監視・影響調査専門調査会(第6回)議事録

  • 日時: 平成17年11月7日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 袖井委員
    • 林委員
    • 古川委員
    • 山口委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 監視・影響調査専門調査会の今後の検討課題について
    • (3) 閉会

(配布資料)

資料1
監視・影響調査専門調査会委員名簿 [PDF形式:11KB] 別ウインドウで開きます
資料2
監視・影響調査専門調査会の根拠規定等
資料2-1
男女共同参画社会基本法(抄) [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
資料2-2
男女共同参画会議令 [PDF形式:13KB] 別ウインドウで開きます
資料2-3
監視・影響調査専門調査会運営規則
資料3
監視・影響調査専門調査会基礎資料
資料3-1
監視・影響調査専門調査会について [PDF形式:423KB] 別ウインドウで開きます
資料3-2
男女共同参画会議における監視の実施方針 [PDF形式:73KB] 別ウインドウで開きます
資料3-3
男女共同参画影響調査について [PDF形式:48KB] 別ウインドウで開きます
資料3-4
苦情処理・監視専門調査会、影響調査専門調査会及び監視・影響調査専門調査会におけるこれまでの取組 [PDF形式:19KB] 別ウインドウで開きます
資料4
今後の監視・影響調査専門調査会の進め方について(案)
資料4-1
今後の監視・影響調査専門調査会の進め方について(案) [PDF形式:21KB] 別ウインドウで開きます
資料4-2
長期スケジュール(案) [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
資料4-3
平成17年度における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視及び影響調査に関する活動方針について(案) [PDF形式:13KB] 別ウインドウで開きます
資料5
平成17年度における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視及び影響調査に関する活動方針(案)に関する参考資料
資料5-1
男女共同参画基本計画(平成12年12月12日閣議決定)抄(関係部分) [PDF形式:37KB] 別ウインドウで開きます
資料5-2
女性の政策・方針決定参画状況調べ(抜粋) [PDF形式:120KB] 別ウインドウで開きます
資料5-3
地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況について(平成16年度)(抜粋) [PDF形式:263KB] 別ウインドウで開きます
資料5-4
パンフレット(「女性のチャレンジ支援策について」)[PDF形式:14.56MB] 別ウインドウで開きます
資料5-5
審議会等の職務指定に係る委員に関する意見・要望等  <1> [PDF形式:266KB] 別ウインドウで開きます <2> [PDF形式:191KB] 別ウインドウで開きます
資料6
平成18年度男女共同参画推進関係概算要求額
資料6-1
平成18年度男女共同参画推進関係予算概算要求額(総括表) [PDF形式:36KB] 別ウインドウで開きます
資料6-2
平成18年度男女共同参画推進関係概算要求額(分野別内訳表) [PDF形式:267KB] 別ウインドウで開きます
鹿嶋会長
それでは、第6回の男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会を始めたいと思います。お忙しいところを今日はありがとうございました。
今までですと、ここに古橋会長がいらっしゃってにこやかに皆さんを迎えてくださったのですが、古橋先生は7月の前回会合をもって会長を辞任されました。9月に男女共同参画会議の議長の細田前官房長官から私、鹿嶋が会長の指名を受けましたので、どうぞよろしくお願いします。古橋さんと違いまして、私はかなりもたもたすると思いますが、どうぞ皆さんよろしくお願いします。
それから、9月8日付で新たに勝又幸子専門委員と神野直彦専門委員が任命されました。本日は神野専門委員が欠席ですので、勝又専門委員からごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
勝又委員
国立社会保障・人口問題研究所の企画部第3室長をしております勝又幸子と申します。よろしくお願いいたします。
私どもの研究所は少子高齢化ということで様々な研究をしておりますけれども、大きく言いまして将来推計人口、世帯の推計、それからこちらにも関係あると思いますが、家庭動向というような形で継続して男女の役割とか、それから様々な意識についても調査をしております。実は私の担当は社会保障の方でございまして、毎年公表しております社会保障給付費の担当をしておりますけれども、同時に様々な厚生労働科学研究の主任研究者として少子高齢化の研究をこのところ何回か手掛けさせていただきました。いろいろ勉強したいと思っております。よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
ありがとうございました。次に、名取局長からごあいさつをお願いします。
名取局長
男女共同参画局長の名取でございます。どうぞよろしくお願いします。
本日は、鹿嶋先生が監視・影響調査専門調査会の新会長となられ、また勝又先生、神野先生を新たにお迎えいたしまして開催する初めての専門調査会でございますので、一言ごあいさつ申し上げます。
日ごろから男女共同参画行政に関して多大な御支援、御協力を頂いていますことをこの場をお借りしまして改めて御礼申し上げます。本専門調査会は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策が着実に実施されているかどうかについて監視するとともに、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響について調査・検討するという大変重要な役割を担っていただいております。これはジェンダー・メインストリーミングという、ジェンダーの視点をすべての政策分野へ反映させるということで1995年の世界女性会議で採択された行動綱領に盛り込まれた大きな課題がありますが、それを実際に担保する大きな任務だと思っております。
一昨年、EUから男女共同参画の担当の方がいらしたときに、この男女共同参画会議の機能について御説明しておりましたら、この影響調査と監視というものがあってこそ初めて男女共同参画をメインストリームとして国の施策が進んでいくのであり、日本は具体的にそういうふうな機構を持っているということを高く評価してくださいました。
ですから、この監視・影響調査を通じて男女共同参画社会の形成の取組を推進していくということは大変重要ですので、豊富な学識と経験を持つ先生方に是非活発な御議論を展開していただきたいと思っております。私ども事務局と致しましては、御議論の成果を最大限活用させていただくよう努力したいと思っておりますので、よろしくお願いします。
なお、今般の小泉構造改革によりまして、男女共同参画会議の議員でもありました猪口邦子議員が男女共同参画担当大臣ということで、私どもの施策、少子化の施策、そして国民生活の施策ということを御担当することになりましたので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の審議を進めたいと思います。
始めに、運営規則第7条に、会長に事故があるときはあらかじめ会長の指名する委員がその職務を代行することとなっておりますので、まず会長の代理を指名させていただきます。引き続き、大沢真知子専門委員に会長代理をお願いしたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
次に、事務局から専門調査会の目的について説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
塚崎調査官
それでは、本専門調査会の目的、これまでの取組等について簡単に御説明申し上げます。新しい委員の先生もいらっしゃいますし、後ほど今後の進め方のところで御説明させていただきたいと思いますが、本専門調査会としては新しいテーマを取り上げて、監視と影響調査を行っていただくということが今回初めてのことでございますので、これまでの経緯の中での位置付けを明確に致したいと思います。
まず専門調査会の位置付けでございますが、資料2-1を御覧ください。資料2-1は男女共同参画社会基本法の抜粋でございます。その第22条に男女共同参画会議の所掌事務が規定されていまして、その第4号に「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況を監視し、及び政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べること」とされています。この所掌事務を念頭に、本専門調査会は設置されました。
次に、資料2-2を御覧いただきたいと思います。これは、男女共同参画社会基本法を受けて制定された政令でございまして、第2条の1項のところに「男女共同参画会議は、その議決により、専門調査会を置くことができる」とあります。この規定に基づいて、本専門調査会が設置されたわけでございます。
資料2-3に、本専門調査会の運営規則を付けてございます。
次に、資料3-1を1枚めくった右側のページを御覧いただきたいと思います。右側の「男女共同参画会議と専門調査会」という図でございますが、このように監視・影響調査専門調査会は男女共同参画会議の下に設けられました五つの専門調査会のうちの一つに位置付けられております。下に「終了した専門調査会」とございますが、このうち苦情処理・監視専門調査会及び影響調査専門調査会を廃止して監視と影響調査を一体的に行うことが重要であるという御指摘を受けて、この二つの専門調査会を再編して設置したものが本専門調査会でございます。
次に、資料3-2と3-3は後ほど御説明させていただきたいと思いますので、二つ飛びまして資料3-4を御覧いただきたいと思います。これまでの苦情処理・監視専門調査会及び影響調査専門調査会において取り組んできた主な課題と、それぞれの概要を一覧にしています。
まず苦情処理・監視専門調査会のこれまでの取組でございます。苦情処理・監視専門調査会におきましては大きく二つの事項を取り扱っていただいてまして、まず(1)の「苦情処理関係」では苦情の処理及び人権侵害についてのシステムの充実・強化について御議論いただきました。<1>のところでございます。
(2)の「監視関係」でございます。<1>から<4>まで四つのテーマについてこれまで取り上げていただきました。
まず<1>でございますけれども、「国の審議会等委員への女性の参画の促進」、「女性国家公務員の採用・登用等の促進」、「仕事と子育ての両立支援策」について監視をしていただいております。
