監視・影響調査専門調査会(第5回)議事録

  • 日時: 平成17年7月15日(金) 13:00~15:00
  • 場所: 女性と仕事の未来館 コンファレンスルーム
  1. 出席委員:
    • 古橋会長
    • 大沢委員
    • 神田委員
    • 佐藤委員
    • 袖井委員
    • 橘木委員
    • 古川委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 女子差別撤廃委員会(CEDAW)勧告に対する各府省における取組状況について
    • (3) 施策についての苦情の処理状況について
    • (4) 閉会

(配布資料)

資料1
女子差別撤廃委員会からの最終コメント指摘事項に対する取組の状況について [PDF形式:152KB] 別ウインドウで開きます
資料2
女子差別撤廃委員会からの勧告を含む最終コメントを踏まえた対応について(案) [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
古橋会長
それでは開会の時刻も参りましたので、ただ今から男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第5回会合を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また、大変暑い中、お集まりいただきましてありがとうございました。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の審議を進めさせていただきます。
  前回の監視・影響調査専門調査会におきまして、女子差別撤廃委員会勧告に対する各府省における取組状況につきまして説明を聴取して議論をしていただいたところでございますけれども、その際に各委員から頂きました御意見を踏まえまして、内閣府において取組状況についての資料を修正してもらうとともに、事務局におきまして当専門調査会から各府省に示す文書の案を作成してもらいました。
 したがいまして、まず、修正された資料についての説明と各府省に示します文書について御審議いただきたいと存じます。
 それでは、まず、内閣府男女共同参画局の高安推進官から、1の修正しました資料について説明をお願いいたします。
高安推進官
推進官の高安でございます。座って説明をさせていただきます。
 資料の方は、お手元に資料1、「女子差別撤廃委員会からの最終コメント指摘事項に対する取組の状況について」というA4横長の資料でございます。こちらをお手元にお出しいただければと思います。
 前回の会合において、女子差別撤廃委員会からの最終コメント指摘事項に対する方向性に係るフォローアップ結果について説明いたしましたところ、様々な意見を頂きました。頂いた意見については大きく二つの方向で対応したらどうかと考えております。一つの方向は、前回、説明したフォローアップ結果、これが今回の資料1となっていますが、これは各省の取組を取りまとめたものですが、こちらを修正するという形で一つは対処しております。
 二つ目の対処の方向としては、これは後ほど松原調査官から説明がありますが、専門調査会から各府省に示す文書に盛り込んでいただくことが考えられます。ちなみにこの文書については、来年、夏に国連に提出する予定の第6回報告書の準備でありますとか、更なる各府省の取組に対する専門調査会の意見が示されるといった性格の文書となります。ということで、一つ目は、私がこれから説明する第1の資料1に反映、二つ目は資料2、これは後ほど説明されますが、そちらの方に反映されるということで、二つの方向で対処してはどうかということを最初に申し上げたいと思います。
 ということで、まず、私から前回説明したこのフォローアップ結果、この横長のペーパーを説明いたします。前回、かなり詳しめに説明しましたので、この資料については変更点を中心に説明をさせていただきます。
 まず、全体的な御意見を頂きました。これは、資料が前回、各府省別に、どちらかというと政策が羅列しているというような形でございまして、これが若干見にくいというお話で、資料を是非分かりやすくすべきと、省庁別ではなく項目別に分類し直すべきと、そういう意見を頂きまして、資料1を全体的にぱらっと見ていただくと分かりますとおり、勧告ごとにいくつか分類して、その分類に従って省庁の枠を超え、これまで省庁別になっていたものを分類し直すということをやっております。これが全体で、最初から最後までそのような作業をしております。これが一つ目でございます。
 この変更点、資料を分かりやすくしたと申し上げましたが、変更点としては大きく三つございまして、一つは、勧告の全文を、前回の資料は示していて、やや、分かりにくいような状況だったのですが、勧告を少し分かりやすい形で要約するような形で縮めたということでございます。これは一番左側の「勧告の概要」というところでございます。
 二つ目ですが、この状況についての資料の真ん中の箱、三つ箱がありますが、真ん中の箱のところが、前回は各府省の今後やるべき取組、1年前の苦情処理・監視専門調査会での報告がそのまま書いてあったわけですが、どうもこの取組の状況とダブって読みにくいということがございましたので、その部分は削除して、それにかわり、「男女共同参画会議決定等」ということで、例えば1ページ目であれば、平成16年7月28日の「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について」という資料で、この勧告に関します提言・指摘の部分をここに示すというような構造に変更しております。
 三つ目は、一番右側の箱の中でございますが、取組の状況をカテゴリー別に府省の取組を羅列したような形からそれを分類し直して、そこに各府省の施策を当てはめました。このように大きく全体的には三つの変更を施しております。
 次は、各施策で変わった点を説明したいと思います。
 まず1点目は1ページ、1点目の勧告、22(1)ですが、ここは「直接及び間接差別を含む差別の定義の国内法へのとりこみ」ということでございます。ここには雇用以外の部分、雇用の部分における取組は書かれていたわけですが、前回は取組の状況の部分におきましては、特段の記述が雇用以外の部分はございませんでした。しかし今回は、「2.雇用以外の分野における取組」の項目を新たに設けまして、内閣府から「間接差別については、今後とも、厚生労働省における雇用の分野についての検討の結果も含め何が間接差別に当たるかについての社会的合意の動向を注視しつつ、男女共同参画社会基本法第3条の基本理念にのっとり、適切に対処していく」との方向性が出されました。
 もう一つ、諸外国における間接差別の事例をまとめたものを参考資料として付けるべきではないかという御指摘も頂きまして、これに対しては、本資料の巻末のところに、「諸外国における間接差別に係る規定等(概要)」という形で資料を付けております。これは新たに作ったというよりは、厚生労働省の「男女雇用機会均等政策研究会報告書」というものに付いていた資料で、これは厚生労働省の許可を得て巻末に今回付けさせていただきました。
 二つ目、5ページを開いていただきたいのですが、第2番目の勧告で、24(3)「メディアにおける男女平等の視点のとりいれ」の部分です。この部分については、取組の状況について、前回お示した資料の中で、ゲーム、インターネットというところが抜け落ちていたところ、ゲーム、インターネットにおける有害情報等についての取組について記述すべきという意見を頂きました。これに関して、経済産業省でありますとか各省庁に問い合わせたところ、次の6ページの「3.有害図書類の取締り等の推進、関連情報の提供」というところがあるのですが、まず警察庁から、条例等に基づくとして、有害図書類の取締りを推進している点、また、文部科学省から、青少年を取り巻く有害環境対策として、テレビゲームの分野に係る米国のNPO等の先進的な取組について、実地調査、報告書を作成し、各方面への情報提供を行っている、という点が報告されました。
 また、同じ6ページ目の下、「4.インターネットに係る取組」ということでも、いくつか施策が出てきまして、警察庁からは、インターネット上に流れているわいせつ画像等の違法・有害情報を、サイバーパトロール等を通じて早期に把握し、違法情報については検挙する、有害情報については関係団体に通報するなどして、自主規制を促しているというような点がまず報告されております。またフィルタリングとして、性的な描写を含むサイト等の違法・有害情報に少年がアクセスできないようにするため、フィルタリングシステムの普及を図っている、そういった点も警察庁から報告がございまして、経済産業省からも、学識経験者から構成される検討会において、国内外WEBサイトの格付け、格付けといっても、いい格付けではなく有害度で格付けをすることとともに、フィルタリングの調査検討、フィリタリングソフトの無料配布等を行う事業を財団法人に委託して実施しているという点が報告されております。
 メディアについては以上でございまして、次は8ページでございますが、第3番目の勧告、26(2)というところで、「強姦罪の罰則強化、近親姦を個別の犯罪とすること」という勧告を頂いたわけでございまして、これについて、前回の会合において、近親姦について特別に規定しない十分な理由があるならば、それで構わないので、その理由が分かるように、この取組の状況のところに記載してほしいという意見がございました。
 これに対して、これは9ページ目の真ん中の「2.近親姦への対処」の部分ですが、法務省から、近親姦に係る記述が付け加えられまして、実際処罰の対象とされ得るところであり、検察当局においても、この罪を活用すること等により、事案に応じて適切に対処しているというような理由が示されています。
 次に13ページ目でございます。同じく第3番目の勧告の26(5)、「「従軍慰安婦」問題への取組」でございます。従軍慰安婦問題の取組の中で、次の14ページ目に「2.アジア女性基金による今後の取組」というのがございます。ここの部分が、アジア女性基金解散後の今後の取組の部分について、前回の記述が、アジア女性基金の理事会の決定と齟齬があるという指摘がございました。この点を踏まえ、外務省から修文がございまして、この修文があった部分は、2行目の「今後も」以下ですが、「今後も解散までの間、基金は引き続き国際シンポジウムやセミナー開催等の事業を実施するとともに、解散後の課題についても検討していく予定。政府としても引き続き基金に対して協力を行っていく」という文章に修文されております。
