の特徴的な施策
 1987年に、私ども現在名誉会長が社長の折に、社員の意識調査をしましたときに男性と比較すると女性の満足度が低い。男性と比べてなかなか自分がいかされてないというデータが出て、何とかしなければいけないというところから始まり、1990年頃から本格的に育児休業制度、育児時間制度を導入し、今年まで約15年にわたっていろいろな施策を行っております。
 ◎2.2.具体的な育児支援制度・介護支援制度
 具体的な育児支援制度を見ますと、育児休業制度は1990年から実施しておりますけれども、子どもが満三歳になるまで休業を認め、ただし、複数の子どもの育児のために二回以上休業する場合は、原則として通算五年以内、休業中は無給です。04年度の延べ取得人数が約600名以上という数字になっております。
 また、育児時間制度も1991年から実施しておりまして、子どもが小学校に入学するまで一日二時間以内で勤務時間を短縮することができる制度で、短縮時間は無給です。ただし、子どもが満一歳になるまでの間については一日一時間分は有給です。こちらの制度も取得者500名以上というような状況になっております。現在、こういった制度ですが、今はお子さんがいろいろな危険にさらされているということで、育児をしている方々の一番の要望は、小学校低学年まで育児時間を延長していただけないかという声です。
 ◎2-2.2004年度 資生堂の育児休業取得状況
 2004年度の資生堂の育児休業取得状況は、本社、研究所、関係会社、販売会社という形になっておりますが、御覧いただきますように、販売会社が一番人員が多いのですけれども、取得者が全体で97.1%ということで、私どものところでは、妊娠されて出産、そして、そこで辞めるという方はほぼゼロに近いという状況ですが、更に育児休業取得者のすべてが育児時間を取得するにはもう少しハードルがあるような状況です。
 ◎2-3 カフェテリア制度(選択型福祉厚生制度98年)
 また、カフェテリア制度(選択型福祉厚生制度)を98年から行っております。これは「仕事と家庭の両立支援」や「より豊かで彩りのある生活の実現」を主な理由に、社員一人ひとりが自らの意思で選択できる福利厚生メニューを準備しております。一つは育児をしながらという両立支援のメニュー、もう一つは、健康管理や介護のメニュー、もう一つは、先ほどありました自己啓発を支援するメニュー、また、社内の運動会などの福利厚生を利用する個人選択という形に変えておりますので、レジャーやスポーツなどにできるメニューというような形で入れております。
 具体的なメニューが、育児補助、介護補助、健康診断、ボランティア、自己啓発など色々ありますが、一人ひとりの社員に一定ポイントを支給して、そして選べるような形になっております。
 ◎2-3 カフェテリア制度(選択型福祉厚生制度98年)
 具体的にちょっと御案内いたしますと、例えば育児・介護関連補助内容で見ますと、保育園、学童保育への補助など、また、託児所や保育園の延長保育の保育園なども、両立支援についてはポイントへの換算が高くなるように設計されています。
 ◎2-4.チャイルドケアプラン(98年~)
 98年度からはチャイルドケアプランということで、社員が妊娠中も安心して働けるような職場環境をつくり、出産後は円滑に職場に復帰して育児と仕事がバランスよく両立しながらできるようにする主旨で設置しました。しかし最近、実際に調べてみますと、なかなかコミュニケーションをとる上で良い制度なんですが、まだまだ御存じない方が多く、浸透するまでになっておりません。実際には母性の健康管理や、今後どういう予定かをコミュニケーションシートで内容が時系列で見られるようになっております。
 ◎2-4.チャイルドケアセンター(06年~)
 06年度からは、このチャイルドケアセンターというサポートセンターを始める予定です。これは本社の医務室のスタッフが健康面を中心にサポートしています。例えば販売員は、販売員が持っておりますSIDOという携帯電話からつながるような形になっておりまして、例えば自分のつわりが今こんな状態なんだけれども大丈夫かとか、それから健康管理はどうだとか、保育園の使用だとか、相談できるセンターでは診断できませんけれども、子育てに関するアドバイスを受けられる、遠くからでもアクセスできるようになっているというサービスが06年度から始まります。
 ◎2-5.WIWIW開発の背景
 WIWIWの開発は、事業として展開させていただいているものですが、その主旨は、21世紀の資生堂が、「女性から共感を得られる活動」を企業価値創造の柱とすることを目指すと考えているところです。男女共同参画を進めるに当たって一番大事なのは、女性だけを支援するということではなくて、男女ともに共同参画することが重要であること、また、私どもの従業員も7割女性ですし、それからお客様も9割女性ですので、企業価値創造が企業の利益に貢献していくのだという観点に立たないとなかなか賛同が得られません。また、これからグローバルになっていくに当たって、多様な視点を取り入れる上においても女性を取り込むということが非常に重要であるということで、21世紀の資生堂は「女性から共感を得られる活動」を目指すということのためにWIWIWというものを始めました
 。この特徴は、女性の能力開発において、先ほど言いましたように、出産、育児で辞められることが多いわけですが、育児休業というのは空白と捉えられるけれども、これをもうちょっと違った視点で見ると、実はスキルアップの機会ではないか。そして、ここをきちんとすることにより職場に戻って来るのではないかということに着目したのが一番の特徴です。