それから<2>のところでございますが、男女共同参画にかかわる情報の収集・整備・提供を監視の対象として取り上げていただいております。これにつきましては、今年に入ってフォローアップも行っていただいております。
次のページでございますが、<3>と致しましては「男女共同参画の視点に立った政府開発援助(ODA)の推進について」、監視していただいております。
それから<4>でございますけれども、「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について」、監視していただいております。これについては、今年の夏に女子差別撤廃委員会からの最終コメントについての対応状況のフォローアップをしていただいております。
次のページを御覧いただきたいと思います。影響調査専門調査会のこれまでの主な取組でございますが、まず<1>の「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム」について影響調査をしていただきまして、特に所得税、年金などについて御提言を頂いております。
それから、<2>の「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての報告では、主として雇用と就業に重点を置いた影響調査を行っていただいております。
以上が、本専門調査会の目的と前身の二つの専門調査会を含めてのこれまでの取組でございます。
次に、後ほど詳しく御説明させていただきますが、今後の進め方としまして、一つのテーマについて監視と影響調査を同時に行うということを提案させていただきたいと思っております。そこで、監視と影響調査につきまして整理した方がいいのではないかと思いますので、監視、影響調査、それぞれにつきまして簡単に御説明をさせていただきます。
まず監視についてでございますが、先ほど抜かしました資料3-2を御覧いただきたいと思います。平成13年10月に、監視の実施方針を男女共同参画会議で決定していただいております。監視の目的、対象、監視の観点がどのようなものかというところにポイントを置いて御説明させていただきたいと思います。
まず2に「監視の目的」とございます。監視は、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況について、書面調査、説明聴取等により実態を的確に把握すること、内容及び進捗状況等について評価を行うこと、及び必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べることにより、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進が着実かつ効果的に図られるよう促進することを目的とする」とございます。プロセスとしましては、一つは書面調査、説明聴取、つまりヒアリングによる実態把握、二つは進捗状況などの評価、そして必要に応じて意見を述べるという三つのプロセスがこの中に含まれています。
次に、3の「監視の対象」のところを御覧いただきたいと思います。「男女共同参画基本計画」に盛り込まれた施策の実施状況と、その他男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況について監視するという対象になっております。
次に、4の「監視の観点」のところを御覧いただきたいと思います。(1)から(5)まで五つの観点が示されています。始めのところに「個々の施策の特性等に応じて、必要となる観点を適用するものとする」とございます。どのような施策であるかによって、監視において適用する観点を変えていくということになっております。
まず第1の観点でございますが、(1)は具体的な中身にかかわっておりまして、「施策を具体化するための手段としてどのような事務事業を実施するのか。また、それらは基本法に示される基本理念や基本計画等に適合した内容となっているか」ということでございます。
第2の観点は、施策の効果についてでございます。「施策の実施による所期の効果が得られているか。また、施策の効果が適切に把握され、それを踏まえた施策の推進が図られているか」ということでございます。
第3の観点は、施策の実施方法についてでございます。「施策の効率的かつ効果的な実施方法が採られているか」ということでございます。例が括弧の中に挙げられていますが、「社会資源が有効に活用されているか、関連する分野における施策との連携の確保や総合的な推進が図られているか、便益が及ぶべき者に便益が及んでいるか」といった観点でございます。
第4の観点は、透明性の確保などについてでございます。「施策の実施に当たり、国民への説明、関係者からの意見聴取等、透明性の確保や施策に対する国民の信頼と理解の確保のための手段が採られているか」ということでございます。
第5の観点は、運営方法についてでございます。「施策の実施に当たり、男性・女性双方のニーズの把握、なお現実に存在する男女の社会における様々な立場の考慮など、男女共同参画社会の形成促進の視点がその運営方法に盛り込まれているか」ということでございます。
以上が、監視の観点です。
もう一つ、監視に当たって重要な点と致しましては、5の(2)、3ページの冒頭の部分を御覧いただきたいと思います。「複数の府省が講ずる施策である場合又は関連する施策がある場合は、府省間又は施策間の連携が確保され、効率的な推進が図られているかという点に特に留意する」とございます。
監視の目的、対象、観点等については以上でございます。
矢島分析官
続きまして、影響調査について御説明させていただきます。お手元の資料3-3を御覧ください。
影響調査に関しましては、監視のように男女共同参画会議によって決定したような形での実施方針というものを取りまとめておりませんで、これまで影響調査の専門調査会の中で整理していた資料を元に御説明させていただきます。
まず1枚目の紙が「男女共同参画影響調査概念図」となっております。この中で最初に「政府の施策」とあるところが影響調査の目的を示しておりまして、「男女共同参画社会の形成の促進のためには従来の男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(狭義の男女共同参画関連施策)に加え、一見して男女平等や女性の地位向上とは無縁であるような目的・手段を持つ施策であるが、結果的に男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策(広義の男女共同参画関連施策)をも視野に入れた取組が必要となる」とあります。
この考え方を元に、左側の方のひし形になっているところにございますが、影響調査というのは一つには「施策の企画・立案・実施に際して、女性または男性それぞれの役割、状況、実際的なニーズを調査・把握し、その施策が女性と男性にいかなる異なる影響を与えるかを調査」する。それから、「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)及び性別による固定的な役割分担等に敏感な視点を施策の企画・立案から実施に至るあらゆる段階に組み込むことを目指す」ということで、影響調査はこの図にありますように企画・立案、執行段階、実施後、それぞれにおいてなされるとされております。また、その結果を国民に公表し、そこから各界各層の意見を取り入れて調査結果にフィードバックするとあります。そのことによりまして、施策の本来の目的・目標の実現ということを目指しております。
次のページにまいりまして、今お示ししました影響調査の概念につきまして、先ほどの監視の説明もありましたけれども、こちらの方でも影響調査の方法について対象となる施策や調査の主体、調査の時期等に分けて整理したものがございます。
まず「対象となる施策」としましては、「特に、「政府の重点施策」、「性別による偏りが大きいと予想される施策」、「資源投入量が多い施策」が考えられる」。
「調査の主体」と致しましては、「内閣府に設置される男女共同参画会議とともに、内閣府男女共同参画局及び各府省も同調査を行うことを期待」される。
「調査に当たっては、内閣府男女共同参画局、各府省、調査対象分野の専門家、男女共同参画分野の専門家等の連携が必要」である。
「調査の時期」につきましては、先ほども申し上げましたとおり企画・立案段階、施策の執行段階、施策の実施後が考えられるということでございます。
また、「調査項目の基本的な考え方」は先ほどございました監視の観点に近いものがございますけれども、一つには「女性、男性双方の実際的なニーズを満たすように努める」。二つ目が「女性、男性のいずれかが施策の便益から排除されないようにする」。三つ目が、「施策の企画・立案、また事後において施策の対象となる女性、男性双方の意見を聴くようにする」。四つ目に、「行政において、施策の企画・立案、実施において女性、男性双方が参加する」とございます。
また、「男女共同参画影響調査に係る体制」と致しましては、「内閣府男女共同参画局と各府省の緊密な連携、外部の専門家との連携」、「各府省の様々なレベルを対象とした、調査に関する理解を深めるための研修・訓練の実施」とございます。
「実効性の確保」と致しましては、「各府省の担当部署の明確化やその機能の充実を図るとともに、相互の連携を確保」、「調査結果については公表し、広く社会に問い、各界各層の意見を取り入れていく」ということでございます。
今まで監視と影響調査ということでそれぞれ取り組んでまいりましたけれども、今、御説明でお気付きのとおり、影響調査はこれまで、監視の対象となる狭義の男女共同参画関連施策や、それから本来の目的についてその効果を確認するという監視的な部分を含んだ形でこれまで調査を実施してまいりましたので、今回は監視と影響調査を一つのテーマで一緒に実施することによって効率的に実施することができるのではないかと考えられます。以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。影響調査と監視を一緒にやるので多少複雑なところもあるかと思うのですが、質問は後で一括して行いたいと思いますので、先に続けます。続いて、事務局から今後の議論の進め方について説明していただきます。
塚崎調査官
それでは、今後の議論の進め方の案について御説明させていただきます。資料4-1を御覧ください。「今後の監視・影響調査専門調査会の進め方について(案)」というものでございますが、今後の専門調査会の進め方について案を御用意させていただいております。この内容を図に表したものが資料4-2でございます。資料4-1と資料4-2を併せて御覧いただきたいと思います。
まず当面、専門調査会として監視・影響調査をしていただく施策として二つのテーマを取り上げていただいてはどうかと事務局の方で考えております。それが資料4-1の1の「監視・影響調査について」のところに二つの施策が書いてございます。まず一つ目が<1>の「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る施策」でございます。もう一つがその裏のページになりますが<2>の「地方公共団体の審議会等の職務指定委員」についてでございます。始めの能力開発・生涯学習に係る施策につきましては、監視と影響調査のテーマとして取り上げていただくのはどうかと考えております。<2>の地方公共団体の審議会の職務指定につきましては、影響調査はしないで監視のみのテーマとして取り上げていただくのはどうかというふうに考えております。順次御説明させていただきたいと思います。