 次に18ページ目でございます。18ページ目は、第6番目の勧告として、「公的活動の分野、特にハイレベルの政策決定過程への女性の参画推進に向けた取組」というものがございまして、これについて様々な施策が書かれているわけですが、ここについて、政治参加に対する取組、また政治教育が抜けているという御意見を前回の調査会で頂いております。
 それに対して数ページめくっていただきまして、21ページの上の「4.議会議員における女性の参画拡大に向けた取組」というのがありますが、こちらに4番目の項目を新たに立てまして、内閣府からその中身として、「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況調査」を毎年実施、公表しているという取組が報告されまして、これを取組の状況に付け加えたというような変更を施しております。
 女子差別撤廃委員会からの最終コメント指摘事項に対する取組の状況につきましては、以上が変更点でございます。
 私からの説明は以上でございます。
古橋会長
ありがとうございました。
 それでは、関連がございますので、資料2の「女子差別撤廃委員会からの勧告を含む最終コメントを踏まえた対応について(案)」、松原調査官から説明をお願いします。
松原調査官
高安から説明がありましたが、前回の専門調査会における各府省からの説明聴取を踏まえ、女子差別撤廃委員会に対する次回定期報告の準備及び更なる取組を行うに当たって、次の点を踏まえるよう取りまとめを行ってはどうかと考えております。
  1は、横田委員等からの御発言も踏まえ、報告全般について、できる限り、施策によりもたらされた効果、いわゆるアウトカムも女子差別徹底委員会に対する次回の定期報告の中に盛り込むべきであるということでございます。
 2は、間接差別についてです。間接差別のうち雇用分野においては、厚生労働省の労働政策審議会において検討が行われているところですが、この結論を早期に期待したいということがございます。また、間接差別全般において、引き続き事例を収集するとともに、女子差別撤廃条約第1条には、女子に対する差別とは、性に基づく区別等であって、男女の平等を基礎として人権等を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果等を有するものをいうという趣旨が、男女共同参画社会基本法第3条には、男女共同参画社会の形成は、男女が性別による差別的取扱いを受けないことを旨として行われなければならないという趣旨が、それぞれ、規定されており、どちらも取扱いの目的等のみに着目しているわけではないことを踏まえて広報に努めることが必要であるということもございます。
 3は、会長等からの御発言も踏まえ、メディアにおける女性の人権の尊重について、ゲーム、インターネットサイト等に関する団体も含めて意見交換を行うということでございます。
 4は、いわゆるマイノリティ及び人身取引について、各府省が把握している関連データを取りまとめ、報告に盛り込むということでございます。
 5は、婚姻適齢の男女統一、再婚禁止期間の短縮及び選択的夫婦別氏制度について、国民の理解が深まるよう努めるということでございます。
 6は、選択議定書について、外務省を中心として検討が行われているところですが、引き続き批准の可能性を早期に検討するということでございます。
 以上でございます。
古橋会長
ありがとうございました。それでは、ただ今の説明がございましたものにつきまして、皆様方から御意見、御質問等がございましたら、順次御発言を願いたいと思います。時間は十分、あと1時間程度もありますので、御発言をお願いいたしたいと思います。
大沢委員
簡単なことなのですが、選択議定書、最後の6番ですが、私、よく分からないので教えていただけますか。
高安推進官
選択議定書につきましては、女子差別撤廃条約に、これに付随している議定書として選択議定書というのがございまして、これは女子差別撤廃条約を批准したからといって自動的にこれが適用されるわけではなくて、同条約を批准した国の中で、また、選択議定書を批准するかどうか、これを決めることができるという条約でございます。
 この中に個人通報制度というのがございまして、例えば様々な権利が女子差別撤廃条約の中で規定されているわけですが、この権利を侵害されたという被害者がいたとして、それについて選択議定書の締約国によって侵害されたということであれば、個人や集団が女子差別撤廃委員会に、こういった権利の侵害があったということを通報して、これに対して、女子差別撤廃委員会が受理して検討するということができる制度です。要は個人が国連の場に、自分は女子差別撤廃条約に基づく権利を侵害されたということを直接女子差別撤廃委員会に申し出ることができます。
 それについて女子差別撤廃委員会が、それを審議して何らかの勧告を行うこととなります。ただし勧告については法的拘束力はありません。
古橋会長
問題点は。
高安推進官
特に個人通報制度については、日本における司法権の独立との関係がございまして、これに抵触するやもしれぬという意見もございます。またこの個人通報制度は、女子差別撤廃条約だけではなく、ほかに国連の人権B規約とか、拷問禁止条約、児童の権利に関する条約といった条約の選択議定書にも定められております。なおこれらの条約の中でも、特に人権B規約の選択議定書に基づく個人通報の事例がかなりたくさん出ているため、その事例を、今、外務省で、実際にどういう問題点があるのか、それはクリアーできるのかどうかというようなことを検討しているような状況でございます。
大沢委員
ありがとうございました。
古橋会長
前の苦情処理・監視専門調査会の提言の中に入れたのですけれども、そのときに外務省よりも、結局法務省なのですけれども、司法権の独立という問題でいろいろと議論があるということだったので、私どもは引き続き批准を早期に検討されたいと、あるいは批准を前向きの方向で検討されたいということを最初の案に入れたのですけれども、それではなかなか男女共同参画会議で法務大臣が反対するかもしれないというので、それでは可能性を早期に検討されたいという「可能性」という言葉を入れました。可能性も検討できないのかと、これは横田委員から御提言がありまして、可能性を早期に検討されたいということにしました。これをやったとしても、司法権の独立というものはそんなに問題にならないのですよということもこの提言の中に入れたのですけれども、まだまだ独立が侵されるということを言う人がいるらしいのですね。それは最高裁の方はそんなことはあまりないということは、誰かが言っていましたね。最高裁の方はそうではないのだけれども、法務省の方ではないかと。私はどこかで聞いたのですけれども。
高安推進官
最高裁の方は、賛成、反対ということを言う立場にないという点を述べたと聞いております。
古橋会長
最高裁としては、関係ありませんというのを私はどこかで聞いたのですよ。結局反対は法務省の中の人たちが言っているのかなという気もしないではないので。
名取局長
司法権の独立という点でですね。
古橋会長
「可能性」ということで降りたことは司法権の独立の問題について、要するに問題を議論してほしいということなのです。要するに選択議定書は、今、司法権の独立が認められている各国で随分批准されているのですよ。
名取局長
これ(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について)の12ページを御覧いただきますと、上の方に批准の状況が出ております。
古橋会長
12ページの5行目のところに、「選択議定書については、上記のとおり、女子差別撤廃条約締約国177か国のうち62か国が、経済協力開発機構加盟国30か国のうち24か国が、欧州連合加盟国25か国のうち19か国が批准しているところであり、以上を踏まえ、批准の可能性について早期に検討する必要がある」と、これだけのことをわざわざ調べまして、これだけやっているよと。先進国の中でやらないことについて。外国は司法権の独立ということを当然考えているわけですから、これは司法権の独立を害しているということは思ってなくてやっていると思うのですね。三権分立のところもあるわけですから。だから、こういうところをよくもっと議論をしてほしいということを言って、かつ、また世論を喚起したいと思ってわざわざ書いたわけでございます。
大沢委員
分かりました。
佐藤委員
内容ではなくて、1のところで、「報告全般について……盛り込まれたい」というは何か変かなと思って、これは報告書に盛り込むのですよね。
古橋会長
そうです。
佐藤委員
例えば、4は「報告に盛り込まれたい」になっているのですけれども、報告全般についても、これは多分勧告にかかわる取組の効果も報告書に盛り込まれたいのですよね。
松原調査官
勧告にかかわる取組及びその他の取組について盛り込まれたいということです。
佐藤委員
向こうで言われたことにかかわることでやったことの効果を書けという話ですよね。
古橋会長
そうですよ。向こうから勧告されたことについて。
佐藤委員
そうなのだけど、そういうふうに分かるように書いていただければ。
松原調査官
その方が望ましいのであれば、そう致します。
佐藤委員
分かりました。趣旨はよく分かるのですが、何となく何か変だなと思っただけの話です。
古川委員
資料1の6ページの3の(2)の「有害環境対策に係る情報提供」というのがありますね。これを読むと、「テレビゲームの分野に係る米国のNPO等の先進的な取組について、実地調査を実施し、報告書を作成し、各方面への情報提供」と言っているのだけれども、これはアメリカでテレビゲームの分野における取組がやられているということを報告するのですか。日本は何も特別にやってないのか。
高安推進官
そうです。この先進事例として、これをまず調査・検討して、要はグッドプラクティスとして、日本における各方面に情報提供することによって、これを参考にしていただければという趣旨でやっています。
古橋会長
それはアウトプットだけ、それのアウトカム、日本がそれに基づいて、どういうことをやったかということを説明すべきです。
古川委員
