監視・影響調査専門調査会(第4回)議事録

  • 日時: 平成17年6月27日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 経済産業省別館825会議室
  1. 出席委員:
    • 古橋会長
    • 大沢委員
    • 神田委員
    • 佐藤委員
    • 林委員
    • 古川委員
    • 山口委員
    • 山谷委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 女子差別撤廃委員会(CEDAW)勧告に対する各府省における取組状況について
      • <1>内閣府から説明
      • <2>質疑応答

(配布資料)

資料1
女子差別撤廃委員会からの最終コメント指摘事項に対する取組の状況について [PDF形式:120KB] 別ウインドウで開きます
古橋会長
それでは、時間が参りましたので、ただ今から男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第4回会合を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、大変暑い中、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 それでは、本日の会議を進めさせていただきますが、お手元の議事次第にございますように、本日は女子差別撤廃委員会に対する各府省における取組状況について討議することと致しております。御案内のとおり、平成15年8月7日に女子差別撤廃委員会から最終コメントが公表されまして、これを受けまして、平成15年11月28日に開催されました苦情処理・監視専門調査会におきましては、最終コメントに対する政府としての取組の方向性を聴取したところでございます。
 また、昨年7月28日に開催されました男女共同参画会議において決定されました「国際規範・基準の国内の取り入れ・浸透について」につきましては、この苦情処理・監視専門調査会の検討の結果も入れまして、それを踏まえまして提言をし、今後1、2年後に再び監視を行う必要性があるとしたところでございます。本日はこれらの経緯を踏まえまして、その後の取組状況が取りまとめられましたので、内閣府から報告をしていただきまして、その後、関係府省の担当官の方々に質問をし、審議を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、内閣府の男女共同参画局の高安推進官から、この取りまとめいたしました資料につきまして、まとめて説明をしていただきたいと思います。
内閣府(高安推進官)
推進官の高安でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料の方を最初に御覧いただきたいんですが、資料1というA4横長のペーパーでございます。こちらの資料1の方を使いまして、本日はフォローアップにつきまして説明したいと思っております。
 この資料は三つの部分に分かれておりまして、一番左の部分、こちらが女子差別撤廃委員会による勧告の部分でございます。次に真ん中の部分です。こちらにつきましては、一昨年、当時の苦情処理・監視専門調査会で報告された最終コメントに対する各省庁の取組の方向性、これが真ん中の箱の中に掲げられております。そして、一番右の部分、これが今回付け加わった部分でございますが、昨年からのこの1年間における各省庁の取組、これがどういった状況であるかということが示されているということでございまして、今回、付け加わった一番右の部分を中心に説明いたしますが、全体の流れ上、左の「勧告」、「取組の方向性」も若干触れながら、「取組の状況」について重点的に説明していきたいと思っております。
 では、ここで勧告のパラグラフごとに施策の実施状況について簡単に説明していきます。
 まず、1ページ目のパラグラフ「22」でございます。一番左に「22.」と書いてあるところでございますが、第1点目の勧告、これは女性に対する差別の定義の国内法へのとりこみということでございまして、このパラグラフ22の勧告は大きく分けて二つの項目から構成されております。
 第1の項目でございますが、条約の第1条に沿った直接及び間接を含む女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれることが勧告されております。これにつきまして、昨年監視をしていただいた結果、報告書の方で雇用の分野について実効性のある対応を検討するとともに、他の分野についても内閣府及び関係省において何が間接差別に当たるか検討していく必要があるとの見解が示されたところでございます。
 これに対して実施された取組、一番右の部分、今回付け加わった部分でございますが、ここは厚生労働省から男女雇用機会均等政策研究会の報告書において、平成16年6月に出されたものですが、間接差別の概念を整理いたしまして、間接差別として考えられる例を明示したといった点が報告されているところでございます。また、報告書の結果も受けまして、間接差別の禁止も含め、男女雇用機会均等の更なる推進のための方策について、関係審議会で議論を行うという今後の方向性も示されております。
 次に第2の項目、意識啓発キャンペーンを行うことでございますが、これは2ページ目でございます。この勧告に対して実行された取組、一番右の部分でございますが、これは内閣府におきまして、内閣府から啓発ビデオや広報誌を作成、配布したとともに、地域の若手リーダーを集めた意見交換会を開催するなど、意識啓発に係る活動を行った旨が報告されているところでございます。
 次に、2点目の勧告、固定的役割分担意識の解消に向けた取組でございます。これは3ページ目のパラグラフ「24」が相当いたします。
 このパラグラフ「24」の勧告は大きく三つの項目から構成されております。第1の項目と致しまして、人権教育、男女平等教育、子育ての責任を分かち合う考え方を普及することが勧告されているわけでございます。これに対して実施された取組としては、法務省から人権週間を中心とした各種啓発活動を行ったこと、また、文部科学省から小中高等学校で人権の尊重や男女平等などにつき、適切な指導を推進したこと等が報告されております。
 第2の項目でございます。これは1ページをめくっていただきまして、4ページ目の一番下になります。条約や政府の男女共同参画に対する取組についての情報提供することが勧告されているわけでございます。これについて実施された取組と致しましては、内閣府からホームページ、参画週間など、各種イベント、広報誌などを利用した啓発活動を行ったことが報告されております。
 次に5ページ目でございますが、二つ目の勧告の第3の項目と致しまして、メディアが女性のポジティブなイメージなどを伝えること、これが奨励されているわけでございます。これに対して実施された取組と致しましては、内閣府から「えがりてネットワーク」を通じたメディア関連団体との意見交換を行った点、また総務省から男女共同参画基本計画の理解と協力を文書にて要請しており、今後必要に応じて、趣旨の周知徹底に努めていく、こういった点が報告されております。
 次に第3点目のドメスティック・バイオレンス、これは6ページ目でございます。ドメスティック・バイオレンスを含む、女性に対する暴力の問題に対する取組に対する勧告でございます。これはパラグラフ「26」という勧告になります。こちらのパラグラフ「26」の勧告は大きく五つの項目から構成されておりまして、第1の項目と致しましては、配偶者暴力防止法をさまざまな形態の暴力に拡大することが勧告されているわけでございます。
 これに関しまして、昨年の監視報告書におきましては、改正後の配偶者暴力防止法を円滑に施行するとともに、引き続き女性に対する暴力の実態を調査検討し、暴力の防止及び被害者等の保護の充実に努める必要がある。そういった意見が付されております。
 そして、これに対する取組と致しましては、内閣府及び法務省から6ページ以降でございますが、平成16年12月に法が施行されまして、7ページに改正の内容が書いてありますが、主に配偶者からの暴力の定義の拡大、保護命令制度の拡充等が実現された点が報告されております。また同じく16年12月にこれは7ページ目の下の方にあるポツ、法務省の上にあるポツなんですが、16年12月にDV法に基づき都道府県が作成する基本計画の指針となる配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針を策定したという点が報告されております。
 また、第2の項目と致しまして、これは8ページ目でございますが、現行刑法で2年以上の有期懲役とされている強姦罪の罰則を強化すること、また近親姦を個別の犯罪として刑罰法令に含めることと等が勧告されております。
 これに対して示された方向でございますが、これは1年前の各省庁によって示された方向でございますが、国連からの勧告を受けて、法務省は強姦罪の法定刑については、凶悪犯罪との対処の在り方との問題とも併せ、検討していきたいという方向性が出されたわけでございます。
 これに関しまして、昨年の監視報告書では、法定刑の引上げを検討すべきであり、法制審議会における調査、審議に期待したいという意見が付されたということでございます。また、同じく監視報告書におきまして、近親姦については、家庭内における性的虐待の項目の中で、悪質な事案につき、厳正に対処して加害者を処罰するために、まずは事案の顕在化を促すということを第一に考えていく必要がある。また、特に児童に対する性的虐待については、被害者が訴え出ることが困難であるという特性に配慮する必要があるという点からも、被害者に対する相談活動の充実を図るべきという指摘が、これは昨年の監視報告書の方でなされたわけでございます。これに対して実施された取組と致しましては、これは9ページ以降ですが、強姦罪の法定刑を引き上げること等を内容とした刑法の一部を改正する法律案を第161 回国会に提出いたしまして、16年12月に法律成立、17年1月から施行された点が法務省の方から報告されております。
 また、これは今回の取組ではなく、その前の取組の方向性というところではありますが、親族間における性交渉を強いる行為について、暴力、脅迫を伴ったり、事実上の影響力を及ぼしたりした場合には、刑法の強姦罪、強制わいせつ罪や児童福祉法違反の罪として処罰され得るということを明らかにした上で、検察当局は親族間における事案に対しても、事案に応じて厳正に対処していくという方向性が、これは1年前に示されたわけでございます。
 第3の項目、女性に対する暴力に係る勧告の第3の項目でございますが、暴力の防止、DV等の被害者を保護支援することといったことが勧告されております。これは10ページ目になります。これに対して実施された取組と致しましては、まず内閣府では、ホームページ等による情報提供を行ったという点、また警察庁から「配偶者からの暴力による被害を自ら防止するための警察本部長等による援助に関する規則」を制定いたしまして、これは具体的には加害者に援助申出人の住所等を知られないようにする、例えば、加害者からの捜索願を登録しないとか、加害者が住民基本台帳の情報請求を利用して住所を調べようとした場合、適切な対応を依頼する等の対応をこの規則に基づいて行っているという点が警察庁から報告されております。また、同じく警察庁から性犯罪の被害者に対して専用相談電話の設置でありますとか、女性警察職員等によるカウンセリングを行った点、また法務省からDVに関する刑事事件について、警察と連携しながら所要の捜査を行った上、事案の特性を勘案しつつ、適切な処理に努めている点、これは11ページ目です、また、次の12ページにおきましては、厚生労働省から各都道府県でDV相談担当職員に対する研修を行った点が報告されています。
 また、第4の項目と致しまして、13ページになりますが、外国人妻の在留資格を弾力的に運用することが勧告されております。これに対して実施された取組と致しましては、法務省から、DVを理由として別居又は離婚の状況が発生した外国人女性から、在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請がなされた場合においては、当該女性が置かれている状況を総合的に考慮して、適切に在留資格の判断を行っており、人道面に十分配慮した取扱いの徹底を行っているといった点が報告されております。
 また、3番目の勧告の第5の項目と致しまして、14ページ目になりますが、従軍慰安婦問題の最終的解決を見出す努力をすることが勧告されているわけでございます。これにつきましては、実施された取組と致しまして、外務省からアジア女性基金を通じた事業を実施しているといった点が報告されております。また、基金につきましては、平成19年3月に解散するとの方針が発表された旨、記述した上で、今後も解散までの間、基金が培ってきた経験や知見をいかしながら紛争と女性の問題等、今日的な女性の名誉と尊厳に関する問題について取り組んでいくという方向性が示されたところでございます。
 次に、第4点目のトラフィッキングと闘うための取組強化でございます。これは次の15ページ目、パラグラフ「28」が相当いたします。
 これに対しまして、昨年の監視報告書におきましては、既存法律を積極的に活用するとともに、加害者の処罰の強化について法的措置も含めて検討し、被害者の保護に配慮することが必要である。また、さらに人身取引議定書について、早急に同議定書を実施するための関係国内法の整備を検討した上、締結を図るべきという意見が付されております。
 これら勧告、報告書における指摘等に対して実施した取組と致しまして、これは15ページでございますが、内閣官房から、さきに設置した「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」において、16年12月に人身取引の防止・撲滅及び被害者保護などから成る包括的・総合的な対策として、「人身取引対策行動計画」というものを策定した点が報告され、掲げられた施策の着実な推進を図るという方向性が、こちらの取組の状況のところに示されているということでございます。また、警察庁から人身取引被害者に係るデータ収集について、都道府県県警から報告された平成15年以降の結果を警察庁のホームページ上で公開しているという点、また16ページ目になりますが、法務省から国際組織犯罪防止条約人身取引議定書等の早期締結に向け、刑法に人身売買罪等を新設する等を内容とした刑法等の一部を改正する法律案を提出し、この法律が平成17年6月に成立いたしまして、同年、今年の7月に施行される点が報告されております。