まず1ページ目の<1>のところを御覧いただきたいと思います。「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る施策」につきまして、始めに基本計画該当部分の項目のみを抜き書きしてございます。まず重点目標3の「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」のうち能力開発にかかわる施策が書いてございます。在職中、再就職、パートタイム労働者に対する能力開発、起業、在宅勤務などに関する施策が該当します。
次に、重点目標4の「農山漁村における男女共同参画の確立」のうち能力開発にかかわる施策が書いてございます。「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」、「女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備」にかかわる施策の中から抜き書きしてございます。最後に重点目標10の「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」の部分のうち、生涯学習にかかわる施策が書いてございます。具体的には「生涯学習の推進」、「エンパワーメントのための女性教育・学習活動の充実」、「進路・就職指導の充実」が該当します。
次に、担当する省庁を掲げております。
その次のページを御覧いただきたいと思います。この能力開発・生涯学習の施策を選定した理由を書いてございます。「施策選定理由」というところを御覧いただきたいと思います。各府省が複数又は単独で担当する施策については、順次その実施状況の監視を行っていくこととされているところです。この能力開発、生涯学習に関する施策については、男女共同参画社会の形成を促進する上で基礎となる重要な施策ですけれども、先ほどこれまでの取組で御覧いただきましたように、これまで監視も影響調査も行われていません。そこで、能力開発・生涯学習に関する施策の監視・影響調査を行っていただくのはどうかと考えて提案させていただきました。
それから、次のところに書いてございますが、女性のチャレンジ支援が「男女共同参画基本計画改定に当たっての基本的な考え方」において整備・強化すべき計画の推進体制の一つとなっていることにも留意したものでございます。能力開発・生涯学習にかかわる施策は女性のチャレンジ支援と連動する部分も多いということで、ここで取り上げることが適当ではないかということでございます。
次に<2>のところを御覧ください。二つ目の施策としては、「地方公共団体の審議会等の職務指定委員」について監視をしていただくのはどうかと考えております。職務指定委員とは、あらかじめ国の法令で職務で審議会等の委員が決められているもので、例えば教育委員会の教育長を審議会等の委員にするといった形で指定されているものでございます。
基本計画の該当部分が始めに書いてございますが、重点目標1の「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」のうち、細かい項目で言いますと「都道府県・政令指定都市等における審議会等委員への女性の登用に関する支援」に当たります。担当する省庁は全省庁ということになります。
提案させていただきました理由としましては「施策選定理由」のところに書いてございますが、男女共同参画会議において国の法令に基づく職務指定委員制度が地方公共団体の審議会での女性の参画を妨げているという旨の御指摘を頂いたということがございます。また、複数の地方公共団体からも職務指定委員の見直しの要望が提出されています。こうしたことも踏まえて、この地方公共団体の審議会等の職務指定の規定について監視を行うことがいいのではないかということでございます。
なお、ここで、国ではなくて地方公共団体の審議会の職務指定に限って提案させていただきましたのは、国の審議会については基本問題専門調査会の方で実態も把握され、取組が進められているということからでございます。監視・影響調査の対象施策の内容については以上でございます。
次に、3ページを御覧いただきたいと思います。具体的な進め方でございますが、まずテーマ1の「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る施策について」の進め方でございます。監視と影響調査を一体的に行うことが重要であるという指摘を受け、この専門調査会が設けられたということを踏まえて、同時に監視と影響調査を行うことがいいのではないかと考えております。
監視と影響調査の関係でございますけれども、監視・影響調査を同一のテーマで実施するということから監視と影響調査の関係が問題になるのですが、調査、実態把握については先ほど御説明させていただきました監視の観点と影響調査の観点、それぞれを用いて一体的に実態把握をしていく。その結果を踏まえて、「監視」においては「影響調査」よりも範囲が狭いのですけれども、施策の直接的な効果を評価して提言を取りまとめる。「影響調査」についてはより広く、直接的な施策ばかりではなくて波及効果や意図しない効果、それから対象施策以外の施策・制度に係る課題を提言として取りまとめるという形になるかと思います。
具体的には、監視・影響調査を進めるに当たりまして専門調査会の他に能力開発・生涯学習について具体的な検討をする場を設けて専門調査会と役割を分担するのがいいのではないかと思っています。具体的な検討の内容としては既存の統計、意識調査などのデータを用いて調査を実施し、実態を把握していくということを考えております。
専門調査会の方では、各省及び有識者ヒアリングなどを行うほか、その具体的な検討の結果を踏まえて御審議を頂くことを考えております。
次にテーマ2の地方公共団体の審議会等の職務指定委員についてでございます。<2>のところでございますが、こちらについては監視・影響調査専門調査会本体において御審議いただくのがいいのではないかと考えています。具体的には都道府県・政令指定都市の審議会について職務指定の状況がどうなっているかということを調査していただき、その結果を踏まえて各職務指定の必然性等について検討をしていただく。必要に応じてヒアリングを行っていただくという形がいいのではないかと考えております。
<3>の「開催頻度」でございますが、専門調査会、具体的検討の場とも、おおよそ2か月に1回のペースで開催するということを考えております。二つのテーマについてヒアリングなどをして御検討いただいて、報告書の案については来年の夏ごろから御審議していただき、来年の今ごろには報告を取りまとめていただくという、荒々のスケジュールを考えております。
以上が監視・影響調査の対象施策についてでございます。
なお、本専門調査会で重点的に監視する施策を男女共同参画会議の方で決定するということになっています。したがいまして、これらのテーマ、今、申し上げました二つの点、能力開発・生涯学習と地方公共団体の審議会の職務指定につきましても、男女共同参画会議で今後の活動方針として決定していただくという手続きが必要になります。
資料4-3の1枚紙を御覧いただきたいと思いますが、次回の男女共同参画会議にかける案でございます。<1>が能力開発・生涯学習に係る施策、<2>が都道府県・政令指定都市における審議会等の職務指定に係る委員への女性の参画の促進です。これを男女共同参画会議に諮るということを考えております。
次に、本専門調査会で今後取り上げていただくその他のテーマについて御説明をさせていただきます。資料が前後して申し訳ございませんが、また資料4-1にお戻りいただきまして3ページ目の一番下のところを御覧いただきたいと思います。本専門調査会で今後取り上げていただくその他のテーマの一つとしまして、影響調査の手法がございます。影響調査の手法につきましては、これまで影響調査事例研究ワーキング・チームの検討を踏まえて、今年度中に事務局の方で取りまとめを行って専門調査会に御報告したいと考えております。
もう一つが、苦情処理でございます。次の4ページ目を御覧いただきたいと思います。苦情処理につきましては毎年サイクルがございまして、まず事務局の方で毎年4月ごろに苦情処理の事案を全省庁と都道府県・政令指定都市から収集しています。収集した事案につきまして事務局で取りまとめをして、本専門調査会で毎年夏ごろに御審議いただくというスケジュールになっています。今後の進め方については以上でございます。
最後に、関連する資料を資料5に付けてございますので、御説明させていただきたいと思います。
資料5-1が基本計画そのものの抜粋でございます。能力開発、生涯学習、地方公共団体の審議会等の職務指定に関する部分を基本計画から抜粋をしております。
資料5-2でございますが、国の審議会等の状況についてでございます。職務指定の状況につきましては資料5-2を1枚めくっていただきまして右側のページの表の真ん中辺りに職務指定という欄がございまして、そこに現在の状況について書いてございます。国の審議会等につきましては、このように状況が把握されているところでございます。
次に資料5-3でございますが、こちらの方は地方公共団体の方の審議会等について現在把握している状況でございます。全体の状況としましては次の4ページの図5を御覧いただきたいと思います。都道府県・政令指定都市における審議会等委員の女性比率でございますが、都道府県については28.3%、政令指定都市につきましては27.2%という平成16年度の状況でございます。地方公共団体につきましては、職務指定については把握しておりません。
次の資料が、チャレンジ支援のパンフレットでございます。
資料5-5が、先ほど御紹介させていただきました地方公共団体の審議会等の職務指定委員についての男女共同参画会議での具体的な御発言でございます。この御発言の中では都市計画審議会、建築審査会、都道府県防災会議が職務指定の例として挙げられています。
同じ資料5-5の2ページ目以降でございますが、地方公共団体からの職務指定委員の見直しの要望でございます。全国知事会、埼玉県、福島県、熊本県の要望をお付けしております。この職務指定の見直しの要望については、ほかの地方公共団体からも提出されていまして、この資料の中では最近の要望から選んでお付けしています。
資料の説明については、以上でございます。
鹿嶋会長
今、事務局の方から本調査会がこれからテーマとすべき課題を二つ挙げていただきました。一つが「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る」テーマと、それからもう一つは「地方公共団体の審議会等の職務指定委員」がテーマになっておりますが、議論のために、まず<1>、<2>と分けてやりたいと思います。