何もやらないでいいというわけではないので、アメリカのやっていることを情報提供しているというのは何かお粗末な感じがします。
古橋会長
これは正に、こういう外国の調査をやりましたということだけ書いてあって、それでは、それを日本にどうするかということについてのことは、まだ何も文部科学省はやってない。
古川委員
やってないのですか。
高安推進官
そうです、文部科学省につきましては。
古川委員
ちゃんとした調査でもやってない。それは中身の議論だけど、ちょっと寂しい。
古橋会長
文部科学省の方、おられますか。おられない。
古川委員
これを報告したら恥ずかしいような気がします。
古橋会長
ですから、前のこの報告の前文のところで、アウトカムということも含めまして、これから来年の9月までの間によく検討してほしいということだと思うのですね。今日の議論も踏まえて、ここのところをもう1回、文部科学省によく言ってください。有害環境対策として非常に差し迫った問題だと思うのですよね。
古川委員
そうだと思いますよ。何か人ごとのような感じがしますね。
大沢委員
うちではないという。
古橋会長
ほかにどうぞ。1ページのところの「直接及び間接差別を含む」と書いてあるけど、差別だったら直接か間接しかないので、「直接及び間接差別を含む差別の定義の国内法へのとりこみ」から、「直接及び」をとって、「間接差別を含む差別の定義の国内法へのとりこみ」というふうに。
高安推進官
分かりました。後者の方の。
古橋会長
「間接を含む」で、「直接及び」をとって。間接差別のことが中心だから。
高安推進官
はい。
古橋会長
なお、各省に言うときには、資料1でこういうふうに取組の状況を書きましたけれども、これに対して、決して監視・影響調査専門調査会としては、これに満足しているわけではないと。今、古川委員からのお話がございましたように、更にこれから来年の9月までの間に、勧告の趣旨に合うように努力してほしいというようなことを口頭でもいいから言ってください。
高安推進官
はい。
古橋会長
この「女子差別撤廃委員会からの勧告を含む最終コメントを踏まえた対応について」という案は新聞記者に配るのですか。
松原調査官
特段の予定はしておりません。
古橋会長
今まではこの資料は配っているのでしょう。
塩満調査課長
要求に応じて。
古橋会長
これは今日、できれば一応ここで区切りがつくわけだから、男女共同参画会議の本会議まで上げないわけだから、この段階において一応公表しておいたらいいのではないですか。新聞社は取り上げないかもしれないけれども、しかし、次のときの来年の9月までの間に、1回こういう問題があるのですよということを新聞社の方々にリマインドして、フォローしてくださいよとお願いしたほうが良いと思います。
松原調査官
はい。
古橋会長
ここで掲げている6項目は、ほかに何かございますか。よろしいでしょうか、こういうことで大体。
大沢委員
今回のこの報告書は、各省庁の取組を中心にここで書くということが前提ですか。
古橋会長
はい。ここは監視・影響調査専門調査会で、監視というのは、各省がやっている事項について監視をするという立場なものですから、各省がやっている問題についてやるということです。
大沢委員
分かりました。
古橋会長
そのほかに、各省がやってなくて、やるべき事項を書くということも言っていいのですよ。それは監視の内容には当然入りますから、何かございますか。
大沢委員
4番のマイノリティとか人身取引についてで、この間の議論の中では、まだ実態が把握されてないのではないかという御議論がありましたので、把握している団体があれば、そこからの情報も政府が集めることはいかがなものかと思っただけですが、ここで集めるというわけではないですが、あるいはここでそういった聞き取りをするというようなことはしないのですか。
古橋会長
そうすると各省が把握しているというところがひっかかるわけですね。把握してないのがあるから、これをとりましょうか。人身取引については、「各省においてはいわゆるマイノリティ、人身取引について、関連データを取りまとめ、報告も盛り込まれたい」とすれば。
高安推進官
基本的には政府報告については、政府がきちんと責任を持って調査したというものを政府の責任の下で国連に提出するということでございますので、やはり民間団体、例えば民間が行った雇用のアンケート、教育とか様々な分野のアンケートがあると思うのですが、それをそのまま出すということは基本的には行っておりません。
古橋会長
だけど、そういうものの中で政府がいいと、オーソライズしたものについては認めてもいいのではないか。現在把握してなくても、しかし、これから民間団体からとってみて、そうだなと思うような情報があるならば、それを報告に盛り込むことはできないのですか。
高安推進官
それにつきましてはケース・バイ・ケースだと思いますが、きちんと中身を精査して、政府がオーソライズするに足る情報であれば、これはまたケースによって違うと思うのですけど、これは載せることもそれはあり得ると思いますが、基本的には、政府が十分な責任を持って統計の信頼性が担保できるもののみを載せることになります。このレポートは国が責任を持って国連に対して報告するための文書でございますので、統計の信頼性はきちんと精査します。
名取局長
女子差別撤廃委員会における審査については、政府からの報告と多様なNGOからの報告が出まして、各委員はNGOレポートの方を重視して審査されるような傾向があると伺ったことがあります。
大沢委員
そうですか、分かりました。
名取局長
はい。ですから、政府の報告一本であれば、今の御指摘も分かりますけれども、そういうふうな構造になっておりますので、ここは政府の統計だということを押さえられるものを出すのが良いと思います。
大沢委員
フォーカスをして、ここでは。
名取局長
ええ。とても多くカウンターレポートが出ます。
大沢委員
そうですか。
古橋会長
よろしいですか。
大沢委員
はい。
神田委員
今のことなのですけれども、16ページにかかっているところ、人身取引の被害者の一時保護は、ほとんど民間シェルターで行っているのですね。そのときには、婦人相談所から委託された民間シェルターで保護されていることがここで対象になると。だけど、委託されてないところは。
古橋会長
16ページの上の民間シェルターによる実施ですか。
神田委員
そうです。だから、婦人相談所が委託している民間シェルターで行っている被害者の一時保護はここで報告の対象となる。だけど、委託されてない場合にはそれは外れるということですか。
名取局長
基本的にはそうです。
高安推進官
基本的にこの報告は、この4年間の間、これは4年に1回出すのですね。4年間の間に基本的には政府がこの条約に書かれている内容の履行のために行った施策を報告するというような報告内容でございますので、例えば資生堂という会社が非常にポジティブ・アクションやりましたよと。これは報告したいのはやまやまなんですけど、そういったことは原則として政府からは報告しません。例えば我々が企業に対して、そういった活動を行うような促進策を打ったということであれば、そちらを書くわけなのですが、各個別の企業や政府以外の団体が行った施策は、ここでは報告の対象外になるということであります。
大沢委員
分かりました。
坂橘木委員
私はこの分野はあまり詳しくないのでとんちんかんなことを言いますが、びっくりしたのは、16年7月28日付けの「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について」の報告書の35ページを見ますと、日本はあまり批准してないのですな。
古橋会長
そうですよ。
坂橘木委員
これ、知らなかったですね。
古橋会長
だから、この表をわざわざ会長として作ってもらったのですよ。男女共同参画会議でもこの表で説明したのです。
坂橘木委員
どうでした?
古橋会長
この表をつくることによって、意識改革しようと思ったのだけれども、なかなか世の中は難しい。
坂橘木委員
ILO111号については、ほとんど入っていますね。びっくりしましたね。
古橋会長
こういうのは、本当はもっと新聞社が啓蒙活動すべきです。
坂橘木委員
先ほど言われたように、マスコミにやっぱりこういうようなことを宣伝して、日本はこれだけ後れているのですよと。京都議定書は頑張っているかもしれないけど、こっちの方は全く逆の動きですよなんていうのを。
大沢委員
空欄が多いですね。
松原調査官
女子差別撤廃条約選択議定書から右側の条約については、具体的な動きはありません。
古橋会長
選択議定書のところの欄を見ていただいても、これだけみんな「○」が付いているわけですよ。
坂橘木委員
これはどこの省の所管なのですか、外務省ですか。
古橋会長
外務省と選択議定書は法務省になります。
神田委員
アメリカでも批准していない。
名取局長
アメリカは女子差別撤廃条約も批准していませんから。
大沢委員
イギリスもよくないですね。
袖井委員
別のことでいいですか。
古橋会長
どうぞ。
袖井委員
資料2のところですけれども、5番目のところ、非嫡出子差別というのは入らないのですか。
名取局長
これは入らないという質問主意書に対する回答が出ております。男の子、女の子の間の問題ではないので。
袖井委員
でも、女子差別撤廃条約にもありますよね、確か。
高安推進官
女子差別撤廃条約の勧告では指摘されています。
名取局長
あれは解釈ミスだと思います。
袖井委員
そうですか。
名取局長
はい。
袖井委員
何かこの前、国連のメリル・ストリープさんが、そのことで日本を非難したとかという。
名取局長
それは別途非難されてもしかるべきかもしれませんが、女子差別撤廃条約上というものではないのでございます。
袖井委員
そうですか。
古橋会長
よろしゅうございますか。
 それでは、あと、この文言につきましては、会長に一任していただいて、直しまして、今日付けの日付で報道するという形にしたいと思います。
袖井委員
28ページの権利というところはあるのですけれども、「子に関する事項についての親(婚姻をしているかいないかを問わない。)としての同一の権利及び責任。あらゆる場合において、子の利益は至上である」というのが書いてありますけれども、これは。
高安推進官
子どもが、例えば男性、女性という性別によって差別されれば、条約違反となります。しかしこのケースは性別による差別ではありません。
袖井委員
いやいや、そうではないですけれども。
名取局長