 またさらに17ページ目になりますが、外務省から人身取引議定書の締結の承認を今次国会で得た点、また、人身取引対策行動計画に基づくさまざまな取組を行った点、これが報告されております。
 また、19ページ目になりますが、厚生労働省から婦人相談所からの委託により、民間シェルター等においても人身取引被害者の一時保護を実施しているといったことが報告されております。
 4番目の勧告は以上でございまして、次に19ページ目の5番目の勧告になります。5番目の勧告につきましては、パラグラフ「30」ということでございますが、次回の報告におけるマイノリティ女性に関する情報提供でございます。この勧告につきましては、内閣府は関係各省庁と十分協議しつつ、次回の報告での取扱いについて検討を進めていきたいとしており、現在も、この方向性が検討中であるということでございます。
 次に第6点目の20ページ目のパラグラフ「32」でございます。こちらは公的活動の分野における女性参画推進に向けた取組につき勧告されております。この公的部門における女性参画推進に向けた取組の方向性につきましては、昨年の監視報告書で、目標達成のため、政府は率先して女性の登用に取り組んでいく必要があるといった意見が付されております。
 これらに対して実施された取組と致しましては、まず20ページでございますが、内閣府から国の審議会等委員の割合について、目標期限も迫っていることから、各省庁に積極的な努力を要請している点、またチャレンジサイト、チャレンジキャンペーン、チャレンジ賞などの諸々のチャレンジ支援策に関連する取組を行っている点が報告されております。
 また、22ページ目でございますが、総務省から「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」の申合せを踏まえ、女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大を図ることを各省庁に要請したとともに、当該申合せ、これは2010年ころにI種事務系の女性の採用比率を30%程度にすると、そういったものでございますが、に基づき、毎年1回、採用の拡大状況等のフォローアップを行い、結果を公表するという点が総務省から22ページにおいて報告されているということに加え、23ページ目でございますが、人事院から女性幹部職員を育成登用するための研究会を設置いたしまして、17年6月に報告書を取りまとめ、この報告書を踏まえ、「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」について、本年中に見直す予定であるという点が報告されております。
 次に23ページ目でございますが、第7点目の暫定的特別措置を用いた労働市場における男女機会均等の実現、家庭と仕事の両立支援策の強化でございます。これは7番目の勧告でございまして、これは23ページ目のパラグラフ「34」が相当いたします。
 パラグラフ34の勧告は大きく五つの項目から構成されまして、第1の項目と致しましては、雇用機会均等法に関連するガイドラインの改正が勧告されております。これにつきましては、厚生労働省から平成16年6月に男女雇用機会均等政策研究会に報告書が取りまとめられ、16年9月からこの報告書を受け、男女雇用機会均等等の更なる推進のための方策について、関係審議会において議論が行われている点が報告されております。
 次に24ページ目でございますが、7番目の勧告の第2の項目と致しまして、男女の事実上の機会均等の実現を促進するよう努力することが勧告されております。続きまして、第3の項目と致しまして、水平的・垂直的な職務分離を撤廃するための取組を行うことが勧告されております。これに関して昨年の監視報告書では、政府は民間における積極的な取組の働きかけを行う必要があるという意見が付されたわけでございます。
 これらを受けまして、24ページ目以降を御覧いただきたいのですが、厚生労働省から均等推進企業表彰を行っておりますとか、女性の活躍推進協議会を開催しておりますとか、ポジティブ・アクションの効果的推進方策について関連審議会において議論しておりますとか、そういった取組が報告されております。
 次に第4の項目と致しまして、これは26ページ目でございますが、家族的責任と職業上の責任の両立を可能とするための施策の強化といったものが勧告されております。これについて実施された取組と致しましては、厚生労働省から、26ページ目、平成16年12月に「子ども・子育て応援プラン」が策定されまして、これに基づき育児休業制度の定着、育児休業取得の促進、男性の子育て参加の促進、長時間にわたる時間外労働の是正等に向け取り組んでいるといった点が報告されております。
 また、27ページ目になりますが、育児休業制度等をより利用しやすい仕組みとすることを目的とした「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律」が平成16年12月に成立し、17年4月から施行されたという点が報告されております。これは27ページ目のところでございます。
 さらに、その下の文部科学省と書いているところの2個上のパラグラフでございますが、待機児童ゼロ作戦について、14年度から16年度までに15万人の保育所受入児童数の増加を図る取組を推進し、平成16年4月には待機児童数が5年ぶりに減少に転じた点などが報告されております。
 また、7番目の勧告の第5の項目と致しましては、同じく27ページでございますが、女性の役割についての固定観念の是正というものが勧告されているわけでございますが、文部科学省により、新家庭教育手帳の作成、配布などの取組を行ったということが報告されております。
 さらに28ページ目でございますが、第8番目の勧告と致しまして、パラグラフ「36」、民法に存在する差別的な法規定の撤廃というものが示されております。これに対する取組の方向性と致しましては、法務省から民法の婚姻制度等に関する規定の見直し作業を法制審議会が進めた結果、婚姻最低年齢、離婚後の女性の再婚禁止期間、夫婦の氏の選択などの問題を含んだ「民法の一部を改正する法律案要綱」が平成8年に答申されたことを示した上で、これらの問題は家族制度の在り方や国民生活にかかわる重要な問題と認識しており、答申の内容に沿った民法改正については、大方の国民の理解を得ることができるような状況で行うことが相当であると考えているとの認識が示されています。
 これに対応しまして、ホームページやタウンミーティング等を通じまして、選択的夫婦別氏制度や法制審議会の答申内容等の広報を行ったという取組について法務省から報告がございました。
 次に第9番目の勧告でございます人権委員会の独立性担保でございます。
 これは29ページ目のパラグラフ「38」が相当いたします。これに対して実施された取組と致しましては、法務省から廃案となった人権擁護法案の再提出を目指して最大限努力するという報告を頂いておりまして、現在においても早期に再提出するための作業を精力的に進めているという点について示しているところでございます。
 最後でございますが、第10点目の選択議定書の批准の検討の継続に関する勧告でございます。これは30ページ目のパラグラフ「39」が相当いたします。
 これにつきましては、昨年の監視報告書におきまして、批准の可能性について早期に検討する必要があるとの意見が付されております。これらに対して実施された取組でございますが、これにつきましては、外務省から自由権規約選択議定書の具体的事例を収集し、委員会及び関係国の対応について検討している点を示した上で、選択議定書については、このような研究を通じて、締結の是非につき、真剣かつ慎重に検討しているということを昨年の取組の方向性で示したわけでございますが、現在におきましても引き続き検討中であるという旨、報告を受けております。
 以上、10の勧告につきまして、それぞれの省庁から提出されました取組の状況について簡単に説明いたしました。私からの説明は以上でございます。
古橋会長
ありがとうございました。ここに参加されている委員の方は、前回の苦情処理・監視専門調査会でこの問題について議論された方もおられると思いますけれども、私からまず最初に、資料について一般的な注文をしておきたいんです。
 各局から提出資料をまとめていただいたことについては、評価いたしますけれども、もう少しわかりやすくしていただきたい。まず勧告の欄のところもいっぱい書いてありますけど、事項別に整理するなど目で見てぱっとわかるようにしてほしい。
 それから「取組の方向性」と「取組の状況」というのは各省からの意見をそのまま書いているけれども、まず第一に取組の方向性ということは、苦情処理・監視専門調査会が提言したことを書くべきではないか。あるいはまた、チャレンジ支援対策で書いたことを書くべきではないかと。要するに、男女共同参画会議で提言したことをここに書くと。それに対して、各省の取組の方向性なり、取組の状況は、その次の欄に一緒にまとめて書かないと、読んだときに取組の方向性と取組の状況がダブっているのもあるし、取組の方向性と取組の状況との関係がよくわからない。この監視・影響調査専門調査会では、男女共同参画会議としての決定で、どういうふうに今行われているかということを監視するということで審議しているんですから、そこがはっきりわかるような形にしてほしいと。今、高安推進官は苦情処理・監視専門調査会はこういうふうに言っていました、提言がありました、と口頭で加えていただいたのでわかりやすいんですけれども、ここのところには、この専門調査会で今まで言ったこと、あるいはよその専門調査会で言ったことというものをまず書いていただいて、それに対する各省の取組の状況をまた別途書くというふうにしていただいた方が、私はわかりやすいのではないかなという気が致します。
 それからもう一つは、その条項について、各管掌別に内閣府とか、縦割に書いてありますけれども、そうではなくて、事項別にもっと相互調整をしたところで、この資料をつくってほしいと。随分ダブって書いてある。最初の立法するところでは、立法の問題、条約の批准の問題なら批准の問題については、どう考えるか。実際にやった運用上の問題ならば、運用上の問題についてはどういうふうにやっていますというふうに、事項別にわかるようにした方が説明しやすいんではないかなと。そこのところをもう少し全体として総合調整をしていただいて書いていただきたいというのが、私の考えです。そうしないと、なかなか頭の整理ができないと思いますので、できれば、そういうふうにしていただきたいと思います。
 それでは、今頂きました報告について御発言なり、御質疑をお願いいたしたいと思いますが、非常に多事にわたりますので、またいつものとおり、ページ数を限りながら事項別に検討し、御意見を賜りたいと思います。
 第1が項目の22のところでございます。「直接差別及び間接差別を含む差別の定義のとりこみ」と、それに対する「意識啓発キャンペーン」の問題、これについて1ページと2ページでありますが、御意見がありましたら順次御発言を願いたいと思います。
 皆さんが考えられている間に、まずちょっと。関係審議会において議論を行っているところであるという問題について、期限をどの程度に見越して議論をしておられるんでしょうか。何が間接差別であるかということについて、大体の具体的な例をお出しになったのは、私も報告を頂いていますけれども、この報告書を受け、間接差別の禁止を含め、男女雇用機会均等の更なる推進のための方策について、関係審議会で議論を行っているところであるという点、どんな議論をどういう方向で、かついつまでにおやりになろうとしているのかというのが第1点。
 それから、この勧告は間接差別についての意識啓発キャンペーンについて言っていると思うんです。取り分け、間接差別の意味と範囲について、特に国会議員、司法関係者、法曹一般を対象とした意識啓発のためのキャンペーンを行うことを勧告すると。間接差別について具体的に、この意識キャンペーンというものを、どういうふうに行っておられるのか、行ったのか、そこについて2番目に意見を伺いたいと思います。ほかの方質問があればどうぞ。
横田委員
全体にかかることですので、ちょっと言わせていただきますけれども、まず、古橋会長が言われたように、「取組の方向性」と「取組の状況」というのは、何か意味もわかりにくいですね。私なんかがわかりやすいと思うのは、こういうふうに指摘された問題を、日本においてどう認識しているかということを書いてもらいたいわけです。つまり、それぞれの関係省庁が、その指摘された問題をどう認識しているか、なるほど指摘のとおり、これは問題があると思っているのかどうか。それと同時に、ここまでやってきたということを説明するのが現状の認識ですね。そして右の方には、これから取り組もうとしていることを、例えば立法措置を検討しているとか、国民に対する啓発活動を検討しているとか、そういうことが書いてあった方が、私はわかりやすいのではないかという気がします。これは全体に関係することですので、一言申し上げておきます。
 それともう1点、全体に関することですが、最初にも出てきますが、こういうキャンペーンを行っている、こういう啓発活動を行っているということが書いてあります。私は、日本はほかの国と比べてもそういう意味で言うと量的にはものすごくよくやっている国だと思います。ところが、国際社会でそれが評価されない一つの理由は、結果として数字が良くなっているかどうかという効果の問題ですね。最近、御存知のとおり国際社会では、ニューパブリックマネジメント(NPM)という分析手法を使っています。これだけのパンフレットを作って配布しました、これだけのことを啓発活動でやりました、と言うことは、もちろんやらないよりは、いいことです。それは普通努力の結果としてのアウトプット(成果)という言葉を使うわけなんです。アウトプットはいいのだけれども、そのアウトプットの結果、実際にどういうふうに改善されたかというアウトカム(効果)のところまでもフォローしないと、実際は意味がないという考え方ですね。そろそろ、この国際機関等からの問い合わせに対する答えについては、そこまでも目を配って日本としては努力しているのだということがわかるように書いた方がいいのではないか。今のところ全体として見ますと、少し結果の数字だけが出ていて、それを良くしようという姿勢のところもありますが、大部分は、正にアウトプットが中心的に報告されているという感じがするのです。以上の2点、ちょっと気になりましたので発言させていただきました。