 弊社では、育児休業を取得するというニーズから現在ではきちんと仕事に復帰したいというようなニーズに変化しております。ですから育児休業が普及されたときは、最初は入社十年たつが、育児休業を五年取っているという方がいらっしゃいましたけれども、現在は早く戻ってきたいという方が多い。先ほどお話がありましたように大体一年から一年半ぐらいというのが平均になっております。
 また、外出もままならない育児休業者にとって、自宅にいながら、育児の合間に利用できるインターネットは最適なツールではないかということで、これは私どもの会社だけではなくて、働く女性の方々、育児両立支援というような形の全ての方に提供するために事業という形で進めております。
 ◎2.5.育児休業をブランクからブラッシュアップへ
 これは、育児休業時間をブランクからブラッシュアップという見方にかえて、インターネットを通じてスムーズな職場復帰と豊かな育児生活を支援するエデュテーメントということで、エデュケーションとインターテイメントを一緒にしようということです。
 2-5.WIWIWの仕組み
 この仕組みは、育児休業者がそういった育児支援をする開発の講座を受けることができる。また、企業の方と実際に自分がインフォメーション・情報を得られる。それから育児休業者同士のコミュニティを得ることができるという三つの機能を持っております。また、企業にとってはこういったものを取り入れることによって、実際には厚生労働省の21世紀職業財団の方から支援を頂くということになります。所属する企業がWIWIWを提供することにより、会社が自分を待っていてくれることができて、安心して自己啓発に取り組むことができるということがメリットであると思います。
 ◎2-5.育児休業者の求めるソリューション
 WIWIWを実際に開発する中で、育児休業者の300人のアンケートで約100名にヒアリングしていただいた生の声を今日は御案内してみたいと思います。ここで分かることは、実際には、産前休暇中から復帰後までに、心理的にいうと一つではないということです。例えば、産前で見ると、せっかくお休み頂いたものをどう過ごすかというように、少し時間があるわけです。ところが実際生まれてみると大変。時間がなく、余裕がなくて何も考えられない状況になる。
 生まれて四カ月から九カ月になってくると、ああ、こんなことしていて良いのかな、というように社会との隔離感を感じはじめ、何かしなければいけないと焦る。また、だんだん会社に戻る頃になると、会社がどうなっているのか不安になる。もし組織が変わってしまうと戻れるかどうか更に不安になったりします。
 それから、リハビリ期、復帰後は時間が制限されるので効率を上げなくてはなかなか勤められないというような形になり、ここに与えるソリューションというのも一律ではないということが発見でした。
 ◎2-5.時期にあわせた三つのコンテンツ
 いろいろな状況にあわせて3つのコンテンツ、講座とインフォメーションとコミュニティを用意しております。このオンライン講座は、まず一番最初にチャレンジ期はライフスタイルにあわせて職場に復帰できるように、そして職場の復帰準備期のときにはそのスキルを上げられるようにというような形になっておりますし、オンラインの講座も長い時間ではなくて細切れにしながら、子育てをしている時間の中でできるような形になっているのが特徴です。
 インフォメーションは、インターネット上にあふれる育児情報から厳選したサイトを提供していっていろいろな情報を得られるような形になっております。ここにありますように、主なものに日記、プランニング、費用計算などがあります。
 また、コミュニティは、電子掲示板や電子メールで企業ごとに情報を共有できる掲示板と、それから会社の上司や同僚と連絡ができる情報交換メールができる形になっております。
 こういった形で子育て期の一つではないソリューションにこたえています。
 ◎2-5.オンライン講座
 赤ちゃんの睡眠のサイクルが安定して自由な時間が少しずつ出てきますと、勉強できる環境が整います。そのオンラインの講座は細切れの自由時間にあわせて、外出が難しく社会との接点が減少してくることを考慮し自宅でできるプログラムになっています。育児ストレスや停滞感、孤独感を感じている者が、体力や集中力が低下しているので細切れにすることによって、また分かりやすくするという形によって、普通の講座よりも受けやすいというような形になっております。
 もう一つは、利用障壁を取り除く工夫ということで、継続しやすい講座。キャラクターを使ってなじみやすくしていいます。
 ◎2-5.ビジネススキルアップ講座
 スキルの講座はIT系、語学系、財務系というような形で御用意いたしておりますが、高学歴の方もいらっしゃいますし、もうちょっとここでステップアップしたいというような気持ちを持っていらっしゃる方が多くなっておりますので、専門的な、今ある販売の講座だとか医療系の講座、そういったもののニーズが高まっています。現在、私どもはネットラーニングというEラーニングの大手と契約をしてコンテンツを作成しております。
 ◎2-5.パソコン講座
 パソコン講座の画面は、私共の両立支援のシンボルであるカンガルーの赤ちゃんがおなかの中にいて、元気にぴょんぴょん飛び跳ねているということをイメージしているのですが、ナビゲーターとして講座を案内してくれます。
 ◎2-5.ライフスタイルアップ講座
 また、ライフスタイルアップ講座というのは、料理講座、きれいなママ講座、実際に赤ちゃんを産んだ後のダイエットというのも非常に重要なポイントになってきますので、そういったものが提供されております。
 ◎2-5.インフォメーション