この16条の頭書きを見ていただきますと、「特に、男女の平等を基礎として次のことを確保する」と書いてあります。ですから、非嫡出子はこれに当たらないという法務省としての回答が出ております。
高安推進官
勧告も「非嫡出子」という言葉は入ってはいるのですが、我々としてはこれは勧告ミスというふうに受け止めているということです。ただ、勧告につきましては、我々として、女子差別という範疇で扱うべきか、扱わないかをまず政府として判断した上で、これを施策としてやっていくかどうかという、まず一つのフィルタリングがあるのですね。そこの部分で、日本国政府としては、非嫡出子問題は、要は女子差別撤廃条約の範疇ではないと、そういうような見解を示しているわけです。
袖井委員
でも、未婚の母に対する差別ということにもなると思うのですけれども。
高安推進官
やはり非嫡出子の問題というのは、要は婚姻関係にある男性と女性の間に生まれた子どもと、婚姻関係にある男性と女性との間で生まれた子どもでない子どもの間の取扱いの違いということでありますので、これにつきましては、女子差別撤廃条約の第1条で、正に女子差別撤廃条約が扱うべき差別というのは、まず性に基づく差別であると。間接差別というのがあるので、必ずしも性に基づくかどうかというのはまた別なのですけど、性に基づく区別であって、それが人権を侵害していれば女子差別になるということでありますので、最初の1条の段階で落とさざるを得ないということでございまして、当然のことながら取組の方向性にも示していないということになります。
袖井委員
多分疑問は出てくると思いますね。
古橋会長
それでは、そういうことを言いながら、第16条で(D)を入れたという趣旨は何なのですか。
松原調査官
男親の権利及び責任と女親の権利及び責任とが同一であるべきであると規定しているのではないかと思います。
古橋会長
この女子差別撤廃条約の中で、16条の(D)というのは、どんな場合に適用になるのですか。
名取局長
親としての同一の権利及び責任とございますでしょう。16条を見ていただきますと、1に、「締約国は、婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし」と書いてありまして、(D)を見ますと、「子に関する事項についての親としての同一の権利及び責任」というふうなところですから、今、松原が申し上げたとおりだと思いますけど。
古橋会長
法務省の見解がそういうことであるならば。
名取局長
質問主意書で回答しておりますので、見解は出ていると思っております。
古橋会長
また、向こうから質問が返ってきたときはちゃんと答えてくださいと言っておいてください。
高安推進官
分かりました。
名取局長
ただ、法務省自身も、確か平成8年に、夫婦別氏制度と同様に努力はしているのですね。
古橋会長
これはだけど反対が強いのですね。
名取局長
与党を通らずに、別氏制度とともにずっとそのままになっているというものです。随分長いですね。
大沢委員
ただ、時代の流れを考えると、子どもができたから結婚する。何か順番が逆になってきているので、もう既に実態としては、子どもができて、婚姻に至るという過程というのが日本でも増えてきているので、やはり実態として見ると、この問題は避けて通れない問題だと思います。
古橋会長
結婚式場が子ども付きの結婚というものでやらなければお客が集まらないという事態に今なっているようです。
袖井委員
妊婦さん用のウエディングドレスがあるのですよ。
神田委員
そうですか。
古橋会長
そうなのですよ、今。週刊誌見てください、神田先生。
大沢委員
身近で見てもそうです。
古橋会長
今はもうそうなっているのですよ。できちゃった結婚というのが多くて、結婚式場もそれに対応しなければ、お客さんが集まらない。
大沢委員
そういう時代に変わっていくためには差別をなくしていくことも必要になってくるとは思いますが。
坂橘木委員
そういう現象を認めたくないから、いろいろ対応をやっておる。そこは現実をもっと見てくれと言わないかんわけですね。
大沢委員
実態は本当に今変わっています。
古橋会長
それでは、よろしゅうございますか。
 (「はい」と声あり)
古橋会長
それでは、こういう方向でやらせていただきます。
 次に議題の「施策についての苦情の処理状況」について、事務局から説明をお願いします。
松原調査官
資料は、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等の把握について」、「国の施策についての苦情等」、「地方公共団体(都道府県・政令指定都市)の施策についての苦情等(総括表)」、「(様式1)苦情処理体制等(都道府県・政令指定都市)」及び「(様式2)苦情処理状況 地方公共団体(都道府県・政令指定都市)」から成っております。
 この調査については、平成14年10月17日付け男女共同参画会議決定「男女共同参画に関する施策についての苦情の処理及び人権侵害における被害者の救済に関するシステムの充実・強化について」において苦情内容等の情報を定期的に把握すべきであるとされていることを踏まえて行ったもので、昨年度においても同様の調査を行い、監視・影響調査専門調査会に対して報告を行っております。
 対象とした機関等については、行政相談制度、各府省行政相談窓口、都道府県及び政令指定都市の苦情処理機関等でございます。対象とする苦情については、施策についての苦情で、専ら人権が侵害された場合における被害者の救済に関する苦情は除いております。また、平成16年度中に処理を行ったもの及び平成16年度中においては未処理であったものを対象としております。把握内容については、受付年月日、申出者、区分、申出内容、処理年月日、処理結果及び施策改善への反映状況でございます。都道府県及び政令指定都市においては、苦情処理体制についても調査を行っております。
 主な結果については、地方公共団体の方が多様でございますので、最後の「(様式2)苦情処理状況 地方公共団体(都道府県・政令指定都市)」に沿って御説明申し上げます。
 具体的な苦情で目立ちますものは、昨年同様、広報等に関するものです。例えば、1ページ整理番号3の福島県における苦情は、献上を行う柿をかっぽう着姿の県職員が磨いている様子が新聞に掲載されるが、磨いている職員はいつも女性であるというものです。
 一方、今年度においては、男性からの申出が目立つようになってきております。例えば、2ページ8からの静岡県における苦情は、男女共同参画の考え方自体に疑義を持つお立場の方からのものです。また、男女共同参画の理念自体を否定することなく、むしろその理念から施策に疑問があるという苦情もございます。例えば、12ページ60の札幌市における苦情は、男女共同参画センターについて女性のみを対象に料金を減免したり、女性清掃員が男性が手洗いを利用している際に無断で出入りを行ったりしているという趣旨や、DVに関する広報が加害者及び被害者の性別を固定しているという趣旨のものです。
 私どもとしては、苦情処理を担当している方に対して、苦情処理ガイドブックの配布、研修の実施等を行っており、このような場を活用して苦情内容等情報の提供を行っていきたいと考えております。
 以上でございます。
古橋会長
ただ今の御説明について御意見、御質問ございますでしょうか。
 最初に私から2、3意見を申し上げます。まず、苦情処理・監視専門調査会で、苦情処理に関する提言をしております。そのときに男女共同参画会議が最終的にはこの苦情処理についてよく聞いて対策を練ることになっています。その苦情の問題について、重要なものであるならばここで議論をするということを言い、かつ、また各地方公共団体の中で、そういう苦情が出てきているということに共通点があるならば、それについて、よその県でこういうのがあったから、これについてこういう回答をしているけれども、皆さんのところで参考にされたいというようなことの情報を流すという趣旨のことを言ったのですが、この苦情処理の状況については、これはホームページで出して、これについてどこの地方公共団体でもまずアクセスできるようになっているのでしょうか。
松原調査官
なっております。
古橋会長
その次に、この処理内容について、各省と地方公共団体がありますけれども、男女共同参画局において、これを一応審査して、この中で不適切なものについては、こういう回答では不適切だというようなことを指示した例はありますか。
松原調査官
ございません。
古橋会長
そうしないままに、これをホームページに出すということについては、ちょっと問題があるのではないのですか。全部出しているのでしょう、今。
松原調査官
そうです。
古橋会長
そうするとこれを認めたということで、この中で不適切な、私はちょっと腑に落ちないような回答ぶりがあるのだけれども、そういうものについて、これを出すことについては、男女共同参画局において、この処理が適切だったかどうかという問題について判断をした上でホームページに載せることが必要なのではないかなという気が致します。この問題については、男女共同参画局なり、あるいは監視・影響調査専門調査会において、将来、問題について個別に審議をして、特に問題のあるようなものについては審議をした上で出すということが非常に重要だと思います。
 特に地方公共団体の方では非常にいいことを言っている回答があります。結構鳥取県とか、苦情相談員が、前にも来られましたけど、立派な方がいてちゃんと適切に対応しておられる。反対意見も結構出ていますけれども、そのときの処理などについてもう少し検討していただいて、推奨すべきものはちゃんと推奨するとか、そういうような体制をつくらなければ、この男女共同参画局が、苦情処理の全国のかなめとして指導はできないかもしれない。ある程度の判断をしていく必要があるのではないかなと。指導したものがないとすれば、例えば、「意見、要望として関係施策の担当部署で回覧した」というのが厚生労働省に多いのですよ。ただ、回覧したというだけで苦情処理を行ったことになるのですか。そういうのがいっぱいある、国の方では。そういうことなのでしょうか。
 例えば2ページの、「男性のみが長髪であることを理由に採用されない。男女雇用機会均等法を改正して、対応してほしい」と、こういうことを言ってきたときに、これについて、これは男女共同参画の視点からどういうことが問題になるのか。そういう問題になるようなことがいっぱいあるのですよ。ただ、これを回覧したということだけで、これは苦情処理になっているのでしょうか。