古橋会長
もう一つ、今のところで日本政府として、勧告をどういうふうに感じているか。各省がいろいろ言っているんじゃなくて、日本政府としてどういうふうに感じているかということを総合的に考えていかないといけないと思うんです。勧告の意見について、どういうふうに日本政府として考え、こういうふうにしますよというような書き方にしないと、これからの来年の9月までの報告のときに、各省調整は全くできないのではないかという気がするんです。従来どおりのことをやってしまうのではないかなという気がします。
 横田委員ありがとうございました。それから、質問の方だけまずいきましょう。
大沢委員
関連したことなんですが、やはり、どういう目標を立てて、結果がどれだけ進歩しているのかというようなことが、こういった取組の状況について報告されるときに必要なのではないかなというふうに思います。つい先ごろオランダの雇用省に行って、ちょっと話を聞いてきたんですが、そこでもやはり数値において、どの程度まで目標に達成したのかというような報告がホームページで出されていました。これに対して取組がこれだけ不十分であって、ここが問題であるというようなことが議論されて、次の政策が策定されています。その関連で間接差別について言いますと、今、日本の状況というのは、非常に深刻な間接差別の問題が生じているのではないかと思います。特に雇用形態の間での差が非常に大きくなってきて、大きな問題でありますので、取組をしているのは間接差別が何であるかということを明らかにした点では非常に重要だと思うのですが、もう少し突っ込んで、この点について何が間接差別で、何が日本の問題で、それに関して、今後早急に取り組むべき問題が何なのかというようなことも、やはり各省庁の間で検討されることが必要なのではないかというふうに思いました。
 以上です。
古橋会長
ありがとうございました。間接差別の「差別」という定義が決まれば、差別になりますから、それは直さなくちゃいけないということに当然なっていくと思うんです。したがって、まずその前の何が間接差別かということを法律上きちんと明らかにするということが非常に重要だと思いますし、その後の取扱いも含めて検討する必要があると思いますが、それではひとつ回答をお願いします。内閣府。
内閣府(高安推進官)
一番最初に全体にかかることでございますので、横田委員からの御指摘について回答いたします。
 まず、横田委員から、勧告に対して問題がどこにあるかということを示した上でというお話をいただきましたが、問題がどこにあるかにつきましては、昨年取組の方向性を決定する際に、この勧告というのが妥当なものか、要は女子差別撤廃委員会委員が日本の状況をきちんと理解した上で、こういった勧告を出したのかということについて、まず去年、いろいろ議論をしまして、その結果、この取組の方向性と、足りないと思う部分は率直に認め、そこを取り組んでいこうということで方向性を出したわけでして、問題があるかどうかという点の吟味というのは、昨年の段階である程度済んでいると考えております。
 そしてあと、アウトプットとアウトカムの件でございますが、勧告と、勧告に対する方向性が出て、まだ1年足らずということもございまして、アウトカムが出るまではまだ少し時間がかかるのかなということもございます。どちらにしても第6回の報告書というのが、来年の9月ごろまでには提出しなければいけないという期限がございますので、そのときに可能な限り、可能なものについてはアウトプットだけではなく、アウトカムについても書ければいいのかなと考えております。
横田委員
そういう方向で検討していらっしゃるということは、大変結構だと思うのですが、今、ちょっとおっしゃったことの中で、昨年から今年、そして来年という期間でおっしゃいましたけれども、国際的な人権機関で検討する場合には、前の勧告がどう受け止められて、次の勧告の時期までにどのぐらいの進展があったかという、そういう期間を見ていますので、5年だったら5年ですね。ですから、当然、アウトカムがある程度見えてこなければおかしい期間になるわけなのです。そのときに見えていなければ、やはり勧告は繰り返されるということになります。100 %の改善ということはどこの国でもあり得ないのですが、はっきりとした改善が見られれば、それはそれなりに評価されるわけですから、やはり前の勧告のときから比べて、どうなったかということを審査する方は見ていますので、私としては、そのようなスパンで考えていただいた方がいいと思います。
古橋会長
ありがとうございました。それでは厚生労働省、答えてください。
厚生労働省(六本雇用均等政策課長補佐)
厚生労働省でございます。雇用の分野について、間接差別の検討状況についてお答えいたしますと、現在、労働政策審議会の雇用均等分科会において検討を行っておりまして、今年の年末をめどに結論を出していただくということでお願いをしているところであります。
古橋会長
そうすると、来年の9月の報告のときまでには、その内容は書けるわけですね。
厚生労働省(六本雇用均等政策課長補佐)
雇用均等分科会で何らかの策が必要ということになるかどうかということ次第だと思いますけれども。
古橋会長
わかりました。それから意識啓発キャンペーンは、間接差別について、私は前回のときからずっと申し上げているんだけれども、前の基本法の小委員長をやっているときに残された問題も間接差別の問題なんですよね。今の基本法はそういうようなものも入りますよ、禁止することも入りますよということになっているんだけれども、それは今、司法の判断に任せられることになっているわけです。この間接差別が非常に重要だよというキャンペーン、意識啓発、特に司法とか、そういうところに対する、日本の場合は法律の改正ができる前の司法による裁判例が非常に重要になりますから、司法に対するキャンペーンというものは、どの程度行われていたのかということが非常に重要だと思うんです。そこらのところについての間接差別についての意識啓発キャンペーンというのは行われていたのか、いないのか。そこの事実関係をまず聞きたいんですけれども。
林委員
間接差別について、ここに書かれていることを見ると、社会的合意の動向を注視しつつ適切に対応していくということが結論としてありますが、その前段で、既に基本法には間接的な差別の取扱いが含まれていると言い切っているんですね。言い切っているのに、なぜ社会的合意を注視するというレベルにとどまるのかというところが、私には少しわかりにくいんですね。そのあたりをどのように考えておられるのか、差別であるということを法律で規定しましたよと明言したら、そうしたら、そのことは社会的合意の動向を注視するのではなくて、むしろもっと古橋会長がおっしゃったように、リードしていく側で何を具体的にやったのかというところが見えないと、法律に含まれているというふうに言い切れないというふうな感じが私はします。その部分が雇用の分野以外のところでの大きな認識だと思うんです。それがあって、雇用のところで具体化していくということになると思うんですが。
古橋会長
それについては、私どもの理解は間接差別については、人によってその範囲を何にするかというのが非常に違いますよと。雇用関係については、こういうふうに定義をすることによって、ある程度具体的にできるでしょうと。英米法でも定義をして禁止をしているわけです。しかし、夫婦別姓、あるいはパートの賃金格差は間接差別だというふうに言うのか言わないのかとか、パートの場合は雇用関係に入るのかもしれませんけれども、そうじゃなくて夫婦別姓であるとか、そういうようなものについて、これは間接差別だよという人と言わないという人があることについては、まだまだ世論がまとまっていないんじゃないか。特に夫婦別姓なんて、選択的夫婦別氏制にしても、これだけの議論になってしまっているわけですから、まずできるものの雇用関係から間接差別の定義をすべきだというのでやっておるわけです。
 そこで前の方の、私は雇用関係だけをここに書けばいいと言ったんだけれども、皆さんから社会的なものも書くべきだという意見もありました。特によその省から内閣府がやるべきじゃないかというようなことで書かされたんですけれども、私はまず、雇用関係をやれば、女子差別撤廃委員会からの要望については答えられるんじゃないかなという気が致しております。そこのところは、皆様方の御意見を聞きたいと思いますけれども、私はまず、雇用関係の間接差別というものを日本はやるべきであると。それが第一前提であると。さらにまた、今雇用関係以外の間接差別については、これについて世論が分かれているから、こういう問題があるんだよという意識啓発を、まず、次にやるべき問題ではないかなと。こういうふうに考えているんですけれども、これについては、林委員、いかがですか。
林委員
もちろん、私もそういうふうに思っております。そんな考えでお話を以前したことがありますが、ここで勧告しているのは、雇用分野だけではありませんのでという答えを聞いた経過がありまして、それは確かに含まれているけれども、より具体的に、ここに書いていない勧告の条文の、もう少し踏み込んだCEDAW(女子差別撤廃委員会)の勧告がありますね。雇用分野についてはコース別の問題であるとか、そういうことが具体的に指摘されているのが雇用分野だったというふうに理解しているので、おっしゃったように、雇用分野ではもっと明確に記していくべきだとは思っております。
古橋会長
CEDAWで間接差別の定義をはっきりしろと言っているのは、英米法で間接差別を定義しているから、それにおいて日本もやりなさいよと、こういう趣旨なんでしょう。だから、あれは雇用関係、大体雇用関係じゃないですか。
内閣府(高安推進官)
イギリスの例でいきますと雇用ですね。アメリカでいくと雇用だけというわけではないと記憶しています。
古橋会長
教育とか、そういう問題があるかもしれないけれども。
佐藤委員
あまり直接は関係ないのかもわからないんですけれども、2ページの右の上に厚生労働省の研究会報告の中で、間接差別の定義と言われるものが書かれているんですが、外見上は中立的な規定、基準、慣行、例えば、女性を差別するという意図がない制度であったとしても、そういう意味では中立的な規定、基準であっても、結果として、他の性の構成員と比較して一方の性の構成員に不利益を与え、しかも、その基準が職務と関連性がないとか合理性が認められないもの。これについては、多分、合意はできる可能性は高い。ただ、問題なのは、この先なんです。相当程度不利益は何なのということが合意できないと、実は広報もできないんです。あともう一つは、合理性、つまり例えば、生活関連手当がありますが、合理性があればいいんです。転勤についても合理性があればいいんです。つまり、転勤を組み込んだ、例えばコース別の雇用管理があっても、これは合理的であればいいわけです。そうすると、どういう場合は合理的で、どういう場合は合理的でないかということの合意が大事なんです。つまり、この定義自体ではなくて、実はその先なんです、問題なのは。そこはそう簡単に合意できるわけではない。例えば、年功賃金ですね。これは男性に有利です。これが間接差別と言えるかどうか。これはそう簡単ではない。いわゆる、生活関連手当でも労働組合の中でも議論はすぐまとまらないと思います。ですから、そこの合意がないところで、どう広報するのか。つまり、法律ができないにしても、ある程度啓発でやっていくというときも、この範囲内については、間接差別に当たるものではないかという合意があって、それを広報するというのがあると思うんですけれども、実はそこがないと難しいと思います。
古橋会長
基準と職務との合理的関連性、相当程度の不利益の有無について間接差別の定義に書くことによって挙証責任を転換して、雇用主側に挙証責任が生ずることになります。
佐藤委員
それは一つの考え方です。ただ、予測可能性ですね。つまり、どういうものが現状で間接差別と言えるかということが、事業主が雇用制度をつくるとき、ある程度予測できるということが大事ですよね。裁判にならないとわからないじゃ困るわけですから。そうすると一定の範囲について、事前に予測できる仕組みを用意できるかどうかということは、すごく大事だろうということです。
古橋会長
そうそう。予測可能性ですね。
佐藤委員
それともう一つ。間接差別について啓発活動をやっていないかというと、例えば、厚生労働省がコース別雇用管理についてのガイドラインを出しています。こういうものは差別に当たる可能性がありますと。これは直接的ではないですけれども、間接差別にかかわる啓発ではあると言えなくもない。
古橋会長
取りあえずは、そこの回答にそれを書くべきなんです。何か一般的に間接差別について、もっと啓蒙活動を私はやるべきだと思うけれども、なかなか難しい状況だと思います。
佐藤委員
間接差別だといっての啓蒙は難しいかもわかりませんね。直接的差別に結び付く可能性があるという形でやっているわけです。直接的な差別に結び付くものがある。意図は出ていないけれども、実は裏に意図があってやっているものが、かなりあるのではないかという形でのガイドラインはある。
古橋会長
しかし、コース別管理をやったにしても、合理性があれば、いいわけですよね。
佐藤委員
そうです。ですから、それは職務関連性があるかどうかということをみるような形にはなっています。
古橋会長
意識啓発のところは、厚労省何かありますか。これは内閣府ですか?特に意識して行っているわけではないのではないですか。
内閣府(高安推進官)
例えば、この2ページ目の男女共同参画推進本部ニュース、こういったところで各省の施策も広報しているわけなんですが、その中で間接差別等について検討した厚生労働省さんの研究会の報告書がまとまったとか、そういった啓発はしています。
古橋会長
要するに間接差別特集というのを行っていますか?