 このインフォメーションの講座については、育児生活が豊かにできること、職場復帰がスムーズにできる、いろいろな情報がございます。
 ◎2-5.コミュニティ
 こちらは人気のあるプログラムです。育児サイトは3,000以上あるものの、実はワーキングマザーをターゲットにした講座は非常に少ないので、そこをターゲットに組んでおります。育児の総合の掲示板、育児の専用の掲示板とございまして、そこからいろいろな情報が得られるようになっております。
 ◎2-5.コミュニティ
 育児休業者が取り残されたという感情を持たないようするのが育児休業者と上司をつなぐラインや働く同僚をつなぐラインです。具体的に育児休業者の名前で呼びかけ、「お元気ですか、赤ちゃんが、そろそろ免疫が効かなくなって、風邪など引きませんかとか、組織はこういうふうになりました。制度はこうなりました」というような形で、上司から発信します。
 また、上司の方もそういったことになれていませんので、そのやり方をリマインダーメールにより、そろそろ赤ちゃんが離乳食になりますので、こういったことでいろんな情報をあげてくださいと。3カ月になりましたから、こういう情報をあげてくださいとアドバイスを受けます。女性の少ない職場では、こういった情報が非常に有効であるようです。
 ◎2-5.料金体系
 料金体系は、導入時に一企業当たり2万1,000円の法人会員登録料を頂きます。受講する講座数や利用時間にかかわらず、一人当たり月額6,300円頂きます。これは実際には育児休業者職場復帰プログラム実施奨励金の中のものにございますので、実際にオンライン講座を得ていただくと、その中で費用が発生するという形になります。ですからほかのものは、実際には費用は発生しない形になります。
 あとはこういった形で、プログラム開発作成は、プログラムを実施したことによって支給されます。在宅講習を一月でもやっていれば、あわせて申請することができるということで、また、この在宅講習のプログラム開発などは、21世紀財団が行っています職場環境適応学習などの講習もありますよという形で御案内させていただいております。
 ◎2-5.ユーザーの声
 ユーザーの声や、復帰後のアンケートから、オンライン講座の受講は復帰後に実際に役立つだけでなく、勉強していること自体が浦島太郎状態にならず安心することがわかります。実際に次のように、
 復帰前のメッセージで、復帰への準備することができた。
 会社の情報を把握することで、スムーズに復帰できた。
 掲示板でその不安を解消された、というようないろいろな声があります。
 まとめますと、特に会社や育児休業者同士のコミュニケーションツールとしての評価が高くて、不安が解消されてスムーズな復帰ができた。
 それから、休業中の支援自体が、会社からの疎外感を感じがちな休業者のモチベーションアップの向上になっているという形になっております。
 ◎2-5.WIWIWの概要
 もう一度、確認いたしますと、育児休業者にとりましては、ここはスキルアップであり、それから職場復帰を支援するものであり、企業とのコミュニケーションというようなものであり、核家族が多くなっている中での育児休業者同士のコミュニケーションになります。
 三つの、育児休業中の不安の解消、充実した育児休業生活、スムーズな職場復帰の実現、この三つを実現するという形になっているわけです。
 ◎2-5.導入企業一覧
 現在、2006年2月1日現在導入企業が100社様ございまして、こちらの方々に入っていただいております。ただし、平均の休業者数が大体3名ぐらい、受講者が500名強という状況でございまして、育児休業者にとっても、パソコンを持っていない、また持っていてもそれどころではないというような課題もございます。
 ◎2-5.導入の効果導入の効果は、それぞれの立場から見ていただきますと、先ほどから申しておりますように、育児休業者にとっては、とにかく復帰に対する不安と受講にスキルアップができるということから、育児をしながら仕事を続けるノウハウを習得できるという声を頂いております。
 WIWIWの導入効果というものは、わが社では育児休業者がほぼ100%復帰してくる形ですので、導入三年ではなかなか分かりません。また、導入の企業の中から、どのぐらい効果があったかというのもデータ的にまだ整備されておりません。
 定性的にみれば、企業にとりましては、育児休業者の帰属意識と職場復帰に対する意欲の向上と、出産・育児を契機とする離職の防止と優秀な人材の長期的な確保。
 企業イメージの向上と新規採用者の優位性発揮。
 育児経験者の増加による多様な価値観の醸成というものがございます。
 ◎2-5.育児休業中の能力開発について
 M字型カーブを解消するために、企業の課題としては、企業と育児休業者の関係強化が非常に重要だと思われます。モチベーションを高めるためには育児休業者とのネットワーク、先ほど申しましたように上司なり同僚なりとのネットワークが重要ですし、会社情報も上司からのコミュニケーションが大事です。会社情報が休業者にきちんと伝えられておらず、会社側からの疎外感を感じている休業者が多く、またキャリアデベロッププランの情報を伝えることによって、休業中の復帰後の自身のキャリアを考える機会を持たせるなど積極的な情報提供していく必要が思われます。
 また、企業側は休業中に高度なスキルアップを望みがちですけれども、出産前のレベルでも講座受講は難しくて、逆に休業者がプレッシャーになりかねないという形がありますので、多くを求めないで、復帰日を目指して徐々にウォーミングアップしていくことが重要だと考えています。
 ◎2-5.育児休業中の能力開発について