松原調査官
男女雇用機会均等法の改正については、既に議論が行われているからかもしれません。
古橋会長
それでは、相談してきた人にはどういう回答をしたのですか。
松原調査官
していないのではないかと思います。
古橋会長
それではだめなのだから、そこのところをちゃんと、苦情というのが出てきたら、それでは、こういう問題があるから、今後やるとか、やらないのか、そういうことをやっていかない限り、何のために苦情を出したかということになる。苦情というのは、役人の発想では気がつかないことについて、いろいろ出てきたときに、それを契機として検討しましょうと、こういうことですから、そういう問題について、もしあるならば、役所で議論できないなら、この専門調査会でそういう問題について議論して、どのように考えるのがよいのでしょうかと議論すべきです。
 例えば地方公共団体の方で、観光の関係で、温泉の風呂に女性が入っている写真を名刺に使っている、これはけしからんという議論が来て、それはそうですね、という回答をしている。本当にそこのところが、地方公共団体がそういうことをやることはいけないということであって、民間がやることについて、いくらでも出てきていますよね、テレビで。地方公共団体がそういうことをやることはなぜいけないのかというのは、もう少し検討してみないといけないのではないですか。温泉地で女性の人がお風呂に入っているというところが、県の職員の名刺にそれが載っていたからけしからんと言われたので直しましたとこう書いてあるのだけれども、民間がよくて、なぜ県がいけないのだと。そこのところは性を商品として扱っているのかというところとの関係において、議論すべきことがいっぱいある、いい種がいっぱいあると思うのですよ。
 そういうような問題をもう少し、監視・影響調査専門調査会というのがあるならば、この学識経験者の方々でちゃんと議論をしていただく必要があるのではないかということが一つ。
 3番目に、最初のところのアクセスの問題がありましたけれども、ただ、ホームページに出していますよということがあるけれども、少なくとも1年に1回は、こういう苦情処理についてちゃんと会議を開いて、これについて議論する。一時は苦情が全然出てこなかったのですよね、基本法ができたときには。今度見たら非常に出てきているのだから、こういう問題について、1回会議を開いてみんなで検討する、その前には男女共同参画局で、ちゃんとこれに対応する問題を議論する必要があるのではないかと思います。
松原調査官
先ほど申し上げましたとおり、10月を目途に苦情処理の担当者にお集まりいただくこととしております。
古橋会長
それでは、今日は時間があるので、少しずつ言っていきます。1ページ、「業者婦人等について」と書いてあるのは何ですか。
大沢委員
自営の女性、家族従業者。
袖井委員
どれですか。
古橋会長
1ページ。
古橋会長
「家族従業者についての検討が全く抜けていた」、これについては、今度、基本計画の改定のところで何度も私どももやって、こういう自営業者についての従業員の問題についてはよくやるという形を入れたはずですよね。そういう方向でやっているのだったらば、内閣府は中小企業庁に伝えるということだけでいいのだろうかと思います。
松原調査官
処理の時点においては、御議論がそこまで進んでいなかったのかもしれません。
古橋会長
だけど、始めからこの問題は、私は大阪に行く度に、名古屋に行く度に指摘されているのですよ、一部の商工会系統の人たちから。だから、こういう問題については、男女共同参画局でも、検討しているみたいなことを回答できるのか、できないのか。そういうようなものをもう少しちゃんと検討した上で、何か国については、回覧したとかいうのが非常に多いのです。例えば、2ページのところは、先ほど申し上げたように、3番目のところが「回覧した」、その次も「回覧した」。それから、「採用面接において、女性に対し「一生勤めるつもりか」などの質問がある。男女雇用機会均等法が徹底されるよう指導してほしい」ということについて、「男女雇用機会均等法に沿った求人活動の運用の確保について一層の周知、徹底を図ることとした」というのだけれども、この御本人については、苦情処理した人については、厚生労働省は回答しているのでしょうか。これだけ見ると分からない。だから、せっかく苦情処理が出てきて、苦情処理というのは、何度も言っているように、行政に対する参加なのだから、参加という意識があるのだから、これは大変好ましいことなのだから、その参加をしてきた人に対して、参加意欲の結果、何が反映されているのか、反映されていないのか、分かるような形に対応してあげるということが大切なのですよね。だから、これに対して回答がどういうふうになっているのかなという気がします。
 例えば、2ページの下から二つ目、今度の計画の改定の中でこのことが非常に議論されて、こういうことが出てきているのですよね。これは農林水産省はちゃんと挙げてきている。「「一世帯一事業主の原則」であるが、税務上の対策など個々の経営体の考え方は様々であることから、税制の見直しを行うためには十分な実態把握が必要」、正に五條さんが言っているのと全く同じことが出てきているのですよ。「また、女性の資産形成に資する観点から、「家族経営協定」を推進していきたい旨回答」と、こういう問題は非常に新しい問題として出ているのだったら、これを問題意識として考えて、苦情処理の中において政策として非常に重要なものはここへ出てきていると思うのですね。
 それから、気がついた点を、例えば3ページのところの一番下のところで、「DV防止法の保護命令は、身体的暴力にのみ限定しているが、精神的暴力も含むべきではないか」、これはそういうことで、保護命令以外の問題については既に入れたわけでしょう。こういうことがあったから入れたので、この問題については、ちゃんと内閣府としては、「業務上の参考とした」と書いているけれども、質問してきた人には何か答えているのでしょうか。
 私が言っているのは、国民の行政への参画ということのチャンスなのです。そして、それはまた行政が、そのことによって自分たちが知らないことを国民から言ってきてくれるのだから、絶好のチャンスだと思って対応すべきだということを何度も調査会の報告の中へ入れたのですけれども、これについて「業務上の参考とした」と書いてあるのだけど、こんなことでいいのだろうかと。もし、暴力部会において検討しているのだったら、今、暴力部会で検討中であることを回答したとか、そういうようなことがあるべきなのではないかなと。
 例えば、同じようなことが4ページのところでも、「意見・要望として担当部署で回覧し、業務上の参考とした」と。業務上の参考としたということは受けっぱなしということでしょうか。要するにせっかく言ってきてくれたのだから、それに対して回答してあげないと、あるいは褒めて、いい意見を言っていただきましたと、そういうようなことを行わないと、この苦情処理の考え方が徹底しないのではないかと。
 それから、4ページのところでも、「女性差別撤廃条約選択議定書の早急な批准に局として積極的な調整を図ること」と言われてきた。「次回の報告に向けて適宜フォローしていきたい」とこう書いてあるのだけど、内閣府として回答はしていたのでしょうか。
松原調査官
回答しています。
古橋会長
回答している?
松原調査官
はい。
古橋会長
それならいいのですよ。要するにちゃんと回答をしていたのか、してないのか、それが分かるようにしてくれないと。
 地方公共団体の方では、例えば3ページ、静岡県、「申し出の内容については、県教育委員会に伝えた」ということは、苦情処理専門委員が伝えたと、こう書いてあるのですね。そういうようなことが苦情処理状況だと思うのですけれども、地方公共団体の方が非常によい回答になっているのではないか。
 もう一つ、ここでせっかく挙がってきた議論として注目したいのは、2ページのところで、ミスコンテストについて、例えば一番上のところで、「X市のY協会がミスコンを実施しているが、男女共同参画の趣旨に反するのではないか」ということについて、これをやめさせているのですよね。「いわゆるミスコンテストについて、県では一律に制限する等の対応方針を決めているわけではないが、男女共同参画の視点からみて考慮すべき課題であると認識しており、申出があった旨を主催者側に伝え再検討の依頼をしたい旨を申出者に伝え、X市の男女共同参画担当課を通じてY協会に依頼をした」と、やめるように依頼したとこう言っているのです。
 この問題については、男性の中においてはミスコンテストというものが、本当に男女共同参画のジェンダーの問題で差別になるのか、ならないのかということについては、まだまだ議論があるところだと思うのですね。そういうような問題について、一応こういうものが出てきた以上は、真剣にこれは公式見解としてはいけないというふうに考えるのか、考えないのか。そういう議論をするのが、この専門調査会の役割だと思うのです。ミスコンテストが結構あるのですよ。だけど、そんなこと言ったら、大島のミス椿の女王コンテストだってやっているわけでしょう。これは観光のためにやっているわけですよね。そうするとミスコンテストについてどのように考えるのか。水着だからいけないのかと。
  そういうところが男女共同参画という問題から庶民から提起される現実的具体的問題だから、そういう問題については、せっかくこういう我々が気がつかないような問題が出てきているのだから、ここでこの問題にどう対処するかということを考えるべきではないかと思います。
 例えば3ページ、下から二つ目のところで、これは高校について、「コンドーム使用を含めた性教育を行っているある高校のことを聞いたが、どのような教育が行われているのか心配だ。ジェンダー教育の行き過ぎが問題となっている中で、学校側が家庭に対し授業の情報を伝える工夫をしてほしい。また、全ての高校生に正しい性教育を徹底するためには、予算が必要である。県民としては応援をしたいと考えている」、いいことを言っているのに対して、ただ、「県教育委員会に伝えた」ということであって、県教育委員会はそれではどうしたのか。文部科学省はそれについてどうしたのかというそのフォローがない。ここのところが私は非常に問題だと思う。