まず最初の「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る」テーマ、これは監視と影響調査を一体的に行うという初の試みでございます。これについての質問とか御意見があれば皆さんから出していただきたいと思います。
まず一つお聞きしたいのですけれども、監視については何となくイメージがわくんですが、影響調査についてどういうふうに具体的に、特に<1>について進めるのか。ちょっと理解しやすいような、分かりやすいような説明があればお願いします。
矢島分析官
影響調査につきましては、これまでの取組におきましても監視で行っているような各施策の進捗状況ですとか、その効果について確認するということもしているのですけれども、統計データ等の整理によって、実際にどのようなライフスタイルが男女で選択されているのかということを把握し、それらの現実と意識調査等で把握された男女の希望するライフスタイルとが一致しているのかといったような部分からも課題を探っていくということを行います。
その辺りが少し監視とはアプローチが異なるところで、そういったところから見えてくる課題としては、もともと今回監視・影響調査の対象となる施策の問題も出てくるでしょうし、もしかしたらそれ以外の施策が関係している要素も出てくる可能性があります。ですので、本来狭義の意味での男女共同参画施策だけではなく、間接的あるいは意図しないところで影響が及んでいるかもしれない施策についても調査を行うと言っている意味はそういうことでございまして、具体的な方法につきましては施策の進捗状況を各省からの資料提出やヒアリングなどで確認することは監視と影響調査と共通して行いますけれども、既存の統計資料、意識調査等の結果から、実際の日本における男女の選択、行動の結果を見ながら、それが多様で自由な選択というところとどのようにギャップがあるか、そこにどのような課題があるかというところを見ていく辺りが影響調査的だと言えるかもしれません。
鹿嶋会長
質問、御意見がありましたら、どなたからでも御自由にどうぞ。
袖井委員
ちょっと説明がなかったと思うのですが、資料3-3の最後のページのところに影響調査手法例とありますが、この辺を簡単に説明していただけますか。
矢島分析官
申し訳ありません。時間の関係で省略してしまいましたけれども、ここで先ほど課題として挙げましたように、今まで影響調査の手法というものをきちんとした形ではまとめていないのですが、このような形で手法の例を整理してございます。
ここの一番上の枠にありますが、男女共同参画社会の形成に及ぼす施策の効果、アウトカムや波及効果の部分を調査するというのが影響調査であるというところでございます。
その具体的な方法と致しまして、左側の方の枠に調査項目1と2というものがございます。調査項目の1というのが、女性と男性のそれぞれの役割や状況、女性と男性が実際的に必要としている事柄等を調査・把握する。この辺りは、実際に監視の部分でも把握する部分かと思いますけれども、その際、調査手法の例にありますよう、検討対象とする施策に関する指標を男女別に収集し、女性と男性で比較をする。それから、データから男女共同参画の視点から女性と男性について明確な違いが存在するか否かを検討する。女性と男性に対応した施策に見直すということでございます。この調査項目1のところはかなり監視と重なるかと思います。
それから、調査項目2の方が施策の効果、アウトカムの部分です。波及効果あるいは意図しない効果を検討するということでございます。その際に、調査手法のところにありますけれども、そもそもその検討対象となっている制度・慣行はどのような選択肢にかかわっているのか。今回でありましたら、能力開発、生涯学習ですから、例えば女性のキャリア形成、管理職へのステップアップにかかわるとか、あるいは再就職や起業を行うということへの選択にかかわっているのではないかとか、そういうことを明らかにしていって、<2>-1にありますけれども、実際にどの選択肢が選択されているのか。この辺りが、先ほど申しましたように既存の統計や意識調査を用いて明らかにするところでございます。
それから、<2>-2のところが国民の選好度を把握して実際の選択との乖離等を見るというところでございます。
<3>-1でその選択肢が選ばれた理由はどのようなことによっているのか。この辺りの因果関係を見つけるのはなかなかデータ等から難しい部分もございますけれども、そういったところについて明らかにする。
それから<3>-2でありますけれども、各選択肢が選ばれた結果によってどのような違いをもたらすのかということですね。例えば希望どおり、選考どおりの選択がなされた場合と、それから現在のような選択が行われている場合とでどのような違いがあるのか。ここで例に挙げておりますのは配偶者に係る税控除の部分でございますけれども、今回でしたら生涯学習や能力開発によって例えば再就業が果たされている場合とされていない場合という部分があるかもしれません。
それから、<4>番として自由な選択を可能とする上で改善が必要な場合には、中立性確保のため制度・慣行を見直すということがございます。
ですので、これまで影響調査として1と2の部分の両方をやってきたわけですけれども、1の部分は今回で言うと監視と大分手法的に重なる部分でございますので合わせて行いつつ、主に2の波及効果や施策のアウトカムの部分について影響調査として実施するということになるかと思います。
鹿嶋会長
ここの調査事例は、前に出たレポートのアウトラインですね。
矢島分析官
はい。「健康ちば21」につきましても、以前影響調査事例ワーキング・チームの方で事例検討をしたものでございます。
鹿嶋会長
調査項目の2というのは具体的になかなか分かりにくいのですけれども、特に今回、資料4-1の<1>のところを見ていただくと、3の「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」の(3)(4)のところですね。これは監視だったら意外と簡単にスムーズに理解できるんですけれども、影響調査はとにかくしなくてはなりませんので。
袖井委員
生涯学習が難しいんじゃないかと思います。
鹿嶋会長
ほかに御意見がありましたらどうぞ。横田委員、いかがですか。
横田委員
私もちょっと前から考えていたことなのですが、この監視と影響調査の概念的な区別で、両方重なっているし、目標が同じだということはよく分かるのですが、他方で一応言葉も分けていますし、これまでは違って作業をしてきましたので、その関係というものがあるので、ここで今アウトカムという説明があって私は何となく分かったのですが、御存じの方もいると思いますけれども、最近ニューパブリックマネジメントという研究手法がイギリスとかアメリカで開発されていまして、大体自治体の行政の効率効果を図る手法なんです。
そこで言われているのは、アウトカムだけがここに出ていますけれども、実はアウトプットという言葉が出ていて、それに対するアウトカムなんです。それで、もともとは経営学の手法でインプット・アウトプット・レイシオというものを測って、経営学の場合には企業ですから、これだけお金を投じてどれだけの成果があってどれだけ収益が上がったかということを比べる。ですから、企業の場合にはインプット、アウトプットを比べて、アウトプットが大きければこれは成功した投資だとなるわけです。
それを公共企業体、いわゆる自治体のような企業ではないところに測る場合には、何が投入したものか。例えば税金ならば税金でもいいのですが、予算を投入した、あるいは人材を投入した。その成果が何かということを測ることはなかなか難しくて、今までは良くなったとか、良くならなかったとか皆、直感でやってきた。これを、少し計量化してはっきりさせようという手法になったんだそうです。私も専門ではないのですが、この手法を国際機構の行政の効率を図る手法として提供してはどうかという研究を私が読んで、なるほどそういうのもあって面白いなと思ったんですが、これはインプットに対してアウトプットというものがあるわけです。
分かりやすく言いますと、これだけの予算とこれだけの人材を投入して、例えば国際会議を何回開いて報告書をどれだけ出したとか、これがアウトプットなんです。それで、これで大体今まではこれだけの仕事をしたということを見せていただいたのですが、幾ら報告書を出しても、幾ら会議を開いてもちっとも本当の目的の、例えば男女共同参画の数値が変わらなければ意味がないわけです。そこで、こちらを変えるというのがアウトカムという考え方なんです。
そういうふうにとらえると、大体ここで監視ということと影響調査ということの意味が割合分かりやすいのかなと思って先ほどから考えていたところだったんです。ちょっと発言させていただきましたけれども、多分そういう考え方の流れでとらえると分かりやすいのではないかと思います。幾ら施策をきちんと作ってその施策どおりにやりましたということが押さえられても、その結果何なんですというところまで追いかけないといけないのではないかという考え方でこのアウトカムというものが出てきていると思います。
山口委員
ちょっと伺ってよろしいですか。今まで影響調査専門調査会はあまり表に出なかった。もちろん報告書を私どもはいただいていますけれども、その結果、例えば税制改革や何かに関して配偶者控除をなくすとか、そういうことは形として出てきましたが、実際に影響調査専門調査会でそういう調査結果が具体的にどういうふうにいかされているかをひとつ知りたいんです。それをまず伺いたいのですが。
鹿嶋会長
どうですか。影響調査専門調査会の結果がどういうふうにいろいろな提言等々で施策の中でいかされているかは分かりますか。
矢島分析官
先ほど簡単に御説明しましたこれまでの取組というところで、資料3-4です。今おっしゃっていただきましたように、3ページ目のところが影響調査専門調査会となっておりまして、この「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム」に関する報告におきまして配偶者控除、配偶者特別控除の国民の負担に与える影響を配慮した上での縮小、廃止ということを提言しておりまして、この中で御承知のように配偶者特別控除については廃止ということにつながっているということがございます。ただ、配偶者控除については引き続き検討ということで、またこの中では制度・慣行の必要に応じた税制の個人単位の見直しということも提言しておりますが、それについても引き続き検討ということになっております。
また、雇用・就業に関する制度・慣行につきましては、雇用で短時間正社員制度の普及の検討、諸手当の見直し、両立支援策の充実等を言っておりますけれども、この中の公務員の短時間正社員制度につきましては今年度の骨太の方針の方にも入れていただきまして、今、検討を進めていただくように、それから計画の改定の答申におきましてもそれを位置付けさせていただいておりますので、そちらの方に反映させていただいているという状況でございます。
塩満調査課長