 休業者の課題ですけれども、育児休業者側としてどのようにスキルアップしていくかというのを自分で描いていただくことが重要です。それが育児期の仕事ヘのモチベーション維持になりますし、自己価値を高める専門スキルの習得になりますでしょうし、今後自分がどのようなライフプランをつくるのか。例えば途中でお休みすることもあるかもしれませんし、それが実際にスキルアップする場になるかもしれませんし、これによって専門職を得られるという場になると思います。
 また、子どもの手のかかりぐあいによっては、パソコンに向かう態勢を整えるのもひと苦労で講座受講にもなかなか結びつかないという休業者も多いので、これを私どもの方で、06年の6月から携帯電話のコミュニティを入口として、復帰へのモチベーションを高める計画です。
 ◎2-6.保育施設開設の目的次に、ほかのいろいろな施策についても御案内したいと思います。こちらはカンガルームという汐留地区を中心とした資生堂の子育て社員をサポートする保育施設です。そして、これは男女共同参画企業のシンボルとしての役割を果たしたいと考え設立しました。近隣の賛同企業にもご利用頂いています。
 ◎2-7. 制度と意識改革
 実は意識啓発ということが軽視されがちですけれども、これをきちんとやらないと職場の中で制度は実際にはうまくいきませんので、五つのことをやってまいりました。
 ◎2.8.取組の成果
 取組の成果ということがいくつかあります。私どもの中で、約15年の中で、M字型カーブというのがなくなって、普通に仕事と育児の両立ができるような形になりました。また、いろいろな形で最近就職ランキングが出ておりますけれども、優秀な女子学生の応募が増加しております。
 社員の意識調査では「女性も男性も、自分らしさを発揮している」のという項目の指数が上がってきました。
 ◎2-9.女性社員の管理職への積極登用女性の管理職数が増加してきたということで、管理職に占める女性の比率というものが2005年度/11.7%まで上がっております。
 ◎2-10.次世代育成支援行動計画 アクションプラン(05年度~06年度)
 2005年~2006年の資生堂の次世代行動計画の中で、アクション10を計画しております。この中で、仕事の在り方を見直し働き方の改革、両立支援、そして次世代育成という柱で行っておりますけれども、働き方の見直しなくしてはなかなか両立支援ができないということで、あえて難しい課題に取り組んでおります。
 ◎2-11.次世代育成のポイント
 この四つ、「社内風土の醸成」、「社員の働き方の見直し」、「リーダーの育成・登用」、そして「仕事と出産、育児との両立支援」、お話をするに当たって、女性を支援するのは、仕事と出産・育児のところだけ両立支援のところを特別にしますが、他、男女共同、全ての方にやっていきますというコメントをすることによって、社員全体のモラルアップにつなげる工夫も行っております。
 ◎2-12.人材育成の基本フレーム
 その中で、既に男女共同が済んでいるというような形の中で、今年出されました人材育成の基本フレームというものを御案内したいと思います。まず「魅力ある人」、「自律型人材の育成」というものを課題にしております。というのは、仕事の評価というのは時間ではなくて成果でしていくということを大きく転換しております。その意味からも、目標管理・OJTによるキャリアについての方向付けをし、それについて公正な評価と処遇、研修、能力・適正・意向に応じた異動を行いことにより、人材を育成しようと考えております。社員の意識調査からも、人材育成がモチベーションの向上のかぎになるという結果がでております。
 ◎2-13.課題
   両立支援に向けた意識と制度では、両立支援に対する社員の理解と管理職のマネジメントというのが重要です。
 また、公正な評価、人事制度ということでは、休業期間、復帰後の公平で公正な人事評価制度・処遇のあり方が課題です。それから、職場風土の醸成、キャリアプランの構築、多様なライフスタイルに合わせた正規・非正規の連携というものも課題です。
 また、女性の方には休業中に、今後自分がどのようにキャリア形成していくかを考え選択していくことによって、女性が職場にどのような形で貢献していくかを描けるのではないかと考えております。
 ◎2-14.要望
 また、行政の皆様方に要望させていただきたいのは、わが社は7割が女性です。今までご案内した施策をするのもやはりコストがかかってまいります。コストがかかってきますと、女性の就業リスクが生じます。そんなにするのだったら男性を就業させた方が良いのではないかというのが当然考えられます。
 それからもう一つは、そういった方々に多様なライフスタイルの対応をしていかないと、途中で辞めるという潜在的なリスクになります。こういったことから育児推進企業への支援、税控除、代替要員費用助成、財政援助などを是非お願いしたい。また、その他に育児の社会的支援、両立支援策、育児は社会で育むものだという意識改革に是非取り組んで頂きたい。
 こういった現状で男女共同参画を推進している企業としての今の状態を本日お話しさせていただきました。
 (パワーポイント映写終了)
 ちょっと駆け足になりましたけれども、ありがとうございました。
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。ただいまのお話についての質問、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いします。
山口委員
資生堂さんの場合に、大体子どもさんは平均何人くらいいらっしゃるのかということと、定年の時期、定年後はそれで終わりなのか、キャリアがあるから、何か役員に取り立てるとか、その辺はどうなんですか。