 この問題については、大学においてコンドームを販売するかどうかというのは中国でも大問題になっていて、この問題については、この間、私もBSの討論を見ていたのですけれども、二つの議論があって、大学においては置くべきではないという人と、現実を踏まえれば置くべきだという人と大激論をやっているのですね。
 そういうような問題について、高校の場合にはどうなのだと。今の性病の、あるいはHIVの感染の状況や現実から見たら、それは置くべきだという議論と、いや、置いてはいけないという議論があるので、そこいらのところについて、文部科学省にちゃんとこういうところで、こういうのが出てきているのだから、私は聞くべきだと。こういういい議論がいっぱい出てきているのですが、これをきっかけにして、もっと施策を掘り下げていくというのはこの監視・影響調査専門調査会の私は役割だと。非常にいい議論がいっぱい出てきていると思うのですね。
 例えば、3ページのところの17、地方公共団体の、「県情報誌の記事の中に、「数値目標の設定」が掲げられているが、これは、「結果の平等」を求めているものである」と、申出者は断定しているわけですね。「結果の平等を推進することは、県がジェンダーフリーを推進していると捉えられるので、誤った軌道の修正を要望する」とこう書いてある。これは反対派からの要求なのだけれども、答が、「「取組のヒント」は、しずおか男女共同参画推進会議の今後1年間の取組宣言で採択されたものである。県としても、このような男女共同参画社会の実現に向けた自主的な取組が推進されることを期待している。男女共同参画は、男女が等しく機会の均等を得られる社会を目指すものであり、男女間の格差を是正するために「数値目標」を設定して、男女が共に参画しやすい環境を整備することなどの取組は効果的な方法である。県の示す男女共同参画は、画一的に男女の違いを排除しようとするものではない。今後も「男女共同参画社会基本法」や政府見解を踏まえ、正しい理解のもとに男女共同参画が推進されるよう努めていく旨を回答した」と書いてあるのだけれども、結果の平等を求めるものではありませんよということをはっきり言うことと、それから、数値目標というのは、あくまでも努力目標であって、結果をそれになるように強制するものではないということをはっきりと言うべきだと思うのですね。こういうときに、ちゃんとこういう問題については、男女共同参画局として、こういう問題を取り上げて指導するというようなことをしないと、男女共同参画局の、情報を集めても、ただ、集めて出すということでは私はいけないのではないか。そういうのがまだあるのです。
 7ページ、鳥取県、2番目、「国民宿舎のパンフレットなどで女性の入浴姿の写真が掲載してあるが、「男女共同参画」の視点から問題があるのではないか」。回答では「県では、鳥取県男女共同参画推進条例に基づき、県の行う行政広報について、ガイドラインを設けるとともに、印刷業界や市町村にも理解を求めている。該当の町へは意見を伝え、見直しの機会に慎重に協議し女性の人権に十分配慮した表現となるよう心掛けると回答をもらった」と。そうすると、これは悪いのか、よくないのか、次のときまではいいよと。だけど、悪いのか、よくないのか、分からんけれども、この手のことが非常にあいまいなままになっているのですね。
 そうするとどういうふうに、公的機関の広報のときのガイドラインというのを作ったけれども、具体的にガイドラインではこの問題についてどういうふうに書いてあるのか。どういうふうに書いてあるのですか。そういう問題について、これだけ向こうから議論が出てきているのは、それに対応した問題を処理していく必要が私はあると思います。そうしないと、せっかく集めて印刷しても、施策につながらない。
 横田さんが言われたアウトカム、こういう方法をとりましたというのはアウトプット。しかし、その結果、政策としてどういうふうに直しましたというアウトカムが、全く私はまだ分からないと。やっただけでも大変なことなのでしょうけれども、その次のことを考えていただきたい。
 例えば、9ページ、2番目、40というところ、「託児付きの職業訓練があれば、将来の就労にむけて、より前向きに社会参画の構図が具体的に描けるのではないか」、非常にいいことを言っているのですね。「職業訓練学生として既存の保育施設を利用させていただく方向で、保育所の受け入れ対象要件を緩和していただき、保育料の軽減措置もしくは、事業所の一部負担をも含めての行政側の新しい助成制度の導入検討など、子育てをしながらでも生活を維持する為に就労せざるを得ない女性の現状を酌み取っていただきたい」と、非常にいい要求がここへ出てきている。
 それについて、鳥取県に対し、次の4点を提案するということで、これは相談員の方が言われたのでしょうが、「(1)ポリテクセンターなど県内の職業訓練施設の受付窓口用にパンフレット等を作成配布し、一般の県民が求職中や職業訓練中であっても子育ての支援として保育所の利用が可能であることを広報すること。(2)上記広報文書……」と書いてある。これは非常にいいことを言っているので、こういういいことはぱっととらえて、こういうふうなことがありますよということを逆に、問題があるなら別ですが、こういう非常にいい点が指摘されていますということは積極的に1枚紙で出してもよいのではないか。読む人はいないから、こういう点がありましたよというようなことを、特にいい点、こういう点がありましたよ、御参考までということだけを出すとか、そういうことをやらないといけないのではないか。
 特に11ページ、53のところですけれども、「男女共同参画センターの講演で」と、誰が講演したか知りませんけれども、「社会経済情勢の理由から男女共同参画社会づくりが必要との趣旨の発言があったが、男女共同参画の本来の趣旨は、「男女の人権の尊重」ではないか」と、これは前の女性団体の方がよく言うことが出てきているのですね。
  これに対して「男女共同参画センター及び当該講師に苦情の内容を説明し、今後とも、男女の人権には十分配慮して講演を行っていくことを確認した」とこう書いてあるのだけれども、私は本来人権の問題は非常に基本的に重要だと。しかし、基本法前文にあるように、社会経済情勢の変化、少子化であるとか、高度情報化社会、国際化の進展、価値観の多様化とか、そういうようなことで、この男女共同参画は非常に重要であるということは基本法の前文にも書いてあるのだから、人権だけが主ではございませんよということを言う必要があります。社会経済情勢の変化によって、特に今少子化という問題を男女共同参画の運動は直接目指しているものではないけど、男女共同参画を目指せば、少子化対策にもなるというようなことをはっきりと言ってやらないとだめなのではないか。だから、こういうのを見たら、こういうふうにもう少し苦情を利用すべきです。この点も言わないといけませんよということを指導すべきなのではないか、こういうような気がするのですね。
 いろいろとさっと読んだだけでも、もう少し、せっかく集めたならば、これを分析して、いいものは推奨するし、対処がおかしいことについては指導する。そして、いいものについては、それをみんなに参考として送付するという親切さがあっていいのではないかという気が致しました。
 ほかに皆様方の方からどうぞ。
松原調査官
広報については、会長から御発言があったとおり、手引を作成しておりまして、男女いずれかに偏っていないか、性別によってイメージを固定化していないか、男女を対等な関係で描いているか、男女でむやみに異なる表現を使っていないか、むやみに「アイキャッチャー」を用いていないかということを留意点として提案しているところです。
古橋会長
それでは全く具体的じゃないのだね。例えば、温泉に今女性の方が多いわけでしょう。女性を対象として、温泉の中に女性が入って首だけ出しているという問題について、それがいけないというふうに言うのか、言わないのか。
松原調査官
そこは国が……。
古橋会長
だから国が問題なのですよ。だから高校生について、コンドームを渡すということがいいのか、悪いのかと。正に今具体的な問題でこのバックラッシュがあるわけだから、そこいらの問題を政府として関係部署に対して一応議論をしておく。結論は出ないかもしれないけど、そういうようなことがこの苦情処理における必要性ではないかなと私は思うのだけれども。
松原調査官
助言を行うことは考えられるのかもしれませんが、具体的案件について……。
古橋会長
それは地方公共団体に任せたっていいのでしょう。それは、だけど、逃げ口上なんだね、男女共同参画局のそういう考え方は。最終的にやるのは地方公共団体、地方自治なのだから。しかし、そういう問題については、こういう考え方もありますよということを全然言わないのは、私は逆に職務怠慢ではないかなという気がしますけれども。
松原調査官
考え方については、ガイドブック、研修会等でお伝えしていきたいと考えております。
古橋会長
今、それだけの価値判断がないから言えないんでしょう。例えば、さっき観光用の、女性が風呂に入っているという問題については今いけないとこう思っておるのですか。あるいは、しようがないなと思っているのですか。そこいらのところがどうなっているか、その価値判断がないのでしょう。私も分からない。
名取局長
ケース・バイ・ケースじゃないでしょうか。その写真の撮り方とか、使用意図とかによりかなり違うと思います。
古橋会長
だから、そうならそういうような問題をちゃんと、こういう場合にはこうですよというようなことを言ってやらないといけません。それだったらケース・バイ・ケース、こういう問題があるのじゃないですかというぐらいのことは教えてあげないと。
塩満調査課長
例えば地域ブロック会議などを開催する際、あるいは、研修会でも個別事例として地方公共団体の方々と意見交換をしております。私どもは、「苦情処理ガイドブック」なども作成いたしまして、地方の方々のお考えもありますので、またケース・バイ・ケースということもございますので、事情に沿って判断しなければいけないということに留意して意見交換、あるいはより良い対応のための情報交流も進めております。また全般的な事項につきまして、非常に難しい案件につきましては、昨年度から始めているこういう苦情処理の報告をさせていただき、委員の先生方に御意見を伺うというような形で向上を図っていきたいと考えております。
古橋会長
要するにケーススタディーですね。
塩満調査課長
そうですね。
古橋会長