内閣府(高安推進官)
行っておりません。
古橋会長
やはり間接差別というのは非常に重要なことだし、今、タイミングとしては非常に難しい。難しいのかもしれないけれども、間接差別について、特集的なものをやるとか、そういう議論を起こすことが私は大切だと思うんですが。
神田委員
厚生労働省で今取り組んでおられるわけですけれども、今のような問題は、この研究会、更に関係審議会において議論を行っているところであると書いてありますから、どういう状況なんでしょうか。今のような間接差別についての具体的な内容などについて。
厚生労働省(六本雇用均等政策課長補佐)
労働政策審議会というところで議論を行っている正に最中でございます。
古橋会長
その内容はどんなことをやっているんですか。
神田委員
今のようなことをその審議会に期待してもよろしいのかどうか。
古橋会長
これについて雇用者側は反対といい、労働者側はやるべきだと言っているけれども、全体としてどういう雰囲気でやっているんですか。
厚生労働省(六本雇用均等政策課長補佐)
議論の中身としましては、ここに書いてございます研究会報告でまとめられた定義を踏まえて、それを出発点にして議論していただいているという状況でございます。
古橋会長
定義を踏まえて、定義がいいよということになれば、それは差別として禁止されることになるんですね。
厚生労働省(六本雇用均等政策課長補佐)
それを踏襲することとしても、法律に導入するかどうかについては、今の段階では、まだ何とも申し上げられません。冬に向かって議論を重ねていただいているという状況でございます。
古橋会長
今、審議中だから、あんまり厳しいことは言いませんけれども、やはり間接差別というのは定義が決まれば差別なのだから、それは禁止されるべきだと思うんですよ。そういうことを意識した上で議論してもらわないといけないんじゃないかなという気がしますけれども。
山口委員
CEDAWの方で間接差別について各国の情報もとっていると思うんですね。他者の力を借りるというわけではないけれども、間接差別にはどういうことがあるのかというのを知ることが大事ではないか。それともう一つは、私も林さんと同じように、厚労省だけではなく、これは非常にわかりやすいからいいのですけれども、やはり全般的に間接差別というのは認識していけないことだし、しかも内閣府も、「男女が性別による差別的取扱いを受けないことが規定されており、間接差別もこれに含まれている」と書いてありますが、これではわからないんですよ。ようやく直接差別というのが悪いということがわかってきたけれども、「これに含まれている」、こういうふうに飛ぶとわからない。やはり事例が必要。ただ、問題は事例が適当でないと。しかしながら、CEDAWには上がらないんじゃないですか。間接差別とはこうだということ、事例が……。
古橋会長
事例は外国の法律を何度も資料として出していますから、それを出せばいいですよね。ここに外国の参考資料も付けてもらおうかな。
山口委員
簡単に入ると思うんですね。
古橋会長
みんなあるんですよ。
山口委員
そうすると、照らし合わせて、ほかの間接差別を……。
古橋会長
それは雇用ですよ。外国で説明しているのは雇用関係だけですよ。
山口委員
それ以外ないですか。私、まだまだいろいろあると思うんです。
古橋会長
アメリカで行っているのは、例えば、雇用以外の教育ですね。
山口委員
先生ね、そうすると、世帯単位というのはどうなんですか。
古橋会長
世帯主に支給する世帯単位の手当は勤務条件に関係するから、雇用関係に関係してくるんじゃないですか。
山口委員
しかしながら、銀行やなんかでは、世帯単位で融資したりするんじゃないですか。あると思うんですね。やはり気づくところから始まらないと、アウトカムが出てこないと。ただ、チラシをつくればいいという話ではないという話ですけれども、何かもう少し進めるためには。
古橋会長
では、雇用関係以外で現在問題となっている間接差別として考えられているものをもう少し列挙したらどうですか。内閣府で参考資料として。
山口委員
国内的に難しかったら、CEDAW事例かなんか。
古橋会長
それから海外において、雇用以外のもので、どういうものを考えられているかというようなことを列挙して、これは参考資料として作っておいてくださいよ。そうしないと議論にならないんじゃないかなという気がしますから。そういうことでいいですか。特にほかに御意見なければ。
佐藤委員
間接差別の事例は、この報告書で後ろにデータが……。
古橋会長
出ているんですよね。
佐藤委員
ええ。それで雇用分野以外についても幾つか判例は出ている。例えば、阪神・淡路大震災のときのお金を出すときの基準がどうだったとか、ほかのそういう雇用分野以外でも幾つかあるようです。判例は。
松原調査官
備え付けの資料の中に、厚生労働省の男女雇用機会均等政策研究会の報告書がございます。
古橋会長
今度は新しい委員会なのですから、前の方々も、入っておられない方もいるから、もう1回資料として出してください。
松原調査官
はい。
古橋会長
それでは、次の問題にいきたいと思いますが、次は、項目の24というところ。24というのは3ページから6ページまで。3ページのところの「人権教育、男女平等教育、子育てを母親と父親双方の社会的責任とする考え方の促進」、それから4ページの「条約についての情報、男女共同参画に対する政府の姿勢の周知、意識啓発キャンペーン」、それから「メディア」、この三つですが、御意見ございませんでしょうか。
 では、私から皆さんから質問等が出るまでの間に。メディアについて、えがりてネットワークを通じて日本放送協会、日本民間放送連盟等と情報・意見交換を行っているとあります。これは、具体的にこのグループとだけで特に情報交換を行っているんですか。それとも全体的なえがりてネットワークの会合のときだけにやっているのでしょうか。このグループだけを集めて、例えば書籍協会、雑誌協会というのがあるから雑誌についても入っているのかもしれないけれども。それからメディアと似ているようなゲーム機器、そういうものはどこに入るのでしょうかということが質問です。
内閣府(高安推進官)
一問一答でよろしいですか。
古橋会長
はい。
内閣府(高安推進官)
今、御指摘のございました、えがりてネットワークを通じた意見交換会につきましては、特にこの団体を抽出してやっているわけではございませんで、基本的には全体の会議の様々なイシューの中で、こういった団体に係る問題も扱っているということでございます。
古橋会長
私の意見として、このメディアという問題は非常に大切だから、CEDAWに対し回答する前にえがりてネットワークの中のメディアに関係する方々を集めて1回議論をする機会を持つということも非常に有効なんじゃないかなという気がしますけれども。
 それからもう一つ、ゲーム機器やなんかはどこに入るんですか。ゲーム機器が、男性が女性に対して乱暴をするとか。あれも表現の自由の問題なんでしょうか。
内閣府(高安推進官)
そうですね。それについてはこの中に含まれていないですね。
古橋会長
これは所管省はどこでしたっけ。ゲーム機器は経産省ですか。
内閣府(高安推進官)
経産省ではないでしょうか。
古橋会長
どこですか、文部科学省ですか?