大矢氏
子どもさんが何人というような、そういったデータは実際にはまだとっておりません。今後、今も退職理由の中に、例えば出産で辞めるであるとか、育児で辞めるとかというところの項目もなくて自己都合になっておりますので、まずデータを整理するに当たって、自己都合のところを細分化しようというところが第一段階です。また、平均どのぐらいの数のお子さんがいらっしゃるのかというところまでは本日、手持ちで持っておりません。
 それから、現在定年は60歳でございますけれども、今後、段階的に60歳を65歳という形で法律に従って延長していく予定でございます。
 それから、キャリアがある人については、例えば特別な能力を持っていらっしゃるというふうに思われた方、あるいはそれを失ってしまうと、企業にとって難しいという場合は特別雇用がございますけれども、それは制度にはなっておりません。
古川委員
すばらしい事業を展開されて本当に敬意を表したいと思いますが、一つお伺いしたいのは、19ページのアクション7のところで、「退職者再雇用制度を整備」とございますね。よく若い女性、公務員なんかと話をしていますと、よく一時的に、相手が海外に勤務するとかということで結婚のためらい、要するに辞めなければいかんと。休業ではなくて、それが非常に不安だと。結婚に対するためらいを感じられる方というのは結構いらっしゃるんですね。退職者再雇用制度の中身をもう少しお教えいただければと思います。
大矢氏
いろんな形がありまして、現在、例えばビューティコンサルタントの場合ですと、辞めて三年ぐらいでしたら、戻れる制度があるのですが、実はあまり皆さん御存じなかったり、戻って来られるという方はすごく少ない。一方で皆さんのところまでに実際には知られていない、認知されてないということもあります。それから、実際には別会社で、例えば営業系のサポートをする人たちなど、そういった形で雇用したりすることもございます。今は広く運用されているという状況ではありません。
古川委員
ありがとうございました。
佐藤委員
二つ、一つは教えていただきたい、一つは質問なんですけれども、まず、確認は、先ほどのWIWIWの導入企業100社で平均1社約月3人というのは100社で月3人だということですか。
大矢氏
一社3人ではなくて、大体導入で、実際に講座を入れられていらっしゃる方、講座を取得する方々が平均3~5人ぐらい。
佐藤委員
一社。
大矢氏
もちろん大きい会社の方もいらっしゃいますし……。
佐藤委員
そうすると、300人ぐらい。
大矢氏
そうです。現在600人近い状況なのですが、100社と申しますと、私どもは事業を立ち上げたときにはもっとたくさんいらっしゃると思ったのですが、思ったよりも育児休業されている方は少ないということがわかりました。
 それから、先ほど申し上げましたようにパソコン持っていらっしゃらないとか、そこまでという方もいらっしゃるので、平均3~5人ということです。
佐藤委員
質問は、先ほどの行政への要望のところの経済的支援なのですけれども、女性を雇用することによって、企業にとってリスクとかコストがかかるかどうか、ここなんですけれども、一つは短期的な問題と将来、男性の方は子育てのかかわりが低いので、そういう意味で、女性を雇用している方がコストがかかると思うんですけど、コストについて、一般的には育児休業とか短時間勤務は給与を払わない、割り引きで、ですからそこはコスト増ではないわけですね。ただ、そうすると、育児休業とったとき、いろんな仕組みをつくる上でコストがかかるということなのか、その辺、少し教えていただきたい。それにかかわって、ただ、仕組みづくりだけではなくて、実際コストになっているのは何かというと、今、育児休業中は社会保険料は使用者負担分免除。つまり働いてもらってないわけですから、社会保険料の免除は何年か前に入ったのですけれども、産前・産後の休業中は、使用者の社会保険料は免除じゃないんですね。健康保険と年金入れると、多分標準報酬によるけど、約3カ月ですと5~6万かかるのではないかと思うんですね。これは明らかに女性が働き続けて、女性社員が妊娠・出産というと、企業はある面では働いてもらってないで持ち出しているんですけど、これについての議論はありますか。
大矢氏
私どものところは、それは当たり前のことだというふうに考えてはおりますが、今後例えば営業など営業時間が延びている職場で2時間の代替要員を雇う際に、2時間での雇用が難しいためより多くのコストが発生するなど、代替要因雇用ための仕組み作りにコストがかかる等、議論があると思います。
佐藤委員
代替要員のところは、短時間勤務のところは特に問題ないということですね。
大矢氏
はい。
佐藤委員
育児休業については、今、財団の代替雇用の助成金ありますね。短時間勤務について、そういうのがないから。
大矢氏
そうですね。そこが問題になってくるのではないかと考えます。
矢島分析官
16ページの2-5で、大変すばらしいプログラムだと思うんですが、休業者にとって、育児休業中に何らかのスキルアップをしなければいけないのではないかというプレッシャーが、資生堂さんのプランというわけではなくて、一般の女性の間で今育児休業中にただ、休んでいてはいけないというような意識が非常に強まっているという話を聞くんですね。それについて大変いろいろ配慮されてプログラムされていると思うんですけれども、それでも中にはパソコンに向かう時間をつくらなければという焦りもあると思うんです。