ケーススタディーをやる。だから「苦情処理ガイドブック」というのは、最初の提言の中で言って、ガイドブックができたということは私は非常にいいと思うのですよ。しかし、そのガイドブックの運用の仕方で、もう少しケーススタディーであるとか、そういうようなことをやって、互いの間でこういうものが出てきたときにどういうふうに対応するのかねという答え方。答え方が、今、局長が言われたように、それはケース・バイ・ケースだよと答えるのか、ただ、ああ、すみませんでしたと謝っちゃうのか、そうしたら、何も全部いけないことになっちゃう。女性が風呂へ入っている広報が全部いけないことになる。
 男女共同参画がそこまで言うのかと、逆に観光協会から批判が出たときに、それはどう答えるのですかと。そのときは、そんなことは言っていませんよと言わざるを得ないでしょう。ケース・バイ・ケースで考えるのですと。それは地方公共団体がケース・バイ・ケースで考えるのですというふうに答えるというような言い方をちゃんと言うとか、そういう体制になってないといけないと思います。私は、せっかく苦情処理が出てきたときの体制の問題を言いたいですね。
古川委員
さっき会長が言われたことで、11ページの53、宮崎の話で、「社会経済情勢の理由から……」、多分、この講師の方はかなりどぎつくそこを言われたかも分からんけれども、この申出の内容だけで見ると、地方が講師に苦情の内容を説明し、今後とも、男女の人権に十分配慮して講演を行っていくことを確認した、というふうに言っておりますね。これは、そうすると講師が男女の人権に配慮しなかったというようなことがあったという前提になっているように思うのですね。そうすると、ははあと。これは中身がどぎつかったからと、いろいろ問題があったからだとは思うけれども、社会経済情勢の理由から男女共同参画社会づくりが必要との趣旨の発言が、人権に配慮しなかった話だというふうに、そしたら、こういう話はもうやめましょうとかという話になったら、多分講演に行ったりする人は、物すごくびびる議論だ。
大沢委員
いつもこういう話をしているので。
古川委員
こんな話できないのではないですか。だから、少し……行き過ぎがあったのだろうと思うのですね、分からないけど、これだけでは。だけど、これだけ見て、これが行き過ぎで、人権に配慮するように注意したという、ああ、そうかと。それじゃ、うちの県も注意しなきゃいかんかと思われたら、これは非常にまたおかしいではないかなと、ちょっとそういう感じもするけれども。個人に回答するということもだけど、県が何か処理していて、これをうのみにして、うちの県はこれはというのでは、逆になることもある。
松原調査官
処理結果等を推奨しているわけではないのですが。
古橋会長
だけど、内閣府のホームページに載っけていると言ったのですよ、さっき。載っけるということは、これはオーソライズして載っけることになるのじゃないですか。
古川委員
もうちょっと丁寧に書くとか、しないとね。
古橋会長
苦情処理というのは非常に重要なことなのですよね。我々の方が気がつかないことを言ってきてくれるというのは我々にとってはメリットがある。それから、何度も言うけれども、行政に対して国民が参画するという意識を育てると。日本において非常に後れている、そういうことの絶好のチャンスなのだから、そういう人たちの意欲を阻害しないように、それは大切なのだから、これに対する対応というものはもっともっと力を注いで、エネルギーを注いで、もし、これを出すときにはおいては慎重に考えないといけませんよということを言いたい。
松原調査官
各省や各地方公共団体がここに書いてあることのみが経緯の全体であると受け止められるとは考えにくいのですが。
古橋会長
それは分からないと思う。
袖井委員
例えば、先ほど会長おっしゃったけど、国の対応のところ、すごくそっけないですよね。
古橋会長
苦情を出す意欲がなくなってしまう。
袖井委員
意欲なくなりますよね、本当に。だから、もしあれだったら、もうちょっと丁寧にしたほうがよいですね。
坂橘木委員
多少弁護すれば、国の男女共同参画会議は物すごい人数が限られているし、忙しいし、細かいことは地方に任せましょうというような、やっぱり判断があるのですか。
松原調査官
人数の問題ではなく、男女共同参画会議は、国の施策について、基本的な方針等を調査審議していただいたり、監視や影響調査を行っていただいたりする会議ですから、苦情についても、是非そのきっかけとしていただきたいと思いますが、地方公共団体の事務で国が法令上も予算上も関与していないものについて、国がどこまで意見を申し上げるのが適当かということについては、いろいろな御意見があり得るのではないかと考えますが。
古橋会長
私が言いたいことは、男女共同参画局に非常にきついこと言って申し訳ないのだけれども、男女共同参画局がよくなってほしいから言っているのですけれども、これは松原さんのところだけの問題じゃないのですよ。この苦情処理についての対策的なものを、局の中にちゃんとグループとして、各課に全部つくって、そして四半期ごとに1回とか、何かちゃんと議論をするシステムをつくって、それで議論をしていくというような体制をしなくちゃいけないよということを言いたい。要するに男女共同参画局全体、課ごと全部で、各省から来ているのだから、その人たちを教育する意味においても、この苦情処理についての対応策をどう考えるのだということを議論する場をつくるべきだということを私は言いたいのです。そうしない限り、男女共同参画局の職員も進歩しない。これについて、どうやって議論するのだということを、局長なり、審議官なり、総務課長・先輩が担当者を指導していくというような場にも使えるし、そういうことを私は言いたいのですけれども。
原田審議官
会長の御指摘のとおり、この申出内容というのは、国への申出内容、地方への申出内容含めまして、男女共同参画の取組に大変参考になる問題提起がされているということをまず受け止めて、会長からのお話でもございましたし、でき得れば、今後この専門調査会に定例的にこの処理状況を、ある意味では確認いただき、ある意味ではそこから見えてくる検討材料を問題提起いただき、今後の苦情処理に当たっての方針に反映できるようにという方向が今後確立できればというふうに思います。ただ、その中で反省ですが、それには処理状況をもう少し丁寧に書かなければ、いずれにしても申出者に対しても失礼だし、それからここでの検討にもそぐわないわけですので、特に内閣府の対応ぶりが非常に。
坂橘木委員
内閣府が一番だ、それを言わなかったのだけど。
袖井委員
そうですよね。
原田審議官
それは反省いたします。それから、最後に地方公共団体への対応方針なのですけれども、松原も言っていましたように、個別の事例で個別的対応に関して内閣府が直に言うよりも、ここでもんでいただいて、我々いろんなチャンネルが地方団体の苦情処理の助言に関してありますので、例えば手引もありますし、ブロック会議、研修会もありますので、よほどのケースでない限りは、そういう一般的な形での助言がいいのではないか。あまりにも、しかし、男女共同参画の基本方針に逆行するような、もしそういう処理方針があったら、それはやっぱり当然のことながら地方も国の施策に準じて、地方の事情を加味して、この施策を展開していただくという、その一環で、状況によっては、そういう指導・助言をしなければならない場合もあるかもしれませんが、一般的には、より一般的な方向での助言にとどめた方がいいのではないか。
古橋会長
審議官からのお話で、そういうふうに是非していただきたいと思います。私は苦情処理・監視専門調査会が、監視・影響調査専門調査会になって、「苦情処理」という言葉が抜けたことについては仕方がないなと思っているのですけれども、監視の中には苦情処理に対する取扱いに対する監視ということが入っていると、そういう問題があるということを是非頭に入れていただいて、1年に何回上がってくるんですか、四半期ごとに上がってくるのですか、これは。
松原調査官
1年ごとです。
古橋会長
前年度分で上がってきたものの中で、こういう問題で、ちょっと難しい微妙な問題がありますと。この中で微妙な問題に限って、専門調査会で御議論いただくか、懇談会の形で御議論いただくというようなことが私は必要なのではないかなと。それがこの専門調査会の私は役割だとこう思うのですけれども。ほかにどうぞ、御議論があればお願いいたします。
古川委員
全然別の質問ですけど、地方の場合、たくさん苦情がある県と、全く挙がってない県があるのだけれど、これはどういう理由なのだろう。静岡とか鳥取とかいっぱいある。
坂橘木委員
静岡、12で多いです、鳥取とか。
古橋会長
静岡は反対が多かった。バックラッシュの関係が多かった。鳥取はバックラシュじゃなくて、行政相談員が非常に立派な人がおられて、掘り起こしていただいていると思うのですね。
名取局長
かなり体制とか、その県ごとの力の入れ方みたいなものも、広報のやり方で、いろんなものがあるのだと思います。
古橋会長
だけど、こういうことが、鳥取県ではこういう問題があるよということを各県へ流してあげることは非常に重要だと思いますね。参考になると思う。鳥取県の回答はなかなか立派だと思うのですよ。見て、しっかりしているなと。
坂橘木委員
先ほど会長がミスコンのことを言われたので、皆さんどう思われるか、ちょっとお聞きしたいですが、実は京大で2年前に、これは関西だけしか報道されてないと思いますが、京大の学生がミスコンを自主的にやろうとしたのです。それで女性団体が反対をして、ミスコンなんてやめろと。じゃあ、主催者は、同時に、ミスターコンもやりますと。ミスコンと並列してミスターコンもやるということをやれば、これは女性差別ではないのではないかと言って、けんけんがくがくになりまして、結局これ以上騒ぎが大きくなったらだめだということでやめたのですけど。
古橋会長
両方やめたのですね。
坂橘木委員
両方やめた。ミスターコンを同時にやったら、これは女性差別になるのですか、ならないですか。
松原調査官
学生が自主的に行われるのならば、関係がありませんが、行政が行うのならば、先ほどの手引の趣旨から、差別とはいえないが、望ましくない場合があるという議論はあり得るかもしれません。
古橋会長
アメリカはミスコンテストやっていると言ったかな……。
袖井委員
でも国際的なのには代表が出てくるから……。
古橋会長
出てきますね。
袖井委員
世界一とか。
塩満調査課長
プライベートに行っていますが。
袖井委員
やっていますね。
古橋会長
このプラベートなものはよくて、政府がやるものはいけないということは、やっぱりそれはどこか悪いということがあるから政府はやめているのでしょう。