松原調査官
ソフトウエアだと、所管について御議論があるところかもしれません。
佐藤委員
経産省かな。
古橋会長
経産省でしょうね。おもちゃの振興とかいろんなことをやっているんだから、経産省に、それではどういうふうにやっているか1回聞いてみてくださいよ。
内閣府(高安推進官)
わかりました。
横田委員
ついでにインターネットも。
山口委員
メディアのところですが、女性団体も出版社だとか、新聞協会とか、NHKだとか懇談をしているんですが、その結果が、例えば新聞協会などで性差別の表現には気をつけるとかという形で出てくるといいんですけれども、私、この前見たときに、それがなかったんですよね。ですから、例えば、えがりてネットワークなどがそういうところと話したら、その結果、こうしたという証拠というか、書いたものの形であらわれるような懇談を、まだ1年あるんだからとった方がいいと思うんですよ。その結果こうなったという。ただ話したのでは意味がない。ですから、出版社だとかいろんなところがあると思いますから、それは新聞社だって名誉にかけて、そういう差別はしていないとおっしゃるんだから、それをいかしてもらいたい。そういう働きかけがあっていいんじゃないですかね。自主規制ですから。
古橋会長
雑誌についての自主規制というのはどういうふうになって行われているんですか。新聞は結構やっているし、放送もやっているかもしれないけれども、雑誌は、NPOやなんかからどんどん意見を受け入れるような機関を作っているんでしょうかね。特に最近いろんなゲーム機器であるとか、そういうところに基づく犯罪が増えていますからね。もっと真剣に国民として取り組まなくちゃいけないと思います。
 ほかにございませんか。それでは、その次に項目の「26」、ドメスティック・バイオレンスの関係、6ページから14ページ。まず「配偶者暴力防止法の拡大」の問題、それから「強姦罪、近親姦について」、それから「暴力の防止、被害者への保護、支援」ですか。それから「外国人妻の在留許可」、それから「『従軍慰安婦』問題について」、14ページまでお願いいたします。
 皆さんが質問されるまでの間に、私が気が付いた点を。勧告では、近親姦について特別の規定を設けなさいと7ページのところで書いてあります。勧告は「近親姦を個別の犯罪として刑罰法令に含めること」と言っているんですけれども、それについて、直接答えずに、強姦罪や何かの中で適切に処理していますということなんだけれども、近親姦について、特別の構成要件として、特に重罰規定、刑を重くするというようなことは考えていませんし、現在ではやりませんよという理由をちょっと教えていただきたいですね。
 今、尊属殺人については刑法の規定がなくなりましたね。それと同じような考え方で、そういうものは普通の中で罰すればいいよという考え方が一般に定着しているのか、それとも、どういうふうにそこのところを考えて説明したらいいのか。そして、そこのことを説明しないと、CEDAWへの回答にならないのではないでしょうか。
法務省(島戸刑事局付)
法務省でございますが、この近親姦の問題につきまして、どういったものを近親姦と考えるかという問題はまずあろうかと思います。特に2点ございますが、一つは、暴力や脅迫を伴わないものと伴うものに分けて考えるべきかどうかということと、もう一つは、対象者が児童であるか、成人であるかということ、この部分についても、やはりどう考えるかという問題があろうかと思います。恐らく、今お話に出ました近親姦だからと言って、刑罰を重くするかどうかという議論については、私どもは特に今のところは我が国では承知はしてございません。むしろ、近親姦について、処罰をするかしないのかといった問題についてはこちらも承知しております。
 では、処罰をするかしないかという点でございますが、この処罰をするかしないかというところで、私どももほかの立法例なども見ておりますけれども、諸外国において、例えば児童に対する性的虐待としてとらえられるような近親姦、これは処罰されるのが当然だと思います。実際に我が国でも強姦罪・強制わいせつ罪という罰則もございますけれども、刑法の犯罪以外に児童福祉法という犯罪がございますから、こうしたもので対処ができるものと考えております。
 そうではなくて、例えば、暴行・脅迫も伴わないような大人に対するものなどを考えてみた場合に、そうしたものを処罰すべきか、せざるべきかというところは、これはいろいろな考え方があろうかと思います。特に性道徳の問題、倫理の問題、そうしたところを含めて考えなければいけないものと考えております。
 今のところ、私ども法務省としましては、そうしたことも含めて、必要があれば立法する必要について検討は始めることと思いますが、今のところは、現在の処罰規定で足りているのではないかと考えておるところでございます。
古橋会長
答えとして、近親姦についてはやっていないと。そういうことを特別に設けることは考えていないというふうにポンと1回答えていただかないと、外国人にはよくわからないんですよね。この文章の方でね。
 それから外国における近親姦についての刑法上の規定をやっている国はあるのでしょうか。
法務省(島戸刑事局付)
例えば、ドイツですとか、イギリスなどでは、そうした規定があるものと承知はしております。もちろん、すべてがすべて網羅しておるものではございませんので、こちらも必ずしも、それがそのまま日本と比べてどうかという問題はあろうかと思います。
 それから、今、1点目で前半で御指摘いただきましたところにつきまして、おっしゃったところは承知いたしました。ただ、一つ申し上げさせていただければ、近親姦の問題につきまして、女子差別撤廃条約の報告審査の中で、それほど、どういった範囲のことを言うのかということについて、特にその範囲を明確にされないまま、こちらに質問をされてもなかなか難しい問題があろうかと思います。
古橋会長
こちらが限定して、児童の場合はこういうことで行っています、要するに親告罪じゃありませんよと言うべきでしょう。
法務省(島戸刑事局付)
親告罪と申しますのは、告訴を待って処罰するかどうかを決めるという問題でございますが……。
古橋会長
近親姦で児童の場合については、当然、罰してしまうんでしょう。子どもが言わなくても。
法務省(島戸刑事局付)
児童福祉法の犯罪でございましたら、児童の告訴がなくても。
古橋会長
いいわけでしょう。児童の場合はこういうふうに申告なしで罰しているよと。それから大人の場合において、例えば、息子の嫁さんに対する親父のような場合においては非常に申告しにくいと、そういうような場合についても、外国にそういう例はあるかもしれないけれども、やはり日本的な中にはまだまだ、日本はやりませんよという理由はある程度言わないと、なかなかわからないんじゃないかなという気がするんです。そこらのところはどういうふうにお考えになるのか。
 したがって、日本の場合においては、近親姦の場合にお医者さんによる通報・証言とか、そういうようなものによって近親姦の場合については、本人の申告がなくてもある程度捜査を始めるとか、そういうようなことを考えていかないといけないのではないか。特に近親姦の場合において、自分から申告をするということは非常に難しい問題だと思うものですから、大人の場合における近親姦の考え方について、やはり議論をしていただいた方がいいのではないかという気がするんですけれども、それは必要ないという理由がきちんとあるならば、私はそれで結構なんです。
法務省(島戸刑事局付)
はい。
古橋会長
外国で事例があって、近親姦について刑罰の規定があって、例えば、その国の人が女子差別撤廃委員会の委員になっていて、うちの国はあるのに、なぜ日本はやらないのと言われたときに、日本はこういう理由でやっておりませんという理屈がきちんと立てば、私はもうそれで日本はいいと思うんです。その辺の理屈を考えていただきたいということです。
法務省(島戸刑事局付)
承知いたしました。説明の仕方ということであれば、今後、検討させていただきます。
古橋会長
よろしくお願いいたしたいと思います。
 ほかにございませんでしょうか。
山口委員
ちょっと伺いますが、従軍慰安婦の問題ですけれども、アジア女性基金がこれで解散するという話ですけれども、そうしますと、それでこの問題はもう全部終結、処理されたというふうに考えていいのか。このアジア女性基金の方へ直接政府ではないとは思いますけれども、その後も慰安婦問題について、補償をもらいたいという問題もありますけれども、この後のことまで答えないとCEDAWの勧告に対して回答にならないんじゃないですか。アジア女性基金解散をもって終わりということにはならないと思いますけれども。
古橋会長
これは外務省ですか。
外務省(足木人権人道課長)
正にそのとおりで、その後どうするのかというのは、これから重要な課題だと我々も考えています。これは政府全体として御検討いただいて、何らかの方向性を出していただくのかなというふうには思っております。
横田委員
私はたまたまアジア女性基金の運営審議会の委員をずっとやってまいりまして、それから、この問題が国連の場で提起されたときに、国連人権促進保護小委員会の場で、この問題にはずっとかかわってきたのですが、アジア女性基金そのものは、平成19年3月で終了するということになりました。今、理事会では、基金が扱ってきた問題でいろいろ残されている問題があるはずだということを議論しています。具体的には、例えば韓国、台湾、フィリピン、オランダ、インドネシア、こういうところについての事業は、それぞれの国の実情に合わせた対応をしてきてはいますけれども、さらに、それらの国に対するこれまでの活動の説明とか、それからそこに含まれていない国や地域がまだありますので、実は残された問題があるわけです。これを基金解散後どういうふうに継承していくか。これが一つの重要な議題になっています。前回の理事会でこれについての議論が始まった段階になっております。ですから、基金の方では、これは認識されておりまして、外務省もその基金の理事会にはオブザーバーとして参加されていますので、そちらからの説明でも、この問題は、政府として決してこれで終わったという認識ではないという答弁は、足木課長とは別ですが、アジア地域政策課の方がそういう答えを言っておられました。
 そこで、今すぐここにどういうふうに書くかということは別ですけれども、問題は御指摘どおり、十分に関係者の間で認識されていて、どういう形で継承するかというところを今正に議論している段階だというふうに私の方から説明させていただきます。
 それはそれとして、14ページの右側の一番下の最後の文章が、私の理解する理事会の決定とちょっと違いますので、恐縮ですが、課長に持って帰っていただいて、外務省の中で御検討いただければと思います。今すぐ私はこれを削除とか変更ということを提案するわけではないのですが、「今後も解散までの間、基金が培ってきた経験や知見を活かしながら、紛争と女性の問題等、今日的な女性の名誉と尊厳に関する問題について取り組んでいく予定」とありますが、その一つ前には、「女性尊厳事業等を実施」と書いて、括弧して「(平成17年3月終了)」と書いてあります。終了しているものを、今後2年間にまた取り組んでいくと書くというのは、やや矛盾した表現になってしまいます。理事会決定で、終了するということになっており、すでに終了しているのです。したがって、最後の文章は、何らかの形で書き変えるか、むしろ削除しないと、理事会決定とちょっと違っているように私には思われます。これは私の個人的な考えですので、外務省の方で部内でちょっと検討していただいて、事務局の方に、こういう文章が適切だろうということを出していただけるとありがたいと思います。
古橋会長
よろしいですか。
外務省(足木人権人道課長)
はい、わかりました。
古橋会長
ほかにございませんか。
 それでは、その次に、トラフィッキングの問題で15ページから項目28と30。短いので、19ページの「30.」「マイノリティ女性についての情報」。そこまでをひとつ御質問、御意見がありましたらお願いいたします。どうぞ。
林委員
マイノリティ女性について情報というのは、これは「次回報告での取扱いについて検討を進めていきたい」という書き方になっているんですが、やはり、指摘されている具体的な教育、労働、そして健康、暴力ですとか、そういう点について、次回の報告までというと、あまりにも遠過ぎると。もう少し早く検討を終了して、既にそのことについて、何か実施したということが報告できるようなスケジュールを示していただけないかというふうに思うんですね。我々もどうしてもマイノリティの問題というのは、私のような立場にいると、やはり抜けがちなんですけれども、女性の立場からすると、マイノリティの立場の雇用は我々以上に保障されていないし、健康状況も大変悪い状況もありますので、もう少し明確な時期を示していただけないものかという気がします。
古橋会長
まずマイノリティの定義というものを、どんな人たちがいるのかということを書いては具合が悪いんですかね。これは内閣府。
 委員会が考えているマイノリティというのは、どういう人たちのことをマイノリティと言っているんですか。在日韓国人、あるいはウタリなのか。
内閣府(高安推進官)
委員会として、どこまでをマイノリティと言うかということは明らかにしておりません。
古橋会長
それだったら質問して手紙出して聞いたらどうですか。
林委員