 こういう取組は必要だと思うのですけれども、一方で、休業中に育児にかかわっていること自体が、先ほど佐藤先生がおっしゃったように、社会人基礎力を高めているのではないかと。そうした経験自体をプラスに評価するような仕組みというか、それがもしかしたら、男性の育児休業をもっと促進する、後押しするようなものになるのではないかと。ですから、この期間中に失われてしまうものを、維持しなければならないものを補ってあげるということも必要だと思うんですけれども、この期間中に得られた子育てのスキルを、何か企業にとっての目線から評価するというような見方というのはないのかなと。
大矢氏
仕組みを私ども何とかしたいと思っています。例えば販売系の女性から、応対力が高まるとか、そういった目線で会話力が高まっていくとかという話はすごく出るのですがそれは定性的なものであって、実際に数値化しないとなかなかそれを説得するのは難しいというような形。
 また、私どもワーク・ライフ・バランスを進めていて、多様な価値を生み出すには、価値創造するに当たって、やはり会社と自宅の往復だけでなくて、それ以外を見ることが大事だということを男性の人にもすごく言っているんですね。男性社員の人たちもわかってはいるのですけれども、なかなかそれを評価する仕組みは指標化しにくいということがありますので、取り入れることが難しい。
鹿嶋会長
ほかにありますか。
 それでは、大矢さん、本当にお忙しいところ、ありがとうございました。
大矢氏
ありがとうございました。
鹿嶋会長
大変参考になりました。ありがとうございました。
 次に監視を行う二つ目の施策であります都道府県、政令指定都市における審議会等の委員についての法令に基づく職務指定について審議していきたいと思います。事務局が既に都道府県及び政令指定都市を対象に調査を行っておりまして、資料3に整理してありますので、まず事務局から説明を頂きたいと思います。
塚崎調査官
都道府県、政令指令都市の審議会等の委員についての職務指定の状況について御説明をさせていただきます。今後の御審議の基礎にしていただければと思います。
 資料3-1でございますが、この調査は都道府県と政令指定都市を対象としまして、昨年の11月に実施したものでございます。調査事項でございますけれども、1の(3)のところを御覧ください。都道府県及び政令指定都市が女性の登用の目標設定の対象としている審議会等のうち、国の法令に設置根拠を持つ審議会等について、次の①~⑥の事項を聞いております。
 ①が名称、②定員、③そのうちの女性数、④調査をした時点。
 ⑤ですけれども、法令による職務指定が審議会等への女性の登用を推進していくに当たり、妨げになっている具体的な事例や困っている点。
 ⑥でございますが、審議会等の職務指定に関連する独自の取組や意見、提言等について聞いています。
 この調査は職務指定に焦点を当てまして、都道府県、政令指定都市の審議会等について調査をした初めてのものでございます。
 結果ですけれども、2の結果概要のところを御覧ください。調査した審議会の種類としましては、97種類ございました。このうち職務指定のある審議会の種類は27ございました。
 職務指定の定義でございますけれども、同じ1ページの下の方に、脚注を付けてございます。脚注の3のところが職務指定の定義になっています。この定義は国の調査と同じ定義にしていまして、根拠法令等の委員資格又は委員の構成に関する規定に(ア)~(エ)まででございますけれども、(ア)職名が定められている、(イ)関係機関若しくは地方公共団体の長、(ウ)地方議会の議員、(エ)関係行政機関又は関係地方公共団体等の職員と定められている審議会等、これらを職務指定のある審議会というふうにしています。
 職務指定に加えまして、ここでは類似の問題をはらみます団体推薦についても調べていまして、団体推薦がある審議会等が9種類ございました。団体推薦につきましても定義を下の脚注のところに書かせていただいていますが、(ア)と(イ)でございます。4の(ア)のところですけれども、団体等の会長の推薦する者、(イ)団体、業界等を代表する者、これらを団体推薦というふうにしています。これも国の審議会についての調査に合わせています。
 次の表、1ページ目の(2)女性の登用状況のところでございますが、2点、御注目いただきたい点がございます。一つの点は、左から3番目の欄、平均女性登用率の部分でございますが、調査した審議会全体の平均女性登用率が26.9%になっています。職務指定のある審議会だけ取り上げて、女性の登用率を見ました場合20.9%、団体推薦の審議会の平均女性登用率が28.3%で、職務指定のない審議会におきましては30.4%になっています。職務指定のある審議会とない審議会で比べますと、10%程度違うと。職務指定のある方が10%ほど女性登用率が低いという状況がございまして、このことから職務指定が女性の登用拡大の障害になっているという実態があるのではないかということがうかがわれます。
 もう1カ所、御注目いただきたい個所がございます。この表の一番右側の欄なのですけれども、30%未満の審議会の割合という欄でございます。この欄のところで、女性登用率が30%未満の割合を見ていますが、全体で見ますと、44.3%なのですけれども、職務指定のある審議会だと56%、職務指定のない審議会だと36.3%となっていまして、団体推薦は47.4%でございます。この数字を見ていただきますと、職務指定のある審議会は、ない審議会に比べて20%(2割)ほど、30%未満の審議会の割合が多くなっているという状況がございまして、この切り口からも法令による職務指定が女性登用の妨げになっているのではないかという実態がうかがわれます。
 以上が調査結果から分かりました登用状況でございます。
