- 日時: 平成16年1月23日(木) 14:00~16:00
- 場所: 経済産業省別館817号会議室
(出席者)
- 座長 本田 和子
- お茶の水女子大学長
- 委員 江原 由美子
- 東京都立大学人文学部教授
- 同 大石 亜希子
- 国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部第二室長
- 同 小塩 隆士
- 東京学芸大学教育学部助教授
- 同 玄田 有史
- 東京大学社会科学研究所助教授
- 同 田中 早苗
- 弁護士
- 同 林 光
- 株式会社博報堂生活総合研究所所長代理兼主席研究員
- 同 南 砂
- 読売新聞東京本社編集局解説部次長
- 同 宮本 みち子
- 千葉大学教育学部教授
- 同 山下 仁
- 社団法人農村生活総合研究センター研究員
- 同 山田 昌弘
- 東京学芸大学教育学部助教授
(政府側)
- 佐藤 正紀
- 内閣府審議官
- 名取 はにわ
- 内閣府男女共同参画局長
- 土肥原 洋
- 内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
- 山崎 日出男
- 内閣府男女共同参画局総務課長
- 竹内 大二
- 内閣府男女共同参画局企画官
(議事次第)
- 開会
- 議題
- (1)報告書の主要論点について
- (2)その他
- 閉会
(配布資料)
- 資料1
- 男女共同参画社会の将来像について(報告書骨子案)
- 資料2
- 男女共同参画社会の将来像に関する有識者アンケート調査
- 資料3
- 「企業の社会的責任(CSR)」について
- 資料4
- 男女共同参画社会の将来像検討会(第4回)議事要旨
(概要)
○資料1に基づき、事務局から説明が行われた。
- (竹内企画官)
- 本日、御欠席の伊藤委員より、全体の印象として、手堅いが夢がないということ、国際的な視点も必要ということ、そして、男女間の学力差について示すことはできないかとの御意 見をいただいた。
- (江原委員)
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アジアの人口予測は人口増加が予想される国と少子化傾向の国があるので、国ごとに書くなど、少し詳細に示してはどうか。
例えば、1.(2)アに定性的な変化として、「性別による固定的な役割分担意識は現在よりも希薄になっている。」とあるが、何を根拠にしているのか。
悪い状況も含めて書くという話であったが、全体として非常に楽観的な印象を受けた。
また、解決されていない場合のイメージも必要ではないか。 - (小塩委員)
- 出生率、労働力のM字カーブは、男女共同参画が進むか進まないかで変わる変数だと思う。
- (大石委員)
- 今の人口推計は、現在の政策を踏まえて予測しているものである。
- (江原委員)
- 男女共同参画は世の中の大きな方向性を変える可能性があるものである。
- (小塩委員)
- 政策を有効に働かせたときに、このような変化や良いことがあるということを書けたら良いと思う。
- (田中委員)
- 政府は「2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待」と決定しているが、それを知らない人がたくさんいるので、4.(2)アに入れて はどうか。
- (大石委員)
- 「均等法第一世代が60歳前となる時代であり,女性の管理職もごく当然なものになっている。」という記述では、2020年も相変わらず年功的に中高年が管理職になると読め る。
- (小塩委員)
- 逆に均等法以前の状況を知らず均等法を当たり前と思う世代だけになっているとも読める。
- (林委員)
- 世代の違いで大きな変化が生じる場合がある。
- (江原委員)
- どうしてそういう状況になるのか筋がたどれるような書き方にしてはどうか。前提の書き方に工夫がいるかもしれない。
- (山田委員)
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全体的に細かすぎてイメージがわかない。個人の暮らしがどうなっているのかよく分からない。
男性だから、女性だからで強制されている現状から選択肢が増え、選択できるということと、それをサポートする政策を分けて書いた方が鮮明に将来像が浮かぶのではないか。 - (山下委員)
- 4.で書かれているのは、目指す姿なのか、こうなっているだろうと予測されている姿なのか。こうなっていますという書き方では、本当にそうなっているのかと思う人もいるだろう。