私は、マイノリティ女性を我々がとらえるときには、アイヌ民族の問題も一つはありますし、被差別部落の女性という問題がありますし、在日韓国・朝鮮の女性というようなことも明確になってくると思うんです。それらについては内閣府も承知のはずなんです。男女共同参画局も承知のはずです。マイノリティの側からの様々な要望がこの間、CEDAWの報告を受けてからも勧告があってからも動きがあったわけですから、そこは相手に聞くということもあってもいいと思いますが、既に要求を受け止めておられる立場からも、我々に言っていただいてもよいのではないかと思います。
古橋会長
同和がこれに入っているというふうに理解していいんですか。マイノリティの中に。
内閣府(高安推進官)
例えば、2003年7月8日に第4次、第5次日本レポート審議というのがニューヨークで行われたわけですが、そこでのクエスチョン・アンサーの結果が正に勧告になっているわけなんですが、そこで出た質問の中では、今おっしゃられたような同和に関するものも出ました。
古橋会長
それとウタリと、在日韓国人。
内閣府(高安推進官)
そうです。国連人権B規約第四次報告の最終見解では、AINU INGIGENOUS MINORITY、BURAKU MINORITY、JAPANESE-KOREAN MINORITY との記述があります。ただ、これは、人権委員会とCEDAWとは当然のことながら全く違う組織ですので、そのまま当てはまるかというのは、ちょっと慎重に検討しなければいけない問題だと思います。
林委員
それがマイノリティであるかどうかについても、内閣府としては検討する必要があると、マイノリティだというふうには思っておられないということなんでしょうか。
古橋会長
各々について、ウタリについても、同和についても、特別措置法があって、今、対策を講じているわけでしょう。したがって、健康状態とか、そういうものは、やろうと思えばできるわけですよね、行政として。だから、そういうものについてこういうことをやっていると。今、同和対策は総務省ですか、内閣府ですか。
林委員
そこは終わったんですね。
古橋会長
特別措置は期限を切って、やめたんでしたね。だけど、健康状況や暴力被害について情報を提供することを要請すると言っているんだけれども、それでは、そういう情報はとれないと、こういうふうに言うんですか。
内閣府(高安推進官)
関係省庁と連携した上で、政府として報告できる情報を報告するということになります。
古橋会長
そういう答えをするわけですか。
内閣府(高安推進官)
そうなろうかと思います。
林委員
情報をとれるものはとるということで。
内閣府(高安推進官)
勧告では、情報というものを提供するように言われているわけです。第5回報告書ではマイノリティ女性に関する情報の提供というのがなかったわけですから、それに関する情報を提供することが勧告されているわけです。
林委員
情報が提供できるようにすることが必要なんでしょう。今ある情報、勝手に欲しいといって集めて、それを送ればいいという問題じゃないです。日本政府がそういうデータそのものを持っていないわけですね。だから、報告ができないわけですね。
内閣府(高安推進官)
その辺の状況も踏まえて、次回は提出できる情報があるやなしやということも含めて報告するということになると思います。
林委員
あるやなしやも含めてというのは、それはおかしいと思いますよ。
横田委員
ひとつ難しい問題は、同和問題もそうなのですけれども、データをとるということは、国の立場では非常にしにくい問題であるということです。これはアイヌの人たちについてもそうです。実際、本人がアイヌであるということを知られたくない、それを国が来て、あなたは名簿に載っていますからという形で尋ねることがいいのかと、それは非常に微妙な問題で、むしろプライバシーにかかわると思います。ですから、国の方としては、どこまで立ち入って調査ができるかという問題がおそらくあるのです。だからと言って、できないということではないのでしょうが。
 他方で被差別部落の団体の方は、彼らの立場でデータをとっているわけです。問題は、それがやはり自分たちの団体としての関心事項からとっていますから、それを国のデータとしてそのまま受け入れるわけにはいかないという問題があって、私の知る限り、データというのは非常に難しいところがあるのですが、だからといって何も提供できないということではなくて、国としてどこまでの努力をしたか。そういう関連の団体に行きますと、一応、団体としてのデータがありますから、それはどういう調査の仕方をしたのか、こういうことはどこまでわかったのかということを確認した上で、場合によれば、国としては、こういう形での調査は今の制度の下ではしにくいけれども、関係の団体から出た資料ではこうであるとした上で、その問題を国としてどう認識し、どう改善しようと思っているかというふうな書き方が私はできるのではないかと思うのです。ですから、やる気を起こせば、ある程度答えになるようなデータは手にすることはできるのではないかと私は思います。
林委員
そういったようなことで、運動体の方からも具体的な要請は内閣府にしておられるわけですから、もう少し、とれないということよりも、どのように協力を得て、その情報が、データがとれるのかとれないのか、あるいは既に運動体として把握しているものについて、政府として、そういうものだという位置づけの上ででも報告をするということには非常に意味があるわけですよね。そのあたりが積極的な姿勢が見えないという気がしてならないんですね。先ほどの御回答では。
大沢委員
全く素人なので見当違いかもしれませんが、NPOとか、市民団体のようなところで情報を持っているとか、そことの連携というのはないんでしょうか。
林委員
それは度々声を聞いてほしいという要請も内閣府に、男女共同参画局に対してはあったはずですし、私も聞いておりますし、私もあってほしいということは言ったことがあります。この短い回答の中にはそういう経過がほとんど踏まえられてはいないですね。
古橋会長
特別措置法はあるんでしょうか。それに基づいていろんな調査ができないのかな。それから同和の関係については、特別措置法はなくなって一般行政に移行したかもしれないですけれども、保護政策をやるという官庁は内閣府ですか、総務省ですか。
内閣府(高安推進官)
内閣府ではないです。
古橋会長
ここのところをもう少し、まず現状がどうなっているかということもまず調べてほしいんですけどね。例えば、ウタリについてどういうふうになっているのか。僕は特別措置法はまだあるんじゃないかなと。
神田委員
トラフィッキング、人身取引の問題なんですけれども、これは表に出てくる事例よりも、表に出てこない事例の方が非常に多いんじゃないかと思うんです。警察庁などでも非常に一生懸命なっておられることは知っているんですけれども、そういう全体としてのトラフィッキングの実態をどうやってつかんだらいいのか。そこら辺どういうふうに、警察庁なんかではお考えになっているかということがあります。
 それと19ページに、婦人相談所からの委託により、民間シェルター等において、被害者の一時保護を実施しているという文言がございますけれども、今のところ、民間シェルターの役割というのは大変大きなものがあるだろうと私も考えておりますが、これに対するサポートは現在どういう実態なのか。それから、この数字は13年1人、17年9人と、一時保護の実績がこういう状況で、隠れた保護が必要な人たちがいるわけですけれども、婦人相談所における一時保護というような方向でこれからも取り組んでいくのか、それとも、民間シェルター等との関係をつくっていくのか、そこら辺、どんなふうにお考えになっているか、ちょっとお聞きしたいと思っております。
古橋会長
まず答弁していただけますか。
警察庁(青山生活安全企画課課長補佐)
警察庁でございます。資料1の「取組の状況」のところには、「人身取引事案に係る者であることを確認した都度」ということで、把握した者のデータをとるということを書いておりますけれども。
古橋会長
何ページですか。
警察庁(青山生活安全企画課課長補佐)
15ページから16ページにかけてです。
古橋会長
15ページの一番下からですね。
警察庁(青山生活安全企画課課長補佐)
はい。ここで述べておりますのは、あくまで事案として既に把握したものを、いかに詳細にわたって被害者の状況であるとか、連れて来られた状況とかを把握するかということを書いております。さらに、この資料にはまだ書いておりませんけれども、基本的には、被害の潜在というものが非常にございますので、これは各省庁と連携して行動計画等に基づいて取り組んでいる中での話ですが、警察と致しましては、NPOの方とも連携して、まず、被害者の可能性のある方ができるだけ、何かしら自分で被害を訴え出てこれるように配慮しております。すなわち、今は、警察に行けば逮捕されてしまうのではとか、送り返されてしまうのではとか、親元、要は仕出し国の方で家族が被害に遭うのではなどというようなおそれから、いろんな意味で被害者の方が交番に駆け込んだりとか、被害を訴え出たりしにくい状況が非常にあるということです。
 まず、警察は人身取引の被害者に関しては基本的に保護するという方針でやっているということをわかっていただくために、なかなかいろいろ難しい部分はありますけれども、例えば、リーフレットを作って、在京の大使館や、NGOの方々にお願いして、そういった趣旨ができるだけ被害者に伝わるように働きかけるとか、あとは、大使館やNPOとのコンタクトポイントとしてのつながりをできるだけ密に保つということで、そういった被害者の方が、できるだけ被害を警察の方で把握できるように配慮するということを都道府県警察に対しても指示するなどして、そういった方向性になるように努めているというところです。
古橋会長
そういうものに基づく実績はどれくらいあるんですか。警察庁に入ってきた実績。
警察庁(青山生活安全企画課課長補佐)
出頭してきた数とかですか。
古橋会長
はい。それが増えているのか増えていないのか、そこらが向こうに対する回答としてね。
警察庁(青山生活安全企画課課長補佐)
データ自体をとり始めたのが、歴史が浅いんですけれども、今、平成16年の数字しか持っておりませんが、大使館等からの連絡などを除いて警察署へ出頭してきた方、それから交番へ出頭してきた方というのは、平成16年は14名いらっしゃいました。そのほかの、人身取引被害者として保護というか、把握した方というのは、全体で77名おりました。そのうちの14名が自主的にというか、自ら警察に逃げ込んできたりなどということで保護した方になっております。
古橋会長
今、法務省の方が隣に座られましたけれども、法務省の方は、人権問題としての相談の関係では出てきておりますでしょうか。
法務省(中島人権擁護局付)
人権擁護局ですけれども、何件かはあると思います。そんなに数は多くないと思います。
法務省(塚原入国在留課専門官)
入国管理局ですけれども、入管局も最近少しずつは増えていますけれども、いわゆる今度の刑法改正等により、今までオーバーステイしている方は、一般的には退去になるということで、なかなか自分が被害者ということを公表できなかったんですけれども、今度の法律改正によって、いわゆる在留特別許可等を与えることによって正規の在留が認められることになりましたので、それで少しずつ増えてくるのではないかと思います。また、各地方局にインフォメーションセンターありますので、ここで相談を受ければ入管の方に情報がいくように、体制を整えております。
古橋会長
そうすると、内閣府の方で人権擁護局、警察庁、入管、すべてのこういう実情の統計をとって、こうやって増えてきていますよということを、この委員会の方に報告をするとか、そういうことによって実績がある程度言えるんじゃないでしょうかね。トラフィッキングについて、日本はアメリカからの批判は良くなりましたよね。ただ具体的に、さっき横田さんが言われたようなアウトプットがまずないんですよね。アウトカムの前のアウトプットの統計がないから、このアウトプットの統計をとれるようにしていただきたいと。まとめて、相談機関がいっぱいあるんだから、警察もそうだろうし、法務省のあれもそうだし、各都道府県におけるいろんなところもあるわけだから、そういうところのものについて、来年の9月までの間に1回統計をとって言わないと、トラフィッキングについて迫力ある答弁ができないんじゃないですか。
神田委員
地方に広がっているという話があるんです。そこら辺はどうやってとらえたらいいのか大変難しいものがあります。
古橋会長
婦人相談所の情報をとればいいんじゃないですか。そういうことを具体的に行っていかないと、我が国の取組、熱意というものがCEDAWに伝わらないんじゃないですかね。何か意見ありますか。
調査課長
報告のときにまとめる形で御報告させていただきます。
古橋会長
どこかまとめるところがあって、要するに私が言いたいことは、各省ずっと縦に書いてあるけれども、日本政府として答えるときに、まとまった考えがあって、その中に各省の内訳があるべきなんですよ。一番最初に申し上げたように、各省がボンボンと書いてあるけれども、日本政府全体としてはこうやっているよということがわかるようにしなくちゃいけない。そうすると、トラフィッキングについては、日本政府としては、こういうふうに理解していると。トラフィッキングはこういうふうにやったからだんだん減ってきましたよと言うのか、まだわかりませんと言うのか、そこら辺のところがきちんとわかるようなデータをつくるべきではないかという気が致しますけれども、それだけでいいですか。何か言いたいことがあったら言ってください。
内閣府(高安推進官)
先ほど調査課長が言ったことと同じなんですが、関係省庁と連携して、数字の方もまとめていきたいと思います。