あとは、影響調査専門調査会の報告書だけということではないと思うのですけれども、他の例えば厚生労働省の委員会の報告に反映されたりとか、今、分析官から説明した部分もありますし、例えば年金法の改正にもつながるような提言をしていただいたりとか、そういう意味では今、具体的にどれとどれということを申し上げられないのですけれども、かなり成果が上がっていると思います。これは、具体的には平成16年7月の「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」については報告の中で達成された課題と、それから残された課題ということで整理させていただいております。
鹿嶋会長
資料3-4の3ページのところは横田委員の言った、単なるアウトカムではなくて様々な影響力を持ったのですか。
原田審議官
ここは先ほどの補足になりますけれども、税制問題であるとか、社会保障、年金制度であるとか、雇用制度であるとか、男女共同参画の観点から調査を頂いて打ち出していただいた望ましい方向性がまとめられて男女共同参画会議などに報告をし、それぞれの税制調査会であるとか、社会保障制度審議会であるとか、そういうところと連携を図っていくということで、男女共同参画の観点からこうあるべきだという問題提起をしているわけですので、やはりそれなりに一定の効果があると我々は考えております。
ただ、実際に年金制度をどうするか、税制をどうするかというのはやはりそれぞれの審議会あるいはそれぞれの制度の中で決まっていく話なので、100%こちらの男女共同参画の視点から申し上げたことがそのまま通るというわけでは必ずしもないかもしれません。
山口委員
非常に先行的な影響調査をしていらっしゃると思うんです。
しかし、私は女性団体の活動を通じ、なぜ個人年金の確立とか、配偶者特別控除の廃止とか、考え方としては分かるんだけれども、現実の生活の中で非常に影響を受けるわけです。それが結果として配偶者特別控除が廃止されたとか、あるいは個人年金云々ということになりますと、ここで男女共同参画の立場で報告を出したけれども、その結果は、実は都合良く税金の足りない点を埋めてしまったというように取れるのです。
それから、やはりこれだけいい調査をするんですから、その結果が男女共同参画社会にこういう影響を与えたということを書けないんでしょうか。この監視・影響調査というのは何なのかということになってしまうので、その辺の表し方は今後の検討課題だと私は思います。
塩満調査課長
ちょっと私の説明が足りなかったのですが、効果があった事例につきましては前回の16年の7月の報告書におきまして、影響調査の結果こういう効果があったということにつきまして記載させていただいております。
矢島分析官
残った部分については、今後またフォローアップが必要かと思いますので、今回は生涯学習という新しい分野を取り上げさせていただきますけれども、引き続き中長期的にはこれまで行った影響調査のフォローアップということは当然必要になってくると認識しております。
山口委員
世間的には、例えば仕事と家庭の両立支援だとか、そういうことは新聞の社会面にも出ますけれども、こういうベースになることが非常に地味で分かりにくい。しかし、やはりやっていることはもっとこういうことなんだということをはっきりと表していくことがここの役割だと私は思います。
袖井委員
山口さんの意見に追加したいと思うのですが、何か最近、男女共同参画というのはお題目的に使われているところがあるんです。例えば、税制調査会の報告の頭に「男女共同参画の見地から」とあるんですが、よく読むとそれは増税になっているんです。
だから、やはりそういうところにもちゃんと御説明しないと、「男女共同参画の見地から」と、このごろいろいろなものの頭にお題目的に書いてあるんです。だけど、中を読むと余り分かっていない。その辺のところで、何か精神みたいなものというか、そういうものを重要な審議会などにはちゃんと説明していただきたいと思います。そういうチャンスがあればですけれども。
鹿嶋会長
その説明をする機会というのは一応男女共同参画会議になるんですか。ただ、あそこではきちんと理解してもらうというのは無理でしょうね。私も1回だけ出たけれども、なかなか難しいかもしれません。ただ、おっしゃるように共同参画がかなりいろいろなところで影響を及ぼしているんだということをきちんと理解してもらう必要はありますね。
山口委員
今、袖井先生がおっしゃったように、いいところのつまみ食いをして増税になってしまったとか、この結び付きが男女共同参画とこうだと、結果としてこうだという説明が十分ではないというか、誤解を招くんです。
鹿嶋会長
今、議論をしている「多様な選択を可能にする能力開発」についてはそういう努力もするということにしましょう。ほかにどうでしょうか。
林委員
今、出ていた影響調査の結果がどのような実践に結び付いているかという点では、つまみ食いされたのではないかという心配も今、出たのですけれども、やはりこれは若干評価が違ってきていたというケースもあったと思うんです。
例えば、年金分割の問題です。その問題などは提起していたけれども、3号被保険者と2号の夫のケースについてのみ分割という問題が取り込まれたために、それであれば絶対だめだ、それはかえってマイナスなんだという見方をする人と、それでも一歩踏み込んだということは非常に大きな成果だという見方と二つあったように私は議論の過程で記憶しているんです。だから、必ずしも成果が分からないというより、その価値についての意見が分かれた結果として効果があったか、なかったかというところが見えにくくなってしまったのかと思うんです。
でも、影響調査専門調査会で出したものというのは年金制度のところでも私の評価としてはいかされた。一部であっても、決して超えられなかった分割の問題に一歩入ったと思いますし、税制の場合も配偶者控除の廃止まではいかなかったけれども、配偶者特別控除をまず廃止するという段階にいったということは私としては大きな成果だという見方をしているものですから、ここの影響調査専門調査会の提起というのは大きな意味があったという気持ちがしております。
山口委員
それは分かります。
鹿嶋会長
袖井先生は年金審議会にいらっしゃったけれども、そのときの議論の中でやはり男女共同参画というものが重みを持って語られましたか。
袖井委員
全然そういう感じではなかったです。別の発想でした。年金の個人化というところからやはり分割という話になっていって、男女共同参画ということではなかったかと思います。
林委員
共同参画と言わなくても、年金の個人単位化に進んでいく過渡期の形として年金分割というものを影響調査専門調査会では考え方として出したというふうに私は記憶をしているんです。その意味では、共同参画と言わなくても個人単位化というところが我々が目指しているところであると考えれば十分な効果であるし、その観点での議論であった。世帯単位であることが男女共同参画だと我々が思っていることとは違った存在を位置付けてしまっているわけですから、個人単位化という議論がなされた点においては非常に大きい効果があったのではないかと思います。
袖井委員
ただ、それはあったかもしれませんが、特にあの報告書が参照されてはいなかったと思うんです。全体の流れとしてそういうことだったので、とても報告書は良くできていると思うんですけれども、やはりいまひとつ浸透していないような感じがします。
林委員
影響調査専門調査会の大沢会長の方が出向いて説明をされたというふうに私は記憶しているので、そのことが全く関心事でなかったという理解はしていないんです。
古川委員
私は非常に一般的なことで行政を長年やってきた立場で言いますと、おっしゃるとおり男女共同参画会議から非常に貴重な提言がなされると、それは切り口が違うので、例えば年金とか、医療とか、その他いろいろな場面にそのままストレートということではないんですけれども、一つは政治の場、あるいはマスコミの場、なかんずく各省庁にそういったものが提言されると、例えば今度は年金の議論をするときに表に出てこないかもしれませんが、私も年金をやったことがありますが、やはりそういうふうな提言というのは事務的な段階でいろいろ議論するんです。ですから、私は無駄ではないと思うし、男女共同参画、男女共同参画という形ではなくても必ずいきていると思います。
ただし、大事なことはフォローというもので、提言をされたときに特に役所ですね。各省庁が来ますね。そこでいろいろ来ているけれども、男女共同参画の例えば厚生労働省でも窓口の人が来て、そのまま受け止めて、それがその中で広がらないこともあり得るわけです。だから、ここではしょっちゅういい提言をしたときにこのフォローというものをやるべきで、どうなっているのか。そして、それを公表するとか、あるいは公表しないまでもいろいろな形でフォローをしないと拡散してしまうことがあります。
その二つを申し上げたいのは、一つはこういったところで提言されたことが無駄になっているということは全くないので、かなりいきている。それはいろいろな形に変えていきているということが一つです。それは、各省庁で相当議論しますから。それから、それを更に徹底させるためにはフォローをして、各省庁にこれがどうなったんだということを繰り返して要求をするということで、これは男女共同だけではないんです。あらゆる審議会その他についてそうだと思います。行政のサイドから、一般論として御参考までに申し上げます。
山口委員
男女共同参画行政というのはほかに比べたら新しい行政ですね。それで、やはり全体としては男女共同参画をメインストリーム化すると言っているんですから、いろいろなところでどこかにそれが出てくる位置付けが欲しいという思いがあるので申し上げました。
鹿嶋会長
さっき局長も言っていましたけれども、監視・影響調査というものがメインストリーム化を図る一つの調査手法ですから、その意味では今おっしゃったことと結び付くと思います。やはり目に見えた形にすることと、フォローというのは今回の監視・影響調査の一つの課題にしましょう。
それで、資料4-1の<1>を眺めていただきたいのですけれども、具体的にどういうふうに例えば影響調査にしても取り組んでいくか等々で、皆さんの方で何か御意見があれば言っていただきたいと思います。特にチャレンジ支援ですね。今回の改定基本計画の中にはチャレンジ支援が入っておりますので、再就職に向けた支援等々につきましてもかなり重点を持ってやらざるを得ないと思うんですけれども、その中でどういうふうにやっていけばいいのか。今日は突っ込んだ議論は難しいと思うのですが、御意見は是非承っておきたいと思います。どうでしょうか。大沢委員、いかがですか。
大沢委員
男女共同参画にどうかかわるか分からないのですが、今まではどちらかというと男性の働き方に女性が近付くという形で支援策があったような、正社員の継続就業に女性がどう近付いていくか。育児休業ですとか、そういった施策でもそれによってキャリアを継続するということが理念として掲げられていたように思いますが、このチャレンジ支援ではむしろ能力があれば自由な選択肢があるというか、それを使って子育て期にある程度家にいたとしてもその能力がその間、開発されていれば、またその能力を使って自分で好きなライフスタイルが選べる。
それは女性だけではなくて男性も同じような形になるんですが、そういった意味で21世紀の労働市場ですとか、日本の社会というものをどういうイメージで描くのかということがこの影響調査でも出てきたわけですけれども、そのキーワードとしてはやはりフレキシビリティというのでしょうか、変化に対して柔軟な雇用の仕組みという中で、個人が柔軟性を確保する社会をつくっていくということが重要かと個人的には思っています。ですから、パートタイム、正社員、非正規というような形ではなく、時間を選べるという形の柔軟性というのでしょうか。