 次のページの上の方に(参考)とございますが、そこの表のところでございますが、そこで女性登用率10%未満の審議会の具体的な名前を挙げています。法令による職務指定の審議会等と、法令による団体推薦の審議会と、事実上職務指定に近い審議会の三つに分けて具体的な名前を挙げさせていただいています。御覧いただきますと、職務指定のある審議会の10%未満の審議会は非常に多くなっています。
 次の(3)のところでございますが、都道府県・政令指定都市から御意見、要望、提言等を頂きましたので、それをまとめたものでございます。
 まず、①(ア)のところですが、法令による職務指定について具体的な事例や困っている点について意見をまとめています。
 「全般」のところですけれども、特にありましたのが、職務指定が女性の登用率を引き下げて困る。裁量が効かなくて困るという意見が見られました。
 次の「法令による職務指定をしている審議会等で特に名前があがったもの」のところに、都道府県、政令指定都市から上がってきた意見の中で、職務指定が女性登用を妨げているということで、具体的な名前が挙がった審議会を挙げております。八つの審議会に、具体的な言及がございました。
 次の「女性人材の不足」のところでございますけれども、職務指定に関連して、特に専門的な分野について女性人材が不足している。機関・団体・施設の長は男性が就任していることが多いので、女性の登用が難しい。女性委員の兼任が多くて、審議会の公正な運営にも支障を来すおそれがあるという声もございました。
 また、次の「再任・兼任」のところですが、職務指定について直接的に女性の登用拡大にかかわる話ではないんですけれども、職務指定の規定を見直す場合に参考になる意見として、再任や兼任、代理出席が職務指定委員については多いという意見がございました。職務指定委員が円滑な会議の開催に支障をもたらしている、形骸化しているというケースが多いようでございます。
 次のページ、3ページ目を御覧いただきたいと思います。職務指定に関する提言や要望についてまとめています。
 「全般」のところですけれども、職務指定制度の見直し、要件緩和、地方公共団体の裁量を広げてほしいという要望が出ております。委員の選任における裁量が広がるということは、男女共同参画社会づくりに寄与するばかりでなく、活発で多様性を持ち得る審議会等の実現にもつながるという御意見もありました。新規設置の審議会について何らかの措置を講じてほしいという要望もございました。
 次の「特に女性の登用促進の必要性について言及のあった分野」ですけれども、二つの分野が御意見の中でありまして、一つが防災の分野でございます。もう一つが交通安全の分野について、特に言及がございました。防災の分野につきましては、災害時における様々な場面で女性の視点の導入が必要だという御意見です。交通安全の分野につきましては、女性が地道に活動しているので、女性の参画できるようにして職務指定を見直す必要があるという御意見でした。
 次の「職務指定の見直し等に関する提言」のところでございますが、具体的にどういうふうに変えてもらいたいかという規定の緩和案がいくつの都道府県、市から出てきていまして、関係機関等からの推薦、市町村長又は市町村長の指定する者、団体に属する者、団体の長若しくは団体の長が指名するものといった形で、お一人ではなくて、推薦や指定という形で広げるというような規定が良いのではないかという案が出されています。
 これと関連しまして、同じページの一番下の(参考)のところに、事務局で実際の規定に見られる緩やかな表現についていくつか拾ってございます。
 次に職務指定の見直し等に関する提言の中で、ほかに出てきました案としてクォーター制の導入を盛り込む。それから、非常に具体的な話なんですけれども、国民保護協議会と防災会議の委員構成がかなり重なっているので、防災会議で国民保護協議会の機能を代行できないか。それから、これは人材情報の関係ですが、自治体間の情報を国の窓口にネットワーク化する。あるいは国の女性の人材情報について、自治体の方でも取得しやすいようなシステムを構築してほしいという要望がございました。
 次のページを御覧ください。最後の4ページ目でございます。都道府県、市から出てきた御意見を集める中で出てきた関連する事例について集めております。②のところに書いてございます。
 一つは、法令による職務指定ではないけれども、女性の登用が事実上困難なケースというのがいくつか見られまして、例えば国の法令ではないけれども、通知の方で職務指定されていると。それから、市が都道府県に準じた組織という規定があるので職務指定にしているというものがございました。土地の所有者や借地権者に女性が圧倒的に少ないので登用に苦慮しているというケースもございました。
 (イ)の方ですけれども、国の方で通知等で指定しているという一方、地方公共団体の方で自主的に職務指定をしている例がございまして、市の条例で自主的に職務指定をしているケースや、団体推薦であっても、慣例的に団体の長が委員となっているケースもあるということでございました。
 次に最後の③のところですが、自治体独自の取組についても聞いておりますのをまとめてございます。
 具体的な事例としましては、基準を設けるという形で取り組んでいる自治体が多くて、中身でございますけれども、例えば男女いずれか一方の委員数が総数の10分の4未満とならない。兼職は3機関まで、各部局で計画や目標値をつくるといった形で基準を設けて推進しているという自治体がございました。それから、委員を決める際、事前協議を実施する。女性委員選任促進責任者を定めている。団体推薦の場合ですけれども、団体の方に積極的な女性の登用を依頼する。委員総数の削減を図って、女性委員の割合を高めるというケースもございました。審議会等の女性登用の決裁を知事が自らするという取組もございました。法令による職務指定ではございませんが、条例や要綱等に設置根拠を持つ審議会について、登用促進を阻害するような職務指定があれば、当該条項の見直しを所管課に依頼するということをしている自治体もありました。