古橋会長
横田委員。
横田委員
このトラフィッキングの問題は、日本の場合には、必ずしも数ではないんですね。問題は、日本政府がトラフィッキングの被害者として、日本にいる女性に対して、女性の権利が深刻に侵害されていると認識をして、できるだけその人たちを救済する方法をとろうと努力しているかどうかというところを見ているんですが、それがこれまでの応答では見えていないということなんです。
 事実は非常にはっきりしていまして、女性たちが名のり出てこれないのです。この数字に表れているのは、本当に極端なケースで、しかも思い切って出てきた場合であって、そうでなくて、まず、パスポートをとられていますし、違法ですし、つかまれば強制送還だし、もう怖いことだらけなんですね。それを少なくとも、国はあなたたちを強制送還とか、追い出すとか、そういうような形で犯罪者であるかのように扱わず、むしろ人権侵害の被害者として守ってあげますよという、その姿勢から始まらないと、多分、問われていることに対する答えにならないと思うのですね。
 実際の数が多い少ないという問題よりも、日本がそういう取組をしているかどうかというところを見たいと思っていると思うのです。私はぜひその点で答えの書き方を工夫して、きちんと対応していただきたいと思っています。本当に被害者は気の毒な状況にありますから。
古橋会長
今、ここで書いてある取組の中で、いろんなことを、会議をつくりましたとか、刑法等の一部改正ありましたね。そういうようなことだけでは、やはりだめなんでしょうか。
横田委員
それはある程度効果があります。ですけれども、被害者の女性が困っている状況、生活ができない、子どもが病気になったときに医者にも行けないというような状況を認識して、それが人権問題だというとらえ方をしているかどうかというところなんですね。制度的に日本の国民ではない、健康保険に入っていなければだめではないか。こう言ったのでは問題の認識が不十分なわけです。そもそも日本に来てはいけない人が来ているのだから、日本から出ていけばいいと、そういうとらえ方をしているとすれば、問われている問いに対する答えになっていないと私は思うのです。そこのところだと思うのですが。
古橋会長
不法入国者については、一部申告すれば、個別において認めるというのは入管がやったと思いますけれども、どうなっているんですか。
法務省(塚原入国在留課専門官)
そうです。基本法改正等におきまして、トラフィッキングの関係者、被害者ということが認定できれば、オーバーステイであっても、在留特別許可を与えて、正規の在留の形で、あと帰国されるのか、自国に帰れば被害を受けるということであれば、その期間、日本できちんとした形でビザを与えると。日本におれるような形にはしております。
古橋会長
そういうことをやっているよということについての周知はどこを通じやっておるのでしょうか。
法務省(塚原入国在留課専門官)
これは関係機関と連携協力しながらやっているということです。
古橋会長
今、そういうようなことをやっているということをもう少し書けないんですかね。各省別に書いてあるんですが、項目別に。一番最初に私が言ったように、政府としてはこういうことをやっているというふうなことをもっとアピールする書き方を内閣府で文章の総合調整してほしいんだけれども、難しいか。
内閣府(高安推進官)
わかりました。
古橋会長
やってください。ほかにございませんか。
神田委員
民間シェルターに対するサポートということも。
厚生労働省(都築総務課長補佐)
厚生労働省でございます。取組状況の19ページのところでありましたように、婦人相談所から委託によりまして、民間シェルター等において人身取引被害者の一時保護を実施するということで、従来、DVの関係ではこれを実施しておったんですけれども、17年度から新しく人身取引被害者についても予算化したということでありまして、現在、全体でDV関係ですけれども、198団体、民間団体以外に婦人保護施設とかいろいろ入っていますけれども、そういったものをやっておりまして、そのうち民間団体が60ほどでございます。
 それでサポートということでありますけれども、決して十分な話ではないんですけれども、婦人相談所等職員への専門研修、こういった事業を実施しておりまして、この中の対象として、民間団体等も対象に含めておりまして、その中でこういった制度であるとか、カウンセリング、そういったものの研修を行っております。16年度の実績で言いますと、民間シェルターというところも14回参加というようなことで記録されておりますので、そういった意味でのサポートは現在行っているというところであります。
古橋会長
時間がだんだん迫ってきましたので、次に20ページの項目の「32」、20ページから23ページ。それと一緒に併せて項目の「34」から「36」。それと最後まで含めまして、時間があと10分しか残されておりませんので、最後までについて意見がありましたらどうぞ。
横田委員
簡単に申し上げます。23ページのところの「34」の質問事項で、「事実上の機会均等の実現」と書いてあるのが、正にアウトカムをきちんと出すような努力をしていないかということが問われているわけなのです。それについては結局のところ、ポジティブ・アクションをやっている会社を表彰するということをやっているのですが、その結果、本当に女性の機会が平等になりつつあるのかどうかというところの説明がちょっとないのですね。ですから、問われていることの答えがまた問われてしまう。問題を繰り返し指摘されてしまうということになりますので、ちょっとこの点、ぜひ検討していただきたいと思います。
 それからもう1点、一番最後の29ページなんですが、ここは難しいことはわかっていますが、婚姻最低年齢、いわゆる待婚期間という問題、それから夫婦の別姓の問題ですね。これは長期的には全部改正して、男女平等の原則に基づく法律にすべきだと思います。国もそう考えているのだろうと思いますが、大方の国民の理解を得ることができるような状況になるまではしないと、こう書いてあるのですが、やはり国としてどう考えているかということは出すべきだし、大方の国民の理解を得る努力も続けてほしいというのが私の考えで、1998年のB規約の方の委員会では、日本政府の答えは、しばしばデータを出して、そのデータに基づいて、だからできる、だからできないというふうになっているけれども、そういうことはもうやめてほしいということを実際にコメントで書いてあるのです。正にここもそういう問題でして、日本政府として、人権に本気で取り組んでいるのだったら、男女共同参画と真剣に取り組んでいるのだったら、この問題をどう認識していますかということが問われているのに対して、大方の国民の意見というのでは、ちょっと何か問題を、自分たちの問題からほかの人の問題にすり替えてしまっているような感じを与えてよくないと思います。これは私の意見ですけれども。
古橋会長
この勧告に対する回答というのは、閣議決定をするんですな。
内閣府(高安推進官)
いいえ、しないです。
古橋会長
そうすると、内閣府だけでやっているわけですか。
内閣府(高安推進官)
内閣府で各省庁を日本語で取りまとめたものを外務省の方で英訳していただいて、それで国連に提出しています。
山口委員
今、横田先生が言われたのは、国民の合意というのは、結局、世論調査ではどんどん選択的夫婦別姓はよかろうというのは上がっていますよね。あれは8割くらいったら、もう世論と見るんですか。その辺も一つの基準だと思うんですね。
 それからもう一つ、このパラグラフ「32」、第6項目のハイレベルの政策決定過程に参画。私も毎回うるさく言っているんですが……。
古橋会長
何ページですか。
山口委員
20ページです。政治的・公的活動の部分ですが、公的活動の方は、審議会でも公務員でもかなり積極的にやっていて、また確実に広がっているんですけれども、企業の方もちゃんとやっています。しかし、キャンペーンの結果がどうかということが、横田先生が言われたとおり、まだよくつかめていない。私がうるさく言っているのは政治的なことです。それで、これはCEDAWに出した場合に、当然、日本の国会議員はこうだ、地方議会がこうだ、議員数がこうだということは報告されると思うんです。しかしながら、国の施策というと、ここが漏れちゃっているんですよね。施策としては全然。それは国の男女共同施策とは違いますよということで説明がつくのかどうか。やはり、この政治的なところにどういう、第4条を行っているころは、アファーマティブアクションと言っていたんですが、どっちがポジティブな部分かわかりませんけれども、やはり国としての取組、そういう姿勢が必要ではないか。
 私は、先ほど文科省の方が社会教育と学校教育のことをやっていたけれども、教育基本法の8条がスポッと抜けちゃうんですよ、政治教育が。これは伝統的にいろんな対立関係があったからだけれども、私はもっと政治教育をするということ、それから法制に対して取組をやっているとか、そういうことが書けるようにならないと、これは問題があるなと思うんです。
 それで、特に、この間もJICAの人を受け入れたんだけれども、どうしてこんなに経済が良い国で女性の政治進出が後れているのと、みんなが言って、何回説明してもだめ、わからない。国は何をやっているのって向こうの公務員の人たちはみんな聞くんですよ。ですから、やはりこの辺は、いつも言っているけれども、総務省の選挙部の方の仕事じゃないかと思うんですが、少し国民に対する政治啓発というところを書いてもらったらどうなんでしょうか。積極的取組。
古橋会長
具体的に何ページのどれに。
山口委員
私は20ページのことを言っているんです。20ページの中の勧告の「32」。暫定的特別措置の実施、政治的・公的活動、そこのところの政治的の方なんです。それで、ここはやはりきちんと国として書かないと。
 それから、伺いたいんですけれども、自治体においては、女性の議会進出だとか、そういうことに取り組んでいるところがあるんですよね。そうすると、これは国だから自治体は関係ないんですか。国全体として地方自治体のことも含めた報告をするということじゃないんですか。企業のことまでやっていて、企業は国の政策とはちょっと違うと思うんだけれども、その辺はどうなんですか。私は地方自治体を入れてもいいと思うんですけれども。
古橋会長
我々が説明しているのは、地方自治体の議員を増やせと言うことを私なんか常に言っていますよ。
山口委員
ですから、ここは国の施策として書いてあるけれども。
内閣府(高安推進官)
数字等は現在きちんと出しております。地方自治体における状況というのを各地方自治体ごとに調査をして、それを毎年報告しているということを行っております。
山口委員
それは承知しています。だけれども、何かもっと検討してどう取り組んでいるかということがないと、そうすると、文部科学省も、学校教育と社会教育よと言っているけれども、あそこの8条の政治教育がスポンと抜けているんですよ。政治教育というのは、そんなにシャドウかけて見る必要はないので、もっと歴史だとか、社会とか、経済を勉強するということだって、大きくはアファーマティブアクションだとか、ポジティブ・アクションにつながることだと思うんですね。その土台から行ってやっているよという説明にならないんですかね。やるところがないんでしょうか。文部省など。
古橋会長
学校教育における社会科の中に指導要領中で、政治参加についてどういうふうに指導しているんですか。要するに国民自身が政治、選挙権を行使しなければだめですよと。
文部科学省(大内女性政策調整官)
そうですね、それは、はい。
古橋会長
そういうことを教育、指導するということは、文部科学省がきちんと行っているんでしょうね。
文部科学省(大内女性政策調整官)
そうですね、社会科の公民で。
山口委員
何か書かれないと、進出がとても後れているんですね。
古橋会長
もし行っているなら、ちゃんと書いたらいいじゃないですか。文部科学省においてやっていると。選挙については参加をするということは国民の権利であるし……。
文部科学省(大内女性政策調整官)
申し訳ございません。ちょっとそこは確認しないとお答えできません。
古橋会長
公務員を選ぶのは国民の権利ですし。国会議員は公務員なのですから。それを書いたらどうですか。そういうことをちゃんとやっていますよと。
文部科学省(大内女性政策調整官)
高等学校の公民には、例えば、指導要領に世論形成と政治参加の意義について理解させるというような文言を書いておりますので、一応は指導することになっておるということでございます。
古橋会長
それについて書いてあるけれども、実行がうまくいっていないよというのが山口さんの意見だから、もう少ししっかり言ってほしいということなんでしょうけれども、そういうことで言っているなら、ちゃんと書いたらいいですね。行っているので、さらに一層、これについては強化するというようなことをひとつ書いたらどうですか。
山口委員
総務省は、選挙管理の中の選挙啓発で行っていると思うんです。いろいろ本も出しているし、なかなかいいのが出ているんですけれども、やはり、その辺は書いた方がいいと思う。ただ、女性という視点がないですよ。男女共同参画としての。
古橋会長
これは原田審議官、どうなっているんですか、総務省は。
原田審議官
最後の御発言がポイントでして、当然、文科省では、国民の政治への参画というレベルにおいて当然教育されているでしょうし、それから、実際の選挙の啓発活動に当たっても、国民は被選挙権、選挙権とも積極的に、当然、そういう教育なり啓発はしているんですが、問題は、女性がより多くという部分がなかなか言いにくいということだと思います。