鹿嶋会長
柔軟な雇用の仕組みが必要だという結果が出るとすれば、監視の結果でしょうか。影響調査の結果だとどう出るのでしょう。
矢島分析官
柔軟な雇用の形態が必要という直線のところではなくて、そういった社会をイメージしつつ、それに対応する人材の開発として、その柔軟性に対応できるための能力開発や生涯学習の在り方というようなことになるのかと思うのですけれども。
鹿嶋会長
それが影響調査で出ている一つの結論ですね。
矢島分析官
そのときに、おっしゃっていただいたような柔軟な雇用環境ということを社会のイメージとして一応前提にするのかどうかはちょっと議論しないといけないのかもしれないです。それに個人が対応できるようなキャリアアップなり、再チャレンジのための能力開発の機会が与えられるということが、さっき横田先生が御説明になったようなアウトカムとして設定されるべきものとして適当かどうかとか、そういった議論が今後なされていって調査が進むのかと思います。
林委員
具体的なことを言うと、資料4-1の<1>に「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る施策」というテーマがありますね。そして、その下のところに基本計画部分でこんなことがあるんだというのがあって、例えば(3)で女性の能力発揮促進の援助としてアとイがありますね。在職中の能力開発の支援と、そして再就職に向けた支援と二つあります。こういう施策の中で、既に実施されている施策がありますね。そのことが実際にどのように利用されて、活用されて、次のチャレンジにどのような効果を生み出しているかというようなことを調査する。そういうことが入ってくるわけですね。
矢島分析官
それが主に監視的なアプローチで。
塚崎調査官
監視については、今やっている施策がうまく効果的に進められているかという今おっしゃってくださったことになるかと思います。
矢島分析官
もしかしたらこの目的に照らすと今、行われている施策についてうまく機能していない部分があるのではないかとか、逆にマイナスの影響が及んでいるのではないかとか、そういったことが影響調査で出てくるのではないかと思うんですけれども。
林委員
例えば、職業能力開発機構の実施されているものなどを検証していくわけですね。
矢島分析官
そのときに先ほどおっしゃった監視も入るので、アウトプットまでなのか、アウトカムの部分までなのかというところの線引きが、具体的な内容によるのかもしれませんけれども、少し今後議論、整理が要るところではないかと思っています。私も先ほどアウトプットという言葉をあえて使わなかったのですが、監視の方をアウトプットまでとするのか、アウトカムの部分をどこまで含むのか。
林委員
やはりアウトカムのところまでやらないと、大体アウトプットのところで我々のような団体でもそういう傾向があって、それが成果をきちんと積み上げることにつながらない一つの原因なんです。
矢島分析官
影響調査までとらえる場合は必ずやるんですけれども、監視という範囲でどう整理するのかというところです。
古川委員
別の会議がありましたので遅れてきて申し訳ありませんでしたが、調査というのは各省庁からいろいろ聞き取りをしたりとかですか。どんなやり方なんですか。
仮に各省庁からいろいろ施策の状況を聞くということが中心になるとするならば、事前に各省庁によくその辺のことを伝えておいて、調べて相当突っ込んだ議論をするということを言っておかないと、ここの場に持ってきて何か上滑りな報告をして、何となく文章をまとめて終わりということになりかねませんので、今の皆さん方の御意見を踏まえてどこまで本当に調査するか。そこのところをよほどしっかりやっておかないと、各省庁は言葉は皆、上手ですから、こう聞けばああ言う、ああ言えばこう言うということで、結局はよく分からなかったということになりますから、事前によくその辺は議論をして伝えておかなければいけないと思います。
塚崎調査官
プロセスとしましては、まず書面調査でいろいろ施策の実施状況、データや研究などを各省庁等から頂きまして、それをこちらの方で精査して取りまとめをして、より深く聞きたい部分についてヒアリングをさせていただくという形になります。
鹿嶋会長
アウトプットは多分言ってくれるのでしょうね。アウトカムというのは、様々なヒアリングからこちらで推測してくるんでしょうね。そういう手法なんですか。
横田委員
アウトプットとアウトカムはいろいろな場面によって考えなければいけないので、私などは非常に単純にまず大づかみにしまして、皆さんもよく御存じの、例えばUNDPのジェンダー・エンパワーメント・メジャーですね。あれで日本が38位、今年は実は下がって42位くらいです。それで、男女共同参画会議を開いてこういうことをやっている国は世界の中で余りないんです。私の知る限り、日本しかないかもしれません。にもかかわらず下がったということは、やはりどこかに問題があるかもしれない。
部分的には、例えば審議会に関しては先ほどのデータを見ると分かりますように、年々増えてきて30%くらいまできた。方向としてはこれから50に向かっていくだろうということは分かりますが、そこだけは分かるのですが、全体として見るとやはり国際比較において必ずしも日本がきちんと評価されていない。このことは日本だけが問題だということではなくて、実を言うと国際的なデータの取り方にも問題があって、日本の場合にはよくやっているところが見えないようになってしまっている。したがって、国際比較の評価として出てこない。ですから、今度はUNDPがデータをどうやって集めて、どこからどういうふうにそれを操作してあの数字を出しているのかということをやはりこちらは知った方がいいのではないか。その上で、国際的により的確な形で男女共同参画社会がどこまで実現しているかということを測る指標を取られたらいいかということが出てきて、そこにもやはり日本側からある種の働きかけがあってもいいのかなというのが私の考えです。
いずれにしても、出てきたところは最終的なアウトプットは非常に簡単で、日本のような経済第2位の国が40位前後というのはやはりおかしいので、10位以内に入っていないとどこかおかしいのではないかという一種の診断をするきっかけになると思うんです。そういう意味で、私の感じではまずそこをとらえて、それからだんだんもう少し具体的な例になりますと、先ほどの特別配偶者控除をなくす、それも含めた施策の結果、例えば家庭の主婦が103万円ならばそういう制限を超えてでも仕事を意欲的にするようになったというデータを集めてみないことには分からないわけです。
そこで、アウトカムというものが評価できるということになるのではないかと思います。ですから、そういう形で状況を調査していかないといけない。これは先ほどの監視か影響調査かで言いますと、むしろ監視というよりはその後の影響調査の方の活動になると思います。
そういうふうに意識的に何を我々が求めているのかということを皆で議論をし、確認しながら、それがどこまで実現されているかを見るという形で作業を進めていかないと、問題が非常に大きいですから森の中に入って本当に何をやっているのか分からなくなる部分があります。私もこの専門調査会委員を前からやらせていただいていたのですが、部分的には非常にいい議論があって非常にいい施策が出てくるのですが、それが本当に埋もれてしまって見えなくなっているというのが今までの感じで、今回是非それはもう少し見える形でここの活動もきちんとした結果が出てくるような形になるといいと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。大まかな方向性みたいなものが見えたような気もするのですが、能力開発・生涯学習にもう少し時間を取りましょうか。その後、職務指定委員の話もしなければなりませんので、ほかにどなたか質問、御意見はありませんか。
原田審議官
一つだけ関連情報なのですけれども、もう既に承知いただいている先生方もいらっしゃいますが、先ほどのアウトカム成果が今後どういうふうに見えるような形になっていくのかということに関してです。
この監視・影響調査で今後フォローアップしていくというアプローチも当然必要だし、考えたいと思うのですが、そのほかに基本問題専門調査会という別の調査会で、2020年にあらゆる分野で女性の管理職層を30%を期待するという大目標に向かって、どういうふうな手法でもってそれを進めていくのか。それが見えるような形でどういうふうに指標化するのかということを別途検討しようと考えていまして、そういうものが整ってくると我が国の中で就業の分野だけではなくて地域社会の分野とか、国際の分野とか、様々な分野で女性の参画状況というものが分かってくると思っているんです。それはここの専門調査会と連携プレーでやっていく必要があると思っています。
もう一つは最初に会長からお話がありました、このテーマを取り上げてどういうイメージでやっていくのかということに関連するのですけれども、女性のチャレンジ支援ということで先ほど申しました上へのチャレンジの問題と、それから横へのチャレンジ、即ち新しい分野への進出を増やしていくということと、最近は再チャレンジということに特に力を入れていこうと思っていまして、これにつきましては年内に関係閣僚会議でこれからの施策を打ち出していこうと思っているんです。
それで、大きなテーマを五つ言いますと、まず政府、自治体が用意している支援施策がポータルサイトで一見して分かりやすいように情報を提供していこうということ。それから、地域地域で自治体、あるいは厚生労働省のハローワーク、あるいはその他の関係機関がネットワークを組んで、再就業であるとか、ベンチャービジネスへの起業であるとか、そういうことにチャレンジされる女性を積極的に支援する支援チームを作っていこう。それから、今回この中で取り上げていただく能力開発の充実ですね。特に女性に対する能力開発の充実。そのほかに、具体的に再就業に対する支援策、それから起業に対する支援策、この五つですね。
情報をワンパッケージで分かりやすく伝える。それから、それに基づいて地域地域で関係機関がネットワークを組んで支援をしていく。それから、女性に対する能力開発。それから、それを就業の場面、起業の場でどのように支援していくか。この5本立てで施策を打ち出していきたいと思っておるのですが、真ん中に申しました能力開発にかかわる部分につきましては既存の施策がどのように効果を上げているのか。それから、今日的なニーズ、今後のニーズに即してどういうことがまだまだ不十分なのかというようなことを中心に、今たまたま再チャレンジのことに的を絞って申しましたが、もちろん上へのチャレンジに関する場面でも同様ですし、それから最近深刻な問題になっておりますパートタイム労働の中でどうやって正社員化への道をサポートできるのか。そういう分野も含めまして、女性が望む就業というものをいかに実現していけるのか。