 次の(イ)のところでございますが、この自治体の推進体制と関連しまして、自治体あてに女性の参加を促進する通知を徹底してほしい。あるいは所管官庁から積極的に女性登用を働きかけるように「縦」の取組を講じてほしいという要望もございました。男女共同参画担当部局の方は、積極的だけれども、それ以外の部局で十分理解が得られない状況が伺われます。
 以上が調査結果で、いろいろ状況がわかったのですけれども、今後、議論していただきやすいように、次の資料3-2で主な論点と思われるものを拾ってございます。資料3-2、「主な論点(案)」のペーパーを御覧ください。
 まず調査結果から重要なポイントとして、職務指定については、実態としても職務指定がある審議会の方がない審議会と比べて登用率が低い。もう一つ、実際の生の声として、職務指定が女性の登用を妨げているので見直しをしてほしいという要望が強いということが分かりました。
 したがいまして、一番目の論点としまして、職務指定の必然性について検討し、可能な場合については柔軟な対応を図っていくということを挙げることができるかと思います。その際の方法として例を括弧の中に書いたのですけれども、職務指定の規定を緩和できないかということとともに、職務指定委員以外の割合を高めることはできないか、いろんな方策があるかと思います。この方策の中には、法令の見直しと一緒に、運用上、現行法令の範囲で例えば新しい女性の委員を任命するという形の運用上の対応というのも含まれるかと思います。
 次に指定された職務に就く女性が少ないという論点があるかと思います。女性の分野における人材の不足、機関、団体の長に女性が少ないという指摘がございました。これは実質的な問題で、長期的にかかわっていくべき、取り組んでいく課題として挙げることができるかと思います。
 3番目の「○」でございますけれども、女性登用の拡大とは直接関係しないのですけれども、職務指定を見直すに当たって再任、兼任の実態があったということも挙げることができるのではないかと思います。職務指定の柔軟化を図っていくに当たって考慮すべき点であると思います。
 次の2番の関連する事例でございますが、法令に基づく職務指定そのものではないんですけれども、関連する事例として、一つは、国が通知が職務指定をするといったような事実上の職務指定というケースがあった。それから、地方自治体の方で自主的に職務指定を条例などでしているケースもありましたので、こうしたケースについてどのように考えていくかということも論点として挙げることができるかと思います。
 次の3のところですけれども、地方自治体の内部の問題ですけれども、推進体制としましていろんな取組や工夫が行われているということが調査からわかったのですが、その一方で、自治体の内部で男女共同参画部署以外の部署の理解が得られにくいというような状況がありますので、そういったことに対してどのように状況を変えていくかということも一つの論点として挙げることができるのではないかと思います。
 残りの資料につきまして簡単に御説明させていただきます。
 今回調査をしました具体的な審議会にさかのぼってまとめた資料が次の資料3-3でございます。1枚目が具体的な審議会の名前になっておりまして、97審議会と初めに申し上げたのですが、97種類挙げております。そのうち職務指定がある審議会が「●」で記してございます。
 後ろの6ページでございますが、具体的な審議会と職務指定の有無、女性登用率、30%未満の審議会の割合と実際の規定と根拠規定、必置任意の別、平均定員というものを表にしたものでございます。
 それから、資料3-4として、最後が平成13年度に実施しました監視報告書のうち国の審議会等委員への女性の参画の促進の部分をお付けしております。今回、都道府県、政令指定都市の対象とした調査の結果等につきましては、以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。地方自治体も大分職務指定の壁で苦慮しているようですが、御意見、質問ありましたらどうぞ。
山口委員
これは今後議論していくわけですよね、これをもとに。
鹿嶋会長
国の方は今からヒアリングを始めます。
塚崎調査官
地方の方も。
鹿嶋会長
地方の方も。
塚崎調査官
指定都市と。
山口委員
分かりました。
鹿嶋会長
何かありますか、御意見。
 それでは、今後、国、地方の法令に基づく職務指定については、関係省からヒアリングを実施したいと思っております。
 本日の審議はここまでとさせていただいて、次回の専門調査会につきましては、別途、事務局から御連絡をさせていただきます。事務局の方から何か連絡がございますか。
塚崎調査官
次回の調査会の日程でございますけれども、別途事務局の方から、委員の皆様に御連絡をさせていただき調整させていただきたいと思います。
 それから、委員の皆様方には、前回の第6回の議事録をお配りしていますので、これにつきまして、2月24日をめどにチェックをしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
鹿嶋会長
それでは、これで本日の専門調査会(第7回)の会合を終りにします。どうもありがとうございました。

(以上)