松原調査官
公的機関の広報等は、模範的であると受け取られることが多いため、特に在り方が問われるということではないかと思います。
袖井委員
でも、例えば「さくらまつり女王」とか、ああいうのはやっていますよ、アメリカなんかは。
坂橘木委員
ワシントン。
袖井委員
ワシントンの、ああいうのをやっていますけど。
名取局長
最近、自治体で「ミス」とかはあまり使いませんけど、「○○大使」とか。
袖井委員
既婚者もいいと言っているのですよね。ありますね。
名取局長
観光とか特産品を宣伝をするために、いろいろな名前付けてやっていますね。
古橋会長
橘木先生、何か1回書いてくださいよ。ミスコンと男女共同参画、どういうふうに考えるか。
古川委員
感じるところあるでしょうけど、興味本位的な、そういうものがあるからやっぱり反発があるのでしょうから、例えばさくらまつりみたいな、伝統的にずっとやっているのは興味本位というわけではないでしょうから。
古橋会長
それだったら、そういうものがある程度認められるなら、こういうものですよというようなことを言うか、言わないか。
古川委員
それはなかなかいわく言い難いところがあると思うのですよね。
古橋会長
水着姿はいけないというのか、ミスターコンであったならば、筋肉隆々が出てきてやるわけでしょう。
坂橘木委員
そうなのですよ。
塩満調査課長
どのポイントで評価していくか。
古橋会長
そこいらのところの考え方を、非常に難しいけれども、現実に困っているのは地方公共団体がそういうことで困っているのですよ。だから、こういうのが出てくるわけですから、そこいらについて、こうやって議論をして、どういうふうにやるかといったら、その場、その場についてのあれを考えなければいけませんよということで言えば、それはそれなりの回答なのですよ。全部いけませんとこう言っちゃうといけないと。そこいらのところが非常に難しい。
古川委員
回答が難しい、書けないところがあるのだ。
新木総務課長
現時点では。なかなか難しい領域だと思いますね。
古川委員
書くことで、また誤解を受けるかも分からん、よほど上手に書かないと。
新木総務課長
今回、一つ、こうだと言ったら、それに対してやっぱり反発がある世界です。
坂橘木委員
今、どうやって我々は対処すべきかというのは、この局全体を始め、何か練る必要があるような印象を持っていますね。
名取局長
正におっしゃるとおりです。ですから、例えばミスコンがいけないと一言言うと、いけないのかという、そういうふうな、また逆の反発が来ると思うのですね。だから丁寧に言わないといけないというところがあるかと思います。
神田委員
私も、今の状況の中では、この苦情の問題というのは非常に重要な意味を持ってきていて、一つ一つに本当に丁寧にきちんと答えていかないといけないと思っています。大変難しいけれども、やはり答えるべきところは答えないと、こういうことが広がりますから。論文やなんかに書くというより、こういうところから広がっていくし、受け入れられたり、受け入れられなかったりするので、難しいところは、みんなで少し検討するというので出していただいた方がいいのではないでしょうか。
名取局長
言い方が難しければ、例えば、こういういい例もありますよ、みたいなものを書くとか、いろいろやる工夫をしながらやる必要があるのかなと。
神田委員
これを見ていると、やはり主張の場になってきていますよね。静岡県なども、そういう傾向があるだけに丁寧にやっていかなければいけないのではないでしょうか。
名取局長
静岡タイプが全国に蔓延して、各地から、みんな一斉にということもあり得るのですね。
神田委員
だから、いろんなことも含めて、この調査会がやるのかどうか。それはまた検討すればよろしいのではないですか。例えば、3ページに、「女性の主張ばかり優先する……」。
古橋会長
地方公共団体の方ですか。
神田委員
地方ではないですね。国の施策で3ページの「女性の主張ばかり優先するから、少子化になる」というのがあるのですよね。「意見・要望として関係施策の担当部署で回覧した」だけでは。
古橋会長
こういうのは反論しておかなくちゃいけない。
神田委員
そうなのです。
古橋会長
何度も言ったけど。
神田委員
こういうのは回覧しただけではどうでしょうか。
坂橘木委員
これは男性が出しているのですか、女性が出しているのか分からないね、国のやつは。地方のやつは男が出しているのか、女が出しているのかで、これは意図的に消しているのですか。
松原調査官
行政相談については、件数が多いことから、まとめています。
名取局長
同じような内容が多いということですね。1件というわけでなくて。
古橋会長
もし、同じようだったらくくってもいいのですよ。この間の基本計画の改定のときと同じような内容でどさっと来るわけですよ。
坂橘木委員
どさっと来るわけですね。
神田委員
だんだん、そういう傾向が出てきていますよね。
古橋会長
ほかにございませんか。
 それでは、本日の審議はここまでとさせていただきますけれども、次回の調査会につきましては、別途事務局から御連絡をさせていただきます。事務局から連絡事項ございますか。
松原調査官
特段ございません。
古橋会長
それでは、ここでちょっとお時間頂きまして、私の方から、監視・影響調査専門調査会に出席いたしますのは、本日で私は最後になることを考えております。かねてから男女共同参画会議を長いことやっておりましたし、専門委員になることも拒んでおったのでありますけれども、基本計画の改定案が専門調査会としてまとまるまでということで一応お引き受けいたしましたけれども、これが今月の20日に、専門調査会としての御意見もまとまるという方向になりましたので、その機会に私としては退かせていただくということにいたしたいと思っております。
 今まで、専門調査会の会長として座長役を務めさせていただきましたけれども、私の不慣れなために皆さん方に大変不快の念を与えたようなこともあったと思いますし、特に事務局なり各省の担当の方々に対しては大変失礼なことを言ったと思いますけれども、これもみんな男女共同参画社会の形成に対する私の情熱の結果だと、こういうふうに考えていただいて御容赦を賜りたいと、こういうふうに思います。
 また、今、大変男女共同参画のバックラッシュの状態がございますので、こういうときにやめることについても、何か逃げていくような感じということになるかもしれませんけれども、しかし、もうそういうことはないように、男女共同参画局なり、皆様方の方でやっていただけるというふうに確信いたしておりますので、退いたわけでございます。
  皆様方のこれまでの御協力に対し、あるいは御指導に対しまして心から御礼を申し上げたいと思いますし、不慣れな司会に対しまして、お詫びを申し上げる次第でございます。
 これからの皆様の御健闘を心からお祈り申し上げまして、私の御礼のごあいさつにさせていただきます。ありがとうございました。
名取局長
一言よろしいでしょうか。
古橋会長
はい。
名取局長
古橋会長に対して感謝の言葉を述べさせていただきたいと思います。
 古橋会長におかれましては、本日のこの専門調査会を最後に監視・影響調査専門調査会から退かれたいという御申出でございまして、何度も御慰留いたしましたのですけれども、どうしても御意思が固くて、本日もどうしてもおやめになるということで、やむを得ずお受けすることになりました。
 古橋会長は、そもそも男女共同参画行政に基本法が大事だということを日本で初めておっしゃった方なのです。ですから正に基本法の父と言うべき方だと思います。平成6年に男女共同参画審議会が、これは3年時限でございましたが、法令に基づく審議会として誕生し、その部会長として御就任いただきまして、その後、平成9年には法律に基づきます男女共同参画審議会の会長代理として御就任いただきまして、そして、ここで男女共同参画社会基本法について非常に精力的に御審議いただきまして、すばらしい答申を頂き、それを基に政府は法律案をつくりまして、そして平成11年に全会一致で可決・成立したことは本当に昨日のように覚えております。これもひとえに古橋先生のおかげさまでございました。
 また、平成13年からは男女共同参画会議の議員、平成17年からは専門調査会委員に御就任いただきました。初代の苦情処理・監視専門調査会及び監視・影響調査専門調査会の会長として、また、基本問題専門調査会及び男女共同参画基本計画に関する専門調査会の会長代理として長く男女共同参画行政に御尽力いただきました。
 古橋会長には、平成13年に男女共同参画会議が設置された後だけでも、20日に開催されます、来週月曜日でございますが、基本計画に関する専門調査会を含めますと、実に96回の参画会議と専門調査会に御出席いただいたことになります。ですから、その前も入れますと軽く100回は十分オーバーしております。
 特に、本専門調査会の前身であります苦情処理・監視専門調査会につきましては、会長として「審議会等委員への女性の参画」、「女性国家公務員の採用等」、「両立支援」、「情報の収集・整備・提供」、「施策についての苦情の処理及び人権侵害における被害者の救済」、「ODA」、「国際規範・規準」について御意見を取りまとめていただくなど、格別なる御識見と指導力を持って精力的に取り組んでいただきまして、男女共同参画会議の監視等の機能が、男女共同参画社会の形成という観点から極めて有効な手段であることをお示しいただきました。EUの男女共同参画に関するエグゼクティブの方が見えまして、正に監視・影響調査がジェンダー・メインストリームの本当に有効な機能であるということを、褒めてくださったことを覚えております。
 古橋会長におかれましては、ここで去ってしまわれますのは、大変残念なことでございますけれども、今まで公私にわたりまして男女共同参画につきまして、本当に推進していただきましたことを考えますと、これ以上お引止めするということもなかなかまいりませんが、今後とも、男女共同参画行政に御理解と御協力を頂き、また、私どもに御助言くださいますように、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうも、本当に長い間、御指導いただきまして、ありがとうございました。
古橋会長
どうも過分なお言葉を頂きまして恐縮でございます。
 それでは、本日の会議はこれで終わります。
 大変皆様、ありがとうございました。

(以上)