- (林委員)
- 現在と2020年の間の時間的な隔たりをイメージさせることが必要ではないか。
- (宮本委員)
- 将来については、政策等によっていくつかの分岐があるのではないか。
- (竹内企画官)
- 変数が多くあり、政策の違いによる変化を示すのは難しい。しかし、少子高齢化の流れや単独世帯の増加など方向正は変わらないのではないか。
- (玄田委員)
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少子化、労働力等、マクロな変化は合意できても、それの個人への影響、個人の生活がどうなるかイメージできないのが現状である。
政策が関与するのは、どちらにも行き得るからであろう。今までの政策タイプは、どこにお金をかけるかであったが、これからは情報発信・アナウンスの時代であろう。 - (本田座長)
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男女共同参画を阻むものを解消しようという政策はあるのではないか。
男女共同参画社会は個人にとって良い社会ということが主体となっているが、それだけでなく社会や企業にとっても良いことで、パフォーマンスが上がることを明確に記述したほう が良い。 - (江原委員)
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労働時間の短縮により、子育てだけでなくリカレント学習や趣味等、職場以外で自分の能力を向上する時間が増えることを書く必要がある。
これからの企業は企業内研修をあまり行わなくなるので、自分自身で常に自分を磨くことが要求されると思う。 - (玄田委員)
- 今、多数派と呼ばれている人が多数派ではなくなり、多数派というものがなくなるのではないか。
- (大石委員)
- パートと正社員の均等処遇といっても、パートが正社員に近づくのか、正社員がパートに近づくのか、どちらになるのか、生活水準がどのようになるか分からないとイメージできな い。
- (玄田委員)
- 伸びている企業はパートでも育てている。キーワードは育成の重要性ではないか。性別にかかわりなく育成していかないと企業は生き残れないだろう。
- (江原委員)
- 寿命が延びているので、1人の人生の中でも結婚していたり、シングルであったり、多様性を経験せざるを得ない時代であろう。
- (山田委員)
- 現在既に、家族関係は安定化しなくなってきているリスクフルな社会である。それに対応していくためには男女共同参画が不可欠であることを明示すべき。現在の様々な問題は、 性別による固定的な役割分担によるものだと思う。
- (江原委員)
- 基本的には、寿命が長いことは良いことであるが、人生が長くなる分、リスクも増える。
- (玄田委員)
- 将来を考える上では、バイオテクノロジーの影響が大きいのではないか。バイオテクノロジーがどれくらい進歩するかによって、例えば癌の治癒率が飛躍的に上昇することによ る寿命の延長など、人々の生活、社会状況は大きく変化する。
- (南委員)
- 1人でいる単身者のリスクも高いので、「関わり」というコンセプトも盛り込んでいただきたい。
- (山田委員)
- 「育成」の観点からも、コミュニケーション能力、特に男性のコミュニケーション能力を高めることの重要性を盛り込んではどうか。
- (玄田委員)
- 高校中退者など、いわば本流から外れてしまった人への対応が必要である。
- (江原委員)
- 4.(5)ウに教育費の問題を入れていただきたい。親の経済力によって受けられる大学教育が階層化してきているので、奨学金の充実が必要だと思う。
- (田中委員)
- 女子差別撤廃委員会の勧告にあった問題も考慮していただきたい。
- (小塩委員)
- 政策的な話ではないので、「社会科学系,自然科学系学部の女子学生比率が上昇するなど」は削除してはどうか。
- (名取局長)
- 日本の大学で、既に女子高校生向けのチャレンジ支援を行っているところがある。また、韓国では、工学部に占める女性の割合が、ある時期から20%と、他の先進国並みに上 昇した。日本における理系の女子学生比率は、他のOECD諸国に比して極めて低い状況であり、政策的に強制するものではないが、働きかけを行う余地はあると考える。
- (本田座長)
- 女子高校生の方が、将来の職業を意識して職業を選択するという調査結果もある中で、理工系の女子学生が少ないことは、女性が理工系分野での将来イメージが持てないとい うことである。
○資料2、3について事務局から説明が行われた。