男性も地域社会に向けて、あるいは働き方の多様化に向けての場面では一定の能力開発は必要なんですけれども、そういうものを含めて正に既存の施策についての問題点はどこか、今日のニーズに対して何が不十分なのかということを浮き彫りにしていただきたいという問題意識で取り上げさせていただいておりますので、よろしくお願いします。
鹿嶋会長
基本問題専門調査会とか、関係閣僚会議のチャレンジ支援との連携は必要ですが、こちらは独自にワーキング・チームを作ってスタートしていいんでしょう。
原田審議官
それはそうです。
鹿嶋会長
この問題については、このくらいにしておきますか。まだ不十分な議論だと思うんですけれども、<1>については今回の一番大きなテーマですので、ほかのことで御意見、御質問がありましたら事務局の方にペーパーで出してください。
次に、資料4-1の2ページですけれども、「地方公共団体の審議会等の職務指定委員」のテーマです。これは監視調査をするわけですけれども、これについては各都道府県知事から要望書が出ていまして後ろの方に付いていましたね。
塚崎調査官
資料5-5に付いてございます。
鹿嶋会長
その辺りを御覧になって、こちらについての御意見とかはございますか。
塚崎調査官
資料5-5の一番始めが男女共同参画会議での片山議員からの御発言なんですけれども、その後ろに全国知事会、埼玉県、徳島県、熊本県からの要望を付けております。関係する部分は下線を引いてあります。
鹿嶋会長
職務指定の制度の見直しを皆さん要望しているようですね。
横田委員
この職務指定というのは、もちろん今の日本の社会では正に各主要な機関のトップがほとんど男性であるという実態があって、職務指定をすればそれは男性ばかりになると正に片山知事が言っておられるような実態があると思うんですけれども、ではその職務指定を全然なくしていいかというと、審議会の性格によってはやはり特定の組織が協力してくれないと話が進まない部分が結構あって、特に具体的な実施の過程になりますと、例えば災害対策とか、そういうことになると、ただジェンダーバランスだけでもって人を選んでいいということはあり得ないわけです。
ですから、一概に職務指定をいけないと考えることは全く論外なのですが、他方でよくよく見てみると、確かに今までの慣例で企業の団体から1人、労働団体から1人と、一つの割当てをしていって、そこに推薦を頼むという形になったり、あるいはそこのトップの人を入れる。これは、やはり一つひとつの実態を見ませんと、一概に一般論で答えを出せないのではないかというのが私の意見なんです。
ただ、今までのように慣例で職務指定をやってきた。これは見直して、女性で正にそういう審議会で、より効果的に貢献できる人を見つけて委員に任命していくというような方向性をとるような方法を、これからここの会議でもって議論をして提言してはどうかという意見を私は持っております。
鹿嶋会長
これは、国については基本問題専門調査会の方でやるということですので、都道府県政令都市ですが、これは具体的に調査を今のところしているんですね。
塚崎調査官
まだしていませんで、これは今回初めてということで。
鹿嶋会長
今回初めて行うわけですね。
袖井委員
職務指定があるから女性が出られるということもあるので、全部取り払ってしまっていいのか。私は新宿区の委員をやっていたんですけれども、例えば消費者とか、家庭教育とか、女枠というのが幾つかあるんです。だから、全部取り払ってしまうと女がたくさん出られるかというと、その辺のところもなかなか微妙でちょっと難しい問題ではないかと思います。
横田委員
袖井委員がおっしゃったことは私も全く賛成だし、私も取り払うことがいいとは思っていないのですが、長期的な目標としては今、女性枠と考えられているような仕事のカテゴリーが女性枠だということであること自体、本当はおかしい場合があるんです。そういう視点で我々はこれから考えていかなくてはいけないということは検討しています。ただ、過渡期においてはおっしゃるとおりのプロセスは通らざるを得ませんので、それについては問題ありませんけれども、物の基本的な考え方としてはこの仕事は女性、この仕事は男性というのはやはりもうやめた方がいいという方向性で我々は作業をしたいと思っております。
鹿嶋会長
この職務指定というのは日本独特というわけではないんでしょう。結構いろいろな国で行われているんですか。
横田委員
私は国の実情は知りませんで国連のことが多いんですけれども、国連の場合には職務指定よりは個人的な資格能力で選び、その場合に男性と女性のバランスを取るようにということが必ず入る。国連の場合には男性と女性のバランスと、もう一つは地域バランスです。一つの地域や国から全員が出てこないようにする。
その二つを配慮しますが、あとはその人が過去にどういう実績を上げてきたか、どういう分野の専門家かというところを検討して、大体は事務総長なり、事務局長なり、そういう人が任命するか、あるいは推薦をして、総会のようなところで承認されるというプロセスをとっているので、国連や国際会議の関係で言えば割合それは合理的に処理されているなという気がします。日本は確かに非常に職務指定は多いんです。ですから、それはそうでなければいけないということではないのだろうという意見です。
鹿嶋会長
これまでもチャレンジ支援の横と上のチャレンジが課題になるように、そういう分野に女性が少ないということのツケが回っているようなところがありますから、当然<1>の方のテーマとかなりリンクするわけですけれども、これについてほかにどうですか。職務指定委員の件について、皆さんの方で御意見がございますか。
山口委員
これは、今日その本論に入ってしまわないで、考えていることがありますので、次に申し上げたいと思います。
鹿嶋会長
分かりました。では、その具体的な進め方、それから影響調査の手法、苦情処理について、資料4-1の3ページ、4ページについて何か御意見はありますか。具体的な進め方については深い突っ込んだ議論はしませんでしたが、漠然と今の議論の中でかなりしてきたような感じも致します。3ページ、4ページのところで皆さんの方で何か質問あるいは言っておきたいことがございましたらどうぞ。
それでは、専門調査会のことを今度男女共同参画会議に諮るんですけれども、資料4-3を見てください。資料4-3について第21回の男女共同参画会議に諮る予定ですが、文言等々はよろしいでしょうか。
それでは、了解いただいたということにしまして、次に平成18年度の男女共同参画推進関係概算要求額について事務局から説明をお願いします。
塚崎調査官
それでは、男女共同参画推進関係予算につきまして御説明させていただきます。これは、去る8月末に各府省から財務省に提出されています平成18年度概算要求を取りまとめたものでございます。資料は、6-1と6-2をお配りさせていただいております。6-1が総括表でございます。6-2が分野別内訳表でございます。
まず6-1の総括表の方を御覧いただきたいと思います。1枚おめくりいただきまして、右のページにこの表の総合計欄がございます。18年度の概算要求でございますが、一番下の総合計のところでございますが、括弧のない数字の一般会計分が3兆912億円、括弧付きの数字の特別会計分が7兆8,039億円でございます。二重括弧付きの数字の財政投融資分が3億円です。これらを三つ足し合わせまして、ここに総額は書いてございませんが、10兆8,954億円になっています。これは、昨年度の当初予算から4,861億円の増額要求になっています。
増額の主な要因でございますが、一つページを戻っていただきまして2ページ目のところにございます。これは重点目標ごとになっているのですが、重点目標6の「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」の増額分が昨年度と同様に増額の大半を占めております。これは、高齢化の進展に伴う対象者等の増加などによる増額ということでございます。
ほかの分野としましては、同じページの重点目標5の「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」の(1)の「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」、次の3ページ目の一番上の重点目標10の「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」の中の(2)の「多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実」が大きな増額となっております。この(2)の増額の主な要因としましては、専修学校教育の振興などでございます。
また今年度の主な特徴としては、2ページ目のところでございますが、昨年度減額要求でありました重点目標7の「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が増額要求に転じております。これは、関係府省が女性に対する暴力を根絶するための基盤づくりや、性犯罪への対策の推進に関する予算を積極的に要求したことによるものでございます。
次に、総額の10兆8,954億円の内訳につきまして最後のページ、資料6-1の3枚目を御覧いただきたいと思います。カラーで内訳を重点目標ごとに分けたグラフでございます。青い部分でございますが、重点項目6の「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」というものが一般会計、特別会計及び財政投融資分、すべてを合わせまして右側の上に書いてございますが、9兆2,041億円ということで全体の85%を占めています。
次に予算額の多いものが重点目標5で黄色の部分でございますが、「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」でございます。総額1兆4,480億円で、全体の13%でございます。これらの重点目標の5と6で、全体の98%を占めております。このほかの九つの重点目標、それからいずれの重点目標にも整理されないそのほかの合計が残りの2%、2,433億円を占めています。
詳しくは、もう一つお配りしています資料の6-2の分野別の内訳表に詳しく載ってございますので、後ほど御覧いただきたいと思います。現行の基本計画の11の重点目標の項目別に各府省の施策、事業、その概算要求額などは資料6-2で御確認いただけます。
予算につきましては以上でございます。
鹿嶋会長
今の予算について何か質問があればどうぞ。
山口委員
18年度からの基本計画を今おまとめになっていらっしゃいますね。それが男女共同参画会議に出されて、今はこういう概算要求の段階ですが、その後、正式に最終決定は詰めるということになるのですか。
原田審議官
これは現行計画の項目で数字を整理していまして、18年度の予算は新年度分ですので、新しい計画ができますれば、それに沿った形で再整理をしなければならないと思っております。
山口委員
かなり大幅に変わりそうですか。これは概算要求ですよね。
原田審議官
もちろん12月に成果が確定すると数字が変わりますが、項目はそんなに…。
山口委員
つまり、基本計画が男女共同参画会議で了承というか、承認された後、正式にということになるのですか。
原田審議官