山口委員
男女共同参画の視点は欠けていますよ。
古橋会長
だけど、選挙している人は女性の方が多いわけでしょう。
山口委員
多いんです。ずっと69年から。
古橋会長
なぜ出ないのですか。
山口委員
なぜか……。
古橋会長
それは女性に問題があるのですか。
山口委員
そうだと思いますけどね。私はもう少し奨励すべきだと思うんですね。
古橋会長
それこそ女性団体がやるべきことなんじゃないですか。
山口委員
ここで先生とやり合ったって。
横田委員
海外ではフランスみたいに、必ず女性の候補者を各党が出さなければいけないということをやっていますからね。日本にそれがすぐ適用できるかどうかは別にして、やはり、そういう努力をしているかどうかというところをみたいですね。今のところ、日本の場合には、ただ、数字が低いから何とかしようというだけで、具体的に良くするためのアクションが見えていないというところが問題だと思うのです。
古橋会長
女性団体から出てこないと、そういうエネルギーが出てこないんじゃないですかね。私はそう思う。役所がそれをやれといったって、それはなかなか難しい。
山口委員
先生ね、60年の歴史の中でそういうことをやるのは、うちみたいなマイナーな小さな団体です。
古川委員
行政的には、選挙とかそういったことについて、積極的に参加する、そういったことはできるけれども、今審議官が申し上げたように、政治に女性がより参加しろということを国や総務省なんかは、なかなかできないと思うんですね。やるとすれば、それこそ男女共同参画のこういう視点から、我々がというか、こういった場ならば言えると思うんですが、普通の総務省だとか、文部科学省とかというところが、女性がより政治に出なさいということは、行政としては国の限界。それはまた弊害も出てくるんです。そういうことをあまり進めすぎるのは。それは正に古橋さんがおっしゃるように、女性が出てくればいい。しかし行政的に言うならば、男女共同参画のこういう場で積極的に政治に参加に大いに頑張れというようなことを言う。行政的にはそういうことになるんですね。
山口委員
ここでやってもらうのが一番いいかもしれません。これは課題です。
古橋会長
はい。そのほかにありませんでしょうか。林委員どうぞ。
林委員
先ほどの23ページで横田先生の方もありましたが、労働市場における事実上の均等の実現を促進する努力ということにかかわって、ここでは均等法の指針の改正の問題が出されていて、あとポジティブ・アクションのことが出されているんですが、やはり効果的な強制メカニズムとか、進捗状況の体系的な監視を通じて垂直的・水平的な分離を撤廃するための取組ということが勧告されているんですね。そうすると、均等法とか指針とかだけではなく、パート労働者に女性が非常に多いということも事実上の男女格差なんですね。そこのところについて、パート労働者の問題について、どう取り組むかということを明確に示していただきたい。これに付け加えて示していただけないかということが一つあります。
 ここは一応書いてはありますので、このことも、やはり事実上の均等というところでも、雇用機会においては間接的な差別を雇用分野においてきちんと禁止をしていくということがなければ、事実上の差別というのはなくならないと私は思いますし、間接的な差別の中に、先ほどのパートの問題等も含まれてくるというように理解をしていますので、パート問題については、ぜひここでどのように取り組むかという姿勢を明確に出す必要があると思います。
大沢委員
同じ意見なんですが、この間接差別と雇用均等の問題というのは、もう少しきちんとこういう勧告があってこうだということではなくて、林委員がおっしゃるように、関連した問題で、これはきちんとデータを出してやっていかなければいけない一番根幹にある問題のように思いました。
古橋会長
佐藤委員いかがですか。
佐藤委員
大事なのは、事実上の機会の均等と書いてあるので、結果のところを均等がというふうに言っているわけではないということで、機会の均等を整備して結果としてどうなるかというのはまた別な話なので、機会の均等はもっと進めなければいけない。それと、事実上の格差というものがどうなっているか、両方、一応分けて考えなきゃいけないというふうに思っています。
横田委員
ちょっと私の理解は違いまして、これは日本語に訳したときにこうなってしまうのであって、私はここで求められているのは事実としての平等なんですね。機会が与えられればいいという問題ではない。問われているのはそこだと思うのですね。
佐藤委員
それはちゃんと日本政府がどうかは答えた方がいいと思います。向こうには、日本はこうやりますと言えばいいわけですね。それは考え方だと思うので。
横田委員
国際的な場で問われているのは日本に限りませんけれども、法律上こうなっている、機会は平等に与えられているというのでは全然説明にならないというふうに言われているのが現状で、日本だけではないのです。この言葉が使われるというのは、つまり、日本についても、そういう見方をしているということですので、それを受け止めないと答えとして不正確になるなというのが私の意見だと、こういうことです。
内閣府(高安推進官)
一応、英語上は、DE FACTO EQUAL OPPORTUNITY FOR WOMAN AND MAN になっています。
佐藤委員
オポチュニティと言っているんでしょう。だったら機会の均等じゃないかと。
横田委員
やはりデファクトがついているところは違います。
佐藤委員
機会の均等がどの程度担保されているか、それが形式的では困るという意味だと思うんですけど。その間接差別も含めて実質的に機会の平等があるかどうかということと、実質の男女の賃金格差がどうかということは別で、僕は機会の平等について問題あると思うんです。そこは取り組まなきゃいけないと思っているんですけれども、そのことと、ここでは、結果としての平等を言っているのではないだろうと。改正しなくていいと言っているんじゃ全然ないんです。問題はたくさんあると思います。
古橋会長
いいですか。
林委員
パート労働は女性が多いということは、佐藤先生、機会がないんですね。
佐藤委員
いやいや、機会を議論するところはたくさんあると思います。ですから、なぜ多いのかということについては……。
古橋会長
パート労働については、イコール・オポチュニティがないから。
佐藤委員
ない部分もそこはある。
古橋会長
ある部分もあるでしょうということは言ったっていいですよ。
林委員
女性がそこに低下している事実は、やはり機会の均等にかかわるというふうな理解でいいですね。
佐藤委員
そういう部分がゼロではない。
古橋会長
時間がちょっとオーバーしましたので、二つほど私から。選択議定書について、私どもは横田委員の意見を受けて、可能性について早期に検討するというふうに勧告では書いたんですよね。現在、外務省においては、早期に検討しておられるのでしょうかということが一つです。
 それから、法務省の人権擁護法案については、現在、早期に採決するための作業を精力的に進めているところであるというけれども、本当に可能なんでしょうか、反対意見とかそういうものについては、もう少し具体的にどこに問題点があるのが教えていただきたいんですけれども、この2点です。
外務省(足木人権人道課長)
外務省ですけれども、検討はしておりますが、早期に締結できるという見込みが今の段階であるわけではありません。
古橋会長
それは前のときの提言で、CEDAWで言っていることはこういうことなんですよ、したがって、もっと反対者について、こういうことで理解を求めてはどうですかということが書いてあるんですけれども、どの程度努力をしておられるかということなんですよね。可能性について検討と書いてもらったんだけれども、可能性については非常に悲観的ということですか。外務省としては。
外務省(足木人権人道課長)
早期という点については、必ずしも楽観的ではありません。検討はもちろんしておりますし、問題点は洗い出しております。
古橋会長
検討している場所はどういう場所でやっておられるのでしょうか。外務省内部だけの話ですか。
外務省(足木人権人道課長)
外務省内部で特に強い意見が、早期にどうだと言っているわけじゃなくて、もちろん関係各省と協議をさせていただいた結果を申し上げているわけです。
法務省(中島人権擁護局付)
法務省の人権擁護局です。人権擁護法案については、与党の人権に関する懇話会の設置を受けまして、今国会に提出することを目指していろいろ検討しているところでございます。現在は自民党の内部で討議していただいているところで、そこでいろいろ御意見が出ているところでありますけれども、現在も検討中ということですので、議論の詳細については、コメントすることを差し控えさせていただきます。
 以上です。
古橋会長
いろんな新聞等で、あるいは週刊誌でも報じられているんですけれども、そういう条件については、両者の間である程度話合いはつく可能性はあるんでしょうか。例えば、在日の問題についてとか、人権擁護委員を認めないとか、いろんなことに条件が付きましたよね。そういうような問題について、具体的にはどうなっているんですか。
法務省(中島人権擁護局付)
正に今それは、政治のどちらかというと、党内部の方でいろいろ議論がされている状態ですので、私どもも全部いろんなことを知っているわけではございませんし、現在正に進行中ですので、ちょっと見通しを述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
古橋会長
現在は不明で、非常に難しいという感じなんですな。
 ほかにございませんでしょうか。
 なければ、今後の取扱いについて御相談いたしたいと思いますけれども、先ほども申しましたように、これは来年の9月にCEDAWに政府として報告書を出すということなんですけれども、それまでの間に、来年の初めから各省との調整やなんかをやっていくと思うんですが、その前に、当専門調査会としてどういうふうに考えたらいいか、それについて皆さん御意見がありますれば発表していただきたいんですが、今日のこの意見を踏まえて、当専門調査会としての意見を取りまとめて、もう1回皆さんで確認をしていただいた上で、各省にそれを提供するというような手続にするのか、男女共同参画会議に報告をするのか、そこらについて、皆さん方の意見はございますでしょうか。
 まず、内閣府の方では局長の方ではどういうふうに、ここの取扱いをお考えになっているのか、もしあれば。
松原調査官
私どもの専門調査会の庶務をやっている立場から致しますと、いろいろな意見が出ましたので、その意見の概要につきまして、おまとめして、先ほど会長がおっしゃったように、各省の方に供したいというふうに思っておりますけれども。
古橋会長
そうすると,今日の意見を踏まえて、先ほど一番最初私が言ったような様式ももう少し整理をして。
松原調査官
整理させていただきます。
古橋会長
当方としての意見というのをもうちょっと別に、こういうことを踏まえた上でこういうふうにしてほしいという各省に対する意見をまとめて、もう1回次の機会にやるということなんですか。もう1回専門調査会を開くということですか。
松原調査官
御意見によりますけれども、もしそういう参考となるような事項というのを別途まとめるのであれば、もう1回開かせていただきたいと思います。
古橋会長
そういうことでよろしいですか。それはいつごろまとめるんですか。
松原調査官
7月中にもう1回ぐらい。
横田委員
私の意見ですけれども、時間はありますが、今日議論されたことをまた整理してということはしなくてもよいと思います。皆さんもうすでに聞いておられますし、記録もとられていますから、私はその次のステップをとられた段階で、新しくできたものについてもう一度ここで意見を聴取するということをやっていただいた方が生産的ではないかと思います。
古橋会長
各省に対してこういうことを言いたいという意見ですよ。それを次に私どもで案を出して、それについて御議論をいただくということでいいですか。
横田委員
それはいいと思います。結構です。
古橋会長
そういうことでいいですか。
名取局長
はい。
古橋会長
それでは、そういうことに致しましょう。
 それでは、今のような方向で本日の御議論を踏まえた上で、各省に資料とももう1回整理して、各省に言うべきことをまとめて、次のこの専門調査会に提出するというふうにさせていただきたいと思います。
 本日の審議はここまでと致しますけれども、次回の開催については、それでは、でき上がりの段階等を踏まえて事務局の方から御連絡をするということでよろしいですか。
  事務局から何かほかに連絡事項はありますか。
松原調査官
委員の皆様方には、前回の第3回専門調査会の議事録の案をお配りしています。これはあらかじめ先生方に御意見を求めた上で、これを反映させたものでございますので、これをインターネット等で公表することと致したいと思っております。
古橋会長
訂正済みなんでしょう。
松原調査官
はい、そうです。それからあと、前回の専門調査会で御質問がありました世帯について調査している統計調査の一覧をお配りしておりますので、御参考になさっていただければというふうに思っております。
 以上でございます。
古橋会長
ありがとうございました。
 それでは、本日は皆さん大変御熱心に御審議をいただきましてありがとうございました。これをもちまして、第4回の監視・影響調査専門調査会を終わらせていただきます。ありがとうございました。

(以上)