そうです。参考までに申し上げますと、議論の中で先ほど申しましたように、男女共同参画関係予算ということで約10兆という数字が出ていますが、その中にはもちろん直接的な経費と、それから重要でありますけれども、間接的に関係する部分というものがありますので、その辺の区分も検討すべしということになっていますので、合わせてそういう作業もしたいと思います。
山口委員
男女共同参画局関係は一般関係ということになるわけですか。
原田審議官
そうです。
山口委員
結構高齢者にかかるんですね。これは分けるようになったから分かりやすくなりましたけれども、昔は予算の何割だとかと言っていたけれども。
鹿嶋会長
均等だとか方針決定とかというものは薄れてあせて見えますね。
大沢委員
これは項目別の予算で、これが各省庁に分けられていくわけですね。これはいろいろな省庁から出された男女共同参画に関する予算の割合ですね。
原田審議官
そうです。
鹿嶋会長
予算はよろしいでしょうか。
ほかに今日の議論の中で何か質問はございますか。あるいは、一言言っておきたいということがあればどうぞ。
横田委員
私ばかりいろいろしゃべって申し訳ないのですが、一つだけ、各省庁にこれから提言なり何かをしていく場合に、昨年までの専門調査会でも少し感じたことなのですが、その省庁の管轄下にある団体や組織や機関の男女共同参画施策をどうするかというところが一つのポイントなのですが、意外に見落とされているのは、その省庁自身がどうかということなんです。
それで、是非その両方をちゃんと押さえて、例えば実情を説明していただく場合には説明していただいた方がいいと思うんです。自分のところは横に置いて、自分の管轄下にある組織や団体ではこういうふうにするように働きかけをしていますという説明になるのですが、自分のところの審議会がどうか、自分のところの職員がどういう体制になって、女性のパーセンテージがどのくらいあって、幹部職員はどのくらいいるのかということをきちんと押さえて、あるいはそれが十分でない場合は自分のところはこうしようと思っているというところも一緒に出していただいた方がいいなと前から私は思っていたことなのでちょっと言わせていただきました。
鹿嶋会長
省庁はその辺はぬかりがありましたか。ちょっと手薄ですか。
横田委員
私が一つ感じたのは省庁ではなかったのですが、JICAがここでいろいろと実態を説明してくださったときに、JICAのプロジェクトをどう男女共同参画に結び付けてやっていくかということは非常によく説明があってよく分かったのですが、JICAさん自身がどうですかということに対してすぐ答えが出てこなかったんです。これはやはりほかの省庁も似たような状況にあるような気がしましたので、是非自分のところをきちんとすることを自覚していただくということをお願いしたいと思います。
塩満調査課長
今回の監視・影響調査の対象ではないので、今回はそういう形ではちょっと取り上げられませんが、一般的な話として考えてまいりたいと思います。
鹿嶋会長
ほかに御意見ございますか。
大沢委員
少し気になっている点なのですが、データを見ますと女性の半数以上が非正規になっていて、この流れが本当に大きいというか、男女共同参画というときに正社員の賃金格差を見ると縮小していますし、管理職の数も増えていますし、データをどう取るかというところでどう切るかだと思うんです。
ただ、男女共同参画と言ったときにどんどんこぼれ落ちていって、10代の女性労働者の75%がアルバイトなんです。それについて政府の見解というか、結局間接的には非常に能力開発、ここでは再チャレンジ支援ということで、基本的には能力がある人が一時的に育児をしているときに能力を開発する。ただ、その能力が最初から形成できないというか、そういう人たちがかなりこれから増えてくる可能性についても、それに特に女性がそこに入っていっているというのも、非正規が既婚女性ではないという問題も非常に大きいと思います。
それから税制度、社会保障制度でも、具体的に見てみますと第3号被保険者が減少しているんですね。具体的に103万円を超えて働かざるを得ない人たちが増えている現状ですとか、去年くらいから起きている変化というものがちょっと今までとは違って、実際問題として103万円にこだわっていられない。3歳未満の子どもを持つ母親の就業率がかなり急上昇して1割増えているんですね。
それで、この予算を見るとどこにそういったことがあるのか、そういった子どもたちの支援ですとか、これは今日の議題とは関係ないのですが、最近見ているデータでは今までの延長線上で男女共同参画の問題が考えられないようになってきて、男性の失業率が非常に高まってきて、女性が小さい子どもがいても働かざるを得ない。そういう人たちが非正規で働いていて、かつ時給がほとんど上がっていない。そういう人たちが103万円を超えて働いているような現状なんです。
実際に見ますと何が起きているかというと、1号が非常に増えて、2号も減って、3号も減って、結局は年金の空洞化現象というものが起きている。それは何かというと、企業側の行動が多く変わってきていて、そういう負担を免れるために非正規を増やしているような行動というものがあるのかもしれない。推測にすぎないのですが、そういったことがあるとすると、ここで男女共同参画を話している内容と、そこの部分では進捗しているかもしれないけれども、全体で見たときの女性の状況というのは違うということにもなるのではないか。
これは、たまたまそういうデータを見て、この1年間の変化を皆さんに御報告するだけで、ここから何をということはないのですが、そういった意味で私が今日ちょっと申し上げた柔軟性をというときに、経済の国際化の影響と切り離して考えることができないと思うのですが、日本経済全体としての柔軟な在り方ということを考えたときのチャレンジ支援策という位置付けをもう一歩きちんとして、能力開発ということをいろいろな人が漏れないような形で施策をしていくことが必要なのではないかと思っています。
原田審議官
率直に言って今、御指摘の問題は経済問題であり、労働問題であり、かつ少子化問題にも関係し、かつ私どもの男女共同参画行政に大いに関係するテーマだと認識をしています。
ただ、問題は非常に深いテーマなので、どういう形で取り上げるのが最も適当なのかというのは、私自身まだ明確なストーリーが描けていないのですが、ただ、いずれにしても男女共同参画局としても関心を大いに払わなければならないテーマだと思います。それで、御指摘のように今回は直にその問題を扱うわけではないのですが、おっしゃるように非常に大きな背景にそういう問題が横たわっているわけですから、そういうことにも意識を払って、当面は能力開発というアプローチからそういう問題にも関心を持ってやっていこう。
政府としていずれか本格的に取り上げる時期がくるに違いないと思いますし、既に厚生労働省はパートタイム労働制度の中でずっと継続的に取り組んできているテーマだと思いますので、そういうところとも連携を図っていかなければいけないと思っております。
大沢委員
それが影響調査会が報告書を出したときに一番気になっていて、林委員なども積極的に発言されていましたが、そこで正社員の問題だけにしない。かつ、雇用システムについても踏み込んでいこうという報告書の最後の理念であったのではないかと思います。
矢島分析官
先ほどの御説明で能力開発のところでちょっと再就業のところを強調し過ぎたかもしれないのですけれども、先ほど林委員から出ましたように、今回は継続就業をする中での能力開発という部分も含んでいますので、それは正社員として一貫しての継続就業だけではないと思いますので、先生がおっしゃるようにいろいろな形でのことがあると思いますので、そういった部分も合わせて見ていくと同時に、その中で出てくる問題が生涯学習や能力開発の施策にかかわるものだけではないというところは影響調査の視点で御指摘いただける部分があるのではないかと思います。
鹿嶋会長
継続就業しないと、正社員かパートになると賃金の段差が大き過ぎてがくっとしてしまうわけでしょう。ただ、今度の新たな基本計画にはパートと派遣社員まで入れましたね。均等処遇の向上というものが入っていますので、今回はこの議論はそんなに突っ込んではできませんけれども、今おっしゃったような意見は背景に置いておく必要がありますね。
大沢委員
若者はどうなんでしょうか。最初から正社員になれない人たちの能力開発というのでしょうか。諸外国を見ていますとやはり若者の失業率が非常に上がっていますので、そういう人を中心とした職業能力、開発なども進めているようですし、是非そういった広い視点から再チャレンジ支援策ができることを望みます。
鹿嶋会長
今、4大卒の新卒フリーターが3割ですから、派遣は紹介予定派遣というものができて、あれは6か月たつと正社員になれるんですけれども、文科省はあれを就職内定者に入れていませんので、かなり問題があって実際になれない人がかなり多いんですね。
大沢委員
そこら辺の調査もまだされていないんですよね。テンプ・トゥ・パーム(紹介予定派遣)についてもデータで見ると非常に少ない。ゼロではありませんが、何人いるかということはまだ把握されていないし、どういう形で正社員になっていくのか。諸外国の中ではスクリーニングされているのではないかという説があって、労働経済の中でもそういった研究もされていますが、ワーキング・チームの中では是非そういった柔軟性、移動がどれぐらいできるのかということも見ていただければと思います。
鹿嶋会長
あくまでもそれはバックデータとして押さえておくということなのかなという感じがします。
塩満調査課長
若者については、進路就職指導の充実などのところと関連しますので、その中で触れていただくこともありえます。
大沢委員
そうですね。不備だというわけではなくて、思い付いたことを申し上げただけですので、参考に。
塚崎調査官
能力開発の能力の中身につきましても、職業資格とか、そういう能力から今の若者の問題のような、例えばコミュニケーション能力とか、そういう能力も含めてのものだと思っておりますので、その点も見ていかなければいけないかと思っております。
鹿嶋会長
どうもありがとうございました。それでは、次回の専門調査会につきまして事務局から連絡させていただきます。連絡事項がありましたらお願いします。
塚崎調査官
次回の調査会の日程につきましては別途、事務局の方から委員の皆様に御連絡をさせていただいて調整させていただきたいと思います。
それから、委員の皆様方には前回の第4、第5回の専門調査会の議事録案をお手元にお配りしております。これはあらかじめ先生方に御意見を求めた上で御意見を反映させたものでございますので、これをインターネット上で公表することと致したいと思っております。本日の会議の議事要旨につきましては、事務局の方で作成いたしまして、会長と御相談した上で、名前のないものをできるだけ早く公表するという取扱いに致したいと思っています。
それから、能力開発・生涯学習の具体的な検討に入っていただく方でございますが、これにつきましては会長と御相談の上、事務局の方で人選について案を作って、また御相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたます。以上でございます。
鹿島会長
それでは、第6回監視・影響調査専門調査会を終わります。今日はどうもありがとうございました。

(以上)